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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096132
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】チップバケット
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20220622BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
B23Q11/00 K
B23Q17/00 A
B23Q11/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209060
(22)【出願日】2020-12-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北出 雄平
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】金澤 純一
【テーマコード(参考)】
3C029
【Fターム(参考)】
3C029EE00
(57)【要約】
【課題】切屑がバケット本体で偏って堆積することを防ぐチップバケットおよび切屑回収ユニット、を提供する。
【解決手段】チップバケット10は、切屑が投入されるバケット本体21と、アクチュエータ61と、バケット本体21に設けられ、アクチュエータ61によって動作され、動作時にバケット本体21に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体51とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切屑が投入されるバケット本体と、
アクチュエータと、
前記バケット本体に設けられ、前記アクチュエータによって動作され、動作時に前記バケット本体に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体とを備える、チップバケット。
【請求項2】
前記バケット本体は、水平方向に平行な所定方向において、互いに対向する第1側部および第2側部を有し、
前記動作体は、前記所定方向において、前記第2側部よりも前記第1側部に寄った位置に配置される、請求項1に記載のチップバケット。
【請求項3】
前記バケット本体は、前記バケット本体の外側に配置され、前記第2側部に取り付けられる取っ手部をさらに有する、請求項2に記載のチップバケット。
【請求項4】
前記バケット本体は、底部を有し、
前記動作体は、前記底部に配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載のチップバケット。
【請求項5】
前記動作体は、環状のベルト体であり、
前記アクチュエータは、前記ベルト体を周回駆動させるモータである、請求項1から4のいずれか1項に記載のチップバケット。
【請求項6】
環状の前記ベルト体の外側に配置され、前記ベルト体に対して付勢される板部材をさらに備える、請求項5に記載のチップバケット。
【請求項7】
前記バケット本体における切屑の堆積状態を示す指標を検出する検出部と、
前記検出部において検出された切屑の堆積状態に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御部とをさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のチップバケット。
【請求項8】
前記制御部は、前記検出部により検出される指標が予め定められた閾値以上となった場合に前記動作体が動作するように、前記アクチュエータを制御する、請求項7に記載のチップバケット。
【請求項9】
前記検出部は、互いに離れて配置される第1検出部および第2検出部を含み、
前記制御部は、前記第1検出部により検出される指標と、前記第2検出部により検出される指標との差が予め定められた閾値以上となった場合に前記動作体が動作するように、前記アクチュエータを制御する、請求項7または8に記載のチップバケット。
【請求項10】
前記バケット本体は、底部を有し、
前記動作体は、前記底部から上方に離れた位置に配置される、請求項1に記載のチップバケット。
【請求項11】
切屑が投入されるバケット本体を有するチップバケットと、
前記チップバケットと組み合わされ、前記バケット本体を振動させる振動付与装置とを備える、切屑回収ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チップバケットおよび切屑回収ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2016-172300号公報(特許文献1)には、上面が開口した筐体状の本体と、本体内に相互に対向して設けられ、切屑の堆積状態を検出するための発光部および受光部とを備えるチップバケットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-172300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、切屑が投入されるバケット本体を備えるチップバケットが知られている。チップバケットは、工作機械から排出される切屑を回収するために、工作機械に設けられたチップコンベアの切屑排出口の下方に配置される。この場合に、切屑がチップコンベアの切屑排出口の直下に積み上がってしまい、バケット本体内の空間を有効に利用できないという問題が生じる。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、切屑がバケット本体で偏って堆積することを防ぐチップバケットおよび切屑回収ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従ったチップバケットは、切屑が投入されるバケット本体と、アクチュエータと、バケット本体に設けられ、アクチュエータによって動作され、動作時にバケット本体に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体とを備える。
