(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096121
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】下戸車付き折畳み扉装置
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20220622BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
E05D15/06 110A
E06B3/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209048
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000220929
【氏名又は名称】株式会社TOKO
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真明
【テーマコード(参考)】
2E015
2E034
【Fターム(参考)】
2E015AA01
2E015BA09
2E015DA02
2E015DA03
2E015FA02
2E015FA03
2E034AA05
2E034BA03
2E034BC01
2E034BD01
2E034CA13
2E034EA03
(57)【要約】
【課題】 複数枚の扉が主継手部と副継手部を介して折畳み出来るように連結し、下レールに沿って走行する戸車によって支持される折畳み扉装置の提供。
【解決手段】 上記主継手部4の下端表面側には上記戸車9を回転自在に軸支し、主継手部4の上端には上枠7に設けたガイド溝25に遊嵌するスライダー27を上方に突出し、副継手部5にはハンドル24を設け、該ハンドル操作によって上方へ突出してガイド溝25に嵌る上ロッド22と下方へ突出して下レール10の溝穴14に嵌る下ロッド23を設けている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の扉が主継手部と副継手部を介して折畳み出来るように連結し、下レールに沿って走行する戸車によって支持される折畳み扉装置において、上記主継手部の下端表面側には上記戸車を回転自在に軸支し、主継手部の上端には上枠に設けたガイド溝に遊嵌するスライダーを上方に突出したことを特徴とする戸車付き折畳み扉装置。
【請求項2】
上記副継手部にはハンドルを設け、該ハンドル操作によって上方へ突出してガイド溝に嵌る上ロッドと下方へ突出して下レールの溝穴に嵌る下ロッドを設けた請求項1記載の戸車付き折畳み扉装置。
【請求項3】
上記扉の下端にはフラップを装着し、該フラップは扉下端に設けた軸受けを中心として揺動可能とし、そしてフラップは付勢されるバネ力によって常に持ち上げられて下レールとの間に隙間を作り、ハンドル操作によって降下する下ロッドに係止してフラップが押下げられることで隙間が閉じるようにした請求項1、又は請求項2記載の戸車付き折畳み扉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下戸車を備えて支持することが出来るように構成した折畳み扉装着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
間口を開閉する装置として複数枚の扉を連結して構成した折畳み扉が多用されている。 ところで、折畳み扉の扉継手部の中で、折畳み操作の際にレールから張り出さない主継手部上端には吊車が取付けられて上枠のレールに吊設され、下端にはスライダーが突出して下枠に設けているガイド溝に沿って移動することが出来る。そして、伸長して閉じた場合にはロック棒が下方へ突出してガイド溝へ嵌入し、折畳み扉が開かないようにロックされる。
【0003】
ところで、上記折畳み扉は吊車を介して上枠のレール(上レール)に吊設され、吊車は上レールを走行することで折畳み扉は伸縮して間口を開閉することが出来る。
このように、継手部の上端に設けた吊車によって折畳み扉が上レールに吊設されている場合が大半であるが、下端に戸車を設け、該戸車が下レールを走行することで支持するように構成した下戸車付きの折畳み扉装置も知られている。
【0004】
下戸車は折畳み扉の主継手部下端に取付けられており、戸車を交換する際には折畳み扉を持ち上げなくてはならない。その為に、戸車の交換作業は面倒であり、時間を要す。また、折畳み扉の上端には上方へ突出するスライダーが設けられ、このスライダーは上レールのガイド溝に遊嵌しているが、折畳み扉を持ち上げるには限度がある。
すなわち、折畳み扉が上レールに当たってしまい、持ち上げることが出来る高さは限られ、したがって、折畳み扉を枠体から取り外して交換作業をしなくてはならないこともある。
【0005】
引戸がスライドして開閉することが出来るように、引戸の下端に戸車を取付けて構成している場合は多い。例えば、特開2020-172819号に係る「アウトセット引戸装置」は、引戸の戸先側の上部に、開口部内に突出する吊車取付基部を設けるとともに、吊車取付基部の上部に、開口部の上側に配設された走行レールに沿って走行自在とされる吊車本体を備えた吊車装置を設ける。引戸重合部の下側の床面に、引戸の下端部に戸幅方向に沿って配設された下レールに係合する戸車ローラを備えた下戸車装置である。
