(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095888
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】エンドセリン受容体ベータサブタイプに対する抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220621BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220621BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20220621BHJP
C12N 5/20 20060101ALI20220621BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220621BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220621BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220621BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220621BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220621BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220621BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220621BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220621BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220621BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20220621BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N5/20
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 Y
A61K47/68
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K31/7088
A61K48/00
A61P35/00
G01N33/531 A
G01N33/574 A
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022066434
(22)【出願日】2022-04-13
(62)【分割の表示】P 2018567052の分割
【原出願日】2017-06-22
(31)【優先権主張番号】1655915
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ・ボケ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・デュカンセル
(72)【発明者】
【氏名】アモリ・エルベ
(72)【発明者】
【氏名】ナルシソ・コスタ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フィリップ・ユグノ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】「rendomab-B49」と呼ばれるエンドセリン受容体(EBTR)のサブタイプBのアンタゴニスト抗体、そのフラグメント又は誘導体を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなる配列のCDR1H、CDR2H及びCDR3Hを含む重鎖可変領域、ならびに、特定のアミノ酸配列からなる配列のCDR1L、CDR2L及びCDR3Lを含む軽鎖可変領域を含む、抗体、そのフラグメント又は誘導体。該抗体の治療的、診断的使用は、膠芽腫に罹患している患者に適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドセリン受容体サブタイプBに対する抗体であって、
- CDR1(以下CDR1Hという)、CDR2(以下CDR2Hという)及びCDR3(以下CDR3Hという)を含む重鎖可変領域であって、CDR1H、CDR2H及びCDR3Hのアミノ酸配列で形成される順序で並べられた配置が、以下のアミノ酸配列:GYTFISYWIDPDSGGTAREGDYAWFAY(配列番号1)と少なくとも80%の同一性を示す、重鎖可変領域、及び
- CDR1(以下CDR1Lという)、CDR2(以下CDR2Lという)及びCDR3(以下CDR3Lという)を含む軽鎖可変領域であって、CDR1L、CDR2L及びCDR3Lのアミノ酸配列で形成される順序で並べられた配置が、以下のアミノ酸配列:QSIVHSNGNTYKVSFQGSHVPWT(配列番号2)と少なくとも80%の同一性を示す、軽鎖可変領域
を含む、抗体、そのフラグメント又は誘導体。
【請求項2】
i1)
- アミノ酸配列がGYTFISYW(配列番号5)であるCDR1H、
- アミノ酸配列がIDPDSGGT(配列番号10)であるCDR2H、及び
- アミノ酸配列がAREGDYAWFAY(配列番号15)であるCDR3H
を含む重鎖可変領域、
又は
ii1)
- アミノ酸配列がGYTFTSYW(配列番号7)であるCDR1H、
- アミノ酸配列がIDPDSGGT(配列番号10)であるCDR2H、及び
- アミノ酸配列がVREGWDAWFVY(配列番号17)であるCDR3H
を含む重鎖可変領域、
又は
iii1)
- アミノ酸配列がGYTFTSYW(配列番号7)であるCDR1H、
- アミノ酸配列がIDPNSGGT(配列番号12)であるCDR2H、及び
- アミノ酸配列がAREGEFAWFAY(配列番号19)であるCDR3H
を含む重鎖可変領域
を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
アミノ酸配列が以下の配列:
QVQLQQPGAALVKPGASVKLSCKASGYTFISYWMLWVKQRPGRGLEWIGRIDPDSGGTKYNEKFKSKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCAREGDYAWFAYWGQGTLVPVSA (配列番号31)
と少なくとも80%の同一性を示す重鎖可変領域を含む、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
i2)
- アミノ酸配列がQSIVHSNGNTY(配列番号22)であるCDR1L、
- アミノ酸配列がKVSであるCDR2L、
- アミノ酸配列がFQGSHVPWT(配列番号27)であるCDR3L
を含む軽鎖可変領域、
又は
ii2)
- アミノ酸配列がQSIVHSNGNTY(配列番号22)であるCDR1L、
- アミノ酸配列がKVFであるCDR2L、
- アミノ酸配列がFQGSHVPLT(配列番号29)であるCDR3L
を含む軽鎖可変領域、
又は
iii2)
- アミノ酸配列がQNIVHSNGYTY(配列番号24)であるCDR1L、
- アミノ酸配列がKVSであるCDR2L、
- アミノ酸配列がFQGSHVPLT(配列番号29)であるCDR3L
を含む軽鎖可変領域
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
アミノ酸配列が以下の配列:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPWTFGGGTKLEIK (配列番号37)
と少なくとも80%の同一性を示す軽鎖可変領域を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
IgG1/カッパ型又はIgG3/カッパ型免疫グロブリンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
モノクローナルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
2016年5月19日に受託番号CNCM I-5084でCNCMに寄託されたハイブリドーマ、2016年6月7日に受託番号CNCM I-5104でCNCMに寄託されたハイブリドーマ及び2016年6月7日に受託番号CNCM I-5103でCNCMに寄託されたハイブリドーマから選択されるハイブリドーマから得られたモノクローナルマウス抗体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
キメラ抗体である、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
ヒト化抗体である、請求項1から9のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
2016年5月19日に受託番号CNCM I-5084でCNCMに寄託されたハイブリドーマ、2016年6月7日に受託番号CNCM I-5104でCNCMに寄託されたハイブリドーマ及び2016年6月7日に受託番号CNCM I-5103でCNCMに寄託されたハイブリドーマから選択されるハイブリドーマ。
【請求項12】
以下の異なるポリヌクレオチド:
α)請求項1から10のいずれか一項で定義された抗体をコードするポリヌクレオチド、
β)(α)で定義されたポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、
γ)高ストリンジェンシー条件下で(α)及び(β)で定義されたポリヌクレオチドとハイブリダイズ可能な少なくとも18ヌクレオチドのポリヌクレオチド
から選択される、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項13】
請求項12に記載の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含有するクローニング及び/又は発現ベクター。
【請求項14】
請求項12に記載のポリヌクレオチド又は請求項13に記載のベクターによって形質転換された又はそれを含む宿主生物。
【請求項15】
細胞毒性基、容易に検出可能な基、又はエフェクター基からなる群から選択される要素と結合した、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体を含む化合物。
【請求項16】
医薬で使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体、請求項12に記載のポリヌクレオチド又は請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
活性成分として、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体、請求項12に記載のポリヌクレオチド又は請求項15に記載の化合物、及び薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項18】
エンドセリン、及びエンドセリン受容体サブタイプBのようなその受容体の少なくとも1つを含む軸の直接的な又は別の生理的経路が付随する機能不全が関与する障害又は状態の治療及び/又は予防における使用のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体、請求項12に記載のポリヌクレオチド、請求項15に記載の化合物又は請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記障害又は前記状態が、がんである、請求項18に記載の使用のための抗体、ポリヌクレオチド、化合物又は医薬組成物。
【請求項20】
インビトロで膠芽腫のようながんを診断する方法であって、
a1')対象から採取した生物学的試料を請求項15に記載の化合物と接触させる工程、
b1')容易に検出可能な基によって放出されたシグナルを検出する工程、及び
c1')工程(b1')で検出されたシグナルに基づいて、前記対象におけるがんの存在又は非存在を判定する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体の技術分野、その治療的及び診断的使用、並びにその研究ツールとしての使用に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、エンドセリン受容体サブタイプB及び特に、膠芽腫細胞のようながん細胞の表面に発現されるヒトエンドセリン受容体の、天然の及び機能的立体配座に特異的な抗体、有利にはモノクローナル抗体を提供する。
【0003】
本発明は、治療目的及び診断目的並びに研究目的のためのこれらの抗体の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
