(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095435
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 23/14 20060101AFI20220621BHJP
F04F 5/10 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
F04B23/14
F04F5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208762
(22)【出願日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】大▲崎▼ 亮輔
【テーマコード(参考)】
3H071
3H079
【Fターム(参考)】
3H071AA03
3H071BB01
3H071BB03
3H071BB13
3H071BB14
3H071CC15
3H071DD31
3H071DD72
3H079AA15
3H079AA29
3H079BB10
3H079CC03
3H079DD60
(57)【要約】
【課題】小さな動力で作動させることのできるオイルポンプを提供すること。
【解決手段】オイルポンプ(20)は、ハウジング(21)に回転可能に設けられ回転することによりオイルを循環させることが可能なポンプ本体(22)と、ハウジング(21)の外部からポンプ本体(22)まで延びオイルが流れるオイル吸入路(31)と、ポンプ本体(22)からハウジング(21)の外部まで延び吐出されたオイルが流れるオイル吐出路(32)と、オイルによって冷却される冷却部品を通過したオイルを吸入すると共に吸入したオイルが発生させる負圧により外部からオイルを吸い上げることが可能なジェットポンプ(24)と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに回転可能に設けられ回転することによりオイルを循環させることが可能なポンプ本体と、前記ハウジングの外部から前記ポンプ本体まで延びオイルが流れるオイル吸入路と、前記ポンプ本体から前記ハウジングの外部まで延び吐出されたオイルが流れるオイル吐出路と、オイルによって冷却される冷却部品を通過したオイルを吸入すると共に吸入したオイルが発生させる負圧により外部からオイルを吸い上げることが可能なジェットポンプと、を有するオイルポンプ。
【請求項2】
オイルの循環する方向を基準として、前記吸入路の上流側の端部は、オイルが溜められているオイルパンに接続されていると共に、
前記ジェットポンプの上流側の端部である第1の末端部も、前記オイルパンに接続されている、請求項1に記載のオイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルを循環させるためのオイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されるエンジンや自動変速機及びターボチャージャー等は、車両の走行中に高温となるため冷却する必要がある。これらを冷却するオイルを循環させるために、多くの車両には、オイルポンプが搭載されている。オイルポンプに関する従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、オイルポンプは、内部にオイルの流路が形成されているハウジングに、回転可能に軸部材が設けられ、この軸部材上に2つのポンプ本体が設けられてなる。ポンプ本体は、それぞれ内接歯車ポンプによって構成されている。
【0004】
2つのポンプ本体はそれぞれ、軸部材と共に回転するインナーロータと、このインナーロータの外周を囲いインナーロータが回転することにより回転するアウターロータと、を有する。
【0005】
特許文献1に示されるオイルポンプによれば、ポンプ本体が1つの場合に比べて多くのオイルを循環させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
オイルポンプは、例えば、クランクシャフトを介してエンジンの動力を軸部材に伝達することにより作動する。1つの軸部材に2つのポンプ本体が設けられていることにより、必要な動力が大きくなり、燃費が悪化する虞がある。
【0008】
本発明は、小さな動力で作動させることのできるオイルポンプの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、ハウジングに回転可能に設けられ回転することによりオイルを循環させることが可能なポンプ本体と、前記ハウジングの外部から前記ポンプ本体まで延びオイルが流れるオイル吸入路と、前記ポンプ本体から前記ハウジングの外部まで延び吐出されたオイルが流れるオイル吐出路と、オイルによって冷却される冷却部品を通過したオイルを吸入すると共に吸入したオイルが発生させる負圧により外部からオイルを吸い上げることが可能なジェットポンプと、を有するオイルポンプが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、小さな動力で作動させることのできるオイルポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例によるオイルポンプが用いられた車両の模式図である。
【
図3】
図1に示したジェットポンプについて詳細に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
<実施例>
【0013】
図1を参照する。車両10には、動力源としてのエンジン11と、このエンジン11に空気を圧縮し送ることが可能なターボチャージャー12と、これらのエンジン11及びターボチャージャー12を冷却するためにオイルを循環させるオイルポンプ20と、このオイルポンプ20が吸入するオイルが溜められているオイルパン14と、が設けられている。
【0014】
ターボチャージャー12は、オイルによって冷却される冷却部品12ということもできる。冷却部品12は、ターボチャージャーの他に、自動変速機等、オイルによって冷却される他の部品や装置を選択することもできる。また、オイルポンプ20が車両以外に搭載される場合には、オイルによって冷却される任意の部品や装置を選択することもできる。
【0015】
オイルポンプ20は、動力伝達部15を介してエンジン11の動力によって作動する。一例として、オイルポンプ20は、エンジン11のクランクシャフトにベルトを介して連結される。
