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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009536
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】速度調整装置及び遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20220106BHJP
   A47H 5/02 20060101ALI20220106BHJP
   E06B 9/80 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
E06B9/322
A47H5/02
E06B9/80 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021175153
(22)【出願日】2021-10-27
(62)【分割の表示】P 2020127798の分割
【原出願日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2019220287
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】江波戸 武信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤一
(72)【発明者】
【氏名】岡村 正
(72)【発明者】
【氏名】和田 壮史
(72)【発明者】
【氏名】外村 研人
【テーマコード(参考)】
2E042
2E043
2E182
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042CA02
2E042CA03
2E042CB04
2E042CB06
2E043AA01
2E043AA02
2E043AA04
2E043AA05
2E043BB13
2E043BB15
2E043BC03
2E043BD01
2E043BE12
2E043BE14
2E043DA06
2E182AC15
2E182EE03
2E182EE04
2E182EE05
2E182EF14
2E182EG01
(57)【要約】
【課題】内部にゴミが入るのを予防した構造を有し、遮蔽装置における遮蔽材の開閉に用いる所定のコードの一方向の移動速度を制限して遮蔽材の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置及び遮蔽装置を提供する。
【解決手段】本発明による一態様の速度調整装置6は、遮蔽材の開閉に用いる昇降コードC1,C2,C3の一方向の移動速度を制限する制動機構、及び当該昇降コードを挿通するコード挿通孔614を有し当該制動機構を収容するハウジング(69,61)を有する速度調整器6Sと、当該昇降コードの移動を案内するコードガイド6Mと、速度調整器6Sの上方に位置させ速度調整器6Sに対する防塵機能を有するカバー6Tとを備える。本発明の遮蔽装置は、本発明の速度調整装置6Sと、当該遮蔽材を支持し速度調整装置6Sを配設する少なくとも上部が開口している枠体(ヘッドボックス1)と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽装置における遮蔽材の開閉に用いる所定のコードの一方向の移動速度を制限して遮蔽材の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置であって、
前記所定のコードの一方向の移動速度を制限する制動機構、及び、前記所定のコードを挿通するコード挿通孔を有し前記制動機構を収容するハウジングを有する速度調整器と、
前記所定のコードの移動を案内するコードガイドと、
前記速度調整器の上方に位置するよう係合させることにより前記速度調整器に対する防塵機能を有するカバーと、
を備えることを特徴とする速度調整装置。
【請求項2】
前記カバーは、当該所定のコードの移動方向にて前記速度調整器の両端部から突出する長さの本体長を有することを特徴とする、請求項1に記載の速度調整装置。
【請求項3】
前記コードガイドは、前記速度調整器のハウジングに対して着脱可能に取着され、
前記カバーは、前記コードガイドに対して着脱可能に取着されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の速度調整装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記コードガイドに対して前後及び左右方向の横ずれを抑制しつつ上方から被せるように係合する第1の係合手段を有することを特徴とする、請求項3に記載の速度調整装置。
【請求項5】
前記カバーは、前記所定のコードの移動を案内するコードガイドと一体の部材として設けられ、前記速度調整器のハウジングに対して着脱可能に取着されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の速度調整装置。
【請求項6】
前記カバーは、当該速度調整装置を収容設置するヘッドボックスの上方から突出することなく上方向の縦ずれ及び前後方向の横ずれを抑制するように、前記ヘッドボックス内で係合する第2の係合手段を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の速度調整装置。
【請求項7】
所定のコードの移動によって遮蔽材を開閉する遮蔽装置であって、
該所定のコードの一方向の移動速度を制限して遮蔽材の移動速度を一定値以下に制動する、請求項1から6のいずれか一項に記載の速度調整装置と、
前記遮蔽材を支持する枠体と、を備え、
少なくとも上部が開口している前記枠体に、前記速度調整装置が配設されていることを特徴とする遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型ブラインド、プリーツスクリーン、ローマンシェード、縦型ブラインドアコーディオンカーテン、或いはロールスクリーン等の遮蔽装置に適用可能な、所定のコードの一方向の移動速度を制限して遮蔽材の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置及び遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のコードの一方向の移動速度を制限して遮蔽材の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置を利用可能とする遮蔽装置として、典型的には、昇降コードを手引き操作する横型ブラインドがある。
【0003】
このような横型ブラインドは、ヘッドボックスから複数本のラダーコードを介して多数段のスラットが吊下支持され、そのラダーコードの下端にボトムレールが吊下支持される。また、各スラットには複数本の昇降コードが挿通され、その昇降コードの一端部はボトムレールに接続され、他端部はヘッドボックス内に案内されて、操作装置に接続される。
【0004】
そして、操作装置には、ヘッドボックス内にギヤ機構が配設され、そのギヤ機構の入力軸がヘッドボックスに設けられた開口部からヘッドボックス外へ突出され、その入力軸の先端にチルト操作棒が連結され、そのチルト操作棒の回転操作により、スラットの角度調節を可能としている。
【0005】
一方、昇降コードは、ヘッドボックス内からコード出口を経て外部に導出されてコードイコライザーを介して操作コードの一端部に連結し、その操作コードの他端部はボトムレールに接続される。或いは、昇降コードをヘッドボックス内からコード出口を経て当該チルト操作棒内に案内してその下端部において、つまみに接続する構成とすることもできる。
【0006】
そして、当該操作コードや当該つまみを操作して昇降コードをヘッドボックスから引き出せば、ボトムレールが引き上げられて、スラットが上昇する。
【0007】
昇降コードの引出し操作を停止すれば、ストッパー装置が作動して、スラット及びボトムレールの自重降下が防止される。また、ストッパー装置の作動を解除すれば、スラット及びボトムレールはその自重に基づいて下降する。
【0008】
このような横型ブラインドに適用可能とし、速度調整対象のコードの一方向の移動のみ制動力を生じさせる速度調整装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
特に、特許文献1に開示される速度調整装置は、一対のローラーによりコード(例えば昇降コード)を挟み込み、その一対のローラーがコードの移動方向を検知して、当該コードが一方向に移動する際には一対のローラーにより狭圧して遠心ブレーキを作用させ、当該コードが他方向に移動する際には一対のローラーにより非狭圧として(狭圧状態を緩和して)、当該コードの移動方向により切り替えを行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-27128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、一対のローラー(アイドルローラー及びドライブローラー)がコードの移動方向に応じてコードに対する狭圧/非狭圧の状態を切り替える速度調整装置が開示されているが、その遠心ブレーキ式の構造は、基本的には当該所定のコードに対し押圧して制動するための各ローラーをベース部材とケース部材とで囲み込んで収容し、各ローラーの一方の軸をベース部材で、他方の軸をケース部材で軸支するようになっている。このため、ベース部材には当該一方の軸を軸支するために貫通した溝孔が、ケース部材には当該他方の軸を軸支するために貫通した溝孔が設けられ、更に、ベース部材とケース部材と互いに嵌合させたときに、ケース部材には遠心ブレーキ式の構造部品の1つであるスライダーをガイドするガイド部が外部から内部に直通する孔部として形成されたものとなっている。しかし、このような速度調整装置を例えば上部が開口しているヘッドボックスに設置すると、当該軸孔やガイド部から速度調整装置の内部にゴミが入り、各ローラーの動きが悪くなり性能低下を起こすおそれがある。
