(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095675
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】ブラインド嵌合接続のためのシステムレベル構造
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20220621BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20220621BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G06F1/16 313E
G06F1/20 A
G06F1/20 C
H05K7/18 L
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022042682
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】17/209,917
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516357421
【氏名又は名称】バイドゥ ユーエスエイ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Baidu USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, ティエンイー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サーバのためのブラインド嵌合接続構造及び電子ラックを提供する。
【解決手段】サーバ203側では、コネクタモジュール320は、サーバラック200内のラックマニホールド201、202における流体コネクタ212とブラインド嵌合する流体コネクタ120を有し、サーバ内の摺動通路330に連結され、コネクタモジュールにおける位置決めスライダ310の移動に応じて水平及び上下に摺動する。ラックマニホールド側では、ガイドモジュール250は、サーバラックにサーバを装着したときに位置決めスライダを受け、各ラックマニホールド間の途中の中心点に向かって徐々に細くなっているる開口を有する。サーバがサーバラック内に摺動すると、位置決めスライダがガイドモジュールに追従して中心点に到達し、コネクタモジュールをラックマニホールドにおける流体コネクタと位置合わせして、ブラインド嵌合するように移動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインド嵌合構造であって、コネクタモジュールと、ガイドモジュールと、を備え、
前記コネクタモジュールはサーバの摺動通路に連結されるように構成され、前記摺動通路は、前記コネクタモジュールを水平方向および垂直方向に摺動させるように構成され、前記コネクタモジュールは、
前記コネクタモジュールに連結される1つまたは複数の流体コネクタであって、前記1つまたは複数の流体コネクタのそれぞれの第1の端部は、前記サーバ内部の冷媒ラインに流体連結されるように構成され、各流体コネクタの第2の端部は、前記サーバがサーバラックに装着されたときに、前記サーバラック内の1つまたは複数の冷媒分配マニホールドにおける1つまたは複数の対応する流体コネクタのいずれかにブラインド嵌合されるように構成される、1つまたは複数の流体コネクタと、
前記コネクタモジュールに連結される位置決めスライダであって、前記サーバが前記サーバラックに装着されたときに、前記コネクタモジュールに水平力、垂直力、または水平力と垂直力の両方を作用させる位置決めスライダと、を備え、
前記ガイドモジュールは、前記1つまたは複数の冷媒分配マニホールドに連結されるように構成され、前記ガイドモジュールの第1の端部に開口を有するテーパ部を有し、前記ガイドモジュールの第1の端部から前記ガイドモジュールの第2の端部の中心点に向かって徐々に細くなる、
ブラインド嵌合構造。
【請求項2】
前記中心点は、前記ガイドモジュールの第1の端部の中心に位置合わせされており、前記テーパ部は、前記サーバラックに挿入された前記サーバの前記コネクタモジュールから前記位置決めスライダを受けるように構成されており、前記テーパ部は、前記サーバが前記サーバラックにさらに挿入されると、前記位置決めスライダを前記ガイドモジュールの第2の端部の前記中心点に向けてガイドして、前記サーバの前記コネクタモジュールにおける前記1つまたは複数の流体コネクタを、前記1つまたは複数の冷媒分配マニホールドにおける前記1つまたは複数の流体コネクタに位置合わせするように構成されている、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項3】
前記摺動通路を前記サーバに接続する支持フレームをさらに備える請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項4】
前記位置決めスライダはボールヘッドを含む、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項5】
前記位置決めスライダのヘッド部は、前記ガイドモジュールの前記中心点において前記ガイドモジュールの前記テーパ部に受けられるように形成されている、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項6】
前記摺動通路は、ローラベアリングまたはボールベアリングを含む、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項7】
前記位置決めスライダの長さは、前記コネクタモジュールに連結された前記1つまたは複数の流体コネクタの長さ、前記冷媒分配マニホールドにおける前記1つまたは複数の対応する流体コネクタの長さ、前記コネクタモジュールに連結された前記1つまたは複数の流体コネクタと前記冷媒分配マニホールドにおける前記1つまたは複数の対応する流体コネクタとの係合深さ、および前記冷媒分配マニホールドに連結される前記ガイドモジュールの深さによって決まる、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項8】
前記位置決めスライダは、前記コネクタモジュールにおいて、異なる長さまたは異なる形状の位置決めスライダで置き換えることができる、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項9】
前記ガイドモジュールと前記1つまたは複数の冷媒分配マニホールドとの間に装着された弾性接続部をさらに備え、前記サーバを前記サーバラックにさらに挿入すると、前記サーバの前記位置決めスライダが前記中心点に接触することに応答して、前記弾性接続部が圧縮され、前記中心点を前記ガイドモジュールの第1の端部からさらに離れるように移動させる、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項10】
前記コネクタモジュールにおける前記1つまたは複数の流体コネクタの向きが、選択可能または調整可能である、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項11】