異なるエンドセリン(ヒトにおいてET1、ET2及びET3と呼ばれる)の受容体は、「Gタンパク質共役受容体(G Protein Coupled Receptors)」からGPCRとも呼ばれる7個の膜貫通ドメインを有する受容体ファミリーに属する。エンドセリン受容体は、ヒトにおいて、サブタイプA(ETA-R)及びサブタイプB(ETB-R)の2つの主要なサブタイプを有する。これらの受容体がGPCRファミリーに分類されるという事実は、それらに複雑な三次元構造を与える。この特徴は、細胞膜に発現されるこれらの受容体の天然の構造を認識する抗体を得ることが困難であることを部分的に説明している。実際に、GPCRに特異的なモノクローナル抗体を得ることが困難であることは、膜との関連の外で、天然の及び機能的な形状でこれらの受容体を得ることに関連する問題の結果である。
【0005】
エンドセリン軸及びその受容体はいくつかの生理病理学的機能及び機能不全に関与している。非限定的な例として、動脈高血圧、アテローム性動脈硬化、冠動脈疾患、肝機能障害、脳血管疾患、クローン病、肺線維症、喘息、その他が挙げられる(R. Shah、2007、「Endothelins in health and disease」、Eur. J. Int. Med.、18巻、272~282頁の総論を参照)。
【0006】
更に、エンドセリン受容体はまた、がん細胞の増殖、生存及び播種並びに血管新生を促進することによって、多くのがんの進行に関連していることも判明した(Bagnato & Rosano、2008、「The endothelin axis in cancer」、Int. J. of Biochem. & Cell Biology、40巻、1443~1451頁)。エンドセリン受容体サブタイプBに関しては、後者は特にメラノーマ、結腸がん、カポジ肉腫、膠芽腫(脳腫瘍)、及び膀胱がんにおいてその発現レベルが変化している。
【0007】
エンドセリン受容体サブタイプBは、リンパ球浸潤の強い減少を誘導することによって、いくつかのがん細胞、特に免疫系による卵巣がん細胞の認識の欠如に関与していることも確立されている(Buckanovichら、2008、「Endothelin B receptor mediates the endothelial barrier to T cell homing to tumors and disables immune therapy」、Nature Medecine、14巻、28~36頁)。
【0008】
したがって、がん細胞、特に膠芽腫細胞の表面に発現されるETB-R立体配座異性体を標的とすることは、これらの腫瘍、特にこれらの脳腫瘍の進行の追跡及びそれらの外科手術後の再発のためだけでなく、これらの腫瘍細胞を標的とした治療への応用のための診断ツールに関して、ヒト臨床生物学において特に関連があると思われる。更に、モノクローナル抗体(現在までに40の抗体が承認されている)を使用したがんの受動免疫療法兵器では、それらのどれもGPCRを標的としていない。
【0009】
一般に、エンドセリン受容体、特にサブタイプETB-Rを標的とする抗体は、これまでにほとんど記載されていない。
【0010】
Kondohら、1990(「Isolation of anti-endothelin receptor monoclonal antibodies for use in receptor characterization」、BBRC、172巻、503~510頁)は、ラット肺膜の表面に存在するエンドセリン受容体の可溶化複合体に対する4つのモノクローナル抗体(A2、G9、E7及びG10)の結合特性を記載している。抗体G9及びG10はG型アイソタイプ2a免疫グロブリン(IgG2a)であり、一方抗体A2及びE7はIgG1免疫グロブリンである。これらの4つの抗体が実際に可溶化エンドセリン受容体に特異的である場合、Kondohらは、ヒト起源受容体の認識に関しても、可能性のあるアンタゴニスト特性についても、これらの抗体(ETA-R及び/又はETB-R)の微細な特異性について情報を提供していない。
【0011】
Yamaguchiら、2004(「Characterization and application of monoclonal antibodies against human endothelin B receptor expressed in insect cells」、Biotechnology Letters、26巻、293~299頁)は、昆虫細胞中で産生された組換えヒトETB-Rによるタンパク質免疫化後に得られた5つのマウスモノクローナル抗体の結合特性の特性評価に関する。それらのうちの4つはETB-Rに対して類似の親和性(ナノモル範囲)を有するが、5つ目は10分の1の親和性である。それらのうちの3つ(N-6、N-3及びN-1)のエピトープ分析は、それらがETB-RのN末端ドメイン、より詳細にはN-6のETB-Rのアミノ酸27~35に対応する配列、N-3のETB-Rのアミノ酸27~41に対応する配列、及びN-1のアミノ酸71~85に対応する配列を認識することを明らかにした。最終的に、これらの5つの抗体は、ETB-Rを過剰発現しているCOS細胞を認識することができる。
【0012】
New York Universityの代理で出願され、2010年1月7日に公開された特許出願US2010/003240は、がん、特にメラノーマの治療及び予防の範囲内の治療プロトコール及び医薬混合物に関する。そのために、そしてより具体的には、ETB-Rアンタゴニストの使用が特許請求されている。これらのアンタゴニストについて記載されている例は修飾エンドセリン-1型のみに関するものであるが、拡張により、ETB-Rアンタゴニスト抗体の使用が特許請求されているが、そのような抗体の特定の例は記載も提供もされていない。
【0013】
積水化学工業株式会社(Seikisui Chemical Co Ltd)の代理で出願され、2012年6月14日に公開された特願2012-111706号は、hB07と呼ばれるモノクローナル抗体に関する。これはIgG2a/ラムダアイソタイプマウス免疫グロブリンであり、エンドセリン受容体ヒトサブタイプBに特異的である。筆者らは、抗体hB07が1.7×10-7Mと計算される効率(IC50)でエンドセリン1結合を競合的に遮断できることを示した。したがって、その配列が記載されていないこの抗体は拮抗特性を有する。
【0014】
同様に、エンドセリン受容体サブタイプB、特にヒトサブタイプBの薬理学的特性に対する、Rendomab-B1と呼ばれるモノクローナル抗体アンタゴニストは、CEAの代理で出願され、2012年4月12日に公開された国際出願WO2012/045776に記載された。
【0015】
最終的に、Genentech社及びHoffmann-LaRoche社の代理で出願され、2013年5月2日に公開された国際出願WO2013/063001は、腫瘍細胞によって優先的に発現される立体配座異性体を参照せずに、メラノーマの治療のために細胞毒性分子に結合した治療用抗体を記載する。5E9と呼ばれるこの抗体は、メラノーマの表面で過剰発現しているヒトETB-Rを標的とする。Asundiら、2011(「An antibody-drug conjugate targeting the endothelin B receptor for the treatment of melanoma」、Clinical Cancer Research、17巻、965~975頁)に記載されているように、抗体5E9は齧歯動物ETB-R並びに非ヒト霊長類受容体と交差することに留意すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】US2010/003240
【特許文献2】特願2012-111706号
【特許文献3】WO2012/045776
【特許文献4】WO2013/063001
【特許文献5】米国特許第4,816,567号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】R. Shah、2007、「Endothelins in health and disease」、Eur. J. Int. Med.、18巻、272~282頁
【非特許文献2】Bagnato & Rosano、2008、「The endothelin axis in cancer」、Int. J. of Biochem. & Cell Biology、40巻、1443~1451頁
【非特許文献3】Buckanovichら、2008、「Endothelin B receptor mediates the endothelial barrier to T cell homing to tumors and disables immune therapy」、Nature Medecine、14巻、28~36頁
【非特許文献4】Kondohら、1990、「Isolation of anti-endothelin receptor monoclonal antibodies for use in receptor characterization」、BBRC、172巻、503~510頁
【非特許文献5】Yamaguchiら、2004、「Characterization and application of monoclonal antibodies against human endothelin B receptor expressed in insect cells」、Biotechnology Letters、26巻、293~299頁
【非特許文献6】Asundiら、2011、「An antibody-drug conjugate targeting the endothelin B receptor for the treatment of melanoma」、Clinical Cancer Research、17巻、965~975頁
【非特許文献7】Allardら、2011、「Electroporation-aided DNA immunization generates polyclonal antibodies against the native conformation of human endothelin B receptor」、DNA and Cell Biology、30巻、727~737頁
【非特許文献8】国際ImMunoGeneTicsデータベースhttp://imgt.cines.fr:8104
【非特許文献9】Verhoeyenら、1988、「Reshaping human antibodies: Grafting an antilysozyme activity」、Science、239巻、1534~1536頁
【非特許文献10】Vaughanら、1998、「Human antibodies by design」、Nature Biotechnol.、16巻、535~539頁
【非特許文献11】Sambrookら、1989、Molecular cloning、Noland C.編、New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明者らは、がん細胞の表面に発現されるエンドセリン受容体サブタイプBの特定の立体配座異性体を標的とすることができる抗体を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、先に定義されたもののような技術的問題を解決することを可能にし、本発明者らによって設定された目的を達成することを可能にする。
【0020】
実際に、本発明者らは、Allardら、2011(「Electroporation-aided DNA immunization generates polyclonal antibodies against the native conformation of human endothelin B receptor」、DNA and Cell Biology、30巻、727~737頁)に既に公開された特定の選択免疫化戦略を開発し使用した。ELISA細胞におけるハイブリドーマスクリーニング手法と連結し、次いでフローサイトメトリーによるこの戦略は、天然の立体配座におけるETB-Rに特異的なモノクローナル抗体の獲得に都合が良い。この方法は更に、抽出され精製された目的の受容体を必要としないという利点を有し、これは今日でも特に取り組みがいがある。
【0021】
この戦略によって、本発明者らは、エンドセリン受容体サブタイプB、特に、以下Rendomab-B49、Rendomab-B41及びRendomab-B36と称されるヒトサブタイプBに対する異なるモノクローナル抗体を選択することができた。これらの抗体は、それらのヌクレオチド及びペプチド配列に関してだけでなくそれらの特性に関しても互いに近接している。したがって、これらの抗体はどれも、エンドセリン受容体サブタイプB(ETB-R)の薬理学的特性に対するアンタゴニストではない。つまり、本発明による抗体は、エンドセリンリガンド、特にETB-R上のリガンドET1、ET2及びET3の結合を阻害又は遮断することはできない。反対に、本発明による抗体は、がん細胞、特に膠芽腫細胞の表面に発現されるエンドセリン受容体サブタイプBの特定の立体配座異性体を認識することができる。
【0022】
本発明は、エンドセリン受容体サブタイプBに対する抗体、そのフラグメント又は誘導体に関する。
【0023】
本発明を更に詳細に記載する前に、以下の定義を再確認するか又は提案する。
【0024】
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は同等であり、本発明において同じ意味で使用可能である。
【0025】
