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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095782
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】オピオイド中毒を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20220621BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20220621BHJP
   A61K 31/135 20060101ALI20220621BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20220621BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220621BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6876 Z
A61K31/135
A61K31/485
A61P25/36
A61K45/00
G01N33/50 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】60
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059179
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2019547603の分割
【原出願日】2017-11-22
(31)【優先権主張番号】62/425,894
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515350669
【氏名又は名称】アシュレックス ヘルス,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】319014167
【氏名又は名称】アシュレックス ヘルス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート アレクサ
(72)【発明者】
【氏名】リ ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ルイス デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】レイ バルミキ
(72)【発明者】
【氏名】デチャイロ ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロー レベッカ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、治療を始める前に、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いと患者を同定する方法を提供する。
【解決手段】オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクがある対象を同定する方法であって、1つ以上の薬力学遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することと、前記対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと前記対象を同定することとを含む、前記方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクがある対象を同定する方法であって、
1つ以上の薬力学遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することと、
前記対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと前記対象を同定することと
を含む、前記方法。
【請求項2】
治療を必要とするヒト対象においてオピオイド中毒を治療する方法であって、
1つ以上の薬力学遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することと、
前記対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと前記対象を同定することと、
前記患者への、
臨床ガイドラインに従って決定された開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンの投与、または
メサドンの投与
のように、未完了となるリスクが高いまたは中程度であると同定された前記対象にオピオイドアゴニストを投与することと
を含む、前記方法。
【請求項3】
治療を必要とするヒト対象においてオピオイド中毒を治療する方法であって、
1つ以上の薬力学遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することと、
前記対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと前記対象を同定することと、
前記患者への、
臨床ガイドラインに従って決定された開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンの投与、または
メサドンの投与
のように、未完了となるリスクが高いと同定された前記対象にオピオイドアゴニストを投与することと
を含む、前記方法。
【請求項4】
治療を必要とするヒト対象においてオピオイド中毒を治療する方法であって、
1つ以上の薬力学遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することと、
前記対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと前記対象を同定することと、
前記患者への、
臨床ガイドラインに従って決定された開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンの投与、または
メサドンの投与
のように、未完了となるリスクが中程度であると同定された前記対象にオピオイドアゴニストを投与することと
を含む、前記方法。
【請求項5】
オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクがある対象を同定するインビトロでの方法であって、
前記対象からのエクスビボ試料において、1つ以上の薬力学遺伝子についての遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することと、
前記対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと前記対象を同定することと
を含む、前記方法。
【請求項6】
前記薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象についての前記複合遺伝的リスクスコアが、各遺伝的表現型に関連するリスクの合計を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のCYP遺伝子のそれぞれの前記遺伝的表現型が、遺伝子座における機能的対立遺伝子の数に基づく組み合わせ表現型である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、CYP3A4;
COMT、HTR2A;
COMT、SLC6A4;
HTR2A、CYP3A4;
SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、CYP3A4
からなる群から選択される2つの遺伝子のパネルについて決定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、HTR2A、CYP3A4
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6、CYP2C19、CYP1A2
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記遺伝的表現型が、前記1つ以上の薬力学遺伝子における以下の遺伝的変異体:ADRA2A(rs1800544)、COMT(rs4680)、HTR2A(rs6311)、OPRM1(rs1799971)、SLC6A4(5-HTTLPR)のうちの1つ以上についてアッセイすることによって決定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の薬力学遺伝子が、COMTおよびSLC6A4を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記遺伝的表現型が、各遺伝的変異体の遺伝子型に基づいて割り当てられる、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子について前記対象の遺伝的表現型を決定することが、
薬物曝露を予測するために、コンビナトリアル薬理遺伝学と生理学的アルゴリズムを組み合わせること
を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
1つ以上の薬力学遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することが、
その遺伝子型についての完了率と参照集団における平均完了率との差に基づいて、薬力学遺伝子に関連する各遺伝子型に数値スコアを割り当てること
を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記複合遺伝的リスクスコアが0.05以下のp値および1.5以上のオッズ比を有する場合、前記対象は高リスクである;
前記複合遺伝的リスクスコアが0.05以下のp値および1~1.5のオッズ比を有する場合、前記対象は中程度のリスクである;ならびに
上記の条件のいずれも満たさない場合、前記対象は低リスクである
のように、前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと前記対象を同定すること
をさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
患者からの試料をアッセイすることと、
患者が、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することと、
オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアが存在する場合に、治療有効量のメサドンを患者に投与することと
を含む、患者におけるオピオイド中毒の治療における使用のためのメサドン。
【請求項24】
前記患者が、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することが、
前記対象からのエクスビボ試料において、1つ以上の薬力学遺伝子についての遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することと、
前記対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと
を含む、請求項23に記載の使用によるメサドン。
【請求項25】
前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いと前記対象を同定することをさらに含む、請求項24に記載の使用によるメサドン。
【請求項26】
前記薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から構成される、請求項24~25のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項27】
前記薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から選択される、請求項24~25のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項28】
前記シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から構成される、請求項24~27のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項29】
前記シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から選択される、請求項24~27のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項30】
前記対象についての前記複合遺伝的リスクスコアが、各遺伝的表現型に関連するリスクの合計を含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項31】
前記1つ以上のCYP遺伝子のそれぞれの前記遺伝的表現型が、遺伝子座における機能的対立遺伝子の数に基づく組み合わせ表現型である、請求項24~30のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項32】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、CYP3A4;
COMT、HTR2A;
COMT、SLC6A4;
HTR2A、CYP3A4;
SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、CYP3A4
からなる群から選択される2つの遺伝子のパネルについて決定される、請求項24~31のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項33】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、HTR2A、CYP3A4
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項24~31のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項34】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項24~31のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項35】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項24~31のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項36】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6、CYP2C19、CYP1A2
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項24~31のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項37】
前記遺伝的表現型が、前記1つ以上の薬力学遺伝子における以下の遺伝的変異体:ADRA2A(rs1800544)、COMT(rs4680)、HTR2A(rs6311)、OPRM1(rs1799971)、SLC6A4(5-HTTLPR)のうちの1つ以上についてアッセイすることによって決定される、請求項24~31のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項38】
前記1つ以上の薬力学遺伝子が、COMTおよびSLC6A4を含む、請求項24~31のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項39】
前記遺伝的表現型が、各遺伝的変異体の遺伝子型に基づいて割り当てられる、請求項24~38のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項40】
1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することが、
薬物曝露を予測するために、コンビナトリアル薬理遺伝学と生理学的アルゴリズムを組み合わせること
を含む、請求項24~39のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項41】
1つ以上の薬力学遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することが、
その遺伝子型についての完了率と参照集団における平均完了率との間の差に基づいて、薬力学遺伝子に関連する各遺伝子型に数値スコアを割り当てること
を含む、請求項24~39のいずれか一項に記載の使用によるメサドン。
【請求項42】
患者からの試料をアッセイすることと、
患者が、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することと、
オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアが存在する場合に、臨床ガイドラインに従って決定される開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンを患者に投与することと
