IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

特開2022-95794積層板構造における湾曲を低下させる非対称製造方法
<>
  • 特開-積層板構造における湾曲を低下させる非対称製造方法 図1
  • 特開-積層板構造における湾曲を低下させる非対称製造方法 図2
  • 特開-積層板構造における湾曲を低下させる非対称製造方法 図3A
  • 特開-積層板構造における湾曲を低下させる非対称製造方法 図3B
  • 特開-積層板構造における湾曲を低下させる非対称製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095794
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】積層板構造における湾曲を低下させる非対称製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20220621BHJP
   B32B 37/06 20060101ALI20220621BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
C03C27/12 R
B32B37/06
B32B17/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061696
(22)【出願日】2022-04-01
(62)【分割の表示】P 2018533926の分割
【原出願日】2016-12-21
(31)【優先権主張番号】62/272,266
(32)【優先日】2015-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ グレゴリー コイラード
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アーロン マクドナルド
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジョージ リカール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷却後の構造における湾曲を低下させるまたはなくすことのできる、積層板構造を製造する方法を提供する。また、面外撓みまたは湾曲がほとんどないまたは全くない非対称積層板構造を提供する。
【解決手段】積層中に積層板構造を選択加熱する工程、または積層後に積層板構造を選択冷却する工程を有してなる、非対称積層板構造を製造する方法および非対称積層板構造における湾曲を低下させる方法が、ここに開示されている。非対称積層板構造における湾曲を低下させる方法であって、積層前に、積層板構造における少なくとも1つの基板に非対称テンパリングまたはアニールを行う工程を有してなる方法も、ここに開示されている。さらに、そのような方法により製造された積層板構造も、ここに開示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層板構造を製造する方法であって、
第1の基板と第2の基板との間に中間層を配置して、積重体を形成する工程、
前記積重体を第1の平均積層温度に加熱して、積層板構造を形成する工程、および
前記積層板構造を第2の平均温度に冷却する工程、
を有してなり、
前記積重体を加熱する工程が、前記第1の基板を第1の積層温度に保持し、前記第2の基板を第2の積層温度に保持する工程を含み、
前記第2の積層温度が前記第1の積層温度よりも低く、
前記第2の基板の熱膨張係数が前記第1の基板の熱膨張係数より大きく、
前記積重体を加熱する工程が、前記第1の基板を前記第2の基板の第2の加熱速度より速い第1の加熱速度で選択加熱する工程を含むか、または
前記積層板構造を冷却する工程が、前記第1の基板を前記第2の基板の第2の冷却速度より遅い第1の冷却速度で選択冷却する工程を含み、
約-20℃から約90℃に及ぶ温度での前記積層板構造の最小曲率半径が、該積層板構造の最大寸法より少なくとも約40倍大きい、方法。
【請求項2】
前記第1の積層温度が前記第2の積層温度よりも少なくとも20℃高い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の加熱速度が前記第2の加熱速度より少なくとも約30%大きいか、または前記第2の冷却速度が前記第1の冷却速度より少なくとも約30%大きい、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記積層板構造の面外撓みが、該積層板構造の厚さの2倍未満である、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第1のガラス基板、第2のガラス基板、および該第1と第2のガラス基板を貼り付ける中間層を備えた積層板構造であって、
前記第2のガラス基板の熱膨張係数が前記第1のガラス基板の熱膨張係数より少なくとも約30%大きく、
前記積層板構造の面外撓みが、該積層板構造の厚さの2倍未満である、積層板構造。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2015年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/272266号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、積層板構造および積層板構造を製造する方法に関し、より詳しくは、非対称ガラス積層板構造における湾曲を低下させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多種多様な産業における幅広い用途に、積層板構造が使用されることがある。例えば、羽目板、装飾パネル、キャビネットのインスタレーション、壁紙などの建築用途に積層板構造が使用されることがある。家具製品および/または家庭電化製品にも積層板構造が使用されることがある。例えば、キャビネット、家具製品、および/または家庭電化製品のための外板として、積層板構造が組み込まれることがある。積層板構造は、さらに、自動車の機能性または装飾構成部材、例えば、窓、サンルーフ、鏡、および外装または内装パネルとしての機能を果たすことができる。
【0004】
自動車、輸送、航空、および建築の窓は、同様の厚さと組成の二枚のガラスシートを備えた積層板構造から製造されることが多い。しかしながら、様々な用途にとって、異なる複数の基板、例えば、組成および/または厚さが異なる複数の基板を備えた積層板構造を提供することが望ましいことがある。例えば、美的資質または構造品質のために、金属とガラスの積層板、プラスチックとガラスの積層板、ガラスとセラミックの積層板、および他の類似の積層板が望ましいことがある。
【0005】
それに加え、異なる複数のガラス基板を備えたガラスとガラスの積層板、例えば、組成、厚さ、および/または熱膨張係数(CTE)などの他の性質が異なるガラスから作られた積層板も、様々な用途にとって望ましいことがある。非限定的な例として、イオン交換されたガラスの薄いシートをより厚いソーダ石灰ガラスシート上に積層して、損傷抵抗を向上させることがある。エレクトロクロミック窓および鏡は、その上に電気的に活性の薄膜が堆積された薄い無アルカリガラス基板を備えることがあり、この基板は、構造的硬直性のために、より厚いソーダ石灰ガラス基板に積層することができる。
【0006】
