IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デュプロの特許一覧

<>
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図1
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図2
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図3
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図4
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図5
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図6
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図7
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図8
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図9
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図10
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図11
  • 特開-シート給送装置及びシート折装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095469
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】シート給送装置及びシート折装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20220621BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20220621BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20220621BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B65H1/04 320A
B65H3/48 320Z
B65H3/12 310Z
B65H1/04 324
B65H37/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208809
(22)【出願日】2020-12-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社デュプロ製の紙折機「DF-1300」を本願の発明に係るシート折装置とするための改造部品を令和2年8月7日に、変更プログラムを令和2年8月21日に、販売会社に提供した。 本願の発明に係るシート折装置の構成を備えた紙折機「DF-1300L」の仕様が記載されたリリース案内を、株式会社デュプロが、令和2年9月17日、令和2年10月8日及び令和2年10月13日に販売会社に配布した。 株式会社デュプロ製の紙折機「DF-1300」を本願の発明に係るシート折装置とした改造機を、株式会社デュプロが、令和2年10月8日から社内の展示室に設置し、来訪者に公開した。した。 本願の発明に係るシート折装置の構成を備えた紙折機「DF-1300L」を、株式会社デュプロが、令和2年10月18日及び令和2年11月30日に販売会社に販売した。 本願の発明に係るシート折装置の構成を備えた紙折機「DF-1300L」の仕様が記載された販促資料を、株式会社デュプロが、令和2年11月27日に販売会社に配布した。 本願の発明に係るシート折装置の構成を備えた紙折機「DF-1300L」について、株式会社デュプロが、令和2年12月1日に同社のウェブサイトにて公開した。 本願の発明に係るシート折装置の構成を備えた紙折機「DF-1300L」の仕様が記載された製品カタログを、株式会社デュプロが、令和2年11月12日に販売会社に配布した。
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】干潟 誠司
【テーマコード(参考)】
3F108
3F343
【Fターム(参考)】
3F108GA09
3F108GB03
3F343FA02
3F343FC12
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA12
3F343HE04
3F343JB05
3F343JD13
3F343JD28
3F343KB03
3F343KB17
3F343LA02
3F343LD07
(57)【要約】
【課題】シート給送装置で、長いシートを給送する際に、給送方向に対してシートが傾斜することを抑制する。
【解決手段】シート載置台6上に積載したシート束の最上位の一枚のシートPを分離して送り出す分離給送手段を備え、分離給送手段は、シート束の送出方向の先端面に気体A1を吹き付ける気流発生手段8と、シートPを吸着し、搬送する搬送手段7とを有するシート給送装置1で、シート載置台6上のシート束の幅方向の端面に接触し、規制する幅規制部材(50、55、56)を備え、シートPの送出方向の長さをシート長さPL、シート長さPLの最大値を最大シート長さPLmax、幅規制部材のシート束と対向する上流側端から下流側端までの長さを幅規制長さGL(GLa、GLb)としたときに、「GL≧0.7・PLmax」の関係を満たすように幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート載置台上に積載したシート束の最上位の一枚のシートを分離して送り出す分離給送手段を備え、
前記分離給送手段は、前記シート束の送出方向の先端面に気体を吹き付ける気流発生手段と、前記シート束の最上位の前記シートを吸着し、前記送出方向に搬送する搬送手段とを有するシート給送装置において、
前記シート載置台上の前記シート束の幅方向の端面に接触し、前記シート束の幅方向の位置を規制する幅規制部材を備え、
前記シートの送出方向の長さをシート長さPL、
前記シート載置台に載置する前記シートの前記シート長さPLの最大値を最大シート長さPLmax、
前記幅規制部材の前記送出方向における前記シート束と対向し得る範囲の上流側端から下流側端までの長さを幅規制長さGLとしたときに、
GL≧0.7・PLmax
の関係を満たすように前記幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
シート載置台上に積載したシート束の最上位の一枚のシートを分離して送り出す分離給送手段を備え、
前記分離給送手段は、前記シート束の送出方向の先端面に気体を吹き付ける気流発生手段と、前記シート束の最上位の前記シートを吸着し、前記送出方向に搬送する搬送手段とを有するシート給送装置において、
前記シート載置台上の前記シート束の幅方向の端面に接触し、前記シート束の幅方向の位置を規制する幅規制部材を備え、
前記シートの送出方向の長さをシート長さPL、
前記幅規制部材の前記送出方向における前記シート束と対向し得る範囲の上流側端から下流側端までの長さを幅規制長さGLとしたときに、
シート長さPLが458[mm]以上である場合には、
GL≧0.7・PL
の関係を満たすように前記幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項3】
シート載置台上に積載したシート束の最上位の一枚のシートを分離して送り出す分離給送手段を備え、
前記分離給送手段は、前記シート束の送出方向の先端面に気体を吹き付ける気流発生手段と、前記シート束の最上位の前記シートを吸着し、前記送出方向に搬送する搬送手段とを有するシート給送装置において、
前記シート載置台上の前記シート束の幅方向の端面に接触し、前記シート束の幅方向の位置を規制する幅規制部材を備え、
前記シートの送出方向の長さをシート長さPL、
前記幅規制部材の前記送出方向における前記シート束と対向し得る範囲の上流側端から下流側端までの長さを幅規制長さGLとしたときに、
PL=594[mm]である場合には、
GL≧0.7・PL
の関係を満たすように前記幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項4】
請求項2または3のシート給送装置において、
前記シートの送出方向に直交する方向の長さをシート幅PWとしたときに、
少なくともPL/PW≧2.8の関係を満たすときには、
GL≧0.7・PL
の関係を満たすように前記幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のシート給送装置において、
幅規制長さGLとシート長さPLとが、
GL≧0.8・PL
の関係を満たすように前記幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のシート給送装置において、