【0007】
このように構成されたチップバケットによれば、アクチュエータにより動作体を動作させ、動作体からバケット本体に堆積する切屑に外力を作用させることによって、切屑の偏りを均すことができる。これにより、切屑がバケット本体で偏って堆積することを防止できる。
【0008】
また好ましくは、バケット本体は、水平方向に平行な所定方向において、互いに対向する第1側部および第2側部を有する。動作体は、所定方向において、第2側部よりも第1側部に寄った位置に配置される。
【0009】
このように構成されたチップバケットによれば、切屑が、第2側部よりも第1側部に寄った位置に堆積する場合に、切屑の偏りを効率的に均すことができる。
【0010】
また好ましくは、バケット本体は、バケット本体の外側に配置され、第2側部に取り付けられる取っ手部をさらに有する。
【0011】
このように構成されたチップバケットによれば、切屑が、チップバケットの後方側に対応する第2側部よりも、チップバケットの前方側に対応する第1側部に寄った位置に堆積する場合に、切屑の偏りを効率的に均すことができる。
【0012】
また好ましくは、バケット本体は、底部を有する。動作体は、底部に配置される。
このように構成されたチップバケットによれば、バケット本体の底部に配置された動作体から切屑に外力を作用させることによって、切屑の偏りを効率的に均すことができる。
【0013】
また好ましくは、動作体は、環状のベルト体である。アクチュエータは、ベルト体を周回駆動させるモータである。
【0014】
このように構成されたチップバケットによれば、アクチュエータによりベルト体を周回動作させ、ベルト体からバケット本体に堆積する切屑に外力を作用させることによって、切屑の偏りを均すことができる。
【0015】
また好ましくは、チップバケットは、環状のベルト体の外側に配置され、ベルト体に対して付勢される板部材をさらに備える。
【0016】
このように構成されたチップバケットによれば、板部材によって、切屑が周回動作するベルト体に巻き込まれることを防止できる。
【0017】
また好ましくは、チップバケットは、バケット本体における切屑の堆積状態を示す指標を検出する検出部と、検出部において検出された切屑の堆積状態に基づいて、アクチュエータを制御する制御部とをさらに備える。
【0018】
このように構成されたチップバケットによれば、バケット本体において切屑の偏りが生じたと想定されるタイミングで、動作体を動作させることができる。
【0019】
また好ましくは、制御部は、検出部により検出される指標が予め定められた閾値以上となった場合に動作体が動作するように、アクチュエータを制御する。
【0020】
このように構成されたチップバケットによれば、バケット本体において切屑の偏りが生じたと想定されるより適切なタイミングで、動作体を動作させることができる。
【0021】
また好ましくは、検出部は、互いに離れて配置される第1検出部および第2検出部を含む。制御部は、第1検出部により検出される指標と、第2検出部により検出される指標との差が予め定められた閾値以上となった場合に動作体が動作するように、アクチュエータを制御する。
【0022】
このように構成されたチップバケットによれば、バケット本体において切屑の偏りが生じたと想定されるより適切なタイミングで、動作体を動作させることができる。
【0023】
また好ましくは、バケット本体は、底部を有する。動作体は、底部から上方に離れた位置に配置される。
【0024】
このように構成されたチップバケットによれば、バケット本体の底部から上方に離れた位置に配置された動作体からバケット本体に堆積する切屑に外力を作用させることによって、切屑の偏りを均すことができる。
【0025】
この発明に従った切屑回収ユニットは、切屑が投入されるバケット本体を有するチップバケットと、チップバケットと組み合わされ、バケット本体を振動させる振動付与装置とを備える。
【0026】
このように構成された切屑回収ユニットによれば、振動付与装置によりバケット本体を振動させることによって、切屑の偏りを均すことができる。これにより、切屑がバケット本体で偏って堆積することを防止できる。
【発明の効果】
【0027】
以上に説明したように、この発明に従えば、切屑がバケット本体で偏って堆積することを防ぐチップバケットおよび切屑回収ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明の実施の形態1におけるチップバケットを用いた工作機械を示す斜視図である。
図2図1中のチップバケットを示す側面図である。
図3】比較例におけるチップバケットに切屑が堆積する態様を示す側面図である。
図4】比較例におけるチップバケットに切屑が堆積する別の態様を示す側面図である。
図5図2中のチップバケットに切屑が堆積する態様を示す側面図である。
図6図2中のチップバケットに切屑が堆積する別の態様を示す側面図である。
図7図2中の動作体を動作させるタイミングを制御するための機構を示すブロック図である。
