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2022-95862ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095862
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20220621BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20220621BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20220621BHJP
【FI】
H04B7/06 960
H04B7/08 810
H04W16/28
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065209
(22)【出願日】2022-04-11
(62)【分割の表示】P 2019522934の分割
【原出願日】2017-10-27
(31)【優先権主張番号】16195985.3
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17151352.6
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17169587.7
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルホイヤ フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ハンデ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ロギン ナビル スベン
(72)【発明者】
【氏名】シオチナ ダナ
(57)【要約】
【課題】ビームフォーミング・トレーニングを用いる通信デバイス及び方法。
【解決手段】他の通信デバイス(例えば、局)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(例えば、アクセス・ポイント)は、RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、ビームフォーミングを行うように構成されたビームフォーミング回路を含む。ビームフォーミング回路は、アンテナ回路を制御して、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、続くタイムスロットにおいて第3の指向性送信ビーム群を用いてデータを送信し、 上記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて上記第3の指向性送信ビーム群とは異なる、続くタイムスロットにおいて第1の指向性受信ビーム群を用いてリッスンを行う。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための通信デバイスであって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、
ビームフォーミングを実行し、アンテナ回路を制御するように構成されたビームフォーミング回路とを具備し、前記ビームフォーミング回路は、
ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズで、後続のタイムスロットで第3の指向性送信ビーム群を使用してデータを送信し、
ビーコン送信フェーズでスケジューリング情報を送信し、前記スケジューリング情報はどのタイムスロットで第1の指向性受信ビームがビームフォーミング・トレーニング・フェーズでリッスンするために通信デバイスによって使用されるか、及び通信デバイスが特定の第1の指向性受信ビームを用いてリッスンする時間ブロックの数を示し、
ビームフォーミング・トレーニング・フェーズで、第3の指向性送信ビーム群とは異なる後続のタイムスロットにおいて第1の指向性受信ビーム群を使用してリッスンする
ように構成された通信デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、後続のタイムスロットにおいて複数の異なる第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
1以上の前記第1の指向性受信ビームは、前記第3の指向性送信ビームより大きなビーム幅を有し、及び/又は複数の異なる角度セクタをカバーし、及び/又はデータを送信するための前記ビーコン送信フェーズにおいて用いられる前記第3の指向性送信ビームのサブセットである
通信デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、後続のタイムスロットにおいて用いられる前記第1の指向性受信ビームの前記ビーム幅、及び/又は前記角度セクタ、及び/又は数を適応させるように構成された
通信デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
スケジューリング情報は、通信デバイスが特定のタイムスロットで送信しているかどうか、及び/又は他のどの通信デバイスが特定のタイムスロットで送信を許可されているかを示す
通信デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいて対応情報を送信するように構成され、
前記対応情報は特定のタイムスロットにおいてデータを送信するために前記ビーコン送信フェーズにおいて前記通信デバイスによって用いられる第3の送信ビームと、特定のタイムスロットにおいてリッスンを行うために前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記通信デバイスによって用いられる第1の受信ビームとの対応関係を示す
通信デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記他の通信デバイスにどのタイムスロットにおいて、選択された第1の送信ビームを用いてデータを送信するか判断させる前記ビーコン送信フェーズにおいてデータを送信するのに用いる第3の送信ビームのシーケンスを選択するように構成された
通信デバイス。
【請求項7】
他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、
ビームフォーミングを行い、
ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、後続のタイムスロットにおいて第3の指向性送信ビーム群を用いてデータを送信し、
ビーコン送信フェーズでスケジューリング情報を送信し、前記スケジューリング情報はどのタイムスロットで第1の指向性受信ビームがビームフォーミング・トレーニング・フェーズでリッスンするために通信デバイスによって使用されるか、及び通信デバイスが特定の第1の指向性受信ビームを用いてリスニングする時間ブロックの数を示し、
ビームフォーミング・トレーニング・フェーズで、第3の指向性送信ビーム群とは異なる後続のタイムスロットにおいて第1の指向性受信ビーム群を使用してリッスンする
通信方法。
【請求項8】
他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための通信デバイスであって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、
ビームフォーミングを行い、前記アンテナ回路を制御するビームフォーミング回路とを具備し、
前記ビームフォーミング回路は、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズで他の通信デバイスから受信したスケジューリング情報に基づいて、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズでデータが送信される1つまたは複数のタイムスロットを選択するように構成され、前記スケジューリング情報はどのタイムスロットで第1の指向性受信ビームがビームフォーミング・トレーニング・フェーズでリッスンするために他の通信デバイスによって使用されるか、及び他の通信デバイスが特定の第1の指向性受信ビームを用いてリッスンする時間ブロックの数を示し、
他の通信デバイスが続いて異なる第1の指向性受信ビームを使用してリッスンしている間に、少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを使用してデータを送信するように構成され、前記データは、1つまたは複数の選択されたタイムスロットでのみ送信され、他の通信デバイスは、選択された第1の指向性受信ビームを使用してリッスンし、1つまたは複数のタイムスロットは、他の通信デバイスから受信した情報に基づいて選択されるか、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前にビーコン送信フェーズでデータを送信するために他の通信デバイスによって使用される第3の指向性送信ビームから導出される
通信デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいて
a) 前記他の通信デバイスが第3の指向性送信ビームを用いてデータを送信している間に、タイムスロットの少なくとも一部において複数の異なる第3の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、前記他の通信デバイスは続く複数のタイムスロットにおいて複数の異なる第3の指向性送信ビームを用いてデータを送信するステップと、
b) 後続の前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて用いる前記第1の指向性送信ビームを判定するために用いる1以上の第3の指向性受信ビームを選択するステップと
を行うように構成された
通信デバイス。
【請求項10】
請求項8に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいて
a) 前記他の通信デバイスが第3の指向性送信ビームを用いてデータを送信している間に、タイムスロットの少なくとも一部において準無指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、前記他の通信デバイスは続く複数のタイムスロットにおいて複数の異なる第3の指向性送信ビームを用いてデータを送信するステップと、
b) いつ前記他の通信デバイスが選択された第3の指向性送信ビームに対応する第1の指向性受信ビーム又は前記選択された第3の指向性送信ビームをカバーする第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うのか判断することにより、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて複数のタイムスロットのうちどのタイムスロットでデータを送信するのか判断するために用いる1以上の第3の指向性送信ビームを選択するステップと
を行うように構成された
通信デバイス。
【請求項11】
請求項8に記載の通信デバイスであって、
スケジューリング情報は、他の通信デバイスが特定のタイムスロットで送信しているかどうか、及び/又はどの通信デバイスが特定のタイムスロットで送信を許可されているかを示す
通信デバイス。
【請求項12】
請求項8に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は、前記アンテナ回路を制御して、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズで他の通信デバイスから受信した対応情報に基づいて、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズでデータを送信する1つまたは複数のタイムスロットを選択するように構成され、
前記対応情報は、特定のタイムスロットでデータを送信するためにビーコン送信フェーズで他の通信デバイスによって使用される第3の送信ビームと、リッスンのためのビームフォーミング・トレーニング・フェーズで他の通信デバイスによって使用される第1の受信ビームとの間の対応を示す
通信デバイス。
【請求項13】
請求項8に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスが複数の異なる第3の送信ビームを用いてデータを送信する前記シーケンスに基づいて前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてデータを送信する前記1以上のタイムスロットを選択するように構成され、
前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記他の通信デバイスによって用いられる1つの第1の受信ビームによってカバーされる2以上の第3の送信ビームは、前記第1の受信ビームに対応する第3の送信ビームの前又は後にある
通信デバイス。
【請求項14】
請求項8に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスが複数の異なる第3の送信ビームを用いてデータを送信する前記シーケンスに基づいて前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてデータを送信する前記1以上のタイムスロットを選択するように構成され、
続いて用いられる所定の数の第3の送信ビームは第1の受信ビームによってカバーされ、及び/又は
第1の受信ビームの前記シーケンスは第3の送信ビームの前記シーケンスに対応する
通信デバイス。
【請求項15】
請求項8に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記他の通信デバイスからの応答のための第2の受信ビームを用いて、データ送信のための1以上のタイムスロットの後か特別に割り当てられたフィードバック・インターバルにおいてリッスンを行うように構成され、