前記幅規制部材の前記給送方向の長さは、前記シート載置台に載置する前記シートの長さPLに応じて変更可能であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項7】
請求項6のシート給送装置において、
前記幅規制部材は、前記送出方向に複数の規制部材からなり、前記送出方向の上流側の前記規制部材を前記シート載置台に対して着脱することで前記給送方向の長さを変更できることを特徴とするシート給送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のシート給送装置において、
前記搬送手段は、環状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの環状の内側に配置された吸引手段とを備え、
前記搬送ベルトの幅をBWとしたときに、
GL/BW≧6.0
の関係を満たすように前記幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載のシート給送装置において、
前記幅規制部材は前記上流側端から前記下流側端まで連続的に配置されていることを特徴とするシート給送装置。
【請求項10】
シートを給送する給送手段と、
前記給送手段から給送された前記シートに対して折処理を施す折手段と、を備えるシート折装置において、
前記給送手段として、請求項1乃至9の何れかに記載のシート給送装置を備えることを特徴とするシート折装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及びシート折装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート載置台上に積載したシート束の最上位の一枚のシートを分離して送り出す分離給送手段を備えるシート給送装置が知られている。そして、分離給送手段として、シート束の送出方向の先端面に気体を吹き付ける気流発生手段と、シート束の最上位のシートを吸着し、送出方向に搬送する搬送手段とを有する、エアサクション方式と呼ばれるシート給紙装置が知られている。
【0003】
この種のエアサクション方式のシート給送装置としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6078739号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種のエアサクション方式のシート給送装置では、給送するシートが長くなると給送方向に対してシートが傾斜した状態で給送される不具合が生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、シート載置台上に積載したシート束の最上位の一枚のシートを分離して送り出す分離給送手段を備え、前記分離給送手段は、前記シート束の送出方向の先端面に気体を吹き付ける気流発生手段と、前記シート束の最上位の前記シートを吸着し、前記送出方向に搬送する搬送手段とを有するシート給送装置において、前記シート載置台上の前記シート束の幅方向の端面に接触し、前記シート束の幅方向の位置を規制する幅規制部材を備え、前記シートの送出方向の長さをシート長さPL、前記シート載置台に載置する前記シートの前記シート長さPLの最大値を最大シート長さPLmax、前記幅規制部材の前記送出方向における前記シート束と対向し得る範囲の上流側端から下流側端までの長さを幅規制長さGLとしたときに、GL≧0.7・PLmaxの関係を満たすように前記幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、長いシートを給送する際に、給送方向に対してシートが傾斜することを抑制できる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る紙折機の斜視図。
図2】紙折機の概略構成図。
図3】紙折機の折部ローラ近傍の拡大説明図。
図4】紙折機の制御部を中心とする電気的接続関係の概略を示すブロック図。
図5】第一折込機構と、その周辺の構成とを表す側面図。
図6】第一折込機構と、その周辺の構成とを斜め下方から見た斜視図。
図7】第一折長さと第二折長さとの説明図。
図8】折処理可能な折形態の種類の説明図。
図9】実施例1の用紙サイズ選択画面を示す図。
図10】実施例1の折りモード選択画面を示す図。
図11】実施例2の用紙サイズ選択画面を示す図。
図12】紙折機の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用したシート折装置として、用紙P等のシートに折処理を施す紙折機1の一実施形態について図面を用いて説明する。
各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る紙折機1の外観を示す斜視図である。図2は、折処理を施す対象である用紙Pが積載された状態の紙折機1を図1中の矢印「α」方向から見た概略構成図である。
図1及び図2に示すように、紙折機1は、折処理の対象となる用紙Pを送り出す給紙部2と、給紙部2から送り出された用紙Pを折り畳む折処理部4と、折処理部4で折り畳まれた用紙Pが排紙される排紙部3とを備える。また、紙折機1の各構成部品を保持するフレーム5として、前フレーム5aと後フレーム5bとを備える。紙折機1の上面の一部を構成する前フレーム5aの上面には、ユーザーが所定の操作入力を行うための操作部10が設けられている。
【0011】
紙折機1は、バックル式のシート折装置である。バックル折式のシート折装置では、シート(P)を第一折搬送路(23)に案内し、第一搬送路(23)に配置された第一突き当て部材(25)に突き当て、第一折部(N1)で第一の折り目を形成する。そして、第一の折り目が先頭となるようにシート(P)を第二折搬送路(28)に案内し、第二搬送路(28)に配置された第二突き当て部材(32)に突き当て、第二折部(N2)で第二の折り目を形成し、二回の折りを行う折処理を施すことができる。
【0012】
操作部10は、タッチパネル101、スタートボタン111、ストップボタン112及びテストボタン113等を備える。
給紙部2は、紙折機1のフレーム5に対して上下に昇降可能に支持され、用紙Pが積載される給紙台6と、給紙台6を昇降させる昇降駆動機構と、前方エア吐出機構8と、側方エア吐出機構9と、給送機構7とを備える。前方エア吐出機構8及び側方エア吐出機構9は、給紙台6に積載された用紙P同士を互いに分離させるためのエアを吐出するものであり、給送機構7は、分離された用紙Pのうち最上位の用紙Pを送り出すものである。
【0013】
給紙台6には、積載された用紙Pの幅方向の位置がずれることを防止する一対の第一サイドガイド50と、用紙Pの長さ方向の位置がずれることを防止するエンドフェンス12とを備える。一対の第一サイドガイド50は、給紙台6に積載された用紙Pのサイズに応じて、用紙幅方向のセンターラインを中心に対称移動可能に構成され、用紙束の幅方向の両端面にそれぞれ当接して用紙Pの幅方向の移動を規制する。エンドフェンス12は、用紙束を後方(給紙部2における用紙搬送方向上流側、図2中の左側)から接触して、用紙Pの長さ方向(用紙搬送方向)の移動を規制する。
幅方向に対称移動する第一サイドガイド手前側50aと第一サイドガイド奥側50bとの幅方向の距離(後述する「幅規制部材間距離GW」)は、120.0[mm]~311.0[mm]の間で調整可能である。エンドフェンス12は、磁力によって給紙台6に対して固定可能となっており、給紙台6に載置された用紙束の後端面に接触するように設置することで、用紙束の後方への移動を規制する。
【0014】
また、本実施形態の紙折機1は、用紙Pの長さが416[mm]以上である場合、または、用紙PがA3(長さ「420[mm]」)以上である場合、に使用する一対の第二サイドガイド55(55a、55b)と、用紙Pの長さが457.2[mm]以上である場合にさらに追加して使用する一対の第三サイドガイド56(56a、56b)とを給紙台6に取り付け可能となっている。第二サイドガイド55及び第三サイドガイド56は、磁力によって給紙台6に対して固定可能となっており、幅方向の内側のガイド面が、第一サイドガイド50のガイド面と一致するように設置することで、用紙束の幅方向の端面に接触し、用紙束の幅方向への移動を規制する。
【0015】
給送機構7は、エアサクション式の機構であり、搬送ベルト14とサクションダクト16とを備える。搬送ベルト14は、不図示の駆動モータからの駆動が伝達されることで、用紙搬送面(下面)が用紙搬送方向(図2中の右方向)に移動するように回転駆動する。サクションダクト16には、エア吸引用のファンが内蔵され、そのファンが回転することにより、搬送ベルト14の用紙搬送面近傍に設けられたサクションダクト16の吸引用開口部からエアが吸引される。吸引用開口部からエアを吸引しながら、所定の用紙給送タイミングで搬送ベルト14を駆動することで、給紙台6に積載された用紙束のうち最上位の用紙Pを搬送ベルト14の用紙搬送面に吸着させ、用紙Pを給送することができる。給送機構7としては、エアサクション式の機構に限らず、給紙ローラを用いたフリクション式の機構でもよい。
