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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095429
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】家電機器及び家電機器システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220621BHJP
【FI】
G06F3/01 570
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208756
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 俊紀
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA05
5E555AA12
5E555BA15
5E555BB15
5E555BC01
5E555CA42
5E555CB56
5E555CB66
5E555EA03
5E555EA14
5E555EA22
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザの動作による家電機器の遠隔操作を当該動作の持続時間に応じた制御により行うことでユーザの利便性を向上する。
【解決手段】実施形態の家電機器10は、ユーザの動作を検出する検出部20と、検出した動作の持続時間を計測する時間計測部22と、動作の持続時間についての複数の閾値と各閾値に対して定められた家電機器の状態との対応関係を記憶する記憶部18と、時間計測部22により計測された動作の持続時間に応じて上記対応関係に基づき家電機器10の状態を変化させる状態制御部24と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの動作を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記動作の持続時間を計測する時間計測部と、
前記動作の持続時間についての複数の閾値と各閾値に対して定められた家電機器の状態との対応関係を記憶する記憶部と、
前記時間計測部により計測された前記動作の持続時間に応じて前記対応関係に基づき家電機器の状態を変化させる状態制御部と、
を備える家電機器。
【請求項2】
前記動作の持続時間に関する情報および前記対応関係に基づいて変化させる家電機器の状態に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を前記ユーザに報知する報知部をさらに備える、請求項1に記載の家電機器。
【請求項3】
前記対応関係は、前記検出部が前記ユーザの動作を検出する際の家電機器の状態に応じてそれぞれ設定される、請求項1又は2に記載の家電機器。
【請求項4】
前記状態制御部は、家電機器を第1の状態から第2の状態に変化させる前記持続時間の第1閾値を、前記第1の状態から前記第2の状態に変化し、その後当該第2の状態から前記第1の状態に復帰してから所定時間内では前記第1閾値よりも短い時間に設定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の家電機器。
【請求項5】
前記記憶部は、前記時間計測部により計測された前記動作の持続時間に関するデータを蓄積する、請求項1~4のいずれか1項に記載の家電機器。
【請求項6】
前記記憶部に蓄積された前記動作の持続時間に関するデータに基づいて前記対応関係を更新する対応関係更新部をさらに備える、請求項5に記載の家電機器。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の家電機器と、通信ネットワークを介して前記家電機器に接続されたサーバとを備え、前記サーバは、前記家電機器から送信される前記動作の持続時間に関するデータを蓄積するデータ記憶部を備える、家電機器システム。
【請求項8】
前記サーバは、前記データ記憶部に蓄積された前記動作の持続時間に関するデータに基づいて前記閾値と前記家電機器の状態との新たな対応関係を作成する対応関係作成部をさらに備え、前記家電機器は、前記サーバから送信される前記新たな対応関係を用いて前記記憶部に記憶された前記閾値と前記家電機器の状態との対応関係を更新する対応関係更新部をさらに備える、請求項7に記載の家電機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、家電機器及び家電機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンやテレビや照明器具などの家電機器において、家電機器に直接触れることなく遠隔操作する技術が知られており、例えば、特許文献1には、複数の家電機器の中から、ユーザが所定時間以上目線を向けている家電機器を選択して、当該家電機器の状態を変化させる機器連携システムが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、家電機器に直接触れることなく、またリモコンを用いることなく、ユーザのジェスチャーにより遠隔操作する技術が開示されている。
