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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096088
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/00 20060101AFI20220622BHJP
   F16L 15/04 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
F16L15/00
F16L15/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020208992
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000231121
【氏名又は名称】JFE継手株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 義郎
【テーマコード(参考)】
3H013
【Fターム(参考)】
3H013GA02
3H013GA07
3H013JB03
(57)【要約】
【課題】 破壊される恐れを低くする。
【解決手段】 管継手は、筒状の継手本体10と、コア12とを備える。コア12は継手本体10の内部に配置される。継手本体10が、空間形成筒状部と筒内雌ねじ部とを有している。空間形成筒状部が進入口および進入口に連なる空間を形成する。筒内雌ねじ部は空間形成筒状部の内部のうち進入口の内奥に設けられる。コア12が、筒状のコア胴部と、連結部とを有している。連結部は、コア胴部の外周に設けられる。連結部は、コア胴部が筒内雌ねじ部に対向するように継手本体10とコア胴部とを連結する。管継手が、補強体14をさらに備えている。補強体14は、進入口から進入口の内奥へ向かう方向についての、連結部による継手本体10とコア胴部との連結を補強する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体と、
前記継手本体の内部に配置されるコアとを備え、
前記継手本体が、
進入口および前記進入口に連なる空間を形成する空間形成筒状部と、
前記空間形成筒状部の内部のうち前記進入口の内奥に設けられる筒内雌ねじ部とを有している管継手であって、
前記コアが、
筒状のコア胴部と、
前記コア胴部の外周に設けられ、前記コア胴部が前記筒内雌ねじ部に対向するように前記継手本体と前記コア胴部とを連結する連結部とを有しており、
前記進入口から前記進入口の内奥へ向かう方向についての、前記連結部による前記継手本体と前記コア胴部との連結を補強する補強体をさらに備えていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記補強体が、
前記進入口から前記進入口の内奥へ向かう方向についてのせん断強度が前記連結部より高い環状部と、
前記環状部の内周に設けられ、前記連結部に接続される内周接続部と、
前記環状部の外周に前記環状部と一体に設けられ、前記筒内雌ねじ部にかみ合う外周雄ねじ部とを有していることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記連結部が、雄ねじを形成しており、
前記内周接続部が、前記連結部によって形成される前記雄ねじとかみ合う雌ねじを形成しており、
前記連結部によって形成される前記雄ねじとかみ合い前記内周接続部により形成される前記雌ねじのねじ山数が、前記筒内雌ねじ部にかみ合う前記外周雄ねじ部のねじ山数より多いことを特徴とする請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記筒内雌ねじ部が、
前記進入口に連続する連続雌ねじ部と、
前記進入口から見て前記連続雌ねじ部の奥に配置される奥側雌ねじ部とを有しており、
前記連結部が、前記奥側雌ねじ部にかみ合う雄ねじを形成しており、
前記補強体が、前記空間形成筒状部の内周面のうち前記進入口から見て前記奥側雌ねじ部の奥となる所定位置に固定され、前記コア胴部を支持することを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項5】
前記奥側雌ねじ部が前記空間形成筒状部と一体になっており、
前記奥側雌ねじ部のねじ山の谷の内径が前記連続雌ねじ部のねじ山の頂の内径より小さく、
