(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095914
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】操作した肝臓組織、そのアレイ、およびそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20220621BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220621BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220621BHJP
A61M 1/36 20060101ALI20220621BHJP
A61F 2/02 20060101ALI20220621BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20220621BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220621BHJP
C12Q 1/02 20060101ALN20220621BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20220621BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N5/10
C12M1/34 D
A61M1/36
A61F2/02
B33Y80/00
B33Y10/00
C12Q1/02
C12N15/09 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022067694
(22)【出願日】2022-04-15
(62)【分割の表示】P 2020162273の分割
【原出願日】2014-03-13
(31)【優先権主張番号】13/841,430
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】512240671
【氏名又は名称】オルガノボ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シェファード,ベンジャミン,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ロビンス,ジャスティン,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴーゲン,ビビアン,エー.
(72)【発明者】
【氏名】プレスネル,シャロン,シー.
(57)【要約】
【課題】操作した肝臓組織、そのアレイ、およびそれを製造する方法の提供。
【解決手段】操作した、生きている、三次元の肝臓組織構成物であって、該構成物は1つ以上の層を含み、各層は1つ以上の肝細胞型を含み、生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために1つ以上の層が凝集する。幾つかの実施形態において、構成物は、平面構造を作成するために細胞型が互いに近傍になるよう空間的に配置されている、複数の細胞型を含む少なくとも1つの層、及び少なくとも1つの層が少なくとも1つの他の層と組成上又は構造上異なる複数の層、の少なくとも1つを有することを特徴とする。構成物のアレイ及び製造方法もさらに開示されている。組織のインビボでの送達又は体外デバイスにおける組織の利用による、1つ以上の肝臓の機能の強化又は回復のために使用される操作した、生きている、三次元の肝臓組織構成物がさらに開示されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2013年3月15日に出願の米国出願第13/841,430号の一部継
続出願の利益を主張し、これら各々は、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる
。
【背景技術】
【0002】
医療産業は、多くの切迫した問題に直面している。2012年6月時点で、114,6
36人の患者が、臓器移植を必要とするとして、全米臓器配分ネットワーク(UNOS)
に登録されていた。UNOSによると、2012年1月から3月の間に、たった6,83
8の移植が行われた。毎年、移植が行われる件数よりも多い患者が、UNOSリストに加
えられ、その結果、移植を待つ患者の数の純増加をもたらしている。
さらに、新しい医薬品化合物の研究開発費は、およそ18億ドルである。Paul,e
t al.(2010).How to improve R&D productiv
ity:the pharmaceutical industry’s grand
challenge. Nature Reviews Drug Discovery
9(3):203-214を参照されたい。創薬は、薬物が発見される及び/又は設計
されるプロセスである。創薬のプロセスは、一般に少なくとも治療上の有効性に関する、
候補の識別、合成、特徴づけ、スクリーニング、およびアッセイの工程を含んでいる。技
術の進歩および生物系の理解にもかかわらず、創薬はまだ、新しい治療上の発見の確立が
低く、長く、高価で、非能率的なプロセスである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Paul,et al.(2010).How to improve R&D productivity:the pharmaceutical industry’s grand challenge. Nature Reviews Drug Discovery 9(3):203-214
【発明の概要】
【0004】
本発明は、再生医療と、組織および/または器官操作(engineering)の分
野に関する。より具体的には、本発明は、操作した肝臓組織構成物、そのアレイおよび成
型加工方法に関する。
【0005】
1つの態様では、本明細書には、操作した、生きている、三次元の肝臓組織構成物が開
示され、該構成物は、平面構造を定義する少なくとも1つの区画を備え、該区画は境界に
よって定義される内部を含み、該内部は実質細胞を含み、該境界は非実質細胞を含み、細
胞は生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために互いに凝集し、該構成物の少
なくとも1つの構成要素はバイオプリントされ、該構成物は使用時予め形成されたスキャ
フォールドが実質的にない。いくつかの実施形態では、構成物はさらに押出化合物を含み
、該押出化合物は、バイオプリンティングに対する細胞の適合性を改善する。いくつかの
実施形態では、実質細胞は次のソースの1つ以上に由来する:成体の哺乳類の肝臓組織;
胎児の哺乳類の肝臓組織;肝臓由来の樹立細胞株あるいは株、胚性幹細胞(ESC);E
SC由来の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC);iPSC由来の肝細胞様細胞
;肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞;及び肝臓以外の組織に由来した成人の幹細胞/前
駆細胞。いくつかの実施形態では、非実質細胞は、以下の1つ以上を含む:血管細胞、内
皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、クッパー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞(bi
liary epithelial cell)、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、
肝臓由来の幹細胞/前駆細胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態
では、構成物は、1つ以上の分化シグナルにさらされた幹細胞/前駆細胞を含む。さらな
る実施形態では、分化シグナルは、生体力学的シグナル、可溶性シグナルおよび物理的シ
グナルの1つ以上を含む。さらなる実施形態において、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成
形の前に1つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施形態において、幹細胞/前
駆細胞は、構成物の成形の最中に1つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施形
態において、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成形の後に1つ以上の分化シグナルにさらさ
れた。いくつかの実施形態では、構成物は1つ以上の層を含む。さらなる実施形態におい
て、層構造を作成するために、構成物は、少なくとも1つの層が少なくとも1つの他の層
と組成上又は構造上性質が異なる複数の層を含む。いくつかの実施形態では、構成物はイ
ンビトロでのアッセイで使用するためのものである。いくつかの実施形態では、構成物は
以下の1以上で使用するためのものである:創薬;薬物検査;前臨床研究;毒性試験;吸
収、分布、代謝および排出試験(ADME);薬物代謝と薬物動態学試験(DMPK);
疾患モデリング;感染症モデリング;宿主疾患モデリング;三次元の生物学的研究;及び
細胞に基づくスクリーニング。いくつかの実施形態では、構成物は細胞に基づくスクリー
ニングで使用するためのものであり、スクリーニングは、1つ以上の感染症、肝臓繊維症
(例えば硬変)、肝臓癌、肝臓脂肪症(例えば脂肪肝)、1つ以上の代謝欠損あるいは1
つ以上のタンパク質欠乏症のためのものである。さらなる実施形態では、感染症はウイル
ス感染あるいは寄生虫感染(例えばマラリア原虫感染など)を含む。いくつかの実施形態
では、構成物は長期的な組織毒性試験で使用するためのものであり、そこでは分析は、3
日を超えた6か月までの期間行なわれる。いくつかの実施形態では、構成物は、ヒトの中
の1つ以上の肝機能の強化で使用するためのものである。さらなる実施形態において、構
成物は、損傷、疾患あるいは変性の部位での被験体における移植のためのものである。さ
らなる実施形態では、構成物は、1つ以上の肝機能を強化する又は回復するように設計さ
れた体外のデバイスで臨床的に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、構
成物は神経支配されていない。
【0006】
別の態様において、本明細書で開示されているのは、操作した、生きている、三次元の
肝臓組織構成物であって、以下を含む:1つ以上の層であって、各層は1つ以上の肝細胞
型を含み、1つ以上の層は生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために凝集し
、以下の少なくとも1つを有することにより特徴づけられる:複数の細胞型(平面構造を
作成するために互いに近傍に空間的に配置された細胞型)を含む少なくとも1つの層;及
び複数の層であって、層構造を作成するために、少なくとも1つの他の層とは組成的にあ
るいは構造的に異なる少なくとも1つの層。いくつかの実施形態では、構成物の少なくと
も1つの構成要素はバイオプリントされた。いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織
の層はそれぞれ、X、YおよびZ軸において複数の細胞を含む。さらなる実施形態では、
操作した肝臓組織の層はX、YおよびZ軸においてそれぞれ厚さが少なくとも約50ミク
ロンである。さらなる実施形態では、構成物はさらに押出化合物(バイオ印刷用の細胞の
適応性を改善する押出化合物)を含む。いくつかの実施形態では、構成物は、使用時に予
め形成されたスキャフォールドが実質的にない。いくつかの実施形態では、実質細胞は次
のソースの1つ以上に由来する:成体の哺乳類の肝臓組織;胎児の哺乳類の肝臓組織;胚
性幹細胞(ESC);ESC由来の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC);iP
SC由来の肝細胞様細胞;肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞;及び肝臓以外の組織に由
来した成人の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、構成物はさらに以下の1つ以
上の細胞型を含む: 血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、癌細胞、
クッパー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の
幹細胞/前駆細胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、構成
物は、1つ以上の分化シグナルにさらされた幹細胞/前駆細胞を含む。さらなる実施形態
では、分化シグナルは、生体力学的シグナル、可溶性シグナルおよび物理的シグナルの1
つ以上を含む。さらなる実施形態において、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成形の前に1
つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施形態において、幹細胞/前駆細胞は、
構成物の成形の最中に1つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施形態において
、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成形の後に1つ以上の分化シグナルにさらされた。いく
つかの実施形態では、構成物はインビトロでのアッセイで使用するためのものである。い
くつかの実施形態では、構成物は以下の1以上で使用するためのものである:創薬;薬物
検査;前臨床研究;毒性試験;吸収、分布、代謝および排出試験(ADME);薬物代謝
と薬物動態学試験(DMPK);疾患モデリング;感染症モデリング;宿主疾患モデリン
グ;三次元の生物学的研究;及び細胞に基づくスクリーニング。いくつかの実施形態では
、構成物は細胞に基づくスクリーニングで使用するためのものであり、スクリーニングは
、1つ以上の感染症、肝臓繊維症(例えば硬変)、肝臓癌、肝臓脂肪症(例えば脂肪肝)
、1つ以上の代謝欠損あるいは1つ以上のタンパク質欠乏症のためのものである。さらな
る実施形態では、感染症はウイルス感染あるいは寄生虫感染(例えばマラリア原虫感染な
ど)を含む。いくつかの実施形態では、構成物は長期的な組織毒性試験で使用するための
ものであり、そこでは分析は、3日を超えた6か月までの期間行なわれる。いくつかの実
施形態では、構成物は、ヒトの中の1つ以上の肝機能の強化で使用するためのものである
。さらなる実施形態において、構成物は、損傷、疾患あるいは変性の部位での被験体にお
ける移植のためのものである。さらなる実施形態では、構成物は、1つ以上の肝機能を強
化する又は回復するように設計された体外のデバイスで臨床的に使用するためのものであ
る。いくつかの実施形態では、構成物は神経支配されていない。
【0007】
別の態様において、本明細書で開示されているのは、操作した、生きている、三次元の
肝臓組織構成物であって、以下を含む:複数の層、シリンダー状のバイオインクを含む各
層、実質的に平行に軸方向に整列したバイオインク、肝実質細胞を含むバイオインク;及
び、随意に、シリンダー状のバイオインク中又は間に非実質細胞;並びに、随意に、シリ
ンダー状のバイオインク中の空間(void space)。いくつかの実施形態では、
構成物の少なくとも1つの構成要素はバイオプリントされた。さらなる実施形態では、構
成物はさらに押出化合物(バイオ印刷用の細胞の適応性を改善する押出化合物)を含む。
いくつかの実施形態では、実質細胞は次のソースの1つ以上に由来する:成体の哺乳類の
肝臓組織;胎児の哺乳類の肝臓組織;胚性幹細胞(ESC);ESC由来の肝細胞様細胞
、人工多能性幹細胞(iPSC);iPSC由来の肝細胞様細胞;肝臓由来の成人の幹細
胞/前駆細胞;及び肝臓以外の組織に由来した成人の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施
形態では、非実質細胞はさらに以下の1つ以上を含む:血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞
、間葉細胞、免疫細胞、クッパー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類
洞内皮細胞、肝臓由来の幹細胞/前駆細胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞。いくつ
かの実施形態において、構成物は1つ以上の層を含む。さらなる実施形態において、層構
造を作成するために、構成物は、少なくとも1つの層が少なくとも1つの他の層と組成上
又は構造上異なる複数の層を含む。いくつかの実施形態では、構成物は、ヒトの中の1つ
以上の肝機能の強化で使用するためのものである。さらなる実施形態において、構成物は
、損傷、疾患あるいは変性の部位での被験体における移植のためのものである。さらなる
実施形態では、構成物は、1つ以上の肝機能を強化する又は回復するように設計された体
外の装置で臨床的に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、構成物は神経
支配されていない。
【0008】
別の態様中では、本明細書で開示されているのは、操作した、生きている三次元の肝臓
組織構成物のアレイであって、各々の構成物は、次のものを含む:1つ以上の層であって
、各層は1つ以上の肝細胞型を含み、1つ以上の層は生きている、三次元の肝臓組織構成
物を形成するために凝集し、以下の少なくとも1つを有することにより特徴づけられる:
複数の細胞型(平面構造を作成するために互いに近傍に空間的に配置された細胞型)を含
む少なくとも1つの層;及び複数の層であって、層構造を作成するために、少なくとも1
つの他の層とは組成的にあるいは構造的に異なる少なくとも1つの層。いくつかの実施形
態では、構成物の少なくとも1つの構成要素はバイオプリントされた。さらなる実施形態
では、構成物はさらに押出化合物(バイオ印刷用の細胞の適応性を改善する押出化合物)
を含む。いくつかの実施形態では、各構成物は使用時予め形成されたスキャフォールドが
実質的にない。いくつかの実施形態では、実質細胞は次のソースの1つ以上に由来する:
成体の哺乳類の肝臓組織;胎児の哺乳類の肝臓組織;胚性幹細胞(ESC);ESC由来
の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC);iPSC由来の肝細胞様細胞;肝臓由
来の成人の幹細胞/前駆細胞;及び肝臓以外の組織に由来した成人の幹細胞/前駆細胞。
いくつかの実施形態では、構成物は、1つ以上の分化シグナルにさらされた幹細胞/前駆
細胞を含む。さらなる実施形態では、分化シグナルは、生体力学的シグナル、可溶性シグ
ナルおよび物理的シグナルの1つ以上を含む。さらなる実施形態において、幹細胞/前駆
細胞は、構成物の成形の前に1つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施形態に
おいて、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成形の最中に1つ以上の分化シグナルにさらされ
た。さらなる実施形態において、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成形の後に1つ以上の分
化シグナルにさらされた。いくつかの実施形態では、各構成物はさらに以下の1つ以上の
細胞型を含む:血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、癌細胞、クッパ
ー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の幹細胞
/前駆細胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、構成物はイ
ンビトロでのアッセイで使用するためのものである。いくつかの実施形態では、構成物は
以下の1以上で使用するためのものである:創薬;薬物検査;前臨床研究;毒性試験;吸
収、分布、代謝および排出試験(ADME);薬物代謝と薬物動態学試験(DMPK);
疾患モデリング;感染症モデリング;宿主疾患モデリング;三次元の生物学的研究;及び
細胞に基づくスクリーニング。いくつかの実施形態では、構成物は細胞に基づくスクリー
ニングで使用するためのものであり、スクリーニングは、1つ以上の感染症、肝臓繊維症
(例えば硬変)、肝臓癌、肝臓脂肪症(例えば脂肪肝)、1つ以上の代謝欠損あるいは1
つ以上のタンパク質欠乏症のためのものである。さらなる実施形態では、感染症はウイル
ス感染あるいは寄生虫感染(例えばマラリア原虫感染など)を含む。いくつかの実施形態
では、構成物は長期的な組織毒性試験で使用するためのものであり、そこでは分析は、3
日を超えた6か月までの期間行なわれる。
【0009】
別の態様中では、本明細書で開示されているのは、操作した、生きている三次元の組織
構成物のアレイであって、少なくとも1つの構成物が肝臓組織構成物であり、各々の構成
物は、次のものを含む:1つ以上の層であって、各層は1つ以上の肝細胞型を含み、1つ
以上の層は生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために凝集し、以下の少なく
とも1つを有することにより特徴づけられる:複数の細胞型(平面構造を作成するために
互いに近傍に空間的に配置された細胞型)を含む少なくとも1つの層;及び複数の層であ
って、層構造を作成するために、少なくとも1つの他の層とは組成的にあるいは構造的に
異なる少なくとも1つの層。いくつかの実施形態では、構成物の少なくとも1つの構成要
素はバイオプリントされた。さらなる実施形態では、肝臓組織構成物はさらに押出化合物
(バイオ印刷用の細胞の適応性を改善する押出化合物)を含む。いくつかの実施形態では
、各肝臓構成物は使用時予め形成されたスキャフォールドが実質的にない。いくつかの実
施形態では、実質細胞は次のソースの1つ以上に由来する:成体の哺乳類の肝臓組織;胎
児の哺乳類の肝臓組織;胚性幹細胞(ESC);ESC由来の肝細胞様細胞、人工多能性
幹細胞(iPSC);iPSC由来の肝細胞様細胞;肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞
;及び肝臓以外の組織に由来した成人の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、各
肝臓組織構成物は、1つ以上の分化シグナルにさらされた幹細胞/前駆細胞を含む。さら
なる実施形態では、分化シグナルは、生体力学的シグナル、可溶性シグナルおよび物理的
シグナルの1つ以上を含む。さらなる実施形態において、幹細胞/前駆細胞は、構成物の
成形の前に1つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施形態において、幹細胞/
前駆細胞は、構成物の成形の最中に1つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施
形態において、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成形の後に1つ以上の分化シグナルにさら
された。いくつかの実施形態では、各肝臓組織構成物はさらに以下の1つ以上の細胞型を
含む:血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、癌細胞、クッパー細胞、
星細胞、胆嚢上皮細胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の幹細胞/前駆細
胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、アレイはインビトロ
でのアッセイで使用するためのものである。いくつかの実施形態では、構成物は以下の1
以上で使用するためのものである:創薬;薬物検査;前臨床研究;毒性試験;吸収、分布
、代謝および排出試験(ADME);薬物代謝と薬物動態学試験(DMPK);疾患モデ
リング;感染症モデリング;宿主疾患モデリング;三次元の生物学的研究;及び細胞に基
づくスクリーニング。いくつかの実施形態では、アレイは細胞に基づくスクリーニングで
使用するためのものであり、スクリーニングは、1つ以上の感染症、肝臓繊維症(例えば
硬変)、肝臓癌、肝臓脂肪症(例えば脂肪肝)、1つ以上の代謝欠損あるいは1つ以上の
タンパク質欠乏症のためのものである。さらなる実施形態では、感染症はウイルス感染あ
るいは寄生虫感染(例えばマラリア原虫感染など)を含む。いくつかの実施形態では、ア
レイは長期的な組織毒性試験で使用するためのものであり、そこではアレイは、3日を超
えた6か月までの期間行なわれる。
【0010】
別の態様では、本明細書で開示されているのは、生きている、三次元の肝臓組織構成物
を成形する方法であり、該方法は以下の工程を含む:非実質細胞を含む1つ以上のバイオ
インクを調製する工程;実質細胞を含む1つ以上のバイオインクを調製する工程;支持体
上にバイオインクを堆積する工程;及び生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成する
ために、堆積されたバイオインクを約1時間から約30日までの間インキュベートする工
程であって、該構成物は少なくとも1つの区画を備え、該区画は非実質細胞を含む境界で
制限された、実質細胞を含む内部を含む。いくつかの実施形態では、非実質細胞は以下の
1つ以上を含む:血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、癌細胞、クッ
パー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の幹細
胞/前駆細胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、実質細胞
は次のソースの1つ以上に由来する:成体の哺乳類の肝臓組織;胎児の哺乳類の肝臓組織
;胚性幹細胞(ESC);ESC由来の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC);
iPSC由来の肝細胞様細胞;肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞;及び肝臓以外の組織
に由来した成人の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、構成物の少なくとも1つ
の構成要素はバイオプリントされた。さらなる実施形態では、構成物はさらに押出化合物
(バイオ印刷用の細胞の適応性を改善する押出化合物)を含む。いくつかの実施形態では
、各構成物は使用時予め形成されたスキャフォールドが実質的にない。いくつかの実施形
態では、構成物は神経支配されていない。
【0011】
別の態様では、本明細書で開示されているのは、生きている、三次元の肝臓組織構成物
を成形する方法であり、該構成物は以下の工程を含む:肝細胞を含む1つ以上のバイオイ
ンクを調製する工程;支持体上に1つ以上のバイオインクを配置する工程;及び生きてい
る、三次元の肝臓組織構成物を形成するために、配置されたバイオインクを約1時間から
約30日までの間インキュベートする工程であって、ここで構成物は1つ以上の層を含み
、各層は1つ以上の細胞型を含み、1つ以上の層は生きている、三次元の肝臓組織構成物
を形成するために凝集する。いくつかの実施形態では、肝細胞は次のソースの1つ以上に
由来する:成体の哺乳類の肝臓組織;胎児の哺乳類の肝臓組織;胚性幹細胞(ESC);
ESC由来の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC);iPSC由来の肝細胞様細
胞;肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞;及び肝臓以外の組織に由来した成人の幹細胞/
前駆細胞。いくつかの実施形態では、非実質細胞は以下の1つ以上を含む:血管細胞、内
皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、癌細胞、クッパー細胞、星細胞、胆嚢上皮細
胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の幹細胞/前駆細胞および非肝臓由来
の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態において、構成物は、以下の少なくとも1つを
有することで特徴付けられる:複数の細胞型(平面構造を作成するために互いに近傍に空
間的に配置された細胞型)を含む少なくとも1つの層;及び複数の層であって、層構造を
作成するために、少なくとも1つの他の層とは組成的にあるいは構造的に異なる少なくと
も1つの層。いくつかの実施形態では、構成物の少なくとも1つの構成要素はバイオプリ
ントされた。さらなる実施形態では、構成物はさらに押出化合物(バイオ印刷用の細胞の
適応性を改善する押出化合物)を含む。いくつかの実施形態では、各構成物は使用時予め
形成されたスキャフォールドが実質的にない。いくつかの実施形態では、構成物は神経支
配されていない。
【0012】
別の態様では、本明細書で開示されているのは、生きている、三次元の肝臓組織構成物
を構築する方法であり、該構成物は以下の工程を含む:哺乳類の肝細胞を含む1つ以上の
凝集された多細胞集合体を調製する工程;複数の細胞型(平面構造を作成するために互い
に近傍に空間的に配置された細胞型)を含む少なくとも1つの層;及び複数の層であって
、層構造を作成するために、少なくとも1つの他の層とは組成的にあるいは構造的に異な
る少なくとも1つの層、の少なくとも1つを形成するために、支持体上に1つ以上の凝集
