(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009527
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/89 20110101AFI20220106BHJP
H01R 12/88 20110101ALI20220106BHJP
【FI】
H01R12/89
H01R12/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175105
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2021156256の分割
【原出願日】2002-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000208835
【氏名又は名称】第一電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅幸
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB05
5E223AB06
5E223AC23
5E223BA04
5E223BA08
5E223CA15
5E223CB29
5E223CB36
5E223CB39
5E223CC15
5E223CD02
5E223DB09
5E223DB23
5E223EA33
5E223EA34
5E223EC18
5E223EC32
5E223EC44
5E223EC47
5E223EC63
5E223EC75
(57)【要約】
【課題】本発明は、各部位の強度や仕様等を損なうことなく、スライダー16でFPC40又はFFCを確実にコンタクト14の接触部22に押圧することができ、作業性がよく、ピッチの狭小化や低背位化が可能なコネクタを提供せんとするものである。
【解決手段】本目的の低背位化は、コンタクト14の接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに接触部22と弾性部34と支点部32と接続部24とを略クランク形状に配置し、かつ、接続部24と対向する位置に弾性部34から延設された押受部20を設け、スライダー16に長手方向に連設した押圧部36を設け、押圧部36がコンタクト14の接続部22と押受部20との間で回動自在にスライダー16をハウジング12に装着することにより達成できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)と着脱自在に嵌合するコネクタであって、該フレキシブルプリント基板又は前記フレキシブルフラットケーブルと接触する接触部を有する所要数のコンタクトと、このコンタクトが保持・固定されるとともに前記フレキシブルプリント基板又は前記フレキシブルフラットケーブルが挿入される嵌合口を有するハウジングと、前記フレキシブルプリント基板(FPC)又は前記フレキシブルフラットケーブル(FFC)を前記コンタクトに押圧するスライダーとを備えるコネクタにおいて、
前記コンタクトの接触部と接続部との間に弾性部と支点部とを設けるとともに前記接触部と前記弾性部と前記支点部と前記接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部と対向する位置に前記弾性部から延設された押受部を設け、
前記スライダーに長手方向に連設した押圧部を設け、該押圧部が前記コンタクトの接続部と押受部との間で回動自在に前記スライダーを前記ハウジングに装着したことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)と着脱自在に嵌合するコネクタであって、該フレキシブルプリント基板又は前記フレキシブルフラットケーブルと接触する接触部を有する所要数のコンタクトと、このコンタクトが保持・固定されるとともに前記フレキシブルプリント基板又は前記フレキシブルフラットケーブルが挿入される嵌合口を有するハウジングと、前記フレキシブルプリント基板(FPC)又は前記フレキシブルフラットケーブル(FFC)を前記コンタクトに押圧するスライダーとを備えるコネクタにおいて、
2種類のコンタクトを千鳥に配置し、
一方のコンタクトには、接触部と接続部との間に弾性部と支点部とを設けるとともに前記接触部と前記弾性部と前記支点部と前記接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部と対向する位置に前記弾性部から延設された押受部を設け、
もう一方のコンタクトには、接触部と接続部との間に弾性部と支点部とを設けるとともに前記接触部と前記弾性部と前記支点部と前記接続部とを略コ字状に配置し、かつ、前記弾性部から接触部と反対方向に延設された押受部を設け、
前記スライダーに長手方向に連設した押圧部を設け、該押圧部が一方のコンタクトの接続部と押受部との間及びもう一方のコンタクトの押受部と前記ハウジングとの間で回動自在に前記スライダーを前記ハウジングに装着したことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
前記スライダーの押圧部が一方の前記コンタクトの接続部と押受部との間で回動すると、前記押受部が押圧部によって押し上げられることで前記支点部を支点にし、前記弾性部が前記接触部側に傾くことによって、前記接触部が前記フレキシブルプリント基板(FPC)又は前記フレキシブルフラットケーブル(FFC)側に押圧されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項4】
一方若しくはもう一方の前記コンタクトの押受部の先端に突出部を設け、前記スライダーの押圧部が一方の前記コンタクトの接続部方向へ移動しないようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項5】
