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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096074
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20220622BHJP
   F26B 9/02 20060101ALI20220622BHJP
   F24D 15/00 20220101ALI20220622BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20220622BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20220622BHJP
   F24F 120/10 20180101ALN20220622BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20220622BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F26B9/02 A
F24D15/00 B
F24F11/77
F24F110:10
F24F120:10
F24F110:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208970
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉▲高▼ 豊
【テーマコード(参考)】
3L056
3L072
3L113
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BA01
3L056BD02
3L056BD07
3L056BF01
3L072AA05
3L072AB06
3L113AA01
3L113AB02
3L113AC03
3L113AC52
3L113AC53
3L113AC57
3L113AC67
3L113BA14
3L113CA20
3L113CB28
3L113DA30
3L260AA02
3L260AB15
3L260BA03
3L260BA12
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA32
3L260CB53
3L260EA07
3L260FC03
(57)【要約】
【課題】 換気運転を適切に一時停止させることができる浴室システムを提供する。
【解決手段】 浴室システムは、温水熱源機と、浴室内を温水熱源機で生成される温水を用いて乾燥させる乾燥運転および浴室内を換気する換気運転が可能な浴室乾燥機と、制御器と、を備える。浴室システムは、温水熱源機を操作するために浴室に設けられた浴室リモコンに備えられ、浴室内の人の有無を検知する人感センサを備える。制御器は、浴室乾燥機の換気運転中かつ人感センサが浴室内の人を検知している場合に、浴室内の人が寒さを感じることに関する所定の条件を満足しているか否かを判定し、所定の条件を満足している場合に、換気運転を一時停止させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水熱源機と、浴室内を前記温水熱源機で生成される温水を用いて乾燥させる乾燥運転および前記浴室内を換気する換気運転が可能な浴室乾燥機と、制御器と、を備えた浴室システムであって、
前記温水熱源機を操作するために前記浴室に設けられた浴室リモコンに備えられ、前記浴室内の人の有無を検知する人感センサを備え、
前記制御器は、
前記浴室乾燥機の換気運転中かつ前記人感センサが前記浴室内の人を検知している場合に、前記浴室内の人が寒さを感じることに関する所定の条件を満足しているか否かを判定し、
前記所定の条件を満足している場合に、前記換気運転を一時停止させる、浴室システム。
【請求項2】
前記温水熱源機は、前記浴室内の温度を検知する室温センサを備え、
前記制御器は、前記室温センサで検知される温度が第1基準温度未満である場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させる、請求項1に記載の浴室システム。
【請求項3】
前記温水熱源機は、外気温センサを備え、
前記制御器は、前記外気温センサで検知される温度が第2基準温度未満である場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させる、請求項1または2に記載の浴室システム。
【請求項4】
前記温水熱源機は、水源から供給される水の温度を検知する入水温センサを備え、
前記制御器は、前記入水温センサで検知される温度が第3基準温度未満である場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させる、請求項1から3の何れかに記載の浴室システム。
