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特開2022-95240加工デンプン/C13~C15脂肪酸/クレイと両性界面活性剤との組み合わせ
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  • 特開-加工デンプン/C13~C15脂肪酸/クレイと両性界面活性剤との組み合わせ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095240
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】加工デンプン/C13~C15脂肪酸/クレイと両性界面活性剤との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20220621BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220621BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220621BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20220621BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20220621BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220621BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/36
A61K8/25
A61K8/41
A61Q5/02
A61Q19/10
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020208439
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】三品 菜津乃
(72)【発明者】
【氏名】織田 政紀
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC392
4C083AC561
4C083AC582
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD092
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB07
4C083CC03
4C083CC23
4C083CC31
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】皮膚等のケラチン物質から濯ぎ落とすことができ、ケラチン物質から組成物を濯ぎ落とした後、ケラチン物質上のクレイの強化された付着を残したままにできる組成物を提供すること。
【解決手段】(a)少なくとも1種の加工デンプンと、(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸と、(c)少なくとも1種のクレイと、(d)少なくとも1種の両性界面活性剤とを含む、組成物であって、(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比が、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である、組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の加工デンプンと、
(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸と、
(c)少なくとも1種のクレイと、
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤と
を含む、組成物であって、
(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比が、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である、
組成物。
【請求項2】
前記(a)加工デンプンが、疎水性の、好ましくはヒドロキシアルキル加工デンプンであり、より好ましくはヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸ヒドロキシルエチルデンプン、リン酸ヒドロキシプロピルデンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物中の前記(a)加工デンプンの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(b)C13~C15脂肪酸が、ミリスチン酸である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物中の前記(b)C13~C15脂肪酸の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記(c)クレイが、ヘクトライト、カオリン、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中の前記(c)クレイの量が、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは2質量%~35質量%、より好ましくは3質量%~30質量%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記(a)加工デンプンと前記(b)C13~C15脂肪酸とが、複合体を形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記(d)両性界面活性剤が、ベタイン、アミンオキシド、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物中の前記(d)両性界面活性剤の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(e)水を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
pHが、7.0超、好ましくは7.5超、より好ましくは8.0超である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
化粧用組成物、好ましくはリンスオフ組成物、より好ましくはリンスオフクレンジング組成物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に適用する工程を含む、皮膚等のケラチン物質のための美容方法。
【請求項15】
(a)少なくとも1種の加工デンプンと、
(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸と、
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤と
の組み合わせであって、
(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比が、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である、組み合わせの、
皮膚等のケラチン物質上の(c)少なくとも1種のクレイの付着を増加させるための、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工デンプンと、C13~C15脂肪酸と、クレイと、両性界面活性剤との組み合わせを含む組成物、並びに該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
薬用及び美容ツールとしての鉱物クレイの使用は、長い間、人気があった。
【0003】
クレイは、皮膚からの過剰な油分、垢及び毒素を吸収しながら、同時に角質を取り、皮膚の循環を改善させるために使用されている。ベントナイトクレイ等のいくつかのクレイは、解毒作用又はミネラル欠乏等の薬用目的のために主に摂取される。
