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特開2022-95743電子パッケージング、自動車用電気機器、バッテリ、及び他の構成要素の可視レーザー溶接
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  • 特開-電子パッケージング、自動車用電気機器、バッテリ、及び他の構成要素の可視レーザー溶接 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095743
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】電子パッケージング、自動車用電気機器、バッテリ、及び他の構成要素の可視レーザー溶接
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20220621BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20220621BHJP
   B23K 26/322 20140101ALI20220621BHJP
   H01M 50/516 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/522 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/526 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20220621BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20220621BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20220621BHJP
【FI】
B23K26/21 A
B23K26/00 N
B23K26/322
H01M50/516
H01M50/522
H01M50/536
H01M50/566
H01M50/526
H01M50/534
H01M50/562
H01L31/04 570
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051337
(22)【出願日】2022-03-28
(62)【分割の表示】P 2018556818の分割
【原出願日】2017-04-28
(31)【優先権主張番号】62/329,830
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】316003531
【氏名又は名称】ヌブル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ペラプラット, ジャン ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ゼディカー, マーク エス.
(72)【発明者】
【氏名】フィナフ, マシュー
(57)【要約】
【課題】電子機器パッケージングの分野及び構成要素関連の分野を含め、バス、バッテリ、エネルギー貯蔵、航空宇宙産業、自動車、ソーラー、光電池、及び電力の各分野において、かねてより要求が高まっている高い公差と優れた均一性を有する溶接部を提供すること。
【解決手段】当該方法では、第1の金属部片を第2の金属部片の上に関連付け、それらに向かってレーザービームを方向決めする。レーザービームは、最初に第1の金属部片に当り第2の金属部片にまで貫通する。それにより、両方の金属部片にレーザービームが当たる。レーザービームは、約350nmから約700nmの範囲の波長を有し、金属部片はレーザービームの約40%から約75%を吸収するものとされる。これにより、第1及び第2の金属部片が一体に溶接される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの金属部片を一体に溶接する方法であって、
第1の金属部片を第2の金属部片の上に関連付ける段階と、
前記第1の金属部片及び前記第2の金属部片に向かってレーザービームを方向決めする段階と、を備え、
前記レーザービームは、最初に前記第1の金属部片に当たり前記第2の金属部片にまで貫通し、それにより前記第1の金属部片と前記第2の金属部片の両方に前記レーザービームが当たるようにされ、
前記レーザービームは、約350nmから約700nmの範囲の波長を有し、前記第1の金属部片と前記第2の金属部片の両方が前記レーザービームの約40%から約75%を吸収するものとされ、それにより前記第1及び第2の金属部片が一体に溶接されるようにする、方法。
【請求項2】
前記第1の金属部片は4.5μmから110μmの厚さを有する箔である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の金属部片は4.5μmから110μmの厚さを有する箔である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記波長は、約400nmから約500nmの範囲である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の金属部片は、銅、銅合金、金、金合金、白金、白金合金、及びステンレス鋼からなる群より選択される金属を有している、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の金属部片は、真鍮、銀、アルミニウム、ニッケル、及びそれらの合金からなる群より選択される金属を有している、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
金属部片同士を一体に溶接する方法であって、
第1の金属部片を第2の金属部片と関連付ける段階と、
前記第1の金属部片及び前記第2の金属部片に向かってレーザービームを方向決めする段階と、を備え、
前記レーザービームは前記第1及び第2の金属部片を貫通し、それにより前記第1の金属部片と前記第2の金属部片の両方に前記レーザービームが当たって、前記第1の金属部片と前記第2の金属部片の両方が前記レーザービームを吸収するようにされ、
前記レーザービームは約400nmから約575nmの範囲の波長を有し、それにより前記第1及び第2の金属部片が一体に溶接され、
前記第1の金属部片、前記第2の金属部片、又は両方の金属部片が、銅、金、白金、ステンレス鋼、真鍮、銀、アルミニウム、ニッケル、及びそれらの合金からなる群より選択される金属を有している、方法。
【請求項8】
