(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095296
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】還元水素飲料生成装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/68 20060101AFI20220621BHJP
A47J 31/60 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
C02F1/68 510B
A47J31/60
C02F1/68 530B
C02F1/68 520K
C02F1/68 520U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208533
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】516144289
【氏名又は名称】株式会社すりーえふ
(71)【出願人】
【識別番号】520496464
【氏名又は名称】藤屋 三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】大久保 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】藤屋 三郎
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA30
4B104EA40
(57)【要約】
【課題】比較的に構造が簡単で安価な構成でありながら、飲料の酸化還元電位を下げると共に溶存水素量を増加させることができる還元水素飲料生成装置の提供。
【解決手段】飲料20中に浸漬され、帯電列において異なる分類に属する材料(木材、アルミニウム、アクリル樹脂または塩化ビニル樹脂)で構成された第1部材11と第2部材12及び第3部材13を備える還元水素飲料生成装置1において、第1部材11は、帯電列においてプラスに帯電する分類に属する材料で構成された中実部材であり、第2部材12は、第1部材11の周囲を囲むように配置された筒状部材であって、帯電列において帯電しにくい分類に属する材料で構成され、第3部材13は、第2部材12の外側に配置されて第1部材11と第2部材12を収容する筒状部材であって、帯電列においてマイナスに帯電する分類に属する材料で構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電列において異なる分類に属する材料で構成された第1、第2及び第3部材を備える還元水素飲料生成装置であって、
前記第1部材は、帯電列においてプラスに帯電する分類に属する材料で構成された中実部材であり、
前記第2部材は、前記第1部材の周囲を囲むように配置された筒状部材であって、帯電列において帯電しにくい分類に属する材料で構成され、
前記第3部材は、前記第2部材の外側に配置されて前記第1及び第2部材を収容する筒状部材であって、帯電列においてマイナスに帯電する分類に属する材料で構成されている、
ことを特徴とする還元水素飲料生成装置。
【請求項2】
中実部材である第1部材と、前記第1部材の周囲を囲むように配置された筒状部材である第2部材と、前記第2部材の外側に配置されて前記第1及び第2部材を収容する筒状部材である第3部材とを備え、
前記第1部材は、帯電列において前記第2部材及び前記第3部材よりもプラスに帯電し易い材料で構成され、
前記第3部材は、帯電列において前記第2部材及び前記第1部材よりもマイナスに帯電し易い材料で構成されている
ことを特徴とする還元水素飲料生成装置。
【請求項3】
前記第1部材は、木材で構成され、
前記第2部材は、アルミニウムで構成され、
前記第3部材は、ポリプロピレンで構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の還元水素飲料生成装置。
【請求項4】
前記第1部材は、木材で構成され、
前記第2部材は、アルミニウムで構成され、
前記第3部材は、アクリル樹脂又は塩化ビニル樹脂で構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の還元水素飲料生成装置。
【請求項5】
前記第1部材は、ガラスで構成され、
前記第2部材は、アルミニウムで構成され、
前記第3部材は、ポリプロピレン又はアクリル樹脂又は塩化ビニル樹脂で構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の還元水素飲料生成装置。
【請求項6】
前記第1部材は、円柱状部材であって、
前記第2部材は、円筒状部材であって、
前記第3部材は、前記第1及び第2部材を収容する円筒状の密封容器である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の還元水素飲料生成装置。
