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特開2022-95916チタン系多孔質体及び、チタン系多孔質体の製造方法
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  • 特開-チタン系多孔質体及び、チタン系多孔質体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095916
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】チタン系多孔質体及び、チタン系多孔質体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/11 20060101AFI20220621BHJP
   B22F 1/052 20220101ALI20220621BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20220621BHJP
   C22C 1/08 20060101ALI20220621BHJP
   C22C 1/04 20060101ALI20220621BHJP
   B22F 3/10 20060101ALN20220621BHJP
【FI】
B22F3/11 A
B22F1/052
B22F1/00 R
C22C1/08 F
C22C1/04 E
B22F3/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067808
(22)【出願日】2022-04-15
(62)【分割の表示】P 2021569998の分割
【原出願日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2020162508
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 洋介
(72)【発明者】
【氏名】津曲 昭吾
(57)【要約】
【課題】一方のシート表面がある程度平滑で、他方のシート表面側にて所要の通気性もしくは通液性が発揮されるとともに、所定の圧力が作用したときの圧縮変形を比較的小さく抑えることのできるチタン系多孔質体及び、チタン系多孔質体の製造方法を提供する。
【解決手段】この発明のチタン系多孔質体は、チタンを含有するシート状のチタン系多孔質体であって、厚みが0.8mm以下、空隙率が30%~65%であり、一方のシート表面の最大高さRz1が30μm以下であり、前記一方のシート表面の最大高さRz1に対する他方のシート表面の最大高さRz2の比(Rz2/Rz1)が1.2以上であり、圧縮変形率が19%以下であるものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンを含有するシート状のチタン系多孔質体であって、
厚みが0.8mm以下、空隙率が30%~65%であり、一方のシート表面の最大高さRz1が30μm以下であり、前記一方のシート表面の最大高さRz1に対する他方のシート表面の最大高さRz2の比(Rz2/Rz1)が1.2以上であり、圧縮変形率が19%以下であるチタン系多孔質体。
【請求項2】
圧縮変形率が12%以下である請求項1に記載のチタン系多孔質体。
【請求項3】
チタン含有量が75質量%以上である請求項1又は2に記載のチタン系多孔質体。
【請求項4】
チタン含有量が98質量%以上である請求項3に記載のチタン系多孔質体。
【請求項5】
チタン系多孔質体を製造する方法であって、
原料として、10%粒子径D10が30μm以下であって90%粒子径D90が15μm~105μmであり、かつ、10%粒子径D10に対する90%粒子径D90の比(D90/D10)が2.0以上であるチタン含有粉末を準備する原料準備工程と、
前記チタン含有粉末を成形型の成形面上に乾式で堆積させる粉末堆積工程と、
前記成形面上で前記チタン含有粉末を、980℃以上の温度に2時間以上にわたって加熱する粉末焼結工程と
を含み、
厚みが0.8mm以下であるチタン系多孔質体を製造する、チタン系多孔質体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チタンを含有するシート状のチタン系多孔質体及び、チタン系多孔質体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
純チタン製又はチタン合金製のチタン系多孔質体として従来は、特許文献1に記載されたもの等がある。
【0003】
