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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095372
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】ハンドル
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208659
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】森田 文平
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA25
3D030DA35
3D030DA45
3D030DA54
3D030DA69
3D030DB13
3D030DB81
(57)【要約】
【課題】把持を検知するセンサとリード線とを簡便に接続できて、手間と製造コストとを低減できるハンドルを提供すること。
【解決手段】操舵時に把持する把持部に、把持検知回路に対し、リード線30を介して接続されて、把持を検出可能な導電性材料からなるセンサ28を設けたセンサ層20、が配設される。センサ28が、金属箔から構成される。センサ層20は、絶縁性を有したシート状の基材23と、基材23上に配設される粘着層26により基材23に対して貼着されるセンサとしての金属箔28と、を備えて構成される。リード線30の先端31は、基材23上に貼着される金属箔28と基材23との間に配設されて、基材23に貼着される金属箔28における基材23側への押圧力と基材23上の粘着層26の粘着力とにより、基材23上で位置決めされ、かつ、金属箔28に接続される構成としている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵時に把持する把持部に、把持検知回路に対し、リード線を介して接続されて、把持を検出可能な導電性材料からなるセンサを設けたセンサ層、が配設されて構成されるハンドルであって、
前記センサが、金属箔から構成され、
前記センサ層が、絶縁性を有したシート状の基材と、該基材上に配設される粘着層により前記基材に対して貼着される前記金属箔と、を備えて構成されるとともに、
前記リード線の先端が、前記基材上に貼着される前記金属箔と前記基材との間に配設されて、前記基材に貼着される前記金属箔における前記基材側への押圧力と前記基材上の前記粘着層の粘着力とにより、前記基材上で位置決めされ、かつ、前記金属箔に接続される構成としていることを特徴とするハンドル。
【請求項2】
前記リード線が、導体からなる素線と、該素線を覆う絶縁性を有したカバーと、から構成されて、
前記基材上の前記粘着層と前記金属箔との間に配設される前記リード線の先端が、金属箔接触領域として、
該金属箔接触領域が、前記素線を前記カバーで覆ったままの素線被覆部と、該素線被覆部の先端側における前記カバーを剥がして前記素線を露出させた素線露出部と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記把持部が、
前記把持部の外周面側に配設される表面側層と、
芯材の周囲に配設される絶縁性を有したベース層と、
前記表面側層と前記ベース層との間に配設される前記センサ層と、
を備えて構成されるとともに、
前記表面側層が、型成形により形成される合成樹脂製の発泡樹脂層としていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記センサ層が、前記基材の裏面側に、シールド層を配設させて構成され、
該シールド層が、前記基材の裏面側に、導電性材料からなるシールド用金属箔を、粘着層を介在させて、貼着させて配設されるとともに、前記把持検知回路に接続させるリード線を、前記基材上に貼着される前記シールド用金属箔と前記基材との間に配設させて、前記基材に貼着される前記シールド用金属箔の押圧力と前記基材側への前記粘着層の粘着力とにより、前記シールド用金属箔に接続させる構成としていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が車両の操舵時に把持する把持部に、運転者の把持を検知可能なセンサを設けて構成されるハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハンドルでは、操舵時に把持する把持部に、把持検知回路に対し、リード線を介して接続されて、把持を検出可能な導電性材料からなるセンサを設けたセンサ層、が配設されて構成されていた(例えば、特許文献1,2参照)。リード線のセンサへの接続は、導電膜からなるセンサに、リード線を半田付けしたり、あるいは、導電性シートからなるセンサに、ハトメ止めして、リード線を接続させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-178133号公報
