(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096050
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】ボトル保温装置、及びボトル保温方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/18 20060101AFI20220622BHJP
A61J 9/00 20060101ALI20220622BHJP
B65D 65/02 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B65D81/18 B
A61J9/00 T
B65D81/18 F
B65D65/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208937
(22)【出願日】2020-12-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】507277103
【氏名又は名称】株式会社アイ・イー・ジェー
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】山分 芳造
(72)【発明者】
【氏名】内海 賢
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA31A
3E067BB06A
3E067BB24A
3E067CA03
3E067CA08
3E067CA30
3E067EA23
3E067EE28
3E067FA01
3E067FC03
3E067GA02
3E067GA07
3E086AA01
3E086AB01
3E086AC03
3E086AD30
3E086BA19
3E086BB45
3E086BB90
3E086CA40
4C047PP02
4C047PP14
(57)【要約】
【課題】ボトル表面が水で濡れることなく、また、片手で持ちやすいコンパクトな柱状体保温装置、及びボトル保温装置を実現することを課題とする。
【解決手段】柱状体に巻いて、常温に対して低温又は高温に保温する柱状体保温装置10であって、2枚の不織布11a、11bと、シート状からなる複数の吸水性シート12a~12hと、を備え、複数の前記吸水性シートは、前記2枚の不織布11a、11bの間にそれぞれ間隔を開けて配置され、前記2枚の不織布における該間隔部分同士、及び前記2枚の不織布における端部同士が熱圧着されたシール部13a~13hを有したことを特徴とする柱状体保温装置10とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状体に巻いて、常温に対して低温又は高温に保温する柱状体保温装置であって、
2枚の不織布と、
シート状からなる複数の吸水性シートと、を備え、
複数の前記吸水性シートは、前記2枚の不織布の間にそれぞれ間隔を開けて配置され、前記2枚の不織布における該間隔部分同士、及び前記2枚の不織布における端部同士が熱圧着されたシール部を有したことを特徴とする柱状体保温装置。
【請求項2】
前記吸水性シートは、吸水性ポリマーからなることを特徴とする請求項1に記載の柱状体保温装置。
【請求項3】
前記2枚の不織布は、台形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の柱状体保温装置。
【請求項4】
請求項1―3のいずれかに記載の前記柱状体保温装置を内部に収納してボトルに巻き付けることで前記ボトルを保温可能としたことを特徴とするボトル保温装置。
【請求項5】
前記柱状体保温装置を収納したときに、前記柱状体保温装置の内側がポリエステル部、外側がアルミ蒸着膜を介して外装材で覆われたことを特徴とする請求項4に記載のボトル保温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶ビール、ワインや日本酒等のボトル、又は哺乳瓶に外装して、ボトルの温度を常温に対して低温又は高温に保温する柱状体保温装置、及びボトル保温装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レストラン等において、ワインをボトルで供するときに、常温より低温に保持するために氷が入ったワインクーラーに入れて保温することがよく行われている。
【0003】
しかしながら、ワインボトルを氷が入ったワインクーラーに入れておくと、ワインボトルが水に濡れて水滴が滴り落ちることがあり、高級なレストランのイメージにそぐわない。また、水滴が滴り落ちることを防ぐために、リネン等でワインボトルを拭うことは手間がかかるとともに、スマートでない。
【0004】
特許文献1には、吸水ポリマーを封入してかまぼこ型にしたものを波状形に整列して、冷凍した状態で瓶に巻き付けて保冷する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特開2006-273420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、瓶が最初から冷えている場合、常温の環境に戻すとボトル表面が結露により濡れてしまうという問題がある。また、吸水ポリマーを封入した部分がかまぼこ型であるため、瓶に巻き付けた際に太くなり、片手で持ちにくいという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解決して、柱状体又はボトルの表面が水で濡れることなく、また、片手で持ちやすいコンパクトな柱状体保温装置、及びボトル保温装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、柱状体に巻いて、常温に対して低温又は高温に保温する柱状体保温装置であって、
