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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095333
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/60 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
B65H29/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208603
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠田 浩輝
【テーマコード(参考)】
3F053
【Fターム(参考)】
3F053EA05
3F053EB07
3F053EC05
3F053EC09
3F053ED25
3F053ED27
3F053LA06
3F053LA07
3F053LB09
(57)【要約】
【課題】反転手段に搬入された記録媒体のジャム処理を行う際に、容易な操作で内部に滞留した記録媒体を所定の場所に排出すること。
【解決手段】記録装置1は、搬入されるカードを回転しながら搬送して排出するローラ対20及びローラ対21を備え、ローラ対20及びローラ対21を従動回転させながら回転可能な反転ユニットFと、反転ユニットFより排出されるカードに記録を行う非接触式IC記録部23、磁気記録部24又は接触式IC記録部27と、を有する。反転ユニットFとローラ対20及びローラ対21とは、反転ユニットFに搬入されたカードのジャム処理を行う際に、互いに連動せずに回転する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入される記録媒体を回転しながら搬送して排出する搬送ローラを備え、前記搬送ローラを従動回転させながら回転可能な反転手段と、
前記反転手段より排出される記録媒体に記録を行う記録手段と、
を有し、
前記反転手段と前記搬送ローラとは、
前記反転手段に搬入された記録媒体のジャム処理を行う際に、互いに連動せずに回転する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記反転手段は、
前記ジャム処理を行う際に、記録媒体を排出可能となる排出位置に到達するまでは前記搬送ローラを従動回転させずに回転し、前記排出位置に到達した後に回転を停止して前記搬送ローラが回転することにより記録媒体を排出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記ジャム処理を行う際に、前記反転手段又は前記搬送ローラを回転させる駆動手段を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、
前記ジャム処理を行う際に操作可能となる、
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記ジャム処理を行う際において、前記搬送ローラにより記録媒体を排出する際に前記反転手段の回転を停止させる停止手段を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記反転手段は、
前記ジャム処理を行う際に、前記記録手段にて記録エラーを生じた記録媒体を排出する排出口の位置まで回転する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記反転手段は、
前記搬送ローラが回転を開始するトルクの値よりも小さいトルクの値で回転を開始する、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記反転手段は、
前記ジャム処理を行う際に、前記搬送ローラにより記録媒体を排出可能な一方向にのみ回転する、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックカード又は厚紙カード等の記録媒体に記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種証明書用カード又は決済用カード等に使用されるカード類に情報を記録する記録装置が広く知られている。このような記録装置としては、例えば、磁気情報又はIC情報等の電子情報をカード類に記録し、これと同時にカード類の表面及び裏面に顔写真、氏名又は名称等の画像データを形成するカード発行システムの端末装置が知られている。
【0003】
このような端末装置には、カード類を反転させて表面と裏面との両面に画像データを形成するために、又は装置内の画像印刷部やIC記録部等に各パスを介してカード類を送るために、カード類を保持した状態で回転する回転フレームを備えたものが有る。また、このような端末装置では、カード類のジャムが発生した場合に、サービスマン又はユーザーが簡単かつ安全にジャムを解消できるようにする必要がある。
