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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095262
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】メタルカード
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/07 20060101AFI20220621BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20220621BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G06K19/07 260
H01Q7/00
G06K19/077 196
G06K19/077 264
G06K19/077 144
G06K19/077 248
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208482
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慎
(57)【要約】
【課題】金属板に磁性体層を有する金属板の磁性体層に非接触通信モジュールのコイルアンテナを埋め込んだ構成を備えたメタルカードにおいて、共振周波数のばらつきを簡便な手段で低減可能とする技術を提供する。
【解決手段】金属板1の少なくとも片面に磁性体層を備えた金属板4の磁性体層3に、絶縁基板6上に形成されたコイルアンテナ5のICチップ接続端子8にICチップを接続した非接触通信モジュール9のコイルアンテナを埋め込む様に積層してなるメタルカードにおいて、非接触通信モジュールのICチップ接続端子に、外部容量素子C3がコイルアンテナと並列に接続されている事を特徴とするメタルカード10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の少なくとも片面に磁性体層を備えた金属板の磁性体層に、絶縁基板上に形成されたコイルアンテナのICチップ接続端子にICチップを接続した非接触通信モジュールのコイルアンテナを埋め込んだ形で積層されてなるメタルカードにおいて、
非接触通信モジュールのICチップ接続端子に、外部容量素子がコイルアンテナと並列に接続されている事を特徴とするメタルカード。
【請求項2】
前記外部容量素子が、前記絶縁基板の表裏面に形成された一対の平板電極により形成された平行平板コンデンサであって、該平行平板コンデンサの前記金属板側の平板電極が、平面視で、前記絶縁基板の反対側に形成された平板電極より大きい事を特徴とする請求項1に記載のメタルカード。
【請求項3】
前記外部容量素子の静電容量が、前記磁性体層に前記コイルアンテナを埋め込む前の前記コイルアンテナの浮遊容量および前記ICチップの入力容量より大きい事を特徴とする請求項1または2に記載のメタルカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの素材として金属を使用したメタルカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ギフトカードやプリペイドカードをはじめ、会員カード、クレジットカード、銀行カードなどのICカードにも、プラスチックカードが使用されて来た。
【0003】
例えば、会員カードやクレジットカードなどでは、通常グレードのカードをはじめ、ゴールドカード、ブラックカード、プラチナカードなどのハイグレードカードが導入されて来た。メタルカードは、更にグレードが高いカードとして導入されつつある。
【0004】
メタルカードは、接触端子などを除き、ほぼ全面が金属板で覆われている。その様なメタルカードにおいて、非接触通信を行うアンテナは金属板の裏面側に磁性体層を介して取り付けられる。
【0005】
図4は、従来のメタルカードの構成の一例を示す説明図である。従来のメタルカード10´は、磁性体層付き金属基板4と、非接触通信モジュール9´から構成されている。磁性体層付き金属基板4は、金属板1に接着層2を介して磁性体層3が備えられている。非接触通信モジュール9´は、絶縁基板6上にコイルアンテナ5が形成されたアンテナ基板7(図5参照)のICチップ接続端子8にICチップ(図示省略)が接続されたものである。メタルカード10´は、磁性体層付き金属基板4の磁性体層3にアンテナ基板7のアンテナ5を埋め込んだ形で、磁性体層付き金属基板4と非接触通信モジュール9´が接合された構成となっている。