異なる複数の基板を備えた積層板構造は、ここでは、「非対称」積層板と称される。非対称積層板は、対照積層板と比べて1つ以上の利点を示すことがあるが、これらの積層板は、様々な難題も呈し得る。例えば、非対称積層板は、CTEが異なる2つ以上の基板を備え得る。積層過程中、それらの基板は、積層温度に加熱され、その後、例えば、室温に冷却され得る。積層板構造が冷めるときに、それらの基板間のCTEの不一致により、面外撓み(しばしば「湾曲(bow)」と称される)がもたらされ得る。積層板構造における湾曲は、膜蒸着などのその後の加工段階と干渉し得る、最終製品において望ましくない光学的歪みをもたらし得る、および/または目的とする用途にとって望ましくないおよび/または所望の目標形状を満たさない製品を生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、冷却後の構造における湾曲を低下させるまたはなくすことのできる、積層板構造を製造する方法を提供することが都合よいであろう。面外撓みまたは湾曲がほとんどないまたは全くない非対称積層板構造を提供することも都合よいであろう。本開示のこれらと他の態様が、ここにさらに詳しく述べられている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、様々な実施の形態において、積層板構造を製造する方法であって、第1の基板と第2の基板との間に中間層を配置して、積重体を形成する工程、およびその積重体を積層温度に加熱して、積層板構造を形成する工程を有してなり、第2の基板が、第一面と第二面を有する非対称にアニールされたまたはテンパリングされたガラス基板であり、その第一面の第1の圧縮応力が第二面の第2の圧縮応力より小さく、約-20℃から約90℃に及ぶ温度での積層板構造の最小曲率半径が、その積層板構造の最大寸法より少なくとも約40倍大きい、方法に関する。
【0009】
第1の基板、第2の基板、およびその第1と第2の基板を貼り付ける中間層を備えた積層板構造であって、第2の基板は、第一面と第二面を有する非対称にアニールされたまたはテンパリングされたガラス基板であり、その第一面の圧縮応力が第二面の圧縮応力より小さく、第1の基板のCTEが第2の基板のCTEと異なり、約-20℃から約90℃に及ぶ温度での積層板構造の最小曲率半径が、その積層板構造の最大寸法より少なくとも約40倍大きい、積層板構造もここに開示されている。
【0010】
特定の実施の形態において、第2の基板のCTEが第1の基板のCTEより大きいことがあり、第2の基板の第一面が中間層と接触していることがある。他の実施の形態において、第2の基板のCTEが第1の基板のCTEより小さいことがあり、第2の基板の第二面が中間層と接触していることがある。さらに別の実施の形態において、第1と第2の基板の両方とも非対称にアニールされたまたはテンパリングされたガラス基板であることがある。
【0011】
積層板構造を製造する方法であって、第1の基板と第2の基板との間に中間層を配置して、積重体を形成する工程、その積重体を第1の平均積層温度に加熱して、積層板構造を形成する工程、およびその積層板構造を第2の平均温度に冷却する工程を有してなり、第2の基板のCTEが第1の基板のCTEより大きく、積重体を加熱する工程が、第1の基板を第2の基板の第2の加熱速度より速い第1の加熱速度で選択加熱する工程を含むか、または積層板構造を冷却する工程が、第1の基板を第2の基板の第2の冷却速度より遅い第1の冷却速度で選択冷却する工程を含む、方法が、ここにさらに開示されている。
【0012】
第1のガラス基板、第2のガラス基板、およびその第1と第2のガラス基板を貼り付ける中間層を備えた積層板構造であって、第2のガラス基板のCTEが第1のガラス基板のCTEより少なくとも約30%大きく、積層板構造の面外撓みが、その積層板構造の厚さの2倍未満である、積層板構造が、ここにまたさらに開示されている。
【0013】
追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された方法を実施することによって認識されるであろう。
【0014】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、本開示の様々な実施の形態を示しており、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する目的であることが理解されよう。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、様々な非限定的実施の形態を示しており、説明と共に、本開示の原理および作動を説明する働きをする。
【0015】
同様の構造が、可能な場合に同様の参照番号により示されている添付図面を参照して、以下の詳細な説明を読んだときに、本開示の様々な特徴、態様および利点がより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施の形態による例示の積層板構造を示す断面図
図2】非対称積層板構造を製造する例示の方法の説明図
図3A】本開示の実施の形態による非対称積層板構造を製造する方法の説明図
図3B】本開示の実施の形態による非対称積層板構造を製造する方法の説明図
図4】従来技術の積層方法を使用して製造した積層板構造の面外撓みを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
積層板構造
図1は、本開示の様々な実施の形態による積層板構造100の断面図を示している。その積層板構造は、第1の基板101、第2の基板107、および第1と第2の基板を貼り付ける中間層113を備え得る。第1の基板101は、第一面103および反対の第二面105、並びにそれら2つの面の間の厚さT1を有し得る。同様に、前記第2の基板は、第一面109および反対の第二面111、並びにそれら2つの面の間の厚さT2を有し得る。中間層113も厚さT3を有し得る。
【0018】
第1と第2の基板101、107は、以下に限られないが、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、プラスチック、および金属を含む幅広い範囲の材料から作ることができる。非限定的な実施の形態によれば、第1と第2の基板の少なくとも一方はガラス基板である。追加の実施の形態において、第1と第2の基板の両方ともガラスから作られている。適切なガラス基板は、例えば、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、およびアルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス、または他の適切なガラス材料から作られることがある。そのガラス基板は、いくつかの実施の形態において、ガラスの強度および/または破壊および/または引掻きに対する抵抗を増加させるために、処理される、例えば、アニールされる、もしくは化学的または熱的にテンパリングされることがある。1つの実施の形態において、そのガラス基板は、Corning IncorporatedからのCorning(登録商標)Gorilla(登録商標)ガラスなどの化学強化ガラスから作られることがある。そのような化学強化ガラスは、例えば、その全てがここに引用される、米国特許第7666511号、同第4483700号、および/または同第5674790号の各明細書にしたがって提供することができる。Corning Incorporatedからの「Corning」Willow(登録商標)ガラス、「Corning」Lotus(商標)ガラス、「Corning」EAGLE XG(登録商標)、およびCorning Iris(商標)ガラスも、様々な実施の形態においてガラス基板として使用するのに適しているであろう。
【0019】
さらに別の態様によれば、第1または第2のガラス基板は、約100MPa超の圧縮応力(CS)および約10マイクロメートル超の圧縮応力の層の深さ(DOL)、例えば、約500MPa超の圧縮応力および約20マイクロメートル超のDOL、または約700MPa超の圧縮応力および約40マイクロメートル超のDOLを有し得る。例えば、「Corning」「Gorilla」ガラスを製造する化学強化過程は、比較的大きいDOL(例えば、約40マイクロメートル、またさらには約100マイクロメートル超)で比較的高いCS(例えば、約700MPaから約730MPa、またさらには約800MPa超)を与えることができる。
【0020】
さらに別の実施の形態によれば、第1または第2のガラス基板を酸エッチングして、ガラス基板をさらに強化してもよい。ガラスの酸エッチングにより、構造的完全性または衝突性能を劣化させずに、本開示の積層板構造にさらにより薄い基板を使用できることがある。酸エッチング工程は、ある場合には、ガラス基板の表面の1つ以上から薄層を除去し得る。上述した表面層を除去することによって、酸エッチングは、1マイクロメートルより小さい表面傷の大半を除去することができる、および/またはそうでなければ応力集中係数に悪影響を及ぼし得るより大きい傷の先端を丸めることができると考えられる。酸エッチング(例えば、小さい表面傷の除去およびより大きい傷の先端の丸め)によりガラス表面を改善することにより、耐衝撃性などのガラス強度を改善することができる。さらに、ガラスの比較的小さい深さしか除去されないであろうから、ガラスは、表面から約40マイクロメートル、またさらには、ある場合には約100マイクロメートル超などのずっと大きい深さで比較的高いCSを有し得るので、ガラスシートにおいて著しいCSの低下は生じないであろう。