前記コネクタモジュールにおける前記位置決めスライダの中心と、前記コネクタモジュールにおける前記1つまたは複数の流体コネクタのそれぞれの位置との間の距離が調整可能である、請求項10に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項12】
前記中心点は、前記1つまたは複数の冷媒分配マニホールドにおける前記1つまたは複数の流体コネクタが前記コネクタモジュールにおける対応する流体コネクタとブラインド嵌合するときに、前記位置決めスライダのボールヘッドを前記中心点に少なくとも部分的に固定する可撓性ストッパを含む、請求項1に記載のブラインド嵌合構造。
【請求項13】
それぞれ1つまたは複数の流体コネクタを含む複数の冷媒分配マニホールドと、
サーバと、を備える電子ラックであって、前記サーバは、
冷媒供給ラインと、冷媒戻りラインと、伝熱ユニットと、を有する冷却モジュールであって、前記冷媒供給ラインの第1の端部と前記冷媒戻りラインの第1の端部とが前記伝熱ユニットに連結されている冷却モジュールと、
前記サーバに連結された摺動通路に連結されるコネクタモジュールであって、前記摺動通路は前記コネクタモジュールを水平方向および垂直方向に摺動させるように構成され、前記コネクタモジュールは、
前記コネクタモジュールに連結された複数の流体コネクタであって、前記複数の流体コネクタのそれぞれは、前記冷媒供給ラインの第2の端部または前記冷媒戻りラインの第2の端部に連結されており、各流体コネクタは、前記電子ラックの前記複数の冷媒分配マニホールドのうちの冷媒分配マニホールドにおける対応する流体コネクタにそれぞれブラインド嵌合するように構成される、複数の流体コネクタと、
前記コネクタモジュールに連結され、前記コネクタモジュールに水平力、垂直力、または水平力と垂直力の両方を作用させる位置決めスライダと、を備えるコネクタモジュールと、
前記複数の冷媒分配マニホールドに連結されるように構成されるガイドモジュールであって、前記ガイドモジュールの第1の端部に開口を有するテーパ部を有し、前記ガイドモジュールの第1の端部から前記ガイドモジュールの第2の端部の中心点に向かって徐々に細くなるガイドモジュールと、を備える、電子ラック。
【請求項14】
前記ガイドモジュールと前記複数の冷媒分配マニホールドとの間に装着された弾性接続部をさらに備え、前記サーバを前記サーバラックにさらに挿入すると、前記サーバの前記位置決めスライダが前記中心点に接触することに応答して、前記弾性接続部が圧縮され、前記中心点を前記ガイドモジュールの第1の端部からさらに離れるように移動させる、請求項13に記載の電子ラック。
【請求項15】
前記中心点は、前記ガイドモジュールの第1の端部の中心に位置合わせされており、前記テーパ部は、前記電子ラックに挿入された前記サーバの前記コネクタモジュールから前記位置決めスライダを受けるように構成されており、前記テーパ部は、前記サーバが前記電子ラックにさらに挿入されると、前記位置決めスライダを前記ガイドモジュールの第2の端部の前記中心点に向けてガイドすることによって、前記コネクタモジュールを摺動させて、前記サーバの前記コネクタモジュールにおける前記複数の流体コネクタを、前記複数の冷媒分配マニホールドにおける複数の前記対応する流体コネクタに位置合わせするように構成されている、請求項13に記載の電子ラック。
【請求項16】
前記位置決めスライダの長さは、前記コネクタモジュールに連結された前記複数の流体コネクタの長さ、前記冷媒分配マニホールドにおける複数の前記対応する流体コネクタの長さ、および前記複数の冷媒分配マニホールドに連結された前記ガイドモジュールの深さによって決まる、請求項13に記載の電子ラック。
【請求項17】
前記位置決めスライダの幅または直径は、前記位置決めスライダの長さと、前記サーバが前記電子ラックに挿入されたときに前記位置決めスライダに作用する前記水平力および前記垂直力の大きさとによって決まる、請求項16に記載の電子ラック。
【請求項18】
前記位置決めスライダは、前記コネクタモジュールにおいて、異なる長さまたは異なる形状の位置決めスライダで置き換えることができる、請求項13に記載の電子ラック。
【請求項19】
前記位置決めスライダのヘッド部は、前記ガイドモジュールの前記中心点において前記ガイドモジュールの前記テーパ部に受けられるように形成され、前記コネクタモジュールにおける前記複数の流体コネクタの向きおよび位置は、選択可能または調整可能である、請求項13に記載の電子ラック。
【請求項20】
前記中心点は、前記複数の冷媒分配マニホールドにおける前記1つまたは複数の流体コネクタが前記コネクタモジュールにおける対応する流体コネクタとブラインド嵌合するときに、前記位置決めスライダのボールヘッドを前記中心点に部分的に固定する可撓性ストッパを含む、請求項13に記載の電子ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施形態は、主にサーバおよび電子冷却に関する。より具体的には、本出願の実施形態は、液冷モジュールに接続されたサーバ機器の着脱を含むサーバラックに関する。
【背景技術】
【0002】
冷却は、コンピュータシステムとデータセンターの設計における突出要素である。サーバ内部に搭載される高性能プロセッサなどの高性能電子部品の数は、着実に増加しており、それによってサーバの通常の動作時に発生して放散される熱量が増加している。データセンターで動作する環境が時間の経過に伴って温度の上昇が許容される場合、データセンターの内部で使用されるサーバの信頼性が低下する。適切な熱環境を保持することは、データセンターにおけるこれらのサーバの正常な動作、並びにサーバの性能および寿命にとって重要である。特にこれらの高性能サーバを冷却する場合には、より効果的で効率的な冷却用解決策が求められている。
【0003】
データセンター内のサーバラックは、サーバ、および/または、異なるタイプ、サイズ、および位置の液冷媒接続を有する冷却分配ユニットを含んでもよい。一般に、サーバラックでは、サーバラック背面の冷媒分配マニホールドに冷媒分配ユニットが連結されている。液冷を必要とする各サーバは、冷媒分配マニホールドに連結される。冷媒分配マニホールドは、一般的に、様々な相互接続ホース、または流体コネクタがマニホールドの配管に沿って一定の間隔で設けられた一対のシールされた方形管形態の分配マニホールドを含む。サーバラック機器の接続サイズ、位置、コネクタタイプには、異なる種類のラックマニホールド設計がある。サーバラック内のサーバおよび冷却分配ユニットは、定期的にメンテナンスを行う必要があるため、サーバラック背面の液冷媒の接続を外してサーバを取り外してメンテナンスする必要がある。これらの接続は、通常、サーバラック背面の奥にあり、接近し難い。