前記他の通信デバイスは、前記通信デバイスによって送信された前記データが受信された場合、第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成された
通信デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路が前記アンテナ回路を制御し、第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームによって前記応答を送信するため、前記他の通信デバイスによって用いられる少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて送信される前記データに前記第2の送信ビーム情報を含めるように構成された
通信デバイス。
【請求項17】
他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、
アンテナ回路を制御して、ビームフォーミングを行い、
ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズで他の通信デバイスから受信したスケジューリング情報に基づいて、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズでデータが送信される1つまたは複数のタイムスロットを選択し、前記スケジューリング情報はどのタイムスロットで第1の指向性受信ビームがビームフォーミング・トレーニング・フェーズでリッスンするために他の通信デバイスによって使用されるか、及び他の通信デバイスが特定の第1の指向性受信ビームを用いてリッスンする時間ブロックの数を示し、
他の通信デバイスが続いて異なる第1の指向性受信ビームを使用してリッスンしている間に、少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを使用してデータを送信し、前記データは、1つまたは複数の選択されたタイムスロットでのみ送信され、他の通信デバイスは、選択された第1の指向性受信ビームを使用してリッスンし、1つまたは複数のタイムスロットは、他の通信デバイスから受信した情報に基づいて選択されるか、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前にビーコン送信フェーズでデータを送信するために他の通信デバイスによって使用される第3の指向性送信ビームから導出される
通信方法。
【請求項18】
非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
プロセッサによって実行されるとき、請求項7又は17に記載の方法を行わせるコンピュータプログラムが記憶された
記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動局やアクセスポイント等の、互いに無線周波数に基づく通信を行うための複数の異なる通信デバイスに関する。さらに、本開示は同様の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
60GHz周波数帯域の通信システムは、周波数とともに増加する強い自由空間経路損失に悩まされてきた。例えば、60GHzの通信システムでは、5GHzで動作する通信システムに比べて約22dB高い減衰が生じる。増加する経路損失を解決するために、60GHz又はミリ波の通信システムはビーム・フォーミングを用いる。つまり、他の通信デバイスに向かって指向性ビームを形成できる可動式フェーズド・アレイ・アンテナ(PAA)を特徴とする送信装置及び/又は受信装置を用いる。通常、このようなビームは高い指向性を持ち、空間的にとても狭くなっている。主方向における指向性は、PAAごとのアンテナ・エレメントの数に応じて高まる。一方、ビーム半値幅(HPBW)は、アンテナ数の増加に伴いパターンの空間幅が減少することを示す。つまり、PAAごとのアンテナ数が増えるにつれて、指向性は高くなり、HPBWは小さくなる。PAA指向性を通信に利用するためには、一般的にミリ波通信システム、RF通信システム、方法、及びデバイスにとってビーム・アライメントは非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、アソシエーションのためのビームフォーミング・トレーニングが問題となる。なぜなら、i)例えばアクセス・ポイント(AP)における複数の通信デバイスのうちの少なくとも1の通信デバイスが、局(STAs)等のアソシエーションを要求し得る他の通信デバイスに関しての知識を有していなかったり、ii)局が、リッスンを行うことができる「良好な」セクタに関して比較的少ない知識しか有していなかったりするからである。後者に関しては、一般的に局は準無指向性モードでリッスンを行うためである。この第1の問題を解決するために、IEEE802.11ad及び802.11ayによって特定のアソシエーション・ビーム・フォーミング・インターバルが考案された。このアソシエーション・ビーム・フォーミング・インターバルにおいて、局はAPに対して任意に指向性ビームを送信するスロットをランダムに選択する。この指向性ビームはそのアドレスと、ビーコン・インターバルの間に最適に受信されるAP送信ビームに関する情報を含む。
【0004】
この手法は、衝突確率の問題を含む。APは全方向に対してリッスンを行うため、特に、高密度の状況で、複数の局からのフレームが衝突する可能性がある。この手法は、さらに、通信可能範囲(カバレッジ)の問題を含む。STAにおける指向性ゲインがAPにおける指向性ゲインよりも大幅に低かったり、STAがAPから離れていたりする場合、STAから送信されたビームはAPには到達しない。
【0005】
このような通信システムでは、アソシエーション・フェーズにおいて高いアンテナ・ゲインを生じさせ、AP通信可能範囲を拡大し、長距離でのアソシエーションとデータ送信を可能にすることが要求される。また、アソシエーション・フェーズにおいてSTA(第1の通信デバイス)間の衝突確率を低下させることが望ましい。
【0006】
本明細書に記載する背景技術の説明は、本開示がどのような文脈で為されたかの概要を説明する目的で記載するものである。本願の発明者として名前を挙げているものの研究内容は、この背景技術のセクションに記載されている限りにおいて、出願時に先行技術と認められない部分と同様に、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認めるものではない。
【0007】
本開示の目的は、高いアンテナ・ゲインを生じさせ、長距離でのアソシエーションとデータ送信を可能にし、かつ/又はアソシエーション・フェーズにおける衝突確率を低下させる通信システム及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面において、他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための(第1の)通信デバイス(例えば、アクセス・ポイント)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミングを行い、アンテナ回路を制御して、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、続くタイムスロットにおいて第3の指向性送信ビーム群を用いてデータを送信し、上記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて、上記第3の指向性送信ビーム群とは異なる、続くタイムスロットにおいて第1の指向性受信ビーム群を用いてリッスンを行うように構成されたビームフォーミング回路と
を有する通信デバイスを提供する。
【0009】
他の側面において、他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための(第2の)通信デバイス(例えば、局)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、
ビームフォーミングを行い、上記アンテナ回路を制御して、上記他の通信デバイスが複数の異なる第1の指向性受信ビームを続けて用いてリッスンを行っている間に少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータを送信するように構成されたビームフォーミング回路と
を有し、
データは選択された1以上のタイムスロットにおいてのみ送信され、上記選択された1以上のタイムスロットにおいて、上記他の通信デバイスは選択された第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、
上記1以上のタイムスロットは上記他の通信デバイスから受信する情報またはビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて上記他の通信デバイスがデータを送信するのに用いる第3の指向性送信ビームから生じる情報に基づいて選択される
通信デバイスを提供する。
【0010】
通信方法の他の側面によると、コンピュータプログラムがコンピュータプログラムを含むコンピュータや非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって実行されたとき、本明細書に開示する方法に含まれるステップがコンピュータによって実行されるプログラムを含むコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、プロセッサにより実行されると、本明細書に開示する方法を実行する。
【0011】
実施形態は従属クレームによって定義される。開示された方法、開示されたコンピュータプログラム、および開示されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、請求項に係るデバイスとして、従属項及び/又は本明細書で定義されたものと同様の及び/又は同一のさらなる実施形態を有する。
【0012】
本開示の一側面によれば、少なくとも第2の通信デバイス(AP)に、好ましくは両方の通信デバイス(AP及びSTA)に指向性ビームを適用するアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングを提供する。これは、アソシエーション・フェーズにおけるリンク・バジェットを増加させる。これは長距離アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング等のアソシエーション範囲を広げるために利用される。つまり、第2の通信デバイスから遠く離れた第1の通信デバイスは第2の通信デバイスの基本サービスセット(BSS)を見つけ、それに参加する。また、相反性が想定できる場合には、アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング中にチャネル・アクセスを変更することを提案する。これにより、第1の通信デバイス固有の空間ビーム分離を利用して、第1の通信デバイス間の衝突確率を低下させることができる。
【0013】
また、トレーニング時間を減らしたり、通信可能範囲を拡張したり、衝突確率を減らしたりするためのプロトコルやシグナリング・ソリューションも開示する。開示された手法を用いれば、指向性アソシエーション・フェーズでAPに利用される複数の受信ビームは同じものに限定されないし、前のビーコン・トレーニング・インターバルで利用された複数の送信ビームの順番と同じ順番に限定されることもない。さらに、開示されたソリューションの実施形態によれば、アソシエーション・インターバルにおいてAPは可変のビーム幅を用いてリッスンを行うことができる。これにより、ビーコン・インターバルの送信セクタ掃引(スイープ)で以前用いられた1以上の狭ビームをカバーするビーム幅を選択してもよい。これにより、最先端の方法に比べても、オーバーヘッドとトレーニング時間を減らすことができる。
【発明の効果】
【0014】
高いアンテナ・ゲインを生じさせ、長距離でのアソシエーションとデータ送信を可能にし、かつ/又はアソシエーション・フェーズにおける衝突確率を低下させる通信システム及び通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1と第2の通信デバイスを含む通信システムの模式図である。
図2】IEEE802.11adに記載の送信インターバルの図である。
図3】従来のアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの図である。
図4】ビーコン送信インターバルの図である。
図5】1つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第1の実施形態の図である。
図6】2つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第2の実施形態の図である。
図7】相反性のある2つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第3の実施形態の図である。
図8】ビーコン・インターバル・コントロール・フィールドの図である。
図9】ビーコンフレームボディ構成の図である。
図10】シンプル・アソシエーション・ビームフォーミング・コントロール・フィールドの図である。
図11】アドバンスド・アソシエーション・ビームフォーミングコントロール・フィールドの図である。
図12】他の側面に係るビーコン送信フェーズの実施形態の図である。
図13】他の側面に係るアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの実施形態の図である。
図14】SSWフィールドの実施形態の図である。
図15】PPDU、フレーム構成、対応するAWM構成の第1の実施形態の図である。
図16】PPDU、フレーム構成、対応するAWM構成の第2の実施形態の図である。
図17】ビーコン送信フェーズの他の実施形態の図である。