図8図2中の動作体を動作させるタイミングを制御するための機構の変形例を示すブロック図である。
図9図2中の検出部の第1変形例を示す側面図である。
図10図2中の検出部の第2変形例を示す側面図である。
図11】この発明の実施の形態2におけるチップバケットを示す側面図である。
図12図11中の動作体およびアクチュエータを示す斜視図である。
図13】この発明の実施の形態3におけるチップバケットを示す側面図である。
図14図13中のチップバケットを示す上面図である。
図15】この発明の実施の形態4におけるチップバケットを示す側面図である。
図16】この発明の実施の形態5における切屑回収ユニットを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1におけるチップバケットを用いた工作機械を示す斜視図である。図1を参照して、工作機械100は、工作機械本体110と、チップコンベア120と、クーラントタンク161と、チップバケット10とを有する。
【0031】
工作機械本体110は、ワークを加工する工作機械の本体部である。工作機械本体110は、横形マシニングセンタである。
【0032】
工作機械本体110は、横形マシニングセンタに限られず、たとえば、旋盤、立形マシニングセンタ、旋削機能と、ミーリング機能とを有する複合加工機、または、ワークの付加加工(AM(Additive manufacturing)加工)と、ワークの除去加工(SM(Subtractive manufacturing)加工)とが可能なAM/SMハイブリッド加工機であってもよい。
【0033】
クーラントタンク161は、工作機械本体110に併設されている。クーラントタンク161は、クーラントを貯留可能なように構成されている。クーラントタンク161には、クーラントタンク161に貯留されたクーラントを工作機械本体110に向けて供給するためのポンプ162、および、クーラントタンク161内の浮上油を回収するための浮上油回収装置(オイルスキマー)163等が設置されている。
【0034】
チップコンベア120は、クーラントタンク161に収容されている。チップコンベア120は、カバー体131と、ドラム状濾過体141とを有する。カバー体131は、チップコンベア120の外観をなしている。ドラム状濾過体141は、カバー体131内に収容されている。
【0035】
カバー体131は、水平部132と、立ち上がり部136と、切屑受け入れ部133と、切屑排出部137とを有する。
【0036】
カバー体131は、全体として、水平部132および立ち上がり部136の間で屈曲した形状を有する。水平部132は、クーラントタンク161内に載置されている。水平部132は、水平方向に平行な一方向に延びている。立ち上がり部136は、水平部132のその長手方向における一方端から立ち上がり、斜め上方向に延びている。
【0037】
切屑受け入れ部133は、水平部132に設けられている。本実施の形態では、複数の切屑受け入れ部133が、水平部132の長手方向において互いに間隔を開けて設けられている。切屑受け入れ部133には、工作機械本体110側の設備である切屑搬送装置112が接続されている。一例として、切屑搬送装置112は、樋体と、その樋体に設置されるスパイラルコンベアとを含んで構成されている。
【0038】
切屑排出部137は、斜め上方向に延びる立ち上がり部136の先端部に設けられている。切屑排出部137には、下方を向いて開口する切屑排出口138が設けられている。切屑排出部137の下方には、チップバケット10が配置されている。
【0039】
ドラム状濾過体141は、水平部132および立ち上がり部136の間の屈曲部に配置されている。ドラム状濾過体141は、円筒形状を有し、その中心軸がカバー体131の幅方向(水平部132の短手方向)に延びるように配置されている。
【0040】
チップコンベア120は、複数の掻き板139をさらに有する(後出の図3を参照のこと)。複数の掻き板139は、互いに間隔を開けながら、水平部132、立ち上がり部136および切屑排出部137の間に渡って、環状に連なって設けられている。複数の掻き板139は、図示しないモータにより周回動作されることによって、切屑を水平部132から切屑排出部137に向けて搬送する。
【0041】
切屑搬送装置112により工作機械本体110から搬出されたワークの切屑およびクーラントは、切屑受け入れ部133を通じてカバー体131内(水平部132)に受け入れられる。切屑は、複数の掻き板139によって、カバー体131内を搬送され、切屑排出口138を通じてチップバケット10に回収される。一方、クーラントは、カバー体131内でドラム状濾過体141の内部空間に進入することにより濾過される。ドラム状濾過体141によって濾過されたクーラントは、クーラントタンク161内に排出される。
【0042】
なお、本実施の形態におけるチップバケット10とともに用いられるチップコンベアは、上記の掻き板を用いたスクレーパタイプに限られず、切屑をヒンジプレート上に乗せて搬送するヒンジタイプであってもよい。
【0043】
続いて、チップバケット10の構造について詳細に説明する。図2は、図1中のチップバケットを示す側面図である。図2中では、チップバケット10の内部構造が示されている。
【0044】
図1および図2を参照して、チップバケット10は、バケット本体21を有する。バケット本体21は、上方に開放された箱形状を有する。バケット本体21は、内部空間29を形成している。バケット本体21には、上方を向いて開口する切屑投入口23が設けられている。切屑投入口23は、矩形形状の開口面を有する。
【0045】
