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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096119
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】給水システムおよび微少気泡発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/40 20220101AFI20220622BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20220622BHJP
   B01F 23/2326 20220101ALI20220622BHJP
   B01F 25/30 20220101ALI20220622BHJP
【FI】
B01F5/00 D
A01G7/00 604Z
B01F3/04 F
B01F5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209045
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】516263915
【氏名又は名称】株式会社アルベール・インターナショナル
(71)【出願人】
【識別番号】592037804
【氏名又は名称】株式会社三輝
(74)【代理人】
【識別番号】100143096
【弁理士】
【氏名又は名称】山岸 忠義
(72)【発明者】
【氏名】二谷 欣哉
(72)【発明者】
【氏名】阿部 拓也
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB20
4G035AC01
4G035AC22
4G035AE17
(57)【要約】
【課題】タンクに取り貯めた水を用いて、微少気泡を発生させた水を供給することができる給水システムおよび微少気泡発生装置を提供すること。
【解決手段】
給水システム1は、貯水するためのタンク3と、タンク3からの水を吸い上げるポンプ4と、タンク3から流れてくる水に空気を導入する空気導入器具5と、空気導入器具5の下流側に配置され、微少気泡を発生させる微少気泡発生器具6と、微少気泡を発生させた水を吐出する吐出ノズル7とを備え、微少気泡発生器具6は、複数のブレード34が円柱軸33の側面に螺旋状に配置された柱状体31と、柱状体31を収容する管状筐体32とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水するためのタンクと、
前記タンクからの水を吸い上げるポンプと、
前記タンクから流れてくる水に空気を導入する空気導入手段と、
前記空気導入手段の下流側に配置され、微少気泡を発生させる微少気泡発生手段と、
前記微少気泡を発生させた水を吐出する吐出手段と
を備え、
前記微少気泡発生手段は、
複数のブレードが円柱軸の側面に螺旋状に配置された柱状体と、
前記柱状体を収容する管状筐体と
を備えることを特徴とする、給水システム。
【請求項2】
前記ブレードの径方向長さが、前記円柱軸の半径よりも長いことを特徴とする、請求項1に記載の給水システム。
【請求項3】
前記空気導入手段が、
流入口と、
前記流入口よりも口径が狭い絞り開口と、
前記絞り開口から下流側に向かって拡径するテーパ開口と
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の給水システム。
【請求項4】
前記絞り開口に隣接する位置で空気が導入されることを特徴とする、請求項3に記載の給水システム。
【請求項5】
前記空気導入手段が、空気取り入れ口と前記絞り開口との間に、流出防止部材をさらに備えることを特徴とする、請求項3または4に記載の給水システム。
【請求項6】
圃場に給水するためのシステムであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の給水システム。
【請求項7】
前記吐出手段から吐出する水を前記タンク内に戻すことにより、微少気泡を含有する水を循環させることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の給水システム。
【請求項8】
空気導入器具と、
前記空気導入器具と接続可能であり、微少気泡を発生させる微少気泡発生器具とを備え、
前記微少気泡発生器具は、
複数のブレードが円柱軸の側面に螺旋状に配置された柱状体と、
前記柱状体を収容する管状筐体と