コネクタのブラインド嵌合には、非常に高い設計精度と製造精度が必要であり、正確なブラインド嵌合を確保するには、非常に低い公差、偏差、誤差が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願はブラインド嵌合構造であって、コネクタモジュールと、ガイドモジュールと、を備え、前記コネクタモジュールはサーバの摺動通路に連結されるように構成され、前記摺動通路は、前記コネクタモジュールを水平方向および垂直方向に摺動させるように構成され、前記コネクタモジュールは、前記コネクタモジュールに連結される1つまたは複数の流体コネクタであって、前記1つまたは複数の流体コネクタのそれぞれの第1の端部は、前記サーバ内部の冷媒ラインに流体連結されるように構成され、各流体コネクタの第2の端部は、前記サーバがサーバラックに装着されたときに、前記サーバラック内の1つまたは複数の冷媒分配マニホールドにおける1つまたは複数の対応する流体コネクタのいずれかにブラインド嵌合されるように構成される、1つまたは複数の流体コネクタと、前記コネクタモジュールに連結される位置決めスライダであって、前記サーバが前記サーバラックに装着されたときに、前記コネクタモジュールに水平力、垂直力、または水平力と垂直力の両方を作用させる位置決めスライダと、を備え、前記ガイドモジュールは、前記1つまたは複数の冷媒分配マニホールドに連結されるように構成され、前記ガイドモジュールの第1の端部に開口を有するテーパ部を有し、前記ガイドモジュールの第1の端部から前記ガイドモジュールの第2の端部の中心点に向かって徐々に細くなる、ブラインド嵌合構造を提供する。
【0005】
本出願は、それぞれ1つまたは複数の流体コネクタを含む複数の冷媒分配マニホールドと、サーバと、を備える電子ラックであって、前記サーバは、冷媒供給ラインと、冷媒戻りラインと、伝熱ユニットと、を有する冷却モジュールであって、前記冷媒供給ラインの第1の端部と前記冷媒戻りラインの第1の端部とが前記伝熱ユニットに連結されている冷却モジュールと、前記サーバに連結された摺動通路に連結されるコネクタモジュールであって、前記摺動通路は前記コネクタモジュールを水平方向および垂直方向に摺動させるように構成され、前記コネクタモジュールは、前記コネクタモジュールに連結される複数の流体コネクタであって、前記複数の流体コネクタのそれぞれは、前記冷媒供給ラインの第2の端部または前記冷媒戻りラインの第2の端部に連結されており、各流体コネクタは、前記電子ラックの前記複数の冷媒分配マニホールドのうちの冷媒分配マニホールドにおける対応する流体コネクタにそれぞれブラインド嵌合するように構成される、複数の流体コネクタと、前記コネクタモジュールに連結され、前記コネクタモジュールに水平力、垂直力、または水平力と垂直力の両方を作用させる位置決めスライダと、を備えるコネクタモジュールと、前記複数の冷媒分配マニホールドに連結されるように構成されるガイドモジュールであって、前記ガイドモジュールの第1の端部に開口を有するテーパ部を有し、前記ガイドモジュールの第1の端部から前記ガイドモジュールの第2の端部の中心点に向かって徐々に細くなるガイドモジュールと、を備える、電子ラックを提供する。
【0006】
本出願の実施形態は、図面は限定的ではなく例示的な形態で示され、図面において同様の符号が同様の素子を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るブラインド嵌合のためのシステムレベル構造を有するサーバラックにおける冷却モジュールの一例を示すブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態に係るブラインド嵌合のためのシステムレベル構造を有するサーバラックの実施形態を示す平面図である。
【
図3A】いくつかの実施形態に係る、冷媒分配マニホールドにブラインド嵌合するためのシステムレベル構造を使用するサーバシャーシの断面図を示す。
【
図3B】いくつかの実施形態に係る、冷媒分配マニホールドにブラインド嵌合するためのシステムレベル構造を使用するサーバシャーシの断面図を示す。
【
図3C】いくつかの実施形態に係る、冷媒分配マニホールドにブラインド嵌合するためのシステムレベル構造を使用するサーバシャーシの断面図を示す。
【
図3D】いくつかの実施形態に係る、冷媒分配マニホールドにブラインド嵌合するためのシステムレベル構造を使用するサーバシャーシの断面図を示す。
【
図4】いくつかの実施形態に係る、システムレベル構造を使用してブラインド嵌合するためのガイドモジュールを有する冷媒分配マニホールドの断面図を示す。
図4Aは側面図であり、
図4Bは正面図である。
【
図5】いくつかの実施形態に係る、システムレベル構造を使用したブラインド嵌合をサポートするサーバラック内の冷媒分配マニホールドの断面図を示す。
【
図6】いくつかの実施形態に係る、弾性素子を有するガイドモジュールを有する冷媒分配マニホールドにブラインド嵌合されたサーバの断面図を示す。
【
図7】一実施形態に係る、ブラインド嵌合のためのサーバシステムレベル構造のコンポーネントの詳細を示す背面図を示す。
【
図8】一実施形態に係る、ブラインド嵌合のためのシステムレベル構造を有するサーバを受けるサーバラックの背面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に説明される詳細を参照しながら本出願の様々な実施形態および態様を説明し、添付図面には様々な実施形態を示す。以下の説明および図面は、本出願を説明するためのものであり、本出願を限定するものではない。本出願の様々な実施形態を全体的に理解するために、多くの特定の詳細を説明する。しかしながら、特定の例において、本出願の実施形態の簡潔な議論を提供するために、周知のまたは従来の詳細は記載されていない。
【0009】
明細書において、「一実施形態」または「実施形態」とは、当該実施形態を参照しながら説明された特定の特徴、構造または特性が本出願の少なくとも一実施形態に含まれてもよいことを意味する。明細書の様々な箇所に記載されている「一実施形態において」とは、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。
【0010】
サーバのためのブラインド嵌合接続構造を開示する。サーバ側では、コネクタモジュールは、サーバラック内のラックマニホールドにおける流体コネクタとブラインド嵌合する流体コネクタを有する。コネクタモジュールは、サーバの摺動通路に連結される。コネクタモジュールは、コネクタモジュールにおける位置決めスライダの移動に応じて水平および上下に摺動する。ラックマニホールド側では、ガイドモジュールは、サーバラックにサーバを装着したときに位置決めスライダを受ける開口を有する。ガイドモジュールは、各ラックマニホールド間の途中の中心点に向かって徐々に細くなっている。サーバがサーバラック内に摺動したとき、位置決めスライダがガイドモジュールに追従して該中心点に到達し、コネクタモジュールをラックマニホールドにおける流体コネクタと位置合わせしてブラインド嵌合するように移動する。
【0011】
第1の態様では、ブラインド嵌合構造は、コネクタモジュールと、ガイドモジュールと、を含む。コネクタモジュールは、サーバの摺動通路に連結されるように構成されている。摺動通路は、コネクタモジュールを水平(x軸)方向および/または垂直(y軸)方向に摺動させるように構成されている。コネクタモジュールは、コネクタモジュールに連結される1つまたは複数の流体コネクタを含む。当該1つまたは複数の流体コネクタのそれぞれの第1の端部は、当該サーバ内の冷媒ラインに連結されるように構成される。サーバがサーバラックに取り付けられると、各流体コネクタの第2の端部は、サーバラックにおける1つまたは複数の冷媒分配マニホールドの1つまたは複数の対応する流体コネクタの1つにブラインド嵌合するように構成される。位置決めスライダは、コネクタモジュールに連結されている。位置決めスライダは、サーバがサーバラックに装着されたときに、コネクタモジュールに水平力、垂直力、または水平力と垂直力の両方を作用させるように構成されている。一実施形態において、コネクタモジュールにおける位置決めスライダの中心と、コネクタモジュールにおける1つまたは複数の流体コネクタのそれぞれの位置との間の距離が調整可能である。一実施形態において、コネクタモジュールにおける1つまたは複数の流体コネクタの向きは、選択可能または調整可能である。
