(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022095965
(43)【公開日】2022-06-28
(54)【発明の名称】断熱建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20220621BHJP
E06B 1/04 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
E06B5/00 B
E06B1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070435
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2018214000の分割
【原出願日】2018-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】増山 新作
(72)【発明者】
【氏名】七山 貴志
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広大
(72)【発明者】
【氏名】谷内 智
(57)【要約】
【課題】建具において、断熱性能を向上させる。
【解決手段】枠材と枠材のガラス間口に保持されるパネル体を有し、ガラス間口の内周面から室内側見付面にかけて、断熱シートを設けた。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠材と枠材のガラス間口に保持されるパネル体を有し、
ガラス間口の内周面から室内側見付面にかけて、断熱シートを設けた
断熱建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される断熱建具に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂により枠および障子を形成した建具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された建具のように、樹脂形材により形成された樹脂サッシは断熱性能に優れている。
しかし近年、サッシにおいて、さらに高い断熱性能が求められている。
【0005】
本発明は、サッシにおいて、さらに高い断熱性能を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、枠材と枠材のガラス間口に保持されるパネル体を有し、ガラス間口の内周面から室内側見付面にかけて、断熱シートを設けた断熱建具である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態の断熱建具の構成により、さらに高い断熱性能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る建具の図であり、(a)は竪断面図、(b)はケース体の断面図、(c)は、断熱材を収容したケース体の断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る建具の横断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る建具の下枠部分の竪断面図である。
【
図4】第2の実施形態に係る建具の図であり、(a)は竪断面図、(b)はケース体の断面図、(c)は、断熱材を収容したケース体の断面図である。
【
図5】(a)は第2の実施形態に係る建具の下枠部分の竪断面図であり、(b)は第1もしくは第2の実施形態に係る建具の下枠部分の竪断面図である。
【
図6】第1もしくは第2の実施形態に係る建具の下枠部分の竪断面図であり、(a)(b)は、断熱シートを取り付ける工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施形態は、建具の枠体1における開閉障子の框体の室内側部分が対向する部位、もしくは、建具のガラス間口における複層ガラス等のパネル体の室内側部分が対向する部位に断熱シートを配置することで、開閉障子の室内側部分から枠体1に伝達される冷熱、もしくは、パネル体の室内側部分から框体に伝達される冷熱を減少させて断熱性能を向上させた断熱建具である。
以下、具体的に説明する。
【0010】
-第1の実施形態-
第1の実施形態の断熱建具について、
図1及び
