(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095319
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20220621BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220621BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20220621BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
H04N1/387 110
H04N1/387 700
H04N1/00 567M
B41J21/00 Z
B41J29/38 204
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208583
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥苑 大成
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
5C062
5C076
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061HJ03
2C061HK11
2C061HN17
2C187AC05
2C187AC06
2C187AC08
2C187AD14
2C187BF01
2C187CC08
2C187DB09
2C187DB30
2C187DB31
2C187DC06
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB30
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC06
5C062AC09
5C062AC11
5C062AC67
5C062AE03
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF10
5C076AA19
5C076AA24
5C076BA02
5C076BA06
(57)【要約】
【課題】読み取り結果に応じて複数の画像をシートに形成する画像形成装置において、主走査方向に複数の画像データを配置することで印刷処理の短時間化を図る。
【解決手段】原稿用紙Pの表面の用紙サイズを取得するS5の手順と、主走査方向における記録用紙Sの用紙サイズを取得する処理と、取得した原稿用紙Pの用紙サイズと、取得した記録用紙Sの用紙サイズとに基づき、原稿用紙Pの用紙サイズが記録用紙Sにおいて主走査方向に複数配置可能な大きさであるか否かを判定するS110及びS115の手順と、配置可能であると判定された場合には、原稿用紙Pの複数のスキャン画像データを主走査方向に並べて配置した画像を形成するように画像形成ユニット5を制御し、配置可能でないと判定された場合には、2つのスキャン画像データを副走査方向に並べて配置した画像を形成するよう画像形成ユニット5を制御するレイアウト処理と、を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の第1面及び第2面に対し読み取りを行う読取部と、
シートに画像を形成する画像形成部と、
制御部と、
を備える画像形成装置であって、
前記制御部は、
前記読取部で読み取った前記原稿の前記第1面の画像データのサイズを取得するデータサイズ取得処理と、
前記画像形成部の主走査方向における前記シートのサイズを取得するシートサイズ取得処理と、
前記データサイズ取得処理で取得した前記画像データのサイズと、前記シートサイズ取得処理で取得した前記シートのサイズとに基づき、前記画像データが前記シートにおいて前記主走査方向に複数配置可能であるか否かを判定する第1判定処理と、
前記画像データが前記主走査方向に複数配置可能であると判定された場合には、前記第1面の画像データと前記第2面の画像データとを前記主走査方向に並べて配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御し、前記画像データが前記主走査方向に複数配置可能でないと判定された場合には、前記第1面の画像データと前記第2面の画像データとを副走査方向に並べて配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御する画像データ配置処理と、
を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1判定処理において、前記画像データの長辺のサイズと前記主走査方向における前記シートのサイズとに基づき、複数の前記画像データの前記長辺を前記主走査方向に並べて配置可能であるか否かを判定し、
前記複数の画像データの前記長辺が前記主走査方向に並べて配置可能であると判定された場合には、前記画像データ配置処理において、前記第1面の画像データと前記第2面の画像データとを前記主走査方向に配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記読取部で読み取った前記原稿の前記第1面の画像データの長辺が前記副走査方向に対し略平行であった場合、前記画像データ配置処理において、前記第1面の画像データを90°回転させたものと前記第2面の画像データを90°回転させたものとを前記主走査方向に並べて配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1判定処理において、前記複数の画像データの前記長辺が前記主走査方向に並べて配置可能でないと判定された場合には、前記第1面の画像データ及び前記第2面の画像データのうち一方の画像データの長辺と他方の画像データの短辺とを前記主走査方向に並べて配置可能であるか否かを判定し、
前記一方の画像データの長辺と前記他方の画像データの短辺とを前記主走査方向に並べて配置可能であると判定された場合には、前記画像データ配置処理において、前記一方の画像データと前記他方の画像データを90°回転させたものとを前記主走査方向に並べて配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1判定処理において、前記第1面の画像データに含まれる文字の左右方向におけるサイズと前記主走査方向における前記シートのサイズとに基づき、前記左右方向が前記主走査方向となるように複数の前記画像データを並べて配置可能であるか否かを判定し、
前記左右方向が前記主走査方向となるように前記複数の画像データを並べて配置可能であると判定された場合には、前記画像データ配置処理において、前記第1面の画像データと前記第2面の画像データとを前記主走査方向に配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記読取部で読み取った前記原稿の前記第1面の画像データの前記文字の左右方向が前記副走査方向に対し略平行であった場合、前記画像データ配置処理において、前記第1面の画像データを90°回転させたものと前記第2面の画像データを90°回転させたものとを前記主走査方向に並べて配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記画像データが前記主走査方向に複数配置可能でないと判定された場合には、
前記第1面に対する読み取りの実行を開始した後、前記第2面に対する読み取りの実行中に前記第1面の画像データに基づく画像の形成を開始し、前記第2面に対する読み取りの完了後に前記第2面の画像データに基づく画像を形成するように、前記読取部及び前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
サイズの異なる複数種類のシートを種類別にそれぞれ収容可能な複数の収容部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、
前記データサイズ取得処理で取得した前記画像データのサイズと前記シートサイズ取得処理で取得した前記シートのサイズとに基づき、前記複数の収容部のうち、前記画像データを前記シートにおいて前記主走査方向に複数配置可能なサイズの前記シートを収容した前記収容部を特定する収容部特定処理と、
前記収容部特定処理で特定された前記収容部から前記シートを給紙する給紙処理と、
を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記収容部特定処理は、
前記複数の収容部のうち、収容している前記シートのサイズが最も小さい収容部から、収容している前記シートのサイズが大きくなる順番で、前記画像データを前記シートにおいて前記主走査方向に複数配置可能なサイズであるか否かを順次判定する第2判定処理を含む
ことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記収容部特定処理において、前記データサイズ取得処理で取得した前記画像データの長辺のサイズが、前記第2判定処理における判定対象とする前記収容部に収容されている前記シートの幅寸法の1/2未満であり、かつ、前記データサイズ取得処理で取得した前記画像データの短辺のサイズが、前記第2判定処理における判定対象とする前記収容部に収容されている前記シートの長さ寸法の1/2未満であった場合に、当該判定対象の収容部を、前記画像データを前記シートにおいて前記主走査方向に複数配置可能なサイズの前記シートを収容した前記収容部であると特定する
ことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿に対する読み取り結果に応じてシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、2つの印刷対象画像の長辺長及び短辺長を取得し、印刷対象用紙の短辺に印刷対象画像の長辺を合わせるように配置するか、若しくは、印刷対象用紙の長辺に印刷対象画像の長辺を合わせるように配置する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置では、複数の画像データの配置向きが、印刷対象用紙において無駄なく集約配置できるように決定される。しかしながら、印刷処理の短時間化の観点からは、画像形成部の画像形成動作における副走査方向にはなるべく複数の画像データを配置せずに主走査方向に複数の画像データを配置するのが効果的である。上記従来技術ではそのような点に関しては特に配慮されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、読み取り結果に応じて複数の画像をシートに形成する画像形成装置において、主走査方向に複数の画像データを配置することで印刷処理の短時間化を図ることができる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、原稿の第1面及び第2面に対し読み取りを行う読取部と、シートに画像を形成する画像形成部と、制御部と、を備える画像形成装置であって、前記制御部は、前記読取部で読み取った前記原稿の前記第1面の画像データのサイズを取得するデータサイズ取得処理と、前記画像形成部の主走査方向における前記シートのサイズを取得するシートサイズ取得処理と、前記データサイズ取得処理で取得した前記画像データのサイズと、前記シートサイズ取得処理で取得した前記シートのサイズとに基づき、前記画像データが前記シートにおいて前記主走査方向に複数配置可能であるか否かを判定する第1判定処理と、前記画像データが前記主走査方向に複数配置可能であると判定された場合には、前記第1面の画像データと前記第2面の画像データとを前記主走査方向に並べて配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御し、前記画像データが前記主走査方向に複数配置可能でないと判定された場合には、前記第1面の画像データと前記第2面の画像データとを副走査方向に並べて配置した画像を形成するように前記画像形成部を制御する画像データ配置処理と、を実行する。
【0007】
本願発明の画像形成装置は、読取部と、画像形成部と、制御部とを備え、制御部によりデータサイズ取得処理、シートサイズ取得処理、第1判定処理、配置データ配置処理が行われる。データサイズ取得処理では読取部が原稿の第1面に対して読み取りを行い、第1面の画像データのサイズが取得される。シートサイズ取得処理では、読取部の主走査方向における前記シートのサイズが取得される。
【0008】
第1判定処理では、それら取得結果に基づき、第1面の画像データのサイズが、シートにおいて主走査方向に複数配置できる大きさであるか否かが判定される。主走査方向に複数配置可能である場合には、画像形成部は、配置データ配置処理での制御に基づき、第1面の画像データと第2面の画像データとを主走査方向に並べて配置した画像を形成する。主走査方向に複数配置可能でない場合には、画像形成部は、配置データ配置処理での制御に基づき、第1面の画像データと第2面の画像データとを副走査方向に並べて配置した画像を形成する。
【0009】
これにより、第1面の画像データのサイズが主走査方向に複数配置できる大きさである場合には、画像形成部は、第1面及び第2面の画像データにそれぞれ対応する2つの画像を主走査方向に並べて形成することとなる。その結果、少なくともそれら2つの画像を副走査方向に並べて形成する場合に比べれば、印刷処理の短時間化を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、読み取り結果に応じて複数の画像をシートに形成する画像形成装置において、主走査方向に複数の画像データを配置することで印刷処理の短時間化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態による画像形成装置の全体構成を表す模式図である。
【
図2】画像形成装置の制御系を表すブロック図である。
【
図3】スキャン画像データと印刷画像データと形成画像の関係を説明する図である。
【
図4】表面と裏面のスキャン画像データを印刷画像データ上に配置するレイアウト処理を説明する図である。
【
図5】スキャンしたスキャン画像データを回転させてレイアウト処理する場合を説明する図である。
【
図6】形成画像における各部の寸法を説明する図である。
【
図7】ランドスケープ型とポートレイト型のIDカードの種類を表す図である。
【
図8】レイアウトパターン1におけるスキャン画像データの配置を表す図である。
【
図9】レイアウトパターン2におけるスキャン画像データの配置を表す図である。
【
図10】レイアウトパターン3におけるスキャン画像データの配置を表す図である。
【
図11】レイアウトパターン4におけるスキャン画像データの配置を表す図である。
【
図12】レイアウトパターン5におけるスキャン画像データの配置を表す図である。
【
図13】レイアウトパターン6におけるスキャン画像データの配置を表す図である。
【
図14】レイアウトパターン7におけるスキャン画像データの配置を表す図である。
【
図15】ランドスケープ型用レイアウトパターンテーブルを模式的に表した図である。
【
図16】ポートレイト型用レイアウトパターンテーブルを模式的に表した図である。
【
図17】スキャン画像データ姿勢テーブルを模式的に表した図である。
【
図18】一括印刷処理工程と順次印刷処理工程を説明する図である。
【
図19】CPUが実行する制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図20】レイアウト処理の制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図21】一括印刷処理の制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図22】順次印刷処理の制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図23】用紙サイズの小さい記録用紙にレイアウトパターン1を適用する場合を説明する図である。
【
図24】給紙トレイ決定処理の制御手順の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<画像形成装置の全体構成>
本発明の一実施形態による画像形成装置1の全体構成を
図1に示す。
図1において、画像形成装置1は、装置本体2を備えており、この装置本体2に、供給ユニット3と、搬送ユニット4と、画像形成ユニット5と、排出ユニット8と、原稿スキャンユニット10と、が備えられている。排出ユニット8のある側が画像形成装置1の前側であり、搬送ユニット4のある側が画像形成装置1の後側である。また供給ユニット3のある側が画像形成装置1の下側であり、原稿スキャンユニット10のある側が画像形成装置1の上側である。
【0013】
<供給ユニット>
供給ユニット3は、装置本体2の下部に着脱可能に装着される給紙トレイ30と、給紙ローラ32と、を備えている。給紙トレイ30内には、画像形成の対象となる記録用紙Sが収容可能となっている。給紙ローラ32は、給紙トレイ30内の後側で記録用紙Sの上面に接触するよう設けられている。画像形成装置1の後側においては、給紙ローラ32から搬送ユニット4及び画像形成ユニット5を介して排出ユニット8へ至る搬送経路Lが形成されている。給紙トレイ30内に記録用紙Sが保持されている場合は、給紙ローラ32は、給紙トレイ30内の記録用紙Sを1枚ずつ取り出し、搬送経路Lに沿って搬送ユニット4及び画像形成ユニット5へ向けて搬送する。なお、特に図示しないが、装置本体2には異なる用紙サイズに対応した複数の供給ユニット3が設けられており、それぞれの給紙トレイ30には対応する用紙サイズの記録用紙Sが載置される。なお、記録用紙Sがシートの一例であり、給紙トレイ30が収容部の一例である。
【0014】
<搬送ユニット>
搬送ユニット4は、供給ユニット3から供給される記録用紙Sを保持して画像形成ユニット5に搬送する。搬送ユニット4は、図示しないモータによって駆動される搬送ローラ33aと、レジストローラ34と、を備えている。搬送ローラ33aは、記録用紙Sに搬送力を付与するローラである。給紙ローラ32から搬送ローラ33aに向けて搬送されてきた記録用紙Sは、搬送ローラ33aと紙粉取りローラ33bとで挟持され、搬送経路Lに沿ってレジストローラ34へ向けて搬送される。レジストローラ34は、記録用紙Sの姿勢を矯正した後、画像形成ユニット5へと搬送する。