【0004】
このようにユーザの動作により家電機器を遠隔操作することは知られているが、ユーザの動作の持続時間に複数の閾値を設定して、持続時間に応じて機器状態を選択して制御することは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2018/042751号
【特許文献2】特開2019-003228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、ユーザの動作による家電機器の遠隔操作を当該動作の持続時間に応じた制御により行うことでユーザの利便性を向上することができる家電機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の家電機器は、ユーザの動作を検出する検出部と、前記検出部で検出した前記動作の持続時間を計測する時間計測部と、前記動作の持続時間についての複数の閾値と各閾値に対して定められた家電機器の状態との対応関係を記憶する記憶部と、前記時間計測部により計測された前記動作の持続時間に応じて前記対応関係に基づき家電機器の状態を変化させる状態制御部と、を備える家電機器である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る家電機器に対するユーザの動作を説明するための図
図2】同家電機器の構成例を示すブロック図
図3】同家電機器の遠隔操作の制御を示すフロー図
図4】同家電機器の対応関係表の一例を示す図
図5】他の実施形態に係る家電機器システムの構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態の家電機器は、ユーザの所定の動作を検出し、その動作の持続時間に複数の閾値を設定して、持続時間に応じて家電機器の状態を変化させるよう構成されたものであり、家電機器に直接触れることなく、またリモコンを用いることなく、遠隔操作することを可能にしたものである。
【0011】
家電機器としては、特に限定されず、例えば、エアコン、扇風機、冷蔵庫、テレビ、ビデオレコーダー、オーディオ機器、照明器具など、ユーザの宅内に設置される電気器具が挙げられる。
【0012】
ユーザの動作としては、家電機器により検出可能な動作であれば特に限定されず、例えば、家電機器を見つめる(視線を向ける)こと、家電機器の方向に顔を向けること、手を挙げること、手を振ることなどの様々なジェスチャーが挙げられ、遠隔操作を行うための動作として予めいずれかの動作を設定しておく。
【0013】
図1は一実施形態として、家電機器10がエアコンの場合についてのユーザ8による動作の一例を示したものである。この例では、ユーザ8が家電機器10に対して顔を向けることを所定の動作として、家電機器10は、当該所定の動作を検出し、それが持続して行われる持続時間を計測して、その持続時間に応じて予め定められた機器状態になるように制御される。
【0014】
図2は、一実施形態に係る家電機器10の構成例を示すブロック図である。家電機器10は、制御部12と、カメラ14と、報知部16と、記憶部18とを備える。
【0015】
制御部12は、家電機器10を制御するデバイスであり、CPUやMPUなどの電子回路、ASICやFPGAなどの集積回路を用いることができる。制御部12は、各種のプログラムを実行することにより各種の処理部として機能する。この例では、制御部12は、処理部として、検出部20と、時間計測部22と、状態制御部24と、対応関係更新部26とを有する。
【0016】
カメラ14は、室内にいるユーザを撮影してユーザの画像を取得する画像取得部である。カメラ14としては、ユーザの画像を取得できれば特に限定されず、例えば汎用のビデオカメラでもよく、赤外線カメラでもよい。
【0017】
記憶部18は、情報を記憶する記憶デバイスであり、ハードディスクやSSDなどが例示され、RAMやフラッシュメモリなどのデータを書き換え可能な半導体メモリでもよく、さらにこれらの書き換え可能な記憶装置とともに、各種プログラムを格納するためのROMを備えてもよい。記憶部18は、制御部12で実行される各種プログラムを記憶しており、また当該プログラムで用いられる各種データを記憶する。
【0018】
検出部20は、カメラ14で取得したユーザの画像を用いてユーザの所定の動作を検出する。すなわち、検出部20は、家電機器10を遠隔操作するために予め定められた動作をユーザが行っているか否かを検出する。
【0019】
時間計測部22は、検出部20で検出したユーザの動作の持続時間を計測する。詳細には、時間計測部22は、ユーザによる上記所定の動作を検出し始めてから当該動作が継続的に行われる時間を計測する。なお、時間計測部22としては、別途タイマー等の機器を用いて当該機器を制御する制御として構成されてもよい。
【0020】