【0016】
前方エア吐出機構8は、給紙台6の給送方向前方(用紙搬送方向下流側)に設けられている。前方エア吐出機構8は、給紙台6に積載された用紙束の前端部に向けてエアを吹き出し、その用紙束の上層部の用紙Pを浮上させるとともに、浮上した用紙P同士を分離して給紙性能を高めるものである。前方エア吐出機構8には、用紙束の前端面に対してエアを吐出するための複数のエア吐出口が設けられている。前方エア吐出機構8には、ファンまたはブロアなどのエアフロー発生部に接続されており、このエアフロー発生部が作動することにより、エア吐出口からエアが吹き出される。これにより、給紙台6に積載された用紙束を構成する用紙Pのうち、搬送ベルト14の用紙搬送面に近い用紙P同士の間隔を空けることができ、用紙Pの分離性を向上させ、給紙性能を高めることができる。
【0017】
側方エア吐出機構9は、給紙台6の給送方向側方(装置手前奥方向の奥側)に設けられている。側方エア吐出機構9は、操作部10で入力された用紙Pの長さが420[mm]以上のとき(上述した第二サイドガイド55を使用するとき)に稼働して、給紙台6に積載された用紙束の左側端に向けてエアを吹き出し、その用紙束の上層部の用紙Pを浮上させ、浮上した用紙P同士を分離して給紙性能を高めるものである。側方エア吐出機構9には、用紙束の側端面に対してエアを吐出するための複数のエア吐出口が設けられている。側方エア吐出機構9には、ファンまたはブロアなどのエアフロー発生部に接続されており、このエアフロー発生部が作動することにより、エア吐出口からエアが吹き出される。給紙台6に積載された用紙Pが長いときには、前方エア吐出機構8でエアを吹き出して用紙束の前方で用紙P同士の間隔を空けても、用紙束の後方では用紙P同士が接触し、用紙P同士の間の摩擦力が負荷となって給紙が遅れるおそれがある。これに対して、給紙台6に積載された用紙Pが長いときに側方エア吐出機構9を稼働させることで、用紙束の後方でも用紙P同士の間隔を空けることができ、給紙性能を高めることができる。
【0018】
折処理部4は、入口ローラ対18と、四つの折部ローラ20(20a~20d)と、内部に搬送路(23,28)を形成する二つの折込板(36,40)とを備える。排紙部3は、排紙搬送機構24及び排出トレイ26を備える。
図3は、紙折機1の四つの折部ローラ20近傍の拡大説明図であり、図2に示す紙折機1の右半分の拡大図である。
【0019】
四つの折部ローラ20のうち、第一折部ローラ20aと第二折部ローラ20bとは当接または近接対向し、第一折込板36に向けて用紙Pを受け入れる受入ローラ対を構成する。第二折部ローラ20bと第三折部ローラ20cとは当接または近接対向し、先端側が第一折込板36に進入した用紙Pに対して一回目の折りを施すとともに、第二折込板40に向けて搬送する第一折ニップN1を形成する第一折ローラ対を構成する。第三折部ローラ20cと第四折部ローラ20dとは当接または近接対向し、先端側が第二折込板40に進入した用紙Pに対して二回目の折りを施すとともに、排紙部3に向けて用紙Pを搬送する第二折ニップN2を形成する第二折ローラ対を構成する。
【0020】
第一折込板36は、第一折込搬送路23と第一折ストッパ25とを直方体形状の第一折込板筐体34に収容した構成である。また、第二折込板40は、第二折込搬送路28と第二折ストッパ32とを直方体形状の第二折込板筐体38に収容した構成である。
【0021】
図3中の二点鎖線「PR」は、用紙Pの搬送経路の一部を示している。
給紙部2から送り出された用紙Pは、入口ローラ対18によって折処理部4の機構に向けて搬送される。
入口ローラ対18を通過した用紙Pは、受入ローラ対を形成する第一折部ローラ20aと第二折部ローラ20bとによって挟持搬送され、第一折込搬送路23に進入する。第一折込搬送路23の所定位置には第一折ストッパ25が設けられている。このため、第一折込搬送路23に進入した用紙Pの先端が第一折ストッパ25に当接すると、用紙Pはそれ以上搬送方向前方(第一折込搬送路23の奥側)に進むことができなくなる。
【0022】
先端が第一折ストッパ25に突き当たった後も、受入ローラ対による用紙Pへの搬送力に付与が継続されるため、用紙Pにおける受入ローラ対よりも下流側、且つ、第一折込搬送路23よりも上流側に位置する部分に撓みが生じる。この撓みが生じた部分が先頭となって、第二折部ローラ20bと第三折部ローラ20cとの間の第一折ニップN1に巻き込まれ、挟持搬送されることで、撓みが生じた部分が第一の折位置となって用紙Pに一つ目の折目が形成される。
【0023】
一つ目の折目が形成された用紙Pは、第一折ニップN1を通過した後、そのまま排紙部3に排紙される、または、二つ目の折目が形成されてから排紙部3に排紙される。第一折ニップN1の出口側には経路切替ガイド30(経路切り替え部材)が配置されており、不図示の駆動源によって経路切替ガイド30を移動させ、位置を変更する。これにより、用紙Pの搬送経路を、第二折ニップN2に向かう経路と、第二折込板40内の第二折込搬送路28に向かう経路との何れかの経路に切り替えることができる。
【0024】
経路切替ガイド30が第一折ニップN1の出口を覆う遮蔽位置(図3中の実線の位置)にある状態では、第一折ニップN1を通過して二つ折りにされた用紙Pがそのまま排紙部3へと導かれる。一方、経路切替ガイド30が第一折ニップN1の出口を覆わない待機位置(図3中の破線の位置)にある状態では、第一折ニップN1を通過して二つ折りにされた用紙Pは、第二折込搬送路28に進入する。
【0025】
図2に示すように、第一折込搬送路23の第一折ストッパ25と同様に、第二折込搬送路28の所定位置には第二折ストッパ32が設けられている。このため、第二折込搬送路28に進入した用紙Pの先端(一つ目の折目の部分)が第二折ストッパ32に当接すると、用紙Pはそれ以上搬送方向前方(第二折込搬送路28の奥側)に進むことができなくなる。先端が第二折ストッパ32に突き当たった後も、第一折ニップN1では第一折ローラ対による用紙Pへの搬送力の付与が継続されるため、用紙Pにおける第一折ニップN1よりも下流側、且つ、第二折込搬送路28よりも上流側に位置する部分に撓みが生じる。この撓みが生じた部分が先頭となって、第二折ローラ対を形成する第三折部ローラ20cと第四折部ローラ20dとの間の第二折ニップN2に巻き込まれ、挟持搬送されることで、撓みが生じた部分が第二の折位置となって用紙Pに二つ目の折目が形成される。
【0026】
このように、経路切替ガイド30を待機位置に位置させることで、用紙Pに対して三つ折りや四つ折りの折処理を施すことが可能となる。
折処理を施す際には、三つ折りや四つ折りといった折りの種類や折面(用紙Pにおける折目によって仕切られた複数の領域)の長さが所望のものとなるように、第一折込搬送路23における第一折ストッパ25の位置と、第二折込搬送路28における第二折ストッパ32の位置とを設定する必要がある。
【0027】
図4は、紙折機1の制御部100を中心とする電気的接続関係の概略を示すブロック図である。制御部100は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM等を有する。制御部100には、入力装置110の各種スイッチを介した操作入力、給紙処理用センサ120及び折処理用センサ130を含む各検出センサからの検出信号が入力される。入力装置110は、フレーム5の上面に設けられた操作部10として設けられている。折処理用センサ130は、後述する超音波式給紙エラーセンサ51、光学式給紙エラーセンサ52、排紙エラーセンサ54及びストッパ位置センサ90等を含む。
【0028】
操作部10は、ユーザーの操作入力を受付ける操作部であり、制御部100は、操作部10からの入力内容を受付けるとともに、その入力内容や各種センサからの入力内容に基づいて、給送機構7や折処理部4等を制御する制御手段である。
【0029】
制御部100は、各種スイッチやセンサからの入力に基づいて給紙制御や折り制御のための所定の演算処理を実行する。そして、給送機構7を作動する給紙作動アクチュエータ140や、折処理部4を作動する折処理作動アクチュエータ150等に制御指令信号を出力する。
折処理作動アクチュエータ150は、入口ローラ対18や折部ローラ20(20a~20d)を駆動するローラ駆動モータ152や後述するストッパ移動モータ70等を含む。また、制御部100は、各処理の設定画面や進行状況を表示装置160に表示させる。表示装置160は、フレーム5の上面にタッチパネル101が設けられている。
【0030】
図2及び図3に示すように、入口ローラ対18と受入ローラ対(20a,20b)との間には、給紙エラーを検出する超音波式給紙エラーセンサ51及び光学式給紙エラーセンサ52が設けられている。超音波式給紙エラーセンサ51及び光学式給紙エラーセンサ52は、入口ローラ対18と受入ローラ対との間の用紙搬送路である受入搬送路53を通過する用紙Pの有無と、通過する用紙Pの重送発生の有無とを検出する。
