IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミリッヒ,サムの特許一覧

<>
  • 特開-自己駆動車両 図1
  • 特開-自己駆動車両 図2
  • 特開-自己駆動車両 図3
  • 特開-自己駆動車両 図4
  • 特開-自己駆動車両 図5A
  • 特開-自己駆動車両 図5B
  • 特開-自己駆動車両 図6A
  • 特開-自己駆動車両 図6B
  • 特開-自己駆動車両 図7
  • 特開-自己駆動車両 図8
  • 特開-自己駆動車両 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095542
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】自己駆動車両
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20220621BHJP
   A01D 34/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
A01B69/00 B
A01D34/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021187271
(22)【出願日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】2020904682
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】521504670
【氏名又は名称】ミリッヒ,サム
【氏名又は名称原語表記】Milich, Sam
【住所又は居所原語表記】81 Birdlife Court, Nerang QLD 4211 Australia
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ミリッヒ,サム
【テーマコード(参考)】
2B043
2B083
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043BA07
2B043BA09
2B043BB11
2B043DB05
2B043DB06
2B043DC03
2B083AA02
2B083BA12
2B083CA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動又は半自動駆動装置を備えた自己駆動型草刈機を提供する。
【解決手段】前輪駆動式草刈機/刈払機における駆動装置であり、各側部にブラケット、接手、軸、チェーン、テンショナを備えたアセンブリ39を有し、ウォーム歯車出力軸に前進方向平歯車41が支持され軸がクラッチ31迄延びている。クラッチは出力歯車42及び前進チェーン43を有し、前進チェーンは可逆軸45上のチェーン歯車44に掛渡され、可逆軸はベアリング46、47によって軸受されている。チェーン歯車48、49はチェーン52、53を介して車輪チェーンギヤ50、51に動力を伝達し、平歯車はギヤ54に噛み合い、クラッチが解除されクラッチ33が繋がれると、一側の車輪が前進にセットされブレーキクラッチは解除される。プーリ55は上方にファンブレード56を備え、プーリ57は下方にファンブレード58を有し、ブレーキは横滑り操舵のために回転側で係合する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両であって、
前記車両が、四つの車輪と、車載駆動源と車輪との間の左右の駆動系とを有し、
前記駆動系が、四つの車輪に全輪駆動力を供給し、
前記四つの車輪が、二つの右側車輪と二つの左側車輪とから成り、
前記駆動系が、各対の軸、歯車及び軸を連結する連結部を有し、
各駆動系が、入力部及び各車輪用の出力部を有し、
各駆動系が、各々関連する電磁クラッチ及びクラッチ制御装置を有し、
前記クラッチが、クラッチ制御装置の操作によって、車両の前進、後進及び回転動作のために選択的に係合される
ことを特徴とする遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項2】
車輪の動きを停止させる選択可能なブレーキをさらに備え、
前記駆動系への入力が、各々、ウォーム駆動歯車減速機を備え、
各入力が、第一方向に回転可能な第一歯車と、第一歯車と反対方向に回転可能な第二歯車とに接続され、
関連するクラッチが、第一及び第二歯車からの駆動力を選択的に車輪に接続するように第一及び第二歯車に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項3】
関連するクラッチが、右側クラッチ及び左側クラッチの対を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項4】
関連するクラッチが、右側クラッチ及び左側クラッチの対を有し、
駆動系が、入力軸を有する入力と、各車輪軸を備えた車輪出力と、入力軸及び車輪軸との間の中間軸とを有し、
前記中間軸が、関連するクラッチの制御に応答して可逆的に動作して車輪の回転を逆転する