【特許文献1】特開2018-063761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のハンドルでは、いずれも、センサとリード線との接続に半田付けやハトメ止めを利用しており、手間とコストが掛かることから、簡便に、把持検知回路に連結されるリード線とセンサとを接続させることが望まれる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、把持を検知するセンサとリード線とを簡便に接続できて、手間と製造コストとを低減できるハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るハンドルでは、操舵時に把持する把持部に、把持検知回路に対し、リード線を介して接続されて、把持を検出可能な導電性材料からなるセンサを設けたセンサ層、が配設されて構成されるハンドルであって、
前記センサが、金属箔から構成され、
前記センサ層が、絶縁性を有したシート状の基材と、該基材上に配設される粘着層により前記基材に対して貼着される前記金属箔と、を備えて構成されるとともに、
前記リード線の先端が、前記基材上に貼着される前記金属箔と前記基材との間に配設されて、前記基材に貼着される前記金属箔における前記基材側への押圧力と前記基材上の前記粘着層の粘着力とにより、前記基材上で位置決めされ、かつ、前記金属箔に接続される構成としていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るハンドルでは、基材上に粘着層を設け、その表面側にセンサとしての金属箔を配置させる際、リード線の先端を、所定位置に配置させて、その後、金属箔を粘着層に貼着させるだけで、リード線の先端を、基材上で位置決めさせ、かつ、金属箔に接続させることができる。すなわち、基材上に金属箔からなるセンサを貼着させる際、単に、リード線を粘着層の上に配置させるだけで、その後のセンサの基材への貼着により、簡便に、リード線をセンサに接続させることができる。勿論、センサが金属箔として、基材上に広い面積で配設させることができることから、把持検知の感度を向上させることができる。すなわち、把持検知感度の良好な金属箔からなるセンサを把持部に配設させるとともに、簡便に、センサとリード線とを接続させることができて、感度の良好な把持検知機能を備えたハンドルを、低コストで製造できる。
【0008】
したがって、本発明に係るハンドルでは、把持を検知するセンサとリード線とを簡便に接続できて、感度の良好な把持検知機構を備えていても、手間と製造コストを低減させて製造することができる。
【0009】
そして、本発明に係るハンドルでは、前記リード線が、導体からなる素線と、該素線を覆う絶縁性を有したカバーと、から構成されて、
前記基材上の前記粘着層と前記金属箔との間に配設される前記リード線の先端が、金属箔接触領域として、
該金属箔接触領域が、前記素線を前記カバーで覆ったままの素線被覆部と、該素線被覆部の先端側における前記カバーを剥がして前記素線を露出させた素線露出部と、から構成されていることが望ましい。
【0010】
このような構成では、リード線の先端の金属箔接触領域が、カバーから露出した素線単体だけで無く、素線をカバーで覆った素線被覆部と、その素線被覆部の先端側における素線を露出させた素線露出部と、から構成されて、リード線のカバーから露出した素線が、他の部材と接触せずに、センサとしての金属箔に対し、安定して接触して、接続されることから、ノイズの発生を抑えて、把持検知の感度を向上させることに寄与できる。また、素線より大径の素線被覆部が、粘着層に粘着されることから、リード線の貼着強度を向上させて、リード線の位置ずれ防止に寄与できる。