【0012】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、内部にゴミが入るのを予防した構造を有し、遮蔽装置における遮蔽材の開閉に用いる所定のコードの一方向の移動速度を制限して遮蔽材の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置及び遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による一態様の速度調整装置は、遮蔽装置における遮蔽材の開閉に用いる所定のコードの一方向の移動速度を制限して遮蔽材の移動速度を一定値以下に制動する速度調整装置であって、前記所定のコードの一方向の移動速度を制限する制動機構、及び、前記所定のコードを挿通するコード挿通孔を有し前記制動機構を収容するハウジングを有する速度調整器と、前記所定のコードの移動を案内するコードガイドと、前記速度調整器の上方に位置するよう係合させることにより前記速度調整器に対する防塵機能を有するカバーと、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による一態様の速度調整装置において、前記カバーは、当該所定のコードの移動方向にて前記速度調整器の両端部から突出する長さの本体長を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明による一態様の速度調整装置において、前記コードガイドは、前記速度調整器のハウジングに対して着脱可能に取着され、前記カバーは、前記コードガイドに対して着脱可能に取着されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による一態様の速度調整装置において、前記カバーは、前記コードガイドに対して前後及び左右方向の横ずれを抑制しつつ上方から被せるように係合する第1の係合手段を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明による一態様の速度調整装置において、前記カバーは、前記所定のコードの移動を案内するコードガイドと一体の部材として設けられ、前記速度調整器のハウジングに対して着脱可能に取着されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明による一態様の速度調整装置において、前記カバーは、当該速度調整装置を収容設置するヘッドボックスの上方から突出することなく上方向の縦ずれ及び前後方向の横ずれを抑制するように、前記ヘッドボックス内で係合する第2の係合手段を有することを特徴とする。
【0019】
更に、本発明の遮蔽装置は、所定のコードの移動によって遮蔽材を開閉する遮蔽装置であって、該所定のコードの一方向の移動速度を制限して遮蔽材の移動速度を一定値以下に制動する、本発明の速度調整装置と、前記遮蔽材を支持する枠体と、を備え、少なくとも上部が開口している前記枠体に、前記速度調整装置が配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、内部にゴミが入るのを予防した構造を有する速度調整装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。
図2】本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す側面図である。
図3】本発明による実施例1の速度調整装置における速度調整器の概略構成を示す斜視図である。
図4】本発明による実施例1の速度調整装置における速度調整器の概略構成を示す分解斜視図である。
図5】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例1の速度調整装置の概略構成を示す斜視図であり、(c),(d)は、それぞれ本発明による実施例2の速度調整装置の概略構成を示す斜視図である。
図6】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例3の速度調整装置を構成するケース部材及びベース部材の概略構成を示す斜視図である。
図7】本発明による実施例3の速度調整装置の概略構成を示す斜視図である。
図8】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例4の速度調整装置を構成するための各部材を示す斜視図であり、(c)は本発明による実施例4の速度調整装置の概略構成を示す斜視図である。
図9】本発明による実施例4の速度調整装置についてヘッドボックス内に配設した様子を示す透視斜視図である。
図10】(a)は、本発明による実施例4の速度調整装置の概略構成を示す正面図であり、(b),(c)は、その側面図である。
図11】(a)乃至(d)は、それぞれ本発明による実施例4の速度調整装置の作用を説明するための平面図である。
図12】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例5の速度調整装置の概略構成を示す斜視図である。
図13】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例6の速度調整装置の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の遮蔽装置における各実施例の速度調整装置を説明する。尚、本願明細書中、図1に示す遮蔽装置として構成される横型ブラインドの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向を横型ブラインドの左側、及び、図示右方向を横型ブラインドの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1に示す横型ブラインドの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0023】
〔遮蔽装置〕
図1は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す正面図である。また、図2は、本発明による一実施形態の遮蔽装置として構成される横型ブラインドの概略構成を示す側面図である。本実施形態の横型ブラインドは、ヘッドボックス1の左右両端部の近傍及び略中央部から吊下するラダーコード2を介して多数段のスラット3が支持され、そのラダーコード2の下端にボトムレール4が吊下支持されている。
【0024】
また、ヘッドボックス1の左右両端部の近傍から、それぞれラダーコード2の室外側の縦糸に併設して昇降コードC1,C3が垂下され、ヘッドボックス1の略中央部から、ラダーコード2の室内側の縦糸に併設して昇降コードC2が垂下される。その昇降コードC1,C2,C3の下端にボトムレール4が取着されている。
【0025】
ヘッドボックス1内にはラダーコード2及び昇降コードC1,C2,C3を支持する支持部材5が配設され、この支持部材5には六角棒状の駆動軸13が挿通されている。
【0026】
支持部材5にはチルトドラム51が回転可能に支持され、このチルトドラム51に駆動軸13が相対回転不能に挿通されている。従って、駆動軸13が回転されると、当該チルトドラム51が回転し、ラダーコード2により吊下支持された多数段のスラット3の角度が同位相で調節されるようになっている。尚、支持部材5には、ボトムレール4に一端をそれぞれ取着する昇降コードC1,C2,C3の各他端をヘッドボックス1内の左右方向へ案内するよう転向させる転向滑車52を設けるのが好適である。
【0027】
ヘッドボックス1内の右端側には、チルト操作グリップ10に一端を取着したチルト操作棒9を垂下するチルト窓部11が形成されている。このチルト窓部11を介して、チルト操作棒9の他端は、ヘッドボックス1内のギヤ機構12に連結されている。また、ギヤ機構12は駆動軸13を連結しており、チルト操作棒9の回転が駆動軸13の回転へと伝達するよう構成されている。従って、チルト操作グリップ10を回転操作することで、駆動軸13にその回転を伝達し、支持部材5を介してラダーコード2により吊下支持された多数段のスラット3の角度を調節することができる。
【0028】
ボトムレール4に一端を取着する昇降コードC1,C2,C3の各他端は、支持部材5を介してヘッドボックス1内の右端側に案内され、ヘッドボックス1内のストッパー装置15を介した後、ヘッドボックス1内に設置される本発明に係る速度調整装置6に挿通されると、コード出口14から垂下されて、コードイコライザー8に連結される。
【0029】
図1及び図2に示す例では、コード出口14から垂下される複数の昇降コードC1,C2,C3の各末端を連結するコードイコライザー8の下端には操作コード7の一端が取着されている。操作コード7の他端はボトムレール4に取着されている。
【0030】
ただし、複数の昇降コードC1,C2,C3の垂下に係る変形例として、複数の昇降コードC1,C2,C3の各末端をコード出口14から垂下せずに、チルト操作棒9内に案内しその下端部において、つまみに接続される構成とすることもできる。
【0031】
図1及び図2に示す例では、操作コード7やコードイコライザー8、或いは複数の昇降コードC1,C2,C3を操作してコード出口14から昇降コードC1,C2,C3をヘッドボックス1から引き出せば、ボトムレール4が引き上げられて、スラット3が上昇する。従って、昇降コードC1,C2,C3は、スラット3及びボトムレール4の上昇に伴う牽引を行う牽引コードとして作用する。
【0032】
