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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095570
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】非空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/10 20060101AFI20220621BHJP
   B60C 3/04 20060101ALI20220621BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20220621BHJP
   B60C 7/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B60C7/10 Z
B60C3/04 Z
B60C15/06 B
B60C7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021202495
(22)【出願日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】63/126248
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/452671
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル レイ ドウニング
(72)【発明者】
【氏名】ネイト エドワード イエンショ
(72)【発明者】
【氏名】フランク アンソニー カミチック
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ステファン スクリッチ
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA33
3D131AA34
3D131AA35
3D131AA39
3D131BA04
3D131BA05
3D131BB19
3D131CA03
3D131DA15
3D131DA34
3D131DA43
3D131GA11
3D131HA32
3D131HA35
3D131HA36
3D131HA38
3D131LA40
(57)【要約】
【課題】空気膨張を必要としない、空気入りタイヤの全ての特徴を有する改良された非空気圧タイヤを提供する。
【手段】第1および第2のビードリングを有するホイールを有する非空気入りタイヤとリムの組立体であって、非空気入りタイヤは、クラウン領域と第1および第2のサイドウォール領域とを有し、前記第1および第2のサイドウォール領域はそれぞれ、クラウンから伸び、第1および第2のそれぞれのビード領域内に終端し、前記第1および第2のビード領域はそれぞれ、前記第1および第2のビードリングに装着され、各ビード領域は、前記ホイールに装着されたときに、前記非空気入りタイヤの前記クラウン領域の軸方向外側に位置し、前記非空気入りタイヤは、前記第1のビード領域から前記第2のビード領域に延びる補強プライをさらに含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のビードリングを有するホイールと、
クラウン領域と第1および第2のサイドウォール領域とを有する非空気入りタイヤと、を有し、
前記第1および第2のサイドウォール領域はそれぞれ、クラウンから延び、第1および第2のビード領域内に終端し、前記第1および第2のビード領域はそれぞれ、前記第1および第2のビードリングに装着され、
各ビード領域は、前記ホイールに装着されたときに、前記非空気入りタイヤの前記クラウン領域の軸方向外側に位置し、前記非空気入りタイヤは、前記第1のビード領域から前記第2のビード領域に延びる補強プライをさらに含むことを特徴とする非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項2】
前記補強プライは、複数の平行な補強コードを含むことを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項3】
前記補強コードは、半径方向に向けられていることを特徴とする、請求項2に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項4】
前記第1および第2のビードリングの間が軸方向に調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項5】
前記第1および第2のビードリングの間が軸方向に拡張可能であることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項6】
各サイドウォールは、補強プライの二重層を有することを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項7】