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項5】
駆動系への入力の上流に、切断刃軸駆動力取出部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項6】
第一歯車が逆転歯車であり、第二歯車が前進歯車である
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項7】
さらに、車輪の動きを停止させる選択可能なブレーキを備え、
関連するクラッチが四つのクラッチを有し、
車両の動作及びクラッチ制御が、以下の真理値表に従って行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項8】
前記クラッチが、前進方向右側クラッチ、前進方向左側クラッチ、後退方向右側クラッチ及び後退方向左側クラッチからなり、それぞれ前進クラッチ係合可能軸及び後方に位置する可逆軸があり、前記可逆軸が連結チェーンを介して対抗する車輪軸に連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項9】
さらに、右側ブレーキクラッチ及び左側ブレーキクラッチによって提供される車輪の動作を阻止する選択可能なブレーキを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項10】
旋回動作が、対向する側の車輪対を反対方向に回転させるその場旋回を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項11】
切断刃アセンブリを備え、車両及び前記アセンブリが、草刈動作又は刈込動作に適合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項12】
さらに、車輪の動きを阻止する選択可能なブレーキを備え、
駆動系の入力が、各々、ウォーム駆動歯車減速機からの出力を有し、
各入力が、第一方向に回転可能である第一歯車及び第一方向と反対方向に回転可能である第二歯車に連結されるものであり、
関連するクラッチが、第一及び第二歯車からの駆動力を、車輪に選択的に連結する第一及び第二歯車と関連付けされ、
駆動系が、入力軸、各々車輪軸から成る車輪出力、及び入力軸と車輪軸との間の中間軸を有し、
前記中間軸が、関連するクラッチの制御に応答して可逆的に動作して車輪の回転を逆転する
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項13】
さらに、車輪の動きを阻止する選択可能なブレーキを備え、
駆動系の入力が、各々、ウォーム駆動歯車減速機からの出力を有し、
各入力が、第一方向に回転可能である第一歯車及び第一方向と反対方向に回転可能である第二歯車に連結されるものであり、
関連するクラッチが、第一及び第二歯車からの駆動力を、車輪に選択的に連結する第一及び第二歯車と関連付けされ、
駆動系が、入力軸、各々車輪軸から成る車輪出力、及び入力軸と車輪軸との間の中間軸を有し、
前記中間軸が、関連するクラッチの制御に応答して可逆的に動作して車輪の回転を逆転し、
前記中間軸が、チェーン及びスプロケットによって入力軸及び車輪出力に連結される
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項14】
前記制御装置が、遠隔制御受信機及び該受信機の下流にあるスイッチングネットワークを備え、
前記スイッチングネットワークが、前記受信機を介した使用者からのリアルタイムの遠隔制御又は予め記憶された時限シーケンスに応答する
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項15】
前記クラッチがクラッチハウジングを有し、かつ、
歯車又はスプロケットを有する改良されたクラッチハウジングを備え、
前記改良が、ハウジングを準備し、準備したハウジングに歯車又はスプロケットを溶接又は他の方法で固定することから成る
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項16】
ウォーム駆動装置及び各車軸を中心に回転する各回転軸を有する車輪を備え、
各駆動系が、ウォーム駆動装置からの出力から成る入力部を備え、
ウォーム駆動装置からの出力が、ウォーム回転軸を中心に、ウォーム駆動回転方向に回転するものであり、
前記入力部が、ウォーム駆動装置と同じ方向に回転可能で、かつ、これと協働する平歯車を有し、
第二歯車が、前記平歯車と噛み合い、平歯車と反対方向に回転し、
ウォーム駆動装置、平歯車及び第二歯車が、通常、車輪から切り離されているが、車両が静止している時には回転しており、
関連するクラッチが、軸線方向に延びる平歯車軸に沿って平歯車と軸線方向に整列される平歯車関連クラッチと、第二歯車に軸線方向に整列する第二歯車関連クラッチとを備え、
車軸間の中間軸を備え、
第二歯車が、中間軸を中心に独立して回転するようにベアリングにジャーナル軸受けされ、
第二歯車関連クラッチが、第二歯車を中間軸に接続するよう動作可能であり、
