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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095760
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】オリゴデンドロサイト前駆細胞組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0797 20100101AFI20220621BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220621BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20220621BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20220621BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
C12N5/0797
A61K9/10
A61K35/545
A61K47/20
A61L27/38
A61P1/04
A61P13/10
A61P21/00
A61P25/00
A61P43/00 105
【審査請求】有
【請求項の数】63
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022054775
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2018550332の分割
【原出願日】2017-03-30
(31)【優先権主張番号】62/315,454
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514000015
【氏名又は名称】アステリアス バイオセラピューティクス インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】6300 Dumbarton Circle, Fremont, California 94555 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトリー,エリック マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ショウカット-ムムタズ,ウズマー
(72)【発明者】
【氏名】スリバスタバ,ラッシ
(72)【発明者】
【氏名】マンリー,ネイサン,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ケイス,ケーシー クリストファー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】望ましくない細胞型のレベルが低いオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の集団を含む組成物を提供する。
【解決手段】複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含む組成物であって、前記細胞集団が、拡大されたが未分化の幹細胞を、ALK5の阻害剤、ALK2の阻害剤、GSK3の阻害剤、又は、平滑化作動薬(Smoothened agonist)を含む1つ以上の幹細胞分化調節因子と共にインキュベートすることによって産生され、前記細胞集団が、望ましくない細胞型の含有量が15%未満である、組成物である。前記細胞集団が、拡大されたが未分化の幹細胞をSB431542、ドルソモルフィン、CHIR99021、パルモルファミンを含む幹細胞分化調節因子と共にインキュベートすることによって産生される、前記組成物である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、15%未満の望ましくない細胞型を含む、容器。
【請求項2】
前記望ましくない細胞型が、上皮系列細胞を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記上皮系列細胞が、K7及びPCKからなる群から選択される1つ以上のマーカーの存在により特徴付けられる、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記細胞集団が、2%未満のK7陽性細胞を含む、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記細胞集団が、0.2%未満のK7陽性細胞を含む、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記細胞集団が、5%未満のPCK陽性細胞を含む、請求項3に記載の容器。
【請求項7】
前記細胞集団が、共通の遺伝的背景を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記細胞集団が、細胞富化を受けていない、請求項7に記載の容器。
【請求項9】
凍結保存用に構成されている、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、嚢胞アッセイにおいて、細胞100,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成し得るものである、容器。
【請求項11】
前記細胞集団が、12カ月以内に、損傷誘発性の中枢神経系実質空洞の体積を低下させ得るものである、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
前記細胞集団が、180日間以内に、対象の中枢神経系組織内の第1の場所から、1つ以上の第2の場所に位置する1つ以上の患部組織に移動し得るものである、請求項10に記載の容器。
【請求項13】
前記中枢神経系組織が、脊髄組織である、請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記中枢神経系組織が、脳組織である、請求項12に記載の容器。
【請求項15】
前記細胞集団が、療法を必要とする対象において、前記集団を前記対象に移植した後、運動機能を改善し得るものである、請求項10に記載の容器。
【請求項16】
前記細胞集団が、少なくとも2カ月間、運動機能を持続可能に改善し得るものである、請求項15に記載の容器。
【請求項17】
前記運動機能が、向上した立位能力又は体重支持である、請求項15に記載の容器。
【請求項18】
前記運動機能が、向上した四肢機能又は四肢強度である、請求項15に記載の容器。
【請求項19】
前記運動機能が、向上した歩行距離である、請求項15に記載の容器。
【請求項20】
前記運動機能が、向上した歩行速度である、請求項15に記載の容器。
【請求項21】
前記運動機能が、向上した腸又は膀胱機能である、請求項15に記載の容器。
【請求項22】
前記運動機能が、向上した腕又は手の動きである、請求項15に記載の容器。
【請求項23】
前記運動機能が、向上した握ること、掴むこと、又は捕捉することである、請求項15に記載の容器。
【請求項24】
前記細胞集団が、1つ以上の生物学的シグナル伝達因子を産生し得るものである、請求項10に記載の容器。
【請求項25】
前記細胞集団が、血管形成シグナル伝達因子を産生し得るものである、請求項24に記載の容器。
【請求項26】
前記血管形成シグナル伝達因子が、トロンボスポンジン-1、Serpine1、Serpine2、及びその組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の容器。
【請求項27】
前記細胞集団が、神経栄養シグナル伝達因子を産生し得るものである、請求項24に記載の容器。
【請求項28】
神経栄養因子が、NGF、ネトリン4、テネイシンC、トロンボスポンジン1、トロンボスポンジン3、SLIT1、SLIT3、及びその組合せからなる群より選択される、請求項27に記載の容器。
【請求項29】
前記1つ以上の生物学的シグナル伝達因子が、デコリンを含む、請求項24に記載の容器。
【請求項30】
前記1つ以上の生物学的シグナル伝達因子が、ミドカインを含む、請求項24に記載の容器。
【請求項31】
前記細胞集団が、対象内の移植部位において脱有髄軸索の髄鞘形成を誘発し得るものである、請求項10に記載の容器。
【請求項32】
組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、最大1×10個の細胞を中枢神経系損傷部位内に移植した場合、対象の2%未満において異所性組織を産生し得るものである、容器。
【請求項33】
前記細胞集団が、最大1×10個の細胞を中枢神経系損傷部位内に移植した場合、対象の1%未満において異所性組織を産生し得るものである、請求項32に記載の容器。
【請求項34】
前記細胞集団の少なくとも30%が、NG2陽性細胞である、請求項1、10、又は32に記載の容器。
【請求項35】
前記細胞集団の少なくとも40%が、NG2陽性細胞である、請求項34に記載の容器。
【請求項36】
前記細胞集団の少なくとも50%が、NG2陽性細胞である、請求項35に記載の容器。
【請求項37】
組成物を含む容器であって、前記組成物が、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の集団を含み、前記OPCの少なくとも95%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、容器。
【請求項38】
前記OPCの少なくとも98%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、請求項37に記載の容器。
【請求項39】
前記OPCの少なくとも99%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、請求項38に記載の容器。
【請求項40】
前記OPCの少なくとも99.5%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、請求項39に記載の容器。
【請求項41】
前記OPCの100%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、請求項40に記載の容器。
【請求項42】
前記OPCの少なくとも95%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項37に記載の容器。
【請求項43】
前記OPCの少なくとも98%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項42に記載の容器。
【請求項44】
前記OPCの少なくとも99%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項43に記載の容器。
【請求項45】
前記OPCの少なくとも99.5%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項44に記載の容器。
【請求項46】
前記OPCの100%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項45に記載の容器。
【請求項47】
前記組成物が、薬学的に許容される担体を更に含む、請求項1から46のいずれか一項に記載の容器。
【請求項48】
前記薬学的に許容される担体が、ジメチルスルホキシドを含む、請求項47に記載の容器。
【請求項49】
前記薬学的に許容される担体が、ジメチルスルホキシドを含まない、請求項47に記載の容器。
【請求項50】
前記組成物が、1ミリリットル当たり少なくとも1×10個の細胞を含む、請求項47から49のいずれか一項に記載の容器。
【請求項51】
前記組成物が、1ミリリットル当たり1×10~5×10個の細胞を含む、請求項50に記載の容器。
【請求項52】
前記組成物が、1ミリリットル当たり4×10~2×10個の細胞を含む、請求項51に記載の容器。
【請求項53】
前記組成物が、20~500マイクロリットルの体積を有する、請求項47から52のいずれか一項に記載の容器。
【請求項54】
前記組成物が、50~200マイクロリットルの体積を有する、請求項53に記載の容器。
【請求項55】
前記組成物が、約100マイクロリットルの体積を有する、請求項54に記載の容器。
【請求項56】
前記組成物が、注射可能な溶液である、請求項47から55のいずれか一項に記載の容器。
【請求項57】
前記組成物が、凍結保存用に適合されている、請求項56に記載の容器。
【請求項58】
前記複数のOPCが、複数のヒト胚性幹細胞からのin vitroで誘導された後代を含む、請求項1から57のいずれか一項に記載の容器。
【請求項59】
前記複数のOPCが、複数の霊長類多能性幹細胞からのin vitroで誘導された後代を含む、請求項1から57のいずれか一項に記載の容器。
【請求項60】
前記複数のOPCが、複数の誘導多能性幹細胞からのin vitroで誘導された後代を含む、請求項1から57のいずれか一項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「オリゴデンドロサイト前駆細胞組成物」と題する2016年3月30日出願の米国仮特許出願第62/315,454号の出願日の優先権の利益を主張し、その内容は参照として本明細書にその全体が組み込まれている。
【0002】
本開示は、オリゴデンドロサイト前駆細胞の細胞生物学の分野に関する。より具体的には、本開示は、オリゴデンドロサイト前駆細胞を含む組成物、並びにその作製方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト胚性幹細胞(hESC)を含む多能性細胞を培養すると、その拡大期間中に、様々なレベルの自発的分化が生じ得る。そのような自発的分化は、その後hESCが、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む特定の細胞型への指向性分化を受ける能力を損なう。例えば、hESCのH1系は、従来の培養条件下で増殖させると自発的に分化し、栄養外胚葉系列に分化する傾向を有することがこれまでに明らかにされている(Drukker M、Tang C、Ardehali R、Rinkevich Y、Seita J、Lee AS、Mosley AR、Weissman IL、Soen Y.Isolation of primitive endoderm,mesoderm,vascular endothelial and trophoblast progenitors from human pluripotent stem cells.Nat Biotechnol.2012年5月27日;30(6):531~42;Wang Z、Oron E、Nelson B、Razis S、Ivanova N.Distinct lineage specification roles for NANOG,OCT4,and SOX2 in human embryonic stem cells.Cell Stem Cell.2012年4月6日;10(4):440~54)。この自発的分化は、hESC内の内因性WNTシグナル伝達により部分的に調節されている(Kumar RM、Cahan P、Shalek AK、Satija R、DaleyKeyser AJ、Li H、Zhang J、Pardee K、Gennert D、Trombetta JJ、Ferrante TC、Regev A、Daley GQ、Collins JJ.Deconstructing transcriptional heterogeneity in pluripotent stem cells.Nature.、2014年12月4日;516(7529):56~61)。しかしながら、この分野では、WNT経路の活性化又は阻害が分化の制御において有益であるかどうか、意見が分かれている。すなわち、Kurekらは、WNT経路の阻害は自発的分化を低下させることを示唆する(Kurek D、Neagu A、Tastemel M、Tuysuz N、Lehmann J、van de Werken HJ、Philipsen S、van der Linden R、Maas A、van IJcken WF、Drukker M、ten Berge D.Endogenous WNT signals mediate BMP-induced and spontaneous differentiation of epiblast stem cells and human embryonic stem cells.Stem Cell Reports、2015年1月13日;4(1):114~28)。
【0004】
H1 hESCを拡大し、次にOPCへの指向性分化に供すると、分化細胞は、転写因子を含む栄養外胚葉関連遺伝子の発現増加を示す。これは、神経外胚葉系列以外の細胞型は、分化期間中になおも存続することができることを示唆する。次に、このように分化期間中に非神経外胚葉系列マーカーが存続するということは、例えば、上皮細胞、軟骨前駆細胞、及び網膜色素上皮細胞を含む望ましくない細胞型が、最終的なOPC集団内に存在することと関連する。
【0005】
いくつかのマーカーが、OPC集団内の望ましくない細胞のレベルを定量化するのに使用されてきた。すなわち、このようなマーカーの検出は、細胞フェノタイピング法、例えばフローサイトメトリー及び遺伝子発現プロファイリング等により達成され得る。例えば、フローサイトメトリー分析は、例えば、EpCAM、CD49f/ITGA6、E-カドヘリン、サイトケラチン7(K7)、パン-サイトケラチン(PCK)、CA125/MUC16、エンドレペリン/パールカン、並びに表1に記載されているその他マーカーを含む、上皮細胞と関連したマーカーの存在に基づき、様々なレベルの上皮細胞を検出するのに利用可能である。更に、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)による遺伝子発現プロファイリングは、OLR1及びRPE65の発現それぞれに基づき、様々なレベルの軟骨前駆細胞及び網膜色素上皮細胞を示すのに利用可能である。
【0006】
望ましくない細胞型のレベルが低いOPCの集団を産生するための努力がなされてきたものの、セルソーティング法及び抗体枯渇法等の手法は複雑であり、かつ高価でスケールアップに適さないカスタマイズされた試薬の生成をしばしば必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の態様は、治療を必要とする対象内の1つ以上の神経学的機能を改善するための、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む組成物、並びにその作製方法及び使用方法を含む。本開示は、その1つの態様において、複数のOPC、及び15%未満の望ましくない細胞型を含む細胞集団を含む組成物を含む。本開示は、その1つの態様において、複数のOPC、及び15%未満の望ましくない細胞型を含む細胞集団を実現する方法を更に含む。また本開示は、その1つの態様において、複数のOPC、及び15%未満の望ましくない細胞型を含む細胞集団を特徴付ける方法も含む。更に、本開示は、その1つの態様において、複数のOPC、及び15%未満の望ましくない細胞型を含む細胞集団を使用する方法も含む。本開示は、その1つの態様において、複数のOPC、及び15%未満の望ましくない細胞型を含む細胞集団を生成する方法を更に含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
より具体的には、本開示は、ある態様において、組成物を含む容器であって、前記組成物が複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、15%未満の望ましくない細胞型を含む、容器を含む。特定の態様では、細胞集団は、15%未満の上皮系列細胞を含む。特定の態様では、細胞集団は、2%未満のK7陽性細胞を含む。特定の態様では、細胞集団は、5%未満のPCK陽性細胞を含む。
【0009】
本開示の態様は、組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含み、前記複数のOPCが、ヒト胚性幹細胞、霊長類多能性幹細胞、及び誘導多能性幹細胞からなる群から選択される1つ以上の幹細胞源のin vitroで誘導された後代を含む、容器である。
【0010】
本開示の更なる態様は、組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、嚢胞アッセイにおいて、細胞100,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成し得るものである、容器である。なおも別の態様では、細胞集団は、最大20×10個の細胞を中枢神経系損傷部位内に移植した場合、対象の2%未満において異所性組織を産生し得るものである。
【0011】
本開示のなおも更なる態様は、組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、脳卒中、脊髄損傷、及び/又は多発性硬化症を治療するのに有用である容器である。
【0012】
特許又は出願ファイルは、カラーの少なくとも1つの図面を含有する。カラーの図面を含む本特許又は特許出願公開のコピーは、必要な費用を支払えば、申請に応じて当局より提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示に係るSB431542の化学構造を示す図である。
図2】本開示に係るドルソモルフィンの化学構造を示す図である。
図3】本開示に係るCHIR99021の化学構造を示す図である。
図4】本開示に係るパルモルファミンの化学構造を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る方法により生成したOPC内で発現するNG2、K7、及びPCKマーカーレベルの変化について、未分化細胞を事前治療しない方法により生成した対応する対照と比較した、代表的な比較を示す図である。
図6A】左側及び中央のパネルは、本開示に従って未分化細胞を事前治療しない方法により生成したH1 hESC由来のOPCの代表的なピクトグラフを示す図であり、本開示によるin vitroでの嚢胞アッセイにおいて、様々なレベルの嚢胞形成を表す。 右側のパネルは、本開示に従って未分化細胞を事前治療することを含む方法により生成したH1 hESC由来のOPCの代表的なピクトグラフを示す図であり、本開示によるin vitroでの嚢胞アッセイにおいて、嚢胞が形成されなかったことを表す。