【請求項7】
前記第2部材は、前記第1部材の周囲に巻き付けて配置されるアルミニウム製のシート状部材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の還元水素飲料生成装置。
【請求項8】
前記第3部材は、円筒状の本体部の両端開口部を蓋でそれぞれ密閉して構成される密封容器であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の還元水素飲料生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化還元電位(ORP)を下げて溶存水素を増やすことによって活性酸素を抑制した健康的な還元水素飲料を生成するための還元水素飲料生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常的に引用している水道水には、殺菌のための塩素が加えられているため、水道水の味が悪くなるばかりか、残留塩素と水中の有機物とが化合してトリハロメタンなどの人体に悪影響を及ぼす物質が生成される可能性がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、水の改質方法が提案されている。この水の改質方法は、水中に第1電極と第2電極を配置し、これらの第1電極と第2電極間にプラス側とマイナス側の波高値、波数またはデューティ比などが非対称である交流を印加して両電極の周辺の水間に直流電圧を発生させ、この直流電圧による水の整流作用によって該水に直流電流を流し、水を電気分解して該水の酸化還元電位を下げる方法である。
【0004】
しかしながら、上記改質方法を実施するための装置は、構造が複雑で大型化する他、これの駆動には電源を要するという問題がある。
【0005】
他方、飲料などの液体の酸化を防止するために液体に抗酸化剤を添加する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、上述のように液体に抗酸化剤を添加すると、液体の特性(飲料の場合には、味や風味)が大きく変化してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、特許文献3には、苦土橄欖石(ケイ酸塩鉱物)を含む層を内面や外面に有する飲料容器が提案されている。この飲料容器によれば、苦土橄欖石が発生するテラヘルツ波によって、収容する飲料の酸化還元電位を下げて該飲料の酸化を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2611080号公報
【特許文献2】特許第4358957号公報
【特許文献3】特許第5738096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3において提案された飲料容器においては、例えば、苦土橄欖石の粉末とバインダー(例えば、釉薬)とを含むスラリーを容器の内面または吹き付けて塗布し、1200℃程度の高温で焼成する必要があるため、当該飲料容器の製造に多くの工程と時間を要し、コストアップを招くという問題がある。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、比較的に構造が簡単で安価な構成でありながら、飲料の酸化還元電位を下げると共に溶存水素量を増加させることができる還元水素飲料生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る還元水素飲料生成装置は、帯電列において異なる分類に属する材料で構成された第1、第2及び第3部材(11,12,13)を備える還元水素飲料生成装置(1)であって、前記第1部材(11)は、帯電列においてプラスに帯電する分類に属する材料で構成された中実部材であり、前記第2部材(12)は、前記第1部材(11)の周囲を囲むように配置された筒状部材であって、帯電列において帯電しにくい分類に属する材料で構成され、前記第3部材(13)は、前記第2部材(12)の外側に配置されて前記第1及び第2部材(11,12)を収容する筒状部材であって、帯電列においてマイナスに帯電する分類に属する材料で構成されていることを特徴とする。
【0012】
あるいは、本発明に係る還元水素飲料生成装置は、中実部材である第1部材(11)と、前記第1部材(11)の周囲を囲むように配置された筒状部材である第2部材(12)と、前記第2部材(12)の外側に配置されて前記第1及び第2部材(11,12)を収容する筒状部材である第3部材(13)とを備え、前記第1部材(11)は、帯電列において前記第2部材(12)及び前記第3部材(13)よりもプラスに帯電し易い材料で構成され、前記第3部材(13)は、帯電列において前記第2部材(12)及び前記第1部材(13)よりもマイナスに帯電し易い材料で構成されていることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記第1部材(11)は、木材又はガラスで構成され、前記第2部材(12)は、アルミニウムで構成され、前記第3部材(13)は、ポリプロピレン又はアクリル樹脂又は塩化ビニル樹脂で構成されていても良い。
