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特開2022-95927ナチュラルキラー細胞を使用して急性骨髄性白血病および多発性骨髄腫を処置する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095927
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】ナチュラルキラー細胞を使用して急性骨髄性白血病および多発性骨髄腫を処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20220621BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220621BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220621BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220621BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20220621BHJP
【FI】
A61K35/17 Z
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K38/20
A61P7/00
A61P35/00
C12N5/0783
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068180
(22)【出願日】2022-04-18
(62)【分割の表示】P 2018558214の分割
【原出願日】2017-05-05
(31)【優先権主張番号】62/415,918
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/333,187
(32)【優先日】2016-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/333,186
(32)【優先日】2016-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/415,954
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ジップロック
(71)【出願人】
【識別番号】520169074
【氏名又は名称】セルラリティ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ミント,ハン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,キース
(72)【発明者】
【氏名】ノールベルグ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ハーズバーグ,ユリ
(72)【発明者】
【氏名】フィスコフ,スティーブン,アラン
(72)【発明者】
【氏名】カン,リン
(72)【発明者】
【氏名】フセイン,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】ヴォスキナリアン-バーセ,ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオクイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】急性骨髄性白血病(AML)および多発性骨髄腫(MM)を処置する方法を提供する。
【解決手段】ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団の有効量を投与する方法であって、ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団が、幹細胞動員因子を含む培地中で造血幹細胞または前駆細胞の集団を培養するステップを含む3段階法、例えば、胎盤の細胞からの、例えば、胎盤潅流液(例えば、ヒト胎盤潅流液)または他の組織、例えば臍帯血もしくは末梢血からの、造血幹または前駆細胞から出発する、幹細胞動員因子を含む培地中でNK細胞を製造する3段階法により製造される。前記の3段階法により製造されたNK細胞は、IL-2と組み合わせて使用される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団の有効量を投与することにより急性骨髄性白血病
を有する個体を処置する方法であって、ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団が、
(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1培地中で造血幹細胞
または前駆細胞を培養して、第1細胞集団を製造するステップ;
(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠い
ている第2培地中で前記第1細胞集団を培養して、第2細胞集団を製造するステップ;お
よび
(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている第
3培地中で前記第2細胞集団を培養して、第3細胞集団を製造するステップを含み、
前記第3細胞集団が、CD56+、CD3-、CD16-またはCD16+、およびC
D94+またはCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、ナチュラルキラー細胞の
少なくとも80%が生存している、方法により製造され、処置の方法がIL-2の有効量
を患者に投与することをさらに含む、方法。
【請求項2】
ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団の有効量を投与することにより多発性骨髄腫を有
する個体を処置する方法であって、ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団が、
(a)幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1培地中で造血幹細胞
または前駆細胞を培養して、第1細胞集団を製造するステップ;
(b)幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠い
ている第2培地中で前記第1細胞集団を培養して、第2細胞集団を製造するステップ;お
よび
(c)IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている第
3培地中で前記第2細胞集団を培養して、第3細胞集団を製造するステップを含み、
前記第3細胞集団が、CD56+、CD3-、CD16-またはCD16+、およびC
D94+またはCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、ナチュラルキラー細胞の
少なくとも80%が生存している、方法により製造され、処置の方法がIL-2の有効量
を患者に投与することをさらに含む、方法。
【請求項3】
前記造血幹細胞がCD34+造血幹細胞または胎盤造血幹細胞である、請求項1~2の
うちいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記胎盤造血幹細胞が、ヒト胎盤潅流液から得られるもしくは得ることができる細胞を
含み、または、ヒト胎盤潅流液から単離された有核細胞から得られるもしくは得ることが
できる細胞を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記幹細胞動員剤がアリール炭化水素受容体阻害剤である、請求項1~4のうちいずれ
か1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アリール炭化水素受容体阻害剤がStemRegenin-1(SR-1)(4-
(2-(2-(ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)-9-イソプロピル-9H-プリン
-6-イルアミノ)エチル)フェノール)であり、または、
前記アリール炭化水素受容体阻害剤がレスベラトロールであり、または、
前記アリール炭化水素受容体阻害剤が化合物CH223191(1-メチル-N-[2
-メチル-4-[2-(2-メチルフェニル)ジアゼニル]フェニル-1H-ピラゾール
-5-カルボキサミド]である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記幹細胞動員剤がピリミド(4,5-b)インドール誘導体であり、
前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体が以下の化学構造
【化1】
を有する、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体が以下の化学構造
【化2】
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1培地が、低分子量ヘパリン(LMWH)、Flt-3リガンド(Flt-3L
)、幹細胞因子(SCF)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF
)または顆粒球・マクロファージ刺激因子(GM-CSF)のうちの1つまたは複数をさ
らに含む、または、
前記第1培地が、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSF
およびGM-CSFのそれぞれを含む、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2培地が、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFお
よびGM-CSFのうちの1つまたは複数をさらに含む、または、
前記第2培地が、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFお
よびGM-CSFのそれぞれをさらに含む、請求項1~9のうちいずれか1項に記載の方
法。
【請求項11】
前記第3培地が、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFまたはGM-CSFのうち
の1つまたは複数をさらに含む、または、
前記第3培地が、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFの各々
を含む、請求項1~10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/または
GM-CSFが第1培地、第2培地または第3培地の組成不明の成分中に含まれていない
、または、
前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/または
GM-CSFが血清中に含まれていない、請求項9~13のうちいずれか1項に記載の方
法。
【請求項13】
前記第1培地、前記第2培地または前記第3培地のいずれもヒト血清ABを含み、
前記第1培地、前記第2培地または前記第3培地のいずれも2-メルカプトエタノール
を含む、または、
前記第1培地、前記第2培地または前記第3培地のいずれもゲンタマイシンを含む、請
求項1~12のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
造血幹細胞を第1培地中で7~13日間培養するステップ、または、
造血幹細胞を第1培地中で8~12日間培養するステップ、または、
造血幹細胞を第1培地中で約10日間培養するステップを含む、請求項1~13のうち
いずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2培地中で前記第1細胞集団を2~6日間培養するステップ、または、
前記第2培地中で前記第1細胞集団を3~5日間培養するステップ、または、
前記第2培地中で前記第1細胞集団を約4日間培養するステップを含む、請求項1~1
4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第3培地中で前記第2細胞集団を10~30日間培養するステップ、または、
前記第3培地中で前記第2細胞集団を15~25日間培養するステップ、または、
前記第3培地中で前記第2細胞集団を約21日間培養するステップを含む、請求項1~
15のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも20%、40%、60%または80%のCD56+CD3-ナチュラルキラ
ー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する、請求項1~16のうちいずれか1項に記
載の方法。
【請求項18】
ステップ(c)の後に前記細胞集団を凍結保存するステップをさらに含む、または、
ステップ(c)の後に前記ナチュラルキラー細胞を凍結保存するステップをさらに含む
、または、
前記接触させるステップまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラルキラー細胞
が凍結保存されている、請求項1~17のうちいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それぞれがその全体として参照により本明細書に組み込まれる、2016年5月7日に出願した米国特許仮出願第62/333,186号、2016年5月7日に出願した米国特許仮出願第62/333,187号、2016年11月1日に出願した米国特許仮出願第62/415,918号および2016年11月1日に出願した米国特許仮出願第62/415,954号の利益を主張するものである
【0002】
1. 分野
ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団の有効量を投与することにより急性骨髄性白血病(AML)および多発性骨髄腫(MM)を処置する方法であって、ナチュラルキラー細胞を含む細胞集団が、幹細胞動員因子を含む培地中で造血幹細胞または前駆細胞の集団を培養するステップを含む3段階法、例えば、胎盤の細胞からの、例えば、胎盤潅流液(例えば、ヒト胎盤潅流液)または他の組織、例えば臍帯血もしくは末梢血からの、造血幹または前駆細胞から出発する、幹細胞動員因子を含む培地中でNK細胞を製造する3段階法により製造される方法が、本明細書で提供される。急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制するために本明細書で提供される3段階法により製造されたNK細胞を使用する方法が本明細書でさらに提供される。ある特定の実施形態では、本明細書で述べる3段階法により製造されたNK細胞をIL-2と組み合わせて使用する。
【背景技術】
【0003】
2. 背景
ナチュラルキラー(NK)細胞は、自然免疫系の主要な構成要素を構成する細胞傷害性リンパ球である。
【0004】
NK細胞は、インターフェロンまたはマクロファージ由来のサイトカインに反応して活性化される。一部の受容体、例えば、CD94および2B4(CD244)は、リガンド相互作用によっていずれの方向にも機能し得るが、NK細胞の細胞傷害活性は、「活性化受容体」または「抑制性受容体」と見なされ得る、2種類の表面受容体により主として調節される。
【0005】
NK細胞は、他の活性もあるが特に、腫瘍の宿主拒絶に役割を果たし、ウイルス感染細胞を殺滅することができることが示された。ナチュラルキラー細胞は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)タンパク質を欠くか、またはそのレベルの低下を示す細胞によって活性化された状態になり得る。自己クラスI MHC発現のレベルの変化または低下を有するがん細胞は、NK細胞感受性の誘導をもたらす。活性化および増幅NK細胞ならびに場合によって末梢血からのLAK細胞は、進行がんを有する患者のex vivo療法およびin vivo治療の両方に用いられ、白血病のような骨髄関連疾患;乳がん;およびある特定の種類のリンパ腫に対してある程度の成功を収めた。
【0006】
腫瘍細胞およびウイルス感染細胞を殺滅するうえでのNK細胞の有利な特性にもかかわらず、NK細胞は、培養および増幅中にそれらの腫瘍標的化能力および殺腫瘍能力を維持することが困難であることに主として起因して、免疫療法への応用が依然として困難である。したがって、当技術分野では、殺腫瘍機能を保持するナチュラルキラー細胞を製造し、増幅する効率的な方法を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0183564号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0023626号
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0114070号
【特許文献4】米国特許第7,045,148号
【特許文献5】米国特許第7,468,276号
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0104164号
【特許文献7】米国出願公開第2007/0190042号
【特許文献8】米国特許第5,372,581号
【特許文献9】米国特許第5,415,665号
【特許文献10】米国特許第7,147,626号
【特許文献11】米国特許第7,255,879号
【特許文献12】米国特許出願公開第20070275362号(米国特許第8,057,788号として発行)
【特許文献13】米国特許出願公開第2004/0048796号
【特許文献14】米国特許第4,798,824号
【特許文献15】米国特許第5,552,267号
【特許文献16】米国特許第7,498,171号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】キム(Kim)ら、Mol.Pharmacol.、2006、69、1871-1878
【非特許文献2】サウサード(Southard)ら、Transplantation 49(2):251-257(1990)
【非特許文献3】ミラー(Miller)ら、2005、Blood 105:3051-3057
【非特許文献4】ラブニッツ(Rubnitz)ら、2010、J Clin Oncol.28:955-959
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
3. 概要
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用して、急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法が、本明細書で提供される。本明細書で提供される処置の方法は、IL-2の投与を含む抗がん治療レジメンの一部になることができる。ある特定の実施形態では、IL-2は、ヒトIl-2である。ある特定の実施形態では、IL-2は、組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。
【0010】
急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップを含む方法が、本明細書でさらに提供される。ある特定の実施形態では、急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップを含み、IL-2をNK細胞および/または急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、IL-2とNK細胞および/または急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップをさらに含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態
では、IL-2は、rhIL-2である。
【0011】
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用して、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法が、本明細書で提供される。本明細書で提供される処置の方法は、IL-2の投与を含む抗がん治療レジメンの一部になることができる。ある特定の実施形態では、IL-2は、ヒトIl-2である。ある特定の実施形態では、IL-2は、組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。
【0012】
多発性骨髄腫細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と多発性骨髄腫細胞を接触させるステップを含む方法が、本明細書でさらに提供される。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と多発性骨髄腫細胞を接触させるステップを含み、IL-2をNK細胞および/または多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、IL-2とNK細胞および/または多発性骨髄腫細胞を接触させるステップをさらに含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、IL-2は、rhIL-2である。
【0013】
細胞、例えば、造血幹細胞、例えば、CD34+造血幹細胞のような、造血細胞を増幅し、分化させて、ナチュラルキラー(NK)細胞を製造する方法が本明細書で提供される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様では、本明細書で述べる3つの段階を含むNK細胞集団を製造する方法(本明細書で「3段階法」と呼ぶ)が本明細書で提供される。本明細書で提供する3段階法により製造されたナチュラルキラー細胞は、「3段階法により製造されたNK細胞」と本明細書で呼ぶ。ある特定の実施形態では、前記方法は、細胞を接触させる(または培養する)第4のまたは中間のステップを含まない。
【0015】
一態様では、造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞または前駆細胞を幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1培地中で培養して、第1細胞集団を製造するステップ、その後、前記第1細胞集団を幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている第2培地中で前記第1細胞集団を培養して、第2細胞集団を製造するステップ、その後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤および低分子量ヘパリン(LMWH)を欠いている第3培地中で前記第2細胞集団を培養して、第3細胞集団を製造するステップを含み、第3細胞集団がCD56+、CD3-であるナチュラルキラー細胞を含み、ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%、例えば、80%が生存している、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD16-であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+またはCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94-またはCD16-であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+およびCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94-およびCD16
-であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記第1培地、第2培地および第3培地の少なくとも1つ、2つまたは3つすべては、GBGM(登録商標)培地でない。ある特定の実施形態では、第3培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある特定の実施形態では、第3培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。
【0016】
ある特定の実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、哺乳類細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、ヒト細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹脂肪または前駆細胞は、霊長類細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、イヌ細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、げっ歯類細胞である。
【0017】
ある特定の態様では、第1培地中で培養される造血幹細胞または前駆細胞は、CD34幹細胞または前駆細胞である。ある特定の態様では、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤造血幹細胞または前駆細胞である。ある特定の態様では、胎盤造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤潅流液から得られる、または得ることができる(例えば、胎盤潅流液から単離された有核細胞から得られる、または得ることができる)。ある特定の態様では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、臍帯血から得られる、または得ることができる。ある特定の態様では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、胎児肝臓細胞である。ある特定の態様では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、動員末梢血細胞である。ある特定の態様では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、骨髄細胞である。
【0018】
ある特定の態様では、3段階法に使用される前記第1培地は、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む。ある特定の態様では、3段階法に使用される第1培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、低分子量ヘパリン(LMWH)、Flt-3リガンド(Flt-3L)、幹細胞因子(SCF)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)または顆粒球・マクロファージ刺激因子(GM-CSF)のうちの1つまたは複数を含む。ある特定の態様では、前記第1培地は、添加されるLMWHを含まない。ある特定の態様では、前記第1培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない。ある特定の態様では、前記第1培地は、LMWHを含まない。ある特定の態様では、前記第1培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない。ある特定の態様では、3段階法に使用される第1培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、3段階法に使用される第1培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、前記Tpoは、1ng/mL~100ng/mL、1ng/mL~50ng/mL、20ng/mL~30ng/mLまたは約25ng/mLの濃度で第1培地中に存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、LMWHは、1U/mL~10U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、LMWHは、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mL
の濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、LMWHは、約4.5U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第1培地は、GBGM(登録商標)でない。
【0019】
ある特定の態様では、3段階法に使用される前記第2培地は、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に使用される第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の態様では、第2培地は、添加されるLMWHを含まない。ある特定の態様では、第2培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない。ある特定の態様では、第2培地は、LMWHを含まない。ある特定の態様では、第2培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを含まない。ある特定の態様では、3段階法に使用される第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、3段階法に使用される第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mL、10ng/mL~30ng/mLまたは約20ng/mLの濃度で前記第2培地中に存在する。ある特定の態様では、前記第2培地中に、LMWHは、1U/mL~10U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、LMWHは、4U/mL~5U/mLの濃度で第2培地中に存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存
在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、LMWHは、4U/mL~5U/mLの濃度で第2培地中に存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、LMWHは、約4.5U/mLの濃度で第2培地中に存在し、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第2培地は、GBGM(登録商標)でない。
【0020】
ある特定の態様では、前記第1培地、前記第2培地または前記第1および第2培地に存在する幹細胞動員因子は、アリール炭化水素受容体阻害剤、例えば、アリール炭化水素受容体アンタゴニストである。ある特定の態様では、前記アリール炭化水素受容体阻害剤は、デスベラトロールである。ある特定の態様では、前記アリール炭化水素受容体阻害剤は、以下の式
【0021】
【化1】
の化合物
(式中、
は、NおよびCRから選択され、
、GおよびGは、CHおよびNから独立に選択され、ただし、GおよびGのうちの少なくとも1つは、Nであることを条件とし、ただし、GおよびGは、両方がNであるわけではないことを条件とし、
Lは、--NR5a(CH0-3--、--NR5aCH(C(O)OCH)CH--、--NR5a(CHNR5b--、--NR5a(CHS--、--NR5aCHCH(CH)CH--、--NR5aCHCH(OH)--および--NR5aCH(CH)CH--から選択され、R5aおよびR5bは、水素およびC1-4アルキルから独立に選択され、
は、水素、フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、1H-ピ
ラゾリル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリルおよびチアゾリルから選択され、Rの前記フェニル、チオフェニル、フラニル、1H-ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、1H-イミダゾピリジニル、ベンゾチオフェニル、ピリミジニル、1H-ピラゾリル、ピリジニル、1H-イミダゾリル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、1H-ピロリルまたはチアゾリルは、シアノ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ハロ、ハロ置換C1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、--C(O)R8a、--S(O)0-28a、--C(O)OR8aおよび--C(O)NR8a8bから独立に選択される1~3個の基により任意選択で置換することができ、R8aおよびR8bは、水素およびC1-4アルキルから独立に選択され、ただし、RおよびRは、両方が水素であるわけではないことを条件とし、
は、--S(O)NR6a6b、--NR9aC(O)R9b、--NR6aC(O)NR6b6c、フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリルおよび1H-インダゾリルから選択され、R6a、R6bおよびR6cは、水素およびC1-4アルキルから独立に選択され、Rの前記フェニル、1H-ピロロピリジン-3-イル、1H-インドリル、チオフェニル、ピリジニル、1H-1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、1H-ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリルまたは1H-インダゾリルは、ヒドロキシ、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、--O(CHNR7a7b、--S(O)NR7a7b、--OS(O)NR7a7bおよび--NR7aS(O)7bから独立に選択される1~3個の基で任意選択で置換され、R7aおよびR7bは、水素およびC1-4アルキルから独立に選択され、
は、水素、C1-4アルキルおよびビフェニルから選択され、
は、C1-10アルキル、プロパ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチルおよび1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルから選択され、前記アルキル、シクロプロピル、シクロヘキシル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチルまたは1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルは、ヒドロキシ、C1-4アルキルおよびハロ置換C1-4アルキルから独立に選択される1~3個の基で任意選択で置換することができる)またはその塩である。
【0022】
ある特定の態様では、前記アリール炭化水素受容体阻害剤は、StemRegenin-1(SR-1)(4-(2-(2-(ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)-9-イソプロピル-9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)フェノール)である。ある特定の態様では、前記アリール炭化水素受容体阻害剤は、化合物CH223191(1-メチル-N-[2-メチル-4-[2-(2-メチルフェニル)ジアゼニル]フェニル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド]である。
【0023】
ある特定の態様では、前記第1培地、前記第2培地または前記第1および第2培地に存在する幹細胞動員因子は、ピリミド(4,5-b)インドール誘導体である。ある特定の
態様では、前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体は、
【0024】
【化2】
のうちの1つもしくは複数
またはその塩もしくはプロドラッグであり、式中、
Zは、
1)-P(O)(OR<1>)(OR<1>)、
2)-C(0)OR<1>、
3)-C(0)NHR<1>、
4)-C(0)N(R)R<1>、
5)-C(0)R<1>、
6)-CN、
7)-SR、
8)-S(0)2NH2、
9)-S(0)2NHR<1>、
10)-S(0)2N(R)R<1>、
11)-S(0)R<1>、
12)-S(0)2R<1>、
13)-L、
14)1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-ベンジル、
15)Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリール、
16)Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリル、
17)Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
18)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-ヘテロアリール、または
19)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている
-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合には、L基に任意選択で結合しており、(R<1>)およびR<1>が窒素原子に結合している場合、任意選択でそれらは、窒素原子と一緒になって、1つまたは複数のR<1>またはR<A>で任意選択で置換されている、N、OおよびSから選択される1つもしくは複数の他のヘテロ原子を任意選択で含む3~7員環を形成しており、
Wは、
1)-H、
2)-ハロゲン、
3)-OR<1>、
4)-L-OH、
5)-L-OR<1>、
6)-SR<1>、
7)-CN、
8)-P(0)(OR<1>)(OR<1>)、
9)-NHR<1>、
10)-N(R<1>)R<1>、
11)-L-NH2、
12)-L-NHR<1>、
13)-L-N(R<1>)R<1>、
14)-L-SR<1>、
15)-L-S(0)R<1>、
16)-L-S(0)2R<1>、
17)-L-P(0)(OR<1>)(OR<1>
18)-C(0)OR<1>、
19)-C(0)NH2、
20)-C(0)NHR<1>、
21)-C(0)N(R<1>)R<1>、
22)-NHC(0)R<1>、
23)-NR1C(0)R<1>、-NHC(0)0R<1>、
-NR1C(0)0R<1>、
-0C(0)NH2、
-0C(0)NHR<1>、
-0C(0)N(R)R<1>、
-0C(0)R<1>、
-C(0)R<1>、
-NHC(0)NH2、
-NHC(0)NHR<1>、
-NHC(0)N(R)R<1>、
-NRC(0)NH2、
-NRC(0)NHR<1>、
-NRC(0)N(R)R<1>、
-NHS(0)2R<1>、
-NRS(0)2R<1>、
-S(0)2NH2、
-S(0)2NHR<1>、
-S(0)2N(R)R<1>、
-S(0)R<1>、
-S(0)2R<1>、
-0S(0)2R1、
-S(0)20R<1>、
1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-ベンジル、
Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリール
Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
-L-NR<1>(R<1>)、
-L-)2NR<1>、
-L-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
-O-L-N(R)R<1>、
Lおよびヘテロアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-アリール、
-O-L)2-NR<1>、
-O-L-(N(R )-L)n-N(R )R<1>、
Lおよびヘテロアリール基いずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
Lおよびヘテロシクリル基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-O-L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-L-ヘテロアリール、
1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-L-ヘテロシクリル、
Lおよびアリール基のいずれかもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-S-L-アリール、
-S-L)2NR1、
-S-L-(N(R1)-L)’’-N(R1)R1、
1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-S-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-S-L-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-S-L-(N(R<1>)-L)n-アリール、
-NR<1>(R<1>)、
-(N(R1)-L)n-N(R1)R1、
-N(R1)L)2-NR1、76)-(N(R1)-L)”-N(R1)RA、
77)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-(N(R<1>)-L)n-ヘテロアリール、