図2に示す、枠体1の内周に障子2が開閉自在に配置されてなるすべり出し窓を用いて説明する。
枠体1は、合成樹脂材料からなる上枠11、下枠12及び左右の竪枠13,13を有している。上枠11、下枠12及び左右の竪枠13,13は同じ断面形状を有する枠材であり、各枠材の端部が45度の角度で切断され、端面同士を当接させて溶着することで四周にわたる枠体1が形成されている。
【0011】
一方、障子2は、合成樹脂材料からなる上框21、下框22及び左右の竪框23,23を有している。上框21、下框22及び左右の竪框23,23は同じ断面形状を有する框材であり、各框材の端部が45度の角度で切断され、端面同士を当接させて溶着することで四周にわたる框体が形成されている。そして、框体の内周には複層ガラス等のパネル体25が配置されている。
【0012】
(上枠部分の構成)
枠体1の上枠11は、
図1(a)に示すように、複数の中空部を有する上枠本体部111と、上枠本体部111の室内側内周面から内周方向に延設される室内側壁部112と、上枠本体部111の室内側端から室内方向に延びるアングル部113を有している。上枠本体部111の一部もしくはすべての中空部内には、真空断熱材等の断熱材66が収容されていてもよい。
【0013】
室内側壁部112は、室外側面の内周端に、障子2の上框21の室内側面に当接する気密材s1が配置されており、室内側下端に、内周凸部112aを有している。
そして、上枠11の見込壁である上枠本体部111の内周面から室内側見付面を形成する室内側壁部112の室外側面にかけて断面略L字状の断熱シート81及び合成樹脂製の断熱シートカバー91が配置されている。
【0014】
障子2の上框21は、複数の中空部を有する上框本体部211と、上框本体部211の室外側外周面から外周方向に延設される室外側壁部212を有しており、上框本体部211の室外側内周部分に押縁213が取り付けられ、パネル体25の外周を保持するガラス間口211aが形成されている。
室外側壁部212の室内側面の外周端には、上枠11の上枠本体部111の室外側面に当接する気密材s2が配置されている。また、枠体1の上枠本体部111の内周面と障子2の上框本体部211の外周面との間には、障子2のすべり出し開閉を可能にするリンク機構41が配置されている。
【0015】
上枠11の上枠本体部111及び室内側壁部112の室内側面と、アングル部113及び室内側壁部112の内周面に、断熱材61を収容したケース体51が配置されており、上枠11の室内側面及び障子2の上框21の室内側面を覆っている。
【0016】
上枠11に取り付けられるケース体51は、合成樹脂材料からなり、
図1(b)に示すように、上枠11のアングル部113の内周面に当接される外周壁部51aと、外周壁部51aの室外側端から下方に延びる外周側室外壁部51bと、外周壁部51aの室内側端から下方に延び下方部分が室外側に傾斜する傾斜面として形成されている室内壁部51cと、室内壁部51cの下端から室外側に延びる内周壁部51dと、内周壁部51dの室外側端から上方に延びる内周側室外壁部51eと、内周側室外壁部51eの上端から室内側に向かって延びる固定壁部51fを有し、全体として断熱材61を収容する収容空間Sを形成している。
【0017】
そして、ケース体51は、外周側室外壁部51bと固定壁部51fとの間に収容空間Sに連続する開口部aが形成されており、
図1(c)に示すように、収容空間Sの中には、真空断熱材等の断熱材61が配置されている。また、ケース体51の内周壁部51dの室外側から室外側方向に向かって突片51gが形成されている。なお、突片51gは、ケース体51と同じ硬質の合成樹脂材料によって形成されてもよいが、軟質の合成樹脂材料によって形成されていてもよい。
【0018】
そして、断熱材61を収容したケース体51は、外周壁部51aを上枠11のアングル部113の内周面に当接させるとともに、固定壁部51fを上枠の室内側壁部112の内周面に当接させて、開口部aを上枠11の室内側面によって閉鎖した状態で、両面テープ等の取付手段によって上枠11の室内側に露出する部分を覆うように取り付けられている。
この時、室内側壁部112の室内側下端の内周凸部112aに対して固定壁部51fの室内側端が当接することで、安定した取付状態を維持することができる。
【0019】
上枠11に取り付けられたケース体51は、内周端が障子2の上框21の内周端とほぼ同じ高さ位置となって上框21の室内側面を覆い、障子2の上框21の室内側面が室内に露出することを防止している。