を備えることを特徴とする、微少気泡発生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水システムおよび微少気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1μm以下の微少気泡であるナノバブルを水に多量に発生させたナノバブル水は、洗浄能力や美容効果など種々の効果が検証され、注目されている。ナノバブル水の発生装置は、小型化や取付容易性などの種々の改良がなされ、家庭用にも使用できる装置が提供されている。例えば、シャワーヘッドとホースとの間などに、棒状体の表面に多数の凸部が設けられた微少気泡発生体を取り付けるタイプの装置などが販売されている(特許文献1参照)。
【0003】
近年、ナノバブル水の新たな用途として、農業用途が研究されている。ナノバブル水を植物に付与すると、通常の水の場合と比較して、水中の溶存酸素量増えるため、植物が根から酸素を多く取り込むことができ、成長促進につながるとして期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6205099号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、農業用水は、雨水や水道水などをタンクに貯水したものを使用することが多くある。その貯水した水に対して、特許文献1の装置を使用したところ、ナノバブルが発生しにくい不具合が生じる。
【0006】
本発明は、タンクに取り貯めた水を用いて、微少気泡を発生させた水を供給することができる給水システムおよび微少気泡発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、貯水するためのタンクと、前記タンクからの水を吸い上げるポンプと、前記タンクから流れてくる水に空気を導入する空気導入手段と、前記空気導入手段の下流側に配置され、微少気泡を発生させる微少気泡発生手段と、前記微少気泡を発生させた水を吐出する吐出手段とを備え、前記微少気泡発生手段は、複数のブレードが円柱軸の側面に螺旋状に配置された柱状体と、前記柱状体を収容する管状筐体とを備える給水システムを含む。
【0008】
このような発明によれば、空気導入手段を備えるため、タンクから流れてくる水に空気を導入させることができる。また、空気導入手段の下流側に微少気泡発生手段が配置されているため、空気を取り込んだ水を、螺旋状に配置された複数のブレードに効率よく多段階的に衝突させることができる。したがって、タンクに取り貯めた水に微少気泡を多量に発生させて、その水を所望の場所に供給することができる。さらには、空気導入手段および微少気泡発生手段が小型可能であるため、給水システムの小型化を図ることができる。また、従来の給水システムに、空気導入手段および微少気泡発生手段を取り付けるだけで、本発明の給水システムにすることができるため、簡便に微少気泡を多量に発生させた水を供給することができる。
【0009】
本発明[2]は、前記ブレードの径方向長さが、前記円柱軸の半径よりも長い、項[1]に記載の給水システムを含む。
【0010】
このような発明によれば、複数のブレード間の空間、すなわち、水の流路を十分に確保することができるため、微少気泡発生手段ひいては給水システムから吐出される水圧または水量の低下を抑制することができる。また、水が衝突するブレードの面積を広くすることができるため、より多量の微少気泡を発生させることができる。
【0011】
本発明[3]は、前記空気導入手段が、流入口と、前記流入口よりも口径が狭い絞り開口と、前記絞り開口から下流側に向かって拡径するテーパ開口とを有する、項[1]または[2]に記載の給水システムを含む。
【0012】
このような発明によれば、絞り開口で狭まった水の流路が、テーパ開口で広がるため、水がテーパ開口で流れやすくなり、絞り部で負圧が生じる。そのため、効率よく空気を流路内に取り込みやすくすることができ、より多くの微少気泡を発生させることができる。
【0013】
本発明[4]は、前記絞り開口に隣接する位置で空気が導入される、項[3]に記載の給水システムを含む。
【0014】
このような発明によれば、負圧がかかる絞り開口の近傍で空気が導入されるため、より確実に空気を水に取り込むことができる。
【0015】
本発明[5]は、前記空気導入手段が、空気取り入れ口と前記絞り開口との間に、流出防止部材をさらに備える、項[3]または[4]に記載の給水システムを含む。
【0016】
