(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095277
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】電動車椅子
(51)【国際特許分類】
A61G 5/06 20060101AFI20220621BHJP
A61G 5/04 20130101ALI20220621BHJP
【FI】
A61G5/06
A61G5/04 701
A61G5/04 707
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208508
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松江 武典
(72)【発明者】
【氏名】川崎 宏治
(57)【要約】
【課題】本明細書は、簡単な構造で階段を昇降することのできる電動車椅子を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する電動車椅子は、椅子と、椅子の両側に配置されておりモータで駆動される主輪と、主輪よりも後方に配置されている補助輪と、補助輪を上下動させる第1アクチュエータと、椅子から補助輪よりも後方に延びている支持棒と、支持棒を上下に揺動させる第2アクチュエータと、コントローラを備える。コントローラは、支持棒を下方に揺動させて接地させるとともに補助輪を地面から浮かせるように第1アクチュエータと第2アクチュエータを制御する。階段では、補助輪を浮かせ、主輪と支持棒で椅子を支えながら登り降りする。本明細書が開示する電動車椅子は、無限軌道のかわりに支持棒という簡単な構造で階段を昇降できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子と、
前記椅子の両側に配置されており、モータで駆動される主輪と、
前記主輪よりも後方に配置されている補助輪と、
前記補助輪を上下動させる第1アクチュエータと、
前記椅子から前記補助輪よりも後方に延びている支持棒と、
前記支持棒を上下に揺動させる第2アクチュエータと、
前記支持棒を下方に揺動させて接地させるとともに前記補助輪を地面から浮かせるように前記第1アクチュエータと前記第2アクチュエータを制御するコントローラと、
を備えている、電動車椅子。
【請求項2】
前記コントローラは、階段の昇降時に前記椅子のピッチ軸回りの姿勢を保持するように前記第2アクチュエータを制御する、請求項1に記載の電動車椅子。
【請求項3】
前記支持棒は前記椅子の背部の後に折り畳まれる、または、前記椅子の座部の下に収容される、請求項1または2に記載の電動車椅子。
【請求項4】
前記椅子の側方から見て前記補助輪は前記主輪の外輪郭の内側へ収納可能である、請求項1から3のいずれか1項に記載の電動車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、電動車椅子に関する。特に、簡単な構造で階段を昇降することができる電動車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
階段を昇降することのできる電動車椅子が知られている。特許文献1に開示された電動車椅子は、無限軌道を利用したクローラ式の補助輪を用いる。特許文献2には、無限軌道を利用したクローラ式の階段昇降機が開示されている。特許文献2の階段昇降機の技術は車椅子にも応用が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-325586号公報
【特許文献2】特開平08-058642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2の技術は、いずれも、無限軌道を利用するものである。本明細書が開示する技術は、無限軌道よりも簡単な構造で階段を昇降することのできる電動車椅子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する電動車椅子は、椅子と、椅子の両側に配置されておりモータで駆動される主輪と、主輪よりも後方に配置されている補助輪と、補助輪を上下動させる第1アクチュエータと、椅子から補助輪よりも後方に延びている支持棒と、支持棒を上下に揺動させる第2アクチュエータと、コントローラを備える。コントローラは、支持棒を下方に揺動させて接地させるとともに補助輪を地面から浮かせるように第1アクチュエータと第2アクチュエータを制御する。階段では、補助輪を浮かせ、主輪と支持棒で椅子を支えながら登り降りする。本明細書が開示する電動車椅子は、無限軌道のかわりに支持棒という簡単な構造で階段を昇降できる。