状態制御部24は、時間計測部により計測された上記所定の動作の持続時間に応じて家電機器10の状態が変化するように家電機器10を制御する。この制御は、上記動作の持続時間と家電機器10の状態との間で、予め定められた対応関係に基づいて行われる。
【0021】
該対応関係は、動作の持続時間についての複数の閾値と各閾値に対して定められた家電機器10の状態との対応関係であり、図2に示すように対応関係表28として記憶部18に記憶されている。
【0022】
ここで、閾値とは、家電機器10を上記の定められた各状態にするのに必要な持続時間の最小値である。閾値は複数段階に設定されており、最初の閾値に到達してから次の閾値に到達する直前までの機器状態、次の閾値に到達してからその次の閾値に到達する直前までの機器状態のように、遠隔操作により変化させるべき家電機器10の状態が閾値毎に定められている。
【0023】
閾値と家電機器10の状態との対応関係は、家電機器10の現在の状態に応じてそれぞれ設定されることが好ましい。ここで、現在の状態とは、検出部20がユーザの上記所定の動作を検出する際の家電機器10の状態であり、遠隔操作により状態を変化させる前の家電機器10の状態である。
【0024】
図4は、対応関係表28の一例を示したものである。持続時間の閾値として、その時間が短いものから順にT1、T2、……、Tn(但し、n≧2)のように複数の閾値が設定されている。閾値T1~Tnは、数秒おき(例えば2~5秒から選択される所定時間おき)に設定することができる。
【0025】
そして、家電機器10の現在の状態「状態(X)」に対して、閾値T1では「状態(1)」、閾値T2では「状態(2)」、閾値T3では「状態(3)」、……、閾値Tn-1では「状態(n-1)」、閾値Tnでは「状態(n)」のように、閾値毎に現在の状態から変化させる家電機器の状態が定められている。
【0026】
例えば、家電機器10がエアコンの場合、現在の状態としてはOFF状態(停止中)、ON状態(運転中)などが挙げられ、遠隔操作により変化させる状態としては、ON/OFFの切り替え、温度変更、運転モード変更などが挙げられる。
【0027】
この場合の対応関係の具体例は、図4に示すように、例えば、現在の状態がOFF状態(停止中)の場合、閾値T1ではON状態(自動モードでの運転)、閾値T2では冷房モードでの運転、閾値T3では除湿モードでの運転、……、閾値Tn-1では送風モードでの運転、閾値Tnでは暖房モードでの運転のように設定してもよい。
【0028】
また、現在の状態がON状態(運転中)の場合、運転モードの違いにより異なる対応関係を設定してもよい。例えば、現在の状態が自動モードで運転中(ON自動)の場合、閾値T1ではOFF状態、閾値T2では2℃上昇、閾値T3では2℃下降、……、閾値Tn-1では冷房モード、閾値Tnでは送風モードのように対応関係を設定し、現在の状態が冷房モードで運転中(ON冷房)の場合、その全ての閾値または一部の閾値に対して自動モードで運転中の場合とは異なる対応関係を設定してもよい。
【0029】
このような対応関係表28に基づき、状態制御部24は、時間計測部22により計測された持続時間が上記各閾値を超えているか否かを判定し、閾値を超えていれば当該閾値に対応した状態となるように家電機器10の状態を変化させる。これにより、ユーザが希望する遠隔操作がなされる。
【0030】
状態制御部24は、また、対応関係表28における閾値を一時的に変化させる機能を有してもよい。例えば、家電機器10をある状態(第1の状態)から別の状態(第2の状態)に変化させるための上記持続時間の閾値を第1閾値とする。家電機器10が第1の状態から第2の状態に変化し、その後、この第2の状態から第1の状態に復帰したとき、復帰してから所定時間内では、第1の状態から第2の状態に変化させるための持続時間の閾値を、上記第1閾値よりも短い時間に設定する。
【0031】
より具体的には、家電機器10(例えばエアコン)をOFF状態(第1の状態)からON状態(第2の状態)に変化させるための持続時間の閾値(第1閾値)がTa(例えば5秒)として対応関係表28に設定されているとする。
【0032】
この場合において、まず、OFF状態の家電機器10をON状態に遠隔操作するために、上記閾値Taを超える持続時間、上記所定の動作を行って、ON状態に変化させる。その後、遠隔操作によりON状態からOFF状態に変化させたとき、OFF状態に変化してから所定時間以内では、OFF状態からON状態に変化させるための持続時間の閾値をTaよりも短い時間(例えば3秒)に設定する。
【0033】
これにより、再度ON状態に変化させる際における動作の持続時間が短くなるので、同じ遠隔操作を比較的短時間で繰り返す場合におけるユーザの利便性を向上することができる。ここで、閾値を一時的に変化させる上記所定時間としては、例えば1時間や2時間のような短期間(一実施形態として0.5~10時間から選択される所定時間)に設定することができる。
【0034】
報知部16は、表示装置やスピーカを備え、家電機器10に関する各種情報を表示したり音声で通知したりすることでユーザに知らせる装置である。表示装置としては、例えば、液晶表示装置、LEDなどの発光素子を用いることができる。