昇降コードC1,C2,C3の引出し操作を停止すれば、ストッパー装置15が作動して、スラット3及びボトムレール4の自重降下が防止される。また、ストッパー装置15の作動を解除すれば、スラット3及びボトムレール4はその自重に基づいて下降する。
【0033】
このように、ストッパー装置15の作動解除でボトムレール4及びスラット3の自重でスラット3を自重降下させ、昇降コードC1,C2,C3を直接的に引くことでスラット3の上昇させる構成の横型ブラインドでは、そのスラット3の下降を円滑にかつ適当な速度で行い得るよう速度調整装置6を設けるのが好適である。
【0034】
速度調整装置6は、速度調整対象のコード(図1及び図2に示す例では昇降コードC1,C2,C3)の一方向の移動速度を制限してスラット3の移動速度を一定値以下に制動する装置である。
【0035】
仮に、速度調整装置6を設置しない場合、下降操作時にコード出口14から垂下される昇降コードC1,C2,C3等から手を放すと、ストッパー装置15の作動解除でボトムレール4及びスラット3の自重により自由落下することになり、その際の下降音やボトムレール4の床面との衝突音が操作者に不快感を生じさせる。このため、本実施形態のように、速度調整装置6を設けることで、下降時のみ減速して制動力を働かせ減速して降下させることができる。
【0036】
尚、スラット3の上昇操作時にも一定の制動力が働いてしまうと、その際の手引き負荷が増大してしまう点や、当該一定の制動力が常時働くことになるため、コード劣化の要因になる点でも好ましくない。
【0037】
このため、速度調整装置6は、速度調整対象のコード(図1及び図2に示す例では昇降コードC1,C2,C3)について、その一方向の移動のみ制動力を生じさせ、尚且つ、他方向の移動時における当該コードの負荷を軽減可能となっている。
【0038】
また、速度調整装置6は、詳細に後述するが、一対のローラーが昇降コードC1,C2,C3を挟み込み、その昇降コードC1,C2,C3の移動方向に応じて昇降コードC1,C2,C3に対する狭圧/非狭圧の状態を切り替えるようになっており、その一対のローラーにおけるいずれか一方又は双方のローラーの回転軸(ローラー軸)に対し制動トルクを発生させるブレーキ部が設けられている(後述する実施例では一方のローラー軸に対してのみブレーキ部が設けられる)。
【0039】
そして、速度調整装置6は、スラット3の下降時には、速度調整装置6が備えるブレーキ部によって円滑にかつ適当な速度で行い得るよう当該昇降コードの移動に対し高摩擦となる制動力を発生させるとともに、スラット3の上昇時には、当該昇降コードの移動に対し低摩擦となるほぼ制動力の発生がゼロとなるよう円滑操作可能に構成されている。
【0040】
以下、詳細に、本発明に係る各実施例の速度調整装置6について説明する。
【0041】
〔実施例1の速度調整装置〕
図3は、本発明に係る実施例1の速度調整装置6における速度調整器6Sの斜視図である。また、図4は、その本発明に係る実施例1の速度調整装置6における速度調整器6Sの分解斜視図である。そして、図5(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例1の速度調整装置6の概略構成を示す斜視図であり、速度調整器6Sに上カバー71を被せることで、実施例1の速度調整装置6が構成されることを示している。速度調整器6Sの基本構造は、特許文献1に開示される各実施例のいずれかと同様とすることができるが、ここでは、改めて一実施例を説明する。
【0042】
(速度調整器6S)
まず、図3及び図4に示すように、本発明に係る実施例1の速度調整装置6における速度調整器6Sは、ケース部材61、スライダー62、コイルスプリングSP、アイドルローラー63、ドライブローラー64、歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67、ウェイト68及びベース部材69を備える。歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68は、ドライブローラー64の回転に対し制動トルクを発生させるブレーキ部6aとして構成される。
【0043】
ケース部材61は、スライダー62とコイルスプリングSPとを収容するスライダー収容部611、及び、ブレーキ部6aを収容するブレーキ収容部612が連なって下方が開口した箱状の形状を有している。尚、ケース部材61のブレーキ収容部612の内周壁には、内周ギヤ612aが形成されている。また、ケース部材61におけるブレーキ収容部612の下端の板状部位には四隅に嵌合孔615が形成され、同じく四隅に嵌合突起片693を持つ略円板状に形成されるベース部材69により、ケース部材61のそれぞれの嵌合孔615にベース部材69のそれぞれの嵌合突起片693が挿通嵌合して、ケース部材61にベース部材69が蓋着されるようになっている。そして、ケース部材61には、昇降コードC1,C2,C3を挿通可能なコード挿通孔614がスライダー収容部611の左右方向の各壁部に設けられている。
【0044】
ところで、ケース部材61におけるスライダー収容部611の上面には、略左右方向に延び僅かに前後方向に屈曲するハの字状に湾曲した一対の軸孔613が形成されており、その一対の軸孔613が、スライダー62に収容されるアイドルローラー63及びドライブローラー64の上側の各ローラー軸631,641をその孔形状に沿って移動可能に軸支するようになっている。また、ケース部材61におけるスライダー収容部611の側面や角部の適所に、スライダー62をガイドするガイド部616が外部から内部に直通する孔部として形成されたものとなっている。
【0045】
尚、本例では、図4に示すように、ローラー軸641の上方軸支を補強する軸支補強部611aがケース部材61におけるスライダー収容部611の上面に形成されている。
【0046】
スライダー62は、左右の縦壁と天壁及び底壁で囲まれて前後方向に貫通する空洞部620を内側に持つ略四角箱状に構成され、アイドルローラー63のローラー部632及びドライブローラー64のローラー部642を空洞部620で収容し、各ローラー部632,642の上側の各ローラー軸631,641については当該天壁にそれぞれ前後方向に延びるよう形成される一対の天壁溝621によって軸支し、各ローラー部632,642の下側の各ローラー軸631,641については一対の天壁溝621に平行して当該底壁にそれぞれ前後方向に延びるよう形成される一対の下壁溝622によって軸支している。これにより、スライダー62は、上記のハの字状に湾曲した一対の軸孔613とは交差する方向となる前後方向で、アイドルローラー63及びドライブローラー64を移動可能に軸支するようになっている。
【0047】
また、スライダー62がケース部材61におけるスライダー収容部611に収容された状態では、そのスライダー収容部611の内壁に一端を係止するコイルスプリングSPの他端がスライダー62の係合凹部623に係合するよう載置され、圧縮バネによるコイルスプリングSPによって、常に、スライダー62は、ケース部材61におけるスライダー収容部611内で一方向(図示左方向)に付勢された状態で左右方向に相対移動(相対スライド移動)可能となっている。
【0048】
そして、スライダー62の左右の縦壁にはそれぞれ、コード挿通孔624が形成されている。従って、スライダー62がケース部材61におけるスライダー収容部611に収容された状態では、ケース部材61におけるコード挿通孔614を通じスライダー62のコード挿通孔624を介して挿通される昇降コードC1,C2,C3は、いずれもスライダー62内で、アイドルローラー63のローラー部632及びドライブローラー64のローラー部642に挟み込まれた状態になる。
【0049】
このため、スライダー62によりスライド可能に軸支されるアイドルローラー63及びドライブローラー64は、ケース部材61の一対の軸孔613に沿って移動可能となり、その昇降コードC1,C2,C3の移動方向に応じて昇降コードC1,C2,C3に対する狭圧/非狭圧の状態を切り替えることができるようになる。
【0050】
アイドルローラー63は、ローラー軸631を軸芯とするローラー部632を有している。ローラー部632より上部のローラー軸631は、スライダー62の一方の天壁溝621とケース部材61のハの字状に湾曲した一対の軸孔613の一方の軸孔に軸支される。ローラー部632より下部のローラー軸631は、スライダー62の一方の底壁溝622に軸支された後、ブレーキ部6aとして構成される歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68と干渉することなく、これら各部材の中空部を経て、ベース部材69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字状に湾曲した一対の軸孔692の一方の軸孔に軸支される。尚、ケース部材61のハの字状に湾曲した一対の軸孔613と、ベース部材69に設けられるハの字状に湾曲した一対の軸孔692とは、互いに対応した湾曲形状を有している。
【0051】
ドライブローラー64は、ローラー軸641を軸芯とするローラー部642と、ローラー部642より下方にて、当該ローラー軸641を軸芯とするピニオンギア644と、を備える。ドライブローラー64のローラー部642より上部のローラー軸641は、スライダー62の他方の天壁溝621とケース部材61のハの字状に湾曲した一対の軸孔613の他方の軸孔に軸支される。ローラー部642とピニオンギア644との間のローラー軸641は、スライダー62の他方の底壁溝622に軸支される。また、ピニオンギア644より下部のローラー軸641は、スライダー62の他方の底壁溝622に軸支された後、ブレーキ部6aとして構成される歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68と干渉することなく、これら各部材の中空部を経て、ベース部材69の略中央で円状に隆起する隆起部691に設けられるハの字状に湾曲した一対の軸孔692の他方の軸孔に軸支される。