78)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-(N(R<1>)-L)n-ヘテロシクリル、
79)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-(N(R<1>)-L)n-アリール、
80)1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-ヘテロアリール、または
81)1つもしくは複数のR<A>置換基で任意選択で置換されている-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合には、L基に任意選択で結合しており、2つのR<1>置換基が同じ窒素原子上に存在する場合、各R<1>置換基は、後に述べるR<1>の値のリストから独立に選択され、
nは、0、1、2、3、4または5に等しい整数であり、
(R<1>)およびR<1>が窒素原子に結合している場合、任意選択でそれらは、窒素原子と一緒になって、N、OおよびSから選択される1つまたは複数の他のヘテロ原子を任意選択で含む3~7員環を形成しており、任意選択で環は、1つまたは複数のR<1>またはR<A>で置換されており、
Lは、
1)-Ci~6アルキル、
2)-C2~6アルケニル、
3)-C2~6アルキニル、
4)-C3~7シクロアルキル、
5)-C3~7シクロアルケニル、
6)ヘテロシクリル、
7)-Ci~6アルキル-C3~7シクロアルキル、
8)-Ci~6アルキル-ヘテロシクリル、
9)アリール、または
10)ヘテロアリール
であり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリール基は、1つもしくは2つのR<A>置換基でそれぞれ独立に任意選択で置換されており、
Riは、
1)-H、
2)-C1~6アルキル、
3)-C2~6アルケニル、
4)-C2~6アルキニル、5)-C3~7シクロアルキル、
6)-C3~7シクロアルケニル、
7)-C1~5過フッ化、
8)-ヘテロシジル、
9)-アリール、
10)-ヘテロアリール、
11)-ベンジル、または
12)5-[(3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル]ペンタノイル
であり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、ペルフルオロ化アルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールおよびベンジル基は、1つ、2つまたは3つのR<A>またはR<1>置換基でそれぞれ独立に任意選択で置換されており、
R2は、
1)-H、
2)-C1~6アルキル、
3)-SR、
4)-C(0)R1、
5)-S(0)R1、
6)-S(0)2R<1>、
7)1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-ベンジル、
8)Lおよびヘテロアリール基のいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロアリール、9)Lおよびヘテロシクリル基のいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリル、10)Lおよびアリール基のいずれか1つもしくは両方に結合する1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-L-アリール、
11)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-ヘテロアリール、または
12)1つもしくは複数のR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている-アリール
であり、各置換基は、それが既に存在していない場合にはL基に任意選択で結合されており、
R<A>は、
1)-ハロゲン、
2)-CFs、3)-OH、
4)-OR<1>、
5)-L-OH、
6)-L-OR<1>、
7)-OCFs、
8)-SH、
9)-SR1、
10)-CN、
11)-NO2、
12)-NH2、
13)-NHR<1>、
14)-NR<1>R<1>、
15)-L-NH2、
16)-L-NHR<1>、
17)-L-NR<4>R<1>、
18)-L-SR<1>、
19)-L-S(0)R<1>、
20)-L-S(0)2R<1>、
21)-C(0)OH、
22)-C(0)OR<1>、
23)-C(0)NH2、
24)-C(0)NHR<1>、
25)-C(0)N(R<1>)R<1>、
26)-NHC(0)R<1>、
27)-NR1C(0)R<1>、
28)-NHC(0)OR<1>、
29)-NR1C(0)0R<1>、
30)-OC(0)NH2、
31)-OC(0)NHR<1>、
32)-OC(0)N(R)R<1>、
33)-OC(0)R<1>、
34)-C(0)R1、35)-NHC(0)NH2、
36)-NHC(0)NHR1、
37)-NHC(0)N(R)R<1>、
38)-NRC(0)NH2、
39)-NRC(0)NHR<1>、
40)-NR1C(0)N(R1)R1、
41)-NHS(0)2R<1>、
42)-NRS(0)2R<1>、
43)-S(0)2NH2、
44)-S(0)2NHR<1>、
45)-S(0)2N(R)R<1>、
46)-S(0)R<1>、
47)-S(0)2R<1>、
48)-0S(0)2R<1>、
49)-S(0)20R<1>、
50)-ベンジル、
51)-N3、または
52)-C(-N=N-)(CF3)
であり、ベンジル基は、1つ、2つもしくは3つのR<A>もしくはR<1>置換基で任意選択で置換されている。
【0025】
ある特定の態様では、前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体は、以下の化学構造
【0026】
【化3】
を有する。
【0027】
ある特定の態様では、前記ピリミド(4,5-b)インドール誘導体は、以下の化学構造
【0028】
【化4】
を有する。
【0029】
ある特定の態様では、3段階法に使用される前記第3培地は、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に使用される第3培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFまたはGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の態様では、3段階法に使用される第3培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、前記IL-2は、10U/mL~10,000U/mLの濃度で前記第3培地中に存在し、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で前記第3培地中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、100U/mL~10,000U/mLの濃度で前記第3培地中に存在し、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で前記第3培地中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、300U/mL~3,000U/mLの濃度で前記第3培地中に存在し、前記IL-15は、10ng/mL~30ng/mLの濃度で前記第3培地中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、約1,000U/mLの濃度で前記第3培地中に存在し、前記IL-15は、約20ng/mLの濃度で前記第3培地中に存在する。ある特定の態様では、前記第3培地中に、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、前記第3培地中に、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、前記第3培地中に、SCFは、約22ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約20ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第3培地は、GBGM(登録商標)でない。
【0030】
一般的に、特定する形で列挙する培地成分は、前記培地の組成不明の成分中の、例えば、血清中の可能な成分を指すものでない。例えば、前記Tpo、IL-2およびIL-15は、第1培地、第2培地または第3培地の組成不明の成分中に含まれない、例えば、前記Tpo、IL-2およびIL-15は、血清中に含まれない。さらに、前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/またはGM-CSFは、第1培地、第2培地または第3培地の組成不明の成分中に含まれない、例えば、前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/またはGM-CSFは、血清中に含まれない。
【0031】
ある特定の態様では、前記第1培地、第2培地または第3培地は、ヒト血清ABを含む。ある特定の態様では、前記第1培地、第2培地または第3培地のいずれも、1%~20%のヒト血清AB、5%~15%のヒト血清ABまたは約2、5もしくは10%のヒト血清ABを含む。
【0032】
ある特定の態様では、前記第1培地、第2培地または第3培地のいずれも、2-メルカプトエタノールを含む。ある特定の態様では、前記第1培地、第2培地または第3培地のいずれも、ゲンタマイシンを含む。
【0033】
本明細書で述べる3段階法における、ある特定の実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞を、前記第2培地中で前記培養するステップの前に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日間にわたり前記第1培地中で培養する。ある特定の実施形態では、細胞を、前記第3培地中で前記培養するステップの前に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日間にわたり前記第2培地中で培養する。ある特定の実施形態では、細胞を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30日間または30日を超える期間にわたり前記第3培地中で培養する。
【0034】
本明細書で述べる3段階法における、一実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞を前記第1培地中で7~13日間培養して、第1細胞集団を製造し、前記第1細胞集団を前記第2培地中で2~6日間培養して、第2細胞集団を製造し、前記第2細胞集団を前記第3培地中で10~30日間培養する、すなわち、細胞を合計19~49日間培養する。
【0035】
本明細書で述べる3段階法における、一実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞を前記第1培地中で8~12日間培養して、第1細胞集団を製造し、前記第1細胞集団を前記第2培地中で3~5日間培養して、第2細胞集団を製造し、前記第2細胞集団を前記第3培地中で15~25日間培養する、すなわち、細胞を合計26~42日間培養する。
【0036】
本明細書で述べる3段階法における、具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞を前記第1培地中で10日間培養して、第1細胞集団を製造し、前記第1細胞集団を前記第2培地中で4日間培養して、第2細胞集団を製造し、前記第2細胞集団を前記第3培地中で21日間培養する、すなわち、細胞を合計35日間培養する。
【0037】
ある特定の態様では、前記第1培地、第2培地および第3培地中で前記培養するステップは、すべて静的培養条件下で、例えば、培養皿または培養フラスコ中で行われる。特定の態様では、前記第1培地、第2培地または第3培地のうちの少なくとも1つで前記培養するステップは、スピナーフラスコ中で行われる。ある特定の態様では、前記第1培地および前記第2培地中で前記培養するステップは、静的培養条件下で行われ、前記第3培地中で前記培養するステップは、スピナーフラスコ中で行われる。
【0038】
ある特定の態様では、前記培養するステップは、スピナーフラスコ中で行われる。他の態様では、前記培養するステップは、G-Rexデバイスで行われる。さらに他の態様では、前記培養するステップは、WAVEバイオリアクター中で行われる。
【0039】
ある特定の態様では、前記造血幹細胞または前駆細を1x10~1x10細胞/mLで前記第1培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記造血幹細胞または前駆細を3x10細胞/mLで前記第1培地中に最初に接種する。
【0040】
ある特定の態様では、前記第1細胞集団を5x10~5x10細胞/mLで前記第2培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記第1細胞集団を1x10細胞/mLで前記第2培地中に最初に接種する。
【0041】
ある特定の態様では、前記第2細胞集団を1x10~5x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。ある特定の態様では、前記第2細胞集団を1x10~1x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記第2細胞集団を約5x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。より具体的な態様では、前記第2細胞集団をスピナーフラスコ中で約5x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記第2細胞集団を約3x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。より具体的な態様では、前記第2細胞集団を静的培養で約3x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。
【0042】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記第1培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも5000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも10,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも50,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも75,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率を7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)染色により決定する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率をアネキシンV染色により決定する。具体的な態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率を7AAD染色およびアネキシンV染色の両方により決定する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率をトリパンブルー染色により決定する。
【0043】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも70%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも75%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。
【0044】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも20%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも35%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも45%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも60%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。ある
特定の態様では、3段階法は、前記ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合に前記K562細胞に対して少なくとも75%の細胞傷害性を示すナチュラルキラー細胞を製造する。
【0045】
ある特定の態様では、前記第3培養するステップの後に、前記第3細胞集団、例えば、ナチュラルキラー前記細胞集団を凍結保存する。
【0046】
ある特定の態様では、ナチュラルキラー細胞、すなわち、本明細書で述べた3段階法により製造されたナチュラルキラー細胞を含む細胞の集団が本明細書で提供される。したがって、本明細書で述べた3段階法により製造された単離ナチュラルキラー細胞集団が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。
【0047】
一実施形態では、単離NK前駆細胞集団が本明細書で提供され、前記NK前駆細胞は、本明細書で述べた3段階法により製造される。
【0048】
別の実施形態では、単離成熟NK細胞集団が本明細書で提供され、前記成熟NK細胞は、本明細書で述べた3段階法により製造される。
【0049】
別の実施形態では、単離NK細胞集団が本明細書で提供され、前記NK細胞は、活性化されており、前記活性化NK細胞は、本明細書で述べた3段階法により製造される。
【0050】
したがって、別の態様では、急性骨髄性白血病細胞増殖を抑制するための、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の使用が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、NK細胞集団は、IL-2と組み合わせて使用される。
【0051】
別の態様では、多発性骨髄腫細胞増殖を抑制するための、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の使用が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、NK細胞集団は、IL-2と組み合わせて使用される。
【0052】
別の具体的な実施形態では、NK細胞集団が製造される、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤潅流液、臍帯血または末梢血から得られる。一実施形態では、NK細胞集団が製造される、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤から、例えば、胎盤潅流液から得られる。一実施形態では、NK細胞集団が製造される、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、臍帯血から得られない。一実施形態では、NK細胞集団が製造される、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、末梢血から得られない。別の具体的な実施形態では、NK細胞集団が製造される、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤潅流液および臍帯血、例えば、潅流液と同じ胎盤由来の臍帯血に由来する混合細胞である。別の具体的な実施形態では、前記臍帯血は、前記胎盤潅流液が得られる胎盤以外の胎盤から単離する。ある特定の実施形態では、混合細胞は、臍帯血および胎盤潅流液をプールすることまたは合わせることにより得ることができる。ある特定の実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1
、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の容量比で合わせて、混合細胞を得る。具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1~1:10、5:1~1:5または3:1~1:3の比で合わせる。別の具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5または1:10の比で合わせる。より具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を8.5:1.5(85%:15%)の比で合わせる。
【0053】
ある特定の実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を、総有核細胞(TNC)含量により決定される、100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の比で合わせて、混合細胞を得る。具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1~1:10、5:1~1:5または3:1~1:3の比で合わせる。別の具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5または1:10の比で合わせる。
【0054】
したがって、一実施形態では、急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法であって、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された単離NK細胞集団からの細胞の有効量を前記個体に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。ある特定の態様では、前記接触させるステップまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラルキラー細胞が凍結保存されている。他の態様では、前記接触させるステップまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラルキラー細胞が凍結保存されていない。
【0055】
したがって、一実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法であって、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された単離NK細胞集団からの細胞の有効量を前記個体に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。ある特定の態様では、前記接触させるステップまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラルキラー細胞が凍結保存されている。他の態様では、前記接触させるステップまたは前記投与するステップの前に前記ナチュラルキラー細胞が凍結保存されていない。
【0056】
具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造したNK細胞集団は、前記投与するステップの前に、免疫調節化合物、例えば、本明細書で述べる免疫調節化合物またはサリドマイドで処理した。具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造したNK細胞集団は、前記投与するステップの前に、IL2およびIL12およびIL18、IL12およびIL15、IL12およびIL18、IL2およびIL12およびIL15およびIL18、またはIL2およびIL15およびIL18で処理した。別の具体的な実施形態では、方法は、(1)本明細書で述べた3段階法を使用して製造した、有効量の単離NK細胞集団;および(2)有効量の免疫調節化合物またはサリドマイドを個体に投与するステップを含む。この文脈における「有効量」は、NK細胞集団および、任意選択で、免疫調節化合物またはサリドマイドを投与しなかった前記がんまたは前記感染を有する個体と比較して、前記がんまたは前記感染の1つもしくは複数の
症状の検出可能な改善をもたらす、前記NK細胞集団における細胞、および任意選択で免疫調節化合物またはサリドマイドの量を意味する。具体的な実施形態では、前記免疫調節化合物は、レナリドミドまたはポマリドミドである。
【0057】
別の実施形態では、急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制する方法であって、NK細胞集団の治療有効量を急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、NK細胞集団内の細胞と急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップを含む方法が、本明細書で提供される。以後、特に示さない限り、「近接」という用語は、所望の結果を生じさせるのに十分に近いことを意味するものであり、例えば、ある特定の実施形態では、近接という用語は、接触を意味する。ある特定の実施形態では、前記接触させるステップがin vitroで行われる。ある特定の実施形態では、前記接触させるステップがex vivoで行われる。
【0058】
別の実施形態では、多発性骨髄腫細胞の増殖を抑制する方法であって、NK細胞集団の治療有効量を急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、NK細胞集団内の細胞と多発性骨髄腫細胞を接触させるステップを含む方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、前記接触させるステップは、in vitroで行われる。他の実施形態では、前記接触させるステップは、in vivoで行われる。
【0059】
NK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、全身である。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、注入による。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、静脈内(IV)注入による。
【0060】
別の態様では、急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法であって、前記個体におけるAMLの処置に有効であるNK細胞を個体に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞であるか、または臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から製造されたNK細胞である。別の実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞を製造するための、例えば、本明細書で示した3段階法を使用してNK細胞集団を製造するための本明細書で述べた方法のいずれかにより製造された。急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法の、ある特定の具体的な実施形態では、前記NK細胞集団は、本明細書に記載の通り、3段階法により製造される。特定の実施形態では、前述の方法により処置されることになる急性骨髄性白血病は、難治性急性骨髄性白血病、予後不良急性骨髄性白血病、または小児急性骨髄性白血病を含む。ある特定の実施形態では、前記個体は、急性骨髄性白血病に対する少なくとも1回の非ナチュラルキラー細胞治療が奏功しなかった急性骨髄性白血病を有する。具体的な実施形態では、前記個体は、65歳以上であり、第1寛解期にある。具体的な実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞を投与するステップの前に、化学療法、例えば、フルダラビン、シタラビン、または両方でコンディショニングされている。
【0061】
別の態様では、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法であって、前記個体における多発性骨髄腫の処置に有効であるNK細胞を個体に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞であるかまたは臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から製造されたNK細胞である。別の実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞を製造するための、例えば、本明細書で示した3段階法を使用してNK細胞集団を製造するための、本明細書で述べた方法のいずれかにより製造された。多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法の、ある特定の具体的な実施形態では、前記NK細胞集団は、本明細書に記載の通り、3段階法により製造される。具体的な実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞を投与するステップの前に、自家幹細胞移植を受けている。具体的な実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞を投与するステップの前に、メルファランを受けている。
【0062】
ある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたNK細胞集団は、凍結保存する、例えば、本明細書で述べる方法を使用して凍結保存する。ある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたNK細胞集団は、凍結保存媒体中、例えば、本明細書で述べる凍結保存媒体中で凍結保存する。具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたNK前駆細胞集団および/またはNK細胞集団の凍結保存は、(1)本明細書で述べた3段階法を使用して製造されたNK前駆細胞集団および/またはNK細胞集団を含む細胞懸濁溶液を調製するステップ;(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液に加えて、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ;(3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁液を冷却して、凍結保存試料を得るステップ;および(4)凍結保存試料を-80℃以下で保管するステップを含む。
【0063】
上記の治療または腫瘍抑制の方法のある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階法により製造されたNK細胞集団を、他のナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤潅流液、臍帯血もしくは末梢血から単離された、または異なる方法により造血細胞から製造されたナチュラルキラー細胞と合わせる。具体的な実施形態では、ナチュラルキラー細胞集団を、約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の比で別の供給源からの、または異なる方法により製造されたナチュラルキラー細胞と合わせる。
【0064】
別の態様では、本明細書で述べた3段階法により製造される単離NK細胞を含む組成物が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、造血細胞、例えば、胎盤潅流液、臍帯血および/または末梢血から単離された造血幹細胞または前駆細胞から製造される。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、組成物中の細胞の少なくとも70%を構成する。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、組成物中の細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%を構成する。ある特定の実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも80%、82%、84%、86%、88%または90%は、CD3およびCD56である。ある特定の実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも65%、70%、75%、80%、82%、84%、86%、88%または90%は、CD16-である。ある特定の実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%または60%は、CD94+である。
【0065】
具体的な実施形態では、前記NK細胞は、単一個体に由来する。より具体的な実施形態では、前記NK細胞は、異なる少なくとも2個体に由来するナチュラルキラー細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞による治療が意図される個体と異なる個体に由来する。別の具体的な実施形態では、免疫調節化合物もしくはサリドマイドと接触も近接もさせていない同等の数のナチュラルキラー細胞、すなわち、NK細胞よりも検出可能に多くのグランザイムBまたはパーフォリンを前記NK細胞が発現するのに十分な量で、かつ時間にわたり前記NK細胞を前記免疫調節化合物もしくはサリドマイドと接触または近接させた。
【0066】
より具体的な実施形態では、組成物は、本明細書で述べた3段階法により製造されたNK細胞および別の供給源からの、または別の方法により製造されたナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記他の供給源は、胎盤血および/または臍帯血である。別の具体的な実施形態では、前記他の供給源は、末梢血である。より具体的な実施形態では、NK細胞を別の供給源からの、または別の方法により製造されたナチュラルキラー細胞と約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の比で合わせる。
【0067】
別の態様では、例えば、本明細書で述べた3段階法により製造された、単離NK細胞集団を含む、組成物、例えば、医薬組成物が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記単離NK細胞集団は、造血細胞、例えば、胎盤から、例えば、胎盤潅流液、臍帯血および/または末梢血から単離された造血幹細胞または前駆細胞から製造される。別の具体的な実施形態では、前記単離NK細胞集団は、組成物中の細胞の少なくとも70%を構成する。別の具体的な実施形態では、前記単離NK細胞集団は、組成物中の細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%を構成する。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、組成物中の細胞の少なくとも70%を構成する。ある特定の実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも80%、82%、84%、86%、88%または90%は、CD3およびCD56である。ある特定の実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも65%、70%、75%、80%、82%、84%、86%、88%または90%は、CD16である。ある特定の実施形態では、前記組成物中のNK細胞の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%または60%は、CD94+である。
【0068】
別の具体的な実施形態では、前記組成物中の前記単離NK細胞は、単一個体に由来する。より具体的な実施形態では、前記単離NK細胞は、異なる少なくとも2個体に由来するNK細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記組成物中の前記単離NK細胞は、NK細胞による治療が意図される個体と異なる個体に由来する。別の具体的な実施形態では、免疫調節化合物もしくはサリドマイドと接触も近接もさせていない同等の数のナチュラルキラー細胞、すなわち、NK細胞よりも検出可能に多くのグランザイムBまたはパーフォリンを前記NK細胞が発現するのに十分な量で、かつ時間にわたり前記NK細胞を前記免疫調節化合物もしくはサリドマイドと接触または近接させた。
【0069】
より具体的な実施形態では、組成物は、別の供給源からの、または別の方法により製造されたNK細胞を含む。具体的な実施形態では、前記他の供給源は、胎盤血および/または臍帯血である。別の具体的な実施形態では、前記他の供給源は、末梢血である。より具体的な実施形態では、前記組成物中のNK細胞集団を、別の供給源からの、または別の方法により製造されたNK細胞と約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45
、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の比で合わせる。
【0070】
3.1. 用語
本明細書で使用される「免疫調節化合物」および「IMiD(商標)」という用語は、サリドマイドを包含しない。
【0071】
本明細書で使用される「レナリドミド」は、3-(4’アミノイソインドリン-1’-オン)-1-ピペリジン-2,6-ジオン(Chemical Abstracts Service名)または2,6-ピペリジンジオン,3-(4-アミノ-1,3-ジヒドロ-1-オキソ-2H-イソインドール-2-イル)-(国際純正応用化学連合(IUPAC)名)を意味する。本明細書で使用される「ポマリドミド」は、4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンを意味する。
【0072】
本明細書で使用される「多能性」(multipotent)は、細胞について述べる場合、細胞が別の細胞型の細胞に分化する能力を有することを意味する。ある特定の実施形態では、「多能性細胞(multipotent cell)」は、哺乳類の身体の約260の細胞型のサブセットに発達する能力を有する細胞である。多能性細胞(pluripotent cell)と異なり、多能性細胞(multipotent cell)は、細胞型のすべてを形成する能力を有するわけではない。
【0073】
本明細書で使用される「フィーダー細胞」は、第2型の細胞を維持し、多分増殖させることができる環境を与えるために、第2型の細胞と共培養される1つの型の細胞を意味する。いかなる理論にも拘束されるものでないが、フィーダー細胞は、例えば、ペプチド、ポリペプチド、電気シグナル、有機分子(例えば、ステロイド)、核酸分子、増殖因子(例えば、bFGF)、他の因子(例えば、サイトカイン)および代謝栄養素を標的細胞に供給する。ある特定の実施形態では、フィーダー細胞は、単層に成長する。
【0074】
本明細書で使用される、さらなる修正なしに、本明細書で述べた方法を使用して製造した「ナチュラルキラー細胞」または「NK細胞」は、あらゆる組織供給源に由来するナチュラルキラー細胞を含む。
【0075】
本明細書で使用される「胎盤潅流液」は、胎盤、例えば、ヒト胎盤の少なくとも一部を、例えば、胎盤血管系内を通過させた潅流溶液を意味し、胎盤内の通過中に潅流溶液により収集された複数の細胞を含む。
【0076】
本明細書で使用される「胎盤潅流液細胞」は、胎盤潅流液から単離された、または単離可能な有核細胞、例えば、総有核細胞を意味する。
【0077】
本明細書で使用される「腫瘍細胞の抑制」、「腫瘍細胞の増殖の抑制」などは、例えば、本明細書で述べた3段階法を使用して製造したNK細胞またはNK細胞集団を例えば、腫瘍細胞の集団と接触させるステップまたは近接させるステップにより、例えば、腫瘍細胞の集団を本明細書で述べた3段階法を使用して製造したNK細胞またはNK細胞集団と接触させるステップにより、例えば、腫瘍前記細胞集団における1つまたは複数の腫瘍細胞を殺滅するステップにより、腫瘍細胞の集団の増殖を遅くすることを含む。ある特定の実施形態では、前記接触させるステップは、in vitroで行われる。他の実施形態では、前記接触させるステップは、in vivoで行われる。
【0078】
本明細書で使用される「造血細胞」という用語は、造血幹細胞および造血前駆細胞を含む。
【0079】
本明細書で使用される「組成不明の成分」は、その構成物質が一般的に示されていないまたは定量化されていない成分を指す培養培地の分野における専門用語である。「組成不明の成分」の例としては、制限なしに、血清、例えば、ヒト血清(例えば、ヒト血清AB)および胎児血清(例えば、ウシ胎児血清(fetal bovine serum)またはウシ胎児血清(fetal calf serum)などがある。
【0080】
本明細書で使用される「+」は、特定の細胞マーカーの存在を示すために使用される場合、細胞マーカーが、蛍光活性化細胞選別においてアイソタイプ対照を上回って検出可能に存在すること;または定量的もしくは半定量的RT-PCRにおいて、バックグラウンドを超える形で検出可能であることを意味する。
【0081】
本明細書で使用される「-」は、特定の細胞マーカーの存在を示すために使用される場合、細胞マーカーが、蛍光活性化細胞選別においてアイソタイプ対照を上回って検出可能に存在しないこと;または定量的もしくは半定量的RT-PCRにおいて、バックグラウンドを超える形で検出可能ではないことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0082】