このような発明によれば、絞り開口を通過した水が、空気取り入れ口を通じて、外部に流出することを防止できる。また、水の流出によって空気の通り道が閉塞することを防止できるため、空気を水に安定して導入し続けることができ、微少気泡を安定して発生させることができる。
【0017】
本発明[6]は、圃場に給水するためのシステムである、項[1]~[5]のいずれか一項に記載の給水システムを含む。
【0018】
このような発明によれば、圃場の農作物に微少気泡を発生させた水を供給することができる。
【0019】
本発明[7]は、前記吐出口から吐出する水を前記タンク内に戻すことにより、微少気泡を含有する水を循環させる、項[1]~[5]のいずれか一項に記載の給水システムを含む。
【0020】
このような発明によれば、タンク内の水を、微少気泡を多量に含有する水にすることができる。
【0021】
本発明[8]は、空気導入器具と、前記空気導入器具と接続可能であり、微少気泡を発生させる微少気泡発生器具とを備え、前記微少気泡発生器具は、複数のブレードが円柱軸の側面に螺旋状に配置された柱状体と、前記柱状体を収容する管状筐体とを備える微少気泡発生装置を含む。
【0022】
このような発明によれば、タンクに取り貯めた水から、微少気泡を発生させた水を供給できる給水システムを容易に設置することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の供給システムおよび微少気泡発生装置は、タンクに取り貯めた水から、微少気泡を発生させた水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の給水システムの第1実施形態の模式図を示す。
図2図2は、図1の給水システムで用いる空気導入器具を示す図であって、図2Aが平面図、図2Bが側面図を示す。
図3図3は、図2の空気導入器具を示す図であって、図3Aが上流側から目視した正面図、図3Bが下流側から目視した背面図を示す。
図4図4は、図2の空気導入器具を示す図であって、図4A図2のA-A断面図、図4B図3のB-B断面図を示す。
図5図5は、図1の給水システムで用いる微少気泡発生器具の模式図を示す。
図6図6は、図5の仮想円部分の拡大図であって、図6Aが径方向から目視した側面図、図6Bが上流側から目視した側面図を示す。
図7図7は、図6の微少気泡発生器具を径方向および上流側の斜め方向から目視した斜視図を示す。
図8図8は、本発明の給水システムの第2実施形態の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
図1図7を用いて、本発明の給水システムの一例としての第1実施形態を説明する。
【0026】
図1に示す給水システム1は、微少気泡を多量に含有する水を圃場に供給するためのシステムであって、水管2と、タンク3と、ポンプ4と、空気導入手段の一例としての空気導入器具5と、微少気泡発生手段の一例としての微少気泡発生器具6と、吐出手段の一例としての吐出ノズル7とを備える。
【0027】
水管2は、タンク3、ポンプ4、空気導入器具5、微少気泡発生器具7および吐出ノズル7のそれぞれと接続して、タンク3から吐出ノズル7までの水の流路を確保するための部材である。水管2としては、例えば、ホース、配管などが挙げられる。
【0028】
水管2は、タンク3とポンプ4とを連結する第1水管2a、ポンプ4と空気導入器具5とを連結する第2水管2b、および、微少気泡発生器具6と吐出ノズル7とを連結する第3水管2cを備える。
【0029】
タンク3は、雨水や水道水などの水9を一時的に取り貯めておくための容器であり、水流方向の最上流に配置されている。タンク3としては、例えば、水槽、ポリタンクなどが挙げられる。
【0030】
ポンプ4は、水管2を通じてタンク3内の水を吸い上げて、吐出ノズル7まで送り出すための動力であり、第1水管2aと第2水管2bとの間に配置されている。ポンプ4としては、例えば、潅水用ポンプが挙げられる。
【0031】
空気導入器具5は、水に空気を導入するための部材であって、第2水管2bと微少気泡発生器具6との間に配置されている。
【0032】
空気導入器具5は、図2図4に示すように、水管接続部11と、絞り部12と、本体部13と、空気取り入れ部14とを備える。
【0033】
水管接続部11は、水管2と連結するための部位であって、空気導入器具5における上流側に位置する。水管接続部11の上流側端部に、流入口15が形成されており、その形状は、水管2の内径と略同一である。流入口15の口径(直径)φ1は、例えば、5mm以上、好ましくは、8mm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、15mm以下である。水管接続部11の外形に、水管2の脱落防止のための凸部16が、水管接続部11を一周するように形成されている。
