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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095405
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/10 20060101AFI20220621BHJP
   G11C 16/04 20060101ALI20220621BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220621BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20220621BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20220621BHJP
【FI】
G11C16/10 150
G11C16/04 170
H01L29/78 371
H01L27/11582
H01L27/11556
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208721
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】池上 一隆
(72)【発明者】
【氏名】滋賀 秀裕
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA02
5B225CA01
5B225DB02
5B225DB08
5B225DB22
5B225DB30
5B225EA05
5B225FA02
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA05
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA19
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA16
5F101BA02
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
(57)【要約】
【課題】半導体記憶装置の消費電力を低減すること。
【解決手段】半導体記憶装置は、第1ワード線と、前記第1ワード線と同一層に設けられ、前記第1ワード線とは独立して制御される第2ワード線と、前記第1ワード線と前記第2ワード線とによって挟まれ、それぞれが前記第1ワード線に対向する第1メモリセルと前記第2ワード線に対向する第2メモリセルとを含み、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ複数のメモリピラーと、を有する。前記複数のメモリピラーの各々に含まれる前記第1メモリセルに対する書き込み動作が完了した後に、前記複数のメモリピラーに含まれる前記第2メモリセルに対する書き込み動作が行われる。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ワード線と、
前記第1ワード線と同一層に設けられ、前記第1ワード線とは独立して制御される第2ワード線と、
前記第1ワード線と前記第2ワード線とによって挟まれ、それぞれが前記第1ワード線に対向する第1メモリセルと前記第2ワード線に対向する第2メモリセルとを含み、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ複数のメモリピラーと、を有し、
前記複数のメモリピラーの各々に含まれる前記第1メモリセルに対する書き込み動作が完了した後に、前記複数のメモリピラーに含まれる前記第2メモリセルに対する書き込み動作が行われる半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1ワード線は、前記第1方向に長手を有し、前記第2方向に並んで配置された複数の第1メモリセル部と、前記第2方向に並んだ前記第1メモリセル部を連結する第1接続部とを有し、
前記第2ワード線は、前記第1方向に長手を有し、前記第2方向に並んで配置された複数の第2メモリセル部と、前記第2方向に並んだ前記第2メモリセル部を連結する第2接続部とを有し、
前記複数のメモリピラーの各々は、隣接する前記第1メモリセル部と前記第2メモリセル部との間に設けられている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1メモリセル及び前記第2メモリセルは、それぞれストリングアドレスの最上位ビットによって決定される、請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1メモリセルに対する書き込み動作におけるプログラム電圧のステップアップ幅は、前記第2メモリセルに対する書き込み動作におけるプログラム電圧のステップアップ幅より小さい、請求項1乃至3のいずれか一に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2メモリセルにおける閾値電圧分布の幅は、前記第1メモリセルにおける閾値電圧分布の幅より小さい、請求項1乃至4のいずれか一に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向において、前記第1ワード線及び前記第2ワード線に隣接する層に設けられた第3ワード線及び第4ワード線をさらに有し、
前記複数のメモリピラーの各々は、前記第3ワード線と前記第4ワード線とによって挟まれ、前記第3ワード線に対向し、前記第1メモリセルと前記メモリピラーを共有する第3メモリセルと、前記第4ワード線に対向し、前記第2メモリセルと前記メモリピラーを共有する第4メモリセルとを含み、
前記第1メモリセル、前記第2メモリセル、前記第3メモリセル、及び前記第4メモリセルの各々において、第1書き込み動作、第2書き込み動作の順で書き込み動作が行われ、
前記第1メモリセル及び前記第2メモリセルに対する前記第1書き込み動作の後に前記第3メモリセル及び前記第4メモリセルに対する前記第1書き込み動作が行われ、
前記第3メモリセル及び前記第4メモリセルに対する前記第1書き込み動作の後に前記第1メモリセル及び前記第2メモリセルに対する前記第2書き込み動作が行われる、請求項1乃至5のいずれか一に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置としてのNAND型フラッシュメモリと、当該NAND型フラッシュメモリを制御するコントローラと、を備えるメモリシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-168163号公報
【特許文献2】特開2018-164070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体記憶装置の消費電力を低減すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る半導体記憶装置は、第1ワード線と、前記第1ワード線と同一層に設けられ、前記第1ワード線とは独立して制御される第2ワード線と、前記第1ワード線と前記第2ワード線とによって挟まれ、それぞれが前記第1ワード線に対向する第1メモリセルと前記第2ワード線に対向する第2メモリセルとを含み、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ複数のメモリピラーと、を有する。前記複数のメモリピラーの各々に含まれる前記第1メモリセルに対する書き込み動作が完了した後に、前記複数のメモリピラーに含まれる前記第2メモリセルに対する書き込み動作が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るメモリシステムの電源系統を説明するためのブロック図である。
図2】一実施形態に係るメモリシステムの信号系統の構成を説明するためのブロック図である。
図3】一実施形態に係る半導体記憶装置の構成を説明するためのブロック図である。
図4】一実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルアレイの回路構成を示す図である。
図5】一実施形態に係る半導体記憶装置のセレクトゲート線、ビット線、及びメモリピラーのレイアウトを示す図である。
図6】一実施形態に係る半導体記憶装置のワード線及びメモリピラーのレイアウトを示す図である。
図7図6に示す半導体記憶装置のA-A’断面図である。
図8図6に示す半導体記憶装置のB-B’断面図である。
図9図7に示すメモリセルのC-C’断面図である。
図10図9に示すメモリセルのD-D’断面図である。
図11図9に示すメモリセルの変形例である。
図12図11に示すメモリセルのE-E’断面図である。
図13】一実施形態に係る半導体記憶装置において隣接するストリングの等価回路を示す図である。
図14】一実施形態に係る半導体記憶装置のワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。
図15】一実施形態に係る半導体記憶装置のワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。
図16】一実施形態に係る半導体記憶装置のワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。
図17】一実施形態に係る半導体記憶装置のワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。
図18】一実施形態に係る半導体記憶装置において、対象のメモリセルが、他のメモリセルの書き込み動作によって発生する干渉を受ける様子を説明する図である。
図19】一実施形態に係る半導体記憶装置において、ロウアドレスの割り付けについて説明する図である。
図20】一実施形態に係る半導体記憶装置において、書き込み動作におけるプロブラム電圧について説明する図である。
図21】一実施形態に係る半導体記憶装置において、閾値電圧分布の幅について説明する図である。
図22】一実施形態に係る半導体記憶装置において、複数ステージの書き込み動作について説明する図である。
図23】比較例の半導体記憶装置において、ワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。
図24】比較例の半導体記憶装置において、ワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。
図25】比較例の半導体記憶装置において、ワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。
図26】比較例の半導体記憶装置において、ワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。
図27】比較例において、対象のメモリセルが、他のメモリセルの書き込み動作によって発生する干渉を受ける様子を説明する図である。
図28】あるページに属するメモリセルトランジスタについて、書き込み動作が終了した状態の閾値電圧分布が他のページに属するメモリセルトランジスタに対する書き込み動作によって受ける影響を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態にかかる不揮発性半導体記憶装置を図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する要素について、同一符号が付されており、必要な場合にのみ重複して説明する。以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定されない。実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲に対して、種々の変更を加えたものであってもよい。
【0008】