【0004】
フランスの緑色クレイ及びラスールクレイ等の他のクレイは、皮膚症状及び美容目的のために外用される。クレイは、赤色、緑色、白色、灰色等の様々な色で存在し、粗くて重いものから細かくふわふわしたものまで、質感が多岐にわたり得る。クレイの様々な色は、クレイの天然鉱物分のために生じる。
【0005】
現代の化粧料において、そのようなクレイは、油分調節製品のキーとなる活性成分として使用され、油分調節洗顔剤等の形態で販売されている。いくつかのリンスオフ化粧用組成物中にクレイが含まれている。
【0006】
クレイを含むリンスオフ化粧用組成物は、該組成物がケラチン物質から濯ぎ落とされた後であっても、皮膚等のケラチン物質上にクレイの付着を残したままにできる。残っているクレイの付着は、存在する場合、油分調節に貢献することができる。
【0007】
加工デンプンとC13~C15脂肪酸との組み合わせが皮膚等のケラチン物質上のクレイの付着を強化できることが、発見された。
【0008】
皮膚等のケラチン物質上のクレイの付着を更に強化する必要性が、依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4465702号
【特許文献2】米国特許第5037929号
【特許文献3】米国特許第5131953号
【特許文献4】米国特許第5149799号
【特許文献5】米国特許第3137592号
【特許文献6】米国特許第2528378号
【特許文献7】米国特許第2781354号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】第XXII章、「Production and Use of Pregelatinized Starch」、Starch: Chemistry and Technology、第III巻-Industrial Aspects、R. L. Whistler及びE. F. Paschall, Editors、Academic Press、New York 1967年
【非特許文献2】Penguin Dictionary of Science
【非特許文献3】Kirk-Othmer、Encyclopaedia of Chemical Technology、第5巻、544頁、第2版、John Wiley and Sons, Inc.、New York、N. Y. 1964年
【非特許文献4】書籍「Clay mineralogy」、S. Caillere、S. Henin、M. Rautureau、第2版、1982年、Masson
【非特許文献5】CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年
【非特許文献6】CTFA辞典、第3版、1982年
【非特許文献7】CTFA辞典、第5版、1993年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、皮膚等のケラチン物質から濯ぎ落とすことができ、ケラチン物質から組成物を濯ぎ落とした後、ケラチン物質上のクレイの強化された付着を残したままにできる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的は、
(a)少なくとも1種の加工デンプンと、
(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸と、
(c)少なくとも1種のクレイと、
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤と
を含む、組成物であって、
(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比が、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である、
組成物によって達成することができる。
【0013】
(a)加工デンプンは、疎水性の、好ましくはヒドロキシアルキル加工デンプンであってもよく、より好ましくはヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸ヒドロキシエチルデンプン、リン酸ヒドロキシプロピルデンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0014】
本発明による組成物中の(a)加工デンプンの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%であってもよい。
【0015】
(b)C13~C15脂肪酸は、ミリスチン酸であってもよい。
【0016】
本発明による組成物中の(b)C13~C15脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%であってもよい。
【0017】
(c)クレイは、ヘクトライト、カオリン、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0018】
本発明による組成物中の(c)クレイの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは2質量%~35質量%、より好ましくは3質量%~30質量%であってもよい。
【0019】
(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とは、複合体を形成することができる。
【0020】
(c)クレイは、(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とで、好ましくは(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とにより形成された複合体で、より好ましくは疎水性加工デンプンとミリスチン酸とにより形成された複合体で、コーティングされてもよい。
【0021】
(d)両性界面活性剤は、ベタイン、アミンオキシド、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0022】
本発明による組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%であってもよい。
【0023】
本発明による組成物は、(e)水を更に含んでもよい。
【0024】
本発明による組成物のpHは、7.0超、好ましくは7.5超、より好ましくは8.0超であってもよい。
【0025】
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくはリンスオフ組成物、より好ましくはリンスオフクレンジング組成物であってもよい。
【0026】
本発明はまた、
本発明による組成物をケラチン物質に適用する工程
を含む、皮膚等のケラチン物質のための美容方法にも関する。
【0027】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種の加工デンプンと、
(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸と、
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤と
の組み合わせであって、
(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比が、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である、組み合わせの、
皮膚等のケラチン物質上の(c)少なくとも1種のクレイの付着を増加させるための、
使用にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施例1及び比較例1による組成物の、(A)適用直後(T0)、及び(B)適用4時間後(T4h)の、該組成物によるグロスコントロールを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
鋭意検討の結果、本発明者らは、皮膚等のケラチン物質から濯ぎ落とすことができ、ケラチン物質から組成物を濯ぎ落とした後、ケラチン物質上のクレイの強化された付着を残したままにできる組成物を提供することが、可能であることを発見した。