【0034】
絞り部12は、水の流路を狭めるための部位であって、水管接続部11の下流側に位置する。具体的には、絞り部12は、水管接続部11と本体部13とを跨ぐように、これらの中間に配置されている。絞り部12は、その上流側開口が流入口15よりも僅かに狭くなるように形成されている。絞り部12の内径は、上流端から水流方向途中まで略同一であり、水流方向途中から下流に向かうに従って縮径する。絞り部12の下流側開口が絞り開口17であり、口径が最も狭くなるように形成されている。絞り開口17の口径は、流入口15の口径よりも小さい。具体的には、絞り開口17の口径(直径)φ2は、流入口15の口径φ1の半分以下であり、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上であり、例えば、5mm以下、好ましくは、4mm以下である。
【0035】
本体部13は、微少気泡発生器具6に送り出す水流を調整するための部位であって、絞り部12の下流側に位置する。本体部13の上流側部分に、絞り部挿入用開口18が形成されており、本体部13の下流側部分に、テーパ開口19が形成されている。絞り部挿入用開口18は、絞り部12が挿入可能な円柱状を有する。絞り部挿入用開口18の径方向には、空気取り入れ部挿入用開口1が形成されている。テーパ開口19は、その上流端が絞り開口17と略同一の大きさであって、下流側に向かって拡径する円錐台状を有する。テーパ開口19の下流端の口径(直径)φ3は、流入口15の口径よりも小さく、例えば、4mm以上、好ましくは、5mm以上であり、また、例えば、8mm以下、好ましくは、7mm以下である。テーパ開口19の水流方向長さTは、例えば、10mm以上、好ましくは、15mm以上であり、例えば、50mm以下、好ましくは、35mm以下である。
【0036】
本体部13の絞り部挿入用開口18に、絞り部12が挿入されている。絞り部12は、絞り部12の下流端が本体部13のテーパ開口19と水流方向に僅かに間隔を隔てるように、本体部13に配置され、固定されている。これにより、テーパ開口19と絞り開口17との間に、空気が水に混入するための隙間21が区画される。すなわち、絞り開口17の下流側に絞り開口17と隣接する位置で、空気が水に導入される。本体部13の外形には、微少気泡発生器具6と勘合可能な外ネジ22が形成されている。
【0037】
空気取り入れ部14は、外気を空気導入器具5内に取り込むための部位であって、水流方向において絞り部12および本体部13が重複する位置に配置されている。空気取り入れ部14は、本体部13の空気取り入れ部挿入用開口20に挿入され、固定されている。
【0038】
空気取り入れ部14は、円筒体23と、流出防止部材の一例としてのボール24と、メッシュ25とを備える。
【0039】
円筒体23は、空気取り入れ部挿入用開口20から、水流方向と直交する直交方向に延びるように配置されている。円筒体23の直交方向外側端面には、空気取り入れ口26が形成されている。円筒体23の内部は、直交方向中央の内径が縮径するように形成されている。すなわち、円筒体23は、その内部にくびれ部27を有している。
【0040】
ボール24は、水の流出を防止するための部材であり、円筒体23の直交方向内側に、すなわち、くびれ部27よりも流路側に、収容されている。ボール24は、円筒体23と固定されておらず、直交方向に移動して、絞り部12の外形表面やくびれ部27に接触可能である。図4A-Bの実線が示すように、ボール24が絞り部12の外形表面に接触しているとき、空気取り入れ口26からの空気が隙間21まで通過可能である。すなわち、水の流路までの空気の通り道が確保される。一方、図4A-Bの仮想線に示すように、ボール24がくびれ部27と隙間なく接触しているとき、空気および水の通り道を遮断する。すなわち、空気取り入れ口26を経由して外部に水が漏れ出ることが防止されている。
【0041】
メッシュ25は、空気の通り道を確保するとともに、異物が内部に流入することを防止するための部材であり、空気取り入れ口26に配置されている。
【0042】
空気導入器具5の各部材の材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアセタール(POM)、シリコーンゴム、ABS樹脂などの樹脂、アルミニウム、ステンレス、真鍮などの金属などが挙げられ、好ましくは、金属が挙げられる。