以下の説明では、信号X<n:0>(nは自然数)とは、(n+1)ビットの信号であり、各々が1ビットの信号である信号X<0>、X<1>、・・・、及びX<n>の集合を意味する。構成要素Y<n:0>とは、信号X<n:0>の入力又は出力に1対1に対応する構成要素Y<0>、Y<1>、・・・、及びY<n>の集合を意味する。
【0009】
以下の説明では、信号BZは、信号Zの反転信号であることを示す。あるいは、信号Zが制御信号である場合、信号Zが正論理であり、信号BZが負論理である。すなわち、信号Zの“H”レベルがアサートに対応し、信号Zの“L”レベルがネゲートに対応する。信号BZの“L”レベルがアサートに対応し、信号Zの“H”レベルがネゲートに対応する。
【0010】
以下の説明において、A/Bという表記はA又はBを意味する。例えば、Xは、A/B、C/D、及びEを有する、という場合、XがA、C、及びEを有する場合とXがB、D、及びEを有する場合とを含む。
【0011】
<第1実施形態>
図1図21を用いて、第1実施形態に係るメモリシステムについて説明する。第1実施形態に係るメモリシステムは、例えば、半導体記憶装置としてのNAND型フラッシュメモリと、当該NAND型フラッシュメモリを制御するメモリコントローラと、を含む。
【0012】
[メモリシステムの全体構成]
第1実施形態に係るメモリシステムの全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。メモリシステム1は、例えば、外部の図示しないホスト機器と通信する。メモリシステム1は、ホスト機器から受信したデータを保持し、半導体記憶装置5~8から読み出されたデータをホスト機器に送信する。
【0013】
図1は、第1実施形態に係るメモリシステムの電源系統を説明するためのブロック図である。図1に示すように、メモリシステム1はメモリコントローラ(memory controller)2、NANDパッケージ(NAND package)3、パワーマネージャ(power manager)4、及び基準抵抗9を備えている。NANDパッケージ3は、例えば、複数の半導体記憶装置(semiconductor storage device)5~8を含む。図1の例では、NANDパッケージ3内に4つのチップが含まれる場合が示されている。以下の説明では、半導体記憶装置5~8はそれぞれ、チップA~Dと読替えてもよい。
【0014】
パワーマネージャ4は、メモリコントローラ2及びNANDパッケージ3に供給される電圧を管理するためのIC(Integrated circuit)である。パワーマネージャ4は、例えば、メモリコントローラ2及びNANDパッケージ3に電圧VCCQを供給する。電圧VCCQは、メモリコントローラ2とNANDパッケージ3との間の入出力信号に用いられる電圧の基準電圧として用いられる。パワーマネージャ4は、例えば、NANDパッケージ3に電圧VCCを供給する。電圧VCCは、NANDパッケージ3内で用いられるその他の電圧の基準電圧として用いられる。
【0015】
NANDパッケージ3は、基準抵抗9を介して電圧VSSと接続される。基準抵抗9は、例えば、NANDパッケージ3内の半導体記憶装置5~8の各々の出力インピーダンスを補正するために用いられる。電圧VSSは、接地電圧であり、例えば、メモリシステム1内のグラウンド(0V)として定義される。
【0016】
図2は、一実施形態に係るメモリシステムの信号系統の構成を説明するためのブロック図である。図2に示すように、メモリコントローラ2は半導体記憶装置5~8を制御する。具体的には、メモリコントローラ2は、半導体記憶装置5~8にデータを書込み、半導体記憶装置5~8からデータを読出す。メモリコントローラ2は、NANDバスによって半導体記憶装置5~8に接続される。
【0017】
半導体記憶装置5~8の各々は、複数のメモリセルを備え、データを不揮発に記憶する。半導体記憶装置5~8の各々は、例えば、個別のチップイネーブル信号が供給されることで、又は、個別のチップアドレスが予め割当てられることで、一意に識別可能な半導体チップである。従って、半導体記憶装置5~8の各々は、メモリコントローラ2の指示によって独立に動作可能である。
【0018】
半導体記憶装置5~8の各々と接続されたNANDバスにおいて、同種の信号が送受信される。NANDバスは、複数の信号線を含み、NANDインタフェースに従った信号の送受信を行う。BCEはチップイネーブル信号であり、負論理で動作する。BRBはレディビジー信号であり、負論理で動作する。CLEはコマンドラッチイネーブル信号であり、正論理で動作する。ALEはアドレスラッチイネーブル信号であり、正論理で動作する。BWEはライトイネーブル信号であり、負論理で動作する。RE及びBREはリードイネーブル信号及びその反転信号である。REは正論理で動作する。BREは負論理で動作する。例えば、RE及び/又はBREは、出力指示信号として機能する。BWPはライトプロテクト信号であり、不論理で動作する。
【0019】
DQ<7:0>はデータ信号である。データ信号DQ<7:0>は入出力端子(I/Oポート)を介して入出力される。例えば、信号DQS及びBDQSはデータストローブ信号及びその反転信号である。DQS及び/又はBDQSは、ストローブ信号又はタイミング制御信号として機能する。ストローブ信号(DQS/BDQS)は、互いに逆の位相を有する信号対である。ストローブ信号は、データ信号DQ<7:0>の送受信タイミングを規定する信号である。信号BCE0~BCE3は、メモリコントローラ2から半導体記憶装置5~8の各々に独立して送信される。信号BRB0~BRB3は、半導体記憶装置5~8の各々からメモリコントローラ2に独立して送信される。信号CLE、ALE、BWE、RE、BRE、及びBWPは、メモリコントローラ2から半導体記憶装置5~8に共通して送信される。
【0020】
信号BCE0~BCE3の各々は、半導体記憶装置5~8をイネーブル(有効)にするための信号である。信号CLEは、信号CLEが“H(High)”レベルである間に半導体記憶装置5~8に送信されるデータ信号DQ<7:0>がコマンドであることを半導体記憶装置5~8に通知する。信号ALEは、信号ALEが“H”レベルである間に半導体記憶装置5~8に送信されるデータ信号DQ<7:0>がアドレスであることを半導体記憶装置5~8に通知する。信号BWEは、信号BWEが“L(Low)”レベルである間に半導体記憶装置5~8に送信されるデータ信号DQ<7:0>を半導体記憶装置5~8に書込むことを指示する。
【0021】
信号RE及びBREは、半導体記憶装置5~8にデータ信号DQ<7:0>を出力することを指示し、例えば、データ信号DQ<7:0>を出力する際の半導体記憶装置5~8の動作タイミングを制御する。信号BWPは、データ書込み及び消去の禁止を半導体記憶装置5~8に指示する。信号BRB0~BRB3の各々は、半導体記憶装置5~8がレディ状態(外部からの命令を受け付ける状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けない状態)であるかを示す。
【0022】
データ信号DQ<7:0>は、例えば、8ビットの信号である。データ信号DQ<7:0>は、半導体記憶装置5~8とメモリコントローラ2との間で送受信されるデータの実体であり、コマンド、アドレス、及びデータを含む。信号DQS及びBDQSは、例えば、信号RE及びBREに基づいて生成され、データ信号DQ<7:0>に係る半導体記憶装置5~8の動作タイミングを制御する。
【0023】
メモリコントローラ2は、プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)61、内蔵メモリ(RAM:Random Access Memory)62、NANDインタフェース回路63、バッファメモリ64、及びホストインタフェース回路65を備えている。
【0024】
プロセッサ61はメモリコントローラ2全体の動作を制御する。プロセッサ(processor)61は、例えば、外部から受信したデータの書込み命令に応答して、NANDインタフェースに基づく書込み命令を半導体記憶装置5~8に対して発行する。この機能は、読出し、消去、及び校正等の動作に共通する機能である。
【0025】
内蔵メモリ(built-in memory)62は、例えば、DRAM(Dynamic RAM)等の半導体メモリであり、プロセッサ61の作業領域として使用される。内蔵メモリ62は、半導体記憶装置5~8を管理するためのファームウェア、及び各種の管理テーブル等を保持する。
【0026】
NANDインタフェース回路(NAND interface)63は、上述のNANDバスを介して半導体記憶装置5~8と接続され、半導体記憶装置5~8との通信を実行する。NANDインタフェース回路63は、プロセッサ61の指示により、コマンド、アドレス、及び書込みデータを半導体記憶装置5~8に送信する。NANDインタフェース回路63は、半導体記憶装置5~8からステータス、及び読出しデータを受信する。
【0027】
バッファメモリ(buffer memory)64は、メモリコントローラ2が半導体記憶装置5~8及び外部から受信したデータ等を一時的に保持する。
【0028】
ホストインタフェース回路(host interface)65は、外部の図示しないホスト機器と接続され、ホスト機器との通信を実行する。ホストインタフェース回路65は、例えば、ホスト機器から受信した命令及びデータを、それぞれプロセッサ61及びバッファメモリ64に転送する。
【0029】
[半導体記憶装置の構成]
第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成例について、図3を用いて説明する。半導体記憶装置5~8は、例えば、同等の構成を有する。このため、以下の説明では、半導体記憶装置5~8のうち、半導体記憶装置5の構成について説明し、半導体記憶装置6~8の構成については、その説明を省略する。
【0030】
図3に示すように、半導体記憶装置5は、メモリセルアレイ(memory cell array)21、入出力回路(input/output)22、ZQ補正回路(ZQ calibration)23、ロジック制御回路(logic control)24、温度センサ(temp. sensor)25、レジスタ(register)26、シーケンサ(sequencer)27、電圧生成回路(voltage generation)28、ドライバセット(driver set)29、ロウデコーダ(row decoder)30、センスアンプ(sense amplifier)31、入出力用パッド群32、ZQ補正用パッド33、及びロジック制御用パッド群34を備えている。
【0031】
メモリセルアレイ21は、ワード線及びビット線に関連付けられた複数の不揮発性メモリセル(図示せず)を含む。
【0032】
入出力回路22は、メモリコントローラ2に対するデータ信号DQ<7:0>の送受信を行う。入出力回路22は、データ信号DQ<7:0>内のコマンド及びアドレスをレジスタ26に転送する。入出力回路22は、センスアンプ31に対する書込みデータ及び読出しデータの送受信を行う。
【0033】
ZQ補正回路23は、ZQ補正用パッド33を介して、基準抵抗9に基づいて半導体記憶装置5の出力インピーダンスを補正する。
【0034】
ロジック制御回路24は、メモリコントローラ2から信号BCE0、CLE、ALE、BWE、RE、BRE、及びBWPを受信する。ロジック制御回路24は、信号BRB0をメモリコントローラ2に転送して半導体記憶装置5の状態を外部に通知する。
【0035】
温度センサ25は、半導体記憶装置5内の温度を測定可能な機能を有する。温度センサ25は、測定した温度に関する情報をシーケンサ27に送出する。温度センサ25は、メモリセルアレイ21の温度とみなし得る温度が測定可能な範囲において、半導体記憶装置5内の任意の場所に設けられることができる。
【0036】
レジスタ26は、コマンド及びアドレスを保持する。レジスタ26は、アドレスをロウデコーダ30及びセンスアンプ31に転送すると共に、コマンドをシーケンサ27に転送する。
【0037】