【0030】
本発明による組成物は、一定の条件下で、(a)少なくとも1種の加工デンプンと、(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸と、(c)少なくとも1種のクレイと、(d)少なくとも1種の両性界面活性剤との組み合わせを含む。
【0031】
本発明による組成物は、皮膚等のケラチン物質から濯ぎ落とすことができ、ケラチン物質から組成物を濯ぎ落とした後、ケラチン物質上に、増加したクレイの付着量を残したままにすることができる。
【0032】
クレイの付着は、油分調節性に貢献することができる。本発明による組成物が皮膚等のケラチン物質上のクレイの付着量を増加させることができるので、本発明による組成物は、即座の且つ持続する油分制御効果をもたらすことができる。そのため、例えば、本発明による組成物は、皮膚等のケラチン物質上の皮脂等の油性物質によって引き起こされる脂っぽい外観等の好ましくない事象を、即座に且つ長時間、調節する又は抑制することができる。また、皮膚等のケラチン物質上の、増加したクレイの付着量は、即座に且つ長時間、滑らかな感触をもたらすことができる。
【0033】
(c)クレイは、(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とでコーティングされてもよい。(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とは、複合体を形成し得る。そのため、(c)クレイは、(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とにより形成された複合体でコーティングされてもよい。複合体が、疎水性加工デンプンとミリスチン酸とにより形成されることが好ましい。
【0034】
(c)クレイの疎水性は、(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とによって、好ましくは(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とにより形成された複合体によって、より好ましくは疎水性加工デンプンとミリスチン酸とにより形成された複合体によって、強化され得る。したがって、(c)クレイは、(c)クレイとケラチン物質との間の疎水性-疎水性相互作用に起因して、皮膚等のケラチン物質に、より多く付着し得る。これは、ケラチン物質上の(c)クレイの付着量における増加をもたらすことができる。
【0035】
更に、驚くべきことに、(d)両性界面活性剤の付加的な使用が、ケラチン物質上の(c)クレイの付着を更に強化することができる。
【0036】
理論に拘泥するわけではないが、(d)両性界面活性剤のカチオン性部分が、(b)C13~C15脂肪酸に起因し得る(c)クレイ上の(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸との可能な複合体の負電荷を低減でき、したがって、低減した負電荷を有する可能な複合体を有する(c)クレイが、負電荷を本来有している皮膚等のケラチン物質上で比較的容易に吸収され得ることが確信される。
【0037】
これ以降、本発明が詳細に説明される。
【0038】
[組成物]
本発明の態様のうちの1つは、
(a)少なくとも1種の加工デンプンと、
(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸と、
(c)少なくとも1種のクレイと、
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤と
を含む、組成物であって、
(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比は、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である、組成物である。
【0039】
本発明の一実施形態では、
該組成物中の(a)加工デンプンの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%であり、
(b)C13~C15脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%であり、
(c)クレイの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは5質量%~35質量%、より好ましくは10質量%~30質量%であり、
本発明による組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%であってもよい。
【0040】
本発明による組成物は、(e)水を更に含んでもよい。
【0041】
(加工デンプン)
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の加工デンプンを含む。単一のタイプの加工デンプンを使用してもよく、又は2種以上の異なるタイプの加工デンプンを組み合わせて使用することができる。
【0042】
(a)加工デンプンは、粉末の形態にあってもよい。換言すれば、(a)加工デンプンは、粒子の形態にあってもよい。この場合、(a)加工デンプンの粒径は限定されない。
【0043】
(a)加工デンプンが膜形成性、すなわち膜を形成することが可能であることが好ましい。
【0044】
(a)加工デンプンは、ベースデンプンをベースとする。ベースデンプンは、本明細書で使用される場合、任意の天然源に由来し、いずれも本明細書における使用に好適であり得る全てのデンプンを含むことが意図される。天然デンプンは、本明細書で使用される場合、自然界で見出されるものである。更に好適なのは、交雑育種、転位、転置、形質転換を含む標準的な育種技法によって、又はそれらの変種を含ませるための遺伝子工学若しくは染色体工学の任意の他の方法によって得られる植物由来のデンプンである。加えて、既知の標準的な方法である突然変異育種法によって生成され得る上記の一般的なデンプンの人工的な突然変異体及び変種から育成された植物に由来するデンプンもまた、本明細書において好適である。
【0045】
典型的なデンプン源は、穀草、塊茎、根、さや及び実である。天然源は、トウモロコシ(メイズ)、エンドウ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、オオムギ、コムギ、コメ、オート麦、サゴ、アマランス、タピオカ(キャッサバ)、クズウコン、カンナ及びモロコシのワキシー種、並びにこれらの低アミロース及び高アミロース種とすることができる。本明細書で使用されるとき、用語「低アミロース」デンプンは、約10質量%以下、特に5質量%以下、より特定すると2質量%以下のアミロースを含有するデンプンを含むことが意図される。本明細書で使用されるとき、用語「高アミロース」デンプンは、少なくとも約50質量%、特に少なくとも約70質量%、より特定すると少なくとも約80質量%のアミロースを含有するデンプンを含むことが意図される。高アミロースデンプンが好ましい場合がある。
【0046】
(a)加工デンプンは前糊化されてもよい。前糊化、及び前糊化を達成する技術は当技術分野で既知であり、例えば米国特許第4465702号、同第5037929号、同第5131953号及び同第5149799号で開示されている。第XXII章、「Production and Use of Pregelatinized Starch」、Starch: Chemistry and Technology、第III巻-Industrial Aspects、R. L. Whistler及びE. F. Paschall, Editors、Academic Press、New York 1967年もまた参照されたい。用語「前糊化」は、偏光中にそれらの複屈折及び/又はマルタ十字が損失した、膨化デンプン粒子を意味することが意図される。このような前糊化デンプン誘導体は、加熱調理せずに冷水中に実質的に可溶性である。これに関連して、「可溶性」は、必ずしも真の分子溶液の形成を意味するものではなく、コロイド状分散体も意味し得る。一実施形態では、デンプンは完全に前糊化される。
【0047】