特許文献1には、「比表面積が4.5×10-2~1.5×10-12/g、空隙率が50~70%、厚さが4.0×10-1~1.6mm、少なくとも片面の表面粗さが8.0μm以下であることを特徴とするシート状チタン系多孔体」が記載されている。この「シート状チタン系多孔体」を製造する方法として、特許文献1には、「平均粒径10~50μm、D90が75μm未満、平均円形度0.50~0.90の異形チタン系粉を、乾式かつ、無加圧でセッター上に載置後、800~1100℃で焼結させること」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-70985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チタン系多孔質体は、通気性もしくは通液性を有するものであり、次世代電池のガス拡散層もしくは電極等として用いることが検討されている。
【0006】
このような電池の用途にチタン系多孔質体を用いるには、たとえば接触抵抗の低減等といった目的で、シート状のチタン系多孔質体を、電解質膜に比較的高い圧力の作用下で押し付けることがある。この場合、電解質膜とチタン系多孔質体とが密着することが好ましい。他方、電解質膜とチタン系多孔質体との密着性を向上させるため、比較的微細なチタン含有粉末を用いてチタン系多孔質体を作製してチタン系多孔質体のシート表面を平滑にすると、全体的に空隙率が小さくなり、その通気性もしくは通液性が低下する。
【0007】
また上記の用途では、圧力の作用により、チタン系多孔質体が圧縮変形して空隙が減少し、その通気性もしくは通液性が低下するおそれもある。特許文献1は、特にこの点について何ら着目されていない。
【0008】
この発明の目的は、一方のシート表面がある程度平滑で、他方のシート表面側にて所要の通気性もしくは通液性が発揮されるとともに、所定の圧力が作用したときの圧縮変形を比較的小さく抑えることのできるチタン系多孔質体及び、チタン系多孔質体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は鋭意検討の結果、原料としての所定の粒度のチタン含有粉末を乾式で、成形型の成形面上に堆積させること、及び、成形面上の当該チタン含有粉末を比較的高温かつ長時間で加熱することにより、成形面側に形成されるシート状のチタン系多孔質体の一方のシート表面が良好に平滑になることを見出した。さらに、原料として使用するチタン含有粉末の粒度を適切に制御することで、チタン系多孔質体の一方のシート表面を上述したように平滑にしつつも、他方のシート表面側で所要の通気性もしくは通液性を確保することができる。これは、所定の粒度のチタン含有粉末を成形面上に堆積させた際に、そのうちの微細な粒子が成形面側に自然と集まることによるものと考えられる。
【0010】
しかもこの場合、所定の粒度のチタン含有粉末を所定の温度及び時間で加熱したことにより、焼結が適切に進行する結果、チタン系多孔質体で所望の空隙率を実現できるとともに、圧力の作用時にそれほど大きな圧縮変形が起こらないことが新たな知見として得られた。
【0011】
この発明のチタン系多孔質体は、チタンを含有するシート状のものであって、厚みが0.8mm以下、空隙率が30%~65%であり、一方のシート表面の最大高さRz1が30μm以下であり、前記一方のシート表面の最大高さRz1に対する他方のシート表面の最大高さRz2の比(Rz2/Rz1)が1.2以上であり、圧縮変形率が19%以下であるものである。
【0012】
この発明のチタン系多孔質体は、圧縮変形率が12%以下であることが好ましい。
【0013】
この発明のチタン系多孔質体は、チタン含有量が75質量%以上であることが好適である。
この発明のチタン系多孔質体は、チタン含有量が98質量%以上である場合がある。
【0014】
この発明のチタン系多孔質体の製造方法は、原料として、10%粒子径D10が30μm以下であって90%粒子径D90が15μm~105μmであり、かつ、10%粒子径D10に対する90%粒子径D90の比(D90/D10)が2.0以上であるチタン含有粉末を準備する原料準備工程と、前記チタン含有粉末を成形型の成形面上に乾式で堆積させる粉末堆積工程と、前記成形面上で前記チタン含有粉末を、980℃以上の温度に2時間以上にわたって加熱する粉末焼結工程とを含むものである。
【0015】
この発明のチタン系多孔質体の製造方法では、厚みが0.8mm以下であるチタン系多孔質体を製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明のチタン系多孔質体は、一方のシート表面がある程度平滑で、他方のシート表面側にて所要の通気性もしくは通液性が発揮されるとともに、所定の圧力が作用したときの圧縮変形を比較的小さく抑えることができる。また、この発明のチタン系多孔質体の製造方法は、そのようなチタン系多孔質体を製造することに適している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1(a)は実施例4のチタン系多孔質体の成形面側表面を押し付けた電解質膜のSEM写真であり、図1(b)はその反対側表面を押し付けた電解質膜のSEM写真である。