図18】ビーコン送信フェーズとビームフォーミング送信フェーズのさらに他の実施形態の図である。
図19】拡張スケジューリング・エレメントの実施形態の図である。
図20】拡張スケジューリング・エレメントの他の実施形態の図である。
図21】EDMG拡張スケジューリング・エレメントの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、WLANシステムの用語を使用する。つまり、第1の通信デバイスの例として局(STA)を用い、第2の通信デバイスの例として単一のセントラル・ネットワーク・アクセス・ポイント(AP)またはパーソナル・ベーシック・サービス・セット・コントロール・ポイント(PCP)(本明細書ではAPと称する。WLANの用語において、APまたはPCPを、PCP/APと略す場合もある。)を用いる。第1と第2の通信デバイスを送信装置及び受信装置と称する場合もある。両通信デバイスとして、60GHz(ミリ波)の周波数帯域で無線でデータを送受信するデバイスを意図とする。しかし、本発明はミリ波LTE等のビームフォーミングを用いる他のRF通信システムにも適用可能である。
【0017】
前述の段落は、一般的な序論として提供したものであり、以下の特許請求の範囲を限定するものではない。本開示の実施形態は、更なる利点とともに、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解される。
【0018】
添付の図面と合わせて検討される以下の詳細な記載を参照することにより、記載する実施形態は更なる利点と共に最も良好に理解される。
【0019】
図面を参照して、同様の参照符号は、いくつかの図面にわたって同一または対応する部分を示す。図1から図11は本開示の第1の側面に係る通信デバイスと方法を示す。図12から図18は本開示の第2の側面に係る通信デバイスと方法を示す。
【0020】
図1は第1の通信デバイス1、3(局STA1、STA2)と第2の通信デバイス2(アクセスポイントAP)を含む通信システムの模式図である。第1の通信デバイス1、3はそれぞれアンテナ回路(アンテナユニットとも呼ぶ)10、30とビームフォーミング回路(ビームフォーミングユニットとも呼ぶ)11、31を含む。アンテナ回路10、30はRF信号を送受信するように構成され、ビームフォーミング回路11、31はビームフォーミングを行い、それぞれのアンテナ回路10、30を制御するように構成される。同様に、第2の通信デバイス2はアンテナ回路20とビームフォーミング回路21を含む。アンテナ回路20はRF信号を送受信するように構成され、ビームフォーミング回路21はビームフォーミングを行い、アンテナ回路20を制御するように構成される。これらの詳細な動作は後述する。
【0021】
60GHz周波数帯域の通信システムは、周波数とともに増加する強い自由空間経路損失afsに悩まされてきた。
【数1】
上記の式はdB換算での自由空間経路損失を周波数fとリンク距離dの関数として表す。これによると、60GHzの通信システムでは、5GHzで動作する通信システムに比べて約22dB高い減衰が発生する。
【0022】
増加した経路損失を解決するために、60GHz又はミリ波の通信システムはビームフォーミングを用いる。つまり、他の通信デバイスに向かって指向性ビームを形成できる可動式フェーズド・アレイ・アンテナ(PAA)等のアンテナ回路を特徴とする送信装置及び/又は受信装置を用いる。通常、このようなビームは高い指向性を持ち、空間的にとても狭くなっている。主方向における指向性は、PAAごとのアンテナ・エレメントの数に応じて高まる。一方、ビーム半値幅(HPBW)は、アンテナ数の増加に伴いパターンの空間幅が減少することを示す。つまり、PAAごとのアンテナ数が増えるにつれて、指向性は高くなり、HPBWは小さくなる。PAA指向性を通信に利用するためには、ビーム・アライメントがミリ波通信システムにとって非常に重要である。
【0023】
以下に記載する実施形態において、WLANシステムの用語を使用する。つまり、局(STA)と、単一のセントラル・ネットワーク・アクセスポイント(AP)又はパーソナル・ベーシック・サービス・セット・コントロール・ポイント(PCP)を用いる。つまり、ここで用いるAPという用語は一般的にAPまたはPCPを意味すると理解される(WLANの用語において、APまたはPCPを、PCT/APとも呼ぶ場合もある)。STA及びPCT/APの両方とも60GHz(ミリ波)等の周波数帯域で無線でデータを送受信することを意図とする。しかし、本開示は上記周波数帯域に限定されない。例えば、本開示はミリ波LTE等のビームフォーミングを用いる他の通信システムにも適用可能である。
【0024】
本開示は、特にアソシエーション・フェーズ(ビームフォーミング・トレーニング・フェーズ又はアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・フェーズとも呼ぶ)に関して述べる。アソシエーション・フェーズでは、STAがAPを発見し、そのAPとアソシエーションを行う。初期のビーム・アラインメントが必要になるので、このフェーズは特に難しいものである。
【0025】
図2はIEEE802.11adに記載の送信インターバルの図である。ビーコン・インターバル(BI)は連続的に繰り返されており、ビーコン・ヘッダ・インターバル(BHI)はアソシエーションに関するすべてのフェーズを含む。データ送信インターバル(DTI)において、実際にデータが送信される。DTIはBHIより長いほうが望ましいため、BHIにおけるアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング(A-BFT)フェーズと通知送信インターバル(ATI)は場合によっては省略される。このことはBTIにおいて送信されるビーコン・フレームによって示される。
【0026】
IEEE802.11adによると、一般的に、ビーコン送信インターバル(BTI)においてAPは種々の指向性ビームを通じて識別データを送信する。種々の指向性ビームの主たる指向性はそれぞれ異なる空間方向にある。STAは、例えば(準)無指向性(以降、準無指向性とも呼ぶ)または広ビーム・アンテナを用いてメディアに対するリッスンを行う。つまり、指向性パターンは用いられない。STAがAP識別データを受信すると、メッセージに添付されたセクタIDを記憶する。さらに、BTIに続くアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング(A-BFT)フェーズにおいて逆向きに(STAからAP)送信するタイムスロットを(例えばランダムに)選択する。A-BFTにおいて、STAは種々の指向性ビームを用いてAPにデータを送信する。APは(準)無指向性アンテナを用いてリッスンを行う。STA送信データは前のBTIにおける最適なセクタIDを含む。STAが送信を止め、APが少なくとも1つのメッセージの受信に成功すると、APは最高の品質で(例えば高SNRで)受信されたSTAセクタを含む受信を承認する。このメッセージは、前のA-BFTフェーズで示された最適なセクタIDに対応するビームを介して送信される。実際のアソシエーション手続きは、続く通知送信インターバル(ATI)において行われる。ATIにおいては、BTI及びA-BFTの最適なセクタIDによって示された最適なビームが用いられる。
【0027】
A-BFTにおいて、いくつかのSTAがチャネル・アクセスに関して競合する。従って、図3に示されるように、A-BFTは複数のスロットに分割される。図3は従来のアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの図である。ここで、A-BFTは例えば4つのスロットに分割される。この4つのスロットにおいてSTAは応答を行う。APとのアソシエーションを希望するSTAはランダムに1つのスロットを選択する。これにより、衝突の可能性を下げることができる。衝突が起きた場合には、APは衝突を検出することができ、受信確認としてSSWフィードバック・フレームを送信しない。SSWフィードバックが送信される場合、SSWフィードバックはSTAの最適な送信セクタIDの情報を含む。SSWフィードバックを受信しないSTAは、さらに次のBIのA-BFTスロットをランダムに選択する。1つのA-BFTスロットにおける複数の異なるアンテナ・セクタの掃引は、実際にはSSWフレームにて行われる。各SSWフレームは、異なるアンテナ・セクタによって送信される。アンテナ・セクタは同一のSSWフレーム中で示されるセクタIDラベルを含む。
【0028】
上記の動作は、アソシエーションが指向性-無指向性(D2O)モードで行われるという欠点がある。なぜなら、指向性-無指向性(D2O)モードは指向性-指向性(D2D)モードに比べてアンケナ・ゲインが低いためである。このため、本開示ではアソシエーション・フェーズにおいてよりアンテナ・ゲインが高いD2Dを用いたアソシエーション・フェーズを用いる。これにより、APの通信可能範囲を拡張し、長距離でのアソシエーション及びデータ送信を行うことができる。さらに、ダブル指向性(D2D)ビームフォーミングは、アソシエーション・フェーズにおける空間的再利用を可能とするため、アソシエーション・フェーズにおけるSTA同士の衝突確率を下げるために活用されることが期待される。
【0029】
図4は本開示の一側面における複数のビーコン送信インターバル(BTI)の図を示す。つまり、図4は、トレーニング予定のN個の異なる受信パターンを持つSTAを想定したときの、AP TXとSTA RXのトレーニング手順(ビーコン送信フェーズとも呼ぶ)を示す。BTIにおいて送信される各指向性マルチギガビット(DMG)ビーコンフレームは、DMGビーコンによって信号送信される専用の方向またはセクタを用いる(つまり、専用の送信ビーム。ここでは「第3の指向性送信ビーム」とも呼ぶ)。つまり、DMGビーコンを受信するSTAはこの特定のビーコンを送信するためにAPが用いたTXセクタIDを検索することができる。
【0030】
上記BTIの動作の第1のステップはAP側では変更しないままでよい。つまり、APは種々の指向性ビーム40(「第3の指向性送信ビーム」)を介して識別データを送信する。上記公知の動作とは対照的に、STAは種々の指向性受信ビーム50(「第3の指向性受信ビーム」)を用いてリッスンを行う。この時点では、フレーム構造に対するSTAのアライメントが行われていないため、STAはSTAの指向性受信ビーム50を少なくとも1つのビーコン・インターバル(BI)の期間に適用してもよい。BI中は、受信パターンは変化しないものとする。IEEE802.11ad規格はBIの最大期間を1000msと規定している。標準的には最大期間は100msの範囲にある。STAはチャネルに対して連続してリッスンを行い、これにより連続して指向性受信パターンを適用することができる。全ての指向性受信パターンが適用された後は、APが検出される場合と(ケースA)、APが検出されない場合がある(ケースB)。
【0031】
ケースAにおいては、STAはダブル指向性A-BFT(DD-A-BFT)フェーズでの通信を予定しており、最適なAP送信セクタ(例えば、「第2の送信ビーム情報」として保存する。TXAPとも呼ぶ)と、最適なSTA受信セクタ(例えば、「第2の受信ビーム情報」として保存する。RXSTAとも呼ぶ)を保存する。最適なセクタは、例えばSNRやSINR、リンク容量を評価することにより決定できる。
【0032】
特殊な状況下においては、STAはDD-A-BFTで通信することのみを考慮すればよい。特殊な状況とは例えば、(i)TXAPセクタ及びRXSTAセクタを用いて受信したSNRが閾値を下回る場合、(ii)前のBTIにおける準無指向性パターンを用いたデータ受信が成功しなかった場合、(iii)定期的なA-BFTにおける準無指向性パターンを用いたFailed RSS Attemptsの数(アソシエーション試行が失敗した回数)が閾値を上回る場合、又は(iv)アソシエーション・フェーズにおいて空間的再利用の必要性を生じさせる定期的なA-BFTにおいて発生する衝突が多すぎる場合、である。SNRが閾値を上回る場合、STAは定期的なA-BFTを考慮するものとする。閾値は、dB換算で以下の式によって定義され得る。
γ_target+D_(STA,RX)+D_(AP,TX)-D_(STA,TX)-D_(AP,RX)
【0033】
従って、γtargetはdB換算でのControl PHY MCSの対象SNRを示す。これは最も安定している変調・符号化方式(MCS)であり、ビームフォーミング・トレーニングに適用される。さらに、DはそれぞれTX又はRXモードにおけるSTA又はAPのdB換算のビーム指向性を示す。
【0034】
ケースBにおいてはAPは検出されず、STAは種々の指向性ビームを用いて、連続的に又は後の時点においてリッスン手順を繰り返しても良い。
【0035】
なお、トレーニング・フェーズにおいてAPは特別な動作は行わなくてもよい。変更は主にSTA側において行われる。従って、この手法はIEEE802.11ad及び/又はIEEE802.11ay BTIに記載されているように、どのBTIの再利用も可能である。専用のダブル指向性も長距離BTIも必要ない。空間的再利用がSTAの主な目的だとすると、IEEE802.11adに基づいて行われるように、単一のBTIフェーズにおいて無指向性パターンを用いた受信が行われ得る。前提条件として、経路損失を解決するのに十分なリンク・バジェットが求められる。
【0036】
第2のフェーズ(アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・フェーズとも呼ぶ)において、STA TX及びAP RX手順が種々のDD-A-BFTスロットで行われる。1つのDD-A-BFTスロットにおいて、STAは複数の異なる送信セクタを、SSWフレームごとに用いる。DD-A-BFTスロットにおいて、APはAPの受信部パターンを変更しないままにしておく。つまり、1つのDD-A-BFTスロットにおいてSTAによって送信される各SSWフレームはそれぞれ同一の受信ビームまたはRXセクタを用いてAPにより受信されるものとする。各DD-A-BFTスロットはそれぞれ異なるAP受信部パターンを用いる。公知の手順とは対照的に、全てのビームの組み合わせ候補をカバーするように、STAはすべてのDD-A-BFTスロットにおいてSSWフレームを送信する。