された多細胞集合体を堆積する工程、及び生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成す
るために凝集することを可能にするため、1つ以上の多細胞集合体を約1時間から約30
日までの間インキュベートする工程。いくつかの実施形態では、肝細胞は次のソースの1
つ以上に由来する: 成体の哺乳類の肝臓組織; 胎児の哺乳類の肝臓組織; 胚性幹細
胞(ESC); ESC由来の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC); iPS
C由来の肝細胞様細胞; 肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞; 及び肝臓以外の組織に
由来した成人の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、肝臓組織構成物はさらに以
下の1つ以上の細胞型を含む: 血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞
、癌細胞、クッパー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞(biliary epithelia
l cell)、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞 、肝臓由来の幹細胞/前駆細胞お
よび非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞。いくつかの実施形態では、構成物の少なくとも1つ
の構成要素はバイオプリントされた。さらなる実施形態では、構成物はさらに押出化合物
(バイオ印刷用の細胞の適応性を改善する押出化合物)を含む。いくつかの実施形態では
、各構成物はバイオプリント時又は使用時予め形成されたスキャフォールドが実質的にな
い。いくつかの実施形態では、構成物は神経支配されていない。
【0013】
別の態様において、本明細書中に開示されているのは、生きている、三次元の肝臓組織
構成物を成形する方法であって、該方法は、支持体上に堆積された非実質細胞を含む1つ
以上のバイオインク及び実質細胞を含む1つ以上のバイオインクを、生きている三次元の
肝臓組織構成物を形成するために約1時間から約30日間インキュベートする工程を含み
、該構成物は少なくとも1つの区画を備え、該区画は非実質細胞を含む境界で制限された
、実質細胞を含む内部を備える。
【0014】
別の態様において、本明細書中で開示されているのは、操作した、生きている三次元の
肝臓組織構成物であって、該構成物は1つ以上の層を含み、少なくとも1つの層は少なく
とも2つの細胞型を含み、少なくとも2つの細胞型は実質肝細胞型及び非実質肝細胞型を
含み、少なくとも2つの細胞型は平面構造を作成するために互いに近傍に空間的に配置さ
れ、平面構造は少なくとも1つの実質肝細胞区画及び少なくとも1つの非実質肝細胞区画
を含み、1つ以上の層は生きている三次元の肝臓組織構成物を形成するために凝集し、生
きている三次元の肝臓組織構成物が少なくとも7日間のインビトロ培養で実質的に生存で
き、少なくとも2つの以下の肝臓の特性を有するように提供される:コレステロールを合
成する;脂質を保存する;グリコゲンを保存する;以下の2つ以上を含む肝臓特異的なタ
ンパク質を発現する:アルブミン、フィブリノゲン、トランスフェリン、CYP450、
α1-アンチトリプシン、オルニチントランスカルバミラーゼ、グリコゲン合成酵素、第
VIII因子および第IX因子;以下の1つ以上を含む肝臓モジュレータに反応する:ホ
ルモン、誘導物質、毒性物、薬、抗体、干渉RNA、小型RNA、ロックト核酸、ウイル
ス、細菌、寄生虫および炎症性の誘導物質;以下の1つ以上を含む肝臓毒性物に反応する
:アセトアミノフェン、アルコール、トロバフロキサシン、メトトレキセート、ジクロフ
ェナク、トログリタゾン、バルプロ酸および塩酸アミオダロン;以下の1つ以上を含む輸
送タンパク質を発現する:BSEP、OATP1B1、NTCP、PGP、BCRP、O
ATP1B3、ABCB4、ATP8B1、多重薬剤抵抗性輸送体(MDR);成形後に
少なくともいくつかの静止した星細胞を保持する;及び微小血管の構造を含む。いくつか
の実施形態では、構成物は少なくとも14日間のインビトロ培養で実質的に生存できる。
いくつかの実施形態では、構成物は少なくとも28日間のインビトロ培養で実質的に生存
できる。さらなる実施形態では、構成物は少なくとも40日間のインビトロ培養で実質的
に生存できる。様々な実施形態では、構成物は、少なくとも7、10、15、20、25
、30、35、40、45、50、55、60日あるいはより長期間のインビトロ培養で
実質的に生存できる。いくつかの実施形態では、構成物はバイオプリンターを使用して、
完全に自動手順で生産される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの細胞型は人工
多能性幹細胞(iPSC)に由来した細胞を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも
2つの細胞型は、単球またはマクロファージに由来した骨髄性細胞を含む。様々な実施形
態では、構成物には少なくとも3つ、4つ、5つあるいは6つ、7つ、8つあるいは全て
の肝臓特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の新規な特徴は、特に、添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴お
よび利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる実施形態を説明する以下の詳細な
説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
【
図1】
図1は天然の肝臓組織構造の限定されない典型的な実例である。
【
図2】
図2は、HepaRG細胞を含む、バイオプリントされた肝臓構成物の成熟と生化学的な特徴の限定されない典型的な例証である。HepaRG細胞は、周囲長箱(perimeter box)の中心へ配置された後、96時間成熟させた(A-C)。バイオプリントされた肝臓構成物は、96時間後アルブミン(D)とコレステロール(E)を生成して代謝的に活性である。デキサメタゾン処置に続いて、シトクロムP450(CYP3A4)活性は処置されていない対照より5倍を超えて高かった(F)。
【
図3】
図3は、定義された構造パターンにおけるバイオプリントされた構造の限定されない例であり(A、B)、これはiPSC-由来肝細胞を含み(C)、2次元の培養物対照と比較して操作したバイオプリント構成物において100万の投入細胞(input cell)につき著しく高いアルブミンレベル(D)を合成した。
【
図4】
図4は、バイオプリントされた肝臓構成物の成熟の限定されない典型的な例証であり(A)、これは非実質細胞の別々の球面(B)を含む。バイオプリントされた構成物は、追加の24時間の培養でも融合し安定したままであった。
【
図5】
図5は、肝細胞の印刷プロセスにおける空間的及び時間的な制御を可能にする、共印刷された型(co-printed mold)の溶解の限定されない典型的な例証であり、結果としてx、y及びz軸において定義された形状及びサイズである使用者特異的な区画が生じる。矢印は、共印刷された型が印刷後24時間溶解した部位、及び追加の細胞投入ができる領域を示す。
【
図6】
図6は、操作した肝臓組織の制限しない例を描いた肉眼的のイメージであり、この場合、複数の肝細胞型及び水溶性押出化合物(例えばPF-127)でできているバイオインクを用いた連続的な堆積機構を使用して多層肝臓組織がバイオプリントされている。(A)は、バイオインクと陰性のスペースのパターン化により作成された平面構造を強調する単一の機能ユニットの概略図を示す;(B)2×10
8細胞を含むPF127でバイオプリントされた碁盤目状の機能ユニット;(C)は溶媒の適用の20分後の構成物を示す;及び、(D)は、構造への溶媒の適用の16時間後の構成物、及び押出化合物の溶解を示す。平面構造の保持を時間にわたって注意する。
【
図7】
図7は、
図6の碁盤目状の構成物中の典型的な「スポーク」を描く、碁盤目状の構成物の限定されない顕微鏡写真である。この顕微鏡写真は、多層の碁盤目状の六角形構造における連続的な堆積によってバイオプリントされ、その後16時間培養された星細胞、内皮細胞及び皮膚の線維芽細胞のホルマリンで固定されパラフィンに埋め込まれた組織部分のヘモトキシン及びエオシン染色を示す。
【
図8】
図8は、異なる仕切られた肝細胞の部位(矢印によってマークされた)の融合を可能にする、共印刷された型の溶解の制限しない例である。ある時間(B; T=24時間)にわたって、その部位は固体のバイオプリントされた組織へ融合する。
【
図9】
図9は、MMXバイオプリンターのシリンジ堆積モジュール(SDM)を使用したバイオプリントされた共印刷された型(4%ゼラチン及び2%アルギン酸塩)の限定されない例であり、これにより構成物が生成され(A)、これは印刷後72時間で肝臓組織に融合し、成熟する(B)。この例において、バイオプリントされた組織がH及びE染色によって濃く示され(C)、増殖細胞と比較して(E)、比較的少ないTUNEL染色された細胞(D)に示されるように生存可能である。
【
図10】
図10は、融合した三次元肝臓組織構成物を生成するためのシリンジ堆積モジュール(SDM)を使用してバイオプリントされた共印刷された型(A;4%ゼラチン及び2%アルギン酸塩)の限定されない例である。構造の中心にある内皮のバイオインクの付加は、構成物の複雑さを増加させる(B)。E-カドヘリン(C)及びCD31(D)染色は、上皮細胞及び内皮細胞が印刷後144時間後にバイオプリントされた領域にわたって存在する上皮細胞及び内皮細胞を示す。TUNEL染色は、144時間のインキュベーションに続く、操作した肝臓組織の核心内の制限された細胞死を示す(E)。
【
図11】
図11は、ヒドロゲル(4%ゼラチン:2%アルギン酸塩)を含む共印刷された型(共同成型)(A)又は非実質細胞及びヒドロゲルに基づく押出化合物を含むバイオインク(B)の限定されない例である。バイオインク共同成型株(bio-ink co-mold lines)は、ヒドロゲル押出化合物1mLにつき150×10
6細胞を含む。共同成型構造へのHepG2細胞の追加及び24時間の培養は、融合された、バイオプリントされた肝臓構造を結果としてもたらす。押出化合物の溶解は水性溶媒中で時間とともに生じる。
【
図12】
図12は、NovoGen MMXバイオプリンター上で2つのシリンジ堆積モジュール(SDM)を使用した、連続的な堆積によって作り上げられた密度の高い細胞の肝臓組織の限定されない例である。4%のゼラチンと2%のアルギン酸塩を含む共同成型株は、第二のSDMによるHepG2バイオペーストの充填が後に続く、第一のSDMモジュールによって配置される。
【
図13】
図13は、層状の構造を有するバイオプリントされた新組織の限定されない例である。NovoGel(商標)ヒドロゲルベースと共印刷のボックスはバイオプリントされ、その後肝臓上皮細胞のバイオインク(HepG2細胞)を含む第一の層がバイオプリントされ、肝星細胞及び内皮細胞を含む第二の層の上に堆積された。この例で、星状:EC層は、ヒドロゲル押出化合物を含むバイオインクの連続的な堆積によってバイオプリントされた(A)。成形直後の構成物全体のイメージは、2つの異なる層及びバイオインクを示す(B)。ホルマリンで固定されパラフィンに埋め込まれた構成物の部分のヘマトキシリン-エオシン染色は、その後48時間培養され、2つの層の異なる形態学及び層状構造の確立を明らかにした。内皮細胞と肝星細胞の懸濁液がバイオプリントされた場合、CD31陽性細胞は構成物の上部層に制限される(D)一方、IGF-2-陽性のHepG2が下部層(E)でのみ見られる。
【
図14】
図14は、細胞パターニングとバイオプリントされた肝臓組織中の層状化の限定されない例である。パラフィンに埋め込まれた組織部分のヘマトキシリン-エオシン染色は、血管内皮細胞と肝星細胞を含んでいる多型の細胞集団をバイオプリントすることにより形成された連続的な新組織を明らかにした(A)。CD31に対する抗体を備えた組織部分の染色は、中心に位置するECに並べられた微細血管の存在とCD31陽性のECの外層を明らかにした(B)。
【
図15】
図15は、TGF-β1を有するバイオプリントされた肝星細胞組織の刺激の制限しない例である。TGF-β1の増加した濃度(0、1、10、50ng/mL)を有するバイオプリントされた肝星細胞シートのインキュベーションは、サイトカイン濃度が増加するにつれて組織派生物形成(tissue outgrowth formation)の増加に導く、バイオプリントされた組織の全体の観察の変化を結果的にもたらす(A-D、0-50ng/mL)。バイオプリントされた肝星細胞を含んでいる組織からの組織部分のトリクロム染色は、コラーゲン堆積の増大、構成物サイズ及び細胞密度の劇的な減少を明らかにする(E-H、0-50ng/mL)。
【
図16】
図16は、マルチウェルフォーマットでのバイオプリンティングの限定されない例である。バイオプリントされた組織構成物はマルチウェルプレート(A)又は長期間の維持及び成熟のために随意に適切なマルチウェルプレートの上に配置されるマルチウェル培養インサート(B)において生じる。ここで、組織構成物は48-ウェルポリスチレンプレート中に(A)、及び6-ウェル細胞培養インサートの多孔質膜上(B)にバイオプリントされる。
【
図17】
図17は、体外の支持体のために設計され印刷された、バイオプリントされた肝臓管状構造の限定されない例である。70% HepG2/25% HUVEC/5% 肝星細胞を含む40mm長さのバイオインクシリンダーがバイオプリントされ、調節された。チャネルは除去可能な、生物学的に不活性なヒドロゲルを使用することによって構造の中心に作られる。
【
図18-1】
図18は、本明細書に記載されている構築方法と適合性がある平面及び層状構造の組み合わせ、及び天然の組織構造及び生物学から再生産された構造的又は空間的要素を含む、平面及び層状構造の限定されない一連の例である。典型的な構造は、血管ネットワーク(A)、帯状組織(B)、小葉に分かれた組織(C)、潅流した(perfused)/整列された組織(D)、固体+液体/液体インターフェイス(E)、障壁組織(F)、及び層状構造を有する層状の組織(G)を備えた、構造上正しい組織を含む。
【
図18-2】
図18は、本明細書に記載されている構築方法と適合性がある平面及び層状構造の組み合わせ、及び天然の組織構造及び生物学から再生産された構造的又は空間的要素を含む、平面及び層状構造の限定されない一連の例である。典型的な構造は、血管ネットワーク(A)、帯状組織(B)、小葉に分かれた組織(C)、潅流した(perfused)/整列された組織(D)、固体+液体/液体インターフェイス(E)、障壁組織(F)、及び層状構造を有する層状の組織(G)を備えた、構造上正しい組織を含む。
【
図19】
図19は、操作した肝臓組織を通って及び/又は通じての潅流を可能とするための、一定間隔で空間(仮の充填体に占有されているものとして描かれている;黒丸)を有する繰り返しの管状構造を含む体外の肝臓デバイスの限定されない略図である。
【
図20】
図20はバイオプリントされたヒト肝臓組織の限定されない例である。
【
図21】
図21は、バイオプリントされたヒト肝臓組織の組織学上の特徴を示す、一連の限定されない顕微鏡写真である;この場合、顕微鏡写真は高い組織の密度(A)、ECMの生成(B)、脂質の生成(C)およびグリコゲンの生成(D)を示す。
【
図22】
図22は、バイオプリントされたヒト肝臓組織の組織学上の特徴を示す、一連の限定されない顕微鏡写真である;この場合、顕微鏡写真は、非実質ストロマに囲まれた肝細胞の部位、及び天然の肝臓組織を模倣する小葉型構造への明確な自己組織化を示す。
【
図23】
図23は、バイオプリントされたヒト肝臓組織によるアルブミン(A)とコレステロール(B)の生成を示すデータの限定されない例である。
【
図24】
図24は、バイオプリントされたヒト肝臓組織によるトランスフェリン(A)とフィブリノゲン(B)の生成を示すデータの限定されない例である。
【
図25】
図25は、成形から10日後のバイオプリントされたヒト肝臓組織における胆汁酸塩に輸送するタンパク質mRNA対ハウスキーピング遺伝子RNA(18sRNA)の相対的な量を示すデータの限定されない例である。
【
図26】
図26は、ベラパミルによって阻害できる(B)、バイオプリントされた肝臓組織におけるリファンプシン処理による活性なCYP3A4酵素の持続的な誘発(A)を示すデータの限定されない例である。
【
図27】
図27は、乳酸脱水素酵素(LDH)によって測定された、より高い用量での組織損傷が後に続く、バイオプリントされた肝臓組織におけるジクロフェナク処理によるCYP3A4の誘発を示すデータの限定されない例である。
【
図28】
図28は、バイオプリントされた肝臓組織でのトロバフロキサシン対レボフロキサシンの複数回投与試験におけるアルブミンの減少(A)及びLDHの増加(B)を示すデータの限定されない例である。
【
図29】
図29は、バイオプリントされた肝臓組織でのメトトレキセートの複数回投与試験におけるATPで測定された生存率の減少(A)、アルブミンの減少(B)及びLDHの増加(C)を示すデータの限定されない例である。
【
図30】
図30は、CYPの誘発で測定された、ビタミンDへのバイオプリントされた肝臓組織の反応を示すデータの限定されない例である。
【
図31】
図31は、クッパー細胞を含むバイオプリントされた肝臓組織におけるIL-6生成によって測定された、LPS刺激への反応を示すデータの限定されない例である。
【
図32】
図32は、クッパー細胞を含むバイオプリントされた肝臓組織におけるサイトカイン生成(IL-10、IL-1b及びTNF-α)によって測定されたLPS(10μg/ml(A)及び100μg/ml(B))刺激に対する用量依存的な反応を示すデータの限定されない例である。
【
図33】
図33は、約90%の集合(confluence)である肝臓類洞内皮細胞(HSEC)の単層の制限しない例である。
【
図34】
図34は、二次元の培養物におけるIL-6の生成によって測定されるLPSに対するHSEC反応を示すデータの制限しない例である。
【
図35】
図35は、非実質画分にHSECを組み入れ、融合した三次元のバイオプリントされた肝臓組織の制限しない例である。
【
図36】
図36は、冷凍して分割された(cryo-sectioned)三次元のバイオプリントされた肝臓組織を通った小分子浸透を描いた顕微鏡写真(FITC;5倍)の制限しない例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
多くの肝不全の患者のために、正常な細胞または組織の送達による肝臓質量の回復は部
分的であっても、生存と肝機能に意味のある影響を及ぼすことができる。2011年のU
NOSデータベースによれば、10,000人を超える患者が米国で肝移植を待っており
、実際に移植肝臓を受け取る患者は50%未満であった。典型的に最も重篤な患者のため
に予約されている移植リストに載っているよりもはるかに多くの患者が肝移植による利益
を得ることができる。さらに、多くの個体が、慢性変性疾患に苦しみ、そのための移植は
、現在のヘルスケアパラダイムではない。したがって、生きている、機能的な肝臓組織は
、大きな臨床的価値があるだろう。分節的又は部分的な肝移植は、現在米国で慣例的に行
なわれており、そこでは単一の器官は2-3の部分又は葉に分けられ、各部分は待機リス
トの患者に移植される。健康な肝臓組織は、成長し、並びに個体のサイズ及び代謝的な必
要性に応じて便宜を図る特有の能力を有するため、部分的な量を移植するアプローチは臨
床的に生存可能である。
【0017】
さらに、第III相で35%の化合物が脱落する主な原因となっている(Curr.
Pharm. Des. 2005 11:3545)予測できない毒性によって、多く
の化合物が後期臨床試験又は市場に出た後に脱落する。予測できない肝臓毒性は、心毒性
及び腎毒性が後に続く、脱落する主な原因となる。したがって、よりよい系が、ヒトのイ
ンビボでの性能のより正確な予測を提供するために必要である。
【0018】
持続不可能な研究開発費を課すことなく、革新的でコスト効率の良い新薬の数および品
質を実質的に増加させる、材料、ツール、および技術が必要とされている。従って、本明
細書中に記載されている発明者は、組織及び器官のエンジニアリング、インビトロアッセ
イ、創薬及び他の分野で利用される、肝臓組織構成物及びそのアレイ並びにこれらを製造
する方法を作った。
【0019】
肝臓組織の以前のモデルは、意図した適用に合わせるために予め形成され形作られる、
三次元のスキャフォールド材料上に細胞を蒔くことによって、又は無作為な集合によって
肝細胞が多細胞楕円体を形成するのを可能にすることによって(ここで細胞の球状の凝集
は生じるが凝集中には方向づけられた構造はない)、操作した組織構成物を提供すること
に焦点を当ててきた。スキャフォールド材料上に蒔かれた細胞は、一次細胞、細胞株、操
作した細胞、及び/又は幹細胞/前駆細胞であった。多能性幹細胞または前駆細胞は、利
用されるときに、三次元のスキャフォールド材料上に蒔かれる前に、二次元の単層培養に
おいて分化プログラムを受けるか、あるいは最初にスキャフォールド材料上に蒔かれ、そ
の後、分化プログラムを受けて、インサイツのまたはインビトロで、所望の組織を生成す
る。従来の手法は、細胞収率、構成物内の細胞の終末分化に必要とされる時間、および結
果として生じる三次元構造の全体的な細胞性の点で、面倒且つ非能率的である。
【0020】
重要なことには、以前の努力と技術は、構造において特定の位置に存在する特定の細胞
型によって定義され、構成物中に数日又は数週間(40日間まで)持続する組織区画を生
成することができなかった。さらに、以前の努力と技術は、組織の寿命に寄与する、微小
血管系と密着結合を含む天然様構造を示すことができなかった。本明細書に記載された技
術は、構造に関する微調整を可能にし、天然の組織に類似する高度に定義された構造の生
成を可能にする。さらに、本技術は、これらの構造を保持する高い細胞密度組織の構築を
可能にし、それにより、組織の耐用期間を拡張する。
【0021】
本明細書には、操作した、生きている、三次元の肝臓組織構成物が開示され、該構成物
は、平面構造を定義する少なくとも1つの区画を備え、該区画は境界によって定義される
内部を含み、該内部は実質細胞を含み、該境界は非実質細胞を含み、細胞は生きている、
三次元の肝臓組織構成物を形成するために互いに凝集し、該構成物の少なくとも1つの構
成要素はバイオプリントされて提供され、該構成物は使用時予め形成されたスキャフォー
ルドが実質的にない。
【0022】
さらに本明細書で開示されているのは、特定の実施形態において、操作した、生きてい
る、三次元の肝臓組織構成物であって、以下を含む:1つ以上の層であって、各層は1つ
以上の肝細胞型を含み、1つ以上の層は生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成する
ために凝集し、以下の少なくとも1つを有することにより特徴づけられる:複数の細胞型
(平面構造を作成するために互いに近傍に空間的に配置された細胞型)を含む少なくとも
1つの層;及び複数の層であって、層構造を作成するために、少なくとも1つの他の層と
は組成的にあるいは構造的に異なる少なくとも1つの層。
【0023】
さらに本明細書で開示されているのは、特定の実施形態において、操作した、生きてい
る、三次元の肝臓組織構成物であって、以下を含む:複数の層であって、各層はシリンダ
ー状のバイオインクを含み、実質的に平行に軸方向に整列したバイオインク、肝実質細胞
を含むバイオインク;及び、随意に、シリンダー状のバイオインク中又は間に非実質細胞
;並びに、随意に、シリンダー状のバイオインク中の空間を含む。
【0024】
さらに本明細書で開示されているのは、操作した、生きている三次元の肝臓組織構成物
のアレイであって、各々の構成物は、次のものを含む:1つ以上の層であって、各層は1
つ以上の肝細胞型を含み、1つ以上の層は生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成す
るために凝集し、以下の少なくとも1つを有することにより特徴づけられる:複数の細胞
型(平面構造を作成するために互いに近傍に空間的に配置された細胞型)を含む少なくと
も1つの層;及び複数の層であって、層構造を作成するために、少なくとも1つの他の層
とは組成的にあるいは構造的に異なる少なくとも1つの層。
【0025】
さらに本明細書で開示されているのは、特定の実施形態において、操作した、生きてい
る三次元の組織構成物のアレイであって、少なくとも1つの構成物が肝臓組織構成物であ
り、各々の構成物は、次のものを含む:1つ以上の層であって、各層は1つ以上の肝細胞
型を含み、1つ以上の層は生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために凝集し
、以下の少なくとも1つを有することにより特徴づけられた構成物:複数の細胞型(平面
構造を作成するために互いに近傍に空間的に配置された細胞型)を含む少なくとも1つの
層;及び複数の層であって、層構造を作成するために、少なくとも1つの他の層とは組成
的にあるいは構造的に異なる少なくとも1つの層。
【0026】
さらに本明細書で開示されているのは、特定の実施形態において、生きている、三次元
の肝臓組織構成物を成形する方法であり、該方法は以下の工程を含む:非実質細胞を含む
1つ以上のバイオインクを調製する工程;実質細胞を含む1つ以上のバイオインクを調製
する工程;支持体上にバイオインクを堆積する工程;及び生きている、三次元の肝臓組織
構成物を形成するために、堆積されたバイオインクを約1時間から約30日までの間イン
キュベートする工程であって、該構成物は少なくとも1つの区画を備え、該区画は非実質
細胞を含む境界で制限された、実質細胞を含む内部を含む。
【0027】
さらに本明細書で開示されているのは、特定の実施形態において、生きている、三次元
の肝臓組織構成物を成形する方法であり、該構成物は以下の工程を含む:肝細胞を含む1
つ以上のバイオインクを調製する工程;支持体上に1つ以上のバイオインクを堆積する工
程;及び生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために、堆積されたバイオイン
クを約1時間から約30日までの間インキュベートする工程であって、ここで構成物は1
つ以上の層を含み、各層は1つ以上の細胞型を含み、1つ以上の層は生きている、三次元
の肝臓組織構成物を形成するために凝集する。
【0028】
さらに本明細書で開示されているのは、特定の実施形態において、生きている、三次元
の肝臓組織構成物を構築する方法であり、該構成物は以下の工程を含む:哺乳類の肝細胞
を含む1つ以上の凝集された多細胞集合体を調製する工程;複数の細胞型(平面構造を作
成するために互いに近傍に空間的に配置された細胞型)を含む少なくとも1つの層;及び
複数の層であって、層構造を作成するために、少なくとも1つの他の層とは組成的にある
いは構造的に異なる少なくとも1つの層、の少なくとも1つを形成するために、支持体上
に1つ以上の凝集された多細胞集合体を堆積する工程、及び生きている、三次元の肝臓組
織構成物を形成するために凝集することを可能にするため、1つ以上の多細胞集合体を約
1時間から約30日までの間インキュベートする工程。
【0029】
さらに本明細書中に開示されているのは、特定の実施形態において、生きている、三次
元の肝臓組織構成物を成形する方法であって、該方法は、支持体上に堆積された非実質細
胞を含む1つ以上のバイオインク及び実質細胞を含む1つ以上のバイオインクを、生きて
いる三次元の肝臓組織構成物を形成するために約1時間から約30日間インキュベートす
る工程を含み、該構成物は少なくとも1つの区画を備え、該区画は非実質細胞を含む境界
で制限された、実質細胞を含む内部を備える。
【0030】
別の態様において、本明細書中で開示されているのは、操作した、生きている三次元の
肝臓組織構成物であって、該構成物は1つ以上の層を含み、少なくとも1つの層は少なく
とも2つの細胞型を含み、少なくとも2つの細胞型は実質肝細胞型及び非実質肝細胞型を
含み、少なくとも2つの細胞型は平面構造を作成するために互いに近傍に空間的に配置さ
れ、平面構造は少なくとも1つの実質肝細胞区画及び少なくとも1つの非実質肝細胞区画
を含み、1つ以上の層は生きている三次元の肝臓組織構成物を形成するために凝集し、生
きている三次元の肝臓組織構成物が少なくとも7日間のインビトロ培養で実質的に生存で
き、少なくとも2つの以下の肝臓の特性を有するように提供される:コレステロールを合
成する;
脂質を保存する;グリコゲンを保存する;以下の2つ以上を含む肝臓特異的なタンパク質
を発現する:アルブミン、フィブリノゲン、トランスフェリン、CYP450、α1-ア
ンチトリプシン、オルニチントランスカルバミラーゼ、グリコゲン合成酵素、第VIII
因子および第IX因子;以下の1つ以上を含む肝臓モジュレータに反応する:ホルモン、
誘導物質、毒性物、薬、抗体、干渉RNA、小型RNA、ロックト核酸、ウイルス、細菌
、寄生虫および炎症性の誘導物質;以下の1つ以上を含む肝臓毒性物に反応する:アセト
アミノフェン、アルコール、トロバフロキサシン、メトトレキセート、ジクロフェナク、
トログリタゾン、バルプロ酸および塩酸アミオダロン;以下の1つ以上を含む輸送タンパ
ク質を発現する:BSEP、OATP1B1、NTCP、PGP、BCRP、OATP1
B3、ABCB4、ATP8B1、多重薬剤抵抗性輸送体(MDR);成形後に少なくと
もいくつかの静止した星細胞を保持する;及び、微小血管の構造を含む。
【0031】
<特定の定義>
特に他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本