【0021】
第1と第2の基板101、107は、約8mm以下、約6mm以下、または約3mm以下などの約10mm以下の、第一面および反対の第二面の間に延在する厚さT1、T2を有し得る。例えば、ガラスの厚さは、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.3mmから約2mm、約0.5mmから約1.5mm、または約0.7mmから約1mmなどのように約0.1mmから約3mmに及び得る。1つの非限定的実施の形態において、ガラス基板は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約4mmから約9mm、約5mmから約8mm、または約6mmから約7mmなどのように約3mmから約10mmに及ぶ厚さを有し得る。
【0022】
いくつかの実施の形態において、第1と第2の基板101、107は、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約1×10-6/℃から約14×10-6/℃、約2×10-6/℃から約13×10-6/℃、約3×10-6/℃から約12×10-6/℃、約4×10-6/℃から約11×10-6/℃、約5×10-6/℃から約10×10-6/℃、約6×10-6/℃から約9×10-6/℃、または約7×10-6/℃から約8×10-6/℃などのように約0.5×10-6/℃から約15×10-6/℃に及ぶ熱膨張係数(CTE)を有するガラス基板であり得る。特定の実施の形態において、そのガラス基板は、約8×10-6/℃から約10×10-6/℃に及ぶ、例えば、約8.5×10-6/℃から約9.5×10-6/℃に及ぶCTEを有し得る。他の実施の形態において、そのガラス基板は、約3.5×10-6/℃から約4.5×10-6/℃などのように約3×10-6/℃から約5×10-6/℃に及ぶCTEを有し得る。非限定的な実施の形態によれば、そのガラス基板は、約7.5から約8.5×10-6/℃に及ぶCTEを有する「Corning」「Gorilla」ガラス、約3から約4×10-6/℃に及ぶCTEを有する「Corning」「EAGLE XG」ガラス、約3から約4×10-6/℃に及ぶCTEを有する「Corning」「Lotus」ガラス、または約3から約4×10-6/℃に及ぶCTEを有する「Corning」「Willow」ガラスであり得る。追加の実施の形態において、そのガラス基板は、約8から約10×10-6/℃に及ぶCTEを有するソーダ石灰ガラスであり得る。
【0023】
第1と第2の基板101、107は、鋼鉄、例えば、冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼、およびステンレス鋼、アルミニウム、またはどの他の適切な金属などの金属または金属合金から選択することもできる。市販のステンレス鋼としては、いくつか例を挙げれば、例えば、201#、201#、220#、230#、301#、304#、305#、312#、316#、321#、409#、410#、416#、430#、440#、および446#などの200シリーズ、300シリーズ、および400シリーズのステンレス鋼が挙げられる。その金属基板は、様々な実施の形態において、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約7×10-6/℃から約17×10-6/℃、約8×10-6/℃から約15×10-6/℃、約9×10-6/℃から約12×10-6/℃、または約10×10-6/℃から約11×10-6/℃などのように約5×10-6/℃から約20×10-6/℃に及ぶCTEを有し得る。
【0024】
その金属基板の厚さは、特定の用途に応じて様々であり得る。例えば、十分な耐変形性をまだ与えつつ、材料費および/または積層板構造の質量を減少させるために、様々な用途において、比較的薄い金属シートを使用できる。さらなる実施の形態において、例えば、積層板構造の機械的完全性を維持するためにさらなる支持が望ましい場合、様々な用途において、比較的厚い金属シートを使用してもよい。いくつかの実施の形態において、厚さは、30ゲージの金属シートから10ゲージの金属シートに及ぶことがある。さらなる実施の形態において、厚さは、25ゲージの金属シートから15ゲージの金属シートまでに及ぶことがある。別の非限定的な実施の形態によれば、約0.1mmから約5mmに及ぶ、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.3mmから約3mm、約0.5mmから約2mm、または約1mmから約1.5mmに及ぶ厚さを有する金属シートを使用してよいが、特定の用途に応じて、他の厚さを与えてもよい。
【0025】
適切な積層板材料として、成形および押出プラスチックなどのプラスチック基板も含まれて差し支えない。プラスチック基板は、特定の実施の形態において、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.3mmから約10mm、約0.5mmから約8mm、約1mmから約5mm、約1.5mmから約4mm、または約2mmから約3mmなどのように約0.1mmから約12mmに及ぶ厚さを有することがあるが、特定の用途に応じて、他の厚さを設けてもよい。そのプラスチック基板は、様々な実施の形態において、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約10×10-6/℃から約120×10-6/℃、約15×10-6/℃から約110×10-6/℃、約20×10-6/℃から約100×10-6/℃、約25×10-6/℃から約90×10-6/℃、約30×10-6/℃から約80×10-6/℃、約35×10-6/℃から約70×10-6/℃、約40×10-6/℃から約60×10-6/℃、または約45×10-6/℃から約50×10-6/℃などのように約5×10-6/℃から約130×10-6/℃に及ぶCTEを有し得る。
【0026】
第1と第2の基板101、107は、ガラスセラミックおよびセラミック基板から選択しても差し支えない。適切なガラスセラミック基板としては、いくつか例を挙げると、例えば、二ケイ酸リチウム、霞石、ベータ・スポジュメン、およびベータ石英ガラスセラミックが挙げられる。市販のガラスセラミックの非限定的な例に、Corning IncorporatedからのMacor(登録商標)およびPyroceram(登録商標)が挙げられる。そのセラミックまたはガラスセラミック基板は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約1mmから約4mm、約1.5mmから約3mm、または約2mmから約2.5mmなどのように約0.5mmから約5mmに及ぶ厚さを有し得る。そのセラミックまたはガラスセラミック基板のCTEは、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約5×10-6/℃から約18×10-6/℃、約8×10-6/℃から約15×10-6/℃、または約10×10-6/℃から約12×10-6/℃などのように約3×10-6/℃から約20×10-6/℃に及び得る。
【0027】