【0052】
尚、本例では、ドライブローラー64のローラー部642の周面にローレットが刻設され、アイドルローラー63のローラー部632の周面にはローレットが刻設されず平周面としているが、ローラー部632の周面にもローレットを刻設してもよい。また、ドライブローラー64及びアイドルローラー63の各軸部には適宜、ワッシャー(図示せず)を介在させることができる。
【0053】
ブレーキ部6aは、本例ではブレーキ量を多段階で調節可能な遠心ブレーキ構造となっており、歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67及びウェイト68によって構成される。特に、ブレーキ部6aは、ピニオンギア644の回転に基づく制動トルク増幅機能と、遠心ブレーキによる制動トルクを多段階で調節可能とする制動トルク調節機能を有するように構成される。
【0054】
歯車付キャリア65は、略円板状のキャリア本体651の中央に中空部を有し下方に突出する円筒部654が設けられ、円筒部654の上部の円筒部位の内周面に内歯車652が形成されている。この内歯車652がドライブローラー64のピニオンギア644と噛合される。そして、ピニオンギア644は内歯車652と噛合した状態でケース部材61のブレーキ収容部612に収容される。また、歯車付キャリア65の略円板状のキャリア本体651の下面には、キャリア本体651から下方へ突出する部分の円筒部654の外周上で所定間隔に対称配置される複数(本例では4つ)の遊星歯車653が回転可能に支持されている。尚、本例では、円筒部654の上部の円筒部位の内周面に内歯車652を形成する例としているが、特許文献1に開示されるように、円筒部654の上部の円筒部位の外周面に外歯車を形成した形態とすることもできる。
【0055】
各遊星歯車653は、太陽歯車付ウェイトホルダー67における太陽歯車672と、ケース部材61のブレーキ収容部612の内周壁に形成される内周ギヤ612aと互いに歯合するようになっている。
【0056】
そして、歯車付キャリア65の下方に突出する円筒部654の内周面が、ベース部材69の略中央で円状に隆起する隆起部691の外周壁に係合して回転可能に支持され、内歯車652の中心部を中心軸として回転(公転)することが可能となっている。従って、ドライブローラー64のピニオンギア644の回転が内歯車652に伝達されることにより、歯車付キャリア65が回転し、これに伴い歯車付キャリア65のキャリア本体651に回転可能に支持された各遊星歯車653が回転することで、ピニオンギア644の回転を太陽歯車付ウェイトホルダー67に回転伝達することが可能となる。
【0057】
太陽歯車付ウェイトホルダー67は、略円筒状のホルダー本体671の下方外周から放射状に突出する突出片673が本例では8つ形成されており、この突出片673が形成されている上方の略円筒状のホルダー本体671の外周面に、太陽歯車672が形成されている。ホルダー本体671の内周面は、歯車付キャリア65の下方に突出する円筒部654の外周面に係合して回転可能に支持され、太陽歯車672の中心部を中心軸として回転(公転)することが可能となっている。
【0058】
ベース部材69は、略円板状の底部からその略中央で円状に隆起する隆起部691に、上述したようにハの字状に湾曲した一対の軸孔692が形成されている。この隆起部691は、底面側から見ると円状に穿設された溝691aを有しており、一対の軸孔692は、ケース部材61のハの字状に湾曲した一対の軸孔613と同様に、貫通孔として構成されている。そして、一対の軸孔613は、アイドルローラー63及びドライブローラー64の下側の各ローラー軸631,641をその孔形状に沿って移動可能に軸支するようになっており、各ローラー軸631,641は底面側から見て溝691aから露出しているが、ベース部材69の略円板状の底部より下方には突出しないようになっている。
【0059】
そして、ベース部材69には略円板状に形成される底部の四隅から嵌合突起片693が上方に突出形成されており、制動機構(スライダー62、コイルスプリングSP、アイドルローラー63、ドライブローラー64、歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67、及びウェイト68)を収容した状態で、ケース部材61のそれぞれの嵌合孔615にベース部材69のそれぞれの嵌合突起片693が挿通嵌合して、ケース部材61にベース部材69が蓋着されるようになっている。このため、ベース部材69とケース部材61は、互いに係合して当該制動機構を囲み込んで収容するハウジングを構成する。
【0060】
遠心力は、回転半径が大きいほど、回転速度が大きいほど、質量(ウェイト68自体の重さや個数)が重くなるほど増大するが、実施例1の速度調整装置6における速度調整器6Sでは、ピニオンギア644の回転は、歯車付キャリア65を介して太陽歯車付ウェイトホルダー67へ回転速度を増加させて回転伝達するようになっているため、制動トルクを増幅する作用が生じ、これにより効率の良い制動力を発生させることができる。
【0061】
略円筒状のホルダー本体671の下方外周から放射状に突出するように形成される本例では8つの突出片673は、8つの凹部を形成することになり、この8つの凹部にそれぞれ略台形板状のウェイト68を配置することができ、従って、8つの突出片673はケース部材61におけるブレーキ収容部612の内壁と協働して各ウェイト68を保持することができる。
【0062】
また、実施例1の速度調整装置6における速度調整器6Sは、このウェイト68を配置する個数を調節可能とすることで、ピニオンギア644にかかる遠心ブレーキによる制動トルクを調節することができ、ウェイト68を全く配置しない場合を含み本例では合計9段階の調節ができるようになっている。太陽歯車付ウェイトホルダー67にて配置可能とするウェイト68の最大個数を増加(突出片673の数の増加)で、より細かい多段階の遠心ブレーキによる制動トルクの調節が可能となる。
【0063】
尚、環状プレート66は、歯車付キャリア65と太陽歯車付ウェイトホルダー67とを係合させたときに、各遊星歯車653の傾きを防止するとともに、各遊星歯車653とウェイト68との干渉を防ぐ機能を有する。
【0064】
また、実施例1の速度調整装置6における速度調整器6Sは、スライダー62によりケース部材61に対しスライド可能に軸支されるアイドルローラー63及びドライブローラー64による一対のローラー部632,642が、ケース部材61のハの字状に湾曲した一対の軸孔613、及びベース部材69のハの字状に湾曲した一対の軸孔692により各ローラー軸が案内されるようになっているため、昇降コードC1,C2,C3の移動の有無及び移動方向を検知することができる。そして、昇降コードC1,C2,C3が一方向に移動する際には一対のローラー部632,642により当該昇降コードC1,C2,C3を狭圧し、昇降コードC1,C2,C3が他方向に移動する際には一対のローラー部632,642による狭圧状態を緩和して(非狭圧として)当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込むようになっている。
【0065】
即ち、本実施形態の例では、アイドルローラー63及びドライブローラー64による一対のローラー部632,642が、スライダー62の天壁溝621及び底壁溝622にそれぞれ軸支され、尚且つケース部材61の一対の軸孔613及びベース部材69の一対の軸孔692により案内されるようになっているため、昇降コードC1,C2,C3が左方向(ボトムレール4によるレール支持側)に移動する際には(図3参照)、スライダー62も同方向にスライド移動し、一対のローラー部632,642の間の距離が狭まるよう案内されることで一対のローラー部632,642が狭圧して当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込むようになる。
【0066】
一方、昇降コードC1,C2,C3が右方向(操作側)に移動する際には(図3参照)、スライダー62が右方向(操作側)にスライド移動し、一対のローラー部632,642の間の距離が離れるよう案内されることで一対のローラー部632,642による狭圧状態を緩和して(非狭圧として)当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込むようになる。
【0067】
従って、昇降コードC1,C2,C3の移動によってボトムレール4及びスラット3を下降させるときには、この昇降コードC1,C2,C3の移動に起因して、スライダー62も同方向にスライド移動し、一対のローラー部632,642の間の距離が狭まるよう案内されることで一対のローラー部632,642が狭圧して当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込み、昇降コードC1,C2,C3の一方向の移動速度を制限可能とする狭圧状態となる。これにより、昇降コードC1,C2,C3(或いは操作コード7やコードイコライザー8)の引き操作を停止しストッパー装置15の作動が解除されてスラット3が自重降下する時には、速度調整器6Sにおける一対のローラー部632,642の間の距離が近接して狭圧状態、即ち高摩擦状態となり、制動力を生じさせ、ボトムレール4及びスラット3の下降を円滑にかつ適当な速度で行うことが実現される。
【0068】