前糊化加工デンプンは、冷水中であっても、容易に迅速に可溶化され得る。
【0048】
前糊化は、非限定的に、ドラム乾燥、押出及び噴霧乾燥を含めた方法によって達成することができる。一実施形態では、デンプンの加熱調理と乾燥とを同時に行うために押出法が使用される(例えば、米国特許第3137592号を参照されたい)。この方法は、デンプンの糊化をもたらす高い温度及び圧力下でのデンプン/水の混合物の物理的処理と、それに続く水の急激な蒸発によるノズルを出た後の膨張とを利用する。
【0049】
一実施形態では、前糊化を完了させて良好な可溶性を得、組成物中に不快なざらざらした感触をもたらし得る、溶解されていない粒子を除去する。
【0050】
一実施形態では、デンプンは、大部分がそのままの状態のデンプン粒を有する。大部分がそのままの状態の粒状構造を有する前糊化デンプン誘導体の水性分散体は、典型的には、若干ざらついた感触を有し得る、粒状構造を有していないデンプンの水性分散体よりも、一様で滑らかなテクスチャーを有する。そのままの状態の粒状構造を有する前糊化デンプンの場合、水素結合の天然内部構造は壊れるが、外形又は形態は維持される。
【0051】
(a)加工デンプンは、架橋されてもよい。デンプン鎖の架橋は、好適な架橋剤、すなわち、二官能性化合物によって達成することができる。一実施形態では、用いられる架橋方法は、デンプンを、オキシ塩化リン、五酸化リン及び/又はトリメタリン酸ナトリウムと反応させる、リン酸化反応である。2つのデンプン鎖が、アニオン性P-O基によって架橋される。架橋部位のアニオン性の特性は、本発明に従って使用されるデンプンのエマルション安定化作用を助ける。別の実施形態では、架橋方法は、アジピン酸によって例示される、非限定的にC4~C8アルカンジカルボン酸を含めた、C4~C18アルカン又はアルケンジカルボン酸によるものである。アルカン又はアルケンジカルボン酸は、エステル結合を介して2つのデンプン鎖を連結させる。これは、直鎖の形態又は分枝鎖の形態とすることができる。誘導体は、例えば、デンプンを、ジカルボン酸と酢酸との混合無水物と反応させることによって得ることができる。一実施形態では、乾燥デンプンに基づいて0.1質量%未満の架橋剤が使用される。別の実施形態では、乾燥デンプンに基づいて0.06~0.1質量%の架橋剤が使用される。
【0052】
(a)加工デンプンが疎水性であることが好ましい。(a)加工デンプンの表面が疎水性であることがより好ましい。
【0053】
デンプンを疎水性にする加工は、C1~6アシル(アセチル)、C1~6ヒドロキシアルキル(ヒドロキシエチル若しくはヒドロキシプロピル)、カルボキシメチル又はオクテニルコハク酸基等の疎水性官能基をグラフト化することによって実施することができる。
【0054】
官能基のアルキル部分は、1~6個の炭素原子、好ましくは2~5個の炭素原子、より好ましくは3又は4個の炭素原子を有し得る。
【0055】
(a)加工デンプンがヒドロキシアルキル加工デンプンであることが好ましい。
【0056】
アルキル基中の2~6個の炭素原子等のアルキル基を介してデンプン主鎖に結合しているヒドロキシル基の位置は、重要ではなく、アルファ位からオメガ位とすることができる。好適な一実施形態では、ヒドロキシアルキル化の置換度は、約0.08~0.3である。置換度は、無水グルコース1単位当たりのデンプン分子の置換OH基の平均数である。デンプンのヒドロキシアルキル化は、天然のデンプンを、適当な数の炭素原子を有するアルキレンオキシドと反応させることによってもたらすことができ、これは、非限定的に、デンプンをプロピレンオキシドと反応させることによるヒドロキシプロピル化が含まれる。ヒドロキシアルキル加工デンプンはまた、アルキル基1つ当たり複数のヒドロキシル基も含有し得る。
【0057】
ヒドロキシアルキル加工デンプンは、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、リン酸ヒドロキシエチルデンプン、リン酸ヒドロキシプロピルデンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0058】
ヒドロキシアルキル加工デンプンを調製する方法は、任意の順序で行うことができる。しかしながら、当業者であれば、特定の順序の利点を理解していると考えられる。例えば、ヒドロキシプロピル化は、デンプンが架橋される場合、典型的にはオキシ塩化リンを用いて架橋の前に行われると考えられ、その理由は、典型的なヒドロキシプロピル化のプロセスが、達成された架橋の一部を破壊すると考えられるためである。
【0059】
本発明において好ましく使用されるヒドロキシアルキル加工デンプンの例には、以下が挙げられる:
Akzo Nobel社によりStructure ZEA及びXLとして市販されている、リン酸ヒドロキシプロピルデンプン(前糊化トウモロコシデンプン)、並びに
Akzo Nobel社によりAMAZEとして市販されている、加工された(ヒドロキシプロピル化され、前糊化された高アミロース)トウモロコシデンプン。
【0060】
本発明による組成物中の(a)加工デンプンの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更により好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0061】
その一方で、本発明による組成物中の(a)加工デンプンの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更により好ましくは3質量%以下であってもよい。
【0062】
本発明による組成物中の(a)加工デンプンの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5質量%~5質量%、更により好ましくは1質量%~3質量%の範囲であってもよい。
【0063】
(C13~C15脂肪酸)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸を含む。単一のタイプのC13~C15脂肪酸、又は2種以上の異なるタイプのC13~C15脂肪酸を組み合わせて使用することができる。
【0064】
(b)C13~C15脂肪酸が飽和であることが好ましい。飽和C13~C15脂肪酸は、トリデシル酸(トリデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)及びペンタデシル酸(ペンタデカン酸)からなる群から選択することができる。
【0065】
(b)C13~C15脂肪酸が不飽和であることが可能である。不飽和C13~C15脂肪酸は、トリデセン酸、ミリストレイン酸(テトラデセン酸)及びペンタデセン酸からなる群から選択することができる。
【0066】
(b)C13~C15脂肪酸がミリスチン酸であることが、より好ましい。
【0067】
本発明による組成物中の(b)C13~C15脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更により好ましくは4質量%以上であってもよい。
【0068】
その一方で、本発明による組成物中の(b)C13~C15脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更により好ましくは8質量%以下であってもよい。
【0069】
本発明による組成物中の(b)C13~C15脂肪酸の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%、更により好ましくは4質量%~8質量%の範囲であってもよい。
【0070】
(b)C13~C15脂肪酸の量(質量)/(a)加工デンプンの量(質量)の質量比は、1.0以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、更により好ましくは4.0以上であってもよい。
【0071】
(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とは、複合体を形成し得る。
【0072】
(クレイ)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種のクレイを含む。単一のタイプのクレイを使用してもよく、又は2種以上の異なるタイプのクレイを組み合わせて使用することもできる。