前記第1の金属部片、前記第2の金属部片、又は両方の金属部片が、4.5μmから110μmの厚さを有する箔である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の金属部片、前記第2の金属部片、又は両方の金属部片が、45μmから550μmの厚さを有するタブである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の金属部片が45μmから550μmの厚さを有するタブであり、前記タブは、銅及び銅合金からなる群より選択される金属で作られている、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の金属部片がバスバーを有する、請求項1又は7に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の金属部片が電気メッキされた金属を有する、請求項1又は7に記載の方法。
【請求項13】
青色レーザービームを使用して2つの金属の構成要素を接合する方法であって、
a.接合されるべき第1の構成要素と接合されるべき第2の構成要素とを含む標的場所への既定波長を有する青色レーザービームの源を提供する段階と、
b.前記青色レーザービームが或るパターンと或る既定のレーザー強度で方向決めされることができるように走査デバイス及び集束光学器を提供する段階であって、
c.前記第1の構成要素と前記第2の構成要素の少なくとも一方は、前記青色レーザービームに対する少なくとも45%の吸収性を有している、走査デバイス及び集束光学器を提供する段階と、
d.前記第1の構成要素と前記第2の構成要素を一体に溶接するために前記標的場所へ前記パターンと前記既定のレーザー強度で前記青色レーザービームを送達する段階であって、前記第1の構成要素と前記第2の構成要素の両方に前記青色レーザービームが当たるようにし、前記青色レーザービームのエネルギーの少なくとも45%が溶接部を形成するために利用され、前記第1の構成要素、前記第2の構成要素、又は両方の構成要素上のスポットでの前記青色レーザービームのフルエンスが1,000,000W/cm未満である、段階と、
を含み、
e.前記溶接部が0.09mΩから275mΩの抵抗率を有するようにする、
方法。
【請求項14】
前記抵抗率は0.09mΩから220mΩである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抵抗率は0.09mΩから150mΩである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記抵抗率は0.09mΩから100mΩである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記抵抗率は0.09mΩから10mΩである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記抵抗率は0.09mΩから1mΩである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記スポットでの前記青色レーザービームの前記フルエンスが、500,000W/cm未満である、請求項13乃至18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記スポットでの前記青色レーザービームの前記フルエンスが、100,000W/cm未満である、請求項13乃至18の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記スポットでの前記青色レーザービームの前記フルエンスが、50,000W/cm未満である、請求項13乃至18の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
青色レーザービームを使用して2つの金属の構成要素を接合する方法であって、
a.接合されるべき第1の構成要素と接合されるべき第2の構成要素とを含む溶接部位への既定波長を有する青色レーザービームの源を提供する段階であって、前記第1の構成要素は箔又はタブである、段階と、
b.前記青色レーザービームが或るパターンと既定のレーザー強度で方向決めされることができるように走査デバイス及び集束光学器を提供する段階と、
c.前記第1の構成要素と前記第2の構成要素を一体に溶接するために前記溶接部位へ前記パターンと前記既定のレーザー強度で前記青色レーザービームを送達し、前記青色レーザービームが前記第1の構成要素と前記第2の構成要素の両方に当たって貫通するようにする段階と、を備え、
d.前記溶接部位におけるレーザー強度は溶接の始動時からその完了時までを通して6%未満しか変化せず、
e.前記青色レーザービームのエネルギーの少なくとも45%が、溶接部の形成に利用されるようにされた、
方法。
【請求項23】
前記レーザー強度が、前記溶接中に、0.9%から約5.5%変化する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記レーザー強度が、前記溶接中に、0.9%から1.1%変化する、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年4月29日出願の米国仮特許出願第62/329,830号の出願日の恩典を主張し、その開示全体をここに参考文献として引用する。
【0002】
本発明は、材料のレーザー加工に関し、詳しくは、約350nmから約500nm及びそれより大きい波長を有するレーザービームを使用する材料のレーザー接合に関する。
【背景技術】
【0003】
次世代のバッテリ及びエネルギー貯蔵システムでの、バスバー、相互接続部、電極、バッテリセル、バッテリパック、及びタブやケーシングの溶接は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼(「SS」)、及びニッケルめっきされた材料の間に低抵抗高疲労サイクルの接合部を作製するための堅牢な手段を必要とする。IR波長、例えば700nmより大きい波長、特に1,000nmより大きい波長での従来のレーザーは、それらの波長での材料の低い吸収能のせいで、これらの材料を溶接することが又はこれらの材料の一貫して高品質な溶接部を提供することができない。必然の結果として、プロセスを始動させるのに非常に高いパワーのレーザーが必要であるか又はプロセスを実施してゆくのに非常に高い輝度のレーザーが必要であるかのどちらかとなり、場合に依ってはどちらのレーザーも要求される。それ故、これらの先行技術の選択肢つまり高輝度か高パワーかという選択肢の両方が狭い加工ウインドーをもたらす原因となっており、そのことは、電子機器パッケージングの分野及び構成要素関連の分野を含め、バス、バッテリ、エネルギー貯蔵、航空宇宙産業、自動車、ソーラー、光電池、及び電力の各分野において、かねてより要求が高まっている高い公差と優れた均一性に向けた溶接部及び製品を提供するうえで、望ましいことではなく、再現性の欠如、動作の制御の難しさ、そして動作をスケーリングする場合の難しさを含む数々の困難を招いている。
【0004】
「レーザー加工」、「材料のレーザー加工」という用語、及び類似のその様な用語は、別途明示的に提示されていない限りは、これらの可能な限り最も広範な意味を与えられるべきであり、溶接、はんだ付け、溶融製錬、接合、焼なまし、軟化、粘着付与、リサーフェシング、ピーニング、熱処理、融合、封止、及び積付けを含むものとする。
