(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095461
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】親杭横矢板工法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/06 20060101AFI20220621BHJP
E02D 17/04 20060101ALI20220621BHJP
E02D 13/02 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
E02D5/06
E02D17/04 E
E02D13/02
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208798
(22)【出願日】2020-12-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】520496888
【氏名又は名称】丸建基礎工事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松田 剛
【テーマコード(参考)】
2D049
2D050
【Fターム(参考)】
2D049EA02
2D049FA07
2D049FB03
2D049FB13
2D049FB15
2D050EE04
(57)【要約】
【課題】一般の連続する鋼矢板を用いた山留め工法に比べて作業性を高めることができる親杭横矢板工法を提供する。
【解決手段】親杭横矢板工法は、隣接する親杭12の間で、地盤面に対して直立姿勢に、地面GLに打ち込まれる際に座屈を回避する曲げ強さを有する厚みに形成される金属製の平板14を保持する工程と、直立姿勢の平板14に上方から接近するバイブロハンマー31のチャック32によって、平板14の板面に直交する姿勢で平板14に固定される把持板を挟んで、バイブロハンマー31に平板14および把持板を含む横矢板13を連結する工程と、バイブロハンマー31から鉛直方向に横矢板13に打ち込み力を加えて地面GLに直立姿勢の平板14を打ち込む工程とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する親杭の間で、地盤面に対して直立姿勢に、地面に打ち込まれる際に座屈を回避する曲げ強さを有する厚みに形成される金属製の平板を保持する工程と、
直立姿勢の前記平板に上方から接近するバイブロハンマーのチャックによって、前記平板の板面に直交する姿勢で前記平板に固定される把持板を挟んで、前記バイブロハンマーに前記平板および前記把持板を含む横矢板を連結する工程と、
前記バイブロハンマーから鉛直方向に前記横矢板に打ち込み力を加えて前記地面に直立姿勢の前記平板を打ち込む工程と、
を備えることを特徴する親杭横矢板工法。
【請求項2】
親杭横矢板工法に用いられる横矢板であって、
地面に打ち込まれる際に座屈を回避する曲げ強さを有する厚みに形成される金属製の平板と、
直立姿勢の前記平板に上方から接近するバイブロハンマーのチャックによって挟まれる位置で、前記平板の板面に直交する姿勢で前記平板に固定される把持板と
を備えることを特徴する横矢板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する親杭の間に、地盤面に直立姿勢に横矢板を配置する親杭横矢板工法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は親杭横矢板工法を開示する。親杭横矢板工法では地表面から複数の親杭(H形鋼)が打ち込まれる。親杭は、地表面よりも下方に予定される空間の壁面に沿って間隔を空けて配置される。掘削の後、隣接する親杭の間に木製の横矢板は設置される。こうして山留め壁は構築される。山留め壁の働きで周囲の地盤の崩壊は防止されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-88757号公報
【特許文献2】特開2015-190228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