【0015】
<画像形成ユニット>
画像形成ユニット5は、搬送ユニット4から搬送されてきた記録用紙Sに対し、周知の電子写真方式、若しくはインクジェット方式、若しくは熱転写方式、等によって画像を形成して印刷を行う。画像形成ユニット5から搬送ローラ37に向けて搬送されてきた記録用紙Sは、搬送ローラ37で挟持され、搬送経路Lに沿って排出ローラ81へ向けて搬送される。なお、画像形成ユニット5が画像形成部の一例である。
【0016】
<排出ユニット>
排出ユニット8は、画像が形成され画像形成ユニット5から排出された記録用紙Sを、画像形成装置1の外部へ排出する。排出ユニット8は、排出ローラ81と、排出コロ82と、排出口83と、排出トレイ84とを備えている。排出ローラ81は、前述のモータからの動力により回転駆動され、画像形成ユニット5から排出された記録用紙Sを、排出トレイ84に向けて搬送する。
【0017】
<原稿スキャンユニット>
原稿スキャンユニット10は、装置本体2の上方に設けられたフラットベッド11と、このフラットベッド11の上方に回動可能に設けられた回動天板12と、を備えている。フラットベッド11は、その上表面に水平に広く張り渡されるよう設けられたガラス板11aと、このガラス板11aのすぐ下でガイドレール11bに沿って前後方向に移動可能なイメージセンサ210とを備えている。イメージセンサ210は、図中の左右方向におけるガラス板11aの全体に渡って延伸したライン画像読取りセンサであり、図示しないモータと送りネジなどの駆動によって図中の前後方向におけるガラス板11aの全体に渡って移動する。これによりイメージセンサ210は、ガラス板11aの上表面に載置された図示しない原稿用紙Pの下面全体における表記画像を光学的に読み取る(以下、スキャンするという)ことができる。
【0018】
回動天板12は、その全体が図中の前側に位置するヒンジ13を中心に回動することで、フラットベッド11に対する開閉動作が可能となっている。ユーザは回動天板12を開いた状態で原稿用紙Pをフラットベッド11のガラス板11a上に載置し、回動天板12を閉じた状態でイメージセンサ210に原稿用紙Pの下面をスキャンさせる。なお、原稿スキャンユニット10が読取部の一例である。
【0019】
<制御系>
前述のモータの回転及び停止を含む画像形成装置1各部の動作は、特定用途向け集積回路であるASIC(application specific integrated circuit)20により制御される。ASIC20を含む画像形成装置1の制御系を表すブロック図を
図2に示す。
図2に示すように、ASIC20には、CPU100が含まれる。ASIC20には、ROM110と、RAM120と、所望の表示を行うと共にユーザが操作可能なタッチパネル130と、画像形成ユニット5と、回転駆動回路150と、ネットワーク制御部170と、イメージセンサ210がそれぞれ接続されている。なお、CPU100は制御部の一例である。
【0020】
ROM110には、後述の
図19~
図22、
図24にそれぞれ示す各フローチャートを実行するための制御プログラムを含む、画像形成装置1が動作するのに必要な各種制御プログラムが記憶されている。CPU100は、ROM110から読み出したプログラムに従って各部の制御を行うとともに、後述する
図19~
図22、
図24にそれぞれ示す各フローチャートを実行する。また、RAM120の記憶領域の一部には、イメージセンサ210で原稿用紙Pをスキャンした結果のスキャン画像データや後述するレイアウト処理によって生成した印刷画像データを記憶する画像データ記憶領域120aが設定されている。
【0021】
また、CPU100は、ASIC20を介して画像形成ユニット5へ印刷指示信号を出力することで、当該画像形成ユニット5による記録用紙Sへの画像形成を指示する。またCPU100は、ASIC20を介して前述のモータの回転を制御する回転駆動回路150へ駆動制御信号を出力することで、モータの回転を制御する。さらにCPU100は、ASIC20を介してネットワーク制御部170を制御することで、無線又は有線によるネットワーク通信を介し、外部端末300と情報の送受信を行う。
【0022】
イメージセンサ210は、出射光Laを発光する発光部211aと、発光部211aから発光された出射光Laの反射光Lbを受光可能な受光部211bと、を有する、反射型のセンサである。
【0023】
<IDカードコピー印刷機能について>
上記構成にある画像形成装置1で利用できる機能の1つとしてコピー機能がある。このコピー機能では、原稿スキャンユニット10でスキャンした原稿用紙Pの画像をそのまま記録用紙Sに印刷することで複製印刷としてのコピーを行う。そして本実施形態で実行するコピー機能では、コピー対象の原稿用紙Pとして1枚のIDカードを想定し、その表面と裏面をそれぞれスキャンした2つの画像を1枚の記録用紙Sの一面に所定のレイアウトで配置して印刷するIDカードコピー印刷を行うものとする。なお、本実施形態のIDカードコピー印刷機能では、拡大/縮小機能を利用しないことを前提とする。また、原稿用紙Pが原稿の一例であり、原稿用紙Pの表面が第1面の一例であり、原稿用紙Pの裏面が第2面の一例である
【0024】
ここで、上記のIDカードコピー印刷機能の処理構成を設計する上で必要となる各種の定義や条件について以下に説明する。まず、上述したようにコピー機能を実現するには、原稿スキャンユニット10における原稿用紙Pへのスキャンと、画像形成ユニット5における記録用紙Sへの印刷の2つの処理構成が必要であり、それら2つの構成の間における関係性を
図3に示すように定義する。
図3(a)は原稿スキャンユニット10で原稿用紙Pをスキャンして取得したスキャン画像データを示し、
図3(b)はそのスキャン画像データに対して所定のレイアウト処理を行って生成された印刷画像データを示し、
図3(c)はその印刷画像データをそのまま記録用紙Sに印刷した形成画像を示している。
【0025】
図3(a)において、上述したようにイメージセンサ210はガラス板11aの左右方向に渡って延伸したライン画像読取りセンサである。それが、前後方向における一方側から他方側へ向けてガラス板11aの全体に渡って移動することにより、原稿用紙Pの下面全体における表記画像を光学的にスキャンできる。このとき、イメージセンサ210で一括してスキャンできる1ライン分の方向、つまり上記の延伸方向で、特に本実施形態では図示する例の左側から右側へ向かう方向を主走査方向と呼称する。また、イメージセンサ210が移動する方向を副走査方向と呼称する。なお、ユーザが矩形形状にあるガラス板11a上に同じく矩形形状にあるIDカードPidを載置する際には、IDカードPidのいずれか一点の角をガラス板11aの副走査方向上流側縁部における特定の角点に合わせ、当該IDカードPidの各辺を上記の主走査方向と副走査方向に対して平行または直交させるように配置させるものとする。なお、IDカードPidの縦置きと横置きの向きについては、ユーザの任意で載置してよいとする。
【0026】
そして、イメージセンサ210は、ガラス板11a全体の領域をスキャンしたうちでIDカードPidが存在する領域の画像だけをスキャン画像データとして抜き出し、取得する。次に、CPU100がその取得したスキャン画像データに対して後述するレイアウト処理を行うことで、
図3(b)に示すように所定サイズの記録用紙Sの領域に対しIDカードPidのスキャン画像データを所定の位置と向きで再配置した印刷画像データを生成する。そして上記の供給ユニット3、搬送ユニット4、及び画像形成ユニット5が協働して作動することで、
図3(c)に示すように、印刷画像データと同じ所定サイズの記録用紙Sにその印刷画像データと同じ内容の形成画像が印刷される。
【0027】
ここで本実施形態の例では、画像形成ユニット5にインクジェット方式のものを採用するとして、
図3(c)に示すようにシリアルヘッド型の場合のインクヘッド51が移動して1ライン分印刷する方向についても上記イメージセンサ210と同様に主走査方向と呼称し、そのライン印刷を進める方向も同様に副走査方向と呼称する。このように本実施形態では、
図3(a)~
図3(c)のそれぞれに示すスキャン領域、データ領域、印刷領域において、同じの主走査方向、副走査方向の呼称で対応する方向を定義する。なお特に図示しないが、インクヘッドがラインヘッド型の場合であればそのヘッドの長さ方向が主走査方向に対応する。
【0028】
そして
図4に示すように、このIDカードコピー印刷機能では、原稿用紙Pである1枚のIDカードPidの表面と裏面の2面に対してそれぞれ個別にスキャンし、取得した2つのスキャン画像データをそれぞれ所定の配置で合成するようレイアウト処理することで1つの印刷画像データを生成する。なおこのレイアウト処理においては、後述する特定のレイアウトパターンに基づいて、印刷画像データ中における表面スキャン画像データと裏面スキャン画像データのそれぞれの主走査方向及び副走査方向に対する向き、つまり姿勢についても指定される。このため、スキャンしたスキャン画像データの姿勢と、そのレイアウト処理で指定された姿勢とが異なる場合には、