【0073】
用語「クレイ」は、微粒鉱物で主に構成され、適切な水分量で一般に可塑性であり、乾燥又は焼成すると硬化する、自然に発生する物質を指す。クレイは、通常フィロケイ酸塩を含有するが、クレイは、乾燥され又は焼成されたときに可塑性を付与して硬化する他の物質も含有してもよい。クレイ中の関連付けられる相は、可塑性を付与しない物質及び有機物を含んでもよい。一般的な定義は、Penguin Dictionary of Scienceにあるもの、すなわち「成分である鉱物が主にマグネシウム又はアルミニウムの様々なケイ酸塩である、微細に分割された岩石材料」である。クレイは、カオリナイト(典型的には、[Si4]Al4O10(OH)8.nH2O(n=0又は4)と定義される)、イライト(典型的にはMx[Si6.8Al1.2]Al3Fe.025Mg.75O20(OH)4と定義される)、バーミキュライト(典型的には、Mx[Si7Al]AlFe.05Mg0.5O20(OH)4と定義される)、スメクタイト(典型的には、Mx[Si8]Al3.2Fe0.2Mg0.6O20(OH)4と定義される)、クロライト(典型的には、(Al(OH)2.55)4[Si6.8AlO1.2]Al3.4Mg0.6)20(OH)4と定義される)、及びフィロケイ酸塩鉱物又はタルク(典型的には、Mg3Si4O10(OH)2と定義される)を含む。
【0074】
化学者によって多くの場合に使用される別の定義は、「1種又は複数の鉱物及び副化合物から構成される、自然に発生する堆積物又は堆積岩であって、その全体が、通常、水和ケイ酸アルミニウム、鉄若しくはマグネシウム、水和アルミナ、又は酸化鉄が豊富であり、コロイドのサイズ又はコロイドに近いサイズの粒子が主であり、十分に粉砕し湿らせると、通常、可塑性を発現するもの」である(Kirk-Othmer、Encyclopaedia of Chemical Technology、第5巻、544頁、第2版、John Wiley and Sons, Inc.、New York, N. Y. 1964年を参照されたい)。クレイの例は、書籍「Clay mineralogy」、S. Caillere、S. Henin、M. Rautureau、第2版、1982年、Massonで付与されている。クレイは、天然起源であっても合成起源であってもよい。
【0075】
親水性クレイには、スメクタイト、例えばサポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライトが挙げられる。親水性クレイには、合成ヘクトライト(ラポナイトとも呼ばれる)、例えば企業により名称Laporte Laponite XLG、Laponite RD、Laponite RDS(これらの製品は、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸マグネシウム、特にナトリウム、リチウム及びマグネシウムである)で販売されている製品、ベントナイト、例えば名称Bentone(登録商標)HC Rheoxで販売されている製品、ケイ酸マグネシウム及びアルミニウム製品、例えば、Vanderbilt Company社によりultra Veegum(登録商標)、Veegum(登録商標)HS、Veegum(登録商標)DGTとして販売されている水和製品、又はケイ酸カルシウム、特に企業により名称Micro-Cel(登録商標)Cで販売されている合成形態が挙げられる。
【0076】
フーラー土は、マグネシウム、ナトリウム及びカルシウム等の金属イオンをそれらの構造内に含有する、水和ケイ酸アルミニウムから主になる。モンモリロナイトは、フーラー土における主要なクレイ鉱物であるが、それは、他の成分中に、カオリナイト、アタパルジャイト及びパリゴルスカイト等の他の鉱物を含有し得る。
【0077】
親油性クレイは、親油性媒体中で膨潤するクレイを意味し、このクレイは膨潤してコロイド状分散体を形成する。親油性クレイには、加工ケイ酸マグネシウム等の加工クレイ(Rheox社製のBentone gel VS38)、塩化アンモニウム脂肪酸C10~C22で加工されたヘクトライト、例えば塩化アンモニウムジステアリルジメチルアンモニウムで加工されたヘクトライト(CTFA名: ジステアルジモニウムヘクトライト)で、Rheox社により名称「Bentone 38 CE」で、又はELEMENTIS社により名称Bentone(登録商標) 38 Vで販売されているものが挙げられる。
【0078】
このようなクレイの起源は、ヘクトライト、ベントナイト、及びそれらの四級化誘導体等の天然又は合成鉱物クレイであることができ、例えばこれらは、鉱物を、ステアラルコニウムベントナイト等の四級アンモニウム化合物、ヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト等の四級化ヘクトライト、炭酸プロピレン等の炭酸塩、ベントン等と反応させることによって得られる。
【0079】
本発明において使用することができるクレイの非限定的な例は、フーラー土、フィリピンのピナツボ火山灰泥、シリアのアレッポクレイ、マレーシアのティガ島火山泥、ベトナムのニャチャン泥、韓国のホワイトカオリナイト、韓国の黄土、韓国のチェジュ火山クレイ、台湾のクワンツーリン泥、中国の五大連池火山泥、中国のユンチェン塩湖の黒色泥、中国の担頭村の鉱物泥、陶土(カオリン)、中国の麦飯石、日本の別府温泉ファンゴ、日本のクチャ、日本のタナクラクレイ、ロシアのカンブリアン青色クレイ、アイスランドのブルーラグーン泥、ウクライナのサキ湖泥、チェコ共和国のカルロヴィヴァリー湿原泥、ハンガリーのヘーヴィーズゲオルギコン湿原泥、オーストリアのアルパイン湿原泥、ドイツのバートヴィルスナック泥、ドイツのバイエルン鉱物塩山泥、ドイツのフライブルグ火山灰、ギリシアのサントリーニ泥、スペインのマールメノール泥、イタリアのイスキア火山泥、イタリアのエウガネイ熱泥、フランスの黄色クレイ-イライト、フランスの緑色クレイ-モンモリロナイト、米国のカリストガ泥、米国のセイクリッドクレイ及びオーマライト、米国のレッドモンドクレイ、カナダの北極鉱物泥、メキシコのトゥルムマヤクレイ、カナダの氷成粘土、ブラジルのアマゾン白土、アルゼンチンのエルチラント火山熱泥、アフリカのヒーリングクレイ、オーストラリアのオリーブグリーンクレイである。
【0080】
(c)クレイが、ヘクトライト、カオリン、タルク、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0081】
本発明による組成物中の(c)クレイの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0082】
その一方で、本発明による組成物中の(c)クレイの量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下であってもよい。
【0083】
本発明による組成物中の(c)クレイの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~40質量%、好ましくは2質量%~35質量%、より好ましくは3質量%~30質量%の範囲であってもよい。
【0084】
(c)クレイは、(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸で、好ましくは(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とにより形成された複合体で、より好ましくは疎水性加工デンプンとミリスチン酸とにより形成された複合体で、コーティングされてもよい。
【0085】
(両性界面活性剤)
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の両性界面活性剤を含む。2種以上の両性界面活性剤が使用されてもよい。そのため、単一のタイプの界面活性剤、又は異なるタイプの両性界面活性剤の組み合わせを使用することができる。
【0086】