ここに開示された全てのCTE値は、約0℃から約300℃に及ぶ温度に亘り測定されたCTEとして表現されていることを理解すべきである。それゆえ、ここに提供されたような第1と第2の基板のCTEは、非限定的な例として、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約1×10-6/℃から約100×10-6/℃、約3×10-6/℃から約80×10-6/℃、約5×10-6/℃から約60×10-6/℃、約10×10-6/℃から約50×10-6/℃、または約20×10-6/℃から約30×10-6/℃などのように約0.5×10-6/℃から約130×10-6/℃に独立して及び得る。様々な実施の形態によれば、第1と第2の基板のCTEは、不一致であることがある、例えば、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、およびそれより大きいなどのように少なくとも約0.1%異なる値を有することがある。大型部品、例えば、約1000mm×1000mmを超える部品について、例えば、少なくとも約0.1%、1%、2%、3%、4%、または5%などのCTEの0.1%の差ほど低い、程度のより低いCTEの不一致でも、顕著な湾曲が生じ得る。同様に、CTEの不一致により、例えば、CTEの不一致が約10%より大きい場合、小型部品においても湾曲が生じることがある。非限定的な例として、第2の基板のCTEは、第1の基板のCTEの約9、8、7、6、5、4、3、または2倍などのように第1の基板のCTEの10倍ほど大きいことがあり得、その逆もまた同様である。他の非限定的な実施の形態において、第1と第2の基板のCTEの差(例えば、CTE-CTEまたはCTE-CTE)は、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約2×10-6/℃から約120×10-6/℃、約3×10-6/℃から約110×10-6/℃、約4×10-6/℃から約100×10-6/℃、約5×10-6/℃から約10×10-6/℃、約6×10-6/℃から約80×10-6/℃、約7×10-6/℃から約70×10-6/℃、約8×10-6/℃から約60×10-6/℃、約9×10-6/℃から約50×10-6/℃、約10×10-6/℃から約40×10-6/℃、または約20×10-6/℃から約30×10-6/℃などのように約1×10-6/℃から約130×10-6/℃に及び得る。
【0028】
図1に示されるように、積層板構造は、第1の基板101を第2の基板107に貼り付ける中間層113をさらに備え得る。中間層113は、例えば、用途および基板の特徴に応じて、幅広い材料から作ることができる。その中間層は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリビニルブチラール(PVB)、および株式会社クラレからセントリグラス(登録商標)アイオノマー等のアイオノマーなどの様々な材料、またはどの他の適切な中間層材料から作られても差し支えない。特定の実施の形態において、その中間層は、EVAおよびPVBから選択されることがある。
【0029】
非限定的な実施の形態によれば、中間層113は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約30MPa、約50MPa、約100MPa、約150MPa、約200MPa、約250MPa、約300MPa、約350MPa、または約400MPa以上などのような15MPa以上のヤング率を有するものから選択することができる。例えば、PVBは、約15MPa超のヤング率を有することがあり、EVAは、約50MPa超のヤング率を有し得、「セントリグラス」アイオノマーは、約275MPa超のヤング率を有し得る。特定の実施の形態において、中間層113は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.3mmから約1.5mm、約0.5mmから約1.2mm、約0.75mmから約1.1mm、または約0.9mmから約1mmなどのように約0.1mmから約2mmに及ぶ厚さT3を有することがある。
【0030】
中間層113は、積層板構造の強度を改善するために選択することができ、さらに、積層板が割れるかまたは砕け散る場合には、基板、例えば、ガラス基板からの破片を保持するのに役立つことができる。特定の実施の形態によれば、実質的に透き通った、光学的に透明な中間層を提供することができるが、さらに別の例において、不透明であり、ことによると着色された中間層を設けてもよい。他の実施の形態において、美的および/または機能的目的のために、中間層上に、例えば、スクリーン印刷またはデジタル走査印刷によって、所望の画像を印刷しても差し支えない。これらの印刷画像は、界面(例えば、中間層および/または光学的に透明な基板の内面上)に配置することができるので、それらは、製品寿命の間に引掻き損傷からうまく守ることができる。
【0031】
様々な実施の形態によれば、ここに開示された方法にしたがって加工された場合、面外撓み(湾曲)がほとんどまたは全くない積層板構造を製造することができる。面外撓みは、積層板の縁の最下点から積層板の中央領域の最高点まで、またはその逆の距離として測定できる。言い換えると、面外撓みは、積層板の最下点(谷)と積層板の最高点(山)との間の最大距離、例えば、山谷湾曲(例えば、図4参照)である。いくつかの実施の形態において、積層板構造の面外撓みは、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、積層板の全厚の約2.5倍未満、約2倍未満、または約1.5倍未満などのような、全厚の約3倍未満であり得る。追加の実施の形態によれば、積層板構造の面外撓みは、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、積層板構造の全厚の約半分(0.5)未満、全厚の約四分の一(0.25)未満、または全厚の約十分の一(0.1)未満などのような、全厚以下であり得る。非限定的な例として、面外撓みは、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約15mm未満、約12mm未満、約10mm未満、約8mm未満、約5mm未満、約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、または約0.5mm未満などのような、約20mm未満であり得る。
【0032】
特定の非限定的な実施の形態において、前記積層板構造は、第1と第2のガラス基板およびそれらの基板の間に配置された中間層を備えることができ、約-20℃から約90℃に及ぶ温度での積層板構造の最小曲率半径は、積層板構造の最大寸法より少なくとも約40倍大きく、第2のガラス基板のCTEは、第1のガラス基板のCTEより少なくとも約30%大きい。例えば、第1と第2のガラス基板の間のCTE不一致は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、または500%より大きいことがあり得る。他の実施の形態において、第1と第2のガラス基板の間のCTEの差(CTE-CTEまたはCTE-CTE)は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約2×10-6/℃から約9×10-6/℃、約3×10-6/℃から約8×10-6/℃、約4×10-6/℃から約7×10-6/℃、または約5×10-6/℃から約6×10-6/℃などのように約1×10-6/℃から約10×10-6/℃に及び得る。
【0033】
前記積層板構造は、例えば、他の寸法と比べて、最大の大きさを有する基板の寸法を称するためにここに使用されることがある最大寸法、例えば、長さ、幅、直径などをさらに有し得る。例えば、2つの短い辺と2つの長い辺を有する長方形シートについて、最大寸法は、長い辺の長さに相当し得る。非長方形、例えば、四辺のガラスシートは、同様に、最長の辺の長さに相当する最大寸法を有し得る。最大寸法は、いくつか例を挙げると、多角形、三角形、および円などの四辺より多いか少ない基板についても、同様に決定することができる。
【0034】
曲率半径は、曲率の逆数である。より平らな基板はより大きい曲率半径により定義され、完全に平らな基板は無限大の曲率半径を有する。特定の実施の形態において、積層板構造の曲率半径は、積層板構造の最大寸法より大きいことがあり得る。例えば、その曲率半径は、積層板構造の最大寸法の2倍、約5倍、約10倍、約15倍、約20倍、約30倍、または約35倍であり得る。様々な実施の形態によれば、その積層板構造の最小曲率半径は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、積層板構造の最大寸法よりも、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、または少なくとも約100倍大きいことがあり得る。さらなる実施の形態において、その曲率半径は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約10℃から約50℃、約20℃から約40℃、または約25℃から約35℃などのように約0℃から約75℃に及ぶ温度で測定することができる。