図2】実施例及び比較例のチタン系多孔質体の通気性測定に用いた通気性測定装置をチタン系多孔質体とともに示す。チタン系多孔質体の厚み方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のチタン系多孔質体は、チタンを含有するものであり、厚みが0.8mm以下であるシート状の形状を有し、空隙率が30%~65%である。このチタン系多孔質体は、一方のシート表面の最大高さRz1が30μm以下であり、その一方のシート表面の最大高さRz1に対する他方のシート表面の最大高さRz2の比(Rz2/Rz1)が1.2以上である。また、このチタン系多孔質体は圧縮変形率が19%以下である。
【0019】
(組成)
チタン系多孔質体は、たとえば純チタン製又はチタン合金製である。純チタン製又はチタン合金製のいずれであっても、チタン系多孔質体のチタン含有量は、75質量%以上である場合がある。
【0020】
純チタン製の場合、チタン系多孔質体のチタン含有量は、たとえば98質量%以上、典型的には99.0質量%~99.8質量%であることがある。純チタン製のチタン系多孔質体は、酸素、窒素及び炭素からなる群から選択される少なくとも一種の不純物が、チタンの残部として含まれ得る。
【0021】
チタン合金製の場合、チタン系多孔質体のチタン含有量は、たとえば75質量%~97質量%、典型的には85質量%~97質量%であることがある。チタン合金製のチタン系多孔質体は、チタンの他に合金元素として、Fe、Sn、Cr、Al、V、Mn、Zr、Mo、Pd、Pt、Au、Ta、Nb、Ni、Ru等が含まれ得る。このチタン合金の具体例としては、Ti-6-4(Ti-6Al-4V)、Ti-5Al-1Fe、Ti-5Al-2.5Sn、Ti-8-1-1(Ti-8Al-1Mo-1V)、Ti-6-2-4-2(Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo-0.1Si)、Ti-6-6-2(Ti-6Al-6V-2Sn-0.7Fe-0.7Cu)、Ti-6-2-4-6(Ti-6Al-2Sn-4Zr-6Mo)、SP700(Ti-4.5Al-3V-2Fe-2Mo)、Ti-17(Ti-5Al-2Sn-2Zr-4Mo-4Cr)、β-CEZ(Ti-5Al-2Sn-4Zr-4Mo-2Cr-1Fe)、TIMETAL555、Ti-5553(Ti-5Al-5Mo-5V-3Cr-0.5Fe)、TIMETAL21S(Ti-15Mo-2.7Nb-3Al-0.2Si)、TIMETAL LCB(Ti-4.5Fe-6.8Mo-1.5Al)、10-2-3(Ti-10V-2Fe-3Al)、Beta C(Ti-3Al-8V-6Cr-4Mo-4Cr)、Ti-8823(Ti-8Mo-8V-2Fe-3Al)、15-3(Ti-15V-3Cr-3Al-3Sn)、BetaIII(Ti-11.5Mo-6Zr-4.5Sn)、Ti-13V-11Cr-3Al等が挙げられる。なお、上記の合金の具体例において、各金属元素の前に付記した数字は、当該金属元素の含有量(質量%)を表している。例えば、「Ti-6Al-4V」は、合金元素として6質量%のAlと4質量%のVとを含有するチタン合金を意味する。
【0022】
(厚み)
チタン系多孔質体は、全体として外形がシート状であり、その厚みが0.8mm以下である。チタン系多孔質体の厚みが0.8mmを超えると、良好な空隙率を確保しにくくなる傾向にある。チタン系多孔質体の厚みは、0.2mm以上である場合があり、たとえば0.2mm~0.8mmである。また、チタン系多孔質体の厚みは、0.5mm~0.8mmである場合がある。チタン系多孔質体の厚みはシックネスゲージにて測定し、例えば、株式会社ミツトヨ製ABSデジマチックシックネスゲージ547-321などを使用して測定することができる。チタン系多孔質体の上記の厚みは、後述する圧縮変形率を測定する場合の圧縮変形前の厚みを意味する。
【0023】
(空隙率)
チタン系多孔質体の空隙率は、30%~65%である。これにより、ある程度の強度を有しつつ所要の通気性もしくは通液性を実現することができる。チタン系多孔質体の空隙率は、35%~60%であることが好ましい。また、チタン系多孔質体の空隙率は、35%~45%であることが好ましい。チタン系多孔質体の空隙率εは、チタン系多孔質体の幅、長さ、厚みから求めた体積および質量から算出した見かけ密度ρ´と、チタン系多孔質体を構成する金属の真密度ρ(例えば、純チタンの場合は4.51g/cm3、Ti-6Al-4Vの場合は4.43g/cm3)を用いて、式:ε=(1-ρ´/ρ)×100により算出する。