前記補強体が、前記所定位置に加えて前記所定位置から前記連結部までの区間にも固定されることを特徴とする請求項4に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は管端防食継手を開示する。特許文献1に開示された管端防食継手は、継手本体と、ポリエチレン樹脂製コアとを備える。継手本体は、内ねじ部を有している。内ねじ部には内面被覆鋼管の端部がかみ合う。継手本体のねじなし部分には樹脂ライニング層が被覆形成されている。ポリエチレン樹脂製コアは、筒状胴部と、鍔部と、外ねじ部とを有する。筒状胴部は内面被覆鋼管の端部内に挿入される。鍔部は筒状胴部の端部に設けられる。外ねじ部は、鍔部の外周に設けられる。外ねじ部は、継手本体の内ねじ部にねじ込まれる。筒状胴部には、シール部が設けられる。シール部は、鋼管の内面被覆層に弾性的に圧接される。特許文献1に開示された管端防食継手において、ポリエチレン樹脂製コアの鍔部の環状端面に向けてプラズマジェットを投射することでその環状端面の表面が改質加工されている。その改質加工された鍔部の環状端面と継手本体の樹脂ライニング層との交差部は接着剤によって一体に接着固定されている。特許文献1に開示された管端防食継手によると、ポリエチレン樹脂製コアを使用しつつ、このコアと継手本体とを容易かつ強力に接着固定して所定の管端防食性能を確実に達成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-146987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された管端防食継手には、これに対する鋼管の接続作業の内容によっては破壊される恐れがあるという問題点がある。本発明はこのような課題を解決するものである。本発明は、破壊される恐れを低くできる管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面に基づいて本発明の管継手が説明される。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためである。この欄で図中の符号を使用することには発明の内容を図示した範囲に限定する意図がない。
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、管継手は、筒状の継手本体10,90と、コア12,92とを備える。コア12,92は継手本体10,90の内部に配置される。継手本体10,90が、空間形成筒状部30,110と筒内雌ねじ部32,112とを有している。空間形成筒状部30,110が進入口40および進入口40に連なる空間42を形成する。筒内雌ねじ部32,112は空間形成筒状部30,110の内部のうち進入口40の内奥に設けられる。コア12,92が、筒状のコア胴部50,150と、連結部52,152とを有している。連結部52,152は、コア胴部50,150の外周に設けられる。連結部52,152は、コア胴部50,150が筒内雌ねじ部32,112に対向するように継手本体10,90とコア胴部50,150とを連結する。管継手が、補強体14,94をさらに備えている。補強体14,94は、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向についての、連結部52,152による継手本体10,90とコア胴部50,150との連結を補強する。
【0007】
補強体14,94は、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向についての、連結部52,152による継手本体10,90とコア胴部50,150との連結を補強する。これにより、その補強がない場合に比べて、進入口40から進入口40に連なる空間へ管が進入した際にその管が連結部52,152を破壊する恐れが低くなる。その結果、管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0008】
また、上述された補強体14が、環状部70と、内周接続部72と、外周雄ねじ部74とを有していることが望ましい。環状部70は、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向についてのせん断強度が連結部52より高い。内周接続部72は、環状部70の内周に設けられる。内周接続部72は、連結部52に接続される。外周雄ねじ部74は、環状部70の外周に環状部70と一体に設けられる。外周雄ねじ部74は、筒内雌ねじ部32にかみ合う。
【0009】