図5に示すように、印刷画像データを生成する際にスキャン画像データの姿勢を指定された姿勢に回転して修正する必要がある。この画像データの回転処理については、画像中に記載されている文字や図形の上下方向なども考慮して回転させる必要があるが、その具体的な手法については公知の手法を用いればよくここではその詳細を省略する。
【0029】
形成画像における各部の寸法については、
図6に示すように定義する。原稿用紙PのIDカードPidは矩形形状のものを適用するとして、その長辺Lgと短辺Wgの各寸法は表面と裏面のそれぞれで同一となる。そして、上述したように本実施形態では拡大/縮小機能を利用しないことを前提としているため、このIDカードPidの長辺Lgと短辺Wgの各寸法はスキャン画像データ、印刷画像データ、及び形成画像のいずれにおいても相当する内容で適用される。また原稿用紙Pのサイズについても、主走査方向の長さ寸法Mpと副走査方向の長さ寸法Spの両方がスキャン画像データ、印刷画像データ、及び形成画像のいずれにおいても相当する内容で適用される。
【0030】
なお上述したように、本実施形態の画像形成装置1は、異なる用紙サイズの記録用紙Sをそれぞれ収納した複数の供給ユニット3が設けられ、ユーザは所望する用紙サイズの記録用紙Sを任意に選択して使用できる。しかし、以下においては理解を容易にするために、主走査方向の幅寸法Mpを短辺とし、副走査方向の長さ寸法Spを長辺とした図中上下方向に長い長方形の用紙サイズを共通例として図示説明する。また、図中に示すようにIDカードPidの表面と裏面の各スキャン画像データが記録用紙Sの各辺縁部に対して所定の余白D1,D2を空けたり、表面と裏面どうしの間で所定の間隔D3を空けるよう配置してもよいし、それら余白D1,D2や間隔D3を空けなくともよい。余白D1,D2や間隔D3を空けるよう配置する場合には、それらの余白D1,D2や間隔D3の寸法を考慮して用紙サイズを適宜補正すればよい。なお、図中に示す寸法Siについては後に詳述する。
【0031】
そして本実施形態の例において原稿用紙Pに適用するIDカードPidの種類としては、
図7(a)に示すランドスケープ型と、
図7(b)に示すポートレイト型の2種類とする。いずれの種類の場合も、記載されているテキストの文字列が横書きであり、ランドスケープ型はその横書き方向、つまり文字の左右方向に対してIDカードPidの長辺Lgが平行な関係にあり、ポートレイト型は横書き方向に対して長辺Lgが直交する関係にあるという点で相違している。このように、原稿用紙PであるIDカードPidのサイズについては、必ず異なる寸法の長辺Lgと短辺Wgを有する長方形形状であり、それら長辺Lgと短辺Wgはそれらの間の長さ寸法の違いだけを基準として定義されて当該IDカードPidの記載内容の正対方向には依存しないものとする。
【0032】
<レイアウト処理における条件>
次に、本実施形態において、IDカードPidの表面と裏面の2つのスキャン画像データを1つの印刷画像データ領域上にそれぞれどのような位置と姿勢で配置するかを決定するレイアウト処理でのレイアウト条件について詳細に説明する。ここで、複数のスキャン画像データを1つの印刷画像データ領域上に配置させるには多様な配置態様が考え得るが、本実施形態ではIDカードコピー印刷における印刷処理の短時間化を目的として、それを実現するための以下のレイアウト条件を設定する。
【0033】
(1)2つのスキャン画像データをできるだけ主走査方向に並べるよう配置する
上述したように、本実施形態の画像形成装置1では画像形成ユニット5がインクジェット方式であり、そのインクヘッド51は記録用紙Sに対して主走査方向での1ライン分のライン印刷を副走査方向で繰り返して進めていく(上記
図3(c)参照)。このため、印刷処理の短時間化の観点からは、できるだけ2つのスキャン画像データを副走査方向に並べるのではなく、主走査方向に並べるよう配置するのが効果的である。
【0034】
(2)印刷領域全体の副走査方向長さをできるだけ短縮化する
印刷画像データ領域上に配置された2つのスキャン画像データの全体を包絡する矩形領域がインクヘッド51の実質的な印刷領域となり、少なくとも副走査方向においてはこの印刷領域以外での印刷動作を省略して短時間化できる。このため、印刷領域全体における副走査方向長さSi(上記
図6参照)をできるだけ短縮化するよう2つのスキャン画像データを配置することが効果的である。
【0035】
(3)印刷領域全体を副走査方向の上流側に寄せて配置する
印刷領域以外の領域では、インクヘッド51の副走査方向での移動、または記録用紙Sの搬送を比較的速く行うことができる。このため、印刷処理の短時間化の観点からは、印刷領域全体を副走査方向の上流側に寄せて配置することが効果的である。
【0036】
(4)スキャン画像データの姿勢は限定しない
IDカードPidの記載内容に対する読みやすさを考慮した場合、2つのスキャン画像データそれぞれの主走査方向に対する姿勢を統一するのが理想的である。しかし、上記レイアウト条件(1)を満たすよう主走査方向に並べるためにそれぞれ異なる姿勢とする必要がある場合には、印刷処理の短時間化を優先して姿勢を適宜修正する。
【0037】
<レイアウトパターンについて>
そしてレイアウト処理では、原稿用紙Pの種類、原稿用紙Pと記録用紙Sそれぞれの用紙サイズの寸法条件、及び上記の各レイアウト条件を満たしつつ、2つのスキャン画像データを印刷画像データ領域内に納めるよう配置する必要がある。このため本実施形態では、
図8~
図14に示す7つのレイアウトパターンのいずれか1つを定型パターンとして適用し、それに基づいて2つのスキャン画像データのレイアウト処理を行う。
【0038】
図8に示すレイアウトパターン1は、ランドスケープ型原稿を対象として、最も印刷処理を短時間化できる理想的な配置となる。つまり、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べつつ、それぞれの短辺Wgを副走査方向に対して平行となる同じ姿勢で副走査方向上流側に寄せた位置に配置していることで、印刷領域全体における副走査方向長さSiを最短にできる。このため、当該レイアウトパターン1を適用できる条件としては、原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2より小さく(Lg<Mp/2)、かつ原稿用紙Pの短辺Wgが記録用紙Sの副走査方向長さSpより小さい(Wg<Sp)という寸法条件を満たす必要がある。
【0039】
次に
図9に示すレイアウトパターン2は、ランドスケープ型原稿を対象として、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べることができない場合、つまり原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2より大きい場合に適用する配置となる。このとき、2つのスキャン画像データを副走査方向に並べつつ、それぞれの短辺Wgを副走査方向に対して平行となる同じ姿勢で副走査方向上流側に寄せた位置に配置していることで、印刷領域全体における副走査方向長さSiを最短にできる。このため、当該レイアウトパターン2を適用できる条件としては、原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2以上かつ主走査方向長さMpより小さく(Mp/2≦Lg<Mp)、かつ原稿用紙Pの短辺Wgが記録用紙Sの副走査方向長さSpの1/2より小さい(Wg<Sp/2)という寸法条件を満たす必要がある。
【0040】
次に
図10に示すレイアウトパターン3は、ランドスケープ型原稿を対象として、2つのスキャン画像データをそれぞれ異なる姿勢とすることでのみ主走査方向に並べることができる場合に適用する配置となる。このとき、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べつつ、一方の短辺Wgを副走査方向に対して平行となる姿勢とし、他方の短辺Wgを主走査方向に対して平行となる姿勢として、いずれも副走査方向上流側に寄せた位置に配置していることで、印刷領域全体における副走査方向長さSiを最短にできる。このため、当該レイアウトパターン3を適用できる条件としては、原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2以上かつ主走査方向長さMpより小さく(Mp/2≦Lg<Mp)、かつ原稿用紙Pの短辺Wgが記録用紙Sの主走査方向長さMpと原稿用紙Pの長辺Lgとの差より小さい(Wg<Mp-Lg)という寸法条件を満たす必要がある。なお、各用紙サイズの寸法関係によっては上記のレイアウトパターン2とこのレイアウトパターン3の両方の適用条件を満たす場合があるが、本実施形態ではこのレイアウトパターン3を優先的に適用する。
【0041】
次に