【請求項5】
前記浴室乾燥機は、前記浴室内に温風を導入する暖房運転および前記浴室内に送風する涼風運転を実行可能に構成され、
前記制御器は、
所定の期間における前記浴室乾燥機の運転履歴を読み出し、
前記所定の期間における前記運転履歴において前記暖房運転が所定回数行われた場合または前記涼風運転が行われていない場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させる、請求項1から4の何れかに記載の浴室システム。
【請求項6】
前記温水熱源機は、少なくとも前記浴室内への給湯機能を備え、
前記制御器は、前記浴室内の人を検知後、前記温水熱源機における給湯流量が基準流量以上である場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させる、請求項1から5の何れかに記載の浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、温水熱源機と、温水熱源機から供給される温水により浴室を乾燥させる浴室乾燥機とを含み、浴室乾燥機が浴室を換気する換気運転可能な浴室システムが知られている。
【0003】
このような浴室システムでは、換気機能として常時換気を行う24時間換気機能を備えているものがある(例えば、下記特許文献1参照)。しかし、冬場は浴室温度が低くなるため、このような換気運転を行っていると、入浴時に換気風による寒さを感じる恐れがある。このような換気運転をユーザの操作により一時的に停止することは可能であるが手間がかかる。
【0004】
このような問題に対して、下記特許文献2には、浴室乾燥機に人感センサを設け、浴室への入室を検知した場合に、24時間換気運転を一時停止させることが開示されている。これによれば、人が浴室に入室した場合には換気運転が一時停止されるため、浴室に入室した人に換気風による寒さを感じさせることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4604588号公報
【特許文献2】特開2013-57474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構成では、人が浴室に入室した場合には必ず換気運転が停止されてしまう。すなわち、気温が比較的高い冬季以外の時期は、入浴時に換気運転が行われていても寒さを感じることはないため、換気運転を行っても問題ない状態であるにもかかわらず、停止してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、換気運転を適切に一時停止させることができる浴室システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る浴室システムは、温水熱源機と、浴室内を前記温水熱源機で生成される温水を用いて乾燥させる乾燥運転および前記浴室内を換気する換気運転が可能な浴室乾燥機と、制御器と、を備えた浴室システムであって、前記温水熱源機を操作するために前記浴室に設けられた浴室リモコンに備えられ、前記浴室内の人の有無を検知する人感センサを備え、前記制御器は、前記浴室乾燥機の換気運転中かつ前記人感センサが前記浴室内の人を検知している場合に、前記浴室内の人が寒さを感じることに関する所定の条件を満足しているか否かを判定し、前記所定の条件を満足している場合に、前記換気運転を一時停止させる。
【0009】
上記構成によれば、換気運転時に人感センサが浴室内の人を検知した場合であっても、浴室内の人が寒さを感じることに関する所定の条件を満足しない限り、換気運転が継続される。一方、換気運転時に人感センサが浴室内の人を検知した場合であって、所定の条件を満足する場合、換気運転を継続すると浴室内の人が寒さを感じると想定して換気運転を一時停止させる。したがって、浴室内の人が寒さを感じる場合にのみ換気運転を一時停止させることができる。また、人感センサが温水熱源機を操作するために浴室に設けられた浴室リモコンに設けられるため、浴室内の人を検知するための構成を浴室乾燥機等に別途設ける必要がなく簡単な構成で換気運転の一時停止を行うことができる。
【0010】
前記温水熱源機は、前記浴室内の温度を検知する室温センサを備え、前記制御器は、前記室温センサで検知される温度が第1基準温度未満である場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させてもよい。
【0011】
これによれば、浴室内の温度が第1基準温度未満である場合に換気運転が一時停止されるため、換気運転の一時停止の要否判定を、浴室内の温度に応じてより直接的に行うことができる。
【0012】