木製の横矢板は地中に残され浪費されることから、再利用可能な鋼矢板の利用が模索される。鋼矢板は掘削に先立って地面から打ち込まれる。例えば特許文献2に開示されるように、水平方向に矢板が連結されることで山留め壁は構築される。しかしながら、鋼矢板は親杭同士の間隔よりも著しく小さい幅しか有しないことから、打ち込みおよび引き抜きの回数が著しく増大する。親杭横矢板工法で木製の横矢板が鋼製の横矢板に置き換えられれば、打ち込みおよび引き抜きの回数は減少し、作業性は高められることができる。とはいえ、本発明者の検証によれば、十分に親杭の間隔を維持し、座屈を回避しながら地盤面に対して直立姿勢の平板を打ち込むことは難しいことが判明した。
【0005】
本発明は、一般の連続する鋼矢板を用いた山留め工法に比べて作業性を高めることができる親杭横矢板工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面によれば、隣接する親杭の間で、地盤面に対して直立姿勢に、地面に打ち込まれる際に座屈を回避する曲げ強さを有する厚みに形成される金属製の平板を保持する工程と、直立姿勢の平板に上方から接近するバイブロハンマーのチャックによって、平板の板面に直交する姿勢で平板に固定される把持板を挟んで、バイブロハンマーに平板および把持板を含む横矢板を連結する工程と、バイブロハンマーから鉛直方向に横矢板に打ち込み力を加えて地面に直立姿勢の平板を打ち込む工程とを備える親杭横矢板工法は提供される。
【0007】
バイブロハンマーから横矢板に打ち込み力が加わると、把持板は平板の板面に直交する姿勢で平板に固定されることから、把持板の直交方向に打ち込み力の不釣り合いが生じても、把持板の倒れは把持板よりもその直交方向に大きく広がる平板で支持されることができる。打ち込み力の付加にあたって平板の倒れは防止されることができる。打ち込み力は鉛直方向に効果的に平板に作用することができる。横矢板は地面に対して倒れることなく地面から地中に打ち込まれることができる。こうして山留め壁は構築されることができる。本発明者の検証によれば、十分に親杭の間隔が維持されても、座屈を回避しながら地盤面に対して直立姿勢の平板は地面に打ち込まれることが確認された。仮に、平板の上端がそのままバイブロハンマーのチャックで把持されると、平板の直交方向に打ち込み力の不釣り合いが生じると、平板の倒れが引き起こされて平板の打ち込みは阻害されてしまう。
【0008】
本発明の第2側面によれば、親杭横矢板工法に用いられる横矢板であって、地面に打ち込まれる際に座屈を回避する曲げ強さを有する厚みに形成される金属製の平板と、直立姿勢の平板に上方から接近するバイブロハンマーのチャックによって挟まれる位置で、平板の板面に直交する姿勢で平板に固定される把持板とを備える横矢板は提供される。こうした横矢板は前述の親杭横矢板工法の成立に大いに貢献することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によれば、一般の連続する鋼矢板を用いた山留め工法に比べて作業性を高めることができる親杭横矢板工法は提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る親杭横矢板工法で構築された山留め壁を概略的に示す概念図である。
【
図2】山留め壁の(a)正面図、および(b)上面図である。
【
図3】横矢板の(a)正面図および上面図、(b)背面図、並びに、(c)鉛直方向に連結された図である。
【
図5】横矢板の打ち込み作業を概略的に示す概念図である。
【
図6】親杭の間隔が平板の幅よりも大きい場合に親杭の間に打ち込まれる横矢板を示す概念図である。
【
図7】平板の幅が親杭の間隔よりも大きい場合に打ち込まれる横矢板を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は本実施形態に係る親杭横矢板工法で構築される山留め壁の構造を概略的に示す。
山留め壁11は、間隔を空けて一続きに配置され、地盤面に対して直立姿勢で地中に打ち込まれた複数の親杭12と、地盤面に対して直立姿勢で、隣接する親杭12の間に配置され、上下に直列に連結された横矢板13とを備える。山留め壁11は前方に地面下の空間を区画する。山留め壁11の後方で土は堰き止められる。山留め壁11の後方で地盤の崩壊は防止されることができる。
【0013】