【0005】
ここでの使用に際し、別途明示的に表明されていない限り、「UV」、「紫外線」、「UVスペクトル」、及び「スペクトルのUV部分」、及び類似の用語は、それらの最も広範な意味を与えられるべきであり、約10nmから約400nm、及び約10nmから約400nmの波長の光を含むものとする。
【0006】
ここでの使用に際し、別途明示的に表明されていない限り、「可視」、「可視スペクトル」、及び「スペクトルの可視部分」という用語、及び類似の用語は、それらの最も広範な意味を与えられるべきであり、約380nmから約750nm及び約400nmから約700nmの波長の光を含むものとする。
【0007】
ここでの使用に際し、別途明示的に表明されていない限り、「青色レーザービーム」、「青色レーザー」、及び「青色」という用語は、それらの最も広範な意味を与えられるべきであり、概して、レーザービームを提供するシステム、レーザービーム、レーザー源、例えばレーザー及びダイオードレーザーであって、約400nmから約500nmの波長を有するレーザービーム又は光を提供するもの、例えば伝播させるもの、をいう。
【0008】
ここでの使用に際し、別途明示的に表明されていない限り、「緑色レーザービーム」、「緑色レーザー」、及び「緑色」という用語は、それらの最も広範な意味を与えられるべきであり、概して、レーザービームを提供するシステム、レーザービーム、レーザー源、例えばレーザー及びダイオードレーザーであって、約500nmから約575nmの波長を有するレーザービーム又は光を提供するもの、例えば伝播させるもの、をいう。
【0009】
概して、ここでの使用に際し「約」という用語は、別途指定されていない限り、±10%の分散又は範囲、表明されている値を得ることに関連付けられる実験誤差又は計器誤差、及び望ましくはこれらのうちのより大きい方、を網羅するものとする。
【0010】
発明の背景技術の項は、本発明の実施形態と関連付けられ得る当技術の様々な態様を紹介することを意図している。従って、本項での上記論考は、本発明をより深く理解するための枠組みを提供しており、先行技術の是認と見なされてはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
高反射性構成要素部品、電子コネクタ、電子機器、電子構成要素の製作、特にバスバー、相互接続部、及びタブの製作では、より優れた再現性、高信頼性、高公差、及びよりいっそうの堅牢性に対する必要性が長年存在しており、未だ成就されていない。本発明は、他にもあるが中でも特に、ここに教示され開示されている製造物品、デバイス、及びプロセスを提供することによってこれらの必要性を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、金属部片同士を一体に溶接する方法であって、第1の金属部片を第2の金属部片と関連付ける段階と;第1の金属部片及び第2の金属部片に向かってレーザービームを方向決めする段階であって;レーザービームは約400nmから約500nmの範囲の波長を有しており;金属部片はレーザービームの約40%から約75%を吸収し;それにより部片同士は一体に溶接されるようにする段階と、を有する方法が提供されている。
【0013】
更に、次の特徴、即ち、第1の部片は約5μmから約100μmの厚さを有する箔である;第2の部片は約5μmから約100μmの厚さを有する箔である;第1の材料部片は、銅、銅合金、金、金合金、及びステンレス鋼からなる群より選択される金属を有している、という特徴のうちの1つ又はそれ以上を有するこれらの方法、システム、及び装置が提供されている。
【0014】
また、金属部片同士を一体に溶接する方法であって、第1の金属部片を第2の金属部片と関連付ける段階と;第1の金属部片及び第2の金属部片に向かってレーザービームを方向決めする段階であって;レーザービームは約400nmから約500nmの範囲の波長を有しており;第1の金属部片はアルミニウムであり;それにより部片同士は一体に溶接されるにする、レーザービームを方向決めする段階と、を有する方法が提供されている。
【0015】
更に、次の特徴の1つ又はそれ以上を有するこれらの方法、システム、及び装置、即ち、第2の金属部片はアルミニウムを有している;第1の金属部片はアルミニウム合金である;第1の部片又は第2の部片又は両方の部片は約5μmから約100μmの厚さを有する箔である;第1の部片又は第2の部片又は両方の部片は約50μmから約500μmの厚さを有するタブである;第2の部片は銅を有している;第2の部片は約50μmから約500μmの厚さを有するタブであり;タブは銅及び銅合金からなる群より選択される材料で作られている;第2の金属部片は、ニッケルめっきされた材料、ニッケルめっきされた銅、ニッケルめっきされたアルミニウム、ニッケルめっきされた銅合金、ニッケルめっきされたアルミニウム合金、及びステンレス鋼からなる群より選択されている;第2の金属部片はバスバーである;第2の金属部片は、アルミニウムバスバー、アルミニウム合金バスバー、銅タブ、銅合金タブ、ニッケルメッキされた銅バスバー、ニッケルめっきされた銅合金バスバー、ニッケルめっきされたアルミニウムバスバー、及びニッケルめっきされたアルミニウム合金バスバーからなる群より選択されている;及び、第2の金属部片は、金で電気メッキされた材料、白金で電気メッキされた材料、及び銅で電気メッキされた材料からなる群より選択されている、という特徴のうちの1つ又はそれ以上を有する方法、システム、及び装置が提供されている。
【0016】
また、青色レーザービームを使用して2つの金属構成要素を接合する方法であって、接合されるべき第1の構成要素と接合されるべき第2の構成要素とを含む標的場所への既定波長を有するレーザービームの源を提供する段階と;レーザービームが或るパターンと或る既定レーザー強度で方向決めされることができるように走査デバイス及び集束光学器を提供する段階であって;レーザービーム及び第1の構成要素と第2の構成要素の少なくとも一方は少なくとも約45%である吸収能を有している、走査デバイス及び集束光学器を提供する段階と;第1の構成要素と第2の構成要素を一体に溶接するために標的場所へレーザービームを送達する段階であって、レーザービームエネルギーの少なくとも45%が溶接部を形成するのに利用され;溶接部は約0.1mΩから約250mΩの抵抗率を有する、レーザービームを送達する段階と、を有する方法が提供されている。
【0017】