シーケンサ27は、コマンドを受け取り、受け取ったコマンドに基づくシーケンスに従って半導体記憶装置5の全体を制御する。シーケンサ27は、温度センサ25から受けた温度に関する情報を、入出力回路22を介してメモリコントローラ2に送出する。
【0038】
電圧生成回路28は、シーケンサ27からの指示に基づき、データの書込み、読出し、及び消去等の動作に必要な電圧を生成する。電圧生成回路28は、生成した電圧をドライバセット29に供給する。
【0039】
ドライバセット29は、複数のドライバを含み、レジスタ26からのアドレスに基づいて、電圧生成回路28からの電圧をロウデコーダ30及びセンスアンプ31に供給する。ドライバセット29は、例えば、アドレス中のロウアドレスに基づき、ロウデコーダ30に電圧を供給する。
【0040】
ロウデコーダ30は、レジスタ26からアドレス中のロウアドレスを受取り、当該ロウアドレスに基づく行のメモリセルを選択する。選択された行のメモリセルには、ロウデコーダ30を介してドライバセット29からの電圧が転送される。
【0041】
センスアンプ31は、データの読出し時には、メモリセルからビット線に読出された読出しデータを感知し、感知した読出しデータを入出力回路22に転送する。センスアンプ31は、データの書込み時には、ビット線を介して書込まれる書込みデータをメモリセルに転送する。センスアンプ31は、レジスタ26からアドレス中のカラムアドレスを受取り、当該カラムアドレスに基づくカラムのデータを出力する。
【0042】
入出力用パッド群32は、メモリコントローラ2から受信したデータ信号DQ<7:0>、信号DQS、及び信号BDQSを入出力回路22に転送する。入出力用パッド群32は、入出力回路22から送信されたデータ信号DQ<7:0>を半導体記憶装置5の外部に転送する。
【0043】
ZQ補正用パッド33は、一端が基準抵抗9に接続され、他端がZQ補正回路23に接続される。
【0044】
ロジック制御用パッド群34は、メモリコントローラ2から受信した信号BCE0、CLE,ALE、BWE、RE、BRE、及びBWPをロジック制御回路24に転送する。ロジック制御用パッド群34は、ロジック制御回路24から送信されたBRB0を半導体記憶装置5の外部に転送する。
【0045】
[メモリセルアレイ21の構成]
メモリセルアレイ21の回路構成について、図4を用いて説明する。図4は、ブロックBLKの等価回路図である。図示するように、ブロックBLKは複数のメモリグループMG(MG0、MG1、MG2、・・・)を含む。各々のメモリグループMGは、複数のNANDストリング50を含む。以下の説明において、偶数番目のメモリグループMGe(MG0、MG2、MG4、・・・)のNANDストリングをNANDストリング50eと呼び、奇数番目のメモリグループMGo(MG1、MG3、MG5、・・・)のNANDストリングをNANDストリング50oと呼ぶ。
【0046】
NANDストリング50の各々は、例えば8個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)及び選択トランジスタST1、ST2を含む。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートと電荷蓄積層とを備える。メモリセルトランジスタMTは閾値電圧を持っており、制御ゲートに閾値電圧以上の電圧が印加されるとオン状態になる。メモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作がなされると、すなわち、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層に電子が注入されると、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧は変化する。電荷蓄積層に電子が注入されている状態におけるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電荷蓄積層に電子が注入されていない状態におけるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧よりも高い。メモリセルトランジスタMTは、電荷蓄積層に電子を注入されることによる閾値電圧の変化を介して、データを不揮発に保持する。8個のメモリセルトランジスタMTは、選択トランジスタST1のソースと選択トランジスタST2のドレインとの間に直列接続されている。
【0047】
メモリグループMGの各々における選択トランジスタST1のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD(SGD0、SGD1、・・・)に接続される。各セレクトゲート線SGDは、ロウデコーダ30によって独立に制御される。偶数番目のメモリグループMGe(MG0、MG2、・・・)の各々における選択トランジスタST2のゲートは、セレクトゲート線SGSeに共通接続される。奇数番目のメモリグループMGo(MG1、MG3、・・・)の各々における選択トランジスタST2のゲートは、セレクトゲート線SGSoに共通接続される。セレクトゲート線SGSe及びSGSoは、共通に接続されてもよく、独立に制御可能であってもよい。
【0048】
同一のブロックBLK内のメモリグループMGeに含まれるメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)の制御ゲートは、それぞれワード線WLe(WLe0~WLe7)に共通接続される。他方で、メモリグループMGoに含まれるメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)の制御ゲートは、それぞれワード線WLo(WLo0~WLo7)に共通接続される。ワード線WLe及びWLoは、ロウデコーダ30によって独立に制御される。
【0049】
ブロックBLKは、例えばデータの消去単位である。すなわち、同一ブロックBLK内に含まれるメモリセルトランジスタMTが保持するデータは、一括して消去される。消去された状態のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、書き込まれた状態のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧と比べて低い。
【0050】
メモリセルアレイ21内において、同一列に設けられたNANDストリング50の選択トランジスタST1のドレインは、ビット線BL(BL0~BL(L-1)、但し(L-1)は2以上の自然数)に共通接続される。すなわち、ビット線BLは、複数のメモリグループMG間でNANDストリング50に共通接続される。メモリセルアレイ21内において、複数の選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに共通接続される。
【0051】
つまり、メモリグループMGは、異なるビット線BLに接続され、かつ同一のセレクトゲート線SGDに接続された複数のNANDストリング50を含む。ブロックBLKは、ワード線WLを共通にする複数のメモリグループMGを含む。メモリセルアレイ21は、ビット線BLを共通にする複数のブロックBLKを含む。メモリセルアレイ21内において、上記セレクトゲート線SGS、ワード線WL、及びセレクトゲート線SGDが半導体基板の上方に積層されることで、メモリセルトランジスタMTが三次元に積層されている。
【0052】
<メモリセルアレイの平面レイアウトについて>
図5を用いて、メモリセルアレイ21の平面構成について説明する。図5は、あるブロックBLKの、半導体基板面(XY平面)内における、セレクトゲート線SGDの平面レイアウトを示す。本実施形態では、1つのブロックBLK内に4つのセレクトゲート線SGDが含まれる場合について説明する。
【0053】
図5に示すように、X方向に長手を有する配線層10-0a、10-0b、10-0cは、Y方向に長手を有する第1接続部(1st connect)10-0dによって接続されている。2本の配線層10-0a、10-0cはY方向の両端に設けられている。配線層10-0a、10-0bは、他の1の配線層(配線層10-1a)を挟んでY方向に隣接している。第1接続部10-0dはX方向の一端に設けられている。3本の配線層10-0a、10-0b、10-0cがセレクトゲート線SGD0として機能する。
【0054】
X方向に長手を有する配線層10-1a、10-1bは、Y方向に長手を有する第2接続部(2nd connect)10-1dによって接続されている。配線層10-1aは、配線層10-0a、10-0bの間に設けられている。配線層10-1bは、配線層10-0bと他の1の配線層(配線層10-2a)との間に設けられている。第2接続部10-1dは、X方向において第1接続部10-0dの反対側である他端に設けられている。2本の配線層10-1a、10-1bがセレクトゲート線SGD1として機能する。
【0055】
X方向に長手を有する配線層10-2a、10-2bは、Y方向に長手を有する第1接続部10-2dによって接続されている。同様に、X方向に長手を有する配線層10-3a、10-3bは、Y方向に長手を有する第2接続部10-3dによって接続されている。配線層10-2aは、配線層10-1bと配線層10-3aとの間に設けられている。配線層10-3aは、配線層10-2aと配線層10-2bとの間に設けられている。配線層10-2bは、配線層10-3aと配線層10-3bとの間に設けられている。配線層10-3bは、配線層10-2bと配線層10-0cとの間に設けられている。第1接続部10-2dは、X方向において第1接続部10-0dと同じ側である一端に設けられている。第2接続部10-3dは、X方向において第1接続部10-0dの反対側である他端に設けられている。2本の配線層10-2a、10-2bがセレクトゲート線SGD2として機能する。2本の配線層10-3a、10-3bがセレクトゲート線SGD3として機能する。
【0056】
本実施形態では、各々の配線層が第1接続部10-0d、10-2d、又は第2接続部10-1d、10-3dによって接続された構成が例示されているが、この構成に限定されない。例えば、各々の配線層が独立しており、配線層10-0a、10-0b、10-0cに同じ電圧が供給され、配線層10-1a、10-1bに同じ電圧が供給され、配線層10-2a、10-2bに同じ電圧が供給され、配線層10-3a、10-3bに同じ電圧が供給されるように制御されてもよい。
【0057】
配線層10-0a、10-0b、10-0cに隣接するメモリピラーMPを含むグループをメモリグループMG0という。配線層10-1a、10-1bに隣接するメモリピラーMPを含むグループをメモリグループMG1という。配線層10-2a、10-2bに隣接するメモリピラーMPを含むグループをメモリグループMG2という。配線層10-3a、10-3bに隣接するメモリピラーMPを含むグループをメモリグループMG3という。
【0058】
ブロックBLK内においてY方向に隣接する配線層10は絶縁されている。隣接する配線層10を絶縁する領域を、スリットSLT2と呼ぶ。スリットSLT2では、例えば半導体基板面から、少なくとも配線層10が設けられるレイヤまでの領域が絶縁層によって埋め込まれている。メモリセルアレイ21内には、例えばY方向に、図5に示すブロックBLKが複数配列されている。Y方向に隣接するブロックBLK間も、上記と同様に絶縁されている。隣接するブロックBLKを絶縁する領域を、スリットSLT1と呼ぶ。スリットSLT1はSLT2と同様の構成を有する。
【0059】
Y方向に隣接する配線層10間には、複数のメモリピラーMP(MP0~MP15)が設けられる。複数のメモリピラーMPの各々はZ方向に長手を有する。Z方向は、XY方向に直交する方向であり、すなわち半導体基板面に直交する方向である。複数のメモリピラーMPはメモリセル部(memory cell)に設けられている。
【0060】