【0012】
ガイドモジュールは、1つまたは複数の冷媒分配マニホールドに連結されるように構成される。ガイドモジュールは、ガイドモジュールの第1の端部に開口を有するテーパ部を備える。ガイドモジュールは、第1の端部からガイドモジュールの第2の端部の中心点に向かって先細りとなっている。中心点は、第1の端部の中心と位置合わせされる。テーパ部は、サーバラックに取り付けられたサーバのコネクタモジュールから位置決めスライダを受けるように構成されている。テーパ部は、さらにサーバがサーバラックに挿入されたときに、位置決めスライダをガイドモジュールの第2の端部の中心点に向けて案内するように構成されている。サーバをサーバラックに取り付けると、サーバのコネクタモジュールにおける1つまたは複数の流体コネクタが、1つまたは複数の冷媒分配マニホールドにおける1つまたは複数の流体コネクタと位置合わせされる。一実施形態において、ブラインド嵌合構造は、摺動通路をさらに備えている。摺動通路は、ころ軸受または玉軸受を用いて摺動可能である。一実施形態において、ブラインド嵌合構造は、摺動通路をサーバに連結する支持フレームをさらに備える。位置決めスライダは、ガイドモジュールに沿った位置決めスライダの円滑な摺動動作を補助するボールヘッドを含んでもよい。コネクタモジュールにおける1つまたは複数の流体コネクタは、クイックディスコネクト流体コネクタ(quick-disconnect fluid connector)であってもよい。
【0013】
位置決めスライダの長さは、コネクタモジュールに連結された1つまたは複数の流体コネクタの長さ、冷媒分配マニホールドにおける1つまたは複数の対応する流体コネクタの長さ、コネクタモジュールに連結された1つまたは複数の流体コネクタと冷媒分配マニホールドにおける1つまたは複数の対応する流体コネクタとの係合深さ、および冷媒分配マニホールドに連結されたガイドモジュールの深さによって決まってもよい。一実施形態において、位置決めスライダは、コネクタモジュールにおいて、異なる長さまたは異なる形状の位置決めスライダで置き換えられてもよい。位置決めスライダは、異なる形状に設計されてもよい。一実施形態において、位置決めスライダは棒状であってもよい。一実施形態において、位置決めスライダのヘッド部は、ガイドモジュールの中心点でガイドモジュールのテーパ部によって受けられるように形成されている。一実施形態において、位置決めスライダは、ガイドモジュールと略同一形状であり、位置決めスライダの基部は、ガイドモジュールの開口形状と略同一形状に形成され、位置決めスライダは、基部から、ガイドモジュールの最深部の中心点に対応するヘッド部に向かって先細りとなっている。
【0014】
いくつかの実施形態において、ブラインド嵌合構造は、ガイドモジュールと1つまたは複数の冷媒分配マニホールドとの間に装着された弾性接続部をさらに含んでもよい。サーバがサーバラックにさらに挿入されると、サーバの位置決めスライダがガイドモジュールの中心点に接触することに応答して、弾性接続部を圧縮して中心点をガイドモジュールの第1の端部からさらに離れるように移動させることができる。弾性接続部は、特定のサーバおよび/またはサーバラックの装着要件に応じて、様々な範囲で圧縮可能に設計され得る。一実施形態において、ガイドモジュールは、ステンレス鋼、エポキシコーティング鋼、または高耐衝撃性プラスチックで形成されていてもよい。中心点は、1つまたは複数の冷媒分配マニホールドにおける1つまたは複数の流体コネクタがコネクタモジュールにおける1つまたは複数の流体コネクタにブラインド嵌合するときに、位置決めスライダのボールヘッドを中心点に少なくとも部分的に固定する可撓性ストッパを含んでもよい。
【0015】
第2の態様では、電子ラックは、複数の冷媒分配マニホールドを備え、各冷媒分配マニホールドは、1つまたは複数の流体コネクタを備えてもよい。電子ラックは、第1の態様に記載のコネクタモジュールを有するサーバを備えてもよい。サーバは、冷媒供給ラインと、冷媒戻りラインと、伝熱ユニットとを有する冷却モジュールをさらに備えてもよい。冷媒供給ラインの第1の端部と冷媒戻りラインの第1の端部とは、伝熱ユニットに連結されていてもよい。サーバは、上記第1の態様に記載のガイドモジュールをさらに備えていてもよい。コネクタモジュールおよびガイドモジュールは共に、コネクタモジュールにおける複数の流体コネクタを冷媒分配マニホールドにおける複数の対応するコネクタに合わせて、サーバ冷媒循環系を冷媒分配マニホールドにブラインド嵌合させる。
【0016】
図1は、一実施形態に係るブラインド嵌合のためのシステムレベル構造を有するサーバラックにおける冷却モジュールの一例を示すブロック図である。冷却モジュール100は、プロセッサチップ101から熱を除去するプロセッサ/冷却板アセンブリを含んでもよい。
図1を参照して、プロセッサ101は、データ処理システムまたはサーバの他の電子部品または回路に接続されたプリント回路基板(PCB)またはマザーボード102に実装されたプロセッサソケットに挿入される。プロセッサ101は、それに取り付けられた冷却板103を含み、冷却板103は、冷媒供給ライン131および/または冷媒戻りライン132、ならびに本明細書で説明されるブラインド嵌合接続構造300を介して、ラックマニホールド(図示せず)に連結される。プロセッサ101で発生した熱の一部は、冷媒供給ライン131および冷媒戻りライン132を介して冷却板103によって除去される。残りの熱は、下方または上方の空気空間に入って、図示しない冷却ファンによって発生した空気流によって除去される。本明細書で説明するように、ブラインド嵌合接続構造300は、フレーム(図示せず)を使用してサーバシャーシ105に連結されてもよい。位置決めスライダ310を含むブラインド嵌合構造300について、
図2、
図3A~
図3D、
図4A~
図4B、
図5A~
図5B、
図6A~
図6B、
図7および
図8を参照して以下に詳細に説明する。冷媒供給ライン131および冷媒戻りライン132は、サーバの冷媒供給ライン131および冷媒戻りライン132を、サーバシャーシ105を収容するサーバラック(図示せず)における1つまたは複数の冷媒分配マニホールド(図示せず)にブラインド嵌合させるように、サーバシャーシ105のフレームに取り付けられたブラインド嵌合接続構造300に連結されてもよい。冷媒供給ライン131および冷媒戻りライン132は、流体コネクタ120またはホースバーブフィッティングを有するホースであってもよい。サーバシャーシ105に含まれる冷却モジュール100は、異なる種類のサーバおよびサーバラックに用いられ得る。ブラインド嵌合接続構造300によって、サーバラックとサーバ内の(いくつかの)冷却モジュールとの間の流体システムを適切に嵌合および配置できる。