を含む、患者におけるオピオイド中毒の治療における使用のためのブプレノルフィン。
【請求項43】
前記患者が、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することが、
前記対象からのエクスビボ試料において、1つ以上の薬力学遺伝子についての遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することと、
前記対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと
を含む、請求項42に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項44】
前記対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いと前記対象を同定することをさらに含む、請求項42に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項45】
前記薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から構成される、請求項42~44のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項46】
前記薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から選択される、請求項42~44のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項47】
前記シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から構成される、請求項42~46のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項48】
前記シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から選択される、請求項42~46のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項49】
前記対象についての前記複合遺伝的リスクスコアが、各遺伝的表現型に関連するリスクの合計を含む、請求項42~48のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項50】
前記1つ以上のCYP遺伝子のそれぞれの前記遺伝的表現型が、遺伝子座における機能的対立遺伝子の数に基づく組み合わせ表現型である、請求項42~49のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項51】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、CYP3A4;
COMT、HTR2A;
COMT、SLC6A4;
HTR2A、CYP3A4;
SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、CYP3A4
からなる群から選択される2つの遺伝子のパネルについて決定される、請求項42~50のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項52】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、HTR2A、CYP3A4
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項42~50のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項53】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項42~50のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項54】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項42~50のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項55】
前記対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6、CYP2C19、CYP1A2
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、請求項42~50のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項56】
前記遺伝的表現型が、前記1つ以上の薬力学遺伝子における以下の遺伝的変異体:ADRA2A(rs1800544)、COMT(rs4680)、HTR2A(rs6501)、OPRM1(rs1799971)、SLC6A4(5-HTTLPR)のうちの1つ以上についてアッセイすることによって決定される、請求項42~50のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項57】
前記1つ以上の薬力学遺伝子が、COMTおよびSLC6A4を含む、請求項42~50のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項58】
前記遺伝的表現型が、各遺伝的変異体の遺伝子型に基づいて割り当てられる、請求項42~57のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項59】
1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することが、
薬物曝露を予測するために、コンビナトリアル薬理遺伝学と生理学的アルゴリズムを組み合わせること
を含む、請求項42~58のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【請求項60】
1つ以上の薬力学遺伝子についての前記対象の遺伝的表現型を決定することが、
その遺伝子型についての完了率と参照集団における平均完了率との間の差に基づいて、薬力学遺伝子に関連する各遺伝子型に数値スコアを割り当てること
を含む、請求項42~58のいずれか一項に記載の使用によるブプレノルフィン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月23日に出願された米国仮特許出願第62/425,894号の優先権を主張し、その全内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医学および精神医学の分野に関する。具体的には、本発明は、オピオイドアゴニスト代替療法を使用してオピオイド中毒を治療するための方法および構成物に関する。
【背景技術】
【0003】
オピオイドの誤用および中毒は、深刻で増大している公衆衛生問題である。オピオイド中毒のための現在の標準的な治療は、メサドン単独またはブプレノルフィンとナロキソンとの組み合わせ(この組み合わせはまた一般に、その商標名「Suboxone(商標)」とも呼ばれる)を使用するオピオイドアゴニスト代替療法である。典型的な治療計画では、患者は、持続的な期間、例えば24週間、アゴニストの代替を受ける必要がある。これらの治療法はオピオイド依存症を軽減するのに有効であり得るが、患者間で有効性には広い変動がある。彼らは禁断を維持することができずプログラムの完了前にドロップアウトするので、多くは治療の24週間を完全に完了することができない。現在のところ、治療期間全体を通じて個体が治療を続ける能力を意味する、個体が治療を継続する可能性についての信頼できる予測因子は存在しない。それにもかかわらず、治療の維持自体が、好ましい結果の認識された予測因子である。したがって、治療の維持を改善することは、結果を改善するための重要な目標である。例えば、Hsuら(2013)を参照されたい。治療の維持を改善する1つの本方法は、治療を開始する前にドロップアウトのリスクが高い患者を同定して、ドロップアウトを回避するのに役立ち得る早期介入のためにその患者を対象とすることである。用量およびアゴニストの種類など、維持を向上させる傾向があるいくつかの要因が同定されており、より高い用量は一般に向上した維持と相関し、メサドン療法は一般にブプレノルフィンよりも高い維持と相関している。idを参照。しかし、現在の方法を使用して、どの患者がより高い用量または異なる薬物を必要とするのかを前もって同定して、彼らの治療維持を改善することは不可能である。実際、治療の維持は複雑な特徴であり、遺伝的および環境的要素、ならびに遺伝子-環境相互作用の両方を含む可能性が最も高く、治療を始める前にドロップアウトのリスクが高い患者を同定するための信頼できる予測因子は現在ない。
【0004】
Cristらは、治療結果の高い変動性において遺伝的差異が果たし得る役割を認識し、δオピオイド受容体をコードする遺伝子であるOPRD1の遺伝的変異とオピオイド陽性尿検査の有病率との関係を調査した(禁断、およびメサドンまたはSuboxone(商標)のいずれかで治療を受けているアフリカ系アメリカ人またはヨーロッパ系アメリカ人の間接的な治療結果の測定として)。Cristら、Neuropsychopharmacology。2013 Sep;38(10):2003-2010。Cristは、非盲検臨床試験「Starting Treatment with Agonist Replacement Therapy」(START)からのデータを使用した。STARTは、治療結果に対する肝機能の影響を評価するために、メサドンまたはSuboxone(商標)を用いた治療に関連する肝酵素の変化を評価する、無作為化非盲検外来患者ベースの試験である。Saxonら、Drug Alcohol Depend。2013 Feb 1;128(1-2):71-6。START試験では、治療反応に関する遺伝物質および他のデータも収集された。Cristの試験の結果は、イントロンSNP rs678849が、アフリカ系アメリカ人における両方の薬物治療の治療結果(禁断)を予測することを示唆している。
【0005】
他の試験は、最適なメサドン用量におけるABCB1、ANKK1、およびDRD2遺伝子における特定の変異体の役割を示唆しており(Crettol et al,Clin Pharmacol Ther.2006 Dec;80(6):668-81.;Hung et al,Pharmacogenomics.2011 Nov;12(11):1525-33.)、他は、ARRB2およびシトクロムP450遺伝子が、メサドンに対する応答の変動性と関連していることを示唆している(Levran et al,Addict Biol.2013 Jul;18(4):709-16.;Oneda et al,PharmacogenomicsJ.2011 Aug;11(4):258-66.)。
【0006】
今日までの試験のいずれもが、治療を始める前のドロップアウトのリスクが高い患者の信頼できる遺伝的予測因子を同定できなかった。したがって、オピオイドアゴニスト代替療法のドロップアウトのリスクが高いその患者を同定して、その結果、その患者が、ドロップアウトを防ぎ、治療の維持を向上させ、結果を改善させる早期の介入のために標的となり得る必要がある。理想的には、介入して脱落を防ぐのに間に合うようにそのリスクのある患者を同定することを困難にする、治療の最初の30日間でドロップアウト率ははるかに高いと文書化されているので、治療を始める前にドロップアウトのリスクが高いその患者を確実に同定できる方法が必要とされている。Hsuらを参照。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、オピオイドアゴニスト代替療法を使用してオピオイド中毒について患者を治療するための、コンピュータ実施方法またはコンピュータ支援方法を含む方法、ならびにコンピュータプログラム製品およびコンピュータシステムを含む構成物を提供する。本明細書に記載の方法および構成物は、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いまたは中程度である患者の早期の同定を可能にする。好ましくは治療を開始する前に、これらの患者を同定することは、彼らが、ドロップアウトを防ぎ、治療の維持を向上させ、治療結果を改善するための早期介入の対象となり得ることを意味する。
【0008】
実施形態では、本明細書に記載の本方法は、治療が未完了となるリスクが高い、中程度、および低い患者を同定するための遺伝学的スクリーニングを含めることによって、オピオイド代替療法を使用するオピオイド中毒の改善された治療計画を提供する。好ましくは、遺伝的スクリーニングは、治療を開始する前に行われる。
【0009】
実施形態では、本開示は、治療を必要とするヒト対象においてオピオイド中毒を治療する方法であって、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4から選択される1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝表現型を決定し、任意選択で、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6からなる群から選択される1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、各遺伝的表現型に関連するリスクの合計である、対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、以下の通りにオピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと対象を同定することであって、複合遺伝的リスクスコアが0.05以下のp値および1.5以上のオッズ比を有する場合、対象は高リスクであり、複合遺伝的リスクスコアが0.05以下のp値および1~1.5のオッズ比を有する場合、対象は中程度のリスクであり、上記の条件のいずれも満たさない場合、対象は低リスクである、同定することと、患者への、臨床ガイドラインに従って決定された開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンの投与、またはメサドンの投与、のように、未完了となるリスクが高いまたは中程度であると同定された対象にオピオイドアゴニストを投与することとを含む、方法を提供する。
【0010】
実施形態では、本開示は、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクがある対象を同定する方法であって、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4から選択される1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝表現型を決定し、任意選択で、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6からなる群から選択される1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、各遺伝的表現型に関連するリスクの合計である、対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、以下の通りにオピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと対象を同定することであって、複合遺伝的リスクスコアが0.05以下のp値および1.5以上のオッズ比を有する場合、対象は高リスクであり、複合遺伝的リスクスコアが0.05以下のp値および1~1.5のオッズ比を有する場合、対象は中程度のリスクであり、上記の条件のいずれも満たさない場合、対象は低リスクである、同定することと、を含む、方法を提供する。
【0011】
実施形態では、1つ以上のCYP遺伝子のそれぞれの遺伝的表現型は、遺伝子座における機能的対立遺伝子の数に基づく組み合わせ表現型である。
実施形態では、対象の遺伝的表現型は、
COMT、CYP3A4;
COMT、HTR2A;
COMT、SLC6A4;
HTR2A、CYP3A4;
SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、CYP3A4
からなる群から選択される2つの遺伝子のパネルについて決定される。
【0012】
実施形態では、対象の遺伝的表現型は、
COMT、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、HTR2A、CYP3A4
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される。
【0013】
実施形態では、対象の遺伝的表現型は、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される。
【0014】
実施形態では、対象の遺伝的表現型は、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される。
【0015】
実施形態では、対象の遺伝的表現型は、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6、CYP2C19、CYP1A2
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される。