環状部70は、筒内雌ねじ部32と連結部52との間に配置されることとなる。これにより、連結部52が筒内雌ねじ部32に直接接続される場合と異なり、連結部52がコア胴部50の外周から高く突出する必要がなくなる。高く突出する必要がないので、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向の力を連結部52が受けたときにその力によって連結部52が破壊される恐れは低くなる。環状部70は、連結部52よりせん断強度が高い。外周雄ねじ部74は、環状部70の外周に環状部70と一体に設けられる。これにより、連結部52が筒内雌ねじ部32に直接接続される場合に比べて、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向の力を連結部52が受けたときにその力によって継手本体10とコア胴部50との連結状態が破壊される恐れは低くなる。その結果、管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0010】
もしくは、上述された連結部52が雄ねじを形成していることが望ましい。この場合、内周接続部72が雌ねじを形成していることが望ましい。その雌ねじは、連結部52によって形成される雄ねじとかみ合う。この場合、連結部52によって形成される雄ねじとかみ合い内周接続部72により形成される雌ねじのねじ山数が、筒内雌ねじ部32にかみ合う外周雄ねじ部74のねじ山数より多いことが望ましい。
【0011】
連結部52によって形成される雄ねじとかみ合い内周接続部72により形成される雌ねじのねじ山数が、筒内雌ねじ部32にかみ合う外周雄ねじ部74のねじ山数より多い。これにより、外周雄ねじ部74と同じねじ山数で連結部52によって形成される雄ねじが筒内雌ねじ部32にかみ合う場合に比べて、継手本体10とコア胴部50とは強く連結されることとなる。その結果、管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0012】
また、上述された筒内雌ねじ部112が、連続雌ねじ部130と、奥側雌ねじ部132とを有していることが望ましい。連続雌ねじ部130は、進入口40に連続する。奥側雌ねじ部132は、進入口40から見て連続雌ねじ部130の奥に配置される。この場合、連結部152が雄ねじを形成していることが望ましい。連結部152が形成する雄ねじは、奥側雌ねじ部132にかみ合う。この場合、補強体94が、空間形成筒状部110の内周面のうち進入口40から見て奥側雌ねじ部132の奥となる所定位置に固定されることが望ましい。補強体94が、コア胴部150を支持することが望ましい。
【0013】
所定位置に固定される補強体94がコア胴部150を支持する。これにより、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向の力を連結部152が受けたときにその力によって連結部152が破壊される恐れは低くなる。その結果、管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0014】
もしくは、上述された奥側雌ねじ部132が空間形成筒状部110と一体になっていることが望ましい。この場合、奥側雌ねじ部132のねじ山の谷の内径が連続雌ねじ部130のねじ山の頂の内径より小さいことが望ましい。この場合、補強体94が、所定位置に加えて所定位置から連結部152までの区間にも固定されることが望ましい。
【0015】
奥側雌ねじ部132のねじ山の谷の内径が連続雌ねじ部130のねじ山の頂の内径より小さいと、次に述べられる場合に比べて、筒内雌ねじ部112と連結部152とが連結される位置はコア胴部150の外周に近くなる。その場合とは、奥側雌ねじ部132のねじ山の谷の内径が連続雌ねじ部130のねじ山の頂の内径に等しい場合である。これにより、筒内雌ねじ部112と連結部152とが連結される位置がコア胴部150の外周から離れる場合に比べて、進入口120から進入口120の内奥へ向かう方向の力を受けて連結部152が破壊される恐れは低くなる。しかも、補強体94が所定位置に加えて所定位置から奥側雌ねじ部132までの区間にも固定されるので、補強体94が所定位置のみに固定される場合に比べて、コア胴部150に対する補強体94の支持力は高くなる。その結果、管継手が破壊される恐れは低くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、破壊される恐れを低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態にかかる管継手の断面図である。
図2】本発明の第1実施形態にかかる継手本体の断面図である。
図3】本発明の第1実施形態にかかるコアの外観図である。
図4】本発明の第1実施形態にかかる補強体の外観図である。
図5】本発明の第2実施形態にかかる管継手の断面図である。
図6】本発明の第2実施形態にかかる継手本体の断面図である。