両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的な列挙)、アミン誘導体、例えば脂肪族第二級又は第三級アミン、及び任意選択で四級化アミン誘導体とすることができ、脂肪族基は、8~22個の炭素原子を含み、少なくとも1つの水可溶化アニオン性基 (例えばカルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含有する直鎖又は分枝鎖である。
【0087】
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0088】
両性界面活性剤が、ベタインタイプの界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0089】
ベタインタイプの両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、アルキルスルホベタイン、ホスホベタイン、アルキルホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、具体的には(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C1~C8)アルキルスルホベタイン、ホスホベタイン、(C1~C8)アルキルホスホベタイン及び(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタインからなる群から選択される。一実施形態では、ベタインタイプの両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C1~C8)アルキルスルホベタイン及びホスホベタインから選ばれる。
【0090】
挙げることができる非限定的な例には、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年で、単独で又は混合物として、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン及びココスルタインの名称で分類されている化合物がある。
【0091】
ベタインタイプの両性界面活性剤(ベタイン)は、好ましくは、アルキルベタイン、アルキルスルホベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、特にココベタイン、スルホプロピルベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0092】
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中で挙げることができるのは、米国特許第2528378号及び第2781354号に記載され、CTFA辞典、第3版、1982年(開示は参照により本明細書に組み込まれる)において、アンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートの名称で分類されている、名称Miranolで販売されている製品であり、それぞれ以下の構造を有する:
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-)M+X- (B1)
[式中、
R1は、加水分解ヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシルの各基を示し、
R2は、β-ヒドロキシエチル基を示し、
R3は、カルボキシメチル基を示し、
M+は、ナトリウム等のアルカリ金属に由来するカチオン性イオン、アンモニウムイオン又は有機アミンに由来するイオンを示し、
X-は、有機又は無機アニオン性イオン、例えばハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、アルキル(C1~C4)硫酸イオン、アルキル(C1~C4)-又はアルキル(C1~C4)アリールスルホン酸イオン、特にメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオンを示し、又はM+及びX-は、存在しない]
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C) (B2)
[式中、
R1'は、ヤシ油中又は加水分解亜麻仁油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、C7、C9、C11又はC13アルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型等のアルキル基、又は不飽和のC17基を示し、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'(式中、z=1又は2)を表し、
X'は、-CH2-COOH、-CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'の各基、又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH2-CHOH-SO3Z'、-CH2-CHOH-SO3Hの各基、又はCH2-CH(OH)-SO3-Z'基を示し、
これらの式中、Z'は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン、例えばナトリウムイオン、及び有機アミンに由来するイオン又はアンモニウムイオンを表す]
並びに
Ra''-NH-CH(Y'')-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)n'-N(Rd)(Re) (B'2)
[式中、
Y''は、-C(O)OH、-C(O)OZ''、-CH2-CH(OH)-SO3H又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z''
(式中、Z''は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属に由来するカチオン性イオン、例えばナトリウムイオン、有機アミンに由来するイオン又はアンモニウムイオンを示す)
を示し、
Rd及びReは、C1~C4アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、
Ra''は、酸からのC10~C30のアルキル基又はアルケニル基を示し、
n及びn'は、独立に、1~3の整数を示す]
【0093】
式B1及びB2を有する両性界面活性剤が、(C8~C24)アルキルアンホモノアセテート、(C8~C24)アルキルアンホジアセテート、(C8~C24)アルキルアンホモノプロピオネート及び(C8~C24)アルキルアンホジプロピオネートから選択されることが好ましい。
【0094】
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993年において、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸の名称で分類されている。
【0095】
例を介して挙げることができるのは、Rhodia Chimie社により商品名Miranol(登録商標)C2M concentrateで販売されているココアンホジアセテートである。
【0096】
式(B'2)の化合物の中で挙げることができるのは、CHIMEX社により命名CHIMEXANE HBで市販されているジエチルアミノプロピルココアスパルタミドナトリウム(CTFA)である。
【0097】
両性界面活性剤は、N-アシルアミノ酸、例えばN-アルキルアミノアセテート及び二ナトリウムココアンホジアセテート、並びにアミンオキシド、例えばステアラミンオキシド及びラウラミンオキシドから選択することができる。
【0098】
両性界面活性剤が、アミンオキシド、例えばステアラミンオキシド及びラウラミンオキシドから選択されることもまた好ましい。
【0099】
本発明による組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0100】
その一方で、本発明による組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0101】
本発明による組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%の範囲であってもよい。