発明の属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0032】
本明細書および添付の請求項に使用されるように、単数形「a」、「an」、および「
the」は、文脈がはっきりと特に指示していない限り、複数の言及を含む。したがって
、例えば「核酸」への言及は、これらの開示及び()を当業者が読むことによって明らか
である本明細書中に記載されているタイプの1つ以上の核酸及び/又は組成物を含む。本
明細書の「または」へのあらゆる言及は、特に他に明記のない限り、「及び/又は」を包
含するように意図される。
【0033】
本明細書で使用されるように、「アレイ」は、複数の試験がサンプル上で行われること
を可能にする、1つ以上の試験が複数のサンプル上で行われることを可能にする、または
その両方を可能にするように空間的に配置された、複数の要素の関連性を含む科学的ツー
ルを意味する。
【0034】
本明細書で使用されるように、「アッセイ」は、有機または生体のサンプル(例えば、
細胞集合体、組織、臓器、有機体など)において、物質(例えば、化学物質、分子、生化
学物質、タンパク質、ホルモン、または薬物など)の存在または活性を試験または測定す
るための手順を意味する。
【0035】
本明細書で使用されるように、「生体適合性の」は、細胞に対する損傷または毒性の危
険性が限られていることを意味する。明細書および請求項で示されるように、「生体適合
性のマルチウェル容器」および「生体適合性の膜」は、哺乳動物細胞に対する損傷または
毒性の危険性を限定するが、その定義は、生体適合性の要素がインビボで哺乳動物へと注
入され得ると示唆するまでには至らない。
【0036】
本明細書で使用されるように、「バイオインク」はバイオプリンティングでの使用のた
めの液体、半固体あるいは固体の組成物を意味する。いくつかの実施形態では、バイオイ
ンクは細胞溶液、細胞集合体、細胞を含むゲル、多細胞体あるいは組織を含む。いくつか
の実施形態では、バイオインクはさらに支持体材料を含む。いくつかの実施形態では、バ
イオインクは、バイオプリンティングを可能にする特定の生体力学の特性を提供する、非
細胞材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、バイオインクは押出化合物を含む。
【0037】
本明細書で使用されるように、「バイオプリンティング」は、自動化した、コンピュー
ター支援の、三次元のプロトタイピングデバイス(例えば、バイオプリンター)と適合性
のある方法を介して、細胞の三次元の、正確な堆積(例えば、細胞溶液、細胞を含有する
ゲル剤、細胞懸濁液、細胞濃縮液、多細胞集合体、多細胞体など)を利用することを意味
する。
【0038】
本明細書で使用されるように、「凝集する(cohere)」、「凝集した(cohe
red)」、および「凝集(cohesion)」は、細胞、多細胞集合体、多細胞体、
およびそれらの層に結合する細胞間の接着特性を指す。前記用語は、「融合する(fus
e)」、「融合した(fused)」、および「融合(fusion)」と交換可能に使
用される。
【0039】
本明細書で使用されるように、「シリンダー状」であることはシリンダーの形態を実質
的に持つことを意味する。様々な実施形態では、シリンダー状のバイオインクは、シリン
ダーの形態を実質的に持っており、インクリメントを含み、約99、98、97、96、
95、94、93、92、91、90、85、80、75、70、65あるいは60パー
セントシリンダーの形態である。さらに様々な実施形態では、シリンダー状のバイオイン
クは、インクリメントを含めてその長さに沿って、約99、98、97、96、95、9
4、93、92、91、90、85、80、75、70、65、60、55あるいは50
パーセントがシリンダーの形態を実質的に持っている。いくつかの実施形態では、「シリ
ンダー状」であることは成形時にシリンダーの形態を実質的に持つことを意味する。
【0040】
本明細書で使用されるように、「層状である」ことは、Z平面における組織の全体の厚
さを増加させるために2つ以上の平面層が組み合わさった多層のバイオプリントされた組
織を意味する。いくつかの実施形態では、各平面層は、構造および/または組成において
実質的に類似している。他の実施形態では、各平面層は、構造および/または組成におい
て実質的に異なる。
【0041】
本明細書で使用されるように、「層」は複数の細胞の厚さがあるX及びY平面における
細胞の集まりを意味する。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されている操作し
た肝臓組織は1つの層を含む。他の実施形態では、本明細書中に記載されている操作した
肝臓組織は複数の層を含む。様々な実施形態では、層は、細胞の切れ目がない、実質的に
切れ目がない又は切れ目があるシートを形成する。いくつかの実施形態では、本明細書中
に記載されている操作した肝臓組織の各層は、X、YおよびZ軸においての複数の細胞を
含む。さらなる実施形態では、操作した肝臓組織の各層は、X、YおよびZ軸において少
なくとも約50ミクロンの厚さである。
【0042】
本明細書で使用されるように、「多層である」ことは組織の2つ以上の層で構成される
ことを意味し、組織層はそれぞれ1つ以上の細胞層の厚さを有する。いくつかの実施形態
では、組織の層は一度にひとつずつ堆積される。他の実施形態では、多層は同時に堆積さ
れる。随意に、層はそれぞれ多数の細胞型で構成される。さらに、各層の内の多数の細胞
型は、X-Y平面(つまり水平面)中の空間に定義された構造中で互いの近傍に随意に堆
積される。更に、空間に定義された構造がZ平面中に続くように、Z平面(つまり垂直面
)中の層の付加は、いくつかの場合には、互いに近傍の層における細胞の制御された空間
配置を結果として生じる。
【0043】
本明細書で使用されるように、「多能性細胞」は、2つ以上の細胞型への分化を受ける
ことができる細胞を指す。多能性細胞は、例えば、間葉系幹/間質細胞、人工多能性幹細
胞、および胚性幹細胞を含む。
【0044】
使用されるように、「実質細胞」は肝細胞あるいは肝細胞様細胞を指すが、「非実質細
胞」は、肝細胞あるいは肝細胞様細胞でない肝細胞を指す。
【0045】
本明細書で使用されるように、「平面である」ことは多細胞のバイオプリントされた組
織の層を意味し、複数のバイオインク組成物及び/又は空間が、組織層のX-Y平面にお
いて実質的に互いに近傍である定義されたパターンに空間的に配置される。例えば
図18
A-Eを参照されたい。様々な実施形態中で、平面層は実質的に平面であり、例えばイン
クリメントを含めて約99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、
85、80、75、70あるいは60パーセントであり、組織層のX-Y平面において定
義されたパターンに空間的に配置される。
【0046】
本明細書で使用されるように、「スキャフォールド」は、ポリマースキャフォールドお
よび多孔性ヒドロゲルなどの合成のスキャフォールド、予め形成された細胞外マトリクス
の層および脱細胞化組織などの非合成のスキャフォールド、および操作した組織及び/又
は臓器の物理的構造にとって不可欠であり、組織及び/又は臓器の損傷/破壊なしで組織
及び/又は臓器から取り除くことができない、任意の他の種類の予め形成されたスキャフ
ォールドを指す。さらなる実施形態において、脱細胞化組織のスキャフォールドは、いか
なる様式で培養細胞から生じた脱細胞化した天然の組織又は脱細胞化した細胞材料をも含
む;例えば死ぬことを許可されている細胞層又は生存中に生成したECMを残したまま脱
細胞化した細胞層を含む。それ故、用語「スキャフォールドがない(scaffoldl
ess)」は、スキャフォールドが、使用時に操作した組織の不可欠な部分ではなく、取
り除かれたか、または操作した組織の不活性の成分として残っているかを示唆するように
意図される。「スキャフォールドがない」は、「スキャフォールドのない(scaffo
ldfree)」および「予め形成されたスキャフォールドのない(free of p
re-formed scaffold)」と交換可能に使用される。
【0047】
本明細書で使用されるように、「被験体」は、ヒト、ヒト以外の動物、任意の哺乳動物
、または任意の脊椎動物であり得る、任意の個体を意味する。前記用語は、「患者」、「
レシピエント」、および「ドナー」と交換可能である。
【0048】
本明細書に使用されるように、「支持体」は堆積されたバイオインクを受け取ることが
できるあらゆる生体適合性の表面を意味する。
【0049】
本明細書で使用されるように、「組織」は、細胞の集合体を意味する。組織の例は、限
定されないが、結合組織(例えば、疎性結合組織、強靭結合組織、弾性組織、網様結合組
織、および脂肪組織)、筋組織(例えば、骨格筋、平滑筋および心筋)、尿生殖器組織、
胃腸組織、肺組織、骨組織、神経組織、および上皮組織(例えば、単層上皮および重層上
皮)、外胚葉組織、内胚葉組織、または中胚葉組織の組織を含む。
【0050】
<組織工学>
組織工学は、臓器の増強、修復、または置換を介して組織機能を回復、維持、または改
善する生物学的代替物の開発に向けて、工学とライフサイエンスの原理を適用して組み合
わせる学際的分野である。典型的な組織工学に対する基本的なアプローチは、生体適合性
である且つ最終的に生体分解性である環境(例えば、スキャフォールド)に生細胞を蒔き
、その後、始原細胞の個体群がさらに拡大する且つ成熟するように、この構成物をバイオ
リアクター内で培養し、移植後に標的組織をもたらすことである。生物学的な細胞外マト
リクス(ECM)を模倣する適切なスキャフォールドによって、発達中の組織は、インビ
トロおよびインビボの成熟後に所望の臓器の形態および機能の両方を取り入れ得る。しか
しながら、天然組織様の構造を有する十分に高い細胞密度を達成することは、スキャフォ
ールドの全体にわたって細胞の分布および空間的配置を制御する能力が限定されるため、
困難である。これらの限定によって、結果的に、機械的性質が乏しい及び/又は機能が不
十分な組織または臓器がもたらされ得る。さらなる困難は、スキャフォールドの生体分解
、残留ポリマーの捕捉、および製造プロセスの工業上のスケールアップに関係している。
スキャフォールドがないアプローチが試みられてきた。現在のスキャフォールドがないア
プローチは、いくつかの制限を受ける:
・1つ以上の層が組成上又は構造上他の層と異なる、又は各層が異なる細胞型を含む、空
間的に定義される互いに近傍な配置である多層構造などの、複雑な平面及び/又は層状の
構造は、天然組織様の結果を再生可能に達成するために、具体的な構造内で細胞型の明確
で高分解能の配置を必要とし得る。
・尺度および幾何学的構造は、拡散及び/又は栄養供給に対する機能的な血管網のための
必要条件によって限定される。
・いくつかの場合、組織の生存能力は拡散を限定し、栄養に対する細胞のアクセスを制限
する制限物質によって損なわれ得る。
【0051】
本明細書には、特定の実施形態において、操作した組織、操作した結合組織構成物、そ
れらのアレイ、および成形の方法が開示される。本明細書に開示される組織工学の方法は
、以下の利点を有する:
・細胞を含む組織および/または器官を生産することができる。・天然組織様細胞内相互
作用を再び作ることで、成長、ホメオスタシス及び/又は天然組織の病原において見られ
る環境的条件を模倣する。
・複雑なトポロジー及び構造(例えば多層構造、セグメント、シート、チューブ、嚢等)
の幅広いアレイによって生きている三次元組織を随意に向上させ、組織を成形する。
・製造の自動化した又は半自動化した手段と適合性があり、スケーラブルである。
【0052】
バイオプリンティングは、インビトロのアッセイに有用な組織を含むマイクロスケール
の組織アナログを生成する方法を改善することができる。
【0053】
<バイオプリンティング>
幾つかの実施形態では、操作した肝臓組織/構成物の少なくとも1つの成分およびその
アレイが、バイオプリントされた。さらなる実施形態では、バイオプリントされた構成物
は、細胞溶液、細胞懸濁液、細胞を含むゲルまたはペースト、細胞濃縮液、多細胞体(例
えば、シリンダー、スフェロイド、リボンなど)、および随意に、三次元の送達装置(例
えば、バイオプリンター)による生体適合性支持体の表面上の制限物質(例えば、ヒドロ
ゲル及び/又は多孔質膜から成る)を含む、細胞の、三次元の、自動化された、コンピュ
ーター支援の堆積に基づいて、急速なプロトタイピング技術を利用する方法で作られる。
本明細書で使用されるように、幾つかの実施形態では、組織及び/又は器官に言及するた
めに使用されるときの、用語「操作した(engineered)」は、細胞、細胞溶液
、細胞懸濁液、細胞を含むゲルまたはペースト、細胞濃縮液、多細胞集合体、およびそれ
らの層が、コンピュータースクリプトに基づくコンピューター支援のデバイス(例えば、
バイオプリンター)によって、三次元構造を形成するために配置されることを意味する。
さらなる実施形態では、コンピュータースクリプトは、例えば、1つ以上のコンピュータ
ープログラム、コンピューターアプリケーション、またはコンピューターモジュールであ
る。またさらなる実施形態では、細胞又は多細胞体のバイオインクのプリンティング後の
融合を介して形成される三次元の組織構造は、いくつかの場合において初期の形態形成に
おける自己集合現象に類似する。
【0054】
手動での配置を含む三次元構造をもたらすために、生体適合性の表面上に、細胞、バイ
オインク(例えば、多細胞体)、及び/又はそれらの層を配置する多くの方法が利用可能
であるが、バイオプリンターなどの、自動化した、コンピューター支援の機器による位置
決めが利点となっている。この技術による細胞または多細胞体の送達の利点は、細胞、多
細胞集合体、及び/又は様々な組成物を有するそれらの層の、計画された又は予め決めら
れた配向またはパターンを示す構成物をもたらすために、細胞または多細胞体の、急速で
、正確で、および再生可能な配置を含む。利点はまた、細胞損傷を最小限にしながら、確
かな高い細胞密度を含むこともある。肝臓の実質細胞は、剪断力及び他の生体力学的スト
レスによるダメージに特に敏感である;したがって、本明細書中に記載されているバイオ
インク及びバイオプリンティングプロセスの併用は、
図9で示すようなバイオプリンティ
ング後の実質細胞の好ましい生存率として強調されるような、他の技術とは異なる利点を
提供する。
【0055】
幾つかの実施形態では、バイオプリンティングの方法は、連続的及び/又はほぼ連続的
である。連続的なバイオプリンティング方法の限定しない例は、バイオインクの貯蔵器に
接続された分注チップ(例えば、注射器、キャピラリーチューブなど)を介してバイオプ
リンターからバイオインク(すなわち細胞、賦形剤又は押出化合物と組み合わせた細胞又
は細胞の集合体)を分注することである。さらに限定しない実施形態では、連続的なバイ
オプリンティング方法は、機能ユニットの繰り返しのパターンでバイオインクを分注する
ことである。様々な実施形態では、繰り返しの機能ユニットは、例えば、円、正方形、長
方形、三角形、多角形、および不規則な幾何学的形状を含む、任意の適切な幾何学的構造
を有する。よって、異なるバイオインク及び/又は空間の空間的なパターニングを介して
達成された平面構造を含む1つ以上の組織層を結果としてもたらす。さらなる実施形態で
は、バイオプリントされた機能ユニットの繰り返しのパターンは、層を含み、複数の層は
、隣接してバイオプリントされ(例えば、積み重ねられ)、層構造を有する操作した組織
または器官を形成する。様々な実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11、12、13、14、15、またはそれ以上の層は、隣接してバイオプリントされ(
例えば、積み重ねられ)、操作した組織または臓器を形成する。さらなる実施形態におい
て、層構造を有する組織の1つ以上の層もまた、平面構造を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、機能ユニットは、操作した肝臓組織を横ぎる及び/又は通る
潅流を可能にする、一定の間隔で隙間又はチャネルを含む連続的な肝臓組織を形成するた
めに水平方向及び垂直方向の次元の両方に配置された多くの融合された又は凝集したチュ
ーブ構造からなる。
図17および19を参照されたい。
【0057】
幾つかの実施形態では、バイオプリントされた機能ユニットは、碁盤目状のパターンで
繰り返す。「碁盤目状のパターン」は、重なりや間隙なく平面を満たす図の平面である。
図6Aは、
図6B-D及び7において描かれた碁盤目状のパターンを作るために随意に繰
り返される機能ユニットの例を示す。連続的なおよび/または碁盤目状のバイオプリンテ
ィングの利点は、限定しない例として、バイオプリントされた組織の増加した生産性を含
む。他の限定されない典型的な利点は、バイオプリンターを、以前に堆積したバイオイン
クの要素と並べる必要性を排除することであり得る。いくつかの実施形態では、連続的な
バイオプリンティングはまた、随意に注射器の機構を使用して、バイオインクの大きな貯
蔵器からのより大きな組織の印刷を促進し得る。連続的なバイオプリンティングは、さら
に、押出化合物、ヒドロゲル、ポリマー、バイオインク、あるいはプリンティング後にそ
の形状をとどめることができるあらゆる印刷可能な材料を使用して、空間に定義された境
界を共に印刷する、便利な方法である;ここで成形される境界は、1つ以上のバイオイン
クのバイオプリンティングを介して随意に満たされ、その結果空間的に定義された平面構
造のモザイク組織を作成する、例えば
図3A、5A、5B、6、8および11に図示され
た態様を参照されたい。
【0058】
いくつかの実施形態では、連続的なバイオプリンティングでの方法は、印刷の高さ(p
rint height)、ポンプ速度、ロボット速度、またはそれらの組み合わせなど
のパラメーターを、独立してまたは互いに関連させて、最適化及び/又は平衡化すること
を含み得る。特定の場合では、堆積のためのバイオプリンターヘッドの速度は、3mm/
sであり、分注の高さは、第1層に関しては0.5mmであり、各々の続く層に関しては
、0.4mm増加した。幾つかの実施形態では、分注の高さは、バイオプリンターの分注
チップの直径とほぼ等しい。限定することなく、適切及び/又は最適な分注の距離によっ
て、結果的に物質が分注針にぴったり付く(flattening)または接着すること
はない。様々な実施形態では、バイオプリンターの分注チップは、約20、50、100
、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600
、650、700、750、800、850、900、950、1000μm、またはそ
れ以上の内径を有し、それらにおいてインクリメント(increments)を含む。
様々な実施形態において、バイオプリンターのバイオインク貯蔵器は、約.5、1、2、
3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50
、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100立方センチメートル
、またはそれ以上の容積を有し、それらにおいてインクリメントを含む。いくつかの場合
において、ポンプ速度は、システムにおける残留圧力の上昇が低いときに、適切及び/又
は最適であり得る。いくつかの場合において、好都合なポンプ速度は、貯蔵器と分注針の
断面積間の比率に依存し得、比率が大きいほど、より低いポンプ速度を必要とする。幾つ
かの実施形態では、適切な及び/又は最適なプリント速度によって、物質の機械的完全性
に影響を与えることなく、一様な線の堆積が可能となる。
【0059】
本明細書に開示される本発明は、ビジネス方法を含む。幾つかの実施形態では、本明細
書に開示される技術および方法の速度およびスケーラビリティーは、移植のための操作し
た組織及び/又は臓器の作成、またはインビトロでのアッセイなどの、調査および開発の
ための細胞ベースのツールの作成における使用のための、産業施設及び/又は商業施設を
設計、建築、かつ経営するために利用される。さらなる実施形態では、操作した肝臓組織
及び/又は臓器およびそれらのアレイは、例えば、バイオアッセイおよび高処理能力(H
igh through put)の薬物スクリーニングのための、細胞アレイ(例えば
、マイクロアレイまたはチップ)、組織アレイ(例えば、マイクロアレイまたはチップ)
、およびキットとして、作成、保存、分配され、市場に出され、広告、および販売される
。他の実施形態では、操作した組織及び/又は臓器およびそれらのアレイは、サービスと
してバイオアッセイ及び/又は薬物スクリーニングを行うために生成される且つ利用され
る。
【0060】
<操作した肝臓組織>
図1を参照すると、天然の肝臓組織は、互いに近傍に位置する、異なる空間的にパター
ン化された構造で配置された複数の細胞型を含む。各肝小葉は、肝臓の操作した機能単位
を構成し、形状においてはほぼ六角形である。実質細胞又は肝細胞は、小葉を囲んで補助
する位置にある非実質細胞(胆管細胞、類洞内皮細胞、星細胞およびクッパー細胞)とと
もに小葉の大部分を構成し、門脈と胆管の間で(小葉の末梢に沿って)中心静脈に向かっ
て広がっている。非実質細胞の位置及びにそれぞれ類洞及び胆細管に沿った血流と胆汁の
流れは、肝細胞のための正常な微小環境を形成するために一緒にふるまい、よって容態及
びこれらの細胞の機能に影響する。肝臓中の硬変あるいは繊維症のような様々な病理学的
状態は、細胞外マトリクスの過剰生成、炎症、及び病原性サイトカイン及び成長因子の生
成によって肝細胞の微小環境が崩壊し、肝臓の構造が次第に破壊されるため、重要な代謝
機能の喪失をもたらす。
【0061】
バイオプリンティングは、区画化された肝臓組織が、三次元への多細胞投入から生じる
ことを可能にし、よって天然の組織構造及び機能を再現するための重要な要素である。小
葉に分かれた組織は本明細書中に提供される実施例から生成することができ、実質細胞及
び非実質細胞が互いに近傍になるように空間的に配置され、成形された組織の各層におい
て平面構造を形成する。第一の層の構造を正確に再生産した、又は空間又はチャネルある
いは追加の生物学的要素(例えば腫瘍細胞又は病原性あるいは修復/再生プロセスに関与
する生物学的又は生化学的構成要素)のような追加の特徴を導入した次の層を加えても良
い。小葉のパターンに加えて、バイオプリントされた組織が生成でき、組織において特定
の空間的な関係を再生させることができると理解するために、伴わせるダイアグラム(a
ccompanying diagram)を使用することができ、該組織は限定されな
いが以下を含む:血管/実質細胞;血管/肝細胞;肝細胞/胆管;繊維症の組織/脈管構
造;繊維症の組織/肝細胞;肝細胞/免疫細胞;実質細胞/非実質細胞、肝臓類洞/血液
又は血液代用物。さらなる実施形態では、肝臓組織アナログは次のものを含む:肝細胞又
は肝細胞様細胞、及び随意に胆管上皮細胞、並びに随意に限定されないが星細胞、内皮細
胞、クッパー細胞、免疫細胞あるいは筋線維芽細胞を含む非実質細胞型。
【0062】
さらに本明細書中に記載されるのは、特定の実施形態において、操作した肝臓組織は凝
集された哺乳動物細胞を含み、1つ以上の哺乳動物細胞の層をさらに含み、ここで組織の
少なくとも1つの要素はバイオプリントされた。いくつかの実施形態では、1つ以上の組
織層は、複数の細胞型又はバイオインク型及び/又は空間がX-Y平面における空間的に
定義された位置に存在する平面構造によって特徴づけられる。いくつかの実施形態では、
組織は、組織に層構造の特徴を与えるように、少なくとも1つの層が他の層と構造的に又
は組成的に異なる多層である。さらなる実施形態では、層はZ平面において類似の厚さで
ある。またさらなる実施形態では、層はZ平面において可変的な厚さである。さらなる実
施形態では、どの単一層も厚さで1つの細胞層である。いくつかの実施形態では、組織は
肝臓アナログである。さらなる実施形態では、肝臓組織アナログは次のものを含む:肝細
胞又は肝細胞様細胞、及び随意に胆管上皮細胞、並びに随意に限定されないが星細胞、内
皮細胞、クッパー細胞、免疫細胞あるいは筋線維芽細胞を含む非実質細胞型。いくつかの
実施形態では、結果として生じる肝臓組織構成物は、x、yおよびz平面において厚さが
少なくとも約50ミクロンである。
【0063】
いくつかの実施形態において、操作した肝臓組織/構成物はバイオプリントされたもの
であり、その方法は本明細書に記載されている。さらなる実施形態では、操作した組織の
少なくとも1つの構成要素はバイオプリントされている。まださらなる実施形態では、組
織の追加の構成要素はバイオプリントされている。いくつかの実施形態では、組織は製造
時あるいは使用時に、本明細書にさらに記載されているような任意の予め形成されたスキ
ャフォールドがない。いくつかの実施形態では、バイオプリンティングを含む組織工学技
術によって成形されることによる結果、本発明の組織は、有機体の一部として、生体内で
発達した組織とさらに識別される。
【0064】
いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織は任意のタイプの哺乳動物細胞を含む。様
々なさらなる実施形態では、操作した肝臓組織は1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17の、18、19あるいは20以上の細
胞型を含む。いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織細胞は、互いに「凝集」あるい
は「接着」している。さらなる実施形態では、凝集または接着は、細胞、多細胞集合体、
多細胞体、及び/又はそれらの層を結合する細胞間の接着特性を指す。
【0065】
いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織/構成物は、細胞の1つ以上の層を含む。
さらなる実施形態では、1つ以上の層は平面構造を有することにより特徴づけられる。ま
たさらなる実施形態では、操作した組織の複数の層が平面の構造を有し、平面構造は層に
おいて可変である又は同じである。またさらなる実施形態では、各層の平面構造(X-Y
平面)は、合成組織におけるZ平面中に追加の構造が作られるように、成形の最中Z平面
に整列する。いくつかの実施形態では、多層構造における1つ以上の層は、平面構造を有
することでさらに特徴付けられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、細胞の層は1枚以上のシートの細胞を含む。様々な実施形態
では、細胞のシートは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、4
0、50、60、70、80、90、100個以上の細胞の厚さであり、インクリメント
をそこに含む。他の様々な実施形態では、細胞のシートは約3、5、10、15、20、
25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、9
0、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300
、325、350、375、400、425、450、475、500μm以上の厚さで
あり、インクリメントをそこに含む。いくつかの実施形態では、組織の層は、細胞の融合
した集合体を含む。さらなる実施形態では、融合に先立ち、細胞の集合体は限定されない
例として、実質的に球状、細長形状、実質的にシリンダー状及びリボン様形状に定義され
た形状又は構造を有する。様々な実施形態では、融合された細胞の集合体は、約10、1
5、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80
、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、27
5、300、325、350、375、400、425、450、475、500μm以
上の厚さの層を形成し、インクリメントをそこに含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、1つ以上の層は任意のタイプの哺乳動物細胞を含んでいる。
様々なさらなる実施形態では、各層は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11
、12、13、14、15、16、17の、18、19あるいは20以上の細胞型を含む
。いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織/構成物は、1つ以上の表面上の内皮細胞
の1つ以上の層を含んでいる。他の実施形態では、操作した肝臓組織/構成物は、1つ以
上の表面上の上皮細胞の1つ以上の層を含んでいる。
【0068】
操作した肝臓組織は、様々な実施形態中で、任意の適切な大きさである。幾つかの実施
形態では、バイオプリントされた肝臓組織の大きさは、時間とともに変化する。さらなる
実施形態では、バイオプリントされた組織は、例えば、細胞移動、細胞死、細胞間の相互
作用、収縮、または縮化の他の形態が原因で、バイオプリンティング後に縮化または収縮
する。他の実施形態では、バイオプリントされた組織は、例えば、細胞移動、細胞の成長
および増殖、細胞成熟、細胞の成長及び増殖、細胞外マトリクスあるいは他の天然組織の
細胞生成要素の生成、細胞/組織成熟、または拡大の他の形態が原因で、バイオプリンテ
ィング後に成長または拡大する。
【0069】
幾つかの実施形態では、操作した肝臓組織の物理的な寸法は、構成物を内部に拡散する
ために、酸素を含む栄養素に対する能力によって限定される。様々な実施形態では、操作
した肝臓組織/構成物は、バイオプリンティング時に、最小の寸法で、少なくとも約10
、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130
、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230