4. 詳細な説明
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用して、急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法が、本明細書で提供される。本明細書で提供される処置の方法は、IL-2の投与を含む抗がん治療レジメンの一部になることができる。ある特定の実施形態では、IL-2は、ヒトIl-2である。ある特定の実施形態では、IL-2は、組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。
【0083】
急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップを含む方法が、本明細書でさらに提供される。ある特定の実施形態では、急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップを含み、IL-2をNK細胞および/または前性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、IL-2とNK細胞および/または急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップをさらに含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、IL-2は、rhIL-2である。
【0084】
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用して、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法が、本明細書で提供される。本明細書で提供される処置の方法は、IL-2の投与を含む抗がん治療レジメンの一部になることができる。ある特定の実施形態では、IL-2は、ヒトIl-2である。ある特定の実施形態では、IL-2は、組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。ある特定の実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞の投与の前に、化学療法を受けている。具体的な実施形態では、化学療法は、アルキル化剤である。より具体的な実施形態では、アルキル化剤は、メルファランである。ある特定の実施形態では、メルファランは、ラベルに従って投与される。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体は、前記投与の前に自家幹細胞移植を受けた個体である。ある特定の実施形態では、自家幹細胞移植は、前記多発性骨髄腫の処置におけるもので
あった。ある特定の実施形態では、自家幹細胞移植における幹細胞は、末梢血単核細胞である。
【0085】
多発性骨髄腫細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップを含む方法が、本明細書でさらに提供される。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と多発性骨髄腫細胞を接触させるステップを含み、IL-2をNK細胞および/または多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、IL-2とNK細胞および/または多発性骨髄腫細胞を接触させるステップをさらに含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、IL-2は、rhIL-2である。
【0086】
造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞からNK細胞を製造し、増幅する新規方法が本明細書で提供される。また造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞からNK細胞集団を製造する方法、例えば、3段階法が本明細書で提供される。NK細胞およびNK細胞集団を製造するために使用する造血細胞は、あらゆる供給源、例えば、制限なしに、胎盤、臍帯血、胎盤血、末梢血、脾臓または肝臓から得ることができる。ある特定の実施形態では、NK細胞またはNK細胞集団は、増幅造血細胞、例えば、造血幹細胞および/または造血前駆細胞から製造される。一実施形態では、造血細胞は、そのような細胞の供給源、例えば、胎盤、例えば、胎盤潅流液、臍帯血、胎盤血、末梢血、脾臓、肝臓および/または骨髄から収集する。
【0087】
NK細胞およびNK細胞集団を製造するために使用する造血細胞は、あらゆる動物種から得ることができる。ある特定の実施形態では、造血幹細胞または前駆細胞は、哺乳類細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、ヒト細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、霊長類細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、イヌ細胞である。具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞は、げっ歯類細胞である。
【0088】
4.1 造血細胞
本明細書で開示した方法において有用な造血細胞は、NK細胞に分化することができる任意の造血細胞、例えば、前駆細胞、造血前駆細胞、造血幹細胞などであり得る。造血細胞は、例えば、骨髄、臍帯血、胎盤血、末梢血、肝臓など、またはそれらの組合せのような組織供給源から得ることができる。造血細胞は、胎盤から得ることができる。具体的な実施形態では、造血細胞は、胎盤潅流液から得られる。一実施形態では、造血細胞は、臍帯血から得られない。一実施形態では、造血細胞は、末梢血から得られない。胎盤潅流液に由来する造血細胞は、胎児および母体造血細胞の混合物、例えば、母体細胞が造血細胞の総数の5%以上を構成する混合物を含み得る。ある特定の実施形態では、胎盤潅流液に由来する造血細胞は、少なくとも約90%、95%、98%、99%または99.5%の胎児細胞を含む。
【0089】
別の具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用してNK細胞集団を製造する、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤潅流液、臍帯血、胎児肝臓、動員末梢血または骨髄から得られる。別の具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用してNK細胞集団を製造する、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、胎盤潅流液および臍帯血、例えば、潅流液と同じ胎盤由来の臍帯血に由来する混合
細胞である。別の具体的な実施形態では、前記臍帯血は、前記胎盤潅流液が得られる胎盤以外の胎盤から単離する。ある特定の実施形態では、混合細胞は、臍帯血および胎盤潅流液をプールすることまたは合わせることにより得ることができる。ある特定の実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の容量比で合わせて、混合細胞を得る。具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1~1:10、5:1~1:5または3:1~1:3の比で合わせる。別の具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5または1:10の比で合わせる。より具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を8.5:1.5(85%:15%)の比で合わせる。
【0090】
ある特定の実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を、総有核細胞(TNC)含量による、100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100、または同様の比で合わせて、混合細胞を得る。具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1~1:10、5:1~1:5または3:1~1:3の比で合わせる。別の具体的な実施形態では、臍帯血および胎盤潅流液を10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5または1:10の比で合わせる。
【0091】
別の具体的な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して前記NK細胞集団を製造する、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、臍帯血および胎盤潅流液の両方に由来するが、前記臍帯血は、前記胎盤潅流液が得られる胎盤以外の胎盤から単離される。
【0092】
ある特定の実施形態では、造血細胞は、CD34細胞である。具体的な実施形態では、本明細書で開示した方法において有用な造血細胞は、CD34CD38またはCD34CD38である。より具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34CD38Linである。別の具体的な実施形態では、造血細胞は、CD2、CD3、CD11b、CD11c、CD14、CD16、CD19、CD24、CD56、CD66bおよび/またはグリコホリンAでのうちの1つまたは複数である。別の具体的な実施形態では、造血細胞は、CD2、CD3、CD11b、CD11c、CD14、CD16、CD19、CD24、CD56、CD66bおよびグリコホリンAである。別のより具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34CD38CD33CD117である。別のより具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34CD38CD33CD117CD235CD36である。
【0093】
別の実施形態では、造血細胞は、CD45である。別の具体的な実施形態では、造血
細胞は、CD34CD45である。別の実施形態では、造血細胞は、Thy-1である。具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34Thy-1である。別の実施形態では、造血細胞は、CD133である。具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34CD133またはCD133Thy-1である。別の具体的な実施形態では、CD34造血細胞は、CXCR4である。別の具体的な実施形態では、CD34造血細胞は、CXCR4である。別の実施形態では、造血細胞は、KDR(血管増殖因子受容体2)について陽性である。具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34KDR、CD133KDRまたはThy-1KDRである。ある特定の他の実施形態では、造血細胞は、アルデヒドデヒドロゲナーゼについて陽性である(ALDH)。例えば、細胞は、CD34ALDHである。
【0094】
ある特定の実施形態では、造血細胞は、CD34である。
【0095】
造血細胞は、分化系列決定、または発達の自由さ(developmental naivete)の欠乏を示すある特定のマーカーも欠き得る。例えば、別の実施形態では、造血細胞は、HLA-DRである。具体的な実施形態では、造血細胞は、CD34HLA-DR、CD133HLA-DR、Thy-1HLA-DRまたはALDHHLA-DRである。別の実施形態では、造血細胞は、細胞系列マーカーCD2、CD3、CD11b、CD11c、CD14、CD16、CD19、CD24、CD56、CD66bおよびグリコホリンAの1つもしくは複数、またはすべてについて陰性である。
【0096】
したがって、造血細胞は、未分化状態を示すマーカーの存在に基づいて、または少なくとも一部の系列分化が起こったことを示す細胞系列マーカーの非存在に基づいて、本明細書で開示した方法に使用するために選択することができる。固有のマーカーの有無に基づいて、造血細胞を含む、細胞を単離する方法は、以下で詳細に述べる。
【0097】
本明細書で提供する方法に使用する造血細胞は、実質的に均一な集団、例えば、単一組織供給源に由来する少なくとも約95%、少なくとも約98%もしくは少なくとも約99%の造血細胞を含む集団、または同じ造血細胞関連細胞マーカーを示す造血細胞を含む集団であり得る。例えば、様々な実施形態では、造血細胞は、骨髄、臍帯血、胎盤血、末梢血または胎盤、例えば、胎盤潅流液に由来する少なくとも約95%、98%または99%の造血細胞を含み得る。
【0098】
本明細書で提供する方法に使用する造血細胞は、単一個体から、例えば、単一胎盤から、または複数の個体から得ることができ、例えば、プールすることができる。造血細胞を複数の個体から得て、プールする場合、造血細胞は、同じ組織供給源から得ることができる。したがって、様々な実施形態では、プールされた造血細胞は、すべて胎盤、例えば、胎盤潅流液に、すべて胎盤血に、すべて臍帯血に、すべて末梢血などに由来する。
【0099】
本明細書で開示した方法に使用する造血細胞は、ある特定の実施形態では、2つまたはそれ以上の組織供給源に由来する造血細胞を含む。例えば、ある特定の実施形態では、2つまたはそれ以上の供給源に由来する造血細胞を、本明細書における方法に使用するために合わせる場合、本明細書で述べた3段階法を使用してナチュラルキラー細胞を製造するために使用する複数の造血細胞は、胎盤、例えば、胎盤潅流液に由来する造血細胞を含む。様々な実施形態では、本明細書で述べた3段階法を使用して製造されるNK細胞集団を製造するために使用する造血細胞は、胎盤に由来するおよび臍帯血に由来する;胎盤および末梢血に由来する;胎盤および胎盤血または胎盤および骨髄に由来する造血細胞を含む。一実施形態では、造血細胞は、臍帯血に由来する造血細胞と組み合わされた胎盤潅流液に由来する造血細胞を含み、臍帯血および胎盤は、同じ個体に由来する。すなわち、潅流
液および臍帯血が一致している。造血細胞が2つの組織供給源に由来する造血細胞を含む実施形態では、供給源に由来する造血細胞は、例えば、1:10、2:9、3:8、4:7、5:6、6:5、7:4、8:3、9:2、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1または9:1の比で合わせることができる。
【0100】
4.1.1 胎盤造血幹細胞
ある特定の実施形態では、本明細書で提供する方法に使用する造血細胞は、胎盤造血細胞である。一実施形態では、胎盤造血細胞は、CD34である。具体的な実施形態では、胎盤造血細胞は、主として(例えば、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%)CD34CD38細胞である。別の具体的な実施形態では、胎盤造血細胞は、主として(例えば、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%)CD34CD38細胞である。胎盤造血細胞は、分娩後哺乳類(例えば、ヒト)胎盤から当業者に公知の手段、例えば、潅流により得ることができる。
【0101】
別の実施形態では、胎盤造血細胞は、CD45である。具体的な実施形態では、胎盤造血細胞は、CD34CD45である。別の具体的な実施形態では、胎盤造血細胞は、CD34CD45である。
【0102】
4.2 ナチュラルキラー細胞およびナチュラルキラー細胞集団の製造
本方法によるNK細胞およびNK細胞集団の製造は、造血細胞の集団を増幅することを含む。細胞増幅中、造血細胞集団内の複数の造血細胞がNK細胞に分化する。一態様では、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1培地中で造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34+幹細胞または前駆細胞を培養して、第1細胞集団を製造し、その後、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている第2培地中で前記第1細胞集団を培養して、第2細胞集団を製造し、その後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている第3培地中で前記第2細胞集団を培養して、第3細胞集団を製造するステップを含み、第3細胞集団がCD56+、CD3-であるナチュラルキラー細胞を含み、ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%、例えば、80%がある特定の実施形態で生存している、NK細胞を製造する方法が本明細書で提供され、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD16であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+またはCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94-またはCD16-であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94+およびCD16+であるナチュラルキラー細胞を含む。ある特定の実施形態では、そのようなナチュラルキラー細胞は、CD94-およびCD16-であるナチュラルキラー細胞を含む。
【0103】
4.2.1 3段階法を使用したNK細胞集団の製造
一実施形態では、NK細胞集団を製造する3段階法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、本明細書で述べた3段階法によりNK細胞集団を製造するための、本明細書で述べた、造血細胞の増幅および分化の方法は、1ミリリットル当たり約2x10から約6x10細胞の前記造血細胞を含む細胞集団を維持することステップを含む。ある特定の態様では、前記造血幹細胞または前駆細胞を1x10~1x10細胞/mLで前記第1培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記造血幹細胞または前駆細胞を約3x10細胞/mLで前記第1培地中に最初に接種する。
【0104】
ある特定の態様では、前記第1細胞集団を5x10~5x10細胞/mLで前記第2培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記第1細胞集団を約1x10細胞/mLで前記第2培地中に最初に接種する。
【0105】
ある特定の態様では、前記第2細胞集団を1x10~5x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。ある特定の態様では、前記第2細胞集団を1x10~1x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記第2細胞集団を約5x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。より具体的な態様では、前記第2細胞集団をスピナーフラスコ中で約5x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。具体的な態様では、前記第2細胞集団を約3x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。より具体的な態様では、前記第2細胞集団を静的培養で約3x10細胞/mLで前記第3培地中に最初に接種する。
【0106】
ある特定の実施形態では、3段階法は、例えば、本明細書で述べたように、第1培地中で規定の時間にわたり造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34幹細胞または前駆細胞を培養して、第1細胞集団を製造することを含む第1段階(「段階1」)を含む。ある特定の実施形態では、第1培地は、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む。ある特定の実施形態では、第1培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。具体的な実施形態では、第1培地のそれぞれは、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な実施形態では、第1培地は、添加されるLMWHを欠いている。具体的な実施形態では、第1培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な実施形態では、第1培地は、LMWHを欠いている。具体的な実施形態では、第1培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な実施形態では、第1培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。
【0107】
ある特定の実施形態では、その後、「段階2」において、例えば、本明細書で述べたように、第2培地中で規定の時間にわたり前記細胞を培養して、第2細胞集団を製造する。ある特定の実施形態では、第2培地は、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている。ある特定の実施形態では、第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の実施形態では、第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な実施形態では、第2培地は、添加されるLMWHを欠いている。具体的な実施形態では、第2培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な実施形態では、第2培地は、LMWHを欠いている。具体的な実施形態では、第2培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある特定の実施形態では、第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。
【0108】
ある特定の実施形態では、その後、「段階3」において、例えば、本明細書で述べたように、第3培地中で規定の時間にわたり前記細胞を培養して、第3細胞集団、例えば、ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の実施形態では、第3培地は、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている。ある特定の実施形態では、第3培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の実施形態では、第
3培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な実施形態では、第3培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な実施形態では、第3培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。
【0109】
具体的な実施形態では、3段階法を使用して、NK細胞集団を製造する。ある特定の実施形態では、3段階法は、間質フィーダー細胞支持の非存在下で行われる。ある特定の実施形態では、3段階法は、外から添加されるステロイド(例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾンまたはその誘導体)の非存在下で行われる。
【0110】
ある特定の態様では、3段階法に使用する前記第1培地は、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む。ある特定の態様では、3段階法に使用する第1培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、低分子量ヘパリン(LMWH)、Flt-3リガンド(Flt-3L)、幹細胞因子(SCF)、IL-6、IL-7、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)または顆粒球マクロファージ刺激因子(GM-CSF)のうちの1つまたは複数を含む。ある特定の態様では、3段階法に使用する第1培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、LMWH、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、3段階法に使用する第1培地は、幹細胞動員剤およびTpoに加えて、Flt-3L、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な態様では、第1培地は、添加されるLMWHを欠いている。具体的な態様では、第1培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な態様では、第1培地は、LMWHを欠いている。具体的な態様では、第1培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある特定の態様では、前記Tpoは、1ng/mL~100ng/mL、1ng/mL~50ng/mL、20ng/mL~30ng/mLまたは約25ng/mLの濃度で第1培地中に存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、LMWHは、1U/mL~10U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、LMWHは、4U/mL~5U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、LMWHは、約4.5U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25
ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第1培地中に、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第1培地は、以下、ゲンタマイシンのような抗生物質;トランスフェリン、インスリンおよび/またはベータ-メルカプトエタノールのような抗酸化物質;亜セレン酸ナトリウム;アスコルビン酸;エタノールアミン;ならびにグルタチオンのうちの1つまたは複数をさらに含む。ある特定の実施形態では、第1培地の主成分となる培地は、当業者に公知の細胞/組織培養培地、例えば、SCGM(商標)、STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO
COMPLETE(商標)、DMEM:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1640のような市販の細胞/組織培養培地;またはGBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1640に含まれている成分のような、公知の細胞/組織培養培地に一般的に含まれている成分を含む培地である。ある特定の実施形態では、前記第1培地は、GBGM(登録商標)でない。
【0111】
ある特定の態様では、3段階法に使用する前記第2培地は、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に使用する第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の実施形態では、3段階法に使用する第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、3段階法に使用する第2培地は、幹細胞動員剤およびIL-15に加えて、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。具体的な態様では、第2培地は、添加されるLMWHを欠いている。具体的な態様では、第2培地は、添加される脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。具体的な態様では、第2培地は、LMWHを欠いている。具体的な態様では、第2培地は、脱硫酸化グリコサミノグリカンを欠いている。ある特定の態様では、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mL、10ng/mL~30ng/mLまたは約20ng/mLの濃度で前記第2培地中に存在する。ある特定の態様では、前記第2培地中に、LMWHは、1U/mL~10U/mLの濃度で存在し、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、前記第2培地中に、Flt-3Lは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、
GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、LMWHは、4U/mL~5U/mLの濃度で第2培地中に存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、LMWHは、4U/mL~5U/mLの濃度で第2培地中に存在し、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、Flt-3Lは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、LMWHは、約4.5U/mLの濃度で第2培地中に存在し、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、第2培地中に、Flt-3Lは、約25ng/mLの濃度で存在し、SCFは、約27ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約25ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、約0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第2培地は、以下、ゲンタマイシンのような抗生物質;トランスフェリン、インスリンおよび/またはベータ-メルカプトエタノールのような抗酸化物質;亜セレン酸ナトリウム;アスコルビン酸;エタノールアミン;ならびにグルタチオンのうちの1つまたは複数をさらに含む。ある特定の実施形態では、第2培地の主成分となる培地は、当業者に公知の細胞/組織培養培地、例えば、SCGM(商標)、STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1640のような市販の細胞/組織培養培地;またはGBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1640に含まれている成分のような、公知の細胞/組織培養培地に一般的に含まれている成分を含む
培地である。ある特定の実施形態では、前記第2培地は、GBGM(登録商標)でない。
【0112】
ある特定の実施形態では、3段階法に使用される第3培地は、 を含む培地を含む。ある特定の実施形態では、3段階法に使用される前記第3培地は、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている。ある特定の態様では、3段階法に使用される第3培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFまたはGM-CSFのうちの1つまたは複数を含む。ある特定の態様では、3段階法に使用される第3培地は、IL-2およびIL-15に加えて、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよびGM-CSFのそれぞれを含む。ある特定の態様では、前記IL-2は、10U/mL~10,000U/mLの濃度で前記第3培地中に存在し、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で前記第3培地中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、100U/mL~10,000U/mLの濃度で前記第3培地中に存在し、前記IL-15は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で前記第3培地中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、300U/mL~3,000U/mLの濃度で前記第3培地中に存在し、前記IL-15は、10ng/mL~30ng/mLの濃度で前記第3培地中に存在する。ある特定の態様では、前記IL-2は、約1,000U/mLの濃度で前記第3培地中に存在し、前記IL-15は、約20ng/mLの濃度で前記第3培地中に存在する。ある特定の態様では、前記第3培地中に、SCFは、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.01ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、1ng/mL~50ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.01ng/mL~0.50ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.1ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、前記第3培地中に、SCFは、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、0.04ng/mL~0.06ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、20ng/mL~30ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、0.20ng/mL~0.30ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.005ng/mL~0.5ng/mLの濃度で存在する。ある特定の態様では、前記第3培地中に、SCFは、約22ng/mLの濃度で存在し、IL-6は、約0.05ng/mLの濃度で存在し、IL-7は、約20ng/mLの濃度で存在し、G-CSFは、約0.25ng/mLの濃度で存在し、GM-CSFは、0.01ng/mLの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、前記第3培地は、以下、ゲンタマイシンのような抗生物質;トランスフェリン、インスリンおよび/またはベータ-メルカプトエタノールのような抗酸化物質;亜セレン酸ナトリウム;アスコルビン酸;エタノールアミン;ならびにグルタチオンのうちの1つまたは複数をさらに含む。ある特定の実施形態では、第3培地の主成分となる培地は、当業者に公知の細胞/組織培養培地、例えば、SCGM(商標)、STEMMACS(商標)、GBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1640のような市販の細胞/組織培養培地;またはGBGM(登録商標)、AIM-V(登録商標)、X-VIVO(商標)10、X-VIVO(商標)15、OPTMIZER、STEMSPAN(登録商標)H3000、CELLGRO COMPLETE(商標)、DMEM:Ham’s F12(「F12」)(例えば、2:1比、または高グルコースもしくは低グルコースDMEM)、Advanced DMEM(Gibco)、EL08-1D2、Myelocult(商標)H5100、IMDMおよび/もしくはRPMI-1640に含まれている成分のような、公知の細胞/組織培養培地に一般的に含まれている成分を含む培地である。ある特定の実施形態では、前記第3培地は、GBGM(登録商標)でない。
【0113】
一般的に、個別に列挙する培地成分は、前記培地の組成不明の成分中の可能な成分を指すものでない。例えば、前記Tpo、IL-2およびIL-15は、第1培地、第2培地または第3培地の組成不明の成分中に含まれない、例えば、前記Tpo、IL-2およびIL-15は、血清中に含まれない。さらに、前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/またはGM-CSFは、第1培地、第2培地または第3培地の組成不明の成分中に含まれない、例えば、前記LMWH、Flt-3、SCF、IL-6、IL-7、G-CSFおよび/またはGM-CSFは、血清中に含まれない。
【0114】
ある特定の態様では、前記第1培地、第2培地または第3培地は、ヒト血清ABを含む。ある特定の態様では、前記第1培地、第2培地または第3培地のいずれも、1%~20%のヒト血清AB、5%~15%のヒト血清ABまたは約2、5もしくは10%のヒト血清ABを含む。
【0115】
本明細書で述べた3段階法における、ある特定の実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞を前記第1培地中で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20日間培養する。本明細書で述べた3段階法における、ある特定の実施形態では、細胞を前記第2培地中で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20日間培養する。本明細書で述べた3段階法における、ある特定の実施形態では、細胞を前記第3培地中で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30日間または30日を超える期間にわたり培養する。
【0116】
本明細書で述べた3段階法における、具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞を、前記第2培地中で前記培養するステップの前に、前記第1培地中で7~13日間培養して、第1細胞集団を製造し;前記第1細胞集団を、前記第3培地中で前記培養するステップの前に前記第2培地中で2~6日間培養して、第2細胞集団を製造し;前記第2細胞集団を前記第3培地中で10~30日間培養する、すなわち、細胞を合計19~49日間培養する。
【0117】
本明細書で述べた3段階法における、具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞を、前記第2培地中で前記培養するステップの前に、前記第1培地中で8~12日間培養して、第1細胞集団を製造し;前記第1細胞集団を、前記第3培地中で前記培養するステップの前に前記第2培地中で3~5日間培養して、第2細胞集団を製造し;前記第2細胞集団を前記第3培地中で15~25日間培養する、すなわち、細胞を合計26~42日間培養する。
【0118】
本明細書で述べた3段階法における、具体的な実施形態では、前記造血幹細胞または前駆細胞を、前記第2培地中で前記培養するステップの前に、前記第1培地中で約10日間培養して、第1細胞集団を製造し;前記第1細胞集団を、前記第3培地中で前記培養するステップの前に前記第2培地中で約4日間培養して、第2細胞集団を製造し;前記第2細胞集団を前記第3培地中で約21日間培養する、すなわち、細胞を合計約35日間培養する。
【0119】
ある特定の態様では、本明細書で開示する3段階法は、前記第1培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも5000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも10,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と
比較して少なくとも50,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、前記3段階法は、前記第1培地中に最初に接種された造血幹細胞の数と比較して少なくとも75,000倍多いナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率を7-アミノアクチノマイシンD(7AAD)染色により決定する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率をアネキシンV染色により決定する。具体的な態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率を7AAD染色およびアネキシンV染色の両方により決定する。ある特定の態様では、前記ナチュラルキラー細胞の生存率をトリパンブルー染色により決定する。
【0120】
ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも70%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含むナチュラルキラー細胞を製造する。
【0121】
ある特定の態様では、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも20%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも35%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも45%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも60%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。ある特定の態様では、3段階法は、ナチュラルキラー細胞およびK562細胞を10:1の比でin vitroで共培養した場合、前記K562細胞に対して少なくとも75%の細胞傷害性を示す前記ナチュラルキラー細胞を製造する。