【0035】
この例では、報知部16は、ユーザの動作の持続時間に関する情報および上記対応関係に基づいて変化させる家電機器10の状態に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を、ユーザに報知する。これにより、ユーザによる遠隔操作のための動作に対して家電機器10が反応していることを、ユーザに知らせることができる。
【0036】
ここで、ユーザの動作の持続時間に関する情報としては、例えば、持続時間の開始時(検出部が動作の開始を検出した時点)、持続時間の終了時(検出部が動作の終了を検出した時点)、持続時間が各閾値を経過した時点などが挙げられる。また、家電機器10の状態に関する情報としては、例えば、遠隔操作による変化後の家電機器10の状態(どのような状態に変化させるかとの情報)、家電機器10の状態変化を実行する時点などが挙げられる。
【0037】
報知部16による報知方法としては、例えば、発光素子により光を出して報知する場合、光の色の違いや、点滅回数などの点滅・点灯パターンなどにより、報知する情報の判別を可能にすることができる。また、電子音などの音により通知する場合、音の回数や長さなどの音パターンにより、報知する情報の判別を可能にすることができる。
【0038】
この実施形態に係る家電機器10では、時間計測部22により計測された上記動作の持続時間に関するデータを機器本体に保存する。そのため、家電機器10は、図2に示すように、記憶部18が、時間計測部22により計測された動作の持続時間に関するデータを蓄積するデータ記憶部30を有する。
【0039】
上記動作の持続時間に関するデータとしては、実際に遠隔操作に使用された持続時間とその対応する家電機器の状態とを組み合わせたデータ、実際に遠隔操作に使用された持続時間についての閾値と当該閾値に対応する家電機器の状態とを組み合わせたデータなどが挙げられ、当該データを蓄積することにより、どの遠隔操作がどのような頻度で使用されているかが分かる。
【0040】
対応関係更新部26は、記憶部18、詳細には上記データ記憶部30に蓄積された上記動作の持続時間に関するデータに基づいて、上記閾値と家電機器10の状態との上記対応関係を更新する。更新方法としては、特に限定されないが、使用頻度が低くほとんど使用されてない遠隔操作を上記対応関係表28から削除したり、使用頻度が高いほど上記閾値が小さく(即ち、時間が短く)なるように使用頻度順に遠隔操作を並べ替えたりすることが挙げられる。このように遠隔操作を行うための対応関係表28をその使用実績に応じて更新することにより、ユーザの利便性を向上することができる。
【0041】
このような対応関係更新部26による対応関係の更新は、所定の期間毎や遠隔操作の所定の蓄積回数毎に行うように設定することができる。所定の期間毎としては、例えば0.5~3ヶ月から選択される所定期間に一度(例えば1ヶ月に一度)でもよい。また、所定の蓄積回数としては、例えば20~200回から選択される所定の蓄積回数毎(例えば100回毎)でもよい。
【0042】
次に、家電機器10の遠隔操作の制御の一例について図3を参照して説明する。
【0043】
まず、ステップS1において、家電機器10の検出部20はユーザが所定の動作を行っているか否かを判断する。そして、検出部20によりユーザが所定の動作を行っていると判断すれば、ステップS2において、時間計測部22が当該動作の持続時間の計測を開始するとともに、ステップS3において、検出部20による動作の検出が開始されたことを報知部16が報知する。例えば、音により報知する場合、「ピッ」という電子音を一度鳴らすことにより報知してもよい。これにより、ユーザが無意識に所定の動作をすることによる、意図しない遠隔操作(誤操作)を回避することができる。
【0044】
また、ステップS4において、状態制御部24は、現在の状態に対応する対応関係表28を記憶部18から取得する。
【0045】
次いで、ステップS5において、検出部20による上記動作の検出が終了したか否かを判断する。そして、終了していればステップS6において時間計測部22による時間の計測を終了し、ユーザによる上記動作が終了したことを報知部16が報知し、制御が終了する。この場合、ユーザによる所定動作の持続時間が最初の閾値T1を超えていないので、遠隔操作は実行されず、家電機器10は現在の状態をそのまま維持する。
【0046】
一方、ステップS5において上記動作の検出が終了していない場合、ステップS7に進み、状態制御部24は、上記動作の持続時間が閾値T1を超えているか否かを判断する。閾値T1を超えていない場合、ステップS5に戻り、閾値T1を超えるまでステップS5及びS7を繰り返す。
【0047】
そして、ステップS7において動作の持続時間が閾値T1を経過したと判断すると、ステップS8において、閾値T1の経過を報知部16が報知する。例えば、音により報知する場合、「ピッピッ」というように電子音を2度鳴らすことにより報知してもよい。
【0048】