図11に示すレイアウトパターン4は、ポートレイト型原稿を対象として、最も印刷処理を短時間化できる理想的な配置となる。つまり、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べつつ、それぞれの短辺Wgを副走査方向に対して平行となる同じ姿勢で副走査方向上流側に寄せた位置に配置していることで、印刷領域全体における副走査方向長さSiを最短にできる。このため、当該レイアウトパターン4を適用できる条件としては、原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2より小さく(Lg<Mp/2)、かつ原稿用紙Pの短辺Wgが記録用紙Sの副走査方向長さSpより小さい(Wg<Sp)という寸法条件を満たす必要がある。
【0042】
次に
図12に示すレイアウトパターン5は、ポートレイト型原稿を対象として、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べることができない場合、つまり原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2より大きい場合に適用する配置となる。このとき、2つのスキャン画像データを副走査方向に並べつつ、それぞれの短辺Wgを副走査方向に対して平行となる同じ姿勢で副走査方向上流側に寄せた位置に配置していることで、印刷領域全体における副走査方向長さSiを最短にできる。このため、当該レイアウトパターン5を適用できる条件としては、原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2以上かつ主走査方向長さMpより小さく(Mp/2≦Lg<Mp)、かつ原稿用紙Pの短辺Wgが記録用紙Sの副走査方向長さSpの1/2より小さい(Wg<Sp/2)という寸法条件を満たす必要がある。
【0043】
次に
図13に示すレイアウトパターン6は、ポートレイト型原稿を対象として、2つのスキャン画像データをそれぞれ異なる姿勢とすることでのみ主走査方向に並べることができる場合に適用する配置となる。このとき、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べつつ、一方の短辺Wgを副走査方向に対して平行となる姿勢とし、他方の短辺Wgを主走査方向に対して平行となる姿勢として、いずれも副走査方向上流側に寄せた位置に配置していることで、印刷領域全体における副走査方向長さSiを最短にできる。このため、当該レイアウトパターン6を適用できる条件としては、原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2以上かつ主走査方向長さMpより小さく(Mp/2≦Lg<Mp)、かつ原稿用紙Pの短辺Wgが記録用紙Sの主走査方向長さMpと原稿用紙Pの長辺Lgとの差より小さい(Wg<Mp-Lg)という寸法条件を満たす必要がある。なお、各用紙サイズの寸法関係によっては上記のレイアウトパターン5とこのレイアウトパターン6の両方の適用条件を満たす場合があるが、本実施形態ではこのレイアウトパターン6を優先的に適用する。
【0044】
次に
図14に示すレイアウトパターン7は、ポートレイト型原稿を対象として、上記のレイアウトパターン4とレイアウトパターン6のいずれの適用寸法条件を満たさないものの、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べることが可能な寸法条件にある場合に適用する配置となる。つまり、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べつつ、それぞれの短辺Wgを主走査方向に対して平行となる同じ姿勢で副走査方向上流側に寄せた位置に配置する。このため、当該レイアウトパターン7を適用できる条件としては、原稿用紙Pの長辺Lgが記録用紙Sの主走査方向長さMp以上かつ副走査方向長さSpより小さく(Mp≦Lg<Sp)、かつ原稿用紙Pの短辺Wgが記録用紙Sの主走査方向長さMpの1/2より小さい(Wg<Mp/2)という寸法条件を満たす必要がある。
【0045】
本実施形態では、レイアウト処理において上記に示した7つのレイアウトパターン1~7のどれを適用するか選択する際には、
図15又は
図16に示すいずれかのレイアウトパターンテーブルを参照して選択する。原稿用紙Pの種類がランドスケープ型である場合には
図15に示すランドスケープ型用レイアウトパターンテーブルを参照し、また原稿用紙Pの種類がポートレイト型である場合には
図16に示すポートレイト型用レイアウトパターンテーブルを参照して、それぞれ各用紙サイズの寸法関係に基づき適用するレイアウトパターンを選択する。いずれのレイアウトパターンテーブルにおいても、使用する原稿用紙Pの長辺Lgと短辺Wgを基準にそれぞれがどの寸法条件区分に該当するかの組み合わせによって適用するレイアウトパターンを決定できる。なお、この場合でレイアウトパターン1,3,4,6,7を適用できるか否か、すなわちスキャン画像データのサイズが記録用紙Sにおいて主走査方向に複数配置可能な大きさであるか否かを判定することが第1判定処理の一例である。
【0046】
また、短辺Wgについてはその寸法自体や記録用紙Sの用紙サイズとの関係次第で複数の寸法条件区分に該当する場合があるが、それら複数の寸法条件区分の間には印刷処理の短時間化の観点に基づいた優先、次点、最後の適用順で該当させる。そしてこれらのレイアウトパターンテーブル中のいずれのレイアウトパターンにも該当しない寸法関係にある場合には、2つのスキャン画像データのサイズが記録用紙Sに配置できないものとしてエラー処理を実行する。また、決定したレイアウトパターンを適用するにあたって表面スキャン画像データと裏面スキャン画像データのそれぞれをどの姿勢で配置すべきかについては、
図17に示すスキャン画像データ姿勢テーブルを参照する。
【0047】
<印刷処理工程について>
本実施形態の画像形成装置1においては、さらに印刷処理の短時間化を図るために、原稿スキャンユニット10と画像形成ユニット5とを連携させて行う印刷処理工程について、
図18(a)に示す一括印刷処理の工程と、
図18(b)に示す順次印刷処理の工程の2種類の印刷処理工程を使い分けて行う。
【0048】
いずれの印刷処理工程の場合でも、IDカードPidのスキャンは表面スキャンと裏面スキャンを順次個別に行う必要がある。詳細には、最初にユーザがフラットベッド11のガラス板11a上にIDカードPidの表面を当てるよう載置した状態で特に図示しないスタートボタンを押下操作することにより、原稿スキャンユニット10が原稿用紙PであるIDカードPidに対してその種類と用紙サイズだけを簡易に読み取る原稿プレスキャンを実行する。本実施形態の例では、記録用紙Sの用紙サイズがあらかじめタッチパネル130を介してユーザにより任意に設定されており、この時点でIDカードPidと記録用紙Sの種類と各用紙サイズに基づいて適用するレイアウトパターンが決定される。そして原稿スキャンユニット10がIDカードPidの表面の画像をスキャンし、その完了後にユーザがIDカードPidを手作業で裏返して再度スタートボタンを押下操作することで裏面の画像をスキャンする。このように本実施形態でのIDカードコピー印刷機能では、スキャンする対象の2つの画像が1つのIDカードPidの表面と裏面であるため、必ず上記のように2回のスキャン動作を順次個別に行う必要がある。
【0049】
これに対して画像形成ユニット5における印刷動作では、上記レイアウトパターン1,3,4,6,7のいずれかを適用した場合、すなわち記録用紙Sの主走査方向に2つのスキャン画像データを並べて配置した場合には、一括印刷処理での両面同時印刷が可能である。つまり、この例のインクヘッド51が、記録用紙Sの主走査方向に対する1ライン分の印刷においてIDカードPidの表面と裏面にそれぞれ対応する2つのスキャン画像データを同時に印刷し、これを副操作方向に対して印刷領域全体における副走査方向長さSiだけ繰り返すことで両面同時印刷できる。しかしこの両面同時印刷は、
図18(a)に示すように、表面と裏面の2つのスキャン画像データが全て取得できた状態でなければ開始することができない。
【0050】
一方、上記レイアウトパターン2,5のように2つのスキャン画像データを記録用紙Sの副操作方向に並べて配置した場合には、順次印刷処理を行う。つまり、この例のインクヘッド51が、記録用紙Sの主走査方向に対する1ライン分の印刷においてIDカードPidの表面と裏面のいずれか一方に対応する1つのスキャン画像データだけを印刷し、これを副走査方向に対して繰り返して表面と裏面の2つのスキャン画像データを順次個別に印刷する。そしてこの順次印刷処理では、後述の条件を満たした場合にのみ、同じ面に対するスキャン動作と印刷動作を並行して行うことが可能となる。つまり、
図18(b)に示すように、表面スキャンで主走査方向での1ラインスキャンを副走査方向で繰り返している最中に表面印刷を開始し、逐次取得した1ラインスキャン分のスキャン画像データを順次印刷できる。裏面スキャンと裏面印刷についても同様に並行して行える。
【0051】
ただし、このように順次印刷処理においてスキャン動作と印刷動作を並行重複して実行できるのは、スキャン姿勢と印刷姿勢が一致しているという条件が満たされる場合、つまりスキャン動作と印刷動作のそれぞれにおける原稿用紙Pの主走査方向に対する縦置きと横置きの向きが一致している場合に限られる。スキャン姿勢と印刷姿勢が一致しているか否かは表面と裏面のそれぞれで個別に状況が異なり、一致していない面に対してはスキャン動作の完了後にスキャン画像データを回転させてから印刷動作を開始しなければならない。このため、印刷動作においては表面印刷の完了後に一時的に印刷動作を中断して裏面スキャンの完了後に裏面印刷を再開する場合もある(特に図示せず)。なお、表面印刷の途中で裏面スキャンを開始することは、上記の姿勢の一致と不一致の状況に係わらず可能である。