前記スライダーの押圧部の形状を細長形状にしたことを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項6】
前記スライダーには、所要数の前記コンタクトの突出部と係合する係止孔を設け、該係止孔を別個独立にしたことを特徴とする請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記押圧部の細長形状を、楕円形にしたことを特徴とする請求項5記載のコネクタ。
【請求項8】
一方の前記コンタクトの支点部から延設した方向にも前記フレキシブルプリント基板(FPC)又は前記フレキシブルフラットケーブル(FFC)と接触する接触部を設けたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項9】
もう一方のコンタクトの前記支点部から接続部と反対方向に延設された延設部を設け、前記スライダーの押圧部が延設部と押受部との間で回動自在に前記スライダーを前記ハウジングに装着したことを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項10】
もう一方の前記コンタクトの支点部と接続部との間にも前記フレキシブルプリント基板(FPC)又は前記フレキシブルフラットケーブル(FFC)と接触する接触部を設けたことを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やノートパソコンやデジタルカメラ等に使用されるコネクタに関するもので、特にフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)やフレキシブルフラットケーブル(以下「FFC」という)にコンタクトを押し付ける機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やCCDカメラ等に使用されるコネクタは、狭ピッチで極薄(所謂軽薄短小)であり、主にハウジングとコンタクトとスライダーとから構成され、ハウジングとスライダーとでFPC又はFFCを挟持する構造である。ハウジングとスライダーとでFPC又はFFCを保持する方法には、色々考えられるが、中でもハウジングにFPC又はFFCを挿入した後にスライダーを挿入しFPC又はFFCをコンタクトに押しつける構造のものが多い。
【0003】
ハウジングには、コンタクトが挿入される所要数の挿入孔が設けられるとともにFPC又はFFCが挿入される嵌合口が設けられている。
【0004】
コンタクト64は
図8のように略コ字形状をしており、主にFPC40又はFFCと接触する接触部22と基板等に接続する接続部24とハウジング62に固定される固定部42とから構成されている。このコンタクト64は、圧入等によってハウジング62に固定されている。
【0005】
例えば、スライダー66は、
図8のように略楔形状をしており、所要数のコンタクト64が配置されたハウジング62に、FPC40又はFFCを挿入した後に、前記スライダー66を挿入する。このようなスライダー66は、主にハウジング62に装着される装着部74とFPC40又はFFCをコンタクト64の接触部22に押圧する押圧部68とを備えている。FPC40又はFFCが挿入される以前は、スライダー66はハウジング62に仮装着された状態になっており、FPC40又はFFCが挿入された後にスライダー66を挿入すると、
図8(B)のようにFPC40又はFFCと平行に前記スライダー66の押圧部68が挿入され、コンタクト64の接触部22にFPC40又はFFCが押圧されるようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、この種のコネクタ60には、より低背位化の要求が強くなってきているが、上述した構造のコネクタ60では、
図8(B)のように6層(ハウジング62の厚み方向両側の壁・コンタクト64の接触部22と受け部70の厚さ・スライダー66の押圧部68の厚さ・FPC40又はFFCの厚さ)構造になっている。低背位化を考えると、コンタクト64の受け部70を省略し、5層(ハウジング62の厚み方向両側の壁・コンタクト64の接触部22の厚さ・スライダー66の押圧部68の厚さ・FPC40又はFFCの厚さ)構造にすることはできるが、各部位の強度や仕様等からこれ以上低背位化が出来ないといった解決すべき課題があった。
【0007】
また、上述のような構造のコネクタ60では、ハウジング62の嵌合口18側のみで、FPC40又はFFCの挿入とコンタクト64の接触部22をFPC40又はFFCに押しつける動作を行っているので、コネクタが小型化すればするほど作業性が悪いと言った問題点もある。
【0008】
さらにまた、コネクタ60のピッチの狭小化が要求された場合、従来の構造のようにコンタクト64を一方向から挿入したのでは、コネクタの狭小化にも限界があった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、各部位の強度や仕様等を損なうことなく、スライダー16でFPC40又はFFCを確実にコンタクト14の接触部22に押圧することができ、作業性がよく、ピッチの狭小化や低背位化が可能なコネクタを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的の低背位化は、FPC40又はFFCと着脱自在に嵌合するコネクタ10であって、該FPC40又は前記FFCと接触する接触部22を有する所要数のコンタクト14と、このコンタクト14が保持・固定されるとともに前記FPC40又は前記FFCが挿入される嵌合口18を有するハウジング12と、前記FPC40又は前記FFCを前記コンタクト14に押圧するスライダー16とを備えるコネクタ10において、前記コンタクト14の接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに前記接触部22と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部24と対向する位置に前記弾性部34から延設された押受部20を設け、前記スライダー16に長手方向に連設した押圧部36を設け、該押圧部36が前記コンタクト14の接続部22と押受部20との間で回動自在に前記スライダー16を前記ハウジング12に装着することにより達成できる。