、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330
、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430
、440、450、460、470、480、490、500、550、600、650
、700、750、800、850、900、950、または1000μmであり、それ
らにおいてインクリメントを含む。様々な実施形態では、操作した肝臓組織は、バイオプ
リンティング時に、最小の寸法で、少なくとも約0.25、0.5、0.75、1.0、
1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25
、3.5、3.75、4.0、4.25、4.5、4.75、または5.0mmであり、
それらにおいてインクリメントを含む。さらなる実施形態では、操作した肝臓組織/構成
物は、バイオプリンティング時 に、最小の寸法で、約25μmと約500μmの間であ
る。
【0070】
操作した肝臓組織は、様々な実施形態において、任意の適切な形状である。幾つかの実
施形態では、形状は、特定の天然の組織または器官を模倣するために選択される。さらな
る実施形態では、形状は、特定の病理、疾病、または疾患の状態を模倣するために選択さ
れる。幾つかの実施形態では、操作した肝臓組織は、ほぼ平面の形状を有する。さらなる
実施形態では、平面の組織は、限定しない例として、四角形、長方形、多角形、円形、卵
形、または不規則な形状を含む、任意の適切な平面構造を有する。いくつかの実施形態で
は、平面構造は、特定の細胞又はバイオインク要素及び/又は空間を、X-Y平面におい
て互いに近傍に配置することで操作した肝臓組織において生じる。
【0071】
いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織/構成物は、格納容器の近傍の空間におい
て組織の位置を固定するのに適切な手段によって格納容器に固定される。いくつかの実施
形態では、操作した肝臓組織は、1つ以上の側面で物理的な支持をし、操作した肝臓組織
が占領するスペースを抑制する医療用材料によって制限される。さらなる実施形態では、
操作した肝臓組織は、表面に固定される。さらなる実施形態では、操作した肝臓組織は、
生体適合性の表面に固定される。またさらなる実施形態では、表面に固定することで複数
の組織が関連づけられ、本明細書に記載されているようにアレイを形成するために空間的
に配置される。いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織は、1つ以上の側面が流体流
動によって引き起こされる剪断力にさらされる。さらなる実施形態において、剪断力の適
用は、組織の成熟及び発達を促進する、及び/又は移動、分化、増殖、細胞外マトリクス
の堆積又は組織内の細胞の内側又は外側へのタンパク質あるいは分子の輸送を促進する役
目を担う。他の実施形態では、操作した肝臓組織は、1つ以上の表面上への液体の栄養素
の連続的又は周期的な潅流、再循環又は撹拌にさらされる。他の実施形態では、操作した
肝臓組織及びその配列は、各構成物に液体培地の連続的か周期的な再循環を提供する、マ
ルチウェルバイオリアクターに収容される。
【0072】
<組織構造>
天然の組織は、組織の細胞内及び細胞外構成要素(つまり空間、細胞外マトリクス、タ
ンパク質の物質など)によって駆動する空間的及び構成的パターンの存在によって特徴づ
けられる。三次元性を達成するために合成スキャフォールドを展開させる組織工学的戦略
に対する固有の難題は、天然組織の構造的及び生物学的属性を再生産できないことである
。現在までに、スキャフォールド構造中に天然組織様層状又は平面構造を作る試みがなさ
れている一方、天然組織を模倣する密度での細胞の組み込みを可能にすることは、技術的
な限界によって阻まれている。バイオプリンティングは、
図18A-Eに図示されている
例に基づく、細胞を含むバイオインクの空間的に定義された堆積を通して、両方の固有の
難題(平面/層状構造及び細胞密度)を克服する。いくつかの実施形態では、平面構造は
多数のバイオインク製剤から作成され、これによって2つ以上の組織要素(すなわちスト
ロマ、上皮、血管、硬骨、軟骨、柔組織的、皮質、骨髄、乳頭、小葉など)が、各組織要
素/細胞集団/バイオインク製剤を、X、Y及び/又はZ平面上で互いに近傍である定義
された位置に配置するような様式で成形される。いくつかの実施形態では、平面構造は空
間を組込む。さらなる実施形態において、平面構造における空間は、血液、リンパ、胆汁
、尿、分泌液などのような体液の少なくとも1つの要素を模倣した液体を収容する。さら
なる実施形態では、空間は、随意に非接着細胞型あるいは体液由来の構成要素(例えば血
球、骨髄細胞、リンパ細胞、免疫細胞、癌細胞、血小板、タンパク質など)を含んでいる
。またさらなる実施形態では、体液由来の構成要の素非接着細胞型は、平面構造の細胞を
含む要素に、成形前、最中又は後で導入された非空間の要素として随意に存在する。まだ
さらなる実施形態では、非支持者の細胞の構成要素あるいは体液を派生した構成要素は、
細胞間の相互作用あるいは分泌された要因に対する反応の結果平面構造内の細胞を含むス
ペースへ空間から補充される。
【0073】
いくつかの実施形態では、流体流動または潅流は、構造中の空間を通って随意に開始さ
れる。いくつかの実施形態では、平面構造は、組織-組織又は組織-液体インターフェイ
スの生成を可能にする。さらなる実施形態では、組織は、構造によって作られたインター
フェイスの細胞のリアルタイムでの観察を可能にするために光学的に透明な容器の中に成
形される。
【0074】
いくつかの実施形態では、組織は複数の層を含み、少なくとも1つの層が構成物中の他
の層と構造的に又は組成的に異なり、よってZ平面において層状構造が作られる。層状構
造の例は、
図18Fで示される例によって描かれるような、基礎をなす間質組織への内皮
性又は上皮性関門を備えた障壁組織を含む。いくつかの実施形態では、組織の1つ以上の
層が血管又は微小血管の構成要素を組込む。さらなる実施形態では、血管又は微小血管要
素の組み込みは、操作した組織の1つ以上の要素における微小血管又は偽血管ネットワー
クの形成をもたらす。いくつかの実施形態では、層状構造を持った組織の1つ以上の構成
要素がバイオプリントされる。いくつかの実施形態では、層状構造を持った1つ以上の組
織が互いに近接して成形され、組織インターフェイスを作る。
【0075】
いくつかの実施形態では、層状構造を備えた多層の操作した組織の1つ以上の層は、図
18Gにおいて述べられた、限定しない例に従って、平面構造も含む。いくつかの実施形
態では、同じ平面構造は各層において連続しており、結果としてX,Y及びZ平面におけ
る連続的な構造を有する三次元組織が生じる。いくつかの実施形態では、結果として生じ
た三次元組織がX、YおよびZ平面中の複雑な構造を有するように、1つ以上の層状の層
の組成又は平面構造は変えられる。
【0076】
図18Aに従って、特別の実施形態では、操作した肝臓組織は、血管のネットワークを
持った構造上正確な組織を意味する平面構造で成形されている。この実施形態では、操作
した肝臓組織は、肝細胞のような実質細胞を含む第一のバイオインクによって成形される
。実質細胞の層はそれぞれ随意に任意の平面パターンを含んでいる。この実施形態では、
操作した肝臓組織は、血管のネットワークを形成する内皮細胞、平滑筋細胞および繊維芽
細胞のような血管関連の細胞を含む、第二のバイオインクで成形される。随意に、この構
造は第1のバイオプリンティング及び血管ネットワークを確立することによって作ること
ができ、その後そのネットワークの周りを囲む肝臓組織を第二の工程で成形できる。
【0077】
図18Bに従って、特別の実施形態では、操作した肝臓組織は、組織の帯状接点を表わ
す平面構造で成形される。例えば、これは門脈周囲の部位から小葉中心付近の部位へ、肝
腺房の3つの特定の領域を複製するのに使用することができる。
【0078】
図18Cに従って、特別の実施形態では、操作した肝臓組織は、小葉に分かれた組織を
意味する平面構造で成形される。この実施形態では、操作した肝臓組織は、小葉を形成す
るために第一のバイオインクを含む肝細胞で成形される。各幾何学的な小葉は、その境界
において空間的に方向づけられている構造を随意に含む。この実施形態では、操作した肝
臓組織は、小葉の周りに境界を形成するためにストロマ/血管細胞を含む第二のバイオイ
ンクで成形される。
【0079】
図18Dに従って、特別の実施形態では、操作した肝臓組織は、潅流させた/配列され
た組織を意味する平面構造によって成形される。この実施形態では、第一の構成要素は、
内腔を備えたチャネル、管あるいはチューブを形成する。この実施形態中で、第二の構成
要素は、随意に同じ大きさ/形状又は異なる大きさ/形状であり、随意に1つの細胞型又
は複数の細胞型を含み、及び随意にX、Y及び/又はZ平面上の方向づけられたパターニ
ングによって達成される1つ以上の空間的パターンを含む組織パッチを形成する。
【0080】
図18Eに従って、特別の実施形態では、操作した肝臓組織は、固体+液体/液体の組
織インターフェイスを意味する平面構造で成形される。この実施形態では、第一のバイオ
インクは内腔構造の外部壁を形成し、第二のバイオインクは内腔構造の内部壁を形成し、
必要であれば第三の要素は随意に細胞又は他の生物学的に適切な構成要素を含む液体であ
る。
【0081】
図18Fに従って、特別の実施形態では、操作した肝臓組織は、障壁組織を意味する層
状構造で成形される。この実施形態では、障壁層は随意に内皮又は上皮であり、間質層は
内腔組織の壁および/または表面を形成し、それは多孔質メッシュ又は薄膜に基づく。
【0082】
図18Gに従って、特別の実施形態では、操作した肝臓組織は、各々平面構造を有する
複数の層で成形され、層状構造を持った組織を形成するために積み重ねられる。この実施
形態では、XとYの軸の平面構造は、Z軸を通って成形された組織への連続している。構
造の特徴は、随意に切れ目のないチャネル又は細胞の区画を含んでいる。
【0083】
<細胞>
本明細書には、幾つかの実施形態において、1つ以上のタイプの哺乳動物細胞を含む操
作した肝臓組織(例えば肝臓アナログ)が開示される。さらなる実施形態では、操作した
肝臓組織は、肝細胞あるいは肝細胞様細胞を含む。またさらなる実施形態では、適切な肝
細胞あるいは肝細胞様細胞は、限定されないが原発性の肝細胞、HepG2細胞のような
細胞株、HepaRG細胞のような組織に特有の前駆細胞あるいはその組み合わせを含む
。さらなる実施形態では、操作した肝臓組織は胆管上皮性細胞あるいは胆管上皮性細胞様
細胞を含む。さらなる実施形態では、操作した肝臓組織は非実質細胞を含む。またさらな
る実施形態では、適切な非実質細胞は限定されないが、血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞
、筋線維芽細胞、脂肪細胞、脂肪生成の細胞、間葉細胞、免疫細胞、クッパー細胞、星細
胞、胆管上皮細胞、胆管上皮性細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の幹細胞/前駆細胞
、非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞、またその組み合わせを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、どんな哺乳動物細胞もが、操作した肝臓組織とそのアレイの
包含に適している。さらなる実施形態では、操作した肝臓組織の少なくとも1つの構成要
素は接着細胞型である。さらなる実施形態において、哺乳動物細胞は、限定しない例とし
て、肝細胞、実質細胞、非実質細胞、収縮性又は筋細胞(例えば平滑筋細胞、また筋芽細
胞)、結合組織細胞(例えば繊維芽細胞)、骨髄細胞、内皮細胞、上皮細胞、血管細胞、
血球、リンパ細胞、周皮細胞、中皮細胞、間質細胞、未分化細胞(例えば胚細胞、幹細胞
および前駆細胞)、内胚葉由来の細胞、中胚葉由来の細胞、外胚葉由来の細胞および組み
合わせである。
【0085】
いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織は、ヒト内皮細胞のような内皮細胞を含ん
でいる。いくつかの実施形態中で、適切な内皮細胞は、限定しない例として、肝臓組織、
血液、血管、リンパ管、消化管の組織、尿生殖路の組織、脂肪組織、気道の組織、生殖器
系の組織、骨髄及び臍の組織を含む組織に由来する。
【0086】
いくつかの実施形態では、細胞は成体の分化細胞である。さらなる実施形態では、「分
化細胞」は、分離時に、例えば、平滑筋細胞、線維芽細胞、または内皮細胞と一致した、
組織特異的な表現型を有する細胞であり、ここで、組織特異的な表現型(または表現型を
示す可能性)は、分離時から使用時まで維持される。他の実施形態では、細胞は成体の未
分化細胞である。さらなる実施形態では、「未分化細胞」は、明確な組織特異的な特性を
有さない又は失くした細胞である。幾つかの実施形態では、非分化細胞は、幹細胞を含む
。幾つかの実施形態では、「幹細胞」は、効能および自己複製を示す細胞である。幹細胞
は、限定されないが、全能細胞、万能細胞、多能性細胞、少能性細胞、単能性細胞、およ
び前駆細胞を含む。様々な実施形態において、幹細胞は、胚性幹細胞、成体幹細胞、羊膜
の幹細胞、および人工多能性幹細胞であり得る。さらに他の実施形態では、細胞は、分化
細胞および未分化細胞の混合物である。
【0087】
いくつかの実施形態では、実質細胞を含む操作した肝臓組織は、多能性幹細胞/前駆細
胞に由来する。様々な実施形態では、実質細胞は、適切に胎児の哺乳類の肝臓組織;胚性
幹細胞(ESC);人工多能性幹細胞(iPSC);肝臓に由来した成人の幹細胞/前駆
細胞;及び肝臓以外に組織に由来した成人の幹細胞/前駆細胞、に由来する。いくつかの
実施形態では、操作した肝臓組織は、肝臓構成物の成形において使用する前に、部分的に
又は完全に内胚葉又は肝性の表現型に分化した多能性幹細胞/前駆細胞に由来する。
【0088】
いくつかの実施形態では、構成物は、1つ以上の分化シグナルにさらされた幹細胞/前
駆細胞を含む。さらなる実施形態では、分化シグナルは、生体力学的シグナル、可溶性シ
グナル(例えば生化学的シグナル)および物理的なシグナルの1つ以上を含む。幹細胞/
前駆細胞は、操作した肝臓組織の成形プロセスにおいて多くの時点で1つ以上の分化シグ
ナルに適切にさらされた。さらなる実施形態において、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成
形の前に1つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施形態において、幹細胞/前
駆細胞は、構成物の成形の最中に1つ以上の分化シグナルにさらされた。さらなる実施形
態において、幹細胞/前駆細胞は、構成物の成形の後に1つ以上の分化シグナルにさらさ
れた。
【0089】
様々な実施形態において、細胞の細胞型および/またはソースは、特定の研究目標ある
いは目的に基づいて、選択される、形成される、処置される、又は調整される。いくつか
の実施形態では、1つ以上の特定の細胞型が、特定の疾患又は疾病の検査を促進するため
に、選択されている、形成される、処置される、又は調整される。いくつかの実施形態で
は、1つ以上の特定の細胞型が、特定の被験体の疾患あるいは疾病の検査を促進するため
に選択されている、形成される、処置される、又は調整される。いくつかの実施形態では
、1つ以上の特定の細胞型が2人以上の別のヒトドナーに由来する。いくつかの実施形態
では、1つ以上の特定の細胞型が特定の脊椎動物被験体に由来する。さらなる実施形態で
は、1つ以上の特定の細胞型が特定の哺乳動物被験体に由来する。またさらなる実施形態
では、1つ以上の特定の細胞型が特定のヒト被験体に由来する。さらなる実施形態では、
1つ以上の特定の細胞型が、疾患又は組織機能性に関連した特定の表現型を備えた特定の
被験体に由来する。またさらなる実施形態では、被験体に特有の細胞は、生検又は組織サ
ンプリング経由で興味のある目的組織から分離される。さらなる実施形態では、被験体に
特有の細胞は、分離直後に組織を成形するために利用される。他の実施形態では、被験体
に特有の細胞は、三次元組織の成形での使用に先立って生体外で操作される;ここで、操
作は、以下の1つ以上を含んでいる:拡張、分化、方向づけられた分化、増殖、タンパク
質または核酸への曝露、遺伝子ベクターの組み込み、遺伝子的又は非遺伝子的細胞トレー
シング部分の組み込み、脱分化(すなわち人工多能性細胞又はその等価物)及び低温保存
。いくつかの実施形態では、被験体に特有の細胞は標的組織以外の組織から分離される。
さらなる実施形態では、被験体に特有の細胞は、標的組織中の目的の細胞型へ分化を必要
である。またさらなる実施形態では、分化が必要な被験体に特有の細胞は、三次元構造を
成形する前、最中又は後で分化される。
【0090】
<細胞を培養する方法>
本発明の操作した肝臓組織で使用される細胞型は、当該技術分野に既知の任意の方法で
適切に培養され得る。細胞および組織の培養の方法は、当該技術分野で公知であり、例え
ば、Cell & Tissue Culture:Laboratory Proce
dure s; Freshney (1987), Culture of Anim
al Cells : A Manual of Basic Techniquesに
記載され、それらの内容は、そのような情報のための引用によって本明細書に組み込まれ
る。本発明と併用して使用され得る、一般的な哺乳動物の細胞培養技術、細胞株、および
細胞培養系も、Doyle,A.,Griffiths,J.B.,Newell,D.
G.,(eds.)Cell and Tissue Culture:Laborat
ory Procedures,Wiley(1998)に記載され、それらの内容は、
そのような情報のための引用によって本明細書に組み込まれる。
【0091】
培養中の哺乳動物細胞のための適切な成長条件は、当該技術分野に周知である。細胞培
養培地は、一般に、必須栄養素を含み、随意に、成長因子、塩、ミネラル、ビタミンなど
の追加の要素を含み、これらは培養されている細胞型に従って選択され得る。特定の成分
は、細胞の増殖、分化、特異タンパク質の分泌などを増強するために選択され得る。一般
に、標準的な成長培地は、1-20%のウシ胎児血清(FBS)、子ウシ血清、 または
ヒト血清、インスリン(4マイクログラム/mL)、デキサメタゾン(1.0マイクロモ
ーラー)、アムホテリシンB(0.25マイクログラム/mL)及びGlutamax(
1.0マイクロモーラー)で補足された、4g/Lグルコースを有するダルベッコ変法イ
ーグル培地(DMEM)を含む。当該技術分野で知られているのは、インスリン(1g/
l)、亜セレン酸ナトリウム(0.0067g/l)、トランスフェリン(0.55g/
l)、デキサメタゾン(1マイクロモーラー)、ペニシリン(100U/mL)、ストレ
プトマイシン(0.1mg/mL)、アムホテリシンB(0.25マイクログラム/mL
)とGlutamax(1x)で捕捉されたWilliams E培地又は様々な他の培
地である。好ましくは、細胞は、細胞の起源の動物の体温で又はそれに近い温度で、1-
21%のO2および好ましくは3-5%のCO2の大気中において無菌条件下で培養され
る。例えば、ヒト細胞は、好ましくは、およそ37℃で培養される。
【0092】
細胞はまた、所望の株(line)に沿って細胞の分化を誘発する細胞の分化剤によっ
て培養され得る。例えば、いくつかの実施形態中で、細胞は成長因子、サイトカインなど
で随意に培養され、用語「成長因子」は、細胞によって生成され、それ自体に及び/又は
様々な他の隣接する又は離れた細胞に影響を与える、タンパク質、ポリペプチド、または
サイトカインを含むポリペプチドの複合体を指す。典型的に、成長因子は、特異的なタイ
プの細胞の成長及び/又は分化に、発達上で、または複数の生理学的または環境上の刺激
に反応してのいず れかで、影響を与える。すべてではないが、幾つかの成長因子は、ホ
ルモンである。典型的な成長因子は、インスリン、インスリン様成長因子(IGF)、神
経成長因子(NGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、ケラチノサイト成長因子(
KGF)、塩基性FGF(bFGF)を含む線維芽細胞成長因子(FGF)、PDGF-
AAおよびPDGF-ABを含む血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞成長因子(H
GF)、形質転換成長因子アルファ(TGF-α)、TGFβ1およびTGFβ3を含む
形質転換成長因子ベータ(TGF-β)、表皮成長因子(EGF)、顆粒球マクロファー
ジコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、インタ
ーロイキン6(IL-6)、IL-8などである。成長因子は、とりわけ、Molecu
lar Cell Biology, Scientific American Bo
oks, Darnell et al.,eds.,1986; Principle
s of Tissue Engineering,2ded.,Lanza et a
l.,eds.,Academic Press,2000において議論される。当業者
は、本明細書に記載される 調整培地中の任意の及びすべての培養由来の成長因子が本発
明の範囲内にあると理解するであろう。
【0093】
<バイオインクおよび多細胞集合体>
本明細書には、特定の実施形態において、バイオプリントされた細胞を含む肝臓組織/
構成物を含む組織、その配列、および方法が開示される。幾つかの実施形態では、細胞は
、バイオプリンターからバイオインクを堆積させる又は押し出すことによってバイオプリ
ントされる。幾つかの実施形態では、「バイオインク」は、複数の細胞を含む、液体、半
固体、または固体の組成物を含む。幾つかの実施形態では、バイオインクは、液体または
半固体の細胞溶液、細胞懸濁液、または細胞濃縮液を含む。さらなる実施形態では、細胞
溶液、細胞懸濁液又は細胞濃縮液は、液体又は半固体(例えば粘性)担体及び複数の細胞
を含む。またさらなる実施形態では、担体は、本明細書中に記載されているような適切な
細胞栄養培養液である。いくつかの実施形態では、バイオインクは、バイオプリンティン
グに先立って多細胞集合体へ随意に凝集した複数の細胞を含む。さらなる実施形態におい
て、バイオインクは複数の細胞を含み、特定の平面及び/又は層状構造を生成するために
バイオプリントされ、ここで個別の細胞の凝集がバイオインク中でバイオプリンティング
の前、最中及び/又は後で起こる。いくつかの実施形態では、バイオインクは1)固定さ
れた容量中の複数の細胞を集めることにより生産され;ここで、細胞の構成要素は、全容
積の少なくとも約30%と最も多くて100%に相当する。いくつかの実施形態では、バ
イオインクは半固体又は固体の多細胞集合体あるいは多細胞体を含む。さらなる実施形態
では、バイオインクは、1)結果的にバイオインクをもたらすために、予め決められた割
合で複数の細胞または細胞集合体を生体適合性の液体またはゲルと混合することによって
、および2)所望の細胞密度および粘性を有するバイオインクを生成するために、バイオ
インクを圧縮する(compacting)ことによって生成される。幾つかの実施形態
では、バイオインクの圧縮は、遠心分離、タンジェント流ろ過(「TFF」)、またはそ
れらの組み合わせによって達成される。幾つかの実施形態では、バイオインクの圧縮は、
結果的に、押し出し成形できる組成物をもたらし、多細胞集合体または多細胞体の形成を
可能にする。幾つかの実施形態では、「押し出し成形できる」は、ノズルまたは開口部(
orifice)(例えば、1つ以上の穴またはチューブ)を通して押し進める(for
cing)(例えば、圧力下で)ことによって形作られることが可能であることを意味す
る。幾つかの実施形態では、バイオインクの圧縮は、適切な密度まで細胞を成長させるこ
とから結果的に生じる。バイオインクに必要な細胞密度は、使用されている細胞および生
成されている組織または器官に応じて異なる。幾つかの実施形態では、バイオインクの細
胞は、凝集及び/又は接着される。幾つかの実施形態では、「凝集する」、「凝集した」
、および「凝集」は、細胞、多細胞集合体、多細胞体、及び/又はそれらの層を結合する
細胞間の接着特性を指す。さらなる実施形態では、前記用語は、「融合する」、「融合し
た」、および「融合」と交換可能に使用される。幾つかの実施形態では、バイオインクは
さらに、支持材、細胞培養培地、細胞外マトリクス(またはその成分)、細胞接着剤、細
胞死抑制剤、抗アポトーシス性薬剤、抗酸化剤、押出化合物、およびそれらの組み合わせ
を含む。
【0094】
様々な実施形態では、細胞は、任意の適切な細胞である。さらなる様々な実施形態では
、細胞は、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、またはそれらの組み合わせである。
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法に使用される細胞型は、生成されてい
る構成物または組織のタイプに依存する。幾つかの実施形態では、バイオインクは、1つ
のタイプの細胞を含む(「均一な」又は「単型」バイオインクとも呼ばれる)。幾つかの
実施形態では、バイオインクは、1つを超えるタイプの細胞を含む(「異種混合」又は「
多型」バイオインクとも呼ばれる)。
【0095】
<細胞培養培地>
幾つかの実施形態では、バイオインクは、細胞培養培地を含む。細胞培養培地は、任意
の適切な培地である。様々な実施形態では、適切な細胞培養培地は、限定しない例として
、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、Earle’s Balanced Salts、
Hanks’Balanced Salts、Tyrode’s Salts、オルシー
バー液、Gey’s Balanced Salt Solution、Kreb’s-
Henseleit Buffer Modified、Kreb’s-Ringer
Bicarbonate Buffer、Puck’s Saline、ダルベッコ変法
イーグル培地、ダルベッコ変法イーグル培地/栄養素F-12Ham、栄養素混合物F-
10Ham(Ham’s F-10)、培地199、最少必須培地イーグル、RPMI-
1640培地、Ames’Media、BGJb培地(Fitton-Jackson
Modification)、Click’s培地、CMRL-1066培地、Fisc
her’s培地、Glascow最少必須培地(GMEM)、Iscove変法ダルベッ
コ培地(IMDM)、L-15培地(Leibovitz)、McCoy’s 5A変法
培地、NCTC媒体、Swim’s S-77培地、Waymouth培地、Willi
am’s培地E、あるいはそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、細胞培養
培地は、変更されるか又は補足される。幾つかの実施形態では、細胞培養培地は、アルブ
ミン、セレン、トランスフェリン、フェチュイン、砂糖、アミノ酸、ビタミン、成長因子
、サイトカイン、ホルモン、抗生物質、脂質、脂質担体、シクロデキストリン、またはそ
れらの組み合わせをさらに含む。
【0096】
<細胞間マトリクス>
幾つかの実施形態では、バイオインクは、細胞外マトリクスまたはその誘導体の1つ以
上の成分をさらに含む。幾つかの実施形態では、「細胞外マトリクス」は、細胞によって
生成され、細胞から細胞外空間へと輸送されるタンパク質を含み、ここで、タンパク質は
、組織を一緒に保持するための支持として機能することで、引っ張り強度を提供し、及び
/又は細胞シグナル伝達を促進する。細胞外マトリクス成分の例は、限定されないが、コ
ラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ヒアルロナート、エラスチン、およびプロテオ
グリカンを含む。例えば、多細胞集合体は、様々なECMタンパク質(例えば、ゼラチン
、フィブリノゲン、フィブリン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン
、及び/又はプロテオグリカン)を含み得る。ECM成分またはECM成分の誘導体は、
多細胞集合体を形成するために使用される細胞ペーストに加えられ得る。細胞ペーストに
加えられたECM成分またはECM成分の誘導体は、ヒトまたは動物源から精製され得る
か、または当該技術分野に既知の組換え方法によって生成され得る。あるいは、ECM成
分またはECM成分の誘導体は、細長い細胞体中の細胞によって自然に分泌され得るか、
または細長い細胞体を作るために使用される細胞は、当該技術分野に公知の任意の適切な
方法によって遺伝子操作され得ることで、1以上のECM成分またはECM成分の誘導体
及び/又は1以上の細胞接着分子または細胞基質接着分子(例えば、セレクチン、インテ
グリン、免疫グロブリン、およびアドヒリン(adherins))の発現レベルを変化
させることができる。ECM成分またはECM成分の誘導体は、多細胞集合体中の細胞の
凝集を促進し得る。例えば、ゼラチン及び/又はフィブリノゲンは、細胞ペーストに適切
に加えられ得、多細胞集合体を形成するために使用される。フィブリノゲンは、トロンビ
ンを加えることによってフィブリンに転換され得る。
【0097】
幾つかの実施形態では、バイオインクは、細胞接着を促進する薬剤をさらに含む。
【0098】
幾つかの実施形態では、バイオインクは、細胞死(例えば、壊死、アポトーシス、また
は自己貪食)を阻害する薬剤をさらに含む。幾つかの実施形態では、バイオインクは、抗
アポトーシス性薬剤をさらに含む。細胞死を阻害する薬剤は、限定されないが、小分子、
抗体、ペプチド、ペプチ体(peptibodies)、またはそれらの組み合わせを含
む。幾つかの実施形態では、細胞死を阻害する薬剤は、抗TNF薬剤、インターロイキン