【0052】
以上のように、一括印刷処理の場合には両面同時印刷によって2つのスキャン画像データに対する印刷動作を同時に行えるため印刷処理を短時間化でき、また順次印刷処理の場合には姿勢一致条件を満たす面に対してスキャン動作と印刷動作を並行重複して行えるため印刷処理を短時間化できる。
【0053】
<制御手順>
上記の手法を実現するための手法の一例として、CPU100が実行する制御手順を、
図19~
図22のフローチャートを用いて説明する。この制御手順は、ユーザがあらかじめタッチパネル130を介して記録用紙Sの用紙サイズを指定しておき、さらにフラットベッド11のガラス板11a上にIDカードPidの表面を当てるよう載置した状態で特に図示しないスタートボタンを押下操作した際に
図19のフローの実行が開始される。なお、この場合にタッチパネル130で記録用紙Sの用紙サイズが指定される際の処理がシートサイズ取得処理の一例である。
【0054】
まずS5で、原稿スキャンユニット10が、原稿用紙PであるIDカードPidに対してランドスケープ型とポートレイト型のいずれの種類であるかと、長辺Lg及び短辺Wgの用紙サイズだけを簡易に読み取る原稿プレスキャンを実行する。なお、この原稿プレスキャンでは画像認識を含めた各種の処理が必要であるが、その詳細な手法については公知のものを用いればよく、ここでは説明を省略する。また、このS5がデータサイズ取得処理の一例である。
【0055】
その後S10では、あらかじめユーザにより指定されている記録用紙Sの用紙サイズを取得する。そして、次のS100のレイアウト処理(後述の
図20参照)で、上記S5で取得した原稿用紙Pの種類と用紙サイズ、及び上記S10で取得した記録用紙Sの用紙サイズに基づいて、2つのスキャン画像データをそれぞれ記録用紙S上にどのような位置と姿勢で配置するかを決定する。なお、このS100のレイアウト処理が画像データ配置処理の一例である。
【0056】
次にS15で、上記取得した各用紙サイズの組み合わせに基づき、上記のS100のレイアウト処理(後述のS120参照)において原稿用紙Pの2つのスキャン画像データが記録用紙S上にレイアウト可能であると判定されたか否かを判定する。レイアウト不可能と判定されていた場合にはNO判定となり、S20へ移行する。S20では、IDカードPidの用紙サイズと記録用紙Sの用紙サイズの寸法関係ではIDカードコピー印刷を実行できない旨をタッチパネル130に表示するエラー処理を実行する。そして、このフローを終了する。
【0057】
一方、上記S15において、レイアウト可能と判定されていた場合にはYES判定となり、S25へ移行する。
【0058】
S25では、印刷処理工程として一括印刷処理を適用すべきか否かを判定する。具体的には、上記S100のレイアウト処理において記録用紙Sの主走査方向に2つのスキャン画像データを並べて配置するレイアウトパターン1,3,4,6,7のいずれかを適用したか否かを判定する。S100のレイアウト処理においてレイアウトパターン1,3,4,6,7のいずれかを適用していた場合にはYES判定となり、S200へ移行する。S200では、上記
図18(a)に示した一括印刷処理を実行し、このフローを終了する。
【0059】
一方、上記S25において、S100のレイアウト処理で2つのスキャン画像データを記録用紙Sの副操作方向に並べて配置するレイアウトパターン2,5を適用していた場合にはNO判定となり、S300へ移行する。S300では、上記
図8(b)に示した順次印刷処理を実行し、このフローを終了する。
【0060】
次に
図20に示すS100のレイアウト処理における詳細な制御手順について説明する。
【0061】
まずS105で、上記S5で取得した原稿用紙Pの種類がランドスケープ型とポートレイト型のいずれであるかを判定する。原稿用紙Pの種類がランドスケープ型である場合にはS110へ移行する。S110では、上記
図15に示したランドスケープ型用レイアウトパターンテーブルを参照し、各用紙サイズに基づいてレイアウトパターン1~3のいずれを適用するかを決定する。そして、後述のS120へ移行する。
【0062】
一方、上記S105において、原稿用紙Pの種類がポートレイト型である場合にはS115へ移行する。S115では、上記
図16に示したポートレイト型用レイアウトパターンテーブルを参照し、各用紙サイズに基づいてレイアウトパターン4~7のいずれを適用するかを決定する。そして、S120へ移行する。
【0063】
S120では、各用紙サイズの組み合わせに基づいて原稿用紙Pの2つのスキャン画像データが記録用紙S上にレイアウト可能であるか否かを判定する。具体的には、各用紙サイズの組み合わせが、各レイアウトパターンテーブル中にあるいずれかのレイアウトパターンの適用寸法条件に該当する寸法関係にあるか否かを判定する。各用紙サイズの組み合わせが、いずれのレイアウトパターンの適用寸法条件にも該当せずにレイアウト不可能である場合にはNO判定となり、このフローを終了する。
【0064】
一方、上記S120で、各用紙サイズの組み合わせが、いずれかのレイアウトパターンの適用寸法条件に該当してレイアウト不可である場合にはYES判定となり、S125へ移行する。S125では、上記
図17に示したスキャン画像データ姿勢テーブルを参照し、適用しているレイアウトパターンに基づいて表面スキャン画像データと裏面スキャン画像データのそれぞれをどの姿勢で印刷画像データ中に配置すべきかを決定する。
【0065】
その後S130で、適用しているレイアウトパターンに基づき、表面スキャン画像データと裏面スキャン画像データのそれぞれをどの位置で印刷画像データ中に配置すべきかを決定する。そして、このフローを終了する。
【0066】
次に
図21に示すS200の一括印刷処理における詳細な制御手順について説明する。
【0067】
まずS205で、原稿スキャンユニット10を作動させて原稿用紙PであるIDカードPidの表面のスキャンを開始する。そしてこの表面のスキャンが終了した際に、S210で原稿スキャンユニット10の作動を停止する。
【0068】
その後S215では、ユーザが手作業でIDカードPidを裏返してスタートボタンが押下操作されるまでループ待機し、スタートボタンが押下操作された際にはS220へ移行する。
【0069】
S220では、原稿スキャンユニット10を再度作動させて原稿用紙PであるIDカードPidの裏面のスキャンを開始する。そしてこの裏面のスキャンが終了した際に、S225で原稿スキャンユニット10の作動を停止する。
【0070】
次にS230で、印刷画像データ中において表面スキャン画像データを回転させる必要があるか否かを判定する。具体的には、上記S205でIDカードPidの表面をスキャンした際のスキャン姿勢と、適用しているレイアウトパターンにおける表面スキャン画像データの印刷姿勢が異なっているか否かを判定する。表面スキャン画像データを回転させる必要がある場合にはYES判定となり、S235へ移行する。S235では、適宜の画像処理手法により表面スキャン画像データを90°回転させ、S240へ移行する。
【0071】
一方、上記S230において、表面スキャン画像データを回転させる必要がない場合にはNO判定となり、S240へ移行する。
【0072】
S240では、印刷画像データ中において裏面スキャン画像データを回転させる必要があるか否かを判定する。具体的には、上記S220でIDカードPidの裏面をスキャンした際のスキャン姿勢と、適用しているレイアウトパターンにおける裏面スキャン画像データの印刷姿勢が異なっているか否かを判定する。裏面スキャン画像データを回転させる必要がある場合にはYES判定となり、S245へ移行する。S245では、適宜の画像処理手法により裏面スキャン画像データを90°回転させ、S250へ移行する。
【0073】
一方、上記S240において、裏面スキャン画像データを回転させる必要がない場合にはNO判定となり、S250へ移行する。
【0074】
S250では、適用しているレイアウトパターンに基づいて表面スキャン画像データと裏面スキャン画像データをそれぞれ所定の位置と姿勢で配置し、それらの全体を印刷画像データとして生成する。
【0075】
その後S255で、指定された用紙サイズの記録用紙Sに対応する供給ユニット3と搬送ユニット4を作動させて記録用紙Sの搬送を開始する。
【0076】
次にS260で、上記S250で生成した印刷画像データに基づいて画像形成ユニット5に記録用紙Sへの印刷を行わせる。このとき、印刷画像データでは、適用しているレイアウトパターン1,3,4,6,7のいずれかに基づいて2つのスキャン画像データが主走査方向に並べて配置されていることから両面同時印刷が行われる。そして2つのスキャン画像データの印刷領域に対する印刷が終了した際に、S265で画像形成ユニット5の作動を停止する。
【0077】
そしてS270で、搬送ユニット4と排出ユニット8を作動させて印刷済みの記録用紙Sを画像形成装置1の外部へ排出する。そして、このフローを終了する。