図6B】頚髄損傷、及び本開示に従って未分化細胞を事前治療しない方法により生成したH1 hESC由来のOPCの投与後9カ月経過した成熟雌ラットの一連の代表的な組織学を示す図である。
図6C】未分化細胞を事前治療しない方法により生成したOPCのいくつかの集団における、in vitroでの嚢胞カウントに対するin vivoでの嚢胞形成頻度の直線回帰プロットを示す図である。
図7】本開示に従って未分化細胞を事前治療することを含む方法を使用して生成したOPCが生着したラット頚髄の代表的な顕微鏡写真を示す図である。
図8】本開示に係る白質脳卒中のマウスモデルにおいて、移植したOPCの効果を試験するための実験タイムラインの非限定的な例を示す図である。
図9】グリッド歩行試験から生ずると予想される結果の非限定的な例を示す図であり、本開示の実施形態に係る方法により生成したOPCを移植された脳卒中損傷マウスにおける性能改善を実証する。
図10】シリンダー試験から生ずると予想される結果の非限定的な例を示す図であり、本開示の実施形態に係る方法により生成したOPCを移植された脳卒中損傷マウスにおける性能改善を実証する。
図11】歩行パラメーターの代表的な第1主成分分析を示す図であり、本開示に従って未分化細胞を事前治療しない方法により生成したOPCを移植した損傷ラットにおける運動活性の改善を示す。
図12】平均走行速度の代表的なプロットを示す図であり、本開示に従って未分化細胞を事前治療しない方法により生成したOPCを移植された脊髄損傷ラットにおける走行速度の向上を示す。
図13】右後ろ足のストライド頻度の代表的なプロットを示す図であり、本開示に従って未分化細胞を事前治療しない方法により生成したOPCを移植された脊髄損傷ラットにおける運動障害の軽減を示す。
図14】平均の右前足の縦方向の最大のずれについて、その代表的なプロットを示す図であり、本開示に従って未分化細胞を事前治療しない方法により生成したOPCを移植された脊髄損傷ラットにおける、影響を受けた肢の縦方向の変位の回復を示す。
図15】本開示に従って未分化細胞を事前治療しない方法により生成したOPCの注射後4カ月におけるOPCグラフトの代表的な切片を示す図である。
図16】本開示に係る多発性硬化症のラットモデルにおいて、移植されたOPCの効果を試験するための実験タイムラインの非限定的な例を示す図である。
図17】本開示の実施形態に係る方法により生成したOPCを移植した場合に生成すると予想される脳脊髄炎(EAE)スコアのプロットの非限定的な例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この説明は、本開示が実施され得る方法につき、そのすべての異なる方法、又は本開示に付加され得るすべての特性の詳細なカタログを意図するものではない。例えば、1つの態様に関して説明された特性は、その他の態様に組み込むことができ、また特定の態様に関して説明された特性は、当該態様から削除され得る。したがって、本開示では、本開示のいくつかの態様では、本明細書に記載する特性のいずれか又は特性の組合せが、除外又は省略可能であることも検討される。更に、本開示から逸脱しない、本明細書で示唆される様々な態様に対する非常に多くの変更及び付加が、本開示に照らし当業者にとって明白である。その他の事例では、本発明が不必要に不明確にならないように、周知の構造、インターフェース、及びプロセスについて詳細には示されていない。本明細書のいかなる部分も、本発明の全範囲のいずれかの部分を無効にするとは解釈されないように意図されている。したがって、下記の説明は、本開示のいくつかの特定の態様を説明するように意図されており、そしてそのすべての置換、組合せ、及び変更を網羅的に規定するようには意図されない。
【0015】
別途定義されなければ、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書において、本開示を説明する際に使用される用語は、特定の態様を記載する目的に限定され、また本開示を制限するようには意図されない。
【0016】
本明細書で引用されたすべての公開資料、特許出願、特許、及びその他の参照は、参照としてその全体が組み込まれる。
【0017】
文脈が別途示唆しない限り、本明細書に記載する本開示の様々な特性は、任意の組合せで利用可能であることが特に意図される。更に、本開示では、本開示のいくつかの態様では、本明細書に記載する特性のいずれか又は特性の組合せは、除外又は省略可能であることについても検討される。
【0018】
本明細書に開示する方法は、記載されている方法を達成するための1つ若しくは複数のステップ又は行為を含み得る。方法のステップ及び/又は行為は、本発明の範囲から逸脱せずに相互に交換可能である。換言すれば、ステップ又は行為の特定の順序が、本態様を適切に運用するのに必要とされない限り、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用は、本発明の範囲から逸脱せず改変され得る。
【0019】
本開示の説明及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈において別途明示されない限り、複数形も含まれるように意図される。
【0020】
本明細書で用いる場合、「及び/又は」は、列挙されている関連品目のうちの1つ以上のあらゆるすべての可能な組合せのほか、二者択一的に解釈される場合(「又は」)には、組合せの欠損を指し、またそれを含む。
【0021】
用語「ほぼ(about)」及び「おおよそ(approximately)」は、本明細書で使用する場合、測定可能な数値、例えばパーセンテージ(%)、密度、体積等を指す際には、所定の量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%の変動、又は±0.1%の変動も含むことを意味する。
【0022】
本明細書で用いる場合、慣用句、例えば「XとYの間」及び「ほぼXとYの間」等は、X及びYを含むと解釈すべきである。本明細書で用いる場合、慣用句、例えば「ほぼXとYの間」等は、「ほぼXとほぼYの間」を意味し、また慣用句、例えば「ほぼX~Y」等は、「ほぼX~ほぼY」を意味する。
【0023】
本明細書で用いる場合、「オリゴデンドロサイト前駆細胞」(OPC)とは、中枢神経系に見出される細胞型の特徴を有する神経外胚葉/グリア細胞系列の細胞を指し、オリゴデンドロサイトに分化し得るものである。このような細胞は、特徴的なマーカーであるネスチン、NG2、及びPDGF-Rαを一般的に発現する。
【0024】
本明細書で用いる場合、慣用句「異所性組織」とは、望まれない又は予期せぬ特徴を有する組織を指す。OPCを含む組成物を定義する文脈で使用される場合、「異所性組織」とは、神経外胚葉系列に由来しない組織を指す。より具体的には、「異所性組織」は、上皮、上皮嚢胞、中皮細胞由来の組織、軟骨、骨、又は中枢神経系に一般的に見出されないその他の組織と類似した組織である。
【0025】
本明細書で用いる場合、用語「望ましくない細胞型」とは、移植した際に異所性組織形成を引き起こす、又は本明細書に記載するように、嚢胞アッセイにおいて、1つ若しくは複数の嚢胞形成を引き起こす神経外胚葉系列以外の細胞を指す。より具体的には、「望ましくない細胞型」には、K7及び/又はPCKマーカーを発現する細胞が含まれる。ある態様では、「望ましくない細胞型」は、上皮系列細胞を含み得る。ある態様では、「望ましくない細胞型」は、絨毛細胞系列、例えばHand1等の特徴を有するマーカーを発現する細胞を含み得る。
【0026】
用語「K7」、「ケラチン7」、及び「サイトケラチン7」は、本明細書では交換可能に使用され、またKRT7遺伝子又は任意のそのバリアントによりエンコードされるタンパク質を指す。
【0027】
用語「PCK」及び「パン-サイトケラチン」は、本明細書では交換可能に使用され、またサイトケラチンの酸性及び塩基性(I型及びII型)のサブファミリー、並びにその変異体を含むが、これらに限定されない、サイトケラチンタンパク質ファミリーの任意のメンバーを指す。PCKタンパク質の非限定的な例として、AE1/AE3モノクロナール抗体カクテルが結合したタンパク質が挙げられる(Milliporeカタログ番号MAB3412)。
【0028】
本明細書で用いる場合、「上皮系列細胞」とは、外胚葉性であるが神経外胚葉/グリア細胞系列から派生した発達性の前駆体に由来する細胞を指す。ある態様では、「上皮系列細胞」は、表1に列挙されている1つ以上のマーカーにより識別され得る。このような細胞として、上皮-間葉転換(EMT)を経た発達性の後代、及び栄養芽細胞に由来する上皮様細胞が挙げられる。
【0029】
【表1-1】
【0030】
【表1-2】
【0031】
本明細書で用いる場合、慣用句「細胞富化」とは、所望の細胞型、この場合OPCを望ましくない細胞型と分離して精製することを意味する。精製は、陽性選択(OPCを標的とする)、又は陰性選択(望ましくない細胞型を標的とする)であり得る。抗体は、標的対象の細胞型との結合及びその物理的除去に使用され得る。抗体は、固体表面に連結して物理的分離効果を発揮し得る。固体表面は、一般的にマグネットビーズ、カラム、又はフラスコである。
【0032】
本明細書で用いる場合、「移植(implantation)」又は「移植(transplantation)」とは、適する送達技術を使用した(例えば、注射デバイス使用した)標的組織への細胞集団の投与を意味する。
【0033】
本明細書で用いる場合、「対象」とは、動物又はヒトを指す。
【0034】
本明細書で用いる場合、「それを必要としている対象」とは、中枢神経系内に損傷した組織を有する動物又はヒトを指す。1つの態様では、動物又はヒトは、運動機能喪失を経験している。
【0035】
用語「中枢神経系」及び「CNS」は、本明細書では交換可能に使用され、脊椎動物の脳及び脊髄を含むが、これらに限定されない、身体の1つ以上の活動を制御する神経組織の複合体を指す。
【0036】
本明細書で用いる場合、状態又は疾患に関して「治療」又は「治療すること」とは、好ましくは、状態又は疾患が患者に現れた後の臨床結果を含む、有益又は所望の結果を得るためのアプローチである。疾患に関して有益な又は所望の結果として、下記のうちの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない:疾患と関連した状態の改善、疾患の治癒、疾患の重症度の低減、疾患進行遅延、疾患と関連した1つ以上の症状の緩和、疾患罹患者の生活の質の向上、生存の延長、及び任意のこれらの組合せ。同様に、本開示の目的に照らせば、状態に関する有益な又は所望の結果として、下記のうちの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない:状態の改善、状態の治癒、状態の重症度の低減、状態の進行遅延、状態と関連した1つ以上の症状の緩和、状態に罹患したものの生活の質の向上、生存の延長、及び任意のこれらの組合せ。
【0037】
多能性幹細胞を分化させる方法
本開示の態様は、多能性幹細胞を分化させる方法を含む。ある態様では、複数の神経細胞を含む細胞集団を産生する方法が提供される。ある態様では、複数のOPCを含む細胞集団を産生する方法が提供される。ある態様では、ヒト胚性幹細胞のin vitroで分化した後代である複数のOPCを含む細胞集団を産生する方法が提供される。1つの態様では、霊長類多能性幹細胞のin vitroで分化した後代である複数のOPCを含む細胞集団を産生する方法が提供される。ある態様では、誘導多能性幹細胞のin vitroで分化した後代である複数のOPCを含む細胞集団を産生する方法が提供される。ある態様では、多能性幹細胞を分化させる方法は、複数の未分化幹細胞を事前治療することと関連する1つ以上のステップを含む。ある態様では、1つ以上の事前治療ステップを含む方法は、低レベルの望ましくない細胞型を含む細胞集団を産生し得るものである。ある態様では、1つ以上の事前治療ステップを含む方法は、約15%未満の望ましくない細胞型を有する、複数のOPCを含む細胞集団を産生し得るものである。1つの態様では、1つ以上の事前治療ステップを含む方法は、複数のOPCを含む細胞集団を産生する能力を有し、前記細胞集団は、本開示による嚢胞アッセイにおいて、細胞100,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成し得るものである。
【0038】
未分化多能性幹細胞の増殖及び培養
ある態様では、方法は、多能性幹細胞系において実施可能である。別の態様では、方法は、胚性幹細胞系において実施可能である。ある態様では、方法は、H1、H7、H9、H13、又はH14細胞系に由来する複数の未分化幹細胞において実施可能である。別の態様では、未分化幹細胞は、誘導多能性幹細胞(iPS)系に由来し得る。ある態様では、方法は、霊長類多能性幹(pPS)細胞系において実施可能である。なおも別の態様では、未分化幹細胞は、単為生殖生物に由来する場合もあり、受精せずにhESCを産生するように刺激された胚である。
【0039】
未分化多能性幹細胞の増殖法及び培養法は、これまでに記載されている。多能性幹細胞の組織及び細胞の培養に関して、非常に多くの公開資料が当技術分野において利用可能であり、参考にすべきその任意の資料として、例えば、Teratocarcinomas and Embryonic Stem cells:A Practical Approach(E.J.Robertson編、IRL Press Ltd. 1987);Guide to Techniques in Mouse Development(P.M.Wassermanら編、Academic Press 1993);Embryonic Stem Cell Differentiation in Vitro(M.V.Wiles、Meth.Enzymol.225:900、1993);Properties and Uses of Embryonic Stem Cells:Prospects for Application to Human Biology and Gene Therapy(P.D.Rathjenら、Reprod.Fertil.Dev.10:31、1998;及びR.I.Freshney、Culture of Animal Cells、Wiley-Liss、New York、2000)が挙げられる。
【0040】
1つの態様では、未分化多能性幹細胞は、フィーダー細胞を添加しないで未分化状態で維持され得る(例えば、(2004)Roslerら、Dev.Dynam.229:259を参照)。フィーダーを含まない培養は一般的に、分化させずに細胞の増殖を促進する因子を含有する栄養培地によって維持される(例えば、米国特許番号第6,800,480号を参照)。1つの態様では、そのような因子を含有する条件調整された培地が利用可能である。条件調整された培地は、そのような因子を分泌する細胞を含む培地を培養することにより取得可能である。適する細胞として、放射線照射(約4,000Rad)された一次マウス胚性線維芽細胞、テロメル化マウス線維芽細胞、又はpPS細胞に由来する線維芽細胞様の細胞(米国特許第6,642,048号)が挙げられるが、これらに限定されない。培地は、20%の血清代替品及び4ng/mLのbFGFが補充されたノックアウトDMEM等の無血清培地中にフィーダーを播くことにより条件調整され得る。1~2日間条件調整された培地は、bFGFで更に補充され、またpPS細胞培養を1~2日間維持するのに使用され得る(例えば、国際公開第01/51616号;Xuら、(2001)Nat.Biotechnol.19:971を参照)。
【0041】
或いは、新鮮な又は条件調整されない培地が利用可能であり、同培地は未分化の形態で細胞の増殖を促進する添加因子(線維芽細胞増殖因子又はホルスコリン等)が補充されている。非限定的な例として、40~80ng/mLのbFGFが補充され、及びSCF(15ng/mL)、又はFlt3リガンド(75ng/mL)を任意選択的に含有するX-VIVO(商標)10(Lonza、Walkersville、Md.)、又はQBSF(商標)-60(Quality Biological Inc.Gaithersburg、Md.)等のベース培地が挙げられる(例えば、Xuら、(2005)Stem Cells、23(3):315を参照)。このような培地処方物は、その他のシステムよりも2~3倍高い割合で細胞増殖を維持するという長所を有する(例えば、国際公開第03/020920号を参照)。1つの態様では、未分化多能性細胞、例えばhES細胞等は、bFGF及びTGFβを含む培地中で培養され得る。bFGFの濃度の非限定的な例として、約80ng/mlが挙げられる。TGFβの濃度の非限定的な例として、約0.5ng/mlが挙げられる。
【0042】
1つの態様では、未分化多能性細胞は、フィーダー細胞、一般的に胚組織又は胎児組織に由来する線維芽細胞の層上で培養され得る(Thomsonら(1998)、Science、282:1145)。1つの態様では、フィーダー細胞は、ヒト又はマウスに由来し得る。ヒトフィーダー細胞は、様々なヒト組織から単離可能、又はヒト胚性幹細胞から線維芽細胞への分化に由来し得る(例えば、国際公開第01/51616号を参照)。1つの態様では、利用可能なヒトフィーダー細胞として胎盤線維芽細胞(例えば、Genbacevら(2005)Fertil.Steril.83(5):1517を参照)、卵管上皮細胞(例えば、Richards(2002)Nat.Biotechnol.、20:933を参照)、包皮線維芽細胞(例えば、Amitら(2003)、Biol.Reprod.68:2150を参照)、及び子宮内膜細胞(例えば、Leeら(2005)、Biol.Reprod.72(1):42を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
様々な固体表面が、未分化多能性細胞の培養で利用可能である。そのような固体表面として、標準的な市販の細胞培養プレート、例えば6ウェル、24ウェル、96ウェル、又は144ウェルプレート等が挙げられるが、これらに限定されない。その他の固体表面として、マイクロキャリア及びディスクが挙げられるが、これらに限定されない。未分化多能性細胞の増殖に適する固体表面は、ガラス、又はプラスチック、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、メリネックス(melinex)、サーマノックス(thermanox)等、又はその組合せを含むが、これらに限定されない様々な物質からなり得る。1つの態様では、適する表面は、1つ以上のポリマー、例えば1つ以上のアクリレート等を含み得る。1つの態様では、固体表面は、三次元の形状であり得る。三次元固体表面の非限定的な例は、例えば米国特許公開第2005/0031598号に記載されている。
【0044】
ある態様では、未分化幹細胞は、増殖基質上でフィーダーを含まない条件下で増殖し得る。ある態様では、増殖基質は、Matrigel(登録商標)マトリックス(例えば、Matrigel(登録商標)、Matrigel(登録商標)GFR)、組換えラミニン、又はビトロネクチンであり得る。ある態様では、未分化幹細胞は、様々な方法を使用して、例えばコラゲナーゼ、又は例えば手作業でのスクレーピング等を使用するなどして継代培養され得る。別の態様では、未分化幹細胞は、非酵素的手段、例えば0.5mMのEDTAを含むPBS等を使用して、又は例えばReLeSR(商標)を使用するなどして継代培養され得る。ある態様では、複数の未分化幹細胞は、細胞が約3~約10日間のうちにコンフルエンスに達するのを可能にする播種密度で播種される、又は継代培養される。ある態様では、播種密度は、増殖表面に約6.0×10個の細胞/cm~約5.0×10個の細胞/cm、例えば約1.0×10個の細胞/cm等、例えば約5.0×10個の細胞/cm等、例えば約1.0×10個の細胞/cm等、又は例えば約3.0×10個の細胞/cm等の範囲であり得る。別の態様では、播種密度は、増殖表面に約6.0×10個の細胞/cm~約1.0×10個の細胞/cm、増殖表面に例えば約6.0×10個の細胞/cm~約9.0×10個の細胞/cm等、例えば約7.0×10個の細胞/cm~約1.0×10個の細胞/cm等、例えば約7.0×10個の細胞/cm~約9.0×10個の細胞/cm等、又は例えば約7.0×10個の細胞/cm~約8.0×10個の細胞/cm等の範囲であり得る。なおも別の態様では、播種密度は、増殖表面に約1.0×10個の細胞/cm~約1.0×10個の細胞/cm、増殖表面に約2.0×10個の細胞/cm~約9.0×10個の細胞/cm等、例えば約3.0×10個の細胞/cm~約8.0×10個の細胞/cm等、例えば約4.0×10個の細胞/cm~約7.0×10個の細胞/cm等、又は例えば約5.0×10個の細胞/cm~約6.0×10個の細胞/cm等の範囲であり得る。ある態様では、播種密度は、増殖表面に約1.0×10個の細胞/cm~約5.0×10個の細胞/cm、例えば増殖表面に約1.0×10個の細胞/cm~約4.5×10個の細胞/cm等、例えば約1.5×10個の細胞/cm~約4.0×10個の細胞/cm等、例えば約2.0×10個の細胞/cm~約3.5×10個の細胞/cm等、又は例えば約2.5×10個の細胞/cm~約3.0×10個の細胞/cm等の範囲であり得る。
【0045】
様々な任意の適する細胞培養技術及び継代培養技術が、標記方法の態様に従って細胞を培養するのに利用可能である。例えば、ある態様では、培養培地は、適する時間間隔で交換され得る。1つの態様では、培養培地は、細胞の継代培養後の約2日から始めて毎日完全に交換され得る。ある態様では、培養物が約90%のコロニー被覆率に到達したら、サロゲートフラスコを犠牲にし、そして1つ以上の適する試薬、例えばコラゲナーゼIV及び0.05%のトリプシン-EDTA等を連続して使用して計測を行い、定量化用の単細胞懸濁物を実現することができる。ある態様では、複数の未分化幹細胞は、次に継代培養した後、細胞が、適する期間、例えば約3~10日間等においてコンフルエンスに達することが可能となる播種密度で、細胞を適する増殖基質(例えば、Matrigel(登録商標)マトリックス)上に播種することができる。1つの態様では、未分化幹細胞は、コラゲナーゼIVを使用して継代培養可能であり、また組換えラミニンマトリックス上で拡大可能である。1つの態様では、未分化幹細胞は、コラゲナーゼIVを使用して継代培養可能であり、またMatrigel(登録商標)マトリックス上で拡大可能である。1つの態様では、未分化幹細胞は、ReLeSR(商標)を使用して継代培養可能であり、またビトロネクチンマトリックス上で拡大可能である。
【0046】