【0035】
様々な実施の形態において、前記積層板構造は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.5mmから約8mm、約1mmから約6mm、約2mmから約5mm、または約3mmから約4mmなどのような約0.2mmから約10mmに及ぶ全厚を有し得る。例示の積層板構造は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約200mmから約900mm、約300mmから約800mm、約400mmから約700mm、または約500mmから約600mmなどのような、約100mmから約1000mm以上に及ぶ少なくとも1つの他の寸法(例えば、長さ、幅、直径)を有することがある。これらの寸法は、もちろん、例に過ぎず、積層板の厚さ、長さ、幅、直径などの他の寸法を、特定の用途に応じて、使用することができる。
【0036】
前記積層板構造は、様々な実施の形態において、薄いガラスシートおよびそれより厚いガラスシートを備えることがある。例えば、第1のガラス基板は、約0.3mmから約2mmに及ぶ厚さを有することがあり、第2のガラス基板は、約3mmから約10mmに及ぶ厚さを有することがあり、またはその逆も同様である。第1のガラス基板のCTEは、例えば、約3×10-6/℃から約4×10-6/℃に及んで差し支えなく、第2のガラス基板のCTEは、約8×10-6/℃から約10×10-6/℃に及んで差し支えなく、またはその逆も同様である。
【0037】
本開示による積層板構造は、2つの基板および/または1つの中間層を備えた構造に限定されないことを理解すべきである。例えば、積層板構造は、第3の基板を積層板に貼り付ける第2の中間層などの、追加の基板および/または中間層も備えて差し支えない。特定の実施の形態において、積層板構造は、プラスチック基板の互いに反対の表面に積層された2つのガラス基板を備えることができる。本開示のさらに別の態様によれば、積層板構造は、高分子膜、追加のガラス層、反射層、フォトクロミック層、エレクトロクロミック層、電解層、光起電層、センサ、インジケータ、または能動素子などの1つ以上の追加の基板または層を備えることができる。例えば、エレクトロクロミック層は、基板の1つ以上の表面上に堆積された1つ以上の電気的に活性の薄膜を含むことがある。適切なエレクトロクロミック層としては、以下に限られないが、三酸化タングステンWOから作られた無機層が挙げられる。もちろん、複数の層およびそれらのそれぞれの性質の他の組合せを使用して、本開示の範囲に含まれることが意図されている多彩な構造を提供することができる。
【0038】
方法
積層板構造を製造する方法および積層板構造における湾曲を低下させる方法も、ここに開示されている。様々な実施の形態によれば、ここに開示された方法は、中間層により第1の基板を第2の基板に貼り付けて、例えば、図1に示される三層積層板構造を製造する工程を含み得る。次いで、そのように製造された積重体を、当該技術分野で公知のどの適切な方法または装置を使用して、積層温度に加熱しても差し支えない。非限定的な例として、その積重体は、真空または積層袋などの真空室内に配置することができる。その積重体は、積重体の移動を防ぐために、巻かれても、または他の様式で固定されてもよい。例えば、その積重体は、ポリエステルテープなどの高温テープを使用して、固定されてもよい。様々な実施の形態によれば、その積重体の周りに、薄い通気性の布を巻き付けても差し支えない。
【0039】
その積重体は、所望の処理量に応じて、真空室内で一層で1度に1つ、または積重体の多数の層で、処理してもよい。積層袋はヒートシールすることができ、真空ポートをそれに取り付けることができる。真空室は、少なくともある程度排気することができ、積重体は、規定の温度と圧力のプロファイルを使用して、加熱することができる。ある場合には、その積重体を2つのプレートの間に配置し、そのプレートを使用して、積重体に圧力を印加する、および/または積重体のそれぞれの層を加熱および/または冷却することができる。例えば、積層工程は、積層板構造の所望の接着(結合)品質を達成するために使用される特定の温度と圧力のプロファイルで行われることがある。もちろん、積層温度および/または圧力を達成するための他の装置および方法を使用しても差し支えなく、それらは、本開示の範囲に入ると想定される。
【0040】
平均積層温度は、いくつかの実施の形態において、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約125℃から約150℃、約130℃から約145℃、または約135℃から約140℃などのように約120℃から約160℃に及び得る。例えば、積層工程は、約2℃/分から約9℃/分、約3℃/分から約8℃/分、約4℃/分から約7℃/分、または約5℃/分から約6℃/分などのような約1℃/分から約10℃/分に及ぶ昇温速度で積層温度に昇温させる工程を含み得る。追加の実施の形態によれば、積層圧力は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.2MPaから約1.4MPa、約0.3MPaから約1.3MPa、約0.4MPaから約1.2MPa、約0.5MPaから約1.1MPa、約0.6MPaから約1MPa、または約0.8MPaから約0.9MPaなどのような約0.1MPaから約1.5MPaに及び得る。圧力は、印加される場合、昇温中、または積層温度に到達した際に、徐々に印加してもよい。圧力は、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約30Pa/分から約80Pa/分、約40Pa/分から約70Pa/分、または約50Pa/分から約60Pa/分などのように、約20Pa/分から約100Pa/分に及ぶ昇圧速度で徐々に印加されることがある。積層板構造は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約20分から約100分、約30分から約80分、または約40分から約60分などのように、約10分から約120分に及ぶ滞留時間に亘り積層温度と圧力に保持されることがある。
【0041】
所望の滞留時間後、その温度は、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約2℃/分から約9℃/分、約3℃/分から約8℃/分、約4℃/分から約7℃/分、または約5℃/分から約6℃/分などのような約1℃/分から約10℃/分に及ぶ速度で、室温に降温させても差し支えない。様々な実施の形態によれば、その温度は、特定の実施の形態において、中間層内の気泡の形成を減少させることのできる積層圧を維持しながら、降温させることができる。あるいは、圧力は、降温前または最中に低下させても差し支えない。漸進的圧力低下は、いくつかの実施の形態において、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約30Pa/分から約80Pa/分、約40Pa/分から約70Pa/分、または約50Pa/分から約60Pa/分などのような約20Pa/分から約100Pa/分に及ぶ降圧速度で使用することができる。
【0042】
さらに別の実施の形態によれば、前記中間層は、例えば、中間層の含水率を制御するために、中間層を軟化させるために、および/または中間層と基板との間のどのような残留空気も除去するために、積層前に、状態調節されることがある。一例において、状態調節する工程は、中間層の含水率を、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約0.8%以下、約0.5%以下、約0.3%以下、または約0.2%以下などのように、約1%未満に調節することができる。中間層の含水率を調節することは、積層手順の最中に、中間層の結合品質を改善するのに有益であろう。様々な実施の形態によれば、状態調節工程は、積層前にPVB中間層を軟化させるために使用されることがある。
【0043】