前記補強プライは、第1のプライ端部と第2のプライ端部を有し、前記第1および第2のプライ端部が、タイヤのクラウン部分に位置することを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項8】
前記サイドウォールは、前記リムの水平面に対して角度αで傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項9】
前記角度αが10~40度の範囲にあることを特徴とする、請求項8に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項10】
各ビード領域は、エイペックスをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項11】
各サイドウォールは、引張状態となるように予め力が掛けられることを特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項12】
第1および第2のホイールフランジを有するリムと、
クラウン領域と第1および第2のサイドウォール領域とを有する非空気入りタイヤと、を有し、
前記第1および第2のサイドウォール領域はそれぞれ、クラウンから伸び、第1および第2のビード領域内に終端し、前記第1および第2のビード領域はそれぞれ、前記第1および第2のホイールフランジに装着され、
各サイドウォール部は、ホイールに装着されたときに、引張状態となるように予め力が掛けられ、前記非空気入りタイヤは、前記第1のビード領域から前記第2のビード領域に延びる補強プライをさらに含むことを特徴とする非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項13】
下部サイドウォール部は、エイペックスの軸方向外側に位置するリブ補強材を有することを特徴とする、請求項12に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項14】
前記エイペックスは、ASTM D5289に従って1%歪みでかつ100oCで測定した剪断貯蔵弾性率G’が14~43MPaの範囲である硬質材料で形成されることを特徴とする、請求項12に記載の非空気入りタイヤとリムの組立体。
【請求項15】
第1および第2のホイールフランジを有するリムと、
クラウン領域と第1および第2のサイドウォール領域とを有する非空気入りタイヤと、を有し、
前記第1および第2のサイドウォール領域はそれぞれ、クラウンから伸び、第1および第2のビード領域内に終端し、前記第1および第2のビード領域はそれぞれ、前記第1および第2のホイールフランジに装着され、
各ビード領域は、ホイールに装着されたときに、前記非空気入りタイヤのショルダ領域の軸方向外側に位置することを特徴とする非空気入りタイヤとリムの組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、車両用タイヤに関し、より詳細には、非空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、1世紀以上にわたり車両の移動のために選らばれた解決策である。空気入りタイヤは引張り構造である。空気入りタイヤは、今日、空気入りタイヤをきわめて優位なものとした少なくとも4つの特性を有している。空気入りタイヤは、タイヤ構造の全てが荷重を支えることに関与するので、効率的に荷重を支持できる。空気入りタイヤはまた、接触圧力が低く、その結果、車両の荷重の分散により道路の摩耗がより少なくなるので望ましい。また、空気入りタイヤは剛性が低いため、車両における快適な乗り心地が確保される。空気入りタイヤの主な欠点は、圧縮流体を必要とすることである。従来の空気入りタイヤは、膨張圧力が完全に失われた後には役に立たなくなる。
【0003】
膨張圧力なしで作動するように設計されたタイヤは、空気入りタイヤに関連する多くの課題および妥協を排除することができる。圧力維持も圧力監視も不要である。現在まで、ソリッドタイヤまたは他のエラストマー構造のような構造的に支持されたタイヤは、従来の空気入りタイヤで要求される性能レベルを提供していなかった。空気入りタイヤのような性能を果たす構造的に支持されたタイヤの解決策は、望ましい改善であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非空気入りタイヤは、通常、その耐荷重効率によって定義される。「ボトムローダ」は、本質的に、ハブの下方の構造物の部分で荷重の大部分を支える剛構造である。「トップローダ」は、構造物の全てが荷重を支えることに関与するように設計されている。このように、トップローダは、ボトムローダよりも耐荷重効率が高く、より軽量な設計が可能である。
【0005】