【0017】
図2は、いくつかの実施形態に係る、ブラインド嵌合接続構造を有するサーバ203の実施形態を示す平面図である。ブラインド嵌合接続構造により、サーバ203などの情報技術(IT)機器を、ブラインド嵌合接続構造を介してサーバラック200内に摺動させ、冷媒分配マニホールド201および202(201/2と総称される)における流体コネクタ212の一部にブラインド嵌合させることができる。ブラインド嵌合接続構造は、2つの部分を含んでもよい。第1の部分は、サーバ203のシャーシに取り付けられるコネクタモジュール320を含む。第2の部分は、冷媒分配マニホールド201と202との間に取り付けられたガイドモジュール250を含む。サーバがサーバラック内に摺動したとき、サーバのコネクタモジュール320におけるコネクタ120は、冷媒分配マニホールド201および202における対応して嵌合する流体コネクタ212にブラインド嵌合する。
【0018】
コネクタモジュール320における流体コネクタ120は、まず、冷媒分配マニホールド201/2における対応する流体コネクタと水平方向、対角線方向、または垂直方向に位置合わせするように構成される。一実施形態において、コネクタモジュール320は、予め穿孔された穴(pre-drilled hole)、または0°(水平方向)、45°、180°(垂直方向)、または225°など、流体コネクタに一般的に使用される配向のためのパンチ穴を有することができる。一実施形態において、コネクタモジュール320は、スロットを有する回転可能なプレートを含んでもよい。該スロットは、コネクタモジュール320の流体コネクタ120が0°~360°の範囲内の任意の角度で、かつ流体コネクタ120間の3”~6”の中心から中心の間などのスロットに沿った摺動可能な間隔内に位置決めされることを可能にする。コネクタモジュール320における流体コネクタ120の向き(すなわち、回転角度、存在する場合は、流体コネクタ間の距離)が設定されると、サーバラックからサーバを繰り返し取り外し、さらに調整することなく、ブラインド嵌合によってサーバを再設置することができる。コネクタモジュール320は、サーバ203の挿入方向(z軸)に対して水平方向(x軸)および/または垂直方向(y軸)にコネクタモジュール320をサーバラック200内に摺動可能にする摺動通路330に連結されている。挿入方向は、
図2において「サーバ203」の下方の破線矢印で示されている。コネクタモジュール320に連結された位置決めスライダ310は、サーバラック200にサーバが摺動する方向と同じ方向にコネクタモジュール320から延びている。位置決めスライダ310のヘッド部は、ガイドモジュール250に沿って摺動するようにボールエンドを有することができ、ガイドモジュール250は、サーバラック200内における冷媒分配マニホールド201および202(201/2と総称される)に連結される。一実施形態において、位置決めスライダ310は、コネクタモジュール320において、より長い、またはより広い、または異なる横断面プロファイルを有する位置決めスライダ310などの、異なる位置決めスライダ310に置き換えることができる。位置決めスライダの横断面プロファイルは、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、またはその他の横断面形状であってもよい。
【0019】
サーバ203がサーバラック(図示せず)内に摺動すると、位置決めスライダ310は、ガイドモジュール250のテーパ部の第1の端部に向かって移動する。テーパ部は、サーバ203に向かう方向における最も広い部位に開口しており、ガイドモジュール250の最も深い凹部の中心点(図示せず)に向かって傾斜している。位置決めスライダ310とガイドモジュール250の中心点との間にミスアライメントが存在すると、位置決めスライダ310のヘッドがガイドモジュール250の傾斜側に接触する。さらに、サーバ203が冷媒分配マニホールド201/2に向かって摺動すると、ガイドモジュール250の傾斜側は、ガイドモジュール250の傾斜に位置決めスライダ310を追従させる。ガイドモジュール250の傾斜エッジは、位置決めスライダ310に1つまたは複数の力を加える。この1つまたは複数の力は、位置決めスライダ310によってコネクタモジュール320に伝達され、コネクタモジュール320を摺動通路330に沿って摺動させる。コネクタモジュール320の摺動動作は、コネクタモジュール320における流体コネクタ120と、冷媒分配マニホールド201/2における対応する流体コネクタ212とを位置合わせするためのものである。
【0020】
図2では、サーバ203の内部に冷却モジュール(図示せず)を有するサーバ203が示されている。冷却モジュールについては
図1を参照して上で説明した。サーバ203内の冷却モジュールは、1つまたは複数のホース、配管またはライン(例えば、冷媒供給ライン131および冷媒戻りライン132、または他の冷媒ライン)を含むことができる。冷媒供給ライン131および冷媒戻りライン132は、一端でサーバ203内の冷却モジュール(図示せず)に流体連結されてもよい。冷媒供給ライン131および冷媒戻りライン132の他端は、コネクタモジュール320の流体コネクタ120に接続可能である。一実施形態において、冷媒供給ライン131および冷媒戻りライン132は、それぞれの端部に流体コネクタ120をさらに備えてもよい。
【0021】
図3A~
図3Dは、本実施形態に係る、冷媒分配マニホールド201/202にブラインド嵌合接続構造を用いてブラインド嵌合されたサーバ203の断面図を示す。
図3A~
図3Dの図は、冷媒分配マニホールド(または「ラックマニホールド」)201/2およびサーバラック(図示せず)に挿入されるサーバ203を含むサーバラック(図示せず)の側面図または断面図である。
図3A~
図3Dの図では、冷媒分配マニホールド201/2はラックサーバラック(図示せず)の後側(左側、
図3A~
図3D)に構成され、サーバ203はラックサーバラック(図示せず)の前側(右側、
図3A~
図3D)から冷媒分配マニホールド201/2に向かってサーバラック(図示せず)に挿入されている。ガイドモジュール250は、中心点251がガイドモジュール250の最も深い部分に位置する状態で、ラックマニホールド201/2に連結されて示されている。ガイドモジュール250は、冷媒分配マニホールド201と冷媒分配マニホールド202との間に設けられている。中心点251は、冷媒分配マニホールド201(例えば、冷媒供給分配マニホールド)における流体コネクタ212の中心線と、冷媒分配マニホールド202(例えば、冷媒戻り分配マニホールド)における流体コネクタ212の中心線との間に等距離である。サーバ203は、「サーバを取り付ける」という破線矢印で示すように、右から左に向かって装着される。
【0022】
図3Aは、ブラインド嵌合構造の要部を示している。