図2に示されるように、親杭12は例えばH形鋼で形成される。H形鋼はH形の均一断面で鉛直方向VDに線形に延びる。H形鋼は、鉛直方向に線形に延びる板で形成されるウエブ12aと、ウエブ12aの一長辺から連続し、ウエブ12aに直交する姿勢で鉛直方向に線形に延びる板で形成される第1フランジ12bと、ウエブ12aの他長辺から連続し、第1フランジ12bに平行に鉛直方向に線形に延びる板で形成される第2フランジ12cとを有する。地面GLに対して親杭12が打ち込まれる際には、直立姿勢の親杭12に上方から接近するバイブロハンマーのチャックによってウエブ12aは挟まれる。こうして親杭12はバイブロハンマーに連結される。
【0014】
図3に示されるように、個々の横矢板13は、金属製の平板14と、直立姿勢の平板14に上方から接近するバイブロハンマーに連結される位置で平板14の裏面に固定される補助部材15とを備える。補助部材15は直立姿勢の平板14の上端よりも上方に突出する。横矢板13同士の連結にあたって下側の横矢板13の補助部材15に上側の横矢板13の平板14が結合される。
【0015】
平板14は例えば均一な厚みを有する矩形の鋼板から形成される。平板14の厚みは、直立姿勢で地面GLに打ち込まれる際に座屈を回避する曲げ強さを有する厚みに設定される。平板14には、左右の長辺に沿って鉛直方向に4つの第1貫通孔16が直列に配列される。第1貫通孔16は上辺の垂直二等分線17に対して左右対称に配置される。平板14には、上辺および下辺に沿って水平方向に2つの第2貫通孔18が直列に配列される。上側の2つの第2貫通孔18は上辺の垂直二等分線17に対して左右対称に配置される。同様に、下側の2つの第2貫通孔18は上辺の垂直二等分線17に対して左右対称に配置される。平板14は水平方向に例えば1300[mm]以上の幅を有する。平板14は鉛直方向に例えば1500[mm]以上の長さを有する。
【0016】
補助部材15はH形鋼から形成される。H形鋼は、平板14の板面に直交する姿勢で平板14に固定されるウエブ15aと、ウエブ15aに直交する姿勢でウエブ15aの一鉛直辺から連続し、平板14への固定にあたって平板14の板面に部分的に重ねられる第1フランジ15bと、ウエブ15aに直交する姿勢でウエブ15aの他鉛直辺から連続し、第1フランジ15bに平行に延びる第2フランジ15cとを有する。重ねられた部位で第1フランジ15bが平板14に固定される。固定にあたって、平板14の板面に直交する軸線に同軸のボルトおよびナットが用いられてもよく、溶接が用いられてもよい。補助部材15のウエブ15aは、地面に対して横矢板13が打ち込まれる際に直立姿勢の平板14に上方から接近するバイブロハンマーのチャックによって挟まれる把持板として機能する。
【0017】
平板14の上端よりも上方で第1フランジ15bには左右1対の第3貫通孔19が形成される。上下方向に横矢板13が直列に連結される際に、下側の平板14の上端に上側の平板14の下端が突き当てられると下側の平板14の上方で上側の平板14の裏面に第1フランジ15bは重ねられる。下側の横矢板13の第1フランジ15bは上側の横矢板13の平板14に重ねられることができる。このとき、平板14には第1フランジ15bの第3貫通孔19に同軸に4つの第4貫通孔21が形成される。下側の横矢板13の補助部材15は上側の横矢板13の平板14にボルトおよびナットで連結されることができる。ボルトおよびナットの働きで下側の平板14の板面を含む仮想平面に対して上側の平板14の倒れは防止されることができる。
図3(c)に示されるように、上下方向に横矢板13が連結される際に、下側の平板14および上側の平板14には連結板22が重ねられてもよい。連結板22は第2貫通孔18に配置されるボルトおよびナットで下側の平板14および上側の平板14に固定されればよい。
【0018】
平板14には拡張板23が連結されることができる。拡張板23は例えば平板14と同一な厚みを有する矩形の鋼板から形成される。拡張板23は鉛直方向に平板14の左右の長辺と同じ長さを有する。拡張板23には、鉛直方向に4つの第1貫通孔16と同じ間隔で水平方向に長い4つの長孔24が形成される。拡張板23は平板14の左右の長辺に沿って平板14の裏面に固定されることができる。固定にあたって拡張板23の長孔24は個々に対応する第1貫通孔16に重ねられる。長孔24および第1貫通孔16を貫通するボルトと、ボルトに噛み合うナットとの働きで拡張板23は平板14に結合される。拡張板23は平板14の左右端から水平方向に外側に突出する。こうして水平方向に平板14の幅は拡大することができる。長孔24の働きで平板14の幅は任意に調整されることができる。