更に、次の特徴のうちの1つ又はそれ以上を有するこれらの方法、システム、及び装置、即ち、抵抗率は約0.1mΩから約200mΩである;抵抗率は約150mΩ未満である;抵抗率は約100mΩ未満である;抵抗率は約10mΩ未満である;抵抗率は約1mΩ未満である;走査デバイスはレーザービームを動かす;走査デバイスは第1の構成要素及び第2の構成要素を動かし、而してデバイスはレーザービームを動かすことができる、又は操作デバイスは溶接されるべき部片をレーザービームに対して既定のやり方で動かす台、ロボット、又は他の機械式、電気式、又は空気式のデバイスであり得る;第1の構成要素又は第2の構成要素又は両方の構成要素上のスポットでのレーザービームのフルエンスは約1,000,000W/cm未満である;第1の構成要素又は第2の構成要素又は両方の構成要素上のスポットでのレーザービームのフルエンスは約500,000W/cm未満である;第1の構成要素又は第2の構成要素又は両方の構成要素上のスポットでのレーザービームのフルエンスは約100,000W/cm未満である;第1の構成要素又は第2の構成要素又は両方の構成要素上のスポットでのレーザービームのフルエンスは約50,000W/cm未満である;波長は約400nmから約600nmである;波長は約400nmから約500nmである;波長は約450nmである;第1の構成要素と第2の構成要素は異なる金属である;第1の構成要素と第2の構成要素は同じ金属である;及び、第1の構成要素は、金、銅、銀、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、及びそれらの金属の1つ又はそれ以上の合金からなる群より選択されている、という特徴のうちの1つ又はそれ以上を有する方法、システム、及び装置が提供されている。
【0018】
更にまた、青色レーザービームを使用して2つの金属構成要素を接合する方法であって、溶接部位でのレーザー強度が感知され得るほどに変更される必要のない方法において、接合されるべき第1の構成要素と接合されるべき第2の構成要素とを含む溶接部位への既定波長を有するレーザービームの源を提供する段階と;レーザービームが或るパターンと或る既定強度で方向決めされることができるように走査デバイス及び集束光学器を提供する段階と;第1の構成要素と第2の構成要素を一体に溶接するために溶接部位へレーザービームを送達する段階であって、強度は溶接の始動時からその完了時までを通して本質的に同じままであり;レーザービームエネルギーの少なくとも45%が溶接部を形成するのに利用される、レーザービームを送達する段階と、を有する方法が提供されている。
【0019】
更に、次の特徴のうちの1つ又はそれ以上を有するこれらの方法、システム、及び装置、即ち、レーザービームエネルギーの約50%が溶接部を形成するのに利用される;レーザービームエネルギーの約60%が溶接部を形成するのに利用される;レーザービームエネルギーの約65%が溶接部を形成するのに利用される;構成要素の溶接時、レーザービーム強度は溶接中に約1%から約20%まで可変である;構成要素の溶接時、レーザービーム強度は溶接中に約10%可変である;構成要素の溶接時、レーザービーム強度は溶接中に約1%から約5%まで可変である;構成要素の溶接時、レーザービーム強度は溶接中に約1%可変である、という特徴のうちの1つ又はそれ以上を有する方法、システム、及び装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明によるバッテリパックの或る実施形態の概略斜視図である。
図2】本発明による、材料によるレーザーエネルギーの強化された吸収性を先行技術のシステム下でのレーザーエネルギーの貧弱な吸収性に比較したグラフである。
図3】本発明による、薄肉材料の厚肉材料への青色レーザー溶接の或る実施形態の模式図である。
図4】本発明による、実施形態で利用されている金属による波長依存性エネルギー吸収を示すグラフである。
図5】本発明による溶接方法の実施形態を遂行するための青色レーザーシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
概して、本発明は、材料をレーザー加工すること、つまり、事前に選択されたレーザービーム波長を加工されるべき材料に合わせて当該材料による高いレベル又は向上したレベルの吸収能を有するようしてレーザー加工することに関しており、詳しくは材料による高い吸収能を有するレーザービームを用いて材料をレーザー溶接することに関する。
【0022】
本発明の或る実施形態は、可視レーザービーム、即ち350nmから700nmの波長を有するレーザービームを使用して、これらの波長に高い吸収能を有する材料同士をレーザー加工によって溶接する又は接合することに関する。特に、レーザービーム波長は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、及び少なくとも約60%、又はそれ以上の吸収率を有するように、及び約30%から約65%、約35%から85%、約80%、約65%、約50%、及び約40%の吸収率を有するように、レーザー加工されるべき材料に基づいて既定される。かくして、金、銅、真鍮、銀、アルミニウム、ニッケル、これらの金属の合金、ステンレス鋼、及び他の金属、材料、及び合金を溶接するのに、例えば約400nmから約500nmの波長を有するレーザービームが使用される。
【0023】
概して、ここでの使用に際し「約」という用語は、別途指定されていない限り、±10%の分散又は範囲、表明されている値を得ることに関連付けられる実験誤差又は計器誤差、及び望ましくはこれらのうちのより大きい方、を網羅するものとする。
【0024】
金、銅、真鍮、銀、アルミニウム、ニッケル、ニッケルめっきされた銅、ステンレス鋼、及び他の材料、まためっきされた材料及びめっきされた合金の様な、材料を溶接するには、青色レーザー例えば約405nm乃至約495nmの波長の使用は、室温での材料の高い吸収能例えば約50%より大きい吸収能故に好適である。本発明の幾つかの利点の1つは、青色レーザービームの様な事前に選択されている波長のレーザービームの能力、つまりレーザー動作例えば溶接プロセス中にレーザーエネルギーを材料により良好に結合させるという能力である。レーザーエネルギーを溶接中の材料により良好に結合させることによって、赤外線レーザー(例えば700nmより大きい波長)の場合に典型的に起こり得る暴走プロセスの可能性は大幅に低減され、また好適には排除される。レーザーエネルギーをより良好に結合させるということは、更に、より低いパワーのレーザーが使用されることを可能にし、費用節減をもたらす。より良好に結合させるということは、更に、溶接部のより優れた制御、溶接部のより高い公差、ひいては溶接部のより優れた再現性をもたらす。IRレーザー及びIRレーザー溶接動作には見出されないこれらの特徴は、他にも製品はあるが中でも特に電子機器分野及び電力貯蔵分野の製品にとって重要である。
【0025】
或る好適な実施形態では、青色レーザーは約440nmの波長を有している。
【0026】
或る実施形態では、CWモードで動作する青色レーザーが使用されている。CW動作は多くの用途でパルスレーザーに勝って好適であり得る、というのも、レーザー出力を迅速に且つ完全に変調させフィードバックループ内での溶接プロセスを制御し、最適な機械的及び電気的特性で以て高度に再現可能なプロセスをもたらすことができるからである。
【0027】