平歯車関連クラッチが、軸間の連結具を介して平歯車を中間軸に連結するよう動作可能であり、
中間軸が、歯車からの駆動力を、クラッチ及び中間軸を介して車輪に伝達するために車軸に連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項17】
ウォーム駆動装置及び各車軸を中心に回転する各回転軸を有する車輪を備え、
各駆動系が、ウォーム駆動装置からの出力から成る入力部を備え、
ウォーム駆動装置からの出力が、ウォーム回転軸を中心に、ウォーム駆動回転方向に回転するものであり、
前記入力部が、ウォーム駆動装置と同じ方向に回転可能で、かつ、これと協働する平歯車を有し、
第二歯車が、前記平歯車と噛み合い、平歯車と反対方向に回転し、
ウォーム駆動装置、平歯車及び第二歯車が、通常、車輪から切り離されているが、車両が静止している時には回転しており、
関連するクラッチが、軸線方向に延びる平歯車軸に沿って平歯車と軸線方向に整列される平歯車関連クラッチと、第二歯車に軸線方向に整列する第二歯車関連クラッチとを備え、
車軸間の中間軸を備え、
第二歯車が、中間軸を中心に独立して回転するようにベアリングにジャーナル軸受けされ、
第二歯車関連クラッチが、第二歯車を中間軸に接続するよう動作可能であり、
平歯車関連クラッチが、軸間の連結具を介して平歯車を中間軸に連結するよう動作可能であり、
中間軸が、歯車からの駆動力を、クラッチ及び中間軸を介して車輪に伝達するために車軸に連結され、
各クラッチが、クラッチハウジングを有し、かつ、歯車又はスプロケットを有する改良されたクラッチハウジングを備え、
前記改良が、ハウジングを準備し、準備したハウジングに歯車又はスプロケットを溶接するか、又は他の方法で固定することから成る
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項18】
ウォーム駆動装置及び各車軸を中心に回転する各回転軸を有する車輪を備え、
各駆動系が、ウォーム駆動装置からの出力から成る入力部を備え、
ウォーム駆動装置からの出力が、ウォーム回転軸を中心に、ウォーム駆動回転方向に回転するものであり、
前記入力部が、ウォーム駆動装置と同じ方向に回転可能で、かつ、これと協働する平歯車を有し、
第二歯車が、前記平歯車と噛み合い、平歯車と反対方向に回転し、
ウォーム駆動装置、平歯車及び第二歯車が、通常、車輪から切り離されているが、車両が静止している時には回転しており、
関連するクラッチが、軸線方向に延びる平歯車軸に沿って平歯車と軸線方向に整列される平歯車関連クラッチと、第二歯車に軸線方向に整列する第二歯車関連クラッチとを備え、
車軸間の中間軸を備え、
第二歯車が、中間軸を中心に独立して回転するようにベアリングにジャーナル軸受けされ、
第二歯車関連クラッチが、第二歯車を中間軸に接続するよう動作可能であり、
平歯車関連クラッチが、軸間の連結具を介して平歯車を中間軸に連結するよう動作可能であり、
中間軸が、歯車からの駆動力を、クラッチ及び中間軸を介して車輪に伝達するために車軸に連結され、
駆動源が、駆動力取出部を有する内燃機関エンジンから成り、
切断刃アッセンブリが取り出された駆動力によって直接又は間接的にそれを駆動する入力部を備え、
ウォーム駆動装置が、取り出された駆動力によって直接又は間接的にそれを駆動する入力部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項19】
ウォーム駆動装置及び各車軸を中心に回転する各回転軸を有する車輪を備え、
各駆動系が、ウォーム駆動装置からの出力から成る入力部を備え、
ウォーム駆動装置からの出力が、ウォーム回転軸を中心に、ウォーム駆動回転方向に回転するものであり、
前記入力部が、ウォーム駆動装置と同じ方向に回転可能で、かつ、これと協働する平歯車を有し、
第二歯車が、前記平歯車と噛み合い、平歯車と反対方向に回転し、
ウォーム駆動装置、平歯車及び第二歯車が、通常、車輪から切り離されているが、車両が静止している時には回転しており、
関連するクラッチが、軸線方向に延びる平歯車軸に沿って平歯車と軸線方向に整列される平歯車関連クラッチと、第二歯車に軸線方向に整列する第二歯車関連クラッチとを備え、
車軸間の中間軸を備え、
第二歯車が、中間軸を中心に独立して回転するようにベアリングにジャーナル軸受けされ、
第二歯車関連クラッチが、第二歯車を中間軸に接続するよう動作可能であり、
平歯車関連クラッチが、軸間の連結具を介して平歯車を中間軸に連結するよう動作可能であり、
中間軸が、歯車からの駆動力を、クラッチ及び中間軸を介して車輪に伝達するために車軸に連結され、
駆動源が、駆動力取出部を有する内燃機関エンジンから成り、
切断刃アッセンブリが取り出された駆動力によって直接又は間接的にそれを駆動する入力部を備え、
ウォーム駆動装置が、取り出された駆動力によって直接又は間接的にそれを駆動する入力部を有し、
車両が、前部及び後部を有し、低重心に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【請求項20】
制御装置が、遠隔制御受信機及び該受信機の下流にあるスイッチングネットワークを備え、