【0011】
そしてまた、本発明に係るハンドルでは、前記把持部が、
前記把持部の外周面側に配設される表面側層と、
芯材の周囲に配設される絶縁性を有したベース層と、
前記表面側層と前記ベース層との間に配設される前記センサ層と、
を備えて構成されるとともに、
前記表面側層が、型成形により形成される合成樹脂製の発泡樹脂層としていることが望ましい。
【0012】
このような構成では、金属箔からなるセンサやセンサとの接続部位近傍のリード線が、把持部において、型成形される表面側層を構成する発泡樹脂層の弾性変形的な成形収縮等によって、基材側に押し付けられた状態として、配設されることから、単に、リード線の先端側を、基材上に配設させた粘着層と金属箔からなるセンサとの間に、配設させて、金属箔に接続させただけであっても、リード線の先端が、発泡樹脂層からなる表面側層により、成形後であっても、基材側に押し付けられて、金属箔との接続解除となるような接続部位からの外れを防止できて、良好な金属箔との接続状態を維持することができる。
【0013】
また、本発明に係るハンドルでは、前記センサ層が、前記基材の裏面側に、シールド層を配設させて構成され、
該シールド層が、前記基材の裏面側に、導電性材料からなるシールド用金属箔を、粘着層を介在させて、貼着させて配設されるとともに、前記把持検知回路に接続させるリード線を、前記基材上に貼着される前記シールド用金属箔と前記基材との間に配設させて、前記基材に貼着される前記シールド用金属箔の押圧力と前記基材側への前記粘着層の粘着力とにより、前記シールド用金属箔に接続させる構成としていることが望ましい。
【0014】
このような構成では、センサ層が、シールド層により、把持部の芯材側を覆われることから、芯材側の金属部分の影響等によるノイズを除去できて、一層、把持検知の感度を良好にすることができる。さらに、シールド層側の電極も、センサ層の金属箔からなるセンサと同様に、シールド用金属箔から形成されるとともに、把持検知回路側に接続されるリード線との接続も、基材の裏面側に貼着させるシールド用金属箔と基材側の粘着層との間に、リード線の先端を単に配設させるだけで、シールド用金属箔とリード線の先端とを、簡便に、接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態のハンドルを示す概略平面図である。
図2】実施形態のハンドルにおける把持部の断面図であり、図1のII-II部位に対応する。
図3】実施形態のセンサ層を設けたセンサ用シート材を平らにした平面図である。
図4】実施形態のセンサ層のリード線の先端部分の拡大平面図である。
図5】実施形態のセンサ層の拡大断面図であり、図4のV-V部位に対応する。
図6】実施形態の把持部の表面側層を成形する成形時を説明する図である。
図7】実施形態の変形例の把持部を示す断面図である。
図8図7に示す変形例のセンサ層の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のハンドルWは、図1に示すように、図示しない車両の操舵時に把持する略円環状の把持部Rと、把持部Rの中央のボス部Bと、把持部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S(L,R,B)と、を備えて構成されている。スポーク部Sは、ボス部Bから左右両側に延びるスポーク部SL,SRと、ボス部Bから後側に延びるスポーク部SBと、を備えている。また、ハンドルWは、ボス部Bの上部側に配設される二点鎖線で示したエアバッグ装置70と、ハンドル本体1と、ボス部Bの下部側を覆う図示しないロアカバーと、を備えて構成されている。
【0017】
把持部Rには、把持を検知するセンサ層20が配設され、ボス部Bには、エアバッグ装置70に覆われたハンドル本体1の部位に、把持検知回路50が配設されている。把持検知回路50は、図2に示すように、運転者の手Hの指F(F1,F2)が、把持部Rを把持するように、把持部Rのセンサ層20に接近した際に、静電容量が上昇することから、その上昇を検出して、運転者の把持を検知することとなる。なお、実施形態では、把持検知回路50には、センサ層20のセンサ(金属箔)28から延びるリード線30の他、シールド層37のシールド用電極(金属箔)38から延びるリード線40も、接続されている。
【0018】