【0037】
相反性がある場合には、チャネル、適用されるビーム、及びアンテナはそれぞれ独立しており、その通信方向は不変である。つまり、TXとRXビームは同じ特性を持ち、メインローブ指向性とHPBWに関しては同様であり、サイドローブの位置はサイドローブ減衰が十分に大きい限り重要ではない。チャネル相反性は実施特性であるビーム及び/又はアンテナ相反性を成立させるための前提条件である。このため、ビーム及び/又はアンテナ相反性はSTA及び/又はAP側の一方又は両方にあってもよい。または、ビーム及び/又はアンテナ相反性はSTA側とAP側どちらにも無くてもよい。つまり、この性質はデバイス固有のものである。説明を簡略化するために、「相反性」の用語を以下でも使用する。シングル・アンテナ・システムの場合、相反性とはチャネルとビームの相反性を含む。マルチ・アンテナ・システムの場合、アンテナ相反性は追加的な前提条件である。
【0038】
まず、AP側にもSTA側にも相反性が無い場合を想定する。図5は1つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第1の実施形態の図である。各DD-A-BFTスロットにおいて、APはそれぞれ指向性ビーム60、62(「第1の指向性受信ビーム」)を用いてリッスンを行う。各DD-A-BFTスロットはそれぞれ異なるビーム60、62を含み得る(後述のように、これは種々のDD-A-BFTスロットにおいて同じ受信ビームを使用するのに都合が良いためである)。
【0039】
STAは1以上のA-BFTスロットにおいて複数のSSWフレームを送信する。1以上のA-BFTスロットは、DD-A-BFTの第1のA-BFTスロットから開始する。各DD-A-BFTスロットにおいて、STAはM個の異なる送信パターンを用いて掃引を行うことができる。つまり、STAは複数の異なる指向性ビーム70(「第1の指向性送信ビーム」)を用いる。従って、各SSWフレームはBTIフェーズ(図4参照)において決定され、最適に受信されたAP送信セクタ(TXAP、「第2の送信ビーム情報」)及びSTAの現在の送信セクタに関する情報を含む。SSWフィードバック(「応答」)を受信するため、STAはBTIフェーズの初めで決定されたRXSTA(「第2の受信ビーム情報」)によって示された最適なRXビーム71を用いる。
【0040】
スロットNの数と、スロットごとのM個のSSWフレームはビーコン・インターバル・コントロール・フィールド(後述する)において信号送信され、APによって決定され得る。STAがM個よりも少ない送信セクタしかサポートしない場合には、すべての送信パターンが完了後に現在のスロットにおける送信を中止し、必要であれば次のDD-A-BFTスロットにて再開する。STAがM個よりも多い送信セクタをサポートする場合には、1つのスロットにおいて送信されるのは選択済みのM個のセクタのみとする。この選択手順はSTA固有のものであり、使用可能なセクタ間での角度補間を含み得る。
【0041】
SSWフィードバックに関して、下記のルールが一実施形態において適用されることが好ましい。
1. APが、STAによって送信されたSSWフレームの復号が可能だった場合、SSWフレーム(TXSTA、「第1の送信ビーム情報」)に含まれるTXセクタ情報データを用い、TXAP(「第2の送信ビーム情報」)によって示される指向性送信ビーム61を用いてSSWフィードバック(「応答」)を送信することが好ましい。
2. 復号可能なSSWフレームが存在しない場合、又は複数のSTAが同時に受信される場合(衝突)にはSSWフィードバックは送信されない。衝突とは、少なくとも2つのSTAから同時にSSWフレームが受信されることと定義される。1つのDD-A-BFTスロットにおける複数のSTAからの複数の有効なSSWフレームの受信は衝突とは見なされない。これはフィードバック混雑状態とみなされる。なお、規格によっては、2つのSTAが異なるSSWフレームにアクセスする場合であっても2つのSTAが同じA-BFTスロットを使うことを衝突と定義している場合もある。
3. 1つのDD-A-BFTスロットにおいて複数の異なるSTAから複数のSSWフレームが受信された場合(フィードバック混雑状態)、SSWフィードバックは最も強いSTA宛となる。未送信のSSWフィードバックは、同じDD-A-BFTにおける今後のDD-A-BFTスロット宛となり得る。この場合、最も強いSTAにSSWフィードバックを送信するときと同じルールが適用される。DD-A-BFTフェーズの最後においても残っているすべての未送信のSSWフィードバックは無視されることとする。
4. STAがSSWフィードバックを受信した場合、現在のBTIにおける更なるDD-A-BFTスロットでの送信は中止される。これは、DD-A-BFTスロットが他の局とのアソシエーションに使われることを保証するためである。
5. STAがフィードバックを受信しなかった場合、さらなるDD-A-BFTスロットでの送信をスケジューリングし、同じDD-A-BFTフェーズのすべてのSSWフィードバック・フェーズにおいてチャネルのリッスンを継続する。これは、フィードバック混雑が発生した場合、後の時点においてSSWフィードバック・フレームをSTAが受信できるようにするためである。
【0042】
図5では、N番目のDD-A-BFTスロットにおいてAPが有効なSSWフレームを受信することを想定する。従って、N番目のDD-A-BFTスロットの最後において送信されるSSWフィードバックは1つだけである。
【0043】
公知の動作と対照的に、セクタ掃引を行うための1つのA-BFTスロットをSTAがランダムに選択する場合(STAがセクタ掃引を完了できない場合は、次のスロットで継続する)、いくつかの実施形態においてSTAは第1のDD-A-BFTスロットの初めから送信を行う。APが無指向性パターンの代わりに指向性受信ビームを用いることによって、衝突の可能性を下げることができる。衝突は、1つのDD-A-BFTスロットの1つのSSWフレーム・インターバルにおいて2以上のSTAからの信号が同じくらいのパワーで受信されたときに発生する。APは指向性受信パターンを用いるため、準無指向性受信に比べて衝突可能性は低い。
【0044】
APが複数のSTAから複数の有効なSSWフレームを受信した場合、上記ルール3が適用される。なぜなら、2つのフレームは同時には受信されず、これは衝突ではないからである。この点に関して、APは、解決すべきフィードバック混雑状態を引き起こす可能性のない2つのSSWフィードバックを送信しなくてはならない(IEEE802.11ad仕様参照)。従って、APは最も強いもの(例えばSNRやSINR、容量に関して)を受信したSTAに対して送信を行い、以降のSSWフィードバックの機会のうちの1つにおいて弱いSTAに対処する。又は、複数のSTAに対する同時フィードバックを可能にするフレーム構成を想定することも可能である。この場合、同じDD-A-BFTスロットにおいて受信されたすべてのまたは一連のSTAに対してSSWフィードバックが同時に送信されてもよい。
【0045】
図6は同時にアソシエーシを行う2つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第2の実施形態の図である。STA1とSTA2がそれぞれ第1と第2のDD-A-BFTスロットにおいてアソシエーションを行うことができる場合を想定する。SSWフィードバックが受信された場合は、続く通信で用いる最適なTX及びRXセクタIDをAPとSTAの両方が認識している。なお、それぞれSSWフレームとSSWフィードバックにおいてAPとSTAの間で送受信を行う必要があるのはTXセクタ情報のみである。
【0046】
図6に示した例において、第1のセクタ掃引でSTA1は第1の指向性送信ビーム70を用い、STA2は第1の指向性送信ビーム80を用い、APは第1の指向性受信ビーム60を用いてリッスンを行う。好ましくは、第1の指向性送信ビーム70、80は各STA(つまり、TXAP(STA1)及びTXAP(STA2)、「第2の送信ビーム情報」)のビーコン送信インターバルにおいてAPによって用いられる最適な第3の送信ビームに関する情報を含む。
【0047】
第1の掃引中にAPがSTA1からのみ有効なSSWフレームを受信した場合、STA1からの第2の送信ビーム情報TXAP(STA1)によって示される第2の指向性送信ビーム61を用いてSTA1宛のSSWフィードバック(「応答」)を送信する。同時に、STA1とSTA2は第2の受信ビーム情報RXSTA1及びRXSTA2によって示されるそれぞれの第2の指向性受信ビーム71、81を用いてリッスンを行う。例えば、MACアドレス、アソシエーション識別子(AID)、又はpre-AID等の対応する識別子を含むことによってSSWフィードバックがSTA1宛となるため、STA1は続く通信で使うのに最適なセクタ(つまり、最適な指向性送信ビーム)を認識し、61を用いて送信されるSSWフィードバックにこの情報が含まれる。これにより、STA1は続くスロットにおいてSSWフレームの送信を中止することができる。
【0048】
続いて、第2のセクタ掃引でSTA2は第1の指向性送信ビーム80を用い、APは第1の指向性受信ビーム62を用いてリッスンを行う。APがSTA2から有効なSSWフレームを受信した場合、STA2からの第2の送信ビーム情報TXAP(STA2)によって示される第2の指向性送信ビーム63を用い、STA2宛にSSWフィードバック(「応答」)を送信する。同時に、STA2は第2の受信ビーム情報RXSTA2によって示されるそれぞれの第2の指向性受信ビーム81を用いてリッスンを行う。例えば、対応する識別子を含むことによってSSWフィードバックがSTA2宛となることにより、STA2は続く通信で使うのに最適なセクタ(つまり、最適な指向性送信ビーム)を認識し、SSWフィードバック63にこの情報が含まれる。これにより、STA2は続くスロットにおいてSSWフレームの送信を中止することができる。
【0049】
図7は相反性のある2つのSTAを用いたアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングの第3の実施形態の図である。この場合、STAはすでに最適なTXビーム、つまり最適なRXビームに関する情報を取得している。つまり、TXSTA = RXSTAである(等号は上述のように解釈される)。この場合、STAは、TXSTA = RXSTAを用いて各DD-A-BFTスロットにおいて1つのSSWフレームのみをランダムに送信する。これは、同じBIにおいてアソシエーションが競合している他のSTAのためにDD-A-BFTスロットを空けるために行う。図7は2つのSTAのための基本的な手順を示す(衝突やフィードバックの混雑は想定しない)。破線で示されたSSWフレームは、送信されない仮想のプレースホルダとしてのフレームを示す(SSWフレーム送信機会)。
【0050】
さらに、いつAPが特定の受信パターンを使用するのかをSTAが認識している場合かつ、APが相反性を特徴としている場合、APが所望の受信ビームを用いて受信を行う各DD-A-BFTスロットにおいて、1つのSSWフレームのみを送信する。STAが最適なTXAPセクタを認識しているということは、最適なRXAPセクタについても認識している(TXAP = RXAP)ということである。TXビームとRXビームの掃引シーケンスが等しい場合、STAはDD-A-BFTにおいていつAPが適切な受信パターンを適用するか予測することができる。又は、DD-A-BFTにおいてAPが使用する予定のRxセクタはDMGビーコン内で信号送信することができる。この場合、1つのSTAは、BI中のすべてのDD-A-BFTスロットにおける1つのSSWスロットをランダムに占めることができる。しかし、より高い安定性を求め、APにおいてより多くのRXセクタ(例えば隣接RXセクタ)のトレーニングを行うために、1つのSTAは複数のSSWスロットを占めることもでき、及び/又は、そのTXセクタ(例えば、BTIにおけるAP SSWにおいて最も高いSNRが受信されたRXセクタに隣接するTXセクタ)より多いセクタのトレーニングを行うため、1つのスロットにおいてより多くのSSWフレームを用いることもできる。
【0051】
APが相反性を特徴とし、STAが相反性を特徴としない場合、STAは、APが適切な受信セクタを適用する1つのスロットにおいてのみ送信を行う。つまり、RXAP = TXAPとなる。この際、STAは、APが専用の受信セクタをどのスロットに適用するか認識する必要がある。
【0052】
なお、「相反性なし」、「STA相反性」、「AP相反性」、及び「AP・ST相反性」の4つのバリアント型のすべてが独立して、同時に適用されることが可能である。関連するすべてのSTAが同じ性質やアクセスルールを有する必要はない。
【0053】
現在のIEEE802.11adの仕様において、APは1μsのラウンドトリップタイム遅延のみをサポートする。これは、150mの最大範囲に相当する。IEEE802.11規格に規定されているように、例えば「Coverage Class field」を用いてこの値を1μsの倍数に変更することが提案されている。現在のところ、これはミリ波通信には適用できない。
【0054】
すべての変数パラメータは図8に示すビーコン・インターバル・コントロール・フィールドにおいて信号送信され得る。ビーコン・インターバル・コントロール・フィールドは、DMGビーコン・フレーム・ボディの一部である。例えば、A-BFT lengthフィールドはA-BFTスロットの数(1から8)を示す。FSSは1つのA-BFTスロット内のSSWフレーム・スロットの数(1から16)を示す。Next A-BFTフィールドはA-BFTが存在しないBIの数を示す。N BIs A-BFTフィールドは、ビーコン・インターバルの数として、APがA-BFTを割り当てるインターバルを示す。他のフィールドに関しては、IEEE802.11規格に記載の通りである。
【0055】