前記スイッチングネットワークが、受信機を介した使用者からのリアルタイムの遠隔制御又は予め記憶された時限シーケンスに応答し、
車両が、
ウォーム駆動装置及び各車軸を中心に回転する各回転軸を有する車輪を備え、
各駆動系が、ウォーム駆動装置からの出力から成る入力部を備え、
ウォーム駆動装置からの出力が、ウォーム回転軸を中心に、ウォーム駆動回転方向に回転するものであり、
前記入力部が、ウォーム駆動装置と同じ方向に回転可能で、かつ、これと協働する平歯車を有し、
第二歯車が、前記平歯車と噛み合い、平歯車と反対方向に回転し、
ウォーム駆動装置、平歯車及び第二歯車が、通常、車輪から切り離されているが、車両が静止している時には回転しており、
関連するクラッチが、軸線方向に延びる平歯車軸に沿って平歯車と軸線方向に整列される平歯車関連クラッチと、第二歯車に軸線方向に整列する第二歯車関連クラッチとを備え、
車軸間の中間軸を備え、
第二歯車が、中間軸を中心に独立して回転するようにベアリングにジャーナル軸受けされ、
第二歯車関連クラッチが、第二歯車を中間軸に接続するよう動作可能であり、
平歯車関連クラッチが、軸間の連結具を介して平歯車を中間軸に連結するよう動作可能であり、
中間軸が、歯車からの駆動力を、クラッチ及び中間軸を介して車輪に伝達するために車軸に連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業等の環境で使用され得る自己駆動式の車両に関し、また、例えば、草刈機、スラッシャー及び刈払機等の自走式の車輪付き切断機、特に、限定するものではないが、デッキ搭載回転刃式草刈機又はスラッシャー等の切断機のような種類の車両での使用に適した駆動系に関する。
【背景技術】
【0002】
自己駆動車両及び遠隔操作車両は周知である。これらの車両は月や火星でも使用されている。最近では、自己駆動型又はロボット型の草刈機が知られているが、一般的に言うと、これらは、特に頑丈ではなく、機構が複雑であり、かつ、典型的な農業での切断及び刈込作業によって特徴付けられるような厳しい環境や過酷な条件には向いていない。
【0003】
出願人は、長年にわたりこの分野で研究を続けており、本願の発明者によって発明されたオリジナルのプロトタイプ草刈機は、オーストラリア特許出願1990-60903号に開示されている。しかし、この草刈機は、部分的に、別々の電気モータ駆動を使用しており、駆動制御は、ウォーム歯車の駆動方向を制御するための機械的なリミットスイッチと連動していた。そのため、モータの切り替えやハンチングに起因した不規則な駆動やトルクの問題が生じていた。本発明は、電気制御に適した純粋な機械的駆動システムを使用する完全に異なる方法を採用し、それにより、高トルクを提供し、さらに重要なことにシンプルであるためメンテナンスが少なくて済み、寿命が長く、かつ、全体的に信頼性が高く、より頑丈であり、制御を非常に簡単にするものである。
【0004】
自動又は半自動駆動装置を備えた自己駆動型草刈機の様々な構造に関する最近の特許の例を以下に示す。これらの特許から開発の傾向が複雑化に向かっていることが分かる。
【0005】
米国特許第4964265号は、本願の出願人が先に提案した草刈機と同様に、電気モータを用いた無線制御式草刈機を開示している。この無線制御式草刈機は、制御電子機器に相対的な複雑さが必要となる。欧州特許第EP 3791708号は、車輪駆動装置と、車輪が実質的に多方向キャスターである車輪方向駆動装置とを有する複合式電気駆動装置を開示しており、この構造は、効率を高めると言われている。米国特許第7418328号には、各車輪用に二つの電気モータを使用した、同様の車輪及び駆動装置が採用されている。米国特許第7024842号は、車輪毎に二つの電気モータを使用している。方向制御の他のアプローチは、経路を記憶しておくこと、又は、草刈機を、先のセルビッジライン若しくは何らかの地中ワイヤを追跡するようにすることである。例えば、米国特許第5204814号では、記憶した経路に基づく一次ナビゲーションと、地中ワイヤを介して二次ナビゲーションとを使用している。この草刈機は、二つの電気モータを使用している。
【0006】
これらの公知の装置の問題点は、機械的構造と制御電子機器との両方が複雑であることである。
【0007】
本発明の目的は、耐久性があり、長持ちし、実質的にメンテナンスフリーで、過酷な条件下での動作に適した、堅牢な車両、比較的簡単な駆動装置及び制御構造を提供することにある。
【発明の概要】
【0008】
一態様においては、遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両であって、
前記車両が、四つの車輪と、車載駆動源と車輪との間の左右の駆動系とを有し、
前記駆動系が、四つの車輪に全輪駆動力を供給し、
前記四つの車輪が、二つの右側車輪と二つの左側車輪とから成り、
前記駆動系が、各対の軸、歯車及び軸を連結する連結部を有し、
各駆動系が、入力部及び各車輪用の出力部を有し、
各駆動系が、各々関連する電磁クラッチ及びクラッチ制御装置を有し、
前記クラッチが、クラッチ制御装置の操作によって、車両の前進、後進及び回転動作のために選択的に係合される