【0102】
本発明によれば、(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比は、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である。
【0103】
(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比が、10以下、より好ましくは5以下、より好ましくは3以下であることが好ましい場合がある。
【0104】
(d)両性界面活性剤が多数のカチオン性部分を有するため、(b)C13~C15脂肪酸(一価アニオン性部分を有する)の質量に対して、50質量%以上(好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上)の質量における(d)両性界面活性剤の使用が十分であり得る。
【0105】
(水)
本発明による組成物は、(e)水を更に含んでもよい。
【0106】
(e)水は、本発明による組成物中の成分(a)~(d)の担体を形成することができる。
【0107】
(e)水の量は、組成物の総質量に対して、30質量%以上、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上であってもよい。
【0108】
(e)水の量は、組成物の総質量に対して、70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましく60質量%以下であってもよい。
【0109】
(e)水の量は、組成物の総質量に対して、30質量%~70質量%、好ましくは35質量%~65質量%、より好ましくは40質量%~60質量%であってもよい。
【0110】
(pH)
本発明による組成物のpHは、化粧料において通常使用される酸性化剤又は塩基性化剤を使用して、所望の値に調整することができる。
【0111】
本発明による組成物は、酸性であってもよい。例えば、本発明による組成物のpHは、7.0未満、より好ましくは6.5未満、更により好ましくは6.0未満であってもよい。
【0112】
或いは、本発明による組成物は、塩基性であってもよい。例えば、本発明による組成物のpHは、7.0超、より好ましくは7.5超、更により好ましくは8.0超であってもよい。
【0113】
酸性化剤の中で例として挙げることができるのは、鉱酸及び有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸及び乳酸、並びにスルホン酸である。
【0114】
塩基性化剤の中で例として挙げることができるのは、水酸化アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-及びトリエタノールアミン、更にはそれらの誘導体、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、並びに以下の式:
【0115】
【化1】
【0116】
(式中、
Wは、ヒドロキシル基又はC1~C4アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン等のアルキレンを示し、Ra、Rb、Rc及びRdは、独立に、水素原子、アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、これは、1,3-プロパンジアミン及びそれらの誘導体によって例示され得る)
の化合物である。
【0117】
酸性化剤又は塩基性化剤は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下の量で使用されてもよい。
【0118】
酸性化剤又は塩基性化剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上の量で使用されてもよい。
【0119】
酸性化剤又は塩基性化剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、好ましくは0.01質量%~15質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0120】
(追加の任意選択の成分)
本発明による組成物はまた、任意の他の、任意選択の又は追加の成分も含んでもよい。
【0121】
他の任意選択の成分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性ポリマー、フィラー、顔料、無機又は有機UV遮蔽剤、ペプチド及びその誘導体、タンパク質加水分解物、膨潤剤及び浸透剤、脱毛に有効な作用剤、ふけ防止剤、懸濁剤、金属イオン封鎖剤、乳白剤、染料、ビタミン又はプロビタミン、香料、保存剤、安定剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0122】
本発明による組成物は、1種又は数種の化粧料として許容される有機溶媒を含んでもよく、これは、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール; ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコール; 他のポリオール、例えばグリセロール、糖、及びβ; 並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであり得る。
【0123】
有機溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~25質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~15質量%の濃度で存在してもよい。
【0124】
[形態]
本発明による組成物が、25℃及び大気圧(760mmHg)下で液体の形態であることが好ましい。
【0125】
本発明による組成物は、溶液、分散体、ゲル及びペースト等の任意の形態であってもよい。
【0126】
本発明による組成物は、化粧用組成物であってもよい。そのため、本発明による化粧用組成物は、ケラチン物質への適用が意図されてもよい。ケラチン物質は、本明細書では、ケラチンを主な構成要素として含む物質を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が挙げられる。そのため、本発明による化粧用組成物が、ケラチン物質、詳細には皮膚のための美容方法のために使用されることが好ましい。
【0127】
本発明による組成物は、好ましくはリンスオフ組成物であってもよい。リンスオフ組成物は、好ましくは水で、皮膚等のケラチン物質から除去され得る。
【0128】
本発明による組成物は、好ましくはクレンジング組成物であってもよい。クレンジング組成物は、ケラチン物質から、皮膚等のケラチン物質上の皮脂及び/又はメイクアップを除去することができる。
【0129】
本発明による組成物は、より好ましくはリンスオフクレンジング組成物であってもよい。リンスオフクレンジング組成物は、皮膚等のケラチン物質上の皮脂及び/又はメイクアップを除去することができ、且つケラチン物質から、好ましくは水で、除去され得る。
【0130】
本発明による組成物は、上に記載した必須の成分と任意選択の成分とを、従来の方法で混合して調製することができる。
【0131】
[方法]
本発明はまた、ケラチン物質に、本発明による組成物を適用する工程を含む、皮膚等のケラチン物質のための美容方法にも関する。
【0132】
本発明による美容方法が、ケラチン物質に適用された本発明による組成物をケラチン物質から濯ぎ落とす工程を更に含むことが好ましい。
【0133】
本発明による組成物が、ケラチン物質に適用された後に、数分間等の一定の期間、ケラチン物質上に放置されることが可能である。
【0134】
美容方法は、本明細書では、好ましくは皮膚等のケラチン物質をクレンジングするための、より好ましくはケラチン物質上の皮脂及び/又はメイクアップをクレンジングするための、非治療的美容方法を意味する。
【0135】
[使用]
本発明はまた、
(a)少なくとも1種の加工デンプンと、
(b)少なくとも1種のC13~C15脂肪酸と、