【0004】
特許文献1は、カードカセットの収納部と画像形成部の媒体搬送経路とを装置内に上下に配置し、この収納部と媒体搬送経路との間の隔壁を、ジャムしたカード類を除去するための開閉可能な経路開閉部材とする記録装置を開示している。
【0005】
また、特許文献1の記録装置では、カード類の搬送不良、制御のエラー又は不意な電源消失等により、回転フレームの内部でカードがジャムする場合もある。このようなジャムを生じた場合には、ハンドルで反転フレームを回転させて反転フレームのカード排出口と本体のカード排出パスの入口との位置を合わせた後に、搬送ダイヤルの操作で搬送ローラを回転させて反転フレーム内のカードを排出パスに送り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-123074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1においては、搬送ローラと反転フレームとが駆動ギアで接続されているため、ハンドルを操作して反転フレームを回転させると搬送ローラも回転して、反転フレーム内のカードを送り出してしまう。これにより、特許文献1においては、送り出されたカードが反転フレームの外周のパスに引っ掛かり、反転フレームを回転させることができなくなり、最悪の場合にはカード又はパスを損傷させてしまうという課題を有する。
【0008】
本発明の目的は、反転手段に搬入された記録媒体のジャム処理を行う際に、容易な操作で内部に滞留した記録媒体を所定の場所に排出することができる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の記録装置は、搬入される記録媒体を回転しながら搬送して排出する搬送ローラを備え、前記搬送ローラを従動回転させながら回転可能な反転手段と、前記反転手段より排出される記録媒体に記録を行う記録手段と、を有し、前記反転手段と前記搬送ローラとは、前記反転手段に搬入された記録媒体のジャム処理を行う際に、互いに連動せずに回転する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反転手段に搬入された記録媒体のジャム処理を行う際に、容易な操作で内部に滞留した記録媒体を所定の場所に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る記録装置の模式図である。
図2】本発明の実施の形態に係る記録装置の一部の斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る記録装置の回転フレームの模式図である。
図4】本発明の実施の形態に係る記録装置の記録媒体を引き込む回転フレームの模式図である。
図5】本発明の実施の形態に係る記録装置のストッパが展開する際の回転フレームの模式図である。
図6】本発明の実施の形態に係る記録装置の回転する回転フレームの模式図である。
図7】本発明の実施の形態に係る記録装置の記録媒体を排出する回転フレームの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
<記録装置の構成>
本発明の実施の形態に係る記録装置1の構成について、図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0014】
記録装置1は、各種証明用のIDカード又は商取引用のクレジットカード等の記録媒体としてのカードに情報を記録する。具体的には、記録装置1は、ハウジング2と、情報記録部Aと、画像形成部Bと、媒体収容部Cと、収容部Dと、を有している。
【0015】
ハウジング2は、情報記録部A、画像形成部B、媒体収容部C及び収容部Dを収容している。
【0016】
情報記録部Aは、記録装置1の仕様に応じて、バーコード記録部等の記録部を備え、媒体収容部Cから供給されるカードに記録を行うと共に、記録を行ったカードを画像形成部Bに向けて搬送する。
【0017】
画像形成部Bは、情報記録部Aから搬送されてきたカードの表面及び裏面に顔写真又は文字データ等の画像を形成すると共に、画像を形成したカードを収容部Dに排出する。
【0018】
媒体収容部Cは、複数のカードを収納しており、収納しているカードを情報記録部Aに供給する。
【0019】
収容部Dは、画像形成部Bから排出されたカードを収容する。
【0020】
<情報記録部の構成>
本発明の実施の形態に係る記録装置1の情報記録部Aの構成について、図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0021】
情報記録部Aは、搬入ローラ22と、反転ユニットFと、非接触式IC記録部23と、磁気記録部24と、リジェクトスタッカ25と、接触式IC記録部27と、遮蔽板70と、を備えている。