【0006】
コントローラは、階段の昇降時に椅子のピッチ軸回りの姿勢を保持するように第2アクチュエータ(すなわち支持棒)を制御するとよい。階段の昇降時の乗り心地が向上する。また、支持棒は椅子の背部の後に折り畳まれるようになっているとよい。あるいは、支持棒は、椅子の座部の下に収容されるようになっているとよい。平地走行時に支持棒が邪魔にならない。
【0007】
補助輪は、椅子の側方から見て主輪の外輪郭の内側へ収納可能であるとよい。椅子がどのような姿勢になっても補助輪が接地しない状態を作ることができる。階段昇降時に補助輪があやまって階段に接してしまうことが回避できる。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例の車椅子の側面図である(平地走行時)。
【
図2】実施例の車椅子の側面図である(支持棒接地)。
【
図3】実施例の車椅子の側面図である(補助輪収容)。
【
図4】実施例の車椅子の側面図である(姿勢調整)。
【
図7】実施例の車椅子の側面図である(整備モード)。
【
図8】第1変形例の車椅子の側面図である(階段登り)。
【
図9】第1変形例の車椅子の側面図である(階段降り)。
【
図10】第2変形例の車椅子の側面図である(支持棒展開)。
【
図11】第2変形例の車椅子の側面図である(支持棒折り畳み)。
【
図12】第3変形例の車椅子の側面図である(支持棒伸張)。
【
図13】第3変形例の車椅子の側面図である(支持棒収容)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して実施例の電動車椅子2を説明する。
図1に、電動車椅子2の側面図を示す。以下では、説明の便宜上、電動車椅子2を単純に車椅子2と称する。図中の座標系のX方向は水平方向を示し、+Z方向が鉛直上方を示す。Y軸は、主輪3(後述)の車軸方向を示す。主輪3の主軸3を通る直線が車椅子2のピッチ軸に相当する。別言すれば、Y軸は、椅子10のピッチ軸に平行である。他の図でも、座標系の各軸の意味は同じである。
【0010】
車椅子2は、ユーザが座る椅子10、主輪3、モータ4、コントローラ5、後補助輪41、前補助輪51、支持棒20、第1アクチュエータ31、第2アクチュエータ32を備える。椅子10の両側のそれぞれに主輪3が備えられている。
図1(および以降の図)では、理解を助けるために主輪3は仮想線で描いてあり、主輪3の後側の部品が見えるようにしてある。図示は省略しているが、車椅子2にはバッテリが備えられている。バッテリは、モータ4、コントローラ5、第1アクチュエータ31、第2アクチュエータ32に電力を供給する。バッテリは、例えば椅子10の座部12の下に配置される。
【0011】
主輪3はモータ4で駆動される。モータ4(主輪3)は、コントローラ5によって制御される。不図示の操作レバーが椅子10に取り付けてあり、ユーザが操作レバーを操作することで、主輪3とモータ4によって、椅子10は前後への移動と回転移動を行うことができる。
【0012】
図1は、平地を走行するときの車椅子2の形状を示している。平地を走行するときは、主輪3とともに後補助輪41が接地して椅子10の姿勢を保持する。前補助輪51は通常は地面から浮いている(車椅子2の重心は、主輪3の接地位置と後補助輪41の間に位置する)。前補助輪51は、椅子10が前方へ倒れることを防ぐ。例えば、走行中に主輪3が障害物に接触して椅子10が慣性力で前方に回転したとき、前補助輪51が接地して椅子10の転倒を防ぐ。
【0013】
後補助輪41は、前後方向と左右方向に移動可能なオムニホイールタイプである。後補助輪41は、鉛直軸回りに回転可能なキャスタ付きの車輪であってもよい。
【0014】