制御部100は、給紙部2から給紙した旨の信号を受け取ると、その受信から予め設定された給紙時間内に超音波式給紙エラーセンサ51及び光学式給紙エラーセンサ52の両方または一方により用紙Pが検出されなければ、空送りが発生したと判定する。給紙時間内に用紙Pが検出されると、超音波式給紙エラーセンサ51及び光学式給紙エラーセンサ52の一方または両方の出力に応じて重送発生の有無を判定する。
制御部100は、超音波式給紙エラーセンサ51及び光学式給紙エラーセンサ52の両方または一方が用紙Pの前端を検知してから、用紙通過時間(用紙Pの全長に応じて予め設定された時間)が経過してもその検出状態が継続した場合には、ジャムが発生したと判定する。
【0031】
第二折ニップN2の出口近傍(排紙搬送機構24の上流部)には、排紙エラーを検出するための排紙エラーセンサ54が設けられている。排紙エラーセンサ54は、第二折ニップN2から排出トレイ26へ向けて排出される用紙Pの通過を検出する。制御部100は、用紙Pが超音波式給紙エラーセンサ51または光学式給紙エラーセンサ52を通過してから排紙到達時間(用紙Pの全長及び折処理の条件に応じて予め設定された用紙Pが排紙部3に到達するまでの時間)が経過しても、排紙エラーセンサ54によって用紙Pが検出されなければ、ジャムが発生したと判定する。また、制御部100は、排紙エラーセンサ54が用紙Pを検出してから排紙通過時間(用紙Pの全長及び折処理の条件に応じて予め設定された折処理後の用紙Pが任意の位置を通過するのに要する時間)が経過しても、排紙エラーセンサ54による用紙Pの検出状態が継続した場合にも、ジャムが発生したと判定する。
【0032】
上述した「排紙到達時間」や「排紙通過時間」については、折処理での折りの種類が二つ折りと三つ折りの何れであるか等、折処理の条件に応じて設定値を異ならせてもよい。また、「給紙時間」、「用紙通過時間」、「排紙到達時間」及び「排紙通過時間」の各設定時間に変えて、搬送モータの回転数を示すそれぞれの設定パルス数を設定し、設定パルス数に基づいて各搬送エラーを判定してもよい。
【0033】
図2及び図3に示すように、第一折込板36は、第一折込板筐体34に第一折込機構60を収容した構成である。
図5は、第一折込機構60と、その周辺の各部とを表す側面図である。図6は、第一折込機構60と、その周辺の各部とを斜め下方から見た斜視図である。
【0034】
第一折込機構60は、第一折込搬送ガイド62、第一折ストッパ25、ストッパガイドロッド64、ストッパ移動ベルト66及び駆動伝達ロッド68を含む。フレーム5には、第一折ストッパ25を移動させるためのストッパ移動モータ70が設置されている。ストッパ移動モータ70は、ステッピングモータからなる。
【0035】
図5及び図6に示すように、第一折込搬送ガイド62は、長方形状の一対の板材を対向配置し、それらの間に第一折込搬送路23を形成するものである。 第一折込搬送ガイド62の下方にストッパガイドロッド64を備えている。ストッパガイドロッド64は、図6に示すように第一折込搬送ガイド62の幅方向(図5の紙面に直交する方向)中央に配置されており、第一折込搬送ガイド62の長手方向(用紙Pの搬送方向に沿う方向)に延在するように固定されている。
第一折込搬送ガイド62には、ストッパガイドロッド64の上方及びその幅方向両側に複数のガイド孔72が設けられている。それぞれのガイド孔72は長方形状をなし、ストッパガイドロッド64と平行となるように第一折込搬送ガイド62の長手方向に延設されている。第一折ストッパ25は、ストッパガイドロッド64に沿って移動するように配設されている。
【0036】
第一折ストッパ25は、第一折込搬送ガイド62の幅方向に延在する長方形状のストッパ基体部74と、このストッパ基体部74における搬送方向上流側端部(第一折込搬送ガイド62の出入口側の端部)に立設された複数の用紙当接部76とを有する。
ストッパ基体部74の幅方向中央には、第一折込搬送ガイド62の長手方向の両端から下方に突き出すように一対のロッド受部78が設けられており、このロッド受部78がストッパガイドロッド64に挿通されている。これにより、第一折ストッパ25は、ストッパガイドロッド64に対して長手方向に摺動可能に支持される。幅方向の複数箇所に立設された用紙当接部76は、複数のガイド孔72にそれぞれ対応する位置に設けられ、それぞれがガイド孔72を上下に貫通する。これにより、第一折込搬送ガイド62によって形成される第一折込搬送路23に導入された用紙Pの先端が、複数の用紙当接部76に突き当たる構造を実現できる。
【0037】
駆動伝達ロッド68は、第一折込搬送ガイド62の出入口側の端部近傍の下方に幅方向に延在して回転可能に配置されその延在方向の一端に駆動出力プーリ79が設けられ、他端には駆動入力ギヤ80が設けられている。一方、第一折込搬送ガイド62の出入口側とは反対側の端部近傍の下方には、従動プーリ82が回転可能に支持されている。ストッパ移動ベルト66は、駆動出力プーリ79と従動プーリ82との間に架け渡されている。ストッパ移動ベルト66の所定の位置には、第一折ストッパ25のストッパ基体部74における幅方向中央付近の部分が固定されている。
【0038】
ストッパ移動モータ70の出力軸には減速ギヤ機構84(減速機)が接続されており、減速ギヤ機構84の筐体の外側には、ストッパ移動モータ70から伝達された駆動力を駆動入力ギヤ80に伝達する減速駆動出力ギヤ84aが配置されている。第一折込板36は、紙折機1のフレーム5に対して着脱自在となっており、第一折込板36がフレーム5に装着されると、第一折込板36側に設置された駆動入力ギヤ80が、フレーム5側に設置された減速駆動出力ギヤ84aにギヤ連結する。
【0039】
このような構成により、ストッパ移動モータ70が回転駆動すると、その駆動力が減速駆動出力ギヤ84a及び駆動入力ギヤ80を介して駆動伝達ロッド68に伝達され、駆動出力プーリ79が回転する。これにより、駆動出力プーリ79に掛け回されたストッパ移動ベルト66が回転し、ストッパ移動ベルト66に固定された第一折ストッパ25が、ストッパガイドロッド64にガイドされつつ第一折込搬送路23における用紙Pの搬送方向に沿って移動する。
第一折ストッパ25は、ストッパ移動モータ70が正転駆動されると第一折込搬送路23の出入口側とは反対側へ移動し、ストッパ移動モータ70が逆転駆動されると第一折込搬送路23の出入口側へ移動する。これにより、第一折込搬送ガイド62に対する第一折ストッパ25の位置の制御を行うことができる。
【0040】
一方、フレーム5の所定位置には、第一折ストッパ25が基準位置にあるか否かを検出するためのストッパ位置センサ90が設けられている。ストッパ位置センサ90は、透過型の光センサからなり、発光素子と受光素子とを有する。第一折ストッパ25のストッパ基体部74の幅方向一端部には、光遮蔽板86が設けられている。そして、第一折ストッパ25がその可動範囲における第一折込搬送路23の出入口側の端部の位置(基準位置)にあるときには、光遮蔽板86がストッパ位置センサ90の発光素子と受光素子との間に位置する状態(図6に示す状態)となる。ストッパ位置センサ90は、発光素子から発せられた光が光遮蔽板86により遮蔽されることで、第一折ストッパ25が基準位置にあることを検出する。
【0041】
折処理実行の際には、第一折ストッパ25の位置決めのための初期化処理が行われ、第一折ストッパ25は一旦基準位置にセットされる。そして、この基準位置からのステップ数を設定することにより、第一折込板36における第一折ストッパ25の位置を制御することができる。
【0042】
上述した説明では、第一折込板36の第一折込機構60の基本構成について説明した。第二折込板40も、第一折込機構60と同様の第二折込機構61を備え、紙折機1本体は第二折込機構61に駆動を伝達するための第二ストッパ移動モータ71を備える。そして、上述した第一折込板36の第一折込機構60と同様に、第二ストッパ移動モータ71の駆動を制御することにより、第二折込板40における第二折ストッパ32の位置を制御できるため、第二折込板40についての詳細な説明は省略する。
【0043】
本実施形態の紙折機1は、第一折込板36における第一折ストッパ25の位置と、第二折込板40における第二折ストッパ32の位置とを制御することで、二つ折り、四つ折り、片袖折り、内三つ折り、外三つ折り及び観音折りの各種折処理を行うことができる。また、各種折りについて、用紙Pのサイズ毎に折目の位置が予め設定された定形折りと、折目の位置をユーザーが好みに応じて設定可能な特殊折りと、を行うことができる。
【0044】
図7は、第一折ニップN1から第一折ストッパ25までの距離である「第一折長さFL1」と、第二折ニップN2から第二折ストッパ32までの距離「第二折長さFL2」との説明図である。第一折込板36における第一折ストッパ25の位置を変更することで、第一折長さFL1を変更することができ、第二折込板40における第二折ストッパ32の位置を変更することで、第二折長さFL2を変更することができる。
【0045】