【0022】
搬入ローラ22は、カードカセット3から送られてきたカードを反転ユニットFに送る。
【0023】
反転手段としての反転ユニットFは、搬入ローラ22から送られてきたカードを内部に搬入して保持した状態で所定角度回転して姿勢を偏向した後に、記録手段としての非接触式IC記録部23、磁気記録部24又は接触式IC記録部27に移送する。反転ユニットFは、非接触式IC記録部23、磁気記録部24又は接触式IC記録部27から送られてきたデータ入力済みのカードを、内部に搬入して保持した状態で所定角度回転して姿勢を偏向した後に、搬送ローラ29に移送する。
【0024】
反転ユニットFは、非接触式IC記録部23、磁気記録部24又は接触式IC記録部27から送られてきた記録エラーとなったカードを、内部に搬入して保持した状態で所定角度回転して姿勢を偏向した後に、リジェクトスタッカ25に搬出する。なお、反転ユニットFの構成の詳細については後述する。
【0025】
非接触式IC記録部23は、反転ユニットFの外周に対向して設けられている。非接触式IC記録部23は、反転ユニットFから移送されるカードに対して電気的にデータ入力し、データ入力したカードを反転ユニットFに移送する。具体的には、非接触式IC記録部23は、ICリーダライタ基板67と、ICリーダライタアンテナ69と、を備えている。
【0026】
ICリーダライタ基板67は、所定の情報をICリーダライタアンテナ69に送信する。
【0027】
ICリーダライタアンテナ69は、反転ユニットFから媒体搬送パス68に移送されるカードに埋設されているICチップに対して、ICリーダライタ基板67から取得する情報に基づいて電波信号を送信して電気的にデータ入力して情報を記録する。
【0028】
磁気記録部24は、反転ユニットFの外周に対向して設けられている。磁気記録部24は、反転ユニットFから移送されるカードに対して磁気的にデータ入力し、データ入力したカードを反転ユニットFに移送する。
【0029】
リジェクトスタッカ25は、反転ユニットFから搬出される記録エラー又はジャムを生じたカードを収容する。
【0030】
接触式IC記録部27は、反転ユニットFの外周に対向して設けられている。接触式IC記録部27は、反転ユニットFから移送されるカードに対して電気的にデータ入力し、データ入力したカードを反転ユニットFに移送する。
【0031】
遮蔽板70は、媒体搬送パス68と媒体搬送経路P1との間に設けられ、特定帯域の電波を吸収して遮断する材料によって形成される電波吸収体としてのシールド材を備えている。遮蔽板70は、ICリーダライタアンテナ69からの電波信号を遮閉することで、媒体搬送経路P1にて搬送途中の他のカードに誤って記録されることを防止する。
【0032】
<画像形成部の構成>
本発明の実施の形態に係る記録装置1の画像形成部Bの構成について、図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0033】
画像形成部Bは、カードの搬送方向において反転ユニットFよりも下流側に設けられており、ここでは昇華型インクリボンで画像形成する構成を例示する。
【0034】
画像形成部Bは、搬送ローラ29と、搬送ローラ30と、ヒートローラ33と、デカール機構36と、搬送ローラ37と、搬送ローラ38と、冷却ファン39と、サーマルヘッド40と、を備えている。また、画像形成部Bは、インクリボン41と、カートリッジ42と、操出ロール43と、巻取ロール44と、プラテンローラ45と、巻取ローラ47と、繰出ローラ48と、移送ローラ49と、を備えている。更に、画像形成部Bは、ニップコロ71と、ニップコロ72と、受部73と、押圧部74と、を備えている。
【0035】
搬送ローラ29及び搬送ローラ30は、媒体搬送経路P1に設けられている。搬送ローラ29及び搬送ローラ30は、図示しない搬送モータに連結されて正転と逆転とを切り換え可能であり、正転した際に反転ユニットFから移送されるカードを収容部Dに向けて搬送し、逆転した際に反転ユニットFに向けてカードを搬送する。なお、画像形成部Bは、搬送ローラ29及び搬送ローラ30に代えて、搬送ベルトを設けてカードを搬送してもよい。
【0036】
ヒートローラ33は、図示しない昇降機構によって、プラテンローラ31に転写フィルム46を介して圧接する位置と、プラテンローラ31から離間する位置と、の間で昇降する。ヒートローラ33は、加熱ローラで構成され、内部に配置されている図示しない加熱手段で転写フィルム46上の画像をカード表面に転写する。
【0037】
デカール機構36は、搬送ローラ37と搬送ローラ38との間に設けられ、搬送ローラ37と搬送ローラ38との間に保持されたカードの中央部を押圧することによって、熱転写によりカードに生じたカールを矯正する。デカール機構36は、カム等の図示しない昇降機構によって図1において上下方向に移動可能に構成されている。