したがって、空気膨張が必要になるという欠点を除いて空気入りタイヤの全ての特徴を有する改良された非空気入りタイヤが望まれており、その非空気入りタイヤは好ましくは「トップローダ」である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は第1の態様において、第1および第2のホイールフランジを有するリムと、クラウン領域と第1および第2のサイドウォール領域とを有する非空気入りタイヤと、を有し、前記第1および第2のサイドウォール領域はそれぞれ、クラウンから延び、第1および第2のそれぞれのビード領域内に終端し、前記第1および第2のビード領域はそれぞれ、前記第1および第2のホイールフランジに装着され、各ビード領域は、ホイールに装着したときに、前記非空気入りタイヤの前記クラウン領域の軸方向外側に位置し、前記非空気入りタイヤは、前記第1のビード領域から前記第2のビード領域に延びる補強プライをさらに含む、非空気入りタイヤとリムの組立体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、以下の説明および添付の図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。
図1】本発明のホイールリム上に装着された非空気入りタイヤの第1の実施形態の斜視図である。
図2図1の非空気入りタイヤの拡大斜視図である。
図3図1の非空気入りタイヤの断面図である。
図4図1の非空気入りタイヤのベルトパッケージの一部の拡大断面図である。
図5】ホイールリムに装着された図1のタイヤの断面図である。
図6】タイヤの断面図であり、左サイドウォールは従来のサイドウォールプロファイルを示し、右サイドウォールは本発明のサイドウォールを示す。
図7】未装着時の本発明のタイヤの断面図であり、装着状態が仮想線で示されている。
図8A】ホイールリムに装着する前のタイヤを示す本発明の断面図である。
図8B】リムが軸方向に拡張した後のホイールリムに装着した後のタイヤを示す本発明の断面図である。
図8C】車両ハブに装着された、モジュール式分割リムの組立体およびタイヤの断面図である。
図9A】力対撓みのチャートを示す図である。
図9B】フットプリントを示す図である。
図10A】異なる圧力での標準的な空気入りタイヤに関する力対撓みおよび本発明の非空気入りタイヤに関する力対撓みのチャートを示す図である。
図10B】異なる圧力での空気入りタイヤと比較した、本発明のタイヤの力対変位を示す図である。
図11A】本発明の非空気入りタイヤの0度から360度までのコード張力を示す図である。
図11B】コード張力を測定するために使用される装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
「アスペクト比」は、タイヤの断面幅に対するタイヤの断面高さの比を意味する。
【0009】
「軸方向の」および「軸方向に」は、タイヤの回転軸に平行な線または方向を意味する。
【0010】
「ビード」または「ビードコア」は一般に、環状引張部材を含むタイヤの部分を意味し、半径方向内側のビードは、タイヤをリムに保持することに関連し、フリッパ、チッパ、エイペックスまたはフィラー、トウガード、およびチェーファーなどの他の補強要素の有無にかかわらず、プライコードが巻かれて形成されている。
【0011】
「ベルト構造」または「補強ベルト」は、織布または不織布であって、トレッドの下に位置し、ビードに固定されていない、平行コードからなる少なくとも2つの環状層またはプライを意味し、タイヤの赤道面に対して17°から27°の範囲の左右両方のコード角度を有する。
【0012】
「ブレーカー」または「タイヤブレーカー」は、ベルトまたはベルト構造または補強ベルトと同義である。
【0013】
「カーカス」は、円筒形状または円環形状に継ぎ合わせるのに適した長さに切断されるか、またはすでに継ぎ合わされている、タイヤプライ材と他のタイヤ構成要素との積層体を意味する。カーカスを加硫して成形タイヤを作製する前に、追加の要素をカーカスに付加してもよい。
【0014】
「円周方向の」は、軸方向に垂直な環状トレッドの表面の周囲に沿って延びる線または方向を意味し、断面で見たとき、その半径がトレッドの軸方向の曲率を画定する、何組かの隣接する円形曲線の方向を指すこともできる。
【0015】
「コード」は、プライを補強するために使用される、繊維を含む補強ストランドの1つを意味する。
【0016】
「非伸長性」は、硬化タイヤから取り出したコードから測定した場合に、破断荷重の10%で0.2%未満の相対破断点伸びを有するコードを意味する。
【0017】
「赤道面」は、タイヤの中心線を通るタイヤの回転軸に垂直な平面を意味する。
【0018】
「子午面」は、タイヤの回転軸に平行で、回転軸から半径方向外向きに延びる平面を意味する。
【0019】
「プライ」は、エラストマーで被覆されたコード補強層を意味し、コードは半径方向に展開され、または、それ以外の平行コードである。
【0020】
「半径方向の」および「半径方向に」は、タイヤの回転軸に向かう、またはタイヤの回転軸から離れる方向を意味する。
【0021】
「ラジアルプライ構造」は、1つ以上のカーカスプライであって、そのうちの少なくとも1つのプライがタイヤの赤道面に対して65°と90°との間の角度で配置された補強コードを有するものを意味する。
【0022】
「ラジアルプライタイヤ」は、ビードからビードへ延びるプライコードがタイヤの赤道面に対して65°と90°との間のコード角度で配置された、ベルト付きまたは円周方向に拘束された空気入りタイヤを意味する。