【0078】
次に
図22に示すS300の順次印刷処理における詳細な制御手順について説明する。
【0079】
まずS305で、原稿スキャンユニット10を作動させて原稿用紙PであるIDカードPidの表面のスキャンを開始する。
【0080】
その後S310で、指定された用紙サイズの記録用紙Sに対応する供給ユニット3と搬送ユニット4を作動させて記録用紙Sの搬送を開始する。
【0081】
次にS315で、逐次取得したラインスキャン分の表面スキャン画像データを画像形成ユニット5によって記録用紙Sへ順次印刷させる。
【0082】
そして上記S305から続く表面のスキャンが終了した際には、S320で原稿スキャンユニット10の作動を停止する。
【0083】
その後S325では、ユーザが手作業でIDカードPidを裏返してスタートボタンが押下操作されるまでループ待機し、スタートボタンが押下操作された際にはS330へ移行する。なお、このループ待機以降でも表面スキャン画像データで未印刷分のラインスキャンデータが残っていた場合には、画像形成ユニット5による印刷処理を並行して継続する。
【0084】
S330では、原稿スキャンユニット10を再度作動させて原稿用紙PであるIDカードPidの裏面のスキャンを開始する。
【0085】
そして上記S315から続く表面の印刷が終了した際には、S335で画像形成ユニット5の作動を停止する。
【0086】
その後S340で、上記S330から続く裏面のスキャンの最中において、それまでに取得したラインスキャン分の裏面スキャン画像データのスキャン姿勢が、上記S125で決定した裏面スキャンデータの印刷姿勢と一致しているか否かを判定する。裏面に関するスキャン姿勢と印刷姿勢が異なる場合にはNO判定となり、S345へ移行する。
【0087】
S345では、搬送ユニット4の作動を一旦中断させて記録用紙Sの搬送を停止する。
【0088】
そして上記S330から続く裏面のスキャンが終了した際に、S350で原稿スキャンユニット10の作動を停止する。
【0089】
その後S355で、取得した裏面スキャン画像データの全体を適宜の画像処理手法により90°回転させる。
【0090】
次にS360では、搬送ユニット4を再作動させて記録用紙Sの搬送を再開する。
【0091】
そしてS365で、上記S355で回転させた裏面スキャン画像データの全体を画像形成ユニット5によって記録用紙Sへ印刷させる。そして、後述するS380へ移行する。
【0092】
一方、上記S340において、裏面に関するスキャン姿勢と印刷姿勢が一致する場合にはYES判定となり、S370へ移行する。
【0093】
S370では、逐次取得したラインスキャン分の裏面スキャン画像データを画像形成ユニット5によって記録用紙Sへ順次印刷させる。
【0094】
そして上記S330から続く裏面のスキャンが終了した際に、S375で原稿スキャンユニット10の作動を停止する。そして、S380へ移行する。
【0095】
そして上記S365又はS370から続く裏面の印刷が終了した際には、S380で画像形成ユニット5の作動を停止する。
【0096】
その後S385で、搬送ユニット4と排出ユニット8を作動させて印刷済みの記録用紙Sを画像形成装置1の外部へ排出する。そして、このフローを終了する。
【0097】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置1は、原稿スキャンユニット10と、画像形成ユニット5と、CPU100とを備え、CPU100によりS5の制御手順、タッチパネル130でのユーザからの記録用紙Sの用紙サイズの指定受け付け処理、各レイアウトパターンテーブルを参照してスキャン画像データのサイズが記録用紙Sにおいて主走査方向に複数配置可能な大きさであるか否かの判定処理、レイアウト処理が行われる。S5の手順では原稿スキャンユニット10が原稿用紙Pの表面に対してスキャンを行い、表面のスキャン画像データのサイズが取得される。タッチパネル130でのユーザからの記録用紙Sの用紙サイズの指定を受け付ける処理では、原稿スキャンユニット10の主走査方向における記録用紙Sの用紙サイズが取得される。
【0098】
スキャン画像データのサイズが記録用紙Sにおいて主走査方向に複数配置可能な大きさであるか否かの判定処理では、それら取得結果に基づき、表面のスキャン画像データのサイズが、記録用紙Sにおいて主走査方向に複数配置できる大きさであるか否かが判定される。主走査方向に複数配置可能である場合には、画像形成ユニット5は、レイアウト処理での制御に基づき、表面のスキャン画像データと裏面のスキャン画像データとを主走査方向に並べて配置した画像を形成する。主走査方向に複数配置可能でない場合には、画像形成ユニット5は、レイアウト処理での制御に基づき、表面のスキャン画像データと裏面のスキャン画像データとを副走査方向に並べて配置した画像を形成する。
【0099】
これにより、表面のスキャン画像データのサイズが主走査方向に複数配置できる大きさである場合には、画像形成ユニット5は、表面及び裏面のスキャン画像データにそれぞれ対応する2つの画像を主走査方向に並べて形成することとなる。その結果、少なくともそれら2つの画像を副走査方向に並べて形成する場合に比べれば、印刷処理の短時間化を図ることができる。
【0100】
また、本実施形態では特に、スキャン画像データのサイズが記録用紙Sにおいて主走査方向に複数配置可能な大きさであるか否かの判定処理では、複数のスキャン画像データの長辺Lgが主走査方向に並べて配置可能であるか否かが判定され、長辺Lgを並べて配置可能である場合に、表面のスキャン画像データと裏面のスキャン画像データとを主走査方向に並べて配置した画像が形成される。このように表面及び裏面のスキャン画像データに対応する2つの画像が、各長辺Lgが主走査方向に並びかつ各短辺Wgが副走査方向となる態様で形成されるので、より印刷処理の短時間化を図ることができる。
【0101】
また、本実施形態では特に、原稿スキャンユニット10に対し、表面のスキャン画像データの長辺Lgが副走査方向に略平行となるように原稿用紙Pが置かれた場合には、レイアウト処理において、表面及び裏面の画像データをそれぞれ90°回転させて主走査方向に並べた画像が形成される。これにより、長辺Lgが副走査方向となる向きで原稿用紙Pを原稿スキャンユニット10に置いた場合であっても画像形成時には短辺Wg側が副走査方向となる向きで処理されることとなるので、印刷処理の短時間化を図ることができる。
【0102】
また、本実施形態では特に、スキャン画像データのサイズが記録用紙Sにおいて主走査方向に複数配置可能な大きさであるか否かの判定処理において、複数のスキャン画像データの長辺Lgが主走査方向に並べて配置できないと判定された場合、表面及び裏面のスキャン画像データのうち一方の長辺Lgと他方の短辺Wgとを組み合わせたときそれらを主走査方向に並べて配置可能であるか否かが判定される。長辺Lgと短辺Wgとを並べて主走査方向に配置可能であれば、レイアウト処理において、一方のスキャン画像データは回転させずに他方のスキャン画像データを90°回転させて、それらを主走査方向に並べて配置して画像を形成する。これにより、それら一方のスキャン画像データ及び他方のスキャン画像データを副走査方向に並べた態様で画像形成する場合に比べれば、印刷処理の短時間化を図ることができる。
【0103】
また、本実施形態では特に、スキャン画像データのサイズが記録用紙Sにおいて主走査方向に複数配置可能な大きさであるか否かの判定処理では、複数のスキャン画像データの文字左右方向を主走査方向として並べて配置可能であるか否かが判定され、文字左右方向を主走査方向として並べて配置可能である場合に、表面のスキャン画像データと裏面のスキャン画像データとを主走査方向に並べて配置した画像が形成される。このように表面及び裏面のスキャン画像データに対応する2つの画像が、各長辺Lgが主走査方向に並んだ態様で形成されるので印刷処理の短時間化を図ることができ、特に、スキャン画像データに含まれる文字が正方向となるように画像形成することができる。
【0104】
また、本実施形態では特に、原稿スキャンユニット10に対し、表面のスキャン画像データの文字の左右方向が副走査方向に略平行となるように原稿用紙Pが置かれた場合には、レイアウト処理において、表面及び裏面のスキャン画像データをそれぞれ90°回転させて主走査方向に並べた画像が形成される。これにより、文字左右方向が副走査方向となる向きで原稿用紙Pを原稿スキャンユニット10に置いた場合であっても画像形成時には左右方向が主走査方向となる向きで処理されることとなるので、画像データに含まれる文字が正方向となるように画像形成することができる。
【0105】