【0043】
微少気泡発生器具6は、空気導入器具5から流れてくる水に対して、微少気泡を発生させるための部材であって、空気導入器具5の下流側に空気導入器具5と連結している。
【0044】
微少気泡発生器具6は、図5図7に示すように、柱状体31と、それを収容する管状筐体32とを備える。
【0045】
柱状体31は、円柱軸33と、複数のブレード34と、頭頂部35とを備える。
【0046】
円柱軸33は、複数のブレード34を支持する部位であって、軸方向(水流方向)に延びる円柱状を有する。円柱軸33の軸方向長さL1は、例えば、50mm以上、好ましくは、100mm以上であり、また、例えば、500mm以下、好ましくは、200mm以下である。円柱軸33の半径rは、例えば、1mm以上、好ましくは、1.5mm以上であり、また、例えば、5mm以下、好ましくは、3mm以下である。
【0047】
複数のブレード34は、水に微少気泡を発生させる部位であって、円柱軸33の周側面から径方向(水流方向と直交する方向)に突出するように配置されている。複数のブレード34は、互いに同一形状であって、略平行六面体である。すなわち、ブレード34は、側面視略平行四辺形状を有する四角柱状である。ブレード34が形成する平行四辺形では、軸方向長さ(平行四辺形の高さ)が、直交方向長さ(平行四辺形の上面または底面)よりも長い。ブレード34は、軸方向に直交する断面視において、長方形状を有しており、軸方向一方側に向かうように従って長方形状が円柱軸33の円周方向に回転するように形成されている。
【0048】
ブレード34は、円柱軸33の周側面に複数(図5では120個)設けられ、円柱軸33の軸方向一端部から他端部にわたって規則正しく配置されている。具体的には、円柱軸33から放射状に突出する複数(例えば、3~7個、図7Cでは5個)のブレードで、一組のプロペラ状ブレード群36を構成しており、プロペラ状ブレード群36は、軸方向に間隔を隔てて、複数(例えば、10~40組、図5では24組)配置されている。複数のプロペラ状ブレード群36は、互いに平行となるように、軸方向に等間隔で配置されている。
【0049】
複数のブレード34は、図6Aに示すように、円柱軸33の軸方向(特に、円柱軸33の中心を通過する軸方向の直線)を螺旋軸Xとした螺旋状の線Yに沿うように、円柱軸33の側面に配置されている。特に、複数のブレード34は、緩やかな螺旋角θを持つ螺旋状に配置されている。具体的には、図6Bに示すように、互いに軸方向に間隔を空けて隣接する2つのブレード34a、34bの位置関係において、一のブレード34aおよび他のブレード34bは、軸方向一方側から他方側に向かって目視したときに、互いに重複し、かつ、円周方向に僅かにずれるように位置する。すなわち、軸方向から目視したときに、軸方向他方側に配置される他のブレード34は、軸方向一方側に位置する一のブレード34に対して、反時計周りに僅かにずれている。螺旋角θは、例えば、45度以下であり、好ましくは、30度以下であり、また、例えば、5度以上、好ましくは、10度以上である。
【0050】
柱状体31において、螺旋状に配置されるブレード群は、複数組存在する。すなわち、径方向から目視したときに、軸方向に近接する複数(例えば、10~40組、図5図7では24組)のブレード34で、一列の螺旋状ブレード群37を構成しており、螺旋状ブレード群37は、円周方向に等間隔で、複数列(例えば、3~7列、図7では5列)配置されている。換言すると、複数組(24組)のプロペラ状ブレード群36が、円周方向に回転するように(螺旋状に)、軸方向に等間隔で配置されている。これにより、多数のブレード34を配置しながら、螺旋状ブレード群37の間に、複数(5つ)の螺旋状の流路が形成されている。
【0051】
各ブレード34の径方向長さL2は、円柱軸33の半径rよりも長く、例えば、半径rの1.3倍以上、好ましくは、1.5倍以上であり、また、例えば、4倍以下、好ましくは、3倍以下である。具体的には、ブレード34の径方向長さL2は、例えば、2mm以上、好ましくは、3mm以上であり、また、例えば、7mm以下、好ましくは、5mm以下である。
【0052】
頭頂部35は、微少気泡発生器具6に流入する水を、柱状体31の円周方向外側に位置するブレード34やその間の流路に誘導するための部位であって、円柱軸33の水流方向の上流側に配置されている。頭頂部35は、下流側に向かうに従って拡径する円錐形状を有する。
【0053】