図8は、紙折機1の折処理によって用紙Pに施すことができる折形態の種類を示す説明図である。図8(a)は二つ折り、図8(b)は四つ折り、図8(c)は片袖折り、図8(d)は内三つ折り、図8(e)は外三つ折り、図8(f)は観音折りの説明図である。図8中の破線で示す「FL1」は、折処理後の用紙Pの長さのうち、紙折機1における第一折長さFL1によって決まる長さであり、図8中の一点鎖線で示す「FL2」は、折処理後の用紙Pの長さのうち、紙折機1における第二折長さFL2によって決まる長さである。
また、図8中の(a)~(f)の各図の下方には、長さが「PL」(以下、「用紙長さPL」)の用紙Pに対して定形折りしたときの「第一折長さFL1」及び「第二折長さFL2」の長さを示す。
【0046】
本実施形態の紙折機1は、用紙サイズとして、「A3」、「A4」、「A5」、「B4」、「B5」及び「B6」の六種類を定形サイズとし、これら定形サイズの用紙Pに対して図8の(a)~(f)で示す折態様の折処理が可能である。
さらに、本実施形態の紙折機1は、「A4ランドスケープ」とも呼ばれる成果物を得る折処理を行うことが出来る。「A4ランドスケープ」は、折を広げると、A4サイズを長さ方向に二つ繋げた横長形状となる成果物であり、「A4ランドスケープ」の作成に用いる「A4ランドスケープ用用紙」は、A4サイズの用紙を長手方向に二枚繋げた形状の用紙であり、「A4ランドスケープ用紙サイズ」は、長さが594[mm]、幅が210[mm]となる。
そして、本実施形態の紙折機1は、用紙Pが「A4ランドスケープ用用紙」の場合は、図8(f)に示す観音折りの折処理を行う設定は入力できず、図8(a)~(e)に示す観音折り以外の折処理を行う設定は入力できる構成となっている。
【0047】
図8に示すように、「用紙長さPL」に対して「第一折長さFL1」が最も長くなるのは観音折りの「3/4・PL」であり、「用紙長さPL」に対して「第二折長さFL2」が最も長くなるのも観音折りであって、その長さは「1/2・PL」である。観音折りの次に「第一折長さFL1」が長くなるのは、内三つ折りの「2/3・PL」であり、観音折りの次に「第二折長さFL2」が長くなるのは、内三つ折り及び外三つ折りの「1/3・PL」である。
A4ランドスケープ用用紙に対して観音折りを行う場合、「第一折長さFL1」は、445.5[mm]となり、「第二折長さFL2」は、297[mm]となる。これに対して、A4ランドスケープ用用紙に対して観音折りのみを設定できない構成とすると、「第一折長さFL1」として必要な長さは内三つ折りの「2/3・PL」に対応した「396[mm]」であり、「第二折長さFL2」として必要な長さは内三つ折りや外三つ折りの「1/3・PL」に対応した「198[mm]」である。
【0048】
上述した六種類の定形サイズのうち用紙長さPLが最大となる「A3」サイズ(用紙長さPL=420[mm])の用紙Pに対して観音折りを行う場合、「第一折長さFL1」は、315[mm]であり、「第二折長さFL2」は、210[mm]である。
A4ランドスケープ用用紙に対して観音折りを可能としようとすると、「A3」サイズに対して観音折りが可能な構成に比べて「第一折長さFL1」として必要な長さが、130.5[mm](445.5[mm]-315[mm]=130.5[mm])長くなる。また、「第二折長さFL2」として必要な長さが、87[mm](297[mm]-210[mm]=87[mm])長くなる。
これに対して、A4ランドスケープ用用紙に対して観音折りのみを設定できない構成とすると、「A3」サイズに対して観音折りが可能な構成に比べて「第一折長さFL1」として必要な長さが、81[mm](396[mm]-315[mm]=81[mm])長くなる。また、「第二折長さFL2」として必要な長さは、で、12[mm](198[mm]-210[mm]=-12[mm])短くなり、紙折機1が「第二折長さFL2」として必要な長さは、「A3」サイズに対して観音折りが可能な長さである「210[mm]」となる。
【0049】
紙折機1では、A4ランドスケープ用用紙に対して観音折りのみを設定できない構成とすることで、「第一折長さFL1」として必要な長さが「396[mm]」となり、観音折りも設定可能な構成に必要な長さである「445.5[mm]」に比べて「49.5[mm]」短くできる。さらに、「第二折長さFL2」として必要な長さが「210[mm]」となり、観音折りも設定可能な構成に必要な長さである「297[mm]」に比べて「87[mm]」短くできる。このように、A4ランドスケープ用用紙に対して観音折りのみを設定できない構成とすることで、「第一折長さFL1」や「第二折長さFL2」として必要な長さを短くでき、第一折込板36や第二折込板40の大型化を抑制できる。このため、上述した六種類の定形サイズの用紙Pに対しては観音折りを含めた六種類の折態様の折処理を施すことが可能で、A4ランドスケープ用用紙に対して観音折り以外の使用頻度の高い折態様の折処理を施すことが可能な構成としつつ、紙折機1の装置全体の大型化を抑制することが出来る。
【0050】
図2に示すように、紙折機1は、第一折込搬送路23に搬送される用紙Pを給紙する給送機構7を備え、第一折込搬送路23は給送機構7に対して斜め上方に延在し、第二折込搬送路28は給送機構7に対して斜め下方に延在する形状である。
一般的な定形サイズよりも用紙長さPLが長いA4ランドスケープ用用紙に対して、内三つ折りの折処理を可能とするために、第一折込搬送路23を長くしたとしても、給送機構7に対して斜め上方に延在する長さが長くなる。このため、A4ランドスケープ用用紙に内三つ折りの折処理を可能とするために装置における給送機構7よりも下となる部分を大きくする必要がなく、給送機構7で給紙する用紙Pが載置される給紙台6の高さを高くする必要がない。さらに、給送機構7を覆うように形成された筐体の上面に配置された操作部10の高さも高くする必要がない。給紙台6や操作部10といった使用者が作業を行う部分を高い位置に配置する必要がないことで、A4ランドスケープ用用紙のような長い用紙に折処理を施すことができる構成であっても、卓上に対する設置性が低下することを防止できる。
【0051】
また、第二折長さFL2に必要な長さが最も長くなる観音折りを、所定の長さ以上となるA4ランドスケープ用用紙に対する折処理の際には選択できない仕様とすることで、第二折込搬送路28が長くなることを抑制し、装置における給送機構7よりも下となる部分の大型化を抑制できる。これにより、給紙台6や操作部10といった使用者が作業を行う部分を高い位置に配置する必要がなくなり、卓上への設置性の低下を防止できる。
【0052】
本実施形態の紙折機1における「第二折長さFL2」として設定可能な最大値は「223.0[mm]」であり、A4ランドスケープ用用紙に対して観音折りのみを設定できない構成で、かつ、「A3」サイズの用紙に対して観音折りが可能な構成で、「第二折長さFL2」として必要な長さである「210[mm]」に対して「23[mm]」だけ長い構成である。
【0053】
本実施形態の紙折機1で折処理が可能な用紙Pの用紙長さPLの範囲は、182.0[mm]~648.0[mm]であり、用紙幅の範囲は、120.0[mm]~311.0[mm]である。
本実施形態の紙折機1における「第一折長さFL1」として設定可能な最大値は「442.0[mm]」であり、A4ランドスケープ用用紙に対して観音折りのみを設定できない構成で、「第一折長さFL1」として必要な長さである「396[mm]」よりも十分に長い。「第一折長さFL1」の最大値を大きくすることで第一折込板36が長くなっても、給紙台6や操作部10といった使用者が作業を行う部分の高さ方向の配置に影響なく、卓上への設置性の影響は限定的なものとなる。一方、「第一折長さFL1」の最大値を大きくすることで、「第一折長さFL1」によって長さが決まる折面の長さとして設定できる数値範囲の幅を広げることができる。
【0054】
紙折機1は、想定している最大の用紙長さPLをPLmax、第一折長さFL1の最大長をFL1max、第二折搬送路の最大長をFL2maxとしたときに、以下の(1)及び(2)式を満たす。
(1)FL1max>1/2・PLmax
(2)1/3・PLmax<FL2max<1/2・PLmax
上記(1)式を満たすことで、最大長の用紙Pに対して二つ折りを行うことができる構成となる。上記(2)式を満たすことで、最大長の用紙Pに対して外三つ折りを行うことが出来るが、観音折りは行うことができない構成となる。
【0055】
紙折機1は、上記(1)及び(2)式に加え、以下の(3)式を満たす。
(3)FL1max>2/3・PLmax
上記(3)式を満たすことで、最大長の用紙Pに対して内三つ折りを行うことができる構成となる。
なお、本実施形態の紙折機1では、PLmax=648[mm]、FL1max=442.0[mm]、FL1max=223.0[mm]である。
【0056】
また、A4ランドスケープ用用紙の用紙長さPLである「594[mm]」を上記(1)~(3)式の「PLmax」に代入しても上記(1)~(3)式が成り立つ。これにより、A4ランドスケープ用用紙に対して、二つ折り、内三つ折り、外三つ折りを行うことができる構成で、装置の大型化を抑制することが可能となる。