ハンドル本体1は、把持部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを連結するアルミニウム合金等の金属材からなる芯材3、を備えて構成されている。芯材3は、把持部Rに配設される把持芯材部4と、ボス部Bに配設されるボス芯材部5と、把持芯材部4とボス芯材部5とを連結するように、スポーク部S(L,R,B)に配設されるスポーク芯材部6(L,R),7と、を備えて構成されている。ボス芯材部5は、車両のステアリングシャフトと結合される鋼製のボス5aを配設させている。また、スポーク芯材部6は、左右のスポーク部SL,SRに配設されるスポーク芯材部6L,6Rと、後部側のスポーク部SBに配設されて、ボス芯材部5側で左右に分岐し、そして、把持芯材部4側で結合されるような2本のスポーク芯材部7,7と、から構成されている。
【0019】
把持部Rに配設される把持芯材部4の周囲には、図2に示すように、電気的な絶縁性を有したウレタン等からなるベース層10と、外表面側の発泡樹脂層16としての発泡ウレタンからなる表面側層15と、ベース層10と表面側層15との間に配設されるセンサ層20とシールド層37とを備えてなるセンサ用シート材18と、が配設されている。
【0020】
センサ用シート材18のセンサ層20は、図2~5に示すように、導電性材料からなるセンサとしての金属箔28と、絶縁性を有したウレタン等の合成樹脂製の可撓性を有したシート状の基材23と、を備えて構成されている。センサ用の金属箔28は、アルミニウム製として、基材23の表面23a側に粘着剤を塗布して配設された粘着層26を利用して、基材23の表面23a側の略全域に貼着されて、配設されている。
【0021】
シールド層37は、基材23の裏面23b側の略全域に、導電性材料からなるシールド用金属箔38を、粘着層35を介在させて、貼着させて配設させている。金属箔38は、センサ層20の金属箔28と同様な外形形状としたアルミニウム製としている。
【0022】
また、基材23と金属箔28,38とには、幅方向の両縁に、ベース層10に粘着層13を利用して貼着させる際、曲がった略円柱状のベース層10の外周面10aの全域に、円滑に、貼着できるように、多数の三角状の切欠き21が形成されている。
【0023】
そして、把持検知回路50から延びるリード線30,40と各金属箔28,38との接続は、リード線30,40の先端31,41を、それぞれ、基材23上に貼着される金属箔28,38と基材23との間に配設させて、基材23に貼着される金属箔28,38自体を利用して、行なっている。すなわち、基材23の表面23a側に、両面テープ等からなる粘着層26の所定の離型紙を剥がして、粘着層26を塗布するように貼着し、そして、反対側の離型紙を剥がした粘着層26の表面側に、リード線30の先端31を配置させるとともに、粘着層26の全面に、金属箔28を貼着させて、センサ用金属箔28に、把持検知回路50に接続させるリード線30の先端31を接続させている。同様に、基材23の裏面23b側に、両面テープ等からなる粘着層35の所定の離型紙を剥がして、粘着層35を塗布するように貼着し、そして、反対側の離型紙を剥がした粘着層35の表面側に、リード線40の先端41を配置させるとともに、粘着層35の全面に、金属箔38を貼着させれば、シールド用金属箔38に、把持検知回路50に接続させるリード線40の先端41を接続させている。
【0024】
なお、各リード線30,40は、導体からなる銅や銅合金等の金属製等の素線32,42と、素線32,42を覆う絶縁性を有したポリウレタンやポリエチレン等の合成樹脂製等のカバー33,43と、から構成されている。
【0025】
そして、リード線30の先端31は、基材23上の粘着層26とセンサ用金属箔28との間に配設される金属箔接触領域34として、素線32をカバー33で覆ったままの素線被覆部34bと、素線被覆部34bの先端側におけるカバー33を剥がして素線32を露出させた素線露出部34aと、から構成されて、素線32が、直接、金属箔28に接触されるように構成されている(図4,5参照)。
【0026】
同様に、リード線40の先端41も、基材23上の粘着層35とシールド用金属箔38との間に配設される金属箔接触領域44として、素線42をカバー43で覆ったままの素線被覆部44bと、素線被覆部44bの先端側におけるカバー43を剥がして素線42を露出させた素線露出部44aと、から構成されて、素線42が、直接、金属箔38に接触されるように構成されている。