概して、本発明の実施形態は、1つ、2つ、又はそれ以上の構成要素のレーザー加工を伴う。構成要素は、レーザービーム例えば複数のレーザービームを吸収する何れの型式の材料から作られていてもよく、プラスチック、金属、複合材、非晶質材料、結晶質材料、及び他の型式の材料から作られていてもよい。或る実施形態では、レーザー加工は、2つの金属構成要素を一体にはんだ付けすることを伴う。或る実施形態では、レーザー加工は、2つの金属構成要素を一体に溶接することを伴う。
【0028】
例えば、構成要素は箔の積層体であってもよい。そうすると、本システム及び方法の実施形態は、例えば、5枚の箔の積層体、10枚の箔の積層体、20枚の箔の積層体、25枚の箔の積層体、30枚の箔の積層体、40枚の箔の積層体、それより多い又はそれより少ない箔の積層体、及び10枚から40枚の箔の積層体を溶接することができる。これらの箔積層体は、5μm又はそれ以上、10μm又はそれ以上、及び15μm又はそれ以上、及び約5μmから約10μmの高さを有し得る。積層体の箔は、典型的には金属であり、例えば銅、更にはリチウム材料で被覆された銅とすることができる。これらの箔積層体は、セルを形成するように本システム及び方法の実施形態によって一体に接合されることができる。
【0029】
本システム及び方法の実施形態は、ソーラーセル相互接続部材料であって、例えば1100アルミニウム;OFC1/4硬質銅;Cu/インバール/Cu貼り合わせ複合材;Cu/SS/Cu材料;及びこれら組合せ及び変形型から作られ得るソーラーセル相互接続部材料を溶接するのに使用されることができる。
【0030】
或る実施形態では、工具、システム、及び方法であって、レーザー溶接動作が、自家溶接(autogeneous welding)、レーザーハイブリッド型溶接、キーホール溶接、重ね溶接、隅肉溶接、突合せ溶接、及び非自家溶接(non-autogeneous welding)からなる群より選択される、工具、システム、及び方法が提供されている。
【0031】
レーザー溶接技法は、多くの様々な状況において、特に電子接続部具体的には電力貯蔵デバイスを形成するのに溶接が必要である場合に、有用であるだろう。概して、本レーザービーム溶接動作及びシステムの実施形態は、自己生成的(autogeneous)とされ得る可視波長及び望ましくは青色波長のレーザーを含んでおり、自己生成的とはベース材料しか使用されないという意味であってキーホール溶接、重ね溶接、隅肉溶接、及び突合せ溶接では一般的である。レーザー溶接は、ギャップを「埋める」ために又は溶接部の強化のための隆起ビードを作成するために充填材料が溶かされたパドルへ加えられる場合は非自己生成的(non-autogeneous)ということになろう。レーザー溶接技法はレーザー材料堆積法(「LMD」)を含むものとする。
【0032】
本レーザー溶接動作及びシステムの実施形態は、ハイブリッド型溶接とされ得る可視波長及び望ましくは青色波長のレーザーを含んでおり、ハイブリッド型では充填材料のより速い給送を提供するためにレーザービームと併せて電流が使用される。レーザーハイブリッド型溶接は定義上は非自己生成的である。
【0033】
好適にも、一部の実施形態では、溶接の品質をオンザフライでチェックするのに能動的な溶接部監視器、例えばカメラ、が使用されてもよい。これらの監視器は例えばX線検査システム及び超音波検査システムを含むことができる。また、システム特性及び動作特性を完全に把握できるようにするため、オン・ストリームビーム解析及び電力監視が利用されてもよい。
【0034】
本レーザーシステムの実施形態は、新規性のあるレーザーシステム及び方法を従来のフライス加工及び機械加工機器と組み合わせたハイブリッド型システムとすることができる。このやり方では、製造中、造形中、再仕上中、又は他のプロセス中に、材料を足したり除去したりすることができる。本発明の発明者の一人又はそれ以上によって考案されているレーザーシステムの他の実施形態を使用しているその様なハイブリッド型システムの例が、米国特許出願第14/837,782号に開示、教示されており、その開示全体をここに参考文献として援用する。
【0035】
典型的には、重ね溶接又は突合せ溶接を遂行する場合には、シームトラッカーが有益であり、時に必要とされることがしばしばある。同じく突合せ溶接であるキーホール溶接は典型的にシームトラッカーを必要とするが、但し重ね幾何学配置にある両方の部品に浸透するキーホール溶接は概してシームを追跡する必要はない。
【0036】
典型的に、実施形態では、レーザー溶接は、光学器をクリーンに保つための極めて低い流量のガス、光学器をクリーンに保つためのエアナイフ、又は光学器をクリーンに保つための不活性環境を使用する。レーザー溶接は、空気中に、不活性環境中に、又は他の制御された環境中、例えばN中で遂行されることができる。
【0037】
或る実施形態は、405nmから500nmのレジームで動作する青色レーザーであって、マルチモードかシングルモードのどちらかであり、溶接プロセスを実施するのに使用される青色光の源となり得る青色レーザーを利用している。図2は、青色レーザー光の吸収特性を赤外線と比較して示している。ここでは、名目上450nmである青色光(線290)が赤外線(線200)よりも高い吸収特性を有していることが明白に分かる。図2では、華氏295度(摂氏21.85度)での吸収率vs波長(nm単位)が、Ti(線401)、SS304(線402)、Ni(線403)、Sn(Tin)(線404)、Cu(線405)、Au(線406)、Ag(線407)、Al(線408)について示されており、銅を例に取ると、赤外線(4%)から青色波長(65%)への吸収率の差は、溶接プロセス始動時で16倍優れた吸収率である。吸収率でのこの改善は、溶接プロセス中のより優れた制御を可能にさせる青色の比較的低パワー/低輝度のレーザー源を用いて溶接を開始させ及び持続させることを実施可能にする。図4には、波長についての追加の吸収率が提供されており、Ti(線450)、Cu(線451)、Au(線452)、Ag(線453)、Al(線454)、Ni(線456)、及びSS(線455)を示している。450nmの波長を使用する溶接プロセスの実施形態が線460によって示されており、IR波長461での吸収率に比較してこの実施形態460の波長では材料の多くについて吸収率が良くなっていることが分かり、例えばCu、Auについては有意に向上していることが分かる。
【0038】
本発明の実施形態は銅ベースの材料の溶接に大きな利点を見出し得るものであり、銅ベースの材料とは、銅、純銅、銅の合金、及び青色レーザー波長での好適には約400nmから約500nmでの約40%から約75%の吸収率を有するのに十分な量の銅を有しているあらゆる材料ということになる。
【0039】