【0122】
ある特定の態様では、前記第3培養するステップの後、前記第3細胞集団、例えば、ナチュラルキラー前記細胞集団を凍結保存する。
【0123】
ある特定の態様では、ナチュラルキラー細胞、すなわち、本明細書で述べた3段階法により製造されたナチュラルキラー細胞を含む細胞の集団が本明細書で提供される。したがって、本明細書で述べた3段階法により製造された単離ナチュラルキラー細胞集団が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも20%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも40%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも60%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくとも80%のCD56+CD3-ナチュラルキラー細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくも60%のCD16-細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくも80%のCD16-細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくも20%のCD94+細胞を含む。具体的な実施形態では、前記ナチュラルキラー細胞集団は、少なくも40%のCD94+細胞を含む。
【0124】
4.3. 幹細胞動員因子
4.3.1.化学定義
本明細書に記載の幹細胞動員因子についての開示の理解を補助するために、多数の用語が下段にて定義される。
【0125】
一般に、本明細書で使用される命名法、ならびに本明細書に記載の生物学、細胞生物学、生化学、有機化学、医化学および薬理学に関する実験手順は、当技術分野において周知の、一般に用いられているものである。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての専門および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を一般に有する。
【0126】
用語「約」または「おおよそ」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差を意味し、前記誤差は、前記値が測定または決定される方法に一部依存する。ある特定の実施形態では、用語「約」または「おおよそ」は、1、2、3または4標準偏差内を意味する。ある特定の実施形態では、用語「約」または「おおよそ」は、所定の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.05%以内を意味する。
【0127】
用語「アリール炭化水素受容体」または「AHR」は、ヒトにおけるAHR遺伝子によりコードされているタンパク質、またはその変異体(例えば、GenBank受託番号P35869.2およびAAH70080.1を参照されたい)を意味する。
【0128】
用語「アリール炭化水素受容体アンタゴニスト」、「AHRアンタゴニスト」、「アリール炭化水素受容体阻害剤」、または「AHR阻害剤」は、アリール炭化水素受容体の活性をダウンレギュレートするまたは低下させる化合物を意味する。
【0129】
用語「アルキル」は、直鎖状のまたは分岐した飽和一価炭化水素ラジカルを意味し、ここでのアルキルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。用語「アルキル」はまた、別段の規定がない限り、直鎖状アルキルと分岐アルキルの両方を包含する。ある特定の実施形態では、アルキルは、炭素原子1~20個(C1~20)、1~15個(C1~15)、1~10個(C1~10)、もしくは1~6個(C1~6)を有する直鎖状の飽和一価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した飽和一価炭化水素ラジカルである。本明細書で使用される直鎖状C1~6および分岐C3-6アルキル基は、「低級アルキル」とも呼ばれる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(すべての異性体型を含む)、n-プロピル、イソプロピル、ブチル(すべての異性体型を含む)、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル(すべての異性体型を含む)、およびヘキシル(すべての異性体型を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C1~6アルキルは、炭素原子1~6個の直鎖状の飽和一価炭化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。
【0130】
用語「アルキレン」は、直鎖状のまたは分岐した飽和二価炭化水素ラジカルを意味し、ここでのアルキレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。例えば、C1~6アルキレンは、炭素原子1~6個の直鎖状の飽和二価炭化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した飽和二価炭化水素ラジカルを意味する。ある特定の実施形態では、アルキレンは、炭素原子1~20個(C1~20)、1~15個(C1~15)、1~10個(C1~10)、もしくは1~6個(C1~6)を有する直鎖状の飽和二価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~2
)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した飽和二価炭化水素ラジカルである。本明細書で使用される直鎖状C1~6および分岐C3~6アルキレン基は、「低級アルキレン」とも呼ばれる。アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン(すべての異性体型を含む)、n-プロピレン、イソプロピレン、ブチレン(すべての異性体型を含む)、n-ブチレン、イソブチレン、t-ブチレン、ペンチレン(すべての異性体型を含む)、およびヘキシレン(すべての異性体型を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
用語「アルケニル」は、1つまたは複数、一実施形態では1、2、3、4または5つ、別の実施形態では1つの炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状のまたは分岐した一価炭化水素ラジカルを意味する。アルケニルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。用語「アルケニル」は、当業者により認識されているように、「シス」および「トランス」立体配置、または代替的に、「Z」および「E」立体配置を有すラジカルも包含する。本明細書で使用される用語「アルケニル」はまた、別段の規定がない限り、直鎖状アルケニルと分岐アルケニルの両方を包含する。例えば、C2~6アルケニルは、炭素原子2~6個の直鎖状の不飽和一価炭化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した不飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。ある特定の実施形態では、アルケニルは、炭素原子2~20個(C2~20)、2~15個(C2~15)、2~10個(C2~10)、もしくは2~6個(C2~6)の直鎖状の一価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した一価炭化水素ラジカルである。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、アリル、ブテニル、および4-メチルブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
用語「アルケニレン」は、1つまたは複数、一実施形態では1~5つ、別の実施形態では1つの炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状のまたは分岐した二価炭化水素ラジカルを意味する。アルケニレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。用語「アルケニレン」は、当業者により認識されているように、「シス」もしくは「トランス」立体配置もしくはこれらの混合配置、または代替的に、「Z」もしくは「E」立体配置もしくはこれらの混合配置を有すラジカルを包含する。例えば、C2~6アルケニレンは、炭素原子2~6個の直鎖状の不飽和二価炭化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した不飽和二価炭化水素ラジカルを意味する。ある特定の実施形態では、アルケニレンは、炭素原子2~20個(C2~20)、2~15個(C2~15)、2~10個(C2~10)、もしくは2~6個(C2~6)の直鎖状の二価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した二価炭化水素ラジカルである。アルケニレン基の例としては、エテニレン、アリレン、プロペニレン、ブテニレン、および4-メチルブテニレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
用語「アルキニル」は、1つまたは複数、一実施形態では1、2、3、4または5つ、別の実施形態では1つの炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖状のまたは分岐した一価炭化水素ラジカルを意味する。アルキニルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。用語「アルキニル」はまた、別段の規定がない限り、直鎖状アルキニルと分岐アルキニルの両方を包含する。ある特定の実施形態では、アルキニルは、炭素原子2~20個(C2~20)、2~15個(C2~15)、2~10個(C2~10)、もしくは2~6個(C2~6)の直鎖状の一価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~5)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した一価炭化水素ラジカルである。ア
ルキニル基の例としては、エチニル(-C≡CH)およびプロパルギル(-CHC≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、C2~6アルキニルは、炭素原子2~6個の直鎖状の不飽和一価炭化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した不飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。
【0134】
用語「アルキニレン」は、1つまたは複数、一実施形態では1~5つ、別の実施形態では1つの炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖状のまたは分岐した二価炭化水素ラジカルを意味する。アルキニレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。例えば、C2~6アルキニレンは、炭素原子2~6個の直鎖状の不飽和二価炭化水素ラジカル、または炭素原子3~6個の分岐した不飽和二価炭化水素ラジカルを意味する。ある特定の実施形態では、アルキニレンは、炭素原子2~20個(C2~20)、2~15個(C2~15)、2~10個(C2~10)、もしくは2~6個(C2~6)の直鎖状の二価炭化水素ラジカルであるか、または炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、もしくは3~6個(C3~6)の分岐した二価炭化水素ラジカルである。アルキニレン基の例としては、エチニレン、プロピニレン(すべての異性体型、例えば、1-プロピニレンおよびプロパルギレンを含む)、ブチニレン(すべての異性体型、例えば、1-ブチン-1-イレンおよび2-ブチン-1-イレンを含む)、ペンチニレン(すべての異性体型、例えば、1-ペンチン-1-イレンおよび1-メチル-2-ブチン-1-イレンを含む)、およびヘキシニレン(すべての異性体型、例えば、1-ヘキシン-1-イレンを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
用語「シクロアルキル」は、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている、環式飽和または非芳香族不飽和、架橋または非架橋一価炭化水素ラジカルを意味する。ある特定の実施形態では、シクロアルキルは、環式不飽和架橋または非架橋一価炭化水素ラジカルである。ある特定の実施形態では、シクロアルキルは、炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、または3~7個(C3~7)を有する。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカリニル、およびアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
用語「シクロアルキレン」は、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている、環式二価炭化水素ラジカルを意味する。一実施形態では、シクロアルキル基は、飽和している、もしくは不飽和だが非芳香族の、および/または架橋している、および/もしくは非架橋の、および/または縮合している二環式の基である。ある特定の実施形態では、シクロアルキレンは、炭素原子3~20個(C3~20)、3~15個(C3~15)、3~10個(C3~10)、または3~7個(C3~7)を有する。シクロアルキレン基の例としては、シクロプロピレン(例えば、1,1-シクロプロピレンおよび1,2-シクロプロピレン)、シクロブチレン(例えば、1,1-シクロブチレン、1,2-シクロブチレン、または1,3-シクロブチレン)、シクロペンチレン(例えば、1,1-シクロペンチレン、1,2-シクロペンチレン、または1,3-シクロペンチレン)、シクロヘキシレン(例えば、1,1-シクロヘキシレン、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、または1,4-シクロヘキシレン)、シクロヘプチレン(例えば、1,1-シクロヘプチレン、1,2-シクロヘプチレン、1,3-シクロヘプチレン、または1,4-シクロヘプチレン)、デカリニレン、およびアダマンチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
用語「アリール」は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含有する、単環式芳香族炭素環基および/または多環式一価芳香族炭素環基を意味する。ある特定の実施形態では、
アリールは、環原子6~20個(C6~20)、6~15個(C6~15)、または6~10個(C6~10)を有する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル、およびテルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、用語「アリール」は、環の1つが芳香族であり、その他が、飽和されていてもよく、部分不飽和であってもよく、または芳香族であってよい、二環式または三環式炭素環、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、またはテトラヒドロナフチル(テトラリニル)を意味する。アリールは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0138】
用語「アリーレン」は、少なくとも1つの芳香族炭素環を含有する、二価単環式芳香族基および/または二価多環式芳香族基を意味する。ある特定の実施形態では、アリーレンは、環原子6~20個(C6~20)、6~15個(C6~15)、または6~10個(C6~10)を有する。アリーレン基の例としては、フェニレン、ナフチレン、フルオレニレン、アズレニレン、アントリレン、フェナントリレン、ピレニレン、ビフェニレン、およびテルフェニレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリーレンはまた、環の1つが芳香族であり、その他が、飽和されていてもよく、部分不飽和であってもよく、または芳香族であってよい、二環式または三環式炭素環、例えば、ジヒドロナフチレン、インデニレン、インダニレン、またはテトラヒドロナフチレン(テトラリニレン)を意味する。アリーレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0139】
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、1つまたは複数のアリール基で置換されている一価アルキル基を意味する。ある特定の実施形態では、アラルキルは、炭素原子7~30個(C7~30)、7~20個(C7~20)、または7~16個(C7~16)を有する。アラルキル基の例としては、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、および3-フェニルプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。アラルキルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0140】
用語「ヘテロアリール」は、各々がO、S、NおよびPから独立に選択される1個または複数のヘテロ原子を環内に含有する少なくとも1つの芳香族環を含有する一価単環式芳香族基または一価多環式芳香族基を意味する。明確にするために、本明細書で使用される用語「アリール」および「ヘテロアリール」は相互排他的である、すなわち、「アリール」基は「ヘテロアリール」基を含まず、逆もまた同様である。ヘテロアリール基は、その芳香族環によって分子の残部に結合している。ヘテロアリール基の各環は、1もしくは2個のO原子、1もしくは2個のS原子、1~4個のN原子、および/または1もしくは2個のP原子を含有することができるが、ただし、各環内のヘテロ原子の総数が4以下であること、および各環が少なくとも1個の炭素原子を含有することを条件とする。ある特定の実施形態では、ヘテロアリールは、5~20個、5~15個、または5~10個の環原子を有する。単環式ヘテロアリール基の例としては、フラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、テトラゾリル、トリアジニル、およびトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フロピリジル、イミダゾピリジニル、イミダゾチアゾリル、インドリジニル、インドリル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサゾロピリジニル、フタラジニル、プテリ
ジニル、プリニル、ピリドピリジル、ピロロピリジル、キノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、チアジアゾロピリミジル、およびチエノピリジルが挙げられるが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリール基の例としては、アクリジニル、ベンゾインドリル、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナントリジニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、およびキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0141】
用語「ヘテロアリーレン」は、O、SおよびNから独立に選択される1個または複数のヘテロ原子を環内に含有する少なくとも1つの芳香族環を含有する二価単環式芳香族基または二価多環式芳香族基を意味する。明確にするために、本明細書で使用される用語「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は相互排他的である、すなわち、「アリーレン」基は「ヘテロアリーレン」基を含まず、逆もまた同様である。ヘテロアリーレン基は、その芳香族環によって分子の残部に結合している。ヘテロアリーレン基の各環は、1もしくは2個のO原子、1もしくは2個のS原子、および/または1~4個のN原子を含有することができるが、ただし、各環内のヘテロ原子の総数が4以下であること、および各環が少なくとも1個の炭素原子を含有することを条件とする。ある特定の実施形態では、ヘテロアリーレンは、5~20個、5~15個、または5~10個の環原子を有する。単環式ヘテロアリーレン基の例としては、フラニレン、イミダゾリレン、イソチアゾリレン、イソオキサゾリレン、オキサジアゾリレン、オキサジアゾリレン、オキサゾリレン、ピラジニレン、ピラゾリレン、ピリダジニレン、ピリジレン、ピリミジニレン、ピロリレン、チアジアゾリレン、チアゾリレン、チエニレン、テトラゾリレン、トリアジニレン、およびトリアゾリレンが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリーレン基の例としては、ベンゾフラニレン、ベンゾイミダゾリレン、ベンゾイソオキサゾリレン、ベンゾピラニレン、ベンゾチアジアゾリレン、ベンゾチアゾリレン、ベンゾチエニレン、ベンゾトリアゾリレン、ベンゾオキサゾリレン、フロピリジレン、イミダゾピリジニレン、イミダゾチアゾリレン、インドリジニレン、インドリレン、インダゾリレン、イソベンゾフラニレン、イソベンゾチエニレン、イソインドリレン、イソキノリニレン、イソチアゾリレン、ナフチリジニレン、オキサゾロピリジニレン、フタラジニレン、プテリヂニレン、プリニレン、ピリドピリジレン、ピロロピリジレン、キノリニレン、キノキサリニレン、キナゾリニレン、チアジアゾロピリミジレン、およびチエノピリジレンが挙げられるが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリーレン基の例としては、アクリジニレン、ベンゾインドリレン、カルバゾリレン、ジベンゾフラニレン、ペリミジニレン、フェナントロリニレン、フェナントリジニレン、フェナルサジニレン、フェナジニレン、フェノチアジニレン、フェノキサジニレン、およびキサンテニレンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリーレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0142】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、非芳香族環原子の1個または複数がヘテロ原子であり、これらのヘテロ原子の各々が、O、S、NおよびPから独立に選択され、残りの環原子が炭素原子である少なくとも1つの非芳香族環を含有する一価単環式非芳香族環系または一価多環式環系を意味する。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリルまたは複素環式基は、3~20個、3~15個、3~10個、3~8個、4~7個、または5~6個の環原子を有する。ヘテロシクリル基は、その非芳香族環によって分子の残部に結合している。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリルは、スピロであってもよく、縮合していてもよく、または架橋していてもよい、単環式、二環式、三環式、または四環式環系であり、ここで、窒素または硫黄原子が任意選択で酸化されていてもよく、窒素原子が任意選択で四級化されていてもよく、一部の環が部分的にもしくは完全に飽和していてもよく、または芳香族であってもよい。ヘテロシクリルは、安定した化合物を生じさせる結果となるいずれのヘテロ原子または炭素原子で主構造に結合していてもよい。複素環式
基の例としては、アゼピニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラノニル、ベンゾピラノニル、ベンゾピラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾオキサジニル、β-カルボリニル、クロマニル、クロモニル、シンノリニル、クマリニル、デカヒドロイソキノリニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソオキサジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジオキソラニル、1,4-ジチアニル、フラノニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、オキサゾリジノニル、オキサゾリジニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロロリジニル、ピロロリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアモルホリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロキノリニル、および1,3,5-トリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0143】
用語「ヘテロシクリレン」は、非芳香族環原子の1個または複数が、O、SおよびNから独立に選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である少なくとも1つの非芳香族環を含有する二価単環式非芳香族環系または二価多環式環系を意味する。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリレン基は、3~20個、3~15個、3~10個、3~8個、4~7個、または5~6個の環原子を有する。ある特定の実施形態では、ヘテロシクリレンは、縮合または架橋していてもよい、単環式、二環式、三環式、または四環式環系であり、ここで、窒素または硫黄原子が任意選択で酸化されていてもよく、窒素原子が任意選択で四級化されていてもよく、一部の環が部分的にもしくは完全に飽和されていてもよく、または芳香族であってもよい。ヘテロシクリレンは、安定した化合物を生じさせる結果となるいずれのヘテロ原子または炭素原子で主構造に結合していてもよい。そのようなヘテロシクリレン基の例としては、アゼピニレン、ベンゾジオキサニレン、ベンゾジオキソリレン、ベンゾフラノニレン、ベンゾピラノニレン、ベンゾピラニレン、ベンゾテトラヒドロフラニレン、ベンゾテトラヒドロチエニレン、ベンゾチオピラニレン、ベンゾキサジニレン、β-カルボニレン、クロマニレン、クロモニレン、シンノリニレン、クマリニレン、デカヒドロイソキノリニレン、ジヒドロベンゾイソチアジニレン、ジヒドロベンゾイソオキサジニレン、ジヒドロフリレン、ジヒドロイソインドリレン、ジヒドロピラニレン、ジヒドロピラゾリレン、ジヒドロピラジニレン、ジヒドロピリジニレン、ジヒドロピリミジニレン、ジヒドロピロリレン、ジオキソラニリレン、1,4-ジチアニレン、フラノニレン、イミダゾリジニレン、イミダゾリニレン、インドリニレン、イソベンゾテトラヒドロフラニレン、イソベンゾテトラヒドロチエニレン、イソクロマニレン、イソクマリニレン、イソインドリニレン、イソチアゾリジニレン、イソオキサゾリジニレン、モルホリニレン、オクタヒドロインドリレン、オクタヒドロイソインドリレン、オキサゾリジノニレン、オキサゾリジニレン、オキシラニレン、ピペラジニレン、ピペリジニレン、4-ピペリドニレン、ピラゾリジニレン、ピラゾリニレン、ピロリジニレン、ピロリニレン、キヌクリジニレン、テトラヒドロフリレン、テトラヒドロイソキノリニレン、テトラヒドロピラニレン、テトラヒドロチエニレン、チアモルホリニレン、チアゾリジニレン、テトラヒドロキノリニレン、および1,3,5-トリチアニレンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリレンは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0144】
用語「ハロゲン」、「ハロゲン化物」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素を意味する。
【0145】
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数、一実施形態では1、2または3つのハロ基で置換されているアルキル基を意味し、この場合のアルキルは、本明細書で定義される通りである。ハロアルキルは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0146】
用語「アルコキシ」は、-O-アルキルを意味し、この場合のアルキルは、本明細書で定義される通りである。
【0147】
用語「ハロアルコキシ」は、-O-ハロアルキルを意味し、この場合のハロアルキルは、本明細書で定義される通りである。
【0148】
用語「任意選択で置換されている」は、基または置換基、例えば、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、アリール、アリーレン、アラルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリレン基が、1つまたは複数の置換基Qで置換されていてもよいことを意味することを意図したものであり、前記1つまたは複数の置換基Qの各々は、例えば、(a)オキソ(=O)、シアノ(-CN)、ハロ、およびニトロ(-NO)、(b)C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル[これらの各々は、1つまたは複数の、一実施形態では1、2、3、4もしくは5つの置換基Qで、さらに任意選択で置換されている]、ならびに(c)-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(NR)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、-OC(O)NR、-OC(=NR)NR、-OS(O)R、-OS(O)、-OS(O)NR、-OS(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-NRC(=NR)NR、-NRS(O)R、-NRS(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)NR、-P(O)R、-P(O)(OR)R、-P(O)(OR)(OR)、-SR、-S(O)R、-S(O)、-S(O)NR、および-S(O)NR[これらの式中の各R、R、R、およびRは、独立に、(i)水素であるか、(ii)C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリル(これらの各々は、1つまたは複数、一実施形態では1、2、3もしくは4つの置換基Qで任意選択で置換されている)であり、または(iii)RおよびRは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成し、前記ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルの各々は、1つまたは複数の、一実施形態では1、2、3もしくは4つの置換基Qで、任意選択で置換されている]から独立に選択される。本明細書で使用される、置換されていてもよい本明細書に記載のすべての基は、別段の規定がない限り、「任意選択で置換されている」。
【0149】
一実施形態では、各置換基Qは、(a)オキソ、シアノ、ハロ、およびニトロ;ならびに(b)C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル;ならびに(c)-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(NR)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、-OC(O)NR、-OC(=NR)NR、-OS(O)R、-OS(O)、-OS(O)NR、-OS(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-NRC(
=NR)NR、-NRS(O)R、-NRS(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)NR、-P(O)R、-P(O)(OR)R、-P(O)(OR)(OR)、-SR、-S(O)R、-S(O)、-S(O)NR、および-S(O)NR[これらの式中の各R、R、R、およびRは、独立に、(i)水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか、または(ii)RおよびRは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリルを形成する]からなる群から独立に選択される。
【0150】
ある特定の実施形態では、「光学活性の」および「鏡像異性的に活性の」は、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、または約99.8%以上の鏡像体過剰率を有する分子の一群を意味する。ある特定の実施形態では、化合物は、問題の2つの鏡像異性体の総重量に基づいて約95%以上の望ましい鏡像異性体と約5%以下の然程好ましくない鏡像異性体とを含む。
【0151】
光学活性化合物を記載する際、光学活性化合物のそのキラル中心の周りの絶対配置を示すために、接頭語RおよびSが使用される。(+)および(-)は、光学活性化合物の旋光性、すなわち、偏光面が光学活性化合物により回転される方向を示すために使用される。(-)という接頭語は、光学活性化合物が左旋性であること、すなわち、前記化合物が偏光面を左にまたは反時計回りに回転させることを示す。(+)という接頭語は、光学活性化合物が右旋性であること、すなわち、前記化合物が偏光面を右にまたは時計回りに回転させることを示す。しかし、旋光性の符号、(+)および(-)は、化合物の絶対配置、RおよびSとは無関係である。
【0152】
用語「同位体異型」は、化合物を構成する原子のうちの1個または複数に関して非天然の同位体比率を有する当該化合物を意味する。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、水素(H)、重水素(H)、三重水素(H)、炭素11(11C)、炭素12(12C)、炭素13(13C)、炭素14(14C)、窒素13(13N)、窒素14(14N)、窒素15(15N)、酸素14(14O)、酸素15(15O)、酸素16(16O)、酸素17(17O)、酸素18(18O)、フッ素17(17F)、フッ素18(18F)、リン31(31P)、リン32(32P)、リン33(33P)、硫黄32(32S)、硫黄33(33S)、硫黄34(34S)、硫黄35(35S)、硫黄36(36S)、塩素35(35Cl)、塩素36(36Cl)、塩素37(37Cl)、臭素79(79Br)、臭素81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素125(125I)、ヨウ素127(127I)、ヨウ素129(129I)およびヨウ素131(131I)を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の同位体の非天然比率を有する。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、安定した形態、すなわち、非放射性である。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、水素(H)、重水素(H)、炭素12(12C)、炭素13(13C)、窒素14(14N)、窒素15(15N)、酸素16(16O)、酸素17(17O)、酸素18(18O)、フッ素17(17F)、リン31(31P)、硫黄32(32S)、硫黄33(33S)、硫黄34(34S)、硫黄36(36S)、塩素35(35Cl)、塩素37(37Cl)、臭素79(79Br)、臭素81(81Br)およびヨウ素127(127I)を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の同位体の非天然比率を有する。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、不安定な形態、すなわち、放射性である。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、三重水素(H)、炭素11(11C)、炭素14(14C)、窒素13(13N)、酸素14(14O)、酸素
15(15O)、フッ素18(18F)、リン32(32P)、リン33(33P)、硫黄35(35S)、塩素36(36Cl)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素125(125I)、ヨウ素129(129I)およびヨウ素131(131I)を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の同位体の非天然比率を有する。当業者の判断に従って実行可能な場合、本明細書で提供されるような化合物中の、いずれの水素が例えばHであってもよく、またはいずれの炭素が例えば13Cであってもよく、またはいずれの窒素が例えば15Nであってもよく、またはいずれの酸素が例えば18Oであってもよいことは、理解されるであろう。ある特定の実施形態では、化合物の「同位体異型」は、重水素(D)の非天然比率を有する。
【0153】
用語「溶媒和物」は、溶質、例えば本明細書で提供される化合物、の1つまたは複数の分子と溶媒の1つまたは複数の分子とで形成された、化学量論量もしくは非化学量論量で存在する、複合体または凝集体を意味する。好適な溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールおよび酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容されるものである。一実施形態では、複合体または凝集体は、結晶形態である。別の実施形態では、複合体または凝集体は、非結晶形態である。溶媒が水である場合、溶媒和物は、水和物である。水和物の例としては、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、および五水和物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
句「その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ」は、句「(i)その中で言及されている化合物の鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしく同位体異型、(ii)その中で言及されている化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ、または(iii)その中で言及されている化合物の鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型の、薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグ」と同じ意味を有する。
【0155】
4.3.2.幹細胞動員化合物
一実施形態では、幹細胞動員化合物は、アリール炭化水素受容体阻害剤、例えば、アリール炭化水素受容体アンタゴニストである。
【0156】
別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、(特許文献1)、(特許文献2)および(特許文献3)に記載されているものを含むがこれらに限定されない、5,6-縮合ヘテロアリール化合物であり、前記特許文献の各々についての開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0157】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式Iの化合物:
【0158】
【化5】
(I)
(式中、
は、NおよびCRであり、
、G、およびGは、各々独立に、CHおよびNであり、ただし、GおよびGの少なくとも一方がNであり、GおよびGの少なくとも一方がNでないことを条件とし、
は、-NR1a-、-NR1a(CH1~3-、-NR1aCH(C(O)OCH)CH-、-NR1a(CHNR1c-、-NR1a(CHS-、-NR1aCHCH(CH)CH-、-NR1aCHCH(OH)-、または-NR1aCH(CH)CH-であり、
は、(i)水素であるか、または(ii)フェニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チエニル、チアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾイミダゾリル、イソキノリニル、イミダゾピリジニルもしくはベンゾチエニル(これらの各々は、1、2もしくは3つの置換基により任意選択で置換されており、この場合の各置換基は、独立に、シアノ、ハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1a1b、-SR1a、-S(O)R1a、もしくは-S(O)1aである)であり、