の活性を阻害する薬剤、インターフェロンの活性を阻害する薬剤、GCSF(顆粒球コロ
ニー刺激因子)の活性を阻害する薬剤、マクロファージ炎症タンパク質の活性を阻害する
薬剤、TGF-B(形質転換成長因子B)の活性を阻害する薬剤(
図15及び16参照)
、MMP(マトリクスメタロプロテアーゼ)の活性を阻害する薬剤、カスパーゼの活性を
阻害する薬剤、MAPK/JNKシグナル伝達カスケードの活性を阻害する薬剤、Src
キナーゼの活性を阻害する薬剤、JAK(ヤヌス・キナーゼ)の活性を阻害する薬剤、ま
たはそれらの組み合わせから選択される。幾つかの実施形態では、バイオインクは、抗酸
化剤を含む。いくつかの実施形態では、バイオインクは酸素担体あるいは他の細胞特異的
な栄養素を含む。
【0099】
<押出化合物>
幾つかの実施形態では、バイオインクは、押出化合物(すなわち、バイオインクの押出
特性を変更する化合物)をさらに含む。押出化合物の例は、限定されないが、ゲル、ヒド
ロゲル、ペプチドヒドロゲル、アミノ酸に基づくゲル、界面活性剤ポリオール(例えばP
luronic F-127またはPF-127)、熱応答性ポリマー、ヒアルロナート
、アルギナート、細胞外マトリクス成分(およびその誘導体)、コラーゲン、ゼラチン、
他の生体適合性の天然または合成のポリマー、ナノファイバー、および自己集合性ナノフ
ァイバーを含む。いくつかの実施形態では、押出化合物は、物理的な手段、化学の手段、
あるいは酵素的な手段によってバイオプリントした後に取り除かれる。
【0100】
ときにゼリーとも呼ばれるゲルは、様々な方法で定義されてきた。例えば、米国薬局方
(United States Pharmacopoeia)は、ゲルを、液体がしみ
こんだ小さな無機粒子または大きな有機分子のいずれかで構成された懸濁液から成る半固
体系として定義している。ゲルは、単相系または二相系を含む。単相ゲルは、分散した巨
大分子と液体との間に明らかな境界が存在しないような方法で、液体全体に均一に分布さ
れる有機巨大分子から成る。幾つかの単相ゲルは、合成巨大分子(例えば、カルボマー)
または天然ゴム(例えば、トラガカント)から調製される。幾つかの実施形態では、単相
ゲルは、一般的に水性であるが、アルコールおよび油を用いても作成されるであろう。二
相ゲルは、小さな別個の分子の網目(network)から成る。
【0101】
ゲルはまた、疎水性ゲルまたは親水性ゲルとして分類することができる。特定の実施形
態では、疎水性ゲルの基材(base)は、ポリエチレンを有する液体パラフィンまたは
コロイド状シリカでゲル化された脂肪油、またはアルミニウム石鹸または亜鉛石鹸から成
る。対照的に、疎水性ゲルの基材は、通常、水、グリセロール、または適切なゲル化剤(
例えば、トラガカント、デンプン、セルロースの誘導体、カルボキシビニルポリマー、マ
グネシウム-アルミニウムシリケート)でゲル化したプロピレングリコールから成る。特
定の実施形態では、本明細書に開示される組成物またはデバイスのレオロジーは、擬プラ
スチック、プラスチック、チキソトロピック、またはダイラタントである。
【0102】
適切なヒドロゲルは、コラーゲン、ヒアルロナート、フィブリン、アルギナート、アガ
ロース、キトサン、およびそれらの組み合わせに由来するものを含む。他の実施形態では
、適切なヒドロゲルは、合成ポリマーである。さらなる実施形態では、適切なヒドロゲル
は、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体、ポリ(酸化エチレン)およびそのコポリマー
、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、およびそれらの組み合わせに由来する
ものを含む。様々な具体的な実施形態では、制限物質は、ヒドロゲル、NovoGel(
商標)、アガロース、アルギナート、ゼラチン、Matrigel(商標)、ヒアルロナ
ン、ポロクサマー、ペプチドヒドロゲル、ポリ(イソプロピルn-ポリアクリルアミド)
、ポリエチレングリコールジアクリラート(PEG-DA)、ヒドロキシエチルメタクリ
レート、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリルアミド、ポリ(乳酸)、シリコン、シル
ク、ペプチドヒドロゲル、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0103】
幾つかの実施形態では、ヒドロゲルベースの押出化合物は、(熱応答性のゲルまたは温
熱ゲル(thermogels)としても知られる)熱可逆性のゲルである。幾つかの実
施形態では、適切な熱可逆性のヒドロゲルは、室温で液体ではない。具体的な実施形態で
は、適切なヒドロゲルのゲル化温度(Tgel)は、約10℃、11℃、12℃、13℃
、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃
、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃
、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃であり、それらにおいてイ
ンクリメントを含む。特定の実施形態では、適切なヒドロゲルのTgelは、約10℃乃
至約40℃である。特定の実施形態では、適切なヒドロゲルのTgelは、約20℃乃至
約30℃である。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されるバイオインク(例えば、
ヒドロゲル、1つ以上の細胞型、他の添加剤などを含む)は、室温で液体ではない。いく
つかの実施形態では、適切な熱可逆性ヒドロゲルは哺乳動物の体温で液体ではない。特定
の実施形態では、適切なヒドロゲルのゲル化温度(Tgel)が、約22℃、23℃、2
4℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、3
4℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、4
4℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃であり、それ
らにおいてインクリメントを含む。特定の実施形態では、適切なヒドロゲルのTgelは
、約22℃乃至約52℃である。特定の実施形態では、適切なヒドロゲルのTgelは、
約32℃乃至約42℃である。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されているバ
イオインク(例えばヒドロゲル、1つ以上の細胞型及び他の添加剤等を含む)は哺乳動物
の体温で液体ではない。具体的な実施形態では、本明細書中に記載されているバイオイン
クのゲル化温度(Tgel)は、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃に
、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃であり、それらにおいてインクリ
メントを含む。特定の実施形態では、本明細書中に記載されているバイオインクのTge
lは、約10℃乃至約15℃である。別の特定の実施形態では、本明細書中に記載されて
いるバイオインクのTgelは、約15℃乃至約20℃である。別の特定の実施形態では
、本明細書中に記載されているバイオインクのTgelは、約20℃乃至約25℃である
。別の特定の実施形態では、本明細書中に記載されているバイオインクのTgelは、約
25℃乃至約30℃である。別の特定の実施形態では、本明細書中に記載されているバイ
オインクのTgelは、約30℃乃至約35℃である。別の特定の実施形態では、本明細
書中に記載されているバイオインクのTgelは、約35℃乃至約40℃である。別の特
定の実施形態では、本明細書中に記載されているバイオインクのTgelは、約40℃乃
至約45℃である。別の特定の実施形態では、本明細書中に記載されているバイオインク
のTgelは、約45℃乃至約50℃である。
【0104】
ポリオキシプロピレンおよびポリオキシエチレンで構成されたポリマーは、水溶液に組
み入れられると、熱可逆性のゲルを形成する。これらのポリマーは、バイオプリンター機
器において維持することができる温度で、液態からゲル状態まで変化する能力を有する。
液態からゲル状態の相転移は、ポリマー濃度および溶液中の成分に依存する。
【0105】
ポロクサマー407(Pluronic F127またはPF‐127)は、ポリオキ
シエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーから成る非イオン性界面活性剤である。他
のポロクサマーは、188(F-68グレード)、237(F-87グレード)、338
(F-108グレード)を含む。ポロクサマーの水溶液は、酸、アルカリ、および金属イ
オンの存在下で安定している。PF-127は、市販で入手可能な、13,000の平均
分子量を有する、一般式E106 P70 E106のポリオキシエチレン-ポリオキシ
プロピレントリブロックコポリマーである。このポリマーは、ポリマーのゲル化性を増強
する適切な方法によってさらに精製することができる。前記ポリマーは、その親水性の割
合を占める、約70%のエチレンオキシドを含有している。前記ポリマーは、ポロクサマ
ー ABA型ブロックコポリマーのシリーズの1つである。PF-127は、良好な可溶
化能力を有し、毒性が低く、したがって、適切な押出化合物と考えられる。
【0106】
幾つかの実施形態では、本明細書で示されるヒドロゲルおよびバイオインクの粘度は、
記載される任意の手段で測定される。例えば、幾つかの実施形態では、LVDV‐II+
CP Cone PlateViscometerおよびCone Spindle C
PE‐40が、ヒドロゲルおよびバイオインクの粘度を算出するために使用される。他の
実施形態では、Brookfield(スピンドルおよびカップ)の粘度計が、ヒドロゲ
ルおよびバイオインクの粘度を算出するために使用される。幾つかの実施形態では、本明
細書で参照される粘度範囲は、室温で測定される。他の実施形態では、本明細書で参照さ
れる粘度範囲は、体温(例えば、健康なヒトの平均体温)で測定される。
【0107】
さらなる実施形態では、ヒドロゲル及び/又はバイオインクは、約500乃至1,00
0,000センチポアズ、約750乃至1,000,000センチポアズ;約1000乃
至1,000,000センチポアズ;約1000乃至400,000センチポアズ;約2
000乃至100,000センチポアズ;約3000乃至50,000センチポアズ;約
4000乃至25,000センチポアズ;約5000乃至20,000センチポアズ;ま
たは約6000乃至15,000センチポアズの間の粘度を有していることを特徴とする
。
【0108】
幾つかの実施形態では、バイオインクは、連続的なバイオプリンティングに適した細胞
および押出化合物を含む。具体的な実施形態では、バイオインクは、約1500mPa・
sの粘度を有する。Pluronic F-127と細胞物質の混合物は、連続的なバイ
オプリンティングに適し得る。そのようなバイオインクは、48時間にわたる冷たい(4
℃)リン酸緩衝食塩水(PBS)中の連続混合によるPluronic F-127の粉
末を、30%(w/v)まで溶解することによって調製され得る。Pluronic F
-127はまた、水中で溶解され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、標準の無菌の
細胞培養技術を使用して、培養且つ拡大され得る。さらなる実施形態において、細胞は、
例えば200gでペレットにされ得、30%のPluronic F-127中で再懸濁
され、および約10乃至約25℃のゲル化温度で凝固することを可能にするバイオプリン
ターに付けられたリザーバーへと吸引される。バイオプリンティング前のバイオインクの
ゲル化は随意である。Pluronic F-127を含有するバイオインクを含む、バ
イオインクは、液体として分注され得る。
【0109】
様々な実施形態では、Pluronic F-127の濃度は、適切な粘度及び/又は
細胞毒性の特性を有する任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、Pluroni
c F-127は、その適切な濃度によって、バイオプリントされたときに、その形状を
保持しながら重さを支えることも可能であり得る。幾つかの実施形態では、Pluron
ic F-127の濃度は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約3
5%、約40%、約45%、または約50%である。幾つかの実施形態では、Pluro
nic F-127の濃度は、約30%と約40%の間、または約30%と約35%の間
である。
【0110】
いくつかの実施形態では、押出化合物又は賦形剤の中で、ゼラチンの濃度は6%であり
、アルギン酸塩の濃度は0.5%である。他の実施形態では、押出化合物又は賦形剤の中
で、ゼラチンの濃度は4%であり、アルギン酸塩の濃度は2%である。
【0111】
幾つかの実施形態では、バイオインクの細胞構造がない成分(例えば、押出化合物など
)は、使用前に取り除かれる。さらなる実施形態では、細胞構造がない成分は、例えば、
ヒドロゲル、ペプチドヒドロゲル、アミノ酸に基づくゲル、界面活性剤ポリオール、熱応
答性ポリマー、ヒアルロナート、アルギナート、コラーゲン、または他の生体適合性の天
然または合成のポリマーである。またさらなる実施形態では、細胞構造がない成分は、物
理的、化学的、または酵素的な手段によって取り除かれる。幾つかの実施形態では、細胞
構造がない成分の割合(proportion)は、使用時の細胞成分と関連したままで
ある。
【0112】
幾つかの実施形態では、細胞は、細胞間相互作用を増加させるように予め処理される。
例えば、細胞は、バイオインクを形作る前に、細胞間相互作用を増強するために、遠心分
離後に遠心管の内部で適切にインキュベートされ得る。
【0113】
<典型的な細胞の比率>
いくつかの実施形態では、バイオインクは多細胞体を含み、それはさらに非実質的な肝
細胞(例えば内皮細胞、肝星細胞、クッパー細胞)を含む。さらなる実施形態では、クッ
パー細胞:肝星細胞:内皮細胞の比率は、任意の適切な比率である。さらなる実施形態で
は、クッパー細胞:肝星細胞:内皮細胞の比率は、約90:10:0から約10:90:
0である。さらなる実施形態では、クッパー細胞:肝星細胞:内皮細胞の比率は、45:
45:10である。
【0114】
いくつかの実施形態では、バイオインクは多細胞体を含み、さらに100:0の比率で
肝細胞(例えば原発性の肝細胞、HepG2あるいはHepaRG)と追加の細胞型を含
む。さらなる実施形態では、追加の非実質細胞型(例えば内皮細胞)に対する肝細胞の比
率は、95:5である。さらなる実施形態では、追加の非実質細胞型(例えば内皮細胞、
星細胞))に対する肝細胞の比率は、50:50である。またさらなる実施形態では、非
実質細胞(例えば内皮細胞、星細胞、クッパー細胞)に対する実質細胞の比率は、50:
35:10:5である。
【0115】
<細胞の自己選別(Self-sorting)>
幾つかの実施形態では、構成物または組織を形成するために使用される多細胞集合体は
、操作した組織に含められるすべての細胞型(例えば、肝細胞、内皮細胞、肝星細胞、ク
ッパー細胞など)を含み;このような例では、各細胞型は、肝臓組織構成物などの操作し
た組織を形成するために、(例えば、成熟の間に)適切な位置へと移動する。他の実施形
態では、構造を形成するために使用される多細胞集合体は、操作した組織に含められるす
べての細胞型より少ない細胞型を含む。幾つかの実施形態では、各タイプの細胞は、多細
胞集合体または組織の領域または層内に均一に分散される。
他の実施形態では、各細胞型は、多細胞集合体または組織の領域または層内の特定の領域
に局在化する。
【0116】
例えば、肝細胞を含む、内皮細胞、肝星細胞及びクッパー細胞を含む操作した肝臓組織
の場合には、適切な比率(例えば70:15:10:5)で、近接し、バイオプリントさ
れた凝集した多型のバイオインクユニットは融合した。成熟の最中に、内皮細胞は、構成
物の末梢と中心の両方へある程度まで局在化し、微小血管の構造へ組織する。いくつかの
実施形態では、構成物内の細胞型の局在は、生体内又は生体外の哺乳動物組織の層状構造
を模倣する。
【0117】
<予め形成されたスキャフォールド>
幾つかの実施形態では、本明細書には、操作した、移植された組織及び器官が開示され
、これらは、任意の予め形成されたスキャフォールドがほぼない。さらなる実施形態では
、「スキャフォールド」は、ポリマースキャフォールドおよび多孔性ヒドロゲルなどの合
成のスキャフォールド、予め形成された細胞外マトリクスの層および脱細胞化組織などの
非合成のスキャフォールド、および操作した組織及び/又は臓器の物理的構造に不可欠で
ある、および組織及び/又は器官から取り除かれない、任意の他のタイプの予め形成され
たスキャフォールドを指す。またさらなる実施形態では、脱細胞化された組織スキャフォ
ールドは、脱細胞化された天然の組織あるいは任意の方法で培養細胞によって生成された
脱細胞化された細胞形質成分を含み;例えば、生きている間生成するECMはあとにして
、死ぬこと又は脱細胞化することが可能である細胞層がある。
【0118】
幾つかの実施形態では、操作した肝臓組織/構成物、およびそのアレイは、例えば、組
織の形成、組織の任意の層、または組織の形状の形成のために、予め形成されたスキャフ
ォールドを利用しない。限定しない例として、本発明の操作した組織は、ポリマースキャ
フォールドなどの、予め形成された合成のスキャフォールド、予め形成された細胞外マト
リクス層、または任意の他のタイプの予め形成されたスキャフォールドを利用しない。幾
つかの実施形態では、操作した肝臓組織は、予め形成されたスキャフォールドがほぼない
。幾つかの実施形態では、組織の細胞成分は、検出可能であるが、微量または取るに足ら
ない量のスキャフォールド、例えば、全組成物の2.0%未満、全組成物の1.0%未満
、全組成物の0.5%未満、または全組成物の0.1%未満を含む。またさらなる実施形
態では、微量または取るに足らない量のスキャフォールドは、組織、またはそのアレイの
長期的な作用に影響を与える、またはその主要な生体機能を妨害するには不十分である。
さらなる実施形態では、スキャフォールド成分は、物理的、化学的、または酵素的な方法
によって、プリンティング後に取り除かれ、スキャフォールド成分がない又はほぼない、
操作した組織をもたらす。
【0119】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される、予め形成されたスキャフォールドのな
い又はほぼない操作した肝臓組織は、スキャフォールド材が最初に形成される組織工学の
特定の他の方法によって発達された組織とは対照的であり、その後、細胞は、スキャフォ
ールド上へと蒔かれ、続いて、例えば、スキャフォールドの形状を満たす及びとるために
増殖する。1つの態様では、本明細書に記載されるバイオプリンティングの方法は、予め
形成されたスキャフォールドがほぼない、生存可能で有用な組織の生成を可能にする。別
の態様では、本発明の細胞は、幾つかの実施形態において、制限物質を使用して、所望の
三次元形状で保持される。制限物質は、少なくとも、制限物質が細胞及び/又は組織から
の一時的なものであり及び/又は除去可能であるという事実から、スキャフォールドとは
異なる。
【0120】
<アレイ>
幾つかの実施形態では、本明細書には、肝臓組織/構成物を含む、操作した組織のアレ
イが開示される。幾つかの実施形態では、「アレイ」は、複数の試験がサンプル上で行わ
れることを可能にする、1つ以上の試験が複数のサンプル上で行われることを可能にする
、またはその両方を可能にするように空間的に配置された、複数の要素の関連性を含む科
学的ツールである。幾つかの実施形態では、アレイは、スクリーニングの方法および機器
に適応しているか又は適合性があり、これは、高スループットのスクリーニングに関連す
るアレイを含む。さらなる実施形態では、アレイによって、複数の試験を同時に行うこと
ができる。さらなる実施形態では、アレイによって、複数のサンプルを同時に試験するこ
とができる。幾つかの実施形態では、アレイは、細胞のマイクロアレイである。さらなる
実施形態では、細胞のマイクロアレイは、固体担体の表面上の生細胞の多重の照合(mu
ltiplex interrogation)を可能にする研究ツールである。他の実
施形態では、アレイは、組織のマイクロアレイである。さらなる実施形態では、組織のマ
イクロアレイは、アレイにおいて集められた複数の個別の組織または組織サンプルを含み
、これによって、複数の生化学的、代謝的、分子的、または組織学的な解析の実施が可能
となる。
【0121】
幾つかの実施形態では、操作した肝臓組織/構成物は、各々、生体適合性のマルチウェ
ル容器のウェル中に存在する(例えば
図16を参照)。幾つかの実施形態では、各組織は
、ウェルに入れられる。他の実施形態では、各組織は、ウェルへとバイオプリントされる
。さらなる実施形態では、ウェルは、コーティングされる。様々なさらなる実施形態では
、ウェルは、生体適合性のヒドロゲル、1つ以上のタンパク質、1つ以上の化学薬品、1
つ以上のペプチド、1つ以上の抗体、および1つ以上の成長因子の1つ以上、またはそれ
らの組み合わせでコーティングされる。幾つかの実施形態では、ウェルは、NovoGe
l(商標)でコーティングされる。他の実施形態では、ウェルは、アガロースでコーティ
ングされる。幾つかの実施形態では、各組織は、生体適合性のマルチウェル容器のウェル
内の、多孔性の、生体適合性の膜上に存在する。いくつかの実施形態では、マルチウェル
容器の各ウェルは2つ以上の組織を含む。
【0122】
幾つかの実施形態では、操作した肝臓組織/構成物は、1つ以上の側面上の生体適合性
の表面によって制限される(constrained)。多くの方法が生体適合性の表面
に組織を固定するのに適切である。様々な実施形態では、組織は生体適合性の表面に、例
えば1つ以上の全ての側面に沿って、1つ以上の側面の縁でのみ、あるいは1つ以上の側
面の中心でのみ、適切に固定される。様々なさらなる実施形態では、組織は、表面に統合
された又は表面と関連付けられた保持具又は担体で、生体適合性表面に適切に固定される
。様々なさらなる実施形態では、組織は、表面に統合された又は表面と関連付けられた1
つ以上のピンチクランプ又はプラスチック製小隆起(plastic nubs)で、生
体適合性表面に適切に固定される。いくつかの実施形態では、組織は、多孔質膜への細胞
付着によって生体適合性の表面に適切に固定される。幾つかの実施形態では、操作した肝
臓組織/構成物は、1つ以上の側面上の生体適合性の表面によって制限されることにより
、アレイ形状で保持される。またさらなる実施形態では、組織は、1、2、3、4、また
はそれ以上の側面上の生体適合性の表面によって制限される。幾つかの実施形態では、生
体適合性の表面は、組織または組織に接触する有機体に対する損傷または毒性の大きな危
険をもたらさない任意の表面である。さらなる実施形態では、生体適合性の表面は、従来
の組織培養法に適した任意の表面である。適切な生体適合性の表面は、限定しない例とし
て、処理されたプラスチック、膜、多孔質膜、コーティングされた膜、コーティングされ
たプラスチック、金属、コーティングされた金属、ガラス、およびコーティングされたガ
ラスを含み、ここで、適切なコーティングは、ヒドロゲル、ECM成分、化学薬品、タン
パク質などを含み、コーティング又は処理は細胞及び組織の生体適合性表面への接着を刺
激する又は防止する手段を提供する。
【0123】
幾つかの実施形態では、1つ以上の側面上の生体適合性の表面に操作した組織を固定す
ることによって、流体流動によって起こる剪断力に組織をさらすことが促進される。さら
なる実施形態では、操作した肝臓組織/構成物は、流体流動によって起こる剪断力に組織
をさらされる。様々な実施形態では、操作した肝臓組織は、1、2、3あるいは4以上側
面の剪断力にさらされる。さらなる実施形態では、操作した肝臓組織/構成物は、1つ以
上の露出された表面上の組織と接触する液体の栄養素の再循環、潅流あるいは撹拌にさら
される。
【0124】
いくつかの実施形態では、肝臓組織/構成物を含む培養組織のアレイは、2つ以上の要
素の関連を含む。様々な実施形態では、アレイは、2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35
、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100
、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350
、375、400、425、450、475、または500の要素の関連を含み、それら
においてインクリメントを含む。さらなる実施形態では、各要素は、1つ以上の細胞、多
細胞集合体、組織、臓器、またはそれらの組み合わせを含む。
【0125】
幾つかの実施形態では、肝臓組織/構成物を含む操作した組織のアレイは、予め決めら
れたパターンで空間的に配置された複数の要素を含む。さらなる実施形態では、パターン
は、要素の任意の適切な空間的配置である。様々な実施形態では、配置のパターンは、限
定しない例として、二次元のグリッド、三次元のグリッド、1本以上の線、アーク(ar
c)、または円、一連の列またはカラムなどを含む。さらなる実施形態では、パターンは
、高スループットのバイオアッセイまたはスクリーニングの方法または機器との適合性の
ために選択される。
【0126】
様々な実施形態では、アレイにおいて1つ以上の組織を成形するために使用される細胞
型及び/又は細胞ソースは、具体的な研究目標または目的に基づいて選択される。さらな
る様々な実施形態では、アレイにおける具体的な組織は、具体的な研究目的または対象に
基づいて選択される。幾つかの実施形態では、1つ以上の具体的な操作した肝臓組織は、
特定の疾患または疾病の検査を促進するために、アレイに含まれる。幾つかの実施形態で
は、1つ以上の具体的な操作した肝臓組織は、特定の被験体の疾患または疾病の検査を促
進するために、アレイに含まれる。さらなる実施形態では、アレイ内の1つ以上の具体的
な操作した組織は、2以上の異なるヒトのドナーに由来する1つ以上の細胞型を用いて生
成される。幾つかの実施形態では、アレイ内の各組織は、細胞型、細胞ソース、細胞の層
、細胞の比率、構成の方法、サイズ、形状などに関してほぼ類似している。他の実施形態
では、アレイ内の組織の1つ以上は、細胞型、細胞源、細胞の層、細胞の比率、構成の方
法、サイズ、形状などに関して特有である。様々な実施形態では、アレイ内の組織の、1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45
、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、1
50、175、200、225、250、275、300、またはそれ以上は、インクリ
メントをそこに含んでおり、特有である。他の様々な実施形態では、アレイ内の組織の、
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、4
5、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94
、95、96、97、98、99、または100%は、インクリメントをそこに含んでお
り、特有である。
【0127】
幾つかの実施形態では、アレイ内の各組織は、培養下で独立して維持される。さらなる
実施形態では、アレイ内の各組織の培養条件は、それらが他の組織から分離され、培地ま
たは培地において可溶性である因子に取って代わる(exchange)ことができない
ような条件である。他の実施形態では、アレイ内の2つ以上の個々の組織は、可溶性因子
に取って代わる。さらなる実施形態では、アレイ内の2つ以上の個々の組織の培養条件は
、それらが培地および培地において可溶性である因子を他の組織と交換するような条件で
ある。様々な実施形態では、アレイ内の組織の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、7
5、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、25
0、275、300、またはそれ以上は、インクリメントをそこに含んでおり、培地及び
/又は可溶性の因子に取って代わる。他の様々な実施形態では、アレイ内の組織の、1、
2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、
50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、9
5、96、97、98、99、または100%は、インクリメントをそこに含んでおり、
培地及び/又は可溶性の因子に取って代わる。
【0128】
<インビトロでのアッセイ>
幾つかの実施形態では、本明細書で開示される、操作した肝臓組織、およびそのアレイ
は、インビトロでのアッセイに使用される。幾つかの実施形態では、「アッセイ」は、有
機サンプルまたは生体サンプル(例えば、細胞集合体、組織、臓器、有機体など)におい
て、物質(例えば、化学物質、分子、生化学物質、薬物など)の存在または活性を試験ま
たは測定するための手順である。さらなる実施形態では、アッセイは、定性的アッセイお
よび定量的アッセイを含む。またさらなる実施形態では、定量的アッセイは、サンプル中
の物質の量を測定する。
【0129】
様々な実施形態では、操作した肝臓組織とアレイが、限定されない例として、画像に基
づくアッセイ、分泌されたタンパク質の測定。マーカーの発現及びタンパク質の生成に使
用される。様々な実施形態では、操作した肝臓組織およびアレイは、分子結合(放射リガ
ンド結合を含む)、分子摂取、活性(例えば、酵素活性および受容体活性など)、遺伝子
発現、タンパク質発現、受容体のアゴニズム、受容体拮抗、細胞シグナル伝達、アポトー