2枚の不織布と、
シート状からなる複数の吸水性シートと、を備え、
複数の前記吸水性シートは、前記2枚の不織布の間にそれぞれ間隔を開けて配置され、前記2枚の不織布における該間隔部分同士、及び前記2枚の不織布における端部同士が熱圧着されたシール部を有したことを特徴とする柱状体保温装置を提供するものである。
【0009】
この構成により、柱状体表面が結露等の水で濡れることなく、また、片手で持ちやすいコンパクトな柱状体保温装置を実現することができる。
【0010】
柱状体保温装置であって、前記吸水性シートは、吸水性ポリマーからなる構成としてもよい。
【0011】
この構成により、吸水性ポリマーは多くの水を吸収でき、また、一旦吸水した水を離さない柱状体保温装置を実現できる。
【0012】
柱状体保温装置であって、前記2枚の不織布は、台形状である構成としてもよい。
【0013】
この構成により、台形の切り欠き部分を柱状体の前に来るように、柱状体に巻き付けることで、柱状体のラベルを視認することができる。
【0014】
上記いずれかに記載の前記柱状体保温装置を内部に収納してボトルに巻き付けることで前記ボトルを保温可能としたことを特徴とするボトル保温装置としてもよい。
【0015】
この構成により、外装をデザインすることで、見栄えのよいボトル保温装置とすることができる。
【0016】
ボトル保温装置であって、前記柱状体保温装置を収納したときに、前記柱状体保温装置の内側がポリエステル部、外側がアルミ蒸着膜を介して外装材で覆われた構成としてもよい。
【0017】
この構成により、冷却時にボトルに結露した水分がポリエステルを介して柱状体保温装置に吸い取らせることができ、ボトル表面が結露等の水で濡れることがない。
【発明の効果】
【0018】
本発明の柱状体保温装置、及びボトル保温装置により、ボトルや柱状体の表面が水で濡れることなく、また、片手で持ちやすいコンパクトな柱状体保温装置、及びボトル保温装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例1における柱状体保温装置を説明する図。
【
図2】本発明の実施例2におけるボトル保温装置を説明する図。
【
図3】本発明の実施例2におけるボトル保温装置を巻いた様子を説明する図。
【
図4】本発明の実施例2におけるボトル保温装置を巻き、ボトルを収納した図。
【発明を実施するための形態】
【実施例0020】
(柱状体保温装置)
本発明における実施例1の柱状体保温装置について、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における柱状体保温装置を説明する図である。
【0021】
実施例1における柱状体保温装置10は、ボトルや缶等の柱状体に巻いて、柱状体を常温に対して低温又は高温に保温するものであり、高さ方向(
図1におけるy方向)の長さは約160mm、幅方向(
図1におけるx方向)の長さは約210mm、厚さ方向(
図1におけるz方向)の長さは約1mmの略台形状を有している。柱状体保温装置10は、ほぼ同形状の2枚の不織布11a、11bと、8枚のシート状の吸水性シート12a~12hと、を備えている。吸水性部材12a~12hは、2枚の不織布11a、11bの間にそれぞれ間隔を開けて配置され、2枚の不織布11a、11bにおける各吸水性シート間、及び2枚の不織布11a、11bにおける端部同士が熱圧着されたシール部13(13a~13h)を有している。
【0022】
これにより、吸水性シート12a~12hが水分を含んでも不織布11a、11bの外部に漏れ出ることはない。また、各吸水性シート12a~12h間における2枚の不織布11a、11bが熱圧着されていることで、各吸水性シート12a~12h同士が接触したり乗り上げたりすることがないため、後述のように、この柱状体保温装置10を巻いても各吸水性シート12a~12hが均等に配置され、効率的に冷温又は高温に保温できる。また、吸水性シート12a~12hがシート状であるため、柱状体保温装置10を薄く構成でき、手で持つときに持ちやすくできる。
【0023】
吸水性シート12a~12hは、おむつに使われるような吸水性ポリマーからなり、自重の数百倍から1,000倍の水を吸収し、多少の圧力をかけても吸った水を離さない高分子材料である。吸水性シート12a~12hの幅方向(
図1におけるx方向)は短く、高さ方向(
図1におけるy方向)は長い長方形であり、それぞれ略台形状からなる不織布11a、11bの形状に合うように、高さ方向(
図1におけるy方向)の長さが揃えられて配置されている。実施例1における吸水性シート12a~12hの幅方向(
図1におけるx方向)の長さは約13mm、厚み方向(
図1におけるz方向)の長さは約0.8mmである。吸水性シート12a、12hにおける高さ方向(
図1におけるy方向)の長さは約10mm、吸水性シート12b、12gにおける高さ方向(
図1におけるy方向)の長さは約12mm、吸水性シート12c、12d、12e、12fにおける高さ方向(
図1におけるy方向)の長さは約14mmである。
【0024】
各吸水性シート12a~12hが不織布11b上に配置した上から不織布11aを重ねて、不織布11a、11bの端部同士を熱圧着したシール部13aを有している。また、各吸水性シート12a~12hの間における不織布11a、11b同士を熱圧着したシール部13b~13hを有している。熱圧着は、公知の方法で行うことができる。
【0025】