は、(i)-NR1aC(O)R1c、-NR1cC(O)NR1a1b、もしくは-S(O)NR1a1bであるか、または(ii)フェニル、ピロロピリジン-3-イル、インドリル、チエニル、ピリジニル、1,2,4-トリアゾリル、2-オキソイミダゾリジニル、ピラゾリル、2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリル、もしくはインダゾリル(これらの各々は、1、2または3つの置換基で任意選択で置換されており、この場合の各置換基は、独立に、ヒドロキシル、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、-O(CH1~3NR1a1b、-OS(O)NR1a1b、-NR1aS(O)1b、もしくは-S(O)NR1a1bである)であり、
は、水素、C1~4アルキル、またはビフェニルであり、ただし、RおよびRの少なくとも一方が水素でないことを条件とし、
は、C1~10アルキル、プロパ-1-エン-2-イル、シクロヘキシル、シクロプロピル、2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチル、オキセタン-3-イル、ベンズヒドリル、テトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル、フェニル、テトラヒドロフラン-3-イル、ベンジル、(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチル、または1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルであり、これらの各々は、1、2もしくは3つの置換基で任意選択で置換されており、この場合の各置換基は、独立に、ヒドロキシル、C1~4アルキル、またはC1~4ハロアルキルであり、ならびに
各R1a、R1bおよびR1cは、独立に、水素もしくはC1~4アルキルであるか、またはR1aおよびR1bは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成する)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0159】
一実施形態では、式I中、Gは、CR、一実施形態ではCHであり、G、GおよびGは、各々Nであり、ならびにR、R、R、RおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0160】
別の実施形態では、式I中、G、GおよびGは、各々Nであり、Gは、CHであり、ならびにR、R、RおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0161】
さらに別の実施形態では、式I中、Gは、CR、一実施形態ではCHであり、G
およびGは、各々Nであり、Gは、CHであり、ならびにR、R、R、RおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0162】
さらに別の実施形態では、式I中、Gは、CR、一実施形態ではCHであり、GおよびGは、各々Nであり、Gは、CHであり、ならびにR、R、R、RおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0163】
さらに別の実施形態では、式I中、Gは、CR、一実施形態ではCHであり、Gは、CHであり、GおよびGは、各々Nであり、ならびにR、R、R、RおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0164】
さらに実施形態では、式I中、
は、CHであり、
、GおよびGは、各々Nであり、
は、1、2または3つの置換基により任意選択で置換されているベンゾチエニルであり、これらの置換基の各々は、独立に、シアノ、ハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1a1b、-SR1a、-S(O)R1a、または-S(O)1aであり、
は、1、2または3つの置換基で任意選択で置換されているフェニルであり、これらの置換基の各々は、独立に、ヒドロキシル、ハロ、メチル、メトキシ、アミノ、-O(CH1~3NR1a1b、-OS(O)NR1a1b、-NR1aS(O)1b、または-S(O)NR1a1bであり、
は、1、2または3つの置換基で任意選択で置換されているC1~10アルキルであり、これらの置換基の各々は、独立に、ヒドロキシル、C1~4アルキルまたはC1~4ハロアルキルであり、
は、-NR1a(CH-であり、ならびに
1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0165】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式IIの化合物:
【0166】
【化6】
(II)
(式中、RおよびRは、各々、本明細書で定義される通りである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0167】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式IIIの化合物:
【0168】
【化7】
(III)
(式中、RおよびRは、各々、本明細書で定義される通りであり、ならびにR5a、R5bおよびR5cは、各々独立に、水素、シアノ、メチル、ハロ、トリフルオロメチル、または-SOCHである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0169】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、4-(2-(2-ベンゾ[b]チエン-3-イル)-9-イソプロピル-9H-プリン-6-イルアミノ)エチル)フェノールである。ある特定の実施形態では、幹細胞動員化合物は、下記の構造を有する、StemRegenin-1(SR-1)である:
【0170】
【化8】
【0171】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、1-メチル-N-(2-メチル-(4-(2-(2-メチルフェニル)ジアゼニル)フェニル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミドである。ある特定の実施形態では、幹細胞動員化合物は、下記の構造を有する、CH223191である:
【0172】
【化9】
【0173】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、ピリミド(4,5-b)インドールである。
【0174】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式IVの化合物:
【0175】
【化10】
(IV)
{式中、
Zは、シアノ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ベンジル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-L-C6~14アリール、-L-ヘテロアリール、-L-ヘテロシクリル、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NHR1a、-C(O)N(R1a)R1b、-P(O)(OR1a)(OR1c)、-SR1a、-S(O)R1a、-S(O)1a、-S(O)NH、-S(O)NHR1a、または-S(O)N(R1a)R1bであり、
Wは、水素、ハロ、シアノ、C6~14アリール、ベンジル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-L-C6~14アリール、-L-ヘテロアリール、-L-ヘテロシクリル、-L-OH、-L-OR1a、-L-NH、-L-NHR1a、-L-N(R1a)R1b、-L-SR1a、-L-S(O)R1a、-L-S(O)1a、-L-P(O)(OR1a)(OR1c)、-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、-L-(N(R1c)-L)-C6~14アリール、-L-(N(R1c)-L)-ヘテロアリール、-L-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリル、-O-L-N(R1a)R1b、-O-L-C6~14アリール、-O-L-ヘテロアリール、-O-L-ヘテロシクリル、-O-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、-O-L-(N(R1c)-L)-C6~14アリール、-O-L-(N(R1c)-L)-ヘテロアリール、-O-L-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリル、-S-L-N(R1a)R1b、-S-L-C6~14アリール、-S-L-ヘテロアリール、-S-L-ヘテロシクリル、-S-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、-S-L-(N(R1c)-L)-C6~14アリール、-S-L-(N(R1c)-L)-ヘテロアリール、-S-L-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリル、-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、-(N(R1c)-L)-C6~14アリール、-(N(R1c)-L)-ヘテロアリール、-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリル、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NH、-C(O)NHR1a、-C(O)N(R1a)R1b、-NHR1a、-N(R1a)R1b、-NHC(O)R1a、-NR1aC(O)R1c、-NHC(O)OR1a、-NR1aC(O)OR1c、-NHC(O)NH、-NHC(O)NHR1a、-NHC(O)N(R1a)R1b、-NR1aC(O)NH、-NR1cC(O)NHR1a、-NR1cC(O)N(R1a)R1b、-NHS(O)1a、-NR1cS(O)1a、-OR1a、-OC(O)R1a、-OC(O)OR1a、-OC(O)NH、-OC(O)NHR1a、-OC(O)N(R1a)R1b、-OS(O)1a、-P(O)(OR1a)(OR1c)、-SR1a、-S(O)R1a、-S(O)1a、-S(O)NH、-S(O)NHR1a、-S(O)N(R1a)R1b、または-S(O)OR1aであり、
各Lは、独立に、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、C2~6アルキニレン、C3~7シクロアルキレン、C6~14アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリレン、C1~6アルキレン-C3~7シクロアルキレン、またはC1~6アルキレン-ヘテロシクリレンであり、
は、水素、C1~6アルキル、C6~14アリール、ベンジル、ヘテロアリール、-C(O)R1a、-SR1a、-S(O)R1a、-S(O)1a、-L-C6~14アリール、-L-ヘテロアリール、または-L-ヘテロシクリルであり、
各nは、独立に、1、2、3、4または5の整数であり、ならびに
各R1a、R1bおよびR1cは、独立に、(i)水素であるか、(ii)C1~6アルキル、C2-~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであり、または(iii)R1aおよびR1bは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成し、
各アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニル、アルキニレン、シクロアルキル、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、アリーレン、ヘテロアリール、ヘテロアリーレン、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリレンは、1つまたは複数、一実施形態では1、2、3または4つの置換基Qで任意選択で置換されており、各置換基Qは、(a)オキソ、シアノ、ハロ、およびニトロ、(b)C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~10シクロアルキル、C6~14アリール、C7~15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル[これらの各々は、1つ複数の、一実施形態では1、2、3または4つの置換基Qで、さらに任意選択で置換されている]、ならびに(c)-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(NR)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、-OC(O)NR、-OC(=NR)NR、-OS(O)R、-OS(O)、-OS(O)NR、-OS(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-NRC(=NR)NR、-NRS(O)R、-NRS(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)NR、-SR、-S(O)R、-S(O)、-S(O)NR、および-S(O)NR[これらの式中、各R、R、R、およびRは、独立に(i)水素であるか、(ii)C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリル(これらの各々は、1つまたは複数、一実施形態では1、2、3もしくは4つの置換基Qでさらに任意選択で置換されている)であり、または(iii)RおよびRは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成し、前記ヘテロシクリルは、1つまたは複数、一実施形態では1、2、3もしくは4つの置換基Qでさらに任意選択で置換されている]から独立に選択され、
各Qは、(a)オキソ、シアノ、ハロ、およびニトロ、ならびに(b)C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリル、ならびに(c)-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(NR)NR、-OR、-OC(O)R、-OC(O)OR、-OC(O)NR、-OC(=NR)NR、-OS(O)R、-OS(O)、-OS(O)NR、-OS(O)NR、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)OR、-NRC(O)NR、-NRC(=NR)NR、-NRS(O)R、-NRS(O)、-NRS(O)NR、-NRS(O)NR、-SR、-S(O)R、-S(O)、-S(O)NR、および-S(O)NR[これらの式中、各R、R、R、およびRは、独立して、(i)水素であるか、(ii)C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-14アリール、C7-15アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであり、または(ii)RおよびRは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成する]からなる群から独立して選択される}
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0176】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式Vの化合物:
【0177】
【化11】
(V)
(式中、R、W、およびZは、各々、本明細書で定義される通りである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0178】
一実施形態では、式IVまたはV中、
Zは、シアノ、ヘテロアリール、または-C(O)OR1aであり、
Wは、ヘテロシクリル、-L-ヘテロシクリル、-O-L-ヘテロシクリル、-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリル、-NHR1a、または-N(R1a)R1bであり、
各Lは、独立に、C1~6アルキレンまたはC3~7シクロアルキレンであり、
は、水素、C1~6アルキル、ベンジル、-C(O)R1a、-L-C6~14アリール、または-L-ヘテロアリールであり、
各nは、独立に、1の整数であり、ならびに
1a、R1bおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りであり、
各アルキル、アルキレン、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルは、本明細書で定義される通りの1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0179】
別の実施形態では、式IVまたはV中、
Zは、シアノ、5員ヘテロアリール、または-C(O)O-C1-~6アルキルであり、
Wは、ヘテロシクリル、-L-ヘテロシクリル、-O-L-ヘテロシクリル、-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリル、-NHR1a、または-N(R1a)R1bであり、
各Lは、独立に、C1~6アルキレンまたはC3~7シクロアルキレンであり、
は、水素、メチル、ベンジル、-L-C6~14アリール、または-L-ヘテロアリールであり、
各nは、独立に、1の整数であり、ならびに
1a、R1bおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りであり、
各アルキレン、シクロアルキレン、アリール、ベンジル、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルは、本明細書で定義される通りの1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている。
【0180】
一実施形態では、式IVまたはV中、Wは、-L-N(R1a)R1b、-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、-O-L-N(R1a)R1b、-O-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、-S-L-N(R1a)R1b、-S-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1b、または-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1bであり、R、R1a、R1b、R1c、LおよびZは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0181】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式VIの化合物:
【0182】
【化12】
(VI)
(式中、Xは、結合、O、S、またはNR1cであり、R1a、R1c、R、LおよびZは、各々、本明細書で定義される通りである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0183】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、式VIIの化合物:
【0184】
【化13】
(VII)
(式中、R1a、R、L、XおよびZは、各々、本明細書で定義される通りである)
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、もしくは同位体異型、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0185】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、下記の構造を有する化合物である:
【0186】
【化14】
(UM729).
【0187】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、下記の構造を有する化合物である:
【0188】
【化15】
【0189】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、レスベラトロール、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、アルファナフトフラボン、3’-メトキシ-4’-ニトロフラボン、3,4-ジメトキシフラボン、4’,5,7-トリヒドロキシフラボン(アピゲニン)、6-メチル-1,3,8-トリクロロジベンゾフラン、エピガロカテキン、または没食子酸エピガロカテキンである。
【0190】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、レスベラトロールである。ある特定の実施形態では、幹細胞動員化合物は、(Z)-レスベラトロールである。ある特定の実施形態では、幹細胞動員化合物は、(E)-レスベラトロールである。
【0191】
さらに別の実施形態では、幹細胞動員化合物は、テトラエチレンペンタミン(TEPA)である。
【0192】
本明細書に記載の化合物のすべては、市販されているか、または本明細書で開示される特許または特許公報に記載されている方法に従って調製することができる。さらに、公知の分割剤もしくはキラルカラムおよび他の標準的な合成有機化学技術を使用して、光学的に純粋な化合物を不斉合成または分割することができる。幹細胞動員化合物、それらの調製法および使用に関する追加情報は、例えば、(特許文献1)、(特許文献2)および(特許文献3)、ならびに(非特許文献1)において見つけることができ、これらの参考文献の各々についての開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0193】
本明細書で提供される式、例えば、式I~VII中の基または可変要素、G、G
、G、R、R、R、R、R5a、R5b、R5c、R、X、L、L、X、W、Zおよびnは、本明細書に記載の実施形態の中でさらに定義される。そのような基および/または可変要素について本明細書で提供される実施形態のすべての組合せは、本開示の範囲内である。
【0194】
ある特定の実施形態では、Gは、Nである。ある特定の実施形態では、Gは、CRであり、この式中のRは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Gは、CHである。
【0195】
ある特定の実施形態では、Gは、Nである。ある特定の実施形態では、Gは、CHである。
【0196】
ある特定の実施形態では、Gは、Nである。ある特定の実施形態では、Gは、CHである。
【0197】
ある特定の実施形態では、Gは、Nである。ある特定の実施形態では、Gは、CHである。
【0198】
ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているフェニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているフラニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピロリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているイミダゾリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピラゾリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているチエニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているチアゾリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピリジニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピリミジニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピロリジニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピラジニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピリダジニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているベンゾイミダゾリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているイソキノリニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているイミダゾピリジニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているベンゾチエニルである。
【0199】
ある特定の実施形態では、Rは、-NR1aC(O)R1cであり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rは、-NR1cC(O)NR1a1bであり、この式中のR1a、R1bおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rは、-S(O)NR1a1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているフェニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピロロピリジン-3-イルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているインドリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているチエニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されて
いるピリジニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されている1,2,4-トリアゾリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されている2-オキソイミダゾリジニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているピラゾリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されている2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているインダゾリルである。
【0200】
ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~4アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているビフェニルである。
【0201】
ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているC1~10アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているプロパ-1-エン-2-イルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているシクロヘキシルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているシクロプロピルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されている2-(2-オキソピロリジン-1-イル)エチルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているオキセタン-3-イルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているベンズヒドリルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているフェニルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているテトラヒドロフラン-3-イルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されているベンジルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されている(4-ペンチルフェニル)(フェニル)メチルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り任意選択で置換されている1-(1-(2-オキソ-6,9,12-トリオキサ-3-アザテトラデカン-14-イル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)エチルである。
【0202】
ある特定の実施形態では、Lは、-NR1a-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Lは、-NR1a(CH1~3-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Lは、-NR1aCH(C(O)OCH)CH-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Lは、-NR1a(CHNR1c-であり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Lは、-NR1a(CHS-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Lは、-NR1aCHCH(CH)CH-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Lは、-NR1aCHCH(OH)-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Lは、-NR1aCH(CH)CH-であり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。
【0203】
ある特定の実施形態では、R5aは、水素である。ある特定の実施形態では、R5aは、シアノである。ある特定の実施形態では、R5aは、メチルである。ある特定の実施形態では、R5aは、ハロである。ある特定の実施形態では、R5aは、フルオロ、クロロ、またはブロモである。ある特定の実施形態では、R5aは、トリフルオロメチルである。ある特定の実施形態では、R5aは、-SOCHである。
【0204】
ある特定の実施形態では、R5bは、水素である。ある特定の実施形態では、R5bは、シアノである。ある特定の実施形態では、R5bは、メチルである。ある特定の実施形態では、R5bは、ハロである。ある特定の実施形態では、R5bは、フルオロ、クロロ、またはブロモである。ある特定の実施形態では、R5bは、トリフルオロメチルである。ある特定の実施形態では、R5bは、-SOCHである。
【0205】
ある特定の実施形態では、R5cは、水素である。ある特定の実施形態では、R5cは、シアノである。ある特定の実施形態では、R5cは、メチルである。ある特定の実施形態では、R5cは、ハロである。ある特定の実施形態では、R5cは、フルオロ、クロロ、またはブロモである。ある特定の実施形態では、R5cは、トリフルオロメチルである。ある特定の実施形態では、R5cは、-SOCHである。
【0206】
ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アルキレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで各々任意選択で置換されている、エチレン、プロピレンまたはブチレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC2~6アルケニレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC2~6アルキニレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC3~7シクロアルキレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているシクロヘキシレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC6~14アリーレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロアリーレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロシクリレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アルキレン-C3~7シクロアルキレンである。ある特定の実施形態では、Lは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アルキレン-ヘテロシクリレンである。
【0207】
ある特定の実施形態では、Rは、水素である。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アルキルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているメチルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC6~14アリールである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているベンジルである。ある特定の実施形態では、Rは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、Rは、-C(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rは、-SR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rは、-S(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義さ
れる通りである。ある特定の実施形態では、Rは、-S(O)1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rは、-L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rは、-L-ヘテロアリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Rは、-L-ヘテロシクリルであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。
【0208】
ある特定の実施形態では、Wは、水素である。ある特定の実施形態では、Wは、ハロである。ある特定の実施形態では、Wは、シアノである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC6~14アリールである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているベンジルである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロシクリレンである。
【0209】
ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-ヘテロアリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリルであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-OHであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-OR1aであり、この式中のR1aおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-NHであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-NHR1aであり、この式中のR1aおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1bおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-SR1aであり、この式中のR1aおよびL、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-S(O)R1aであり、この式中のR1aおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-S(O)1aであり、この式中のR1aおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-L-P(O)(OR1a)(OR1c)であり、この式中のR1a、R1cおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0210】
ある特定の実施形態では、Wは、-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1b、R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-(N(R1c)-L)-C6~14アリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-(N(R1c)-L)-ヘテロアリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリルであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0211】
ある特定の実施形態では、Wは、-O-L-N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1bおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-O-L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-O-L-ヘテロアリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-O-L-ヘテロシクリルであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。
【0212】
ある特定の実施形態では、Wは、-O-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1b、R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-O-L-(N(R1c)-L)-C6~14アリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-O-L-(N(R1c)-L)-ヘテロアリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-O-L-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリルであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0213】
ある特定の実施形態では、Wは、-S-L-N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1bおよびLは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-S-L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-S-L-ヘテロアリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-S-L-ヘテロシクリルであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。
【0214】
ある特定の実施形態では、Wは、-S-L-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1b、R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-S-L-(N(R1c)-L)-C6~14アリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-S-L-(N(R1c)-L)-ヘテロアリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-S-L-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリルであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0215】
ある特定の実施形態では、Wは、-(N(R1c)-L)-N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1b、R1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-(N(R1c)-L)-C6~14アリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置