【0024】
(表面粗さ)
シート状であるチタン系多孔質体は、互いに反対側を向く一方のシート表面とその裏側の他方のシート表面の二つのシート表面を有する。それらのシート表面のうち、一方のシート表面は、最大高さRz1が30μm以下、好ましくは25μm以下であるものとする。なお、各シート表面の最大高さRzを測定し、その値が小さいほうのシート表面の最大高さRzを最大高さRz1とし、その値の大きいほうのシート表面の最大高さRzを最大高さRz2とする。
【0025】
最大高さRz1が30μm以下の平滑な当該一方のシート表面を、先述したような電池の電解質膜に押し付けるようにすることにより、接触抵抗を有効に低減できると考えられる。電解質膜に押し付けられる当該一方のシート表面の最大高さRz1が30μmを超える場合、その一方のシート表面の大きな凹凸が影響して上記接触抵抗の低減が不十分となるおそれがある。
【0026】
チタン系多孔質体における一方のシート表面の最大高さRz1はその値が小さければ小さいほど、電解質膜へ密着性が高くなるので望ましい。その故に、一方のシート表面の最大高さRz1の好適な下限値は特にないが、一方のシート表面の最大高さRz1は3μm以上、さらに8μm以上になることがある。また、一方のシート表面の最大高さRz1は、15μm以上になる場合がある。
【0027】
上述したように一方のシート表面で電解質膜との密着性を確保しつつ、他方のシート表面で通気性もしくは通液性を高めるため、シート状であるチタン系多孔質体における一方のシート表面の最大高さRz1に対する他方のシート表面の最大高さRz2の比(Rz2/Rz1)は1.2以上とし、好ましくは2.0以上とする。前記平滑な一方のシート表面の反対側である他方のシート表面はある程度凹凸を許容することで良好な通気性もしくは通液性を確保しやすくなる。なお、一方のシート表面の最大高さRz1と他方のシート表面の最大高さRz2との比(Rz2/Rz1)の上限側は特段限定されないが、あえて一例を挙げると5.0以下、また3.5以下である。一方のシート表面の最大高さRz1と他方のシート表面の最大高さRz2との比(Rz2/Rz1)は、1.2~2.5である場合がある。
【0028】
チタン系多孔質体のシート表面の上述した最大高さRz1、Rz2は、後述の製造方法のように、粒径分布を調整したチタン含有粉末を準備し、そのチタン含有粉末を成形型の成形面上に乾式で堆積させることにより実現することができる。
【0029】
チタン系多孔質体のシート表面の最大高さRz1、Rz2は、JIS B0601(1994)に準拠して測定する。
【0030】
(圧縮変形率)
チタン系多孔質体は、その厚み方向に65MPaの圧力を3分間作用させて圧縮した後に除荷する操作を2回実施した場合における、当該操作の前後での厚みの変化の割合である圧縮変形率が19%以下である。
【0031】
それにより、たとえば所定の電池で用いるべくチタン系多孔質体を電解質膜に押し付けた場合でも、チタン系多孔質体の内部の空隙がある程度多く確保されるので、所要の通気性もしくは通液性を発揮することができる。これを言い換えれば、圧縮変形率が19%を超えて大きいと、電解質膜に押し付けられた際に空隙が大きく減少して所要の通気性もしくは通液性が発揮されなくなる。
【0032】
仮に圧縮処理前の空隙率が同じであっても圧縮変形率が変化し得る理由について、発明者は次のように推測している。
ある程度焼結温度が低いか又は焼結時間が短い場合、チタン含有粉末の粒子間の結合部が細くなる。これに対し、焼結温度を高くしかつ焼結時間を長くすると、結合部は太くなる傾向がある。
そして、チタン系多孔質体に厚み方向に圧力が作用した場合、チタン系多孔質体の変形には、焼結等で形成された粒子間の結合部が維持される変形と、結合部が破壊されて粒子が空隙に入り込む変形とが含まれ得る。ここで、結合部が細いチタン系多孔質体では、比較的小さい圧力であっても結合部が破壊される変形が多くなり、粒子が空隙に入り込むことにより空隙が埋まりやすい。これにより、圧縮変形率は大きくなる。一方、結合部が太く成長したチタン系多孔質体では、そのような圧縮変形が生じにくい。実際に、焼結温度が低いか又は焼結時間が短かったチタン系多孔質体では、加圧後にチタン含有粉末の離脱が見られることが多い。
【0033】
このような観点から、チタン系多孔質体の圧縮変形率は、12%以下であることが好ましい。また、チタン系多孔質体の圧縮変形率は、8%以下であることが好ましい。チタン系多孔質体の製造条件等にもよるが、圧縮変形率は、2%以上になる場合がある。
【0034】