【0038】
搬送ローラ37及び搬送ローラ38は、媒体搬送経路P2に設けられており、図示しない搬送モータに連結されて媒体搬送経路P1から移送されてくるカードを収容スタッカ60に向けて搬送する。
【0039】
冷却ファン39は、記録装置1の内部に発生した熱を外部に排出してサーマルヘッド40を冷却する。
【0040】
サーマルヘッド40は、プラテンローラ45に対向する位置に設けられている。サーマルヘッド40は、図示しないヘッドコントロール用ICにより画像データに従って加熱制御されることにより、インクリボン41を用いて転写フィルム46に画像形成する。
【0041】
インクリボン41は、カートリッジ42に収納されている。
【0042】
カートリッジ42は、インクリボン41を繰り出す操出ロール43と、インクリボン41を巻き取る巻取ロール44と、を備えている。
【0043】
操出ロール43は、巻取ロール44との間に巻回されているインクリボン41を、サーマルヘッド40とプラテンローラ45との間に繰り出す。
【0044】
巻取ロール44には、ワインドモータMr1が連結されている。巻取ロール44は、ワインドモータMr1が駆動することによってサーマルヘッド40の熱制御と同期して回転し、インクリボン41を所定速度で巻き取る。
【0045】
プラテンローラ45は、サーマルヘッド40との間でインクリボン41及び転写フィルム46を挟持して、インクリボン41及び転写フィルム46をサーマルヘッド40に圧接する。
【0046】
巻取ローラ47及び繰出ローラ48には、転写フィルム46が巻回されている。巻取ローラ47及び繰出ローラ48は、巻取ローラ47に連結されているワインドモータMr2が駆動することによって転写フィルム46を移送して、転写フィルム46に転写された転写画像をプラテンローラ31とヒートローラ33との間に移送する。
【0047】
移送ローラ49は、図示しない駆動モータが連結されている。移送ローラ49は、周囲に配置されているピンチローラ32a及びピンチローラ32bとの間で転写フィルム46を挟持して、インクリボン41と同一速度で図1において反時計方向に転写フィルム46を移動させる。
【0048】
ニップコロ71は、媒体搬送経路P1から移送されてくるカードを、デカール機構36によってカールを矯正するために搬送ローラ37との間でニップする。ニップコロ71は、押圧部74が昇降機構によって押し下げられた際に下方に移動して、搬送ローラ37との間でカードのニップを解除する。
【0049】
ニップコロ72は、搬送ローラ37とニップコロ71とによって搬送されてくるカードを、デカール機構36によってカールを矯正するために搬送ローラ38との間でニップする。ニップコロ72は、押圧部74が昇降機構によって押し下げられた際に下方に移動して、搬送ローラ37との間でカードのニップを解除する。
【0050】
受部73は、押圧部74が昇降機構によって押し下げられた際に、押圧部74を受け止めながらニップコロ71及びニップコロ72と共に下方に移動する。
【0051】
押圧部74は、昇降機構によって押し下げられる。
【0052】
<媒体収容部の構成>
本発明の実施の形態に係る記録装置1の媒体収容部Cの構成について、図1及び図2を参照しながら、詳細に説明する。
【0053】
媒体収容部Cは、カードカセット3と、分離ローラ9と、ピックアップローラ19と、を備えている。
【0054】
カードカセット3は、ハウジング2から分離して設けられており、複数枚のカードを立位姿勢で整列して収納しており、図1において左端から右端にカードを繰り出す。カードカセット3は、ジャムを起こした際等に、図2に示すように、図示しない取っ手によって上方に引き上げられてハウジング2のカセット装着エリアから取り外し可能になっている。なお、カードカセットは、ハウジング2にホッパ状に設けたカセットであってもよい。
【0055】
分離ローラ9及びピックアップローラ19は、カードカセット3に収納されているカードを、1枚ずつ分離して搬入ローラ22に送る。
【0056】
なお、図1に示すカードカセット3は、傾斜したカード供給方向にカードを送る構成にしたが、ハウジング2に対して上方向にカードを引き上げて送る構成であってもよい。
【0057】
<収容部の構成>
本発明の実施の形態に係る記録装置1の収容部Dの構成について、図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0058】
収容部Dは、収容スタッカ60と、昇降機構61と、を備えている。
【0059】
収容スタッカ60は、搬送ローラ38とニップコロ72とによって送られてくるカードを収容する。
【0060】
昇降機構61は、カードを収容する収容スタッカ60を下降させる。
【0061】
<反転ユニットの構成>
本発明の実施の形態に係る記録装置1の反転ユニットFの構成について、図1から図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0062】