そして、内周壁部51dに形成された突片51gが上框21の室内側下端部分に対して近接もしくは当接することで、上框21の室内側面とケース体51の内周側室外壁部51eの室外側面との間に断熱空間Aを形成している。
【0020】
(下枠部分の構成)
以上、本実施形態の建具の上枠部分を説明したが、下枠部分及び左右の竪枠部分の主な構成も上枠部分と同様である。
すなわち、下枠12は、
図1(a)に示すように、下枠本体部121、室内側壁部122及びアングル部123を備えており、下框22は、複数の中空部を有する下框本体部221と、下框本体部221の室外側外周面から外周方向に延設される室外側壁部222を有しており、下框本体部221の室外側内周部分に押縁223が取り付けられ、パネル体25の外周を保持するガラス間口221aが形成されている。
【0021】
枠体1の下枠本体部121の内周面と障子2の下框本体部221の外周面との間には、障子2のすべり出し開閉を可能にするリンク機構41が配置されている。
【0022】
そして、断熱材62を収容したケース体52は、外周壁部52aを下枠12のアングル部123の内周面に当接させるとともに、固定壁部52fを上枠の室内側壁部122の内周面に当接させて、開口部aを下枠12の室内側面によって閉鎖した状態で、両面テープ等の取付手段によって下枠12の室内側に露出する部分を覆うように取り付けられている。
【0023】
下枠12に取り付けられたケース体52は、内周端が障子2の下框22の内周端とほぼ同じ高さ位置となって下框22の室内側面を覆い、障子2の下框22の室内側面が室内に露出することを防止している。
そして、内周壁部52dに形成された突片52gが下框22の室内側上端部分に対して近接もしくは当接することで、下框22の室内側面とケース体52の内周側室外壁部52eの室外側面との間に断熱空間を形成している。
また、下枠12は、
図1(a)に示すように、下枠本体部121の内周面から室内側壁部122の室外側面にかけて断熱シート82及び断熱シートカバー92が配置されている。
【0024】
(竪枠部分の構成)
竪枠13は、
図2に示すように、竪枠本体部131、室内側壁部132及びアングル部133を備えており、竪框23は、複数の中空部を有する竪框本体部231と、竪框本体部231の室外側外周面から外周方向に延設される室外側壁部232を有しており、竪框本体部231の室外側内周部分に押縁233が取り付けられ、パネル体25の外周を保持するガラス間口231aが形成されている。
【0025】
枠体1の竪枠本体部131の内周面と障子2の竪框本体部231の外周面との間には、障子2の閉鎖状態を補助、維持する引寄せ手段43もしくはロック機構44等が配置されている。
【0026】
そして、断熱材63を収容したケース体53は、外周壁部53aを竪枠13のアングル部133の内周面に当接させるとともに、固定壁部53fを竪枠13の室内側壁部132の内周面に当接させて、開口部aを竪枠13の室内側面によって閉鎖した状態で、両面テープ等の取付手段によって竪枠13の室内側に露出する部分を覆うように取り付けられている。
【0027】
竪枠13に取り付けられたケース体53は、内周端が左右方向で障子2の竪框23の内周端とほぼ同じ位置となって竪框23の室内側面を覆い、障子2の竪框23の室内側面が室内に露出することを防止している。
そして、内周壁部53dに形成された突片53gが竪框23の室内側内周端部分に対して近接もしくは当接することで、竪框23の室内側面とケース体53の内周側室外壁部53eの室外側面との間に断熱空間を形成している。
また、竪枠13は、
図2に示すように、竪枠本体部131の内周面から室内側壁部132の室外側面にかけて断熱シート83及び断熱シートカバー93が配置されている。
【0028】
なお、障子2の右の竪框23にハンドル46(点線で示す)が取り付けられており、右の竪枠13のケース体53はハンドル46の取付部分において一部切り欠かれている。
【0029】
以上のように、本実施形態の断熱建具においては、建具の断熱性能を向上させるべく、障子2の室内側部分から枠体1への冷熱の伝達を防止するために断熱シート8(81)を備えている。
以下、断熱シートについて、下枠部分を参考にして、さらに具体的に説明する。
【0030】
本実施形態の建具の下枠12は、