換されている-(N(R1c)-L)-ヘテロアリールであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-(N(R1c)-L)-ヘテロシクリルであり、この式中のR1c、Lおよびnは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0216】
ある特定の実施形態では、Wは、-C(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-C(O)OR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-C(O)NHである。ある特定の実施形態では、Wは、-C(O)NHR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-C(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NR1aC(O)R1cであり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)OR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NR1aC(O)OR1cであり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)NHである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)NHR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHC(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NR1aC(O)NHであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NR1cC(O)NHR1aであり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NR1cC(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1a、R1bおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NHS(O)1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-NR1cS(O)1aであり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O)OR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O)NHである。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O)NHR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OC(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-OS(O)1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-P(O)(OR1a)(OR1c)であり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-SR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)NHである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)NHR1aであり、この式中のR1aは、
本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Wは、-S(O)OR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。
【0217】
ある特定の実施形態では、Zは、シアノである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC1~6アルキルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC2~6アルケニルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC2~6アルキニルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC3~10シクロアルキルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC6~14アリールである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているC7~15アラルキルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているベンジルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている5員ヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているテトラゾイルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている1,2,4-オキサジアゾリルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されているヘテロシクリルである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-C6~14アリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-ヘテロアリールであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-L-ヘテロシクリルであり、この式中のLは、本明細書で定義される通りである。
【0218】
ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)OR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、本明細書に記載の通り1つまたは複数の置換基Qで任意選択で置換されている-C(O)OC1~6アルキルである。ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)OCHである。ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)NHR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-C(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR1aおよびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-P(O)(OR1a)(OR1c)であり、この式中のR1aおよびR1cは、各々、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-SR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-S(O)R1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-S(O)1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-S(O)NHである。ある特定の実施形態では、Zは、-S(O)NHR1aであり、この式中のR1aは、本明細書で定義される通りである。ある特定の実施形態では、Zは、-S(O)N(R1a)R1bであり、この式中のR
およびR1bは、各々、本明細書で定義される通りである。
【0219】
ある特定の実施形態では、Xは、結合である。ある特定の実施形態では、Xは、Oである。ある特定の実施形態では、Xは、Sである。ある特定の実施形態では、Xは、NR1cであり、この式中のR1cは、本明細書で定義される通りである。
【0220】
ある特定の実施形態では、nは、1である。ある特定の実施形態では、nは、2である。ある特定の実施形態では、nは、3である。ある特定の実施形態では、nは、4である。ある特定の実施形態では、nは、5である。
【0221】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される化合物は、AHRのアンタゴニストとしての活性を示す。
【0222】
本明細書で提供される化合物は、鏡像異性的に純粋であり、例えば、単一の鏡像異性体もしくは単一のジアステレオマーであってもよく、または立体異性体混合物、例えば、鏡像異性体の混合物、例えば、2つの鏡像異性体のラセミ混合物、もしくは2つ以上のジアステレオマーの混合物であってもよい。したがって、化合物のその(R)形態での投与は、in vivoでエピマー化される化合物については、前記化合物のその(S)形態での投与と等価であることが当業者に認識されよう。個々の鏡像異性体の従来の調製/単離技術としては、好適な光学的に純粋な前駆体からの合成、アキラル出発物質からの不斉合成、または鏡像異性体混合物の分割、例えば、キラルクロマトグラフィー、再結晶、分割、ジアステレオマー塩形成、もしくはジアステレオマー付加体への誘導体化、その後の分離が挙げられる。
【0223】
4.4.NK細胞の単離
ナチュラルキラー細胞を単離する方法は当技術分野において公知であり、そのような方法を使用して、ナチュラルキラー細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞を単離することができる。例えば、NK細胞は、一実施形態ではCD56およびCD3に対する抗体で、細胞を染色すること、およびCD56CD3細胞について選択することにより、単離または富化することができる。NK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞は、市販のキット、例えば、NK Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec)を使用して、単離することができる。NK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞は、NK細胞、例えば本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞、を含む細胞集団内のNK細胞以外の細胞の除去により、単離または富化することもできる。例えば、NK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造された細胞を、例えばCD3、CD4、CD14、CD19、CD20、CD36、CD66b、CD123、HLA DRおよび/またはCD235a(グリコホリンA)のうちの1つまたは複数に対する抗体を使用して、非NK細胞マーカーを提示する細胞を枯渇させることにより、単離または富化してもよい。市販のキット、例えば、NK Cell Negative
Isolation Kit(Dynal Biotech)を使用して、ネガティブアイソレーションを行うことができる。これらの方法により単離された細胞を、例えば、CD16細胞とCD16細胞、および/またはCD94とCD94を分離するために、さらに選別してもよい。
【0224】
細胞分離は、例えば、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別(FACS)または、一実施形態では、特異的抗体とコンジュゲートしたマイクロビーズを使用する磁気細胞選別により、遂行することができる。例えば、1つまたは複数の特異的抗体、例えば抗CD56抗体、を含む磁気ビーズ(例えば、直径約0.5~100μm)に結合する粒子の能力に基づいて粒子を分離する方法である、磁気活性化細胞選別(MACS)技術を使用
して、細胞を単離してもよい。磁気細胞分離は、例えば、AUTOMACS(商標)セパレーター(Miltenyi)を使用して、行うことおよび自動化することができる。特定の細胞表面分子またはハプテンを特異的に認識する抗体の共有結合性付加を含む、様々な有用な修飾を、磁気マイクロスフェアに対して行うことができる。次いで、ビーズを細胞と混合して、結合させる。次いで、細胞を磁場に通して、特異的細胞表面マーカーを有する細胞を取り出す。一実施形態では、次いでこれらの細胞を単離し、さらなる細胞表面マーカーに対する抗体に結合した磁気ビーズと再混合する。細胞を再び磁場に通し、両方の抗体に結合している細胞を単離する。次いで、そのような細胞をクローン単離のために別々のディッシュ、例えばマイクロターターディッシュに入れて希釈することができる。
【0225】
4.5.胎盤潅流液
NK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されるNK細胞集団は、任意の源、例えば、胎盤組織、胎盤潅流液、臍帯血、胎盤血、抹消血、脾臓、肝臓などからの、造血細胞、例えば造血幹または前駆細胞から製造することができる。ある特定の実施形態では、造血幹細胞は、胎盤潅流液からの造血幹細胞と、前記胎盤潅流液を生じさせるために使用されたのと同じ胎盤からの臍帯血からの造血幹細胞とを合わせたものである。例えば、(特許文献4)および(特許文献5)、ならびに(特許文献6)に開示されている方法により得ることができる、胎盤潅流液細胞を含む胎盤潅流液。前記特許文献の開示は、それら全体が本明細書に組み入れられている。
【0226】
4.5.1.細胞収集組成物
造血幹または前駆細胞を単離することができる胎盤潅流液および潅流液細胞、あるいは腫瘍抑制に有用な、または腫瘍細胞、がんもしくはウイルス感染症を有する個体の処置に有用な胎盤潅流液および潅流液細胞、例えば、NK細胞、例えば、本明細書で提供される3段階法に従って製造されたNK細胞集団との組合せでの前記胎盤潅流液および潅流液細胞は、胎盤細胞収集組成物を使用する哺乳動物分娩後胎盤、例えばヒト分娩後胎盤の潅流により、収集することができる。潅流液は、任意の生理学的に許容される溶液、例えば、生理食塩水、培養培地、またはより複雑な細胞収集組成物を用いる胎盤の潅流により、胎盤から収集することができる。胎盤の潅流にならびに潅流液細胞の収集および保存に好適な細胞収集組成物は、関連する(特許文献7)に詳細に記載されており、前記特許文献はその全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0227】
細胞収集組成物は、幹細胞の収集および/または培養に好適な任意の生理学的に許容される溶液、例えば、生理食塩水(例えば、リン酸緩衝食塩水、クレブス溶液、変性クレブス溶液、イーグル溶液、0.9%NaClなど)、培養培地(例えば、DMEM、H.DMEMなど)などを含むことができる。
【0228】
細胞収集組成物は、収集時から培養時までの胎盤細胞の保存、すなわち胎盤細胞の死滅の防止、または胎盤細胞の死滅の遅延、死滅する細胞集団内の胎盤細胞の数の低減などに役立つ、1つまたは複数の成分を含むことができる。そのような成分は、例えば、アポトーシス阻害剤(例えば、カスパーゼ阻害剤もしくはJNK阻害剤)、血管拡張薬(例えば、硫酸マグネシウム、降圧薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、副腎皮質刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ニトロプルシドナトリウム、ヒドララジン、アデノシン三リン酸、アデノシン、インドメタシンもしくは硫酸マグネシウム、ホスホジエステラーゼ阻害剤など)、壊死阻害剤(例えば、2-(1H-インドール-3-イル)-3-ペンチルアミノ-マレイミド、ピロリジンジチオカルバミン酸、もしくはクロナゼパム)、TNF-α阻害剤、および/または酸素担持ペルフルオロカーボン(例えば、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロデシルブロミドなど)であり得る。
【0229】
細胞収集組成物は、1つまたは複数の組織分解酵素、例えば、メタロプロテアーゼ、セ
リンプロテアーゼ、神経プロテアーゼ、ヒアルロニダーゼ、リボヌクレアーゼ、またはデオキシリボヌクレアーゼなどを含むことができる。そのような酵素には、コラゲナーゼ(例えば、コラゲナーゼI、II、IIIまたはIV、クロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)からのコラゲナーゼなど)、ディスパーゼ、サーモリシン、エラスターゼ、トリプシン、LIBERASE、ヒアルロニダーゼなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0230】
細胞収集組成物は、殺菌または静菌有効量の抗生物質を含むことができる。ある特定の非限定的実施形態では、抗生物質は、マクロライド(例えば、トブラマイシン)、セファロスポリン(例えば、セファレキシン、セフラジン、セフロキシム、セフプロジル、セファクロル、セフィキシムもしくはセファドロキシル)、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン(例えば、ペニシリンV)またはキノロン(例えば、オフロキサシン、シプロフロキサシンもしくはノルフロキサシン)、テトラサイクリン、ストレプトマイシンなどである。特定の実施形態では、抗生物質は、グラム(+)および/またはグラム(-)菌、例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus,)などに対して活性である。
【0231】
細胞収集組成物はまた、次の化合物のうちの1つまたは複数を含むことができる:アデノシン(約1mM~約50mM)、D-グルコース(約20mM~約100mM)、マグネシウムイオン(約1mM~約50mM)、20,000ダルトンより高い分子量の高分子、一実施形態では、内皮完全性および細胞生存率を維持するのに十分な量で存在する前記高分子(例えば、約25g/l~約100g/l、もしくは約40g/l~約60g/lで存在する、合成もしくは天然に存在するコロイド、多糖類、例えばデキストラン、もしくはポリエチレングリコール)、酸化防止剤(例えば、約25μM~約100μMで存在する、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、ビタミンCもしくはビタミンE)、還元剤(例えば、約0.1mM~約5mMで存在するN-アセチルシステイン)、細胞へのカルシウム侵入を防止する薬剤(例えば、約2μM~約25μMで存在するベラパミル)、ニトログリセリン(例えば、約0.05g/L~約0.2g/L)、抗凝固薬、一実施形態では残留血の凝固の防止を補助するのに十分な量で存在する前記抗凝固薬(例えば、約1000単位/l~約100,000単位/lの濃度で存在するヘパリンもしくはヒルジン)、またはアミロライド含有化合物(例えば、約1.0μM~約5μMで存在する、アミロライド、エチルイソプロピルアミロライド、ヘキサメチレンアミロライド、ジメチルアミロライドもしくはイソブチルアミロライド)。
【0232】
4.5.2.胎盤の収集および処理
一般に、ヒト胎盤は、産後、その娩出直後に回収される。一実施形態では、胎盤は、インフォームドコンセント後かつ患者の全病歴を聴取し、胎盤と関連付けた後に、患者から回収される。一実施形態では、前記病歴は、分娩後も継続する。
【0233】
潅流液の回収前に、臍帯血および胎盤血は除去される。ある特定の実施形態では、分娩後に胎盤内の臍帯血が回収される。胎盤を従来の臍帯血回収プロセスに付してもよい。概して、針またはカニューレを使用して、重量を活用して、胎盤を瀉血する(例えば、アンダーソン(Anderson)(特許文献8);ヘッセル(Hessel)ら(特許文献9)を参照されたい)。針およびカニューレを通常は臍帯静脈内に留置し、胎盤を穏やかに揉んで胎盤からの臍帯血の排出を補助することができる。そのような臍帯血回収は、商業的に行われることもある、例えば、LifeBank Inc.、Cedar Knolls、N.J.、ViaCord、Cord Blood RegistryおよびCryoCell。一実施形態では、臍帯血回収中の組織破壊を最小にするためのさらなる操作がない、胎盤の落差脱血が行われる。
【0234】
概して、胎盤は、臍帯血の回収および潅流液の収集のために分娩または出産室から別の場所、例えば研究室に輸送される。胎盤を滅菌断熱輸送デバイス(胎盤の温度を20~28℃で維持する)で、例えば、臍帯近位部をクランプした胎盤を滅菌ジップロックプラスチックバッグの中に入れ、次いでそれを断熱コンテナに入れることにより、輸送することができる。別の実施形態では、胎盤は、実質的に(特許文献10)に記載されている通りの臍帯血採取キットで輸送される。一実施形態では、胎盤は、分娩の4~24時間後に研究室に配達される。ある特定の実施形態では、臍帯血回収前に臍帯近位部、例えば、胎盤円盤体(placental disc)への挿入4~5cm(センチメートル)以内でクランプされる。他の実施形態では、臍帯近位部は、臍帯血回収後だが胎盤のさらなる処理前にクランプされる。
【0235】
潅流液収集前の胎盤を無菌条件下、室温で、または5~25℃(摂氏)の温度で保管することができる。胎盤を48時間より長い間保管してもよく、または一切の残留臍帯血を除去するための胎盤の潅流前に4~24時間の間保管してもよい。胎盤を抗凝固溶液中、5℃~25℃(摂氏)の温度で保管することができる。好適な抗凝固溶液は、当技術分野において周知である。例えば、ヘパリンまたはワルファリンナトリウムの溶液を使用することができる。一実施形態では、抗凝固溶液は、ヘパリンの溶液(例えば、1:1000溶液で1% w/w)を含む。一部の実施形態では、瀉血された胎盤は、胎盤潅流液を収集する前36時間以下、保管される。
【0236】
4.5.3.胎盤潅流液
哺乳動物胎盤を潅流する方法および胎盤潅流液を得る方法は、例えば、ハリリ(Hariri)、(特許文献4)および(特許文献11)に、ならびに(特許文献6)、(特許文献7)および(特許文献12)に開示されており、前記特許文献の開示はそれら全体が本明細書における参照により本明細書に組み入れられている。
【0237】
潅流液は、胎盤血管系に潅流溶液、例えば、生理食塩水、培養培地または上記の細胞収集組成物を通すことにより得ることができる。一実施形態では、哺乳動物胎盤は、臍帯動脈および臍帯静脈のどちらかまたは両方に潅流溶液を通すことにより潅流される。例えば胎盤への重力流を使用して、胎盤を通る潅流溶液の流れを達成してもよい。例えば、潅流溶液は、ポンプ、例えば蠕動ポンプを使用して、胎盤を通って強制的に送られる。臍帯静脈に、例えば、滅菌チューブなどの滅菌接続器具に接続されているカニューレ、例えば、TEFLON(登録商標)またはプラスチックカニューレを挿入することができる。前記滅菌接続器具は、潅流マニホールドに接続されている。
【0238】
潅流の準備の際、臍帯動脈および臍帯静脈が胎盤の最高点に位置するように胎盤を配向させることがきる。潅流溶液を胎盤血管系にまたは胎盤血管系および周囲組織に通すことによって、胎盤を潅流することができる。一実施形態では、臍帯動脈および臍帯静脈は、潅流溶液のリザーバに可撓性コネクタにより接続されているピペットに、同時に接続される。潅流溶液は、臍帯静脈および動脈に送られる。潅流溶液は、血管壁から胎盤の周囲組織に滲出し、および/または血管壁を通過して胎盤の周囲組織に入り、妊娠中に母親の子宮に付着していた胎盤の表面から好適な開放容器に収集される。潅流溶液を、臍帯開口部を通して導入し、母体の子宮壁と接合していた胎盤壁の開口部から流出または浸出させてもよい。別の実施形態では、潅流溶液は、臍帯静脈に通され、臍帯動脈から収集されるか、または臍帯動脈に通され、臍帯静脈から回収され、すなわち、胎盤血管系(胎児組織)のみに通される。
【0239】
一実施形態では、例えば、臍帯動脈および臍帯静脈は、例えば、潅流溶液のリザーバに可撓性コネクタにより接続されているピペットに、同時に接続される。潅流溶液は、臍帯
静脈および動脈に送られる。潅流溶液は、血管壁から胎盤の周囲組織に滲出し、および/または血管壁を通過して胎盤の周囲組織に入り、妊娠中に母親の子宮に付着していた胎盤の表面から好適な開放容器に収集される。潅流溶液を、臍帯開口部を通して導入し、母体の子宮壁と接合していた胎盤壁の開口部から流出または浸出させてもよい。「パン」法と呼ばれることもある、この方法により収集される胎盤細胞は、概して、胎児細胞と母体細胞の混合物である。
【0240】
別の実施形態では、潅流溶液は、臍帯静脈に通され、臍帯動脈から収集されるか、または臍帯動脈に通され、臍帯静脈から収集される。「閉回路」法と呼ばれることもある、この方法により収集される胎盤細胞は、概して、ほぼ排他的に胎児のものである。
【0241】
閉回路潅流法は、一実施形態では、次のように行うことができる。分娩後の胎盤を産後約48時間以内に得る。臍帯をクランプし、クランプの上で切断する。臍帯を廃棄することができ、または処理して、例えば臍帯幹細胞を回収することおよび/もしくは生体材料の製造用に臍帯膜を加工することができる。潅流中、羊膜を保持することができ、または例えば指での鈍的切開を使用して、絨毛膜から分離することができる。羊膜を潅流前に絨毛膜から分離する場合、羊膜を、例えば、廃棄することができ、または処理して、例えば、酵素的消化により幹細胞を得ること、もしくは例えば羊膜生体材料、例えば、(特許文献13)に記載されている生体材料を製造することができる。例えば滅菌ガーゼを使用して、胎盤から目に見える血餅および残留血をすべて取り除いた後、臍帯血管を、例えば、臍帯膜を部分的に切断して臍帯の断面を露出させることにより、露出させる。血管を特定し、例えば、閉じたアリゲータークランプを各血管の切断端に通して前進させることにより、血管を開く。次いで、器具、例えば、潅流デバイスまたは蠕動ポンプに接続されたプラスチックチューブを、胎盤動脈の各々に挿入する。ポンプは、目的に適するいずれのポンプであってもよく、例えば、蠕動ポンプであってもよい。次いで、滅菌収集リザーバ、例えば、血液バッグ、例えば250mL採血バッグに接続されたプラスチックチューブを臍帯静脈に挿入する。あるいは、ポンプに接続されたチューブを胎盤静脈に挿入し、収集リザーバへのチューブを胎盤動脈の一方または両方に挿入する。次いで、ある容量の潅流溶液、例えば、約750mlの潅流溶液で胎盤を潅流する。次いで、潅流液中の細胞を、例えば遠心分離により、収集する。
【0242】
一実施形態では、潅流中、臍帯近位部をクランプし、より具体的には、胎盤円盤体への臍帯の挿入4~5cm(センチメートル)以内でクランプすることができる。
【0243】
瀉血プロセス中の哺乳動物胎盤からの潅流液の初回収集物は、臍帯血および/または胎盤血の残留赤血球で一般に着色されている。潅流液は、潅流が進むにつれてより無色になり、残留臍帯血球は、胎盤から洗い流される。一般に、30~100mLの潅流液が胎盤からの血液の初回フラッシュに適当であるが、観察結果次第でより多いまたはより少ない潅流液を使用してもよい。
【0244】
ある特定の実施形態では、臍帯血は、潅流前に胎盤から(例えば、落差脱血により)除去されるが、胎盤は、残留血を除去するために溶液でフラッシュ(例えば、潅流)されない。ある特定の実施形態では、臍帯血は、潅流前に胎盤から(例えば、落差脱血により)除去され、胎盤は、残留血を除去するために溶液でフラッシュ(例えば、潅流)される。
【0245】
胎盤を潅流するために使用される潅流液の容量は、収集されることになる胎盤細胞の数、胎盤のサイズ、単一の胎盤で行われることになる収集の回数などに依存して変わることがある。様々な実施形態では、潅流液の容量は、50mL~5000mL、50mL~4000mL、50mL~3000mL、100mL~2000mL、250mL~2000mL、500mL~2000mL、または750mL~2000mLであり得る。概し
て、胎盤は、瀉血後に700~800mLの潅流液で潅流される。
【0246】
胎盤を数時間から数日にわたって複数回潅流することができる。胎盤を複数回潅流することになる場合、胎盤をコンテナまたは他の好適な容器内で無菌条件下で維持または培養し、細胞収集組成物、または標準的な潅流溶液(例えば、抗凝固薬(例えば、ヘパリン、ワルファリンナトリウム、クマリン、ビスヒドロキシクマリン)を伴うもしくは伴わない、および/または抗菌剤(例えば、β-メルカプトエタノール(0.1mM))、抗生物質、例えば、ストレプトマイシン(例えば、40~100μg/mlで)、ペニシリン(例えば、40U/mlで)、アンホテリシンB(例えば、0.5μg/mlで)を伴うもしくは伴わない、通常の生理食塩水、例えばリン酸緩衝食塩水(「PBS」))で、潅流することができる。一実施形態では、単離された胎盤は、潅流液を収集せずに、ある期間、維持または培養され、例えば、前記胎盤は、潅流および潅流液収集前に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23もしくは24時間、または2もしくは3日以上の日数、維持または培養される。潅流された胎盤を、さらに1または複数回、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24時間以上維持し、例えば700~800mLの潅流液で再び潅流することができる。胎盤を1、2、3、4、5回以上、例えば、1、2、3、4、5または6時間ごとに1回、潅流することができる。一実施形態では、胎盤の潅流、および潅流溶液、例えば胎盤細胞収集組成物の回収は、回収される有核細胞の数が細胞100個/mlを下回るまで繰り返される。異なる時点での潅流液をさらに個々に処理して、細胞、例えば全有核細胞、の経時的集団を回収することができる。異なる時点からの潅流液をプールすることもできる。
【0247】
4.5.4.胎盤潅流液および胎盤潅流液細胞
概して、単一の胎盤灌からの胎盤潅流液は、造血細胞を含む、約1億~約5億個の有核細胞を含み、それらの造血細胞から、NK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されるNK細胞を、本明細書で開示される方法により製造することができる。ある特定の実施形態では、胎盤潅流液または潅流液細胞は、CD34細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞を含む。そのような細胞は、より特異的な実施形態では、CD34CD45幹細胞または前駆細胞、CD34CD45幹細胞または前駆細胞などを含むことができる。ある特定の実施形態では、潅流液または潅流液細胞は、それらからの造血細胞の単離前に凍結保存される。ある特定の他の実施形態では、胎盤潅流液は、または潅流液細胞は、胎児細胞のみを含むか、または胎児細胞と母体細胞の組合せを含む。
【0248】
4.6.NK細胞
4.6.1.3段階法により製造されるNK細胞
別の実施形態では、単離されたNK細胞集団であって、前記NK細胞が上記の3段階法に従って製造される、NK細胞集団が本明細書で提供される。
【0249】
一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造される、単離されたNK細胞集団であって、本明細書に記載の3段階法により製造されたNK前駆細胞集団、例えば、NK前駆細胞集団を製造するために使用される第3培養ステップがNK細胞集団を製造するために使用される第3培養ステップより短い期間のものであったことを除いて同じ3段階法により製造されたNK前駆細胞集団より、高いパーセンテージのCD3-CD56+細胞を含む、NK細胞集団が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK細胞集団は、約70%以上、一部の実施形態では75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%CD3-CD56+細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞集団は、80%、85%、90%、95%、98%または99%以上CD3-CD56+細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞集団は、70%~75%、
75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、または95%~99%CD3-CD56+細胞を含む。
【0250】
ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3CD56細胞は、さらにNKp46であるCD3CD56細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3CD56細胞は、さらにCD16-であるCD3CD56細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3CD56細胞は、さらにCD16+であるCD3CD56細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3CD56細胞は、さらにCD94-であるCD3CD56細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記NK細胞集団内の前記CD3CD56細胞は、さらにCD94+であるCD3CD56細胞を含む。
【0251】
一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は、CD117+である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は、NKG2D+である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は、NKp44+である細胞を含む。一実施形態では、本明細書に記載の3段階法により製造されるNK細胞集団は、CD244+である細胞を含む。
【0252】
4.7.細胞の保存
細胞、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団、または造血幹細胞もしくは前駆細胞を含む胎盤潅流液細胞を、保存することができる、すなわち、長期保管を可能ならしめる条件下、または例えばアポトーシスもしくは壊死による、細胞死を阻害する条件下に置くことができる。
【0253】
胎盤潅流液は、細胞収集組成物を胎盤の少なくとも一部に、例えば胎盤血管系に、通すことによって製造することができる。細胞収集組成物は、潅流液中に含有されている細胞を保存するように作用する1つまたは複数の化合物を含む。そのような胎盤細胞収集組成物は、関連する(特許文献7)に記載されているような、アポトーシス阻害剤、壊死阻害剤および/または酸素担持ペルフルオロカーボンを含むことができ、前記特許文献の開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0254】
一実施形態では、潅流液、または胎盤細胞集団は、前記潅流液または細胞集団を、アポトーシス阻害剤と酸素担持ペルフルオロカーボンとを含む細胞収集組成物と近接させることにより、哺乳動物の、例えばヒトの、分娩後の胎盤から収集され、その際、前記アポトーシス阻害剤は、前記アポトーシス阻害剤と接触も近接もさせていない細胞集団と比較して胎盤細胞集団、例えば、接着胎盤細胞、例えば、胎盤幹細胞または胎盤複能性細胞、の集団におけるアポトーシスを低減させるまたは防止するのに十分な量でおよび十分な時間、存在する。例えば、胎盤を細胞収集組成物で潅流することができ、胎盤細胞、例えば、全有核胎盤細胞が胎盤から単離される。具体的な実施形態では、アポトーシス阻害剤は、カスパーゼ阻害剤である。別の具体的な実施形態では、前記アポトーシス阻害剤は、JNK阻害剤である。より具体的な実施形態では、前記JNK阻害剤は、接着胎盤細胞、例えば、接着胎盤幹細胞または接着胎盤複能性細胞の分化も増殖も調節しない。別の実施形態では、細胞収集組成物は、前記アポトーシス阻害剤および前記酸素担持ペルフルオロカーボンを別々の相に含む。別の実施形態では、細胞収集組成物は、エマルジョン中の前記アポトーシス阻害剤と前記酸素担持ペルフルオロカーボンとを含む。別の実施形態では、細胞収集組成物は、乳化剤、例えばレシチンをさらに含む。別の実施形態では、前記アポトーシス阻害剤および前記ペルフルオロカーボンは、胎盤細胞を細胞収集組成物と近接させる時点で約0℃~約25℃である。別のより具体的な実施形態では、前記アポトーシス阻
害剤および前記ペルフルオロカーボンは、胎盤細胞を細胞収集組成物と近接させる時点で約2℃~10℃、または約2℃~5℃である。別のより具体的な実施形態では、前記近接させることは、前記細胞の集団の輸送中に行われる。別のより具体的な実施形態では、前記近接させることは、前記細胞集団の凍結および融解中に行われる。
【0255】
別の実施形態では、胎盤潅流液および/または胎盤細胞を収集し、前記潅流液および/または細胞をアポトーシス阻害剤および臓器保存用化合物と近接させることにより、保存することができ、その際、前記アポトーシス阻害剤は、前記アポトーシス阻害剤と接触も近接もさせていない潅流液または胎盤細胞と比較して、細胞のアポトーシスを低減させるまたは防止するのに十分な量でおよび十分な時間、存在する。具体的な実施形態では、臓器保存用化合物は、UW溶液((特許文献14)に記載されており、VIASPAN(商標)としても公知である;(非特許文献2)も参照されたい)、またはシュテルン(Stern)ら、(特許文献15)に記載されている溶液であり、前記参考文献の開示はそれら全体が参照により本明細書に組み入れられている。別の実施形態では、前記臓器保存用組成物は、ヒドロキシエチルデンプン、ラクトビオン酸、ラフィノース、またはそれらの組合せである。別の実施形態では、胎盤細胞収集組成物は、酸素担持ペルフルオロカーボンを2相でまたはエマルジョンとしてさらに含む。
【0256】
方法の別の実施形態では、胎盤細胞は、アポトーシス阻害剤および酸素担持ペルフルオロカーボン、臓器保存用化合部またはそれらの組合せを含む細胞収集組成物と、潅流中に近接される。別の実施形態では、胎盤細胞は、潅流による収集後に前記細胞収集化合物と近接される。
【0257】
概して、胎盤細胞収集、富化および単離中の、低酸素に起因する細胞ストレスおよび機械的ストレスを最小にすることまたは無くすことが好ましい。したがって、方法の別の実施形態では、胎盤潅流液、または胎盤細胞集団は、正常血中酸素濃度未満である酸素濃度である低酸素条件に、収集、富化または単離中、前記保存中は6時間未満曝露される。より具体的な実施形態では、前記潅流液、または胎盤細胞集団は、前記保存中に2時間未満、前記低酸素条件に曝露される。別のより具体的な実施形態では、前記胎盤細胞集団は、収集、富化もしくは単離中、1時間未満、もしくは30分未満、前記低酸素条件に曝露されるか、または低酸素条件に曝露されない。別の具体的な実施形態では、前記胎盤細胞の集団は、収集、富化または単離中、剪断ストレスに曝露されない。
【0258】
細胞、例えば、胎盤潅流液細胞、造血細胞、例えばCD34造血幹細胞、本明細書に記載の方法を使用して産生されたNK細胞、本明細書で提供される単離された接着胎盤細胞を、例えば、小型コンテナ、例えばアンプルまたはセプタムバイアル、内の凍結保存媒体中で、凍結保存することができる。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される細胞は、1mL当たり細胞約1×10~5×10個の濃度で凍結保存される。具体的な実施形態では、本明細書で提供される細胞は、1mL当たり細胞約1×10~1.5×10個の濃度で凍結保存される。より具体的な実施形態では、本明細書で提供される細胞は、1mL当たり細胞約1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10個の濃度で凍結保存される。
【0259】
好適な凍結保存媒体としては、生理食塩水、培養培地(例えば、成長培地を含む)、または細胞凍結培地、例えば、市販の細胞凍結培地、例えば、C2695、C2639もしくはC6039(Sigma);CryoStor(登録商標)CS2、CryoStor(登録商標)CS5またはCryoStor(登録商標)CS10(BioLife Solutions)が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、凍結保存媒体は、DMSO(ジメチルスルホキシド)を、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10%(v/v)の濃度で含む。凍結保存媒体は、さらなる薬剤、例え
ば、メチルセルロース、デキストラン、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、トレハロースおよび/またはグリセロールを含むこともある。ある特定の実施形態では、凍結保存媒体は、約1%~10%DMSO、約25%~75%デキストランおよび/または約20~60%ヒト血清アルブミン(HSA)を含む。ある特定の実施形態では、凍結保存媒体は、約1%~10%DMSO、約25%~75%トレハロースおよび/または約20~60%ヒトHSAを含む。具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、5%DMSO、55%デキストランおよび40%HSAを含む。より具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、5%DMSO、55%デキストラン(生理食塩水中10% w/v)および40%HSAを含む。別の具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、5%DMSO、55%トレハロースおよび40%HSAを含む。より具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、5%DMSO、55%トレハロース(生理食塩水中10% w/v)および40%HSAを含む。別の具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、CryoStor(登録商標)CS5を含む。別の具体的な実施形態では、凍結保存媒体は、CryoStor(登録商標)CS10を含む。