抗体は、1つ又は複数のジスルフィド架橋によって互いに連結している少なくとも2つの重鎖(H)及び少なくとも2つの軽鎖(L)を含む糖タンパク質である。各重鎖は、可変領域(又はドメイン)(VH)と、通常CH1、CH2及びCH3と呼ばれる3つのドメインを含む定常領域とを含む。各軽鎖は、可変領域(又はドメイン)(VL)と、通常CLと呼ばれる単一ドメインを含む定常領域とを含む。抗原認識に関与する重鎖及び軽鎖の可変領域は更に、「相補性決定領域」(CDR)とも呼ばれる3つの高頻度可変領域に細分することができ、フレームワーク領域(FR)とも呼ばれる4つのより保存された領域によって囲まれる。各重鎖(又は軽鎖)可変領域の構成は、N末端からC末端まで、以下の通りである:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4。本発明の範囲内で、使用されているCDR及びFRの定義はIMGTのものである(国際ImMunoGeneTicsデータベースhttp://imgt.cines.fr:8104)。したがって、以下に言及され、特許請求されるCDR配列の同一性パーセントの計算は、このアノテーションに基づいて考慮されるものとする。
【0026】
更に、「抗体」という用語は、本発明の範囲内で、完全な抗体分子だけでなくそのフラグメント及び誘導体も含む。
【0027】
「抗体フラグメント」とは、本発明の範囲内では、単一の抗原結合部位を有する一価フラグメント、並びに2つの抗原結合部位を有する二価フラグメントの両方を意味する。したがって、本発明によるフラグメントは、少なくとも1つの抗原結合部位を有する。これらのフラグメントのうち、フラグメントFab、F(ab')2、Fv、及び抗原結合部位を保存する他のフラグメント(scFv及び二重特異性抗体)が挙げられる。フラグメントFabは、完全な軽鎖及び先に定義したようにドメインVH及びCH1を含む重鎖の一部(Fd)からなる一価のフラグメントである。フラグメントF(ab')2は、定常ドメインCH1とCH2との間に位置する免疫グロブリンのヒンジ領域に存在するジスルフィド架橋によって連結された2つのフラグメントFabの会合に対応する二価フラグメントである。フラグメントFvは、抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域VL及びVHのみからなる一価のフラグメントである。フラグメントscFvは、ペプチド結合によって連結された可変ドメインに対応する、遺伝工学によってのみ得られる一価ポリペプチドフラグメントである。scFvを形成できるようにするにはペプチド結合が短すぎるために、二重特異性抗体は、2つの頭部-尾部scFv分子からなる組換え二価抗体分子である。本発明によるフラグメントはまた、特にリポソームへの取り込み又はポリエチレングリコール(PEG)のようなポリアルキレングリコールの導入による化学修飾によって半減期が延長された前述のフラグメントも包含し、この技術は「PEG化」と呼ばれ、Fab-PEG、F(ab')2-PEG又はFv-PEGのようなフラグメントを生成する。組換え経路によって、固形腫瘍の浸透性及び薬物動態の、より効率的でよりよく制御された特性を有する、本発明による抗体の単一又は融合フラグメントを生成することも可能である。本発明の範囲内で有用な抗体フラグメントは、天然のもの又は組換えのものでありうる。
【0028】
「抗体誘導体」とは、本発明の範囲内において、一本鎖Fv(scFv)及び単一ドメイン抗体(dAb)分子のような遺伝工学によって得られる抗体フラグメントを意味する。この用語はまた、エンドセリン受容体サブタイプB又はこのサブタイプに特異的な領域に結合する分子についてファージディスプレイ技術又は他の無作為選抜法を使用して導入可能な抗体型分子を含む。
【0029】
したがって、「抗体フラグメント」及び「抗体誘導体」は、本発明による抗体の認識部位の一部(すなわち、エピトープ又は抗原に結合するか又は組み合わさる抗体の一部)である、有利なペプチド構造を含むすべての分子を網羅する。更に、本発明による抗体フラグメント及び誘導体は、がん細胞、特に膠芽腫細胞の表面に発現されるエンドセリン受容体サブタイプBの特定の立体配座異性体を認識することができる。
【0030】
本発明は、エンドセリン受容体サブタイプBに対する抗体であって、
- CDR1(以下CDR1Hという)、CDR2(以下CDR2Hという)及びCDR3(以下CDR3Hという)を含む重鎖可変領域であって、CDR1H、CDR2H及びCDR3Hのアミノ酸配列で形成される順序で並べられた配置が、以下のアミノ酸配列:GYTFISYWIDPDSGGTAREGDYAWFAY(配列番号1)と少なくとも80%の同一性を示す、重鎖可変領域、及び
- CDR1(以下CDR1Lという)、CDR2(以下CDR2Lという)及びCDR3(以下CDR3Lという)を含む軽鎖可変領域であって、CDR1L、CDR2L及びCDR3Lのアミノ酸配列で形成される順序で並べられた配置が、以下のアミノ酸配列:QSIVHSNGNTYKVSFQGSHVPWT(配列番号2)と少なくとも80%の同一性を示す、軽鎖可変領域
を含む抗体に関する。
【0031】
本発明の範囲内で、アミノ酸配列は1文字の国際コードに従って与えられる。
【0032】
「CDR1H、CDR2H及びCDR3Hのアミノ酸配列によって(又はCDR1L、CDR2L及びCDR3Lのアミノ酸配列で)形成される順序で並べられた配置」とは、以下の式:CDR1Hのaa配列+CDR2Hのaa配列+CDR3Hのaa配列(又は、CDR1Lのaa配列+CDR2Lのaa配列+CDR3Lのaa配列)を有する人工アミノ酸(aa)配列を意味する。
【0033】
一般的に、CDR1H、CDR2H及びCDR3Hのアミノ酸配列で形成される順序で並べられた配置は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも81%の同一性を有する。更に、CDR1L、CDR2L及びCDR3Lのアミノ酸配列で形成される順序で並べられた配置は、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有する。
【0034】
有利には、本発明による抗体は、重鎖可変領域を含み、そのCDR1Hが以下のコンセンサス配列:GYTFX1SYW(配列番号3)(式中、X1は任意のアミノ酸を表す)を有する。特定の実施形態において、X1はI又はTのいずれかであり、本発明による抗体の重鎖可変領域のCDR1Hのアミノ酸配列は、GYTFISYW(配列番号5)又はGYTFTSYW(配列番号7)のいずれかである。
【0035】
更に有利には、本発明による抗体は、重鎖可変領域を含み、そのCDR2Hが以下のコンセンサス配列:IDPX2SGGT(配列番号8)(式中、X2は任意のアミノ酸を表す)を有する。特定の実施形態において、X2はD又はNのいずれかであり、本発明による抗体の重鎖可変領域のCDR2Hのアミノ酸配列は、IDPDSGGT(配列番号10)又はIDPNSGGT(配列番号12)のいずれかである。
【0036】
更に有利には、本発明による抗体は、重鎖可変領域を含み、そのCDR3Hが以下のコンセンサス配列:X3REGX4X5AWFX6Y(配列番号13)(式中、X3、X4、X5及びX6は同一又は異なり、任意のアミノ酸を表す)を有する。特定の実施形態において、X3、X4、X5及びX6は同一又は異なり、A、D、Y、E、F、V及びWからなる群から選択される。より特定の実施形態において、X3はA又はVのいずれかであり、X4はD、W及びEからなる群から選択され、X5はY、D及びFからなる群から選択され、及びX6はA又はVのいずれかである。更により特定の実施形態において、本発明による抗体の重鎖可変領域のCDR3Hのアミノ酸配列は、AREGDYAWFAY(配列番号15)、VREGWDAWFVY(配列番号17)及びAREGEFAWFAY(配列番号19)からなる群から選択される。
【0037】
有利には、本発明による抗体は、軽鎖可変領域を含み、そのCDR1Lが以下のコンセンサス配列:QX7IVHSNGX8TY(配列番号20)(式中、X7及びX8は同一又は異なり、任意のアミノ酸を表す)を有する。特定の実施形態において、X7及びX8、は同一又は異なり、N、Y及びSからなる群から選択される。より特定の実施形態において、X7はN又はSのいずれかであり、及びX8はN又はYのいずれかである。更により特定の実施形態において、本発明による抗体の軽鎖可変領域のCDR1Lのアミノ酸配列は、QSIVHSNGNTY(配列番号22)又はQNIVHSNGYTY(配列番号24)のいずれかである。
【0038】
更に有利には、本発明による抗体は、軽鎖可変領域を含み、そのCDR2Lが以下のコンセンサス配列:KVX9(式中、X9は任意のアミノ酸を表す)を有する。特定の実施形態において、X9はS又はFのいずれかであり、本発明による抗体の軽鎖可変領域のCDR2Lのアミノ酸配列は、KVS又はKVFのいずれかである。
【0039】
更に有利には、本発明による抗体は、軽鎖可変領域を含み、そのCDR3Lが以下のコンセンサス配列:FQGSHVPX10T(配列番号25)(式中、X10は任意のアミノ酸を表す)を有する。特定の実施形態において、X10はW又はLのいずれかであり、本発明による抗体の軽鎖可変領域のCDR3Lのアミノ酸配列は、FQGSHVPWT(配列番号27)又はFQGSHVPLT(配列番号29)のいずれかである。
【0040】
有利には、本発明による抗体は、
i1)
- アミノ酸配列がGYTFISYW(配列番号5)であるCDR1H、
- アミノ酸配列がIDPDSGGT(配列番号10)であるCDR2H、及び
- アミノ酸配列がAREGDYAWFAY(配列番号15)であるCDR3H
を含む重鎖可変領域、
又は
ii1)
- アミノ酸配列がGYTFTSYW(配列番号7)であるCDR1H、
- アミノ酸配列がIDPDSGGT(配列番号10)であるCDR2H、及び
- アミノ酸配列がVREGWDAWFVY(配列番号17)であるCDR3H
を含む重鎖可変領域、
又は
iii1)
- アミノ酸配列がGYTFTSYW(配列番号7)であるCDR1H、
- アミノ酸配列がIDPNSGGT(配列番号12)であるCDR2H、及び
- アミノ酸配列がAREGEFAWFAY(配列番号19)であるCDR3H
を含む重鎖可変領域
を含む。
【0041】
より詳細には、本発明による抗体は、重鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は以下の配列:
QVQLQQPGAALVKPGASVKLSCKASGYTFISYWMLWVKQRPGRGLEWIGRIDPDSGGTKYNEKFKSKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCAREGDYAWFAYWGQGTLVPVSA (配列番号31)
と少なくとも80%の同一性を示す。
【0042】
したがって、本発明による抗体は、重鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を示し、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、又は更に少なくとも90%の同一性を示しうる。
【0043】
更により詳細には、本発明による抗体は、重鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は配列番号31のアミノ酸配列に対応する、すなわちそれからなる(Rendomab-B49の場合)。
【0044】
或いは(Rendomab-B41の場合)、本発明による抗体は、重鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は以下のアミノ酸配列:
QVQLQQPGAELVKPGASVKLSCKASGYTFTSYWMHWVKQRPGRGLEWIGRIDPDSGGTKYNEKFKSKATLTVDKPSNTANMQLSSLTSEDSAVYYCVREGWDAWFVYWGQGTLLTVSA (配列番号33)
に対応する、すなわちそれからなる。
【0045】
他の選択肢として(Rendomab-B36の場合)、本発明による抗体は、重鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は以下のアミノ酸配列:
QVQLQQPGAELVKPGASVKLSCKASGYTFTSYWIHWVNQRPGRGLEWIGRIDPNSGGTKYNEKFKSKATLTVDKTSSTAYMQFSSLTSEDSAVYYCAREGEFAWFAYWGQGTLVTVSA (配列番号35)
に対応する、すなわちそれからなる。
【0046】
有利には、本発明による抗体は、
i2)
- アミノ酸配列がQSIVHSNGNTY(配列番号22)であるCDR1L、
- アミノ酸配列がKVSであるCDR2L、
- アミノ酸配列がFQGSHVPWT(配列番号27)であるCDR3L
を含む軽鎖可変領域、
又は
ii2)
- アミノ酸配列がQSIVHSNGNTY(配列番号22)であるCDR1L、
- アミノ酸配列がKVFであるCDR2L、
- アミノ酸配列がFQGSHVPLT(配列番号29)であるCDR3L
を含む軽鎖可変領域、
又は
iii2)
- アミノ酸配列がQNIVHSNGYTY(配列番号24)であるCDR1L、
- アミノ酸配列がKVSであるCDR2L、
- アミノ酸配列がFQGSHVPLT(配列番号29)であるCDR3L
を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0047】
より詳細には、本発明による抗体は、軽鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は以下の配列:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPWTFGGGTKLEIK (配列番号37)
と少なくとも80%の同一性を示す。
【0048】
したがって、本発明による抗体は、軽鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を示し、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、又は更に少なくとも95%の同一性を示しうる。
【0049】
更により詳細には、本発明による抗体は、軽鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は配列番号37のアミノ酸配列に対応する、すなわちそれからなる(Rendomab-B49の場合)。
【0050】
或いは(Rendomab-B41の場合)、本発明による抗体は、軽鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は以下のアミノ酸配列:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVFNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPLTFGAGTKLELKR (配列番号39)
に対応する、すなわちそれからなる。
【0051】
他の選択肢として(Rendomab-B36の場合)、本発明による抗体は、軽鎖可変領域を含み、そのアミノ酸配列は以下のアミノ酸配列:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQNIVHSNGYTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPLTFGSGTKLEIKR (配列番号41)
に対応する、すなわちそれからなる。
【0052】
有利には、本発明による抗体は、先に定義したような軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む。
【0053】
本発明による抗体の軽鎖は、一般的にカッパ軽鎖である。
【0054】
本発明による抗体の重鎖は、特にガンマ1重鎖又はガンマ3重鎖である。
【0055】
特に、本発明による抗体はG型免疫グロブリンである。
【0056】
より詳細には、本発明による抗体はIgG1/カッパ型又はIgG3カッパ型免疫グロブリンである。
【0057】
本発明の主題であるエンドセリン受容体サブタイプBに対する抗体は、ETB-Rの細胞外セグメントに選択的に結合する。ETB-R、特にヒトETB-Rの少なくとも1つの特定のドメイン又は領域に「選択的に結合する抗体」とは、本発明の範囲内で、ETB-Rの他のどの領域よりも高い親和性で特異的ドメインに結合する抗体を意味する。有利には、抗体は、それがETB-Rの任意の他の領域について示すものよりも少なくとも2倍、又は少なくとも5倍、又は少なくとも10倍、又は少なくとも50倍高い親和性でETB-Rの特定のドメインに結合する。この結合は、フローサイトメトリー、ラジオイムノアッセイ(RIA)、共焦点顕微鏡、酵素イムノアッセイ(EIA)標識のような当分野で周知の方法により、試験する抗体を直接的又は間接的に明らかにすることによって決定することができる(ELISA)。
【0058】
本発明の主題である抗体は、エンドセリン受容体サブタイプBに対して、又は本発明による抗体によって認識されるエピトープを含むこの受容体のフラグメントに対して免疫付与した動物から得ることができる。免疫付与した動物は、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、イヌ、ウマ、又はラクダ若しくはラマのようなラクダ科の動物のような抗体を産生するために通常使用される任意の動物でありうる。
【0059】
本発明の主題である抗体は、ウイルス、ファージ、細菌、酵母又は他の真核細胞の表面に発現されたナイーブな組換え(scFv、Fab、…)ライブラリーからも得ることができ、これらのライブラリーは、上記に開示したように異なる免疫付与した動物の免疫グロブリンから構築されている。
【0060】
このようにして得られた抗体は、エンドセリン受容体サブタイプB又は本発明による抗体によって特異的に認識される配列の1つが予め固定化されているアフィニティカラム上で精製することができる。この精製はプロテインAアフィニティクロマトグラフィも含みうる。
【0061】
本発明の範囲内で、抗体は、ポリクローナル多重特異性若しくは単一特異性抗体、又はモノクローナル抗体でありうる。
【0062】
有利には、本発明の抗体はモノクローナルである。「モノクローナル抗体」とは、免疫学における通常の定義によれば、実質的に均質な抗体の集団、すなわち同一の抗体の集団から得られる抗体を表し、比較的少量のものはおそらく突然変異を有する可能性がある。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマのような細胞の単一クローンの増殖から得られる。
【0063】
より詳細には、本発明による抗体は、2016年5月19日に受託番号CNCM I-5084でCNCMに寄託されたハイブリドーマ(Rendomab-B49)、2016年6月7日に受託番号CNCM I-5104でCNCMに寄託されたハイブリドーマ(Rendomab-B41)、及び2016年6月7日に受託番号CNCM I-5103でCNCMに寄託されたハイブリドーマ(Rendomab-B36)から選択されるハイブリドーマから得られたマウスモノクローナル抗体である。本発明はまた、そのようなハイブリドーマに関する。
【0064】
或いは、本発明による抗体は、キメラ抗体、すなわち、前のものとは異種の他の種の抗体に由来する重鎖及び軽鎖の定常領域と組み合わせて、所与の種の抗体に由来する重鎖及び軽鎖の可変領域又は高頻度可変領域を含む抗体でありうる。
【0065】
本発明の第1の代替物は、キメラ化抗体、特にキメラ化モノクローナル抗体、すなわち、マウス抗体由来の前述の可変ドメインがヒト起源の定常ドメインと関連する抗体に対応する。ヒトに使用されているいくつかの治療用抗体はキメラ化抗体であることに留意しなければならない。
【0066】
第2の特に興味深い代替物は、ヒト化抗体及び特に、ヒト化モノクローナル抗体でありうる。実際に、後者をヒト被験者に反復投与する必要がある場合、ヒト化抗体を使用することが好ましい。
【0067】
本発明によるヒト化モノクローナル抗体の場合、後者は、アイソタイプ(IgG、IgA、IgM)に関係なく、マウス抗体、特に2016年5月19日に受託番号CNCM I-5084でCNCMに寄託されたハイブリドーマ(Rendomab-B49)、2016年6月7日に受託番号CNCM I-5104でCNCMに寄託されたハイブリドーマ(Rendomab-B41)、及び2016年6月7日に受託番号CNCM I-5103でCNCMに寄託されたハイブリドーマ(Rendomab-B36)から選択されるハイブリドーマからのマウス抗体のCDRをヒト抗体内に挿入することによって調製することができる。ヒト化抗体はVerhoeyenら、1988(「Reshaping human antibodies: Grafting an antilysozyme activity」、Science、239巻、1534~1536頁)及びGenentech社の代理で1989年3月28日に公開された米国特許第4,816,567号に記載された技術及び方法を使用して作製可能である。
【0068】
抗体は、それらがヒトワクチン接種を必要としない分野で公知の調製方法を介して抗ETB-Rヒト抗体のアミノ酸配列を有するという点でヒト抗体でもありうる。例えば、そのような抗体は、入手可能で本質的にヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスの遺伝子免疫化/細胞免疫化追加免疫によって得ることができる(Vaughanら、1998、「Human antibodies by design」、Nature Biotechnol.、16巻、535~539頁を参照)。或いは、そのような抗体は、ETB-Rに対するヒトBリンパ球をコードするCDNAをクローニングすることによって得ることができる。
【0069】
本発明は、以下の異なるポリヌクレオチド:
α)先に定義された抗体をコードするポリヌクレオチド、
β)(α)で定義されたポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、
γ)高ストリンジェンシー条件下で(α)及び(β)で定義されたポリヌクレオチドとハイブリダイズ可能な少なくとも18ヌクレオチドのポリヌクレオチド
から選択される、単離されたポリヌクレオチドにも関する。
【0070】
「ポリヌクレオチド」とは、本発明の範囲内において、核酸、核の配列、核酸配列、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド配列、ヌクレオチド配列、一本鎖DNA、二本鎖DNA又はRNAを意味する。本発明によるポリヌクレオチドは、天然のヌクレオチド及び非天然のヌクレオチドを含むことができる。
【0071】
本発明によるポリヌクレオチドは、その天然の状態、すなわちその天然の染色体環境におけるヌクレオチド配列に対応しない。反対に、本発明によるポリヌクレオチドは単離され、そしておそらく精製されており、その環境は、その結果改変されている。本発明によるポリヌクレオチドは、遺伝子組換え又は化学合成によっても得ることができる。
【0072】
高ストリンジェンシー条件は、2つの相補的ヌクレオチド配列間でハイブリダイゼーションが維持できるようにする温度及びイオン強度条件に対応する。当業者は、特にSambrookら、1989(Molecular cloning、Noland C.編、New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press)の教示を参照することにより、ヌクレオチド配列のサイズに応じて最も適切な高ストリンジェンシー条件を決定することができるであろう。
【0073】
本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
GGC TAC ACC TTC ATC AGC TAC TGG (配列番号4)及び
GGC TAC ACC TTC ACC AGC TAC TGG (配列番号6)
から選択されるCDR1Hをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0074】
有利には、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
ATT GAT CCT GAT AGN1 GGT GGT ACT(式中、N1はC又はTのいずれかを表す) (配列番号9)及び
ATT GAT CCT AAT AGT GGT GGC ACT (配列番号11)
から選択されるCDR2Hをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0075】
更に有利には、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
GCA AGA GAA GGG GAT TAC GCC TGG TTT GCT TAC (配列番号14);
GTA AGA GAA GGG TGG GAC GCC TGG TTT GTT TAC (配列番号16)及び
GCA AGA GAG GGG GAA TTC GCC TGG TTT GCT TAC (配列番号18)
から選択されるCDR3Hをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0076】
一般的に、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
CAG AGC ATT GTA CAT AGT AAT GGA AAC ACC TAT (配列番号21)及び
CAG AAC ATT GTC CAT AGT AAT GGA TAC ACC TAT (配列番号23)
から選択されるCDR1Lをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0077】
特に、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
AAA GTT TCC及び
AAA GTT TTC
から選択されるCDR2Lをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0078】
より詳細には、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
TTT CAA GGT TCA CAT GTT CCG TGG ACG (配列番号26)及び
TTT CAA GGT TCA CAT GTT CCN2 CTC ACG(式中、N2はG又はTのいずれかを表す) (配列番号28)
から選択されるCDR3Lをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0079】
有利には、本発明によるポリヌクレオチドは、以下の群:
(i1')配列番号4、配列番号9(式中、N1はCを表す)、及び配列番号14、のヌクレオチド配列、
(ii1')配列番号6、配列番号9(式中、N1はTを表す)、及び配列番号16、のヌクレオチド配列、並びに
(iii1')配列番号6、配列番号11(式中、N1はTを表す)、及び配列番号18、のヌクレオチド配列