前記温水熱源機は、外気温センサを備え、前記制御器は、前記外気温センサで検知される温度が第2基準温度未満である場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させてもよい。
【0013】
これによれば、外気温が第2基準温度未満である場合に換気運転が一時停止されるため、換気運転の一時停止の要否判定を、湯張り状態または浴室乾燥機による暖房運転等の浴室内の状況に左右されずに行うことができる。
【0014】
前記温水熱源機は、水源から供給される水の温度を検知する入水温センサを備え、前記制御器は、前記入水温センサで検知される温度が第3基準温度未満である場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させてもよい。
【0015】
これによれば、外気温に応じた温度となる入水温が第3基準温度未満である場合に換気運転が一時停止されるため、換気運転の一時停止の要否判定を、湯張り状態または浴室乾燥機による暖房運転等の浴室内の状況に左右されずに行うことができる。また、温水熱源機に予め設けられる入水温センサを用いて換気運転の一時停止の要否判定を行うことができるため、設備コストが高くなることを抑制することができる。
【0016】
前記浴室乾燥機は、前記浴室内に温風を導入する暖房運転および前記浴室内に送風する涼風運転を実行可能に構成され、前記制御器は、所定の期間における前記浴室乾燥機の運転履歴を読み出し、前記所定の期間における前記運転履歴において前記暖房運転が所定回数行われた場合または前記涼風運転が行われていない場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させてもよい。
【0017】
これによれば、人が寒さを感じるときに行われる浴室乾燥機の運転動作の実績に応じて換気運転の一時停止の要否判定が行われるため、ユーザの感覚に基づいた換気運転の一時停止を行うことができる。
【0018】
前記温水熱源機は、少なくとも前記浴室内への給湯機能を備え、前記制御器は、前記浴室内の人を検知後、前記温水熱源機における給湯流量が基準流量以上である場合に、前記所定の条件を満足していると判定し、前記換気運転を一時停止させてもよい。
【0019】
これによれば、給湯流量が基準流量以上である場合に換気運転が一時停止されるため、換気運転の一時停止の要否判定を、浴室での給湯利用(シャワー利用等)の有無に基づいて行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上に説明した構成を有し、換気運転を適切に一時停止させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る浴室システムの概略構成図である。
図2図2は、図1に示す浴室乾燥機の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、図1に示す浴室乾燥機の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されない。
【0023】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る浴室システムの概略構成図である。図1に示すように、この浴室システム1は、浴室乾燥機2および乾燥機リモコン(リモートコントローラ)2Rを有する乾燥機システムと、温水熱源機3および浴室リモコン(リモートコントローラ)3Rを有する熱源機システムとを備えている。浴室乾燥機2のコントローラ2aと温水熱源機3のコントローラ3aとは、相互に通信可能に構成されている。
【0024】
温水熱源機3は、住宅の屋外または屋内の所定の場所に設置され、例えば、燃焼加熱式の給湯装置であり、熱交換器および該熱交換器を加熱するバーナ等の加熱装置などを備えている。温水熱源機3には、コントローラ3aが内蔵されている。コントローラ3aは、例えば、CPUおよびメモリ(RAMおよびROM等)を有するマイクロコントローラ等によって構成される。コントローラ3aは、温水熱源機3内の各種センサの出力信号を入力し、温水熱源機3全体の動作を制御する。
【0025】
温水熱源機3は、外部配管54,55を介して浴室乾燥機2の熱交換器13(図2)と接続され、この熱交換器13内に高温水を循環させる暖房乾燥機能を有している。また、温水熱源機3は、浴室100および台所等の給湯端末に湯水を供給する給湯機能を有するとともに、浴槽101に装着された循環金具53と外部配管51,52を介して接続されており、外部配管51,52を介して浴槽101へ湯水を供給する風呂注湯機能および浴槽101内の湯水を循環させて加熱する追い焚き機能等を有する。
【0026】