一方、昇降コードC1,C2,C3の移動によってボトムレール4及びスラット3を上昇させるときには、昇降コードC1,C2,C3の移動に起因して、一対のローラー部632,642による狭圧状態を緩和して(非狭圧として)当該昇降コードC1,C2,C3を挟み込むようになる。これにより、昇降コードC1,C2,C3(或いは操作コード7やコードイコライザー8)の引き操作に基づくボトムレール4及びスラット3の上昇時には、速度調整器6Sにおける一対のローラー部632,642の間の距離が離間して解放状態、即ち非狭圧状態となり、スラット3のスムーズな上昇が実現される。
【0069】
これにより、速度調整対象のコード(本例では昇降コードC1,C2,C3)について、その一方向の移動のみ制動力を生じさせ、尚且つ、他方向の移動時における当該コードの負荷を軽減することができ、コード劣化の増大や操作性の悪化を抑制することができる。
【0070】
ところで、上述したように、図3及び図4に示す速度調整器6Sにおけるベース部材69とケース部材61は、制動機構(スライダー62、コイルスプリングSP、アイドルローラー63、ドライブローラー64、歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67、及びウェイト68)を囲み込んで収容するハウジングを構成するものとなっているが、そのケース部材61の上面には貫通孔として形成される一対の軸孔613と、ケース部材61の側面や角部の適所に、スライダー62をガイドするガイド部616が外部から内部に直通する孔部として形成されたものとなっている。しかし、このような速度調整器6Sを例えば図2に示すような上部が開口しているヘッドボックス1にそのまま設置すると、当該軸孔613やガイド部616から速度調整器6Sの内部にゴミが入り、各ローラー(アイドルローラー63及びドライブローラー64)の動きが悪くなり性能低下を起こすおそれがある。尚、上部が開口した略コの字断面形状のヘッドボックス1を用いずに、上部が開口した略L字又はT字、或いはI字断面形状の支持体で速度調整器6S及び遮蔽材を支持する遮蔽装置の形態もある。このような場合も、速度調整器6Sの内部にゴミが入り、各ローラー(アイドルローラー63及びドライブローラー64)の動きが悪くなり性能低下を起こすおそれがある。従って、遮蔽材を支持する枠体(ヘッドボックス1や当該支持体)の少なくとも上部が開口しているときには、できるかぎり速度調整器6Sの内部にゴミが入らないようにする工夫が必要である。
【0071】
そこで、実施例1の速度調整装置6は、図5(a),(b)に示すように、コード挿通孔614を除き、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の上部及び側部の孔部(軸孔613やガイド部616)を塞ぐ形状を有する上カバー71を備えるように構成される。
【0072】
(上カバー71)
図5(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例1の速度調整装置6の概略構成を示す斜視図である。まず、図5(b)に示すように、実施例1の速度調整装置6は、コード挿通孔614を除き、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の上部及び側部の孔部(軸孔613やガイド部616)を塞ぐ形状を有する上カバー71を備える。
【0073】
本例の上カバー71は、図5(a)に示すように、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の上部から被せることができるように下方が開口した箱状の形状を有し、上面71aには孔が無く、周囲の側面71bのうち前後方向の側面にも孔が無く、周囲の側面71bのうち前後方向の側面に、速度調整器6Sのコード挿通孔614と対応する位置に昇降コードC1,C2,C3との干渉を回避する切欠き71cが形成されている。尚、上面71aの四隅には上方に突出する突出片71eが形成され、これらの突出片71eは、実施例1の速度調整装置6をヘッドボックス1内に配設したときに、ヘッドボックス1の前後壁と係合してガタツキを抑制するものとしているが、そのようなガタツキが生じないのであれば必ずしも設けなる必要はない。
【0074】
上カバー71の内壁の上部は、図示を省略しているが、速度調整器6Sの機能を阻害しない形状で、速度調整器6Sのハウジングの上面(ケース部材61の上面)に当接される係合部位を有する。また、上カバー71の内壁の側部は、図示を省略しているが、速度調整器6Sのハウジングの外側壁(上カバー71の外側壁)と係合する係合部位を有し、速度調整器6Sに対するガタツキが生じないようになっている。これらの係合部位は、速度調整器6Sの機能を阻害しない形状であれば、速度調整器6Sのハウジングの形状に合わせた任意の形状とすることができる。ただし、上カバー71の内壁の上部は、速度調整器6Sの機能を阻害しない形状で、速度調整器6Sのハウジングの上面(ケース部材61の上面)に当接される係合部位を有さずに、非係合であってもよい。また、上カバー71の内壁の側部についても、速度調整器6Sのハウジングの外側壁(上カバー71の外側壁)と係合する係合部位を有さずに、非係合であってもよい。即ち、上カバー71の内部形状は、速度調整器6Sの機能を阻害しない形状であれば、速度調整器6Sのハウジングの形状に合わせた任意の形状とすることができる。また、上カバー71の前後・左右の下縁71dは、速度調整器6Sのハウジングの一部に当接して支持するものとしてもよいが、本例では速度調整器6Sのハウジングより大径化させており、速度調整器6Sのハウジングを囲んだ状態でも開放縁となっている。尚、図5(a)に示す上カバー71の外形形状は、四角箱状としているが、丸或いは楕円箱状とすることや、三角或いは5角以上の多角覇箱状としてもよい。
【0075】
そして、本例の上カバー71は、切欠き71cが形成されているので、昇降コードC1,C2,C3がコード挿通孔614に挿通された状態のままで、速度調整器6Sの上方から着脱可能に被せることができ、上カバー71を速度調整器6Sに被せて実施例1の速度調整装置6が構成される。上カバー71を速度調整器6Sに被せた図5(b)に示す実施例1の速度調整装置6は、コード挿通孔614を除き、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の上部及び側部の孔部(軸孔613やガイド部616)を塞ぐものとなる。
【0076】
尚、上カバー71において、切欠き71cとする代わりに、昇降コードC1,C2,C3との干渉を回避するコード挿通孔としてもよい(図示せず)。この場合は、昇降コードC1,C2,C3がコード挿通孔614に挿通された状態のままで速度調整器6Sの上方から着脱可能に被せることはできず、速度調整器6Sの上方から着脱可能に被せた状態、或いは被せることができる状態としてから、昇降コードC1,C2,C3を挿通することになるが、上カバー71における切欠き71cの代わりとする当該コード挿通孔について、挿通する昇降コードC1,C2,C3を区分する複数の挿通孔で構成することができ、この場合には昇降コードC1,C2,C3の絡み防止機能を持たせることができる。
【0077】
このように上カバー71を用いて構成された実施例1の速度調整装置6は、当該軸孔613やガイド部616から速度調整器6Sの内部にゴミが入り、各ローラー(アイドルローラー63及びドライブローラー64)の動きが悪くなり性能低下を起こすおそれを解消することができる。
【0078】
〔実施例2の速度調整装置〕
図5(c),(d)は、それぞれ本発明による実施例2の速度調整装置6の概略構成を示す斜視図であり、速度調整器6Sに上カバー71を被せた状態で、更に下カバー72を被せることで、実施例2の速度調整装置6が構成されることを示している。
【0079】
上述したように、ベース部材61にも貫通孔として形成される一対の軸孔692が形成されている。この一対の軸孔692からも速度調整器6Sの内部にゴミが入る可能性があるときに、図5(b)に示した速度調整器6Sに上カバー71を被せた状態で、更に下カバー72を被せるようにする(図5(c)参照)。
【0080】
(下カバー72)
本例の下カバー72は、図5(c)に示すように、速度調整器6Sに上カバー71を被せた状態で、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の下部から被せることができるように上方が開口した箱状の形状を有し、下面72aには孔が無く、周囲の側面72bにも孔が無いものとしている。尚、下面72aの四隅には上方に突出する突出片72cが形成され、これらの突出片72cは、上カバー71の内壁四隅に係合し、上カバー71の前後・左右の下縁71dと下カバー72の前後・左右の上縁72dとが当接して、ガタツキなく速度調整器6Sを囲い込むことができるようにしている。
【0081】
尚、本例の下カバー72の下面72aの底部には四角枠72eが設けられ、実施例2の速度調整装置6をヘッドボックス1内に配設したときに、ヘッドボックス1の底壁に設けた開口孔と係合してガタツキを抑制するものとしているが、そのようなガタツキが生じないのであれば四角枠72eを必ずしも設けなる必要はない。
【0082】
尚、図5(c)に示す下カバー72の外形形状は、四角箱状としているが、丸或いは楕円箱状とすることや、三角或いは5角以上の多角覇箱状としてもよい。
【0083】
このように、上カバー71及び下カバー72を速度調整器6Sに被せた図5(d)に示す実施例2の速度調整装置6は、コード挿通孔614を除き、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の上部及び側部、並びに下部の孔部(軸孔613,692やガイド部616)を塞ぐものとなる。
【0084】