【0011】
上記目的の低背位化とピッチの狭小化は、FPC40又はFFCと着脱自在に嵌合するコネクタ101であって、該FPC40又は前記FFCと接触する接触部22を有する所要数のコンタクト14、142と、このコンタクト14、142が保持・固定されるとともに前記FPC又は前記FFCが挿入される嵌合口18を有するハウジング121と、前記FPC40又は前記FFCを前記コンタクト14、142に押圧するスライダー161とを備えるコネクタ101において、2種類のコンタクト14、142を千鳥に配置し、一方のコンタクト14には、接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに前記接触部22と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部24と対向する位置に前記弾性部34から延設された押受部20を設け、もう一方のコンタクト142には、接触部22と接続部24との間に弾性部34と支点部32とを設けるとともに前記接触部22と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とを略コ字状に配置し、かつ、前記弾性部34から接触部22と反対方向に延設された押受部20を設け、前記スライダー161に長手方向に連設した押圧部36を設け、該押圧部36が一方のコンタクト14の接続部24と押受部20との間及びもう一方のコンタクト142の押受部20と前記ハウジング121との間で回動自在に前記スライダー161を前記ハウジング121に装着することにより達成できる。
【0012】
一方若しくはもう一方の前記コンタクト14、142の押受部20の先端に突出部26を設け、前記スライダー161の押圧部36が一方の前記コンタクト14の接続部24方向へ移動しないようにすることが望ましい。このように突出部26を設けることで、スライダー161の押圧部36をコンタクト14の押受部20と接続部24との間で回動させるときスライダー161の回動に対する反発力が強い為に、スライダー161の中央部が
図6(B)の矢印「ハ」方向に膨れてしまうことを防ぐことが出来る。
【0013】
また、前記スライダー16、161の押圧部36の形状を細長形状にすることが望ましい。例えば、楕円形にすると良い。このように細長形状にすることで、前記スライダー16、161を回動した際に、確実に前記コンタクト14、141、142の押受部20を上方に押し上げ、接触部22をFPC40又はFFCに容易に接触させることができる。
【0014】
前記スライダー16、161には、所要数の前記コンタクト14、141、142の突出部26と係合する係止孔30を設け、該係止孔30を別個独立にした方がよい。このように前記係止孔30を別個独立にすることで、前記スライダー16、161を強固で、確実に回動することができる。
【0015】
また、一方の前記コンタクト142の支点部32から延設した方向にも前記FPC40又はFFCと接触する接触部22を設ける。このように前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることで、前記FPC40又はFFCを接触部22、22で挟持することになり、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
【0016】
さらにまた、もう一方の前記コンタクト142の支点部32と接続部24との間にも前記FPC40又はFFCと接触する接触部22を設ける。このように前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることで、前記FPC40又はFFCを接触部22、22で挟持することになり、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
【0017】
前記もう一方のコンタクト142の前記支点部32から接続部24と反対方向に延設された延設部44を設け、前記スライダー161の押圧部36が延設部44と押受部20との間で回動自在に前記スライダー161を前記ハウジング121に装着する。このように延設部44を設け、この延設部44と前記押受部20との間でスライダー161を回動させることで、回動させた際により確実にもう一方のコンタクト142の接触部22を前記FPC40又はFFCに押圧することができる。
【発明の効果】
【0018】
前記FPC40又はFFCが前記ハウジング12、121の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー16、161の押圧部36が一方の前記コンタクト14の接続部24と押受部36及びもう一方の前記コンタクト142の押受部20と延設部44との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで両方の前記コンタクト14、142の支点部32を支点にし、両方の前記コンタクト14、142の弾性部34が前記接触部24側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(A) スライダーが開いた状態の嵌合口側からみた本発明のコネクタの斜視図である。(B) スライダーが開いた状態の接続部側からみた本発明のコネクタの斜視図である。
【