【0023】
「サイドウォール」は、トレッドとビードとの間のタイヤの部分を意味する。
【0024】
「積層構造」は、タイヤの1つ以上の層からなる、または、インナーライナー、サイドウォール、および任意のプライ層のようなエラストマー構成要素からなる未加硫構造を意味する。
【0025】
図1~4に示すように、本発明の非空気入りタイヤ100は、半径方向外側の地面に係合するトレッド200を含み、トレッド200は、必要に応じて従来のトレッドとすることができ、1つまたは複数の溝210、212、214、216、または溝と溝との間に本質的に長手方向のトレッドリブを形成する複数の長手方向を向くトレッド溝を含むことができる。リブは、横方向または長手方向にさらに分割して、特定の車両用途の使用要件に適合したトレッドパターンを形成してもよい。トレッド溝は、タイヤの使用目的に合った任意の深さを有していてもよい。タイヤトレッド200は、種々の条件におけるタイヤの性能を改善するために、必要に応じてリブ、ブロック、ラグ、溝、およびサイプのような要素を含んでいてもよい。
【0026】
本発明の非空気入りタイヤは、トレッドの半径方向内側に位置するベルトパッケージ300をさらに含む。ベルトパッケージ300は、少なくとも第1および第2の補強エラストマー層310、320を含む。第1および第2の補強エラストマー層310、320は、平行補強コードで形成されており、平行補強コードは、タイヤに使用される金属または非金属の従来の補強コードであってもよい。補強コードは、好ましくは非伸長性である。
【0027】
シアバンド300の第1の実施形態では、シアバンドは、平行に配置され、かつ、エラストマーの剪断マトリックス315によって分離された少なくとも2つの非伸長性補強層310、320からなる。各補強層310、320は、薄いエラストマーコーティングに埋め込まれた平行な補強コード311、321で形成することができる。補強コード311、321は、好ましくは非伸長性であり、鋼、アラミド、ナイロン、ポリエステル、または他の非伸長性構造で形成されてもよい。第1の補強エラストマー層310において、補強コードは、タイヤ赤道面に対して0~約+/-50度の範囲、より好ましくは0~+/-10度の範囲の角度で配向される。第2の補強エラストマー層320において、補強コードは、タイヤ赤道面に対して0~約+/-50度、より好ましくは0~+/-10度の範囲の角度で配向される。好ましくは、第1の層の補強コードの角度は、第2の層の補強コードの角度の反対方向である。図示のように、ベルトパッケージ300は、任意選択で、追加の補強層330~360をさらに含むことができる。
【0028】
半径方向最外の補強層350、360は、半径方向内側の補強層310~340と比較して、軸方向幅が低減された外側の横方向端部351、361を有することがさらに好ましい。
【0029】
第1および第2の補強層310、320の間に位置する剪断マトリクス層315は、0.5~10MPaの範囲、より好ましくは4~8MPaの範囲の剪断弾性率Gmを有するエラストマー材料で形成される。ゴム層315の厚さは、約0.10インチ~約0.2インチの範囲の、より好ましくは約0.15インチの半径方向厚さを有することができる。追加の補強層330~360が利用される場合、補強層は、任意選択で、剪断層315によって分離されてもよい。
【0030】
図3に示すように、本発明の非空気入りタイヤ100は、トレッドからホイール50まで内側に延びる2つの軸方向に離間したサイドウォール部400をさらに含む。各サイドウォールの半径方向最内端410は、好ましくはホイールに固定される環状ビード420を含む。非空気入りタイヤ100は、第1のビード420から第2のビード422まで延びるプライ500の第1の層をさらに含む。好ましくは、プライ500は、ナイロン、ポリエステル、アラミドである平行な補強コードで形成されるかまたはナイロン、アラミドのポリエステルの混合コードで形成された、補強ゴムまたはプライ層を含む。好ましくは、補強材は、半径方向に配向される。プライの層は、トレッドから半径方向内側に延び、次いで、第1のビード420の周りに巻き付けられており、好ましくはシアバンド300の下で終端する第1の端部510を有し、エンベローププライを形成する。プライの第2の端部520は同様に、トレッドから下方に延び、反対側のビード420の周りに巻き付けられ、次いで、好ましくはシアバンドの下で終端し、エンベローププライを形成する。したがって、各サイドウォールは、好ましくは有効なプライの層を2つ有する。あるいは、第1および第2の端部510、520は、ビードの周りを包み、エイペックス430の先端432の半径方向外側で終端してもよい。
【0031】
各エイペックス430は、好ましくは形状が三角形であり、第1の端部431から先端432まで測定した値である、半径方向の高さを有する。外側の先端432の半径方向高さは、好ましくはサイドウォールの半径方向高さの1/4~3/4の範囲であり、より好ましくはサイドウォールの半径方向高さの1/3~2/3の範囲である。
【0032】