次のA-BFTがDD-A-BFTの場合、DD-A-BFTに求められる最小限の変更は、表示である。DD-A-BFTを表示するために、予約ビット(図8のB44からB47)のうちの1つを使うことが提案される。
【0056】
DD-A-BFTを信号送信するための他の選択肢として、図9に示すDMGビーコン・フレーム・ボディにコントロール・フィールドをさらに追加することが考えられる。DMGビーコン・フレーム・ボディはいくつかの部分的に任意のシグナリング・フィールドを含み、これによりフレーム・ボディの長さは可変となる。つまり、DD-A-BFTを信号送信するためにはいくつかの選択肢を用いることが可能である。
図10に示す構造を持つシンプルDD-A-BFTコントロール・フィールドの導入。
・DD-A-BFT lengthフィールドがDD-A-BFTスロット数(1から8)を示す。
・FSSフィールドが1つのDD-A-BFTスロット内のSSWフレーム数(1から16)を示す。
・Next DD-A-BFTフィールドはDD-A-BFTが存在しないBIの数を示す。
・DD-A-BFT countフィールドは、DMGビーコン・フレームを送信するSTAがDD-A-BFTのためのRX DMGアンテナを最後に切り替えて以降のDD-A-BFTの数を示す。値がゼロの場合、次のDD-A-BFTで用いられるDMGアンテナは前回のDD-A-BFTで用いられたDMGアンテナとは異なる。
・N-DD-A-BFT in Antフィールドは、いくつのA-BFTでDMGビーコン・フレームを送信するSTAが各DMGアンテナからの受信を行ったかを示す。
・DD-A-BFT lengthフィールドで信号送信したように、テストしたビームの数がDD-A-BFTスロット数よりも多い場合にすべての受信セクタにトレーニングを行うためにAPがいつくかのDD-A-BFTフェーズを使用できるようにするアドバンスドDD-A-BFTコントロール・フィールド(図11参照)の導入。これは「fragmented DD-A-BFTビットによって示される。必要なDD-A-BFTスロットの数は「DD-A-BFT span」によって示される。
【0057】
合計でN個の重複しない受信パターンが存在することを想定した場合、各受信パターンは約10 log10N dBのゲインのリンク・バジェットを提供することができ、結果として、例えば自由空間経路損失の式に従って√N倍のリンク距離となる。
【0058】
また、N個の異なる重複しない受信パターンを想定し、STAが空間的に均等に分配されると想定した場合、同時に加入するSTAの衝突確率は因数Nの分だけ減少する。
【0059】
図12から18は本開示の第2の側面における通信デバイスと方法を示す。
【0060】
STAがL個のRXビーム(Lはビーム候補の数)を用いて各セクタ掃引(SSW)スロットを通じて受信ビームの掃引を行う必要がある場合、指向性ビームのすべてのTX/RXの組み合わせを検証する必要があるため、オーバーヘッドの大幅な増加を引き起こす。例えば、イニシエータ送信セクタ掃引(I-TXSS)フェーズにおいて受信するすべてのビームの方向に対してAPがリッスンを行った場合、多くのスロットが必要になる(現状ではアンテナ・アレイごとに最大でL=64回の掃引が定義される)。
【0061】
つまり、第2の側面において、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてリッスンを行うためにAPによって用いられる第1の受信ビーム群は、数(サブセットのみが必須であり得る)、幅(受信においてAPに使用されるのはより大きなビーム幅であり得る)、及び/又は角度セクタ(角度セクタはビーコン送信フェーズにおける送信で以前に用いられたセクタの組み合わせであり得る)に関して、ビーコン送信フェーズにおける送信でAPにより用いられた第3の送信ビーム群とは異なる。
【0062】
第2の側面に係るアソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングは上記のDD-A-BFTとして、同様のA_BFTスロットにおいて行われる。又は、予定アソシエーション・ビームフォーミング・サービス期間において行われ得る。後述のように、好適な実施形態によると、ビームフォーミング・トレーニングはDD-A-BFTと予定インターバルの両方で行われ、より高い柔軟性と安定性を得る。
【0063】
図12は第2の側面に係るビーコン送信フェーズの実施形態の図である。上記と同様に、APは指向性ビーム140(「第3の指向性送信ビーム」)を用いてビーコン・フレーム102を送信する。上記に加え、各ビーコン・フレーム102は、N個のトレーニング・ユニット(TRN)を加えた物理プロトコル・データ・ユニット(PPDU)に埋め込まれる。つまり、図12に示す実施形態では、ビーコンPPDU100はプリアンブルと、ヘッダ・フィールド(PH)101と、ビーコン・フレーム102と、1以上の(通常はN個の)トレーニング・ユニット103を含む。複数のSTA(図12ではそのうちの1つのみを示す)は、TRNフィールドを含む各送信ビーム150のための1以上の(N個の)受信ビーム150(「第3の受信ビーム」)のリンク品質を(例えば、受信パワーを評価することによって)推定し、この情報に基づいて、続くビームフォーミング・トレーニング・フェーズで送信が可能な最適な広ビームを推定する。
【0064】
第2の側面によると、アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて、例えば一実施形態として図13に示すように、APは一部のセクタのために、以前ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて掃引されたいくつかの狭ビーム140に対応する広ビーム160(「第1の受信ビーム」)を用い得る。詳述すると、アソシエーション・フェーズにおいてAPが受信を行う各角度セクタは、ビームフォーミング・フェーズにおいて狭ビーム140にカバーされる1つの角度セクタまたはその角度セクタの共用体を含み得る。これにより、STAが、ビーコン送信フェーズでの送信のためにAPによって用いられる狭送信ビーム140と、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズでのリッスンのためにAPによって用いられる広受信ビーム160との間の対応関係についての情報を得ることが好ましい。以下の、いくつかの選択肢も可能である。
【0065】
選択肢の1つのよると、狭送信ビーム140と広受信ビーム160の対応関係に関する情報は、ビーコン100に含まれる。つまり、現在フレームが送信される指向性送信ビーム140(例えば、D )に対応するセクタ・インデックスに加えて、各ビーコン・フレーム102は指向性送信ビーム140と対応する広受信ビーム160のインデックスも含み得る(例えばD ∈W のとき、W )。指向性アソシエーションが、異なるビーム幅を用いる複数のサブステージを含むことができる場合、各ビーコン・フレーム102は狭送信ビーム140と対応するすべての広受信ビーム160を含み得る(例えば、D ∈W S1∈..∈W 11のとき、W 11,.. W S1,)。
【0066】
STAは、ビーコン100が送信された指向性送信ビーム140に最適な(例えば、最も強いパワーを受信する)第3の受信ビーム150を推定する。対応情報によって示されるように、狭送信ビーム140が1つの広セクタ160のみと対応する場合、アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・フェーズでSTAはこの広セクタ(つまり、広幅の第1の受信ビーム160)を用いてAPが「リッスン」を行うタイムスロットにおいて第1の送信ビーム170を用いて送信を行う。
【0067】
この広狭のビーム対応関係情報がどこに含まれるのかに関しては、以下の2つの選択肢が好ましい。i)図14に示されるように、ビーコン・インターバルにおいて予約されるRXSSビットを再利用することにより、対応関係情報をセクタ掃引(SSW)フィールドに含めることができる。又は、ii)例えば、拡張スケジュール等のビーコン・フレームの情報エレメントに含めることができる。
【0068】
各ビーコン100で用いられる第3の送信ビーム140に関して、選択肢の1つによると、図15に示した通り、残りのPPDUのために使用されたように、複数のTRNにおいて同じ指向性送信ビーム140が用いられ得る。図15はPPDU、フレーム構成、対応するAWM構成の第1の実施形態の図である。各STAは最適な第3の送信ビームD と、受信パワーを最大にする第3の受信ビーム150D 1iを発見し、W 11∋D を用いてAP受信に割り当てられた時間間隔において、D 1iと同じ角度セクタをカバーする送信ビームを用い、アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて送信を行う。
【0069】
または、例えば、W ∋D となるようにW を用い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおける受信で用いられる広ビームを用いて、トレーニング・インターバルのビーコン送信フェーズにおいてAPは送信を行い得る。これを実現するための1つの選択肢は、広パターンW のみがTRNシーケンスの送信で使われる一方で、APにAMVを指向性D から広幅にW ∋D 変更させることである。これにより、STAはより適した第1の送信ビーム170を推定することができる。この第1の送信ビーム170は、アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてAPにより最適に受信され得る。このことは図16によって示される。図16は、PPDU、フレーム構成、対応するAWM構成の第2の実施形態の図である。
【0070】
ほかの選択肢としては、APは狭ビーム142と関連付けられたビーコンの広ビーム141を送信し、APの動作から狭広の対応関係についての情報をSTAに推測させ得る。このことは図17によって示される。図17はビーコン送信フェーズの他の実施形態の図である。本実施形態によると、APは(例えば、狭幅の第3の指向性送信ビーム142を用いた)所定回数の狭掃引の後で、広送信ビーム141を用いて1つのフレーム101を送信する。広送信ビーム141は、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて第1の広受信ビーム160として「近似的に」使用される(図13参照)。上記の実施形態とは異なり、STAにとって必要なのは広ビームを用いた送信に対応する時間間隔の間、受信ビーム・トレーニングを行うことだけである。したがって、トレーニング・シーケンスをすべてのビーコン、特に狭ビームにより送信されるビーコンに追加する必要がないため、トレーニング・オーバーヘッドを減らすことができる。このことは図17に示されている。トレーニングのために用いられる、実線で示された第3の受信ビーム151と必須のTRNフィールドとは逆に、それぞれ(任意の)第3の受信ビーム152とTRNフィールドが破線で示される。さらに、第3の広送信ビーム141は以前にトレーニングされた狭幅の第3の送信ビーム142に対応する予備のトレーニング・フィールドを含み得る。これにより、STAは追加のシクグナリング・フィールドを用いずに、狭広の対応関係に関する情報を得ることができる。この選択肢では、ビーコン・エレメントはスケジューリング情報を含み得る。つまり、使用順で広ビーム・インデックスを含み得る。
【0071】
他の選択肢では、図18に示す黙示的シグナリングを考慮する。図18はビーコン送信フェーズとビームフォーミング送信フェーズのさらに他の実施形態の図である。本実施形態によると、各ビーコンはさらなるステージやアソシエーション・フェーズ(つまり、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズ)の長さに関する情報を含む。この長さに関する情報は絶対値で与えられる。つまり、例えば整数c=N/Mとして、以前のトレーニング(つまり、ビーコン送信フェーズ)で送信されたビーコンNの数に関連する、APによって定義されたスロットMの数で表される。特定の狭ビーコン143、つまりN個の狭幅の第3の送信ビームをそれぞれ用いてN個のビーコン・フレームが送信される場合、APはMをNの整数分数に設定し(つまり、cがc≧1を満たす整数のとき、M・c=N)、APはc個の狭ビーム161、162を組み合わせる広幅の第1の受信ビーム160を用いてリッスンを行う。これにより、ビーコン送信フェーズに関するビーム掃引の順番は変わらないままである。図においては、それぞれビーコン送信フェーズとアソシエーション・フェーズ(ビームフォーミング・トレーニング・フェーズ)のためのビーム・インデックスがn=1..Nとm=1..Mかつ、N=4、M=2である場合を想定している。黙示的シグナリングを用いるAPは、第1のスロット(m=1)のためにはビーコン送信フェーズのn=1、n=2のビームを含む広ビームを用い、第2のスロット(m=2)ではAPはn=3、n=4のビームを組み合わせた広ビームを用いる。ビーコン・データを通じて、STAはNとMを認識しているため、cは容易に計算できる。また、STAは、最適な品質でビーコンを受信し、cを認識することによってmの値を計算するビーコン送信フェーズにおいて実際のnを決定することができ、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいていつ送信を行うかを決定することができる。例外的にc=1の場合は、ビーコン送信フェーズとビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおけるビームとそのシーケンスは等しくなる。
【0072】