図2】(A) スライダーが開いた状態のあるコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図である。(B) FPCが挿入されスライダーが閉じた状態のあるコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図である。
【
図4】(A) 2つの接触部を持ったコンタクトの斜視図である。(B) 1つの接触部を持った別のコンタクトの斜視図である。
【
図6】(A) スライダーが開いた状態のもう一方のコンタクト部分で切断した本発明の別のコネクタの斜視図である。(B) FPCが挿入されスライダーが閉じた状態のもう一方のコンタクト部分で切断した本発明の別のコネクタの斜視図である。
【
図7】スライダーが挿入される前の嵌合口側からみた従来のコネクタの斜視図である。
【
図8】(A) スライダーが挿入される前のあるコンタクト部分で切断した従来のコネクタの斜視図である。(B) FPCが挿入されスライダーが挿入された状態のあるコンタクト部分で切断した従来のコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1から
図4に基づいて、本発明のコネクタの一実施例について説明する。
図1(A)はスライダーが開いた状態の嵌合口側からみた本発明のコネクタの斜視図であり、(B)はスライダーが開いた状態の接続部側からみた本発明のコネクタの斜視図である。
図2(A)はスライダーが開いた状態のあるコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図であり、(B)はFPCが挿入されスライダーが閉じた状態のあるコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図である。
図3はスライダーの斜視図である。
図4(A)は1つの接触部を持ったコンタクトの斜視図であり、(B)は2つの接触部を持った別のコンタクトの斜視図である。
【0021】
本発明のコネクタは、主にハウジングとスライダーとコンタクトとを備えている。
【0022】
図に基づいて本発明のコネクタの構成部品について説明する。
まず、本発明のポイントであるコンタクトについて説明する。このコンタクトは金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記コンタクトの材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。
【0023】
前記コンタクト14は、
図4(A)のように略逆H字形状をしており、主にFPC40又はFFCと接触する接触部22と基板に接続する接続部24とハウジング12に固定する固定部42と前記接触部22と前記接続部24との間に設けられた弾性部34及び支点部32と前記接続部24と対向する位置に前記弾性部34から延設された押受部20と支点部32から延設した方向にも前記FPC40又はFFCと接触するもう一つの接触部22とを備えている。上方側の前記接触部22(
図2(A)の図面の上側)と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とは、略クランク形状に配置されている。前記接触部22は、FPC40又はFFCと接触し易いように凸部形状にしており、前記接続部24は本実施例では
図1のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。即ち、2つの接触部22、22を設けて、前記FPC40又はFFCを挟持するようにする。前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることで、前記FPC40又はFFCを2つの接触部22、22で挟持することになり、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
【0024】
前記支点部32と前記弾性部34と前記押受部20とは、前記FPC40又はFFCが挿入された際に、次のような作用を果たすための部分である。前記FPC40又はFFCが前記ハウジング12の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー16の押圧部36が前記コンタクト14の接続部24と押受部20との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで前記コンタクト14の支点部32を支点にし、前記コンタクト14の弾性部34が前記接触部22側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧される。前記支点部32と前記弾性部34と前記押受部20の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
【0025】
また、前記コンタクト14の押受部20の先端に突出部26を設け、スライダー16の押圧部36をコンタクト14の押受部20と接続部24との間で回動させるときスライダー16の回動に対する反発力が強い為に、スライダー16の中央部が
図1(B)の矢印「ロ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにすることが望ましい。前記突出部26の大きさは、このような役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、スライダー16の押圧部36が引っ掛かる程度に適宜設計する。
【0026】
図4(B)に基づいて、別のコンタクトについて説明する。ここでは、上述したコンタクト14との相違部分についてのみ説明する。コンタクト141の支点部32から延設した方向に設けたFPC40又はFFCとの接触部22を削除したものであり、形状を略逆h字形状にした。
【0027】