より詳細には、圧縮変形率Rdは、65MPaの圧力を作用させる前のチタン系多孔質体の厚みT1と、当該圧力を作用させて除荷した後のチタン系多孔質体の厚みT2を測定し、式:Rd=(1-T2/T1)×100より算出される値である。
なお、圧縮変形率を測定するには、予めチタン系多孔質体の厚みT1を計測しておく。そのチタン系多孔質体を二枚の平板等のそれぞれの平坦面間に厚み方向に挟み込み、それらの平坦面を互いに近づける向きに変位させることにより、当該チタン系多孔質体に対してその表面上に均等に、厚み方向に65MPaの圧力を3分間作用させる。圧力を作用させた後は、その圧力を除荷する。このような圧力の作用及び除荷の操作を再度行い、当該操作を計2回実施する。その後、平坦面間から取り出したチタン系多孔質体の厚みT2を計測する。ここでは、そのようにチタン系多孔質体に圧力を作用させることが可能な種々の圧縮試験装置その他の装置を用いることができる。チタン系多孔質体の厚みT1、T2を計測するには、チタン系多孔質体の平面視の異なる位置の5か所(たとえば平面視が四角形のチタン系多孔質体である場合は、中心とその周囲の四隅の計5か所)について厚みを測り、それらの平均値を厚みT1、T2とする。
【0035】
(製造方法)
上述したようなチタン系多孔質体は、たとえば次に述べるようにして製造することができる。
【0036】
はじめに、原料として所定のチタン含有粉末を準備する原料準備工程を行う。ここで、所定のチタン含有粉末とは、10%粒子径D10が30μm以下であって90%粒子径D90が15μm~105μmであり、かつ、10%粒子径D10に対する90%粒子径D90の比(D90/D10)が2.0以上であるものである。
【0037】
チタン含有粉末の10%粒子径D10を30μm以下とすることにより、この程度の量でチタン含有粉末に含まれる微細な粒子が、後述の粉末堆積工程で成形型の下方側の成形面に集まりやすくなる。それにより、成形面により形成されるチタン系多孔質体の一方のシート表面が、先に述べた最大高さRz1のような平滑になる。チタン含有粉末の10%粒子径D10は、25μm以下、さらに20μm以下であることが好ましい。また、チタン含有粉末の10%粒子径D10は、12μm以下であることが好ましい。この10%粒子径D10は、たとえば3μm以上であることがある。
【0038】
チタン含有粉末の90%粒子径D90は、チタン系多孔質体のシート表面の最大高さRz1、Rz2の比や空隙率等に影響を及ぼす。特に他方のシート表面のある程度大きな最大高さRz2や空隙率を得るため、チタン含有粉末の90%粒子径D90は15μm以上とする。他方、チタン系多孔質体への圧力の作用時の圧縮変形を適切に抑制するため、チタン含有粉末の90%粒子径D90は105μm以下とする。このような観点から好ましくは、チタン含有粉末の90%粒子径D90は15μm~75μm、さらに30μm~60μm、さらに40μm~60μmである。また、チタン含有粉末の90%粒子径D90は、15~30μmであることが好ましい。
【0039】
チタン系多孔質体のシート表面の所定の最大高さRz1、Rz2と所期する空隙率や圧縮変形量とを両立させるため、チタン含有粉末の10%粒子径D10と90%粒子径D90とは差があることが必要である。具体的には、10%粒子径D10に対する90%粒子径D90の比(D90/D10)は2.0以上とする。つまり、90%粒子径D90は10%粒子径D10の2.0倍以上とする。この比(D90/D10)は、好ましくは2.0~4.0、より好ましくは2.0~3.0である。
【0040】
このような粒径のチタン含有粉末を得るため、粉末作製条件等が異なる複数種類の粉末を混ぜ合わせて粒径を調整することも可能である。例えば、90%粒子径D90が約70μmの粉末と、90%粒子径D90が約20μmの粉末を混合し、チタン含有粉末の90%粒子径D90の値を調整可能である。10%粒子径D10についても同様であり、異なる粒度の粉末を混合することでチタン含有粉末の10%粒子径D10の値を調整可能である。
ここで、チタン含有粉末の10%粒子径D10、90%粒子径D90はそれぞれ、レーザー回折散乱法によって得られる粒度分布で体積基準の累積分布が10%もしくは90%となる粒子径を意味する。
【0041】
チタン含有粉末は、チタンを含有するものであれば様々な粉末とすることができる。チタン含有粉末のチタン含有量は、75質量%以上であることが好ましい。チタン含有量は95質量%以上とすることもできる。チタン含有粉末としては、たとえば、純チタン粉末及び/又はチタン合金粉末を用いることができる。すなわち、チタン含有粉末には、純チタン粉末のみを使用することができる他、一種または二種以上のチタン合金粉末を使用することができ、あるいは、これらの純チタン粉末とチタン合金粉末とをあわせて使用してもよい。さらに、アルミニウム、バナジウム、鉄といった合金元素粉末の使用も可能である。チタン含有粉末の全体として、その少なくとも一部の粒子にチタンが含まれていれば、チタン含有粉末とみなすことができる。