【0014】
また、前記第1部材(11)は、円柱状部材であって、前記第2部材(12)は、円筒状部材であって、前記第3部材(13)は、前記第1及び第2部材(11,12)を収容する円筒状の密封容器であっても良い。
【0015】
あるいは、前記第2部材(12)は、前記第1部材(11)の周囲に巻き付けて配置されるアルミニウム製のシート状部材で構成されていても良い。
【0016】
また、前記第3部材(13)は、円筒状の本体部(13A)の両端開口部を蓋(13B)でそれぞれ密閉して構成される密封容器であっても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、還元水素飲料生成装置は、帯電列において異なる分類に属する材料で構成された第1部材と第2部材及び第3部材、具体的には、帯電列においてプラスに帯電する分類に属する木材又はガラスで構成された第1部材と、帯電列において帯電しにくい分類に属する材料であるアルミニウムで構成された第2部材と、帯電列においてマイナスに帯電する分類に属するアクリル樹脂または塩化ビニル樹脂で構成され第3部材を備えており、これらの第1部材と第2部材及び第3部材は、互いに接触した状態で配置されている。したがって、この還元水素飲料生成装置を飲料中に浸漬することで、これらの第1部材と第2部材及び第3部材の接触による帯電によって飲料の成分中の酸素「O」と水素「H」とが分離し、飲料中にマイナス電子「-e」が溢れ出してくるとともに、水素「H」が湧き出してくる。この結果、飲料の酸化還元電位(ORP)が経時的に低下し、飲料中の溶存水素量が経時的に増加し、生成される還元水素飲料の酸化が効果的に防がれる。
【0018】
そして、本発明に係る還元水素飲料生成装置は、帯電列において異なる分類に属する材料(木材、アルミニウム、アクリルまたは塩化ビニル)から成る第1部材と第2部材を密封容器である第3部材の内部に収容するという比較的に簡単な構造で前記効果を奏することができるため、簡単かつ安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る還元水素飲料生成装置の正面図である。
【
図3】本発明に係る還元水素飲料生成装置の分解斜視図である。
【
図5】本発明に係る還元水素飲料生成装置の使用例を示すボトルの破断正面図である。
【
図6】本発明に係る還元水素飲料生成装置によって生成される還元水素飲料の酸化還元電位の経時変化を示す図である。
【
図7】本発明に係る還元水素飲料生成装置によって生成される還元水素飲料の溶存水素量の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は本発明に係る還元水素飲料生成装置の正面図、
図2は
図1のA-A線断面図、
図3は本発明に係る還元水素飲料生成装置の分解斜視図、
図4は帯電列を示す図である。
【0022】
本発明に係る還元水素飲料生成装置1は、飲料中に浸漬されて使用されるものであって、
図4に示す帯電列において異なる分類に属する材料で構成された第1部材11と第2部材12及び第3部材13を備えている。
【0023】
第1部材11は、
図4に示す帯電列においてプラスに帯電する分類に属する木材で構成された円柱状部材であり、第2部材12は、
図2に示すように、円柱状の第1部材11の周囲を囲むように配置された円筒状部材であって、
図4に示す帯電列において帯電しにくい分類に属する材料であるアルミニウムで構成されている。
【0024】
また、第3部材13は、
図2に示すように、第2部材12の外側に配置されて第1部材11と第2部材12を収容する円筒状の密封容器であって、
図4に示す帯電列においてマイナスに帯電する分類に属するポリプロピレン(PP)またはアクリル樹脂または塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル)で構成されている。
【0025】
すなわち、第1部材11の木材は、帯電列において第2部材12のアルミニウム及び第3部材13のポリプロピレンまたはアクリル樹脂または塩化ビニル樹脂よりもプラスに帯電し易い材料で構成され、第3部材13のポリプロピレンまたはアクリル樹脂または塩化ビニル樹脂は、帯電列において第2部材12のアルミニウム及び第1部材11の木材よりもマイナスに帯電し易い材料で構成されている。
【0026】
第1部材11を木材で構成することで還元水素飲料生成装置1の軽量化を図ることができるので、還元水素飲料生成装置1の取扱性を向上させることができる。また、第1部材11に木材を用いることでガラス材など壊れやすい部材を用いる場合と比較して、外部からの衝撃などに対しての耐久性を効果的に向上させることができ、還元水素飲料生成装置1を誤って床に落下させた場合などにおいて破損のおそれを低減することができる。