管状筐体32は、柱状体31をその内部に収容する円筒状の容器であり、例えば、ホース、配管などが挙げられる。管状筐体32は、可撓性を有する材料から形成されている。筐体3は、軸方向一方端または他方端には、それぞれ、空気導入器具5または第3水管2と接続するための接続部38を備える。接続部38の内側には、空気導入器具5の外ネジ22または第3水管2cの外ネジと勘合可能な内ネジ39が形成されている。
【0054】
柱状体31および管状筐体32の材料は、空気導入器具5で例示したものと同様の樹脂または金属などが挙げられ、好ましくは、樹脂が挙げられる。柱状体31では、円柱軸33、ブレード34および頭頂部35が、これら材料から一体成形されている。
【0055】
空気導入器具5および微少気泡発生器具6から、微少気泡発生装置8が構成される。すなわち、微少気泡発生装置8は、空気導入器具5の本体部13と管状筐体32の接続部32とが直接連結されてなる。
【0056】
吐出ノズル7は、微少気泡発生装置8により微少気泡を発生させた水を、給水システム1外部へと吐出する部材であり、給水システム1の水流方向最下流に配置されている。吐出ノズル7としては、例えば、農業用の散水ノズルなどが挙げられる。
【0057】
この給水システム1は、圃場に使用する。これにより、雨水や蛇口から取り貯めていた水(すなわち、低溶存酸素量の水)を、ナノバブル(直径が1000nm以下である微少気泡)を多量に含有するナノバブル水に変えて、圃場の農作物に供給することができる。この結果、農作物にナノバブル水による効果(例えば、溶存酸素量向上による成長促進)を期待することができる。
【0058】
従来のナノバブル発生装置(例えば、多数の凸部が側面に形成された棒状体をホース内に内蔵した装置)は、蛇口から吐出される流水に対しては効果的にナノバブルを発生できるが、取り貯めた水に対しては、ほとんど発生させることができない。この点を本発明者は検討したところ、以下のことが知見した。蛇口から吐出される水は、水道管を通じて勢いよく吐出されるため、比較的大きい気泡が多量に混入されており、その気泡がナノバブル発生装置内の凸部に衝突して細かくなることによってナノバブルが発生する。しかし、取り貯めた水では、静置している間に、ナノバブルの元となる大きい気泡が、浮力によって水中から抜け出してしまっているため、ナノバブルを発生させることができない。そこで、本発明者らは、微少気泡発生器具の上流側に、ナノバブルの元となる気泡を導入させ、さらに、微少気泡発生器具を改良することで、本発明に至った。
【0059】
すなわち、本発明の第1実施形態の給水システム1は、タンク3と、ポンプ4と、空気導入器具5と、空気導入器具5の下流側に配置される微少気泡発生器具6と、吐出ノズル7とを備える。また、微少気泡発生器具6は、複数のブレード34が円柱軸33の側面に螺旋状に配置された柱状体31と、柱状体31を収容する管状筐体32とを備える。
【0060】
これにより、タンクに貯水された水は、空気導入器具5によりナノバブルの元となる空気(比較的大きい気泡)が混入され、その直後に、微少気泡発生器具6に送り込まれる。そして、気泡を含んだ水は、螺旋状に配置された多数のブレード34によって、螺旋状のスムーズな水流の状態で、効率的に多段的にブレード34と衝突する。その結果、多量のナノバブルを発生させることができる。したがって、取り貯めたタンクの水から、ナノバブルを多量に発生させたナノバブル水にして、圃場に供給することができる。
【0061】
また、空気導入器具5および微少気泡発生器具6は小型であるため、給水システム1の小型化を図ることができる。さらには、従来の給水システムに、空気導入器具5および微少気泡発生器具6を取り付けるだけで、簡便にナノバブル水を供給することができる。
【0062】
また、給水システム1では、ブレード34の径方向長さL2が、円柱軸33の半径rよりも長い。このため、複数のブレード34間の空間、すなわち、水の流路を十分に確保することができるため、微少気泡発生器具6ひいては給水システム1から吐出される水圧または水量の低下を抑制することができる。また、水が衝突するブレード34の面積を広くすることができるため、より多量のナノバブルを発生させることができる。
【0063】
また、空気導入器具5が、流入口15と、流入口15よりも口径が狭い絞り開口17と、絞り開口17から下流側に向かって拡径するテーパ開口19とを有する。このため、絞り開口で狭まった水の流路が、テーパ開口19で広がるため、水がテーパ開口19で流れやすくなり、絞り部12で負圧が生じる。そのため、効率よく空気を流路内に取り込みやすくすることができ、より多くの微少気泡を発生させることができる。