【0016】
実施形態では、遺伝的表現型は、1つ以上の薬力学遺伝子における以下の遺伝的変異体:ADRA2A(rs1800544)、COMT(rs4680)、HTR2A(rs6311)、OPRM1(rs1799971)、SLC6A4(5-HTTLPR)のうちの1つ以上についてアッセイすることによって決定される。
【0017】
実施形態では、遺伝的表現型は、各遺伝的変異体の遺伝子型に基づいて割り当てられる。
【0018】
実施形態では、1つ以上の薬力学遺伝子は、COMTおよびSLC6A4を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例2においてベースラインアルゴリズム(Genesight Analgesic)により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料1における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図2】実施例2においてPKモデルにより低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料1における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図3】実施例2においてPDモデル1により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料1における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図4】実施例2においてPDモデル1のリスクスコアによって分類された、試料1におけるメサドンによる治療の完了者および未完了者の割合のヒストグラムを示す。
図5】実施例2においてPDモデル2により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料1における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図6】実施例2においてPDモデル3により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料1における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図7】実施例2においてPK/PDモデル1により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料1における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図8】実施例2においてPK/PDモデル1のリスクスコアによって分類された、試料1におけるメサドンによる治療の完了者および未完了者の割合のヒストグラムを示す。
図9】実施例2においてPK/PDモデル2により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料1における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図10】実施例2においてPK/PDモデル3により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料1における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図11】実施例2においてベースラインアルゴリズム(Genesight Analgesic)により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料2における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図12】実施例2においてPKモデルにより低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料2における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図13】実施例2においてPDモデル1により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料2における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図14】実施例2においてPDモデル1のリスクスコアによって分類された、試料2におけるメサドンによる治療の完了者および未完了者の割合のヒストグラムを示す。
図15】実施例2においてPK/PDモデル1により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された試料2における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図16】実施例2においてPK/PDモデル1のリスクスコアによって分類された、試料2におけるメサドンによる治療の完了者および未完了者の割合のヒストグラムを示す。
図17】実施例2においてベースラインアルゴリズム(Genesight Analgesic)により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された完全試料における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図18】実施例2においてPKモデルにより低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された完全試料における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図19】実施例2においてPDモデル1により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された完全試料における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図20】実施例2においてPDモデル1のリスクスコアによって分類された、完全試料におけるメサドンによる治療の完了者および未完了者の割合のヒストグラムを示す。
図21】実施例2においてPK/PDモデル1により低リスク(G)、中程度のリスク(Y)、または高リスク(R)と決定された完全試料における個々のヒストグラムを、実際の完了状況によって分類したものを示す。
図22】実施例2においてPK/PDモデル1のリスクスコアによって分類された、完全試料におけるメサドンによる治療の完了者および未完了者の割合のヒストグラムを示す。
図23】PDモデル1で使用する遺伝子型に表現型スコアを割り当てるためのフローチャートを示す。次いで、表現型スコアは複合リスクスコアに統合される(PDモデル1)。
図24】PDモデル2で使用する遺伝子型に表現型スコアを割り当てるためのフローチャートを示す。次いで、表現型スコアは複合リスクスコアに統合される(PDモデル2)。
図25】PDモデル3で使用する遺伝子型に表現型スコアを割り当てるためのフローチャートを示す。次いで、表現型スコアは複合リスクスコアに統合される(PDモデル3)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に記載の本方法は、好ましくは治療を開始する前に、オピオイド中毒の治療のためのオピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いまたは中程度の患者を同定することを目的とする。「完了者」および「未完了者」という用語は、それぞれオピオイドアゴニスト代替療法の全過程を完了した患者、または完了しなかった患者を指すのに使用される。典型的には、療法の全過程は、全用量のオピオイドアゴニストでの24週間の治療を含む。
【0021】
以下に記載するように、24週間の治療計画を完了する患者の能力に対する遺伝子マーカーの様々な組み合わせの影響は、遺伝子マーカーの組み合わせに基づいて一連の複合遺伝的リスクスコアを作成し、任意の複合遺伝的リスクスコアが、未完了と有意な関連があるかどうかを決定することによって評価された。各遺伝子の個々の遺伝的リスクスコアを合計して、複合スコアを作成する。各遺伝子について、リスクスコアは、患者の遺伝子型またはハプロタイプを使用して割り当てられる「遺伝的表現型」に基づいている。「遺伝的表現型」という用語は、測定され得る遺伝子のタンパク質産物の表現型、例えば酵素活性とは異なる、遺伝子型および/またはハプロタイプのみに基づいて推定または割り当てられた表現型を指すことを意味する。本方法は、タンパク質機能のアッセイを必要としないが、遺伝的データからの推論に基づいている。したがって、本方法はまた、患者の未完了となるリスクを同定するために使用される、患者についてのコンビナトリアル遺伝的表現型を提供し得る。コンビナトリアル遺伝的表現型は、患者の複合遺伝的リスクスコアに基づく定性的評価であり得る。
【0022】
本開示を通して、用語「患者」は、オピオイド中毒のための治療を必要とするヒト対象を指す。
【0023】
本明細書に記載の方法の実施形態では、オピオイド代替療法を必要とする患者は、患者のコンビナトリアル遺伝的表現型または複合遺伝的リスクスコアに基づいて、患者の未完了となるリスクに従って分類される。したがって、実施形態では、本方法は、患者からの生物学的試料をアッセイして、1つ以上の遺伝子または遺伝子座における1つ以上の遺伝子マーカーで患者の遺伝子型および/またはハプロタイプを決定することを含む。
【0024】
実施形態では、本明細書に記載の本方法は、例えば患者からの尿試料中の、存在アヘン剤などの1つ以上の非遺伝子マーカーの存在について患者からの生物学的試料をアッセイすることを任意に含む。
【0025】
実施形態では、本明細書に記載の本方法は、患者の未完了となるリスクを決定するために、1つ以上の非遺伝的データ属性をモデルに組み込むことを任意に含む。例えば、本方法は、祖先(例えば、後述のように定義された組の群のうちの1つの自己申告祖先)、以前のオピオイド代替療法の失敗、併用処方薬の使用、併用違法薬物の使用、年齢、および性別などのデータ属性を組み込み得る。この文脈では、違法薬物の使用は、違法薬物の乱用または処方薬の誤用を指し得る。
【0026】
実施形態では、本開示はまた、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となる患者のリスクを軽減する方法を提供する。実施形態では、リスクは、本明細書に記載の方法に従って治療を開始する前に未完了となるリスクが高いまたは中程度として患者を同定し、リスクのある患者に、完了の可能性を高めることを目的とした患者の治療計画への1つ以上の介入および/または調整を提供することによって軽減される。例えば、患者は、治療を完了するという患者の可能性を高めるために、例えばブプレノルフィンの代わりのメサドンなどの代替アゴニスト、またはオピオイドアンタゴニスト、逆アゴニストもしくは代替物質依存性薬物療法が処方され得る。患者の治療計画への他の調整は、そうでなければ標準的な臨床ガイドラインに従って示されるよりも高い初期用量のオピオイドアゴニストで患者を開始することを含み得る。そのような標準的なガイドラインは、医師に知られており、典型的には、例えば、医薬品添付文書に含まれ、かつ/またはPhysician’s Desk Referenceまたは薬局方などのテキストに印刷された投薬ガイドラインに基づいている。実施形態では、「より高い」用量は、臨床ガイドラインに基づいて推奨される開始用量よりも10%、20%、30%、40%、または50%高い。患者の治療計画へのさらなる調整には、再発防止を目的とした心理社会的療法、抗鬱剤療法、不安緩解療法、および/または代替の非オピオイド疼痛療法などの結合療法が含まれ得る。
【0027】
実施形態では、本明細書に記載の方法に従って決定される患者の複合遺伝的リスクスコアが、0.05以下のp値および1.5以上のオッズ比で統計的に有意である場合、患者は未完了となるリスクが高いと同定される。本明細書に記載の方法に従って決定される患者の複合遺伝的リスクスコアが、0.05以下のp値および1~1.5のオッズ比で統計的に有意である場合、患者は中程度のリスクである。上記の条件のいずれも満たさない場合、患者は低リスクである。
【0028】
また提供されるのは、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクを最小にする、患者のためのカスタマイズされた治療計画を設計するための方法である。本方法は、本明細書に記載の遺伝的スクリーニングを使用して、治療を開始する前に患者の未完了となるリスクを同定することを含む。本方法はまた、上記のように、そのリスクの評価、ならびに患者の治療計画への介入および/または調整の提案を提供することを含み得る。本方法はまた、リスクに従って患者を同定する報告、そのリスクの評価、ならびに患者の相対的なリスクに従った患者の治療計画への介入および/または調整のための提案を作成および出力することを含み得る。
【0029】
オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となる患者のリスクを最小限に抑える、患者のためのオピオイドアゴニスト薬物を選択する方法も提供される。本方法は、本明細書に記載の遺伝学的スクリーニングを使用して、治療を開始する前に患者の未完了となるリスクを同定することと、未完了となるリスクが高いまたは中程度と同定された患者に対してメサドンの選択を推奨することと、を含む。
【0030】
実施形態では、本明細書に記載の本方法は、本明細書に記載の少なくとも2つの遺伝子における1つ以上の遺伝的変異体、および下記のような1つ以上のさらなる患者特有の要因における患者の遺伝子型またはハプロタイプから決定される患者の遺伝的表現型に基づく患者のリスクを示す出力を提供する。本明細書に記載の方法によって提供されるリスクの出力は、「リスク評価」と呼ばれ得る。リスク評価は、1つ以上の遺伝的変異体の遺伝子型によって決定される患者の表現型に関する情報を組み込む。リスク評価はまた、以下に論じるように、患者に関する他の非遺伝的情報を組み込み得る。
【0031】
実施形態では、患者は、ヒト患者、より具体的には、成人患者、小児患者、または高齢患者であり、これらの用語は医療技術分野で理解されている。特定の実施形態では、患者はさらに、患者の祖先に従って定義される。実施形態では、患者は、アフリカ人、北アフリカ人、南アフリカ人、ヨーロッパ人、西ヨーロッパ人、北ヨーロッパ人、アジア人、日本人、漢民族、および韓国人から選択されるヒト集団の一員であると自己同定するか、または遺伝的に決定される。実施形態では、患者の祖先は、慣例的な方法による遺伝分析によって決定される。実施形態では、患者の祖先は自己申告される。
【0032】
遺伝的リスクのモデリング
本明細書に記載のリスクモデルは、少なくとも2つの遺伝子における1つ以上の遺伝的変異体における患者の遺伝子型および/またはハプロタイプによって決定される患者の遺伝的表現型に関する情報を組み込み、複合遺伝的リスクスコアおよび/または患者がオピオイドアゴニスト代替療法を完了できない可能性を示すリスク評価の形態の出力を提供する。
【0033】
実施形態では、リスク評価は、定性的、例えば、高、中程度、低である。実施形態では、リスク評価は、定量的であり、整数などの数値によって表される。リスク評価は、モデルにおいて患者の複合遺伝的リスクスコアを組み込む。実施形態では、複合遺伝的リスクスコアは、各遺伝子に割り当てられた遺伝的リスクスコアの合計である。実施形態では、各遺伝子についての遺伝的リスクスコアは、その遺伝子についての遺伝子型またはハプロタイプに由来する遺伝的表現型に基づく。
【0034】
本明細書に記載の方法に従って、患者は、患者の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと同定される。いくつかの実施形態では、複合遺伝的リスクスコアが、0.05以下のp値および1.5以上のオッズ比を有する場合、対象は未完了となるリスクが高いと同定される。いくつかの実施形態では、複合遺伝的リスクスコアが、0.05以下のp値および1~1.5のオッズ比を有する場合、対象は中程度のリスクであると同定される。いくつかの実施形態では、前述の条件のいずれも満たさない場合、対象は低リスクであると考えられる。実施形態では、高、中程度および低リスクの割り当ては、モデルによって達成される。実施形態では、モデルは、未完了のリスクが、高、中程度および/または低に対応するビンに患者を分類する。実施形態では、モデルは、90、95または99%を超える感度を有する。実施形態では、モデルは、90、95または99%を超える特異性を有する。実施形態では、試験集団におけるモデルの陽性適中率は、30、50または75%を超える。実施形態では、試験集団におけるモデルの陰性適中率は、80、85、90または93%を超える。
【0035】
リスクマーカーおよび対立遺伝子