ある態様では、播種密度は、増殖表面に約6.0×10個の細胞/cm~約5.0×10個の細胞/cm、例えば約1.0×10個の細胞/cm等、例えば約5.0×10個の細胞/cm等、例えば約1.0×10個の細胞/cm等、又は例えば約3.0×10個の細胞/cm等の範囲であり得る。別の態様では、播種密度は、増殖表面に約6.0×10個の細胞/cm~約1.0×10個の細胞/cm、例えば増殖表面に約6.0×10個の細胞/cm~約9.0×10個の細胞/cm等、例えば約7.0×10個/cm~約1.0×10個の細胞/cm等、例えば約7.0×10個の細胞/cm~約9.0×10個の細胞/cm等、又は例えば増殖表面に約7.0×10個の細胞/cm~約8.0×10個の細胞/cm等の範囲であり得る。なおも別の態様では、播種密度は、増殖表面に約1.0×10個の細胞/cm~約1.0×10個の細胞/cm、例えば増殖表面に約2.0×10個の細胞/cm~約9.0×10個の細胞/cm等、例えば増殖表面に約3.0×10個の細胞/cm~約8.0×10個の細胞/cm等、例えば約4.0×10個の細胞/cm~約7.0×10個の細胞/cm等、又は例えば約5.0×10個の細胞/cm~約6.0×10個の細胞/cm等の範囲であり得る。ある態様では、播種密度は、増殖表面の約1.0×10個の細胞/cm~約5.0×10個の細胞/cm、例えば増殖表面に約1.0×10個の細胞/cm~約4.5×10個の細胞/cm等、例えば約1.5×10個の細胞/cm~約4.0×10個の細胞/cm等、例えば約2.0×10個の細胞/cm~約3.5×10個の細胞/cm等、又は例えば約2.5×10個の細胞/cm~約3.0×10個の細胞/cm等の範囲であり得る。
【0047】
未分化多能性幹細胞の事前治療
別の態様では、分化前に、未分化幹細胞を事前治療することを含む方法が提供される。何らかの特定の理論に拘束されることなく、本発明者らは、多能性幹細胞の自発的分化の更なる低下を容易にし、これにより事前治療ステップを含まない分化方法について、更に改善することができる様々な事前治療ステップを識別した。ある態様では、本明細書に記載する1つ以上の事前治療ステップと関係する方法は、低レベルの望ましくない栄養芽細胞系列の細胞を含む細胞集団を産生することができる。別の態様では、本明細書に記載する1つ以上の事前治療ステップを含む方法は、低レベルの望ましくない上皮系列細胞を含む細胞集団を産生することができる。更に、本発明者らは、本開示に係る嚢胞アッセイにおいて、細胞100,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成する細胞集団の産生を容易にすることができる様々な事前治療ステップを識別した。事前治療ステップは、本明細書に詳細に記載されている。
【0048】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、1つ以上の幹細胞分化調節分子と共にある期間インキュベートすることを含む。ある態様では、幹細胞分化調節分子は、上皮系列と分離して後続する細胞分化を推進する分子であり得る。理論に拘束されることなく、本発明者らは、幹細胞を1つ以上の幹細胞分化調節分子と共にインキュベートすると、その結果上皮系列細胞を低下させることができることを識別した。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、下記の4種類の幹細胞分化調節分子のうちの1つ又は複数と共にある期間インキュベートすることを含む:(1)SMAD/TGFβ-RIIシグナル伝達経路の一部であるALK5の阻害剤;(2)BMPRIシグナル伝達経路の一部であるALK2の阻害剤;(3)WNTシグナル伝達経路を活性化させるGSK3阻害剤;及び(4)SHH経路を活性化させる平滑化作動薬(Smoothened agonist)。
【0049】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、1つ以上の幹細胞分化調節因子と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、幹細胞分化調節因子は、小分子であり得る。ある態様では、小分子幹細胞分化調節因子は、ALK5、ALK2、若しくはGSK3の阻害剤である、又は平滑化作動薬である。ある態様では、ALK5の阻害剤は、SB431542、LY364947、RepSox、及びその誘導体からなる群より選択可能である。別の態様では、ALK2の阻害剤は、ドルソモルフィン、LDN193189、ノギンタンパク質、及びその誘導体からなる群より選択可能である。なおも別の態様では、GSK3の阻害剤は、CHIR99021、6-ブロモインジルビン-3’-オキシム(BIO)、ケンパウロン、SB216762、Wntタンパク質、及びその誘導体からなる群より選択可能である。ある態様では、平滑化作動薬は、パルモルファミン、SAG(CAS364590-63-6)、SSHタンパク質、及びその誘導体からなる群より選択可能である。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、4つの小分子:SB431542、ドルソモルフィン、CHIR99021、及びパルモルファミンと共にある期間インキュベートすることを含む。SB431542、ドルソモルフィン、CHIR99021、及びパルモルファミンの化学構造を図1図4にそれぞれ示す。
【0050】
ある態様では、方法は、本明細書に記載するように、拡大されたが未分化の幹細胞を、1つ以上の幹細胞分化調節因子と共にある期間インキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、2つ又はそれ超の幹細胞分化調節因子と共にある期間インキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、3つ又はそれ超の幹細胞分化調節因子と共にある期間インキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、4つ又はそれ超の幹細胞分化調節因子と共にある期間インキュベートすることを含む。ある態様では、インキュベーション期間は、約1~約10日間、例えば約2日間等、例えば約3日間等、例えば約4日間等、例えば約5日間等、例えば約6日間等、例えば約7日間等、例えば約8日間等、又は例えば約9日間等の範囲であり得る。ある態様では、インキュベーション期間は、約1~約5日間、例えば約1~約3日間等、又は例えば約2~約5日間等の範囲であり得る。別の態様では、インキュベーション期間は、約6~約10日間、例えば約6~約8日間等、又は例えば約7~約10日間等の範囲であり得る。なおも別の態様では、インキュベーション期間は、約3~約8日間、例えば約3~約5日間等、例えば約4~約6日間等、例えば約5~約7日間等、又は例えば約6~約8日間等の範囲であり得る。
【0051】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞集団を、2つ又はそれ超の第1の幹細胞分化調節因子と共に、第1のインキュベーション期間インキュベートすること、及び前記集団を、2つ又はそれ超の第2の幹細胞分化調節因子と共に、第2のインキュベーション期間インキュベートすることを含む。ある態様では、第1のインキュベーション期間は、約1~約7日間、例えば約2日間等、例えば約3日間等、例えば約4日間等、例えば約5日間等、又は例えば約6日間等の範囲であり得る。ある態様では、第2のインキュベーション期間は、約1~約7日間、例えば約2日間等、例えば約3日間等、例えば約4日間等、例えば約5日間等、又は例えば約6日間等の範囲であり得る。
【0052】
ある態様では、2つ又はそれ超の第1の幹細胞分化調節因子は、2つ又はそれ超の第2の幹細胞分化調節因子とは異なる。ある態様では、2つ又はそれ超の第1の幹細胞調節因子は、2つ又はそれ超の第2の幹細胞調節因子と同一である。ある態様では、第1及び第2の幹細胞調節因子は、少なくとも1つの共通する調節因子を共有する。ある態様では、第1及び第2の幹細胞調節因子は、2つ又はそれ超の共通する調節因子、例えば3つ又はそれ超等の共通する調節因子、例えば4つ又はそれ超の共通する調節因子等を共有する。
【0053】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、下記の分化調節因子:SB431542、ドルソモルフィン、CHIR99021、及びパルモルファミンのうちの1つ又は複数と共に、約1~10日間インキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、SB431542、ドルソモルフィン、CHIR99021、及びパルモルファミンと共に約1~5日間インキュベートし、その後約1~5日間、CHIR99021及びパルモルファミンと共にインキュベートすることを含む。
【0054】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、SB431542、ドルソモルフィン、CHIR99021、及びパルモルファミンと共に約4日間インキュベートし、その後CHIR99021及びパルモルファミンと共に3日間インキュベートすることを含む。
【0055】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約1μM~約100μM、例えば約5μM等、約10μM等、例えば約15μM等、例えば約20μM等、例えば約25μM等、例えば約30μM等、例えば約35μM等、例えば約40μM等、例えば約45μM等、例えば約50μM等、例えば約55μM等、例えば約60μM等、例えば約65μM等、例えば約70μM等、例えば約75μM等、例えば約80μM等、例えば約85μM等、例えば約90μ等、又は例えば約95μM等の範囲の濃度のSB431542と共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約1μM~約20μM、例えば約1μM~約13μM等、例えば約8μM~約20μM等、例えば約8μM~約13μM等、又は例えば約9μM~約11μM等の範囲の濃度のSB431542と共にインキュベートすることを含む。なおも別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約20μM~約40μM、例えば約20μM~約33μM等、例えば約28μM~約40μM等、例えば約28μM~約33μM等、又は例えば約29μM~約31μM等の範囲の濃度のSB431542と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約40μM~約60μM、例えば約40μM~約53μM等、例えば約48μM~約55μM等、例えば約48μM~約53μM等、又は例えば約49μM~約51μM等の範囲の濃度のSB431542と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約60μM~約80μM、例えば約60μM~約73μM等、例えば約68μM~約75μM等、例えば約68μM~約73μM等、又は例えば約69μM~約71μM等の範囲の濃度のSB431542と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約80μM~約100μM、例えば約80μM~約93μM等、例えば約88μM~約95μM等、例えば約88μM~約93μM等、又は例えば約89μM~約91μM等の範囲の濃度のSB431542と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約10μMの濃度のSB431542と共にインキュベートすることを含む。
【0056】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約250nM~約250μM、例えば約1μM、約10μM、約50μM、約100μM、約150μM、又は約200μM等の範囲の濃度のALK5阻害剤と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約250nM~約25μM、例えば約250nM~約1μM等、例えば約1μM~約10μM等、又は例えば約10μM~約25μM等の範囲の濃度のLY364947と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約2.5μMのLY364947と共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約2.5μM~約250μM、例えば約2.5μM~約10μM等、例えば約10μM~約100μM等、又は例えば約100μM~約250μM等の範囲の濃度のRepSoxと共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約25μMのRepSoxと共にインキュベートすることを含む。
【0057】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約0.2μM~約20μM、例えば約0.5μM等、例えば約0.8μM等、例えば約1μM等、例えば約1.5μM等、例えば約2μM等、例えば約2.5μM等、例えば約3μM等、例えば約3.5μM等、例えば約4μM等、例えば約4.5μM等、例えば約5μM等、例えば約5.5μM等、例えば約6μM等、例えば約6.5μM等、例えば約7μM等、例えば約7.5μM等、例えば約8μM等、例えば約8.5μM等、例えば約9μM等、例えば約10μM等、例えば約11μM等、例えば約12μM等、例えば約13μM等、例えば約14μM等、例えば約15μM等、例えば約16μM等、例えば約17μM等、例えば約18μM等、又は例えば約19μM等の範囲の濃度のドルソモルフィンと共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約0.2μM~約1μM、例えば約0.2μM~約0.9μM等、例えば約0.3μM~約0.8μM等、例えば約0.4μM~約0.7μM等、又は例えば約0.5μM~約0.6μM等の範囲の濃度のドルソモルフィンと共にインキュベートすることを含む。なおも別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約1μM~約10μM、例えば約1μM~約9μM等、例えば約2μM~約8μM等、例えば約3μM~約7μM等、又は例えば約4μM~約6μM等の範囲の濃度のドルソモルフィンと共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約10μM~約20μM、例えば約10μM~約19μM等、例えば約12μM~約18μM等、例えば約13μM~約17μM等、又は例えば約14μM~約16μM等の範囲の濃度のドルソモルフィンと共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約2μMの濃度のドルソモルフィンと共にインキュベートすることを含む。
【0058】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約1nM~約20μM、例えば約10nM、約50nM、約100nM、約150nM、約200nM、約500nM、約1μM、約5μM、約10μM、又は約15μM等の範囲の濃度のALK2阻害剤と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約1nM~約100nM、例えば約1nM~約10nM等、例えば約10nM~約50nM等、又は例えば約50nM~約100nM等の範囲の濃度のLDN193189と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約10nMのLDN193189と共に、インキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約2nM~約200nM、例えば約2nM~約10nM等、例えば約10nM~約100nM等、又は例えば約100nM~約200nM等の範囲の濃度のノギンタンパク質と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約20nMのノギンタンパク質と共にインキュベートすることを含む。
【0059】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約0.3μM~約30μM、例えば約0.5μM等、例えば約0.8μM等、例えば約1μM等、例えば約1.5μM等、例えば約2μM等、例えば約2.5μM等、例えば約3μM等、例えば約3.5μM等、例えば約4μM等、例えば約4.5μM等、例えば約5μM等、例えば約5.5μM等、例えば約6μM等、例えば約6.5μM等、例えば約7μM等、例えば約7.5μM等、例えば約8μM等、例えば約8.5μM等、例えば約9μM等、例えば約10μM等、例えば約11μM等、例えば約12μM等、例えば約13μM等、例えば約14μM等、例えば約15μM等、例えば約20μM等、又は例えば約25μM等の範囲の濃度のCHIR99021と共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約0.3μM~約1μM、例えば約0.3μM~約0.9μM等、例えば約0.4μM~約0.8μM等、又は例えば約0.5μM~約0.7μM等の範囲の濃度のCHIR99021と共にインキュベートすることを含む。なおも別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約1μM~約10μM、例えば約1μM~約9μM等、例えば約2μM~約8μM等、例えば約3μM~約7μM等、又は例えば約4μM~約6μM等の範囲の濃度のCHIR99021と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約10μM~約20μM、例えば約11μM~約19μM等、例えば約12μM~約18μM等、例えば約13μM~約17μM等、又は例えば約14μM~約16μM等の範囲の濃度のCHIR99021と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約20μM~約30μM、例えば約21μM~約29μM等、例えば約22μM~約28μM等、例えば約23μM~約27μM等、又は例えば約24μM~約26μM等の範囲の濃度のCHIR99021と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約3μMの濃度のCHIR99021と共にインキュベートすることを含む。
【0060】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約25nM~約100μM、例えば約100nM、約250nM、約500nM、約750nM、約1μM、約10μM、又は約50μM等の範囲の濃度のGSK3阻害剤と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約500nM~約50μM、例えば約500nM~約1μM等、例えば約1μM~約10μM等、又は例えば約10μM~約50μM等の範囲の濃度のBIO(6-ブロモインジルビン-3’-オキシム)と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約5μMのBIO(6-ブロモインジルビン-3’-オキシム)と共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約1μM~約100μM、例えば約1μM~約10μM等、例えば約10μM~約50μM等、又は例えば約50μM~約100μM等の範囲の濃度のケンパウロンと共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約10μMのケンパウロンと共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約500nM~約50μM、例えば約500nM~約1μM等、例えば約1μM~約10μM等、又は例えば約10μM~約50μM等の範囲の濃度のSB216763と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約5μMのSB216763と共にインキュベートすることを含む。なおも別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約25nM~約2.5μM、例えば約25nM~約100nM等、例えば約100nM~約1μM等、又は例えば約1μM~約2.5μM等の範囲の濃度のWntタンパク質と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約250nMのWntタンパク質と共にインキュベートすることを含む。
【0061】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約0.05μM~約5μM、例えば約0.08μM等、例えば約0.1μM等、例えば約0.2μM等、例えば約0.3μM等、例えば約0.4μM等、例えば約0.5μM等、例えば約0.6μM等、例えば約0.7μM等、例えば約0.8μM等、例えば約0.9μM等、例えば約1μM等、例えば約2μM等、例えば約3μM等、例えば約4μM等の範囲の濃度のパルモルファミンと共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約0.05μM~約0.1μM、例えば約0.06μM~約0.09μM等、又は例えば約0.07μM~約0.08μM等の範囲の濃度のパルモルファミンと共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約0.1μM~約1μM、例えば約0.2μM~約0.9μM等、例えば約0.3μM~約0.8μM等、例えば約0.4μM~約0.7μM等、又は例えば約0.5μM~約0.6μM等の範囲の濃度のパルモルファミンと共にインキュベートすることを含む。別の態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約1μM~約5μM、例えば約1μM~約4μM等、例えば約2μM~約5μM等、又は例えば約2μM~約4μM等の範囲の濃度のパルモルファミンと共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約0.5μMの濃度のパルモルファミンと共にインキュベートすることを含む。
【0062】
ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約2.5nM~約5μM、例えば約50nM、約100nM、約250nM、約500nM、約750nM、約1μM、又は約2.5μM等の範囲の濃度の平滑化作動薬と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約10nM~約1μM、例えば約10nM~約100nM等、例えば約100nM~約500nM等、又は例えば約500nM~約1000nM等の範囲の濃度のSAGと共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約100nMのSAGと共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約2.5nM~約250nM、例えば約2.5nM~約10nM等、例えば約10nM~約100nM等、又は例えば約100nM~約250nM等の範囲の濃度のSHHタンパク質と共にインキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化のESCを、約25nMのSHHタンパク質と共にインキュベートすることを含む。
【0063】
ある態様では、未分化幹細胞は、事前治療に備えて増殖基質上で拡大させることができる。増殖基質の非限定的な例として、Matrigel(登録商標)マトリックス、組換えラミニン(例えば、組換えラミニン521)、及びビトロネクチンが挙げられる。ある態様では、培地は、未分化幹細胞の継代培養後約2日目から毎日完全に交換され得る。ある態様では、未分化幹細胞は、コラゲナーゼ及び手作業でのスクレーピング、又はその他の非酵素的手段、例えば0.5mMのEDTAを含むPBS又はReLeSR(商標)等を使用して継代培養され得る。ある態様では、未分化幹細胞は、細胞が約3~約10日間でコンフルエンスに達することができる播種密度で播種又は継代培養される。ある態様では、播種密度は、分化開始前の継代培養において、増殖表面に細胞約6.0×10個/cm~細胞約5.0×10個/cm、例えば細胞約1.0×10個/cm等、例えば細胞約5.0×10個/cm等、例えば細胞約1.0×10個/cm等、又は例えば細胞約3.0×10個/cm等の範囲であり得る。別の態様では、播種密度は、増殖表面に細胞約6.0×10個~細胞約1.0×10個/cm、例えば増殖表面に約6.0×10個/cm~細胞約9.0×10個/cm等、例えば細胞約7.0×10個~細胞約1.0×10個/cm等、例えば細胞約7.0×10個~細胞約9.0×10個/cm等、又は例えば細胞約7.0×10個/cm~細胞約8.0×10個/cm等の範囲であり得る。なおも別の態様では、播種密度は、増殖表面に細胞約1.0×10個/cm~約1.0×10個/cm、例えば増殖表面に細胞約2.0×10個/cm~細胞約9.0×10個等、例えば細胞約3.0×10個/cm~細胞約8.0×10個/cm等、例えば細胞約4.0×10個/cm~細胞約7.0×10個/cm等、又は例えば細胞約5.0×10個/cm~細胞約6.0×10個/cm等の範囲であり得る。ある態様では、播種密度は、分化開始前の継代培養において、増殖表面に細胞約1.0×10個/cm~細胞約5.0×10個/cm、例えば細胞約1.0×10個/cm~細胞約4.5×10個/cm等、例えば細胞約1.5×10個/cm~細胞約4.0×10個/cm等、例えば細胞約2.0×10個/cm~細胞約3.5×10個/cm等、又は例えば細胞約2.5×10個/cm~細胞約3.0×10個/cm等の範囲であり得る。ある態様では、未分化幹細胞が30~50%のコンフルエンスに達したら、培地は、本明細書に記載するような1つ以上の幹細胞分化調節因子を含有するグリア前駆細胞培地に変更される。ある態様では、本明細書に記載するような1つ以上の幹細胞分化調節因子を含むグリア前駆細胞培地は、約4日間、毎日交換される。ある態様では、本明細書に記載するような1つ以上の幹細胞分化調節因子を含む培地は、分化開始前の次の3日間、毎日交換される。
【0064】
ある態様では、事前治療を実施する、又は実施しない未分化幹細胞の分化は、コラゲナーゼIV及び0.05%のトリプシン-EDTAを連続して使用して、サロゲートフラスコを用いながら細胞を計測して定量化用の単細胞懸濁物を実現すること、及びコラゲナーゼIV及び手作業でのスクレーピングを使用して残りの未分化幹細胞培養物を採取することにより開始可能である。ある態様では、未分化幹細胞培養は、約1×10個の細胞/cm~約14×10個の細胞/cm、例えば約2×10個の細胞/cm~約13×10個の細胞/cm等、例えば約3×10個の細胞/cm~約12×10個の細胞/cm等、例えば約4×10個の細胞/cm~約11×10個の細胞/cm等、例えば約5×10個の細胞/cm~約10×10個の細胞/cm等、例えば約6×10個の細胞/cm~約9×10個の細胞/cm等、例えば約7×10個の細胞/cm~約8×10個の細胞/cm等の範囲の密度で胚様体(EB)が形成するように、ウルトラローアタッチメント(ULA)容器に播種可能である。1つの態様では、未分化幹細胞は、約8×10個の細胞/cmで播種される。
【0065】
ある態様では、分化の翌日に、X-VIVO10とグリア前駆細胞培地(GPM)との1:1混合物であって、GPMが、DMEM/F12(Gibcoカタログ番号10565-018)、2%のB27サプリメント(Gibcoカタログ番号17504-044)、4ng/mLのhbFGF及び20ng/mLのEGF(Life Technologiesカタログ番号PHG0311)が補充された0.04μgのトリヨードチロニン(Sigmaカタログ番号T5516-1MG)から構成される前記混合物を使用して完全培地交換が実施され得る。ある態様では、GPMは、hbFGF、EGF、及びレチノイン酸(RA)が補充され得る。ある態様では、分化を開始して2日目から、培地は、EGF及びRAでのみ補充された100%のGPMであり得る。ある態様では、この培地は、9日目まで毎日置換される。ある態様では、9日目~27日目にかけて、EGFが補充されたGPM培地は、約1日おきに交換される。ある態様では、27日目に、EBは、分化開始時に播種されたULA1cm当たり約2cmの比で、コーティングされた容器上に播かれる。ある態様では、コーティングされた容器は、Matrigel(登録商標)マトリックス、組換えラミニン、又はビトロネクチンでコーティングされ得る。ある態様では、分化全体の残りの部分で使用される培養培地は、20ng/mLのEGFが補充されたPMである。ある態様では、約27日目以降、細胞培養物の完全な培地交換が1日おきに行われる。ある態様では、細胞は、トリプシン-EDTA、又はBenzonase及び0.01%のプルロニック-F68が補充されたTrypLE Selectを使用して約34日目に採取可能、カウント可能、及びMatrigel(登録商標)マトリックスコーティング容器上に約5×10個の生存細胞/cmで播種可能である。ある態様では、GPM培地は、約34日目から約7日後の最終採取まで、1日おきに置換される。ある態様では、OPCは、約41日目に、0.05%のトリプシン-EDTA、又はBenzonase及び0.01%のプルロニック-F68が補充されたTrypLE Selectを使用して採取される。ある態様では、剥離細胞が、DMEM-F12培地とBenzonase及び0.01%のプルロニック-F68が補充されたHypoThermosol FRSとの混合物中にプールされた後、カウントされ、そして凍結保存する前にCryoStor5中で再配合される。
【0066】
OPC組成物
上記の通り、本開示の態様は、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む組成物、並びにその作製方法、及び治療を必要とする対象内の1つ以上の神経学的機能を改善するためのその使用方法を含む。特定の態様では、複数のOPCは、霊長類多能性幹(pPS)細胞のin vitroで分化した後代である。特定の態様では、複数のOPCは、ヒト胚性幹細胞のin vitroで分化した後代である。その他の態様では、複数のOPCは、誘導多能性幹(iPS)細胞のin vitroで分化した後代である。ある態様では、複数のOPC及び低レベルの望ましくない細胞型を含む細胞集団を含む組成物が提供される。
【0067】
ある態様では、細胞集団は、共通の遺伝的背景を有し得る。ある態様では、細胞集団は、1つの宿主に由来し得る。ある態様では、細胞集団は、多能性幹細胞系に由来し得る。別の態様では、細胞集団は、胚性幹細胞系に由来し得る。ある態様では、細胞集団は、hESC系に由来し得る。ある態様では、hESC系は、H1、H7、H9、H13、又はH14細胞系であり得る。別の態様では、細胞集団は、誘導多能性幹細胞(iPS)系に由来し得る。ある態様では、細胞集団は、それを必要としている対象に由来し得る(例えば、細胞集団は、治療を必要としている対象に由来し得る)。なおも別の態様では、hESC系は、受精せずにhESCを産生するように刺激された胚である単為生殖生物に由来し得る。
【0068】
ある態様では、細胞集団は、細胞富化を受けていない。ある態様では、細胞集団は、OPCについて陽性選択が実施されない。ある態様では、OPCの陽性選択は、例えばフローサイトメトリー又はマグネットビーズを使用して、ネスチン、NG2、又はPDGF-Rαについて抗体選択することであり得る。ある態様では、細胞集団は、望ましくない細胞型について陰性選択が実施されない可能性がある。ある態様では、OPCの陰性選択は、例えばフローサイトメトリー又はマグネットビーズを使用して、EpCAM又はCD49fについて抗体選択することであり得る。
【0069】
ある態様では、細胞集団の1つ以上の特徴は、フローサイトメトリーを使用して様々な細胞マーカーを定量することにより決定可能、例えば細胞集団のどれくらいのパーセンテージが、特定のマーカー又は一連のマーカーについて陽性か決定可能である。ある態様では、細胞集団は、約30%~約100%のNG2陽性細胞、例えば少なくとも約35%等、例えば少なくとも約40%等、例えば少なくとも約45%等、例えば少なくとも約50%等、例えば少なくとも約55%等、例えば少なくとも約60%等、例えば少なくとも約65%等、例えば少なくとも約70%等、例えば少なくとも約75%等、例えば少なくとも約80%等、例えば少なくとも約85%等、例えば少なくとも約90%等、例えば少なくとも約95%等、例えば少なくとも約98%等、例えば少なくとも約99%等、例えば少なくとも約99.5%等、例えば少なくとも約99.8%等、又は例えば少なくとも約99.9%等のNG2陽性細胞を含み得る。別の態様では、細胞集団は、約30%~約60%のNG2陽性細胞、例えば約30%~約35%等、例えば約35%~約40%等、例えば約40%~約45%等、例えば約45%~約50%等、例えば約35%~約55%等、例えば約40%~50%等、又は例えば約43%~約48%等のNG2陽性細胞を含み得る。なおも別の態様では、細胞集団は、約45%~約75%のNG2陽性細胞、例えば約45%~約50%等、例えば約50%~約55%等、例えば約55%~約60%等、例えば約60%~約65%等、例えば約65%~約70%等、例えば約70%~約75%等、例えば約50%~約70%等、例えば約55%~約65%等、又は例えば約58%~約63%等のNG2陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約60%~約90%のNG2陽性細胞、例えば約60%~約65%等、例えば約65%~約70%等、例えば約75%~約80%等、例えば約85%~約90%等、例えば約65%~約85%等、例えば約70%~約80%等、又は例えば約73%~約78%等のNG2陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約75%~約100%のNG2陽性細胞、例えば約75%~約80%等、例えば約85%~約90%等、例えば約90%~約95%等、例えば約95%~約100%等、例えば約80%~約95%等、例えば約85%~約90%等、又は例えば約73%~約78%等のNG2陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、少なくとも約30%のNG2陽性細胞を含み得る。別の態様では、細胞集団は、少なくとも約40%のNG2陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、少なくとも約50%のNG2陽性細胞を含み得る。
【0070】
ある態様では、細胞集団は、約80%~約100%のネスチン陽性細胞、例えば少なくとも約85%等、例えば少なくとも約90%等、例えば少なくとも約95%等、例えば約99%等、例えば少なくとも約99.5%等、例えば少なくとも約99.8%等、又は例えば少なくとも約99.9%等のネスチン陽性細胞を含み得る。別の態様では、細胞集団は、約80%~約90%のネスチン陽性細胞、例えば約80%~約85%等、又は例えば約83%~約88%等のネスチン陽性細胞を含み得る。なおも別の態様では、細胞集団は、約90%~約100%のネスチン陽性細胞、例えば約90%~約95%等、例えば約95%~約98%等、例えば約98%~約99%等、例えば約99%~約99.5%等、例えば約99.5%~約99.8%等、例えば約99.8%~約99.9%等、例えば約99.9%~約100%等、例えば約90%~約99.9%等、例えば約95%~約99.8%等、又は例えば約98%~約99.5%等のネスチン陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、少なくとも約99%のネスチン陽性細胞を含み得る。
【0071】
ある態様では、細胞集団は、約80%~約100%のPDGF-Rα陽性細胞、例えば少なくとも約85%等、例えば少なくとも約90%等、例えば少なくとも約95%等、例えば約99%等、例えば約99.5%等、例えば約99.9%等、又は例えば少なくとも約100%等のPDGF-Rα陽性細胞を含み得る。別の態様では、細胞集団は、約80%~約90%のPDGF-Rα陽性細胞、例えば約80%~約85%等、例えば約85%~約90%等、又は例えば約83%~約88%等のPDGF-Rα陽性細胞を含み得る。なおも別の態様では、細胞集団は、約90%~100%のPDGF-Rα陽性細胞、例えば約90%~約95%等、例えば約95%~約98%等、例えば約98%~約99%等、例えば約99%~約99.5%等、例えば約99.5%~約99.8%等、例えば約99.8%~約99.9%等、例えば約99.9%~約100%等、例えば約90%~約99.9%等、例えば約95%~約99.8%等、又は例えば約98%~約99.5%等のPDGF-Rα陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、少なくとも約80%のPDGF-Rα陽性細胞を含み得る。
【0072】
ある態様では、細胞集団は、約50%のNG2陽性細胞及び約81%のPDGF-Rα陽性細胞を含み得る。別の態様では、細胞集団は、約50%のNG2陽性細胞、約81%のPDGF-Rα陽性細胞、及び約99%のネスチン陽性細胞を含み得る。
【0073】
ある態様では、少なくとも約90%の細胞集団が、ネスチン、PDGF-Rα、Nkx2.2、Olig1、及びIGF2からなる群から選択されるマーカーのうちの少なくとも1つを発現することができる。別の態様では、少なくとも約90%の細胞集団が、ネスチン、PDGF-Rα、Nkx2.2、Olig1、及びIGF2からなる群から選択されるマーカーのうちの少なくとも2つを発現することができる。なおも別の態様では、少なくとも約90%の細胞集団が、ネスチン、PDGF-Rα、Nkx2.2、Olig1、及びIGF2からなる群から選択されるマーカーのうち少なくとも3つを発現することができる。別の態様では、少なくとも約90%の細胞集団が、ネスチン、PDGF-Rα、Nkx2.2、Olig1、及びIGF2からなる群から選択されるマーカーのうちの少なくとも4つを発現することができる。ある態様では、少なくとも約90%の細胞集団が、ネスチン、PDGF-Rα、Nkx2.2、Olig1、及びIGF2のすべてを発現することができる。ある態様では、約90%~約100%の細胞集団が、ネスチン、PDGF-Rα、Nkx2.2、Olig1、及びIGF2からなる群から選択されるマーカーのうちの少なくとも1つを発現することができる。ある態様では、約95%~約100%、例えば約98%~約100%等、例えば約99%~約100%等、例えば約99.5%~約100%等、例えば約99.8%~約100%等、又は例えば約99.9%~約100%等の細胞集団が、ネスチン、PDGF-Rα、Nkx2.2、Olig1、及びIGF2からなる群から選択されるマーカーのうちの少なくとも1つを発現することができる。
【0074】
ある態様では、細胞集団は、1つ以上の生物学的シグナル伝達因子を産生する能力を有し得る。ある態様では、細胞集団は、1つ以上の血管形成シグナル伝達因子を産生する能力を有し得る。ある態様では、血管形成シグナル伝達因子は、トロンボスポンジン-1、serpine1、又はserpine2であり得る。ある態様では、細胞集団は、1つ以上の神経栄養シグナル伝達因子を産生する能力を有し得る。ある態様では、神経親和性シグナル伝達因子は、NGF、ネトリン4、テネイシンC、トロンボスポンジン1、トロンボスポンジン3、SLIT1、又はSLIT3であり得る。ある態様では、神経親和性シグナル伝達因子は、ELISAにより検出可能である。ある態様では、生物学的シグナル伝達因子は、グリア由来のネキシン1、ルミカン、TIMP2、IGF2、MMP15、又はVEGFであり得る。ある態様では、生物学的シグナル伝達因子は、デコリンであり得る。ある態様では、生物学的シグナル伝達因子は、ミドカインであり得る。
【0075】
ある態様では、生物学的シグナル伝達因子が、約50pg/mlを超える、例えば約100pg/mlを超える等、例えば約200pg/mlを超える等、例えば約300pg/mlを超える等、例えば約400pg/mlを超える等、例えば約500pg/mlを超える等、例えば約1,000pg/mlを超える等、例えば約2,000pg/mlを超える等、例えば約3,000pg/mlを超える等、例えば約4,000pg/mlを超える等、例えば約5,000pg/mlを超える等、例えば約6,000pg/mlを超える等、又は例えば約7,000pg/mlを超える等の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、生物学的シグナル伝達因子が、約50pg/ml~約100,000pg/ml、例えば約100pg/ml等、例えば約150pg/ml等、例えば約200pg/ml等、例えば約250pg/ml等、例えば約300pg/ml等、例えば約350pg/ml等、例えば約400pg/ml等、例えば約450pg/ml等、例えば約500pg/ml等、例えば約550pg/ml等、例えば約600pg/ml等、例えば約650pg/ml等、例えば約700pg/ml等、例えば約750pg/ml等、例えば約800pg/ml等、例えば約850pg/ml等、例えば約900pg/ml等、例えば約1,000pg/ml等、例えば約1,500pg/ml等、例えば約2,000pg/ml等、例えば約2,500pg/ml等、例えば約3,000pg/ml等、例えば約3,500pg/ml等、例えば約4,000pg/ml等、例えば約4,500pg/ml等、例えば約5,000pg/ml等、例えば約5,500pg/ml等、例えば約6,000pg/ml等、例えば約6,500pg/ml等、例えば約7,000pg/ml等、例えば約7,500pg/ml等、例えば約8,000pg/ml等、例えば約8,500pg/ml等、例えば約9,000pg/ml等、例えば約10,000pg/ml等、例えば約15,000pg/ml等、例えば約20,000pg/ml等、例えば約25,000pg/ml等、例えば約30,000pg/ml等、例えば約35,000pg/ml等、例えば約40,000pg/ml等、例えば約45,000pg/ml等、例えば約50,000pg/ml等、例えば約55,000pg/ml等、例えば約60,000pg/ml等、例えば約65,000pg/ml等、例えば約70,000pg/ml等、例えば約75,000pg/ml等、例えば約80,000pg/ml等、例えば約85,000pg/ml等、例えば約90,000pg/ml等、例えば約95,000pg/ml等の範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、生物学的シグナル伝達因子が、約50pg/ml~約1,000pg/ml、例えば約50pg/ml~約100pg/ml等、例えば約100pg/ml~約200pg/ml等、例えば約200pg/ml~約300pg/ml等、例えば約300pg/ml~約400pg/ml等、例えば約400pg/ml~約500pg/ml等、例えば約500pg/ml~約600pg/ml等、例えば約600pg/ml~約700pg/ml等、例えば約700pg/ml~約800pg/ml等、例えば約800pg/ml~約900pg/ml等、又は例えば約900pg/ml~約1,000pg/ml等の範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、生物学的シグナル伝達因子が、約1,000pg/ml~約10,000pg/ml、例えば約1,000pg/ml~約2,000pg/ml等、例えば約2,000pg/ml~約3,000pg/ml等、例えば約3,000pg/ml~約4,000pg/ml等、例えば約4,000pg/ml~約5,000pg/ml等、例えば約5,000pg/ml~約6,000pg/ml等、例えば約6,000pg/ml~約7,000pg/ml等、例えば約7,000pg/ml~約8,000pg/ml等、例えば約8,000pg/ml~約9,000pg/ml等、又は例えば約9,000pg/ml~約10,000pg/ml等の範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、生物学的シグナル伝達因子が、約10,000pg/ml~約100,000pg/ml、例えば約10,000pg/ml~約20,000pg/ml等、例えば約20,000pg/ml~約30,000pg/ml等、例えば約30,000pg/ml~約40,000pg/ml等、例えば約40,000pg/ml~約50,000pg/ml等、例えば約50,000pg/ml~約60,000pg/ml等、例えば約60,000pg/ml~約70,000pg/ml等、例えば約70,000pg/ml~約80,000pg/ml等、例えば約80,000pg/ml~約90,000pg/ml等、又は例えば約90,000pg/ml~約100,000pg/ml等の範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含むに組成物より分泌され得る。
【0076】