状態調節は、当該技術分野に公知のどの方法にしたがって行っても差し支えない。例えば、中間層を、中間層の所望の含水率を達成するために、温度および/または湿度を調節することができる制御環境内に配置してよい。状態調節は、中間層が2つの基板の間に配置される前、および/または積重体が形成された後に、行うことができる。例えば、積層前に、積重体を、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約80℃から約95℃、または約85℃から約90℃などのように、約75℃から約100℃に及ぶ状態調節温度に予熱してもよい。
【0044】
積層の前および/または後に、ここに開示された方法は、積層板構造に追加の有益な特徴を与えるであろう随意的な加工工程をさらに含んで差し支えない。例えば、例示のガラス基板に関する追加の加工工程としては、化学強化(例えば、イオン交換)、熱的テンパリング、酸エッチング、防眩加工、機械的粗化、ゾルゲル法、膜蒸着、抗菌コーティングなどが挙げられる。
【0045】
様々な実施の形態によれば、複数の基板の内の少なくとも1つは、非対称にアニールされたまたはテンパリングされたガラス基板であることがある。例えば、積層板構造における1つ以上のガラス基板は、耐久性および/または安全性を加えるために、化学的にテンパリングする、熱的にテンパリングする、および/またはアニールすることができる。化学的テンパリングは、例えば、表面の、または表面近くのガラス基板内の金属イオンを、より大きい金属イオンにより交換できるイオン交換法を含んで差し支えない。そのより大きいイオンがガラス中に取り込まれると、表面近くの領域に圧縮応力が生じ、その圧縮応力と釣り合うために、ガラスシートの中央領域内に対応する引張応力が生じ得る。このように、表面圧縮の程度は、化学的テンパリングのためのイオン交換の程度に関連付けられるであろう。熱的テンパリングは、ガラスをその転移温度(T)より高く加熱し、ガラス表面を、例えば、強制空気対流によって、迅速に急冷することによって、行うことができる。アニールは、ガラスをアニール温度(または応力緩和点)まで加熱し、ガラスをその歪み点より低くゆっくりと冷却することによって行うことができる。熱的テンパリングおよびアニールの両方について、表面圧縮の程度は、冷却の速度に関連付けられるであろう。
【0046】
そのようなテンパリングおよびアニールプロセスは大抵、対称に行われ、よって、ガラスシートの両方の主面が、均一にイオン交換される、および/または等しい温度および/または速度で加熱または冷却される。対称的にテンパリングされたガラス基板を使用して積層板構造を製造する方法が図2に示されている。第2の基板207は、対称プロセスTによってテンパリング(またはアニール)して、対称基板207sを製造することができる。次に、この対称基板を工程Aにおいて第1の基板201および中間層(図示せず)と並べて、積重体215を製造することができる。次に、対称または等温積層プロセスLを使用して、積層板200を製造することができる。第2の基板207のCTEが第1の基板201のCTEと著しく異なる場合(図示されるように)、得られた積層板200は、CTEの不一致のために、積層板構造が冷める間に、望ましくなく湾曲し得る。
【0047】
しかしながら、対称テンパリングおよび/または積層工程(TまたL)の1つ以上を、図3A~Bに示されるような非対称プロセス(TまたはL)により置き換えることによって、得られた積層板の面外撓みを減少させるまたはなくすことが可能であろう。例えば、いくつかの実施の形態において、一方の表面が他方の表面よりも高いCSを有するように、2つの基板の内の一方または両方を熱的にテンパリングまたはアニールすることが望ましいであろう。不均衡な内部応力のために、得られた非対称基板は湾曲するであろう。図3Aに示されるように、第2の基板307を非対称プロセスTによりテンパリング(またはアニール)して、第一面309および第二面311が異なるCSを有する非対称基板307aを作ることができる。次に、その非対称基板を、工程Aにおいて、第1の基板301および中間層(図示せず)と並べて、積重体315を製造することができる。次いで、等温(対称)積層プロセスLを使用して、積層板300を製造することができる。あるいは、異なる(非対称)積層プロセス(図示せず)を使用しても差し支えない。理論により束縛する意図はないが、非対称基板307aの湾曲が、そうでなければ、平らに積層した場合、例えば、対称的にテンパリング(またはアニール)された基板に生じるであろう湾曲(例えば、図2参照)を相殺すると考えられる。言い換えると、CTE不一致による熱応力が非対称基板内の内部応力により釣り合わされ、それゆえ、得られた積層板の面外撓みを減少させるかまたはなくすであろう。
【0048】
非対称化学的テンパリングは、例えば、一方の表面にコーティングを施して、イオン交換を防ぎつつ、反対の表面を露出したままにすることによって、および/またはテンパリング工程中に電界を印加することによって、行うことができる。非対称熱的テンパリングおよび/またはアニールは、基板の一方の表面を反対の表面と異なる速度(例えば、より速いか、またはより遅い)で冷却することによって行うことができる。そのような非対称プロセスを使用すると、例えば、実質的に球状に面外に湾曲したガラス基板を製造することが可能になるであろう。非限定的な例として、非対称ガラス基板の湾曲の形状および/または大きさは、対称加工により製造された積層板(例えば、図2の積層板200参照)に存在するであろう湾曲に匹敵することがある。
【0049】
非対称基板307aを、基板の湾曲が積層板の潜在的な湾曲を相殺するように、積重体315内に正しい方向に配置することができる。例えば、図3Aに示されるように、非対称基板307aは、第二面311のCSより小さいCSを有する第一面309を有することがある。あるいは、非対称基板307aは、第二面311のCSより大きいCSを有する第一面309を有することがある(図示せず)。様々な実施の形態によれば、第1と第2の基板のCSは、異なることがある、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、およびそれより大きいなどのように少なくとも約1%異なる値を有することがある。例えば、第1と第2の基板のCSの間の差(CS-CSまたはCS-CS)は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約5MPa超、約10MPa超、約50MPa超、約100MPa超、約200MPa超、約300MPa超、約400MPa超、約500MPa超、またはそれより大きいなどのように約1MPa超であることがある。
【0050】
いくつかの実施の形態において、第2の基板307のCTEは、第1の基板301のものより大きいことがあり、非対称基板の第一面309(より低いCS)は、積重体315において第1の基板301に向かって配置されることがある、例えば、第一面が中間層と接触していることがある。他の実施の形態において(図示せず)、第2の基板307のCTEは、第1の基板301のものよりも小さいことがあり、非対称基板の第二面311(より高いCS)は、積重体315において第1の基板301に向かって配置されることがある、例えば、第二面が中間層と接触していることがある。追加の実施の形態によれば、第1と第2の基板の両方が、非対称にテンパリングまたはアニールされることがある。もちろん、複数の基板のどの他の配置および/または向きも可能であり、それらは、本開示の範囲に入ると想定されている。
【0051】
図3Bに示されるように、第2の基板307を対称プロセスTによりテンパリング(またはアニール)して、第一面309と第二面311が実質的に同じCSを有する対称基板307sを作ることができる。あるいは、非対称テンパリングプロセス(図示せず)を使用しても差し支えない。次に、対称基板307sを工程Aにおいて第1の基板301および中間層(図示せず)と並べて、積重体315を製造することができる。次に、異なる(非対称)積層プロセスLDを使用して、積層板300を製造することができる。理論により束縛する意図はないが、CTE不一致による熱応力は、積層中に複数の基板を非対称的にすなわち選択加熱するおよび/または冷却することによって、減少させ、それゆえ、得られた積層板の面外湾曲が低下するまたはなくなるであろうと考えられる。
【0052】