【0006】
特開2017-115297号に係る「戸車」は、引戸の下端部に取り付けられる外側本体内に収容され、下面が開放されたケース状の内側本体と、内側本体内に鉛直回転自在に支持され、外周縁部分が外側本体及び内側本体の下端から下方へ突出する車輪と、車輪を上下動させて車輪の高さ調整を行う上下方向調整機構とを備えた戸車であって、前記上下方向調整機構は、上下方向調整用ネジと、上下方向調整用ネジに回転不能且つ軸線方向へ移動可能に螺合され、対向する両側面に上下方向へ傾斜するカム溝を形成したスライダと、内側本体の対向する両側壁内面に上下動可能に支持され、上端部がスライダのカム溝に摺動自在に嵌合されると共に、下端部に車輪が鉛直回転自在に支持された一対の支持アームとを備えている。
【特許文献1】特開2020-172819号に係る「アウトセット引戸装置」
【特許文献2】特開2017-115297号に係る「戸車」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、下端に戸車を備えた折畳み扉装置の場合、該戸車の交換作業は面倒である。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、戸車の交換を短時間で簡単にすることが出来る折畳み扉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る折畳み扉装置は、主継手部の下端に戸車を備え、しかも、該戸車は主継手部の真下ではなく側面に取付けられる。戸車の具体的な取付け方法は限定しないが、主継手部から側方に軸を延ばし、該軸に戸車を回転自在に軸支することが出来る。そして、下レールには僅かに窪んだ凹溝が沿設され、戸車はこの溝に嵌って転動することが出来る。
【0009】
そして、折畳み扉の主継手部上端にはスライダーを上方に突出し、該スライダーは上レールに設けているガイド溝に遊嵌し、折畳み扉の上端は上レールにガイドされる。
また、上記主継手部の表面(又は裏面)に取着される戸車には、カバーが取付けられ、回転移動する戸車に人が触れないように成っている。
そして、戸車が折畳み扉の表面側に取付けられていることで、下レールとの間に形成される空間に制約されることなく、折畳み扉の重量に十分耐えることが出来る大きな戸車を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る折畳み扉装置は、複数枚の扉を連結している主継手部の下端に戸車を取付け、しかも戸車は主継手部の真下ではなく、表面側に取付けられている。
その為に、該戸車を交換する場合、折畳み扉を持ち上げて作業する必要はなく、主継手部の下端部表面に備わっている戸車を取外し、新たな戸車を簡単に取付けることが出来る。すなわち、戸車の交換作業は、短時間で簡単に行うことが出来る。
一方、戸車が折畳み扉の表面側に取付けられていることで、折畳み扉の下側には戸車のない空間が形成され、この空間に下レールとの間に該空間を閉じる為のフラップを取付けることが出来る。
【0011】
そして、戸車は下レールに形成している凹溝に嵌って転動することが出来、また、主継手部の上端にはスライダーが上方へ延びて上レールのガイド溝に遊嵌している。主継手部は上レールと下レールとでガイドされ、その為に折畳み扉の表面に外力が働いても、該折畳み扉が揺れ動くことはなく安定する。
また、戸車にはカバーが取付けられていることで、折畳み操作に際して戸車に触れてケガすることはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】(a)は本発明に係る折畳み扉装置の横断面図、(b)は折畳み扉装置の縦断面図。
【
図3】主継手部の下端表面側に取付けた戸車が下レールの凹溝に嵌っている場合。
【
図4】主継手部の下端表面側に取付けた戸車の展開図。
【
図5】副継手部の縦断面図で、(a)は上下ロッドが降下している場合、(b)は上下ロッドが突出している場合。
【
図6】扉下端部に取付けたフラップであり、(a)はフラップが上昇して下レールとの間に隙間を有している場合、(b)はフラップが降下して下レールとの間に隙間を塞いでいる場合。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る戸車付き折畳み扉装置を示すが正面図、
図2(a)は横断面図、(b)は縦断面図をそれぞれ表している。同図に示しているように、折畳み扉1は四角形を成す枠体2に装着され、該折畳み扉1は複数枚の扉3a,3b・・・が主継手部4a,4b・・・と副継手部5a,5b・・・にて連結されている。
図1は折畳み扉1が伸長した状態であり、左側先端の引手框6をもって押すことで折畳み扉1は折畳まれ、逆に引手框6を引っ張るならば同図のように伸長することが出来る。
【0014】