【0019】
次に本実施形態に係る親杭横矢板工法を説明する。親杭横矢板工法の実施にあたってバイブロハンマー31は用意される。
図4に示されるように、バイブロハンマー31は、油圧の働きで厚み方向に板材を挟み保持するチャック32と、チャック32に結合されて、回転する振り子33aの振動に応じてチャック32に伝達される振動を生成する起振機33と、クレーンで吊り下げられて、渦巻きばね34a経由で起振機33を弾性支持するハンガー34とを備える。バイブロハンマー31は一般の構造を有すればよく、ここではバイブロハンマー31の詳述は割愛される。
【0020】
掘削に先立って、地面GLから地中に親杭12は打ち込まれる。打ち込みにあたってバイブロハンマー31は用いられる。バイブロハンマー31のチャック32は親杭12のウエブ12aを挟む。こうしてバイブロハンマー31に直立姿勢の親杭12は連結される。バイブロハンマー31で起振機33が作動すると、バイブロハンマー31から鉛直方向の打ち込み方向に親杭12に打ち込み力が加わる。このとき、ウエブ12aの直交方向に打ち込み力の不釣り合いが生じても、ウエブ12aの倒れはウエブ12aよりもその直交方向に大きく広がる第1フランジ12bおよび第2フランジ12cで支持されることができる。打ち込み力の付加にあたって親杭12の倒れは防止されることができる。打ち込み力は鉛直方向に効果的に親杭12に作用することができる。親杭12は地盤面に対して直立姿勢で地面GLに打ち込まれていく。
図2に示されるように、親杭12の長さは地面GLよりも下方に予定される空間SPの深さよりも十分に大きく設定される。
【0021】
図5(a)に示されるように、隣接する親杭12の間で横矢板13は位置決めされる。横矢板13の平板14は左右の親杭12の第1フランジ12bおよび第2フランジ12cの間で第1フランジ12bに重ねられる。平板14は地盤面に対して直立姿勢に保持される。直立姿勢の保持にあたってクレーンは用いられることができる。
【0022】
図5(b)に示されるように、直立姿勢の横矢板13にバイブロハンマー31は連結される。バイブロハンマー31は直立姿勢の平板14の上方からクレーンで吊り下げられる。バイブロハンマー31のチャック32は補助部材15のウエブ15aを挟む。バイブロハンマー31で起振機33が作動すると、バイブロハンマー31から鉛直方向の打ち込み方向に横矢板13に打ち込み力が加わる。このとき、ウエブ15aの直交方向に打ち込み力の不釣り合いが生じても、ウエブ15aの倒れはウエブ15aよりもその直交方向に大きく広がる平板14で支持されることができる。打ち込み力の付加にあたってウエブ15aおよび平板14の倒れは防止されることができる。打ち込み力は鉛直方向に効果的に平板14に作用することができる。
図5(c)に示されるように、横矢板13は地盤面に対して倒れることなく地面GLから地中に打ち込まれることができる。その後、バイブロハンマー31は横矢板13から取り外される。
【0023】
図5(d)に示されるように、打ち込まれた横矢板13(以下「下側横矢板13a」という)には2枚目の横矢板13(以下「上側横矢板13b」という)が結合される。下側横矢板13aの上方で直立姿勢の上側横矢板13bは位置決めされる。位置決めにあたって例えばクレーンは用いられることができる。
【0024】
上側横矢板13bの平板14の下端は下側横矢板13aの平板14の上端に突き当てられる。上側横矢板13bの平板14の裏面は下側横矢板13aの補助部材15の第1フランジ15bに重ねられる。平板14の第4貫通孔21は第1フランジ15bの第3貫通孔19に位置合わせされる。第3貫通孔19および第4貫通孔21を貫通するボルトにナットが噛み合って締め付けられると、下側横矢板13aの平板14の板面を含む仮装平面に対して上側横矢板13bの倒れは防止されることができる。ボルトには例えばハイテンボルトが用いられることができる。下側横矢板13aおよび上側横矢板13bの連結にあたってさらに連結板22が用いられてもよい。
【0025】