図7】本発明の第2実施形態にかかるコアの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
<第1実施形態の説明>
[構造の説明]
図1は、本実施形態にかかる管継手の断面図である。図1に基づいて、本実施形態の管継手の構成が説明される。本実施形態にかかる管継手は、筒状の継手本体10と、2個のコア12と、2個の補強体14とを備える。継手本体10はその内部にコア12および補強体14を配置させる。コア12は継手本体10と内面被覆鋼管200との間をシールする。補強体14は、継手本体10とコア12との連結を補強する。
【0020】
図2は、本実施形態にかかる継手本体10の断面図である。図2に基づいて、本実施形態の継手本体10の構成が説明される。本実施形態にかかる継手本体10は金属製である。本実施形態にかかる継手本体10は、空間形成筒状部30と筒内雌ねじ部32と保護被膜部34とを有している。空間形成筒状部30は進入口40および進入口40に連なる本体内空間42を形成する。筒内雌ねじ部32は空間形成筒状部30の内部のうち進入口40の内奥に設けられる。筒内雌ねじ部32は内面被覆鋼管200に設けられる雄ねじ220(図1参照)とかみ合う。保護被膜部34は空間形成筒状部30の内周面のうち筒内雌ねじ部32が設けられていない区間に設けられる。保護被膜部34は空間形成筒状部30の内周面を保護する。
【0021】
図3は、本実施形態にかかるコア12の外観図である。図3において、コア12の一部は切り欠かれている。図3に基づいて、本実施形態のコア12の構成が説明される。本実施形態にかかるコア12は合成樹脂製である。本実施形態にかかるコア12は、筒状のコア胴部50と、連結部52と、シール材54とを有している。コア胴部50は、管継手と内面被覆鋼管200との接続の際、内面被覆鋼管200内に配置される。コア胴部50は、内面被覆鋼管200内を流れる流体を通過させる。連結部52は、コア胴部50の外周に設けられる。連結部52は、コア胴部50が継手本体10の筒内雌ねじ部32に対向するように継手本体10とコア胴部50とを連結する。本実施形態の場合、連結部52は雄ねじを形成している。シール材54は、管継手と内面被覆鋼管200との接続の際、内面被覆鋼管200の内周面とコア胴部50との間をシールする。
【0022】
図4は、本実施形態にかかる補強体14の外観図である。図4において、補強金属環20の一部は切り欠かれている。図1図4とに基づいて、本実施形態の補強体14の構成が説明される。本実施形態にかかる補強体14は、補強金属環20と、補強樹脂体22とを有する。本実施形態にかかる補強金属環20は金属製である。本実施形態にかかる補強金属環20は、環状部70と、内周接続部72と、外周雄ねじ部74とを有している。環状部70は環状である。上述されたように本実施形態にかかる補強金属環20が金属製である。従って、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向についての環状部70のせん断強度は、その方向についての連結部52のせん断強度より高い。内周接続部72は、環状部70の内周に設けられる。内周接続部72は、連結部52に接続される。本実施形態の場合、内周接続部72は環状部70と一体になっている。本実施形態の場合、内周接続部72は雌ねじを形成している。その雌ねじは、連結部52が形成する雄ねじとかみ合う。外周雄ねじ部74は、環状部70の外周に設けられる。外周雄ねじ部74は、筒内雌ねじ部32にかみ合う。本実施形態の場合、外周雄ねじ部74は環状部70と一体になっている。なお、本実施形態において外周雄ねじ部74におけるねじ山の数は1山である。内周接続部72が形成する雌ねじにおいてねじ山の数は2山である。このことから明らかなように、本実施形態の場合、内周接続部72により形成される雌ねじのねじ山数は、筒内雌ねじ部32にかみ合う外周雄ねじ部74のねじ山数より多い。一方、本実施形態にかかる補強樹脂体22は、進入口40の位置から見て補強金属環20の奥に配置される。本実施形態にかかる補強樹脂体22は合成樹脂製である。本実施形態にかかる補強樹脂体22は、保護被膜部34に固定され、かつ、補強金属環20を支持する。
【0023】
[組立方法の説明]