この場合、各扉3a,3b・・・を連結している主継手部4a,4b・・・は枠体2を構成している上枠7及び下枠8から外れてはみ出すことなく、上枠7と下枠8に沿って移動する。これに対して、副継手部5a,5b・・・は折畳み扉1が縮むならば、上枠7及び下枠8から外れてはみ出して折畳まれる。
図2は折畳み扉1の横断面図と縦断面図を表しているが、本発明の折畳み扉1は上枠7に吊設される構造ではなく、主継手部4a,4b・・・に戸車9.9・・・を備えていて、下枠8の下レール10を走行する戸車9,9・・・によって支持されている。そして、戸車9が露出しないようにカバー11を取付けている。
【0015】
図3は主継手部4の下端表面に戸車9,9を取付けた場合を示している。主継手部4の下端に取着したベース板12には2個の戸車9,9が取付けられ、該戸車9,9は主継手部4の表面側に位置している。
そして、下レール10には一定幅で一定深さの凹溝13が沿設されていて、この凹溝13を戸車9,9が走行することが出来る。
【0016】
また、下枠8の下レール10には溝穴14が設けられ、この溝穴14にロッドが降下して嵌入し、折畳み扉1は開かないようにロックされる。
図4は主継手部4の下端に取付けられている戸車9の展開図を表しているが、ベース板12には対を成して一定間隔をおいた2個の軸受け15,15が設けられ、この軸受け15,15にシャフト16,16を介して戸車9,9が軸支される。そして、シャフト16,16の先端中心にはネジ穴17,17が設けられ、このネジ穴17,17を利用してカバー11が止めネジ18,18にて取付けられる。
したがって、主継手部表面下端に取付けられる戸車9,9は露出することなくカバー11によって被覆され、折畳み扉1の伸縮動作に際して走行する戸車9,9に触れることはなく安全である。
【0017】
本発明の折畳み扉1は、その下端にフラップ19を装着し、扉1と下レール10間の隙間21を塞ぐことが出来る。該フラップ19は扉3の下端に設けている軸20を中心として揺動することが出来、扉下端と下レール10との間に形成される隙間21を開閉するように動作する。
図5は副継手部5に設けている上ロッド22と下ロッド23の動作を表しており、(a)は上下ロッド22,23が後退している場合、(b)は上下ロッド22,23が突出している場合である。
【0018】
副継手部5には回転することが出来るハンドル24が取付けられ、該ハンドル24を回すならば、上ロッド22は上方へ突出して上枠7に設けたガイド溝25に嵌り、下ロッド23は下方へ突出して下レール10に設けている溝穴14に嵌入する。このように、上ロッド22及び下ロッド23がガイド溝25と溝穴14に嵌ってロックされることで、副継手部5は固定され、折畳み扉1は折畳まれることなく固定される。
そして、下ロッド23の降下に伴って扉下端に装着しているフラップ19を閉じることが出来る。
【0019】
図6は扉下端に装着したフラップ19の動作を表していて、(a)はフラップ19が開いている場合、(b)はフラップ19が閉じている場合である。扉3の下端には軸受け26設けられ、この軸受け26に嵌っている軸20を中心としてフラップ19は揺動し、扉3と下レール10との間に有す隙間21を開閉することが出来る。フラップ19の先端下側には弾性変形するシール27が設けられ、(b)のようにフラップ19が閉じた際には該シール27は下レール10に当接して変形し、隙間21が塞がれる。
【0020】
ところで、フラップ19には捩れバネ28が取付けられ、該フラップ19を常に持ち上げるバネ力が付勢されている。折畳み扉1の折畳み操作に支障を来たさないように、すなわち、隙間21が閉じないようにフラップ19は持ち上げられている。
そこで、上記
図5に示したように、ハンドル24を回して下ロッド23が降下するならば、該下ロッド23の降下に伴ってフラップ19が押し下げられ、隙間21が閉じる。
【0021】
下ロッド23には側方へ延びる係止片が設けられ、この係止片にフラップ19が係止して押し下げられ、下ロッド23が上昇する際には捩れバネ28のバネ力の作用でフラップ19は持ち上がる。
本発明の折畳み扉装置は、戸車9を折畳み扉1の真下ではなく表面側に取付けていることで、下レール10との間に形成される隙間21を閉じる為のフラップ19を設けることが出来る。
【0022】
図7は折畳み扉1が折畳まれた場合であり、各扉3,3・・・は主継手部4及び副継手部5を介して折畳まれ、主継手部4の下端表面には戸車9.9・・・が取付けられ、主継手部4の上端には上枠7のガイド溝25に遊嵌するスライダー29が突出している。
そして、各扉3,3・・・は戸車9,9・・・のない方向に張り出して折畳まれ、折畳まれる各扉3,3・・・が当接しないように、クッションゴムを設けている。
【符号の説明】
【0023】
1 折畳み扉
2 枠体
3 扉
4 主継手部
5 副継手部
6 引手框
7 上枠
8 下枠
9 戸車
10 下レール
11 カバー
12 ベース板
13 凹溝
14 溝穴
15 軸受け
16 シャフト
17 ネジ穴
18 止ネジ
19 フラップ
20 軸
21 隙間
22 上ロッド
23 下ロッド
24 ハンドル
25 ガイド溝
26 軸受け
27 シール
28 捩りバネ
29 スライダー