このように上カバー71及び下カバー72を用いて構成された実施例2の速度調整装置6は、制動機構(スライダー62、コイルスプリングSP、アイドルローラー63、ドライブローラー64、歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67、及びウェイト68)へと外部から直通する孔部として昇降コードC1,C2,C3を挿通する切欠き71c(又は挿通孔)のみを有するカバーを有するものとなり、当該軸孔613,692やガイド部616から速度調整器6Sの内部にゴミが入り、各ローラー(アイドルローラー63及びドライブローラー64)の動きが悪くなり性能低下を起こすおそれを解消することができる。
【0085】
〔実施例3の速度調整装置〕
図6(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例3の速度調整装置6を構成するケース部材61G及びベース部材69Gの概略構成を示す斜視図である。また、図7は、本発明による実施例3の速度調整装置6の概略構成を示す斜視図である。尚、上述した実施例1,2の速度調整装置6と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。
【0086】
上述した実施例1,2の速度調整装置6では、上カバー71、更には下カバー72を用いて図3及び図4に示す速度調整器6Sの内部にゴミが入るのを防止する形態を説明したが、図3及び図4に示す速度調整器6Sのケース部材61及びベース部材69について、それぞれ図6(a),(b)に示すケース部材61G及びベース部材69Gに置き換えて、内部にゴミが入るのを防止する形態とした実施例3の速度調整装置6を構成することができる。
【0087】
図6(a)に示すケース部材61Gは、図4に示すケース部材61と比較して、貫通孔で形成していた軸孔613を非貫通に穿設した溝形状の穿設溝613Gに変更した点、及びスライダー62をガイドするガイド部616を設ける代わりに、穿設された穿設溝616Gで形成されている点で相違しており、その他の形状は同様である。
【0088】
また、図6(b)に示すベース部材69Gは、図3に示すベース部材69と比較して、貫通孔で形成していた軸孔692を非貫通に穿設した溝形状の穿設溝692Gに変更した点で相違しており、その他の形状は同様である。
【0089】
このような図6(a),(b)に示すケース部材61G及びベース部材69Gを、図4に示すケース部材61及びベース部材69の代わりに用いることで、制動機構(スライダー62、コイルスプリングSP、アイドルローラー63、ドライブローラー64、歯車付キャリア65、環状プレート66、太陽歯車付ウェイトホルダー67、及びウェイト68)へと外部から直通する孔部として昇降コードC1,C2,C3を挿通するコード挿通孔のみを有するものとなり、内部にゴミが入るのを防止する形態とした実施例3の速度調整装置6を構成することができる。
【0090】
尚、下方からのゴミの混入のおそれが無い場合には、図6(a)に示すケース部材61Gのみを、図4に示すケース部材61の代わりに用いることで、内部にゴミが入るのを防止する形態とした変形例の速度調整装置6を構成することもできる。
【0091】
また、ケース部材61Gに形成されるコード挿通孔614について、挿通する昇降コードC1,C2,C3を区分する複数の挿通孔で構成することができ、この場合には昇降コードC1,C2,C3の絡み防止機能を持たせることができる。
【0092】
〔実施例4の速度調整装置〕
図8(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例4の速度調整装置6を構成するための各部材(図3及び図4に示す速度調整器6S、コードガイド6M、及びカバー6T)を示す斜視図であり、図8(c)はその実施例4の速度調整装置6の概略構成を示す斜視図である。尚、上述した実施例1,2の速度調整装置6と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。
【0093】
図8(c)に示す実施例4の速度調整装置6は、まず、図3及び図4に示す速度調整器6Sに対して図8(a)に図示するコードガイド6Mが取着され、続いて、図8(b)に図示するように、速度調整器6Sに対する上カバーとして機能するカバー6Tがコードガイド6Mに対して取着されることで構成される。
【0094】
図8(a)に示す速度調整器6Sの構成は、図3及び図4を参照して説明したものと同様であるが、本実施例の説明のために更に補足すると、ケース部材61の底部側には左右方向にそれぞれ突出する“ヨの字状”の断面を持つ突出片が形成されている。そして、この突出片の各々は、凹みを持たせた一対のガイド受部617と、その一対のガイド受部617の前後方向両側に直立するように形成される計3個のガイド抑え部618を有するものとなっている。尚、ケース部材61のコード挿通孔614には、図8(a)では図示を省略しているが、上述したように昇降コードC1,C2,C3が挿通される。これにより、各昇降コードC1,C2,C3の移動が速度調整器6Sによって所定速度内に制限される。
【0095】
図8(a)に示すコードガイド6Mは、速度調整器6S内で各昇降コードC1,C2,C3の絡みを抑制し、速度調整器6Sによる各昇降コードC1,C2,C3の移動の速度制限機能を確実にするよう速度調整器6Sのコード挿通孔614の近傍で各昇降コードC1,C2,C3の移動経路を区分して案内するための部材であり、速度調整器6Sの上方から被せることができるように構成されている。
【0096】
より具体的に、コードガイド6Mは、速度調整器6Sのケース部材61の大部分を収容し、速度調整器6Sの上方から被せることができるように下方が開口した外形形状の収容部81を有している。コードガイド6Mの左右方向の底部両側にそれぞれ支持部86が形成され、各支持部86の下面から下方に突出する一対の突出部87が形成されている。そして、コードガイド6Mを速度調整器6Sの上方から被せると、コードガイド6Mの支持部86が速度調整器6Sにおける計3個のガイド抑え部618で支持される。また、コードガイド6Mの当該一対の突出部87が速度調整器6Sにおける一対のガイド受部617に支持され、尚且つ計3個のガイド抑え部618のうち前後方向外側のガイド抑え部618により挟まれて支持される。これにより、コードガイド6Mは、速度調整器6Sに対して前後・左右のがたつきが抑制されるように係合載置される。
【0097】
また、コードガイド6Mには、コードガイド6Mの左右方向の底部両側にそれぞれ形成される支持部86の上部に略平行な空間部83,84が形成され、この空間部83,84の前後方向略中央部に案内バー85が設けられている。尚、本実施例の案内バー85は、図示する側の支持部86の上部では1本の案内バー85としているが、他方側の支持部86の上部では2本の案内バー85としている(後述する図10(b),(c)参照)。
【0098】
これらの1本又は2本の案内バー85と空間部83,84とによって、速度調整器6Sのコード挿通孔614の近傍で各昇降コードC1,C2,C3の移動経路を区分して案内することができ、速度調整器6S内で各昇降コードC1,C2,C3の絡みを抑制することができる。
【0099】
コードガイド6Mの上部側の前後には、それぞれ台形状の壁部88の頂部に外方に突出する係合部89が形成されており、各係合部89の強度を保つよう連架させたブレース壁82が形成されている。ブレース壁82は、図示するように中央部が方形状に盛り上がる形状で形成している。コードガイド6Mの前後の係合部89は、実施例4の速度調整装置6がヘッドボックス1内に配設されたときに、ヘッドボックス1の前後壁の頂部に形成される折り曲げ加工部位1cと係合して、上方向の縦ずれ及び前後方向の横ずれを抑制するようになっている(後述する図9参照)。
【0100】
図8(b)を参照するに、速度調整器6Sに対する上カバーとして機能するカバー6Tが、コードガイド6Mに対して取着される。
【0101】
カバー6Tは、長方形状の頂面91と、頂面91の前後で下方に突出する一対の突出片94が形成され、各突出片94の左右方向略中央部には切り欠き93が形成されている。また、各突出片94の左右方向両端には係合部95が外方に突出するように形成されている。そして、長方形状の頂面91は、その略中央部に、コードガイド6Mにおけるブレース壁82の方形状に盛り上がる中央部と前後・左右でぴったりと係合する係合孔92を有している。
【0102】
そして、カバー6Tは、前後の突出片94がコードガイド6Mの前後の壁部88の間に挟み込まれ、尚且つ前後の突出片94の切り欠き93がブレース壁82に係合し、頂面91の略中央部に設けられた係合孔92が、コードガイド6Mにおけるブレース壁82の方形状に盛り上がる中央部と前後・左右でぴったりと係合する。従って、カバー6Tは、コードガイド6Mに対して前後・左右のがたつきを抑制する第1の係合手段(切り欠き93を有する係合片及び頂面91の係合孔92)を有している。
【0103】
また、カバー6Tの各突出片94の左右方向両端にて外方に突出するように形成されている係合部95は、コードガイド6Mの前後の係合部89と同様に、実施例4の速度調整装置6がヘッドボックス1内に配設されたときに、ヘッドボックス1の前後壁の頂部に形成される折り曲げ加工部位1cと係合して、上方向の縦ずれ及び前後方向の横ずれを抑制するようになっている(後述する図9参照)。従って、カバー6Tは、ヘッドボックス1に対して上方向の縦ずれ及び前後方向の横ずれを抑制する第2の係合手段(係合部95)を有している。
【0104】
このように、実施例4の速度調整装置6は、図8(c)に示すように、速度調整器6Sに対してコードガイド6Mが取着され、この速度調整器6Sに対する上カバーとして機能するカバー6Tがコードガイド6Mに対して取着されることで構成される。
【0105】
図9は、本発明による実施例4の速度調整装置6についてヘッドボックス1内に配設した様子を示す透視斜視図である。
【0106】