図3Aは、サーバがサーバラック(図示せず)に充填される前のブラインド嵌合構造の状態を示す。ブラインド嵌合構造のサーバ側の主なコンポーネントは、位置決めスライダ310、コネクタモジュール320、および摺動通路330を含む。一実施形態において、位置決めスライダ310は位置決めスライダ310のヘッド部におけるボールを含んでもよい。当該ボールは、ブラインド嵌合構造のラックマニホールド側におけるガイドモジュール250の表面上方での位置決めスライダ310の移動を簡便にすることができる。コネクタモジュール320は、1つまたは複数の流体コネクタ120を含む。各流体コネクタ120は、サーバ203内の冷媒ラインに相当する。冷媒ラインの一端は、サーバ203内の冷却モジュールに連結されている。冷媒ラインの他端は、流体コネクタ120に連結されている。コネクタモジュール320は、摺動通路330に連結されており、この摺動通路330によって、コネクタモジュール320は、サーバ203の背面平面内で、水平方向および垂直方向に摺動可能となっている。サーバ203がサーバラック(図示せず)に取り付けられると、コネクタモジュール320は、位置決めスライダ310がガイドモジュール250の内面に接触することによって位置決めスライダ310に加えられる力に応じて、摺動通路330に沿って摺動する。
【0023】
ラックマニホールド側では、ガイドモジュール250は、2つのラックマニホールド201/202(201/2と総称される)の間に取り付けられ、各ラックマニホールドは、ラックマニホールドに関連する1つまたは複数の流体コネクタ212を有する。ラックマニホールド201/2は、冷媒をサーバ203の冷却モジュールに循環させるための冷媒供給分配マニホールドおよび冷媒戻りマニホールドであってもよい。ガイドモジュール250は、ガイドモジュール250の表面に形成されたガイド通路を含むガイド面を含んでもよい。例えば、ガイドモジュール250は、ガイドモジュール250の第1の端部に矩形の開口を有してもよい。サーバ203がサーバラック(図示せず)に取り付けられると、ガイドモジュール250の第1の端部の開口がサーバ203に対向する。ガイドモジュール250の第1の端部の開口は、ガイドモジュール250の第2の端部の中心点251まで徐々に細くなっている。中心点251は、ガイドモジュール250内部の最も深い点(すなわち、サーバ203から最も遠い点)である。中心点251は、2つのラックマニホールド201/2の間のガイドモジュール251上にあり、2つのラックマニホールド201/2のそれぞれから等距離の位置にある。
【0024】
図3Bは、サーバ203がサーバラック(図示せず)に充填されている間のブラインド嵌合構造の動作を示す。ここで
図3Bを参照すると、流体コネクタ120は流体コネクタ212と位置合わせされていないことが分かる。サーバ203がラックに装着されると、位置決めスライダ310は、まず、ガイドモジュール250内のガイド通路に接触する。位置決めスライダ310は、ガイドモジュール250の斜面に当接し、位置決めスライダ310はガイドモジュール250の面に沿って中心点251に向かって摺動する。ガイドモジュール250内の斜面は、サーバ203をサーバラック(図示せず)内に摺動させる力と組み合わされて、サーバ203の背面に対して水平(x軸)および垂直(y軸)方向のうちの1つまたは複数の方向の位置決めスライダ310にベクトル力成分を生成する。位置決めスライダ310は、サーバ203がサーバラック(図示せず)に装着されたときに、ラベル「スライダの移動」と、これに対応する左斜め下方への破線矢印で示すように、ガイドモジュール250の斜面に沿って移動する。位置決めスライダ310に加えられた力は、位置決めスライダ310によってコネクタモジュール320に伝達され、それによってコネクタモジュール320は、「コネクタモジュール移動」というラベルおよび下方に向かう破線矢印で示される摺動通路330に沿って摺動する。
【0025】
ここで
図3Cを参照すると、サーバラック(図示せず)におけるサーバ203の充填中の中間位置が示されている。ある場合には、位置決めスライダ310は、例えば、ガイドモジュール250の垂直中心線に直接対応してもよい。位置決めスライダ310は、引き続きガイドモジュール250に向かって移動し、その後、ガイド通路250の表面に沿って移動することができる。コネクタモジュール320、したがって位置決めスライダ310は最初にこのような構成にあることは少ない。サーバ203のサーバラック(図示せず)への充填が完了する前に、位置決めスライダ310がほぼ中心点251を中心とする。しかし、これは、サーバ203がサーバラック(図示せず)に最初に充填された後の一般的な場合である。サーバ203がサーバラックに最初に設置された後、位置決めスライダ310、したがってコネクタモジュール320は、サーバ203をサーバラックに後で設置するために、中心点251に位置合わせされた位置に適度に接近したままにすることができる。
【0026】
コネクタモジュール320の移動により、流体コネクタ120は、冷媒分配マニホールド201/202における対応して嵌合する流体コネクタ212と位置合わせされる。位置決めスライダ310は、コネクタモジュール320に連結されている。コネクタモジュール320は、摺動通路330に連結されている。サーバ203がサーバラック(図示せず)に設置されると、摺動通路330は、位置決めスライダ310のヘッド部の位置に応じて水平および/または垂直に摺動する。位置決めスライダ310のボールヘッドが中心点251に到達すると、コネクタモジュール320が中心点251に位置合わせされる。ここで、コネクタモジュール320の流体コネクタ120は、ラックマニホールドの流体コネクタ212と位置合わせされ、流体コネクタ120と流体コネクタ212とのブラインド嵌合を行う準備をする。
【0027】
ここで
図3Dを参照すると、サーバ203がサーバラック(図示せず)内に完全に摺動している位置が示されている。コネクタモジュール320における流体コネクタ120は、冷媒分配マニホールド201/2における流体コネクタ212に完全に位置合わせされ、ブラインド嵌合される。位置決めスライダ310は、「ロック位置」でガイドモジュール250の中心点251に取り付けられている。一実施形態において、中心点251は、位置決めスライダ310のボールヘッドを中心点251に少なくとも部分的に固定するストッパを含んでもよい。流体コネクタ120を流体コネクタ212に嵌合させる動作により、さらなるロック力が発生する。位置決めスライダが中心点251に達すると、流体コネクタ120、212は完全にブラインド嵌合することができる。しかし、このことは、多くの要因によって常に起こるわけではない。本明細書で開示したブラインド嵌合構造は、完全かつ正確なブラインド嵌合を提供する状況を解決する。
【0028】
図4Aおよび
図4Bは、いくつかの実施形態に係る、システムレベル構造を使用してブラインド嵌合するためのガイドモジュールを有する冷媒分配マニホールドの断面図を示す。
図4Aは、冷媒分配マニホールド(「ラックマニホールド」)201/2に取り付けられたガイドモジュール250の側面図を示している。
図4Bは、サーバラック(図示せず)内のサーバ203から、サーバラック(図示せず)の後部に取り付けられたラックマニホールド201/2に向かって見た時の端面図を示す。
【0029】