本実施形態にかかる管継手を組立ようとする者(以下「組立者」と称される)は、まず継手本体10に2個の補強体14を配置させる。そのために、組立者は、コア12と補強金属環20とを接着剤で結合する。本実施形態の場合、この接着剤は硬化した際にシール性を奏することが望ましい。そのような接着剤の例には、2液性のエポキシ樹脂系接着剤がある。そのようなエポキシ樹脂系接着剤が周知なので、ここではその詳細な説明は繰り返されない。次に、組立者は、そのエポキシ樹脂系接着剤を筒内雌ねじ部32のうち進入口40の位置から見た奥側の端部に塗布する。そのエポキシ樹脂系接着剤が塗布されると、組立者は、筒内雌ねじ部32に補強金属環20の外周雄ねじ部74をねじ込んでいく。上述されたように、この補強金属環20にはコア12が接着されている。そのねじ込みにより、筒内雌ねじ部32の奥側の端部に塗布されたエポキシ樹脂系接着剤は、筒内雌ねじ部32から削がれて保護被膜部34の方へ押し出される。そのねじ込みに伴って、エポキシ樹脂系接着剤は補強金属環20外周全体に回る。押し出され補強金属環20外周全体に回ったエポキシ樹脂系接着剤はそこで硬化する。硬化したエポキシ樹脂系接着剤が補強樹脂体22となる。これにより、補強樹脂体22は補強金属環20を支持し補強金属環20と保護被膜部34との間をシールすることとなる。また、連結部52は補強体14を介してコア胴部50を継手本体10に連結することとなる。その連結の結果、コア胴部50は筒内雌ねじ部32に対向することとなる。この連結により、本実施形態にかかる管継手の組立は完了する。
【0024】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる管継手は、給水配管の一部として使用される。本実施形態にかかる管継手に内面被覆鋼管200を接続しようとする者(以下「接続者」と称される)は、まず、継手本体10の筒内雌ねじ部32に内面被覆鋼管200の雄ねじ220をねじ込む。このねじ込みによって、内面被覆鋼管200の先端部分は継手本体10の内部に進入する。その進入に伴って、コア12のコア胴部50は内面被覆鋼管200の内部に進入する。コア12のコア胴部50が内面被覆鋼管200の内部に進入すると、シール材54が内面被覆鋼管200の内周面とコア胴部50との間をシールする。最終的に内面被覆鋼管200の先端部分がコア12の連結部52の傍に到達すると本実施形態にかかる管継手と内面被覆鋼管200との接続は完了する。
【0025】
[効果の説明]
本実施形態にかかる管継手において、補強体14の補強金属環20は金属製である。これにより、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向についての補強体14のせん断強度は連結部52のそれより高くなる。その結果、補強体14は、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向についての、連結部52による継手本体10とコア胴部50との連結を補強することとなる。これにより、その補強がない場合に比べて、進入口40から本体内空間42へ内面被覆鋼管200が進入した際にその内面被覆鋼管200が連結部52を破壊する恐れが低くなる。その結果、本実施形態にかかる管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0026】
また、本実施形態にかかる管継手において、環状部70は、筒内雌ねじ部32と連結部52との間に配置されることとなる。これにより、連結部52が筒内雌ねじ部32に直接接続される場合と異なり、連結部52がコア胴部50の外周から高く突出する必要がなくなる。高く突出する必要がないので、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向の力を連結部52が受けたときにその力に起因して連結部52が受ける曲げ応力は小さくできる。曲げ応力が小さくなると、連結部52が破壊される恐れは低くなる。しかも、環状部70は、連結部52よりせん断強度が高い。外周雄ねじ部74は、環状部70の外周に環状部70と一体に設けられる。これにより、連結部52が筒内雌ねじ部32に直接接続される場合に比べて、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向の力を連結部52が受けたときにその力によって継手本体10とコア胴部50との連結状態が破壊される恐れは低くなる。その結果、管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0027】
また、本実施形態にかかる管継手において、内周接続部72により形成される雌ねじのねじ山数は、外周雄ねじ部74のねじ山数より多い。これにより、外周雄ねじ部74と同じねじ山数で連結部52によって形成される雄ねじが筒内雌ねじ部32にかみ合う場合に比べて、継手本体10とコア胴部50とは強く連結されることとなる。その結果、筒内雌ねじ部32が長くなることを抑えつつ、管継手が破壊される恐れを低くできる。
【0028】
<第2実施形態の説明>
[構造の説明]