図3に示すように、見込壁の内周面から室内側壁部122の室外側面にかけて断熱シート82が配置されている。
具体的には、断熱シート82は、下枠12の下枠本体部121の内周面121bの室内側略半分の領域から室内側壁部122の室内側の見付面122aのシール材s1の下方部分にかけて沿うように配置され、例えば、接着等の取付手段によって取り付けられている。
【0031】
断熱シート82は、例えば、軟質の合成樹脂や和紙等の材料からなるシートもしくはテープを使用することができる。その他、断熱シートとしては、ハサミ等で加工が容易な柔らかく薄いマット状のガラス繊維不織布、またはパルプ繊維等のシート素材に断熱塗料を塗布したもの等を用いることができる。
なお、断熱シート8は、切断や折曲加工ができ、取り付ける樹脂形材の取付部の形状のあわせて変形(実施形態の断熱シートは、断面略L字状に変形させている。)できる方が好ましいが、あらかじめ樹脂形材の取付部の形状に合わせて成形したものでもよい。また、和紙等の場合には、防水加工等をしたものでもよい。
【0032】
そして、下枠12は、
図3に示すように、下枠12の室内側壁部122のシール材s1の下方部分に凹部が形成されており、該凹部に断熱シート82を収めて取り付けることで断熱シート82が室外側の見付面122aから大きく突出することを抑制している。
【0033】
また、下枠12は、断熱シート82を覆うように、下枠本体部121の内周面121bから室内側壁部122の室外側の見付面122aにかけて断面略L字状の合成樹脂製の断熱シートカバー92が配置されてもよい。
断熱シートカバー92は、断熱シート82を覆うのに十分な見付幅及び見込幅を有しており、ピンp等の固定手段によって下枠12の室内側壁部122に固定されている。なお、接着等によって固定されていても良い。
【0034】
-第2の実施形態-
第2の実施形態の断熱建具について、
図4に示す、躯体開口部に固定される枠体1の各枠材がガラス間口を有するFIX窓を用いて説明する。
なお、第2の実施形態の建具は、第1の実施形態の建具と同様に、枠体1を構成する各枠材は同一の断面形状を有しており各枠材に構造上の差異はないので、本実施形態の建具については、竪枠部分の説明は省略する。
【0035】
(上枠部分の構成)
本実施形態の枠体1の上枠11は、
図4(a)に示すように、複数の中空部を有する上枠本体部111と、上枠本体部111の室内側内周面から内周方向に延設される室内側壁部112と、上枠本体部111の室内側端から室内方向に延びるアングル部113を有しており、上枠本体部111の室外側内周部分に押縁114が取り付けられて、室内側壁部112と押縁114によって、パネル体25の外周を保持するガラス間口111aが形成されている。上枠本体部111の中空部内には、真空断熱材等の断熱材66が収容されていてもよい。
そして、上枠11の上枠本体部111及び室内側壁部112の室内側面を覆うように、断熱材61を収容したケース体51が取り付けられている。
【0036】
上枠11に取り付けられるケース体51は、合成樹脂材料からなり、
図4(b)に示すように、上枠11のアングル部113の内周面に当接される外周壁部51aと、外周壁部51aの室外側端から下方に延びる外周側室外壁部51bと、外周壁部51aの室内側端から下方に延びる室内壁部51cと、室内壁部51cの下端から室外側に延びる内周壁部51dと、内周壁部51dの室外側端から上方に延びる内周側室外壁部51qを有し、全体として断熱材61を収容する収容空間Sを形成している。
【0037】
ケース体51は、外周側室外壁部51bと内周側室外壁部51qとの間に収容空間Sに連続する開口部aが形成されており、
図4(c)に示すように、収容空間Sの中には、真空断熱材等の断熱材61を収容することができる。
そして、断熱材61を収容したケース体51は、外周壁部51aを上枠11のアングル部113の内周面に当接させるとともに、外周側室外壁部51bと内周側室外壁部51qを上枠本体部111及び室内側壁部112の室内側面に当接させて、開口部aを上枠11の室内側面によって閉鎖した状態で、両面テープ等の取付手段によって上枠11の室内側面を覆うように取り付けられている。
【0038】
また、ガラス間口111aにおいて、見込面を形成する上枠本体部111の内周面から室内側見付面を形成する室内側壁部112の室外側面にかけて、断熱シート81及び合成樹脂製の断熱シートカバー91が配置されている。
【0039】
(下枠部分の構成)