ことを特徴とする遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両が提供される。
車輪の制御は、好ましくは、対向する側の車輪の対を反対方向に回転する、その場旋回を含む旋回運動を提供するようにされる。車両は、前部及び後部を有し、低重心で構成される。典型的には、後部が高く、前部が低くされる。
【0009】
好ましくは、車両は、車輪の動きを停止させる選択可能なブレーキをさらに備え、
前記駆動系への入力が、各々、ウォーム駆動歯車減速機を備え、
各入力が、第一方向に回転可能な第一歯車と、第一歯車と反対方向に回転可能な第二歯車とに接続され、
関連するクラッチが、第一及び第二歯車からの駆動力を選択的に車輪に接続するように第一及び第二歯車に接続される。
典型的には、第一歯車は逆転歯車であり、第二歯車が前進歯車である。
【0010】
一形態においては、関連するクラッチが、右側クラッチ及び左側クラッチの対を有し、
駆動系が、入力軸を有する入力と、各車輪軸を備えた車輪出力と、入力軸及び車輪軸との間の中間軸とを有し、
前記中間軸が、関連するクラッチの制御に応答して可逆的に動作して車輪の回転を逆転する。
車両が、草刈りや刈払いに用いられる場合、典型的に歯、駆動系への入力部の上流に切断刃軸の駆動力取り出し部が設けられる。
【0011】
車輪の動きを停止させる選択可能なブレーキを備え、関連するクラッチが四つのクラッチを有する場合、車両の動作及びクラッチ制御は、以下の真理値表に従って行われる。
【0012】
典型的には、前記クラッチは、前進方向右側クラッチ、前進方向左側クラッチ、後退方向右側クラッチ及び後退方向左側クラッチからなり、それぞれ前進クラッチ係合可能軸及び後方に位置する可逆軸があり、前記可逆軸が連結チェーンを介して対抗する車輪軸に連結されている。可逆軸は、通常、各車軸間に位置する中間軸である。典型的には、この可逆軸は、チェーン及びスプロケットを介して車軸と連動して回転する。
【0013】
典型的には、車輪の動作を阻止する選択可能なブレーキは、右側ブレーキクラッチ及び左側ブレーキクラッチによって提供される。
【0014】
好ましい形態では、車輪の動きを阻止する選択可能なブレーキを備え、
駆動系の入力が、各々、ウォーム駆動歯車減速機からの出力を有し、
各入力が、第一方向に回転可能である第一歯車及び第一方向と反対方向に回転可能である第二歯車に連結されるものであり、
関連するクラッチが、第一及び第二歯車からの駆動力を、車輪に選択的に連結する第一及び第二歯車と関連付けされ、
駆動系が、入力軸、各々車輪軸から成る車輪出力、及び入力軸と車輪軸との間の中間軸を有し、
前記中間軸が、関連するクラッチの制御に応答して可逆的に動作して車輪の回転を逆転するように構成された
遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両が提供される。
【0015】
別の好ましい形態では、車輪の動きを阻止する選択可能なブレーキを備え、
駆動系の入力が、各々、ウォーム駆動歯車減速機からの出力を有し、
各入力が、第一方向に回転可能である第一歯車及び第一方向と反対方向に回転可能である第二歯車に連結されるものであり、
関連するクラッチが、第一及び第二歯車からの駆動力を、車輪に選択的に連結する第一及び第二歯車と関連付けされ、
駆動系が、入力軸、各々車輪軸から成る車輪出力、及び入力軸と車輪軸との間の中間軸を有し、
前記中間軸が、関連するクラッチの制御に応答して可逆的に動作して車輪の回転を逆転し、
前記中間軸が、チェーン及びスプロケットによって入力軸及び車輪出力に連結されるように構成された
遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両が提供される。
【0016】
各実施形態において、好ましくは、前記制御装置は、遠隔制御受信機及び該受信機の下流にあるスイッチングネットワークを備え、
前記スイッチングネットワークは、前記受信機を介した使用者からのリアルタイムの遠隔制御又は予め記憶された時限シーケンスに応答する。
【0017】
費用対効果の高い実施形態では、前記クラッチがクラッチハウジングを有し、かつ、
歯車又はスプロケットを有する改良されたクラッチハウジングを備え、
前記改良は、ハウジングを準備し、準備したハウジングに歯車又はスプロケットを溶接又は他の方法で固定することから成る。
【0018】
ウォーム駆動装置及び各車軸を中心に回転する各回転軸を有する車輪を備えた車両においては、
各駆動系が、ウォーム駆動装置からの出力から成る入力部を備え、
ウォーム駆動装置からの出力が、ウォーム回転軸を中心に、ウォーム駆動回転方向に回転するものであり、
前記入力部が、ウォーム駆動装置と同じ方向に回転可能で、かつ、これと協働する平歯車を有し、
第二歯車が、前記平歯車と噛み合い、平歯車と反対方向に回転し、
ウォーム駆動装置、平歯車及び第二歯車が、通常、車輪から切り離されているが、車両が静止している時には回転しており、
関連するクラッチが、軸線方向に延びる平歯車軸に沿って平歯車と軸線方向に整列される平歯車関連クラッチと、第二歯車に軸線方向に整列する第二歯車関連クラッチとを備え、