弾性接続部253は、ガイドモジュール250とラックマニホールド201/2との間に取り付けることができる。当分野で知られているように、サーバラックは、通常、サーバラックのフレームに機械的な「停止」タブまたは耳を備えており、「停止」点を超えてフレームにサーバが挿入されることを防止している。この停止点は、サーバがサーバラックの前部に対してサーバラック(図示せず)に取り付けられる最大距離である。しかしながら、サーバ203における流体コネクタ120がラックマニホールド201/2における流体コネクタ212と完全に嵌合する場合、ラックマニホールドの、サーバラックの前面に面する距離は、十分に正確でない場合がある。
図4Aおよび4Bの実施形態において、弾性接続部253は、コネクタモジュール320における流体コネクタ120間のわずかな距離の差を吸収して、ラックマニホールド201/202における流体コネクタ212との完全かつ適切な嵌合を確実にすることができる。サーバ203がサーバラック(図示せず)に押し込まれると、サーバ203がサーバラック内の「停止」タブに到達する前に、かつ、流体コネクタ120および212が完全にブラインド嵌合される前に、位置決めスライダ310がガイドモジュール250の中心点251に接触すると、位置決めスライダ310は、流体コネクタ120および212が完全にブラインド嵌合されるまで、ガイドモジュール250の中心点251を押し、弾性接続部253をわずかに圧縮する。中心点251を含むガイドモジュール250全体を
図4Aの左側に押して、弾性接続部253を圧縮することができる。なお、弾性接続部253の圧縮率は、異なる場合に対応するように変更してもよい。
【0030】
図5Aおよび
図5Bは、いくつかの実施形態による、ブラインド嵌合接続をサポートするサーバラック(図示せず)内の冷媒分配マニホールド(「ラックマニホールド」)201/202の断面図を示す。
図4Aおよび4Bに上述したブラインド嵌合接続構造は、4つのガイドモジュール250を示すために拡張されており、各ガイドモジュール250は、ガイドモジュール250とラックマニホールド201/202との間に固定された弾性接続部253を有する。一実施形態において、弾性接続部253は、低密度の圧縮可能な発泡ゴムまたは低密度の圧縮可能なゴムのストリップであってもよい。一実施形態において、弾性接続部253は、ラックマニホールドの表面における材料のストリップの形態であってもよい。一実施形態において、複数のガイドモジュール250を収容するために、例えば接着剤または自己接着剤を有する材料の単一のストリップを適用することができる。各ガイドモジュール250は、サーバ(図示せず)のコネクタモジュール(図示せず)に取り付けられた複数の流体コネクタ(図示せず)を一対のラックマニホールド201/202における一対の流体コネクタ212にブラインド嵌合するために、コネクタモジュール(図示せず)の位置決めスライダ(図示せず)を受けるように構成される。なお、ガイドモジュール250、中心点251、弾性接続部253、ラックマニホールド201/202、および流体コネクタ212のブラインド嵌合動作および機能については、上述したとおりであり、ここではその説明を省略する。
【0031】
ガイドモジュールを既存のラックマニホールドに取り付けて、既存のサーバラックにガイド機能を追加することができる。
図5Aおよび
図5Bでは、ガイドモジュール250は、類似または同一であるように示されているが、これらに限定されない。ガイドモジュール250の異なる構成は、サーバラックにインストールされる、またはインストールしようとする異なるサーバタイプ、およびサーバラックの異なる構成に対して実装されてもよい。
【0032】
図6Aおよび
図6Bは、いくつかの実施形態による、弾性接続部253を有するガイドモジュール250を有する冷媒分配(「ラック」)マニホールド201/202の流体コネクタ212とブラインド嵌合するサーバ203の断面図を示す。
図6Aを参照すると、サーバ203がサーバラック(図示せず)に取り付けられると、位置決めスライダ310は、サーバ203のコネクタモジュール320における流体コネクタ120がラックマニホールド201/202における対応する流体コネクタ212に完全に接続(「ブラインド嵌合」)する前に、ガイドモジュール250の中心点251に到達することができる。
図6Aでは、これは、流体コネクタ212と流体コネクタ120との間の間隙に向けられた「流体切断」というラベルによって示されている。
【0033】
ここで
図6Bを参照すると、流体コネクタ120および212を完全にブラインド嵌合するために、サーバ203をサーバラック(図示せず)にさらに押し込むための付加的な移動が提供されてもよい。付加的な移動は破線の矢印で示されており、
図6Bでは左側を指している。付加的な移動は、さらに弾性接続部253の圧縮によって示され、
図6Bにおいて「付加的な移動」と表示されている。この付加的な移動により、位置決めスライダ310がガイドモジュール250を押圧し、弾性接続部253が僅かに圧縮される。流体コネクタ120および212は、完全な流体接続を形成するために完全にブラインド嵌合される。一実施形態において、中心点251は、流体コネクタの嵌合を維持するのを助けるために、位置決めスライダ310のヘッド部におけるボールエンドを捕捉または部分的に捕捉する小さなストッパを有することができる。
【0034】
図7は一実施形態に係るブラインド嵌合のためのシステムレベル構造のコンポーネントの端面図を示している。
図7は、サーバ203の後部に取り付けられたブラインド嵌合接続構造の一部を示している。ブラインド嵌合構造のサーバ側は、コネクタモジュール320に連結された1つまたは複数の流体コネクタ120を含む。サーバの内部において、冷却モジュール(図示せず)の伝熱ユニット(図示せず)には、冷媒供給ラインの一端と冷媒戻りライン(図示せず)の一端とが連結されている。冷媒供給ライン(図示せず)の他端は、流体コネクタ120の一方に連結され、冷媒戻りライン(図示せず)の他端は、コネクタモジュール320における流体コネクタ120の他方に連結される。コネクタモジュール320は、摺動通路330に連結されている。コネクタモジュール320は、コネクタモジュール320における2つの垂直矢印によって示されるように、摺動通路330に沿って垂直方向(y軸)に摺動可能である。摺動通路330はまた、2つの水平方向に対向する矢印によって示されるように、コネクタモジュール320が水平方向(x軸方向)に摺動できるようにする。一実施形態において、摺動通路330は、支持フレーム302を用いてサーバ203に固定することができる。一実施形態において、摺動通路330は、支持フレーム302を用いることなく、摺動通路330をサーバのシャーシに取り付けることができるように構成されてもよい。
【0035】
摺動通路330は、摺動通路330の摺動動作を容易にするために、ころ軸受、玉軸受、潤滑剤および/または他の材料の成形通路材料で構成することができる。成形通路材料は、金属(例えば、鋼、ステンレス、アルミニウムまたは他の材料)であってもよい。通路材料は、公知の形状、例えば、c字状通路または箱状通路に切断されてもよいし、その他の公知の形状に切断または加工されてもよい。一実施形態において、通路材料は、例えば、家具の引き出し、棚またはその他の摺動レール等に使用されるように、押出成形またはプレス成形により形成することができる。
【0036】