のうちの1つに対応する少なくとも3つのヌクレオチド配列を含む。
【0080】
各群について、本発明によるポリヌクレオチドの翻訳の最後に得られるポリペプチドがCDR1H、CDR2H及びCDR3Hに対応する3つのペプチド配列を含むように、上記に列挙した3つの配列を互いに関して構造化する必要があることは明らかである。
【0081】
より詳細には、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGCGCTTGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCATCAGCTACTGGATGCTCTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACGAGGCCTTGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGATAGCGGTGGTACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGAGCAAGGCCACACTGACTGTAGACAAATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTATTGTGCAAGAGAAGGGGATTACGCCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCCCTGTCTCTGCA (配列番号30)
と少なくとも80%の同一性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0082】
したがって、本発明によるポリヌクレオチドは、配列番号30のヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列を含み、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、又は更に少なくとも90%の同一性を示しうる。
【0083】
更により詳細には、本発明によるポリヌクレオチドは、配列番号30のヌクレオチド配列に対応する、ヌクレオチド配列を含む(Rendomab-B49の場合)。したがって、Rendomab-B49の重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号30のヌクレオチド配列を含む又はからなる。
【0084】
或いは(Rendomab-B41の場合)、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAGCTTGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACCAGCTACTGGATGCACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGGACGAGGCCTTGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGATAGTGGTGGTACTAAATACAATGAGAAGTTCAAGAGCAAGGCCACACTGACTGTAGACAAACCCTCCAACACAGCCAACATGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAAGACTCTGCGGTCTATTATTGTGTAAGAGAAGGGTGGGACGCCTGGTTTGTTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGCTCACTGTCTCTGCA (配列番号32)
を含む。
【0085】
したがって、Rendomab-B41の重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号32のヌクレオチド配列を含む又はからなる。
【0086】
他の選択肢として(Rendomab-B36の場合)、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
CAGGTCCAACTGCAGCAGCCTGGGGCTGAACTTGTGAAGCCTGGGGCTTCAGTGAAGCTGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACACCTTCACCAGCTACTGGATACACTGGGTAAATCAGAGGCCTGGACGAGGCCTTGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTAATAGTGGTGGCACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAGAGTAAGGCCACACTGACTGTAGACAAAACCTCCAGCACAGCCTACATGCAGTTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACTCTGCGGTCTATTATTGTGCAAGAGAGGGGGAATTCGCCTGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCA (配列番号34)
を含む。
【0087】
したがって、Rendomab-B36の重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号34のヌクレオチド配列を含む又はからなる。
【0088】
有利には、本発明によるポリヌクレオチドは、以下の群:
(i2')配列番号21、AAAGTTTCC、及び配列番号26のヌクレオチド配列、
(ii2')配列番号21、AAAGTTTTC、及び配列番号28(式中、N2はGを表す)のヌクレオチド配列、並びに
(iii2')配列番号23、AAAGTTTCC、及び配列番号28(式中、N2はTを表す)のヌクレオチド配列
のうちの1つに対応する少なくとも3つのヌクレオチド配列を含む。
【0089】
各群について、本発明によるポリヌクレオチドの翻訳の最後に得られるポリペプチドがCDR1L、CDR2L及びCDR3Lに対応する3つのペプチド配列を含むように、上記に列挙した3つの配列を互いについて構造化する必要があることは明らかである。
【0090】
より詳細には、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
GATGTTTTGATGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGAGCATTGTACATAGTAATGGAAACACCTATTTAGAATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTGATCTACAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGCTTTCAAGGTTCACATGTTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAA (配列番号36)
と少なくとも80%の同一性を有する少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0091】
したがって、本発明によるポリヌクレオチドは、配列番号36のヌクレオチド配列と少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%又は更に少なくとも95%の同一性を示す少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0092】
更により詳細には、本発明によるポリヌクレオチドは、配列番号36のヌクレオチド配列に対応する、ヌクレオチド配列を含む(Rendomab-B49の場合)。したがって、Rendomab-B49の軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号36のヌクレオチド配列を含む又はからなる。
【0093】
或いは(Rendomab-B41の場合)、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
GATGTTTTGATGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGAGCATTGTACATAGTAATGGAAACACCTATTTAGAATGGTACTTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTGATCTACAAAGTTTTCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGCTTTCAAGGTTCACATGTTCCGCTCACGTTCGGTGCTGGGACCAAGCTGGAGCTGAAACGG (配列番号38)
を含む。
【0094】
したがって、Rendomab-B41の軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号38のヌクレオチド配列を含む又はからなる。
【0095】
他の選択肢として(Rendomab-B36の場合)、本発明によるポリヌクレオチドは、以下のヌクレオチド配列:
GATGTTTTGATGACCCAAACTCCACTCTCCCTGCCTGTCAGTCTTGGAGATCAAGCCTCCATCTCTTGCAGATCTAGTCAGAACATTGTCCATAGTAATGGATACACCTATTTAGAATGGTACCTGCAGAAACCAGGCCAGTCTCCAAAGCTCCTGATCTACAAAGTTTCCAACCGATTTTCTGGGGTCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTCAAGATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATCTGGGAGTTTATTACTGCTTTCAAGGTTCACATGTTCCTCTCACGTTCGGCTCGGGGACAAAGTTGGAAATAAAACGG (配列番号40)
を含む。
【0096】
したがって、Rendomab-B36の軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列は、配列番号40のヌクレオチド配列を含む又はからなる。
【0097】
2つのアミノ酸配列間(又は2つのヌクレオチド配列間)の「同一性パーセント」とは、本発明の範囲内で、比較されている2つの配列間の同一のアミノ酸(又はヌクレオチド)残基のパーセントを意味し、このパーセントは、両方の配列間の最良のアラインメント(最適アラインメント)を実施した後に得られる。当業者は、そのような同一性パーセントを得ることを可能にし、相同性アルゴリズム又はプログラムBLASTのようなコンピュータプログラムを含む異なる技術を知っている。
【0098】
同一性パーセントは統計量であり、両方の配列間の違いはこれらの配列に沿ってランダムに分布している。両方の配列間の違いは、異なる修飾型の配列:アミノ酸(若しくはヌクレオチド)残基の欠失、置換又は付加から成りうる。
【0099】
第1の実施形態において、配列に施された修飾は、同等なアミノ酸、すなわち構造的相同性を有するか又は対応する抗体の生物学的活性を実質的に修飾しないアミノ酸の間の置換をもたらす。
【0100】
第2の実施形態において、配列に施された修飾は、非同等なアミノ酸、すなわち構造的相同性を持たないアミノ酸による置換をもたらす。これらの修飾は抗体の生物学的特性、すなわち親和性及び/又は特異性の向上、認識範囲の拡大、安定性の向上、免疫原性の低下、その他を向上させる可能性が高い。
【0101】
前述の実施形態の両方に適用される場合、これらの修飾、挿入又は欠失は、必須であるかどうかにかかわらず、本発明による抗体の特性に対してCDRを標的にすることができる。
【0102】
前述の実施形態の両方に適用される場合、抗体の可変ドメイン内のそのような領域が抗体によって本発明による抗体の特性の発現において役割を果たすことができるとすれば、これらの修飾、挿入又は欠失もまた領域FRを標的とすることができる。
【0103】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つのポリヌクレオチドを含有するクローニング及び/又は発現ベクターに関する。そのようなベクターは、宿主生物を形質転換し、後者において本発明による抗体を発現させるのに特に有用である。
【0104】
本発明によるベクターは、本発明によるポリヌクレオチドが発現されること、及び/又は本発明によるポリヌクレオチドの翻訳から生じる産物が分泌されることを可能にする1つ(又はそれ以上)の要素を更に含む。これらの要素のうち、構成的又は誘導的プロモーター、転写開始シグナル又は転写終結シグナル、翻訳開始配列又は翻訳終結シグナルが挙げられる。
【0105】
有利には、本発明によるベクターは、互いに機能的に連結されたプロモーター、本発明のポリヌクレオチド及びターミネーター要素を含む。本発明による「互いに機能的に連結された」とは、ある要素の機能が別の要素の機能によって影響を受けるように、互いに連結している要素を意味する。例として、プロモーターがその発現に影響を及ぼすことができる場合、プロモーターはコード配列に機能的に連結されている。ベクターが含みうるペプチド転写、翻訳及び成熟調節要素は、発現又はクローニングが行われるべき宿主生物に応じてそれらを選択することができる当業者において公知である。