後補助輪41は、支柱42を介して椅子10の座部12の下面に支持されており、前補助輪51は支柱52を介して座部12の下面に支持されている。支柱42、52は前後方向に揺動可能に座部12に支持されている。支柱42、52は、連結棒43で連結されており、支柱42、52は、連動して前後に揺動する。すなわち、前補助輪51と後補助輪41は連動して前後に揺動可能である。
【0015】
支柱42には第2アクチュエータ32が取り付けてある。第2アクチュエータ32は、伸縮するリニアアクチュエータであり、一端が椅子10の座部12の下に取り付けられており、他端が支柱42に取り付けられている。詳しくは後述するが、第2アクチュエータ32によって、前補助輪51と後補助輪41は、前上方向に移動する。
【0016】
椅子10の背部11の後には支持棒20が取り付けられている。支持棒20は、椅子10のピッチ方向に揺動可能に背部11に取り付けられている。ピッチ方向の揺動とは、主輪3の軸に平行な軸回り(図中の座標系のY軸に平行な軸回り)の揺動を意味する。
【0017】
支持棒20には第1アクチュエータ31の一端が取り付けられており、第1アクチュエータ31の他端は背部11に取り付けられている。第1アクチュエータ31も、第2アクチュエータ32と同様に、リニアアクチュエータであり、伸縮する。第1アクチュエータ31が伸びると、支持棒20は後下方へ揺動する。支持棒20には、そり21が設けられている。支持棒20が後下方へ揺動すると、支持棒20の先端、すなわちそり21が接地する。そり21は弾性を有しており、支持棒20が接地するときの衝撃を緩和する。
【0018】
椅子10には、ピッチ方向の姿勢角を計測する傾斜角センサ6が取り付けられている。傾斜角センサ6の計測データはコントローラ5に送られる。厳密には、傾斜角センサ6は、コントローラ5に内蔵されている。
【0019】
車椅子2は、階段を昇降することができる。階段を昇降する場合には、支持棒20の先端を接地させ、後補助輪41を地面から浮かせる。椅子10のピッチ方向の姿勢角は、主輪3と支持棒20により保持される。車椅子2は、支持棒20の先端を接地させながら主輪3で階段を昇降する。
【0020】
図2から
図4を参照しつつ、平地を走行する状態から階段を昇り降りする状態への車椅子2の形態の変化を示す。コントローラ5が第1アクチュエータ31と第2アクチュエータ32を制御し、椅子10を、平地を走行する形態から階段上を移動するときの形態へと変化させる。なお、
図3以降では、コントローラ5と傾斜角センサ6の図示は省略した。
【0021】
コントローラ5は、第1アクチュエータ31を伸ばし、支持棒20を下方へ揺動させ、支持棒20の先端(そり21)を接地させる。より厳密には、支持棒20の先端が下方へ揺動する。コントローラ5が支持棒20をさらに下方へ揺動させると、椅子10が図の左回りに回転し、後補助輪41が浮く(
図2参照)。
【0022】
続いてコントローラ5は、第2アクチュエータ32を収縮させ、後補助輪41を上方へ揺動させる。このとき、後補助輪41は、車椅子2の側面視にて、主輪3の外輪郭の内側へと収容される(
図3参照)。なお、後補助輪41の支柱42と前補助輪51の支柱52は連結棒43で連結されているので、後補助輪41が前上方へ移動すると、前補助輪51も前上方へ移動する。
【0023】
コントローラ5は、椅子10の姿勢角(椅子10のピッチ軸回りの傾斜角)が、階段上の移動に適した角度となるように、支持棒20を逆方向へ揺動させる。後補助輪41の支えを失った椅子10は、後方に回転する(
図4)。先に述べたように、椅子10には傾斜角センサ6が備えられており、コントローラ5は、傾斜角センサ6の計測データに基づいて、第2アクチュエータ31を制御し、椅子10を所望の姿勢角に合わせる。
図4の状態では、車椅子2の重心は、背部11と座部12の連結点のあたりに位置する。
【0024】
図5と
図6に、階段を登り降りするときの車椅子2の側面図を示す。
図5は、椅子10の前方が高くなっている階段を移動する様子を示しており、
図6は、椅子10の前方が低くなっている階段を移動する様子を示している。白矢印が示すように、車椅子2は、前進でも後進でも階段上を移動することができる。椅子10の前方が高くなっている階段を移動する場合は、椅子10の背部11が比較的に垂直に近くなるように(別言すれば、背部11が45度よりも垂直に近くなるように)、コントローラ5が椅子10の姿勢角を調整する(