【0006】
図5は、アンテナ基板7の上面図の一例を示した説明図であり、絶縁基板6上にコイルアンテナ5が備えられており、コイルアンテナ5の両端はICチップ接続端子8となっている。アンテナ基板7のICチップ接続端子8にICチップが接続(または、実装)され、非接触通信モジュール9´となる。
【0007】
図6は、従来のメタルカード10´の等価回路を示している。アンテナ基板7のICチップ接続端子8にICチップを接続する事により、ICチップとコイルアンテナ5が直列接続された閉回路となっている。
【0008】
ICチップの等価回路は、ICチップの端子から見たICチップの内部抵抗Rと、ICチップの端子から見た静電容量である入力容量C2と、が並列に接続された回路として表す事ができる。一方、コイルアンテナ5の等価回路は、コイルアンテナ5のインダクタンスLと、コイルアンテナ5の浮遊容量(寄生容量とも言う。)C1と、が並列に接続された回路として表す事ができる。なお、ここでは、C1、C2、R、Lは、それぞれ、容量素子としての静電容量(キャパシタンス)と抵抗素子としての抵抗(レジスタンス)とインダクタとしてのインダクタンスを意味すると同時に、それぞれ、容量素子と抵抗素子とインダクタを意味するものとしている。
【0009】
以上から、メタルカード10´の等価回路は、ICチップの内部抵抗RとICチップの端子から見た入力容量C2の並列回路と、コイルアンテナ5のインダクタLとコイルアンテナ5のコイルの浮遊容量C1の並列回路と、が直列接続された閉回路として表す事ができる。
【0010】
メタルカード10´においては、コイルアンテナ5が磁性体層3に埋め込まれている為、コイルアンテナの浮遊容量C1が、磁性体層3の物理的・電気的特性(磁性体層の厚み、誘電率、透磁率、損失等)によって大きく影響される。浮遊容量C1がばらつく事で、コイルアンテナ5としての性能にも無視できない程度のばらつきが発生し、同じ製品でも読取装置との通信距離等に差が出る場合があった。
【0011】
この様な問題点を解決する技術と関連した先行技術としては、例えば、特許文献1に、様々な要因による共振周波数の変動に対応でき、良好な通信特性を得ることができる非接触通信装置が開示されている。
【0012】
この非接触通信装置は、アンテナ共振部と、アンテナ駆動部と、を備えている。アンテナ駆動部では、例えば差動増幅器からなる測定部が、発振部からの出力電流を測定し、制御部が、その出力電流の最小値または最大値を検出し、それら最小値または最大値に対応する最適制御値を使用して共振周波数を制御する。したがって、アンテナ特性の製造上のばらつきによって、あるいは使用環境や経時変化によって、共振周波数が変動しても、設定された共振周波数による良好な通信特性を得ることができる機能を備えた非接触通信装置となっている。
【0013】
しかしながら、この技術は、アンテナ特性の製造上のばらつきや使用環境や経時変化によって、共振周波数が変動しても、その変動を検知し、共振周波数の変動を元に戻す制御を行う為の大規模な電子回路を使用する事で、設定された共振周波数による良好な通信を可能とする技術である。しかし、このような技術を適用するとICチップの構成が複雑化し、チップのコストアップや消費電力の増加等のデメリットが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2016-25460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記の問題点を解決する為、本発明は、金属板に磁性体層を有する金属板の磁性体層に非接触通信モジュールのコイルアンテナを埋め込んだ構成を備えたメタルカードにおいて、共振周波数のばらつきを簡便な手段で低減可能とする技術を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決する手段として、本発明の請求項1に記載の発明は、金属板の少なくとも片面に磁性体層を備えた金属板4の磁性体層に、絶縁基板上に形成されたコイルアンテナのICチップ接続端子にICチップを接続した非接触通信モジュールのコイルアンテナを埋め込んだ形で積層されてなるメタルカードにおいて、