【0027】
また、切欠き21は、リード線30,40の先端31,41を介在させて、各金属箔28,38を基材23の表裏23a,23bに貼着させた後、所定のカッタにより、形成している。
【0028】
そして、基材23を共用してセンサ層20とシールド層37とを設けたセンサ用シート材18は、図6のAに示すように、芯材3の把持芯材部4や把持芯材部4近傍のスポーク芯材部6,7に被覆させたベース層10の外周面10a側に、粘着層13を利用して貼着させる。さらに、センサ用シート材18をベース層10に貼着させたハンドル本体1の予備成形品2を、型開き状態の成形型80にセットし、割型83,84を型締めして、割型83,84の型面83a,84aからなるキャビティ81内に、表面側層15の発泡樹脂層16を成形する成形材料86を注入して、発泡ウレタンからなる発泡樹脂層16とした表面側層15を成形し、離型させれば、ハンドル本体1を得ることができる。
【0029】
なお、実施形態のハンドル本体1では、センサ用シート材18の厚さ寸法t0(図2参照)は、約1mm、金属箔28,38の厚さ寸法t1は、約0.2mm、基材23の厚さ寸法t2は、約0.4mmとし、表面側層15の厚さ寸法t3は、約3mmとしている。
【0030】
そして、表面側層15を設けたハンドル本体1では、ボス部Bの下部側に図示しないロアカバーを取り付けつつ、ボス部Bのボス5aを、車両のステアリングシャフトに締結し、ボス部Bの上部側に、エアバッグ装置70を取り付ければ、ハンドルWを組み立てることができるとともに、ハンドルWを車両に搭載することができる。なお、エアバッグ装置70を取り付ける際には、リード線30,40を、運転者の把持を検知可能な把持検知回路50に結線させておく。
【0031】
車両に搭載されたハンドルWでは、運転者の手Hの指F(F1,F2)が、把持部Rを把持するように、把持部Rのセンサ層20に接近すれば、静電容量が上昇したことを所定の把持検知回路50が検知することから、運転者の把持を検知することができる。
【0032】
そして、実施形態のハンドルWでは、基材23上に粘着層26を設け、その表面23a側にセンサとしての金属箔28を配置させる際、リード線30の先端31を、所定位置に配置させて、その後、金属箔28を粘着層26に貼着させるだけで、リード線30の先端31を、基材23上で位置決めさせ、かつ、金属箔28に接続させることができる。すなわち、基材23上に金属箔28からなるセンサを貼着させる際、単に、リード線30を粘着層26の上に配置させるだけで、その後のセンサ28の基材23への貼着により、簡便に、リード線30をセンサ28に接続させることができる。勿論、センサ28が金属箔として、基材23上に広い面積で配設させることができることから、把持検知の感度を向上させることができる。すなわち、把持検知感度の良好な金属箔28からなるセンサを把持部Rに配設させるとともに、簡便に、センサ28とリード線30とを接続させることができて、感度の良好な把持検知機能を備えたハンドルWを、低コストで製造できる。
【0033】
したがって、実施形態のハンドルWでは、把持を検知するセンサ28とリード線30とを簡便に接続できて、感度の良好な把持検知機構を備えていても、手間と製造コストを低減させて製造することができる。
【0034】
そして、実施形態のハンドルWでは、リード線30が、導体からなる素線32と、素線32を覆う絶縁性を有したカバー33と、から構成されて、基材23上の粘着層26とセンサ用金属箔28との間に配設されるリード線30の先端31が、金属箔接触領域34としている。さらに、この金属箔接触領域34が、素線32をカバー33で覆ったままの素線被覆部34bと、素線被覆部34bの先端側におけるカバー33を剥がして素線32を露出させた素線露出部34aと、から構成されている。
【0035】
そのため、実施形態では、リード線30の先端31の金属箔接触領域34が、カバー33から露出した素線32単体だけで無く、素線32をカバー33で覆った素線被覆部34bと、その素線被覆部34bの先端側における素線32を露出させた素線露出部34aと、から構成されて、リード線30のカバー33から露出した素線32が、他の部材(ベース層10等)と接触せずに、センサとしての金属箔28に対し、安定して接触して、接続されることから、ノイズの発生を抑えて、把持検知の感度を向上させることに寄与できる。また、素線32より大径の素線被覆部34bが、粘着層26に粘着されることから、リード線30の貼着強度を向上させて、リード線30の位置ずれ防止に寄与できる。