例えば、第1の基板のCTEより高いCTEを有する第2の基板を備えた積層板について、積層板の面外撓みは、第1の基板が第2の基板より速い速度で加熱されるように、積層中に積重体を選択加熱することにより、および/または第1の基板が第2の基板より遅い速度で冷却されるように積層後に積層板を選択冷却することにより、減少するであろう。同様に、第2の基板のCTEより高いCTEを有する第1の基板を備えた積層板について、積重体は、第1の基板が第2の基板より遅い速度で加熱されるように、積層中に選択加熱されることがある、および/または積層板は、第1の基板が第2の基板より速い速度で冷却されるように積層後に選択冷却されることがある。例えば、第一面と第二面の加熱および/または冷却速度は、異なることがあり、例えば、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、およびそれより大きいなどのように、少なくとも約1%異なる値を有することがある。いくつかの実施の形態において、第一面と第二面の加熱および/または冷却速度の間の差は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約2℃/分超、約3℃/分超、約4℃/分超、約5℃/分超、約6℃/分超、約7℃/分超、約8℃/分超、約9℃/分超、約10℃/分超、またはそれより大きいなどのような約1℃/分超であることがある。
【0053】
選択加熱の場合、積層は、上述したような平均積層温度で行って差し支えない。それゆえ、平均積層温度は、いくつかの実施の形態において、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約125℃から約150℃、約130℃から約145℃、または約135℃から約140℃などのように、約120℃から約160℃に及び得る。様々な実施の形態によれば、選択加熱プロファイルは、より高い(またはより低い)積層温度で一方の基板を保持する工程を含んで差し支えない。例えば、第1の基板は、第2の基板が保持される第2の積層温度よりも少なくとも20℃高い第1の積層温度に保持されることがある、またはその逆も同様である。適切な保持(滞留)時間は先に記載されている。いくつかの実施の形態において、第1と第2の積層温度の間の差(TL1-TL2またはTL2-TL1)は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約20℃から約50℃、約25℃から約40℃、または約30℃から約35℃に及び得る。
【0054】
ここに開示された様々な非対称加工方法は、所望の程度の面外撓みを有する実質的に平らな積層板を製造するために、どの所望の構成で互いに組み合わせても差し支えないことを理解すべきである。いくつかの実施の形態において、第1と第2の基板は両方とも、非対称にテンパリングまたはアニールされることがあり、得られた積重体は、積層中に等温加熱される、および/または積層後に等温冷却されることがある。他の実施の形態において、第2の基板が非対称にテンパリングまたはアニールされることがあり、得られた積重体は、積層中に選択加熱される、および/または積層後に選択冷却されることがある。さらに別の実施の形態において、第1の基板が非対称にテンパリングまたはアニールされることがあり、得られた積重体は、積層中に選択加熱される、および/または積層後に選択冷却されることがある。したがって、ここに開示された方法は、いくつかの実施の形態において、対称加工工程を使用して対称基板を積層することによりそうでなければ生じるであろう湾曲を相殺できる1つ以上の非対称加工工程を含むことができる。
【0055】
ここに開示された方法を使用して、従来の積層方法と比べて1つ以上の利点を有する非対称積層板構造を製造することができる。例えば、積層板の撓み(または湾曲)に対するCTE不一致の影響を低下させる能力により、基板材料、中間層、および/または積層板の配置の幅広い選択が可能になるであろう。さらに、本発明の方法は、より大型の積層板構造および/または基板の異例な組合せを有する積層板構造などの、撓みのない積層板の幅広い選択を与えるであろう。本発明の方法にしたがって製造された積層板構造は、撓み、例えば、湾曲がほとんどまたは全くないであろうから、そのような積層板の光学的性能も改善されるであろう。最後に、ここに開示された方法は、圧力下での積層および/または非対称加熱の使用などの、非対称積層板を製造する他の方法ほど複雑ではないであろう。もちろん、ここに開示された積層板構造および方法は、上述した利点の内の1つ以上を有さないことがあるが、付随の特許請求の範囲内に入ることが意図されていることを理解すべきである。
【0056】
様々な開示された実施の形態は、その特定の実施の形態に関連して記載された特定の特徴、要素または工程を含むであろうことが認識されよう。特定の特徴、要素または工程は、ある特定の実施の形態に関して記載されているであろうが、様々な説明されていない組合せまたは順序で、代わりの実施の形態と交換されても、または組み合わされてもよいことも認識されよう。
【0057】
ここに用いたように、名詞は、「少なくとも1つ」の対象を指し、特に明記のない限り、「たった1つ」の対象に限定されるべきではないことも理解されよう。それゆえ、例えば、「ガラス基板」への言及は、特に明記のない限り、そのようなガラス基板を2つ以上有する例を含む。
【0058】
範囲は、ここでは、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までと、表現することができる。そのような範囲が表現された場合、例は、その1つの特定の値から、および/または他方の特定の値まで、を含む。同様に、値が、先行詞「約」を使用して、近似として表されている場合、その特定の値は別の態様を形成することが理解されよう。範囲の各々の端点は、他方の端点に関係してと、他方の端点とは関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0059】
特に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを要求するものと解釈されることは決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に列挙していない、またはその工程が特定の順序に制限されるべきことが、請求項または説明に他に具体的に述べられていない場合、どの特定の順序も暗示されることは決して意図されていない。
【0060】
特定の実施の形態の様々な特徴、要素または工程が、移行句「含む」を使用して開示されることがあるが、移行句「からなる」または「から実質的になる」を使用して記載されることがあるものを含む代わりの実施の形態が暗示されることを理解すべきである。それゆえ、例えば、A+B+Cを含む構造に対して暗示される代わりの実施の形態は、構造がA+B+Cからなる実施の形態、および構造がA+B+Cから実質的になる実施の形態を含む。
【0061】
本開示の精神および範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を本開示に行えることが当業者に明白であろう。本開示の精神および実体を含む開示の実施の形態の改変、組合せ、下位の組合せおよび変更が、当業者に想起されるであろうから、本開示は、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に全てを含むと解釈すべきである。
【0062】
以下の実施例は、非制限的であり、説明を意図しており、本発明の範囲は請求項により定義される。
【実施例0063】
比較例1
0.7mm厚の「Corning」「EAGLE XG」ガラス、6mm厚のソーダ石灰ガラス(SLG)、および0.76mm厚のEVA中間層を使用して、66cm×76.2cm(26インチ×30インチ)の寸法を有する非対称積層板構造を調製した。この「Corning」「EAGLE XG」基板のCTEは約3.2×10-6/℃であり、一方で、ソーダ石灰ガラスのCTEは約8.5~9.5×10-6/℃であった。これらの三層を室温で互いに接触するように置き、約1MPa(140psi)の圧力で、140~150℃の積層温度に加熱し、その後、室温に冷却した。
【0064】