温水熱源機3は、外部の水源から水を導入して給湯用熱交換器に至る入水路を有している。温水熱源機3は、水源から供給される水の温度(入水路内を流通する水の温度)を検知する入水温センサ31と、入水路を流通する水の流量(給湯流量)を検知する水量センサ32と、を備えている。さらに、温水熱源機3は、その筐体内に設けられた外気温センサ33を備えている。
【0027】
浴室リモコン3Rは、温水熱源機3を遠隔操作するために浴室100内に設けられ、温水熱源機3のコントローラ3aと相互に通信可能に構成されている。浴室リモコン3Rは、操作部および表示部(図示せず)を備え、ユーザが浴室リモコン3Rの操作部を操作して、温水熱源機3の運転操作、給湯温度または風呂温度等の設定操作を行うことができる。また、浴室リモコン3Rは、表示部に温水熱源機3の運転状態、設定されている給湯温度または風呂温度等を表示することができる。
【0028】
さらに、浴室リモコン3Rには、浴室100内の人の有無を検知する人感センサ4が設けられている。人感センサ4は、例えば焦電型赤外線センサ、電波センサ等、人の存在の有無を検知することができるように構成されたセンサであればよい。人感センサ4の検知情報(検知結果を示す情報)は、随時、浴室リモコン3Rからコントローラ3aへ送信され、さらにコントローラ3aから浴室乾燥機2のコントローラ2aへ送信される。さらに、浴室リモコン3Rには、浴室100内の温度を検知する室温センサ35が設けられている。温水熱源機3が備える各種センサ31~33,35の検知情報も、同様に、コントローラ3aおよび浴室乾燥機2のコントローラ2aへ送信される。
【0029】
コントローラ3aには、記憶器34が接続されている。記憶器34は、上述したような各種センサの検知結果を記憶したり、温水熱源機3の運転履歴を記憶したりする。
【0030】
図2は、図1に示す浴室乾燥機の概略構成を示す断面図である。浴室乾燥機2は、例えば、浴室100の天井に設置されている。この浴室乾燥機2は、筐体10,20内に、熱交換器13、循環ファン(循環用送風機)14及び換気ファン(換気用送風機)23等を備えている。
【0031】
筐体10,20は、共有壁10aによって一体化されて構成されている。筐体10は、浴室100内の空気を吸入するための循環用の吸入口11と、浴室100内へ空気を排出するための循環用の排出口12と、浴室100内の空気を吸入するための換気用の吸入口15とを備える。これらの吸入口11、排出口12および吸入口15は、それぞれ、浴室100の天井から浴室100内に露出している。排出口12には、モータ(図示せず)によって駆動され空気の排出方向を変更するためのルーバ(図示せず)が設けられる。循環用の排出口12と換気用の吸入口15とは、仕切り板18によって区切られている。
【0032】
また、仕切り板18によって筐体10の内部空間が、循環用の第1空間P1と換気用の第2空間P2とに区切られている。第1空間P1には、熱交換器13と循環ファン14とが配置されている。
【0033】
循環ファン14は、吸入口11から排出口12に向かって空気が流れるように、空気を送風させる。熱交換器13には、温水熱源機3との間に、温水熱源機3からの温水が循環するための往路用の外部配管54と復路用の外部配管55とが接続されている。温水熱源機3内のバーナ等によって加熱された温水が外部配管54,55を介して熱交換器13を循環することにより、熱交換器13を通過する空気が暖められる。
【0034】
また、筐体20は、空気を吸入するための吸入口21と、空気を排出するための排出口22とを備え、その内部に換気ファン23が配置されている。吸入口21は、ダクト24を通じて浴室100以外の他の部屋(例えば、脱衣室またはトイレ等)の換気口に接続される。このような他の部屋につながる吸入口21が複数設けられていてもよい。排出口22は、ダクトを介して屋外に繋がっている。また、筐体20と筐体10との共有壁10aに開口部16が設けられており、この開口部16に、開閉可能な電動式のシャッタ17が設けられている。シャッタ17の開・閉の切り替えにより、筐体20の内部空間と筐体10の第2空間P2との間の空気の流通・遮断が切り替えられる。
【0035】
浴室乾燥機2は、上記換気ファン23の駆動状態(運転または停止)、シャッタ17の開閉状態、熱交換器13への温水循環状態(循環または停止)、および循環ファン14の駆動状態(運転または停止)の組み合わせに応じて、運転内容を、換気運転、暖房運転、乾燥運転または涼風運転の間で切り替え可能に構成される。
【0036】
浴室100内の換気運転を行う場合には、シャッタ17を開いた状態で換気ファン23が駆動される。これにより、吸入口15から吸入された浴室100内の空気が開口部16を通過して筐体20の排出口22から排出される。また、換気ファン23を駆動することで、上記他の部屋の空気が、ダクト24を通じて吸入口21から吸入されて排出口22から排出されるので、他の部屋の換気も行われる。なお、シャッタ17を閉じた状態で換気ファン23を駆動すると上記他の部屋の換気のみが行われる。なお、換気運転においては、熱交換器13への温水循環は停止され、循環ファン14も停止している。