次に、本発明のもう一つのポイントであるスライダーについて説明する。このスライダーは電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。該スライダー16は主にハウジング12に回動可能に装着される軸28部分と前記コンタクト14の押受部20を押圧する押圧部36と前記コンタクト14の突出部26が係合する係止孔30とを備えている。前記軸28は、スライダー16を回動するための支点であり、ハウジング12の長手方向両側にスライダー16が回動可能に適宜装着されている。また、長手方向両側には、前記コンタクト14の押受部20を押圧した際にスライダー16が高さ(図面の上)方向に持ち上がらないようにするためにハウジング12と係合するロック部が設けられている。ロック部の形状や大きさ等は、ハウジング12に係合できれば如何なるものでもよく、上述の役割やコネクタの大きさや強度等を考慮して適宜設計する。
【0028】
前記押圧部36は、コンタクト14の押受部20に押し付ける部分であり、その形状としては細長形状にすることが望ましく、本実施例では楕円形状をしている。このように楕円形状にすることによって、
図2(A)のようにスライダー16を矢印「イ」方向に回動させ、コンタクト14の押受部20と接続部24との間で回転させることで、押圧部36の大きさの変化によりコンタクト14の押受部20が持ち上げられ、FPC40又はFFCをコンタクト14の接触部22側に押し付けている。押圧部36の形状としては、コンタクト14の押受部20と接続部24との間で回転でき、長軸と短軸といった大きさの違いによりコンタクト14の押受部20を押し上げられれば、如何なるものでもよい。
【0029】
また、前記スライダー16を回動した際に、スライダー16の回動に対する反発力が強く、スライダー16の中央部が
図1(B)の矢印「ロ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにする為に、前記コンタクト14の突出部26が係合する係止孔30が別個独立に設けられている。前記係止孔30を別個独立に設けることで、スライダー16の強度アップや回動時の変形を防止している。
【0030】
最後に、ハウジングについて説明する。このハウジングは電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記ハウジング12には、所要数のコンタクト14、141が装着される挿入溝38が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。また、長手方向両側には、前記スライダー16の軸28が回動可能に装着される軸受部が設けられている。この軸受部の形状や大きさは、スライダー16の軸28が回動できるように装着されていれば如何なるものでもよく、この役割やハウジング12の強度や大きさ等を考慮して適宜設計する。なお、長手方向両側には、前記スライダー16のロック部に対応した位置に係止部が設けられている。
【0031】
図5から
図6に基づいて、本発明の別の実施例について説明する。主な構成部品は上述したものと同様で、ハウジングとコンタクトとスライダーとを備えている。本実施例の特徴は、2種類のコンタクト14、142をハウジング121への挿入方向を変えて千鳥に配列している点にあり、挿入方向を変えて千鳥に配列することによってピッチの狭小化と低背位化に対応させたものである。前記ハウジング121と前記スライダー161は上述したものと同様であり、また、一方の前記コンタクト14も上述した
図4のものと同様であり、説明を省略する。
図5は別のコネクタの斜視図であり、
図6(A)はスライダーが開いた状態のもう一方のコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図であり、(B)はFPCが挿入されスライダーが閉じた状態のもう一方のコンタクト部分で切断した本発明のコネクタの斜視図である。
【0032】
もう一方の前記コンタクト142も金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。材質は、一方のコンタクト14と同様である。
【0033】
もう一方の前記コンタクト142も一方の前記コンタクト14と同様に略逆h字形状と略H字形状の2つのタイプがあり、略逆h字形状のものは、主にFPC40又はFFCと接触する接触部22と基板に接続する接続部24とハウジング121に固定する固定部42と前記接触部22と前記接続部24との間に設けられた弾性部34及び支点部32と前記弾性部34から延設された押受部20を備えている。前記接触部22と前記弾性部34と前記支点部32と前記接続部24とは、略コ字形状に配置されている。略H字形状のものは、前記支点部32からも接続部24と反対方向に延設された延設部44が設けられている。前記接触部22は、FPC40又はFFCと接触し易いように凸部形状にしており、前記接続部24は本実施例では
図5のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。
【0034】
前記支点部32と前記弾性部34と前記押受部20とは、一方のコンタクト14と同様に、前記FPC40又はFFCが挿入された際に、前記スライダー161の押圧部36が前記コンタクト142の押受部20と前記ハウジング121との間若しくは押受部20と延設部44との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで前記コンタクト142の支点部32を支点にし、前記コンタクト142の弾性部34が前記接触部22側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧される。前記支点部32と前記弾性部34と前記押受部20の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。
【0035】