【0042】
純チタン粉末とは、チタンの含有量が95質量%以上であり、実質的にチタンのみからなる粉末を意味する。純チタン粉末の具体的な例として、スポンジチタン等を水素化して粉砕した後に脱水素して得られる水素化脱水素チタン粉末(いわゆるHDHチタン粉末)や、上記の粉砕後に脱水素を行わなかった水素化チタン粉末等が挙げられる。純チタン粉末である上記水素化チタン粉末では水素含有量が5質量%まで許容される。
【0043】
チタン合金粉末は、チタン及び合金元素を含む粉末である。ここで製造しようとするチタン系多孔質体の先述したチタン合金に応じた元素及びその割合で、チタン合金粉末を使用することができる。チタン含有粉末における金属の質量比は、たとえば、チタン:合金元素=100:0~75:25とすることができる。
【0044】
チタン含有粉末の平均円形度は特段限定されないが、0.93以下であることが好ましい。平均円形度が0.93以下と低いチタン含有粉末は、比較的低価格で入手可能であるので、製造コストの低減の観点から有利である。チタン含有粉末の平均円形度は、好ましくは0.91以下であり、より好ましくは0.89以下である。なお、上述したHDHチタン粉末や水素化チタン粉末は、粉砕して得られたものであるから、平均円形度が比較的小さくなる傾向がある。一方、ガスアトマイズ等によるアトマイズ粉末は、HDHチタン粉末等に比して平均円形度が1.00に近いことが多い。
【0045】
チタン含有粉末の平均円形度は次のようにして求める。電子顕微鏡を使用し、チタン含有粉末の粒子の投影面積の周囲長(A)を測定し、前記投影面積と等しい面積の円の周囲長(B)との比を円形度(B/A)とする。平均円形度は、セル内にキャリア液とともに粒子を流し、CCDカメラで多量の粒子の画像を撮り込み、1000~1500個の個々の粒子画像から、各粒子について上記の円形度(B/A)を算出し、各粒子の円形度の平均値として求める。上記の円形度の値は粒子の形状が真球に近くなるほど大きくなり、完全な真球の形状を有する粒子の円形度は1.00となる。逆に、粒子の形状が真球から離れるにつれて円形度の値は小さくなる。
【0046】
次いで、粉末堆積工程を行う。粉末堆積工程では、上記のチタン含有粉末を成形型の成形面上に乾式で堆積させて敷き詰める。ここで「乾式」とは、溶媒やバインダー等の液体を使用しないことを意味する。粉末堆積工程では、液体中にチタン含有粉末を分散させたスラリー中でチタン含有粉末を沈降させるのではなく、たとえば空気などの気体中もしくは真空中でチタン含有粉末を落下させる等して堆積させる。
【0047】
このとき、先述したように所定の粒径のチタン含有粉末を用いることにより、成形型の成形面上に堆積させたチタン含有粉末の堆積層の下方側(成形面側)には、チタン含有粉末の比較的微細な粒子が集まって位置する一方で、チタン含有粉末の堆積層の上方側(成形面側とは反対側)には、それよりも大きな粒径の粒子が位置する傾向がある。これにより、後述の粉末焼結工程後に得られるチタン系多孔質体のシート表面のうち、成形型の成形面側の一方のシート表面は、平滑になって表面粗さが小さくなる。
【0048】
粉末堆積工程では、所定の通気性もしくは通液性を有するチタン系多孔質体を得るため、チタン含有粉末を、少なくともその堆積方向に加圧せずに堆積させることが好ましい。堆積方向に意図的に加圧すると焼結後に緻密なチタン系多孔質体となって、通気性もしくは通液性が低下するからである。
より具体的には、成形面及びその周囲を取り囲む側壁を有する容器状の成形型の成形面上で側壁の内側に、その上方側からチタン含有粉末を振り落として敷き詰める。成形面上にチタン含有粉末をある程度堆積させた後は、平板状のヘラ等を側壁の上面に沿わせて移動させ、側壁の上面よりも上方側に盛り上がったチタン含有粉末の一部を、側壁の外部に除去する。この際に、チタン含有粉末はその堆積方向には意図的には加圧されない。これにより、チタン含有粉末を、成形型の側壁の内側に、その側壁の高さ分だけ堆積させることができる。成形型の側壁の高さの変更等により調整することにより、たとえば0.8mm以下等の任意の厚みのチタン系多孔質体を製造することができる。
なお、成形型は平板形状のものを使用することも可能である。この場合、平板形状の成形型の成形面上にチタン含有粉末を堆積させた後、厚みに対応する側壁を成形面上に配置し、その後、平板状のヘラ等を側壁の上面に沿わせて移動させることによっても、チタン系多孔質体の所期した厚み(0.8mm以下等)を達成できる。この場合でもチタン含有粉末はその堆積方向には意図的には加圧されない。