具体的には、配線層10-0a、10-1aの間にはメモリピラーMP4、MP12が設けられている。配線層10-1a、10-0bの間にはメモリピラーMP0、MP8が設けられている。配線層10-0b、10-1bの間にはメモリピラーMP5、MP13が設けられている。配線層10-1b、10-2aの間にはメモリピラーMP1、MP9が設けられている。配線層10-2a、10-3aの間にはメモリピラーMP6、MP14が設けられている。配線層10-3a、10-2bの間にはメモリピラーMP2、MP10が設けられている。配線層10-2b、10-3bの間にはメモリピラーMP7、MP15が設けられている。配線層10-3b、10-0cの間にはメモリピラーMP3、MP11が設けられている。
【0061】
メモリピラーMPは、選択トランジスタST1、ST2及びメモリセルトランジスタMTを形成する構造体である。メモリピラーMPの詳細な構造は後述する。
【0062】
メモリピラーMP0~MP3は、Y方向に沿って配列されている。メモリピラーMP8~MP11は、メモリピラーMP0~MP3に対してX方向に隣接する位置において、Y方向に沿って配列されている。つまり、メモリピラーMP0~MP3と、メモリピラーMP8~MP11とが並行に配列されている。
【0063】
メモリピラーMP4~MP7及びメモリピラーMP12~MP15は、それぞれY方向に沿って配列される。メモリピラーMP4~MP7は、X方向において、メモリピラーMP0~MP3とメモリピラーMP8~MP11との間に位置する。メモリピラーMP12~MP15は、メモリピラーMP4~MP7に対してX方向に隣接する位置において、Y方向に沿って配列されている。つまり、メモリピラーMP4~MP7と、メモリピラーMP12~MP15とが並行に配列されている。
【0064】
メモリピラーMP0~MP3の上方には、2本のビット線BL0、BL1が設けられる。ビット線BL0はメモリピラーMP1、MP3に共通に接続される。ビット線BL1はメモリピラーMP0、MP2に共通に接続される。メモリピラーMP4~MP7の上方には、2本のビット線BL2、BL3が設けられる。ビット線BL2はメモリピラーMP5、MP7に共通に接続される。ビット線BL3はメモリピラーMP4、MP6に共通に接続される。
【0065】
メモリピラーMP8~MP11の上方には、2本のビット線BL4、BL5が設けられる。ビット線BL4はメモリピラーMP9、MP11に共通に接続される。ビット線BL5はメモリピラーMP8、MP10に共通に接続される。メモリピラーMP12~MP15の上方には、2本のビット線BL6、BL7が設けられる。ビット線BL6はメモリピラーMP13、MP15に共通に接続される。ビット線BL7はメモリピラーMP12、MP14に共通に接続される。
【0066】
本実施形態の場合、メモリピラーMP0~MP3、MP8~MP11のY方向の位置は、メモリピラーMP4~MP7、MP12~MP15に対して、メモリピラーMP間の距離の1/2だけシフトした位置に設けられる。ここで、メモリピラーMP0~MP3、MP8~MP11をグループGR0、メモリピラーMP4~MP7、MP12~MP15をグループGR1に分けて分類する。
【0067】
上記のように、メモリピラーMPは、Y方向において隣接する2つの配線層10の間に設けられ、いずれかのスリットSLT2の一部に埋め込まれるようにして設けられ、且つY方向に隣接するメモリピラーMP間には1つのスリットSLT2が存在する。Y方向において、グループGR0に属するメモリピラーMPが埋め込まれるスリットSLT2は、グループGR1に属する2つのメモリピラーMP間に位置する。同様に、Y方向において、グループGR1に属するメモリピラーMPが埋め込まれるスリットSLT2は、グループGR0に属する2つのメモリピラーMP間に位置する。
【0068】
なお、スリットSLT1を挟んで隣接する配線層10-0aと10-0cとの間の領域には、メモリピラーMPは設けられない。ただし、プロセス安定性の観点から、当該領域に、BLに接続されないダミーのメモリピラーMPが設けられてもよい。
【0069】
図6は、図5と同様に、XY平面におけるワード線WLの平面レイアウトを示している。図6図5の1ブロック分の領域に対応しており、図5で説明した配線層10よりも下層に設けられる配線層11のレイアウトである。
【0070】
図6に示すように、X方向に延びる9個の配線層11(11-0a、11-0b、11-1~11-7)が、Y方向に沿って配列されている。各配線層11-0a、11-0b、11-1~11-7は、絶縁層を介して配線層10-0~10-7の下層に設けられる。
【0071】
各配線層11は、ワード線WL7として機能する。その他のワード線WL0~WL6もワード線WL7と同様の構成及び機能を有する。図6に示すように、ワード線WLe7として機能する配線層11-0a、11-2、11-4、11-6、11-0bは、それぞれX方向に長手を有し、Y方向に並んで配置されている。これらの配線層11-0a、11-2、11-4、11-6、11-0bは、Y方向に長手を有する第1接続部(1st connect)11-8によって接続されている。第1接続部11-8はX方向の一端に設けられている。配線層11-0a、11-2、11-4、11-6、11-0bは、第1接続部11-8を介してロウデコーダ30に接続される。第1接続部11-8及び配線層11-0a、11-2、11-4、11-6、11-0bをまとめて配線層11eという場合がある。
【0072】
ワード線WLo7として機能する配線層11-1、11-3、11-5、11-7は、それぞれX方向に長手を有し、Y方向に並んで配置されている。これらの配線層11-1、11-3、11-5、11-7は、Y方向に長手を有する第2接続部(2nd connect)11-9によって接続されている。第2接続部11-9は、X方向において第1接続部11-8の反対側である他端に設けられている。配線層11-1、11-3、11-5、11-7は、第2接続部11-9を介してロウデコーダ30に接続される。第2接続部11-9及び配線層11-1、11-3、11-5、11-7をまとめて配線層11oという場合がある。
【0073】
第1接続部11-8と第2接続部11-9との間にメモリセル部(memory cell)が設けられる。メモリセル部のうち、配線層11eと対向する部分を「第1メモリセル部」といい、配線層11oと対向する部分を「第2メモリセル部」という場合がある。メモリセル部において、Y方向に隣接する配線層11は、図5で説明したスリットSLT2によって離隔されている。Y方向に隣接するブロックBLK間の配線層11も、図5の説明と同様にスリットSLT1によって離隔されている。メモリセル部において、図5と同様にメモリピラーMP0~MP15が設けられている。
【0074】
セレクトゲート線SGS及びワード線WL0~WL6は、図6のワード線WL7と同様の構成を有する。
【0075】
<メモリセルアレイの断面構造について>
図7を用いて、メモリセルアレイ21の断面構造について説明する。図7は、図6に示す半導体記憶装置のA-A’断面図である。
【0076】
図7に示すように、半導体基板13のp型ウェル領域(p-well)の上方には、セレクトゲート線SGSとして機能する配線層12が設けられる。配線層12の上方には、ワード線WL0~WL7として機能する8層の配線層11が、Z方向に沿って積層される。配線層11、12の平面レイアウトは、図6に示されたレイアウトと同様のレイアウトである。配線層11の上方には、セレクトゲート線SGDとして機能する配線層10が設けられる。配線層10の平面レイアウトは、図5に示されたレイアウトである。
【0077】
配線層12は、セレクトゲート線SGSo又はセレクトゲート線SGSeとして機能する。セレクトゲート線SGSo、SGSeはY方向に交互に配置される。Y方向に隣接するセレクトゲート線SGSo、SGSeの間にはメモリピラーMPが設けられている。
【0078】
配線層11は、ワード線WLo又はワード線WLeとして機能する。ワード線WLo、WLeはY方向に交互に配置される。Y方向に隣接するワード線WLo、WLeの間にはメモリピラーMPが設けられている。メモリピラーMPとワード線WLoとの間、及びメモリピラーMPとワード線WLeとの間には後述するメモリセルが設けられている。
【0079】
Y方向に隣接するブロックBLK間にはスリットSLT1が設けられる。前述の通り、スリットSLT1には絶縁層が設けられている。ただし、半導体基板13内に設けられた領域に電圧を供給するためのコンタクトプラグ等がスリットSLT1内に設けられてもよい。例えば、選択トランジスタST2のソースをソース線に接続するためのコンタクトプラグ又は溝形状の導体がスリットSLT1内に設けられてもよい。
【0080】
メモリピラーMP上には、ビット線BL1、BL2が設けられている。メモリピラーMP0とビット線BL1との間、及びメモリピラーMP2とビット線BL1との間には、各メモリピラーMPとビット線BLとを接続するコンタクトプラグ16が設けられている。同様に、メモリピラーMP5とビット線BL2との間、及びメモリピラーMP7とビット線BL2との間には、各メモリピラーMPとビット線BLとを接続するコンタクトプラグ16が設けられている。その他のメモリピラーMPは、図7に示す断面以外の領域で、コンタクトプラグ16を介してビット線BL1又はビット線BL2と接続されている。
【0081】
図8は、図6に示す半導体記憶装置のB-B’断面図である。図7で説明したように、半導体基板13の上方には、配線層12、11、10が順次設けられている。図8では、B-B’断面図の奥行き方向に存在する構成が点線で描かれている。
【0082】
第1接続領域(1st connect)17dでは、配線層11、12が階段状に形成されている。つまり、XY平面で見たときに、8層の配線層11の各々の端部、及び配線層12の端部の上面が第1接続領域17dにおいて露出される。第1接続領域17dにおいて露出された配線層11、12にコンタクトプラグ17が設けられる。コンタクトプラグ17は金属配線層18に接続される。偶数セレクトゲート線SGD0、SGD2、SGD4、SGD6、偶数ワード線WLe、及び偶数セレクトゲート線SGSeとして機能する配線層10~12が、金属配線層18を介してロウデコーダ30に電気的に接続される。
【0083】
第2接続領域(2nd connect)19dでは、上記と同様に配線層11、12が階段状に形成されている。つまり、XY平面で見たときに、8層の配線層11の各々の端部、及び配線層12の端部の上面が第2接続領域19dにおいて露出される。第2接続領域19dにおいて露出された配線層11、12にコンタクトプラグ19が設けられる。コンタクトプラグ19は金属配線層20に接続される。奇数セレクトゲート線SGD1、SGD3、SGD5、SGD7、奇数ワード線WLo、及び奇数セレクトゲート線SGSoとして機能する配線層11及び12が、金属配線層20を介してロウデコーダ30に電気的に接続される。
【0084】
配線層10は、第1接続領域17dの代わりに第2接続領域19dを介してロウデコーダ30に電気的に接続されてもよく、第1接続領域17d及び第2接続領域19dの両方を介してロウデコーダ30に電気的に接続されてもよい。
【0085】
<メモリピラー及びメモリセルトランジスタの構造について>
図9及び図10を用いて、メモリピラーMP及びメモリセルトランジスタMTの構造について説明する。
【0086】
[第1の例]
図9及び図10を用いて、第1の例に係るメモリピラーMP及びメモリセルトランジスタMTの構成について説明する。図9は、図7に示すメモリセルのC-C’断面図である。図10は、図9に示すメモリセルのD-D’断面図である。第1の例は、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として導電層が用いられた、フローティングゲート型のメモリセルトランジスタMTである。
【0087】