不織布11a、11bは、ポーラス(多孔質)構造であることが特長で、通気性があり、また水分を透過させることができる。このため、後述のように、吸水性シート12a~12hを内蔵した柱状体保温装置10を水に浸すと、吸水性シート12a~12hは水を十分に含むことができる。そして、冷蔵庫に入れて冷やすと吸水性シート12a~12hが吸水した水分が冷やされる。逆に湯等に浸けると吸水性シート12a~12hが吸水した水分が暖められる。
【0026】
なお、実施例1においては、8枚の吸水性シート12a~12hを用いることとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、7枚以下でもよいし、9枚以上であってもよく、柱状体の直径等の都合により任意の枚数の吸水性シートで構成できる。
【0027】
また、実施例1においては、不織布11a、11bを台形状としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、長方形としてもよいし、正方形としてもよく、任意の形状を選択できる。
【0028】
このように、実施例1においては、柱状体に巻いて、常温に対して低温又は高温に保温する柱状体保温装置であって、
2枚の不織布と、
シート状からなる複数の吸水性シートと、を備え、
複数の前記吸水性シートは、前記2枚の不織布の間にそれぞれ間隔を開けて配置され、前記2枚の不織布における該間隔部分同士、及び前記2枚の不織布における端部同士が熱圧着されたシール部を有したことを特徴とする柱状体保温装置により、柱状体表面が水で濡れることなく、また、片手で持ちやすいコンパクトな柱状体保温装置を実現することができる。
また、ボトル保温装置20の内側(ボトル30に接する側)の右端部(x方向端部)には面ファスナー22が取り付けられ、ボトル保温装置20をボトル30に巻いた際に対応する位置(左端部外側)に設けられた面ファスナー23と組み合わせて固定することができる。
なお、実施例2においては、面ファスナー22、23でボトル保温装置20の右端部と左端部を固定することとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、ゴムや紐の一方端をボトル保温装置20の右端部に縫い付け、他方端にボタンを取付けて、ボトル保温装置20左端部に設けたボタンに篏合させて固定してもよい。また、ボトル保温装置20の右端部と左端部とをマネークリップのようなクリップで固定してもよい。
ボトル保温装置20の内側(ボトルに接する側)が、水分を通すことができるポリエステル部24で全面が覆われていることで、冷えたボトル30に巻いた場合でも結露等の水分をポリエステル部24を通して柱状体保温装置10の吸水性シート12a~12hが吸水してボトル30やボトル保温装置20の内面が結露で濡れることがない。そのため、高級レストランでワインを供するときに、水が滴り落ちたりすることがなく高級感を損なうことがない。
吸水性シート12a~12hは、吸水した水分を離さないため、ボトル保温装置20の内部が濡れることもない。もし仮に、吸水性シート12a~12hから水分が漏れたとしても、収納された柱状体保温装置10の外側にアルミ蒸着膜25が全面に設けられているため、ボトル保温装置20の外側に水が溢れることがなく、安心してワイン等を供することができる。
なお、実施例2においては、布片からなるボトル落下防止装置27がボトル保温装置20を巻いた状態で底面を交差するようにボトル保温装置20に縫い付けられている構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、布片からなるボトル落下防止装置27をボタン等でボトル保温装置20に固定してもよい。また、ボトル保温装置20の底面全体を布からなるボトル落下防止装置27で覆ってもよい。また、ボトル落下防止装置27を布以外の材質で構成してもよい。
また、実施例2においては、アルミ蒸着膜25の外側を外装材26で覆われた構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、アルミ蒸着膜25と外装材26との間に、シート状の湾曲したペットを挿入してもよい。これにより、ボトル保温装置20に張りを持たせることができる。
ワイン等を供する場合は、ボトル保温装置20を巻いたワインのボトル30を持ち上げてグラスに注げばよい。この際、柱状体保温装置10内にシート状の薄い吸水性シート12a~12hで冷やして保温するので、ボトル保温装置20をボトル30に巻いても太くならず、ボトルでワインを供するときと同じ感覚でボトル保温装置20を持ってワインを供することができる。また、ボトル保温装置20の底面にボトル落下防止装置27を備えているため、ボトル30が落下することがない。
ボトル保温装置20でボトル30を常温に対して高温で保温する場合、柱状体保温装置10を水に浸して水分を吸水性シート12a~12hに吸水させる。次に、柱状体保温装置10を湯に浸して暖める。又は、柱状体保温装置10を湯に浸して暖かい湯を吸水させる。そして、暖めた柱状体保温装置10を柱状体保温装置挿入口21からボトル保温装置20に挿入し、柱状体保温装置10が挿入されたボトル保温装置20を日本酒等のボトル30に巻いて面ファスナー22、23で固定すればよい。
このように、実施例2においては、柱状体保温装置を内部に収納してボトルに巻き付けることで前記ボトルを保温可能としたことを特徴とするボトル保温装置により、ボトル表面が水で濡れることなく、また、片手で持ちやすいコンパクトなボトル保温装置を実現することができる。
また、ボトル保温装置であって、前記柱状体保温装置を収納したときに、内側がポリエステル、外側がアルミ蒸着膜を介して外装材で覆われたことで、水滴がボトルに付着することなく、高級感を演出することができる。