また、本実施形態では特に、スキャン画像データが主走査方向に複数配置可能できない場合に、CPU100の制御に基づき、原稿スキャンユニット10が表面に対するスキャンの実行を開始した後に裏面に対するスキャンの実行中において画像形成ユニット5が表面のスキャン画像データに基づく画像の形成を開始し、原稿スキャンユニット10による上記裏面に対するスキャンの完了後に画像形成ユニット5が裏面のスキャン画像データに基づく画像を形成する。すなわち、本実施形態においては、裏面をスキャン中に表面のスキャン画像データに基づく画像が形成される、言い換えれば、裏面のスキャン動作と表面に対応した画像形成動作とが少なくとも一部並行して行われる。これにより、スキャン画像データをシートにおける主走査方向に複数配置できない場合であっても、表面スキャン→表面対応の画像形成→裏面スキャン→裏面対応の画像形成の順で単純に実行する場合に比べれば、印刷処理の短時間化を図ることができる。なお、以上のように1枚の記録用紙Sに対して表面印刷と裏面印刷を断続的に実行、つまり印刷の途中で一時中断できるのは画像形成ユニット5が本実施形態の例のようにインクジェット方式であることで可能となり、他のレーザー方式などではできない。しかし、順次印刷工程の場合でも表面スキャンと裏面スキャンの両方を完了した後に表面スキャンと裏面スキャンを順次連続して行う場合には、レーザー方式の画像形成ユニット5でも対応できる。このレーザー方式の場合には、感光体の長さ方向が主走査方向に対応する。
【0106】
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例も技術的範囲に含まれる。
【0107】
(1)記録用紙の用紙サイズを自動選択する場合
上記実施形態では、あらかじめユーザが任意に選択した用紙サイズの記録用紙Sを使用していた。これに対して、例えば上記
図6に対応する
図23に示すように、主走査方向の短辺寸法Mp、副走査方向の長辺寸法Spの用紙サイズにあるユーザが指定した記録用紙Sで2つのスキャン画像データを主走査方向に並べて配置するレイアウトパターン1が適用可能であるとする。これに対して、さらに短い短辺寸法Mp′、長辺寸法Sp′のより小さい用紙サイズの記録用紙S′でも同じレイアウトパターン1が適用可能な場合がある。この場合には、印刷処理の短時間化の観点でも小さい用紙サイズの記録用紙S′を使用した方が有利である。このため本変形例では、特にユーザからの指定がない場合に、適切なレイアウトパターンを適用可能でありながらできるだけ小さい用紙サイズの記録用紙Sを自動的に選択する機能について説明する。
【0108】
この用紙サイズの自動選択機能においては、あらかじめ当該画像形成装置1が備える複数の供給ユニット3でそれぞれの給紙トレイ30にどのような用紙サイズの記録用紙Sが縦置きと横置きのいずれの姿勢で収容されているかが登録されている。そして、それら登録されている用紙サイズのうち最も小さいものから順にレイアウトパターン1が適用可能であるかを判定して、適用可能な最も小さい用紙サイズを決定する。
【0109】
上記の手法を実現するための手法の一例として、CPU100が実行する給紙トレイ決定処理S400の制御手順を、
図24のフローチャートを用いて説明する。この制御手順は、上記
図19のフローにおけるS10の代わりに実行する。
【0110】
まずS405で、ユーザから記録用紙Sの用紙サイズが指定されているか否かを判定する。あらかじめユーザから記録用紙Sの用紙サイズが指定されていた場合にはYES判定となり、S410へ移行する。S410では、ユーザから指定されている用紙サイズの記録用紙Sを収容している給紙トレイ30を、使用対象の給紙トレイ30に決定する。そして、このフローを終了する。
【0111】
一方、上記S405において、ユーザからの用紙サイズが指定されていなかった場合にはNO判定となり、S415へ移行する。S415では、当該画像形成装置1が備えている複数の給紙トレイ30のうち最も用紙サイズの小さい記録用紙S′を収容している給紙トレイ30を選択する。
【0112】
その後S420で、上記S5の原稿プレスキャンで取得した原稿用紙Pの長辺Lgが、その時点で選択している給紙トレイ30の記録用紙S′の主走査方向寸法Mp′の1/2の寸法より小さいか否かを判定する。なお、記録用紙S′の主走査方向寸法Mp′がシートの幅寸法の一例である。長辺Lgが主走査方向寸法Mp′の1/2の寸法より小さい場合にはYES判定となり、S425へ移行する。
【0113】
S425では、上記S5の原稿プレスキャンで取得した原稿用紙Pの短辺Wgが、その時点で選択している給紙トレイ30の記録用紙S′の副走査方向寸法Sp′より小さいか否かを判定する。言い換えると、このS425の判定は上記S420の判定と併せて、その時点で選択している記録用紙S′の用紙サイズが、2つのスキャン画像データを主走査方向に並べるレイアウトパターン1を適用できるか否かを判定する。なお、これらS420とS425の手順が第2判定処理の一例であり、記録用紙S′の副走査方向寸法Sp′がシートの長さ寸法の一例である。短辺Wgが副走査方向寸法Sp′より小さい場合にはYES判定となり、S430へ移行する。
【0114】
S430では、その時点で選択している給紙トレイ30をIDカードコピー機能で使用する給紙トレイ30に決定し、このフローを終了する。
【0115】
一方、上記S420において、長辺Lgが主走査方向寸法Mp′の1/2以上に大きい場合にはNO判定となり、S435へ移行する。また、上記S425において、短辺Wgが副走査方向寸法Sp′以上に大きい場合にはNO判定となり、同じくS435へ移行する。
【0116】
S435では、上記のS420とS425のいずれの判定もまだしていないより大きい用紙サイズの給紙トレイ30があるか否かを判定する。未判定の用紙サイズの給紙トレイ30がもうない場合にはNO判定となり、S430へ移行する。この場合、当該画像形成装置1が収容している最大の用紙サイズの給紙トレイ30を選択した状態であり、後のレイアウト処理によってこの最大用紙サイズの記録用紙S′に対して適用可能なレイアウトパターンを決定させる。
【0117】
一方、上記S435において、未判定の用紙サイズの給紙トレイ30がまだ他にもある場合にはYES判定となり、S440へ移行する。S440では、その時点で選択している用紙サイズの次に小さい用紙サイズの給紙トレイ30を選択し、上記S420へ戻って同様の手順を繰り返す。
【0118】
なお、このS400の給紙トレイ決定処理が収容部特定処理の一例であり、このS400で決定した給紙トレイ30を対象として記録用紙S′の給紙を行う場合の上記S255とS310の手順が給紙処理の一例である。
【0119】
以上説明したように、本変形例においては、互いにサイズの異なる複数種類の記録用紙S′が複数の給紙トレイ30に種類別にそれぞれ収容されている。CPU100によりS400の給紙トレイ決定処理が実行されることで、それら複数の給紙トレイ30のうちスキャン画像データを主走査方向に複数配置可能な用紙サイズの記録用紙S′を収容した給紙トレイ30が特定され、S255とS310の手順が実行されることでその特定された給紙トレイ30から記録用紙S′が給紙される。これにより、スキャン画像データのサイズが記録用紙S′において主走査方向に複数配置可能な大きさであるか否かの判定処理において、スキャン画像データが主走査方向に複数配置可能であると判定された場合に、上記特定された給紙トレイ30から給紙された記録用紙Sに対して、画像形成ユニット5が表面のスキャン画像データと裏面のスキャン画像データとを主走査方向に並べて配置した画像を形成することができる。
【0120】
また、本変形例では特に、S400の給紙トレイ決定処理で上述のように給紙トレイ30を特定する際、S420とS425の手順が実行されることで、収容している記録用紙Sの用紙サイズが最も小さい給紙トレイ30から順に各給紙トレイ30が、スキャン画像データを記録用紙S′において主走査方向に複数配置可能な用紙サイズであるか否かが順次判定される。これにより、S400の給紙トレイ決定処理における給紙トレイ30の特定を円滑かつ迅速に行うことができる。
【0121】
また、本実施形態では特に、S400の給紙トレイ決定処理で上述のように給紙トレイ30を特定する際、スキャン画像データの長辺Lgのサイズが記録用紙S′の主走査方向寸法Mp′の1/2未満で、かつ、スキャン画像データの短辺Wgのサイズが記録用紙S′の副走査方向寸法Sp′の1/2未満である、ことを条件とする。すなわち、このような条件を満たす給紙トレイ30を、スキャン画像データを記録用紙S′において主走査方向に複数配置可能な用紙サイズの記録用紙S′を収容した給紙トレイ30である、と特定する。これにより、複数の給紙トレイ30のうち、スキャン画像データを記録用紙S′の主走査方向において複数配置可能な記録用紙S′を収容する給紙トレイ30を精度よく特定し、その特定した給紙トレイ30から記録用紙S′を給紙して印刷処理の短時間化を図ることができる。
【0122】
また、
図19~
図22、
図24に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0123】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0124】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0125】
1 画像形成装置
5 画像形成ユニット(画像形成部の一例)
10 原稿スキャンユニット(読取部の一例)
30 給紙トレイ(給紙部の一例)
100 CPU(制御部の一例)
S 記録用紙(シートの一例)
P,Pid 原稿用紙(原稿の一例)