さらに他の選択肢は、乗算器を使うというコンセプトに基づいて、A-BFTスロットにおいて可変のビーム幅を用いて指向性アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニングを可能にする。このコンセプトによると、増加したA-BFTスロットは拡張DMG(EDMG)局により用いられる。追加のスロットの数は、Multiplierフィールドの値を用いて増加したA-BFT Lengthフィールドによって示される値である。両者はEDMGビーコンにおいて定義される。さらに、EDMG STAにのみこれらのスロットへのアクセスを許可するために、後で、つまり、拡張A-BFTスロットの後でA-BFTの開始をDMG STAが「確認」できるように、Durationフィールドが変更される。したがって、十分には活用されていない、修正されたアソシエーション・フェーズにおけるアクセスは行われない。指向性アソシエーションのためには、追加のA-BFTスロットのみが使用され得る。乗算器の値は「黙示的に」ビーム幅の値を定義できる。例えば、乗算器の値が2の場合は、角度セクタの幅は乗算器1の角度セクタの幅の半分となる。
【0073】
この場合、指向性ビームDiを用いて送信されるビーコンにおいて、現在予約済みのSSWフィールドのRXSS Lengthフィールドの一部は、各フレームが送信される指向性ビームDiに対応する角度セクタのためにAPが用いるA-BFTスロットのインデックスを示すために用いることができる。また、このインデックスは限られた数のビットしか必要としないため、RXSSフィールドにおける追加フィールドは、直後のA-BFTに指向性があり、続くビットが指向性A-BFTスロットを示すために使われなければならないことを示すために使用され得る。
【0074】
上記の広ビームの信号送信及び/又は送信セクタ掃引における広ビームの統合によって、十分な柔軟性を持つ指向性アソシエーション・フェーズを得ることができる。リンク状態に応じて、APは、どのセクタが指向性アソシエーションのためにより大きい又はより細かい解像度を要求するかを選択し、この状態にトレーニング・フェーズを適用させ得る。例えば、1つのセクタにおいて衝突が検出された場合、または1つのセクタにおいて信号が検出されたが適切に復号されなかった場合、より狭い受信ビームを用いて指向性アソシエーションを繰り返すことができる。この場合、受信ビームに関する情報は、これらのセクタに対応する狭ビームにのみ添付され得る。
【0075】
上記の指向性アソシエーション・フェーズは1以上のサブステージを含み得る。第1のサブステージにおいて、APが通知されたスケジューリングに対応する、以前のI-TXSSフェーズで使用された狭送信ビームとはパターンが異なる複数のビームを用いて所定の方向で受信を行う間に、STAは1以上の指向性ビームをビーコン送信フェーズにおいてトレーニングされた最適な指向性ビームから送信する。図13に示す例では、APは広送信ビーム160W を用いる。各広ビーム150は、ビームフォーミング送信フェーズで用いられる第3の受信セクタD 及びD の組み合わせによってカバーされる角度セクタの組み合わせと同様の角度セクタをカバーする(図12参照)。
【0076】
任意のフィードバック・ステージはこの期間内において有用であり得る。この場合、広ビーム幅受信の各ステージの後で、APはアソシエーションの再試行と、他への妨害を防ぐためにメッセージが受信されたSTAに対してフィードバック・メッセージ104を返送する。フィードバック・ステージの後で、以前のサブステージよりも狭い第3の受信ビーム160を有するか、より多くのスロットが許可される追加サブステージにおいてトレーニングが再開され得る。アソシエーションが成功したことを示す確認応答103が復号されたフレームを持つすべてのSTAに対してAPが送信を行うために、必須のフィードバック・ステージは最後のサブステージの後に置かれなければならない。任意のフィードバックが許可される場合、ビーコンは拡張スケジュールとして、使用されるビームのシーケンスを含み、フィードバック・ステージが存在することを示す必要がある。
【0077】
(任意又は必須の)フィードバック・ステージにおいて1つの特定のSTAにフィードバックを送信するためには、ビーコン送信フェーズにおいて最適な第3の送信ビームとしてSTAによって選択された第3の送信ビーム140に任意に対応し得るAPが第2の送信ビーム163を用いる。または、APは1つの広セクタにおいて複数のSTAに対する複数のフィードバックを集約してもよい。この場合、各STAにより受信される最適な第3の送信ビームに対応する角度セクタをカバーする広ビームを用いてフィードバックを送信する。さらにほかの選択肢としては、広ビームを用いてアソシエーション・スロットにおいて複数のSTAが受信される場合、APは各STAによって通知される狭幅の第3の送信ビームを用いて各STAに独立してフィードバックを送信する複数のタイムスロットのスケジューリングを行う。フィードバック・ステージの間、ビーコン送信フェーズにおいて各STAによって選択された最適な第3の受信ビームに対応し得る第2の受信ビーム171、181を用いてSRAはリッスンを行う。
【0078】
ビーコン・エレメントが各サブステージに対応する広狭の指示を含むことができる一方で、シンプル・シグナリングとして拡張スケジュールにおいて選択肢が提示される。拡張スケジュールの割り当ての際にはSTAはフィードバック情報を予測しなければならない。別の可能性として、いくつかのサービス期間もスケジュールされ得る。つまり、上記の各サブステージはそれぞれ別のトレーニング期間に対応する。
【0079】
APが種々のアンテナを用いて連続してリッスンを行う場合においてもこの任意のフィードバックは有用であり得る。なぜなら、STAが複数のアンテナからの信号をヒアリングする場合もあるからである。従って、以前のアンテナからフィードバックや確認応答を受信しない場合に、異なるアンテナの最適なセクタにおいて送信を再び試みてもよい。
【0080】
さらに他の実施形態によると、STA動作を変更してもよい。例えば、長距離または妨害がある状態のとき、STAは全方向におけるビーコンのヒアリングを行うことができない場合がある。したがって、受信ビーム・トレーニングを行うために所定のフレームにTRNが添付されていることを確認することができない。この場合、STAは1以上のビーコン・インターバルにわたっていくつかの広受信ビームのリッスンを行い、例えばセクタにおいて信号が検出されるとビーム幅を減らしても良い。ビームは、パケット検出をするために狭められる。さらに、アソシエーション・フェーズにおける送信に用いられる最適なビームを推定するために、TRNフィールドにおいてビームが狭められる。このように長距離の場合、上りリンクにおける低いリンク・バジェットを補うために、アソシエーションにおいて、送信セクタにて予測される、STAが受信セクタにおいて狭ビームの掃引を行ういくつかのタイムスロットをランダムに選ぶことができる。このような場合、STAは長距離フラグをフィードバックし、APにダブル指向性送信のみが可能であることを通知し、通常、一方の側(例えばRTS/CTS)での無指向性送信が必要な様々な手順を適合させ得る。同一の受信ビームの複数割り当てが割り当てられるたびに、STAは受信に最適だと思われるセクタからいくつかの狭ビームを用いて送信を行う。
【0081】
さらに他の実施形態によると、スケジューリング・エレメントを変更してもよい。スケジューリング・エレメントはビーコン・フレーム内にあり、ビーコン・インターバルにおいて送信されるか、通知フレーム内にあり、アソシエーション・タイム・インターバルにおいて送信される。第2の選択肢によると、APは、定期的なA-BFTまたは指向性DD-A-BFTの結果に基づいて、追加でスケジューリングされた指向性アソシエーション・フェーズにおいて用いる受信ビームを決定する。後者の選択肢の利点は、APにおける柔軟性が拡がり、例えば、衝突が検出されたいくつかの問題のあるセクタのみをテストできることである。各ビーコン・フレームまたは各通知フレーム内のスケジューリング・エレメントは上記の指向性アソシエーションのすべてのサブステージの割り当て情報を含み得る。割り当てには2種類ある。1つめはSTAによるチャネルアクセスが許可されている状態でAPが所定の方向へのリッスンを行う割り当てインターバルを規定する。2つめはAPがヒアリングを行っている場合にSTAがAPから確認応答を受け取るためのリッスンモードにある割り当てインターバルを規定する。前述のそれぞれの割り当ては特定の割り当てにおいて用いられる広ビームのインデックスを規定するビームフォーミング・コントロール・フィールドを含み得る。これは、例えば現在のビームフォーミング・コントロール・フィールドにおいて予約されたビットが再利用された場合に行われる。さらに、このフィールドはSTAによって用いられ得るSSWフレームの数を示すフィールドを含み得る。このフィールド内の値が0より大きくなるたびに、STAはAPによって受信される機会を増やすために最適な受信広ビーム・セクタ内で掃引を行い得る。この情報は、例えばRXSS lengthフィールドを再利用することによってビームフォーミング・コントロール・フィールドに含めることができる。上記のように、これらの割り当てインターバルを規定する割り当て種別は、レガシーと上述した新たな必須条件を同時に遵守するために、新たに定義される必要があり得る。しかし、現在の割り当てフィールド(場合によってはAIDフィールドとも呼ぶ)構造定義において割り当て種別のために予約されたビットが存在するため、簡単に行うことができる。スケジューリング・エレメントの例は図19に示す。ここで、各割り当てフィールドは通常は対応する割り当て識別子(AID)によって示されるため、割り当てフィールドはAID1、AID2等によって示される。
【0082】
ほかの実施形態では、各ビームが受信された第3の指向性受信ビームに関連する割り当てインターバルを示すスケジューリング情報のみが、各ビーコン・フレーム又は通知フレームに含まれる。つまり、ビーコン・フレームが指向性ビームD を用いて送信された場合、スケジューリング・エレメントはフィードバックや確認応答のための割り当てと、D ∈W となるように広ビームW のインデックスを規定するビームフォーミング制御情報を用いる割り当てを含む。任意的に、W よりも狭いビームを用いてAPがリッスンを行う、W よりも広いインターバルのための割り当てフィールドが規定されてもよい。
【0083】
好適な実施形態によると、上記のようにビーコン送信フェーズが行われた後で、指向性アソシエーション・ビームフォーミング・トレーニング・インターバル(D-ABFT)が許可される。このインターバルにおいてAPは粗ビームW ,..,W を用いてリッスンを行う。各W はビーコン送信フェーズにおいて掃引されたいくつかの指向性セクタに対応する。ここでは、Nはビーコンによって規定されるA-BFTスロットの数を示す。一連の第1の広受信ビームは第3の狭送信ビームと同じ順番に従うため、A-BFTスロットごとに1つの粗ビームが存在し、ビーコン送信フェーズでのすべての狭幅の第3の送信ビームの重畳が掃引されるように、粗ビーム(第1の広受信ビーム)が広角領域をカバーする。指向性A-BFTの存在はビーコンにおいて示されることができ、EDMG STAによってのみアクセスされてもよい。A-BFTのメカニズムは、STAによる1以上の広ビームへのアクセスが許可されているという意味では順守されているが、APにおいて採用された受信ビームがSTAの最適な受信ビームに対応するスロットに関してのみである。DD-A-BFTの後でいくつかのセクタで衝突が検出された場合、APはATIにおいて上述のようにスケジューリング・エレメントを送信してもよい。ここで、割り当てインターバルは問題のあるセクタのために、広ビーム又は場合によっては広ビーム内の狭ビームの表示をもって指定される。
【0084】
図20は拡張スケジューリング・エレメントの他の実施形態の図である。ここで、割り当てとは、APに複数の指向性ビームと同時に受信を行わせることとして定義される。BTIビーム掃引(つまり、ビーコン送信フェーズ)で用いられたいくつかの狭ビームを重畳することにより、受信に用いる1つの広ビームが近似できると仮定すると、アソシエーション・フェーズ(つまり、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズ)においてAPがどの可変ビーム幅を用いてリッスンを行うのかを信号送信するのは容易である。これは、基本的には同じ割り当て時間を持つ多重狭ビーム受信で割り当てをスケジューリングすることによって行われる。従って、各allocationフィールドは指向性ビームDとその使用時間vTSFを示す。ここで、TSFはタイミング同期機能を表し、vTSFはサービス期間(SP、つまりデータ送信期間)が開始するときのTSFの下位4オクテットを表す。例えば、Allocation1は第1の指向性ビームD (例えば、図18におけるビーム161)が用いられた時の時間vTSF1を示す。Allocation2フィールドはAllocation1と同じ開始時間vTSF1であるが、指向性ビームD が異なる。これはD 及びD によって定義される2つのセクタからなるセクタをカバーする広ビームW を用いた、開始時間vTSF1における受信と同様の効果を発揮する。
【0085】
通常は、STAがAPと関連付けられた後で割り当てが定義されるため、割り当てIDはすでに受信済みである。割り当てIDは、特定の割り当てにおいてどのSTAが送信を行うのかを示すために用いられる。これには2つの値を用いることができる。第1の値はブロードキャストを表す(つまり、送信元のアソシエーションID=ブロードキャストIDの場合、すべてのSTAが特定の割り当てで送信を行い得る。また、宛先のアソシエーションID=ブロードキャストIDの場合、すべてのSTAは受信モードとなる)。第2の値はAPを示す(つまり、送信元のアソシエーションID=APアソシエーションIDの場合、APは個別の割り当てで送信を行うAPとなる)。よって、図20に示す「allocation」はそれぞれ2つの値を表すさらに2つのエントリを含み得る。
【0086】
特に、DTIにおける指向性アソシエーションの場合、このようなアソシエーションIDはまだ使用できない。さらにブロードキャスト・アソシエーションIDの使用を許可すると、特定の割り当てにおいて送信を行い得るレガシーSTAを混乱させ、アソシエーションを妨害する可能性がある。従って、一実施形態においては、特定のブロードキャスト・アソシエーションIDが定義及び予約され、上記のようなトレーニングに加入できるDMG STAまたはEDMG STAによってのみ認識される。