【0037】
なお、本例では、浴室100以外の他の部屋の換気も行うことができるように構成されているが、浴室100のみの換気が可能な構成(以下、「一室換気構成」という)でもよい。この一室換気構成の場合、例えば、共有壁10aに開口部16及びシャッタ17を設けずに、吸入口21を浴室100の天井の開口部に接続するとともに、仕切り板18を無くした構成とすることができる。この場合、前述の吸入口15及び排出口12の部分が、循環用の排出口12に相当する1つの排出口となる。
【0038】
暖房運転の実行時には、浴室100内に温風を導入する。すなわち、暖房運転の実行時には、循環ファン14が駆動されるとともに、温水熱源機3からの温水を、配管54,55を介して熱交換器13に循環させる。これにより、吸入口11から吸入された浴室100内の空気が熱交換器13で暖められた後、排出口12から浴室100内へ排出される。これにより浴室100内の暖房が行われる。このとき、シャッタ17は閉じた状態となっている。換気ファン23は、他の部屋の換気を行うか否かに応じて運転または停止が決定される。
【0039】
また、乾燥運転の実行時には、浴室100内を温水熱源機3で生成される温水を用いて乾燥させる。すなわち、乾燥運転の実行時には、暖房運転の場合と同様、循環ファン14が駆動されるとともに、温水熱源機3からの温水を、配管54,55を介して熱交換器13に循環させる。さらに、乾燥運転の実行時には、シャッタ17を開いた状態で換気ファン23が駆動される。このように、乾燥運転では、換気運転と暖房運転とが併用されることにより、浴室100内の乾燥が行われる。
【0040】
また、涼風運転の実行時には、浴室100内に送風を行う。すなわち、涼風運転の実行時には、循環ファン14が駆動される一方、熱交換器13への温水の循環が停止される(熱交換器13による熱交換が行われない)。このとき、シャッタ17は閉じた状態となっている。換気ファン23は、他の部屋の換気を行うか否かに応じて運転または停止が決定される。
【0041】
浴室乾燥機2のコントローラ2aは、図2では示されていないが、例えば筐体10の内部または外部の適宜の位置に設けることができる。コントローラ2aは、例えばマイクロコントローラ等によって構成され、浴室乾燥機2全体の動作を制御する。すなわち、コントローラ2aは、循環ファン14、換気ファン23およびシャッタ17等の動作制御を行う。
【0042】
また、図1に示すように、浴室乾燥機2を遠隔操作するためのリモコン(以下、「乾燥機リモコン」という)2Rが、例えば脱衣室等に設けられている。この乾燥機リモコン2Rは、コントローラ2aと相互に通信可能に構成されている。また、乾燥機リモコン2Rには、暖房運転、乾燥運転、換気運転、涼風運転、および24時間換気運転等の各運転を開始および停止させるための複数の操作ボタン(操作部)と、各運転の実行の際に所定の情報を表示する表示部等を備えている。ユーザによる乾燥機リモコン2Rの操作部の操作に応じてコントローラ2aが浴室乾燥機2の動作(運転)を制御する。
【0043】
24時間換気運転は、換気運転の一態様である。24時間換気運転は、換気ファン23を常時駆動して上記換気運転を連続で行う運転モードである。通常の換気運転には、換気時間の設定項目が設けられる場合があるが、24時間換気運転は換気時間の設定項目が存在しない。なお、24時間換気運転は、通常の換気運転よりも小さな風量で換気が行われる。
【0044】
24時間換気運転は、所定の条件の発生によって一時停止される。浴室乾燥機2のコントローラ(制御器)2aは、24時間換気運転中に所定の条件を満足するか否かを判定し、24時間換気運転を一時停止させる。
【0045】
コントローラ2aは、24時間換気運転中に浴室内の人が寒さを感じることに関する第1条件を満足した場合に所定の条件を満足したと判定する。より具体的には、コントローラ2aは、24時間換気運転中かつ人感センサ4が浴室100内の人を検知している場合に、第1条件を満足しているか否かを判定し、第1条件を満足している場合に、24時間換気運転を一時停止させる。
【0046】
図3は、図1に示す浴室乾燥機の動作の一例を示すフローチャートである。この図3に示すフローチャートの処理は、浴室乾燥機2のコントローラ2aによって所定の周期(例えば100msの周期)で繰り返し実行される。また、人感センサ4の検知情報は、例えば、検知結果(人の有無)に変化があると、温水熱源機3のコントローラ3aから浴室乾燥機2のコントローラ2aへ送信され、コントローラ2aでは、直近(最新)の検知情報を記憶している。
【0047】