図9及び図10に示すように、メモリピラーMPは、Z方向に沿って設けられた絶縁層48、43、半導体層40、絶縁層41、導電層42、及び絶縁層46a~46cを含む。絶縁層48は、例えばシリコン酸化層である。半導体層40は、絶縁層48の周囲を取り囲むようにして設けられる。半導体層40は、例えば多結晶シリコン層である。半導体層40は、メモリセルトランジスタMTのチャネルとして機能する。半導体層40は、1つのメモリピラーMPに含まれる2つのメモリセルトランジスタMT間で連続して設けられており、メモリセルトランジスタMTごとに分離されていない。
【0088】
上記のように半導体層40は対向する2つのメモリセルトランジスタMT間で連続している。したがって、当該2つのメモリセルトランジスタMTの各々において形成されるチャネルは、メモリピラーMPの一部を共有する。具体的には、図9において、互いに対向する左側のメモリセルトランジスタMT及び右側のメモリセルトランジスタMTにおいて、左側のメモリセルトランジスタMTで形成されるチャネル及び右側のメモリセルトランジスタMTで形成されるチャネルは、メモリピラーMPの一部を共有する。ここで、2つのチャネルがメモリピラーMPの一部を共有するとは、2つのチャネルが同一のメモリピラーMPに形成され、且つ、2つのチャネルが一部重なっていることを意味する。上記の構成を、2つのメモリセルトランジスタMTがチャネルを共有する、又は2つのメモリセルトランジスタMTが対向する、という場合がある。
【0089】
絶縁層41は、半導体層40の周囲に設けられ、各メモリセルトランジスタMTのゲート絶縁層として機能する。絶縁層41は、図9に示すXY平面内において2つの領域に分離され、それぞれが、1つのメモリピラーMPに含まれる2つのメモリセルトランジスタMTのゲート絶縁層として機能する。絶縁層41は、例えばシリコン酸化層とシリコン窒化層の積層構造である。導電層42は、絶縁層41の周囲に設けられ、且つ、絶縁層43によって、Y方向に沿って2つの領域に分離されている。導電層42は例えば導電性を備えた多結晶シリコン層である。分離された導電層42は、それぞれ上記の2つのメモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として機能する。
【0090】
絶縁層43は例えばシリコン酸化層である。導電層42の周囲には、絶縁層46a、46b、46cが順次設けられる。絶縁層46a、46cは、例えばシリコン酸化層である。絶縁層46bは、例えばシリコン窒化層である。これらの絶縁層はメモリセルトランジスタMTのブロック絶縁層として機能する。これらの絶縁層46a~46bも、Y方向に沿って2つの領域に分離され、それらの間には絶縁層43が設けられる。スリットSLT2内には絶縁層43が埋め込まれている。絶縁層43は、例えばシリコン酸化層である。
【0091】
上記構成のメモリピラーMPの周囲には、例えばAlO層45が設けられる。AlO層45の周囲には、例えばバリアメタル層(TiN層等)47が形成される。バリアメタル層47の周囲に、ワード線WLとして機能する配線層11が設けられる。配線層11は、例えばタングステンである。
【0092】
上記構成により、1つのメモリピラーMP内には、Y方向に沿って2つのメモリセルトランジスタMTが設けられている。選択トランジスタST1及びST2も上記と同様の構成を有している。Z方向に隣接するメモリセルトランジスタ間には図示されていない絶縁層が設けられ、この絶縁層と絶縁層43、46によって、導電層42は個々のメモリセルトランジスタ毎に絶縁されている。
【0093】
[第2の例]
図11及び図12を用いて第2の例に係るメモリピラーMP及びメモリセルトランジスタMTの構成について説明する。図11は、図9に示すメモリセルの変形例である。図12は、図11に示すメモリセルのE-E’断面図である。第2の例は、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層に絶縁層を用いられた、MONOS型のメモリセルトランジスタMTである。
【0094】
図11及び図12に示すように、メモリピラーMPは、Z方向に沿って設けられた絶縁層70、半導体層71、及び絶縁層72~74を含む。絶縁層70は、例えばシリコン酸化層である。半導体層71は、絶縁層70の周囲を取り囲むようにして設けられている。半導体層71は、メモリセルトランジスタMTのチャネルとして機能する。半導体層71は、例えば多結晶シリコン層である。半導体層71は、1つのメモリピラーMPに含まれる2つのメモリセルトランジスタMT間で連続して設けられている。したがって、2つのメモリセルトランジスタMTの各々において形成されるチャネルは、メモリピラーMPの一部を共有する。
【0095】
絶縁層72は、半導体層71の周囲を取り囲むようにして設けられ、メモリセルトランジスタMTのゲート絶縁層として機能する。絶縁層72は、例えばシリコン酸化層及びシリコン窒化層の積層構造である。絶縁層73は、半導体層71の周囲を取り囲むようにして設けられ、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として機能する。絶縁層73は、例えばシリコン窒化層である。絶縁層74は、絶縁層73の周囲を取り囲むようにして設けられ、メモリセルトランジスタMTのブロック絶縁層として機能する。絶縁層74は、例えばシリコン酸化層である。メモリピラーMP部を除くスリットSLT2内には、絶縁層77が埋め込まれている。絶縁層77は、例えばシリコン酸化層である。
【0096】
上記構成のメモリピラーMPの周囲には、例えばAlO層75が設けられる。AlO層75の周囲に、例えばバリアメタル層(TiN層等)76が形成される。バリアメタル層76の周囲に、ワード線WLとして機能する配線層11が設けられる。配線層11は、例えばタングステンである。
【0097】
上記構成により、1つのメモリピラーMP内には、Y方向に沿って2つのメモリセルトランジスタMTが設けられている。選択トランジスタST1及びST2も上記と同様の構成を有している。
【0098】
[等価回路]
図13は、一実施形態に係る半導体記憶装置において隣接するストリングの等価回路を示す図である。図13に示すように、1本のメモリピラーMPに、2つのNANDストリング50o、50eが形成されている。NANDストリング50o、50eの各々は、直列に接続された選択トランジスタST1、メモリセルトランジスタMT0~MT7、及び選択トランジスタST2を有する。
【0099】
NANDストリング50oの選択トランジスタST1は、セレクトゲート線SGD1に接続されている。NANDストリング50eの選択トランジスタST1は、セレクトゲート線SGD0に接続されている。NANDストリング50oのメモリセルトランジスタMT0~MT7は、それぞれワード線WLo0~WLo7に接続されている。NANDストリング50eのメモリセルトランジスタMT0~MT7は、それぞれワード線WLe0~WLe7に接続されている。ワード線WLo0~WLo7のうち、ワード線WLo0が最下層であり、WLo7が最上層である。ワード線WLe0~WLe7のうち、ワード線WLe0が最下層であり、WLe7が最上層である。NANDストリング50oの選択トランジスタST2は、セレクトゲート線SGSoに接続されている。NANDストリング50eの選択トランジスタST2は、セレクトゲート線SGSeに接続されている。
【0100】
対向する選択トランジスタST1のソース同士及びドレイン同士は電気的に接続されている。それぞれ対向するメモリセルトランジスタMT0~7のソース同士及びドレイン同士は電気的に接続されている。対向する選択トランジスタST2のソース同士及びドレイン同士は電気的に接続されている。上記の電気的な接続は、対向するトランジスタにおいて形成されるチャネルがメモリピラーMPの一部を共有することに起因する。
【0101】
同一のメモリピラーMP内の2つのNANDストリング50o、50eは、同一のビット線BL及び同一のソース線SLに接続される。
【0102】
[書き込み動作]
図5及び図14図17を用いて、ブロックBLK内のメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作について説明する。図14図17は、一実施形態に係る半導体記憶装置のワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。図14図17では、メモリピラーMP(MP0~MP15)及びワード線WL(最下層のワード線WLe0、WLo0)が示されている。メモリピラーMPとワード線WLとが隣接する領域にメモリセルトランジスタMTが形成される。
【0103】
書き込み動作が行われる場合、図5に示すセレクトゲート線SGD0~SGD3のいずれかが選択される。選択されたセレクトゲート線に対応する選択トランジスタST1と同じNANDストリング50oまたは50eに属するメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。
【0104】
各セレクトゲート線に対応する1つの配線層10-0~10-3には、選択トランジスタST1がビット線BLに供給される電圧に応じてオン状態またはオフ状態となる電圧が供給される。
【0105】
各ワード線WL0~7のうち、書き込み動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応する配線層11eまたは11oには、メモリセルトランジスタMTに書き込み動作を行うための電圧(例えば、チャネルとしての半導体層71から電荷蓄積層としての絶縁層73へ電子を注入させるための電圧)が供給される。
【0106】
セレクトゲート線SGD0(配線層10-0)が選択され、最下層のワード線WLe0に書き込み動作を行うための電圧が供給された場合、メモリピラーMP0、MP3、MP4、MP5、MP8、MP11、MP12、MP13におけるNANDストリング50eのうち最下層に位置するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作がなされる。
【0107】
セレクトゲート線SGD1(配線層10-1)が選択され、最下層のワード線WLo0に書き込み動作を行うための電圧が供給された場合、メモリピラーMP0、MP1、MP4、MP5、MP8、MP9、MP12、MP13におけるNANDストリング50oのうち最下層に位置するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作がなされる。
【0108】
セレクトゲート線SGD2(配線層10-2)が選択され、最下層のワード線WLe0に書き込み動作を行うための電圧が供給された場合、メモリピラーMP1、MP2、MP6、MP7、MP9、MP10、MP14、MP15におけるNANDストリング50eのうち最下層に位置するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作がなされる。
【0109】
セレクトゲート線SGD3(配線層10-3)が選択され、最下層のワード線WLo0に書き込み動作を行うための電圧が供給された場合、メモリピラーMP2、MP3、MP6、MP7、MP10、MP11、MP14、MP15におけるNANDストリング50oのうち最下層に位置するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作がなされる。
【0110】
ブロックBLKにおいて、同時に書き込み動作の対象となるメモリセルトランジスタMTのグループのことを「ページ」と呼ぶ場合がある。
【0111】
配線層11eに設けられたワード線WLeを「第1ワード線」という場合がある。配線層11oに設けられたワード線WLoを「第2ワード線」という場合がある。第1ワード線と第2ワード線とは互いに独立して制御される。メモリピラーMPはワード線WLe(第1ワード線)とワード線WLo(第2ワード線)とによって挟まれている。メモリピラーMPに設けられたメモリセルトランジスタMTのうち、ワード線WLe(第1ワード線)と対向するメモリセルトランジスタを「第1メモリセル」といい、ワード線WLo(第2ワード線)と対向するメモリセルトランジスタを「第2メモリセル」という。X方向及びY方向に複数のメモリピラーMPが配置されている。
【0112】