【0049】
その後は、成形型の成形面上に堆積させたチタン含有粉末を加熱する粉末焼結工程を行う。たとえば、成形面上のチタン含有粉末を成形型ごと炉内に入れて加熱することで、容器状の成形型の成形面上のスペースに対応するシート状のチタン系多孔質体が得られる。
【0050】
ここでは、チタン含有粉末を980℃以上の温度に2時間以上にわたって加熱することが肝要である。これにより、チタン系多孔質体の所要の空隙率を確保しつつ、圧縮変形率を小さくすることが可能になる。
【0051】
加熱温度を980℃未満とした場合は、チタン系多孔質体の圧縮変形率が大きくなり、チタン系多孔質体に圧力が作用した際の空隙の減少による通気性もしくは通液性の低下が懸念される。なお、チタン系多孔質体の空隙率をある程度確保するとの観点等から、加熱温度は1200℃以下とする場合がある。加熱温度は、好ましくは1000℃~1100℃とする。
【0052】
上記の加熱温度に維持する時間を2時間未満としたときも、チタン系多孔質体の圧縮変形率が増大するおそれがある。この時間は、生産性を考慮して6時間以下とすることがある。上記の加熱温度に維持する時間は、2時間~3時間とすることが好適である。
【0053】
このような加熱温度及び時間とすることにより、チタン含有粉末の粒径を上述したように調整したこととも相まって、所定の空隙率を有するとともに圧縮変形率が良好に低減されたチタン系多孔質体を得ることができる。仮に微細な粉末のみを用いて高温かつ長時間の焼結を行うと、空隙率が低いチタン系多孔質体となり、電池材料として必要な通気性または通液性を確保できない恐れがある。これに対し、この実施形態では、先に述べたチタン含有粉末の粒径の調整により、比較的高温で長時間にわたって加熱しても、そのような空隙率の低下を抑制することができる。
【0054】
粉末焼結工程では、チタン含有粉末の加熱焼結を、真空等の減圧雰囲気下もしくは不活性雰囲気で行うことができる。これにより、焼結時にチタン含有粉末が過剰に酸窒化することを防ぐことができる。具体的には、チタン含有粉末の焼結は、たとえば真空炉内で真空度を10-4Pa~10-2Paに到達させて減圧雰囲気下で行うことができる。あるいは、チタン含有粉末の焼結は、雰囲気をアルゴンガスとした状態で不活性雰囲気にて行うことができる。なおここでは、窒素ガスは不活性ガスには該当しないものとする。
【0055】
なお、チタン含有粉末が水素化チタンを含む場合は、上記焼結の実施前に脱水素のための予備加熱処理を行うことが好ましい。予備加熱処理の温度と時間は水素化チタン粉の含有量を考慮して適宜決定することができる。一例を挙げると、予備加熱処理の温度は450℃~700℃、予備加熱処理の時間は30分~360分とすることがある。この予備加熱処理は、たとえば真空炉内で真空度を10-4Pa~10-2Paに到達させて減圧雰囲気下で行うことができる。当該予備加熱処理後に一旦冷却してから焼結のための加熱を行ってもよいし、予備加熱処理後にさらに昇温して焼結のための加熱を行ってもよい。
【0056】
以上に述べたようにして、チタン系多孔質体を製造することができる。このチタン系多孔質体は、通気性もしくは通液性が要求される用途での使用に適しており、特に次世代電池で、たとえば電解質膜に押し付けられるガス拡散層もしくは電極等として好適に用いられ得る。
【実施例0057】
次に、この発明のチタン系多孔質体を試作したので説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
【0058】
原料準備工程では、原料として、表1に示すように粒径を調整したチタン含有粉末を準備した。いずれの実施例及び比較例でも、チタン含有粉末としてHDHチタン粉末を用いた。HDHチタン粉末は、純チタンの水素化および粉砕をした後に脱水素を行って得られたものである。いずれのHDHチタン粉末も平均円形度は0.93以下であった。
【0059】
次いで、粉末堆積工程で、そのチタン含有粉末を、成形型であるセッターの所定のサイズの成形面上に乾式で堆積させて敷き詰めた。その後、粉末焼結工程を行い、真空炉内を1.0×10-2Pa以下まで減圧し、その減圧雰囲気の下で、表1に示す条件にて成形面上でチタン含有粉末を加熱して焼結させ、平面視が縦50mm×横50mmの矩形であるシート状のチタン系多孔質体を製造した。
【0060】
上記のようにして製造されたチタン系多孔質体のそれぞれについて、先述した測定方法に従い、厚み、空隙率、圧縮変形率、並びに、成形面側の一方のシート表面(成形面側表面)の最大高さRz1及び反対側の他方のシート表面(反対側表面)の最大高さRz2を測定した。ここで、最大高さRz1、Rz2の測定には、株式会社ミツトヨ製サーフテストSJ-210を使用した。なお、測定モードはJIS2001、測定速度0.5mm/s、測定距離は16mm、測定回数は5回とし、測定された最大値を採用した。それらの結果を表1に示す。表1に示す、厚み、空隙率、及び最大高さRz1、Rz2は圧縮変形処理を実施する前に測定したものである。