コントローラ2aは、浴室乾燥機2の運転状態を監視する。より具体的には、コントローラ2aは、24時間換気運転の実行中か否かを判定する(ステップS1)。例えば、ユーザが乾燥機リモコン2Rの「24時間換気」ボタンを押すと、コントローラ2aは、シャッタ17を開いて換気ファン23を駆動させる。このとき、コントローラ2aは、24時間換気運転の実行中であると判定する。なお、24時間換気運転を停止(完全停止)させる場合には、例えば、「24時間換気」ボタンを数秒間、長押しすればよい。
【0048】
24時間換気運転の実行中である場合(ステップS1でYes)、コントローラ2aは、人感センサ4の直近の検知情報に基づき、浴室100内の人が検知されているか否かを判定する(ステップS2)。浴室100内の人が検知されている場合(ステップS2でYes)、コントローラ2aは、第1条件を満足するか否かの判定を行う(ステップS3)。第1条件を満足する場合(ステップS3でYes)、コントローラ2aは、24時間換気運転の一時停止を実行する(ステップS4)。
【0049】
本実施の形態では、シャッタ17を閉じることにより浴室100の24時間換気運転の一時停止を行う。これにより、浴室100以外の他の部屋の換気は継続される。なお、前述した浴室100のみの換気が可能な一室換気構成の場合には、換気ファン23を停止させてもよい。いずれにしても、24時間換気運転の一時停止は、浴室100の換気運転を一時停止させることを意味する。
【0050】
一方、24時間換気運転中かつ浴室100内の人を検知した場合であっても、第1条件を満足しない場合(ステップS3でNo)には、コントローラ2aは、現状を維持する(24時間換気運転を継続する)。また、24時間換気運転中であっても、浴室100内の人が検知されていない場合(ステップS2でNo)には、コントローラ2aは、現状を維持する(24時間換気運転を継続する)。
【0051】
また、24時間換気運転の実行中ではない場合(ステップS1でNo)、コントローラ2aは、24時間換気運転の一時停止中か否かを判定する(ステップS5)。24時間換気運転の一時停止中である場合(ステップS5でYes)、コントローラ2aは、人感センサ4の直近の検知情報に基づき、浴室100内の人が検知されているか否かを判定する(ステップS6)。浴室100内の人が検知されている場合(ステップS6でYes)、コントローラ2aは、現状を維持する(24時間換気運転の一時停止を継続する)。
【0052】
一方、24時間換気の一時停止中において浴室100内の人が検知されない場合(ステップS6でNo)、コントローラ2aは、シャッタ17を開く、または、換気ファン23の運転を再開することにより、24時間換気運転を再開する(ステップS7)。
【0053】
ここで、第1条件を満足しているか否かの判定(ステップS3)に関し、コントローラ2aは、以下の判定のうちの少なくとも何れか1つの判定を行い得る。
【0054】
(1)室温による判定
コントローラ2aは、室温センサ35で検知される浴室100内の温度(室温)が第1基準温度未満である場合に、第1条件を満足すると判定する。第1条件を満足した場合、24時間換気運転が一時停止される。したがって、24時間換気運転の一時停止の要否判定を、浴室100内の温度に応じてより直接的に行うことができる。
【0055】
(2)外気温による判定
コントローラ2aは、外気温センサ33で検知される温度(外気温)が第2基準温度未満である場合に、第1条件を満足していると判定する。第1条件を満足した場合、24時間換気運転が一時停止される。したがって、24時間換気運転の一時停止の要否判定を、湯張り状態または浴室乾燥機2による暖房運転等の浴室100内の状況(直近の状況)に左右されずに行うことができる。
【0056】
(3)入水温による判定
コントローラ2aは、入水温センサ31で検知される温度(入水温)が第3基準温度未満である場合に、第1条件を満足していると判定する。この場合、外気温に応じた温度となる入水温が第3基準温度未満である場合に24時間換気運転が一時停止される。したがって、24時間換気運転の一時停止の要否判定を、湯張り状態または浴室乾燥機2による暖房運転等の浴室内の状況(直近の状況)に左右されずに行うことができる。また、温水熱源機3にあらかじめ設けられる入水温センサ31を用いて24時間換気運転の一時停止の要否判定を行うことができるため、設備コストが高くなることを抑制することができる。
【0057】
(4)運転履歴による判定
コントローラ2aは、記憶器34に記憶された所定の期間(例えば直近の1週間)における浴室乾燥機2の運転履歴を読み出し、所定の期間における運転履歴において暖房運転が所定回数(例えば1回以上)行われた場合に、第1条件を満足していると判定する。これに代えて、コントローラ2aは、所定の期間における運転履歴において涼風運転が行われていない場合に、第1条件を満足していると判定してもよい。あるいは、コントローラ2aは、所定の期間における運転履歴において暖房運転が所定回数行われた場合かつ涼風運転が行われていない場合に、第1条件を満足していると判定してもよい。