車軸間の中間軸を備え、
第二歯車が、中間軸を中心に独立して回転するようにベアリングにジャーナル軸受けされ、
第二歯車関連クラッチが、第二歯車を中間軸に接続するよう動作可能であり、
平歯車関連クラッチが、軸間の連結具を介して平歯車を中間軸に連結するよう動作可能であり、
中間軸が、歯車からの駆動力を、クラッチ及び中間軸を介して車輪に伝達するために車軸に連結されている。
【0019】
ウォーム駆動装置及び各車軸を中心に回転する各回転軸を有する車輪を備え、
さらに好ましい形態では、
各駆動系が、ウォーム駆動装置からの出力から成る入力部を備え、
ウォーム駆動装置からの出力が、ウォーム回転軸を中心に、ウォーム駆動回転方向に回転するものであり、
前記入力部が、ウォーム駆動装置と同じ方向に回転可能で、かつ、これと協働する平歯車を有し、
第二歯車が、前記平歯車と噛み合い、平歯車と反対方向に回転し、
ウォーム駆動装置、平歯車及び第二歯車が、通常、車輪から切り離されているが、車両が静止している時には回転しており、
関連するクラッチが、軸線方向に延びる平歯車軸に沿って平歯車と軸線方向に整列される平歯車関連クラッチと、第二歯車に軸線方向に整列する第二歯車関連クラッチとを備え、
車軸間の中間軸を備え、
第二歯車が、中間軸を中心に独立して回転するようにベアリングにジャーナル軸受けされ、
第二歯車関連クラッチが、第二歯車を中間軸に接続するよう動作可能であり、
平歯車関連クラッチが、軸間の連結具を介して平歯車を中間軸に連結するよう動作可能であり、
中間軸が、歯車からの駆動力を、クラッチ及び中間軸を介して車輪に伝達するために車軸に連結され、
各クラッチが、クラッチハウジングを有し、かつ、歯車又はスプロケットを有する改良されたクラッチハウジングを備え、
前記改良が、ハウジングを準備し、準備したハウジングに歯車又はスプロケットを溶接するか、又は他の方法で固定することから成る
遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両が提供される。
【0020】
任意の適切な動力源が使用され得るが、典型的には切断装置として使用する場合、好ましくは、駆動源が、駆動力取出部を有する内燃機関エンジンから成り、
切断刃アッセンブリが取り出された駆動力によって直接又は間接的にそれを駆動する入力部を備え、
ウォーム駆動装置が、取り出された駆動力によって直接又は間接的にそれを駆動する入力部を有する。
【0021】
特に好ましい形態においては、
制御装置が、遠隔制御受信機及び該受信機の下流にあるスイッチングネットワークを備え、
前記スイッチングネットワークが、受信機を介した使用者からのリアルタイムの遠隔制御又は予め記憶された時限シーケンスに応答し、
車両が、
ウォーム駆動装置及び各車軸を中心に回転する各回転軸を有する車輪を備え、
各駆動系が、ウォーム駆動装置からの出力から成る入力部を備え、
ウォーム駆動装置からの出力が、ウォーム回転軸を中心に、ウォーム駆動回転方向に回転するものであり、
前記入力部が、ウォーム駆動装置と同じ方向に回転可能で、かつ、これと協働する平歯車を有し、
第二歯車が、前記平歯車と噛み合い、平歯車と反対方向に回転し、
ウォーム駆動装置、平歯車及び第二歯車が、通常、車輪から切り離されているが、車両が静止している時には回転しており、
関連するクラッチが、軸線方向に延びる平歯車軸に沿って平歯車と軸線方向に整列される平歯車関連クラッチと、第二歯車に軸線方向に整列する第二歯車関連クラッチとを備え、
車軸間の中間軸を備え、
第二歯車が、中間軸を中心に独立して回転するようにベアリングにジャーナル軸受けされ、
第二歯車関連クラッチが、第二歯車を中間軸に接続するよう動作可能であり、
平歯車関連クラッチが、軸間の連結具を介して平歯車を中間軸に連結するよう動作可能であり、
中間軸が、歯車からの駆動力を、クラッチ及び中間軸を介して車輪に伝達するために車軸に連結されている
遠隔制御式又は自律運転自己駆動式車両が提供される。
【0022】
本発明には多くの用途があり、一つの用途は、切断刃アセンブリを備えた遠隔制御式又は自律運転式車両であり、この場合、車両及びアセンブリは、草刈又は刈込操作に適合されている。遠隔操作中、使用者は、連続可変式の前進/後進及び左右ジョイスティック又は制御パット上の同等の手段を操作し、クラッチがON/OFF操作を有するにも拘わらず、制御電子機器は、外観及び操作の感触の点で、操作が事実上連続であるように構成される。
本発明をより容易に理解し、実施するために、以下に本発明の好ましい実施形態を示す図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施例による無線制御式切断機の使用状態を示す図である。
図2】切断機の背面から見た図である。
図3】切断機の正面から見た図である。
図4】切断機の底面図である。
図5A】カバーを外した状態の駆動装置を示す図である。
図5B図5Aによる各クラッチと車両運動との真理値表である。
図6A】その場で旋回する状態を、車輪の方向と共に示す図である。
図6B】その場で旋回する状態を、車輪の方向と共に示す図である。