非接触通信モジュールのICチップ接続端子に、外部容量素子がコイルアンテナと並列に接続されている事を特徴とするメタルカードである。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、前記外部容量素子が、前記絶縁基板の表裏面に形成された一対の平板電極により形成された平行平板コンデンサであって、該平行平板コンデンサの前記金属板側の平板電極が、平面視で、前記絶縁基板の反対側に形成された平板電極より大きい事を特徴とする請求項1に記載のメタルカードである。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、前記外部容量素子の静電容量が、前記磁性体層に前記コイルアンテナを埋め込む前の前記コイルアンテナの浮遊容量および前記ICチップの入力容量より大きい事を特徴とする請求項1または2に記載のメタルカードである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のメタルカードによれば、絶縁基板上に形成されたコイルアンテナの接続端子にICチップが接続された非接触通信モジュールの接続端子に、外部容量素子がコイルアンテナと並列に接続されている。
一方、メタルカードにおいては、磁性体層を形成する際の厚み、誘電率、透磁率、損失等の変動によってコイルアンテナの浮遊容量は大きくばらつく。
本発明のメタルカードにおいては、コイルアンテナに並列に外部容量素子が接続されている事により、コイルアンテナの静電容量は、コイルアンテナの浮遊容量に外部用柳雄素子の静電容量を加えた値となる。外部容量素子の静電容量は変動しない為、コイルアンテナの浮遊容量のばらつきが緩和される。外部容量素子の静電容量を大きくするほど、ばらつきが緩和される。その事により、メタルカードの共振周波数や通信距離の変動を抑制する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のメタルカードの層構成を例示する断面説明図。
図2】本発明のメタルカードに使用するアンテナ基板を例示する上面説明図。
図3】本発明のメタルカードの等価回路を例示する回路図。
図4】従来のメタルカードの層構成を例示する断面説明図。
図5】従来のメタルカードに使用するアンテナ基板を例示する上面説明図。
図6】従来のメタルカードの等価回路を例示する回路図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<メタルカード>
本発明のメタルカードについて、図1図3を用いて説明する。
【0022】
本発明のメタルカード10は、図1に示した様に、従来のメタルカード10´と同等の構成を備えている(図3参照)。即ち、金属板1の少なくとも片面に磁性体層3を備えた金属板4の磁性体層3側に、非接触通信モジュール9(図2参照)のコイルアンテナ5側を面して積層した構成である。
【0023】
ここで、「磁性体層3を備えた金属板4」と記載しているが、金属板4に磁性体層3を形成した物品が必要不可欠のものである、という意味では無く、「金属板4と磁性体層3が積層された構造」という意味で使用している。従って、金属板1に磁性体層3を形成した物品または金属板1に接着層2を介して磁性体層3が備えられた物品を使用する事でも良く、またその様な物品を使用しなくても構わない。
【0024】
磁性体層3は、直接的に金属板1に形成されていても良いが、磁性体層3自身に金属板1との接着性を備えていない場合は、図1に例示した様に、接着層2を介した構成とすれば良い。
【0025】
非接触通信モジュール9は、絶縁基板6上に形成されたコイルアンテナ5のICチップ接続端子8にICチップを接続したものである。その非接触通信モジュール9のコイルアンテナ5を、磁性体層を備えた金属板4の磁性体層3に埋め込んだ形で積層されている。この様に、コイルアンテナ5が磁性体層3の中に埋め込まれる事により、コイルアンテナ5の浮遊容量が磁性体層3の物性によって変化する事になる。
【0026】
この様な構成を備えた本発明のメタルカード10の特徴は、非接触通信モジュール9のICチップ接続端子8に、外部容量素子C3がコイルアンテナ5と並列に接続されている事である。
【0027】
外部容量素子C3がコイルアンテナ5と並列に接続されている事により、コイルアンテナ5の静電容量は、コイルアンテナ5の浮遊容量C1と外部容量素子C3をたし合わせた値C1+C3となり、浮遊容量C1単独の時より大きくなる。このうち、浮遊容量C1だけが変動する為、コイルアンテナ5の静電容量C1+C3の変動は緩和される。その為、非接触通信に使用する共振周波数の設計を静電容量C1+C3を用いて行う事により、共振周波数の変動を抑制する事が可能となる。
【0028】
また、外部容量素子C3が、絶縁基板6の表裏面に形成された一対の平板電極により形成された平行平板コンデンサであって、その平行平板コンデンサの金属板1側の平板電極が、平面視で、絶縁基板6の反対側に形成された平板電極より大きい構成としても良い。この様な構成とする事により、磁性体層による外部容量素子C3の静電容量の変化率を少なくすることが可能となり、磁性体と一体化した後のC3の静電容量の製造バラつきを少なくすることができるメリットがある。