【0106】
本発明によるベクターは、プラスミド、コスミド、バクテリオファージ及びバキュロウイルスのようなウイルスから選択されると有利である。特に、本発明のベクターは、複製開始点として宿主生物中でそれを維持し複製することを可能にする要素を含む自律複製ベクターである。更に、ベクターは、宿主生物において、例えば宿主生物のゲノムにおいて欠失されたそれぞれの遺伝子との相補性を確実にする抗生物質耐性遺伝子又は選択遺伝子として選択されることを可能にする要素を含むことができる。そのようなクローニング及び/又は発現ベクターは、当業者によく知られ、文献に広範囲に記載されている。
【0107】
本発明はまた、本発明によるポリヌクレオチド又は本発明によるベクターによって形質転換された又はそれらを含む宿主生物に関する。
【0108】
「宿主生物」とは、本発明による抗体を産生するために本発明のポリヌクレオチドが導入されている、単離された、単細胞又は多細胞の下等又は高等生物を意味する。
【0109】
当業者は、宿主生物において前記ポリヌクレオチドによってコードされる抗体を産生するために宿主生物にポリヌクレオチドを効率的に導入するための異なる方法を知っている。例として及び非網羅的方法では、この方法は、エレクトロポレーション、リポフェクション、Agrobacterium tumefasciensを使用した植物の生物学的形質転換、ヒートショック又は化学的方法でありうる。
【0110】
有利には、宿主生物は酵母、細菌又は真菌のような微生物である。そのような微生物の形質転換は、本発明の抗体を半工業的又は工業的規模で生産することを可能にする。
【0111】
或いは、宿主生物は、哺乳動物細胞のような動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、ヒトを除く動物又は植物である。
【0112】
そのような宿主生物は、本発明による抗体を産生するために使用可能である。実際に、本発明による抗体を産生する方法は、以下の工程:
a)本発明による宿主生物、特に単細胞宿主生物を培養培地中で適切な条件下で培養すること、
b)前記培養宿主生物の培養培地又は前記培養宿主生物から前記抗体を回収すること
を含む。
【0113】
本発明による抗体はまた、i)放射性同位体、プロドラッグ、酵素又は毒素によって標識された抗体を生成、並びにii)ETB-Rを過剰発現する細胞、特にメラノーマ、膠芽腫、その他のようながん細胞を確実に標的とする前記抗体の結合特異性及び/又は親和性、及び/又は安定性、及び/又は免疫原性を変更するために変更可能である。
【0114】
本発明による抗体はまた、それをペプチド分子;タンパク質分子;DNA、RNA、RNAi、アプタマー、PNA若しくはLNAのような核の分子;脂質分子;炭水化物分子又は化学的分子と化学的又は遺伝的に連結するために変更可能である。
【0115】
したがって本発明は、細胞毒性基、容易に検出可能な基、又はエフェクター基からなる群から選択される要素と結合した本発明による抗体を含む化合物に関する。
【0116】
「細胞毒性基」とは、本発明による抗体によって標的とされる細胞に対して直接的又は間接的に毒性のある基を意味する。「直接的に細胞毒性」とは、そのままで細胞毒性である基を意味する。「間接的に細胞毒性」とは、そのままでは細胞毒性ではないが、例えば他の分子に対するその作用によって、又はそれ自体に対する更なる作用によって細胞毒性を誘導することができる基を意味する。
【0117】
第1の実施形態において、細胞毒性基は細胞毒性化学療法剤である。当業者は、本発明の範囲内で使用可能な異なる細胞毒性化学療法剤を知っている。これらの薬剤の活性は、照射下で増加しうる。例示的及び非限定的な例として、メクロレタミン又はクロラムブシルのようなアルキル化剤;メトトレキセート;5-フルオロ-ウラシル;ビンブラスチン;ゲムシタビン;フルダラビン;ニコチンアミド;ドキソルビシン;マイトマイシン;L-アスパラギナーゼ;シスプラチン;タキソール及びそのアナログ/誘導体を挙げることができる。
【0118】
第2の実施形態において、細胞毒性基は、リシン、アブリン、シュードモナス外毒素、TNFα及びインターロイキン2のような細胞毒性(ポリ)ペプチド基である。
【0119】
第3の実施形態において、細胞毒性基は、間接的に細胞毒性化学療法剤である。プロドラッグとも呼ばれるそのような薬剤は、それ自体では細胞毒性がほとんどないか全くないが、特に酵素反応又は照射の後に、特に第1の実施形態で定義された細胞毒性物質(又は薬物)を与えることができる。例示的及び非限定的な例として、メトトレキセート-アラニン;マイトマイシンリン酸、5-フルオロシトシン;フォトフリン及びカペシタビンを挙げることができる。
【0120】
第4の実施形態において、細胞毒性基は、間接的に細胞毒性(ポリ)ペプチド基である。間接的に細胞毒性ポリペプチド基とは、酵素活性を示し、特に第3の実施形態で定義されたような比較的非毒性のプロドラッグを、特に第1の実施形態で定義されたような細胞毒性物質に変換することができるペプチド又はポリペプチドを意味する。そのような間接的な細胞毒性(ポリ)ペプチド基のうち、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ又はエンドペプチダーゼのようなペプチダーゼ;ホスファターゼ;スルファターゼ;アミダーゼ;キナーゼ;グリコシダーゼ;デアミナーゼ;レダクターゼ;及びオキシダーゼを挙げることができる。
【0121】
第5の実施形態において、細胞毒性は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はアプタマーのような直接的又は間接的に細胞毒性である核酸分子である。
【0122】
当業者は、後者が一度得られるか又は産生されると、そのような基を本発明による抗体と結合させることを可能にする異なる技術を知っている。
【0123】
これらの技術は、本発明による抗体及び細胞毒性基によって運ばれる特定の化学基を利用することによって、本発明による抗体と細胞毒性基との間の共有結合を可能にする。これらの特定の化学基のうち、チオール基、エステル基、アミノ基、酸基、及び「クリックケミストリー」において実施される可能性がある任意の化学元素を挙げることができる。
【0124】
或いは及び特に、細胞毒性基がペプチド性の基である場合、この抱合は遺伝子組換え技術による融合化合物としての本発明による化合物の産生で構成され、ポリヌクレオチドは、最終ハイブリッド化合物の所望の特性を破壊しないペプチドリンカーをコードする領域によって並置又は分離された、互いに隣接する、本発明による抗体をコードするそれぞれの領域及び細胞毒性基を含む。
【0125】
本発明による抗体を細胞毒性基と結合するために使用される技術に関係なく、この抱合の範囲内で満たすための唯一の必要条件は、結合した抗体がそのETB-R結合特異性及びアンタゴニストのその非存在を適切に保存することであり、これらの特性は細胞毒性基のものと関連している。
【0126】
「容易に検出可能な基」とは、本発明の範囲内で、顕微鏡法、シンチグラフィ、陽電子放出断層撮影法(TEP)及び磁気共鳴映像法(MRI)のような有利な非侵襲性の適切な検出技術を実施することによって検出できる基を意味する。そのような容易に検出可能な基を含む本発明による化合物は、イメージング及び診断の分野に特に適している。この化合物中に存在する本発明による抗体のETB-R結合特異性のために、それは特にETB-Rが過剰発現される部位を同定及び局在化することを可能にする。
【0127】
第1の実施形態において、容易に検出可能な基は、適合基質と接触させる場合のような特定の条件下で検出可能で、おそらく定量可能なシグナルを生成することができる酵素又は分子でありうる。例示的及び非限定的な例として、ビオチン、ジゴキシゲニン、5-ブロモデオキシウリジン、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)、グルコースアミラーゼ及びリゾチームを挙げることができる。
【0128】
第2の実施形態において、容易に検出可能な基は、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、GFP(緑色蛍光タンパク質)及びその誘導体並びにウンベリフェロン;ルミノール;ルシフェラーゼ及びルシフェリンのような蛍光、化学発光又は生物発光標識でありうる。
【0129】
第3の実施形態において、容易に検出可能な基は、ヨウ素-123、ヨウ素-125、ヨウ素-126、ヨウ素-133、インジウム-111、インジウム-113m、臭素-77、ガリウム-67、ガリウム-68、ルテニウム-95、ルテニウム-97、テクネチウム-99m、フッ素-19、フッ素-18、炭素-13、窒素-15、酸素-17、スカンジウム-47、テルル-122m、ツリウム-165及びイットリウム-199のような放射性標識、又は同位体でありうる。容易に検出可能な基として使用されるいくつかの放射性原子はまた、それらが送達しうる放射能量のために細胞毒性基でありうることが注意されるべきである。
【0130】
本発明による抗体の細胞毒性基との抱合について既に説明したことのすべては、本発明による抗体と容易に検出可能な基との抱合に変更すべきところは変更して適用可能である。本発明による抗体と容易に検出可能な基との抱合はまた、その濃度を高め、したがって放出されるシグナル、コントラスト又は毒性を改善するために、ナノ物体と関連して行うこともできる。
【0131】
この容易に検出可能な基が放射性標識である場合、後者を本発明による抗体のペプチド配列に導入することができる。この導入は、1つ又は複数の標識アミノ酸を使用することによって抗体の合成中に行うことができる。或いは、この導入は、合成された抗体のペプチド配列の残基に放射性標識を結合させることによってこの合成の後に行うことができる。例えば、リジン残基を介してイットリウム-90を結合することができる。更に或いは、放射性標識を公知の手段によって、抗体に間接的に結合することができる。例えばEDTA又は他のキレート剤を本発明による抗体に結合させることができ、インジウム-111を結合するために使用することができる。
【0132】
本発明は、医療的イメージングに関して、非常に効率的な診断、予後診断及びインビボ経過観察ツールとしての、抗体及び容易に検出可能な基を含む化合物の使用に関する。抗体型は、最良のシグナル対ノイズ比及び最良の薬物動態を生じるように選択される。
【0133】
つまり、本発明は、エンドセリン受容体サブタイプBの発現又は過剰発現をインビボ又はインビトロで検出及び定量するための方法であって、
a1)生物学的試料を本発明による化合物と接触させること、
b1)前記化合物と前記エンドセリン受容体サブタイプBとの間の可能性のある複合体を検出すること
で構成される方法に関する。
【0134】
そのような方法は、エンドセリン受容体サブタイプBが過剰発現している状態を検出、診断、予後診断又は経過観察するために、特にがん状態(がん腫瘍の存在、サイズ及び憎悪)を検出、診断、予後診断又は経過観察するために実施できる。膠芽腫のようながんを診断する方法の場合、後者は
a1')対象の生物学的試料を本発明による化合物と接触させる工程、
b1')容易に検出可能な基によって放出されたシグナルを検出する工程、及び
c1')工程(b1')で検出されたシグナルに基づいて、前記対象におけるがんの存在又は非存在を判定する工程
を含む。
【0135】
特定の実施形態において、本発明による診断方法は、生検のような生物学的試料が、工程(a1')を実施する前に対象から採取される、インビトロで行われる方法である。或いは、この方法は、有効量の本発明による化合物が予め対象に投与される、インビボイメージング方法に対応することができる。「有効量」とは、がんのイメージングに十分な本発明による化合物の量を意味する。この量は、投与様式、投与される製剤、賦形剤及び診断されるべきがんに応じて変化する。しかし、この有効量を判定することは、当業者にとって慣例的作業である。
【0136】
「エフェクター基」とは、本発明の範囲内で、がんマーカーを特異的に認識することができる、又は(i)免疫系のエフェクター細胞、すなわちNK細胞、細胞毒性T細胞、マクロファージ又は(ii)補体系を動員できるようにする基を意味する。「がんマーカーを特異的に認識することができる基」とは、本発明の範囲内で、がんマーカーのリガンド;本発明による抗体と同一又は異なる抗体;タンパク質;ペプチド;又はDNA、RNA、RNAi、アプタマー、PNA若しくはLNAのような核の分子を意味する。「がん標識」とは、ETB-R及び他の膜マーカーの両方が企図される。
【0137】
第1の実施形態において、エフェクター基は、がん細胞の表面に発現される、ETB-Rと同一又は異なるがんマーカーを認識し、したがってより優れた認識特異性を確実にし、それによりがん細胞の標的化を増加させる。
【0138】
第2の実施形態において、エフェクター基は、免疫系のエフェクター細胞、すなわちNK細胞、マクロファージ又は細胞毒性T細胞の表面に特異的に存在するマーカーに対する認識特異性を示す。そのような動員は、本発明の抗体によって認識されるがん細胞の標的溶解を確実にする。
【0139】
第3の実施形態において、エフェクター基は、補体系、特にタンパク質C1又はその短縮型C1qに対して認識特異性を有し、これが標的細胞の死をもたらす分子事象のカスケードを開始させる。そのような動員は、本発明の抗体によって認識されるがん細胞の標的溶解を確実にする。
【0140】