図1を見ると、電力貯蔵デバイス100の或る実施形態の概略斜視図が提供されている。この実施形態は、バスバー105によって接続されているバッテリ101、102、103、104の群を有している。バッテリは溶接区域115、114、113、112、111、110、109、108においてバスバーに接続されている。理解しておきたいこととして、好適には、青色レーザーを使用する実際のレーザー溶接部は、バスバーの下になっていて故に図1では確認できないということであってもよいし、バスバーの肉厚内の異なる位置にあってもよいし、またバスバーの幅に沿って(例えば115と114の間に見られる様に)異なる場所にあってもよいわけである。バスバー105は、例えば他のバッテリパック、電源ケーブル、又は他のデバイスへ接続できるコネクタ106を有している。青色レーザーを使用する溶接部107がバスバー105をコネクタ106へ付着させている。溶接区域に形成されている溶接部は強度のある機械的電気的接続部であり、これらの溶接区域及び各々の関連する溶接部は低い抵抗率、好適には、140mΩより低い;10mΩより低い;及び1mΩより低い抵抗率、及び約140mΩから約1mΩ、約100mΩから約50mΩ、及び約100mΩから約10mΩの抵抗率、及び約10mΩから約1mΩの抵抗率を有する。
【0040】
レーザービームを用いて遂行され得る溶接には2つの基本的に自己生成的な溶接があり、つまり伝導溶接とキーホール溶接である。伝導溶接は、低強度(<100kW/cm)のレーザービームを使用して2つの金属部片が一体に溶接される場合である。この場合、2つの金属部片は互いに突き合わされていてもよいし、一方の側へ重なり合っていてもよいし、全体が重なり合っていてもよい。伝導溶接はキーホール溶接ほど深く浸透する傾向はなく、伝導溶接は、概して、突合せ溶接については特徴的な「v字」形状の非常に強度のある溶接継ぎ目を現出させる。一方で、キーホール溶接は、相対的に高いレーザービーム強度(>500kW/cm)で以て起こり、この溶接は材料の中へ深く浸透し、材料同士が重ね合わされている場合には多重の材料層を浸透することも多い。伝導モードからキーホールモードへの移行についての精密な閾値は青色レーザー源についてはまだ確定されていないが、キーホール溶接は特徴的な「v字」形状を材料の上部に有し且つ再凍結材料のほぼ平行な溝が材料の中へ深く浸透している。キーホールプロセスは、レーザーエネルギーを材料の中へ深く透過させることを金属の溶融プールの面からのレーザービームの反射に頼っている。これらの型式の溶接は何れのレーザーを用いて遂行されることもできるが、青色レーザーならこれらの溶接型式のどちらを開始させるにしても赤外線レーザーより実質的に低い閾値を有するはずであると予想される。
【0041】
図3には、本発明の方法を使用した、貯蔵デバイスの構成要素同士を一体に溶接する場合の模式図が示されている。かくして、構成300では、450nmの波長を有する青色レーザービーム370を使用してCu箔301をCu箔302へ一体に溶接する場合が示されている。構成310では、青色レーザービーム370を使用してCu箔312をCuタブ315へ一体に溶接する場合が示されている。構成320では、レーザービーム370を使用してCuタブ322をAlバス330へ溶接する場合が示されている。
【0042】
エネルギー貯蔵システム中に作られ得る接続部には多数の異なる型式の接続部がある。表1は、エネルギー貯蔵デバイス望ましくは高効率のエネルギー貯蔵システムを構築するのに貼り合わされることのできる材料の様々なボンド及び材料の型式の実施形態をまとめている。本レーザー動作及びシステムは、基板が薄肉材料(例えば、100μm未満、50μm未満、25μm未満、及び10μm未満、及び約100μmから約5μm、約50μmから約5μm、約76μmから約10μm、及び約50μmから約10μm)である場合に高品質溶接部を作ることができ、また厚肉材料(例えば、約0.5mm、約1mm、及びそれより厚い)について高品質溶接部を作ることができる。
【0043】
【表1】
【0044】
表1は、左の列に掲載されている溶接部の上材料と一番上の行に沿って掲載されている溶接部の下材料でセットアップされている。こうして、異なる溶接部構成の実施形態が表中に×印で示されており、例えばCu箔(上)がCu箔(下)へ溶接される及び上のAlタブが下のCu箔へ溶接されることを示している。
【0045】
薄肉材料同士を互いへ貼り合わせることは薄肉材料を厚肉材料へ貼り合わせることとは全く異なる動作であり異なる課題を提起し得る。この溶接型式に係る根本的な課題の1つは、貼り合わせ層間の熱吸収と熱拡散及び上の薄肉層を下側の厚肉層へ貼り合わせながら薄肉層に浸透してゆく能力である。本システム及び動作の実施形態は、青色レーザーシステム及び動作の特定の実施形態では、薄肉層が銅、アルミニウム、ニッケルめっきされた銅、ステンレス鋼であろうとなかろうと、上の薄肉材料層を貫いてキーホール溶接を開始させるのに十分な効率で以て、レーザーエネルギーを薄肉材料の中へ効率的に結合させることを実現可能にする。図3を見ると、薄肉材料を厚肉材料へ溶接するための青色レーザーシステム及び動作の或る実施形態の模式図がある。
【0046】
本システムと共に本動作のために使用され得るレーザーは、例えば表2のパラメータ内に入るレーザーを含む。
【0047】
【表2】
【0048】
また、米国特許出願第14/787,393号(3次元印刷のための装置、システム、及び方法(Devices, Systems and Methods for Three-Dimentional Printing))、米国特許出願第14/837,782号(可視ラマンレーザーを用いた材料加工のための用途、方法、及びシステム(Applications, Methods and Systems for Material Processing with Visible Raman Laser))、及び米国仮特許出願第62/193,047号(レーザー送達アドレス指定可能アレイのための用途、方法、及びシステム(Applications, Methods and Systems for a Laser Deliver Addressable Array))はそれぞれの開示全体がここに参考文献として援用されるものであって、それらに開示、教示されているレーザーシステム及びレーザーは、本発明の溶接の実施形態及び本構成要素及びコネクタの実施形態並びに本発明の他の実施形態を作るのに使用できる。
【0049】
或る実施形態では、金属を溶接するのに青色レーザーが使用されている。
【0050】