【0260】
本明細書で提供される細胞を、様々な方法のいずれによって、および細胞培養、増幅または分化のいずれの段階で、凍結保存してもよい。例えば、本明細書で提供される細胞を、起源組織もしくは臓器、例えば胎盤潅流液もしくは臍帯血、からの単離直後に凍結保存してもよく、または上で概要を述べた方法の第1、第2もしくは第3ステップ中もしくは後に凍結保存してもよい。ある特定の実施形態では、造血細胞、例えば、造血幹細胞または前駆細胞は、起源組織または臓器からの単離後、約1、5、10、15、20、30、45分以内または約1、2、4、6、10、12、18、20または24時間以内に凍結保存される。ある特定の実施形態では、前記細胞は、起源組織または臓器からの単離後、1、2または3日以内に凍結保存される。ある特定の実施形態では、前記細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28日間、上記の第1培地中で培養された後、凍結保存される。一部の実施形態では、前記細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28日間、上記の第1培地中で、および約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28日間、第2培地中で上記の通り培養された後、凍結保存される。一部の実施形態では、NK細胞が、本明細書に記載の3段階法を使用して製造される場合、前記細胞は、第1培地中で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25日間培養された後、および/または第2培地中で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25日間培養された後、および/または第3培地中で約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25日間培養された後、凍結保存される。具体的な実施形態では、NK細胞は、本明細書に記載の3段階法を使用して製造され、前記細胞は、第1培地中で10日間培養された後、第2培地中で4日間培養された後、および第3培地中で21日間培養された後、凍結保存される。
【0261】
一態様では、NK細胞集団、例えば本明細書に記載の3段階法により製造されたNK細胞、の集団を凍結保存する方法が本明細書で提供される。一実施形態では、前記方法は、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1培地中で造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34造血幹細胞または前駆細胞を培養して、第1細胞集団を製造するステップ、その後、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている第2培地中で、前記第1細胞集団を培養して、第2細胞集団を製造
するステップ、およびその後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている第3培地中で前記第2細胞集団を培養して、第3細胞集団を製造するステップであって、前記第3細胞集団がCD56+、CD3-、CD16-またはCD16+、およびCD94+またはCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、前記ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%または少なくとも80%が生存している、ステップ、そして次に、前記NK細胞を凍結保存媒体中で凍結保存するステップを含む。具体的な実施形態では、前記凍結保存ステップは、(1)細胞懸濁溶液を調製するステップ、(2)凍結保存媒体をステップ(1)からの細胞懸濁溶液に添加して、凍結保存細胞懸濁液を得るステップ、(3)ステップ(3)からの凍結保存細胞懸濁液を冷却して凍結保存試料を得るステップ、および(4)前記凍結保存試料を-80℃未満で保管するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、前記方法は、中間ステップを一切含まない。
【0262】
本明細書で提供される細胞を速度制御フリーザーで、例えば、凍結保存中に約0.1、0.3、0.5、1または2℃/分で、冷却することができる。一実施形態では、凍結保存温度は、約-80℃~約-180℃、または約-125℃~約-140℃である。凍結保存細胞を、使用のために融解する前に、液体窒素に移すことができる。一部の実施形態では、例えば、アンプルが約-90℃に達したら、それらは、液体窒素保管場所に移される。凍結保存細胞を約25℃~約40℃の温度で融解することができ、より具体的には約37℃の温度で融解することができる。ある特定の実施形態では、凍結保存細胞は、約1、2、4、6、10、12、18、20もしくは24時間、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27もしくは28日間凍結保存された後、融解される。ある特定の実施形態では、凍結保存細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28カ月間凍結保存された後、融解される。ある特定の実施形態では、凍結保存細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10年間凍結保存された後、融解される。
【0263】
好適な融解媒体としては、生理食塩水、プラズマライト、培養培地(例えば、成長培地、例えばRPMI培地を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、融解媒体は、媒体補充物(medium supplement)(例えば、栄養素、サイトカインおよび/または因子)のうちの1つまたは複数を含む。本明細書で提供される細胞の融解に好適な媒体補充物としては、例えば、限定ではないが、血清、例えば、ヒト血清AB、ウシ胎児血清(fetal bovine serum)(FBS)もしくはウシ胎児血清(fetal calf serum)(FCS)、ビタミン類、ヒト血清アルブミン(HBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、アミノ酸類(例えば、L-グルタミン)、脂肪酸類(例えば、オレイン酸、リノール酸もしくはパルミチン酸)、インスリン(例えば、組換えヒトインスリン)、トランスフェリン(鉄飽和型ヒトトランスフェリン)、β-メルカプトエタノール、幹細胞因子(SCF)、Fms様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3-L)、サイトカイン類、例えば、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン15(IL-15)、トロンボポエチン(Tpo)またはヘパリンが挙げられる。具体的な実施形態では、本明細書で提供される方法において有用な融解媒体は、RPMIを含む。別の具体的な実施形態では、前記融解媒体は、プラズマライトを含む。別の具体的な実施形態では、前記融解媒体は、約0.5~20%FBSを含む。別の具体的な実施形態では、前記融解媒体は、約1、2、5、10、15または20%FBSを含む。別の具体的な実施形態では、前記融解媒体は、約0.5%~20%HSAを含む。別の具体的な実施形態では、前記融解媒体は、約1、2.5、5、10、15または20%HSAを含む。より具体的な実施形態では、前記融解媒体は、RPMIおよび約10%FBSを含む。別のより具体的な実施形態では、前記融解媒体は、プラズマライトおよび約5%HSAを含む。
【0264】
本明細書で提供される凍結保存方法を、長期保管を可能ならしめるように、または例えばアポトーシスまたは壊死による、細胞死を阻害する条件下で、最適化することができる。一実施形態では、融解後の細胞は、例えば自動細胞計数器またはトリパンブルー法により判定して、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または98%超の生存細胞を含む。別の実施形態では、融解後の細胞は、約0.5、1、5、10、15、20または25%の死細胞を含む。別の実施形態では、融解後の細胞は、約0.5、1、5、10、15、20または25%の早期アポトーシス細胞を含む。別の実施形態では、融解後の細胞の約0.5、1、5、10、15または20%は、例えばアポトーシスアッセイ(例えば、TO-PRO3またはAnnV/PI Apoptosisアッセイキット)により判定して、融解された後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27もしくは28日後にアポトーシスを受ける。ある特定の実施形態では、融解後の細胞は、本明細書で提供される方法を使用して培養、増幅または分化された後、再び凍結保存される。
【0265】
4.8.NK細胞を含む組成物
4.8.1.3段階法を使用して製造されるNK細胞
一部の実施形態では、本明細書に記載の3段階法を使用して製造される単離されたNK細胞集団を含む組成物、例えば、医薬組成物が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記単離されたNK細胞集団は、造血細胞、例えば、胎盤潅流液、臍帯血および/または抹消血から単離された造血幹細胞または前駆細胞から製造される。別の具体的な実施形態では、前記単離されたNK細胞集団は、組成物中の細胞の少なくとも50%を構成する。別の具体的な実施形態では、前記単離されたNK細胞集団、例えば、CD3CD56細胞は、組成物中の細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、98%または99%を構成する。ある特定の実施形態では、前記単離されたNK細胞集団内の細胞の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%または40%以下は、CD3CD56細胞である。ある特定の実施形態では、前記CD3CD56細胞は、CD16である。
【0266】
別の具体的な実施形態では、前記組成物中の前記単離されたNK細胞は、単一個体に由来する。より具体的な実施形態では、前記単離されたNK細胞は、異なる少なくとも2個体に由来するNK細胞を含む。別の具体的な実施形態では、前記組成物中の前記単離されたNK細胞は、NK細胞での処置が予定されている個体とは異なる個体に由来する。別の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、同数のナチュラルキラー細胞、すなわち、前記免疫調節化合物またはサリドマイドと接触も近接もさせていないNK細胞、より多くのグランザイムBまたはパーフォリンを検出可能に発現するのに十分な量および時間、免疫調節化合物またはサリドマイドと接触または近接させた。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、免疫調節化合物またはサリドマイドをさらに含む。ある特定の実施形態では、免疫調節化合物は、下記の化合物である。例えば、(特許文献16)を参照されたく、この特許文献の開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられている。ある特定の実施形態では、免疫調節化合物は、アミノ置換イソインドリンである。一実施形態では、免疫調節化合物は、3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、3-(4’アミノイソインドリン-1’-オン)-1-ピペリジン-2,6-ジオン、4-(アミノ)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン、または4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドール-1,3-ジオンである。別の実施形態では、免疫調節化合物は、ポマリドミドまたはレナリドミドである。別の実施形態では、前記免疫調節化合物は、下記の構造を有する化合物:
【0267】
【化16】
(式中、XおよびYの一方は、C=Oであり、XおよびYの他方は、C=OまたはCHであり、ならびにRは、水素または低級アルキルである)
またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、もしくは立体異性体の混合物である。別の実施形態では、前記免疫調節化合物は、下記の構造を有する化合物:
【0268】
【化17】
(式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、他方は、CHまたはC=Oであり、
は、H、(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C-C)アルキル-(C-C)ヘテロシクロアルキル、(C-C)アルキル-(C-C)ヘテロアリール、C(O)R、C(S)R、C(O)OR、(C-C)アルキル-N(R、(C-C)アルキル-OR、(C-C)アルキル-C(O)OR、C(O)NHR、C(S)NHR、C(O)NR3’、C(S)NR3’または(C-C)アルキル-O(CO)Rであり、
は、H、F、ベンジル、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、または(C-C)アルキニルであり、
およびR3’は、独立に、(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C-C)アルキル-(C-C)ヘテロシクロアルキル、(C-C)アルキル-(C-C)ヘテロアリール、(C-C)アルキル-N(R、(C-C)アルキル-OR、(C-C)アルキル-C(O)OR、(C-C)アルキル-O(CO)R、またはC(O)ORであり、
は、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、(C-C)アルキル-OR、ベンジル、アリール、(C-C)アルキル-(C-C)ヘテロシクロアルキル、または(C-C)アルキル-(C-C)ヘテロアリールであり、
は、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、ベンジル、アリール、または(C-C)ヘテロアリールであり、
の各出現は、独立して、H、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、(C-C)アルキニル、ベンジル、アリール、(C-C)ヘテロアリール、もしくは(C-C)アルキル-C(O)O-Rであるか、またはR基は、ヘテロシクロアルキル基を形成するように連結していてもよく、
nは、0または1であり、ならびに
*は、キラル炭素中心を表す)
またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、もしくは立体異性体の混合物である。別の実施形態では、前記免疫調節化合物は、下記の構造を有する化合物:
【0269】
【化18】
(式中、
XおよびYの一方は、C=Oであり、他方は、CHまたはC=Oであり、
Rは、HまたはCHOCOR’であり、
(i)R、R、RもしくはRの各々は、他のものとは無関係に、ハロ、炭素原子1~4個のアルキル、もしくは炭素原子1~4個のアルコキシであるか、または(ii)R、R、RもしくはRのうちの1つは、ニトロもしくは-NHRであり、R、R、R、もしくはRの残りは、水素であり、
は、水素、または炭素1~8個のアルキルであり、
は、水素、炭素原子1~8個のアルキル、ベンゾ、クロロ、またはフルオロであり、
R’は、R-CHR10-N(R)であり、
は、m-フェニレンもしくはp-フェニレン、または-(C2n)-(この式中のnは、0~4の値である)であり、
およびRの各々は、他方とは無関係に見て、水素、もしくは炭素原子1~8個のアルキルであるか、またはRおよびRは、一緒に見て、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、もしくは-CHCHCHCH-(この式中のXは、-O-、-S-、もしくは-NH-である)であり、
10は、水素、炭素原子8個までのアルキル、またはフェニルであり、ならびに
*は、キラル炭素中心を表す)
またはその薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、クラスレート、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、もしくは立体異性体の混合物である。
【0270】
別の具体的な実施形態では、組成物は、1つまたは複数の抗がん化合物、例えば、下記の抗がん化合物の1つまたは複数をさらに含む。
【0271】
より具体的な実施形態では、組成物は、別の源からの、または別の方法により製造された、NK細胞を含む。具体的な実施形態では、前記他の源は、胎盤血および/または臍帯血である。別の具体的な実施形態では、前記他の源は、抹消血である。より具体的な実施形態では、前記組成物中のNK細胞集団は、別の源からの、または別の方法により製造された、NK細胞と、約100:1、95:5、90:10、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35、60:40、55:45:50:50、45:55、40:60、35:65、30:70、25:75、20:80、15:85、10:90、5:95、100:1、95:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50、1:55、1:60、1:65、1:70、1:75、1:80、1:85、1:90、1:95、1:100などの比で合わせられる。
【0272】
別の具体的な実施形態では、組成物は、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団、ならびに単離された胎盤潅流液または単離された胎盤潅流液細胞のいずれかを含む。より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液は、前記NK細胞集団と同じ個体に由来する。別のより具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液は、前記NK細胞集団と
は異な個体に由来する胎盤潅流液を含む。別の具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液中の細胞のすべてまたは実質的にすべて(例えば、90%、95%、98%または99%を超える)は、胎児細胞である。別の具体的な実施形態では、胎盤潅流液または胎盤潅流液細胞は、胎児細胞および母体細胞を含む。より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液中の胎児細胞は、前記潅流液中の細胞の約90%、80%、70%、60%または50%未満を構成する。別の具体的な実施形態では、前記潅流液は、胎盤血管系内の0.9% NaCl溶液の通過によって得られる。別の具体的な実施形態では、前記潅流液は、培養培地を含む。別の具体的な実施形態では、前記潅流液を処理して、赤血球を除去した。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、免疫調節化合物、例えば、以下で述べる免疫調節化合物、例えば、アミノ置換イソインドリン化合物を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、1つまたは複数の抗がん化合物、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん化合物をさらに含む。
【0273】
別の具体的な実施形態では、組成物は、NK細胞集団ならびに胎盤潅流液細胞を含む。より具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液細胞は、前記NK細胞集団と同じ個体に由来する。別のより具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液細胞は、前記NK細胞集団とは異な個体に由来する。別の具体的な実施形態では、組成物は、単離胎盤潅流液および単離胎盤潅流液細胞を含み、前記単離胎盤潅流液および前記単離胎盤潅流液細胞は、異なる個体に由来する。胎盤潅流液を含む上記の実施形態のいずれかの別のより具体的な実施形態では、前記胎盤潅流液は、少なくとも2個体に由来する胎盤潅流液を含む。胎盤潅流液細胞を含む上記の実施形態のいずれかの別のより具体的な実施形態では、前記単離胎盤潅流液細胞は、少なくとも2個体に由来する。別の具体的な実施形態では、前記組成物は、免疫調節化合物を含む。別の具体的な実施形態では、組成物は、1つまたは複数の抗がん化合物、例えば、以下で述べる1つまたは複数の抗がん化合物をさらに含む。
【0274】
4.9.3段階法を使用して製造されるNK細胞の使用
本明細書で提供される、本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されるNK細胞は、急性骨髄性白血病を有する個体、例えば、急性骨髄性白血病細胞を有する個体を処置する方法において使用することができる。一部のそのような実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞の有効投薬量は、体重1キログラム当たり細胞1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10個以上の範囲である。より具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞の有効投薬量は、1×10~30×10の範囲である。本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞は、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法においても使用することができる。
【0275】
本明細書で提供される、本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されるNK細胞は、多発性骨髄腫を有する個体、例えば、多発性骨髄腫細胞を有する個体を処置する方法において使用することができる。一部のそのような実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞の有効投薬量は、体重1キログラム当たり細胞1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10、1×10~5×10、5×10~1×10個以上の範囲である。より具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞の有効投薬量は、1×10~30×10の範囲である。本明細書に記載の方法を使用して製造されるNK細胞は、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法においても使用することができる。
【0276】
4.9.1.がんを有する個体の処置
一実施形態では、急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法であって、本明細書に
記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の治療有効量を前記個体に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、個体は、ナチュラルキラー細胞の欠乏、例えば、急性骨髄性白血病に対して活性のNK細胞の欠乏を有する。ある特定の実施形態では、急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の治療有効量を前記個体に投与するステップを含み、IL-2の治療有効量を前記個体に投与するステップをさらに含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、IL-2は、rhIL-2である。
【0277】
一実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の治療有効量を前記個体に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、個体は、ナチュラルキラー細胞の欠乏、例えば、多発性骨髄腫に対して活性のNK細胞の欠乏を有する。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の治療有効量を前記個体に投与するステップを含み、IL-2の治療有効量を前記個体に投与するステップをさらに含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、IL-2は、rhIL-2である。ある特定の実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞を投与するステップの前に、化学療法を受けている。具体的な実施形態では、化学療法は、アルキル化剤である。より具体的な実施形態では、アルキル化剤は、メルファランである。ある特定の実施形態では、メルファランは、ラベルに従って投与される。
【0278】
一実施形態では、NK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、全身である。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、注入による。より具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、静脈内(IV)注入による。ある特定の実施形態では、IL-2の対象への投与は、皮下注射による。具体的な実施形態では、IL-2は、rhIL-2である。
【0279】
ある特定の実施形態では、急性骨髄性白血病を有する個体は、前記投与の前に骨髄移植を受けた個体である。ある特定の実施形態では、骨髄移植は、前記急性骨髄性白血病の処置におけるものであった。ある特定の他の実施形態では、骨髄移植は、前記がん以外の状態の処置におけるものであった。ある特定の実施形態では、個体は、前記骨髄移植に加えて免疫抑制剤を受けた。ある特定の実施形態では、骨髄移植を受けたことがある個体は、前記投与のときに移植片対宿主病(GVHD)の1つまたは複数の症状を示す。ある特定の実施形態では、骨髄移植を受けたことがある個体は、GVHDの症状が発現してしまう前に前記細胞の投与を受ける。
【0280】
ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体は、前記投与の前に骨髄移植を受けた個体である。ある特定の実施形態では、骨髄移植は、前記多発性骨髄腫の処置におけるものであった。ある特定の他の実施形態では、骨髄移植は、前記がん以外の状態の処置におけるものであった。ある特定の実施形態では、個体は、前記骨髄移植に加えて免疫抑制剤を受けた。ある特定の実施形態では、骨髄移植を受けたことがある個体は、前記投与のときに移植片対宿主病(GVHD)の1つまたは複数の症状を示す。ある特定の実施形態では、骨髄移植を受けたことがある個体は、GVHDの症状が発現してしまう前に前記細胞の投与を受ける。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体は、前記投与するステップの前に自家幹細胞移植を受けた個体である。ある特定の実施形態では、自家幹細胞移植は、前記多発性骨髄腫の処置におけるものであった。ある特定の実施形態では
、自家幹細胞移植における幹細胞は、末梢血単核細胞である。自家幹細胞移植は、患者から採取され、保管され、後の使用のために凍結された幹細胞を使用して行われる。ある特定の実施形態では、自家幹細胞は、患者の末梢血から採取され、凍結され、保管され、化学療法および/または放射線での処置後に患者に再び導入される。
【0281】
ある特定の具体的な実施形態では、急性骨髄性白血病または多発性骨髄腫を有する個体は、前記投与の前に、少なくとも1用量のTNFα阻害剤、例えばETANERCEPT(登録商標)(Enbrel)を受けたことがある。具体的な実施形態では、前記個体は、前記急性骨髄性白血病の診断の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12カ月以内に前記用量のTNFα阻害剤を受けた。具体的な実施形態では、本明細書で提供される3段階法を使用して製造されたNK細胞は、前記用量のTNFα阻害剤を受けた前記個体に、TNFα阻害剤の前記用量を受けて~1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12カ月以内に投与される。具体的な実施形態では、ある用量のTNFα阻害剤を受けたことがあり、急性骨髄性白血病を示す個体は、血球の5番染色体長腕の欠失をさらに示す。別の実施形態では、急性骨髄性白血病を有する個体は、フィラデルフィア染色体を示す。
【0282】
ある特定の他の実施形態では、前記個体における急性骨髄性白血病または多発性骨髄腫には、1つまたは複数の抗がん薬が効かない。具体的な実施形態では、急性骨髄性白血病または多発性骨髄腫にはGLEEVEC(登録商標)(メシル酸イマチニブ)が効かない。
【0283】
ある特定の実施形態では、前記個体における急性骨髄性白血病は、少なくとも1つの抗がん薬に応答し、この実施形態では、胎盤潅流液、単離された胎盤潅流液細胞、単離されたナチュラルキラー細胞、例えば胎盤ナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤由来の中間ナチュラルキラー細胞、単離された混合ナチュラルキラー細胞、もしくは本明細書に記載のNK細胞、および/またはそれらの組合せ、ならびに任意選択でIL-2が、補助的処置として、または前記抗がん薬との併用治療として加えられる。ある特定の他の実施形態では、急性骨髄性白血病を有する個体は、前記投与の前に、少なくとも1つの抗がん薬での処置を受け、再発している。ある特定の実施形態では、処置されることになる個体は、難治性急性骨髄性白血病を有する。ある特定の実施形態では、処置されることになる個体は、続発性急性骨髄性白血病を有する。具体的な実施形態では、続発性骨髄性白血病は、処置に関連したものである。具体的な実施形態では、続発性急性骨髄性白血病は、骨髄異形成症候群形質転換により引き起こされる。ある特定の実施形態では、処置されることになる個体には、移植~2カ月より後に急性骨髄性白血病再発があった。一実施形態では、本明細書に記載の細胞での急性骨髄性白血病処置方法は、急性骨髄性白血病の再発を防ぐ(例えば、予防するまたは遅延させる)。一実施形態では、本明細書に記載の急性骨髄性白血病処置方法は、1カ月以上、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12カ月以上、1年以上、2年以上、3年以上、または4年以上の急性骨髄性白血病の寛解をもたらす。
【0284】
別の実施形態では、急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法であって、前記個体における急性骨髄性白血病の処置に有効であるNK細胞を個体に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞、または臍帯血造血細胞、例えば造血幹細胞、から製造されたNK細胞である。別の実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞を製造するための本明細書に記載の3段階法により製造されたものである。急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法の、ある特定の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、本明細書に記載の通り、3段階法により製造される。特定の実施形態では、前述の方法により処置されることになる急性骨髄性白血病は、難治性急性骨髄性白血病、予後不良急性骨髄性白血病、または小児急性骨髄性白血病を含む
。難治性急性骨髄性白血病、予後不良急性骨髄性白血病、または小児急性骨髄性白血病の処置のためにNK細胞を投与するための当技術分野において公知の方法をこの目的に適応させることができる。例えば、(非特許文献3);(非特許文献4)を参照されたく、これらの参考文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。ある特定の実施形態では、前記個体は、急性骨髄性白血病に対する少なくとも1回の非ナチュラルキラー細胞治療が奏功しなかった急性骨髄性白血病を有する。具体的な実施形態では、前記個体は、65歳以上であり、第1寛解期にある。具体的な実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞を投与する前に、フルダラビン、シタラビン、または両方でコンディショニングされている。
【0285】
急性骨髄性白血病を有する個体を処置する方法の、他の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1培地中で造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34幹細胞または前駆細胞を培養して、第1細胞集団を製造するステップ、その後、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている第2培地中で、前記第1細胞集団を培養して、第2細胞集団を製造するステップ、およびその後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている第3培地中で前記第2細胞集団を培養して、第3細胞集団を製造するステップを含み、第3細胞集団がCD56+、CD3-、CD16-またはCD16+、およびCD94+またはCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%または少なくとも80%が生存している、方法により製造される。
【0286】
ある特定の実施形態では、前記個体における多発性骨髄腫は、少なくとも1つの抗がん薬に応答し、この実施形態では、胎盤潅流液、単離された胎盤潅流液細胞、単離されたナチュラルキラー細胞、例えば胎盤ナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤由来の中間ナチュラルキラー細胞、単離された混合ナチュラルキラー細胞、もしくは本明細書に記載のNK細胞、および/またはそれらの組合せ、ならびに任意選択でIL-2が、補助的処置として、または前記抗がん薬との併用治療として加えられる。ある特定の他の実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体は、前記投与の前に、少なくとも1つの抗がん薬での処置を受け、再発している。ある特定の実施形態では、処置されることになる個体は、難治性多発性骨髄腫を有する。ある特定の実施形態では、処置されることになる個体は、続発性多発性骨髄腫を有する。具体的な実施形態では、続発性多発性骨髄腫は、処置に関連したものである。具体的な実施形態では、続発性多発性骨髄腫は、骨髄異形成症候群形質転換により引き起こされる。ある特定の実施形態では、処置されることになる個体には、移植~2カ月より後に多発性骨髄腫再発があった。一実施形態では、本明細書に記載の細胞での多発性骨髄腫処置方法は、多発性骨髄腫の再発を防ぐ(例えば、予防するまたは遅延させる)。一実施形態では、本明細書に記載の多発性骨髄腫処置方法は、1カ月以上、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12カ月以上、1年以上、2年以上、3年以上、または4年以上の多発性骨髄腫の寛解をもたらす。
【0287】
別の実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法であって、前記個体における多発性骨髄腫の処置に有効であるNK細胞を個体に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、前記NK細胞は、臍帯血NK細胞であるかまたは臍帯血造血細胞、例えば、造血幹細胞から製造されたNK細胞である。別の実施形態では、前記NK細胞は、NK細胞を製造するための本明細書に記載の3段階法により製造されたものである。多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法の、ある特定の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、本明細書に記載の通り、3段階法により製造される。具体的な実施形態では、個体は、成人である。ある特定の実施形態では、個体は、65歳以上である。具体的な実施形態では、個体は、第1寛解期にある。ある特定の実施形態では、前記個体は、多発性骨髄腫に対する少なくとも1回の非ナチュラルキラー細胞治療が奏功
しなかった多発性骨髄腫を有する。具体的な実施形態では、前記個体は、65歳以上であり、第1寛解期にある。
【0288】
多発性骨髄腫を有する個体を処置する方法の、他の具体的な実施形態では、前記NK細胞は、幹細胞動員剤およびトロンボポエチン(Tpo)を含む第1培地中で造血幹細胞または前駆細胞、例えば、CD34幹細胞または前駆細胞を培養して、第1細胞集団を製造するステップ、その後、幹細胞動員剤およびインターロイキン15(IL-15)を含み、Tpoを欠いている第2培地中で前記第1細胞集団を培養して、第2細胞集団を製造するステップ、およびその後、IL-2およびIL-15を含み、幹細胞動員剤およびLMWHを欠いている第3培地中で前記第2細胞集団を培養して、第3細胞集団を製造するステップを含み、前記第3細胞集団がCD56+、CD3-、CD16-またはCD16+、およびCD94+またはCD94-であるナチュラルキラー細胞を含み、前記ナチュラルキラー細胞の少なくとも70%または少なくとも80%が生存している、方法により製造される。
【0289】
4.9.2.急性骨髄性白血病細胞および多発性骨髄腫細胞増殖の抑制
急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップを含む方法が本明細書でさらに提供される。ある特定の実施形態では、急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップを含み、IL-2をNK細胞および/または急性骨髄性白血病細胞と近接させる、例えば、IL-2とNK細胞および/または急性骨髄性白血病細胞を接触させるステップをさらに含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、IL-2は、rhIL-2である。
【0290】
多発性骨髄腫細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と多発性骨髄腫細胞を接触させるステップを含む方法が本明細書でさらに提供される。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫細胞の増殖を抑制する方法であって、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を、多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と多発性骨髄腫細胞を接触させるステップを含み、IL-2をNK細胞および/または多発性骨髄腫細胞と近接させる、例えば、IL-2とNK細胞および/または多発性骨髄腫を接触させるステップをさらに含む方法が、本明細書で提供される。具体的な実施形態では、IL-2は、rhIL-2である。ある特定の実施形態では、前記個体は、前記ナチュラルキラー細胞を投与する前に化学療法を受けている。具体的な実施形態では、化学療法は、アルキル化剤である。より具体的な実施形態では、アルキル化剤は、メルファランである。ある特定の実施形態では、メルファランは、ラベルに従って投与される。ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫を有する個体は、前記投与前に自家幹細胞移植を受けた個体である。ある特定の実施形態では、自家幹細胞移植は、前記多発性骨髄腫の処置におけるものであった。ある特定の実施形態では、自家幹細胞移植における幹細胞は、末梢血単核細胞である。
【0291】
細胞に関して、本明細書において、ある特定の実施形態で使用される、「接触させること」は、一実施形態では、胎盤潅流液、胎盤潅流液細胞、ナチュラルキラー細胞、例えば
、本明細書に記載の3段階法に従って製造されたNK細胞集団、および/または単離された混合ナチュラルキラー細胞と、急性骨髄性白血病細胞または多発性骨髄腫細胞との直接的な物理的、例えば細胞-細胞、接触を包含する。別の実施形態では、「接触させること」は、同じ物理的空間内に存在することを包含し、例えば、胎盤潅流液、胎盤潅流液細胞、ナチュラルキラー細胞、例えば、胎盤中間ナチュラルキラー細胞、本明細書に記載のナチュラルキラー細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されたNK細胞集団、および/または単離された混合ナチュラルキラー細胞は、急性骨髄性白血病細胞または多発性骨髄腫細胞と同じコンテナ(例えば、培養皿、マルチウェルプレート)内に置かれる。別の実施形態では、胎盤潅流液、胎盤潅流細胞、混合ナチュラルキラー細胞、胎盤中間ナチュラルキラー細胞、または本明細書に記載のナチュラルキラー細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法に従って製造されたNK細胞集団と、急性骨髄性白血病細胞または多発性骨髄腫細胞を「接触させること」は、例えば、胎盤潅流液または細胞、例えば胎盤潅流液細胞、混合ナチュラルキラー細胞、もしくはナチュラルキラー細胞、例えば胎盤中間ナチュラルキラー細胞を、個体、例えば、急性骨髄性白血病細胞を有するヒト、例えばがん患者に注射または注入することにより果たされる。免疫調節化合物および/またはサリドマイドに関して「接触させること」は、例えば、細胞と免疫調節化合物および/またはサリドマイドを互いに直接物理的に接触させること、または同じ物理的体積(例えば、細胞培養コンテナまたは個体)の中に置くことを意味する。