図5)。先に述べたように、コントローラ5は、第1アクチュエータ31を制御することで、椅子10の姿勢角を調整することができる。
【0025】
椅子10の前方が低くなっている階段を移動する場合は、椅子10の背部11が比較的に水平に近くなるように(別言すれば、背部11が45度よりも水平に近くなるように)、コントローラ5が椅子10の姿勢角を調整する。
【0026】
主輪3が階段の段差を乗り越える毎に椅子10が上下するが、椅子10の姿勢角が一定を保持するように、コントローラ5は第1アクチュエータ31を制御する。
【0027】
また、
図5、
図6に示されているように、階段上を移動中は、後補助輪41は側面視で主輪3の外輪郭の内側に収容されているので、後補助輪41が階段を接触することはない。また、支持棒20は、その先端に位置するそり21(弾性を有するそり21)で接地しているので、支持棒20が段差を超えるときの衝撃が緩和される。実施例の車椅子2は、支持棒20という簡単な構造で階段を昇降することができる。
【0028】
実施例の車椅子2は、支持棒20を活用して椅子10の下面の構造や部品を整備するのに好都合な姿勢にも変化できる。
図7に、整備モードにおける車椅子2の側面図を示す。
図7の姿勢は、
図4の姿勢から、背部11が後方に倒れるように支持棒20を揺動させた後に後補助輪41を下方に揺動させ、主輪3を地面から浮かせた姿勢である。
図7の姿勢においては、座部12の下面がよく見える。また、
図7の姿勢においては、主輪3が地面から浮いているので主輪3を空転させることもできる。
図7の姿勢は車椅子2の整備に都合がよい。
【0029】
(第1変形例)
図8、
図9を参照して第1変形例の車椅子2aを説明する。
図8は、椅子10の前方が高くなっている階段を前進で登るときの様子を示している。
図9は、椅子10の前方が低くなっている階段を前進で降るときの様子を示している。車椅子2aでは、支持棒120の先端の地面に対向する面に、楔状の凹凸122が設けられている。
図8、
図8では、理解を助けるために凹凸122をグレーで示してある。
【0030】
凹凸122は、車椅子2aが階段上を前進する際に階段の角に引っ掛かり、車椅子2aが後退することを防止する。凹凸122は、
図8のケースでも
図9のケースでも階段の段差に引っ掛かる。実施例の車椅子2は、階段上を前進でも後進でも移動することができるが、第1変形例の車椅子2aは、前進のみで階段上を移動することができる。第1変形例の車椅子2aは、凹凸122が階段の角に引っ掛かるため、階段上に位置しているときに主輪3の駆動力が無くなっても後退しない。
【0031】
(第2変形例)
図10、
図11を参照して第2変形例の車椅子2bを説明する。第2変形例の車椅子2bは、支持棒120が折り畳み可能になっている。
図10は、支持棒120を伸展させたときの側面図であり、
図11は、支持棒120を折り畳んだときの側面図である。
【0032】
支持棒120は、基部120a、先端部120b、一対の平行リンク120cで構成されている。基部120aの一端が椅子10の背部11に揺動可能に連結されている。基部120aと先端部120bは、一対の平行リンク120cで連結されている。平行リンク120cは、先端部120bと基部120aとの平行を保持したまま、先端部120bを基部120aに近づけたり遠ざけたりすることができる。平行リンク120cは、不図示のアクチュエータにより基部120aに対して回転する。
図10は、第1アクチュエータ31を伸展させるとともに、先端部120bを基部120aから遠ざけた状態である。
図10の状態から第1アクチュエータ31をさらに進展させると、後補助輪41が浮き上がり、階段を昇降できる姿勢となる。
【0033】
図11は、第1アクチュエータ31を縮めるとともに、先端部120bを基部120aに近づけた状態である。
図11に示されているように、支持棒120は、椅子10の背部11の後に折り畳まれる。支持棒120が折り畳まれるので、平地走行時に支持棒120が邪魔にならない。
【0034】
(第3変形例)
図12、
図13を参照して第3変形例の車椅子2cを説明する。第3変形例の車椅子2cは、支持棒220が伸縮自在になっている。
図12は、支持棒220を伸展させたときの側面図であり、
図13は、支持棒220を座部12の下に収容させたときの側面図である。