第4の実施形態において、エフェクター基は補体系、特にタンパク質C3又はその短縮型C3bに対して認識特異性を示し、したがって免疫系のエフェクター細胞の動員を確実にし、その細胞は標的細胞の死を誘導する。そのような動員は、本発明の抗体によって認識されるがん細胞の標的溶解を確実にする。
【0141】
本発明は、薬物又は医薬として使用するための、本発明による抗体、本発明によるポリヌクレオチド又は本発明による化合物に関する。
【0142】
したがって、本発明は、活性成分として、本発明による抗体、又は本発明によるポリヌクレオチド又は本発明による化合物、及び薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物に関する。
【0143】
「薬学的に許容されるビヒクル」とは、本発明によると、本発明による抗体、ポリヌクレオチド又は化合物に、その輸送を促進するため、前記組成物におけるその実質的な分解を回避するため、及び/又はその半減期を増加させるために添加される任意の物質を意味する。有利には、そのような薬学的に許容されるビヒクルは、無菌及び非発熱性である。それは、本発明の医薬組成物の適用のタイプに応じて、特にその投与様式に応じて選択される。
【0144】
したがって、本発明による医薬組成物は、遊離型若しくは薬学的に許容される酸との付加塩の形で、純粋な状態で、又はそれが任意の他の薬学的に適合性のある生成物と関連する組成物の形で、少なくとも1つの抗体、又は本発明によるポリヌクレオチド若しくは化合物、からなる。本発明による医薬組成物は、全身経路により;非経口経路により、例えば静脈内、動脈内、腹腔内、クモ膜下、心室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内又は皮下経路;局所経路により;経口経路により;直腸経路により;鼻腔内経路又は吸入により使用することができる。
【0145】
経口投与用の固体組成物として、本発明による抗体、ポリヌクレオチド又は化合物は、1つ又は複数の従来使用されている不活性希釈剤、及びおそらく例えば潤滑剤、色素、コーティング等のような他の物質と混合される場合、錠剤、丸剤、粉末、その他が使用できる。
【0146】
薬学的に許容される経口又は眼投与用の液体組成物としては、従来使用されている不活性希釈剤、及びおそらく湿潤製品、甘味料、増粘剤等の他の物質を含む懸濁剤、液剤、エマルション、シロップ剤を用いることができる。
【0147】
非経口投与用の無菌組成物は、水溶液又は非水溶液、懸濁剤又はエマルションでありうる。溶媒又はビヒクルとして、水、プロピレングリコール、植物油又は他の適切な有機溶媒を使用することができる。これらの組成物は、湿潤剤、等張化剤(isotoniser)、乳化剤、その他のようなアジュバントを含むこともできる。
【0148】
局所適用のための組成物は、例えばクリーム、ローション、経口スプレー、点鼻液若しくは点眼液又はエアロゾルでありうる。
【0149】
本発明による抗体、ポリヌクレオチド又は化合物の1日用量レベルは、通常、成人1人あたり1~1000mg(すなわち、約0.015~15mg/kg)であり、単回又は分割用量で投与される。これらの用量は、例示目的としてのみ与えられる。いずれにせよ、医師は投与される個々の患者に最も適した実際の用量を決定することができ、この用量は患者の年齢、体重及び反応によって異なる。
【0150】
本発明は、エンドセリン、及び特にエンドセリン受容体サブタイプBのようなその受容体の少なくとも1つを含む軸の直接的な又は別の生理的経路が付随する機能不全を含む障害又は状態の治療及び/又は予防における使用のための、本発明による抗体、本発明によるポリヌクレオチド、本発明による化合物又は本発明による医薬組成物に関する。
【0151】
有利には、そのような障害又はそのような状態はがんである。がんとして、メラノーマ、結腸がん、カポジ肉腫、膠芽腫、卵巣がん及び膀胱がんを挙げることができる。一般的に、この障害はメラノーマ又は膠芽腫である。
【0152】
更に、つまり、本発明は、エンドセリン、及び特にエンドセリン受容体サブタイプBのようなその受容体の少なくとも1つを含む軸の直接的な又は別の生理的経路が付随する機能不全が関与する障害又は状態を、そのような障害又はそのような状態を有する又は有する可能性がある患者において治療及び/又は予防する方法に関する。この方法は、有効量の本発明による抗体、本発明によるポリヌクレオチド、本発明による化合物又は本発明による医薬組成物を前記患者に投与することで構成される。
【0153】
最終的に、本発明は、エンドセリン/エンドセリン受容体軸に関連する情報伝達経路を研究するために、並びにこれらの受容体ファミリーの構造的及び機能的特性を理解する上で前進するために特に適した研究ツールとしての、本発明による抗体又は本発明による化合物の使用に関する。
【0154】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図を参照して、例示的及び非限定的な目的で以下に示される例を読むことにより、当業者にはより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【
図1】300nMのエンドセリン1の存在下での細胞のプレインキュベーションあり(正方形)又はなし(ドット)で、ETB-Rを過剰発現しているCHO細胞に対するRendomab-B49(
図1A)、Rendomab-B41(
図1B)及びRendomab-B36(
図1C)の結合曲線を示す図である。両方の場合において、1ナノモルのオーダーの親和性が測定された。
【
図2】1μg/mLの標識Rendomab-B1(
図2A)又は1μg/mLの標識Rendomab-B49(
図2B)の存在下で、高グレード膠芽腫を有する患者の生検からのニューロスフェアの共焦点顕微鏡で得られた画像を示す図である。DAPI標識細胞の核のみが
図2Aに見られる。
【
図3】DAPI(
図3A)又は1μg/mLのRendomab-B49(
図3B)の存在下で、低グレード膠芽腫を有する患者の生検からの腫瘍細胞の共焦点顕微鏡で得られた画像を示す図である。
【
図4】1μg/mLのRendomab-B36の存在下で膠芽腫を有する患者の生検からの腫瘍細胞の共焦点顕微鏡で得られた画像を示す図である。
【
図5】エンドセリン受容体Bに特異的なIgG1/カッパマウス抗体Rendomab-B49の軽鎖(VL)(
図5A)及び重鎖(VH)(
図5B)の可変ドメインのアミノ酸から推定される核の配列を示す図である。
【
図6】エンドセリン受容体Bに特異的なIgG1/カッパマウス抗体Rendomab-B41の軽鎖(VL)(
図6A)及び重鎖(VH)(
図6B)の可変ドメインのアミノ酸から推定される核の配列を示す図である。
【
図7】エンドセリン受容体Bに特異的なIgG3/カッパマウス抗体Rendomab-B36の軽鎖(VL)(
図7A)及び重鎖(VH)(
図7B)の可変ドメインのアミノ酸から推定される核の配列を示す図である。
【
図8】A.エピトープマッピングを示す図である。明らかにされた「Pepスキャン」膜を示す。B.エピトープマッピングを示す図である。Rendomab-B49によって高強度で認識されるペプチド(C5、C6、C7、C8、C9及びC10ペプチド)の配列を示す。C.エピトープマッピングを示す図である。ヒトエンドセリン受容体サブタイプBの配列中のRendomab-B49によって認識されるエピトープの位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0156】
I.材料及び方法
I.1.免疫化
本発明者らの研究室で開発されたいわゆる「遺伝子免疫化」戦略は、ETB-Rを過剰発現する細胞の注射として、DNA注射とタンパク質追加免疫とを組み合わせることで構成される(Allardら、2011、「Electroporation-aided DNA immunisation generates polyclonal antibodies against the native conformation of human endothelin B receptor」、DNA and Cell Biology、30巻、727~737頁)。
【0157】
簡潔に言えば、マウス脛骨筋に、50μgのプラスミドDNApcDNA3/ETB-Rを14日間の周期で3回注射した。各DNA注射の後に、以下の特徴に従って電気刺激を続けた:各20ms、80ボルト、1Hzの各8パルス。次いで、腹腔内経路で一過性にETB-Rを過剰発現する2.106個のCOS細胞を注射することによって、3回の免疫化追加免疫を行った。
【0158】
それらの脾臓のリンパ球細胞とマウスミエローマNS-1との細胞融合を行うために、最高応答マウスを屠殺した。
【0159】
I.2.ハイブリドーマのスクリーニング
得られたハイブリドーマを、最初に、陰性対照として無関係の受容体NK1を発現するCHO細胞(CHO-WT)と共に、ETB-Rを安定に発現するCHO細胞に対するELISAによってスクリーニングした。
【0160】
保持されたハイブリドーマを次いでフローサイトメトリー(装置、Guava、Millipore社)でスクリーニングした。「Rendomab-B49」、「Rendomab-B41」及び「Rendomab-B36」と呼ばれる3つのハイブリドーマは、これら両方のスクリーニングの最後に最終的に保持された。次いで、分泌された抗体は、選択されたハイブリドーマの腹腔内経路による注射によってマウスに誘導された液体腫瘍(腹水)から産生された。
【0161】
II.生化学的特徴付け
Rendomab-B49、Rendomab-B41及びRendomab-B36を精製後、それらの生化学的特性の特徴付けを行った。
【0162】
Rendomab-B49の重鎖及び軽鎖のアイソタイプ同定は、Piercellからの「Rapid ELISA Mouse mAb Isotyping」キットを使用して行った。重鎖についてはアイソタイプ1、G型、軽鎖についてはカッパの免疫グロブリンである。したがってRendomab-B49は、IgG1/カッパ型免疫グロブリンである。Rendomab-B41及びRendomab-B36は、それぞれIgG1/カッパ型免疫グロブリン及びIgG3/カッパ型免疫グロブリンである。
【0163】
Rendomab-B49、Rendomab-B41及びRendomab-B36を精製後、市販の蛍光抗マウス二次抗体(Life Technologie社:ヤギ抗マウスIgG(H+L)*2mg/mL*のAlexaFluor(登録商標)488 F(ab')2フラグメント)を使用した間接標識によって、フローサイトメトリー(Facs Calibur、Becton Dickinson BD Bioscience社)でそれらの結合特異性を確立した。
【0164】
CHO-ETBR細胞を2グループに分けた。ETB-Rに対する3つのRendomab抗体の認識特異性を実証する目的で、ETBR受容体を内部移行するように、グループのうちの1つは、最終濃度300nMのエンドセリン1の存在下、37℃で2時間、培養培地中で予めインキュベートした。
【0165】
次いで、抗体Rendomab-B49の漸増濃度(0.04nMから800nMの濃度範囲、2×2)の存在下で、15mlファルコンチューブ(細胞300000個/チューブ)に細胞をアリコートした。4℃で2時間インキュベートした後、細胞をPBS緩衝液で3回洗浄し、次いで最終濃度4μg/mLの二次抗体と共に4℃で1時間インキュベートした。次いで細胞をPBS緩衝液で3回洗浄し、次いで細胞30000個をカウント後FACs Caliburで分析した。
【0166】
III.膠芽腫細胞に対する結合特性
III.1.プロトコール
細胞をニューロスフェア(懸濁培養)又はポリDリジン/ラミニンで覆われたスライドガラスに接着させて培養する。次いで細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液により室温で15分間結合させ、次いでPBS(SigmaAldrich社)で2回洗浄する。非特異的部位をブロックし、PBS溶液+5%ロバ血清+0.1%Tritonによって、30分間、細胞を透過性にする。
【0167】
前の溶液で1μg/mLに希釈した一次抗体Rendomab-B49を、8℃で一晩細胞と接触させる。PBSで2回すすいだ後、Alexa 488(Life Technologie社:ヤギ抗マウスIgG(H+L)*2mg/mL*のAlexa Fluor(登録商標) 488F(ab')2フラグメントof)又はAlexa 680(Life Technologie社:ヤギ抗マウスIgG(H+L)*2mg/mL*のAlexa Fluor(登録商標)680 F(ab')2フラグメント)のいずれかを連結した最終濃度4μg/mlの市販の二次抗体で2時間、提供者の勧告に従って細胞をインキュベートし、次いでPBSで2回すすぐ。
【0168】
核を観察するために、細胞を1μg/mlのDAPI(4',6-ジアミジノ-2-フェニルインドール)溶液と短時間インキュベートし、次いでPBSで洗浄した後、観察のためのその場限りの組立て用媒体を用いてスリップとスライドとの間にカバースリップを取り付ける。400倍のapotomeモジュールを備えたZeiss顕微鏡で写真を撮影する。
【0169】
III.2.結果
Rendomab-B49、Rendomab-B41及びRendomab-B36のナノモル範囲に近い親和性、及びヒトエンドセリン受容体サブタイプBに対するそれらの排他的特異性を
図1に示す。
【0170】
Rendomab-B49(
図1A)、Rendomab-B41(
図1B)及びRendomab-B36(