【0057】
[実施例1]
次に、紙折機1での折形態の設定の一つ目の実施例(以下、「実施例1」と呼ぶ)について説明する。
図9は、実施例1でタッチパネル101に表示される用紙サイズ選択画面を示す図である。実施例1の用紙サイズ選択画面では、六つの定形サイズ選択ボタン102(102a~102f)と、A4ランドスケープ選択ボタン103とが表示される。
図10は、実施例1でタッチパネル101に表示される折りモード(折形態)選択画面を示す図である。折りモード選択画面では六つの折りモード選択ボタン104(104a~104f)が表示される。
表示装置160を構成するタッチパネル101の表示内容は、制御部100が制御する。
【0058】
図9に示す用紙サイズ選択画面で、定形サイズ選択ボタン102とA4ランドスケープ選択ボタン103とのうち、六つの定形サイズ選択ボタン102の何れかが押されると、タッチパネル101には、図10に示すように、六つの折りモード選択ボタン104の何れも選択可能な折りモード選択画面が表示される。
一方、図9に示す用紙サイズ選択画面でA4ランドスケープ選択ボタン103が押されると、タッチパネル101には、図10に示す六つの折りモード選択ボタン104のうち、観音折り選択ボタン104fをグレーアウトさせた折りモード選択画面が表示される。この折りモード選択画面では、観音折り選択ボタン104fが選択できず、他の五つの折りモード選択ボタン104(104a~104e)は選択可能である。これにより、用紙サイズとしてA4ランドスケープ用用紙サイズが入力されたときには、折りモードとして観音折りを入力できなくなる構成を実現できる。
【0059】
[実施例2]
次に、紙折機1での折形態の設定の二つ目の実施例(以下、「実施例2」と呼ぶ)について説明する。
図11は、実施例2でタッチパネル101に表示される用紙サイズ選択画面の説明図である。実施例2の用紙サイズ選択画面では、六つの定形サイズ選択ボタン102(102a~102f)が表示される。
【0060】
実施例2の紙折機1では、用紙サイズ選択画面では、A4ランドスケープ用用紙サイズの入力はできず、A4ランドスケープ用用紙に折処理を行う際には、「定形外用紙の定形折り」を行う設定を入力し、用紙幅「210[mm]」と、用紙長さ「594[mm]」を入力する。
【0061】
実施例2の紙折機1では、図11に示す用紙サイズ選択画面で、定形サイズ選択ボタン102の何れかが押されると、タッチパネル101には、図10に示すように、六つの折りモード選択ボタン104の何れも選択可能な折りモード選択画面が表示される。
また、「定形外用紙の定形折り」を行う設定が入力され、用紙長さとして、「432[mm]」以下の数値が入力された場合も、図10に示すように、六つの折りモード選択ボタン104の何れも選択可能な折りモード選択画面が表示される。
一方、「定形外用紙の定形折り」を行う設定が入力され、用紙長さとして、「432[mm]」よりも大きい数値が入力された場合は、図10に示す六つの折りモード選択ボタン104のうち、観音折り選択ボタン104fをグレーアウトさせた折りモード選択画面が表示される。この折りモード選択画面では、観音折り選択ボタン104fが選択できず、他の五つの折りモード選択ボタン104(104a~104e)は選択可能である。
これにより、用紙長さとしてA4ランドスケープ用用紙の「594[mm]」が入力されると、観音折り選択ボタン104fをグレーアウトさせた折りモード選択画面が表示され、折りモードとして観音折りを入力できなくなる構成を実現できる。
【0062】
用紙長さの入力は、「定形外用紙の定形折り」を行う設定で、タッチパネル101に表示される用紙長さ入力画面によって入力できる。
【0063】
上述した実施例1及び2では、観音折りが出来ない条件が入力された場合に、観音折り選択ボタン104fをグレーアウトする構成について説明した。観音折りが出来ない条件が入力された場合に、観音折り選択ボタン104fをグレーアウトする構成に限らず、観音折り選択ボタン104fを選択すると、エラーメッセージ等の警告を表示する構成してもよい。
【0064】
また、給紙台6に積載された用紙Pの長さを自動で検知して入力する構成としてもよい。自動で検知する構成としては、給紙台6に用紙検知センサを複数配置して、用紙Pを検知したセンサの位置に基づいて用紙長さを検知する構成を用いることができる。また、給送機構7によって給送された用紙Pが通過する搬送路中に用紙検知センサを配置し、センサが用紙先端を検知してから用紙後端を検知するまでの時間に基づいて用紙長さを検知する構成を用いることができる。
【0065】
紙折機1では、装置サイズの大型化を抑制しつつ、一部の折形態については、より長い用紙Pに対して折処理を施すことが可能となる、という優れた効果がある。本実施形態では、折形態入力手段が紙折機1に設けられたタッチパネル101である構成について説明したが、折形態入力手段としては、紙折機1の外部のパーソナルコンピューター等からの入力を受付ける外部装置情報入力部でもよい。
【0066】
紙折機1では、用紙長さPLが、432[mm]等の所定の長さよりも長い場合に、観音折りを入力できなくなる等、入力可能な折形態の種類を少なくする。これによれば、入力された用紙長さPLが長いときに、シート全長に対する第一折込搬送路23や第二折搬送路で必要とする長さが他の折形態よりも長くなる折形態の入力をできなくすることによって、第一折搬送路や第二折搬送路に必要な長さを抑制し、装置の大型化を防ぐことができる。
【0067】
折形態入力手段であるタッチパネル101は、観音折りを含む六種類の折りモード等の複数の折形態が入力可能であり、用紙長さPLが432[mm]等の所定の長さよりも長い場合に、タッチパネル101で観音折りを入力できなくする。これによれば、入力された用紙長さPLが長いときに、用紙長さPLに対する第一折込搬送路23や第二折込搬送路28で必要とする長さが他の折形態よりも長くなる観音折りの入力をできなくすることによって、第一折搬送路や第二折込搬送路28に必要な長さを抑制し、装置の大型化を防ぐことができる。
【0068】
第一折長さFL1の設定可能な最大値を396[mm]以上とし、第二折長さFL2の設定可能な最大値を210[mm]以上とすることで、A3サイズ以下のシートに対して、二つ折り、四つ折り、片袖折り、内三つ折り、外三つ折り及び観音折りの折処理が可能となる。さらに、A4ランドスケープ用用紙等のA4ランドスケープ用シートに対して、二つ折り、四つ折り、片袖折り、内三つ折り及び外三つ折りの折処理が可能となる。また、第二折長さFL2の設定可能な最大値を297[mm]未満とすると、A4ランドスケープ用シートに対して観音折りの折処理が出来なくなるものの、A4ランドスケープ用シートに対して観音折りが可能な装置に比べて、小型化を図ることができる。このように態様7のシート折装置では、装置サイズの大型化を抑制しつつ、二つ折り、四つ折り、片袖折り、内三つ折り及び外三つ折りといった一部の折形態については、より長いシートであるA4ランドスケープに対して折処理を施すことが可能となる。
また、第一折長さFL1の設定可能な最大値を445.5[mm]未満とすることで、A4ランドスケープ用シートに対して観音折りが可能な装置に比べて、小型化を図りつつ、A4ランドスケープ用シートに対して二つ折り、四つ折り、片袖折り、内三つ折り及び外三つ折りの折処理が可能なシート折装置を実現できる。
【0069】
次に、サイドガイドの給紙方向の長さについて説明する。
図12は、紙折機1の上面図であり、図12(a)は、紙折機1の全体の上面図であり、図12(b)は、紙折機1の給紙部2を模式的に示した上面図である。
図12(b)中の「La」は、用紙束の先端が突き当たる突き当て面から第一サイドガイド50のガイド面における用紙搬送方向の下流側端部までの距離であり、本実施形態では「La=52.5[mm]」である。図12(b)中の「Lb」は、第一サイドガイド50(50a、50b)の用紙搬送方向の長さであり、本実施形態では「Lb=243.5[mm]」である。図12(b)中の「Lc」は、第二サイドガイド55(55a、55b)の用紙搬送方向の長さであり、本実施形態では「Lc=120.0[mm]」である。図12(b)中の「Ld」は、第三サイドガイド56(56a、56b)の用紙搬送方向の長さであり、本実施形態では「Ld=208.0[mm]」である。
【0070】
図12(b)中の「BW」は、搬送ベルト14の幅であり、本実施形態では「BW=75[mm]」である。図12(b)に示すように、前方エア吐出機構8は、幅方向に三つの前方エア吐出口87を備え、図12(b)中の一点鎖線「A1」で示すように、用紙束の先端面に前方エアA1を吹き付ける。図12(b)中の「Wa」は、前方エア吐出口87の手前側の端部から奥側の端部までの距離であり、本実施形態では「Wa=106.0[mm]」である。図12(b)中の「Wb」は、前方エア吐出口87の手前側の端部から奥側の端部までの距離であり、本実施形態では「Wa=106.0[mm]」である。