【0087】
空間割り当ての数、つまりAPが特定のRXビームを用いてリッスンを行う時間ブロックの数は、例えばSSWフレームの数(つまり、利用可能なSSW送信機会の数)を示すNBlksフィールドを再利用することにより、割り当てフレームにて定義することができる。STAが割り当ての間に送信を行い得る時空間スロット(N_STS)の最大数、つまり、STAによって掃引が行われ得る送信ビームの数は、この割り当てのEDMG拡張スケジュール・エレメントまたはDMG拡張スケジュール・エレメントのBF Control フィールドにおいて定義することができる。第1のケースにおいては、基本的にSTAがこれをN_STSとして再解釈できるようにRXSS Lengthが再利用されるか、またはN_STSを符号化するためにこのフィールドの予約ビットが使用され得る。第2のケースにおいては、N_STSを符号化するために EDMG拡張スケジュール・エレメントのいくつかの予約ビットを使用することができる。
【0088】
図21はEDMG拡張スケジュール・エレメントの変形例の図である。Allocation KeyはNBlkの数、つまり利用可能なSSWフレームの数を含み、N_STSはいくつのSSWフレームが使用され得るかを示す。STAが送信を行うことができる時空間スロットの最大数を信号送信するために、2ビットが指定される。以下の表に示すように、このフィールドの線形解釈又は指数解釈が適用され得る。
【表1】
【0089】
さらに他の実施形態において、ビームD 又はW のゲインまたはビームD 又はW のゲインに応じた機能を信号送信するための(図19、20に示すallocationフィールド内の)追加フィールドが提供され得る。これにより、RXビームD 又はW を用いてAPがリッスンを行うビームフォーミングSPにアクセスするのに十分なリンク・バジェットかどうかSTAが計算することができる。
【0090】
本開示の通信デバイスと方法を用いることによって、いくつかの効果を得ることができる。具体的には、ミリ波システムのための長距離APの発見、アソシエーション・フェーズのリンク・バジェットの約10 log10M dBの増加、相反性がある場合のチャネルアクセスの向上、及びアソシエーション・フェーズでの空間的再利用、つまり、アソシエーション・フェーズのための空間ビーム性能の利用、である。
【0091】
さらに、第2の側面において、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてリッスンを行うためにAPによって用いられる第1の受信ビーム群は、数(サブセットのみが必須であり得る)、幅(受信においてAPに使用されるのはより大きなビーム幅であり得る)、及び/又は角度セクタ(角度セクタはビーコン送信フェーズにおける送信で以前用いられたセクタの組み合わせであり得る)に関して、ビーコン送信フェーズにおける送信でAPにより用いられた第3の送信ビーム群とは異なる。
【0092】
第2の側面において記載したように、ビーコン送信フェーズ及びアソシエーション・フェーズにおいて可変ビーム幅のビームを用いることによって、特に低衝突と長距離状態において、指向性アソシエーション・ソリューションの効果を維持したまま、アソシエーション時間及び/又は総ビーム・トレーニング時間を減らすことができる。第2の側面で記載した方法及びシグナリングに基づけば、より柔軟なアソシエーション・フェーズが可能になり、これは特定の状況(例えば、主にいくつかの角度セクタにおいて衝突が発生する状況)にも適用される。
【0093】
以上のように、先の議論により、開示された本発明実施形態は単に例示的なものである。当業者に理解されるように、本開示は、その精神または基本的な特徴から逸脱することなく、他の特異的な形態において実施することができる。これにより、本開示は、例として提示したものであり、発明の範囲や特許請求の範囲を限定することは意図していない。本開示は、本明細書において容易に認められる教示の変形を含み、発明の主題が公衆のものとされないように、特許請求の範囲の用語を部分的に定義する。
【0094】
特許請求の範囲において、「具備する(comprising)」という用語は、他の構成要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数であることを排除しない。単一の構成要素または他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されたいくつかのアイテムの機能を発揮することができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【0095】
本開示の実施形態は、ソフトウェア制御型データ処理装置によって、少なくとも部分的に実施されるものとして記載する限りにおいて、そのようなソフトウェアを有する光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ等の非一過性の機械可読媒体も本開示の一実施形態を表すと考えられることが理解される。さらに、このようなソフトウェアを、他の形態で配信することができる。例えば、インターネットを介して、または他の有線もしくは無線の電気通信システム等により、このようなソフトウェアを配信することができる。
【0096】
開示されたデバイス、装置、およびシステムの構成要素は、対応するハードウェアおよび/または適切な回路等のソフトウェア要素により実施することができる。回路は電子部品の構造的な組み合わせであり、電子部品は従来の回路要素、特定用途向け集積回路等の集積回路、標準の集積回路、特定用途用標準品、およびフィールドプログラマブルゲートアレイを含む。さらに、回路は、中央処理装置、グラフィックスプロセッシングユニット、およびプログラム化されたマイクロプロセッサまたはソフトウェア符号に従って構成されたマイクロプロセッサを含む。回路は、上述のハードウェア実行ソフトウェアを含むが、純粋なソフトウェアを含まない。
【0097】
以下に、上記の発明特定事項の他の実施形態を示す。
1.
他の通信デバイス(1)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(2)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、
ビームフォーミングを行い、アンテナ回路を制御して、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、続くタイムスロットにおいて第3の指向性送信ビーム群を用いてデータを送信し、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて、前記第3の指向性送信ビーム群とは異なる、続くタイムスロットにおいて第1の指向性受信ビーム群を用いてリッスンを行うように構成されたビームフォーミング回路と
を具備する通信デバイス。
2.
上記実施形態のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、続くタイムスロットにおいて複数の異なる第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
1以上の前記第1の指向性受信ビームは大きなビーム幅を有し、及び/又は複数の異なる角度セクタをカバーし、及び/又はデータを送信するための前記ビーコン送信フェーズにおいて用いられる前記第3の指向性送信ビームのサブセットである
通信デバイス。
3.
実施形態2に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、続くタイムスロットにおいて用いられる前記第1の指向性受信ビームの前記ビーム幅、及び/又は前記角度セクタ、及び/又は数を適応させるように構成された
通信デバイス。
4.
上記実施形態のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいてスケジューリング情報を送信するように構成され、
前記スケジューリング情報は、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてリッスンを行うためにどの第1の指向性受信ビームがどのタイムスロットにおいて前記通信デバイスによって用いられるかを示し、及び/又は所定のタイムスロットにおいて前記通信デバイスが送信を行っているかどうか、及び/又は所定のタイムスロットにおいて送信が許可されるのはどの他の通信デバイスなのかを示す
通信デバイス。
5.
上記実施形態のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいて対応情報を送信するように構成され、
前記対応情報は特定のタイムスロットにおいてデータを送信するために前記ビーコン送信フェーズにおいて前記通信デバイスによって用いられる第3の送信ビームと、特定のタイムスロットにおいてリッスンを行うために前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記通信デバイスによって用いられる第1の受信ビームとの対応関係を示す
通信デバイス。
6.
上記実施形態のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記他の通信デバイスにどのタイムスロットにおいて、選択された第1の送信ビームを用いてデータを送信するか判断させる前記ビーコン送信フェーズにおいてデータを送信するのに用いる狭広の第3の送信ビームのシーケンスを選択するように構成された
通信デバイス。
7.
上記実施形態のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいてデータ単位でデータを送信するように構成され、
1つのデータ単位は1つのビーコン・フレームと1以上のトレーニング単位を含み、
1つのデータ単位におけるビーコン・フレームは前記データ単位における前記1以上のトレーニング単位よりも狭い第3の送信ビーコンを用いて送信される
通信デバイス。
8.
他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、
アンテナ回路を制御して、ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、続くタイムスロットにおいて第3の指向性送信ビーム群を用いてデータを送信し、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて、前記第3の指向性送信ビーム群とは異なる、続くタイムスロットにおいて第1の指向性受信ビーム群を用いてリッスンを行う
通信方法。
9.
他の通信デバイスと(2)の無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(1)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路と、
ビームフォーミングを行い、前記アンテナ回路を制御して、前記他の通信デバイスが複数の異なる第1の指向性受信ビームを続けて用いてリッスンを行っている間に少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータを送信するように構成されたビームフォーミング回路と
を具備し、
データは選択された1以上のタイムスロットにおいてのみ送信され、前記選択された1以上のタイムスロットにおいて、前記他の通信デバイスは選択された第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、
前記1以上のタイムスロットは前記他の通信デバイスから受信する情報またはビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスがデータを送信するのに用いる第3の指向性送信ビームから生じる情報に基づいて選択される
通信デバイス。
10.
実施形態9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいて
a) 前記他の通信デバイスが第3の指向性送信ビームを用いてデータを送信している間に、タイムスロットの少なくとも一部において複数の異なる第3の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、前記他の通信デバイスは続く複数のタイムスロットにおいて複数の異なる第3の指向性送信ビームを用いてデータを送信するステップと、
b) 続く前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて用いる前記第1の指向性送信ビームを判定するために用いる1以上の第3の指向性受信ビームを選択するステップと
を行うように構成された
通信デバイス。
11.
実施形態9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいて
a) 前記他の通信デバイスが第3の指向性送信ビームを用いてデータを送信している間に、タイムスロットの少なくとも一部において準無指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、前記他の通信デバイスは続く複数のタイムスロットにおいて複数の異なる第3の指向性送信ビームを用いてデータを送信するステップと、
b) いつ前記他の通信デバイスが選択された第3の指向性送信ビームに対応する第1の指向性受信ビーム又は前記選択された第3の指向性送信ビームをカバーする第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うのか判断することにより、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて複数のタイムスロットのうちどのタイムスロットでデータを送信するのか判断するために用いる1以上の第3の指向性送信ビームを選択するステップと
を行うように構成された
通信デバイス。
12.