【0029】
また、外部容量素子C3の静電容量が、磁性体層3にコイルアンテナ5を埋め込む前のコイルアンテナ5の浮遊容量およびICチップの入力容量C2より大きい構成としても良い。
この様に、外部容量素子C3の静電容量がコイルアンテナ5の浮遊容量C1より大きくすればするほど、浮遊容量C1の変動の影響を小さくする事ができる。
【0030】
(金属板)
金属板1は、金属ならではの重厚感やプレミアム感を実現可能な金属層を備えた板状の材料であれば特に限定されない。例えば、各種のステンレス鋼、鉄、チタン、モリブデン、タングステンなどの金属板の他、それらの金属板の表面に各種の金属被膜を形成したものであっても良い。また、各種の樹脂基材の表面に金属被膜を形成したものであっても良い。金属被膜の種類としては、特に限定はされないが、例えば、ニッケル、クロム、ニクロム、金、亜鉛、錫などのめっき被膜や、スパッタ法やイオンプレーティング法により形成した金属被膜であっても良い。
【0031】
(接着層)
接着層2は、金属板1に磁性体層3を接着可能な層であれば特に限定する必要は無い。各種の接着剤を使用する事ができる。例えば、無機系および有機系の接着剤を使用する事ができる。例えば、シリカ系、セラミック系、セメント系、水ガラス系の無機接着剤を挙げる事ができる。また、カゼイン、天然ゴム系、天然ゴムラテックス、デンプン系、膠、フィブリンなどの有機天然系接着剤や各種の有機合成樹脂系接着剤を挙げる事ができる。
【0032】
接着層2の形成方法は、被塗布物に塗布可能な手段であれば特に限定する必要は無い。ロールコータなどの各種の塗布方法やスクリーン印刷などの各種の印刷方法、などを使用する事ができる。
【0033】
(磁性体層)
磁性体層3の材料としては、フェライト等の磁性体又は、フェライト粉等の磁性体粉を含む樹脂などの磁性材料を用いればよい。
また、非接触通信モジュール9のコイルアンテナ5を埋め込むことが可能な材料であれば良い。その様な材料としては、磁性体粉末をワニスなどの液体状の樹脂に混練した磁性体インキを好適に使用する事ができる。また、液体状の樹脂としては、紫外線照射や加熱処理によって硬化させることができる樹脂材料を使用すれば良い。
【0034】
(絶縁基板)
絶縁基板6の材料としては、電気的な絶縁材料であり、且つ板状体またはフィルム状体とする事ができる機械的な強度を備えた材料であれば特に限定する必要は無い。例えば、各種の樹脂フィルムや樹脂シートを、適宜、適切なサイズに断裁した基板を好適に使用する事ができる。また、厚さが50μm前後の薄板ガラスを使用しても良い。
【0035】
(コイルアンテナ)
コイルアンテナ5の材料としては、銅やアルミニウムなどの導電性が高い金属材料を好適に使用する事ができる。例えば、これらの金属材料から作製した銅箔やアルミニウム箔を挙げる事ができる。
【0036】
コイルアンテナ5の形成方法としては、例えばHF帯(周波数13.56MHz)においては数ターンのコイルとなるが、0.1mm以下のライン/スペースとして形成する場合はフォトリソグラフィ法を好適に使用する事ができる。また、0.1mmを超えるライン/スペースとして形成する場合は、例えば非感光性の液状レジストをスクリーン印刷で金属箔の上に印刷する事により、エッチングマスクを形成後、湿式エッチング処理により金属箔の不要部を除去することができる。その様にして、金属箔のパターニングを終了後、エッチングマスクを剥離する事で、アンテナ基板7を得る事ができる。
【0037】
(ICチップ)
ICチップとしては、非接触通信モジュール9を作製可能なICチップを使用すれば良い。ICチップの最低限の機能としては、非接触通信を備えている事が不可欠である。その他の機能を備えていても良く、例えば、各種のセンサ機能や、情報の書き換えが可能な記憶領域を備えていても良い。
【0038】
<メタルカードの製造方法>
次に、本発明のメタルカードの製造方法について説明する。
【0039】
本発明のメタルカード10の製造方法は、図3に例示した様に、金属板1の少なくとも片面に磁性体層を備えた金属板4の磁性体層3に、絶縁基板6上に形成されたコイルアンテナ5のICチップ接続端子8にICチップを接続した非接触通信モジュール9(図1参照)のコイルアンテナ5を埋め込む形で積層した構造を形成する事ができる製造方法であれば、特に限定する必要は無い。
【0040】
例えば、下記の様な製造工程により、本発明のメタルカードを製造する事ができる。