実施形態では、本明細書に記載の本方法は、対象からの生物学的試料を1つ以上の遺伝子座でアッセイして、その座内の1つ以上の遺伝子変異体で患者の遺伝子型を決定することを含む。表1.1は、シトクロムP40ファミリーの5つの薬物動態(PK)遺伝子(「CYP遺伝子」)、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4のそれぞれについてアッセイされ得る遺伝的変異体の例示的、非網羅的リスト、および科学文献に基づいて遺伝的変異体が酵素活性とどのように関連しているかを提供する。各遺伝子について、代表的なスターアレルを、それらのハプロタイプ(cDNAとして示されない限り、ゲノムDNAに基づく)および関連する酵素活性(既知の場合)とともに示す。ハプロタイプは、1つ以上の一塩基多型(SNP)、挿入および/または欠失(InDel)、ならびにコピー数変異体(CNV)からなり得る。ヒトCYP遺伝子についての既知のスターアレルおよびそれらの関連タンパク質活性レベル(既知の場合)のリストは、米国国立バイオテクノロジー情報センターおよびスウェーデンのカロリンスカ試験所を含む様々なグループによって維持されている。本開示を通して、SNPは、それらの「rs」番号により言及され得る。特定のSNPの「rs」番号は、HapMapコンソーシアムによって提供される参照番号である。rs番号は、例えば、HapMapデータベースまたはUCSCゲノムバイオインフォマティクスウェブページを含む同様のデータベースおよび米国国立バイオテクノロジー情報センターによって維持されている同様のデータベースにおいてrs番号を問い合わせることによって、特定のSNPに関する既知の情報の多くを得るのに十分である。
【0036】
(表1.1)CYP遺伝子および関連する表現型の例示的な遺伝子マーカー
【0037】
本明細書に記載の方法では、対象の遺伝子型またはハプロタイプに「遺伝的表現型」を割り当て、遺伝的表現型を統計分析で使用して、例えば表現型と治療未完了との関連性を試験する。CYP遺伝子についてそれぞれ、代謝表現型は、対象が各遺伝子座、例えばCYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4に関連する遺伝子座のそれぞれに有する機能的対立遺伝子の数に基づいて割り当てられる。これらの遺伝子のそれぞれに関連する遺伝子座は、当技術分野において周知である。実例として、以下の表3は、これらの遺伝子のそれぞれについてのゲノム座標を提供する。
【0038】
以下の表1.2は、CYP遺伝子の機能的対立遺伝子の数が、特定の遺伝子についての患者の機能的対立遺伝子の総数に基づいて、不良(PM)、中間(IM)、広範囲(EM)、および超急速(UM)から選択される代謝表現型とどのように関連するかの例を提供する。これらの例示的な割り当ては、市販のキット(RocheによるAmpliChip(商標))に基づく。「機能的」という用語は、上記の表1.1中で「正常な」酵素活性を指し、「増加した」機能は、表中で「増加」と表し、「減少した」機能は、「減少」と表し、「欠如した」という用語は、活性ではない対立遺伝子を指し、表中で「なし」と表す。
【0039】
(表1.2)CYP遺伝子についての機能的対立遺伝子の数に基づく代謝表現型の例示的な割り当て
【0040】
実施形態では、本明細書に記載の本方法は、ADR2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4から選択される1つ以上の薬力学(PD)遺伝子における1つ以上の遺伝的変異体について対象由来の生体試料をアッセイすることを含む。表1.3は、これら5つの薬力学遺伝子のそれぞれについてアッセイされた遺伝的変異体を提供する。以下の表2は、これらの遺伝子のそれぞれについての参照配列を提供する。
【0041】
(表1.3)24週間の未完了者に関連する薬力学遺伝子における遺伝子マーカー
*L=長い、S=短い
【0042】
(表2)PD遺伝子についての参照配列
【0043】
(表3)PK遺伝子についての参照配列
【0044】
オピオイド中毒を治療する方法
本明細書に記載の本方法は、治療を完了する患者の可能性を最大にし、したがって患者の治療結果を改善する様式で、オピオイドアゴニスト代替療法を用いて患者を治療することを提供する。
【0045】
本方法は、少なくとも2つの遺伝子のパネルにおける1つ以上の遺伝子マーカーで患者の遺伝子型を決定することと、本方法に従って決定されるように各遺伝子についての個々のリスクスコアに基づく複合遺伝的リスクスコアを患者に割り当てることと、を含む。
【0046】
実施形態では、複合遺伝的リスクスコアは、1つ以上の追加の患者特有のデータ属性と任意に組み合わせられ得る。1つ以上の患者特有のデータ属性は、患者の祖先、中毒の期間、中毒のベースラインの重症度、ベースラインの体重、年齢、および性別から選択され得る。実施形態では、患者のリスク評価に関連する特定のリスク対立遺伝子(複数可)が主要なヒト集団群の間で同様の頻度で生じるので、本方法は、患者の祖先にかかわらず患者に適用可能である。
【0047】
本明細書に記載の本方法はまた、患者のリスク評価に応じて、患者に対して異なる治療または異なる治療計画を提供する。
【0048】
実施形態では、本方法は、1つ以上の追加の遺伝子マーカーについて患者を試験すること、リスク評価の結果に関して患者にアドバイスおよび/または助言すること、リスク評価の結果を医師、医療サービス提供者、またはその他の許可された第三者に伝達、助言および/または伝えること、治療が未完了となる患者のリスクを低くするためのリスク評価の結果に基づいて、患者の治療計画を変更すること、または上記の任意の組み合わせから選択される1つ以上の追加のステップをさらに含む。
【0049】
ジェノタイピングは、当技術分野において周知の技術、例えばPCR分析、DNA配列決定、5’エキソヌクレアーゼ蛍光アッセイ、プローブハイブリダイゼーションによる配列決定、ドットブロッティング、およびオリゴヌクレオチドアレイ(DNAチップ)ハイブリダイゼーション分析、またはこれらの組み合わせによって行われる。そのような技術は、例えば、Ausubelら(eds),1989,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishing Associates,Inc.,and John Wiley&Sons,Inc.,New York,atp.2.10.3,and in Maniatisら,in Molecular Cloning(A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Laboratory,1982,p.387 389)、およびこれらのまたは類似のテキストのより最近のバージョンに記載されている。SNPを検出するために使用され得るリアルタイムPCR法は、例えば、SNPの存在または非存在をモニターするのに有用である、Taqmanまたは分子ビーコンに基づくアッセイ(米国特許第5,210,015号;第5,487,972号;およびPCT国際公開第95/13399号)を含む。ジェノタイピング技術は、例えば、Applied Biosystems,Inc.(Foster City、CA)などの企業から市販されている。患者からの任意の適切な生物学的試料は、ジェノタイピングのためのDNAの供給源として使用され得る。
【0050】
実施形態では、本明細書に記載のモデルの結果に基づいて、対象をオピオイドアゴニストで治療する。実施形態では、高リスクと同定された対象を、以下のように、患者に、臨床ガイドラインに従って決定される開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンを投与するか、またはメサドンを投与して、治療する。実施形態では、中程度のリスクと同定された対象を、以下のように、患者に、臨床ガイドラインに従って決定される開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンを投与するか、またはメサドンを投与して、治療する。
【0051】
キット
本発明はまた、本発明の方法を実施するための製品およびキットも意図している。実施形態では、キットは、ポリメラーゼ連鎖反応において、本明細書に記載の1つ以上の遺伝子マーカーを含む一組のヌクレオチド配列を増幅するように適合された一組のプライマーを含む。実施形態では、キットは、ポリメラーゼ連鎖反応において、SLC6A4(5-HTTLPR)の-2063~-1714欠失およびCOMTrs4680(Val158Met)からなる群から選択される遺伝子マーカーを含む少なくとも1つのヌクレオチド配列をポリメラーゼ連鎖反応で増幅するように適合されたプライマーのセットを含む。
【0052】
実施形態では、キットは、SLC6A4(5-HTTLPR)の-2063~-1714欠失およびCOMTrs4680(Val158Met)からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子マーカーとハイブリダイズするように適合された1つ以上のポリヌクレオチドプローブを含む。
【0053】
この実施形態の文脈において、用語「ハイブリダイズする」は、当該技術で理解されている高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件のような高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下でプローブおよびその相補的ヌクレオチド配列の間で起こるような特異的なハイブリダイゼーションを指す。一実施形態では、プローブは、検出可能な標識、例えば放射性核種、蛍光分子、磁性ビーズ、または化学的実体、またはポリヌクレオチド配列に結合させることができる、もしくはその内部に組み込むことができるあらゆる他の適切な標識で標識されている。一実施形態では、プローブは、支持体、例えば(それらに限定されないが)バイオチップ、アレイ、スライドガラス、マルチウェルプレート、ビーズ等と共有結合しており、または物理的に会合している。一実施形態では、プローブは、固体支持体と結合または会合した核酸のアレイを含む。
【0054】
本明細書に記載のキットはまた、場合により、PCRもしくはプローブハイブリダイゼーション、もしくは当業者には周知であろうようなそのようなプロセスにおけるあらゆる工程を実施するための1つ以上の緩衝剤、1つ以上のDNA増幅酵素、もしくはそれらのあらゆる組み合わせを含むがそれらに限定されない、1つ以上の試薬および/または製品;エキソヌクレアーゼアッセイ、ヌクレオチド配列決定、またはそれらの任意の組み合わせで使用されるものを含むがこれらに限定されない、本明細書に記載の多型を遺伝子型決定するための1つ以上の試薬、構成要素および製品;本明細書で定義されるSNPのヌクレオチド配列の配列を決定するDNA配列決定反応を実施するための1つ以上の試薬、構成要素または製品;本明細書に記載の遺伝子変異体を定義する1つ以上のヌクレオチド配列を含む遺伝子チップもしくはアレイ、ならびに;本明細書に記載された構成要素を使用する、本明細書に記載された本発明の方法を実施する、本発明の方法の実施から得られたデータを解釈するための1つ以上の説明書のセット、または;それらの任意の組み合わせもしくは部分的組み合わせも含み得る。
【0055】
キットの個々の構成要素、例えば、限定されないが、キット中または本出願の他の箇所で記載されているあらゆる構成物もまた提供される。代表的な実施形態では、本発明は、1つ以上の核酸プライマーまたはプローブを提供する。
【0056】
核酸プライマーおよびプローブは、本発明の方法における使用のためのあらゆる適切な長さのものであり得る。限定することを望むわけでは一切ないが、一般に、プライマーおよびプローブは、約9~約100ヌクレオチド、例えば、限定されないが、約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、23、25、27、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、約100ヌクレオチド、またはその間のあらゆる量であることが好ましい。プライマーおよびプローブの長さはまた、上記で提供された値のあらゆる2つまたはあらゆる2つのその間の値の範囲により定められ得る。プローブに関して、一般に、プローブは、多型部位のそれぞれの側の少なくとも1ヌクレオチド、より好ましくは3ヌクレオチド以上を含むことが好ましい。プライマーまたは核酸プローブの1つ以上が、当該技術分野で周知であるように、例えば、限定されないが、放射性元素またはタグ、蛍光体等を用いて標識され得ることも意図されている。
【0057】
本明細書に記載の各遺伝子マーカーを同定するのに十分なヌクレオチド配列を含む、マイクロアレイ、遺伝子チップなども提供される。例えば、アレイまたはチップは、目的の多型部位を含む配列を含有し得る。アレイはまた、多型部位を含むヌクレオチド配列の完了者またはその断片を含み得る。好ましくは、ヌクレオチド配列は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下での強いハイブリダイゼーションを可能にするために、例えば、限定されないが、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25またはそれ以上の連続したヌクレオチドの長さのものである。好ましい実施形態では、アレイは、本明細書で記載された、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、SLC6A4、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6の1つ以上の多型部位を含む1つ以上のヌクレオチド配列を含むか、またはそれらからなる。
【0058】
本明細書で記載された主題の1つ以上の側面または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組み合わせにおいて実現され得る。これらの様々な側面または特徴は、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサーを含むプログラム可能なシステム上で実行可能および/または解釈可能である1つ以上のコンピュータプログラムにおける実施を含み得、それは、専用または汎用であり得、データおよび命令を記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスから受け取るために、そしてデータおよび命令をそれらに送信するために結合され得る。プログラム可能なシステムまたはコンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバーを含み得る。クライアントおよびサーバーは、一般に互いにリモートであり、典型的にはコミュニケーションネットワークを通して相互作用する。クライアントおよびサーバーの関係は、それぞれのコンピュータ上で動き、互いに対してクライアント-サーバー関係を有するコンピュータプログラムにより生じる。
【0059】
プログラム、モジュール、モデル作成装置、コンピュータ命令、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、構成要素、またはコードとも呼ばれ得るこれらのコンピュータプログラムは、プログラム可能なプロセッサーのための機械命令を含み、高レベル手続き型言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語で、および/またはアセンブリ/機械語で実施され得る。本明細書で使用される場合、用語「機械可読媒体」は、機械命令を機械可読信号として受け取る機械可読媒体を含む、プログラム可能なプロセッサーに機械命令および/またはデータを提供するために用いられる、あらゆるコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス、例えば磁気ディスク、光学ディスク、メモリー、およびプログラマブルロジックデバイス(PLD)を指す。用語「機械可読信号」は、機械命令および/またはデータをプログラム可能なプロセッサーに提供するために用いられるあらゆる信号を指す。機械可読媒体は、そのような機械命令を、例えば非一過性ソリッドステートメモリーまたは磁気ハードドライブまたはあらゆる均等な記憶媒体が記憶するであろうように非一時的に記憶することができる。機械可読媒体は、代わりに、または追加で、そのような機械命令を、例えばプロセッサーのキャッシュまたは1つ以上の物理プロセッサーコアと関係する他のランダムアクセスメモリーが記憶するであろうように、一過性の様式で記憶することができる。
【0060】
使用者との相互作用を提供するために、本明細書で記載される主題の1つ以上の側面または特徴は、情報を使用者に表示するための、例えばブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)モニターのようなディスプレイデバイス、ならびにそれにより使用者が入力をコンピュータに提供することができるキーボードおよび例えばマウスまたはトラックボールのようなポインティングデバイスを有するコンピュータ上で実施され得る。他の種類のデバイスも、使用者との相互作用を提供するために使用され得る。例えば、使用者に提供されるフィードバックは、例えば視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、または触覚的フィードバックのようなあらゆる形態の感覚フィードバックであり得;使用者からの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含むがそれらに限定されないあらゆる形態で受け取られ得る。他の可能な入力デバイスは、タッチスクリーンまたは他のタッチ感応デバイス、例えば単点もしくは多点抵抗性もしくは容量性トラックパッド、音声認識ハードウェアおよびソフトウェア、光学スキャナー、光学ポインター、デジタル画像キャプチャーデバイスおよび関連する解釈ソフトウェア等を含むが、それらに限定されない。
【0061】
医薬
本発明はまた、本方法、モデルおよびキットによって同定された患者に使用するための医薬も意図している。実施形態では、医薬は、ブプレノルフィン、メサドン、またはブプレノルフィン/メサドン(SUBOXONE)である。