図5(e)に示されるように、直立姿勢の上側横矢板13bにバイブロハンマー31は連結される。バイブロハンマー31は直立姿勢の平板14の上方からクレーンで吊り下げられる。バイブロハンマー31のチャック32は補助部材15のウエブ15aを挟む。バイブロハンマー31で起振機33が作動すると、バイブロハンマー31から鉛直方向の打ち込み方向に横矢板13に打ち込み力が加わる。上側横矢板13bは先に打ち込まれた下側横矢板13aに案内されながら地面GLから打ち込まれていく。下側横矢板13aが決められた深さに達すると、バイブロハンマー31は横矢板13から取り外される。鉛直方向に連結される横矢板13の枚数は空間SPの深さに応じて決定される。こうして横矢板13の連結および打ち込みは繰り返されることができる。こうして山留め壁は構築される。
【0026】
図6に示されるように、親杭12の間隔が平板14の幅よりも大きい場合には、平板14の左右には拡張板23が連結される。拡張板23は平板14の左右縁に沿って平板14の裏面に重ねられる。拡張板23の長孔24は平板14の第1貫通孔16に位置合わせされる。長孔24および第1貫通孔16を貫通するボルトにナットが噛み合って締め付けられると、平板14の裏面を含む仮想平面に沿って拡張板23は固定されることができる。ボルトには例えばハイテンボルトが用いられることができる。長孔24の働きで平板14の幅は任意に調整されることができる。
【0027】
図7に示されるように、親杭12の間隔よりも平板14の幅が大きい場合には、親杭12の第2フランジ12cの外面に横矢板13の平板14は重ねられる。横矢板13は親杭12の第2フランジ12cに沿って地面GLから地中に打ち込まれる。
【0028】
予定される空間SPに沿って決められた親杭12および横矢板13が打ち込まれると、地面GLは掘削される。山留め壁の働きで周囲の地盤の崩壊は防止されることができる。親杭横矢板工法で木製の横矢板が鋼製の横矢板13に置き換えられることから、一般の連続する鋼矢板に比べて打ち込みの回数は減少する。作業性は高められる。
【0029】
空間SPで予め決められた作業が完了すると、横矢板13および親杭12は地面GLから引き抜かれることができる。横矢板13の引き抜きにあたって地面GLから突き出る補助部材15のウエブ15aにバイブロハンマー31は連結される。鉛直方向に複数の横矢板13が連結されても、一度の作業で横矢板13は引き抜かれることができる。一般の連続する鋼矢板に比べて引き抜きの回数は減少する。作業性は高められる。引き抜かれた横矢板13および親杭12は再利用されることができる。
【0030】
本実施形態に係る親杭横矢板工法は、隣接する親杭12の間で、地盤面に対して直立姿勢に、地面GLに打ち込まれる際に座屈を回避する曲げ強さを有する厚みに形成される金属製の平板14を保持する工程と、直立姿勢の平板14の上方から吊り下げられるバイブロハンマー31のチャック32によって、平板14の板面に直交する姿勢で平板14に固定されるウエブ15aを挟んで、バイブロハンマー31に平板14およびウエブ15aを含む横矢板13を連結する工程と、バイブロハンマー31から鉛直方向に横矢板13に打ち込み力を加えて地面GLに直立姿勢の平板14を打ち込む工程とを備える。本発明者の検証によれば、十分に親杭12の間隔が維持されても、座屈を回避しながら地盤面に対して直立姿勢の平板14は地面GLに打ち込まれることが確認された。仮に、平板14の上端がそのままバイブロハンマー31のチャック32で把持されると、平板14の直交方向に打ち込み力の不釣り合いが生じると、平板14の倒れが引き起こされて平板14の打ち込みは阻害されてしまった。
【0031】
本実施形態ではバイブロハンマー31はクレーンに吊り下げられる。ただし、バイブロハンマー31は基礎機械に取り付けられてもよい。この場合には、基礎機械では、ブームの先端や、関節回りで屈折するアームの先端にバイブロハンマー31は連結されればよい。バイブロハンマー31は、ブームの起伏やアームの屈折および起伏に応じて横矢板13に対して打ち込み力や引き抜き力を発揮することができる。バイブロハンマー31は直立姿勢の平板14に上方から接近することができる。
【符号の説明】
【0032】
12…親杭、13…横矢板、14…平板、15a…把持板(補強部材のウエブ)、31…バイブロハンマー、32…チャック、GL…地面。