【0064】
また、絞り開口に隣接する位置で空気が導入される。このため、負圧がかかる絞り開口17の近傍で空気が導入されるため、より確実に空気を水に取り込むことができる。
【0065】
また、空気導入器具5が、空気取り入れ口26と絞り開口17との間に、ボール24をさらに備える。このため、絞り開口17を通過した水が、空気取り入れ口26を通じて、外部に流出することを防止できる。また、水の流出によって空気の通り道が閉塞することを防止できるため、空気を水に安定して導入し続けることができ、ナノバブルを安定して発生させることができる。
【0066】
<第2実施形態>
図8を用いて、本発明の給水システムの第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同様の部材については、第1実施形態と同様の符号を付し、説明を省略する。
【0067】
第2実施形態の給水システム1では、吐出手段の一例として吐出口41を備えており、吐出口41は、タンク3内に水を吐出できるようにタンク3に配置されている。すなわち、貯水した水をナノバブル水にして、ナノバブル水を循環させることができる循環システムである。
【0068】
この給水システム1の用途としては、例えば、水生生物用給水用途が挙げられる。タンク3の一例として水生生物用水槽を用意し、水として海水を水槽に注水し、その水槽内に水生生物を収容する。これにより、水生生物にナノバブル海水を付与することができ、水生生物にナノバブル水による効果(例えば、溶存酸素量向上による水生動物の活性化)を期待することができる。
【0069】
<実施例>
以下に実施例を挙げて本発明の給水システムをより詳細に説明する。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0070】
(実施例1)
図1図7に示す空気導入器具5および微少気泡発生器具6を連結した微少気泡発生装置8を製造した。
【0071】
(空気導入器具)
流入口15の口径φ1:10mm、絞り開口17の口径φ2:3mm、テーパ開口19の下流端部の口径φ3:5.5mm、テーパ開口の水流方向長さT:23mm
【0072】
(微少気泡発生器具)
柱状体1の軸方向長さL1:118mm、ブレード34の径方向長さL2:3.7mm、円柱軸33の半径r:1.8mm、螺旋角θ:10度、材料:ポリプロピレン
【0073】
(評価)
実施例1の給水システムのタンクに、水を注入し、1時間放置した。その後、その水を微少気泡発生装置内に送水し、吐出される水に含まれるナノバブルを下記の条件により測定した。
測定装置:Nanosight LM10V-HS(Malvern社製、CMOSカメラ、紫レーザー405nm)
解析ソフト:NTA3.4
水温:約20度
気泡粒径の参考となる標準粒子:ポリスチレンラテックス粒子100nm(Thermoscientific社製)
【0074】
微少気泡発生装置を通過させたサンプル水を、シリンジを用いて、上記装置のモジュールセルに注入した。続いて、レーザーを照査し、散乱光を観察し、その観察画像をトラッキング解析(NTA解析)により処理して、粒度分布図を作製した。
【0075】
その結果、実施例1のサンプル水では、粒子径1000nm以下である気泡の総量は、4.16×10個/mLであり、粒子径D10:80.1nm、D50:121.9nmであった。
【0076】
一方、微少発生装置を通過させなかったサンプル水では、粒子径1000nm以下である気泡の総量は、2.77×10個/mLであり、粒子径D10:78.3nm、D50:118.8nmであった。
【符号の説明】
【0077】
1 給水システム、2 水管、3 タンク、4 ポンプ、5 空気導入器具、6 微少気泡発生器具、7 吐出ノズル、8 微少気泡発生装置、9 水、11 水管接続部、12 絞り部、13 本体部、14 空気取り入れ部、15 流入口、16 凸部、17 絞り開口、18 絞り部挿入用開口、19 テーパ開口、20 空気取り入れ部挿入用開口、21 隙間、22 外ネジ、23 円筒体、24 ボール、25 メッシュ、26 空気取り入れ口、27 くびれ部、31 柱状体、32 管状筐体、33 円柱軸、34 ブレード、35 頭頂部、36 プロペラ状ブレード群、37 螺旋状ブレード群、38 接続部、39 内ネジ、41 吐出口

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8