ヘッドボックス1は、上部が開口した略コの字断面を持つ左右方向に長尺な形状を有している。ヘッドボックス1の底部1aには、実施例4の速度調整装置6を構成する速度調整器6Sにおける底部形状(ガイド受部617とガイド抑え部618を有する“ヨの字状”の断面を持つ突出片より下方の部位)に対しぴったりと係合する係合孔1bが形成され、速度調整器6Sの前後・左右のがたつきは抑制される。
【0107】
ヘッドボックス1に対し実施例4の速度調整装置6を収容する際には、まずは、速度調整器6Sに対しコードガイド6Mを装着した状態でヘッドボックス1の上方から押し込むようにして装着し、続いて、速度調整器6S及びコードガイド6Mに各昇降コードC1,C2,C3を挿通する。そして、コードガイド6Mに対しカバー6Tをヘッドボックス1の上方から押し込むようにして装着する。若しくは、速度調整器6Sに対しコードガイド6M及びカバー6Tを装着し各昇降コードC1,C2,C3を挿通した状態で、ヘッドボックス1の上方から押し込むようにして装着するようにしてもよい。カバー6Tの各突出片94及びコードガイド6Mの各係合部89は、それぞれ図9に示すように傾斜面S1及び傾斜片S2を有している。このため、ヘッドボックス1の上方から実施例4の速度調整装置6を押し込むとヘッドボックス1の上部の開口部の弾性変形による拡がり、若しくはカバー6T自体の弾性変形による曲がりが助力される。そして、実施例4の速度調整装置6が完全にヘッドボックス1内に完全に収容されると、ヘッドボックス1の上部の開口部の拡がり、若しくはカバー6T自体の弾性変形による曲がりが元の状態に戻る。
【0108】
このようにして、実施例4の速度調整装置6がヘッドボックス1内に配設されたときには、図9に示すように、カバー6Tの各突出片94及びコードガイド6Mの各係合部89が、ヘッドボックス1の前後壁の頂部に形成される折り曲げ加工部位1cと係合して、上方向の縦ずれ及び前後方向の横ずれを抑制することができる。
【0109】
図10(a)は、本発明による実施例4の速度調整装置6の概略構成を示す正面図であり、図10(b),(c)は、それぞれそのA視及びB視の側面図である。まず、図10(a)に示すように、カバー6Tは、各昇降コードC1,C2,C3の移動方向にて速度調整器6Sの両端部から突出する長さの本体長L2を有し、即ち、カバー6Tの本体長L2は、速度調整器6Sの本体長よりも長く、更にはコードガイド6Mの本体長L1よりも長い。
【0110】
また、図10(b),(c)に示すように、実施例4の速度調整装置6がヘッドボックス1内に配設されたときには、図9に示すように、カバー6Tの各突出片94は、ヘッドボックス1の前後壁の頂部に形成される折り曲げ加工部位1cと係合して、上方向の縦ずれ及び前後方向の横ずれを抑制することができる。そして、ヘッドボックス1を天井面等の取付面に取り付けるためのブラケット100が実施例4の速度調整装置6の上部に位置するように設けられた場合でも、カバー6Tがブラケット100に接触することなく、カバー6Tの各突出片94は、ヘッドボックス1内で係合する。尚、図10(b)に示すA視のコードガイド6M上では案内バー85を2本として、その間に各昇降コードC1,C2,C3を挿通し、図10(c)に示すB視のコードガイド6M上では案内バー85を1本として、その側部から各昇降コードC1,C2,C3を案内する例を示しているが、速度調整装置6を配設する遮蔽装置の構成に応じて種々のコード取り回しを利用できる。更に、案内バー85は、1本又は2本に限らず、より多くの本数としてもよいし、空間部83,34についても2段とする代わりに、1段、若しくは3段以上としてもよい。
【0111】
そして、実施例4の速度調整装置6は、速度調整器6Sの上方にカバー6Tが位置するように構成することで、速度調整器6Sに対する防塵機能を有するようになる。
【0112】
より具体的に、図11を参照して説明する。図11(a)乃至(d)は、それぞれ本発明による実施例4の速度調整装置6の作用を説明するための平面図である。尚、図11において、各昇降コードC1,C2,C3の図示は省略している。
【0113】
まず、図11(a)に示すように、速度調整器6S単体は、各昇降コードC1,C2,C3の一方向の移動速度を制限する制動機構、及び、各昇降コードC1,C2,C3を挿通するコード挿通孔614を有し当該制動機構を収容するハウジングを有するものであるが、軸孔613及びガイド部616が外部から内部に直通する孔部として形成されたものとなっている。このような速度調整器6Sを例えば上部が開口しているヘッドボックス1に設置すると、当該軸孔613やガイド部616から内部にゴミが入り、当該制動機構の動きが悪くなり性能低下を起こすおそれがある。
【0114】
続いて、図11(b)を参照するに、速度調整器6Sに対しコードガイド6Mを取着した状態でも、コードガイド6Mには成形上の理由で各所に孔や隙間が設けられるため、当該軸孔613やガイド部616から内部にゴミが入り、当該制動機構の動きが悪くなり性能低下を起こすおそれがある。
【0115】
そこで、図11(c)を参照するに、速度調整器6Sに対しコードガイド6Mを取着し、更に、上カバー6Tを取着することで、当該軸孔613やガイド部616から内部にゴミが入ることをほとんど抑制できる。
【0116】
加えて、図11(c)を参照するに、速度調整器6Sに対しコードガイド6M及び上カバー6Tを取着した状態でヘッドボックス1内に収容することで、当該軸孔613やガイド部616から内部にゴミが入ることをほぼ完全に抑制できる。
【0117】
このように、実施例4の速度調整装置6は、速度調整器6Sの上方にカバー6Tが位置するように構成することで、速度調整器6Sに対する防塵機能を有するようになる。
【0118】
尚、図8乃至図11に示す実施例4の速度調整装置6では、カバー6Tと速度調整器6Sとの間に、各昇降コードC1,C2,C3の移動を案内するコードガイド6Mが設けられ、コードガイド6Mが、速度調整器6Sのハウジングに対して着脱可能に取着され、カバー6Tは、コードガイド6Mに対して着脱可能に取着される例を説明したが、これに限定する必要はない。例えば、カバー6Tは、コードガイド6Mと一体の部材として設けられ、速度調整器6Sのハウジングに対して着脱可能に取着されるものとすることができる。
【0119】
更には、カバー6Tは、コードガイド6Mと同等のコード案内機能を有する速度調整器6Sのハウジングに対して着脱可能に取着されるものとすることができる。尚、カバー6Tを、コードガイド6M又は速度調整器6Sに対して着脱可能とすることで、例えば上部が開口していないヘッドボックスに速度調整器6Sを装着する場合に、速度調整器6Sを共用することができ、総合的に低廉化に寄与するようになる。
【0120】
〔実施例5の速度調整装置〕
図12(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例5の速度調整装置6の概略構成を示す斜視図である。尚、上述した各実施例の速度調整装置6と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。
【0121】
図12(a),(b)に示す実施例5の速度調整装置6は、上述した図5(a),(b)に示す実施例1の速度調整装置6と同様に、コード挿通孔614を除き、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の上部及び側部の孔部(軸孔613やガイド部616)を塞ぐ形状を有する上カバー71を備える。
【0122】
図12(a),(b)に示す実施例5の速度調整装置6における上カバー71は、図5(a),(b)に示す実施例1の速度調整装置6における上カバー71と比較して、形状・構造自体は同様であるが、速度調整器6Sに対する相対的な大きさを僅かに小さくしている点で異なる。
【0123】
即ち、図5に係る説明においては、実施例1の速度調整装置6における上カバー71は、上述したように、上カバー71の前後・左右の下縁71dは、速度調整器6Sのハウジングより大径化させており、速度調整器6Sのハウジングを囲んだ状態でも開放縁となっている例を説明した。ただし、図5に係る説明においても、上カバー71は、速度調整器6Sのハウジングの一部に当接して支持するものとしてもよいとして説明している。
【0124】
そこで、図12に示す実施例5の速度調整装置6における上カバー71は、その上カバー71の前後・左右の下縁71dのうち、少なくとも前後の下縁71dが、速度調整器6Sのハウジングの一部に当接して支持するものとして、上カバー71を速度調整器6Sのハウジングの一部に係合させるものとした例である。
【0125】
より具体的には、図12(a)に示す実施例5に係る上カバー71は、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の上部から被せることができるように下方が開口した箱状の形状を有し、上面71aには孔が無く、周囲の側面71bのうち前後方向の側面にも孔が無く、周囲の側面71bのうち前後方向の側面に、速度調整器6Sのコード挿通孔614と対応する位置に昇降コードC1,C2,C3との干渉を回避する切欠き71cが形成されている点では、実施例1と同様である。更に、図12(a)に示す実施例5に係る上カバー71は、上面71aの四隅には上方に突出する突出片71eが形成され、これらの突出片71eは、実施例1の速度調整装置6をヘッドボックス1内に配設したときに、ヘッドボックス1の前後壁と係合してガタツキを抑制するものとしている点でも、実施例1と同様である。
【0126】
ただし、図12(a)に示す実施例5に係る上カバー71は、その上カバー71の前後・左右の下縁71dが、速度調整器6Sのハウジングの一部に当接して支持するものとして、上カバー71を速度調整器6Sのハウジングの一部に係合させるものとした例である。
【0127】