図12(b)中の「GW」は、第一サイドガイド手前側50aと第一サイドガイド奥側50bとの幅方向の距離(幅規制部材間距離GW)であり、第一サイドガイド手前側50aと第一サイドガイド奥側50bとを軸方向に対称移動することで「GW=120.0[mm]~311.0[mm]」の範囲で調整可能となっている。
【0071】
本実施形態の紙折機1は、A4ランドスケープ用用紙のように用紙長さPLの長い用紙Pに対して折処理を行うときには、給紙台6に第二サイドガイド55及び第三サイドガイド56を設置して、幅規制長さGL(GLa,GLb)が、「GL≧0.7・PL」の関係を満たし、さらに、「GL≧0.8・PL」の関係を満たす構成となっている。
第二サイドガイド55及び第三サイドガイド56を用いずに、第一サイドガイド50のみで幅方向の位置を規制する紙折機では、長い用紙Pを給紙して折処理をおこなうと、用紙Pに対して折目が傾く折精度の低下や紙詰まりの誤検知、といった問題が生じることがあった。
これらの問題は、以下の理由によって発生するものと考える。
【0072】
エアサクション方式の給紙機構では、用紙束にエアを吹き付けて用紙束を形成する用紙P同士の間隔を空け、用紙P同士の間で摩擦力が作用することを抑制し、用紙束の最上位の用紙Pを給紙する際の搬送抵抗を抑制することができる。しかし、用紙P同士の摩擦が抑制されていると、用紙束を構成する用紙P同士の位置ずれが生じ易くなる。その結果、サイドガイドに対して十分に長い用紙Pを給紙するときに、短い用紙Pのときと同様のサイドガイドを用いた場合、用紙Pの側端面がサイドガイドと対向している範囲では幅方向の移動が規制され、サイドガイドが配置されていない部分では、用紙Pが幅方向に移動し、用紙P同士にスキュー方向(給紙方向に対して傾斜する方向)の位置ずれが生じることがある。これにより、給紙方向に対して斜めになった用紙Pが給紙され、折処理が行われることで用紙Pに対して折目が傾くような、折精度の低下が生じる。
【0073】
また、用紙束の先端面に前方エアA1を吹き付ける構成では、サイドガイドに対して用紙長さPLが長いと、用紙P同士の間を流れる気流がサイドガイドの配置されていない部分から漏れ出て、用紙Pの後方に気流が届かなくなる。気流が届かなくなると、用紙Pの後方で用紙P同士の間隔が空かず、用紙P同士が密着して搬送抵抗が大きくなることがある。搬送抵抗が大きくなると、同じサイズの用紙Pであっても給紙時間が長くなり、給紙エラーセンサ(51、52)の検出位置を用紙Pの先端が通過してから後端が通過するまでの時間が長くなり、紙詰まりと判断されることがある。
【0074】
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、A4ランドスケープ用用紙に折処理を行う際に、「GL≧0.7・PL」の関係を満たすようにサイドガイドを配置することで、用紙が長いことに起因する折精度の低下や詰まりの誤検知を抑制できることを見出した。さらに、「GL≧0.8・PL」の関係を満たすようにサイドガイドを配置することで、用紙が長いことに起因する折精度の低下や詰まりの誤検知を略防止できることを見出した。
【0075】
本実施形態の紙折機1では、用紙長さPLが457.2[mm]以上となる長い用紙Pを給紙する際には、第二サイドガイド55及び第三サイドガイド56を設置して、幅規制長さGL(GLa,GLb)が、「GL≧0.8・PL」の関係を満たす構成となっている。
この関係を満たすことで、用紙Pにおけるサイドガイドと対向していない部分が幅方向に移動することを防止でき、用紙P同士にスキュー方向の位置ずれが生じることを防止でき、給紙方向に対して斜めになった用紙Pが給紙されることを防止できる。これにより、用紙Pに対して折目が傾くことを防止でき、折精度の向上を図ることができる。
また、上述した関係を満たすことで、用紙束の先端面に吹き付けられ前方エアA1が、用紙P同士の間を流れるときに、幅方向の端部側から漏れ出るのをサイドガイド(50、55、56)で抑制し、用紙Pの後方に向けて気流が流れることを促すことができる。これにより、長い用紙Pを給紙するときでも、用紙Pの後方で用紙P同士の間隔を空けることができ、搬送抵抗を抑制できため、搬送時間が長くなることに起因して紙詰まりの誤検知が生じることを防止できる。
【0076】
手前側のサイドガイドを構成する第一サイドガイド手前側50a、第二サイドガイド手前側55a及び第三サイドガイド手前側56aは、給紙方向に隙間がないように連続的に配置することが好ましい。このため、手前側のサイドガイドのガイド面の長さ「GLa」は、第一サイドガイド50の長さ「Lb」と、第二サイドガイド55の長さ「Lc」と、第三サイドガイド56の長さ「Ld」とを足したものであり、「243.5[mm]+120[mm]+208[mm]=571.5[mm]」となる。
【0077】
一方、奥側のサイドガイドを構成する第一サイドガイド奥側50b、第二サイドガイド奥側55b及び第三サイドガイド奥側56bは、第一サイドガイド奥側50bと第二サイドガイド奥側55bとの間に、図12(b)中の「AW」で示す隙間を形成し、第二サイドガイド奥側55bと第三サイドガイド奥側56bとの間は隙間がないように連続的に配置することが好ましい。図12(b)中の「AW」で示す隙間は、奥側のサイドガイドよりもさらに幅方向の奥側に配置された、側方エア吐出機構9が吐出する側方エアA2が通過する隙間であり、側方エアA2がサイドガイドの内側に流入し、且つ、サイドガイド内側の用紙束の用紙P同士の間を流れる前方エアA1がサイドガイドの外側に流出しないような大きさであることが望ましい。本実施形態の紙折機1では、「AW」は、10[mm]以上、40[mm]以下であり、以下の説明では「AW=20[mm]」とする。このため、奥側のサイドガイドのガイド面の長さ「GLb」は、第一サイドガイド50の長さ「Lb」と、隙間の長さ「AW」と、第二サイドガイド55の長さ「Lc」と、第三サイドガイド56の長さ「Ld」とを足したものであり、「243.5[mm]+20[mm]+120[mm]+208[mm]=591.5[mm]」となる。
【0078】
用紙長さPL=457.2[mm](0.8・PL=365.76[mm])のときは、「GLa=PL-La=457.2[mm]-52.5[mm]=404.7[mm]」となり、「GLa≧0.8・PL」の関係を満たす。また、「GLb=PL-La=457.2[mm]-52.5[mm]=404.7[mm]」となり、「GLb≧0.8・PL」の関係を満たす。
【0079】
A4ランドスケープ用用紙を給紙するときには、用紙長さPL=594.0[mm](0.8・PL=475.2[mm])であり、「GLa」は、「PL-La」(PL-La=594.0[mm]-52.5[mm]=541.5[mm])と、「Lb+Lc+Ld」(Lb+Lc+Ld=571.5[mm])とのうちの短い方である。このため、「GLa=541.5[mm]」となり、「GLa≧0.8・PL」の関係を満たす。
また、「GLb」は、「541.5[mm]」(GLb=PL-La=594.0[mm]-52.5[mm]=541.5[mm])であり、「GLb≧0.8・PL」の関係を満たす。
【0080】
折処理可能な最大長さの用紙Pを用いるとき、すなわち、用紙長さPL=648.0[mm](0.8・PL=518.4[mm])のときは、「GLa」は、「PL-La」(PL-La=648.0[mm]-52.5[mm]=595.5[mm])と、「Lb+Lc+Ld」(Lb+Lc+Ld=571.5[mm])とのうちの短い方である。このため、「GLa=571.5[mm]」となり、「GLa≧0.8・PL」の関係を満たす。
また、「GLb」は、「PL-La」(PL-La=648.0[mm]-52.5[mm]=595.5[mm])と、「Lb+AW+Lc+Ld」(Lb+AW+Lc+Ld=591.5[mm])とのうちの短い方であり、「GLa=591.5[mm]」となり、「GLa≧0.8・PL」の関係を満たす。
【0081】
また、給紙台6の幅は、載置可能な用紙Pの最大幅(311.0[mm])に対して、第二サイドガイド55や第三サイドガイド56の底面の幅分を足した幅よりも広くなっている。これにより、第二サイドガイド55や第三サイドガイド56の底面の磁石が給紙台6の上面に磁力によって固定され、用紙Pの幅方向の規制を安定させることができる。
【0082】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0083】
〔態様1〕
給紙台6等のシート載置台上に積載した用紙束等のシート束の最上位の一枚の用紙P等のシートを分離して送り出す分離給送手段を備え、分離給送手段は、シート束の送出方向の先端面に前方エアA1等の気体を吹き付ける前方エア吐出機構8等の気流発生手段と、シート束の最上位のシートを吸着し、送出方向に搬送する給送機構7等の搬送手段とを有する給紙部2等のシート給送装置において、シート載置台上のシート束の幅方向の端面に接触し、シート束の幅方向の位置を規制するサイドガイド等の幅規制部材を備え、シートの送出方向の長さをシート長さPL(用紙長さPL等)、シート載置台に載置するシートのシート長さPLの最大値を最大シート長さPLmax(=648.0[mm])、幅規制部材の送出方向におけるシート束と対向し得る範囲の上流側端から下流側端までの長さを幅規制長さGL(GLa、GLb等)としたときに、「GL≧0.7・PLmax」の関係を満たすように幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とする。