図7】右側の車輪及び駆動系のより詳細な拡大図である(左側は部分的に示されている)。
図8図1によるクラッチリレーの無線制御のための典型的なオンボードスイッチング及びリレー構造を示す図である。
図9】左側の駆動系を示す部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
最初に図1図4を参照すると、図面には、低背で低重心の車輪付き切断装置10が示されており、該切断装置10は、受信アンテナ11を有し、かつ、この実施例では、図1において、50度の斜面12で動作している。オペレータ13は、送信アンテナ15を有する手持ち式無線制御コマンドパネル14を介して装置10を制御している。
【0025】
本実施例における装置10は、草刈機/スラッシャーであり、かつ、本体16、取り外し可能なカバー17、リアハンドル18及び全地形型車輪19を有する堅牢な構造である。本実施例においては、車輪は、約13インチ×5インチ×6インチであり、適当なトレッドを有する。本実施例では、装置は、全輪駆動であり、重量は約120kgである。この装置は、低重心となる低背であるため、図面に示すような比較的急な斜面でも使用することができる。この実施例では、動力源であるIC16HPガソリンエンジン20は、直径32インチの切断刃ディスク21の唯一の駆動源であり、そのテイクオフを経て、駆動系を通じてウォーム駆動減速機を介して車輪19の前進、後退及びスキッドステア操作が行われる。他の歯車減速機構を、駆動系への入力に使用することもできる。以下に、ウォーム駆動の例及び駆動系について、より詳細に説明していく。
【0026】
切断刃ディスクの位置は、高さ調節可能にしてもよいが、本実施例の主な用途は、刈り取った草の収集よりもむしろ切断及び仮払いであるので、農村又は半農村環境で広い領域を切断するこれらの状況では、高さの調節に大きな利点ではなく、実際には保守費用を増加させることになることは理解される。勿論、高さ調節が望ましい場合は、この実施例では、可撓性駆動チェーンを使用しているので、車軸を上下させることにより、通常の技術に従って高さ調節を容易に組み込むことができる。
【0027】
図5Aは、六つの電磁クラッチを使用する車輪の駆動制御を示している。前進、後進及び旋回動作において全ての車輪が駆動される。これにより、対向する車輪を同時に反対方向に駆動すると、非常にタイトな360度のスポット旋回が可能となる。この実施例では、クラッチは12Vのエアコンによく使われるヨークコンプレッサークラッチを改造したものである。これは、既存の技術を簡単に変更できる、非常にコスト効率の高い選択である。
【0028】
この車両は、比較的低い前部22と、それより高い後部23とを有している。右前輪24、左前輪25、右後輪26、及び左後輪27を備えている。車輪への駆動力は、ベルト及びプーリ28(切断ディスクプーリ)と、全体の減速が車輪で約90rpmになるようにするデュアル出力ウォーム歯車減速機の各出力軸29及び30とを介して、内燃機関エンジン20から取り出される。
【0029】
この車両では、六つの磁気クラッチ、即ち、左右に三つの磁気クラッチが用いられている。このうち、車輪への駆動に関係するクラッチは四つだけである。逆方向右側クラッチ31、逆方向左側クラッチ32、順方向右側クラッチ33及び順方向左側クラッチ34があり、この実施例では、選択式ブレーキとして、右側ブレーキクラッチ35及び左側ブレーキクラッチ36が設けられている。図5Bの真理値表から分かるように、クラッチの動作は、前進、後退、各側の車輪が反対方向に回転するその場での有効角度旋回動作(図6A(時計周り)及び図6B(半時計周り)を参照)を提供する。順方向クラッチ及び逆方向クラッチを切り、両方のブレーキクラッチを各車輪軸及び関連する駆動チェーンを介してすべての車輪に適用することで安全位置になる。
【0030】
一般的に言えば、真理値表に従って時間コードを送信する任意の構成であれば、オンボードプログラムシーケンスであるか、遠隔制御又は他の信号送信方法であるかにかかわらず、車両を制御することができる。
【0031】
したがって、本明細書における無線制御の実施例は、非限定的であることを理解されたい。他の自律駆動及び/又は遠隔制御は、GPS、携帯電話アプリケーション、学習、記録及び再生モードを含む任意の公知のナビゲーションを含み得る。手持ち式遠隔装置からの保存及び再生があってもよい。この意味で、車両は、最初は、教師又は学習モードであり得、その後、図5Bの真理値表に従った時間シーケンスが、記録された開始位置と記録された目的地との間のナビゲーションシーケンスを繰り返すために再生され得る。図8に示すような無線制御の実施例の場合、図5Bの真理値表の変形を実現するために、前進/後退サーボ及びスイッチアセンブリ37と、左/右旋回サーボ及びスイッチアセンブリ38を備えた形態のスイッチングネットワークが用いられる。スイッチングは、図8の実施例のような機械的スイッチによって、論理スイッチ若しくはソリッドステートスイッチによって、又は出力を真理値表の要件に合わせるようにプログラムされたマイクロコントローラベースの回路によって提供され得る。この動作および駆動系の詳細については、以下でさらに詳しく説明する。