【0292】
本明細書で使用される「治療に有益な」および「治療上の利点」には、例えば、腫瘍サイズの低下、腫瘍増殖の緩和または停止、転位性疾患の低減または予防、組織試料、例えば血液試料中の単位体積当たりのがん細胞数の低減、前記個体が有する特定のがんまたは腫瘍の任意の症状の臨床的改善、個体が有する特定のがんの任意の症状の悪化の緩和または停止などが含まれるが、これらに限定されない。
【0293】
4.9.3.NK細胞およびIL-2を使用する急性骨髄性白血病または多発性骨髄腫細胞の処置
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、急性骨髄性白血病を有する個体の処置は、IL-2の投与を含む抗がん治療レジメンの一部になることができる。本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団を使用する、多発性骨髄腫を有する個体の処置は、IL-2の投与を含む抗がん治療レジメンの一部になることができる。ある特定の実施形態では、IL-2は、ヒトIL-2である。ある特定の実施形態では、IL-2は、組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。ある特定の実施形態では、rhIL-2は、アルデスロイキン(PROLEUKIN(登録商標)、Novartis)である。rhIL-2のアミノ酸配列の非限定的な例は、GenBank受託番号NP_000577.2で提供される。ある特定の実施形態では、rhIL-2は、GenBank受託番号NP_000577.2と99%配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態では、IL-2は、アセトアミノフェンおよび/またはジフェンヒドラミンと組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、NK細胞および任意選択のIL-2は、コンディショニングレジメン後に投与される。例えば、コンディショニングレジメンは、例えば、NK細胞の投与およびIL-2の任意選択の投与の直前または1、2、3もしくは4日前に行うことができる。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、1つまたは複数の化学療法の投与、例えば、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含む。より具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンおよびシクロホスファミドでの処置を含む。さらにいっそう具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの3、4、5、6または7日間のおよびシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含む
【0294】
4.9.4.投与
細胞、例えば本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団の数の決定と、IL-2の量の決定とを、互いに独立に行うことができる。
【0295】
NK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、全身である。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離された集団またはその医薬組成物の投与は、注射による。具体的な実施形態では、対象へのNK細胞の単離集団またはその医薬組成物の投与は、静脈内(IV)注入による。ある特定の実施形態では、対象へのIL-2またはその医薬組成物の投与は、注射による。具体的な実施形態では、対象へのIL-2またはその医薬組成物の投与は、皮下注射による。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞は、IL-2、例えば、rhIL-2の1用量または複数用量と組み合わせて対象に投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、6百万単位の用量で1日おきに対象に合計6用量投与される。ある特定の実施形態では、NK細胞の投与に先行して、本明細書に記載のコンディショニングレジメン、例えば、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むコンディショニングレジメンが行われる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞は、rhIL-2の1用量または複数用量と組み合わせて対象に投与され、NK細胞の投与に先行して、フルダラビンおよびシクロホスファミドの投与を含むコンディショニングレジメンが行われ、rhIL-2の各用量の投与に先行しておよび続いて、アセトアミノフェンおよびジフェンヒドラミンの投与が行われる。
【0296】
4.9.4.1.細胞の投与
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団は、急性骨髄性白血病を有する個体、例えば、急性骨髄性白血病患者に、検出可能な治療上の利点をもたらす任意の量または数、例えば有効量で、使用、例えば投与される。他の実施形態では、個体は、多発性骨髄腫を有し、例えば、多発性骨髄腫患者である。そのような細胞をそのような個体に細胞の絶対数により投与することができ、例えば、前記個体に、約、少なくとも約、または最大で約1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×1010、5×1010、または1×1011個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞を投与することができる。具体的な実施形態では、前記個体に、約、少なくとも約、または最大で約3×10、1×10、3×10、1×10、3×10、または1×10個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞が投与される。具体的な実施形態では、前記個体に、約、少なくとも約、または最大で約1×10個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞が投与される。具体的な実施形態では、前記個体に、約、少なくとも約、または最大で約3×10個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞が投与される。具体的な実施形態では、前記個体に、約、少なくとも約、または最大で約10×10個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞が投与される。具体的な実施形態では、前記個体に、約、少なくとも約、または最大で約30×10個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞が投与される。他の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞をそのような個体に細胞の相対数により投与することができ、例えば、前記個体に、個体の1キログラム当たり、約、少なくとも約、または最大で約1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×1010、5×1010、または1×1011個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞を投与することができる。具体的な実施形態では、前記個体に、個体の1キログラム当たり、約、少なくとも約、または最大で約1×10、3×10、10×10、または30×10個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞が投与される。他の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製
造されたNK細胞をそのような個体に細胞の相対数により投与することができ、例えば、前記個体に、個体の1キログラム当たり、約、少なくとも約、または最大で約1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、5×10、1×10、または5×10個の、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞を投与することができる。
【0297】
ある特定の実施形態では、急性骨髄性白血病細胞の増殖を例えば個体において抑制する方法;自身のナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体の処置の方法;または急性骨髄性白血病細胞を有する個体、例えば急性骨髄性白血病細胞を有する個体、の処置の方法は、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と胎盤潅流液および/または胎盤潅流液細胞の1つまたは複数との組合せと、前記急性骨髄性白血病細胞を近接させるステップ、またはそのような組合せを前記個体に投与するステップを含む。
【0298】
ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫細胞の増殖を例えば個体において抑制する方法;自身のナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体の処置の方法;または多発性骨髄腫細胞を有する個体、例えば多発性骨髄腫細胞を有する個体の処置、の方法は、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞と胎盤潅流液および/または胎盤潅流液細胞の1つまたは複数との組合せと、前記多発性骨髄腫細胞を近接させるステップ、またはそのような組合せを前記個体に投与するステップを含む。
【0299】
別の具体的な態様では、自身のナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体の処置;急性骨髄性白血病を有する個体の処置;または急性骨髄性白血病細胞増殖の抑制;または多発性骨髄腫細胞増殖の抑制は、免疫調節化合物またはサリドマイドと、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞とを併用して行われ、この場合、前記細胞に、条件培地、例えば、CD34、CD10、CD105、CD200組織培養プラスチック接着胎盤細胞により条件付けられた培地、例えば、潅流液1単位当たり、または本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞10、10、10、10、10、10、1010、もしくは1011個当たり、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.1、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10mLの幹細胞条件培養培地が補充される。ある特定の実施形態では、組織培養プラスチック接着胎盤細胞は、(特許文献5)および(特許文献12)に記載されている複能性接着胎盤細胞であり、前記特許文献の開示は、それら全体が参照により本明細書に組み入れられている。別の具体的な実施形態では、方法は、腫瘍細胞を免疫調節化合物もしくはサリドマイドと近接させること、または個体に免疫調節化合物もしくはサリドマイドを投与することをさらに含む。
【0300】
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および任意選択で潅流液または潅流液細胞は、急性骨髄性白血病を有する個体、または急性骨髄性白血病細胞を有する個体に、抗がん治療の過程で1回投与することができ、あるいは治療中に複数回、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22もしくは23時間に1回、または1、2、3、4、5、6もしくは7日に1回、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、24、36週間以上に1回投与することができる。
【0301】
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞および任意選択で潅流液または潅流液細胞は、多発性骨髄腫を有する個体、または多発性骨髄腫細胞を有する個体に、抗がん治療の過程で1回投与することができ、あるいは治療中に複数回、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22もしくは23時間に1回、または1、2、3、4、5、6もしくは7日に1回、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、24、36週間以上
に1回投与することができる。
【0302】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞、例えば、本明細書に記載の3段階法を使用して製造されたNK細胞集団は、急性骨髄性白血病を有する個体、例えば、急性骨髄性白血病患者、または多発性骨髄腫を有する個体、例えば、多発性骨髄腫患者に、検出可能な治療上の利点をもたらす任意の量または数、例えば有効量で、使用、例えば投与される。
【0303】
本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞は、本明細書に記載の方法を使用して製造されたNK細胞が、過去に個体に投与されたことがあるかどうかに関係なく、投与することができる。
【0304】
4.9.4.2.IL-2の投与
別の具体的な実施形態では、自身のナチュラルキラー細胞の欠乏を有する個体の処置;急性骨髄性白血病を有する個体の処置;もしくは急性骨髄性白血病細胞増殖の抑制;または多発性骨髄腫を有する個体の処置;もしくは多発性骨髄腫細胞増殖の抑制では、本明細書に記載の方法を使用して製造された前記NK細胞にインターロイキン2(IL-2)が補充される。細胞およびIL-2が使用される実施形態では、IL-2および細胞を個体に、一緒に、例えば、同じ製剤で投与することができ、別々に、例えば、別々の製剤で、ほぼ同時に投与することができ、または別々に、例えば、異なる投薬スケジュールで、もしくはその日の異なる時点で投与することができる。ある特定の実施形態では、IL-2は、ヒトIL-2である。ある特定の実施形態では、IL-2は、組換えヒトIL-2(rhIL-2)である。ある特定の実施形態では、rhIL-2は、アルデスロイキン(PROLEUKIN(登録商標)、Novartis)である。rhIL-2のアミノ酸配列の非限定的な例は、GenBank受託番号NP_000577.2で提供される。ある特定の実施形態では、rhIL-2は、GenBank受託番号NP_000577.2と99%配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態では、IL-2単位は、国際単位を指す。
【0305】
細胞およびIL-2が使用される実施形態では、IL-2を皮下投与することができる。具体的な実施形態では、IL-2を注射により皮下投与することができる。より具体的な実施形態では、皮下IL-2注射は、NK細胞注入の4時間以上後に、グレード4(例えば、米国国立がん研究所共通毒性基準(National Cancer Institute Common Toxicity Criteria)によるグレード4)注入関連毒性の非存在下で開始される。より具体的な実施形態では、皮下IL-2注射は、対象が、グレード4(例えば、米国国立がん研究所共通毒性基準によるグレード4)注入関連毒性を経験し、それがグレード2(例えば、米国国立がん研究所共通毒性基準によるグレード2)またはそれより良好なグレードに回復している場合、NK細胞注入~48時間以内に開始される。ある特定の実施形態では、IL-2をNK細胞注入後48時間以内に開始することができない場合、IL-2は、与えられないことになる。
【0306】
ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に6百万単位の用量で投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に3百万、4百万、5百万、6百万、7百万、8百万または9百万単位の用量で投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に1日おきに合計6用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に1日おきに合計3、4、5、6、7、8または9用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に毎日、合計6用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に毎日、合計3、4、5、6、7、8または9用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対
象に1、2、3、4または5日ごとに合計6用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に毎週、6用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に1、2、3、4または5日ごとに合計3、4、5、6、7、8または9用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に毎週、合計3、4、5、6、7、8または9用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に3百万、4百万、5百万、6百万、7百万、8百万または9百万単位の用量で1日おきに投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に3百万、4百万、5百万、6百万、7百万、8百万または9百万単位の用量で1日おきに合計6用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に3百万、4百万、5百万、6百万、7百万、8百万または9百万単位の用量で1日おきに合計3、4、5、6、7、8または9用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に6百万単位の用量で1日おきに投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に6百万単位の用量で1日おきに合計3、4、5、6、7、8または9用量投与される。ある特定の実施形態では、IL-2またはその医薬組成物は、対象に6百万単位の用量で1、2、3、4または5日ごとに合計6用量投与される。
【0307】
ある特定の実施形態では、IL-2は、アセトアミノフェンと組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、IL-2は、ジフェンヒドラミンと組み合わせて投与される。具体的な実施形態では、IL-2は、アセトアミノフェンおよびジフェンヒドラミンと組み合わせて投与される。より具体的な実施形態では、アセトアミノフェンおよびジフェンヒドラミンは、IL-2の前に投与される。より具体的な実施形態では、アセトアミノフェンおよびジフェンヒドラミンは、IL-2の後に投与される。より具体的な実施形態では、アセトアミノフェンおよびジフェンヒドラミンは、IL-2の前および後に投与される。
【0308】
細胞およびIL-2が使用される実施形態では、IL-2を6百万単位の用量で1日おきに合計6用量投与することができる。具体的な実施形態では、体重45キログラム未満の患者に対して、IL-2は、3百万単位/mで1日おきに合計6用量投与される。具体的な実施形態では、IL-2の各用量が投与される前および投与された4時間後にアセトアミノフェン 650mg POおよびジフェンヒドラミン 25mg PO/IVの前投薬が施される。より具体的な実施形態では、24時間より長い継続時間の新たな(すなわち、既存のものではない)グレード3(例えば、米国国立がん研究所共通毒性基準によるグレード3)またはそれより高いグレードの有害事象の発生により、IL-2の用量が50%低減される結果となる。具体的な実施形態では、グレード3(例えば、米国国立がん研究所共通毒性基準によるグレード3)またはそれより高いグレードの有害事象は、次の事象からなる群から選択される:心臓障害、臨床検査(血液学的なものを除外する)、神経系障害、腎臓および尿障害、ならびに呼吸器(肺)障害。具体的な実施形態では、毒性が48時間以内にグレード2(例えば、米国国立がん研究所共通毒性基準によるグレード2)またはそれより良好なグレードに回復した場合、IL-2は、50%低減された用量で再開され、その低減された用量で継続される。より具体的な実施形態では、同毒性が持続、悪化または再発した場合、rhIL-2は、永久に中止される。具体的な実施形態では、毒性がグレード4(例えば、米国国立がん研究所共通毒性基準によるグレード4)であった場合、IL-2は、永久に中止される。
【0309】
4.9.4.3.コンディショニングレジメン
ある特定の実施形態では、コンディショニングレジメンは、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の前に対象に投与される。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニング
レジメンは、フルダラビンでの5日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの5日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の6日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、25mg/mのフルダラビンでの5日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、20~30mg/mのフルダラビンでの5日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、25mg/mのフルダラビンでの5日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の6日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、20~30mg/mのフルダラビンでの5日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の6日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、シクロホスファミドでの処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、シクロホスファミドでの2日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、シクロホスファミドでの2日間の処置を含み、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の5日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、60mg/kgのシクロホスファミドでの2日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、50~70mg/kgのシクロホスファミドでの2日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、60mg/kgのシクロホスファミドでの2日間の処置を含み、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の5日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、50~70mg/kgのシクロホスファミドでの2日間の処置を含み、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の5日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンおよびシクロホスファミドでの処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの5日間のおよびシクロホスファミドでの2日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの5日間のおよびシクロホスファミドでの2日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の6日前に開始し、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の5日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、25mg/mのフルダラビンでの5日間のおよび60mg/kgのシクロホスファミドでの2日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、20~30mg/mのフルダラビンでの5日間のおよび50~70mg/kgのシクロホスファミドでの2日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、25mg/mのフルダラビンでの5日間のおよび60mg/kgのシクロホスファミドでの2日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の6日前に開始し、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の5日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、20~30mg/mのフルダラビンでの5日間のおよび50~70mg/kgのシクロホスファミドでの2日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の6日前に開始し、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の5日前に開始する。
【0310】
具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの3、4、5、6または7日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの3、4、5、6または7日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6、7または8日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、25mg/mのフルダラビンでの3、4、5、6または7日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、20~30mg/mのフルダラビンでの3、4、5、6または7日
間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、25mg/mのフルダラビンでの3、4、5、6または7日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6、7または8日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、20~30mg/mのフルダラビンでの3、4、5、6または7日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6、7または8日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、シクロホスファミドでの処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、シクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、シクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含み、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6または7日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、60mg/kgのシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、50~70mg/kgのシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、60mg/kgのシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含み、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6または7日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、50~70mg/kgのシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含み、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6または7日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンおよびシクロホスファミドでの処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの3、4、5、6または7日間のおよびシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、フルダラビンでの3、4、5、6または7日間のおよびシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6、7または8日前に開始し、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6または7日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、25mg/mのフルダラビンでの3、4、5、6または7日間のおよび60mg/kgのシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、20~30mg/mのフルダラビンでの3、4、5、6または7日間のおよび50~70mg/kgのシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含む。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、25mg/mのフルダラビンでの3、4、5、6または7日間のおよび60mg/kgのシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の6日前に開始し、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の5日前に開始する。具体的な実施形態では、コンディショニングレジメンは、20~30mg/mのフルダラビンでの3、4、5、6または7日間のおよび50~70mg/kgのシクロホスファミドでの1、2、3または4日間の処置を含み、フルダラビンでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6、7または8日前に開始し、シクロホスファミドでの処置は、NK細胞および任意選択のIL-2での処置の4、5、6または7日前に開始する。
【0311】
5.キット
本明細書では、例えば、本明細書に記載の方法によって産生されるNK細胞、例えば本明細書に記載の3段階法を使用して産生したNK細胞集団を含む組成物のような、本明細書に記載の組成物の1つまたは複数で満たされた1つまたは複数のコンテナを含む医薬パックまたはキットが提供される。そのようなコンテナに任意選択で付随するのは、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された書式
の通知であり、その通知は、機関によるヒトへの投与のための製造、使用または販売の承認を反映するものである。
【0312】
本明細書に包含されるキットは、本明細書に記載の方法、例えば、急性骨髄性白血病細胞の増殖を抑制する方法および/もしくは急性骨髄性白血病を処置する方法または多発性骨髄腫細胞の増殖を抑制する方法および/もしくは多発性骨髄腫を処置する方法に従って使用することができる。一実施形態では、キットは、1つまたは複数のコンテナの中に、本明細書に記載の方法またはその組成物によって産生されたNK細胞を含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載の3段階方法によって産生されるNK細胞集団、またはその組成物を含むキットが本明細書において提供される。一実施形態では、キットは、1つまたは複数のコンテナの中に、本明細書に記載の方法により製造されたNK細胞またはそれらの組成物を、および1つまたは複数のコンテナの中に、IL-2またはその組成物を含む。一実施形態では、キットは、(i)1つもしくは複数のコンテナの中に、本明細書に記載の方法により製造されたNK細胞またはそれらの組成物を、(ii)1つもしくは複数のコンテナの中に、IL-2またはその組成物を、および(iii)1つもしくは複数のコンテナの中に、アセトアミノフェンを、および/または(iv)1つもしくは複数のコンテナの中に、ジフェンヒドラミンを含む。一実施形態では、キットは、(i)1つもしくは複数のコンテナの中に、本明細書に記載の方法により製造されたNK細胞またはそれらの組成物を、(ii)1つもしくは複数のコンテナの中に、IL-2またはその組成物を、および(iii)1つもしくは複数のコンテナの中に、フルダラビンを、および/または(iv)1つもしくは複数のコンテナの中に、シクロホスファミドを含む。一実施形態では、キットは、(i)1つもしくは複数のコンテナの中に、本明細書に記載の方法により製造されたNK細胞またはそれらの組成物を、(ii)1つもしくは複数のコンテナの中に、IL-2またはその組成物を、および(iii)1つもしくは複数のコンテナの中に、アセトアミノフェンを、および/または(iv)1つもしくは複数のコンテナの中に、ジフェンヒドラミンを、および(v)1つもしくは複数のコンテナの中に、フルダラビンを、および/または(vi)1つもしくは複数のコンテナの中に、シクロホスファミド含む。
【実施例0313】
6.実施例
【実施例0314】
6.1.実施例1:臨床研究-急性骨髄性白血病
皮下組換えヒトL-2(rhIL-2)を伴う、ヒト臍帯血由来、培養増幅3段階ナチュラルキラー細胞注入についての第I相、多施設、非盲検、用量漸増安全性研究を、再発性および/または難治性急性骨髄性白血病を有する成人において行う。
【0315】
スクリーニング/ベースライン期間は、3段階NK細胞の投与の28日前~7日前の21日と定義し、この期間中に対象の適格性を評価する。スクリーニング/ベースライン期間の後に、シクロホスファミド(5日前および4日前の60mg/kg×2日、ただし、以前の移植~4カ月未満の場合には4日前のシクロホスファミド用量を除く)およびフルダラビン(6日前から開始して25mg/m×5日)(研究の6日前~2日前)からなる、5日のコンディショニング処置期間が続く。以前の移植~4カ月以上経過していなかった場合には第2日のフルダラビンを省く。
【0316】
処置期間中、3段階NK細胞注入前60分以内および3段階NK細胞注入のおおよそ4時間後に、アセトアミノフェン 650mg POおよびジフェンヒドラミン 25mg
PO/IVを対象に前投薬する。3段階NK細胞注入を0日目にIV投与する。注入終了~4時間経ったら直ちに、いずれの(米国国立がん研究所共通毒性基準による)グレー
ド4注入関連毒性も非存在の場合には6百万単位のrhIL-2を指示に従って皮下(SC)注射する。その後、rhIL-2注射の合計6回の注射を0日目に始めて1日おきに繰り返す。アセトアミノフェン 650mg POおよびジフェンヒドラミン 25mg
POを、各rhIL-2注射の前の前投薬として、および各rhIL-2注射後の後投薬として推奨する。
【0317】
これらの前および後投薬のタイミングは、研究者の裁量での、または実施施設のプロトコールに従ってのタイミングである。臨床的に必要と判断された場合、悪寒を制御するためにメペリジンも投与してもよい。
【0318】
この研究は、3~6名の対象を4つの用量コホート(細胞1×10個/kg、細胞3×10個/kg、細胞10×10個/kg、および細胞30×10個/kg)に登録し、4名のさらなる対象を最大耐用量(MTD)に加える、3+3用量漸増デザインを利用する。
【0319】
最初に、3名の対象を細胞1×10個/kgの単回注入を受けるように登録する。対象を研究への参加順序に基づいて用量コホートに割り当てる。4つの3段階NK細胞用量レベルをこの研究では計画する:
・用量レベル1:0日目に投与する細胞1×10個/kg。
・用量レベル2:0日目に投与する細胞3×10個/kg。
・用量レベル3:0日目に投与する細胞10×10個/kg。
・用量レベル4:0日目に投与する細胞30×10個/kg。
【0320】
主要評価項目測定基準は、用量制限毒性(DLT)、投与~28日以内の有害事象の数および重症度、ならびにAMLを有する患者の処置のために安全に投与される最大用量であるMTDの評定である。主要評価項目測定基準の時間枠は、最大おおよそ28日である。有害事象の数は、最大おおよそ12カ月間判定する。
【0321】
副次評価項目測定基準は、血小板回復が不完全な完全寛解(CRp)、および完全寛解(CR)である。CRpは、白血病排除(5%未満の骨髄芽球および循環末梢芽球なし)、および好中球回復しかし血小板回復は不完全と定義する。CRは、絶対好中球数(1000/μL超)および血小板数(100,000/μL超)の正常値ならびに赤血球輸血への非依存性と併せての、白血病排除((5%未満の骨髄芽球および循環末梢芽球なし)と定義する。副次評価項目測定基準の時間枠は、最大おおよそ42日である。
【0322】
対象は、研究への登録に適格な次のような疾患を有さなければならない:
・ 原発性急性骨髄性白血病に対する導入失敗:2回以上の導入試行後にCRなし;または
・ 再発性急性骨髄性白血病:1サイクルもしくは複数サイクルの標準的再導入化学療法後にCR状態にない。60歳より高齢の再発した対象については、次の基準のどちらかを満たす場合、1サイクルの標準的再導入化学療法を必要としない:最終化学療法~6カ月以内の再発;もしくはこのプロトコール治療の開始~10日以内に芽球数<30%;または
・ 続発性急性骨髄性白血病(MDS形質転換もしくは処置関連);または
・ 移植後2カ月より後の急性骨髄性白血病再発;過去に中枢神経系合併症があった対象は、それが処置されており、脳脊髄液が来院1の前に少なくとも2週間透明であることを条件に、適格である。
【実施例0323】
6.2.実施例2:臨床研究-多発性骨髄腫
自家幹細胞移植(ASCT)後の皮下組換えヒトIL-2(rhIL-2)を伴う、ヒト臍帯血由来、培養増幅3段階ナチュラルキラー細胞注入についての第I相、多施設、非盲検、安全性研究を、多発性骨髄腫(MM)を有する成人において行う。
【0324】
この研究の主要目的は、ASCT後のMMを有する対象において3段階NK細胞の安全性を評定することおよび最大耐用量を決定することである。副次的目的は、100日目までの潜在的な臨床的有効性を詳しく調査することである。
【0325】
3段階ナチュラルキラー細胞についての最大耐用量をASCT後2日目および7日目に評価し、ASCT後14日目に特定する。3段階ナチュラルキラー細胞の投与は、静脈内であり、その投与後、体内のNK細胞を支持するために合計6回のIL-2注射を行う。
【0326】
主要評価項目測定基準は、有害事象および用量制限毒性であり、これら両方の時間枠は最大28日である。副次評価項目測定基準は、最大100日の時間枠での奏功率であり、この場合の奏功には微小残存病変が含まれる。
【0327】
研究プロトコールは、次の通りである:先ず、メルファランを投与し、その後、ASCT(5日前~0日目)を行い、その後、異なる最大3つ用量レベルで3段階ナチュラルキラー細胞を投与し、その後、0日目~13日目まで1日おきにrhIL-2を投与する。
【0328】
均等物:
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際に、記載されたものに加えて、本発明の様々な改変は、前述の説明および添付の図面から当業者に明らかであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0329】
本明細書で引用したすべての参考文献は、個々の刊行物、特許または特許出願が、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示についてのものであり、本発明が先行発明によりその刊行物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に実質的に記載された、新規な物、方法及び製造方法。