以上、本実施形態の建具の上枠部分を説明したが、下枠部分の主な構成も上枠部分と同様である。
すなわち、下枠12は、
図4(a)に示すように、下枠本体部121、室内側壁部122、アングル部123及び押縁124を有しており、室内側壁部122と押縁124によって、パネル体25の外周を保持するガラス間口121aが形成されている。
【0040】
そして、断熱材62を収容したケース体52は、外周壁部52aを下枠12のアングル部123の内周面に当接させるとともに、外周側室外壁部52bと内周側室外壁部52qを下枠本体部121及び室内側壁部122の室内側面に当接させて、開口部aを下枠12の室内側面によって覆った状態で、両面テープ等の取付手段によって下枠12の室内側面を覆うように取り付けられている。
また、下枠12は、
図4(a)に示すように、下枠本体部121の内周面から室内側壁部122の室外側面にかけて断熱シート82が配置されている。
【0041】
以上のように、本実施形態の断熱建具においては、建具の断熱性能を向上させるべく、パネル体25の室内側部分から枠体1への冷熱の伝達を防止するために断熱シート8(82)を備えている。
以下、断熱シートについて、下枠部分を参考にして、さらに具体的に説明する。
【0042】
本実施形態の建具の下枠12は、
図5(a)に示すように、見込壁の内周面(見込面)121bから室内側壁部122の室外側の見付面122aにかけて断熱シート82が配置されている。
具体的には、断熱シート82は、下枠12の下枠本体部121の内周面121bの室内側略半分の領域から室内側壁部122の室内側見付面122aのシール材s1の下方部分にかけて沿うように配置され、例えば、接着等の取付手段によって取り付けられている。
【0043】
断熱シート82は、例えば、軟質の合成樹脂や和紙等の材料からなるシートもしくはテープを使用することができる。その他、断熱シートとしては、ハサミ等で加工が容易な柔らかく薄いマット状のガラス繊維不織布、またはパルプ繊維等のシート素材に断熱塗料を塗布したもの等を用いることができる。
なお、断熱シート8は、切断や折曲加工ができ、取り付ける樹脂形材の取付部の形状のあわせて変形(実施形態の断熱シートは、断面略L字状に変形させている。)できる方が好ましいが、あらかじめ樹脂形材の取付部の形状に合わせて成形したものでもよい。また、和紙等の場合には、防水加工等をしたものでもよい。
【0044】
なお、下枠12は、
図5(a)に示すように、下枠12の室内側壁部122のシール材s1の下方部分に凹部が形成されており、該凹部に断熱シート82を収めて取り付けることで断熱シート82が室外側面から大きく突出することを抑制している。
【0045】
また、断熱シート82を覆うように、下枠本体部121の内周面121bから室内側壁部122の室内側面(見付面)122aにかけて断面略L字状の合成樹脂製の断熱シートカバー92が配置されている。
断熱シートカバー92は、断熱シート82を覆うのに十分な見付幅及び見込幅を有しており、ピン等の固定手段pによって下枠12の室内側壁部122に固定されている。なお、接着等によって固定されていても良い。
【0046】
-第3の実施形態-
第3の実施形態の断熱建具は、基本的な構成は、第2の実施形態の断熱建具と同様であり、断熱シート8及び断熱シートカバー9の構成が、第1もしくは第2の実施形態と異なっている。
第3の実施形態の断熱建具について、
図5(b)に示す下枠部分を参考にして、説明する。
【0047】
本実施形態の断熱建具の下枠12に配置される断熱シート82は、
図5(b)に示すように、下枠12の見込面である下枠本体部121の内周面121bのほぼ全域から下枠12の室内側見付面である室内側壁部122の室内側面(見付面)122aにかけて配置されている。
【0048】
そして、下枠12の下枠本体部121(ガラス間口121a)の内周面121bには、断熱シート82を覆うように断熱シートカバー92が配置されている。
断熱シートカバー92は、
図6(a)に示すように、室内側見付部の上端に第1係止部92aを有し、見込部の室外側端部に第2係止部92bを有している。
一方、下枠12は、室内側壁部122の室外側面の上方部位に気密材取付溝122cを有しており、気密材取付溝122cの下方位置に第1被係止部122bが形成されている。さらに、下枠12は、下枠本体部121の内周面121bの室外側に第2被係止部121cが形成されている。