図12(a)に示すように、速度調整器6Sのハウジングを構成するケース部材61の底部側において、その左右方向ではそれぞれ突出する“ヨの字状”の断面を持ち、ガイド抑え部618を有する突出片が形成されたものとなっているが、そのケース部材61の底部側の前後方向でも僅かに平板状に突出片619が形成されたものとなっている。図12(a)に示す速度調整器6Sの構成自体は、上述した各実施例でも図示している通り、同様である。
【0128】
そこで、図12(a)に示す実施例5に係る上カバー71は、その上カバー71の前後・左右の下縁71dのうち、少なくとも前後の下縁71dが突出片619の上面に係合して支持される。ここで、更に、上カバー71の左右側の一方又は双方の下縁71dが対応する左右側の一方又は双方のガイド抑え部618の上面に係合して支持される大きさとしてもよい。
【0129】
尚、図12(a)に示す実施例5に係る上カバー71においては、上カバー71の内壁の上部は、図示を省略しているが、速度調整器6Sの機能を阻害しない形状で、速度調整器6Sのハウジングの上面(ケース部材61の上面)に当接される係合部位を有さずに、非係合であってもよい。また、図12(a)に示す実施例5に係る上カバー71において、上カバー71の内壁の側部は、図示を省略しているが、速度調整器6Sのハウジングの外側壁(上カバー71の外側壁)と係合する係合部位を有さずに、非係合であってもよい。即ち、上カバー71の内部形状は、速度調整器6Sの機能を阻害しない形状であれば、速度調整器6Sのハウジングの形状に合わせた任意の形状とすることができる。また、本実施例においても、図12(a)に示す上カバー71の外形形状は、四角箱状としているが、丸或いは楕円箱状とすることや、三角或いは5角以上の多角覇箱状としてもよい。
【0130】
そして、本例の上カバー71においても、切欠き71cが形成されているので、昇降コードC1,C2,C3がコード挿通孔614に挿通された状態のままで、速度調整器6Sの上方から着脱可能に被せることができ、上カバー71を速度調整器6Sに被せて実施例5の速度調整装置6が構成される。上カバー71を速度調整器6Sに被せた図12(b)に示す実施例5の速度調整装置6は、コード挿通孔614を除き、速度調整器6Sのハウジング(ベース部材69及びケース部材61)の上部及び側部の孔部(軸孔613やガイド部616)を塞ぐものとなる。
【0131】
その他、本例の上カバー71においても、実施例1にて言及したように、切欠き71cとする代わりに、昇降コードC1,C2,C3との干渉を回避するコード挿通孔としてもよい(図示せず)。この場合は、昇降コードC1,C2,C3がコード挿通孔614に挿通された状態のままで速度調整器6Sの上方から着脱可能に被せることはできず、速度調整器6Sの上方から着脱可能に被せた状態、或いは被せることができる状態としてから、昇降コードC1,C2,C3を挿通することになるが、上カバー71における切欠き71cの代わりとする当該コード挿通孔について、挿通する昇降コードC1,C2,C3を区分する複数の挿通孔で構成することができ、この場合には昇降コードC1,C2,C3の絡み防止機能を持たせることができる。
【0132】
このように構成された実施例5の速度調整装置6は、当該軸孔613やガイド部616から速度調整器6Sの内部にゴミが入り、各ローラー(アイドルローラー63及びドライブローラー64)の動きが悪くなり性能低下を起こすおそれを解消することができる。
【0133】
〔実施例6の速度調整装置〕
図13(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例6の速度調整装置6概略構成を示す斜視図である。尚、上述した各実施例の速度調整装置6と同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。
【0134】
図13(b)に示す実施例6の速度調整装置6は、まず、図3及び図4に示す速度調整器6Sに対して、図13(a)に図示するように、その左右方向に一対のコードガイド6M‐1,6M‐2が分離独立して配設され、続いて、速度調整器6Sに対する上カバーとして機能するカバー6Tがコードガイド6M‐1,6M‐2に対して係合取着されることで構成される。図13(a)に示す速度調整器6Sの構成自体は、上述した各実施例でも図示している通り、同様である。
【0135】
図13(b)に例示しているカバー6Tの構造自体は、図5(a)又は図12(a)に示す上カバー71と同様とした例を示している。そして、本実施例のカバー6Tは、一対のコードガイド6M‐1,6M‐2は、互いに分離され、速度調整器6Sとも接触していない。
【0136】
図13(b)に例示するコードガイド6M‐1,6M‐2は、それぞれ、ほぼ同様の構造の前後方向から見て略凸状の本体部80を有しており、各コードガイド6M‐1,6M‐2の本体部80には、略平行な空間部83,84が形成されている。そして、各一対のコードガイド6M‐1,6M‐2における本体部80の底面には、本例では二股状の係止爪80aが形成されており、この二股状の係止爪80aをヘッドボックス1内に設けた支持孔(図示略)に挿通係止することで、ヘッドボックス1内に固定載置できるようになっている。
【0137】
また、各コードガイド6M‐1,6M‐2の本体部80における空間部83,84の前後方向略中央部に、それぞれ2本、1本の案内バー85が設けられている。これらの1本又は2本の案内バー85と空間部83,84とによって、速度調整器6Sのコード挿通孔614の近傍で各昇降コードC1,C2,C3の移動経路を区分して案内することができ、速度調整器6S内で各昇降コードC1,C2,C3の絡みを抑制することができる。
【0138】
尚、図13(a)に示す各コードガイド6M‐1,6M‐2は、案内バー85を2本又は1本として、適宜、各昇降コードC1,C2,C3を区分して案内する例を示しているが、速度調整装置6を配設する遮蔽装置の構成に応じて種々のコード取り回しを利用できる。更に、案内バー85は、1本又は2本に限らず、より多くの本数としてもよいし、空間部83,34についても2段とする代わりに、1段、若しくは3段以上としてもよい。
【0139】
そして、図13(b)に例示しているカバー6Tは、各コードガイド6M‐1,6M‐2の本体部80の上面を、上カバー71の内壁の上部に係合させて支持されるものとしている。ただし、カバー6Tの内部形状は、速度調整器6Sの機能を阻害しない形状であれば、速度調整器6Sのハウジングの形状に合わせた任意の形状とすることができる。
【0140】
また、カバー6Tは、速度調整器6Sの機能を阻害しない形状であれば、各コードガイド6M‐1,6M‐2の任意箇所の一部に対して係合させる構成とすることができる。
【0141】
また、図13(b)に示すカバー6Tの構造自体は、図5(a)又は図12(a)に示す上カバー71と同様とした例を示しているが、図8(b)に例示したような形状を応用して、速度調整器6Sの上方に位置するようコードガイド6M‐1,6M‐2に対して係合させることにより、速度調整器6Sに対する防塵機能を有するものとすることができ、速度調整器6Sに対して必ずしも被せる必要はない。また、図13(b)に示すカバー6Tの変形例として、カバー6Tは、コードガイド6M‐1,6M‐2のうち一方のみに対して係合させる形態でもよいし、コードガイド6M‐1,6M‐2のうちいずれか一方又は双方と係合させるのと同時に、速度調整器6Sに対しても係合させる形態としてもよい。
【0142】
このように構成された実施例6の速度調整装置6は、当該軸孔613やガイド部616から速度調整器6Sの内部にゴミが入り、各ローラー(アイドルローラー63及びドライブローラー64)の動きが悪くなり性能低下を起こすおそれを解消することができる。
【0143】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、引き操作に係るコードとして移動する昇降コードを速度変換対象とした横型ブラインドの例に説明したが、遮蔽材を移動させるためのコードの移動により、遮蔽材の開閉方向のうち一方向を速度調整する機構的な自動操作とし他方向を手動操作として遮蔽材の開閉を可能とする横型ブラインド、プリーツスクリーン、ローマンシェード、縦型ブラインド、アコーディオンカーテン、或いはロールスクリーン等の遮蔽装置であれば、本発明に係る速度調整装置6を適用することができる。また、ゴミの混入が問題になりやすい遠心ブレーキ式の構造を持つ速度調整装置を主として説明したが、他のブレーキ構造を持つ速度調整装置に対しても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明によれば、内部にゴミが入るのを予防するケーシング構造を有する、一方向に移動するコードの移動速度を制限して当該遮蔽材の移動速度を一定値以下とする速度調整装置を構成できるので、コードの移動に伴って遮蔽材を開閉する遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0145】
1 ヘッドボックス
C1,C2,C3 昇降コード(牽引コード)
3 遮蔽材(スラット)
4 ボトムレール
5 支持部材
6 速度調整装置
6M コードガイド
6S 速度調整器
6T カバー(上カバー)
6a ブレーキ部
7 操作コード
8 コードイコライザー
61,61G ケース部材(ハウジング)
62 スライダー
SP コイルスプリング
63 アイドルローラー
64 ドライブローラー
65 歯車付キャリア
66 環状プレート
67 太陽歯車付ウェイトホルダー
68 ウェイト
69,69G ベース部材(ハウジング)
71 カバー(上カバー)
72 カバー(下カバー)
614 コード挿通孔
616 ガイド部
613,692 軸孔
613G,692G 穿設溝
631 ローラー軸
632 ローラー部
641 ローラー軸
642 ローラー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13