これによれば、給送し得る最大長さのシートを給送する際に、給送方向に対してシートが傾斜することを抑制できる。上述した紙折機1の給紙部2では、幅規制部材である第一~第三サイドガイドとして板状のガイド部材を用いる構成について説明したが、幅規制部材として、板状の部材に限らず、幅方向の規制範囲の上流側端と下流側端のみに上下方向に延在する棒状の規制部材を設ける構成であっても、シートの傾斜を抑制することができる。
【0084】
〔態様2〕
給紙台6等のシート載置台上に積載した用紙束等のシート束の最上位の一枚の用紙P等のシートを分離して送り出す分離給送手段を備え、分離給送手段は、シート束の送出方向の先端面に前方エアA1等の気体を吹き付ける前方エア吐出機構8等の気流発生手段と、シート束の最上位のシートを吸着し、送出方向に搬送する給送機構7等の搬送手段とを有する給紙部2等のシート給送装置において、シート載置台上のシート束の幅方向の端面に接触し、シート束の幅方向の位置を規制するサイドガイド等の幅規制部材を備え、シートの送出方向の長さをシート長さPL(用紙長さPL等)、幅規制部材の送出方向におけるシート束と対向し得る範囲の上流側端から下流側端までの長さを幅規制長さGL(GLa、GLb)としたときに、シート長さPLが458[mm]以上(用紙Pの長さ「457.2[mm]」以上等)である場合には、「GL≧0.7・PL」の関係を満たすように幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とする。
これによれば、シート長さPLが458[mm]以上となる長いシートを給送する際に、給送方向に対してシートが傾斜することを抑制できる。
【0085】
〔態様3〕
給紙台6等のシート載置台上に積載した用紙束等のシート束の最上位の一枚の用紙P等のシートを分離して送り出す分離給送手段を備え、分離給送手段は、シート束の送出方向の先端面に前方エアA1等の気体を吹き付ける前方エア吐出機構8等の気流発生手段と、シート束の最上位のシートを吸着し、送出方向に搬送する給送機構7等の搬送手段とを有する給紙部2等のシート給送装置において、シート載置台上のシート束の幅方向の端面に接触し、シート束の幅方向の位置を規制するサイドガイド等の幅規制部材を備え、シートの送出方向の長さをシート長さPL(用紙長さPL等)、幅規制部材の送出方向におけるシート束と対向し得る範囲の上流側端から下流側端までの長さを幅規制長さGL(GLa、GLb)としたときに、「PL=594[mm]」である場合には、「GL≧0.7・PL」の関係を満たすように幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とする。
これによれば、シート長さPLが594[mm]となる長いシートを給送する際に、給送方向に対してシートが傾斜することを抑制できる。
【0086】
〔態様4〕
態様2または3のシート給送装置において、シートの送出方向に直交する方向の長さをシート幅PWとしたときに、少なくともPL/PW≧2.8の関係を満たすときには、GL≧0.7・PLの関係を満たすように幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とする。
これによれば、A4ランドスケープ用用紙(PL/PW=594[mm]/210[mm]≒2.829)のように縦長のシートを給送する際に、給送方向に対してシートが傾斜することを抑制できる。
【0087】
〔態様5〕
態様1乃至4の何れかのシート給送装置において、幅規制長さGLとシート長さPLとが、GL≧0.8・PLの関係を満たすように幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とする。
これによれば、給送し得る最大長さのシートを給送する際や、シート長さPLが458[mm]以上となる長いシートを給送する際、シート長さPLが594[mm]となる長いシートを給送する際、または、A4ランドスケープ用用紙のように縦長のシートを給送する際に、給送方向に対してシートが傾斜することを防止できる。
【0088】
〔態様6〕
態様1乃至5の何れかのシート給送装置において、幅規制部材の給送方向の長さは、シート載置台に載置する前記シートの長さPLに応じて変更可能であることを特徴とする。
これによれば、長いシートを給送する際に、給送方向に対してシートが傾斜することを抑制しつつ、短いシートを給送する際には、幅規制部材を短くして、短いシートを載置するときに、シート載置台へのシートの載置のし易さの低下を防止する。
【0089】
〔態様7〕
態様6のシート給送装置において、幅規制部材は、送出方向に複数の規制部材(第一サイドガイド50、第二サイドガイド55、第三サイドガイド56等)からなり、送出方向の上流側の規制部材(第二サイドガイド55及び第三サイドガイド56等)をシート載置台に対して着脱することで給送方向の長さを変更できることを特徴とする。
これによれば、着脱という容易な作業で、幅規制部材の給送方向の長さを変更することができる。
【0090】
〔態様8〕
態様1乃至7の何れかに記載のシート給送装置において、搬送手段は、環状の搬送ベルト14等の搬送ベルトと、搬送ベルトの環状の内側に配置されたサクションダクト16等の吸引手段とを備え、搬送ベルトの幅をBWとしたときに、「GL/BW≧6.0」(実施形態では、GLa=571.5[mm]、BW=75[mm]で、GL/BW=7.62)の関係を満たすように幅規制部材の配置を行うことが可能であることを特徴とする。
上述した紙折機1のように、給紙可能なシートの長さに対して搬送ベルトの幅が狭い装置では、シートのスキュー方向の位置ずれが生じ易い。これに対して、「GL/BW≧6.0」の関係を満たすことで、給送方向の広い範囲で、幅規制部材による規制を行うことができ、スキュー方向の位置ずれを防止することができる。
【0091】
〔態様9〕
態様1乃至8の何れかのシート給送装置において、幅規制部材は上流側端から下流側端まで連続的に配置されていることを特徴とする。
これによれば、気流発生手段がシート束の先端面に吹き付けた基体が幅方向に漏れ出ることを幅規制部材によって防止することができ、シートの後方に向けて気流が流れることを促すことができる。これにより、長いシートを給送するときでも、シートの後方でシート同士の間隔を空けることができ、搬送抵抗を抑制できため、搬送時間が長くなることに起因して紙詰まり等の搬送不良の誤検知が生じることを防止できる。
幅規制部材を上流側端から下流側端まで連続的に配置する構成としては、厳密に隙間が無い構成に限らず、ある程度の隙間はあってもよい。隙間の給送方向の長さの合計は、幅規制長さGLに対して10%未満であることが望ましい。
また、隙間がある構成であっても、側方エア吐出機構9等の側方気流発生手段によって、シート束の側方端面に気体を吹き付ける隙間であればよい。
【0092】
〔態様10〕
用紙P等のシートを給送する給送手段と、給送手段から給送されたシートに対して折処理を施す折処理部4等の折手段と、を備える紙折機1等のシート折装置において、給送手段として、請求項1乃至9の何れかのシート給送装置を備えることを特徴とする。
これによれば、折手段に給送するシートが傾斜することを抑制できるため、折手段での折精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 :紙折機
2 :給紙部
3 :排紙部
4 :折処理部
5 :フレーム
5a :前フレーム
5b :後フレーム
6 :給紙台
7 :給送機構
8 :前方エア吐出機構
9 :側方方エア吐出機構
10 :操作部
12 :エンドフェンス
14 :搬送ベルト
16 :サクションダクト
18 :入口ローラ対
20 :折部ローラ
20a :第一折部ローラ
20b :第二折部ローラ
20c :第三折部ローラ
20d :第四折部ローラ
23 :第一折込搬送路
25 :第一折ストッパ
28 :第二折込搬送路
32 :第二折ストッパ
34 :第一折込板筐体
36 :第一折込板
38 :第二折込板筐体
40 :第二折込板
50 :第一サイドガイド
55 :第二サイドガイド
56 :第三サイドガイド
60 :第一折込機構
61 :第二折込機構
62 :第一折込搬送ガイド
100 :制御部
101 :タッチパネル
102 :定形サイズ選択ボタン
103 :A4ランドスケープ選択ボタン
104 :折りモード選択ボタン
FL1 :第一折長さ
FL2 :第二折長さ
N1 :第一折ニップ
N2 :第二折ニップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12