ある態様では、ミドカインが、約100pg/ml~約10,000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。別の態様では、デコリンが、約500pg/ml~約50,000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。なおも別の態様では、ネトリン4が、約500pg/ml~約50,000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、グリア由来のネキシン1が、約500pg/ml~約50,000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、ルミカンが、約500pg/ml~約50,000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、TIMP2が、約500pg/ml~約50,000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、IGF2が、約100pg/ml~約10,000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、MMP15が、約50pg/ml~約5000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、VEGFが、約50pg/ml~約5000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。ある態様では、NGFが、約50pg/ml~約5000pg/mlの範囲の濃度で、OPCを含む細胞集団を含む組成物により分泌され得る。
【0077】
ある態様では、細胞集団は、本開示の実施例5に記載するような嚢胞アッセイにおいて、細胞100,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成する能力を有し得る。ある態様では、細胞集団は、本開示の実施例5に記載するような嚢胞アッセイにおいて、細胞約200,000個当たり、細胞約300,000個当たり、細胞約400,000個当たり、又は細胞約500,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成する能力を有し得る。
【0078】
望ましくない細胞型
ある態様では、細胞集団は、約20%未満の望ましくない細胞型、例えば約19%未満等、例えば約18%未満等、例えば約17%未満等、例えば約16%未満等、例えば約15%未満等、例えば約14%未満等、例えば約13%未満等、例えば約12%未満等、例えば約11%未満等、例えば約10%未満等、例えば約9%未満等、例えば約8%未満等、例えば約7%未満等、例えば約6%未満等、例えば約5%未満等、例えば約4%未満等、例えば約3%未満等、例えば約2%未満等、例えば約1%未満等、例えば約0.5%未満等、例えば約0.1%未満等、例えば約0.05%未満等、又は例えば約0.01%未満等の望ましくない細胞型を含み得る。別の態様では、細胞集団は、約15%~約20%の望ましくない細胞型、例えば約19%~約20%等、例えば約18%~約20%等、例えば約17%~約20%等、例えば約16%~約20%等、例えば約15%~約19%等、又は例えば約16%~約18%等の望ましくない細胞型を含み得る。なおも別の態様では、細胞集団は、約10%~約15%の望ましくない細胞型、例えば約14%~約15%等、例えば約13%~約15%等、例えば約12%~約15%等、例えば約11%~約15%等、又は例えば約12%~約14%等の望ましくない細胞型を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約1%~約10%の望ましくない細胞型、例えば約2%~約10%等、例えば約1%~約9%等、例えば約2%~約8%等、例えば約3%~約7%等、又は例えば約4%~約6%等の望ましくない細胞型等を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約0.1%~約1%の望ましくない細胞型、例えば約0.2%~約1%等、例えば約0.1%~約0.9%等、例えば約0.2%~約0.8%等、例えば約0.3%~約0.7%等、又は例えば約0.4%~約0.6%等の望ましくない細胞型を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約0.01%~約0.1%の望ましくない細胞型、例えば約0.02%~約0.1%等、例えば約0.01%~約0.09%等、例えば約0.02%~約0.08%等、例えば約0.03%~約0.07%等、又は例えば約0.04%~約0.06%等の望ましくない細胞型を含み得る。ある態様では、低レベルの望ましくない細胞型は、約15%未満の望ましくない細胞型の存在を示し得る。
【0079】
ある態様では、望ましくない細胞型は、上皮系列細胞を含み得る。ある態様では、上皮系列細胞は、K7又はPCKのうちの1つの存在により特徴付けられ得る。ある態様では、上皮系列細胞は、K7及びPCKの両方の存在により特徴付けられ得る。
【0080】
ある態様では、望ましくない細胞型は、K7陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約5%未満のK7陽性細胞、例えば約4%未満等、例えば約3%未満等、例えば約2%未満等、例えば約1.5%未満等、例えば約1%未満等、例えば約0.9%未満等、例えば約0.8%未満等、例えば約0.7%未満等、例えば約0.6%未満等、例えば約0.5%未満等、例えば約0.4%未満等、例えば約0.3%未満等、例えば約0.2%未満等、例えば約0.1%未満等、例えば約0.09%未満等、例えば約0.08%未満等、例えば約0.07%未満等、例えば約0.06%未満等、例えば約0.05%未満等、又は例えば約0.01%未満等のK7陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約0.01%~約5%のK7陽性細胞、例えば約0.05%等、例えば約0.1%等、例えば約0.2%等、例えば約0.3%等、例えば約0.4%等、例えば約0.5%等、例えば約0.6%等、例えば約0.7%等、例えば約0.8%等、例えば約0.9%等、例えば約1%等、例えば約1.5%等、例えば約2%等、例えば約2.5%等、例えば約3%等、例えば約3.5%等、例えば約4%等、又は例えば約4.5%等のK7陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約1%~約5%のK7陽性細胞、例えば約2%~約4%等、例えば約1%~約3%等、又は例えば約3%~約5%等のK7陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約0.1%~約1%、例えば約0.2%~約0.9%等、例えば約0.3%~約0.8%等、例えば約0.4%~約0.7%等、又は例えば約0.5%~約0.6%等のK7陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約0.01%~約0.1%のK7陽性細胞、例えば約0.02%~約0.09%等、例えば約0.03%~約0.08%等、例えば約0.04%~約0.07%等、又は例えば約0.05%~約0.06%等のK7陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約2%未満のK7陽性細胞を含み得る。別の態様では、細胞集団は、約0.2%未満のK7陽性細胞を含み得る。
【0081】
ある態様では、望ましくない細胞型は、PCK陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約10%未満のPCK陽性細胞、例えば約9%未満等、例えば約8%未満等、例えば約7%未満等、例えば約6%未満等、例えば約5%未満等、例えば約4.5%未満等、例えば約4%未満等、例えば約3.5%未満等、例えば約3%未満等、例えば約2.5%未満等、例えば約2%未満等、例えば約1.5%未満等、例えば約1%未満等、例えば約0.5%未満等、例えば約0.1%未満等、例えば約0.05%未満等、又は例えば、約0.01%未満等のPCK陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約0.01%~約10%のPCK陽性細胞、例えば約0.05%等、例えば約0.1%等、例えば約0.2%等、例えば約0.3%等、例えば約0.4%等、例えば約0.5%等、例えば約0.6%等、例えば約0.7%等、例えば約0.8%等、例えば約0.9%等、例えば約1%等、例えば約2%等、例えば約3%等、例えば約4%等、例えば約5%等、例えば約6%等、例えば約7%等、例えば約8%等、又は例えば約9%等のPCK陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約1%~約10%のPCK陽性細胞、例えば約2%~約9%等、例えば約3%~約8%等、例えば約4%~約7%等、又は例えば約5%~約6%等のPCK陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約0.1%~約1%のPCK陽性細胞、例えば約0.2%~約0.9%等、例えば約0.3%~約0.8%等、例えば約0.4%~約0.7%等、又は例えば約0.5%~約0.6%等のPCK陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約0.01%~約0.1%のPCK陽性細胞、例えば約0.02%~約0.09%等、例えば約0.03%~約0.08%等、例えば約0.04%~約0.07%等、又は例えば約0.05%~約0.06%等のPCK陽性細胞を含み得る。ある態様では、細胞集団は、約5%未満のPCK陽性細胞を含み得る。
【0082】
ある態様では、OPCの集団は、約2%のK7陽性細胞及び約4%のPCK陽性細胞を含み得る。
【0083】
配合物
ある態様では、本開示に係る組成物は、薬学的に許容される担体を更に含み得る。ある態様では、薬学的に許容される担体は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含み得る。ある態様では、薬学的に許容される担体は、ジメチルスルホキシドを含まない。ある態様では、組成物は、凍結保存用として適応され得る。
【0084】
ある態様では、本開示に係る組成物は、対象の脊髄への直接注射により投与されるように配合され得る。ある態様では、本開示に係る組成物は、対象への脳内、脳室内、髄腔内、鼻腔内、又は大槽内投与用として配合され得る。ある態様では、本開示に係る組成物は、対象の脳内の梗塞キャビティー内、又はその直近への直接注射により投与されるように配合され得る。ある態様では、本開示に係る組成物は、移植を通じて投与されるように配合され得る。ある態様では、本開示に係る組成物は、溶液として配合され得る。
【0085】
ある態様では、本開示に係る組成物は、1ミリリットル当たり約1×10~約5×10個の細胞、例えば1ミリリットル当たり約1×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約2×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約3×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約4×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約5×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約6×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約7×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約8×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約9×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約1×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約2×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約3×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約4×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約5×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約6×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約7×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約8×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約9×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約1×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約2×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約3×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約4×10個の細胞等、又は例えば1ミリリットル当たり約5×10個の細胞等を含み得る。別の態様では、本開示に係る組成物は、1ミリリットル当たり約1×10~約5×10個の細胞、例えば1ミリリットル当たり約1×10~約4×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約2×10~約5×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約1×10~約3×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約2×10~約4×10個の細胞等、又は例えば1ミリリットル当たり約3×10~約5×10個の細胞等を含み得る。なおも別の態様では、本開示に係る組成物は、1ミリリットル当たり約1×10~約1×10個の細胞、例えば1ミリリットル当たり約2×10~約9×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約3×10~約8×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約4×10~約7×10個の細胞等、又は例えば1ミリリットル当たり約5×10~約6×10個の細胞等を含み得る。ある態様では、本開示に係る組成物は、1ミリリットル当たり約1×10~約1×10個の細胞、例えば1ミリリットル当たり約2×10~約9×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約3×10~約8×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり約4×10~約7×10個の細胞等、又は例えば1ミリリットル当たり約5×10~約6×10個の細胞等を含み得る。なおも別の態様では、本開示に係る組成物は、1ミリリットル当たり少なくとも約1×10個の細胞、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約2×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約3×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約4×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約5×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約6×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約7×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約8×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約9×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約1×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約2×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約3×10個の細胞等、例えば1ミリリットル当たり少なくとも約4×10個の細胞等、又は例えば1ミリリットル当たり少なくとも約5×10個の細胞等を含み得る。ある態様では、本開示に係る組成物は、最大約1×10個若しくはそれ超の細胞、例えば1ミリリットル当たり最大約2×10個若しくはそれ超の細胞等、例えば1ミリリットル当たり最大約3×10個若しくはそれ超の細胞等、例えば1ミリリットル当たり最大約4×10個若しくはそれ超の細胞等、例えば1ミリリットル当たり最大約5×10個若しくはそれ超の細胞等、又は例えば1ミリリットル当たり最大約6×10個の細胞等を含み得る。
【0086】
ある態様では、本開示に係る組成物は、1ミリリットル当たり約4×10個~約2×10個の細胞を含み得る。
【0087】
なおも別の態様では、本開示に係る組成物は、約10マイクロリットル~約5ミリリットル、例えば約20マイクロリットル等、例えば約30マイクロリットル等、例えば約40マイクロリットル等、例えば約50マイクロリットル等、例えば約60マイクロリットル等、例えば約70マイクロリットル等、例えば約80マイクロリットル等、例えば約90マイクロリットル等、例えば約100マイクロリットル等、例えば約200マイクロリットル等、例えば約300マイクロリットル等、例えば約400マイクロリットル等、例えば約500マイクロリットル等、例えば約600マイクロリットル等、例えば約700マイクロリットル等、例えば約800マイクロリットル等、例えば約900マイクロリットル等、例えば約1ミリリットル等、例えば約1.5ミリリットル等、例えば約2ミリリットル等、例えば約2.5ミリリットル等、例えば約3ミリリットル等、例えば約3.5ミリリットル等、例えば約4ミリリットル等、又は例えば約4.5ミリリットル等の範囲の体積を有し得る。ある態様では、本開示に係る組成物は、約10マイクロリットル~約100マイクロリットル、例えば約20マイクロリットル~約90マイクロリットル等、例えば約30マイクロリットル~約80マイクロリットル等、例えば約40マイクロリットル~約70マイクロリットル等、又は例えば約50マイクロリットル~約60マイクロリットル等の範囲の体積を有し得る。別の態様では、本開示に係る組成物は、約100マイクロリットル~約1ミリリットル、例えば約200マイクロリットル~約900マイクロリットル等、例えば約300マイクロリットル~約800マイクロリットル等、例えば約400マイクロリットル~約700マイクロリットル等、又は例えば約500マイクロリットル~約600マイクロリットル等の範囲の体積を有し得る。なおも別の態様では、本開示に係る組成物は、約1ミリリットル~約5ミリリットル、例えば約2ミリリットル~約5ミリリットル等、例えば約1ミリリットル~約4ミリリットル等、例えば約1ミリリットル~約3ミリリットル等、例えば約2ミリリットル~約4ミリリットル等、又は例えば約3ミリリットル~約5ミリリットル等の範囲の体積を有し得る。ある態様では、本開示に係る組成物は、約20マイクロリットル~約500マイクロリットルの体積を有し得る。別の態様では、本開示に係る組成物は、約50マイクロリットル~約100マイクロリットルの体積を有し得る。なおも別の態様では、本開示に係る組成物は、約50マイクロリットル~約200マイクロリットルの体積を有し得る。別の態様では、本開示に係る組成物は、約20マイクロリットル~約400マイクロリットルの体積を有し得る。
【0088】
容器
ある態様では、容器は、本開示に係る細胞集団を含む組成物を含み得る。ある態様では、容器は、凍結保存用として構成され得る。ある態様では、容器は、それを必要としている対象への投与用として構成され得る。ある態様では、容器はプレフィルドシリンジであり得る。
【0089】
使用方法
本開示の態様は、治療を必要とする対象内の1つ以上の神経学的機能を改善するために、本明細書に記載するような複数のOPCを含む細胞集団を使用する方法を含む。ある態様では、本開示に係る細胞集団は、それを必要としている対象内に注射され得る、又は移植され得る。ある態様では、対象は、中枢神経系の機能的な改善を必要とし得る。ある態様では、本開示に係る細胞集団は、脊髄損傷、脳卒中、又は多発性硬化症を治療するために、それを必要としている対象内に移植され得る。
【0090】
ある態様では、本開示に係る細胞集団は、最大約1×10個の細胞、例えば最大約1×10個の細胞等、例えば最大約25×10個の細胞等、例えば最大約50×10個の細胞等、例えば最大約75×10個の細胞等、例えば最大約100×10個の細胞等、例えば最大約200×10個の細胞等、例えば最大約300×10個の細胞等、例えば最大約400×10個の細胞等、例えば最大約500×10個の細胞等、例えば最大約600×10個の細胞等、例えば最大約700×10個の細胞等、例えば最大約800×10個の細胞等、又は例えば最大約900×10個の細胞等を中枢神経系の損傷部位内に移植した場合、対象の約2%未満において異所性組織を産生する能力を有し得る。ある態様では、本開示に係る細胞集団は、約1×10個の細胞~約1×10個の細胞、例えば約50×10個の細胞~約900×10個の細胞等、例えば約100×10個の細胞~約800×10個の細胞等、例えば約200×10個の細胞~約700×10個の細胞等、例えば約300×10個の細胞~約600×10個の細胞等、又は例えば約400×10個の細胞~約500×10個の細胞等を中枢神経系の損傷部位内に移植した場合、対象の約2%未満において異所性組織を産生する能力を有し得る。ある態様では、本開示に係る細胞集団は、最大約1×10個の細胞を中枢神経系の損傷部位内に移植した場合、対象の約2%未満において異所性組織を産生する能力を有し得る。1つの態様では、本開示に係る細胞集団は、最大約1×10個の細胞を中枢神経系の損傷部位内に移植した場合、対象の約1%未満において異所性組織を産生する能力を有し得る。
【0091】
ある態様では、本開示に係る細胞集団は、対象内の移植部位において脱有髄軸索の髄鞘形成を誘発する能力を有し得る。ある態様では、本開示の方法に従って事前治療を実施して生成した細胞集団は、事前治療を実施せずに産生された細胞集団と比較して、生着及び移動に関する能力において改善を示し得る。ある態様では、本開示の方法に従って事前治療を実施して生成した細胞集団は、事前治療を実施せずに産生された細胞集団と比較して、損傷後の修復又は神経組織の再生において改善を示し得る。