【0036】
なお、上記の構成は、シールド層37のリード線40でも、同様であり、同様の作用を得ることができる。
【0037】
そしてまた、実施形態のハンドルWでは、把持部Rが、把持部Rの外周面側に配設される表面側層15と、芯材3の把持芯材部4の周囲に配設される絶縁性を有したベース層10と、表面側層15とベース層10との間に配設されるセンサ層20と、を備えて構成されている。そして、表面側層15が、型成形により形成される合成樹脂製の発泡樹脂層16(実施形態では発泡ウレタン層)としている。
【0038】
そのため、実施形態では、金属箔からなるセンサ28やセンサ28との接続部位近傍のリード線30が、把持部Rにおいて、型成形される表面側層15を構成する発泡樹脂層16の弾性変形的な成形収縮等によって、基材23側に押し付けられた状態として、配設されることから、単に、リード線30の先端31側を、基材23上に配設させた粘着層26と金属箔からなるセンサ28との間に、配設させて、金属箔28に接続させただけであっても、リード線30の先端31が、発泡樹脂層16からなる表面側層15により、成形後であっても、基材23側に押し付けられて、金属箔28との接続解除となるような接続部位からの外れを防止できて、良好な金属箔28との接続状態を維持することができる。
【0039】
また、実施形態のハンドルWでは、センサ層20が、基材23の裏面23b側に、シールド層37を配設させて構成され、シールド層37が、基材23の裏面23b側に、導電性材料からなるシールド用金属箔38を、粘着層35を介在させて、貼着させて配設されるとともに、把持検知回路50に接続させるリード線40を、基材23の裏面23b上に貼着されるシールド用金属箔38と基材23との間に配設させて、基材23に貼着されるシールド用金属箔38の押圧力と基材23側への粘着層35の粘着力とにより、シールド用金属箔38に接続させる構成としている。
【0040】
そのため、実施形態では、センサ層20が、シールド層37により、把持部Rの芯材3における把持芯材部4側を覆われることから、把持芯材部4側の金属部分の影響等によるノイズを除去できて、一層、把持検知の感度を良好にすることができる。さらに、シールド層37側の電極も、センサ層20の金属箔28からなるセンサと同様に、シールド用金属箔38から形成されるとともに、把持検知回路50側に接続されるリード線40との接続も、基材23の裏面23b側に貼着させるシールド用金属箔38と基材23側の粘着層35との間に、リード線40の先端41を単に配設させるだけで、シールド用金属箔38とリード線40の先端41とを、簡便に、接続させることができる。
【0041】
なお、実施形態では、センサ層20の把持芯材部4側に、シールド層37を配設したが、図7,8に示す把持部RAのように、シールド層37を設けずに、センサ層20だけを設けて、把持部RAを構成してもよい。
【0042】
また、実施形態では、成形後の押圧力を維持できるように、表面側層15を発泡樹脂層16から形成する場合を例示したが、表面側層15を皮革として、革巻きハンドルの把持部に、センサ層20を配設する構成としてもよい。
【0043】
さらに、実施形態のハンドルWでは、略円環状の把持部Rを例示したが、把持部Rは、円環形状に限定されるものではなく、四角環状や、楕円環状等の種々の形状としていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
3…芯材、4…把持芯材部、10…ベース層、15…表面側層、20…センサ層、23…基材、23a…表面、23b…裏面、26…(表側)粘着層、28…センサ・金属箔、30…リード線、31…先端、32…素線、33…カバー、34…金属箔接触領域、34a…素線露出部、34b…素線被覆部、35…(裏側)粘着層、37…シールド層、38…シールド用電極・シールド用金属箔、40…リード線、41…先端、50…把持検知回路、R,RA…把持部、W…ハンドル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8