【0041】
・ 非接触通信モジュールを製造する工程
・ 磁性体層を備えた金属板を形成する工程
・ 非接触通信モジュールと磁性体層を備えた金属板を接合する工程
以下に上記の各工程について説明する。
【0042】
(非接触通信モジュールを製造する工程)
この工程では、非接触通信モジュールを製造する。
まず、フレキシブルプリント配線基板(FPC)の製造に使用する材料を用意する。この材料は、ポリイミドフィルムに接着層を介して表裏両面に銅箔を貼り合わせた材料である。ポリイミドフィルムは絶縁基板である。
【0043】
次に、FPCの製造工程で使用するフォトリソグラフィ工程を通す事によって、表裏両面の銅箔をエッチング加工する。この工程により、ポリイミドフィルの一方の面(表面)にコイルアンテナが形成される。もう一方の面(裏面)には、コイルアンテナ用のジャンパー線などを形成する。
【0044】
次に、ポリイミドフィルムのジャンパー線の両端の位置に貫通孔を形成し、導電性インキを塗布する事により、表面側のコイルアンテナと裏面側のジャンパー線の導通をとる。または、貫通孔を、リベットを用いてかしめる事により、表裏面の導通をとる。
以上により、非接触通信モジュールが得られる。
【0045】
(磁性体層を備えた金属板を形成する工程)
次に、金属板の表面に磁性体層となる磁性インキを塗布し、乾燥させる。この段階では磁性インキの溶剤分を揮発させるだけにし、硬化はさせない。磁性インキは熱硬化型の磁性インキを使用する事ができる。
磁性インキの塗布方法は、当区に限定する必要は無く、各種の印刷技術や塗布技術を使用する事ができる。例えば、グラビア印刷、マイクログラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷装置を使用する方法や、ロールコータ、ダイコータなどの塗工装置を使用する方法を採用する事ができる。
【0046】
(非接触通信モジュールと磁性体層を備えた金属板を接合する工程)
次に、非接触通信モジュールのコイルアンテナが形成された面と、磁性体層を備えた金属板の磁性体層が形成された面と、を向い合せにして熱圧着する事によって、非接触通信モジュールと磁性体層を備えた金属板を接合する。熱圧着する手段としては、熱ラミネータや熱プレス装置など、所望の温度に昇温した状態で、所望の圧力をかける事ができる装置を使用する事ができる。
【0047】
以上の様にして本発明のメタルカードを製造する事ができるが、この方法に限定する必要は無い。例えば、次のような製造工程によっても製造する事ができる。
(1)非接触通信モジュールを製造する工程
(2)磁性体層を形成する工程
(3)接着層を形成する工程
(4)金属板を貼り合わせる工程
【0048】
(非接触通信モジュールを製造する工程)
上記で説明した内容と同じ。
【0049】
(磁性体層を形成する工程)
次に、非接触通信モジュールのコイルアンテナの上から磁性体層となる磁性インキを塗布し、硬化させる。磁性インキは熱硬化型または紫外線硬化型の材料を使用する事ができる。磁性インキを塗布方法は、上記で説明した方法を使用すれば良い。
【0050】
(接着層を形成する工程)
次に、硬化した磁性体層の上に接着層を形成する。接着層は、磁性体層と金属板を接着可能な接着剤からなる層であれば限定されない。例えば、粘着剤や熱硬化型接着剤を使用する事ができる。
接着層を形成する方法としては、各種の塗布方法を使用する事ができる。例えば、ロールコータ、スプレーコータ、インクジェットコータ、ディスペンサ、スクリーン印刷装置などを用いた塗工方法を使用する事ができる。
【0051】
(金属板を貼り合わせる工程)
次に、接着層の上に金属板を配置し、金属板の上から押圧する事によって、接着を行う事ができる。接着層として粘着剤を使用する場合は、ラミネータを使用して常温でラミネートすれば良い。接着層として熱硬化型接着剤を使用する場合は、熱ラミネータや熱プレス装置を用いて、加熱状態で加圧する事により、磁性体層の上に金属板を貼り合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0052】
1・・・金属板
2・・・接着層
3・・・磁性体層
4・・・磁性体層を備えた金属板
5・・・コイルアンテナ
6・・・基板
7・・・アンテナ基板
8・・・ICチップ接続端子
9・・・非接触通信モジュール
10・・・メタルカード
C1・・・コイルアンテナの浮遊容量
C2・・・ICチップの入力容量
C3・・・外部容量素子の静電容量
R・・・ICチップの内部抵抗
L・・・コイルアンテナのインダクタンス
図1
図2
図3
図4
図5
図6