【0027】
ここで、第2部材12は、第1部材11の周囲に巻き付けて配置されるアルミニウム製のシート状部材(アルミニウム箔や多孔質のパンチングメタル)で構成されていても良い。
【0028】
また、密封容器として構成されている第3部材13は、
図1~
図3に示すように、アクリル樹脂または塩化ビニル樹脂で構成された円筒状の本体部13Aの両端開口部をキャップ状の蓋13Bでそれぞれ密閉して構成されている。
【0029】
なお、第3部材13をポリプロピレンで構成すれば、還元水素飲料生成装置1の外側容器としての耐熱性を確保することができるので、使用者が還元水素飲料生成装置1を熱湯又は熱湯に近い高温の飲料に浸漬した場合でも還元水素飲料生成装置1及びその容器に変形や変色などの不具合が生じるおそれがない。
【0030】
なお、本実施の形態に係る還元水素飲料生成装置1は、一例として、
図1に示すように、外径φD=34mm、高さh=60mmの円柱状部材として構成されている。したがって、ポットやボトルなどに入れた飲料中に浸漬することが容易な寸法形状となっている。
【0031】
次に、以上のように構成された還元水素飲料生成装置1の使用例とその作用効果を
図5~
図7に基づいて以下に説明する。
【0032】
図5は本発明に係る還元水素飲料製造装置の使用例を示すポットの破断正面図、
図6は同還元水素飲料生成装置によって生成される還元水素飲料の酸化還元電位の経時変化を示す図、
図7は同還元水素飲料生成装置によって生成される還元水素飲料の溶存水素量の経時変化を示す図である。
【0033】
本発明に係る還元水素飲料生成装置1は、その使用に際しては、
図5に示すように、飲料20としてボトル50に収容された例えば緑茶(飲料水に緑茶の茶葉など成分を含むもの)の中に一定時間(例えば、6時間程度)浸漬される。なお、ここでの飲料を収容するボトル50は、飲料を密封した状態で収容できるものであれば、その形状や構造は特に限定されない。
【0034】
ここで、還元水素飲料生成装置1は、前述のように帯電列(
図4参照)において異なる分類に属する材料で構成された第1部材11と第2部材12及び第3部材13、具体的には、帯電列においてプラスに帯電する分類に属する木材で構成された円柱状の第1部材11と、帯電列において帯電しにくい分類に属する材料であるアルミニウムで構成された円筒状の第2部材12と、帯電列においてマイナスに帯電する分類に属するアクリル樹脂または塩化ビニル樹脂で構成された密封容器としての第3部材13を備えており、これらの第1部材11と第2部材12及び第3部材13は、互いに接触した状態で配置されている。つまり、第2部材12の中に第1部材11が挿入され、これらの第1部材11と第2部材12が密封容器である第3部材13の内部に収容されている。したがって、これら第1部材11と第2部材12及び第3部材13の接触による帯電によって飲料20中の成分(緑茶成分)中の酸素「O」と水素「H」とが分離し、
図5に示すように、飲料20中にマイナス電子「-e」が溢れ出してくるとともに、水素「H」が湧き出してくる。この結果、
図6に示すように飲料(還元水素飲料)20の酸化還元電位(ORP)が経時的に低下し、飲料中の溶存水素量が経時的に増加する。
【0035】
而して、本発明に係る還元水素飲料生成装置1は、帯電列において異なる分類に属する材料(木材、アルミニウム、アクリルまたは塩化ビニル)から成る第1部材11と第2部材12を密封容器である第3部材13の内部に収容するという比較的簡単な構造で前記効果を奏することができるため、簡単かつ安価に製造することができる。
【0036】
ところで、本発明に係る還元水素飲料生成装置1は、飲料20中に約5~6時間程度浸漬しておく必要があり、その所定の時間が経過すると、飲料20の酸化還元電位が-200~-600mV程度まで下がり、溶存水素量が800~1200ppbまで増加する。この結果、
図5に示すように、ボトル50に収容された飲料20の酸化が防がれ、活性酸素を抑制した健康的な弱酸性(pH5前後)の還元水素飲料が生成される。
【0037】
なお、本実施の形態においては、飲料として特に緑茶を例として説明したが、飲料としては、他に紅茶、ウーロン茶、コーヒー、清涼飲料、アルコール飲料、果実の成分を含む果実飲料、野菜の成分を含む野菜飲料などが挙げられる。すなわち、飲料水に飲料としての何らかの成分を含むものであればよい。
【0038】
また、本実施の形態では、第1部材11に木材を用いた場合を説明したが、これ以外にも第1部材に帯電列においてプラスに帯電する分類に属するガラス材を用いることも可能である。
【0039】
本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 還元水素飲料生成装置
11 第1部材
12 第2部材
13 第3部材
13A 第3部材の本体部
13B 第3部材の蓋
20 飲料(還元水素飲料)
50 ボトル