位置決めスライダ310は、サーバ203の背面に垂直になるようにコネクタモジュール320に固定された細長い部材である。一実施形態において、位置決めスライダ310は、コネクタモジュール320から取り外して交換することができ、例えば、特定の取り付けのための適切な長さおよび/またはタイプの位置決めスライダ310の取り付けに適合させることができる。位置決めスライダ310の横断面は、円形、楕円形、正方形、長方形、またはその他の形状であってもよい。位置決めスライダ310の長さは、サーバラック内の「停止」タブ間の距離(または、ラック内に設置されたときに、サーバのために適切に設計された固定後方エンド)に基づいて決定することができる。位置決めスライダ310の長さは、さらに、サーバ203の後方からのコネクタモジュール320の深さ、コネクタモジュール320の表面からコネクタモジュール320に連結された流体コネクタ120の端部までの距離、ラックマニホールド201/2における流体コネクタ212の長さ、および、ラックマニホールド201/2の表面から中心点251における最深点までのガイドモジュール250の深さに基づいて決定される。位置決めスライダ310の横断面形状および横断面形状の大きさは、位置決めスライダ310の確定された長さに基づいて選択することができる。位置決めスライダ310の横断面は、さらに、ガイドモジュールの傾斜側の勾配、サーバ203をサーバラックに装着する際に位置決めスライダ310に加わる水平力および垂直力、および摺動通路330の移動における抵抗に基づいて選択することができる。位置決めスライダ310の横断面形状および寸法の設計は、位置決めスライダ310が、摺動コネクタモジュール320の位置の使用中、まっすぐで剛性であり、実質的に曲げられないことを確実にする。
【0037】
図8Aおよび
図8Bは、一実施形態に係る、ブラインド嵌合のためのシステムレベル構造を有するサーバ203を受信するサーバラック200の背面図を示す。
図8Aおよび
図8Bは、サーバラック200の前部(サーバラック200から見た部分)からサーバラック200の後部に向かって見た斜視図である。ブラインド嵌合接続構造のサーバ203側と、ブラインド嵌合接続構造のラックマニホールド201/2側の両方のコンポーネントを示している。
【0038】
図8Aを参照すると、サーバラック200は、サーバラック200に取り付けられる2つのサーバ203を有する。2つのラックマニホールド201/202は、サーバラック200の後部に取り付けられている。ラックマニホールド201/2は、例えば、冷媒供給分配マニホールドおよび冷媒戻り収集マニホールドであってもよい。ラックマニホールド201/2は、それぞれ、所定の間隔で連結された複数の流体コネクタ212を有する、密閉された細長い管、例えば、方形管として構成されてもよい。典型的には、サーバ203におけるコネクタモジュール320における一対の流体コネクタ120は、対応する一対のラックマニホールドにブラインド嵌合される。
図8Aの構成では、2つのラックマニホールド201/2が互いに十分に近接しているので、各サーバ203上に流体コネクタ120を有する単一のコネクタモジュール320は、ラックマニホールド201/2における対応する流体コネクタ212にブラインド嵌合することができる。各コネクタモジュール320は、摺動通路330に連結されており、該摺動通路330は、サーバ203のシャーシに連結されている。コネクタモジュール320はまた、位置決めスライダ310を含む。コネクタモジュール320およびそのコンポーネントの詳細および動作については、少なくとも
図2、
図3A~
図3D、
図4A~
図4B、
図6A~
図6Bおよび
図7を参照して、上で説明しており、ここでは説明を省略する。
【0039】
1つのサーバとブラインド嵌合する流体コネクタ212の各対は、ラックマニホールド201/2における流体コネクタ212の対の間に取り付けられたガイドモジュール250を有する。各ガイドモジュール250は、中心点251を有しており、オプションとして、ガイドモジュール250とラックマニホールド201/2との間に取り付けられた弾性接続部253を有していてもよい。ガイドモジュール250、中心点251、および弾性接続部253については、
図2、
図3A~
図3D、
図4A~
図4B、
図5A~
図5B、
図6A~
図6B、および
図7を参照して、上で詳細に説明しており、ここでは説明を省略する。
【0040】
図8Bに示すように、ラックサーバ200には、2つのサーバ203が設置されている。ここで、ラックマニホールド201は、ラックマニホールド202とは別体であり、1つは冷媒供給用、1つは冷媒戻り用である。サーバラック200の最も左側には一方のラックマニホールドが取り付けられ、サーバラック200の最も右側には他方のラックマニホールドが取り付けられている。一実施形態において、それぞれ単一の流体コネクタ120と位置決めスライダ310とを有する2つのコネクタモジュール320を用いることができる。単一の流体コネクタ120は、サーバ203内の冷媒供給ラインまたは冷媒戻りライン(図示せず)のいずれかに対応することができる。各コネクタモジュール320は、自身の摺動通路330に固定されており、この摺動通路330は、位置決めスライダ310がガイドモジュール250の内面に接触することに応答して、コネクタモジュール320を水平(x軸)方向および垂直(y軸)方向に摺動させる。同様に、
図8Bの右側では、単一の流体コネクタ120が、サーバ203のための別のコネクタモジュール320に連結されている。単一の流体コネクタ120は、例えば、サーバ203内の冷媒供給ラインまたは冷媒戻りライン(図示せず)のうちの他方に対応する。その他の点では、単一の流体コネクタ120を有するコネクタモジュール320の動作は、
図8Bで既に説明した単一の流体コネクタ120を有するコネクタモジュールと同様である。
図8Bでは、ガイドモジュール250がラックマニホールド201または202との接続点で実質的に曲げられないことを確実にするために、ガイドモジュール250がラックマニホールド201または202に取り付けられる方法は、その設計において追加の剛性を有することができる。その他の点では、ガイドモジュール250およびコネクタモジュール320の設計および機能は、前述の実施形態と実質的に同じである。
図8Bにおいて、弾性接続部253は、ガイドモジュール250とラックマニホールド201または202との間に連結されてもよい。
【0041】
本明細書において、本出願の実施形態は、既にその具体的な例示的な実施形態を参照しながら記載された。本出願を所有する当業者であれば、コネクタの種類、ホース、配管、ライン、構造フレーム部材、およびモジュールの向きを様々に選択することが可能である。本出願を用いて異なるサーバラック配向、例えば、垂直方向または上下方向を実現することができる。明らかなように、添付された特許請求の範囲に記載された本出願のより広い趣旨および範囲を逸脱しない限り、本出願に対して様々な変更を行うことができる。したがって、明細書および図面は、例示的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきである。
【外国語明細書】
Figure 1
Figure 2
Figure 3A
Figure 3B
Figure 3C
Figure 3D
Figure 4
Figure 5
Figure 6
Figure 7
Figure 8