【0061】
また各チタン系多孔質体について、図2に示す通気性測定装置1を用いて、圧力作用時の通気性を測定した。この通気性測定装置1は、40mm角に切り出したチタン系多孔質体11をその厚み方向の両側から挟む一対の平坦面2a、2bを有し、それらの平坦面2a、2bを接近させることにより該チタン系多孔質体11に対して厚みを減少させる圧縮力を作用させることが可能なプレス機2と、プレス機2の内部で一方の平坦面2aに開口するよう形成された内部流路2cに連通する気体供給管3と、気体供給管3の途中に設けられた流量計4a及び圧力計4bとを備えるものである。気体供給管3の内径は6mm、内部流路2cの内径は5mmとし、直径が60mmの円形の平坦面2a、2bを有する通気性測定装置1を用いた。なお、平坦面2a、2bの算術平均粗さRa(JIS B0601(1994))は1.6μm以下とし、平坦面2a、2bの平面度は0.01mm以下とし、プレス機2の平坦面2a、2bをそれぞれ有する平板の平行度は0.01mm以下とした。
【0062】
通気性の測定では、チタン系多孔質体11を通気性測定装置1にセットし、平坦面2a、2bが近づく向きに65MPaの圧力を作用させ、当該圧力を維持しながら、気体供給管3及び内部流路2cからチタン系多孔質体11の平面視の中央にエアを1.0L/minで供給し、その供給時のエアの圧力を圧力計4bにより計測した。この際に、平坦面2aの開口からチタン系多孔質体11に供給されたエアは、チタン系多孔質体11の内部を通過した後、チタン系多孔質体11の周囲で平坦面2a、2b間の隙間から排出される。このエアの圧力である通気抵抗が小さいほど、圧力作用時の通気性に優れるといえる。各チタン系多孔質体11で、プレス機2のエアが供給される平坦面2a側に、成形面側表面を位置させた場合と、その反対側表面を位置させた場合のそれぞれについて1回ずつ、計2回の通気抵抗の測定を行った。平坦面2a側に反対側表面を位置させた場合の通気抵抗に対する成形面側表面を位置させた場合の通気抵抗の比(成形面側表面の通気抵抗/反対側表面の通気抵抗)である通気抵抗比を表1に示す。この通気抵抗比が大きければ、反対側表面と成形面側表面との通気抵抗の差が大きく、反対側表面の通気性に優れることを意味する。本実施例では、通気抵抗比1.20以上を合格、1.25以上を良好、1.30以上を優れると評価した。
【0063】
なおここでは、上記の通気性測定装置1のプレス機2を用いて、各チタン系多孔質体11の先述の圧縮変形率も測定した。
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示す実施例1~6から解かるように、所定の粒径のチタン含有粉末を所定の焼結条件で加熱して製造されたチタン系多孔質体は、良好な空隙率、圧縮変形率、最大高さRz及び通気性を有するものであった。
【0066】
一方、比較例1~6は、チタン含有粉末の粒径及び/又は焼結条件が所定の範囲から外れていたことにより、チタン系多孔質体の圧縮変形率や最大高さRzが大きくなった。
比較例7は、チタン系多孔質体の厚みが厚かったことにより、空隙率が小さくなった。そのため、比較例7では、圧縮変形率、最大高さRz及び通気性の測定を行わなかった。
比較例8は、チタン含有粉末の粒径が所定の範囲から外れていたことにより、成形面側表面の最大高さRz1が大きくなるとともに、最大高さの比(Rz2/Rz1)が小さくなり、また通気抵抗比が小さかった。また比較例9では、成形面側表面の最大高さRz1が比較例8に比べて小さくなったものの、通気抵抗比が小さいまま改善されなかった。
【0067】
また、上記各実施例と同じ条件で製造した各チタン系多孔質体を成形面側表面もしくは反対側表面で、電解質膜としてのナフィオン(Nafion、登録商標)に65MPaの圧力で押し付けた後、その電解質膜の表面を観察した。参考として、図1に実施例4の成形面側表面を押し付けた電解質膜の表面(図1(a))及び反対側表面を押し付けた電解質膜の表面(図1(b))のSEM写真を示す。図1より、実施例4のチタン系多孔質体の成形面側表面が押し付けられた電解質膜の表面は、反対側表面が押し付けられた電解質膜の表面に比して平滑であることが解かり、その成形面側表面は電解質膜との密着性が良好であると推察される。
【符号の説明】
【0068】
1 通気性測定装置
2 プレス機
2a、2b 平坦面
3 気体供給管
4a 流量計
4b 圧力計
図1
図2