【0062】
実施形態では、本開示は、患者からの試料をアッセイすることと、患者がオピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することと、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアが存在する場合、治療有効量のメサドンを患者に投与することと、を含む、患者におけるオピオイド中毒の治療における使用のためのメサドンを提供する。
【0063】
実施形態では、本開示は、患者からの試料をアッセイすることと、患者がオピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することと、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアが存在する場合、臨床ガイドラインに従って決定された開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンを患者に投与することと、を含む、患者におけるオピオイド中毒の治療における使用のためのブプレノルフィンを提供する。
【0064】
実施形態では、患者がオピオイドアゴニスト代替療法の未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することは、対象からのエクスビボ試料において、1つ以上の薬力学遺伝子についての遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、を含む、使用のための医薬が提供される。
【0065】
実施形態では、対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いと対象を同定することをさらに含む、使用のための医薬が提供される。
【0066】
実施形態では、薬力学遺伝子は、本明細書に開示されている遺伝子およびパネルを含むか、またはそれらから選択される。実施形態では、CYP遺伝子は、本明細書に開示されている遺伝子およびパネルを含むか、またはそれらから選択される。
【0067】
実施形態では、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することが、薬物曝露を予測するために、コンビナトリアル薬理遺伝学と生理学的アルゴリズムを組み合わせることを含む、使用のためのメサドンが提供される。
【0068】
1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することが、その遺伝子型についての完了率と参照集団における平均完了率との間の差に基づいて薬力学遺伝子に関連する各遺伝子型に数値スコアを割り当てることを含む、使用のためのメサドンが提供される。
【0069】
以下の追加の実施形態において、本発明をさらに説明する。
【0070】
追加の実施形態のリスト
1.オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクがある対象を同定する方法であって、
1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、
対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと対象を同定することと
を含む、方法。
2.治療を必要とするヒト対象においてオピオイド中毒を治療する方法であって、
1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、
対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと対象を同定することと、
患者への、
臨床ガイドラインに従って決定された開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンの投与、または
メサドンの投与
のように、未完了となるリスクが高いまたは中程度であると同定された対象にオピオイドアゴニストを投与することと
を含む、前記方法。
3.治療を必要とするヒト対象においてオピオイド中毒を治療する方法であって、
1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、
対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと対象を同定することと、
患者への、
臨床ガイドラインに従って決定された開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンの投与、または
メサドンの投与
のように、未完了となるリスクが高いと同定された対象にオピオイドアゴニストを投与することと
を含む、前記方法。
4.治療を必要とするヒト対象においてオピオイド中毒を治療する方法であって、
1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、
対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと対象を同定することと、
患者への、
臨床ガイドラインに従って決定された開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンの投与、または
メサドンの投与
のように、未完了となるリスクが中程度であると同定された対象にオピオイドアゴニストを投与することと
を含む、方法。
5.オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクがある対象を同定するインビトロでの方法であって、
対象からのエクスビボ試料において、1つ以上の薬力学遺伝子についての遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、
対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと、
対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと対象を同定することと
を含む、前記方法。
6.薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から構成される、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
7.薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から選択される、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
8.シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から構成される、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
9.シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から選択される、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
10.対象についての複合遺伝的リスクスコアが、各遺伝的表現型に関連するリスクの合計を含む、実施形態1~9のいずれか一つに記載の方法。
11.1つ以上のCYP遺伝子のそれぞれの遺伝的表現型が、遺伝子座における機能的対立遺伝子の数に基づく組み合わせ表現型である、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
12.対象の遺伝的表現型が、
COMT、CYP3A4;
COMT、HTR2A;
COMT、SLC6A4;
HTR2A、CYP3A4;
SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、CYP3A4
からなる群から選択される2つの遺伝子のパネルについて決定される、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
13.対象の遺伝的表現型が、
COMT、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、HTR2A、CYP3A4
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
14.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
15.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
16.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6、CYP2C19、CYP1A2からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
17.遺伝的表現型が、1つ以上の薬力学遺伝子における以下の遺伝的変異体:ADRA2A(rs1800544)、COMT(rs4680)、HTR2A(rs6311)、OPRM1(rs1799971)、SLC6A4(5-HTTLPR)のうちの1つ以上についてアッセイすることによって決定される、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
18.1つ以上の薬力学遺伝子が、COMTおよびSLC6A4を含む、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
19.遺伝的表現型が、各遺伝的変異体の遺伝子型に基づいて割り当てられる、実施形態1~18のいずれか一つに記載の方法。
20.1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することが、
薬物曝露を予測するために、コンビナトリアル薬理遺伝学と生理学的アルゴリズムを組み合わせること
を含む、実施形態1~19のいずれか一つに記載の方法。
21.1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することが、
その遺伝子型についての完了率と参照集団における平均完了率との間の差に基づいて薬力学遺伝子に関連する各遺伝子型に数値スコアを割り当てること
を含む、実施形態1~19のいずれか一つに記載の方法。
22.
複合遺伝的リスクスコアが0.05以下のp値および1.5以上のオッズ比を有する場合、対象は高リスクである;
複合遺伝的リスクスコアが0.05以下のp値および1~1.5のオッズ比を有する場合、対象は中程度のリスクである;ならびに
上記の条件のいずれも満たさない場合、対象は低リスクである
のように、対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、以下の通りにオピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高い、中程度、または低いと対象を同定することをさらに含む、実施形態1~21のいずれか一つに記載の方法。
23.
患者からの試料をアッセイすることと、
患者が、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することと、
オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアが存在する場合に、治療有効量のメサドンを患者に投与することと
を含む、患者におけるオピオイド中毒の治療における使用のためのメサドン。
24.患者が、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することが、
対象からのエクスビボ試料において、1つ以上の薬力学遺伝子についての遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、
対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと
を含む、実施形態23に記載の使用によるメサドン。
25.対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いと対象を同定することをさらに含む、実施形態24に記載の使用によるメサドン。
26.薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から構成される、実施形態24または25に記載の使用によるメサドン。
27.薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から選択される、実施形態24または25に記載の使用によるメサドン。
28.シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から構成される、実施形態24~27のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
29.シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から選択される、実施形態24~27のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
30.対象についての複合遺伝的リスクスコアが、各遺伝的表現型に関連するリスクの合計を含む、実施形態24~29のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
31.1つ以上のCYP遺伝子のそれぞれの遺伝的表現型が、遺伝子座における機能的対立遺伝子の数に基づく組み合わせ表現型である、実施形態24~30のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
32.対象の遺伝的表現型が、
COMT、CYP3A4;
COMT、HTR2A;
COMT、SLC6A4;
HTR2A、CYP3A4;
SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、CYP3A4
からなる群から選択される2つの遺伝子のパネルについて決定される、実施形態24~31のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
33.対象の遺伝的表現型が、
COMT、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、HTR2A、CYP3A4
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態24~31のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
34.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態24~31のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
35.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態24~31のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
36.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6、CYP2C19、CYP1A2
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態24~31のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
37.遺伝的表現型が、1つ以上の薬力学遺伝子における以下の遺伝的変異体:ADRA2A(rs1800544)、COMT(rs4680)、HTR2A(rs6311)、OPRM1(rs1799971)、SLC6A4(5-HTTLPR)のうちの1つ以上についてアッセイすることによって決定される、実施形態24~31のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
38.1つ以上の薬力学遺伝子が、COMTおよびSLC6A4を含む、実施形態24~31のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
39.遺伝的表現型が、各遺伝的変異体の遺伝子型に基づいて割り当てられる、実施形態24~38のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
40.1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することが、
薬物曝露を予測するために、コンビナトリアル薬理遺伝学と生理学的アルゴリズムを組み合わせること
を含む、実施形態24~39のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
41.1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することが、
その遺伝子型についての完了率と参照集団における平均完了率との間の差に基づいて薬力学遺伝子に関連する各遺伝子型に数値スコアを割り当てること
を含む、実施形態24~39のいずれか一つに記載の使用によるメサドン。
42.