【0016】
オイルパン14には、オイルをろ過するために2つのストレーナ16、17が設けられている。2つのストレーナ16、17を、それぞれ、第1のストレーナ16、第2のストレーナ17という。
【0017】
図2を併せて参照する。オイルポンプ20は、例えば、ベーンポンプを用いることができる。なお、オイルポンプ20には、内接歯車ポンプや外接歯車ポンプ、ピストンポンプ等任意の形式のポンプを用いることができる。
【0018】
オイルポンプ20は、ハウジング21に、回転可能に設けられ回転することによりオイルを循環させることが可能なポンプ本体22と、このポンプ本体22から吐出されたオイルの一部を吸入側に戻すリリーフバルブ23と、内部に流れるオイルが発生させる負圧によってオイルパン14からオイルを吸い上げることが可能なジェットポンプ24と、が収納されてなる。
【0019】
第1のストレーナ16には、内部にオイルを流すことができるオイル吸入路31の末端が接続されている。オイル吸入路31は、ポンプ本体22まで延びている。オイル吸入路31には、ハウジング21に一体的に形成されている吸入ポート31aが含まれる。
【0020】
第2のストレーナ17には、内部にオイルを流すことができジェットポンプ24の上流側の端部である第1の末端部24aが接続されている。
【0021】
ポンプ本体22からエンジン11まで、及びポンプ本体22からターボチャージャー12までは、ポンプ本体22から吐出されたオイルが流れるオイル吐出路32を介して接続されている。オイル吐出路32には、ハウジング21に一体的に形成されている吐出ポート32cが含まれる。
【0022】
オイル吐出路32は、第1の分岐部32aにおいてリリーフバルブ23へ向かう流路と分岐し、これよりも下流側の第2の分岐部32bにおいてエンジン11へ向かう流路とターボチャージャー12へ向かう流路とに分かれる。ターボチャージャー12には、内部にオイルを流すことができジェットポンプ24の上流側の端部である第2の末端部24bが接続されている。
【0023】
ハウジング21には、例えば、金属製の鋳造品が用いられる。ハウジング21には、オイルの温度で作動するサーモアクチュエータの取付部等を適宜設けることもできる。
【0024】
ポンプ本体22は、軸線CLを中心にして回転可能に設けられている複数のベーン22aと、これらのベーン22aの先端が当接している円形状のアウターリング22bと、からなる。
【0025】
リリーフバルブ23は、流路を開閉可能なバルブ本体23aと、このバルブ本体23aを流路が閉じる方向に付勢しているばね23bと、を有する。リリーフバルブ23の先端は、オイルパン14に接続されていてもよい。この場合、リリーフバルブ23を介して、一部のオイルはオイルパン14へ排出される。
【0026】
図3を参照する。ジェットポンプ24は、ターボチャージャー12を通過したオイルが吸入される冷却部品側吸入口24cと、第2のストレーナ17から吸い上げられたオイルが吸入されるストレーナ側吸入口24dと、冷却部品側吸入口24c及びストレーナ側吸入口24dから吸入されたオイルが吐出されるジェットポンプ吐出口24eと、を有している。
【0027】
冷却部品側吸入口24cから吸入されるオイルの流路に、ストレーナ側吸入口24dから吸入されるオイルの流路が合流している。ストレーナ側吸入口24dから吸入されるオイルの流路は、先端に向かって連続的に細くなるよう形成されている。冷却部品側吸入口24cから吸入されたオイルがジェットポンプ24内を流れる際、ストレーナ側吸入口24dから吸入されるオイルの流路の先端には、負圧が発生する。この負圧によって第2のストレーナ17からオイルが吸い上げられる。
【0028】
なお、ジェットポンプ24は、ハウジング21(
図1参照)に一体的に設けられる他、ハウジング21の外部に隣接して設けられていても良い。
【0029】
オイルポンプの作用について以下説明する。
【0030】
図1を参照する。エンジン11が作動することにより、動力伝達部15を介してポンプ本体22が作動する。ポンプ本体22が作動すると、オイルパン14からオイル吸入路31を介して、オイルがポンプ本体22へ吸入される。ポンプ本体22へ吸入されたオイルは、オイル吐出路32へ吐出される。
【0031】
第1の分岐部32aにおいて一部のオイルは、リリーフバルブ23に向かって流れる。オイル吐出路32内のオイルの圧力が高くなると、オイルがばね23bの力に抗してばね23bを圧縮し、バルブ本体23aを変位させる。これにより流路が開放され、一部のオイルは、オイル吐出路32からオイル吸入路31へ戻される。
【0032】
第2の分岐部32bにおいて一部のオイルは、エンジン11へ流れてエンジン11を冷却する。エンジン11を冷却したオイルは、オイルパン14へ戻される。
【0033】
第2の分岐部32bにおいて一部のオイルは、ターボチャージャー12へ流れてターボチャージャー12を冷却する。ターボチャージャー12を冷却したオイルは、ジェットポンプ24からオイル吸入路31へ吐出される。また、ジェットポンプ24によって、オイルパン14から吸い込まれたオイルも、オイル吸入路31へ吐出される。
【0034】
オイルポンプ20について、以下に纏める。
【0035】
オイルポンプ20は、負圧によりオイルを吸い上げるジェットポンプ24を有する。ジェットポンプ24は、冷却部品12から戻されるオイルを利用して、オイルを循環させる。このため、オイルを循環させるのに外部の動力を用いる必要がない。このため、オイルポンプ20を小さな動力で作動させることができる。
【0036】
ジェットポンプ24の上流側の端部である第1の末端部24aは、オイルパン14に接続されている。オイルパン14にはオイルが溜められているため、確実に必要な量のオイルを吸引させることができる。
【0037】
尚、本発明によるオイルポンプは、車両に適用した例を用いて説明したが、車両以外の乗り物や建機等にも適用可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。
【0038】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のオイルポンプは、車両に好適である。
【符号の説明】
【0040】
12…ターボチャージャー(冷却部品)
14…オイルパン
20…オイルポンプ
21…ハウジング
22…ポンプ本体
24…ジェットポンプ、24a…第1の末端部
31…オイル吸入路
32…オイル吐出路