反転ユニットFは、媒体搬送経路P1に設けられている。具体的には、反転ユニットFは、ローラ対20と、ローラ対21と、搬送アイドラギア26と、搬送駆動ギア28と、媒体搬入経路65と、を備えている。また、反転ユニットFは、回転フレーム80と、ストッパ81と、反転部駆動ギア82と、当接部84と、反転部回転ハンドル90と、を備えている。
【0063】
搬送ローラとしてのローラ対20及びローラ対21は、回転フレーム80に対して回転自在に支持されている。ローラ対20及びローラ対21は、図示しない搬送モータによって搬送アイドラギア26及び搬送駆動ギア28を介して駆動される。ローラ対20及びローラ対21は、回転フレーム80の回転に従動回転することが可能である。ローラ対20及びローラ対21は、反転部駆動ギア82と搬送駆動ギア28との両方が回転する場合に、回転フレーム80の回転による従動回転と搬送駆動ギア28による駆動回転とが相殺されて回転しない構成となっている。
【0064】
ローラ対20及びローラ対21は、反転ユニットFの内部の媒体搬入経路65にカードを搬入してニップしながら搬送する。ローラ対20及びローラ対21は、ニップしながら搬送するカードを反転ユニットFの外部に移送して排出する。
【0065】
搬送アイドラギア26は、回転フレーム80に対して回転自在に支持されており、ローラ対20及びローラ対21の図示しないギアに噛合していると共に、搬送駆動ギア28に噛合している。
【0066】
搬送駆動ギア28は、回転フレーム80に対して回転自在に支持されており、搬送アイドラギア26に噛合していると共に、反転部回転ハンドル90に接続している。
【0067】
媒体搬入経路65は、回転フレーム80の内部に設けられており、ローラ対20及びローラ対21によってカードが搬送される。
【0068】
回転フレーム80は、ハウジング2に対して回転可能に軸受け支持されている。回転フレーム80は、図示しないモータによって反転部駆動ギア82を介して駆動される。回転フレーム80は、ローラ対20及びローラ対21が回転を開始するトルクの値よりも小さいトルクの値で回転を開始する。回転フレーム80は、反転部駆動ギア82と搬送駆動ギア28との両方が回転する場合に回転する構成となっている。
【0069】
停止手段としてのストッパ81は、記録装置1の内部に収納されていると共に回転フレーム80の外周部に対向して設けられており、回転フレーム80の外周部との対向方向に移動可能になっている。ストッパ81は、フロントカバー91が閉じられている場合に、フロントカバー91の裏に設けられている図示しない突起によって回転フレーム80の外周部に対する突出方向への移動が規制されている。ストッパ81は、図2に示すようにフロントカバー91が開かれた場合に、フロントカバー91の裏に設けられている突起による回転フレーム80の外周部に対する突出方向への移動の規制が解除されて、回転フレーム80の外周部に向けて突出する。
【0070】
反転部駆動ギア82は、パルスモータ等の図示しない旋回モータによって駆動されることにより、回転フレーム80を回転させる。
【0071】
当接部84は、回転フレーム80に設けられており、回転フレーム80の回転に伴って、回転フレーム80の外周部に向けて突出するストッパ81に当接して回転フレーム80の回転を停止させる。
【0072】
駆動手段としての反転部回転ハンドル90は、記録装置1のフロントカバー91を開けないと操作者がアクセスして操作できない位置に配置されており、搬送駆動ギア28に接続している。反転部回転ハンドル90には、図2に示すS1方向にのみ駆動するようにワンウェイクラッチが配置されている。
【0073】
上記の構成を有する反転ユニットFにおいて、回転フレーム80と、ローラ対20及びローラ対21と、を一つのパルスモータで回転させると共にクラッチで切り換えるように構成してもよい。
【0074】
なお、図1に示す反転ユニットFは、非接触式IC記録部23に向けて旋回して、ローラ対20及びローラ対21により非接触式IC記録部23に向けてカードを搬出する媒体搬入経路65を形成している場合を例示している。
【0075】
<反転ユニットの動作>
本発明の実施の形態に係る記録装置1の反転ユニットFの動作について、図4から図7を参照しながら、詳細に説明する。
【0076】
反転ユニットFは、図4に示すように、搬送駆動ギア28に接続されている図示しない搬送モータが駆動することにより、搬送駆動ギア28及び搬送アイドラギア26を介してローラ対20及びローラ対21が回転する。これにより、反転ユニットFは、カードGを媒体搬入経路65に搬入して保持する。
【0077】
次に、反転ユニットFは、反転部駆動ギア82に接続されている図示しない旋回モータが駆動することにより、反転部駆動ギア82を介して回転フレーム80が回転する。これにより、反転ユニットFは、カードGを媒体搬入経路65に保持した状態で、カードGの所定の排出位置まで所定角度回転する。