なお、本実施形態とは逆に、ワード線WLoと対向するメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作を行った後に、ワード線WLeと対向するメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作を行う場合、ワード線WLoを第1ワード線といい、ワード線WLeを第2ワード線といい、ワード線WLoと対向するメモリセルトランジスタMTを第1メモリセルといい、ワード線WLeと対向するメモリセルトランジスタMTを第2メモリセルという。つまり、互いに対向する2つのメモリセルトランジスタMTにおいて、先に書き込み動作が行われるメモリセルトランジスタMTを第1メモリセルといい、後から書き込み動作が行われるメモリセルトランジスタMTを第2メモリセルという。
【0113】
詳細は後述するが本実施形態では、セレクトゲート線SGD0→SGD2→SGD1→SGD3の順で選択されることで書き込み動作が行われる。換言すると、第1の書き込み動作において、複数の配線層11(11-0a、11-0b、11-1~11-7)のうち、ワード線WLe(第1ワード線)として機能する配線層11e(11-0a、11-0b、11-2、11-4、11-6)と対向する第1メモリセルに対する書き込み動作を行う。上記の第1の書き込み動作の後の第2の書き込み動作において、ワード線WLo(第2ワード線)として機能する配線層11o(11-1、11-3、11-5、11-7)と対向する第2メモリセルに対する書き込み動作を行う。
【0114】
図14を用いて、最下層のワード線WLe0またはWLo0に対向するメモリセルトランジスタMTに対する1番目の書き込み動作として、図5に示すセレクトゲート線SGD0によって選択されるNANDストリング50eに属するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作を行う場合について説明する。セレクトゲート線SGD0が選択されると、図5に示す配線層10-0a、10-0b、10-0cに対向する選択トランジスタST1がビット線に供給される電圧に応じてオン状態またはオフ状態になる。図14において、配線層11eのうち斜線のハッチングで示された領域(ハッチング領域)は、図5の配線層10-0a、10-0b、10-0cが配置された領域に対応する。つまり、セレクトゲート線SGD0が選択された場合、図14のハッチング領域の配線層11eに対向するメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。
【0115】
図14に示すように、セレクトゲート線SGD0(図5参照)が選択された場合、メモリピラーMP0、MP3、MP4、MP5、MP8、MP11、MP12、MP13の各々のワード線WLe0側に設けられたメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。図14において、上記の書き込み動作(1番目の書き込み動作)によってデータの書き込みが行われたメモリセルトランジスタMTに対応する位置に「1」が表記されている。
【0116】
図15を用いて、上記の1番目の書き込み動作に続いて、最下層のワード線WLe0またはWLo0に対応するメモリセルトランジスタMTに対する2番目の書き込み動作として、図5に示すセレクトゲート線SGD2によって選択されるNANDストリング50eに属するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作を行う場合について説明する。セレクトゲート線SGD2が選択されると、図5に示す配線層10-2a、10-2bに対向する選択トランジスタST1がビット線に供給される電圧に応じてオン状態またはオフ状態になる。図15において、配線層11eのハッチング領域は、図5の配線層10-2a、10-2bが配置された領域に対応する。つまり、セレクトゲート線SGD2が選択された場合、図15のハッチング領域の配線層11eに対向するメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。
【0117】
図15に示すように、セレクトゲート線SGD2(図5参照)が選択された場合、メモリピラーMP1、MP2、MP6、MP7、MP9、MP10、MP14、MP15の各々のワード線WLe0側に設けられたメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。図15において、上記の書き込み動作(2番目の書き込み動作)によってデータの書き込みが行われたメモリセルトランジスタMTに対応する位置に「2」が表記されている。
【0118】
上記の図14及び図15に示す書き込み動作によって、ワード線WLe0、WLo0によって挟まれた全てのメモリピラーMP0~MP15において、ワード線WLe0に対向する全てのメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作が完了する。この状態において、メモリピラーMP0~MP15において、ワード線WLo0に対向するメモリセルトランジスタMTには、まだ書き込み動作が行われていない。
【0119】
図16を用いて、上記の1番目及び2番目の書き込み動作に続いて、最下層のワード線WLe0またはWLo0に対応するメモリセルトランジスタMTに対する3番目の書き込み動作として、図5に示すセレクトゲート線SGD1によって選択されるNANDストリング50oに属するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作を行う場合について説明する。セレクトゲート線SGD1が選択されると、図5に示す配線層10-1a、10-1bに対向する選択トランジスタST1がビット線に供給される電圧に応じてオン状態またはオフ状態になる。図16において、配線層11oのハッチング領域は、図5の配線層10-1a、10-1bが配置された領域に対応する。つまり、セレクトゲート線SGD1が選択された場合、図16のハッチング領域の配線層11oに対向するメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。
【0120】
図16に示すように、セレクトゲート線SGD1(図5参照)が選択された場合、メモリピラーMP0、MP1、MP4、MP5、MP8、MP9、MP12、MP13の各々のワード線WLo0側に設けられたメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。図16において、上記の書き込み動作(3番目の書き込み動作)によってデータの書き込みが行われたメモリセルトランジスタMTに対応する位置に「3」が表記されている。
【0121】
図17を用いて、上記の1番目~3番目の書き込み動作に続いて、最下層のワード線WLe0またはWLo0に対応するメモリセルトランジスタMTに対する4番目の書き込み動作として、図5に示すセレクトゲート線SGD3によって選択されるNANDストリング50oに属するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作を行う場合について説明する。セレクトゲート線SGD3が選択されると、図5に示す配線層10-3a、10-3bに対向する選択トランジスタST1がビット線に供給される電圧に応じてオン状態またはオフ状態になる。図17において、配線層11oのハッチング領域は、図5の配線層10-3a、10-3bが配置された領域に対応する。つまり、セレクトゲート線SGD3が選択された場合、図17のハッチング領域の配線層11oに対向するメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。
【0122】
図17に示すように、セレクトゲート線SGD3(図5参照)が選択された場合、メモリピラーMP2、MP3、MP6、MP7、MP10、MP11、MP14、MP15、の各々のワード線WLo0側に設けられたメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。図17において、上記の書き込み動作(4番目の書き込み動作)によってデータの書き込みが行われたメモリセルトランジスタMTに対応する位置に「4」が表記されている。
【0123】
上記の図16及び図17に示す書き込み動作によって、ワード線WLe0、WLo0によって挟まれた全てのメモリピラーMP0~MP15において、ワード線WLo0に対向する全てのメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作が完了する。
【0124】
[他のメモリセルに対する書き込み動作によって発生する干渉]
図18を用いて、他のメモリセルの書き込み動作によって発生する干渉が、書き込み済みのメモリセルに与える影響について説明する。図18において、各メモリピラーMPのワード線WL側に記載された数字(1~4)は、図14図17において、各メモリピラーMPに記載された、書き込み動作の順番を示す数字に対応する。上記と同様に、図18に示された数字(5~8)も書き込み動作の順番を示す数字である。図18では、ワード線WLe0、WLo0と対向する各メモリピラーMPに設けられたメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作が完了した後に、ワード線WLe1、WLo1と対向する各メモリピラーMPに設けられたメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作が行われる。ワード線WLe1、WLo1は、ワード線WLe0、WLo0の上層に設けられた配線層11に形成されるワード線である。
【0125】
本実施形態に係るメモリセルトランジスタMTでは、書き込み済みのメモリセルトランジスタMT(対象のメモリセルトランジスタMT)の閾値電圧は、当該メモリセルトランジスタMTの書き込みの後に行われる他のメモリセルトランジスタMTの書き込み動作によって変化する。このように、対象のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が他のメモリセルトランジスタMTの書き込み動作によって変化することを、干渉が発生するという場合がある。
【0126】
特に、以下の(1)~(3)のメモリセルトランジスタMTの書き込み動作によって、対象のメモリセルトランジスタMTへの干渉が発生する。
(1)対象のメモリセルトランジスタMTと対向する(対象のメモリセルトランジスタMTと同じメモリピラーMPに形成される、又は対象のメモリセルトランジスタMTとチャネルを共有する)メモリセルトランジスタMT。
(2)対象のメモリセルトランジスタMTと同一のメモリピラーMPに属し、対象のメモリセルトランジスタMTとZ方向に隣接するメモリセルトランジスタMT。
(3)上記(2)のZ方向に隣接するメモリセルトランジスタMTと対向するメモリセルトランジスタMT。
【0127】
上記のように、対象のメモリセルトランジスタMTへの干渉が発生すると、対象のメモリセルトランジスタMTにおいて書き込み済みのデータ(電荷蓄積層に電荷を注入して変化させた閾値電圧)が変動する場合がある。したがって、干渉が発生する回数が多いメモリセルトランジスタMTでは、干渉が発生する回数が少ないメモリセルトランジスタMTと比べて、書き込み動作が終了した時点における閾値電圧分布の幅を、より小さく抑える必要がある。本実施形態では、セレクトゲート線SGD0~3の各々に対応して1ページが形成される。例えば、セレクトゲート線SGD0が選択された場合、図14に示すように、メモリピラーMP0、MP3、MP4、MP5、MP8、MP11、MP12、MP13の各々のワード線WLe0側に設けられたメモリセルトランジスタMTによって1ページが構成される。例えば、あるページに属するメモリセルトランジスタMTのうち一部のメモリセルトランジスタMTのみが干渉による影響を受けるとしても、そのメモリセルトランジスタMTが干渉を受けた後の閾値電圧分布の幅を考慮して、書き込み動作を行う必要がある。すなわち、あるページに属するメモリセルトランジスタMTのうち一部のメモリセルトランジスタMTのみが干渉による影響を受けるとしても、書き込み動作の精度を上げる必要がある。