次いで、ステップS9において、検出部20による上記動作の検出が終了したか否かを判断し、終了していればステップS10において時間計測部22による時間の計測を終了し、ユーザによる上記動作が終了したことを報知部16が報知する。例えば、音により報知する場合、「ピー」という長音を鳴らすことにより報知してもよい。
【0049】
この場合、ユーザによる所定動作の持続時間が閾値T1を超えかつ次の閾値T2を超えていないので、ステップS11において、状態制御部24は、対応関係表28において閾値T1に対応する状態(1)となるように家電機器10の状態を変化させる。すなわち、状態制御部24は、時間計測部22による計測が終了し、所定動作の持続時間が確定してから、その持続時間に応じて定められた状態になるよう操作を開始する。
【0050】
その後、ステップS12において、このように状態を変化させる操作を開始したこと(即ち、遠隔操作が実行されたこと)を報知部16が報知して、制御が終了する。例えば、音により報知する場合、「ピッピー」というように他の報知時とは音のパターンを変えることにより、遠隔操作が実行されたことをユーザに知らせることができる。
【0051】
一方、ステップS9において、検出部20が上記動作の検出を終了していない場合、ステップS13に進み、状態制御部24は、上記動作の持続時間が閾値T2を超えているか否かを判断する。閾値T2を超えていない場合、ステップS9に戻り、閾値T2を超えるまでステップS9及びS13を繰り返す。
【0052】
そして、ステップS13において動作の持続時間が閾値T2を経過したと判断すると、ステップS14において、閾値T2の経過を報知部16が報知する。例えば、音により報知する場合、「ピッピッピッ」というように電子音を3度鳴らすことにより報知してもよい。
【0053】
次いで、ステップS15において、検出部20による上記動作の検出が終了したか否かを判断し、終了していればステップS16において時間計測部22による時間の計測を終了し、ユーザによる上記動作が終了したことを報知部16が報知する。
【0054】
この場合、ユーザによる所定動作の持続時間が閾値T2を超えかつ次の閾値T3を超えていないので、ステップS17において、状態制御部24は、対応関係表28において閾値T2に対応する状態(2)となるように家電機器10の状態を変化させる。その後、ステップS18において、このように状態を変化させる操作を開始したこと(即ち、遠隔操作が実行されたこと)を報知部16が報知して、制御が終了する。
【0055】
一方、ステップS15において、検出部20が上記動作の検出を終了していない場合、上記動作の持続時間が次の閾値を超えているか否かを判断し、以下、対応関係表28で定められた最後の閾値Tnになるまで上記と同様の制御を繰り返す。
【0056】
そして、ステップS19において、上記動作の持続時間が対応関係表28の最後の閾値Tnを経過したと判断すると、ステップS20において、閾値Tnの経過を報知部16が報知する。例えば、音により報知する場合、「ピッピッ…」というように電子音をn度鳴らすことにより報知してもよい。
【0057】
次いで、ステップS21において、検出部20による上記動作の検出が終了したか否かを判断し、上記動作の検出が終了すればステップS22において時間計測部22による時間の計測を終了し、ユーザによる上記動作が終了したことを報知部16が報知する。
【0058】
この場合、ユーザによる所定動作の持続時間が閾値Tnを超えているので、ステップS23において、状態制御部24は、対応関係表28において閾値Tnに対応する状態(n)となるように家電機器10の状態を変化させる。その後、ステップS24において、このように状態を変化させる操作を開始したこと(即ち、遠隔操作が実行されたこと)を報知部16が報知して、制御が終了する。
【0059】
以上のように、この実施形態に係る家電機器10であると、ユーザによる所定の動作の持続時間に複数の閾値を設定し、各閾値に応じて定められた状態になるように家電機器10の状態を変化させるよう構成されている。そのため、単一の動作でありながら、その持続時間を変えるだけで、複数の異なる状態に切り替え制御することができ、遠隔操作によるユーザの利便性を向上することができる。
【0060】
家電機器10であると、また、閾値と家電機器10の状態との対応関係が、家電機器10の現在の状態に応じてそれぞれ設定されているので、切り替え先の家電機器10の状態の数を現在の状態に応じて絞り込むことができ、その分だけ閾値の設定数を減らすことができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0061】
図5は、他の実施形態に係る家電機器システムの構成を示すブロック図である。この家電機器システムは、家電機器10Aと、通信ネットワーク40を介して家電機器10Aに接続されたサーバ50とを含んで構築されている。
【0062】