【0078】
次に、反転ユニットFは、図示しない搬送モータが駆動することにより、搬送駆動ギア28及び搬送アイドラギア26を介してローラ対20及びローラ対21が回転する。これにより、反転ユニットFは、カードGを媒体搬入経路65において搬送すると共に媒体搬入経路65より排出する。
【0079】
上記の動作中において、反転ユニットFの内部でジャムが発生した場合に、操作者は、ジャム処理を行うために記録装置1のフロントカバー91を開ける。これにより、フロントカバー91によって覆われていた反転部回転ハンドル90は、操作者がアクセスして操作可能な状態になる。また、フロントカバー91の裏に設けられている図示しない突起によって記録装置1の内部に収納されていたストッパ81は、フロントカバー91が開けられることにより、図5に示すように、回転フレーム80の外周部に向かうS2方向に突出する。
【0080】
次に、操作者は、反転部回転ハンドル90を図2に示すS1方向に回転させる。操作者が反転部回転ハンドル90をS1方向に回転させることによって生じる駆動力は、反転部回転ハンドル90に接続されている搬送駆動ギア28に伝達される。そして、搬送駆動ギア28は、搬送アイドラギア26、ローラ対20及びローラ対21を介して回転フレーム80を図6に示すS3方向に回転させる。
【0081】
この際に、回転フレーム80は、反転部回転ハンドル90から搬送駆動ギア28を介して駆動力を受ける搬送アイドラギア26、ローラ対20及びローラ対21の供回り(連れ回り)トルクによって回転する。また、搬送アイドラギア26、ローラ対20及びローラ対21は、回転しない。更に、反転部駆動ギア82は、接続されているモータが駆動していないため、回転フレーム80の回転に従動回転する。ここで、ローラ対20及びローラ対21の供回りトルクは、トルクリミッタ等により調整することが可能である。
【0082】
また、回転フレーム80は、反転部回転ハンドル90がワンウェイクラッチによってS1方向にのみ駆動するため、カードGをリジェクトスタッカ25に排出可能な一方向であるS3方向にのみ回転する。
【0083】
次に、回転フレーム80は、図6に示すように、ストッパ81に当接することにより回転を停止する。これにより、回転フレーム80は、媒体搬入経路65からカードGをリジェクトスタッカ25に排出可能となる排出位置としての排出口83に到達する。
【0084】
次に、操作者は、反転部回転ハンドル90をS1方向に更に回転させる。操作者が反転部回転ハンドル90をS1方向に更に回転させることによって生じる駆動力は、反転部回転ハンドル90から搬送駆動ギア28及び搬送アイドラギア26を介してローラ対20及びローラ対21に伝達される。そして、ローラ対20及びローラ対21は、反転部回転ハンドル90からローラ対20及びローラ対21に加わるトルクがローラ対20及びローラ対21の供回りトルクを超えた際に回転を開始する。これにより、ローラ対20及びローラ対21は、図7に示すように、回転フレーム80の回転と連動せずに回転して、媒体搬入経路65から外部にカードGを排出する。
【0085】
このように、本実施の形態では、反転ユニットFに搬入されたカードのジャム処理を行う際に、回転フレーム80の回転とローラ対20及びローラ対21の回転とが連動しない。これにより、ジャム処理を行う際に、容易な操作で内部に滞留した記録媒体を所定の場所に排出することができる。
【0086】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
1 記録装置
2 ハウジング
3 カードカセット
9 分離ローラ
19 ピックアップローラ
20 ローラ対
21 ローラ対
22 搬入ローラ
23 記録部
24 磁気記録部
25 リジェクトスタッカ
26 搬送アイドラギア
27 記録部
28 搬送駆動ギア
29 搬送ローラ
30 搬送ローラ
31 プラテンローラ
32a ピンチローラ
32b ピンチローラ
33 ヒートローラ
36 デカール機構
37 搬送ローラ
38 搬送ローラ
39 冷却ファン
40 サーマルヘッド
41 インクリボン
42 カートリッジ
43 繰出ロール
44 巻取ロール
45 プラテンローラ
46 転写フィルム
47 巻取ローラ
48 繰出ローラ
49 移送ローラ
60 収容スタッカ
61 昇降機構
65 媒体搬入経路
67 リーダライタ基板
68 媒体搬送パス
69 リーダライタアンテナ
70 遮蔽板
71 ニップコロ
72 ニップコロ
73 受部
74 押圧板
80 回転フレーム
81 ストッパ
82 反転部駆動ギア
83 排出口
84 当接部
90 反転部回転ハンドル
91 フロントカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7