患者からの試料をアッセイすることと、
患者が、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することと、
オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアが存在する場合に、臨床ガイドラインに従って決定される開始用量よりも高い初期用量のブプレノルフィンを患者に投与することと
を含む、患者におけるオピオイド中毒の治療における使用のためのブプレノルフィン。
43 患者が、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いことを示す複合遺伝的リスクスコアを有するかどうかを決定することが、
対象からのエクスビボ試料において、1つ以上の薬力学遺伝子についての遺伝的表現型を決定し、任意選択で、1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することと、
対象についての複合遺伝的リスクスコアを作成することと
を含む、実施形態42に記載の使用によるブプレノルフィン。
44 対象の複合遺伝的リスクスコアに基づいて、オピオイドアゴニスト代替療法が未完了となるリスクが高いと対象を同定することをさらに含む、実施形態42に記載の使用によるブプレノルフィン。
45.薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から構成される、実施形態42~44のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
46.薬力学遺伝子が、ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4のうちの1つ以上から選択される、実施形態42~44のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
47.シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から構成される、実施形態42~46のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
48.シトクロムP450遺伝子が、CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6のうちの1つ以上から選択される、実施形態42~46のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
49.対象についての複合遺伝的リスクスコアが、各遺伝的表現型に関連するリスクの合計を含む、実施形態42~48のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
50.1つ以上のCYP遺伝子のそれぞれの遺伝的表現型が、遺伝子座における機能的対立遺伝子の数に基づく組み合わせ表現型である、実施形態42~49のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
51.対象の遺伝的表現型が、
COMT、CYP3A4;
COMT、HTR2A;
COMT、SLC6A4;
HTR2A、CYP3A4;
SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、CYP3A4
からなる群から選択される2つの遺伝子のパネルについて決定される、実施形態42~50のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
52.対象の遺伝的表現型が、
COMT、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A;および
SLC6A4、HTR2A、CYP3A4
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態42~50のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
53.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態42~50のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
54.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C19;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP1A2;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2C9;および
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2C19、CYP2D6
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態42~50のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
55.対象の遺伝的表現型が、
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6;
COMT、SLC6A4、HTR2A、CYP3A4、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6、CYP2C19、CYP1A2
からなる群から選択される遺伝子のパネルについて決定される、実施形態42~50のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
56.遺伝的表現型が、1つ以上の薬力学遺伝子における以下の遺伝的変異体:ADRA2A(rs1800544)、COMT(rs4680)、HTR2A(rs6501)、OPRM1(rs1799971)、SLC6A4(5-HTTLPR)のうちの1つ以上についてアッセイすることによって決定される、実施形態42~50のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
57.1つ以上の薬力学遺伝子が、COMTおよびSLC6A4を含む、実施形態42~50のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
58.遺伝的表現型が、各遺伝的変異体の遺伝子型に基づいて割り当てられる、実施形態42~57のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
59.1つ以上のシトクロムP450(CYP)遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することが、
薬物曝露を予測するために、コンビナトリアル薬理遺伝学と生理学的アルゴリズムを組み合わせること
を含む、実施形態42~58のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
60.1つ以上の薬力学遺伝子についての対象の遺伝的表現型を決定することが、
その遺伝子型についての完了率と参照集団における平均完了率との間の差に基づいて薬力学遺伝子に関連する各遺伝子型に数値スコアを割り当てること
を含む、実施形態42~58のいずれか一つに記載の使用によるブプレノルフィン。
【実施例0071】
以下の実施例において、本発明をさらに説明する。
【0072】
実施例1
本試験の目的は、オピオイドアゴニスト代替療法の標準治療が未完了となる患者の可能性を単独でまたは組み合わせて予測できる遺伝子マーカーを同定することである。この治療の文脈において、患者が「完了者」であるか「未完了者」であるかを予測する遺伝子マーカー、またはマーカーの組み合わせの同定は、例えば、未完了となるリスクを最小限に抑え、治療の継続期間を延ばし、それによって治療結果を改善するための代替治療および/または早期介入のために、リスクがある患者を標的とする手段として有用であろう。
【0073】
本試験は、ブプレノルフィン/ナロキソン(「SUBOXONE(商標)」)の組み合わせによる治療に関連した肝臓酵素の変化と比較した、メサドンによる治療に関連した肝臓酵素の変化を評価する、「Starting Treatment with Agonist Replacement Therapy」 (START)試験(24週間、無作為化、非盲検、外来患者ベース(9部位))の試験で得られたデータセットを使用して行われた(n=764)。START試験では、治療反応に関する遺伝物質およびその他のデータも収集された(上記の背景のセクションも参照)。
【0074】
本試験では、6つの薬物動態遺伝子(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4)ならびに5つの薬力学遺伝子(ADRA2A、COMT、HTR2A、OPRM1、およびSLC6A4)は、薬物動態(PK)および薬力学(PD)遺伝子のこの組み合わせが、オピオイド薬物療法への応答の遺伝的要素への実質的な寄与を表すことを示す本発明者らの未発表データに基づく分析のために選択された。
【0075】
単一遺伝子モデリング
これら11個の遺伝子は、メサドン治療計画(MET)またはブプレノルフィン(上記のようにブプレノルフィン/ナロキソンの形で与えられる)治療計画(BUP)のいずれかの完了に対する影響について個々の基礎で最初に統計的に評価された。各治療計画の完了は、24週間の治療過程に基づく。24週間の治療をすべて完了した場合、患者は「完了者」と見なされた。24週間の間に患者が治療をやめた場合、患者は「未完了者」と見なされた。したがって、評価された結果は、完了と未完了の二元的であった。この分析では、ドロップアウト率は考慮されていない。
【0076】
分析はまた、以下のように薬物用量も説明する。以下の表4.1に示すように、薬物用量を5つのカテゴリーに分けた。平均用量に従って、5つのカテゴリーのそれぞれにビニングされた対象を用いた分析において、用量を共変量として使用した。
【0077】
(表4.1)薬物用量ビン
【0078】
この分析のために、患者の遺伝子型を表1および表1.3に列挙した遺伝子マーカーで評価した。遺伝子型および/またはハプロタイプは表現型に変換された。
【0079】
ロジスティック回帰を使用して、11個の遺伝子のそれぞれについて表現型および用量の関数として(表4.1に示される用量カテゴリーを使用して)未完了をモデル化した。分析は、各治療群を別々に使用し、また両方の治療群の組み合わせも使用して行われた。
【0080】
いずれの遺伝子も、治療群を個別に分析したときに患者が薬物治療の治療計画を完了したかどうかに有意な影響を及ぼさなかった。しかし、SLC6A4、COMT、HTR2A、およびCYP3A4の4つの遺伝子は、両方の治療群を組み合わせた場合に、有意または有意にかなり近い影響(指向性)を示した。具体的には、SLC6A4は有意な効果を示し(p値<0.05)、COMT、HTR2A、およびCYP3A4表現型は指向性効果を示した(p値<0.10)。結果を以下の表4.2および表4.3に示す。
【0081】
(表4.2)単一遺伝子の未完了との関連性(各遺伝についての全体的な試験のp値を示す)
【0082】
(表4.3)未完了者と関連する単一の遺伝子表現型。「OR」はオッズ比を表す。
【0083】
以下の表は、単一遺伝子モデリングについての詳細を示している。各遺伝子の表現型または遺伝子型の影響を、メサドンのみ、Suboxone(商標)のみ、および組み合わせた両方の医薬で分析した。用量ビンカテゴリーを、平均用量によって五分位数にビニングされた対象を用いた全ての未完了者分析において共変量として使用した。ロジスティック回帰を使用して、各薬物動態遺伝子についての表現型の関数として未完了をモデル化した。