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤と
の組み合わせであって、
(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比が、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である、組み合わせの、
皮膚等のケラチン物質上の(c)少なくとも1種のクレイの付着を増加させるための、
使用にも関する。
換言すると、成分(a)と(b)と(d)との組み合わせは、皮膚等のケラチン物質上の成分(c)の付着を強化することができる。
【0136】
本発明による組成物のための成分(a)~(d)についての上の説明はまた、本発明による使用のための上記成分(a)~(d)にも当てはめることができる。
【0137】
(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とは、複合体を形成することができ、好ましくは(c)クレイが該複合体でコーティングされる。
【0138】
(c)クレイの疎水性は、(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とによって、好ましくは(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸とにより形成された複合体によって、より好ましくは疎水性加工デンプンとミリスチン酸とにより形成された複合体によって、強化され得る。したがって、(c)クレイは、(c)クレイとケラチン物質との間の疎水性-疎水性相互作用に起因して、皮膚等のケラチン物質上により多く付着することができる。これは、ケラチン物質上の(c)増加したクレイの付着量をもたらすことができる。
【0139】
更に、驚くべきことに、(d)両性界面活性剤の付加的な使用は、皮膚等のケラチン物質上の(c)クレイの付着を更に強化することができる。
【0140】
理論に拘泥するわけではないが、(d)両性界面活性剤のカチオン性部分が、(b)C13~C15脂肪酸に起因し得る(c)クレイ上の(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸との可能な複合体の負電荷を低減でき、したがって、低減した負電荷を有する可能な複合体を有する(c)クレイが、負電荷を本来有している皮膚等のケラチン物質上でかなり容易に吸収され得ることが確信される。
【0141】
本発明による使用がケラチン物質上のクレイの付着量を増加させることができるので、本発明による使用は、ケラチン物質に、即座の且つ持続する油分制御効果等の効果をもたらすことができる。また、皮膚等のケラチン物質上の増加したクレイの付着量は、長時間にわたり、滑らかな感触をもたらすことができる。
【0142】
上記の組み合わせを、組成物中、好ましくは化粧用組成物中、より好ましくはクレンジング化粧用組成物中で使用することができ、これには、任意選択の成分、例えば水、及び少なくとも1種の追加の任意選択の成分、例えば上で説明したもの、具体的には少なくとも1種の酸性化剤及び/又は少なくとも1種の塩基性化剤が挙げられる。
【0143】
上記組成物は、酸性であってもよい。例えば、上記組成物のpHは、7.0未満、より好ましくは6.5未満、更により好ましくは6.0未満であってもよい。或いは、上記組成物は、塩基性であってもよい。例えば、上記組成物のpHは、7.0超、より好ましくは7.5超、更により好ましくは8.0超であってもよい。
【0144】
本発明による使用は、皮膚等のケラチン物質上の(c)少なくとも1種のクレイの付着を増加させる又は強化する方法であると言い換えることができ、該方法は、(c)クレイと共に、(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸と(d)両性界面活性剤との組み合わせをケラチン物質に適用する工程を含み、(d)両性界面活性剤の量/(b)C13~C15脂肪酸の量の質量比は、0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上である。この方法は、ケラチン物質上の(c)クレイの付着量を増加させることができる。
【実施例0145】
本発明は、実施例によって、より詳細に記載される。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示する。
【0146】
(実施例1及び比較例1)
[調製]
実施例1及び比較例1による組成物のそれぞれを、表1に示す成分を混合して調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料の「質量%」に基づく。
【0147】
【表1】
【0148】
[評価]
実施例1及び比較例1による組成物のそれぞれによってもたらされるグロスコントロールの効能を、油性肌を有する19人の健康な女性対象において、Lightcam(Newtone Technologies社、フランス)の計器による方法論によって評価した。
【0149】
計器による測定の条件は、21+/-1℃及び45+/-5%RHとした。
【0150】
実施例1及び比較例1による組成物のそれぞれ500mgを、対象の顔面の半分に適用した。適用直後(T0)及び適用4時間後(T4h)に、適用した半分の顔面及び適用していない半分の顔面において額のグロス(光沢)を測定した。適用した半分の顔面のグロス(光沢)と適用していない半分の顔面のグロス(光沢)との間のグロス(光沢)の差を平均して、グロスコントロールの平均スコアを決定した。
【0151】
結果を図1に示す。
【0152】
図1(A)に示すように、実施例1による組成物は、その適用直後でも、比較例1による組成物よりも良好なてかり制御の効能をもたらすことができる。そのため、実施例1による組成物は、有利な、即時のてかり制御の効能をもたらすことができる。
【0153】
図1(B)に示すように、実施例1による組成物は、その適用4時間後でも、比較例1による組成物よりも良好なてかり制御の効能をもたらすことができる。そのため、実施例1による組成物は、有利な、持続するてかり制御の効能をもたらすことができる。
【0154】
(実施例1~4並びに比較例2及び3)
[調製]
実施例1~4並びに比較例2及び3による組成物のそれぞれを、表2に示す成分を混合して調製した。成分の量についての数値は全て、活性材料の「質量%」に基づく。
【0155】
【表2】
【0156】
[評価]
(感覚評価)
実施例1~4並びに比較例2及び3による組成物を、付着感覚及び油分制御持続性の点で3人のモニターが評価した。実施例1~4並びに比較例2及び3による組成物のそれぞれを、モニター自身がモニターの顔面上に適用した。各組成物を濯ぎ落とした。
【0157】
モニターは、付着感覚を、濯ぎ落とした後の皮膚表面上に残っているクレイの量のレベルとして、以下の評価基準に従ってスコア付けして評価した。平均スコアを表2に示す。
5: きわめて良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: きわめて不良
【0158】
また、モニターは、濯ぎ落とし4時間後の、油っぽいてかりが全くない/少ない、及び脂っぽくない/粘着性のない触感を維持するレベルとしての油分制御持続性を、以下の評価基準に従ってスコア付けして評価した。平均スコアを表2に示す。
5: きわめて良好
4: 良好
3: 普通
2: 不良
1: きわめて不良
【0159】
表2から、(c)クレイと共に、(a)加工デンプンと(b)C13~C15脂肪酸と(d)両性界面活性剤との組み合わせを含む実施例1~4による組成物が、付着感覚及び油分制御持続性の点で最良の結果をもたらすことができたことが明らかである。
【0160】
その一方で、(d)両性界面活性剤の代わりに非イオン性界面活性剤(ココ-グルコシド)を含む比較例2による組成物は、付着感覚及び油分持続制御性の点で、実施例1~4による組成物と比べて劣った結果をもたらした。
【0161】
また、(d)両性界面活性剤の代わりにアニオン性界面活性剤(ラウレス硫酸ナトリウム)を含む比較例3による組成物は、付着感覚及び油分制御持続性の点で、実施例1~4による組成物と比べて劣った結果をもたらした。
図1
【外国語明細書】