【0128】
図18に示すように、本実施形態では、1番目の書き込み動作及び2番目の書き込み動作で各メモリピラーMPのワード線WLe0側のメモリセルトランジスタMTに対する書き込みが完了する。その後に、3番目の書き込み動作及び4番目の書き込み動作で各メモリピラーMPのワード線WLo0側のメモリセルトランジスタMTに対する書き込みが行われる。3番目書き込み動作及び4番目の書き込み動作が行われるメモリセルトランジスタMTは、既に1番目書き込み動作及び2番目の書き込み動作が行われている。つまり、ワード線WLe0、WLo0に対向する全てのメモリセルトランジスタMTのうち、各メモリピラーMPの第1の側面に設けられたメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作が完了した後に、各メモリピラーMPの第2の側面に設けられたメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作が行われる。
【0129】
ワード線WLe0と対向する、書き込み済みのメモリセルトランジスタMTについて、例えば図18の一番右のメモリピラーMP3のように、1番目の書き込み動作の対象となったメモリセルトランジスタMTは、4番目の書き込み動作、5番目の書き込み動作、及び8番目の書き込み動作による3回の干渉を受ける。同様に、例えば図18の右から2つ目のメモリピラーMP7のように、2番目の書き込み動作の対象となったメモリセルトランジスタMTは、4番目の書き込み動作、6番目の書き込み動作、及び8番目の書き込み動作による3回の干渉を受ける。
【0130】
一方で、ワード線WLo0と対向する、書き込み済みのメモリセルトランジスタMTについて、例えば図18の左から4つのメモリピラーMP4、MP0、MP5、MP1のように、3番目の書き込み動作の対象となったメモリセルトランジスタMTは、5番目の書き込み動作及び7番目の書き込み動作による2回の干渉、又は6番目の書き込み動作及び7番目の書き込み動作による2回の干渉しか受けない。同様に、例えば図18の右から3番目及び4番目のメモリピラーMP2、MP6のように、4番目の書き込み動作の対象となったメモリセルトランジスタMTは、6番目の書き込み動作及び8番目の書き込み動作による2回の干渉しか受けない。
【0131】
図28は、あるページに属するメモリセルトランジスタについて、書き込み動作が終了した状態の閾値電圧分布が他のページに属するメモリセルトランジスタに対する書き込み動作によって受ける影響を説明する図である。図28は、あるページについて、書き込み動作が終了した直後の閾値電圧分布400、他のページに属するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作2回分の干渉を受けた場合の閾値電圧分布410、及び他のページに属するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作3回分の干渉を受けた場合の閾値電圧分布420が示されている。上記のように、他のページに属するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作によって受ける干渉の回数が少ないほど、各レベルが細く分布した(レベル間のマージンが大きい)閾値電圧分布を実現することができる。したがって、ワード線WLo0側のメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作におけるプログラム動作ごとのプログラム電圧のステップアップ幅を、ワード線WLe0側のメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作におけるプログラム動作ごとのプログラム電圧のステップアップ幅より大きく設定することができる。
【0132】
[比較例の書き込み動作]
図23図27を用いて、比較例の書き込み動作について説明する。図23図26は、比較例の半導体記憶装置において、ワード線及びメモリピラーのレイアウトを参照した書き込み動作を説明する図である。図23図26に示す書き込み動作は、図14図17に示す書き込み動作に類似しているが、セレクトゲート線SGD0→SGD1→SGD2→SGD3の順で選択されることで書き込み動作が行われる点で相違する。つまり、比較例では、セレクトゲート線SGDがY方向からY方向の逆方向に向かって順に選択される。
【0133】
図23に示すように、セレクトゲート線SGD0(図5参照)が選択された場合、メモリピラーMP0、MP3、MP4、MP5、MP8、MP11、MP12、MP13の各々のワード線WLe0側に設けられたメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。図23において、上記の書き込み動作(1番目の書き込み動作)によってデータの書き込みが行われたメモリセルトランジスタMTに対応する位置に「1」が表記されている。
【0134】
次に、図24に示すように、セレクトゲート線SGD1(図5参照)が選択された場合、メモリピラーMP0、MP1、MP4、MP5、MP8、MP9、MP12、MP13の各々のワード線WLo0側に設けられたメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。図24において、上記の書き込み動作(2番目の書き込み動作)によってデータの書き込みが行われたメモリセルトランジスタMTに対応する位置に「2」が表記されている。
【0135】
次に、図25に示すように、セレクトゲート線SGD2(図5参照)が選択された場合、メモリピラーMP1、MP2、MP6、MP7、MP9、MP10、MP14、MP15の各々のワード線WLe0側に設けられたメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。図25において、上記の書き込み動作(3番目の書き込み動作)によってデータの書き込みが行われたメモリセルトランジスタMTに対応する位置に「3」が表記されている。
【0136】
次に、図26に示すように、セレクトゲート線SGD3(図5参照)が選択された場合、メモリピラーMP2、MP3、MP6、MP7、MP10、MP11、MP14、MP15、の各々のワード線WLo0側に設けられたメモリセルトランジスタMTに対して書き込み動作が行われる。図26において、上記の書き込み動作(4番目の書き込み動作)によってデータの書き込みが行われたメモリセルトランジスタMTに対応する位置に「4」が表記されている。
【0137】
[比較例の書き込み動作によって発生する干渉]
図27を用いて、比較例の書き込み動作によって発生する干渉について説明する。図27において、各メモリピラーMPのワード線WL側に記載された数字(1~4)は、図23図26において、各メモリピラーMPに記載された、書き込み動作の順番を示す数字に対応する。上記と同様に、図27に示された数字(5~8)も書き込み動作の順番を示す数字である。
【0138】
図27に示すように、比較例では、1番目の書き込み動作で左から3つのメモリピラーMP4、MP0、MP5及び一番右のメモリピラーMP3の各々のワード線WLe0側のメモリセルトランジスタMTに対する書き込みが行われる。続いて、2番目の書き込み動作で左から4つのメモリピラーMP4、MP0、MP5、MP1の各々のワード線WLo0側のメモリセルトランジスタMTに対する書き込みが行われる。続いて、3番目の書き込み動作でメモリピラーMP1、MP6、MP2、MP7の各々のワード線WLe0側のメモリセルトランジスタMTに対する書き込みが行われる。最後に、4番目の書き込み動作でメモリピラーMP6、MP2、MP7、MP3の各々のワード線WLo0側のメモリセルトランジスタMTに対する書き込みが行われる。
【0139】
メモリピラーMP4、MP0、MP5では、2番目の書き込み動作の対象となったメモリセルトランジスタMTは、5番目の書き込み動作及び6番目の書き込み動作による2回の干渉しか受けない。しかし、メモリピラーMP1では、2番目の書き込み動作の対象となったメモリセルトランジスタMTが、3番目の書き込み動作、6番目の書き込み動作、及び7番目の書き込み動作による3回の干渉を受ける。つまり、1ページのメモリセルトランジスタMTの中に、3回の干渉を受けるメモリセルトランジスタMTと2回の干渉しか受けないメモリセルトランジスタMTとが混在する。上記のように、あるページのうち一部のメモリセルトランジスタMTだけが後に続く他のページに対する書き込み動作による干渉の影響を受けるとしても、当該あるページの全てのメモリセルトランジスタMTについて、書き込み動作が終了した時点における閾値電圧分布の幅を、より小さく抑える必要がある。したがって、上記の2番目の書き込み動作は、3回の干渉を受けるメモリピラーMP1のワード線WLo0側のメモリセルトランジスタMTにおいても閾値電圧分布の幅が小さく抑えられるように、ステップアップ幅を小さく設定する必要がある。
【0140】
上記の比較例に対して、図14図18に示す本実施形態では、1ページが、3回の干渉を受けるメモリセルトランジスタMTだけで構成された場合と、2回の干渉しか受けないメモリセルトランジスタMTだけで構成された場合とに分けられる。したがって、2回の干渉しか受けないメモリセルトランジスタMTによって構成されるページに対する書き込み動作においては、3回の干渉を受けるメモリセルトランジスタMTによって構成されるページに対する書き込み動作と比べて、ステップアップ幅を大きく設定することができる。
【0141】
[第1メモリセルと第2メモリセルとの判別方法]
本実施形態における書き込み順序は、SGD0→SGD2→SGD1→SGD3である。このような書き込み順序を容易化するための、アドレスビットの割り当てについて説明する。本実施形態ではブロック内のストリング数は4であるため、図19に示すように、ストリングアドレス(String address)として必要なビット数は2ビットである。そこで、SGD0に00を割り当て、SGD2に01を割り当て、SGD1に10を割り当て、SGD3に11を割り当てると、アドレスを1ずつ増やしていくことで、本実施形態の順序で書き込み動作が自然と実行される。すなわち、ストリングアドレスの最上位ビット(図19において矢印で示されたビット)が0の場合に、NANDストリング50eを指定し、当該最上位ビットが1の場合に、NANDストリング50oを指定するようにアドレスを設定すればよい。
【0142】
本実施形態では1ブロック当たり4ストリングのメモリアレイを想定した例を示したが、この例に限定されない。例えば、1ブロック当たりのストリング数が5以上の場合でも、上記と同様に最上位ビットを用いてNANDストリング50e又は50oを指定することで、本実施形態の順序で書き込み動作が自然と実行できる。例えば、1ブロック当たり8ストリングのメモリアレイでは、ストリングアドレスとして必要なビット数は3ビットであり、最上位ビットを用いてNANDストリング50e又は50oを区別することができる。このように、2進数のアドレスを1ずつ増やすことで、本実施形態の順序で書き込み動作が自然と実行され、メモリコントローラにおける書き込み順序の制御を容易化できる。
【0143】
[書き込み動作におけるプロブラム電圧]
図20を用いて、本実施形態の書き込み動作におけるプログラム電圧について説明する。図20において、VPGM1はワード線WLeと対向するメモリセルトランジスタMT(第1メモリセル)に対するプログラム電圧を示し、VPGM2はワード線WLoと対向するメモリセルトランジスタMT(第2メモリセル)に対するプログラム電圧を示す。
【0144】