【0084】
表5は、11の遺伝子のそれぞれについてのp値および有意な状態、ならびにメサドンについての共変量用量ビンカテゴリーを列挙する。用量ビンカテゴリーは、11の遺伝子全てについて有意であった。表6に、メサドンについてのオッズ比を列挙する。COMTでは、高い表現型の患者は、減少した表現型の患者と比較して、24週間の治療を完了しない可能性が3.16倍高かった。SLC6A4では、減少した表現型の患者は、中間の表現型の患者と比較して、24週間の治療を完了しない可能性が2.41倍高かった。
【0085】
(表5)メサドンについての未完了者表現型の割合に関する全体的な試験。「符号」欄において、1は、有意を示し(p値≦0.05)、0は、有意でないことを示す(p値>0.05)。
【0086】
(表6)メサドンについての未完了者表現型の割合;より高いオッズ比は、患者がドロップアウトする可能性がより高いことを示す。「符号」欄において、1は、有意を示し(p値≦0.05)、0は、有意でないことを示す(p値>0.05)。
【0087】
表7は、表現型および薬物用量ビンカテゴリーのp値および有意性の状態を列挙し、表8は、Suboxoneについての表現型のオッズ比および有意性レベルを列挙する。用量ビンカテゴリーは、どの遺伝子についても有意ではなかった。いずれの遺伝子についても表現型間に有意差は観察されなかった。
【0088】
(表7)SUBOXONEについての未完了者表現型の割合に関する全体的な試験。「符号」欄において、1は、有意を示し(p値≦0.05)、0は、有意でないことを示す(p値>0.05)。
【0089】
(表8)SUBOXONEについての未完了者表現型の割合;より高いORは、患者がドロップアウトする可能性がより高いことを示す。「符号」欄において、1は、有意を示し(p値≦0.05)、0は、有意でないことを示す(p値>0.05)。
【0090】
表9は、表現型および薬物用量ビンカテゴリーのp値および有意性の状態を列挙し、表10は、メサドンおよびSuboxoneの両方についての表現型のオッズ比および有意性レベルを列挙する。用量ビンカテゴリーは、どの遺伝子についても有意ではなかった。SLC6A4については表現型間に有意な非完了(%)の差が見られたが、他の遺伝子については見られなかった。COMTでは、高い表現型の患者は、減少した表現型の患者と比較して、24週間の治療を完了しない可能性が1.82倍高かった。HTR2Aでは、正常な表現型の患者は、治療を完了しない可能性が1.75倍高かった。SLC6A4では、減少した表現型の患者は、中間の表現型の患者と比較して、24週間の治療を完了しない可能性が1.91倍高かった。
【0091】
(表9)両方についての未完了者表現型の割合に関する全体的な試験。「符号」欄において、1は、有意を示し(p値≦0.05)、0は、有意でないことを示す(p値>0.05)。
【0092】
(表10)両方について未完了者表現型の割合;より高いオッズ比(OR)は、患者がドロップアウトする可能性がより高いことを示す。「符号」欄において、1は、有意を示し(p値≦0.05)、0は、有意でないことを示す(p値>0.05)。
【0093】
コンビナトリアル遺伝子モデリング
次に、完了率と有意な関連がある複合遺伝的リスクスコアがあるかどうかを評価するための組み合わせアプローチを行った。リスクスコアは、「生物学に基づく」モデルおよび「データに基づく」モデルの2つの異なるモデルを使用して割り当てられた。生物学に基づくリスクスコアは、例えば、科学文献においてその遺伝子型またはハプロタイプに関連すると報告されている酵素活性に基づいて(例えば上記表1に示す通り)、その薬物動態学(吸収、分布、代謝、および排泄の仕方)とその薬力学(身体への影響)の両方を含む、薬物の現在の生物学的理解と組み合わせて、所与の遺伝子型またはハプロタイプについて最も生物学的に適切な仮説を使用して割り当てられた。
【0094】
対照的に、データに基づくリスクスコアは、各遺伝子についての遺伝子型またはハプロタイプの表現型が上記の単一遺伝子分析における未完了とどのように関連しているかに基づいて割り当てられた。例えば、患者は、患者の表現型が減少の場合は0、中間の場合は0.5、高い場合は1とスコア付けされ得る。表11および表12に、これらのモデルのそれぞれにおいてリスクスコアがどのように割り当てられたかを示す。
【0095】
(表11)データに基づくモデルについてのスコアリングスキーム
【0096】
(表12)生物学に基づくモデルについてのスコアリングスキーム
【0097】
次に、各関心遺伝子の個々のリスクスコアの合計である複合リスクスコアを使用して、24週間の薬物治療計画を完了する患者の能力に対する遺伝子マーカーのさまざまな組み合わせの影響を評価した。完了/未完了は、総遺伝的リスクスコアおよび用量ビンカテゴリーを含むロジスティック回帰を使用してモデル化された。このモデルは、薬物用量レベルを調整しながら、総遺伝的リスクスコアの未完了率に対する影響を評価する。総遺伝的リスクスコアに関して未完了の可能性は、オッズ比によって表される。p値が≦0.05であれば、未完了は総遺伝的リスクスコアと関連していることが統計的に有意であると考えられる。
【0098】
このアプローチを使用して、我々は、完了者または未完了者と有意な関連を有するさらなる遺伝子および遺伝子の組み合わせを同定した。具体的には、我々は、以下の遺伝子マーカーの組み合わせが、METおよびBUPでの24週間の治療完了に対して統計的に有意な効果を有することを見出した:COMT-CYP3A4、COMT-HTR2A、COMT-SLC6A4、COMT-HTR2A-CYP3A4、COMT-SLC6A4-CYP3A4、COMT-SLC6A4-HTR2A、SLC6A4-HTR2A-CYP3A4、COMT-SLC6A4-HTR2A-CYP3A4(4G)、4G-CYP2B6、4G-CYP2C19、4G-CYP1A2、4G-CYP2C9、4G-CYP2D6、4G-CYP2B6-CYP2C19、4G-CYP2B6-CYP1A2、4G-CYP2B6-2C9、4G-CYP2B6-CYP2D6、4G-CYP2C19-CYP1A2、4G-CYP2C19-CYP2C9、4G-CYP2C19-CYP2D6、4G-CYP2B6-CYP2C9-CYP2D6、4G-CYP2B6-CYP2C9-CYP2C19-CYP2D6。リスクスコアが高いほど、患者が治療プログラムを完了しない可能性が高くなる。一般に、患者が治療プログラムを完了しない可能性は、遺伝子の数(2~9)とともにより顕著になった。
【0099】
メサドン(MET)群では、生物学ベースのモデルを使用して、25個の複合エンドポイントのうち7個が用量ビンを調整した場合に有意であった。ブプレノルフィン(BUP)群では、用量ビンを調整した場合に、25個の複合エンドポイントはどれも有意ではなかった。2つの群を組み合わせた場合、25個の複合エンドポイントのうち11個が有意であった。
【0100】
データに基づくモデルを使用すると、用量ビンを調整した場合に、MET群について25個の複合エンドポイントのうちの23個が有意であった。BUP群では、用量ビンを調整した場合に、25個の複合エンドポイントのうちの21個が有意であった。2つの群を組み合わせた場合、25個の複合エンドポイントのうち25個が有意であった。
【0101】
(表13)結果に有意な影響を有する遺伝的変異体の組み合わせを示す生物学に基づくモデルおよびデータに基づくモデルについての結果。記号「●」は、有意水準0.05での統計学的有意差を示す。
【0102】
(表14)未完了者のオッズ比モデリング:オッズ比が高いほど、ドロップアウトする可能性が高い
【0103】
現在の試験は、シナプスドーパミンまたはセロトニンレベルに関連する機能的多型が、メサドン治療中の未完了を予測し得ることを示唆している。具体的には、SLC6A4の5-HTTLPRのS/S遺伝子型またはCOMTのVal/Val遺伝子型Val158Met(rs4680)を有する患者は、彼らの中毒のための治療を完了する可能性を高めるために、薬学的または精神医学的のいずれかで追加の治療を必要とし得る。用量レベルは、メサドン治療における完了の可能性において重要な役割を果たした。総遺伝的リスクスコア法は、メサドンおよびSuboxone(商標)治療の未完了に対する遺伝子の潜在的な組み合わせ効果を評価するための優れた方法であることが証明された。一般に、リスクスコアが高いほど、患者が治療を完了しない可能性が高い。
【0104】
実施例2
本試験の目的は、メサドン治療で未完了者と完了者を区別するために、本開示の遺伝子およびパネルを含むモデルを使用することの一般的な適用性を実証するために、薬力学(「PD」)、薬物動態(「PK」)、および混合PK/PDモデルの探索的モデリングを実施することであった。
【0105】
モデルの評価
モデル分析のために、患者を3つのカテゴリー、緑(「G」)、黄(「Y」)または赤(「R」)のうちの1つに分類するモデルを開発した。モデルによって未完了となるリスクが高いと決定された患者は、赤のビンに入れられる。未完了リスクが中程度である患者は、黄色のビンに入れられ、この試験では、黄色のビンの患者は、未完了リスクが低いと判明した患者、または緑のビンに入れられた患者と同じように治療される。したがって、緑および黄色のビンは、分析のために結合される。
【0106】
モデルの説明
GeneSight鎮痛試験(Assurex Health,Inc.から入手可能な市販の試験)を、メサドン維持療法に入る高リスク患者を決定するためのベースラインとして使用した。さらに、以下のPK、PDおよびPK/PDモデルを評価した。
【0107】
PKモデルは、本明細書の他の箇所に記載されるように、薬物曝露を予測するためのコンビナトリアル薬理遺伝学と生理学的アルゴリズムとを組み合わせた生理学的薬物動態アルゴリズムを表す。G、YまたはRへのモデル割り当ては、表15に示すように、メサドンについて文献によって提供された治療範囲に基づいている。
【0108】
(表15)予測曝露に基づくPKモデルの割り当て
【0109】
表1.3の遺伝子型に基づいて、3つの別々のPDモデルを評価した:
PDモデル1:各遺伝子型について完了率を計算した。各遺伝子および遺伝子型の完了率について、平均および標準偏差を計算した。より高い完了の方へ平均から1標準偏差以上離れた各遺伝子型について、1のスコアが与えられた。より低い完了の方へ平均から1標準偏差以上離れた各遺伝子型について、-1のスコアが与えられた。他の全ては、0のスコアを受けた。図23を参照。患者のPDリスクは、全部の遺伝子型リスクスコアを合計することによって計算された。個々のリスクスコアを組み合わせて、合計リスク変数を作成した;-1の最終スコアは緑に変換され、0のスコアは黄に変換され、1のスコアは赤に変換された。図23は、PDモデル1のフローチャートを示す。試験した対立遺伝子の一覧、およびPDモデル1のスコアの割り当ては表16に見られる。
【0110】
(表16)PDモデル1についての遺伝子型スコアの割り当て
【0111】
PDモデル2:各遺伝子型について完了率を計算した。各遺伝子および遺伝子型の完了率について、平均および標準偏差を計算した。より高い完了の方へ平均から1標準偏差離れた各遺伝子型について、1のスコアが与えられた。より低い完了の方へ平均から1標準偏差離れた各遺伝子型について、-1のスコアが与えられた。1標準偏差離れていない遺伝子型については、平均からの生のパーセント差がスコアとして観察された。次いで、各スコアを、0.2から1のスケールを使用して各遺伝子にわたって正規化した。図24を参照。表17に従って、0、0.2、0.5、および1のプラス/マイナススケールでパーセンテージを変換することによって、全ての遺伝子にわたって各値を正規化した。1SD以上離れている値は、自動的に1または-1としてスコアされた。遺伝子型のスコアへの変換は、表18に示す通りである。患者のPDリスクは、全部の遺伝子型リスクスコアを合計することによって計算された。ビンは、緑および黄色のビンにおける完了者、ならびに赤のビンにおける未完了者を最大にするスコアの範囲にわたって割り当てられた。