或る実施形態では、400nmから500nmの間の波長を有する青色レーザーが材料同士を溶接するのに使用されており、例えば、箔を箔へ溶接、ここに箔は厚さ<100μm;銅箔又は銅合金箔を銅箔又は銅合金箔へ溶接;アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を銅箔又は銅合金箔へ溶接;アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔をアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔へ溶接;箔を>10μm但し<50μmである厚さを有するタブへ溶接;銅箔又は銅合金箔を銅タブ又は銅合金タブへ溶接;銅箔又は銅合金箔をアルミニウムタブ又はアルミニウム合金タブへ溶接;アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を銅タブ又は銅合金タブへ溶接;アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔をアルミニウムタブ又はアルミニウム合金タブへ溶接;ニッケルめっきされた銅又はニッケルめっきされたアルミニウム及びニッケルめっきされたそれらの合金の様なニッケルめっきされた材料の溶接;ステンレス鋼箔を銅タブ又は銅合金タブへ溶接;ステンレス鋼箔をアルミニウムタブ又はアルミニウム合金タブへ溶接;タブを>100μm但し<1mmの厚さを有するバスバーへ溶接;銅タブ又は銅合金タブを銅バスバー又は銅合金バスバーへ溶接;銅タブ又は銅合金タブをアルミニウムバスバー又はアルミニウム合金バスバーへ溶接;銅タブ又は銅合金タブをニッケルめっきされた銅バスバー又はニッケルめっきされた銅合金バスバーへ溶接;銅タブ又は銅合金タブをニッケルめっきされたアルミニウムバスバー又はニッケルめっきされたアルミニウム合金バスバーへ溶接;アルミニウムタブ又はアルミニウム合金タブを銅バスバー又は銅合金バスバーへ溶接;アルミニウムタブをアルミニウムバスバーへ溶接;アルミニウムタブ又はアルミニウム合金タブをニッケルめっきされた銅バスバー又はニッケルめっきされた銅合金バスバーへ溶接;アルミニウムタブ又はアルミニウム合金タブをニッケルめっきされたアルミニウムバスバー又はニッケルめっきされたアルミニウム合金バスバーへ溶接;ステンレス鋼タブを銅バスバー又は銅合金バスバーへ溶接;ステンレス鋼タブをアルミニウムバスバー又はアルミニウム合金バスバーへ溶接;ステンレス鋼をニッケルめっきされた銅バスバー又はニッケルめっきされた銅合金バスバーへ溶接;ステンレス鋼をニッケルめっきされたアルミニウムバスバー又はニッケルめっきされたアルミニウム合金バスバーへ溶接;n>2としてn枚の銅箔又は銅合金箔を溶接;n>2としてn枚のアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を溶接;n>2としてn枚のステンレス鋼箔を溶接する;など、に400nmから500nmの間の波長を有する青色レーザーが使用される。
【0051】
銅で電気めっきされた材料、白金で電気めっきされた材料、及び他の伝導性材料で電気めっきされた材料の様な、電気めっきされた材料を青色レーザー溶接することを含め、電気めっきされた材料を、これらの材料を溶接する青色レーザー動作を使用して溶接することが構想される。
【0052】
電子記憶デバイス内の構成要素を含め、構成要素同士の溶接のための本レーザーシステム及び動作、特に青色レーザーシステム、の様々な実施形態を例示するために以下の実施例が提供されている。これらの実施例は例示が目的であり、本発明の範囲を限定するものと見なされてはならず、また他の形で本発明の範囲を限定するものでもない。
【0053】
実施例1
【0054】
青色レーザー溶接システムは、レーザーと、モーションシステムと、溶接ヘッドと、不活性ガス給送システム(エアナイフ又は他の制御された空気送達システムであってもよく、更には溶接ヘッドの中へ組み入れられていてもよい)と、溶接品質監視システムと、クランプシステムと、からなっている。レーザーは光ファイバーを介して溶接ヘッドへ電力を送達する。溶接ヘッドはレーザービームをコリメートし溶接されるべき部分へ再集束させる。レーザーヘッドを被加工品より上方の精密な距離にて精密なパターンで動かすために6軸ロボット又は単純な2軸ガントリーシステムの様なモーションシステムが使用されていてもよい。溶接ヘッドの被加工品からの高さは、レーザービームを溶接シームへ集束させた状態に保つうえで重要である。この青色レーザーシステムと共に使用されるはずの典型的な溶接ヘッドは、良好な溶接ビードを維持するには、+/-200μmの高さ公差を有する100mmの最終焦点距離のレンズを有することになるだろう。この構成では、レーザー/溶接システムはキーホール溶接モードで動作できるだろう。+/-400μmの高さ公差を有する200mmのより長い焦点距離のレンズを用いれば、レーザーシステムは伝導モードレジームで溶接することができるだろう。レーザービームが被加工品を横切って動かされていくと、レーザーパワーは溶接品質センサに応じて連続的に0%から100%まで変化する。センサは、溶接の品質を制御する手段として溶接部の幅を絶え間なく測定する。不活性ガスシステムは、溶接時に、溶接中の材料の酸化を防止するために必要である。不活性ガスの主たる規準は、それが溶接パドルを酸素から遮蔽することである。ヘリウム、アルゴン、アルゴン/CO2、アルゴン/水素、又は窒素の様なガスが一般に使用される。アルゴン及び又はアルゴン/CO2が好ましい、というのも、それは空気より重く、部品の周りに定着して酸素不含帯を作り出すというすばらしい仕事を果たすからである。支援ガスは様々に異なるやり方で送達され得る。溶接前、溶接後、溶接中の試料の上方、溶接中の試料の下方、溶接部へ直接、又はこれらの送達選択肢の組合せがある。クランプシステムは、溶接システムの次に最も重要な部分である。クランプは、一連のボルト又はねじを締めることによって、磁気式ホールドダウンによって、又は空気式ホールドダウンによって作動されるようになっていてもよい。これらのクランプシステムは、全てのレーザー溶接システムに普及しており、本システムもまた、レーザービームによって溶接されるべき2つ又はそれ以上の部片への強いクランプ力を保証するためにそれらを組み入れるだろう。一部の事例では、このクランプ力を加えるために、スライドと同じくローラーホイールも使用されている。他の事例では、試料部片の各面の個別クランプ及び/又はスロット付きの板が試料をしっかりと取付ジグへ保持するのに使用されている。もう1つの考察は、溶接が自己生成的でなはなく溶接継ぎ目に材料が足されることを要する事例である。これはワイヤ給送部か又は電力給送部のどちらかを用いて達成できる。充填材を要する溶接の殆どの事例はワイヤを使用するだろう。最後に、本レーザーと他のレーザー又はアークとの組合せは全ての溶接可能な材料でのより深い浸透溶接を可能にさせるだろう。溶接されるべき部品はクランプ式取付ジグへ人か又はロボットのどちらかによって動かされることができる。どちらの方法も今日では生産シナリオで使用されている。
【0055】
実施例2
【0056】
或る実施形態では、バッテリの製作に使用される材料を貫いてキーホール溶接を開始して持続するのに十分な強度(>500kW/cm)が可能な青色レーザーが採用される。
【0057】
実施例3
【0058】
本システムの実施形態は、ソーラーセル相互接続部材料であって、1100アルミニウム、OFC1/4硬質銅、Cu/インバール/Cu貼り合わせ複合材、Cu/SS/Cu材料であり得るソーラーセル相互接続部を接合する、例えば溶接する、のに使用される。
【0059】
実施例4
【0060】