図5は、本実施形態にかかる管継手の断面図である。図5に基づいて、本実施形態の管継手の構成が説明される。管継手は、筒状の継手本体90と、2個のコア92と、2個の補強体94とを備える。継手本体90はその内部にコア92および補強体94を配置させる。コア92は継手本体90と内面被覆鋼管200との間をシールする。補強体94は、継手本体90とコア92との連結を補強する。本実施形態にかかる補強体94は後述される。
【0029】
図6は、本実施形態にかかる継手本体90の断面図である。図6に基づいて、本実施形態の継手本体90の構成が説明される。本実施形態にかかる継手本体90は金属製である。本実施形態にかかる継手本体90は、空間形成筒状部110と筒内雌ねじ部112と保護被膜部114とを有している。空間形成筒状部110は進入口120および進入口120に連なる本体内空間122を形成する。筒内雌ねじ部112は空間形成筒状部110の内部のうち進入口120の内奥に設けられる。筒内雌ねじ部112は内面被覆鋼管200に設けられる雄ねじ220(図5参照)とかみ合う。保護被膜部114は空間形成筒状部110の内周面のうち筒内雌ねじ部112が設けられていない区間に設けられる。保護被膜部114は空間形成筒状部110の内周面を保護する。
【0030】
本実施形態の場合、筒内雌ねじ部112が、連続雌ねじ部130と、奥側雌ねじ部132とを有している。連続雌ねじ部130は、進入口120に連続する。奥側雌ねじ部132は、進入口120から見て連続雌ねじ部130の奥に配置される。本実施形態の場合、奥側雌ねじ部132が空間形成筒状部110と一体になっている。本実施形態の場合、奥側雌ねじ部132のねじ山の谷の内径が連続雌ねじ部130の山のねじ山の頂の内径より小さい。
【0031】
図7は、本実施形態にかかるコア92の外観図である。図7において、コア92の一部は切り欠かれている。図7に基づいて、本実施形態のコア92の構成が説明される。コア92が、筒状のコア胴部150と、連結部152と、シール材54とを有している。コア胴部150は、管継手と内面被覆鋼管200との接続の際、内面被覆鋼管200内に配置される。コア胴部150は、内面被覆鋼管200内を流れる流体を通過させる。連結部152は、コア胴部150の外周に設けられる。連結部152は、コア胴部150が筒内雌ねじ部112に対向するように継手本体90とコア胴部150とを連結する。本実施形態の場合、連結部152は、雄ねじを形成する。この雄ねじは、奥側雌ねじ部132にかみ合う。
【0032】
図5および図6に基づいて、本実施形態にかかる補強体94が説明される。本実施形態にかかる補強体94は、進入口120から進入口120の内奥へ向かう方向についての、連結部152による継手本体90とコア胴部50との連結強度を向上させる。本実施形態の場合、補強体94は、空間形成筒状部110の内周面のうち進入口120から見て奥側雌ねじ部132の奥となる所定位置に固定されている。補強体94は、コア胴部150を支持する。本実施形態の場合、補強体94が、その所定位置から連結部152までの区間にも固定される。
【0033】
[組立方法の説明]
本実施形態にかかる管継手を組立ようとする者(以下「組立者」と称される)は、まず継手本体90と2個のコア92とを連結させる。そのために、組立者は、継手本体90の奥側雌ねじ部132にコア92の連結部152をねじ込む。そのねじ込みによって連結部152はコア胴部150を継手本体90に連結することとなる。その連結の結果、コア胴部50は筒内雌ねじ部32に対向することとなる。次に、組立者は、進入口120を経由して継手本体90内に周知のノズルを挿入する。そのノズルが挿入されると、組立者はそのノズルによって継手本体90の保護被膜部114からコア92のコア胴部150までの区間に未重合の合成樹脂を吹き付ける。この合成樹脂には硬化剤が添加されている。この合成樹脂は保護被膜部114からコア胴部150までの区間に吹き付けられた後に硬化する。硬化した合成樹脂が補強体94となる。合成樹脂が補強体94になると、本実施形態にかかる管継手の組立は完了する。
【0034】
[使用方法の説明]
本実施形態にかかる管継手は、給水配管の一部として使用される。本実施形態にかかる管継手に内面被覆鋼管200を接続しようとする者(以下「接続者」と称される)は、まず、継手本体90の連続雌ねじ部130に内面被覆鋼管200の雄ねじ220をねじ込む。このねじ込みによって、内面被覆鋼管200の先端部分は継手本体90の内部に進入する。その進入に伴って、コア92のコア胴部150は内面被覆鋼管200の内部に進入する。コア92のコア胴部150が内面被覆鋼管200の内部に進入すると、シール材54が内面被覆鋼管200の内周面とコア胴部150との間をシールする。最終的に内面被覆鋼管200の先端部分がコア92の連結部152の傍に到達すると本実施形態にかかる管継手と内面被覆鋼管200との接続は完了する。