【0092】
ある態様では、本開示に係る細胞集団は、該集団を、療法を必要とする対象に移植した後、該対象内の感覚機能を改善する能力を有し得る。ある態様では、感覚機能の改善は、脊髄損傷の神経学的分類に関する国際標準(ISNCSCI)検査を使用して、例えばピンプリック及び瞬間的な接触感覚における右側及び左側の感覚レベルを決定するなどして評価され得る。ある態様では、本開示に係る細胞集団は、該集団を、療法を必要とする対象に移植した後、該対象における運動機能を改善する能力を有し得る。ある態様では、細胞集団は、対象の運動機能を少なくとも2カ月間、持続可能に改善する能力を有し得る。ある態様では、細胞集団は、対象の運動機能を、少なくとも6カ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、又は少なくとも3年間、持続可能に改善する能力を有し得る。ある態様では、運動機能の改善は、立位能力若しくは体重支持の向上、四肢機能若しくは四肢強度の向上、歩行距離の向上、歩行速度の向上、腸若しくは膀胱機能の向上、腕若しくは手の動きの向上、又は握ること、掴むこと、若しくは捕捉することの向上であり得る。ある態様では、運動機能の改善は、ISNCSCI検査等を使用して、例えば全身不随に対する右側及び左側の運動レベル、触診可能又は目視可能な収縮、能動運動、重力に対する最大関節可動域、及び十分な抵抗力を決定するなどして評価可能である。
【0093】
ある態様では、本開示に係る細胞集団は、12カ月以内に損傷誘発性の中枢神経系実質空洞の体積を低下させる能力を有し得る。ある態様では、本開示に係る細胞集団は、6カ月以下、5カ月以下、4カ月以下、3カ月以下、2カ月以下、又は1カ月未満のうちに、損傷誘発性の中枢神経系実質空洞の体積を低下させる能力を有し得る。
【0094】
ある態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、それを必要としている対象の中枢神経系内の第1の場所から1つ以上の第2の場所に移動する能力を有し得る。ある態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、対象の脊髄から対象の脳内の患部組織に移動する能力を有し得る。1つの態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、対象の脊髄内の第1の場所から対象の脊髄内の患部組織に位置する第2の場所に移動する能力を有し得る。1つの態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、対象の脳内の第1の場所から対象の脳内の患部組織に位置する第2の場所に移動する能力を有し得る。1つの態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、対象の脳内の第1の場所から対象の脊髄内の患部組織に移動する能力を有し得る。1つの態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、対象の脊髄内の第1の場所から対象の脊髄内の患部組織に位置する第2の場所、並びに対象の脳内の1つ以上の患部組織に位置する1つ以上の場所に移動する能力を有し得る。1つの態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、対象の脳内の第1の場所から対象の脳内の患部組織に位置する第2の場所、並びに対象の脊髄内の1つ以上の患部組織に位置する1つ以上の場所に移動する能力を有し得る。
【0095】
ある態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、対象の中枢神経系内の第1の場所から1つ以上の患部組織に位置する1つ以上の第2の場所に、約150日未満、例えば約100日未満等、例えば約50日未満等、又は例えば約10日未満等のうちに移動する能力を有し得る。ある態様では、本開示に係る細胞集団に由来する1つ以上の細胞は、対象の中枢神経系内の第1の場所から1つ以上の患部組織に位置する1つ以上の第2の場所に、約180日以下で移動する能力を有し得る。
【0096】
追加の実施形態
本開示の態様は、組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、15%未満の望ましくない細胞型を含む、容器を含む。ある態様では、望ましくない細胞型は、上皮系列細胞を含む。ある態様では、上皮系列細胞は、K7及びPCKからなる群から選択される1つ以上のマーカーの存在により特徴付けられる。ある態様では、細胞集団は、2%未満のK7陽性細胞を含む。ある態様では、細胞集団は、0.2%未満のK7陽性細胞を含む。ある態様では、細胞集団は、5%未満のPCK陽性細胞を含む。ある態様では、細胞集団は、共通の遺伝的背景を有する。ある態様では、細胞集団は、細胞富化を受けていない。ある態様では、容器は、凍結保存用に構成される。
【0097】
本開示の態様は、組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、嚢胞アッセイにおいて、細胞100,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成し得るものである、容器も含む。ある態様では、細胞集団は、損傷誘発性の中枢神経系実質空洞の体積を12カ月以下で低下させる能力を有する。ある態様では、細胞集団は、対象の中枢神経系組織内の第1の場所から1つ以上の患部組織に位置する1つ以上の第2の場所に180日以下で移動し得るものである。ある態様では、中枢神経系組織は、脊髄組織である。ある態様では、中枢神経系組織は、脳組織である。ある態様では、細胞集団は、療法を必要とする対象に該集団を移植した後、該対象における運動機能を改善し得るものである。ある態様では、細胞集団は、少なくとも2カ月間、運動機能を持続可能に改善し得るものである。ある態様では、運動機能は、向上した立位能力又は体重支持である。ある態様では、運動機能は、向上した四肢機能又は四肢強度である。ある態様では、運動機能は、向上した歩行距離である。ある態様では、運動機能は、向上した歩行速度である。ある態様では、運動機能は、向上した腸又は膀胱機能である。ある態様では、運動機能は、向上した腕又は手の動きである。ある態様では、運動機能は、向上した握ること、掴むこと、又は捕捉することである。
【0098】
本開示の態様は、組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、嚢胞アッセイにおいて、細胞100,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成し得るものである、容器も含む。ある態様では、細胞集団は、1つ以上の生物学的シグナル伝達因子を産生し得るものである。ある態様では、細胞集団は、血管形成シグナル伝達因子を産生し得るものである。ある態様では、血管形成シグナル伝達因子は、トロンボスポンジン-1、Serpine1、Serpine2、及びその組合せからなる群から選択される。ある態様では、細胞集団は、神経栄養シグナル伝達因子を産生し得るものである。ある態様では、神経栄養因子は、NGF、ネトリン4、テネイシンC、トロンボスポンジン1、トロンボスポンジン3、SLIT1、SLIT3、及びその組合せからなる群より選択される。ある態様では、1つ以上の生物学的シグナル伝達因子は、デコリンを含む。ある態様では、1つ以上の生物学的シグナル伝達因子は、ミドカインを含む。ある態様では、細胞集団は、対象内の移植部位において脱有髄軸索の髄鞘形成を誘発し得るものである。
【0099】
本開示の態様は、組成物を含む容器であって、前記組成物が、複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含み、前記細胞集団が、最大1×10個の細胞を中枢神経系損傷部位内に移植した場合、対象の2%未満において異所性組織を産生し得るものである、容器も含む。ある態様では、細胞集団は、最大1×10個の細胞を中枢神経系損傷部位内に移植した場合、対象の1%未満において異所性組織を産生し得るものである。
【0100】
本開示の上記態様は、細胞集団を含む組成物を更に含むことができ、前記細胞集団の少なくとも30%が、NG2陽性細胞である。ある態様では、細胞集団の少なくとも40%が、NG2陽性細胞である。ある態様では、細胞集団の少なくとも50%が、NG2陽性細胞である。
【0101】
本開示の態様は、組成物を含む容器であって、前記組成物が、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の集団を含み、少なくとも95%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する。ある態様では、少なくとも98%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する。ある態様では、少なくとも99%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する。ある態様では、少なくとも99.5%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する。ある態様では、100%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する。ある態様では、少なくとも95%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する。ある態様では、少なくとも98%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する。ある態様では、少なくとも99%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する。ある態様では、少なくとも99.5%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する。ある態様では、100%のOPCが、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する。
【0102】
本開示の上記の態様は、薬学的に許容される担体を更に含み得る。ある態様では、薬学的に許容される担体は、ジメチルスルホキシドを含む。ある態様では、薬学的に許容される担体は、ジメチルスルホキシドを含まない。
【0103】
本開示の上記態様は、細胞集団を含む組成物を更に含むことができ、前記組成物は、1ミリリットル当たり少なくとも1×10個の細胞を含む。ある態様では、組成物は、1ミリリットル当たり1×10~5×10個の細胞を含む。ある態様では、組成物は、1ミリリットル当たり4×10~2×10個の細胞を含む。ある態様では、組成物は、20~500マイクロリットルの体積を有する。ある態様では、組成物は、50~200マイクロリットルの体積を有する。ある態様では、組成物は、約100マイクロリットルの体積を有する。ある態様では、組成物は、注射可能な溶液である。ある態様では、組成物は、凍結保存用に適合されている。
【0104】
更に、本開示の態様は、多能性幹細胞を分化させる方法を含み、該方法は、複数の未分化幹細胞を事前治療することと関連する1つ以上のステップを含む。ある態様では、事前治療することと関連する1つ以上のステップは、拡大されたが未分化の幹細胞を、ある期間インキュベートすることを含み、その期間中に、未分化幹細胞は、1つ以上の幹細胞分化調節分子と接触する。ある態様では、1つ以上の幹細胞分化調節分子は、(1)SMAD/TGFβ-RIIシグナル伝達経路の一部であるALK5の阻害剤;(2)BMPRIシグナル伝達経路の一部であるALK2の阻害剤;(3)WNTシグナル伝達経路を活性化させるGSK3阻害剤;及び(4)SHH経路を活性化させる平滑化作動薬からなる群から選択される。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞を、4つの小分子:SB431542、ドルソモルフィン、CHIR99021、及びパルモルファミンと共に、ある期間インキュベートすることを含む。ある態様では、方法は、拡大されたが未分化の幹細胞集団を第1の期間インキュベートし、その期間中に、未分化幹細胞が2つ又はそれ超の第1の幹細胞分化調節因子と接触すること、及び該集団を第2の期間インキュベートし、その期間中に、該細胞が、2つ又はそれ超の第2の幹細胞分化調節因子と接触することを含む。ある態様では、2つ又はそれ超の第1の幹細胞分化調節因子は、2つ又はそれ超の第2の幹細胞分化調節因子とは異なる。ある態様では、2つ又はそれ超の第1の幹細胞調節因子は、2つ又はそれ超の第2の幹細胞調節因子と同一である。ある態様では、第1及び第2の幹細胞調節因子は、少なくとも1つの共通する調節因子を共有する。ある態様では、第1及び第2の幹細胞調節因子は、2つ又はそれ超の共通する調節因子、例えば3つ又はそれ超の共通する調節因子等、例えば4つ又はそれ超の共通する調節因子等を共有する。
【0105】
ここまで、本発明について一般的に記載してきたが、本発明は、下記の実施例を参照することにより、より容易に理解される。但し、該実施例は実例として提示され、また規定されない限り本開示を制限するように意図されない。
【実施例0106】
実施例1-事前治療を含むOPC集団を産生する方法
H1系に由来する未分化ヒト胚性幹細胞(uhESC)(WA01;Thomson JA、Itskovitz-Eldor J、Shapiro SS、Waknitz MA、Swiergiel JJ、Marshall VS、Jones JM.Embryonic stem cell lines derived from human blastocysts.Science.1998年11月6日;282(5391):1145-7)を、80ng/mLのbFGF(ThermoFisher、PHG0263)、及び0.5ng/mLのTGF-β1(R&D System、カタログ番号240-B)が補充されたX-VIVO10培地で1:30希釈した、KO-DMEM中のMatrigel(登録商標)GFR上で培養した。細胞の継代培養後の2日から始めて培地を毎日完全に交換した。未分化ヒト胚性幹細胞を、コラゲナーゼ及び手作業でのスクレーピングを使用して継代培養した。
【0107】
uhESCを小分子の混合物に曝露して細胞を刺激した後、分化を誘発した。分化開始前の継代培養では、細胞を、約0.8~1.0×10個の細胞/cmで播種し、そして前回培養と同様に培養した。uhESCが30~50%のコンフルエンスに達したら、培地を、最終濃度がSB431542(Sigma-Aldrich、カタログ番号S4317)について10μM、ドルソモルフィン(Sigma-Aldrich、カタログ番号p5499)について2μM、CHIR99021(Stemgent、カタログ番号04-0004)について3μM、及びパルモルファミン(Stemgent、カタログ番号04-0009)について0.5μMの小分子が添加されたグリア前駆細胞培地に変更した。小分子を含むグリア前駆細胞培地を、4日間、毎日交換した。4日目に、グリア前駆細胞培地を、小分子の添加について、3μMのCHIR99021、0.5μMのパルモルファミン、及び150μMのアスコルビン酸(Sigma-Aldrich、カタログ番号A4544)とする更なる変更を加えて交換した。添加小分子を含む培地を、次の3日間、毎日交換した後、分化を開始した。
【0108】
事前治療されたuhESCのOPCへの分化を、コラゲナーゼIV(Life Technologies、カタログ番号17104-019)及び0.05%のトリプシン-EDTA(Life Technologies、25300-054)を連続して使用して、サロゲートフラスコを用いながら細胞を計測して定量化用の単細胞懸濁物を実現すること、及び0.5mMのEDTAを含むPBSを使用して残りの事前治療された細胞培養物を採取することにより開始した。uhESC培養物を、ウルトラローアタッチメント(ULA)容器内に播種して、X-VIVO10とグリア前駆細胞培地(GPM)の1:1混合物中、7.33×10個の細胞/cmの密度で胚様体(EB)を形成した。分化の翌日、X-VIVO10とGPMの1:1混合物を使用して完全な培地交換を実施した。この当日、GPMを、2ng/mLのhbFGF、及び20ng/mLのEGF、及び10μMのレチノイン酸を含むDMSO(RA、Sigma-Aldrich、カタログ番号R-2625)で補充した。分化の2日目以降、培地は、20ng/mLのEGF及び10μMのRAのみが補充された100%のGPMであった。この培地を9日目まで毎日置換した。9日目から27日目まで、20ng/mLのEGFが補充されたGPM培地を1日おきに交換した。27日目に、分化開始時に播種されたULA表面1cm当たり2cmの比で、EBをMatrigel(登録商標)GFRでコーティングされた容器上に播いた。分化全体の残りの部分で使用される培養培地は、20ng/mLのEGFが補充されたGPMであった。27日目から、完全培地交換を、細胞培養物に1日おきに施した。34日目に、0.05%トリプシン-EDTAを使用して剥離させた細胞培養物をカウントし、そしてMatrigel(登録商標)GFRコーティング容器上に5×10個の生存細胞/cmで播種した。GPMを、34日目から7日経過した最終採取まで1日おきに置換した。
【0109】
41日目のOPCの採取は、20U/mLのBenzonaseが補充された0.05%のトリプシン-EDTA(EMD Millipore、カタログ番号P24-5513P3)と、0.01%のプルロニック-F68(Life Technologies、カタログ番号24040-032)の混合物を含む。DMEM-F12培地と、20U/mLのBenzonase及び0.01%のプルロニック-F68が補充されたHypoThermosol FRS(BioLife Solutions、カタログ番号101104)との1:1混合物中に、剥離細胞をプールした後、カウントを行い、そして凍結保存前にCryoStor5中で再配合した。
【0110】
図5Aは、実施例に係る方法により生成したOPC中に発現したNG2、K7、及びPCKマーカーレベルの変化を、本明細書に記載する小分子を用いた事前治療を行わずに生成したOPCと比較して示す。事前治療ステップを実施して生成したOPCは、より高レベルのNG2、及びより低レベルのK7及びPCKを発現する。
【0111】
実施例2-事前治療を含むOPC集団を産生する代替法の比較
H1系に由来する未分化ヒト胚性幹細胞(uhESC)(WA01;Thomson JA、Itskovitz-Eldor J、Shapiro SS、Waknitz MA、Swiergiel JJ、Marshall VS、Jones JM.Embryonic stem cell lines derived from human blastocysts.Science、1998年11月6日;282(5391):1145~7)を、下記のマトリックスのうちの1つの上で培養した:KO-DMEM中で1:30に希釈したMatrigel(登録商標)GFR、組換えラミニン521(Corningセルフコート、カタログ番号354221又はPureCoat)、又は80ng/mLのbFGF(ThermoFisher、PHG0263)及び0.5ng/mLのTGF-β1(R&D System、カタログ番号240-B)が補充されたX-VIVO10培地を用いたCellAdhere希釈バッファー(StemCell Technologies、カタログ番号07183)に溶解したビトロネクチン(StemCell Technologies、カタログ番号07180)。細胞の継代培養後の2日から始めて、培地を毎日完全に交換した。未分化ヒト胚性幹細胞を、コラゲナーゼ及び手作業でのスクレーピング又はその他の非酵素的手段、例えばPBS又はReLeSR(商標)(StemCell Technologies、カタログ番号5872)に溶解した0.5mMのEDTA(Life Technologies、カタログ番号15575-020)等を使用して継代培養した。
【0112】
uhESCを、小分子の混合物に曝露して細胞を刺激した後、分化を誘発した。分化開始前の継代培養では、細胞を、約0.2~1.3×10個の細胞/cmで播種し、そしてこれまでの継代培養と同様に培養した。uhESCが30~50%のコンフルエンスに達したら、培地を、最終濃度がSB431542(Sigma-Aldrich、カタログ番号S4317)について10μM、ドルソモルフィン(Sigma-Aldrich、カタログ番号p5499)について2μM、CHIR99021(Stemgent、カタログ番号04-0004)について3μM、及びパルモルファミン(Stemgent、カタログ番号04-0009)について0.5μMで添加された小分子を含むグリア前駆細胞培地(GPM、本明細書に記載の通り)に変更した。小分子を含むグリア前駆細胞培地を、4日間、毎日交換した。4日目に、グリア前駆細胞培地を、小分子の添加について、3μMのCHIR99021、0.5μMのパルモルファミン、及び150μMのアスコルビン酸(Sigma-Aldrich、カタログ番号A4544)とする更なる変更を加えて交換した。添加された小分子を含む培地を、次の3日間、毎日交換した後、分化を開始した。
【0113】