シス、抗癌剤感受性、トランスフェクション、細胞移動、走化性、細胞の生存率、細胞増
殖、安全性、有効性、代謝、毒性、および乱用傾向、の1つ以上を検出または測定するた
めのアッセイに使用される。
【0130】
幾つかの実施形態では、操作した肝臓組織およびそのアレイは、免疫学的アッセイに使
用される。さらなる実施形態では、免疫学的アッセイは、競合的な免疫学的アッセイまた
は非競合的な免疫学的アッセイである。競合的な免疫学的アッセイでは、例えば、サンプ
ル中の抗原は、抗体と結合するために標識抗原と競合し、その後、抗体の部位に結合した
標識抗原の量が測定される。(「サンドイッチアッセイ」とも呼ばれる)非競合的な免疫
学的アッセイでは、例えば、サンプル中の抗原は、抗体の部位に結合され;続いて、標識
抗体が、抗原に結合され、その後、部位上の標識抗体の量が測定される。
【0131】
幾つかの実施形態では、操作した肝臓組織およびそのアレイは、酵素結合抗体免疫吸着
アッセイ(ELISA)で使用される。さらなる実施形態では、ELISAは、サンプル
中の抗体または抗原の存在を検出するために使用される生化学的な技術である。ELIS
Aでは、例えば、特定の抗原に対する特異性を有する少なくとも1つの抗体が利用される
。さらなる例として、未知の量の抗原を有するサンプルは、非特異的に(表面への吸収を
介して)または特異的に(「サンドイッチ」のELISAにおいて同じ抗原に特異的な別
の抗体による捕捉を介して)のいずれかで、固体担体(例えば、ポリスチレン・マイクロ
タイタープレート)上で不動化される。またさらなる例として、抗原が不動化された後、
検出抗体が加えられ、抗原との複合物を形成する。検出抗体は、例えば、酵素に共有結合
され得るか、またはバイオ結合を介して酵素に結合される第2抗体によって、それ自体が
検出され得る。
【0132】
例えば、幾つかの実施形態では、細胞の、アレイ、マイクロアレイ、またはチップ、多
細胞集合体、または組織は、薬物スクリーニングまたは創薬に使用される。さらなる実施
形態では、組織の、アレイ、マイクロアレイ、またはチップは、薬物スクリーニングまた
は創薬のためのキットの一部として使用される。幾つかの実施形態では、各肝臓組織/構
成物は、生体適合性のマルチウェル容器のウェル内に存在し、ここで、容器は、1つ以上
の自動化した薬物スクリーニングの方法及び/又は機器と適合性がある。さらなる実施形
態では、自動化した薬物スクリーニングの方法及び/又は機器は、コンピューターまたは
ロボット支援である任意の適切な手順または機器を含む。
【0133】
さらなる実施形態では、薬物スクリーニングのアッセイまたは創薬のアッセイのための
アレイは、任意の治療分野に潜在的に有用な薬物を調査また開発するために使用される。
またさらなる実施形態では、適切な治療分野は、限定しない例として、伝染病、血液学、
腫瘍学、小児科学、心臓学、中枢神経系疾患、神経病学、消化器病学、肝臓学、泌尿器学
、不妊症、眼科学、腎臓病学、整形外科、疼痛管理、精神医学、肺臓学、ワクチン、創傷
治癒、生理学、薬理学、皮膚科学、遺伝子療法、毒性学、および免疫学を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、操作した肝臓組織とアレイは細胞に基づくスクリーニングで
使用するためのものである。さらなる実施形態では、細胞に基づくスクリーニングは、ウ
イルス感染変化あるいは寄生虫感染(例えばマラリア原虫感染など)のような1つ以上の
感染症のためのものである。さらなる実施形態では、細胞に基づくスクリーニングは肝臓
繊維症(例えば硬変)のためのものである。さらなる実施形態では、細胞に基づくスクリ
ーニングは肝臓癌のためのものである。さらなる実施形態では、細胞に基づくスクリーニ
ングは肝臓脂肪症(例えば脂肪肝)のためのものである。さらなる実施形態では、細胞に
基づくスクリーニングは1つ以上の代謝欠損のためのものである。さらなる実施形態では
、細胞に基づくスクリーニングは1つ以上のタンパク質欠乏症のためのものである。他の
実施形態では、操作した肝臓組織とアレイは、癌の発症、進行あるいは転移に関する研究
で使用するためのものである。まださらなる実施形態では、操作した肝臓組織とアレイは
、癌細胞、病原体を保有する(bearing)細胞、病原性細胞、免疫細胞、血液由来
の細胞又は幹細胞/前駆細胞のような他の細胞型と、肝細胞及び肝臓組織を含む細胞との
相互作用に関する研究のためのものである。
【0135】
いくつかの実施形態では、構成物又はそのアレイは、抗体、哺乳動物細胞、細菌、生物
学的に活性なタンパク質、ホルモン等の生物学的なものの性能の評価に使用するためのも
のである。幾つかの実施形態では、構成物又はそのアレイは、肝細胞の境界を作ることに
対する、クッパー細胞又は星細胞からのグラム陰性又はグラム陽性抗原-刺激性シグナリ
ングの効果を含む、クッパー細胞及び星細胞による免疫学的サンプリングを検出、定量及
び研究するのに使用するためのものである。いくつかの実施形態では、HBV及びHCV
を含む、肝臓指向性(hepatotrophic)ウイルスの生成に、構成物あるいは
そのアレイは役立つさらなる実施形態では、構成物あるいはそのアレイは、赤血球外の形
態(exo-erytrocytic form)でのマラリア原虫(Plasmodi
um spp.)(寄生虫)の生成のためのビヒクルとして使用される。またさらなる実
施形態では、肝臓の構成物由来のマラリア原虫が、寄生虫の赤血球外の形態に対する効果
的な治療を識別するためのインビトロアッセイの比較のために使用される。他の実施形態
では、構成物あるいはそのアレイは、抗宿主抗体研究の実行を含む、C型肝炎ウイルスま
たはマラリア原虫のための抗宿主治療として利用される。他の実施形態では、肝臓構成物
あるいはそのアレイは、癌の発症、進行あるいは転移に関する研究に役立つ。他の実施形
態では、肝臓構成物あるいはそのアレイは、構成物及び限定されないが病原体輸送細胞(
pathogen-bearing cells)、癌細胞、免疫細胞、血球、幹細胞/
前駆細胞あるいは遺伝学的に操作した細胞を含む1つ以上の追加の細胞型を含む、哺乳動
物細胞/組織間の細胞-細胞及び細胞-組織の相互作用の研究に役立つ。
【0136】
いくつかの実施形態では、アレイは操作した肝臓組織構成物と追加の組織構成物を含む
。
さらなる実施形態において、肝臓構成物は、1つ以上の表面上の追加の組織構成物と直接
接触している。またさらなる実施形態では、肝臓組織は、流体経路又は一般的な流体リザ
ーバーを介して1つ以上の追加の組織構成物又は細胞と接触している。またさらなる実施
形態では、操作した肝臓組織構成物と接触する液体培地は、免疫細胞、血液由来の細胞あ
るいは腫瘍由来の細胞のような生きている哺乳動物細胞を含んでいる。他の実施形態では
、操作した肝臓組織構成物と接触する液体培地は、細菌、ウイルス、寄生虫あるいは他の
病原体を含んでいる。いくつかの実施形態では、X線あるいはcryo-EMを含む三次
元構造研究のための肝臓指向性ウイルスを繁殖させるために、操作した肝臓組織とアレイ
が、ビヒクルとして使われる。
【0137】
<体外の支持>
いくつかの実施形態では、操作され肝臓組織構成物は、複数の層、シリンダー状のバイ
オインクを含む各層、実質的に平行に軸方向に整列したバイオインク、肝実質細胞を含む
バイオインク; 及び、随意に、シリンダー状のバイオインク中又は間に非実質細胞;並
びに、随意に、シリンダー状のバイオインク中の空間又は潅流チャネルを含む。さらなる
実施形態において、操作した肝臓組織は、必要とする被験体に体外の支援を提供するため
に使用される。またさらなる実施形態では、血液をろ過し、被験体の肝機能を補足するた
めに、血液は、構成物上あるいは構成物を通って流れる。
【0138】
図17に従って、特別の実施形態では、バイオプリントされた肝臓構造は、体外の支援
をするために設計されている。この実施形態では、バイオプリントされた肝臓構造は、複
数の実質細胞シリンダーからなる。この構造は、区画及び/又は潅流あるいは流動が達成
されるところを通るチャネルを作るために、非実質細胞及び充填体も含む。
【0139】
図19に従って、特別の実施形態では、バイオプリントされた肝臓構造は、操作した肝
臓組織を潅流が横切る及び/又は通ることを可能にするための一定間隔の空間(仮の充填
体で占められているように描かれる)とともに繰り返しの管状構造を含む体外の肝性デバ
イスとして使用される。
【0140】
<方法>
幾つかの実施形態において、本明細書中で開示されているのは、生きている、三次元肝
臓組織構成物を構築する方法であって、該方法は、形態の中又は上に少なくとも1つの肝
細胞型を含むバイオインクをバイオプリントする工程、及び生きている、三次元肝臓組織
構成物中にバイオインクを融合する工程を含む。さらなる実施形態において、組織構成物
はインビトロで使用するためのものである。
【0141】
いくつかの実施形態中で、本明細書でさらに開示されているのは、生きている、三次元
の肝臓組織構成物を含む組織を構築する方法であり、以下の工程を含む:実質細胞又は非
実質細胞のいずれかを含む凝集した多細胞集合体を調製する工程;支持体上に凝集した多
細胞集合体を堆積する工程;及び肝臓組織構成物を凝集させ形成するために、多細胞集合
体をインキュベートする工程であって、インキュベーションの期間が約1時間から約30
日までの間である工程。いくつかの実施形態では、この方法はバイオプリンティングを利
用する。さらなる実施形態において、この方法は使用時予め形成されたスキャフォールド
が実質的にない、操作した肝臓組織を生成する。
【0142】
いくつかの実施形態中で、本明細書でさらに開示されているのは、生きている、三次元
の肝臓組織を成形する方法であり、以下の工程を含む:哺乳動物細胞を含む凝集した多細
胞集合体を調製する工程;支持体上に1つ以上の凝集した多細胞集合体を堆積する工程;
1つ以上の凝集した多細胞集合体に、1つ以上の外部表面上の第一の哺乳動物細胞型の層
、及び1つ以上の外部表面上の第二の哺乳動物細胞型の層の1つ以上を適用する工程;及
び三次元の肝臓組織構成物を凝集させ形成することを可能にするために、1つ以上の多細
胞集合体をインキュベートする工程であって、インキュベーションの期間が約1時間から
約30日までの間である工程。いくつかの実施形態では、この方法はバイオプリンティン
グを利用する。さらなる実施形態において、この方法は使用時予め形成されたスキャフォ
ールドが実質的にない、操作した肝臓組織を生成する。
【0143】
いくつかの実施形態中で、本明細書でさらに開示されているのは、生きている、三次元
の肝臓組織を成形する方法であり、以下の工程を含む:哺乳動物細胞を含む1つ以上の凝
集した多細胞集合体を調製する工程;平面構造を形成するために細胞型が互いに近傍に空
間的に配置されている、複数の細胞型を含む少なくとも1つの層、及び/又は層状構造を
形成するために少なくとも1つの層が少なくとも1つの他の層とは組成的に又は構造的に
異なる複数の層、の1つ以上の形成するために、支持体上に1つ以上の凝集した多細胞集
合体を堆積する工程;及び三次元の肝臓組織構成物を凝集させ形成することを可能にする
ために、1つ以上の多細胞集合体をインキュベートする工程。
【0144】
<凝集した多細胞集合体を調製する工程>
幾つかの実施形態では、この方法は、1つ以上の哺乳動物細胞型を含む凝集した多細胞
集合体を調製する工程を含み、少なくとも1つの細胞の構成要素は肝細胞を意味する。幾
つかの実施形態では、この方法は肝臓実質細胞を含む凝集した多細胞集合体を調製する工
程を含んでいる。幾つかの実施形態では、この方法はさらに非実質細胞を含む凝集した多
細胞集合体を調製する工程を含んでいる。幾つかの実施形態では、この方法は、内皮細胞
、星細胞、繊維芽細胞、クッパー細胞、免疫細胞、リンパ球、癌細胞、ウイルス輸送細胞
(virus-bearing)、病原性細胞、脂肪細胞、脂肪生成の細胞、平滑筋細胞
あるいは幹細胞/前駆細胞由来の細胞の1つ以上の他の細胞型をさらに含む凝集した多細
胞集合体を調製する工程を含んでいる。
【0145】
本明細書に記載されている特性を有する多細胞集合体を成形するには様々な方法がある
。
幾つかの実施形態では、多細胞集合体は、複数の生細胞を含有している又は所望の細胞密
度および粘度を有する細胞ペーストから成形される。さらなる実施形態では、細胞ペース
トは、所望の形状および成熟(例えば、インキュベーション)によって形成された多細胞
体へと成型される。幾つかの実施形態では、多細胞集合体の形状はその周りを囲む型又は
枠の形状によって決定する。さらなる実施形態では、型又は枠は、定義された構造に自動
装置によって成形される。またさらなる実施形態では、型又は枠はバイオインクからなり
、肝臓由来の細胞を含んでいる。さらなる実施形態では、型又は枠は肝臓由来の非実質細
胞、及び枠を満たし実質細胞を含む多細胞集合体を作るために使用されるペーストを含む
。幾つかの実施形態では、多細胞集合体は実質的にシリンダー状である。他の実施形態で
は、多細胞集合体は六角形、正方形、立方骨、長方形、多角体である。またさらなる実施
形態では、複数の多細胞集合体は、囲む型又は枠を繰り返し構造の碁盤目状のパターンで
成形し、続いて又は同時に細胞ペーストで型又は枠を埋めることにより形成される。さら
なる実施形態では、細長い多細胞体を形成するのに細胞が互いに接着及び/又は凝集する
ことを可能にするために、細胞ペーストは制御された環境でインキュベートされる。他の
特定の実施形態では、多細胞体は、細胞ペーストを三次元の形状中に保持するデバイスの
中に複数の生きている細胞を含む細胞ペーストを成型することで生成される。さらなる実
施形態では、平らな表面上で自身を支えるのに十分な凝集力を有する多細胞体を生成する
ために、細胞ペーストは、三次元の形状中で十分な時間保持される一方、制御された環境
でインキュベートされる。
【0146】
様々な実施形態では、細胞ペーストは:(1)(1つ以上の細胞型の)細胞又は細胞凝集
物を、細胞培養培地などの、生体適合性のゲル又は液体と、(例えば、予め決められた比
率で)混合して、結果として細胞懸濁液をもたらすこと、および(2)細胞懸濁液を圧縮
して、所望の細胞密度および粘度を有する細胞ペーストを生成すること、によって提供さ
れる。様々な実施形態では、圧縮は、細胞培養から結果として生じた特定の細胞懸濁液を
濃縮して、細胞ペーストに必要とされる、所望の細胞濃度(密度)、粘度、および整合性
を達成することなどの、多くの方法によって達成される。特定の実施形態では、細胞培養
からの比較的希薄な細胞懸濁液は、型における成型を可能にするペレット中の細胞濃度を
達成するために決められた時間、遠心分離にかけられる。タンジェント流ろ過(「TFF
」)は、細胞を濃縮又は圧縮する別の適切な方法である。幾つかの実施形態では、化合物
は、必要とされる押出特性をもたらすために細胞懸濁液と混合される。適切な化合物は、
限定しない例として、界面活性剤ポリオール、コラーゲ ン、ヒドロゲル、ペプチドヒド
ロゲル、アミノ酸系ゲル、Matrigel(商標)、ナノファイバー、自己集合性ナノ
ファイバー、ゼラチン、フィブリノゲンなどを含む。
【0147】
幾つかの実施形態では、細胞ペーストは、複数の生細胞を組織培養培地と混合し、生細
胞を(例えば遠心分離によって)圧縮することよって生成される。1つ以上のECM成分
(又はECM成分の誘導体)は、随意に、ECM成分(又はECM成分の誘導体)を含有
している1つ以上の生理学的に許容可能な緩衝液を懸濁することによって、および細胞ペ
ーストを再び形成するために遠心分離にかけられた、結果として生じる細胞懸濁液によっ
て含まれる。
【0148】
幾つかの実施形態では、さらなる処理には所望される細胞ペーストの細胞密度は、細胞型
によって様々である。さらなる実施形態では、細胞間の相互作用は、細胞ペーストの特性
を決定し、異なる細胞型は、細胞密度と細胞間相互作用との間の異なる関連性を有するだ
ろう。またさらなる実施形態では、細胞は、細胞ペーストを成型する前に、細胞間相互作
用を増加させるために前処理される。例えば、幾つかの場合、細胞は、細胞ペーストを成
型する前に、細胞間相互作用を増強するために、遠心分離後に遠心管の内部でインキュベ
ートされる。幾つかの実施形態では、細胞ペーストは、バイオプリンティングで付随的に
成型され、バイオインクを形成する互いへの個々の細胞の凝集力が、バイオプリンティン
グの最中に、あるいはその後に生じる。
【0149】
様々な実施形態では、多くの方法が、細胞ペーストを成型するために使用される。例え
ば、特定の実施形態では、細胞ペーストは、所望の形状を達成するために、手動で成型さ
れるか、又は押しつけられる(例えば、濃縮/圧縮後に)。さらなる例として、細胞ペー
ストは、細胞ペーストを器具の内表面に一致するように成型する、マイクロピペット又は
シリンジ(例えば、毛管ピペット又はガラス/プラスチックシリンジ)などの器具へと取
り上げられる(例えば、吸引される)。マイクロピペット(例えば、毛管ピペット)の断
面形状は、代替的に、円形、四角形、矩形、三角形 、又は他の非円形の断面形状である
。幾つかの実施形態では、細胞ペーストは、プラスチック用型、金属型、又はゲル用型な
どの、予め形成された型へと堆積されることによって成型される。幾つかの実施形態では
、遠心鋳造又は連続鋳造が、細胞ペーストを成型するために使用される。幾つかの実施形
態で、バイオインクの成型はバイオプリンティングに付随的にあるいはその後に生じる。
さらなる実施形態では、バイオインクの成型は、共印刷された型の結果として生じ、型は
バイオプリンティングを介して随意に堆積され、型はバイオインク、押出化合物、ゲル、
ヒドロゲル、合成高分子、炭水化物、タンパク質あるいは哺乳動物細胞をさらに含むバイ
オインクあるいはその組み合わせの1つ以上を含む。またさらなる実施形態では、共印刷
された型の1つ以上の構成要素がバイオプリンティングの後に除去され、除去方法は、物
理的手段、水性溶媒を備えた可溶化;化学処理;酵素処理;温度の調整のうちの1つから
選択される。さらなる実施形態では、共印刷された型は、組立ての後も組織に関連付けら
れたままである。またさらなる実施形態では、共印刷された型の細胞の構成要素だけが、
組立ての後も組織に関連付けられたままである。
【0150】
幾つかの実施形態では、定義された形状の多細胞集合体は、本明細書に記載される操作
した肝臓組織を構築するのにも適している。球状の多細胞集合体は、限定されないが、細
胞の自己集合、型の使用、および懸滴法を含む、様々な方法によって随意に生成される。
さらなる実施形態では、ほぼ球状の多細胞集合体を生成する方法は、1)所望の細胞密度
および粘度を有する複数の予め選択された細胞又は細胞集合体を含む細胞ペーストを提供
する工程、2)細胞ペーストをシリンダー状へと操作する工程、3)シリンダーを等しい
フラグメントへと切断する工程、4)随意にフラグメントを旋回シェーカー上に一晩かき
集める工程、および5)随意にほぼ球状の多細胞集合体の成熟を1時間から7日間の期間
可能にする工程、を含む。さらなる実施形態では、多細胞集合体は集束音法によって生成
される。
【0151】
幾つかの実施形態では、部分的に接着及び/又は凝集した細胞ペーストは、バイオプリン
ティングに使用され、凝集及びバイオインク形成は主に印刷後に生じる。他の実施形態で
は、細胞ペーストはバイオプリンティングに先立つ第一の工程で成型される。さらなる実
施形態では、細胞ペーストは、第1成型装置(例えば、毛管ピペット)から第2成型装置
(例えば、型)に移され、これによって、栄養素及び/又は酸素は、細胞に提供されるこ
とが可能となるが、さらなる成熟期間の間、第2成型装置において保持される。細胞に栄
養素および酸素を提供することが可能な適切な成型装置の一例は、複数の多細胞集合体(
例えば、ほぼ同一な多細胞集合体)を生成するための型である。さらなる例として、その
ような型は、基質への細胞の移動および内方成長に耐性があり、基質への細胞の付着に耐
性のある材料で作られた、生体適合性の基質を含む。様々な実施形態では、基質は、Te
flon(登録商標)、(PTFE)、 ステンレス鋼、NovoGel(商標)、アガ
ロース、ポリエチレングリコール、ガラス、金属、プラスチック、又はゲル材料(例えば
、アガロース又は他のヒドロゲル)、および同様の材料から適切に作られる。幾つかの実
施形態では、型はまた、(例えば、組織培養培地を型の上部に分注することによって)細
胞ペーストへの組織培養培地の供給を可能にするように適切に構成される。
【0152】
したがって、第2成型装置が使用される実施形態では、部分的に接着及び/又は凝集し
た細胞ペーストは、第1成型装置(例えば、毛管ピペット)から第2成型装置(例えば、
型)に移される。さらなる実施形態では、部分的に接着及び/又は凝集した細胞ペースト
は、第1成型装置(例えば、毛管ピペット)によって型の溝へと移される。またさらなる
実施形態では、型が制御環境においてその中に保持された細胞ペーストとともにインキュ
ベートされることで、細胞ペースト中の細胞が互いに接着及び/又は凝集して多細胞集合
体を形成する成熟期間後に、細胞の凝集は、結果として生じる多細胞集合体が器具(例え
ば、毛管ピペット)によって拾い上げられることを可能にするのに十分強力となり得る。
またさらなる実施形態では、毛管ピペットは、適切に、多細胞集合体を三次元の構成物に
自動的に配置するために操作可能な、バイオプリンター又は同様の装置のプリンターヘッ
ドの部分である。
【0153】
幾つかの実施形態では、多細胞集合体の断面形状および大きさは、実質的に、多細胞集合
体を製造するために使用される、第1成型装置および随意に第2成型装置の断面形状およ
び大きさに対応し、当業者は、上に議論された、断面形状、断面積、直径、および長さを
有する多細胞集合体を作り出すのに適切な、適切な断面形状、断面積、直径、および長さ
を有する適切な成型装置を選択することができるだろう。
【0154】
<支持体上へと凝集した多細胞集合体を配置する工程>
所望の三次元構造を生成するために、多くの方法が、支持体上へと多細胞集合体を配置す
るのに適切である。例えば、幾つかの実施形態では、多細胞集合体は、互いに接して手動
で配置されるか、ピペット、ノズル、又は針からの押出によって適所に堆積されるか、又
はバイオプリンターなどの、自動化した、コンピューター支援の機器によって位置付けら
れる。
【0155】
本明細書に記載されるように、様々な実施形態では、多細胞集合体は、多くの適切な形
状および大きさを有する。幾つかの実施形態では、多細胞集合体は、限定しない例として
、円形、卵形、四角形、三角形、多角形、および不規則な形状を含む、幾つかの適切な断
面形状のいずれかを有して細長い。さらなる実施形態では、多細胞集合体は、細長く、シ
リンダーの形態である。幾つかの実施形態では、細長い多細胞集合体は、類似した長さ及
び/又は直径を有する。他の実施形態では、細長い多細胞集合体は、異なる長さ及び/又
は直径を有する。幾つかの実施形態では、多細胞集合体は、ほぼ球状である。幾つかの実
施形態では、操作した肝臓組織は、大きさがほぼ類似したほぼ球状の多細胞集合体を含む
。他の実施形態では、操作した肝臓組織は、異なる大きさを有するほぼ球状の多細胞集合
体を含む。幾つかの実施形態では、異なる形状および大きさの操作した肝臓組織は、様々
な形状および大きさの多細胞集合体を調整することによって形成される。
【0156】
幾つかの実施形態では、凝集した多細胞集合体は、支持体上へと配置される。様々な実
施形態では、支持体は、任意の適切な生体適合性の表面である。またさらなる実施形態で
は、適切な生体適合性の表面は、限定しない例として、ポリマー材料、多孔質膜、プラス
チック、ガラス、金属、ヒドロゲル、およびそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形
態では、支持体は、限定しない例として、ヒドロゲル、タンパク質、化学薬品、ペプチド
、抗体、成長因子、又はそれらの組み合わせを含む、生体適合性の物質でコーティングさ
れる。1つの実施形態では、支持体は、NovoGel(商標)でコーティングされる。
別の実施形態では、支持体は、アガロースでコーティングされる。1つの実施形態では、
凝集した多細胞集合体は、生体適合性のマルチウェル容器のウェルに入れられる。
【0157】
一旦凝集した多細胞集合体の配置が完了すると、幾つかの実施形態では、組織培養培地
は構成物の上部にわたって注がれる。さらなる実施形態では、組織培養培地は、多細胞体
において細胞を支持するために、多細胞体間の空間に入る。
【0158】
<第一の細胞型の層および/又は第二の細胞型の層を適用する工程>
細胞の1つ以上の層を、凝集した哺乳動物細胞構成物の1つ以上の外部層上に適用する
のに、多くの方法が適切である。例えば、幾つかの実施形態では、細胞の層を適用する工
程は、凝集した多細胞集合体の1つ以上の表面を、懸濁液、シート、単一層又は細胞の融
合した集合体でコーティングする工程を含む。様々な実施形態では、凝集した哺乳動物細
胞構成物の1、2、3、4、又はそれ以上の表面がコーティングされている。
【0159】
幾つかの実施形態では、細胞の層を適用する工程は、融合した多細胞集合体の追加の層
をバイオプリントする工程を含む。他の実施形態では、細胞の層を適用する工程は、細胞
の溶液、懸濁液又は液体濃縮物をバイオプリントする工程、スプレーする工程又はインク
ジェットする工程を含む。さらなる実施形態では、適切な細胞懸濁液は約1×104から
約1×106細胞/μlを含む。またさらなる実施形態では、適切な細胞懸濁液は約1×
105から約1.5×105細胞/μlを含む。さらなる実施形態では、細胞の層を適用
する工程は、細胞の懸濁液を凝集した哺乳動物細胞構成物の1つ以上の表面に、空間的に
分配された液滴として直接分注する工程を含む。またさらなる実施形態では、細胞の層を
適用する工程は、細胞の懸濁液を凝集した哺乳動物細胞構成物の1つ以上の表面に、スプ
レーとして直接分注する工程を含む。細胞の層は、様々な実施形態では、構築プロセス中
の任意の適切な時に適用される。幾つかの実施形態では、細胞の1つ以上の層は、凝集し
た哺乳動物細胞構成物の1つ以上の外部層上に、バイオプリンティングの直後(例えば1
0分以内)に適用される。他の実施形態では、1つ以上の層がバイオプリンティングの後
(例えば10分後)に適用される。また他の実施形態では、1つ以上の層が構成物の成熟
中に適用される。
【0160】
幾つかの実施形態では、この方法は、支持体上の細胞の層を培養する工程をさらに含む
。そのような実施形態では、細胞の層を適用する工程は、いくつかの場合において、操作
した肝臓組織の1つ以上の表面を、細胞の確立された培養物と直接接触するように配置す
る工程を含む。さらなる実施形態では、構成物は、細胞の培養された層又は細胞の単一層
の上に直接バイオプリントされる。生体適合性の支持体上のどんなタイプの培養細胞層で
も適切である。幾つかの実施形態では、多細胞集合体は内皮細胞の層の上にバイオプリン
トされる。他の実施形態では、多細胞集合体は非実質細胞の層の上にバイオプリントされ
る。さらなる実施形態では、細胞の層は、バイオプリントされた構成物の多細胞集合体に
接着及び/又は凝集する。幾つかの実施形態では、多層構造の各層はバイオプリントされ
る。さらなる実施形態では、個々の層は様々な形態のバイオインクを含み、限定されない
が、凝集した細胞集合体、細胞ペースト、押出化合物又は他の添加剤と組み合わせた細胞
ペースト、細胞単一層及び細胞シートを含む。
【0161】
<区画化された組織を成形するために使用された共印刷された型>
幾つかの実施形態では、この方法は、非実質細胞を含む1つ以上のバイオインクを調製
する工程;肝細胞又は肝細胞様細胞のような実質細胞を含む1つ以上のバイオインクを調
製する工程;支持体上にバイオインクを堆積する工程;及び少なくとも1つの区画を含む
、生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために、堆積されたバイオインクを約
1時間から約30日までの間インキュベートする工程であって、該区画は非実質細胞を含
む境界で制限された、実質細胞を含む内部を含む工程、を含む。
【0162】
幾つかの実施形態では、この方法は、哺乳類の肝細胞を含む1つ以上の凝集された多細
胞集合体を調製する工程;複数の細胞型(平面配位を作成するために互いに関連して空間
的に配置された細胞型)を含む少なくとも1つの層;及び複数の層であって、層構造を作
成するために、少なくとも1つの他の層とは組成的にあるいは構造的に異なる少なくとも
1つの層、の少なくとも1つを形成するために、支持体上に1つ以上の凝集された多細胞
集合体を配置する工程、及び生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために凝集
することを可能にするため、1つ以上の多細胞集合体を約1時間から約30日までの間イ
ンキュベートする工程。
【0163】
図2に従って、特定の実施形態では、HepaRG細胞を含む肝臓構成物は、バイオプ
リントされ、成熟され、生化学的に特徴づけられる。第一に、4mm×4mm×1mmの
寸法を備えた全周ボックス(perimeter box)は、内皮細胞と肝星細胞を含
むバイオインクで印刷された。第二に、HepRG細胞は全周ボックスの中心へ堆積され
た。その後37℃で96時間成熟させた。第三に、バイオプリントされた構成物の融合が
印刷後20時間で観察された。この実施形態では、バイオプリントされた肝臓構成物は、
96時間でアルブミンとコレステロールを生成して代謝的に活性であった。
【0164】
図3に従って、特定の実施形態では、肝臓構成物はそれぞれ押出化合物でできている非
実質細胞の境界及び実質細胞の充填でバイオプリントされる。
【0165】
図4に従って、特定の実施形態では、肝臓構成物は内皮細胞及び肝星細胞を含む境界及
び原発性の肝細胞を含む充填物、及び充填物中に内皮細胞及び肝星細胞を含む空間的に分
散された球体として導入された第三の組成的成分によってバイオプリントされる。
【0166】
図5に従って、特定の実施形態では、肝臓構成物は細胞を含まず、充填物だけを残し陰性
の空間を確立する水性溶媒(例えばPF-127)に溶解した材料から成形された共同型