【0058】
この場合、人が寒さを感じるときに行われる浴室乾燥機2の運転動作の実績に応じて24時間換気運転の一時停止の要否判定が行われる。したがって、ユーザの感覚に基づいた24時間換気運転の一時停止を行うことができる。
【0059】
なお、この判定に用いる運転履歴は、浴室乾燥機2が所定時間連続で暖房運転された場合および/または所定時間連続で涼風運転された場合にその運転が記録されるようにしてもよい。これにより、誤って涼風運転の操作ボタンが押された場合等を運転履歴による判定から除外することができる。
【0060】
また、運転履歴として、上記暖房運転または涼風運転に代えて、温水熱源機3および/または浴室乾燥機2が実施する所定の凍結予防運転を含んでもよい。すなわち、コントローラ2aは、所定の期間において温水熱源機3および/または浴室乾燥機2により所定の凍結予防運転が所定回数行われた場合に、第1条件を満足していると判定し、24時間換気運転を一時停止させてもよい。凍結予防運転は、例えば、配管内の湯水の凍結を予防するために、外気温や浴室100内の温度が基準温度以下に低下したことを検知した場合に、凍結予防ヒータを作動させたり、ふろ配管または温水暖房配管における湯水循環ポンプを作動させたりする運転態様である。
【0061】
(5)給湯流量による判定
コントローラ2aは、水量センサ32で検知される温水熱源機3における給湯流量が基準流量以上である場合に、第1条件を満足していると判定する。この場合、給湯流量が基準流量以上である場合に24時間換気運転が一時停止される。
【0062】
人感センサ4が人を検知している状態で給湯流量が基準流量以上となる場合は、浴室100内の人が浴槽101外にてシャワー等を利用している場合であると想定される。シャワー等の利用時は、浴槽101内に入浴している場合に比べて人が寒さを感じ易い。したがって、24時間換気運転の一時停止の要否判定を、浴室100での給湯利用(シャワー等の利用)の有無に基づいて行うことができる。この結果、例えば衣服を着たユーザが、入浴目的以外の目的(例えば単に浴室100内の掃除を行う等)で浴室100に入った場合等には24時間換気運転が一時停止されないようにすることができる。
【0063】
例えば、基準流量は、シャワー利用時の平均流量に設定される。平均流量は、予め想定された値(固定値)でもよいし、水量センサ32の検知履歴に基づいてコントローラ2aが算出した値でもよい。また、基準流量は、台所等で給湯利用されるときの平均流量より大きい値としてもよい。
【0064】
以上のように、本実施の形態によれば、24時間換気運転時に人感センサ4が浴室100内の人を検知した場合であっても、浴室100内の人が寒さを感じることに関する所定の条件(第1条件)を満足しない限り、24時間換気運転が継続される。一方、24時間換気運転時に人感センサ4が浴室100内の人を検知した場合であって、第1条件を満足する場合、24時間換気運転を継続すると浴室100内の人が寒さを感じると想定して24時間換気運転を一時停止させる。
【0065】
したがって、冬場等、浴室100内の人が寒さを感じる場合にのみ24時間換気運転を一時停止させることができ、夏場等、浴室100内の人が寒さを感じない場合には24時間換気運転を継続することができる。また、人感センサ4が温水熱源機3を操作するために浴室100に設けられた浴室リモコン3Rに設けられるため、浴室100内の人を検知するための構成を浴室乾燥機2等に別途設ける必要がなく簡単な構成で24時間換気運転の一時停止を行うことができる。
【0066】
(他の実施の形態)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【0067】
例えば、上記実施の形態においては、第1条件を満足しているか否かの判定(ステップS3)として、上記5つの判定を列挙した。コントローラ2aは、第1条件を満足しているか否かの判定に際して、上記5つの判定すべてを行ってもよいし、そのうちのいくつかを行ってもよいし、何れか1つだけ行ってもよい。複数の判定を行う場合は、複数の判定の何れも満足した場合に第1条件を満足する(AND条件)としてもよいし、複数の判定のうちの何れか1つでも満足した場合に第1条件を満足する(OR条件)としてもよい。
【0068】
例えば、各種温度を用いた判定(1)~(3)の少なくとも何れか1つと、給湯流量による判定(5)とをOR条件として組み合わせた場合、基準温度以上でも浴室100内でシャワー等を利用する場合(基準流量以上である場合)に24時間換気運転を一時停止する第1段階と、浴室100内でシャワー等を利用するか否かにかかわらず基準温度未満となった場合に24時間換気運転を一時停止する第2段階との2段階で24時間換気運転の一時停止を行うことができる。