金属を溶接するための青色レーザー溶接システムが、青色レーザー源と、レーザービームを集束させるための及び必要であればz方向の運動を提供するための光学器組立体と、ビームを動かしてゆくための又は溶接部が作られるべき点にビームを位置決めするためのx-y走査器と、を有している。これらの構成要素は、例えばコンピュータ、コントローラ、及びその両方であってもよいとされるコントロールシステムと制御通信しているのが望ましい。
【0061】
例えば図5を見ると、本発明の方法を遂行するための青色レーザーシステムの或る実施形態の概略流れ線図が示されている。本願と同時期に出願された弁理士整理番号84366.0006(Nu 5a)を有する米国特許出願は、本溶接方法の実施形態を遂行するのに使用できるレーザーシステムの実施形態を開示及び教示しており、その全体をここに参考文献として援用する。図5は、更に、青色レーザーシステムを赤外線レーザーシステムと比較して、スポットサイズがどちらのシステムについても同じである場合の達成可能な走査体積の比較を示している。かくして、システム200内には、青色レーザービームを伝播させるためのレーザーシステム201がある。レーザーシステム201は、レーザービームを光学的送達組立体203へ送達するための光ファイバー202と光学的に通信している。このやり方では、光ファイバー202はレーザーシステム201を光学的送達組立体203と光学的通信した状態とする。光学的送達組立体203は、コリメート光学器204と可動光学器205を有している。システム200はx-y走査システム206を有している。レーザービーム及びレーザービーム経路は、x-y走査器を出て自由空間に入り、標的である例えば溶接されるべき部品に向かって進んでゆく又は方向決めされる。青色レーザーシステム200は、走査可能区域208のフットプリント、例えば一体に溶接されるべき部片への溶接動作を遂行するためにレーザービームが方向決めされ得る区域のフットプリントを作製する。図5には、比較目的のため、青色レーザーシステム200と同じスポットサイズを使用して得られるはずのIRシステム走査可能区域207が示されている。この図では、IRレーザービーム経路211IR及びIRレーザービーム212IRが青色レーザービーム経路211及び青色レーザービーム212の上に重ねて置かれている(比較目的)。この様に、どちらのシステムも同じスポットサイズを有している場合、青色レーザーシステムの走査可能区域208はIRレーザーシステムの走査可能区域207の2倍広い。矢印209は、青色レーザーシステムがIRシステムと同じスポットサイズを但し集束レンズから2倍以上離れた距離に作り出していることを説明している。この様に、青色レーザーシステムは、IRシステムより高い吸収率という利点を有しているだけでなく、同じサイズ(例えば設置面積)のシステムで、より大きい部片、より多い部片、又はより大きくより多い部片を溶接する能力を有する。
【0062】
集束レンズシステム220は、中央のレンズがレンズシステムの焦点距離を調節するべく高速で物理的に動かされる正の構成要素か又は負の構成要素のどちらかであり得る点でズーム光学器に似ている。ビームのこの集束は、F-シータレンズシステムを通るレーザービーム走査のフラットフィールド特性を模擬するようにX-Y走査システムによるレーザービームの走査と同期される。こうして、集束システム220及び走査器206は、システム200上のコントローラ又はコントロールシステムと同期されていて制御通信している。これには、電子的に制御される集束要素がX-Y走査に遅れずについてゆくのに十分に高速であることが要件とされ、それは高速サーボシステムを用いて実現可能である。
【0063】
本発明の実施形態の主題である又は本発明の実施形態と関連付けられる新規で画期的なプロセス、材料、性能又は他の有益な特徴及び特性の根底にある理論を提供する又は当該理論に取り組むうえで必要条件はないことを指摘しておく。それでもなお、本明細書にはこの分野の技術を更に進展させるための様々な理論が提供されている。本明細書に提言されているこれらの理論は、別途明示的に表明されていない限り、断じて、保護を与えられるべき特許請求の範囲に記載の発明の範囲を限定、制限、又は狭小化するものではない。本発明を利用するうえでこれらの理論は必要とならないかもしれないし又は実践されないかもしれない。更に理解しておきたいこととして、本発明は、本発明の方法、物品、材料、装置、及びシステムの実施形態の機能特徴を解説するための新しい理論及びこれまで知られていない理論へとつながる可能性があり、その様な後発理論は保護を与えられるべき本発明の範囲を限定するものではない。
【0064】
本明細書に示されているシステム、機器、技法、方法、活動、及び動作の様々な実施形態は、以上に示されている活動及び分野に加え様々な他の活動のために及び様々な他の分野で使用されてもよい。加えて、これらの実施形態は、例えば、将来開発され得る他の機器又は活動と共に;及び、本明細書の教示に基づき一部が修正され得る既存の機器又は活動と共に、使用されてもよい。更に、本明細書に示されている様々な実施形態は互いと一体に異なる様々な組合せで使用されてもよい。而して、例えば、本明細書の様々な実施形態に提供されている構成は互いと一体に使用されてもよく、保護を与えられるべき本発明の範囲は、特定の実施形態、特定の実施例、又は特定の図にある実施形態に示されている特定の具現化、構成、又は配列に限定されてはならない。
【0065】
発明は、その精神又は本質的な特性から逸脱することなく、ここに具体的に開示されている以外の他の形態に具現化されることもできる。説明されている実施形態は、あらゆる点で、例示にすぎず制限を課すものではないと考えられるべきである。
【符号の説明】
【0066】
100 電力貯蔵デバイス
101、102、103、104 バッテリ
105 バスバー
106 コネクタ
107 溶接部
108、109、110、111、112、113、114、115 溶接区域
200 システム
201 レーザーシステム
202 光ファイバー
203 光学的送達組立体
204 コリメート光学器
205 可動光学器
206 x-y走査システム
207 IRシステム走査可能区域
208 走査可能区域
209 青色レーザーがIRレーザーと同じスポットサイズを集束レンズから2倍以上の距離に作製することを説明する矢印
211 青色レーザービーム経路
211IR IRレーザービーム経路
212 青色レーザービーム
212IR IRレーザービーム
220 集束レンズシステム
290 青色レーザー
300 ファイバーレーザー
300、310、320 溶接部構成
301、302、312 Cu箔
315、322 Cuタブ
330 Alバス
370 青色レーザービーム
401 Ti
402 SS304
403 Ni
404 Sn(Tin)
405 Cu
406 Au
407 Ag
408 Al
450 Ti
451 Cu
452 Au
453 Ag
454 Al
455 SS
456 Ni
460 青色レーザー
461 ファイバーレーザー
図1
図2
図3
図4
図5