事前治療されたuhESCのOPCへの分化を、次に、コラゲナーゼIV(Life Technologies、カタログ番号17104-019)及び0.05%のトリプシン-EDTA(Life Technologies、25300-054)を連続して使用して、サロゲートフラスコを用いながら細胞を計測して定量化用の単細胞懸濁物を実現すること、及び0.5mMのEDTAを含むPBSを使用して残りの事前治療された培養物を採取することにより開始した。事前治療されたuhESC培養物を、ウルトラローアタッチメント(ULA)容器内に播種すると、X-VIVO10と、DMEM/F12、Gibcoカタログ番号10565-018、2%のB27サプリメント、Gibcoカタログ番号17504-044、4ng/mLのhbFGF及び20ng/mLのEGF(Life Technologies、カタログ番号PHG0311)が補充された0.04μgのトリヨードチロニン、Sigmaカタログ番号T5516-1MGから構成されるグリア前駆細胞培地(GPM)との1:1混合物中、7.33×10個の細胞/cmの密度で胚様体(EB)が形成された。或いは、ULA組織培養容器を使用するのではなく、事前治療された培養物を撹拌された懸濁系、例えば、1.8×10個の細胞/mLの濃度、及び25rpmで撹拌された0.1LのデスポーザブルPBSスピナーフラスコ等中で培養してEBを形成した。分化の翌日、X-VIVO10とグリア前駆細胞培地又はGPMの1:1混合物を使用して、完全な培地交換を実施した。この当日、GPMを、2ng/mLのhbFGF、及び20ng/mLのEGF、及び10μMのレチノイン酸を含むDMSO(RA、Sigma-Aldrich、カタログ番号R-2625)で補充した。分化の2日目から始めて、培地は、20ng/mLのEGF及び10μMのRAのみが補充された100%のGPMであった。この培地を9日目まで毎日置換した。9日目から始めて27日目まで、20ng/mLのEGFが補充されたGPM培地を1日おきに交換した。27日目に、分化開始時に播種されたULA1cm、又は懸濁物30mL当たり2cmの比で、EBをMatrigel(登録商標)GFR、又は組換えラミニン又はビトロネクチンでコーティングされた容器上に播いた。分化全体の残りの部分で使用される培養培地は、20ng/mLのEGFが補充されたGPMであった。27日目から、完全培地交換を細胞培養物に1日おきに施した。34日目に、0.05%トリプシン-EDTA、又はTrypLE Select(Life Technologies、カタログ番号A12859)を使用して剥離させた細胞培養物をカウントし、そしてMatrigel(登録商標)GFR、組換えラミニン、又はビトロネクチンでコーティングした容器上に、5×10個の生存細胞/cmで播種した。GPMを、34日目から7日経過した最終採取まで1日おきに置換した。
【0114】
41日目のOPCの採取は、20U/mLのBenzonase(EMD Millipore、カタログ番号P24-5513P3)が補充された0.05%のトリプシン-EDTA又はTrypLE Selectと、0.01%のプルロニック-F68(Life Technologies、カタログ番号24040-032)の混合物を使用した。DMEM-F12培地と、20U/mLのBenzonase及び0.01%のプルロニック-F68が補充されたHypoThermosol FRS(BioLife Solutions、カタログ番号101104)との1:1混合物中に剥離細胞をプールした後、カウントし、そして凍結保存前にCryoStor5中で再配合した。
【0115】
実施例に従って、小分子を用いてuhESCを事前治療した場合、そのOPCにおけるNG2、K7、及びPCKマーカーレベル発現に与える効果を、異なる培養条件にわたり評価した(図5B図5Fを参照)。事前治療ステップを実施して生成したOPCは、より高レベルのNG2、及びより低レベルのK7及びPCKを発現する。uhESCの拡大段階において下記の条件下でOPCが生成した:XVIVO10培養培地及び組換えラミニンマトリックス、拡大したES細胞を採取するのにコラゲナーゼIVを使用(図5B1-Aを参照)。uhESCの拡大段階において下記の条件下でOPCが生成した:XVIVO10培養培地及び組換えラミニンマトリックス、拡大したES細胞を採取するのにコラゲナーゼIVを使用;事前治療された培養物を、その後、デスポーザブルPBSスピナーフラスコ内で培養する一方、対照とされた培養物をULA容器内で培養する(図5B2-Aを参照)。uhESCの拡大段階において下記の条件下でOPCが生成した:XVIVO10培養培地及びMatrigel(登録商標)GFR、拡大したES細胞を採取するのにコラゲナーゼIVを使用;事前治療された培養物及び対照培養の両方を、その後デスポーザブルPBSスピナーフラスコ内で培養する(図5Cを参照)。uhESCの拡大段階において下記の条件下でOPCが生成した:XVIVO10培養培地及びMatrigel(登録商標)GFR、拡大したES細胞を採取するのにコラゲナーゼIVを使用(図5D及び図5Eを参照)。uhESCの拡大段階において下記の条件下でOPCが生成した:拡大したES細胞を採取するのにReLeSR(商標)を使用したXVIVO10培養培地及びビトロネクチンマトリックス;培養物を、その後ビトロネクチンマトリックス上で培養しながら、これに短い事前治療を施し、そしてEDTAを用いた分化前に採取する(図5Fを参照)。
【0116】
実施例3-フローサイトメトリーによる細胞集団の特徴付け
特別なマーカーの同定を通じて、分化した集団中に存在するOPCの相対的な割合を定量化するのにフローサイトメトリーを使用した。特に、マーカー、例えばNG2、ネスチン、及びPDGF-Rα等を、各集団について定量した。
【0117】
細胞表面マーカーの発現を検出するために、細胞をPBSで洗浄し、そして非特異的結合部位をブロックするために10%のヤギ血清を含有する染色バッファー(2%のFBS及び0.5%のアジ化ソーダを含むPBS)中でインキュベートした。次に、目的とするマーカー(とりわけ例えば、NG2、ネスチン、PDGF-Rα、K7、パン-サイトケラチン等)を特異的に認識する抗体、及びそのアイソタイプ対照を、細胞と共にインキュベートした。未結合の抗体を、染色バッファーを用いて洗浄することにより除去し、そして抗体が蛍光物質と結合していない場合、細胞に結合した抗体を、蛍光物質と共役した抗抗体を使用して検出した。細胞を洗浄し、そしてヨウ化プロピジウムを、次に死細胞を区別するために添加した。細胞をフローサイトメーター、例えばFACSCalibur等上で取得し、そして生存細胞のみを分析した。所与のマーカーを発現する細胞のパーセンテージを、特異的抗体に結合した細胞のパーセントからアイソタイプ対照抗体と非特異的結合した細胞のパーセントを減じることにより計算した。細胞1個当たりのマーカー発現の程度をアイソタイプ対照染色細胞の蛍光強度に対するマーカー位置集団の蛍光強度の比として計算した。
【0118】
表2は、本開示の実施形態に係る方法により、未分化細胞の事前治療を実施した場合、又は実施しない場合に産生したOPC間の代表的なマーカー発現の比較である。本明細書に記載するような事前治療を含む方法は、事前治療を実施しない分化法と比較して、それよりも有意に高いOPCマーカーであるNG2及びPDGF-Rα、並びに低い非OPCマーカー、例えばOct4、Tra-1-60、K7、及びPCK等を発現するOPCを産生した。
【0119】
【表2】
【0120】
表3は、本開示の実施形態に係る方法の変法により産生したOPC間の代表的なマーカー発現の比較である。カラムの表題「ステージI培地」及び「ステージIプロセス」は、uhESCの拡大段階期間中に適用した条件を表す一方、カラムの表題「ステージIIプロセス」は適用された事前治療ステップの種類を表す:(1)対照-培養物にフラスコ又はスピナーフラスコ内での事前治療を実施しない;(2)事前治療;(3)スピナーフラスコ内での事前治療、又は(4)ビトロネクチンマトリックス上での培養と並行して行われる短い事前治療。すべての試験条件において、対照と比較したとき、事前治療を実施して産生したOPCにおいてNG2の発現が増加する一方、上皮マーカーであるK7及びPCKは、対照と比較したとき、事前治療を実施して産生したOPCにおいて減少した。
【0121】
【表3】
【0122】
実施例4-遺伝子発現プロファイリングによる細胞集団の特徴付け
遺伝子発現プロファイリングが、最終OPC集団、及び開始hESC集団からの誘導期間中の両方に存在する細胞型を更に特徴付けるのに利用可能である。遺伝子発現プロファイリングには、マイクロアレイ及びRNA-seq等の方法を使用するグローバルトランスクリプトームプロファイリング、及び高感度化した方法、例えば定量的リアルタイムPCR(qPCR)等を使用する標的化遺伝子プロファイリングの両方が含まれる。
【0123】
遺伝子発現プロファイリングを実施するために、製造業者のガイドラインにより、細胞を、QiagenのRLT溶解バッファー(Qiagen番号79216)等の核酸安定化溶液中で溶解し、そしてRNAを、QiagenのRNeasy Mini Kit(Qiagen番号74106)等の標準的な抽出キットを使用して精製した。qPCRに基づく分析では、精製後のRNAを、次に、製造業者のガイドラインに従い、QiagenのRT2 Easy First Strand Kit(Qiagen番号330421)等の標準的な方法によりcDNAに変換した。標的遺伝子及び参照ハウスキーピング遺伝子の相対的な発現レベルを、次に、事前に作製したqPCRアレイ、例えばQiagenのRT2 Profiler PCRアレイ(Qiagen番号330231)等、又は個々のプローブ、例えばQiagenのRT2 qPCR Primer Assays(Qiagen番号330001)等を使用して、製造業者のガイドラインにより定量化した。所与の標的遺伝子について、その一連の相対的な発現レベルを決定するために、PCR反応を、標準的なリアルタイムPCR機器、例えばABI 7900HT Real-Time Sequence Detection System(Applied Biosystems)等又は同等機上で実施した。各標的遺伝子を、1つ以上の参照遺伝子、例えばGAPDH等に対して標準化して、その相対的な発現レベルを決定した。
【0124】
マイクロアレイ分析では、精製後のRNAが、製造業者のガイドラインにより、標準的な方法、例えばAffymetrix GeneChip WT PLUS Reagent Kit(Affymetrix番号902281)等を使用してcDNAライブラリーを構築するのに利用可能、全トランスクリプトームアレイ、例えばAffymetrix HUGENE2.0STアレイ(Affymetrix番号902113)等にハイブリダイズ可能、及び標準的な装置、例えばAffymetrix GeneChip Scanner3000 7G System(Affyemetrix番号00-0213)等を使用して分析可能である。得られたマイクロアレイデータは、次に標準化可能であり、そして相対的な遺伝子発現に関する後続的分析が、Affymetrix Expression Console software package(Affymetrix)又は同等品を用いて実施可能である。
【0125】
表4は、本開示の実施形態に係る方法により、未分化細胞の事前治療を実施して、又は実施しないで生成したOPC内の神経/グリア前駆細胞遺伝子、外胚葉/神経外胚葉系列遺伝子、及び非神経外胚葉系列遺伝子の代表的なqPCR分析結果を示す。ここでは、RNAサンプルを、分化の9日目に収集し、そして上記方法を使用してqPCR用に処理した。4つの神経/グリア前駆細胞遺伝子:FABP7、NEUROG2、NKX2.2、及びOLIG2について定量する。4つの初期外胚葉/神経外胚葉系列遺伝子:FGF5、FOXA1、GAD1、及びGAD2について定量した。5つの初期非神経外胚葉系列遺伝子:HAND1、HAND2、MYL3、NPPA、及びOTX2について定量した。H1 hESC6OPC d9に対する倍数を、GAPDHをハウスキーピング遺伝子として、ΔΔCT法を使用して計算した。
【0126】
表4を参照すると、本開示の態様に従って事前治療を伴う方法により生成したOPCは、事前治療を実施しない方法により生成したOPCと比較して、神経/グリア前駆細胞遺伝子発現の有意な増加を示す。すなわち、神経/グリア細胞前駆体遺伝子であるFABP7、NEUROG2、NKX2.2、及びOLIG2は、事前治療を伴う方法により産生したOPC内で多く発現した。初期外胚葉/神経外胚葉系列遺伝子GAD2も、事前治療を実施しないで生成したOPCと比較して、事前治療を伴う方法により生成したOPC内で有意に低下した。更に、事前治療を実施しない方法と比較したとき、本開示に係る事前治療を含む方法は、栄養芽細胞系列遺伝子、Hand1の発現低下を含む、分化プロセス期間中に非神経外胚葉系列遺伝子の発現低下を引き起こした。
【0127】
【表4】
【0128】
本開示に従って、事前治療を実施しない方法により産生したOPCと、事前治療を実施する方法を使用して産生したOPCを比較するのに、遺伝子発現プロファイリングを使用したとき、類似性及び相違性の両方が認められた。両種類の方法は、PDGF-Rα、DCN、及びIGF2等のマーカーも発現したNG2-陽性OPCの集団を産生した。しかしながら、本開示に従って、事前治療を含む方法を使用してOPCを生成したとき、K7やCDH1/E-カドヘリン等の上皮関連遺伝子を含む、その他の細胞型と関連した遺伝子の発現は低下した。
【0129】
実施例5-IN VITROでの嚢胞アッセイを使用した、望ましくない上皮系列細胞の評価
hESCから生成したOPC集団中の望ましくない上皮系列細胞の存在を、in vitroでの嚢胞アッセイを使用して試験した。Debnathらの記載に従い、但し下記の改変を加えて、嚢胞アッセイを実施した:(1)24ウェルプレート内、各ウェルに細胞40,000個のインプットで細胞を培養した;(2)上皮細胞が増殖し、そして上皮構造が拡大する時間をより多く確保するために、最長35日間、細胞を培養した;(3)免疫蛍光染色法及びIN Cell Analyzer 2000(GE Healthcare Life Sciences)又は類似した自動化画像システムを使用した全ウェル画像取得により、嚢胞構造を検出した;並びに(4)嚢胞の頻度及びサイズを、分析ソフトウェア、例えばIN Cell Developer Software(GE Healthcare Life Sciences)等を使用して定量化した。(Debnath J、Muthuswamy SK、Brugge JS、Morphogenesis and oncogenesis of MCF-10A mammary epithelial acini grown in three-dimensional basement membrane cultures.Methods、2003年6月;30(3):256~68)。
【0130】
特に、嚢胞形成能力を試験するために、上皮嚢胞形成を刺激することが公知の因子の存在下で、20~35日間、細胞を3D培養システム内で増殖させた。嚢胞の視覚的検出に付加して、上皮マーカー、CD49fの基底部タンパク質発現を含む嚢胞構造の存在も、免疫細胞化学を使用して評価した。更に、嚢胞アッセイにより測定される活性レベルとin vivoでの嚢胞活性との間の相関関係を確認するために、受傷齧歯類を対象として上皮マーカー及び嚢胞形成を検出するのに、フローサイトメトリーを利用した。
【0131】
事前治療を実施しない方法により生成したOPCを、in vitroでの嚢胞アッセイにおいて試験したとき、様々なレベルの上皮嚢胞形成が認められた。図6Aを参照すると、左側及び中央のパネルは、事前治療を実施しない方法により生成したH1 hESC由来のOPCの代表的なピクトグラフであり、大型及び小型の嚢胞構造をそれぞれ示す。一方、本開示に従って、事前治療を実施する方法により生成したOPCをin vitroでの嚢胞アッセイにおいて試験したとき、異なる結果が認められた。図6Aの右側のパネルは、本開示に係る事前治療を含む方法により生成したH1 hESC由来のOPCの代表的なピクトグラフであり、嚢胞構造が存在しないことを示す。
【0132】
嚢胞アッセイにおいて嚢胞を形成したOPCロットを、成熟齧歯類の損傷した脊髄に投与すると、in vivoで上皮様の嚢胞構造が形成された。図6Bを参照すると、頚髄損傷及び事前治療を実施しない方法により生成したH1 hESC由来のOPCの投与から9カ月後の成熟雌ラットの代表的な組織学を、異なる倍率、異なる組織学的染色で示す。図6Bの上段パネルは、損傷/OPCグラフト部位を含有するヘマトキシリン/エオシン(H&E)染色脊髄組織の低倍率画像である。黒色のボックスは、上皮嚢胞構造の場所を示す。図6Bの下段パネルは、様々な組織学的染色で染色された上皮嚢胞構造の高倍率画像を示す。下段左側のパネルは、H&E染色法を示す。下段中央のパネルは、エオシンとヒト特異的プローブ、hALUによる染色を示し、構造内にヒト細胞の存在が確認された。下段右側のパネルは、エオシンと細胞増殖マーカー、Ki67による染色を示し、嚢胞内細胞増殖活性が最小限にとどまることを示している。最後に、図6Cは、事前治療を実施しない方法により生成したOPCのいくつかの集団における、in vitroでの嚢胞カウントに対するin vivoでの嚢胞形成頻度の直線回帰プロットであり、この動物モデルにおいて、in vitroで形成された嚢胞の数は、嚢胞形成頻度と相関関係を有することが確認された。
【0133】
対照的に、事前治療を実施する本開示に係る方法を使用して生成したOPCは、フローサイトメトリーによれば低レベルの上皮マーカーを発現し、また嚢胞アッセイにおいて上皮嚢胞を形成しなかった(図6A、右側パネル)。表5を参照すると、事前治療を実施しない方法により生成したOPCは、本開示に従って、事前治療を実施する方法を使用して産生したOPCと比較して、それよりも有意に多くの嚢胞をin vitroで産生した。
【0134】
【表5】
【0135】
嚢胞アッセイにおいて形成される嚢胞の形成頻度及び嚢胞のサイズは、齧歯類の損傷した脊髄において異所性嚢胞構造を形成する集団の相対的な能力と正の相関関係を有するので、本開示に従って、事前治療を実施する方法を使用して生成したOPCは、in vivoで上皮嚢胞を形成しないと期待される。
【0136】
実施例6-OPCの生着
哺乳動物の中枢神経系内に生着し、及び損傷部位に向かって移動するOPC集団の能力は、その生物学的活性の重要な指標であり、またその能力の潜在的指標である。更に、損傷誘発性の空洞及び損傷部位内の有髄軸索の存在は、損傷後の修復/再生の潜在的代用指標として測定可能である。
【0137】
脊髄損傷の齧歯類モデルにおいて生着/移動及び損傷後の修復/再生を評価するために、成熟雌胸腺欠損ヌードラットを使用した。OPC移植前に、所望の損傷場所(例えば、頚椎損傷の場合、C5-C6)において、ラットに椎弓切除術を施し、そしてInfinite Horizons Impactor(Precision Systems and Instrumentation番号IH-0400又は同等機器)を使用して、製造業者のガイドラインによって半挫傷/挫滅傷を引き起こした。損傷後、約1週間~1カ月において、OPCを2.4×10~2.4×10の用量で、損傷部位に隣接した脊髄に直接移植した。移植後、2週間~12カ月において、動物を絶命させ、そして組織を標準的な組織学的方法を使用して処理する。生着及び移動を評価するために、製造業者のガイドラインによって、固定した脊髄組織切片を、ヒト特異的プローブ、例えば抗ヒト核抗体(Millipore番号MAB1281)等で染色した後、適切な比色分析法又は蛍光剤コンジュゲート型二次抗体が続いた。損傷誘発性の空洞を評価するために、固定した脊髄組織切片を、標準的な組織学的方法を使用して、ヘマトキシリン及びエオシン溶液で染色した。明視野観察法による収集画像を、標準的な画像化ソフトウェア、例えばImageJ(NIH)等を使用して空洞面積を測定するのに使用した。損傷部位内の有髄線維の相対的存在量を評価するために、固定した脊髄組織切片を、標準的な組織学的方法を使用してエリオクロムシアニンで染色し、そして明視野観察法により画像化した。
【0138】
OPCが、事前治療を実施しない方法により生成し、そして上記のように評価したとき、いくつかの観察所見が認められた。第1に、移植された細胞は、移植後最長12カ月間、ロバストな生着を示し、また移植後2週間ほどの早期に損傷部位まで移動する。脊髄損傷が施され、媒体が移植されたラットと比較して、このようなOPCが移植されたラットは、移植後2週間ほどの早期に、損傷誘発性の空洞の低下を示したが、またこの効果は移植後最長12カ月間持続した。更に、有髄軸索が損傷部位内で目視可能であり、それは移植後約3カ月に開始して、移植後最長12カ月まで増加したものの、有髄軸索は、媒体で治療された受傷ラットに一般的に認められる空洞部位を横断することはできなかった(このような観察所見の例としてPriest CA、Manley NC、Denham J、Wirth ED 3rd、Lebkowski JS、Preclinical safety of human embryonic stem cell-derived oligodendrocyte progenitors supporting clinical trials in spinal cord injury、Regen Med.2015年11月;10(8):939~58を参照)。
【0139】
図7を参照すると、成熟雌ラットにC5頚髄挫傷を施し、本開示に従って事前治療を伴う方法を使用して生成したOPCを移植した。移植後、2週間において、生着した細胞を標識するために抗ヒト核抗体(hNUC)を用いて、またすべての細胞核を標識するためにDAPIを用いて、縦方向の脊髄切片を免疫蛍光的に染色した。図7は、DAPI(左側パネル)及びhNUC(右側パネル)で標識され、そしてZeiss Axioskop2上で画像化された損傷部位(白矢印)を示す。本開示に従って事前治療を伴う方法により生成したOPCは、移植後2週間においてロバストな生着、及び損傷部位に向かう移動を示した。
【0140】
実施例7-脳卒中を治療するためのOPC集団の使用
本開示に係る方法を使用して生成したOPCは、脳卒中を治療するのに利用可能である。機能的な改善を示すために、これまでに確立された皮質下白質脳卒中のマウスモデル(Sozmenら(2009)、J. Neurosci Methods180(2):261;Hinmanら(2013)、Stroke44(1):182)が、免疫不全NSGマウスに適用可能である(Shultzら(2007)、Nat Rev Immunol.7(20:118;jaxmice.jax.org/nod-scid-gamma)。
【0141】
特に、限局性虚血性病変を誘発するために、N5-(1-イミノエチル)-L-オルニチン、ジヒドロクロリド(L-Nio、Calbiochem)を各マウス脳の脳梁に直接注射する。その後、100,000個のOPC/マウス(高用量)、又は10,000個のOPC/マウス(低用量)を、脳卒中後7日目に、脳卒中病変コアに隣接して、1μLの単回用量として注射する。実験タイムラインの例を図8に示す。神経学的回復を毎月の行動試験により評価する。
【0142】
2種類の行動試験が、この研究で実施され得る:グリッド歩行試験及びシリンダー試験。
【0143】
グリッド歩行試験では、動物は、開口部を有する持ち上げられた水平化されたグリッド上に配置される。脳の損傷がない動物は、一般的に、グリッドに沿って移動しながら自身を保持するためにその足をワイヤーフレーム上に正確に配置する。開口したグリッドに足を滑らせる毎に、「フットフォールト」が記録される。肢毎の対側性及び同側性のフォールトについて、その両方の数を、ステップを踏んだ合計数と比較し、次いでフットフォールトインデックスを使用してスコア化する。
【0144】
シリンダー試験では、動物は、透明なプレキシガラスシリンダーに配置され、観察される。マウスは、その後肢上で棒立ちとなり、その前肢及び鼻毛を用いて表面を探索することにより、垂直方向の表面を積極的に探索する。シリンダー内での行動を評価する際には、右側前肢、左側前肢、及び両側前肢同時について認められた独立した壁面配置の数が記録される。