サイドウォールの下半分として画定される各下部サイドウォール領域は、サイドウォールの上半分の剛性に対してより強固であることが好ましい。下部サイドウォールは、硬いエイペックスと、好ましくは第1のエイペックス430の軸方向内側にあるチェーファーなどの下部サイドウォール領域内の追加の硬質材料とによって補強されてもよい。
【0033】
剛性は、「剪断貯蔵弾性率」または「動的弾性率」と呼ばれることもある動的弾性率G’によって特徴付けることができ、Science and Technology of Rubber、第2版、1994年、Academic Press、San Diego、CA編、James E. Markら、249~254頁を参照することができる。剪断貯蔵弾性率(G’)値は、タイヤ性能に関係するゴム化合物の剛性の指標である。100oCでのtanデルタ値は、ヒステリシス、すなわち熱損失を表すものと考えられる。
【0034】
第1の実施形態では、第1のエイペックス430は、ASTM D5289に従って1%歪みでかつ100oCで測定した剪断貯蔵弾性率G’が14~43MPaの範囲である硬質ゴム組成物を含む。より好ましい実施形態では、第1のエイペックス430は、ASTM D5289に従って1%歪みでかつ100oCで測定した剪断貯蔵弾性率G’が23~43MPaの範囲であるゴム組成物を含む。
【0035】
補強された下部サイドウォールにより、ホイールに装着された後、また使用中に、プライが引張状態にあることが確保される。タイヤのプライおよびサイドウォールが図7に示すように弛緩状態にあるとき、プライラインは、ビードがタイヤのショルダの軸方向内側に位置するように湾曲する。ビードがリムに装填されると、湾曲部は真っ直ぐになり、タイヤのビードまたは下部サイドウォールはタイヤのショルダの軸方向外側に位置し、プライはばねとして作用する。
【0036】
図7は、ホイールに装着されたタイヤを示す。タイヤをホイールに装着し、サイドウォールに張力をかけるために、ビードは、図8Aに示すようにL字形凹部900内に着座する。サイドウォールは、リム表面900に対して90度の角度を向いていることに留意されたい。サイドウォールプライに予張力をかけるために、ビードまたはリム表面1000は、所望の予張力に達するまで、図8Bに示されるように軸方向外側に変位する。サイドウォールおよびサイドウォールプライは角度αを向き、ここで、αはホイールリムフランジ面1000に対して10~50度の範囲であり、より好ましくは15~45度の範囲である。プライコードの張力により、タイヤは、100%トップローダになる。ランフラットタイヤと比較すると、ランフラットタイヤはボトムローダとして機能するので、補強されたサイドウォール部材は荷重を支持する。
【0037】
図8Bに示すように、シアバンド層は、タイヤのサイドウォールに予張力をかけた後も水平を維持し、その結果、シアバンドは、サイドウォールの予張力によって誘発される曲げ荷重に耐えるのに十分な剛性を有する。これは、シアバンドが圧縮状態となるように予め力が掛けられているからである。図7は、弛緩状態におけるタイヤのプライラインを示す図であって、タイヤのサイドウォールがホイールリムに装填されたときの張力をかけた位置におけるプライラインの仮想図上に重ね合わせたものが示されている。
【0038】
各サイドウォール、より好ましくは、サイドウォールの下半分の剛性が、非空気入りタイヤのトップローディングに寄与する。各サイドウォールの下半分は、好ましくは剛性が高くなっており、硬いエイペックス、および/または、チェーファーまたはリムフランジプロテクタのような軸方向外側部分に位置する硬い材料塊で補強されてもよい。
【0039】
従来のタイヤを用いて試験用タイヤを製作し、分割リムに装着した。非空気入りタイヤと共に使用するのに適したモジュール式分割リム組立体1200の一例が、図8C~8Dに示されている。モジュール式分割リム組立体1200は、第1の軸方向スペーサ920と第2の軸方向スペーサ930とによって離間された環状ビードリング900を含み、拡張可能なリム装着面1000を形成する。リム装着面に接続されているのは、車両ハブに接続する環状装着フランジ940である。
【0040】
タイヤのサイドウォールには、ビードを軸方向に広げることによって、またはホイールリムを軸方向に広げることによって、予め張力をかけた。試験結果は以下の通りであった。図9Aは力対撓みのチャートを示し、図9Bはフットプリントを示す。図10は、同じサイズで圧力の異なる空気入りタイヤと比較した垂直ばね定数を示す。NPTタイヤは1108ポンドのバネ定数を有し、一方、対照タイヤは40psiで1491のバネ定数を有する。図11Aは、本発明の非空気入りタイヤの0度から360度までのコード張力を示し、図11Bは、コード張力を測定するために使用される装置を示す。
【0041】
出願人は、当業者が上記の明細書を読むことによって多くの他の変形が明らかになることを理解している。これらの変形および他の変形は、以下の添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
【外国語明細書】