図12、
図13では、理解を助けるために、座部12の下に配置されている部品(モータ4、コントローラ5など)の図示は省略した。
【0035】
支持棒220は、基部220a、中間部220b、先端部220cで構成されている。基部220a、中間部220b、先端部220cは、長手方向が一致するように配置されており、中間部220bは基部220aに対してスライド可能に連結されており、先端部220cは中間部220bに対してスライド可能に連結されている。基部220aは、第2アクチュエータ231を介して椅子10の座部12に連結されている。第2アクチュエータ231は、基部220aをピッチ方向に揺動させるともに、中間部220bと先端部220cをスライドさせる。また、第2アクチュエータ231は、基部220aを座部12の下へ引き込むことができる。
【0036】
図12は、第2アクチュエータ32によって中間部220bと先端部220cを伸展させるとともに先端部220cが接地するように基部220aを揺動させた状態である。
図12の状態から基部220a(支持棒220)をさらに下方へ揺動させると、後補助輪41が浮き上がり、階段を昇降できる姿勢となる。
【0037】
図13は、第2アクチュエータ32によって中間部220bと先端部220cを後退させるとともに先端部220cを座部12の下に引き込んだ状態である。
図13に示されているように、支持棒220は、椅子10の座部12の下に収容される。支持棒220が座部12の下に収容されるので、平地走行時に支持棒220が邪魔にならない。
【0038】
実施例および変形例の車椅子の特徴のいくつかは以下の通りである。支持棒は、一端が椅子に支持されており、他端が椅子の後方へ延びている。支持棒は、後方側の端が上下動するように椅子に支持されている。第1アクチュエータは、支持棒の後方側の端を上下に揺動させることができる。椅子の重心の前後方向の位置は、平地走行時には主輪の接地点と後補助輪の接地点の間に位置する。階段走行時には、主輪の接地点と支持棒の接地点の間に位置すればよい。
【0039】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。車椅子2は、主輪3の半径よりも大きい段差の階段は昇降することができない。別言すれば、車椅子2は、主輪3の半径よりも小さい段差の階段を昇降することができる。
【0040】
主輪3はゴム製であり、その静止摩擦係数は、支持棒20(120、220)の先端(そり21)の静止摩擦係数よりも大きく、その動摩擦係数は、支持棒20(120、220)の先端(そり21)の動摩擦係数よりも大きい。
【0041】
支持棒20(120、220)が接地した状態のとき、車椅子2(2a-2c)の重心は、支持棒20(120、220)の接地点よりも車輪3の接地点に近い。支持棒20(120、220)の接地点に加わる荷重が小さくなり、支持棒20(120、220)の先端(そり21)に加わる負荷を軽減することができるとともに、支持棒20(120、220)の先端(そり21)と床面の間の摩擦力を軽減することができる。
【0042】
説明は省略したが、車椅子2は、主輪3の回転を止めるブレーキも備えており、形態を変化させるときは、コントローラ5がブレーキを制御し、主輪3を静止させておく。
【0043】
コントローラ5は、第1アクチュエータ31と第2アクチュエータ32を制御し、椅子10を様々な姿勢角に保持することができる。コントローラ5は、平地を走行中は第2アクチュエータ32を制御し、椅子10を一定の姿勢角に保持する。コントローラ5は、階段の昇降中は傾斜角センサ6のデータに基づいて第1アクチュエータ31を制御し、椅子10を一定の姿勢角に保持する。
【0044】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0045】
2、2a、2b、2c:電動車椅子
3 :主輪
4 :モータ
5 :コントローラ
6 :傾斜角センサ
10:椅子
11:背部
12:座部
20、120、220:支持棒
31、231:第1アクチュエータ
32:第2アクチュエータ
41:後補助輪
42、52:支柱
43:連結棒
51:前補助輪
120a、220a:基部
120b:先端部
120c:平行リンク
122:凹凸
220b:中間部
220c:先端部