(co-mold)によってバイオプリントされる。
【0167】
図6に従って、特定の実施形態では、肝臓構成物は碁盤目状の機能ユニットパターンを形
成するために、水溶性押出化合物(例えばPF-127)中にカプセル化された複数の肝
細胞型で構成されたバイオインクを用いた連続的な堆積技術を使用してバイオプリントさ
れる。
【0168】
図8に従って、特定の実施形態では、区画化された肝臓構成物は、多細胞集合体を六角
形に成型するのに使用される、細胞を含まない共印刷された型でバイオプリントされる。
この実施形態では、細胞がない材料は使用時にスキャフォールドのない組織を生成するた
めに消える。
【0169】
図10に従って、特定の実施形態では、区画化された肝臓構成物は、HepG2細胞で
充填される境界として使用される共同型でバイオプリントされる。
【0170】
図11に従って、特定の実施形態では、細胞を含む共印刷された型は、この場合Hep
G2細胞である実質細胞が充填物として使用され、境界としてバイオプリントされる。
【0171】
図12に従って、特定の実施形態では、区画化された肝臓構成物は、高い、組織様密度を
達成するために、非実質細胞境界及び実質細胞充填物を使用してバイオプリントされる。
【0172】
<多細胞集合体をインキュベートする工程>
幾つかの実施形態では、多細胞集合体はインキュベートされる。さらなる実施形態では
、インキュベーションによって、多細胞集合体は、接着及び/又は凝集して、肝臓組織の
ような組織を形成することができる。幾つかの実施形態では、多細胞集合体は、凝集して
、細胞培養環境(例えば、ペトリ皿、細胞培養フラスコ、バイオリアクターなど)におい
て組織を形成する。さらなる実施形態では、多細胞集合体は、凝集して、多細胞集合体に
含まれる細胞型の成長を促進するのに適切な条件を有する環境において組織を形成する。
1つの実施形態では、多細胞集合体は、接着及び/又は凝集を促進する細胞培養培地を含
有している因子及び/又はイオンの存在下で、約5%のCO2を含有している湿気のある
環境において、約37℃でインキュベートされる。他の実施形態では、多細胞集合体は、
0.1%から21%のO2を含有している環境で維持される。
【0173】
インキュベーションは、様々な実施形態では、任意の適切な持続時間を有する。さらな
る様々な実施形態では、インキュベーションは、約20、30、40、50、60、70
、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、1
80分、又はそれ以上の持続時間を有し、それらにおいてインクリメントを含む。さらな
る様々な実施形態では、インキュベーションは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9
、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、
23、24、36、48時間、又はそれ以上の持続時間を有し、それらにおいてインクリ
メントを含む。様々な実施形態では、インキュベーションは、約1、2、3、4、5、6
、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日
、又はそれ以上の持続時間を有し、それらにおいてインクリメントを含む。いくつかの因
子は、限定しない例として、細胞型、細胞型の比率、培養条件、および成長因子などの添
加剤の存在を含む、組織を形成するために、多細胞集合体が凝集するのに必要な時間に影
響を及ぼす。
【0174】
<操作した組織の生存率を増加させるためのさらなる工程>
幾つかの実施形態では、方法は、操作した組織の生存率を増加させるための工程をさらに
含む。さらなる実施形態では、これらの工程は、制限物質の一時的又は半永久的な格子状
構造(lattice)を介して組織と栄養培地との間の直接的な接触を提供する工程を
含む。幾つかの実施形態では、組織は、多孔性の又は間隙のある(gapped)材料に
おいて制限される。栄養素に対する操作した組織の細胞の少なくとも幾つかの直接的なア
クセスによって、操作した組織の生存率は増加する。
【0175】
さらなる実施形態では、操作した組織の生存率を増加させるための追加および随意の工
程は:1)随意に、凝集した多細胞集合体を配置する前に制限物質の基層を分配する(d
ispensing)工程;2)随意に、制限物質の周辺(aperimeter of
)を分配する工程;3)定義された構造内の組織の細胞をバイオプリントする工程;およ
び4)格子、網目、又はグリッドなどの、制限物質中の間隙を導入するパターンで発生期
の組織を覆う制限物質の細長い体(例えば、シリンダー、リボンなど)を分配する工程、
を含む。
【0176】
多くの制限物質が、本明細書に記載される方法における使用に適している。幾つかの実
施形態では、ヒドロゲルは、以下を含む1つ以上の有利な特性を有する典型的な制限物質
である:非付着性、生体適合性、押し出し成形可能、バイオプリント可能、非細胞性、
適切な強度、および水性条件で非水溶性。幾つかの実施形態では、適切なヒドロゲルは、
天然ポリマーである。1つの実施形態では、制限物質は、NovoGel(商標)で構成
される。さらなる実施形態では、適切なヒドロゲルは、PlutonicF-127、
コラーゲン、ヒアルロナート、フィブリン、アルギナート、アガロース、キトサン、ゼ
ラチンおよびそれらの誘導体および組み合わせなどの、界面活性剤ポリオールに由来する
ものを含む。他の実施形態では、適切なヒドロゲルは、合成ポリマーである。さらなる実
施形態では、適切なヒドロゲルは、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体、ポリ(酸化エ
チレン)およびそのコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、および
それらの組み合わせに由来するものを含む。様々な具体的な実施形態では、制限物質は、
ヒドロゲル、NovoGel(商標)、アガロース、アルギナート、ゼラチン、Matr
igel(商標)、ヒアルロナン、ポロクサマー、ペプチドヒドロゲル、ポリ(イソプロ
ピルn-ポリアクリルアミド)、ポリエチレングリコールジアクリラート(PEG-DA
)、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリルアミド、
ポリ(乳酸)、シリコン、シルク、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0177】
幾つかの実施形態では、パターンを覆う間隙は、組織の表面のまわりに均一に又はほぼ
均一に分配される。他の実施形態では、間隙は、不均一に分配され、それによって、組織
の細胞は、栄養素に不均一にさらされる。不均一の実施形態では、栄養素に対する差次的
な(differential)アクセスは、随意に組織の1つ以上の特性に影響を与え
るように利用される。例えば、幾つかの場合、バイオプリントされた組織の一表面上の細
胞を、バイオプリントされた組織の別の表面上の細胞より速く増殖させることが望ましい
。幾つかの実施形態では、栄養素への組織の様々な部分の露出は、所望のエンドポイント
への組織の発達に影響を与えるために、様々な時間で変更される。
【0178】
幾つかの実施形態では、制限物質は、限定されないが、バイオプリンティング直後(例
えば、10分以内)、バイオプリンティング後(例えば、10分後)、細胞が実質的に互
いに凝集する前、細胞が実質的に互いに凝集した後、細胞が細胞外マトリックスを生成す
る前、細胞が細胞外マトリックスを生成した後、使用の直前などを含む、任意の適切な時
間に除去される。様々な実施形態では、制限物質は、任意の適切な方法によって除去され
る。
例えば、幾つかの実施形態では、制限物質は、切除されるか、細胞からはぎ取られるか、
消化されるか、又は溶解される。
【0179】
幾つかの実施形態では、この方法は、操作された肝臓組織を剪断力にさらす工程をさら
に含み、それは1つ以上の側面に流体流動、撹拌あるいは伝達力のある再循環によって引
き起こされる。
【0180】
<生物学的特性>
本明細書に記載されているバイオプリントされた肝臓組織は、ヒト組織に類似の多細胞
構造を含んでいた。天然の肝臓組織のように、バイオプリントされた肝臓組織は、特定の
領域で集積され、パターン化され区画化された構造を産出する特定の細胞型(例えば、肝
星細胞、肝細胞、内皮細胞など)を含んでいた。
【0181】
幾つかの実施形態では、本明細書中に記載されているバイオプリントされた肝臓組織は
、高い細胞密度、ECM、脂質及びグリコーゲンの生成を含む天然の肝臓の重要な特徴を
含む。
図21を参照されたい。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されているバイオ
プリントされた肝臓組織は、少なくとも30%の細胞密度を有する。様々なさらなる実施
形態では、本明細書に記載されているバイオプリントされた肝臓組織は、少なくとも40
%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%あるい
は少なくとも90%の細胞密度を有する。様々なさらなる実施形態では、本明細書に記載
されているバイオプリントされた肝臓組織は、約30%、約40%、約50%、約60%
、約70%、約80%あるいは約90%の細胞密度を有する。
【0182】
幾つかの実施形態では、三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、密着結合、少なく
ともいくつかの静止した肝星細胞の維持および微小血管の構造の発達のような組織学的特
徴を含んでいる。幾つかの実施形態では、三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、最
初の成形を大きく越えて保持された区画化を含んでいる。例えば、さらなる実施形態では
、三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、少なくとも7日、少なくとも10日、少な
くとも20日、少なくとも30日あるいは少なくとも40日の間続く区画化を含んでいる
。様々なさらなる実施形態では、三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、約7日、約
10日、約20日、約30日、あるいは約40日の間続く区画化を含んでいる。
【0183】
幾つかの実施形態では、非実質細胞である「ストロマ」に囲まれた肝細胞の成形後の領
域を識別することができる。
図22を参照されたい。予測しなかったことに、バイオプリ
ントされた肝臓組織は、非常によく天然の肝臓を模倣して、小葉型構造への明白な自己組
織化を実証した。観察された構造物は、長期試験(例えば低用量、反復暴露及び慢性的な
病理学的疾病)を可能にして、40日間以上の機能及び生存を支持する。
【0184】
幾つかの実施形態では、肝臓に特有の機能は、本明細書に記載されている三次元のバイ
オプリントされた肝臓組織で7、10、20、30、あるいは40日間以上保持される。
幾つかの実施形態では、例えば、本明細書で記載されているバイオプリントされた肝臓組
織は、従来の二次元の技術における原発性の肝細胞の公表された時間的経過を大きく越え
て、6週間(42日間)以上のアルブミンの継続的な生成を実証する。
図23を参照され
たい。バイオプリントされた肝臓組織は、コレステロールのような他の肝細胞因子の保持
された生成も実証する。
図23を参照されたい。
【0185】
三次元のバイオプリントされたヒト肝臓組織は、トランスフェリン及びフィブリノゲン
を含む従来の二次元的方法では達成されない、追加の適切な代謝産物の生成を示す。
図2
4を参照されたい。幾つかの実施形態中で、三次元のバイオプリントされたヒト肝臓は、
毛細胆菅(bile canilicular)形成のマーカーも示す。
図25を参照さ
れたい。
【0186】
数日後に機能を失う二次元の原発性の肝細胞とは対照的に、幾つかの実施形態では、本
明細書中に記載されている三次元の肝臓組織は、誘発がベラパミルによって阻害可能であ
る、活性なCYP3A4酵素の保持された誘発を示す。
図26を参照されたい。幾つかの
実施形態では、本明細書に記載されている三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、ジ
クロフェナク、トロバフロキサシンおよびメトトレキセートを含む既知の肝臓毒性物に対
する天然様の反応を実証する。
図27-29を参照されたい。幾つかの実施形態では、本
明細書に記載されている三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、ビタミンDのような
生理学的に適切な分子に対する天然様の反応を実証する。
図30を参照されたい。
【0187】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている三次元のヒト肝臓組織は、実質細胞
(肝細胞)及び非実質細胞(内皮細胞(EC)及び肝星細胞(hSC))領域によってパ
ターン化される。さらなる実施形態では、原発性の肝細胞の代わりとして、パターン化さ
れた三次元の肝臓組織は、iPSC由来の肝細胞様細胞(iPSC-HC)(例えばiC
ell肝細胞、Cellular Dynamics Inc.)を含んでいる。iPS
Cの使用は、患者及び/又は疾患特異的なインビトロ系の開発を可能にし、分離する又は
繁殖することが難しい細胞を生成する手段を提供し得る。
【実施例0188】
以下の具体的な例は、単に例示的なものとして解釈されるべきであり、方法はどうであれ
、開示の残りを限定するものとして、解釈されるべきではない。
【0189】
実施例1-連続的な堆積及び碁盤目状の機能ユニット構造を使用してバイオプリントされ
る肝臓組織
操作した肝臓組織を、連続的な堆積機構を使用するNovoGenMMX Biopr
inter(商標)(Organovo,Inc.,SanDiego,CA)を利用
してバイオプリントした。肝臓組織の三次元構造は、この場合、六角形の繰り返しの機能
ユニットに基づいていた。バイオインクは、肝星細胞及び押出化合物(界面活性剤ポリオ
ール-PF-127)にカプセル化された内皮細胞から成っていた。
【0190】
<30%PF-127の調製>
30%PF-127溶液(w/w)を、PBSを用いて作製した。PF-127パウダ
ーを、4℃に維持した磁気撹拌プレートを使用して冷蔵のPBSと混合した。完全溶解は
約48時間で生じた。
【0191】
<細胞の調製とバイオプリンティング>
82%の星細胞(SC)及び18%のヒト大動脈内皮細胞(HAEC)とヒト成人皮膚
繊維芽細胞(HDFa)で構成される細胞懸濁液を、遠心分離の後、3つの細胞濃度:5
0×10
6細胞/ml、100×10
6細胞/ml、及び200×10
6細胞/mLを達
成するために15mLのチューブに分離した。各細胞ペレットを30%PF-127に再
懸濁し、バイオプリンターで使用する3ccのリザーバーへ吸引した。510μmの分注
チップで、カプセル化された細胞を、単一の六角形(
図6Aを参照)又は六角形の碁盤目
状の配置(
図6Bを参照)になるよう、PDMS基板プレート上にバイオプリントした。
各構成物は約200μLの培地を受け取り、構成物の統合性を評価するために、室温にて
20分間インキュベートした。
【0192】
<多層バイオプリンティング>
六角形碁盤目状配列実験のために、連続する(4)層までをバイオプリントした結果、
より多くの細胞形質成分が存在する、より高さが高い構造をもたらした。成形に続き、各
構成物は、構成物の統合性を評価するために約200μLの完全培地を最初に受け取った
。構成物を室温で20分間インキュベートし、その後、20mLの完全培地に浸した。
【0193】
<結果>
10%ウシ胎児血清を含む増殖培地(PF127を溶解する)で18時間培養後、バイ
オプリントされた構造に含まれる細胞は、最初のデザインの幾何学的なパターニングを保
持した完全な連続した組織のシートを生成するために、十分に互いに凝集した(
図6Dを
参照)。
図7は、10%中性緩衝ホルマリン中に固定化した後の、碁盤目状の構成物の単
一セグメントのH&E染色を示す。細胞は、生存可能で、完全で、それらの最初のプリン
トされた構造にとどまることが分かった。
【0194】
実施例2-強制的な(Forced)積層化
細胞集団(同種の又は異種の)をバイオプリンティングのために、シリンダー状のバイ
オインク又はプルロニック(登録商標)F-127(Lutrol,BASF)の細胞懸濁液のいずれかとして調製した。要約すると、バイオインクの調製のために、細胞を組み換えヒト・トリプシン(75μg/mL,Roche)又は0.05%トリプシン(Invitrogen)のいずれかを使用して、標準的な組織培養プラスチックから遊離させた。酵素遊離に続いて、細胞を洗浄し、回収し、カウントし、所望の比率(つまり、50:50、肝星細胞(hSC):内皮細胞(EC))で組み合わせ、遠心分離によりペレットにした。その後、上清を細胞ペレットから取り除き、細胞混合物を、典型的に内径が500μm又は250μmの所望の直径のガラスマイクロキャピラリーへ吸引した。その後、このシリンダー状の細胞調製物を、バイオインク成熟のためのチャネルを備えた非細胞接着性ヒドロゲル材料から生成された型へ押し出した。その後、得られたシリンダー状のバイオインクを、典型的に2から24時間の経験的に決められた時間、完全細胞培養培地で培養した。
【0195】
要約すると、ヒドロゲルの細胞懸濁液の調製のために、細胞を本明細書に記載される酵
素を媒介としたプロトコルのいずれかを使用して、標準的な細胞培養容器から遊離させた
。その後、遊離した細胞を、血清を含む培地で洗浄し、回収し、カウントし、密度が高い
細胞ペレットを形成するために遠心分離した。上清を、得られた細胞ペレットから取り除
き、細胞が50から200×106細胞/mL(10から300×106細胞/mLの範
囲)になるよう、冷蔵のPF-127(4℃)で再懸濁した。その後、この細胞懸濁液を
、NovoGen MMX Bioprinter(商標)(Organovo,Inc
.,San Diego,CA)を利用してシリンジへ吸引した。
【0196】
その後、強制的な細胞パターニング、積層化又は配向性による組織構成物の成形を、バ
イオプリンターを使用して達成した。三次元の組織構成物のバイオプリンティングを、シ
リンダー状のバイオインク、水溶性ゲル剤中の細胞懸濁液又はそれらの組み合わせで行っ
た。定義された細胞パターニング又は積層化を達成するために、適切な細胞集団の組み合
わせは、バイオインク又は細胞懸濁液調製物内に含まれ、その後、細胞溶液を支持するゲ
ル物質の溶解等の方法でバイオプリントし、その結果、堆積したバイオインク周辺に定義
された細胞の積層化をもたらした(
図13を参照)。細胞パターニング、組織化又は積層
化も、定義された別々の細胞集団(例えばhSC及びEC)の利用及び取り込みを通して
達成され、その結果、バイオプリントされた組織内の予測可能及び反復可能な細胞の組織
化並びに細胞構造をもたらした(
図14を参照)。
【0197】
幾つかの実験において、バイオプリントされた新組織内の最終的な細胞の組織化が、成
熟又は培養期間の後に観察された。構成物を標準的な実験用インキュベータ(37度、5
%CO2を供給した加湿チャンバー)の中で維持し、経時的に評価した。
【0198】
<結果>
細胞パターニング、積層化又は配置を、バイオプリンティングを使用して達成した。異
種の(つまり多型の)細胞集団を含むバイオインクでのバイオプリンティングによって、
若しくは高密度細胞ゲル又は細胞懸濁液のバイオインク(同種の又は異種の細胞集団)を
組み合わせることによって、異なる細胞の組織化が観察された。加湿チャンバー(インキ
ュベータ)内でのこれらの新組織構成物の成熟は、これらのバイオプリントされた新組織
における異なる細胞配置、組織化及び/又は分離のさらなる確立をもたらした。
【0199】
例えば、HepG2細胞を含むバイオプリントされたバイオインク上にEC及びhSC
を備えるPF-127のバイオプリンティングは、異なる細胞集団及び別々の組織形態を
備えた構成物の異なる層の確立をもたらす。hSC及びECを含むバイオインク構成物の
場合において、完全培地中で3日以上成熟した、バイオプリントされた構成物は、構成物
のコア内の末梢及び構築された微小血管ネットワークにECの異なる層を含んでいること
を確認した。ECの高濃縮溶液上の血管平滑筋細胞の同種の(つまり、単一型の)集団を
含むバイオインクで成形されたバイオプリントされた構成物は、構成物の末梢にECの異
なる層を含んでいることを確認した。
【0200】
実施例3-マルチウェルプレート
細胞集団(同種の又は異種の)を、シリンダー状のバイオインク集合体、細胞集合体の
懸濁液又は細胞懸濁液/ペーストを含み、随意に押出化合物を含む、様々なバイオインク
フォーマットを使用するバイオプリンティングのために調製した。要約すると、シリンダ
ー状のバイオインクの調製のために、細胞を、組み換えヒト・トリプシン(75μg/m
L,Roche)又は0.05%トリプシン(Invitrogen)のいずれかを使用
して、標準的な組織培養プラスチックから遊離させた。酵素遊離に続いて、細胞を洗浄し
、回収し、カウントし、所望の比率(つまり、50:50、肝星細胞(hSC):内皮細
胞(EC))に組み合わせ、遠心分離によってペレットにした。その後、上清を細胞ペレ
ットから取り除き、細胞混合物を、典型的に内径が500μm又は250μmの所望の直
径のガラスマイクロキャピラリーへ吸引した。その後、このシリンダー状の細胞調製物を
、バイオインクの成熟のためのチャネルを備えた非細胞接着性ヒドロゲル材料から生成さ
れた型へ押し出した。その後、得られたシリンダー状のバイオインクを、典型的に2から
24時間の経験的に決められた時間、完全細胞培養培地で培養した。
【0201】
細胞集合体の細胞懸濁液又は細胞ペーストの調製のために、本明細書に記載される細胞
増殖及び遊離プロトコルを続けて行った。細胞ペレット生成時に、上清をペレットから取
り除き、ペレットを特注の堆積シリンジに移した。その後、このシリンジを、細胞集合体
の溶液又はペーストのマルチウェルプレートへの直接バイオプリンティングのために、バ
イオプリンター堆積ヘッドに封入した。
【0202】
その後、複製した組織構成物を、マルチウェル組織培養プレート(例えば、6-ウェル
又は24-ウェル)又はマルチウェル細胞培養インサート(つまり、Transwell
,BD)のいずれかのウェル内でバイオプリントし、それから、適切なマルチウェルプレ
ートに配置した。バイオプリンティングに続き、三次元の構成物を、典型的に3から14
日間のある期間、適切な培地で成熟させた/調整した。成熟に続き、構成物を通例の組織
学的検査と免疫組織化学的検査のために、回収し、固定化し、処理した。
【0203】
<結果>
バイオプリントされた組織を、マルチウェル培養プレート又はマルチウェル培養インサ
ート内で成形に成功した後、マルチウェルプレートに挿入した。このアプローチは、同一
又は特有の培養条件を生成するために、随意に培養され処置される複製したバイオプリン
トされた組織の生成を可能にする。このアプローチは、バイオプリンティングのプロセス
処理能力及びサンプル生成の著しい増大をもたらす(
図16を参照)。
【0204】
実施例4-バイオプリントされた新組織の刺激
適切な異種の(つまり、多型の)細胞集団を含むシリンダー状のバイオインクを調製し
た。細胞の生理学的に適切な集団(例えば、肝星細胞(hSC)及びヒト大動脈内皮細胞
(EC))を、適切なバイオインクを生成するために特定の割合で組み合わせた。細胞を
標準的な実験条件下で維持し、増殖させた。また、細胞を、細胞と同じ業者から購入した
培地、又は特定の細胞型のための標準的な細胞培養の実行の助けとなる主要な文献に記載
されている典型的な構成物を含む培地のいずれかの培地において培養した。バイオインク
調製のための細胞処理は下記の通りだった:要約すると、細胞を、カチオンを含まないリ
ン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄することにより標準的な組織培養プラスチックから遊離
させ、その後、0.1-0.05%のトリプシン(Invitrogen)にさらした。
その後、遊離した細胞を、刺激アッセイ又は実施されている実験のために、血清含有培地
で洗浄し、回収し、カウントし、適切な比率で組み合わせ、そして遠心分離によってペレ
ットにした。その後、上清を細胞ペレットから取り除き、細胞ペレットをガラスマイクロ
キャピラリーへ吸引し、その後、約15から20分間、完全培地に浸した。その後、この
シリンダー状のバイオインク構造を、直線チャネルを含む非細胞接着性ヒドロゲルの型へ
押し出し、2から18時間保持した。その後、hSC及びECを含むシリンダー状のバイ
オインクを、バイオプリントされた組織構成物を成形するために使用し、加湿チャンバー
内で維持及び/又は成熟させた。組織セグメントを、1.25mm×8mm×0.25m
m(W×L×H)の最初の寸法で成形した。バイオプリンティング後の成熟期の間、幾つ
かの構成物を、組織特異的な反応を誘発させるために、サイトカインTGF-β1にさら
した(
図15参照)。
【0205】
上部表面に制限された、同質の(つまり、単一の)細胞層を要求する組織構成物のため
に、適切な細胞型を含む第2の細胞調製物を利用した。典型的に、血管内皮細胞又は小型
の気道上皮細胞(それぞれ、血管壁及びヒト肺組織モデル用)を、高濃縮細胞懸濁液中で
調製した。要約すると、細胞を、上記に記載される様に遊離させ、回収し、数え、遠心分
離によってペレットにした。上清を取り除き、細胞ペレットを少量の完全培地で再懸濁し
、1×105細胞/μLの高濃縮細胞ペレットを得た。その後、この細胞懸濁液を、使用
する時まで4℃で保存した。
【0206】
その後、バイオプリントされた新組織を、血清含有完全細胞培養培地に浸し、成熟のた
めに、5%CO2を補った標準的な加湿チャンバーに配置した。その後、バイオプリント
された新組織を、あらかじめ決めた期間培養し、適切なサイトカインで刺激し、標準的な
組織学的検査及び免疫組織化学的検査のために、ホルマリン固定し、回収し、処理した。
バイオプリントされた組織の、限定されないが、組織形態、細胞組織、細胞外マトリック
ス生成、細胞増殖、細胞生存率及び構成物の統合性等の特性を評価した。
【0207】
適切な刺激への直接及び持続性のある細胞アクセスを提供するために、培養培地へのサ
イトカインの直接添加及び追加されたタンパク質と共にバイオプリントされた組織を培養
することでサイトカイン刺激を行った。用量反応実験を、実験のサイトカインのED50
に依存して、典型的に、0.1から100ng/mLの範囲の用量で行った。サイトカイ
ン刺激が48時間を超えて行われる実験のために、48時間毎に培地を交換し、新しいサ
イトカインを添加した。
【0208】
<結果>
細胞の生理学的に適切な集団を含むバイオプリントされた新組織を、二次元のインビト
ロシステムでの細胞反応を誘発させるために以前に実証されたサイトカインで刺激するこ
とに成功した。バイオプリントされた三次元の組織構成物で観察された反応は用量依存的
であり、バイオプリントされた構成物内の細胞に特有であることを観察した(例えば、図
15を参照)。
【0209】
実施例5-連続的な堆積による共同成型された機能的な肝臓組織微小構造のバイオプリン
ティング
<30%PF-127の調製>
30%PF-127溶液(w/w)はPBSを使用して作製した。PF-127パウダ
ーを、4℃に維持した磁気撹拌プレートを使用して、冷蔵のPBSと混合した。完全溶解
は約48時間で生じた。
【0210】
<細胞調製並びに型及び充填剤の共印刷>
バイオプリンターを使用して、510μmの分注チップによって3ccのリザーバーに
3mLのPF-127溶液を吸引し、30%PF-127溶液を、単一の六角形の形状へ
と6ウェルのTranswell上にバイオプリントし、6回続けて積層した。
【0211】
7.8×10
7個の肝細胞(HepG2)で構成される細胞懸濁液を、細胞ペーストを
作成するために6分間、1000gにて遠心分離した。三角形の型の各々を満たすため、
5μLの細胞ペーストを510μmの針を通して押し出した(
図5Aを参照)。六角形の
型を、15分間室温にてインキュベートした。3mLの培地(10%FBS並びに1Xペ
ニシリン、ストレプトマイシン及びアムホテリシンBを補ったDMEM)を、上記のTr
answellのウェルに加え、続けて37℃及び5%CO
2にてインキュベーションし
た。45分以内に、PF-127の型は培地中に溶解し、細胞及び空間の平面の構造を形
成する、成形された肝性の完全なバイオインクが残った(
図5Bを参照)。培地から、残
ったPF-127を取り除くために、Transwellを3mLの培地を含む新しいウ
ェルへ移し、2時間インキュベートした。これを6時間にわたって、合計9mLの培地交
換のために、さらに2回繰り返した。
【0212】
PF-127の型の溶解によって形成された空間を満たすために、6時間後、Tran
swellを、培地を含まない新しいウェルに移し、90%のヒト大動脈内皮細胞及び1
0%の肝星細胞の比率の2×106細胞個の細胞懸濁液を分注した。肝性構成物を室温に
て15分間インキュベートした。15分のインキュベーション後、85%の培地(肝性及
び星細胞を維持するための、10%FBS並びに1Xペニシリン、ストレプトマイシン及
びアムホテリシンBを補ったDMEM)及び15%のM199(ヒト大動脈内皮細胞を維
持するための、2%LSGS、10%FBS、HEPES並びに1Xペニシリン、ストレ
プトマイシン及びアムホテリシンBを補った)の比率を含む4mLの培地があった。構成
物を、内皮細胞を含む組織の介在を備えた肝実質細胞の小葉状の(三角形状の)配置を含
む平面の構造を備える切れ目のない構成物を形成するために、48時間、37℃及び5%
のCO2にてインキュベートした。
【0213】
実施例6-機能的な肝臓組織のバイオプリンティング及び特徴づけ
<細胞培養>
低温保存原発性のヒト肝細胞(Life Technologies)を、メーカーの
プロトコルに従って精製し、ペニシリン100I.U./ml、ストレプトマイシン0.