【0112】
(表17)PDスコア変換モデル2
【0113】
(表18)PDモデル2についての遺伝子型スコアの変換
【0114】
PDモデル3:各遺伝子型について完了率を計算した。各遺伝子型について、完了の平均と比較した完了の未処理のパーセント差を遺伝子型のPDスコアとして割り当てた。図25を参照。表19に示すように、遺伝子型にスコアを割り当てた。患者のPDリスクは、全部の遺伝子型リスクスコアを合計することによって計算された。ビンは、緑および黄色のビンにおける完了者、ならびに赤のビンにおける未完了者を最大にするスコアの範囲にわたって割り当てられた。
【0115】
(表19)PDモデル3についての遺伝子型スコアの割り当て
【0116】
以下のように、PKモデルを3つのPDモデルのそれぞれと別々に組み合わせることによって、3つの別々のPK/PDモデルを作成した。各PKPDモデルについて、対応するPDリスクスコアを、生のPKスコア(ビン)に加えた。負の総PDリスクスコアはベースラインPKスコアの減少を表し、一方、正の総PDリスクスコアはベースラインPKスコアの増加を表す。
【0117】
方法
上記の実施例1に記載されたSTART試験においてメサドンで治療された患者からの試料を使用した(N=352)。試料を無作為に2つの試料、試料1(N=176;156の完了者および20の未完了者)および試料2(N=176;159の完了者および17の未完了者)に分けた。各モデルは、試料1、試料2および/またはフル試料に対して下記のように試験された。
【0118】
ピアソンの積率、Yates補正を含むカイ2乗が計算された。診断テスト、オッズ比、ピアソンの積率、Yates補正を含むカイ2乗は、MEDCALCおよびRバージョン3.3.1を使用して計算された。
【0119】
結果
ベースラインコンパレータ(GeneSight鎮痛試験)の結果を、図1図11、および図17ならびに表20~25に示す。図1および表20~21は、試料1のベースラインコンパレータについての結果を示す。図11および表22~23は、試料2のベースラインコンパレータについての結果を示す。図17および表24~25は、フル試料のベースラインコンパレータについての結果を示す。
【0120】
(表20)ベースラインモデルについてのビニングの結果、試料1
フィッシャーの正確確率検定P=0.6177
【0121】
(表21)ベースラインモデルの評価、試料1
【0122】
(表22)ベースラインモデルについてのビニングの結果、試料2
フィッシャーの正確確率検定P=0.4747
【0123】
(表23)ベースラインモデルの評価、試料2
【0124】
(表24)ベースラインモデルについてのビニングの結果、フル試料
フィッシャーの正確確率検定P=0.1393
【0125】
(表25)ベースラインモデルの評価、フル試料
【0126】
PKモデルについての結果を、図2図12、および図18、ならびに表26~31に示す。図2および表26~27は、試料1のPKモデルについての結果を示す。図12および表28~29は、試料2のPKモデルについての結果を示す。図18および表30~31は、フル試料のPKモデルについての結果を示す。
【0127】
(表26)PKモデルについてのビニングの結果、試料1
カイ二乗検定X=18.949、P=7.68×10-5
【0128】
(表27)PKモデルの評価、試料1
【0129】
(表28)PKモデルについてのビニングの結果、試料2
【0130】
(表29)PKモデルの評価、試料2
【0131】
(表30)PKモデルについてのビニングの結果、フル試料
カイ二乗検定X=45.282、P=1.47×10-10
【0132】
(表31)PKモデルの評価、フル試料
【0133】
PDモデル1の結果を、図3図4図13図14図19、および図20ならびに表32~46に示す。図3および図4ならびに表32~46は、試料1のPDモデル1についての結果を示す。図13および図14ならびに表37~41は、試料2のPDモデル1についての結果を示す。図19および図20ならびに表42~46は、フル試料のPDモデル1についての結果を示す。
【0134】
(表32)PD1遺伝子の単変量および多変量解析、試料1
【0135】
(表33)PDモデル1についてのCOMTおよびSLC6A4の結果、試料1
【0136】
(表34)PDモデル1についての未完了のオッズ比、試料1
【0137】
(表35)PDモデル1についてのビニングの結果、試料1
【0138】
(表36)PDモデル1の評価、試料1
【0139】
(表37)PD1遺伝子の単変量および多変量解析、試料2
【0140】
(表38)PDモデル1についてのCOMTおよびSLC6A4の結果、試料2
【0141】
(表39)PDモデル1についての未完了のオッズ比、試料2
【0142】
(表40)PDモデル1についてのビニングの結果、試料2
【0143】
(表41)PDモデル1の評価、試料2
【0144】
(表42)PD1遺伝子の単変量および多変量解析、フル試料
【0145】
(表43)PDモデル1についてのCOMTおよびSLC6A4の結果、フル試料
【0146】
(表44)PDモデル1についての未完了のオッズ比、フル試料
【0147】
(表45)PDモデル1についてのビニングの結果、フル試料
カイ二乗検定X=9.7761、P=0.007536
【0148】
(表46)PDモデル1の評価、フル試料
【0149】
PDモデル2の結果を、図5および表47~53に示す。図5および表47~49は、試料1のPDモデル2についての結果を示す。表50~51は、試料2のPDモデル2についての結果を示す。表52~53は、フル試料のPDモデル2についての結果を示す。
【0150】
(表47)PD2遺伝子の単変量および多変量解析、試料1
【0151】
(表48)PDモデル2についてのビニングの結果、試料1
【0152】
(表49)PDモデル2の評価、試料1
【0153】
(表50)PD2遺伝子の単変量および多変量解析、試料2
【0154】
(表51)PDモデル2についてのビニングの結果、試料2
【0155】
(表52)PD2遺伝子の単変量および多変量解析、フル試料
【0156】
(表53)PDモデル2についてのビニングの結果、フル試料
カイ二乗検定X=7.3748、P=0.02504
【0157】
PDモデル3の結果を、図6および表54~60に示す。図6および表54~56は、試料1のPDモデル3についての結果を示す。表57~58は、試料2のPDモデル3についての結果を示す。表59~60は、フル試料のPDモデル3についての結果を示す。
【0158】
(表54)PD3遺伝子の単変量および多変量解析、試料1
【0159】
(表55)PDモデル3についてのビニングの結果、試料1
【0160】
(表56)PDモデル3の評価、試料1
【0161】
(表57)PD3遺伝子の単変量および多変量解析、試料2
【0162】
(表58)PDモデル3についてのビニングの結果、試料2
【0163】
(表59)PD3遺伝子の単変量および多変量解析、フル試料
【0164】
(表60)PDモデル3についてのビニングの結果、フル試料
カイ二乗検定X=10.301、P=0.005797
【0165】
PK/PDモデル1では、最終スコアは、PD1スコアとPKスコアの合計であり、PK緑=1、PK黄=2、およびPK赤=3であった。ビンを表61に従って割り当てた。
【0166】
(表61)スコア変換PK/PDモデル1
【0167】
PK/PDモデル1についての結果を、図7図8図15図16図21および図22ならびに表62~67に示す。図7~8および表62~63は、試料1のPK/PDモデル1についての結果を示す。図15~16および表64~65は、試料2のPK/PDモデル1についての結果を示す。図21~22および表66~67は、フル試料のPK/PDモデル1についての結果を示す。
【0168】
(表62)PK/PDモデル1についてのビニングの結果、試料1
【0169】
(表63)PK/PDモデル1の評価、試料1
【0170】
(表64)PK/PDモデル1についてのビニングの結果、試料2
【0171】
(表65)PK/PDモデル1の評価、試料2
【0172】
(表66)PK/PDモデル1についてのビニングの結果、フル試料
フィッシャーの正確確率検定P=7.94x10-8
【0173】
(表67)PK/PDモデル1の評価、フル試料
【0174】
PK/PDモデル2についての結果を、図9および表68~73に示す。図9および表68~69は、試料1のPK/PDモデル2についての結果を示す。表70は、試料2のPK/PDモデル2についての結果を示す。表71は、フル試料のPK/PDモデル2についての結果を示す。
【0175】
(表68)PK/PDモデル2についてのビニングの結果、試料1
【0176】
(表69)PK/PDモデル2の評価、試料1
【0177】
(表70)PK/PDモデル2についてのビニングの結果、試料2
【0178】
(表71)PK/PDモデル2についてのビニングの結果、フル試料
カイ二乗検定X=23.249、P=8.942×10-6
【0179】
PK/PDモデル3についての結果を、図10および表72~75に示す。図10および表72~73は、試料1のPK/PDモデル3についての結果を示す。表74は、試料2のPK/PDモデル3についての結果を示す。表75は、フル試料のPK/PDモデル3についての結果を示す。
【0180】
(表72)PK/PDモデル3についてのビニングの結果、試料1
【0181】
(表73)PK/PDモデル3の評価、試料1
【0182】
(表74)PK/PDモデル3についてのビニングの結果、試料2
【0183】
(表75)PK/PDモデル3についてのビニングの結果、フル試料
カイ二乗検定X=36.34、P=1.285x10-8
【0184】
考察
この試験の結果の概要を表76に提供する。PDモデル2および3のビニングカットオフは試料に依存するので、試料2および試料3に対して決定されたカットオフは両方とも、対応するPK/PDモデルとともに表に示されている(例えば、PD2_1およびPD2_2は、PDモデル2の2つの変形である)。
【0185】
(表76)モデル概要
【0186】
試験した集団における未完了者の頻度を考慮して、PPVおよびNPV(陽性および陰性の予測値)も計算する。しかしながら、当業者には、異なる頻度の未完了者を有する異なる試験集団において、これらのPPVおよびNPV値が変化することが認識されるであろう。したがって、当業者は、意図する試験集団に基づいて本明細書に開示されている遺伝子およびパネルを組み込んだモデルを選択し得る。さらに、当業者は、試験の意図された使用も考慮するであろう。使用が集団における完了者を同定することに対してより焦点を当てている場合、当業者はより高い感度を有するモデルを選択し得る。他方、使用が未完了者を排除することに対してより焦点を当てている場合、当業者はより高い特異性を有するモデルを選択し得る。上記の両方の目的が重要な場合は、PKPD1のようなよりバランスの取れた試験が適切であり得る。本発明は、1つ以上の実施形態に関して説明した。しかしながら、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱せずに、多くの変形および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
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