図1C)について観察された結合曲線は、飽和プラトーを有する抗体のその標的への結合の特徴である。
【0171】
更に、300nMのエンドセリン1の存在下、37℃で2時間、CHO-ETBR細胞をプレインキュベートすると、ETB-Rの内部移行が引き起こされ、Rendomab-B49、Rendomab-B41及びRendomab-B36のこれらの条件下での結合が50%以上低下し、このようにETB-Rに対するこれらの抗体の結合特異性を実証している。抗体の見かけの解離定数KDは、プラトーでのMFIの値の50%に等しいMFIを与える濃度の値をとることによって決定される。この定数は3つの抗体について1nMに近い。
【0172】
次いで、ETBRによりトランスフェクトされていないCHO-WT細胞上でRendomab-B49、Rendomab-B41及びRendomab-B36が結合しないのは、CHO-ETBR細胞上で観察された結合がCHO細胞の膜タンパク質に起因しないことを示す。
【0173】
膠芽腫患者の生検から単離された腫瘍細胞に対する結合実験。
【0174】
図2において、抗体Rendomab-B1を用いて高グレード膠芽腫腫瘍から単離されたニューロスフェアの標識は存在しない(
図2A)が、同じ細胞では、抗体Rendomab-B49を用いた非常に強い蛍光標識が観察される(
図2B)。
【0175】
同様に、
図3は、低グレード膠芽腫腫瘍から単離された腫瘍細胞の抗体Rendomab-B49(
図3B)による強い蛍光標識を示し、これらの細胞もまたDAPIで標識されている(
図3A)。
【0176】
同等な結果が抗体Rendomab-B41及びRendomab-B36で得られている。そのために、
図4は、膠芽腫腫瘍から単離された腫瘍細胞に対する抗体Rendomab-B36による強い蛍光標識を示す。
【0177】
IV.分子クローニング
Rendomab-B1の重鎖及び軽鎖をコードする核の前駆体のクローニングは、キット「Gene-Elute/総RNA」(Sigma社)及び「RACE-PCR」(Invitrogen社)を用いて行った。
【0178】
Rendomab-B49、Rendomab-B41及びRendomab-B36の軽鎖(VL)並びに重鎖(VH)の可変ドメインのアミノ酸から推定される核の配列をそれぞれ
図5~7に示す。
【0179】
V.エピトープマッピング
V.1.材料及び方法
ETB-R表面でのRendomab-B49、Rendomab-B41及びRendomab-B36によって認識されるエピトープのマッピングは、MontpellierにあるUMR3145「SysDiag」CNRS/BioRad社(Dr. Claude Granier)内で開発されたプロトコールと連携して及びそれに従って「Pep-スキャン」技術によって行われた。ヒトエンドセリン受容体サブタイプBの配列は、以下のアミノ酸配列:
MQPPPSLCGRALVALVLACGLSRIWGEERGFPPDRATPLLQTAEIMTPPTKTLWPKGSNASLARSLAPAEVPKGDRTAGSPPRTISPPPCQGPIEIKETFKYINTVVSCLVFVLGIIGNSTLLRIIYKNKCMRNGPNILIASLALGDLLHIVIDIPINVYKLLAEDWPFGAEMCKLVPFIQKASVGITVLSLCALSIDRYRAVASWSRIKGIGVPKWTAVEIVLIWVVSVVLAVPEAIGFDIITMDYKGSYLRICLLHPVQKTAFMQFYKTAKDWWLFSFYFCLPLAITAFFYTLMTCEMLRKKSGMQIALNDHLKQRREVAKTVFCLVLVFALCWLPLHLSRILKLTLYNQNDPNRCELLSFLLVLDYIGINMASLNSCINPIALYLVSKRFKNCFKSCLCCWCQSFEEKQSLEEKQSCLKFKANDHGYDNFRSSNKYSSS (配列番号42)
を示す。
【0180】
このために、それぞれ1アミノ酸によって補われた12アミノ酸の144ペプチドを使用した。これらのペプチドは、膜の細胞質外側に表われているすべてのETB-R配列に対応している。
【0181】
Rendomab-B49によって認識されるエピトープペプチドを明らかにするために、「Pep-スキャン」膜を以下のプロトコールに従って処理した:
- エタノール浴中で膜を加湿する。
- 25mlのTBS緩衝液(50mMトリス、150mM NaCl、pH7.4)中、室温で10分間撹拌しながら3回洗浄する。
- 25mlの飽和緩衝液(TBS、5%脱脂乳粉末、0.1%Tween20)を用いて室温で30分間撹拌しながら膜を飽和させる。
- 最終濃度1μg/mlのRendomab-B49抗体を含有する25mlの飽和緩衝液と4℃で一晩撹拌しながらインキュベートする。
- TBS緩衝液で3回短時間洗浄し(30秒)、次いで25mlのTBST緩衝液(TBST=TBS+0.1%Tween20)で10分間撹拌しながら3回洗浄する。
- 1/5,000に希釈したヤギ抗マウス二次抗体を含有する25mlの飽和緩衝液と室温で30分間撹拌しながらインキュベートする。
- TBS緩衝液で3回短時間洗浄し(30秒)、次いで25mlのTBST緩衝液で10分間撹拌しながら3回洗浄する、
- Pierce(Pierce ECL Plus Western Blotting Ref:32132)からの顕示溶液中に5分間浸漬し、BioRad社のシステムChemiDoc(商標)による自動モードでのシグナル取得によって膜を顕示させる。
【0182】
V.2.結果
Rendomab-B49のエピトープ分析の結果を
図8に示す。高強度でハイブリダイズするペプチド配列は、C5、C6、C7、C8、C9及びC10ペプチドである(
図8A)。
【0183】
それらのアラインメントは、Rendomab-B49によって主に認識されるエピトープを同定することを可能にし、後者は配列番号42のアミノ酸70からアミノ酸76までの配列に対応するEVPKGDRである(
図8B)。配列番号42のアミノ酸71からアミノ酸82までの配列に対応する配列VPKGDRTAGSPPのペプチドC11中でグルタミン酸E70が欠失するやいなや、抗体の結合は著しく減少する(
図8A)。
【0184】
ヒトエンドセリン受容体サブタイプBの配列中のエピトープペプチドの位置が
図8Cに示される。この配列は受容体のN末端にある。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドセリン受容体サブタイプBに対する抗体、そのフラグメント又は誘導体であって、
i)
- アミノ酸配列がGYTFISYW(配列番号5)であるCDR1(以下CDR1Hという)、
- アミノ酸配列がIDPDSGGT(配列番号10)であるCDR2(以下CDR2Hという)及び
- アミノ酸配列がAREGDYAWFAY(配列番号15)であるCDR3(以下CDR3Hという)
を含む重鎖可変領域、ならびに
- アミノ酸配列がQSIVHSNGNTY(配列番号22)であるCDR1(以下CDR1Lという)、
- アミノ酸配列がKVSであるCDR2(以下CDR2Lという)及び
- アミノ酸配列がFQGSHVPWT(配列番号27)であるCDR3(以下CDR3Lという)
を含む軽鎖可変領域
を含む、
又は
ii)
- アミノ酸配列がGYTFTSYW(配列番号7)であるCDR1
H
、
- アミノ酸配列がIDPDSGGT(配列番号10)であるCDR2
H
、及び
- アミノ酸配列がVREGWDAWFVY(配列番号17)であるCDR3
H
を含む重鎖可変領域、ならびに
- アミノ酸配列がQSIVHSNGNTY(配列番号22)であるCDR1
L
、
- アミノ酸配列がKVFであるCDR2
L
、
- アミノ酸配列がFQGSHVPLT(配列番号29)であるCDR3
L
を含む軽鎖可変領域
を含む、
又は
iii)
- アミノ酸配列がGYTFTSYW(配列番号7)であるCDR1
H
、
- アミノ酸配列がIDPNSGGT(配列番号12)であるCDR2
H
、及び
- アミノ酸配列がAREGEFAWFAY(配列番号19)であるCDR3
H
を含む重鎖可変領域、ならびに
- アミノ酸配列がQNIVHSNGYTY(配列番号24)であるCDR1
L
、
- アミノ酸配列がKVSであるCDR2
L
、
- アミノ酸配列がFQGSHVPLT(配列番号29)であるCDR3
L
を含む軽鎖可変領域
を含み、
前記フラグメントが、少なくとも1つの抗原結合部位を有し、
前記誘導体が、一本鎖Fv又は単一ドメイン抗体である、
抗体、そのフラグメント又は誘導体。
【請求項2】
アミノ酸配列が以下の配列:
QVQLQQPGAALVKPGASVKLSCKASGYTFISYWMLWVKQRPGRGLEWIGRIDPDSGGTKYNEKFKSKATLTVDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCAREGDYAWFAYWGQGTLVPVSA (配列番号31)
と少なくとも80%の同一性を示す重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
アミノ酸配列が以下の配列:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGVYYCFQGSHVPWTFGGGTKLEIK (配列番号37)
と少なくとも80%の同一性を示す軽鎖可変領域を含む、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
IgG1/カッパ型又はIgG3/カッパ型免疫グロブリンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
モノクローナルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
2016年5月19日に受託番号CNCM I-5084でCNCMに寄託されたハイブリドーマ、2016年6月7日に受託番号CNCM I-5104でCNCMに寄託されたハイブリドーマ及び2016年6月7日に受託番号CNCM I-5103でCNCMに寄託されたハイブリドーマから選択されるハイブリドーマから得られたモノクローナルマウス抗体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
キメラ抗体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
ヒト化抗体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
2016年5月19日に受託番号CNCM I-5084でCNCMに寄託されたハイブリドーマ、2016年6月7日に受託番号CNCM I-5104でCNCMに寄託されたハイブリドーマ及び2016年6月7日に受託番号CNCM I-5103でCNCMに寄託されたハイブリドーマから選択されるハイブリドーマ。
【請求項10】
以下の異なるポリヌクレオチド:
α)請求項1から8のいずれか一項で定義された抗体をコードするポリヌクレオチド、及び
β)(α)で定義されたポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、
から選択される、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項10に記載の少なくとも1つのポリヌクレオチドを含有するクローニング及び/又は発現ベクター。
【請求項12】
請求項10に記載のポリヌクレオチド又は請求項11に記載のベクターによって形質転換された又はそれを含む宿主生物。
【請求項13】
細胞毒性基、容易に検出可能な基、又はエフェクター基からなる群から選択される要素と結合した、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体を含む化合物。
【請求項14】
医薬で使用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、請求項10に記載のポリヌクレオチド又は請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
活性成分として、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、請求項10に記載のポリヌクレオチド又は請求項13に記載の化合物、及び薬学的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項16】
エンドセリン、及びエンドセリン受容体サブタイプBのようなその受容体の少なくとも1つを含む軸の直接的な又は別の生理的経路が付随する機能不全が関与する障害又は状態の治療及び/又は予防における使用のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、請求項10に記載のポリヌクレオチド、請求項13に記載の化合物又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記障害又は前記状態が、がんである、請求項16に記載の使用のための抗体、ポリヌクレオチド、化合物又は医薬組成物。
【請求項18】
インビトロで膠芽腫のようながんを診断する方法であって、
a1')対象から採取した生物学的試料を請求項13に記載の化合物と接触させる工程、
b1')容易に検出可能な基によって放出されたシグナルを検出する工程、及び
c1')工程(b1')で検出されたシグナルに基づいて、前記対象におけるがんの存在又は非存在を判定する工程
を含む方法。
【外国語明細書】