25μg/ml及びアンフォテリシン85μg/ml(1XP/S/A)(Life T
echnologies)を補った肝細胞維持培地(Life Technologie
s)中でインキュベートした。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC;Becton Dic
kenson)及び肝星細胞(ScienCell)をバイオプリントされた組織の非実
質細胞構成物に利用し、メーカーのインストラクションに従って増殖させた。HUVEC
をEGM-2培地(Lonza)中で、及び肝星細胞を10%FBS(Life Tec
hnologies)、ペニシリン100I.U./ml、ストレプトマイシン0.25
μg/ml及びアンフォテリシン85μg/ml(1XP/S/A;Corning)を
供給したDMEM培地(Corning)中で、成長させた。
【0214】
<誘導アッセイで利用した化学製品>
次の試薬をSigmaから購入した:リファンピシン、ジクロフェナク、ベラパミル、
5-(及び6)-カルボキシ-2’,7’ジクロロフルオレセインジアセテート及びビタ
ミンD3。
【0215】
<バイオインクの調製>
バイオインクを本明細書に記載されるプロトコル及び技術に基づいて調製した。細胞を
含むヒドロゲルの調製のために、NovoGel2.0(Organovo, Inc.
)をメーカーのインストラクションに従って調整し、非実質細胞集団をバイオプリンティ
ング前に組み込んだ。
【0216】
<バイオプリンティング>
全ての組織は、標準的なOrganovoバイオプリンティングプロトコル及びNov
oGen MMX Bioprinter又はそれらの変更を含むものに使用する、標準
的な組織培養ウェルインサート(Corning Transwell)の膜上に直接成
形した。バイオプリントされた肝臓組織は、Novogel 2.0中に非実質細胞(肝
星細胞、HUVEC)を含む、境界を含んでいた。境界は、内部を含む区画を定義した。
区画の内部を、原発性の肝細胞を含む細胞ペーストで満たした。バイオプリントされた肝
臓組織は、さらにNovogel 1.0を含む堀(moat)を含んでいた。
図20は
バイオプリントされたヒト肝臓組織の特定の例を示す。実験の間、バイオプリントされた
肝臓組織を、これらの膜上で維持した。構成物を、90%の原発性の肝細胞培地及び10
%のEGM-2の混合物を600μl含む培地で毎日培地交換し、37℃、5%CO
2を
補った加湿雰囲気条件下でインキュベートした。使用済みの培地を分泌された要素の分析
のために回収し、肝臓組織をエンドポイント分析(例えば、遺伝子発現、組織学的検査、
組織生存率など)のために回収した。
【0217】
<分泌されたタンパク質の検出>
使用済みの培地を集め、-80℃で保存し、その後、以下の肝臓代謝物のために、市販の
ELISAキットによって分析した:アルブミン(Bethyl Laboratori
es)、フィブリノゲン(GenWay Labs)及びトランスフェリン(GenWa
y Labs)。コレステロール生合成を、蛍光定量的に定量した(Cayman Bi
ochemical)。乳酸脱水素酵素(LDH)活性を、市販の試薬(Abcam)で
比色定量的に測定した。
【0218】
<転写プロファイリングのためのRNA単離及びcDNAの合成>
大量のRNAを、メーカーのインストラクションによってQuick-RNA Min
iPrep(Zymo)を用いて、三次元の肝臓構成物から抽出した。RNAを、分光光
度計(Beckman Coulter DU 640)を用いて定量した。投入量(i
nput)2μgのRNAを、メーカーのインストラクション(CloneTech)に
従って、個々のcDNA合成のSmartScribe反応で利用した。TaqMan(
Life Technologies)プローブ並びにFAMで標識化されたCYP3A
4及びVICで標識化された18Sのためのプライマー対を、メーカーのガイドライン(
Life Technologies)に従って、Taqman Universal
Master Mix UNGで利用した。転写増幅産物を、Step One Plu
s system(Life Technologies)を用いて検出した。
【0219】
<組織学的分析:肝臓組織のパラフィン調製>
肝臓構成物を、室温で24時間、2%パラホルムアルデヒド溶液(PBS中に、2%パ
ラホルムアルデヒド、10mM塩化カルシウム、50mMスクロース)で、インサイチュ
で固定化した。24時間後、固定溶液を取り除き、70%エタノールで置換した。付着し
たTranswell膜を備えた構成物を、プラスチック生検の型中で45℃の液体Hi
stoGel(American MasterTech,Lodi,CA,catal
og#EMHGECS)に浸し、これは室温での凝固を可能にした。その後、埋め込まれ
た肝臓構成物を備えたHistoGelブロックを、パラフィン包埋のために組織プロセ
ッサーを使用して処理した。パラフィンの浸潤に続き、肝臓構成物をパラフィンの型に埋
め込み、5μmの横断切片(cross-sections)を、回転式ミクロトーム(
Jung Biocut 2035,Leica Microsystems,Buff
alo Grove,IL)を使用して作製した。ヘマトキシリン-エオシン染色のため
、スライドは、キシレン中でワックスを取り除き(dewaxed)、100%、95%
、70%及び50%のエタノールを通して再水和させ、蒸留水中ですすいだ。スライドを
、Gill’s hematoxylin (Fisher Scientific,P
ittsburgh,PA)に浸した。蒸留水でのすすぎに続いて、スライドを、0.2
%v/vの水酸化アンモニウムに一時的に浸した。蒸留水ですすいだ後、スライドを水性
のエオシン溶液(American MasterTech)に浸した。その後、スライ
ドを、エタノール勾配を通して脱水し、キシレン中で取り除き、樹脂の封入剤(resi
nous mounting media)(CytoSeal,Fisher Sci
entific)に封入した。
【0220】
過ヨウ素酸シッフ染色を、メーカーのインストラクション(Abcam,Cambri
dge,MA)に従って行った。
【0221】
免疫組織学的分析のために、スライドを、キシレン中でワックスを取り除き、蒸留水中
での最終洗浄前に、100、95、70及び50%のエタノールに連続してそれらを浸す
ことにより再水和させた。標準的な電子レンジを使用して、溶液及びスライドを半沸騰(
subboil)に熱し、再水和したセクションをpH6.0の10mMクエン酸ナトリ
ウム中で熱による抗原賦活化(antigen retrieval)にさらし、続けて
30分間緩やかに冷却した。その後、スライドを、1時間、トリス緩衝食塩水(TBS)
中の10%ヤギ血清でブロックし、続けて4℃で一晩、1次抗体でインキュベーションし
た。以下の1次抗体を利用した:ウサギ抗E-カドヘリン(Abcam;1:50);マ
ウス抗アルブミン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO;1:200
);ウサギ抗デスミン(Abcam;1:200);マウス抗CD31(Abcam;1
:25)。その後、セクションを、0.1%Tween20を備えたTBSで3回洗浄し
、TBSで1:200に希釈したAlexaFluor488又はAlexaFluor
568標識2次抗体(Life Technologies,Carlsbad,CA)
とインキュベートした。その後、セクションを、TBS-0.1%Tween20で3回
洗浄し、蒸留水ですすぎ、DAPI含有封入剤(Vector Labs,Burlin
game,CA)で封入した。
【0222】
<凍結切片用の構成物の調製>
肝臓構成物をDPBSで一度すすぎ、Tissue-Tek OCT compoun
d(Sakura Finetek Europe B.V.,Netherlands
)に浸し、急速凍結した。その後、肝臓構成物を含む凍結ブロックを、クライオスタット
(Leica Cryocut 1800, Leica Microsystems)
上で5μmに切り分けた。切り分けられたスライドを、-20℃の液体アセトンでスナッ
プ固定(snap fixed)し、それは室温で20分間風乾させた。Oil Red
O染色のため、スライドを蒸留水で再水和させ、60%イソプロパノールに2分間浸した
。スライドを、室温で15分間、60%イソプロパノール中の0.3%w/vのOil
RedO(Sigma-Aldrich)で染色し、続けて、60%イソプロパノールで
1分間すすいだ。対比染色するために、スライドをGill’s hematoxyli
nに一時的に浸した。スライドを蒸留水ですすぎ、水性溶媒(American Mas
terTech)で封入した。
【0223】
<顕微鏡観察>
H&E、PAS及びOil RedO染色したスライドを、Zeiss Axiosk
op顕微鏡(Zeiss,Jena,Germany)を使用して可視化した。画像を、
Insight 2 camera及びSpot 5.0 software(Diag
nostic Instruments,Inc.,Sterling Heights
,MI)で得た。蛍光染色したスライドを、Zeiss AxioImager顕微鏡で
可視化し、画像を、Zeiss ICM-1 camera及びZen Pro sof
twareで得た。
【0224】
<S9画分の調製>
培地を三次元の肝臓構成物から吸引し、1Xプロテアーゼインヒビターカクテル(Si
gma)を補った400μlのリン酸緩衝食塩水(Corning)を構成物に添加し、
続けて、-80℃で凍結させた。構成物を解凍し、TissuRuptor(Qiage
n)及びディスポーザブルチップを利用して、90秒間3000rpm、続けて90秒間
の休止、続けて90秒間3000rpmにて均質化した。均質化した上清を、20分間4
℃で、20,000Xgで遠心分離した。上清を新しいチューブに移し、続けてタンパク
質を定量した。
【0225】
<タンパク質の定量>
タンパク質の定量を、標準物質としてウシアルブミン(Sigma)を備えたブラッド
フォードアッセイ(Sigma)を利用して達成した。
【0226】
<CYP3A4アッセイ>
S9画分をタンパク質含有量により基準化し、メーカーのプロトコルに従ってルシフェ
リン-IPAアッセイ(CYP ProGlo;Promega)に利用し、発光を、プ
レートリーダ(Polastar,BMG)を利用して読み取った。
【0227】
<統計>
分散分析及びスチューデントt検定での統計解析を、GraphPad Prism
Softwareで実行した。
【0228】
<結果>
バイオプリントされた肝臓組織は、ヒト組織に似ている多細胞構造を含んでいた。天然
の肝臓組織のように、バイオプリントされた肝臓組織は特定の領域で豊富な特定の細胞型
(例えば、肝星細胞、肝細胞、内皮細胞など)を含んでおり、パターン化された、区画化
された構造をもたらした。
【0229】
バイオプリントされた肝臓組織の組織学的特徴は、高い細胞密度並びにECM、脂質及
びグリコーゲンの生成を含む、天然の肝臓の重要な特徴を示す。
図21(印刷後7日目)
を参照。三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、密着結合(E-カドヘリン、アルブ
ミン及びDAPIの視覚化によって観察された)並びに静止した星細胞及び微小血管系(
デスミン、CD31及びDAPIの視覚化によって観察された)を含む、興味深い組織学
的特徴を実証した。三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、最初の成形を大きく過ぎ
ても、継続した区画化を実証した。成形から21日後、非実質細胞の「ストロマ」に囲ま
れた肝細胞の領域を確認した。
図22を参照。予想外に、バイオプリントされた肝臓組織
は、厳密に天然の肝臓を模倣している小葉型構造への明かな自己組織化を実証した。
【0230】
観察された構造は、長期試験(例えば、低用量、反復曝露及び慢性的病理学的疾病)を可
能にし、40日間以上の機能及び生存を支持する。肝臓特有の機能は三次元のバイオプリ
ントされた肝臓組織(原発性の肝細胞)中で40日間以上維持される。バイオプリントさ
れた肝臓組織は、従来の二次元の技術における原発性の肝細胞の公表された時間的経過を
大きく過ぎて、6週間(42日間)以上のアルブミンの継続的な生成を実証した。
図23
を参照。バイオプリントされた肝臓組織は、さらにコレステロールのような他の肝細胞の
要素の生成も維持していることを実証した。
図23を参照。
【0231】
三次元のバイオプリントされたヒト肝臓組織は、トランスフェリン及びフィブリノゲン
を含む、既存の二次元の方法論では達成されていないさらに適切な代謝産物の生成を示す
。
図24を参照。
【0232】
三次元のバイオプリントされたヒト肝臓は、さらに毛細胆管形成のマーカーを示す。胆
汁酸塩排出タンパク質(BSEP)は肝細胞の毛細胆管膜内にある膜タンパク質である。
BSEPの主な機能は、非結合及び結合の胆汁酸と胆汁酸塩を肝細胞から除去することで
ある。さらに、BSEPの発現は天然の組織内で極性を示す。BSEP(BSEPタンパ
ク質用のIHC染色)、アルブミン及びDAPIの組織学的な可視化は、BSEPがアル
ブミンを生成する肝細胞中に存在することを実証する。
図25は、印刷10日後に、2つ
のバイオプリントされた肝臓組織のBSEPのmRNA対ハウスキーピング遺伝子RNA
(18s RNA)の相対的な量の計算を示す。検出できるレベルのBSEPは組織学的
な知見を支持する。
【0233】
数日後に機能を失う二次元の原発性の肝細胞とは対照的に、バイオプリントされた三次
元の肝臓組織構成物は、活性型のCYP3A4酵素の継続的な誘導能を示す(ベラパミル
によって阻害可能)。
図26を参照。
【0234】
三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、ジクロフェナク、トロバフロキサシン及び
メトトレキセートを含む既知の肝臓毒性物に対する天然様の反応を実証する。
図27は、
ジクロフェナクの中程度の用量でのCYP3A4の誘導を示し、続いて、乳酸脱水素酵素
(LDH)によって測定されるような高用量での損傷を示す。
図28は、トロバフロキサ
シン対レボフロキサシンの複数回投与研究(4日にわたるn=3及び2の用量)で見られ
たアルブミンの減少及びLDHの増大を示す。トロバフロキサシンの効果は、臨床C
ma
x(~4μM)のより近傍で見られた。これは従来の二次元の原発性の肝細胞培養物と対
照的であり、ここでは、LDHの誘導は見られない。
図29は、メトトレキセートの複数
回投与研究(7日間、一日の投与量がn=3)で見られた生存率(ATP-Cell t
iter gloによって測定された)及びアルブミンの減少並びにLDHの増大を示す
。
【0235】
三次元のバイオプリントされた肝臓組織は、ビタミンDのような生理的に適切な分子に
対する天然様の反応を実証する。ビタミンDは体内のホメオスタシスの維持に重要である
。ビタミンDは食事の摂取を通して得ること、又は皮膚内の細胞によって合成されること
ができる。肝臓は、骨形成/維持にとって重要な代謝産物へ及び腎臓によって排泄するこ
とができる形態へビタミンDを処理する。ビタミンDは、さらに肝臓でのCYP3A4の
発現を刺激し、薬のバイオアベイラビリティーに潜在的に影響を与えることができる。1
、5及び10μMのビタミンDで処置されたバイオプリントされた3Dの肝臓組織の転写
プロファイリングを行った。CYP3A4転写物の相対的な発現の測定を行った。
図30
は、CYP3A4活性が、5及び10μMのビタミンD処置によって、それぞれ、~7倍
及び4倍に刺激されたことを示す。
【0236】
実施例7-クッパー細胞を組み込む機能的な肝臓組織のバイオプリンティング
クッパー細胞の組み込みは、Organovoの3Dの肝臓組織の免疫学的側面の研究
を可能にする。クッパー細胞を、生理学的に適切な割合でバイオプリントされた肝臓構成
物内に組み込んだ。構成物は、LPS刺激(LPS:E.coli0127:B8;Si
gma)に対して用量依存的に反応する。
図31を参照。クッパー細胞を、生理学的に適
切な割合(~12%)で肝臓構成物へバイオプリントした。構成物はLPS刺激に対して
用量依存的に反応する。IL-10及びTNF-αはサイトカインに対抗している。IL
-10の発現は、TNF-αの発現を減少させる。これはバイオプリントされた3Dの肝
臓組織内で観察され、LPSの100μg/ml用量で最も著しい。
図32を参照。
【0237】
実施例8-肝臓類洞内皮細胞を組み込む機能的な肝臓組織のバイオプリンティング
肝臓類洞内皮細胞の組み込みは、三次元のバイオプリントされた肝臓組織の免疫学的側
面の研究を可能にする。肝臓類洞内皮細胞(HSEC)は天然の肝臓内皮細胞集団である
。
図33は、HSECの二次元の単一層を示す。これらの細胞は、免疫学的応答のための
細胞シグナリングを含む特徴的な特性を有する。HSECは、
図34に実証される、2D
培養中でのIL-6の生成により、LPSに反応する。対照的に、LPSによって刺激さ
れた時、HUVECは検出できる量のIL-6を生成しない。バイオプリンティング処理
に組み入れられた時、HSECは融合した3Dの肝臓組織を生成する。
図35は、HSE
Cを備えた、融合した三次元の肝臓組織を示す。この組織を生産するために、肝臓類洞内
皮細胞の組織を非実質細胞の画分に組み込み、融合構造を生成する。
【0238】
実施例9-低分子浸透
低分子が三次元のバイオプリントされた肝臓組織の全体にわたって浸透することができ
るかどうか決定するために、実験を行った。5-(及び6)-カルボキシ-2’,7’ジ
クロロフルオレセインジアセテートを、24時間、1μMで3Dの肝臓組織の培地に供給
した。構成物を1mlのHBSSバッファーですすぎ、洗浄バッファーを吸引した。この
処理を3回繰り返した。OCT包埋溶液を添加し、構成物を急速凍結し、凍結切片とした
。5ミクロンのセクションを、495nmの励起光で、FITCチャネルで可視化した。
5-(及び6)-カルボキシ-2’,7’ ジクロロフルオレセインジアセテート分子の
蛍光構成物は、この波長で励起する。このセクションは構成物内で約150ミクロンであ
り、蛍光標識化合物はくまなく観察された。5-(及び6)-カルボキシ-2’,7’ジ
クロロフルオレセインジアセテートの式量は529.28である。
図36は、低分子浸透
を実証する、5倍での3Dの肝臓組織凍結切片のFITCイメージングを示す。
【0239】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され記載されているが、このような実施形
態が、ほんの一例として提供されることは当業者に明白となるであろう。多数の変更、変
化、及び置換が、本発明から逸脱することなく、当業者によってここで想到されるであろ
う。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実行する際に適
切に利用されることを理解されたい。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
操作した、生きている、三次元の肝臓組織構成物であって、
該構成物は、平面構造を定義する少なくとも1つの区画を備え、該区画は境界によって定義される内部を含み、該内部は実質細胞を含み、該境界は非実質細胞を含み、
細胞は生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために凝集し、
該構成物の少なくとも1つの構成要素はバイオプリントされ、該構成物は使用時予め形成されたスキャフォールドが実質的にないように提供される、構成物。
(項目2)
実質細胞は、成体の哺乳類の肝臓組織、胎児の哺乳類の肝臓組織、胚性幹細胞(ESC)、ESC由来の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、iPSC由来の肝細胞様細胞、肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞、及び肝臓以外の組織に由来した成人の幹細胞/前駆細胞のソースの1つ以上に由来することを特徴とする、項目1記載の構成物。
(項目3)
非実質細胞は、血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、クッパー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の幹細胞/前駆細胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞の1つ以上を含むことを特徴とする、項目1記載の構成物。
(項目4)
複数の層を含むことを特徴とする、項目1記載の構成物。
(項目5)
層構造を作成するために、少なくとも1つの層が少なくとも1つの他の層と組成上又は構造上異なることを特徴とする、項目4記載の構成物。
(項目6)
ヒトの中の1つ以上の肝機能の強化で使用するためのものであることを特徴とする、項目1記載の構成物。
(項目7)
損傷、疾患あるいは変性の部位での被験体における移植のためのものであることを特徴とする、項目6記載の構成物。
(項目8)
複数の項目1記載の操作した、生きている、三次元の肝臓組織構成物であって、インビトロでのアッセイに使用するためのアレイに配置されている、構成物。
(項目9)
創薬;薬物検査;前臨床研究;毒性試験;吸収、分布、代謝および排出試験(ADME);薬物代謝と薬物動態学試験(DMPK);疾患モデリング;感染症モデリング;宿主疾患モデリング;三次元の生物学的研究;及び細胞に基づくスクリーニングの1以上で使用するためのものである、項目8記載のアレイ。
(項目10)
操作した、生きている、三次元の肝臓組織構成物であって、
該構成物は1つ以上の層を含み、各層は1つ以上の肝細胞型を含み、生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために1つ以上の層が凝集し、該構成物は、
a.平面構造を作成するために細胞型が互いに近傍になるよう空間的に配置されている、複数の細胞型を含む少なくとも1つの層、及び
b.少なくとも1つの層が少なくとも1つの他の層と組成上又は構造上異なる、複数の層、
の少なくとも1つを有することを特徴とする、構成物。
(項目11)
構成物の少なくとも1つの構成成分がバイオプリントされていることを特徴とする、項目10記載の構成物。
(項目12)
使用時予め形成されたスキャフォールドが実質的にないことを特徴とする、項目10記載の構成物。
(項目13)
肝細胞は、成体の哺乳類の肝臓組織、胎児の哺乳類の肝臓組織、胚性幹細胞(ESC)、ESC由来の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、iPSC由来の肝細胞様細胞、肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞、及び肝臓以外の組織に由来した成人の幹細胞/前駆細胞のソースの1つ以上に由来することを特徴とする、項目10記載の構成物。
(項目14)
血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、癌細胞、クッパー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の幹細胞/前駆細胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞の1つ以上の細胞型をさらに含むことを特徴とする、項目10記載の構成物。
(項目15)
ヒトの中の1つ以上の肝機能の強化で使用するためのものであることを特徴とする、項目10記載の構成物。
(項目16)
損傷、疾患あるいは変性の部位での被験体における移植のためのものであることを特徴とする、項目15記載の構成物。
(項目17)
複数の項目10記載の操作した、生きている、三次元の肝臓組織構成物であって、インビトロでのアッセイに使用するためのアレイに配置されている、構成物。
(項目18)
創薬;薬物検査;前臨床研究;毒性試験;吸収、分布、代謝および排出試験(ADME);薬物代謝と薬物動態学試験(DMPK);疾患モデリング;感染症モデリング;宿主疾患モデリング;三次元の生物学的研究;及び細胞に基づくスクリーニングの1以上で使用するためのものである、項目17記載のアレイ。
(項目19)
生きている、三次元の肝臓組織構成物を成形する方法であり、該方法は、
a.非実質細胞を含む1つ以上のバイオインクを調製する工程;
b.実質細胞を含む1つ以上のバイオインクを調製する工程;
c.支持体上にバイオインクを堆積する工程; 及び
d.生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために、堆積されたバイオインクを約1時間から約30日までの間インキュベートする工程であって、該構成物は少なくとも1つの区画を備え、該区画は非実質細胞を含む境界で制限された、実質細胞を含む内部を含む工程、
を含む方法。
(項目20)
非実質細胞は、血管細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、間葉細胞、免疫細胞、癌細胞、クッパー細胞、星細胞、胆嚢上皮細胞、胆嚢上皮細胞様細胞、類洞内皮細胞、肝臓由来の幹細胞/前駆細胞および非肝臓由来の幹細胞/前駆細胞の1つ以上を含むことを特徴とする、項目19記載の方法。
(項目21)
実質細胞は、成体の哺乳類の肝臓組織、胎児の哺乳類の肝臓組織、胚性幹細胞(ESC)、ESC由来の肝細胞様細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、iPSC由来の肝細胞様細胞、肝臓由来の成人の幹細胞/前駆細胞、及び肝臓以外の組織に由来した成人の幹細胞/前駆細胞のソースの1つ以上に由来することを特徴とする、項目19記載の方法。
(項目22)
構成物の少なくとも1つの構成成分がバイオプリントされていることを特徴とする、項目19記載の方法。
(項目23)
構成物は使用時予め形成されたスキャフォールドが実質的にないことを特徴とする、項目19記載の方法。
(項目24)
構成物が神経支配されていないことを特徴とする、項目19記載の方法。
(項目25)
生きている、三次元の肝臓組織構成物を成形する方法であり、該方法は、非実質細胞を含む1つ以上のバイオインク、及び実質細胞を含み、支持体上に堆積される1つ以上のバイオインクを、生きている、三次元の肝臓組織構成物を形成するために約1時間から約30日の間インキュベートする工程を含み、該構成物は少なくとも1つの区画を備え、該区画は非実質細胞を含む境界で制限された、実質細胞を含む内部を含む、方法。
(項目26)
操作した、生きている三次元の肝臓組織構成物であって、該構成物は1つ以上の層を含み、少なくとも1つの層は少なくとも2つの細胞型を含み、少なくとも2つの細胞型は実質肝細胞型及び非実質肝細胞型を含み、少なくとも2つの細胞型は平面構造を作成するために互いに近傍に空間的に配置され、平面構造は少なくとも1つの実質肝細胞区画及び少なくとも1つの非実質肝細胞区画を含み、1つ以上の層は生きている三次元の肝臓組織構成物を形成するために凝集し、生きている三次元の肝臓組織構成物が少なくとも7日間のインビトロ培養で実質的に生存でき、
a.コレステロールを合成する;
b.脂質を保存する;
c.グリコーゲンを保存する;
d.アルブミン、フィブリノゲン、トランスフェリン、CYP450、α1-アンチトリプシン、オルニチントランスカルバミラーゼ、グリコーゲン合成酵素、第VIII因子および第IX因子の2つ以上を含む肝臓特異的なタンパク質を発現する;
e.ホルモン、誘導物質、毒性物、薬、抗体、干渉RNA、小型RNA、ロックト核酸、ウイルス、細菌、寄生虫および炎症性の誘導物質の1つ以上を含む肝臓モジュレータに反応する;
f.:アセトアミノフェン、アルコール、トロバフロキサシン、メトトレキセート、ジクロフェナク、トログリタゾン、バルプロ酸および塩酸アミオダロンの1つ以上を含む肝臓毒性物に反応する;
g.BSEP、OATP1B1、NTCP、PGP、BCRP、OATP1B3、ABCB4、ATP8B1、多重薬剤抵抗性輸送体(MDR)の1つ以上を含む輸送タンパク質を発現する;
h.成形後に少なくともいくつかの静止した星細胞を保持する;及び、
i.微小血管の構造を含む、
の内少なくとも2つの肝臓の特性を有するように提供される、肝臓組織構成物。
(項目27)
少なくとも14日間のインビトロ培養で実質的に生存できることを特徴とする、項目26記載の肝臓組織構成物。
(項目28)
少なくとも28日間のインビトロ培養で実質的に生存できることを特徴とする、項目27記載の肝臓組織構成物。
(項目29)
少なくとも40日間のインビトロ培養で実質的に生存できることを特徴とする、項目28記載の肝臓組織構成物。
(項目30)
少なくとも2つの細胞型は人工多能性幹細胞(iPSC)に由来した細胞を含むことを特徴とする、項目26記載の肝臓組織構成物。
(項目31)
少なくとも2つの細胞型は、単球またはマクロファージに由来した骨髄性細胞を含むことを特徴とする、項目26記載の肝臓組織構成物。