【0145】
試験群は、合計72匹のマウスを使用して構成され得るが、各12匹のマウスが下記のサブグループに割り振られる:(1)対照(偽手術)、(2)脳卒中単独、(3)非脳卒中動物へのOPC移植(低用量OPCで半数に移植、高用量OPCで他方の半分に移植)、(4)低用量OPCを脳卒中病変に隣接して脳卒中動物に移植、(5)高用量OPCを脳卒中病変に隣接して脳卒中動物に移植、及び(6)高用量OPCを脳卒中動物の脳卒中病変中に移植。
【0146】
実施例に従って実施された実験から生成され得る予想データを図9及び図10に示す。
【0147】
図9を参照すると、グリッド歩行試験における性能は、脳卒中及び本開示の態様に従って生成したOPC移植後4カ月において、良好な運動制御及び歩行の改善を示すものと期待される。
【0148】
図10を参照すると、シリンダー試験における性能は、本開示の1つ以上の態様に従って生成したOPCの移植後、4カ月目において改善を示すものと期待される。
【0149】
実施例8-脊髄損傷を治療するためのOPC集団の使用
本開示に係る方法を使用して生成したOPCは、脊髄損傷を治療するのに利用可能である。行動評価及び組織学的評価の両方を使用して、頚髄損傷のラットモデルを対象にOPCを試験するために、有効性の研究を実施した。この研究は、最も一般的なヒト脊髄損傷、頸部挫傷をモデルとし、並びに動物の確実な生存を確保するため、及び合理的な動物飼育要件を維持するために半挫傷に限定された。本開示に従って事前治療を実施しない方法により生成したOPCを用いて、初期の研究を実施した。
【0150】
250kdyneの挫傷力を加えるように設定したInfinite Horizons Impactorを使用して、頚椎レベルC-6片側性(右側)脊髄挫傷を雌胸腺欠損RNUラットに施した。1週間後、挫傷させた動物に、2.4×10個のOPC、又は媒体(HBSS)、又は偽手術を施した。抗アシアロGM1抗体を用いて、すべての動物に免疫抑制を施した。研究期間中の4つの時点(ベースライン、及び移植後1カ月、2カ月、又は4カ月)において、行動試験及び運動試験を実施し、その後組織学評価用として脊髄を収集する。
【0151】
OPC又は媒体を投与するために、定位固定式マニプレータアームを使用して、シリンジを脊髄内に進入させた。媒体又はOPCを、損傷部位に対して後端側の背側脊髄実質内に、2.4μLの単回注射により投与した。
【0152】
損傷及び治療後の行動上の回復を評価するために、この研究には、90の異なる運動特性及び歩行メカニクスについて定量測定を可能にするTreadScan歩行分析システム(Clever Sys Inc.、Reston、VA)が組み込まれた。
【0153】
TreadScan分析では、動物をモーター付きの透明なトレッドミル上に配置し、そして無拘束運動期間中に高速度カメラを使用して20秒間、腹側面から画像化した。TreadScan Analysing Systemソフトウェアを、次に4足のそれぞれに由来する歩行特性を計算するのに使用した。
【0154】
このような歩行パラメーターを使用しつつ、多因子法を使用して全データセットを統計的に分析した。4つの時点のそれぞれにおいて、動物43匹それぞれについて、90個のTreadScan個別測定を1つの数値にまとめるために、第1主成分(PC)分析を実施した。ベースラインからプロットし、第1PC(図11)は、損傷後、最初の1カ月において、損傷を受けた動物と損傷を受けない偽手術群との相違を示す。最初の1カ月後、OPCを投与された動物では、歩行活動が若干回復した一方、HBSS媒体を投与された動物は、回復をほとんど示さなかった(p≦0.05)。機能的改善は、移植後2カ月目に現れ始め、そして4カ月まで継続的に増加した。
【0155】
第1主成分を生成するのに使用される多変量分析でも、全体スコアに最も関係する個々のパラメーターが識別された。トップ3のパラメーターは、走行速度、右後ろ足のストライド頻度、及び右前足の縦方向の最大のずれであった。この3パラメーターを、事前治療を実施しない方法により生成したOPCを投与された受傷ラットについて、図12図13、及び図14にそれぞれプロットした。
【0156】
図12を参照すると、損傷を受けない偽手術ラット、媒体を投与された受傷ラット、及びOPCを投与された受傷ラットの平均走行速度を、4つの指定された時点においてプロットした。ベースラインでは、動物は、すべての群にわたり、類似した速度で走行した。損傷後1カ月において、OPC又は媒体(HBSS)で治療された動物は、偽手術動物よりも低速度で走行し、損傷の効果が示唆される。2カ月及び4カ月において、偽手術群及びOPC治療群の走行速度はいずれも高まり、その改善の程度は類似した。対照的に、HBSS媒体群は、研究全体を通じて走行速度の増加をほとんど示さなかった。OPCを移植した動物は、治療後2カ月目及び4カ月目の両方において媒体対照群内の動物よりも統計的に有意に速い走行速度を有した(p≦0.05)。
【0157】
図13を参照すると、損傷を受けない偽手術ラット、媒体を投与された受傷ラット、及びOPCを投与された受傷ラットの右後ろ足のストライド頻度を4つの指定された時点においてプロットした。事前治療を実施しない方法により生成したOPCを投与された動物は、移植後の障害はそれほど重症ではなかった。特に、OPCで治療された動物は、右後ろ足について、HBSS媒体で治療された受傷ラットのストライド頻度よりも偽手術動物のストライド頻度に近いストライド頻度を有し(図13)、また媒体群のストライド頻度とは有意に異なった(p≦0.05)。
【0158】
図14を参照すると、損傷を受けない偽手術ラット、媒体を投与された受傷ラット、及び事前治療を実施しない方法により生成したOPCを投与された受傷ラットについて、右前足の縦方向の最大のずれを、4つの指定された時点においてプロットした。これは、短体軸(ウエスト軸)に対する右前足(受傷側)の最大距離を測定する。この場合、OPCを投与された動物は、影響を受けた右前肢について、偽手術動物の変位により類似し、またHBSS媒体を投与された動物とは統計的に異なる縦方向の変位を示した(図14)。
【0159】
有効性の研究に由来する事後の組織学分析から、OPC治療ラットでは、OPCが生存し、実質キャビティー形成が低下し、及び損傷部位を横断する有髄線維が存在することが明らかとなった(図15)。細胞核は、ヒト核抗原で染色されたが、またミエリンは、エリオクロムシアニンで染色される。神経経路探索により、OPCグラフト内、及び損傷部位に対して後端側に位置する赤核脊髄路及び網様体脊髄路から軸索線維が識別された。図15の左側パネルを参照すると、移植したOPCにより、病変キャビティーが完全に充填されていることが認められた。図15の右側パネルは、OPCグラフト内の有髄軸索(矢印)の存在を示す。
【0160】
総じて、TreadScan分析より、事前治療を実施しない方法により生成したOPCは、ラット頚髄への挫傷を原因とする運動障害を反転可能であることが明らかとなった。したがって、事前治療を実施しない方法により生成したOPCを移植した受傷動物において、動態計測及び脊髄組織の組織学の両方について改善が認められた。
【0161】
事前治療を実施する方法により生成したOPCを移植すれば、事前治療を実施しない方法により生成したOPCの移植により提供される機能的改善と、少なくとも同一レベルの機能的改善を提供するものと期待される。
【0162】
実施例9-多発性硬化症を治療するためのOPC集団の使用
本開示に係る方法を使用して生成したOPCは、中枢神経系内の軸索の脱髄を引き起こす自己免疫疾患である多発性硬化症(MS)を治療するのに利用可能である。損傷を受けた軸索を再有髄化し、また運動機能を復元するOPCの能力を試験するために、実質的にStosic-Grujicicらにより記載されるようなMSの齧歯類モデルを採用する(Stosic-Grujicic S、Ramic Z、Bumbasirevic V、Harhaji L、Mostarica-Stojkovic M.Induction of experimental autoimmune encephalonmyelitis in Dark Agouti rats without adjuvant.Clin.Exp.Immunol.2004.136:49~55)。モデルとして、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質MOG1-125を用いた免疫により、実験的な自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を発症させたDark Agoutiラットを使用する。免疫後30日目にOPCを移植する実験概要の非限定的な例を図16に示す。
【0163】
試験動物の行動に対するOPC移植の効果を調べるために、Stosic-Grujicicら、2004に記載されているスコアリングシステムを使用して、各動物について臨床スコアを決定する。この実施例に従って実施した実験から生成され得る、及び対照群と本開示の態様に従って生成したOPCを移植した動物とを比較することから取得され得る予想データを図17に示す。脱髄した動物モデルを対象として、事前治療を実施しないで生成したOPCの移植について行われた組織学的分析及び電子顕微鏡検査から、移植されたOPCは生着し、またミエリンを産生することが示唆される。
【0164】
総じて、このような結果は、事前治療を実施しない方法により生成したOPCの移植は、EAEモデルにおける運動機能障害及び髄鞘形成不全を反転させる可能性を有することを実証する。
【0165】
事前治療を実施する方法により生成したOPCの移植は、MSのEAEモデルにおいて、少なくとも類似したレベルの再ミエリン化及び機能改善を提供するものと期待される。
【0166】
本開示は、特定の態様を参照しながら記載されてきたが、本開示の範囲から逸脱せずに、様々な変更を加えることができ、またその要素について同等のものが置換可能であるものと当業者は理解する。更に、特定の状況又は材料に適合するように、本開示の教示に対して多くの改変を、本開示の範囲から逸脱せずに加えることができる。
【0167】
したがって、本開示は、本開示を実施するために検討される最良のモードとして開示される特定の態様に限定されず、むしろ本開示は、添付の特許請求の範囲及び精神に内包されるすべての態様を含むように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含む組成物であって、前記細胞集団が、拡大されたが未分化の幹細胞をALK5の阻害剤、ALK2の阻害剤、GSK3の阻害剤、又は、平滑化作動薬(Smoothened agonist)を含む1つ以上の幹細胞分化調節因子と共にインキュベートすることによって産生され、前記細胞集団が、望ましくない細胞型の含有量が15%未満である、組成物。
【請求項2】
幹細胞分化調節因子が、SB431542、LY364947、RepSox、ドルソモルフィン、LDN193189、ノギンタンパク質、CHIR99021、6-ブロモインジルビン-3’-オキシム(BIO)、ケンパウロン、SB216762、Wntタンパク質、パルモルファミン、SAG(CAS364590-63-6)、SSHタンパク質、及びこれらの誘導体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
細胞集団が、拡大されたが未分化の幹細胞をSB431542、ドルソモルフィン、CHIR99021、パルモルファミンを含む幹細胞分化調節因子と共にインキュベートすることによって産生される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
望ましくない細胞型が上皮系列細胞を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
上皮系列細胞がK7及びPCKからなる群から選択される1つ以上のマーカーの存在によって特徴付けられる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
細胞集団が、K7陽性細胞の含有量が2%未満である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
細胞集団が、K7陽性細胞の含有量が0.2%未満である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
細胞集団が、PCK陽性細胞の含有量が5%未満である、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
細胞集団が共通の遺伝的背景を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
細胞集団が、細胞富化を受けていない、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が凍結保存に適合されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含む組成物であって、細胞集団が嚢胞アッセイにおいて細胞100,000個当たり1個以下の上皮嚢胞を形成し得る、組成物。
【請求項13】
細胞集団が、12カ月以内に、損傷誘発性の中枢神経系実質空洞の体積を低下させ得る、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
細胞集団が、180日以内に、対象の中枢神経系組織内の第1の場所から、1つ以上の第2の場所に位置する1つ以上の患部組織に移動し得る、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
中枢神経系組織が脊髄組織である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
中枢神経系組織が脳組織である、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
細胞集団が、治療を必要とする対象において、前記集団を前記対象に移植した後、運動機能を改善し得る、請求項12に記載の組成物。
【請求項18】
細胞集団が、少なくとも2カ月間、運動機能を持続的に改善し得る、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
運動機能が、向上した立位能力又は体重支持である、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
運動機能が、向上した四肢機能又は四肢強度である、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
運動機能が、向上した歩行距離である、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
運動機能が、向上した歩行速度である、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
運動機能が、向上した腸又は膀胱機能である、請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
運動機能が、向上した腕又は手の動きである、請求項17に記載の組成物。
【請求項25】
運動機能が、向上した握ること、掴むこと、又は捕捉することである、請求項17に記載の組成物。
【請求項26】
細胞集団が、1つ以上の生物学的シグナル伝達因子を産生し得る、請求項12に記載の組成物。
【請求項27】
細胞集団が、血管形成シグナル伝達因子を産生し得る、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
血管形成シグナル伝達因子が、トロンボスポンジン-1、Serpine1、Serpine2、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
細胞集団が、神経栄養シグナル伝達因子を産生し得る、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
神経栄養シグナル伝達因子が、NGF、ネトリン4、テネイシンC、トロンボスポンジン1、トロンボスポンジン3、SLIT1、SLIT3、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
1つ以上の生物学的シグナル伝達因子が、デコリンを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
1つ以上の生物学的シグナル伝達因子が、ミドカインを含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項33】
細胞集団が、対象内の移植部位において脱有髄軸索の髄鞘形成を誘発し得る、請求項12に記載の組成物。
【請求項34】
複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含む組成物であって、前記細胞集団が、最大1×10個の細胞を中枢神経系損傷部位内に移植した場合、対象の2%未満において異所性組織を産生し得る、組成物。
【請求項35】
細胞集団が、最大1×10個の細胞を中枢神経系損傷部位内に移植した場合、対象の1%未満において異所性組織を産生し得る、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
細胞集団の少なくとも30%が、NG2陽性細胞である、請求項1、12又は34に記載の組成物。
【請求項37】
細胞集団の少なくとも40%が、NG2陽性細胞である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
細胞集団の少なくとも50%が、NG2陽性細胞である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団を含む組成物であって、前記OPCの少なくとも95%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、組成物。
【請求項40】
OPCの少なくとも98%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
OPCの少なくとも99%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
OPCの少なくとも99.5%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
OPCの100%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択されるマーカーを発現する、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
OPCの少なくとも95%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項39に記載の組成物。
【請求項45】
OPCの少なくとも98%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
OPCの少なくとも99%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
OPCの少なくとも99.5%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
OPCの100%が、PDGF-Rα、IGF2、Nkx2.2、Olig1、及びネスチンからなる群から選択される第2のマーカーを発現する、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
組成物が、薬学的に許容される担体を更に含む、請求項1から48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
薬学的に許容される担体が、ジメチルスルホキシドを含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
薬学的に許容される担体が、ジメチルスルホキシドを含まない、請求項49に記載の組成物。
【請求項52】
組成物が、1ミリリットル当たり少なくとも1×10個の細胞を含む、請求項49から51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
組成物が、1ミリリットル当たり1×10~5×10個の細胞を含む、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
組成物が、1ミリリットル当たり4×10~2×10個の細胞を含む、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
組成物が、20~500マイクロリットルの体積を有する、請求項49から54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
組成物が、50~200マイクロリットルの体積を有する、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
組成物が、約100マイクロリットルの体積を有する、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
組成物が、注射可能な溶液である、請求項49から57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
組成物が、凍結保存に適合されている、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
複数のOPCが、複数のヒト胚性幹細胞からのin vitroで誘導された後代を含む、請求項1から59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
複数のOPCが、複数の霊長類多能性幹細胞からのin vitroで誘導された後代を含む、請求項1から59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
複数のOPCが、複数の誘導多能性幹細胞からのin vitroで誘導された後代を含む、請求項1から59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
複数のオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)を含む細胞集団の製造方法であって、拡大されたが未分化の幹細胞をALK5の阻害剤、ALK2の阻害剤、GSK3の阻害剤、又は、平滑化作動薬を含む1つ以上の幹細胞分化調節因子と共にインキュベートすることを含む、製造方法。
【外国語明細書】