【0049】
そして、断熱シートカバー92は、下枠12との間に断熱シート82を配置した状態で、第1係止部92aを下枠12の第1被係止部122bに係止すると共に、第2係止部92bを下枠12の第2被係止部121cに係止することで下枠12に対して断熱シート82を覆った状態で取り付けることができる。
【0050】
また、断熱シートカバー92は、下枠12との間に断熱シート82を配置した状態で断熱シート82に当接する複数のリブ92cを有しており、リブ92cが断熱シート82の内周面に当接することで、断熱シート82を安定して保持することができる。
なお、下枠12に取り付けられた断熱シートカバー92は、内周面が下枠12の気密材s1を取り付ける気密材取付溝122cの室内側面とほぼ面一となる。
【0051】
そして、本実施形態の建具において、枠体1に断熱シート82を取り付ける際には、
図6(a)に示すように、下枠12の内周面に断熱シート82を配置した後に、
図6(b)に示すように、断熱シートカバー92の第1係止部92aを下枠12の室内側壁部122に形成された第1被係止部122bに係止する。その後、断熱シートカバー92を、該係止部分を中心にして室外側を回動させて下枠12の内周面に押し付けることで、第2係止部92bが下枠12の下枠本体部121の内周面に形成された第2被係止部121cに係止される。
したがって、
図5(b)に示すように、断熱シートカバー92を下枠12に取り付ける作業によって、断熱シート82を簡単に下枠12に配置することができる。
【0052】
以上のように、第1の実施形態の建具においては、建具の室内に露出する枠体部分であって、枠体1の内周面と障子2の外周面との間の冷熱が直接伝達される部位に対して断熱シート8を配置することで、建具の断熱性能を調節することができる。
【0053】
また、第2の実施形態の建具においては、建具の室内に露出する部分であって、枠体1のガラス間口121aの内周面121bとパネル体25の外周面との間の冷熱が直接伝達される部位に対して、断熱シート8を配置することで、建具の断熱性能を調節することができる。
【0054】
したがって、例えば合成樹脂等からなる枠体1や框体の肉厚を過剰に大きくすることなく、設置される環境に応じて断熱シートを取り付けることで、最適な断熱性能を得ることができるので、効率的に断熱性能の向上を図ることができる。
【0055】
さらに、断熱シート8を断熱シートカバー9で覆うことで、断熱シート8を外部の影響等から保護することができると共に、断熱シートカバー9と枠体1もしくは框体との間に断熱シート8を積層してなる断熱構造を形成することができるので、さらに高い断熱性能を付与することができる。
【0056】
また、第3の実施形態の断熱シートカバー9は、枠体1との間に断熱シート8を挟んだ状態で係止することで取り付けられるので、断熱シートカバー9の取付によって断熱シート8を配置することができ、簡単な処理によって断熱性能を向上させることができる。
【0057】
なお、断熱シート及び断熱シートカバーが配置される対象は、第1の実施形態に示すような開閉障子が配置される枠体の内周面であってもいし、第2の実施形態に示すようなFIX窓の枠体のガラス間口の内周面であってもよく、さらに、障子のガラス間口の内周面であってもよい。
さらに、ガラス間口に保持されるパネル体は、グレイチングチャンネルによって保持されるものであっても良い。
【0058】
また、断熱シートは、上記実施形態に限定されるものではなく、どのように断熱シートを設けても良い
【0059】
また、上枠、下枠及び左右の竪枠の材料、形状は、限定されるものではなく、断面形状が同一のものでなくてもよい。また、ケース体5の断面形状も各枠体に応じて異なる断面形状のものであってもよい。
【0060】
さらに、断熱建具は、開き窓やすべり出し窓、FIX窓に限定されるものではなく、引違い窓等建具の種類は何ら限定されるものではない。
なお、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1 :枠体(樹脂形材)
11 :上枠
121 :上枠本体部
121a :ガラス間口
121b :内周面
122 :室内側壁部
122a :室外側面(見付面)
12 :下枠
13 :竪枠
2 :障子
21 :上框
22 :下框
23 :竪框
8 :断熱シート
81~82:断熱シート
9 :断熱シートカバー
91~93:断熱シートカバー