また、前記コンタクト142の押受部20の先端に突出部26を設け、スライダー161の押圧部36を回動させるときスライダー161の回動に対する反発力が強い為に、スライダー161の中央部が
図6(B)の矢印「ハ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにすることが望ましいが、ピッチの狭小化による前記スライダーの強度を考慮すると、2種類あるコンタクトの内、一方のコンタクト14に設けておけば、十分である。前記突出部26の大きさは、このような役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、スライダー161の押圧部36が引っ掛かる程度に適宜設計する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上の説明から明らかなように、本発明のコネクタによると、次のような優れた効果が得られる。
【0037】
(1)スライダー16、161をハウジング12、121のコンタクト接続部24側で回動させることで、コンタクト14、141、142の接触部22をFPC40又はFFCに接触させる構造にしているので、ハウジング12、121の嵌合口18にスライダー16、161を挿入することがなく、スライダー16、161の厚み分だけコネクタ10、101の低背位化が可能になった。
【0038】
(2)2種類のコンタクト14、142を準備し、一方のコンタクト14を接続部24側から挿入し、もう一方のコンタクト142を嵌合口18側から挿入し、前記スライダー161を接続部24側で回動させることで、容易に狭小化と低背位化が可能になる。
【0039】
(3)前記FPC40又はFFCが前記ハウジング121の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー161の押圧部36が一方の前記コンタクト14の接続部24と押受部20との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで前記コンタクト14、142の支点部32を支点にし、前記コンタクト14、142の弾性部34が前記接触部22側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧されるので、確実にコンタクト14、142の接触部22とFPC40又はFFCとを接続することができる。
【0040】
(4)前記FPC40又はFFCが前記ハウジング121の嵌合口18内に挿入された後に、前記スライダー161の押圧部36がもう一方の前記コンタクト142の押受部20と前記ハウジング121との間若しくは押受部20と延設部44との間で回動すると、前記押受部20が押圧部36によって押し上げられることで前記コンタクト14、142の支点部32を支点にし、前記コンタクト14、142の弾性部34が前記接触部22側に傾くことによって、前記接触部22が前記FPC40又はFFC側に押圧されるので、確実にコンタクト14、142の接触部22とFPC40又はFFCとを接続することができる。
【0041】
(5)一方の前記コンタクト14若しくは両方14、142の押受部29の先端に突出部26を設けているので、スライダー161の押圧部36をコンタクト14の押受部20と接続部24との間で回動させるときスライダー161の回動に対する反発力が強くても、スライダー161の中央部が矢印「ロ」方向に膨れてしまうことを防ぐことが出来る。
【0042】
(6)前記スライダー16、161の押圧部36の形状を細長形状(長軸と短軸がある)にしているので、前記スライダー16、161を回動した際に、確実に前記コンタクト14、141、142の押受部20を上方に押し上げ、接触部22をFPC40又はFFCに容易に接触させることができる。
【0043】
(7)前記スライダー16、161には所要数の前記コンタクト14、141の突出部26と係合する係止孔30を設け、該係止孔30を別個独立にしているので、前記スライダー16、161を強固で、確実に回動することができ、かつ、変形を生じない。
【0044】
(8)一方の前記コンタクト14の支点部32から延設した方向にも前記FPC40又はFFCと接触する接触部22を設けると、前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることになり、前記FPC40又はFFCを接触部22、22で挟持することになるので、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
【0045】
(9)もう一方の前記コンタクト142の支点部32と接続部24との間にもFPC40又はFFCと接触する接触部22を設けると、前記FPC40又はFFCの挿入方向に対して、直角方向両側に接触部22を設けることになり、前記FPC40又はFFCを接触部22、22で挟持することになるので、確実に前記FPC40又はFFCと接触できるようになる。
【0046】
(10)FPC40又はFFCを挿入する側はハウジング12、121の嵌合口18で、コンタクト14、141、142の接触部22をFPC40又はFFCに押しつける動作はコンタクト14、141、142の接続部24側で行っているので、コネクタ10、101が小型化しても作業性に影響がなく、容易に作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
10、101、60 コネクタ
12、121、62 ハウジング
14、141、142、64 コンタクト
16、161、66 スライダー
18 嵌合口
20 押受部
22 接触部
24 接続部
26 突出部
28 軸
30 係止孔
32 支点部
34 弾性部
36、68 押圧部
38 挿入溝
40 FPC
42 固定部
44 延設部
70 受け部
72 スリット
74 装着部
76 固定具