【0032】
図7は、より詳細を示す拡大断面図である。図5Aに示すように、右側及び左側の駆動系は、右側アセンブリ39及び左側アセンブリ40の両方において、軸、ベアリング、クラッチ、歯車及びチェーンを同じ配置で使用する実質的に同一の構成である。
【0033】
以下の説明は、右側アセンブリ39についての説明であるが、左側も同じ構成である。アセンブリ39は、適切なブラケット、継手、チェーン、ベルト及びチェーンテンショナを備え、ウォーム歯車出力軸29は、逆方向平歯車41(歯車の上に方向矢印が示されている)の第一歯車を支持し、かつ、クラッチ31まで延びている。クラッチ31は、出力チェーンスプロケット42と、中間可逆軸45上のチェーンスプロケット44に掛け渡された逆方向チェーン43を有し、可逆軸45はベアリング46及び47にジャーナル軸受けされている。チェーンスプロケット48及び49は、それぞれチェーン52及び53を介して車輪チェーンスプロケット50及び51に駆動力を供給する。同じ結果を得る他の駆動系を使用することもできる。
【0034】
平歯車41はウォーム駆動と連動して動き、同じ大きさの歯車である第二歯車54と噛み合っているので、クラッチ31を切り、クラッチ33をつなぐと、車輪はすべて前進方向に回転する。ブレーキクラッチは切り離されている。チェーンテンショナ及びベルトテンショナは通常の方法で設けられている。プーリ55の上方にはファンブレード56が、プーリ57の下方にはファンブレード58が設置されている。この配置では、歯車41及び54は、常にウォーム歯車と協働して回転している。各クラッチ31及び33は、スプロケット42及び歯車54をクラッチハウジングに溶接したものに変更されている。ヨーク・クラッチの場合は、プーリー・ホイールだったものを機械加工して、それに合った内面加工された歯車やスプロケットが取り付けられる(図9参照)。
【0035】
図7のその他の特徴として、12Vバッテリ59及びスイッチボックス60がある。図面を明確にするために、これらの配線は省略されているが、図8の概略図に示されている。
【0036】
図8の実施例では、サーボ機構37及び38が、クラッチ制御のためにサーキットブレーカを作動させるものとして示されている。サーボ機構37は前進及び後進用であり、サーボ機構38は左右方向用である。10個のリレーからなるリレーバンク60があり、これらのリレーは、ブレーキリレー61及び62が閉じている以外は、電源投入時に全て通常開状態になっている。従って、電源投入時及びニュートラル時には、全ての軸が切り離され、ブレーキが係合している。4個のサーキットブレーカ63,64,65及び66は、一極の入力と二つの出力を有し、サーボ機構は、受信機67を介して制御される。受信機67は、6V電源68を有し、全ての制御が順次実行され、無線制御パネル14を使用してオペレータによって制御される。無線制御パネルによって制御される回路ブレーカー、リレー及びサーボ機構は、図5Bの真理値表を実現するように図8に示すよう構成されている。機械的スイッチ類のこの特定の配置は任意であるので、特定の接続及びスイッチングを詳細に説明する必要はなく、当業者は容易にその動作を理解することができる。全体的な効果としては、次のような動作が実現され、かつ、次の動作は、リモコンとサーボ機構の感度に合わせられている。ブレーキは、サーキットブレーカの操作に対応して瞬時に作動及び解除される。
しかし、左右の旋回制御を行いながら前進又は後退の操作をした場合、車輪の一セットだけが制御によって右又は左に上書きされることになり、他のセットは単に回転し続けるので、360度までの任意の角度までその場で旋回し、サーボ機構のアーム、スイッチ及びリレーの特性によって閾値を設定したスイッチ及びリレーが介入しても、実質的には連続制御と同じように感じることは理解できるはずである。
【0037】
図9には、チェーン43を省略した部品が示されている。同一の符号は、同様の構成要件を示している。使用しているクラッチは同一の12V電磁クラッチであり、同一の符号は同様の構成要件を示している。クラッチハウジング68は、クラッチベアリング69上で回転し、各場合にクラッチを係合及び離脱させるために使用されるクラッチプレートアセンブリ70を有する。起動コイル、即ち、ソレノイドは、符号71で示されている。ハウジング68は、歯車又はスプロケット用に機械加工されている。歯車54は、その対応するハウジングに溶接されている。スプロケット42は、その対応するハウジングに溶接されている。クラッチ及びスプロケットアセンブリ31のクラッチプレート69は、軸29に固定されている。軸29は矢印72の方向に回転する。ブレーキクラッチ35及び36を整備できるように、取り外し可能なアクセスパネルが各側面に設けられている。
【0038】
上記した説明は実施例であり、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の広い範囲から逸脱することなく、多くの変形及び改良が当業者には明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
【外国語明細書】