家電機器10Aは、時間計測部22により計測された上記動作の持続時間に関するデータを蓄積することなく、遠隔操作するたびに当該データをリセットして、家電機器10Aの本体に残らないようにしたものである点で、上記実施形態の家電機器10とは異なる。この例では、家電機器10Aは、上記動作の持続時間に関するデータを、遠隔操作するたびにサーバ50に送信し、サーバ50で保管するように構成されている。
【0063】
詳細には、家電機器10Aは、上記実施形態の家電機器10と同様、制御部12と、カメラ14と、報知部16と、記憶部18とを備え、また制御部12が検出部20と時間計測部22と状態制御部24と対応関係更新部26とを備え、さらに記憶部18が対応関係表28を記憶しており、これらの構成は記憶部18が上記データ記憶部30を有しない点を除いて家電機器10と同じである。
【0064】
また、家電機器10Aは、サーバ50と通信する通信部32を備える点で、家電機器10と異なる。通信部32は、宅内に整備された無線又は有線LAN等の狭域通信ネットワークを介して、インターネットを含む広域の通信ネットワーク40と接続され、該通信ネットワーク40を介してサーバ50に接続されている。通信部32は、通信ネットワーク40を介して、サーバ50と相互通信を行う要素であり、上記動作の持続時間に関するデータをサーバ50に送信することができる。
【0065】
サーバ50は、周知のコンピュータシステムにより構成されており、通信ネットワーク40を介して各宅内に設置された家電機器10Aと通信可能になっている。ここで、サーバ50にはクラウドサーバも含まれる。
【0066】
サーバ50は、通信ネットワーク40を介して家電機器10Aの通信部32と通信する通信部52と、家電機器10Aから送信される上記動作の持続時間に関するデータを蓄積するデータ記憶部54とを備える。
【0067】
サーバ50は、また、データ記憶部54に蓄積された上記動作の持続時間に関するデータに基づいて上記閾値と家電機器10Aの状態との新たな対応関係を作成する対応関係作成部56を備える。
【0068】
対応関係作成部56は、1台の家電機器10Aから送信され蓄積された上記データに基づいて新たな対応関係を作成してもよく、別の宅内に設置された複数の家電機器10Aから送信され蓄積された上記データに基づいて新たな対応関係を作成してもよい。作成方法としては、特に限定されないが、家電機器10Aの記憶部18に記憶されている上記閾値と家電機器10Aの状態との対応関係をベースとして、使用頻度が低くほとんど使用されていない遠隔操作を対応関係から削除したり、使用頻度が高いほど上記閾値が小さくなるように使用頻度順に遠隔操作を並べ替えたりすることが挙げられる。
【0069】
このような新たな対応関係の作成は、サーバ50の制御部がプログラムを実行することにより対応関係作成部56として機能して行うようにしてもよく、所定の期間毎や遠隔操作の所定の蓄積回数毎に自動的に新たな対応関係が作成される。あるいはまた、サーバ50の管理者等が所定の期間毎または任意のタイミングで新たな対応関係を作成するようにしてもよい。
【0070】
新たな対応関係を作成する所定の期間毎としては、例えば0.5~3ヶ月から選択される所定期間に一度(例えば1ヶ月に一度)でもよい。また、所定の蓄積回数としては、データを蓄積する家電機器10Aの台数によって異なり、上記所定の期間に相当する蓄積回数を家電機器10Aの台数に応じて設定してもよい。
【0071】
サーバ50の通信部52は、対応関係作成部56で作成した新たな対応関係を、通信ネットワーク40を介して家電機器10Aに送信する。家電機器10Aの通信部32は、この新たな対応関係を受信する。家電機器10Aの対応関係更新部26は、サーバ50から送信された新たな対応関係を用いて、記憶部18に記憶された閾値と家電機器10Aの状態との上記対応関係(即ち、対応関係表28)を更新する。
【0072】
このように他の実施形態に係る家電機器システムであると、遠隔操作を行うための対応関係表28をその使用実績に応じて更新することができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0073】
また、上記動作の持続時間に関するデータをサーバ50で保管、管理するようにしており、家電機器10Aの本体に余分なデータを残さないようにしているので、余分なデータが家電機器10Aに残ることにより本来の遠隔操作ができなくなる等の問題が起こる可能性を低減することができる。
【0074】
なお、上記実施形態では、上記動作の持続時間に関するデータを家電機器本体またはサーバに残して対応関係の更新に利用するように構成しているが、このような対応関係の更新を行わない場合、上記動作の持続時間に関するデータは保存せずに遠隔操作後、その都度リセットしてもよい。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10,10A…家電機器、12…制御部、16…報知部、18…記憶部、20…検出部、22…時間計測部、24…状態制御部、26…対応関係更新部、28…対応関係表、30…データ記憶部、40…通信ネットワーク、50…サーバ、54…データ記憶部、56…対応関係作成部
図1
図2
図3
図4
図5