【0035】
[効果の説明]
本実施形態にかかる管継手において、補強体94は、進入口120から進入口120の内奥へ向かう方向についての、連結部152による継手本体90とコア胴部150との連結を補強することとなる。これにより、その補強がない場合に比べて、進入口120から本体内空間122へ内面被覆鋼管200が進入した際にその内面被覆鋼管200が連結部152を破壊する恐れが低くなる。その結果、本実施形態にかかる管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0036】
また、本実施形態にかかる管継手において、補強体94は、所定位置に加えて所定位置から連結部152までの区間にも固定される。その補強体94がコア胴部150を支持する。これにより、進入口40から進入口40の内奥へ向かう方向の力を連結部152が受けたときにその力によって連結部152が破壊される恐れは低くなる。その結果、管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0037】
また、本実施形態にかかる管継手において、奥側雌ねじ部132のねじ山の谷の内径が連続雌ねじ部130のねじ山の頂の内径より小さい。これにより、次に述べられる場合に比べて、奥側雌ねじ部132と連結部152とが連結される位置はコア胴部150の外周に近くなる。その場合とは、奥側雌ねじ部132のねじ山の谷の内径が連続雌ねじ部130のねじ山の頂の内径に等しい場合である。奥側雌ねじ部132と連結部152とが連結される位置がコア胴部150の外周に近くなると、次に述べられる場合に比べて、進入口120から進入口120の内奥へ向かう方向の力を受けて連結部152が破壊される恐れは低くなる。その場合とは、奥側雌ねじ部132と連結部152とが連結される位置がコア胴部150の外周から離れる場合である。その結果、管継手が破壊される恐れは低くなる。
【0038】
<変形例の説明>
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0039】
例えば、連続雌ねじ部130は進入口120に直接接続されていなくてもよい。連続雌ねじ部130は進入口120に続くように配置されていればよい。
【0040】
また、奥側雌ねじ部132のねじ山の谷の内径は連続雌ねじ部130のねじ山の頂の内径に等しくてもよい。奥側雌ねじ部132は空間形成筒状部110と一体でもそうでなくてもよい。
【0041】
また、補強体94が固定される位置は特に限定されない。補強体14,94が連結部52,152による連結を補強するための具体的な手段は特に限定されない。
【0042】
また、上述された補強金属環20の内周接続部72が雌ねじを形成していなくてもよい。この場合、コア12の連結部52は雄ねじを形成していなくてもよい。内周接続部72が雌ねじを形成しておらず、かつ、連結部52が雄ねじを形成していない場合、内周接続部72が次に述べられる孔を形成していることが望ましい。その孔は、進入口40から進入口40の内奥へ向かうにつれ窄まる。この場合、連結部52が次に述べられる錐台面を形成していることが望ましい。その錐台面は、内周接続部72が形成している孔に密着する面である。その錐台面の形成が望ましいのは、内周接続部72が形成している孔によってその錐台面が求心されるためである。内周接続部72がそのような孔を形成し、かつ、連結部52がそのような錐台面を形成している場合、その孔とその錐台面とのはめ合いは、いわゆる中間ばめまたはしまりばめであることが望ましい。この場合、補強金属環20の孔へ連結部52の錐台面を挿入すると補強金属環20と連結部52とが接続される。その結果、それらの接続の作業性が高いものとなる。なお、コア12と補強金属環20とがそれぞれ当たり面を有していることが望ましい。これにより補強金属環20に対するコア12の軸方向における位置決めが可能になるためである。
【符号の説明】
【0043】
10,90…継手本体
12,92…コア
14,94…補強体
20…補強金属環
22…補強樹脂体
30,110…空間形成筒状部
32,112…筒内雌ねじ部
34,114…保護被膜部
40,120…進入口
42,122…本体内空間
50,150…コア胴部
52,152…連結部
54…シール材
70…環状部
72…内周接続部
74…外周雄ねじ部
130…連続雌ねじ部
132…奥側雌ねじ部
170…突出部
200…内面被覆鋼管
220…雄ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7