これらのガラス基板は、積層温度から室温に冷めたときに、自然に収縮した。異なるCTEのために、2つの基板は異なる程度に収縮し、均一な二軸応力が生じ、それゆえ、球状の面外湾曲が生じ、これが図4に示されている。この部品に関する面外湾曲(中心対角または山谷)は1.4mm(0.5mm-(-0.9mm))であった。
【0065】
実施例2
0.7mm厚の「Corning」「EAGLE XG」ガラス、6mm厚のソーダ石灰ガラス(SLG)、および0.76mm厚のPVB中間層を使用して、91.44cm×152.4cm(3フィート×5フィート)の寸法を有する3つの非対称積層板構造を調製した。両方のガラス基板の加熱または冷却の速度を、積層中に断熱毛布を使用することにより変えた。実施例2Aにおいて、ソーダ石灰ガラスを「EAGLE XG」ガラスより速く冷却し、実施例2Bにおいて、ソーダ石灰ガラスを「EAGLE XG」ガラスより速く加熱し、実施例2Cにおいて、ソーダ石灰ガラスを「EAGLE XG」ガラスより遅く冷却した。各積層板に得られた面外湾曲(mm)が、下記の表Iに示されている。
【0066】
【表1】
【0067】
表Iに示されるように、CTEがより大きい基板(ソーダ石灰)をCTEがより小さい基板(「EAGLE XG」)より、遅く加熱することにより、および/または速く冷却することにより、2つの基板の絶対膨張の差を減少させ、それゆえ、積層板に誘発される応力および結果として生じる面外湾曲を減少させることができる。例えば、図2Aにおいて、ソーダ石灰ガラスを「EAGLE XG」ガラスより速く冷却した場合、17%小さい湾曲(等温加工と比べて)の改善が観察された。逆に、CTEがより大きい基板(ソーダ石灰)をCTEがより小さい基板(「EAGLE XG」)より、速く加熱した場合、および/または遅く冷却した場合、得られた積層板の面外湾曲は、等温加工した積層板のものよりも悪かった(実施例2B~C)。
【0068】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0069】
実施形態1
積層板構造を製造する方法であって、
第1の基板と第2の基板との間に中間層を配置して、積重体を形成する工程、および
前記積重体を積層温度に加熱して、積層板構造を形成する工程、
を有してなり、
前記第2の基板が、第一面と第二面を有する非対称にアニールされたまたはテンパリングされたガラス基板であり、該第一面の第1の圧縮応力が該第二面の第2の圧縮応力より小さく、
約-20℃から約90℃に及ぶ温度での前記積層板構造の最小曲率半径が、該積層板構造の最大寸法より少なくとも約40倍大きい、方法。
【0070】
実施形態2
前記第1の基板の熱膨張係数が前記第2の基板の熱膨張係数と異なる、実施形態1に記載の方法。
【0071】
実施形態3
前記第2の基板の熱膨張係数が、前記第1の基板の熱膨張係数より少なくとも30%大きい、実施形態2に記載の方法。
【0072】
実施形態4
前記第2の基板が熱的にテンパリングされたまたは化学的にテンパリングされたガラスシートである、実施形態1に記載の方法。
【0073】
実施形態5
前記第1の基板が、ガラス、ガラスセラミック、セラミック、高分子、および金属の基板から選択される、実施形態1に記載の方法。
【0074】
実施形態6
前記第1の基板が、対称または非対称にアニールまたはテンパリングされたガラス基板である、実施形態1に記載の方法。
【0075】
実施形態7
前記積層板構造が、高分子層、追加のガラス層、反射層、導電層、エレクトロクロミック層、フォトクロミック層、および光起電層から選択される少なくとも1つの追加の層をさらに備える、実施形態1に記載の方法。
【0076】
実施形態8
前記中間層が前記第2の基板の第一面と接触するように配置され、該第2の基板の熱膨張係数が、前記第1の基板の熱膨張係数より大きい、実施形態1に記載の方法。
【0077】
実施形態9
前記中間層が前記第2の基板の第二面と接触するように配置され、該第2の基板の熱膨張係数が、前記第1の基板の熱膨張係数より小さい、実施形態1に記載の方法。
【0078】
実施形態10
前記積層板構造の面外撓みが、該積層板構造の厚さの2倍未満である、実施形態1に記載の方法。
【0079】
実施形態11
第1の基板、第2の基板、および該第1と第2の基板を貼り付ける中間層を備えた積層板構造であって、
前記第2の基板は、第一面と第二面を有する非対称にアニールされたまたはテンパリングされたガラス基板であり、該第一面の圧縮応力が該第二面の圧縮応力より小さく、
前記第1の基板の熱膨張係数が前記第2の基板の熱膨張係数と異なり、
約-20℃から約90℃に及ぶ温度での前記積層板構造の最小曲率半径が、該積層板構造の最大寸法より少なくとも約40倍大きい、積層板構造。
【0080】
実施形態12
前記第1の基板の厚さが約0.3mmから約2mmに及び、第2の基板の厚さが約3mmから約10mmに及ぶ、実施形態11に記載の積層板構造。
【0081】
実施形態13
前記第1の基板の熱膨張係数と前記第2の基板の熱膨張係数との間の差が、約1×10-6/℃から約10×10-6/℃に及ぶ、実施形態11に記載の積層板構造。
【0082】
実施形態14
前記積重体が、高分子層、追加のガラス層、反射層、導電層、エレクトロクロミック層、フォトクロミック層、および光起電層から選択される少なくとも1つの追加の層をさらに備える、実施形態11に記載の積層板構造。
【0083】
実施形態15
前記中間層が前記第2の基板の第一面と接触するように配置され、該第2の基板の熱膨張係数が、前記第1の基板の熱膨張係数より大きい、実施形態11に記載の積層板構造。
【0084】
実施形態16
前記中間層が前記第2の基板の第二面と接触するように配置され、該第2の基板の熱膨張係数が、前記第1の基板の熱膨張係数より小さい、実施形態11に記載の積層板構造。
【0085】
実施形態17
前記積層板構造の面外撓みが、該積層板構造の厚さの2倍未満である、実施形態11に記載の積層板構造。
【0086】
実施形態18
積層板構造を製造する方法であって、
第1の基板と第2の基板との間に中間層を配置して、積重体を形成する工程、
前記積重体を第1の平均積層温度に加熱して、積層板構造を形成する工程、および
前記積層板構造を第2の平均温度に冷却する工程、
を有してなり、
前記第2の基板の熱膨張係数が前記第1の基板の熱膨張係数より大きく、
前記積重体を加熱する工程が、前記第1の基板を前記第2の基板の第2の加熱速度より速い第1の加熱速度で選択加熱する工程を含むか、または
前記積層板構造を冷却する工程が、前記第1の基板を前記第2の基板の第2の冷却速度より遅い第1の冷却速度で選択冷却する工程を含む、方法。
【0087】
実施形態19
前記積重体を加熱する工程が、前記第1の基板を第1の積層温度に保持し、前記第2の基板を第2の積層温度に保持する工程を含み、該第2の積層温度が該第1の積層温度よりも低い、実施形態18に記載の方法。
【0088】
実施形態20
前記第1の積層温度が前記第2の積層温度よりも少なくとも20℃高い、実施形態19に記載の方法。
【0089】
実施形態21
前記第1の加熱速度が前記第2の加熱速度より少なくとも約30%大きいか、または前記第2の冷却速度が前記第1の冷却速度より少なくとも約30%大きい、実施形態18に記載の方法。
【0090】
実施形態22
前記第2の基板の熱膨張係数が前記第1の基板の熱膨張係数より少なくとも30%大きい、実施形態18に記載の方法。
【0091】
実施形態23
約-20℃から約90℃に及ぶ温度での前記積層板構造の最小曲率半径が、該積層板構造の最大寸法より少なくとも約40倍大きい、実施形態18に記載の方法。
【0092】
実施形態24
前記積層板構造の面外撓みが、該積層板構造の厚さの2倍未満である、実施形態18に記載の方法。
【0093】
実施形態25
第1のガラス基板、第2のガラス基板、および該第1と第2のガラス基板を貼り付ける中間層を備えた積層板構造であって、
前記第2のガラス基板の熱膨張係数が前記第1のガラス基板の熱膨張係数より少なくとも約30%大きく、
前記積層板構造の面外撓みが、該積層板構造の厚さの2倍未満である、積層板構造。
【符号の説明】
【0094】
100 積層板構造
101、201、301 第1の基板
107、207、307 第2の基板
113 中間層
200、300 積層板
207s、307s 対称基板
215、315 積重体
307a 非対称基板
図1
図2
図3A
図3B
図4