一般に、あるページに属するメモリセルトランジスタMTは、特性にバラツキがある。例えば、あるページに属するメモリセルトランジスタMTのうち、一部は比較的低いプログラム電圧を印加することで閾値がターゲットレベルまで上昇するのに対して、他の一部は比較的高いプログラム電圧を印加しなければ閾値がターゲットレベルまで上昇しないことがある。そのため、書き込み動作において、プログラム電圧を印加して書き込み対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値を上昇させるプログラム動作と、それによって閾値が所望のレベルまで上昇したかどうかを確認するベリファイ動作とを、複数回行う。
【0145】
複数回のプログラム動作において、プログラム電圧を徐々にステップアップさせていく。これにより、あるページに属するメモリセルトランジスタMTの特性にバラツキがある場合であっても、それらの閾値をターゲットレベルに近い値に収束させることができる(細い閾値分布を実現することができる)。
【0146】
図20において、ΔV1は、第1メモリセルに対する書き込み動作におけるプログラム電圧のステップアップ幅を示す。ΔV2は、第2メモリセルに対する書き込み動作におけるプログラム電圧のステップアップ幅を示す。プログラム電圧のステップアップ幅を小さく設定すると、メモリセルトランジスタMTの閾値をターゲットレベルに近い値に収束させやすくなるが(細い閾値分布を実現することができるが)、書き込み動作が完了するまでの時間が長くなる。一方で、プログラム電圧のステップアップ幅を大きく設定すると、書き込み動作が完了するまでの時間は短くなるが、メモリセルトランジスタMTの閾値をターゲットレベルに近い値に収束させにくくなる(閾値分布が太くなってしまう)。
【0147】
上記のように、ワード線WLoと対向するメモリセルトランジスタMT(第2メモリセル)は、ワード線WLeと対向するメモリセルトランジスタMT(第1メモリセル)に比べて、他のページに属するメモリセルトランジスタMTに対する書き込み動作による干渉を受ける回数が少ない。したがって、干渉を受けた後の第2メモリセルの閾値電圧分布における各レベルの幅は、干渉を受けた後の第1メモリセルの閾値電圧分布における各レベルの幅より小さい。したがって、上記のように、第2メモリセルに対する書き込み動作におけるプログラム電圧のステップアップ幅ΔV2を、第1メモリセルに対する書き込み動作におけるプログラム電圧のステップアップ幅ΔV1より大きくしたとしても、閾値電圧分布における各レベルの幅を同程度にすることができる。一方で、ΔV2をΔV1より大きくすることで、第2メモリセルに対する書き込み動作の速度を第1メモリセルに対する書き込み動作の速度よりも速くすることができる。その結果、第1メモリセルに対する書き込み動作の精度と第2メモリセルに対する書き込み動作の精度とを同程度に保ちつつ、第2メモリセルに対する書き込み動作の時間を第1メモリセルに対する書き込み動作の時間より短くすることができる。
【0148】
図21を用いて、本実施形態の変形例の書き込み動作におけるプログラム電圧について説明する。図21において、ΔVth1は、ワード線WLeと対向するメモリセルトランジスタMT(第1メモリセル)に対する書き込み動作の後であって、干渉を受ける前のVthの閾値電圧分布の幅である。ΔVth2は、ワード線WLoと対向するメモリセルトランジスタMT(第2メモリセル)に対する書き込み動作の後であって、干渉を受ける前のVthの閾値電圧分布の幅である。上記のように、第2メモリセルは第1メモリセルに比べて干渉を受ける回数が少ない。したがって、同じ、書き込み電圧ステップアップ幅ΔVで書き込み動作を実行した場合、ΔVth2をΔVth1よりも狭くすることができる。ΔVth2はΔVth1より狭いので、ワード線WLoと対向するメモリセルトランジスタMTの各閾値分布の電圧を、ワード線WLeと対向するメモリセルトランジスタMTの各閾値分布の電圧に対して小さくすることができる。干渉効果の大きさは、閾値電圧の変化量が大きいほど大きくなる。本実施例において、ワード線WLoと対向するメモリセルトランジスタMTの閾値電圧の変化量を小さくすることで、ワード線WLoと対向するメモリセルトランジスタMTから、ワード線WLeと対向するメモリセルトランジスタMTへの干渉効果を低減することができる。干渉効果が低減することから、ΔV1を大きくすることができ、書き込み時間を高速化できる。
【0149】
以上のように、本実施形態では、第2メモリセルに対する書き込み動作の時間を第1メモリセルに対する書き込み動作の時間よりも短くすることができるため、全体の書き込み動作の時間を短くすることができる。
【0150】
<第2実施形態>
図22を用いて、第2実施形態に係るメモリシステムについて説明する。第2実施形態に係るメモリシステムは、第1実施形態に係るメモリシステムと書き込み動作が相違する。その他の点において、第2実施形態は第1実施形態と同様の構成を有するため、説明を省略する。
【0151】
[複数ステージ書き込み動作]
図22を用いて、複数ステージ書き込み動作について説明する。図22の例では、1つのページに対して2回のステージ(第1ステージ及び第2ステージ)に分けて書き込み動作を行う例について説明する。本実施形態における複数ステージ書き込み動作は、まず、対象のページに対して第1ステージ(1st stage)の書き込み動作を行う。当該第1ステージの書き込み動作の後に他のワード線WLに対応するページに対する第1ステージの書き込み動作を行う。その後に、当該対象ページに対して第2ステージ(2nd stage)の書き込み動作を行う。第1ステージの書き込み動作は、プログラム動作およびベリファイ動作の数が相対的に少ない。また、プログラム動作で用いるプログラム電圧のステップアップ幅も相対的に大きい。これにより、閾値電圧分布を粗く形成する。これに対して、第2ステージの書き込み動作は、プログラム動作およびベリファイ動作の数が相対的に多い。また、プログラム動作で用いるプログラム電圧のステップアップ幅も相対的に小さい。これにより、閾値電圧分布を密に形成する。図22において、SGD0~3の項目の下の枠に記載された数字は、書き込み動作が行われる順番を示す。
【0152】
各ステージにおける書き込み動作は、上記の実施形態(図14図18)と同様に、各ワード線に対してセレクトゲート線SGD0→SGD2→SGD1→SGD3の順で行われる。図22に示すように、ワード線WL0に対する第1ステージの書き込み電圧を供給した後に、ワード線WL1に対する第1ステージの書き込み電圧を供給する。その後、ワード線WL0に対する第2ステージの書き込み電圧を供給し、続いてワード線WL2に対する第1ステージの書き込み電圧を供給する。
【0153】
ここで、ワード線WLe0を「第1ワード線」という場合がある。ワード線WLo0を「第2ワード線」という場合がある。ワード線WLe1を「第3ワード線」という場合がある。ワード線WLo1を「第4ワード線」という場合がある。図7に示すように、Z方向において、ワード線WLe0(第1ワード線)及びワード線WLo0(第2ワード線)は、ワード線WLe1(第3ワード線)及びワード線WLo1(第4ワード線)とZ方向に隣接する層に設けられている。図6を参照すると、複数のメモリピラーMP0~MP15の各々は、ワード線WLe0(第1ワード線)とワード線WLo0(第2ワード線)とによって挟まれており、さらにワード線WLe1(第3ワード線)とワード線WLo1(第4ワード線)とによって挟まれている。
【0154】
ワード線WLe0(第1ワード線)と対向するメモリセルトランジスタを「第1メモリセル」という場合がある。ワード線WLo0(第2ワード線)と対向するメモリセルトランジスタを「第2メモリセル」という場合がある。ワード線WLe1(第3ワード線)と対向するメモリセルトランジスタを「第3メモリセル」という場合がある。ワード線WLo1(第4ワード線)と対向するメモリセルトランジスタを「第4メモリセル」という場合がある。第1メモリセルと第3メモリセルとは同じメモリピラーMP(例えば、MP0)を共有する。つまり、図14図17において、ワード線WLe0と対向するメモリピラーMP0に設けられたメモリセルトランジスタMTを第1メモリセルという場合、第3メモリセルは、ワード線WLe0の上層に設けられたワード線WLe1と対向するメモリピラーMP0に設けられたメモリセルトランジスタMTに相当する。同様に、ワード線WLo0と対向するメモリピラーMP0に設けられたメモリセルトランジスタMTを第2メモリセルという場合、第4メモリセルは、ワード線WLo0の上層に設けられたワード線WLo1と対向するメモリピラーMP0に設けられたメモリセルトランジスタMTに相当する。
【0155】
図22に示すように、ワード線WLe0と対向する第1メモリセル、ワード線WLo0と対向する第2メモリセル、ワード線WLe1と対向する第3メモリセル、及びワード線WLo1と対向する第4メモリセルの各々において、第1ステージの書き込み動作(第1の書き込み動作)、第2ステージの書き込み動作(第2の書き込み動作)の順で書き込み動作が行われる。
【0156】
第1メモリセルに対する第1の書き込み動作(図22の「1」及び「2」)及び第2メモリセルに対する第1の書き込み動作(図22の「3」及び「4」)の後に、第3メモリセルに対する第1の書き込み動作(図22の「5」及び「6」)及び第4メモリセルに対する第1の書き込み動作(図22の「7」及び「8」)が行われる。次に、第1メモリセルに対する第2の書き込み動作(図22の「9」及び「10」)及び第2メモリセルに対する第2の書き込み動作(図22の「11」及び「12」)が行われる。その後に、ワード線WLe2と対向するメモリセルトランジスタMTに対する第1の書き込み動作(図22の「13」及び「14」)及びワード線WLo2と対向するメモリセルトランジスタMTに対する第1の書き込み動作(図22の「15」及び「16」)が行われる。
【0157】
本実施形態の変形例においても、第2メモリセルに対する書き込み動作の時間を第1メモリセルに対する書き込み動作の時間よりも短くすることができるため、全体の書き込み動作の時間を短くすることができる。
【0158】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の圧縮・伸長回路を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0159】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0160】
1:メモリシステム、 2:メモリコントローラ、 3:パッケージ、 4:パワーマネージャ、 5~8:半導体記憶装置、 9:基準抵抗、 10、10-0、10-0a~10-0c:配線層、 10-0d:第1接続部、 10-1、10-1a、10-1b:配線層、 10-1d:第2接続部、 10-2、10-2a、10-2b:配線層、 10-2d:第1接続部、 10-3、10-3a、10-3b:配線層、 10-3d:第2接続部、 10-4~7:配線層、 11、11-0a、11-0b、11-1~7:配線層、 11-8:第1接続部、 11-9:第2接続部、 11e、11o、12:配線層、 13:半導体基板、 16、17、19:コンタクトプラグ、 17d:第1接続領域、 18、20:金属配線層、 19d:第2接続領域、 21:メモリセルアレイ、 22:入出力回路、 23:補正回路、 24:ロジック制御回路、 25:温度センサ、 26:レジスタ、 27:シーケンサ、 28:電圧生成回路、 29:ドライバセット、 30:ロウデコーダ、 31:センスアンプ、 32:入出力用パッド群、 33:補正用パッド、 34:ロジック制御用パッド群、 40:半導体層、 41~43、46、48:絶縁層、 45:AlO層、 47:バリアメタル層、 50:ストリング、 61:プロセッサ、 62:内蔵メモリ、 63:インタフェース回路、 64:バッファメモリ、 65:ホストインタフェース回路、 70、72~74:絶縁層、 71:半導体層、 75:AlO層、 76:バリアメタル層、 77:絶縁層、 400、410、420:閾値電圧分布
図1
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