実施形態9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスから受信したスケジューリング情報に基づいて前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてデータを送信する前記1以上のタイムスロットを選択するように構成され、
前記スケジューリング情報は、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてリッスンを行うためにどの第1の指向性受信ビームがどのタイムスロットにおいて前記他の通信デバイスによって用いられるかを示し、及び/又は所定のタイムスロットにおいて前記他の通信デバイスが送信を行っているかどうか、及び/又は所定のタイムスロットにおいて前記通信デバイスによる送信が許可されるかどうかを示す
通信デバイス。
13.
実施形態9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスから受信した対応情報に基づいて前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてデータを送信する前記1以上のタイムスロットを選択するように構成され、
前記対応情報は特定のタイムスロットにおいてデータを送信するために前記ビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスによって用いられる第3の送信ビームと、特定のタイムスロットにおいてリッスンを行うために前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記他の通信デバイスによって用いられる第1の受信ビームとの対応関係を示す
通信デバイス。
14.
実施形態12及び/又は13に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は、前記ビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスから送信されたビーコン・フレームの情報フィールド、ビームフォーミング制御フィールド、又はSSWフィールドから前記スケジューリング情報及び/又は前記対応情報を得るように構成された
通信デバイス。
15.
実施形態9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスが複数の異なる第3の送信ビームを用いてデータを送信する前記シーケンスに基づいて前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてデータを送信する前記1以上のタイムスロットを選択するように構成され、
前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて前記他の通信デバイスによって用いられる1つの第1の受信ビームによってカバーされる2以上の第3の送信ビームは、前記第1の受信ビームに対応する第3の送信ビームの前又は後にある
通信デバイス。
16.
実施形態9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記ビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスが複数の異なる第3の送信ビームを用いてデータを送信する前記シーケンスに基づいて前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてデータを送信する前記1以上のタイムスロットを選択するように構成され、
続いて用いられる所定の数の第3の送信ビームは第1の受信ビームによってカバーされ、及び/又は
第1の受信ビームの前記シーケンスは第3の送信ビームの前記シーケンスに対応する
通信デバイス。
17.
実施形態9に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路は前記アンテナ回路を制御し、前記他の通信デバイスからの応答のための第2の受信ビームを用いて、データ送信のための1以上のタイムスロットの後か特別に割り当てられたフィードバック・インターバルにおいてリッスンを行うように構成され、
前記他の通信デバイスは、前記通信デバイスによって送信された前記データが受信された場合、第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成された
通信デバイス。
18.
実施形態17に記載の通信デバイスであって、
前記ビームフォーミング回路が前記アンテナ回路を制御し、第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームによって前記応答を送信するため、前記他の通信デバイスによって用いられる少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて送信される前記データに前記第2の送信ビーム情報を含めるように構成された
通信デバイス。
19.
他の通信デバイスとの無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、
アンテナ回路を制御して、ビームフォーミングを行い、前記他の通信デバイスが複数の異なる第1の指向性受信ビームを続けて用いてリッスンを行っている間にビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいて少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータを送信し、
データは選択された1以上のタイムスロットにおいてのみ送信され、前記選択された1以上のタイムスロットにおいて、前記他の通信デバイスは選択された第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、
前記1以上のタイムスロットは前記他の通信デバイスから受信する情報又は前記ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて前記他の通信デバイスがデータを送信するのに用いる第3の指向性送信ビームから生じる情報に基づいて選択される
通信方法。
20.
非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
プロセッサによって実行されるとき、実施形態8又は19に記載の方法を行わせるコンピュータプログラムが記憶された
記録媒体。
21.
コンピュータによって実行されたとき、コンピュータに実施形態8または19に記載の方法のステップを実行させるプログラムコードを含む
コンピュータプログラム。
A1.
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(1)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路(10)と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてアンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路(11)とを有し、
ビームフォーミング回路(11)はアンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、他の通信デバイス(2)は第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
iii)ステップii)で応答が受信されなかった場合、ステップi)とii)を繰り返すことによって
ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイス(1)。
A2.
実施形態A1に記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(11)は、アンテナ回路を制御し、多数の異なる第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)において連続してデータを送信するように構成された
通信デバイス。
A3.
実施形態A2に記載の通信デバイスであって、
以前のトレーニング・フェーズ又はビーコン送信フェーズにおいて他の通信デバイスによって信号送信されたように、ビームフォーミング回路(11)はアンテナ回路を制御し、所定の数の第1の指向性ビームを送信するように構成された
通信デバイス。
A4.
実施形態A2又はA3に記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(11)は、ステップii)で受信した応答から少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを示す第1の送信ビーム情報を取得するように構成され、この第1の指向性送信ビームは、第2の通信デバイス(2)によって受信されたデータを通信デバイス(1)によって送信したときに用いられたものである
通信デバイス。
A5.
実施形態A1からA4のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(11)は、アンテナ回路を制御し、1つの第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)においてデータを送信するように構成された
通信デバイス。
A6.
実施形態A5に記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(11)は、アンテナ回路を制御し、続くステップi)の繰り返しにおいて、同じまたはそれぞれ異なる1つの第1の指向性送信ビームを用い、ステップi)においてデータを送信するように構成された
通信デバイス。
A7.
実施形態A5又はA6に記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(11)は、アンテナ回路を制御し、第1の指向性送信ビーム及び第2の指向性受信ビームと同じビームを用いるように構成された
通信デバイス。
A8.
実施形態A1からA7のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
通信デバイス(1)の第1の識別子が応答に含まれる場合、ステップii)においてビームフォーミング回路(11)は、応答が受信されたと判断するように構成された
通信デバイス。
A9.
実施形態A1からA8のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(11)はアンテナ回路を制御し、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズの前のビーコン送信フェーズにおいて、
a)複数の異なる第3の指向性送信ビームを続けて用いて他の通信デバイス(2)が他の通信デバイス(2)の第2の識別子を送信している間に第3の受信ビームを用いてリッスンを行うステップと、
b)第2の識別子が受信されると、第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームとして第2の識別子の送信に使用する第3の指向性送信ビームを設定するステップと
を行うように構成された
通信デバイス。
A10.
実施形態A9に記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(11)は、アンテナ回路を制御し、
ステップa)において、複数の異なる第3の指向性受信ビームを連続して使用してリッスンを行い、それぞれにおいて他の通信デバイス(2)は複数の異なる第3の指向性送信ビームを連続して使用し、
ステップb)において、第2の指向性受信ビームとして、第2の識別子の受信に用いる第3の指向性受信ビームを設定するように構成された
通信デバイス。
A11.
他の通信デバイス(2)との無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてアンテナ回路を制御し、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いてデータの送信を行い、他の通信デバイス(2)は第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)他の通信デバイス(2)からの応答のための所定の第2の指向性受信ビームを用い、続けてリッスンを行い、ステップi)で送信されたデータが受信された場合、他の通信デバイス(2)は第2の送信ビーム情報によって示された第2の指向性送信ビームを用いて応答を送信するように構成され、
iii)ステップii)で応答が受信されなかった場合、ステップi)とii)を繰り返すことによって
選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信する
通信方法。
A12.
他の通信デバイス(1)との無線周波数に基づく通信のための通信デバイス(2)であって、
RF信号を送受信するように構成されたアンテナ回路(20)と、
ビームフォーミングを行い、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてアンテナ回路を制御して、選択された1以上の指向性ビームを用いてRF信号を送受信するように構成されたビームフォーミング回路(21)とを有し、
ビームフォーミング回路(21)はアンテナ回路を制御して、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて他の通信デバイス(1)によって送信されたデータのための第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)ステップi)で送信されたデータが受信された場合、第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームを用いて応答を続けて送信し、他の通信デバイス(1)は所定の第2の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
iii)ステップi)の複数の異なる第1の所定の指向性受信ビームを用いてステップi)とii)を繰り返すことによって
ビームフォーミング・トレーニングを行うように構成された
通信デバイス(2)。
A13.
実施形態A12に記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(21)は、第1の送信ビーム情報を応答に含めるように構成され、第1の送信ビーム情報は、第2の通信デバイス(2)によって受信されたデータを通信デバイス(1)によって送信したときに用いられた第1の指向性送信ビームを示す
通信デバイス。
A14.
実施形態A12又はA13に記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(21)はアンテナ回路を制御し、データが受信された他の通信デバイス(1)の第1の識別子を応答に含めるように構成された
通信デバイス。
A15.
実施形態A14に記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(21)はアンテナ回路を制御し、最も高い品質またはSNRでデータが受信された他の通信デバイスの第1の識別子を応答に含めるように構成された
通信デバイス。
A16.
実施形態A12からA15のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(21)は、アンテナ回路を制御し、所定の閾値より高い品質又はSNRでステップi)においてデータが受信された場合にのみ応答を送信するように構成された
通信デバイス。
A17.
実施形態A12からA15のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(21)はアンテナ回路を制御し、他の通信デバイス(1)が第3の受信ビームを用いてリッスンを行うように構成される一方で、複数の異なる第3の指向性送信ビームを続けて用いて第2の通信デバイス(2)の第2の識別子を送信することにより、ビームフォーミング・トレーニングの前にビーコンを送信するように構成された
通信デバイス。
A18.
実施形態A12からA15のいずれか1つに記載の通信デバイスであって、
ビームフォーミング回路(21)は、複数の他の通信デバイス、及びデータが続けて受信されたそれぞれの第1の送信ビーム情報の順序付きリストを保持するように構成され、及び/又はビームフォーミング回路(21)はアンテナ回路を制御し、1つの識別子と順序付きリストの第1の送信ビーム情報を応答に含め、このデータを順序付きリストから削除するように構成された
通信デバイス。
A19.
他の通信デバイス(1)との無線周波数に基づく通信のための通信方法であって、ビームフォーミング・トレーニング・フェーズにおいてアンテナ回路を制御し、
i)少なくとも1つの第1の指向性送信ビームを用いて他の通信デバイス(1)によって送信されたデータのための第1の指向性受信ビームを用いてリッスンを行い、上記データは第2の送信ビーム情報を含み、
ii)ステップi)で送信されたデータが受信された場合、第2の送信ビーム情報によって示される第2の指向性送信ビームを用いて応答を続けて送信し、他の通信デバイス(1)は所定の第2の指向性受信ビームを用いてリッスンを行うように構成され、
iii)ステップi)の複数の異なる第1の所定の指向性受信ビームを用いてステップi)とii)を繰り返すことによって
1以上の選択された指向性ビームを用いてRF信号を送受信する
通信方法。
A20.
非一過性のコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
プロセッサによって実行されるとき、実施形態A11またはA19に記載の方法を行わせるコンピュータプログラムが記憶された
記録媒体。
A21.
コンピュータ上で実行されたとき、コンピュータに実施形態A11またはA19に記載の方法のステップを実行させるプログラムコードを含む
コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0098】
1、3…第1の通信デバイス
2…第2の通信デバイス
10、20、30…アンテナ回路
11、21、31…ビームフォーミング回路
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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