【0069】
また、例えば、入水温による判定(3)と給湯流量による判定(5)とをAND条件として組み合わせた場合、入水温センサ31が設けられる入水路に通水している状態で入水温センサ31による入水温の検知が行われるため、判定精度を高くすることができる。
【0070】
また、上記実施の形態においては、24時間換気運転を一時停止した後、浴室100内の人を検知しなくなった場合に24時間換気運転を再開する態様を例示したがこれに限られない。例えば、24時間換気運転の一時停止中においても第1条件を満足するか否かの判定を行い(例えば、ステップS6でYesの次のステップとしてステップS3と同様の判定を行い)、第1条件を満足しなくなった場合には24時間換気運転を再開する(ステップS7へ移行する)ようにしてもよい。
【0071】
また、コントローラ2aは、上記第1条件に加えて、24時間換気運転を一時停止させる所定の条件として、浴室乾燥機2における24時間換気運転以外の運転モードを優先することに関する第2条件を満足した場合に所定の条件を満足したと判定してもよい。例えば、24時間換気運転中に、暖房運転、乾燥運転、換気運転等の他の運転の操作ボタンが押された場合、浴室乾燥機2のコントローラ2aは、第2条件を満足したと判定し、押された操作ボタンの運転が優先して実行され、その運転が終了するまで、24時間換気運転は一時停止されてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、24時間換気運転を一時停止させる態様を例示したが、これに加えてまたはこれに代えて、上記判定を用いて通常の換気運転を一時停止させてもよい。すなわち、本浴室システムの制御態様は、通常の換気運転機能を備え、24時間換気運転機能を備えない浴室システムについても適用可能である。また、本浴室システムの制御態様において、換気運転機能以外の各機能は必須の機能ではない。
【0073】
また、給湯流量による判定(5)を、暖房運転時の風量調節に利用してもよい。この場合、コントローラ2aは、暖房運転中に浴室100内の人を検知した状態で給湯流量が基準流量以上となった場合には暖房運転の風量をそれまでに比べて小さくするように調節してもよい。
【0074】
また、上記実施の形態において、上記判定を行うための制御器が浴室乾燥機2のコントローラ2aである態様を例示したが、上記判定を行うための制御器が温水熱源機3のコントローラ3aであってもよいし、浴室乾燥機2および温水熱源機3とは独立した別個のコントローラであってもよい。
【0075】
また、上記実施の形態において、1つの温水熱源機3に対して1つの浴室乾燥機2を備えた(浴室100に1つの浴室乾燥機2が設けられた)浴室システムを例示したが、1つの温水熱源機3に対して複数の浴室乾燥機2を備えた(浴室100に複数の浴室乾燥機2が設けられた)浴室システムにも適用可能である。本浴室システムでは温水熱源機3の浴室リモコン3Rに設けられた人感センサ4で浴室100内の人の検知を行うため、各浴室乾燥機2に人感センサ4が設けられる場合より制御を簡単化できる。すなわち、複数の浴室乾燥機2間で24時間換気運転の一時停止を行う際の不整合防止処理が不要となる。
【0076】
また、上記実施の形態においては、浴室リモコン3Rに備えられた人感センサ4が、浴室リモコン3Rの筐体に設けられた構成を例示したが、これに代えて、人感センサ4が浴室リモコン3Rの筐体とは別体に設けられ、浴室リモコン3Rに対して通信線等を介して通信可能に接続されてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態においては、温水熱源機3に備えられた室温センサ35が、浴室リモコン3Rの筐体に設けられた構成を例示したが、これに代えて、室温センサ35が浴室リモコン3Rの筐体とは別体に設けられ、浴室リモコン3Rに対して通信線等を介して通信可能に接続されてもよい。
【0078】
また、室温センサ35は、浴室乾燥機2が備えていてもよい。この際、室温センサ35は、浴室乾燥機2の筐体に設けられてもよいし、浴室乾燥機2の筐体とは別体に設けられ、浴室乾燥機2に対して通信線等を介して通信可能に接続されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、換気運転を適切に一時停止させるために有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 浴室システム
2 浴室乾燥機
2a コントローラ(制御器)
3 温水熱源機
3R 浴室リモコン
4 人感センサ
31 入水温センサ
33 外気温センサ
35 室温センサ
図1
図2
図3