バケット本体21は、底部24と、第1側部25と、第2側部26と、第3側部27と、第4側部28とを有する。内部空間29は、底部24、第1側部25、第2側部26、第3側部27、第4側部28および切屑投入口23により囲まれた位置に形成されている。
【0046】
底部24は、バケット本体21の底部分をなしている。底部24は、内部空間29を挟んで切屑投入口23と対向している。底部24は、平面視において矩形形状を有する平板から構成されている。
【0047】
第1側部25、第2側部26、第3側部27および第4側部28は、底部24の周縁部から立ち上がっている。第1側部25、第2側部26、第3側部27および第4側部28の上端部は、切屑投入口23の開口縁を規定している。第1側部25、第2側部26、第3側部27および第4側部28は、平面視において矩形形状を有する平板から構成されている。
【0048】
第1側部25および第2側部26は、内部空間29を挟んで互いに対向している。第1側部25および第2側部26は、水平方向に平行な所定方向(図1および図2中の矢印210に示す方向であり、本明細書において「前後方向」ともいう。第2側部26から見て第1側部25が位置する側が前方側であり、第1側部25から見て第2側部26が位置する側が後方側である。)において、互いに対向している。
【0049】
第1側部25は、底部24の周縁部から切屑投入口23の開口縁に近づくに従って、前後方向において第2側部26から離れるように延びている。第1側部25は、底部24の周縁部から切屑投入口23の開口縁に向けて斜め上方向に延びている。第1側部25および底部24は、内部空間29において90°を越え135°以下の角度をなすように交わっている。
【0050】
第2側部26は、底部24の周縁部から切屑投入口23の開口縁に向けて上方に延びている。第2側部26および底部24は、内部空間29において90°の角度をなすように交わっている。
【0051】
第3側部27および第4側部28は、内部空間29を挟んで互いに対向している。第3側部27および第4側部28は、内部空間29を挟んで互いに対向している。第3側部27および第4側部28は、所定方向に直交し、水平方向に平行な方向(図1中の矢印215に示す方向であり、本明細書において「左右方向」ともいう)において、互いに対向している。
【0052】
第3側部27は、底部24の周縁部から切屑投入口23の開口縁に向けて上方に延びている。第3側部27および底部24は、内部空間29において90°の角度をなすように交わっている。第4側部28は、底部24の周縁部から切屑投入口23の開口縁に向けて上方に延びている。第4側部28および底部24は、内部空間29において90°の角度をなすように交わっている。
【0053】
なお、第1側部25、第2側部26、第3側部27および第4側部28の各側部と、底部24とがなす角度は、特に限定されない。たとえば、第1側部25および底部24は、内部空間29において90°の角度をなしてもよい。また、第1側部25、第2側部26、第3側部27および第4側部28の形状は、特に限定されず、たとえば、第1側部25が、底部24の周縁部から切屑投入口23の開口縁に向けて、階段状に延びる板材から構成されてもよい。
【0054】
チップバケット10は、第1車輪36と、第2車輪37とをさらに有する。第1車輪36および第2車輪37は、底部24に取り付けられている。第1車輪36および第2車輪37は、内部空間29の外側に設けられている。第1車輪36および第2車輪37は、互いに前後方向に離れて設けられている。第1車輪36は、前後方向において、第2側部26よりも、第1側部25寄りの位置に設けられている。第2車輪37は、前後方向において、第1側部25よりも、第2側部26寄りの位置に設けられている。第1車輪36は、左右方向に離れた位置に一対に設けられている。第2車輪37は、左右方向に離れた位置に一対に設けられている。
【0055】
チップバケット10は、取っ手部31をさらに有する。取っ手部31は、左右方向に延びるバー形状を有する。取っ手部31は、内部空間29の外側に設けられている。取っ手部31は、上下方向において、底部24よりも切屑投入口23寄りの位置に設けられている。取っ手部31は、第2側部26に取り付けられている。
【0056】
図1に示されるように、作業者は、取っ手部31を把持しながらチップバケット10を前後方向に移動させる。チップバケット10は、チップコンベア120の切屑排出部137の下方に配置される。第1側部25は、前後方向において、クーラントタンク161と対向する。第1側部25は、前後方向において、チップコンベア120の立ち上がり部136と対向する。切屑投入口23は、上下方向において、切屑排出口138と対向する。チップコンベア120から排出される切屑は、切屑投入口23を通じて内部空間29に進入し、バケット本体21に堆積する。
【0057】
図2に示されるように、チップバケット10は、動作体51と、アクチュエータ61とをさらに有する。動作体51およびアクチュエータ61は、バケット本体21に設けられている。アクチュエータ61は、動作体51を動作させる。動作体51は、アクチュエータ61によって動作された時に、バケット本体21に堆積された切屑に外力を作用させるように配置されている。
【0058】
動作体51およびアクチュエータ61は、内部空間29に設けられている。動作体51およびアクチュエータ61は、底部24に設けられている。
【0059】
動作体51は、前後方向において、第2側部26よりも第1側部25に寄った位置に配置されている。前後方向における第1側部25および動作体51の間の距離L1は、前後方向における動作体51および第2側部26の間の距離L2よりも小さい(L1<L2)。
【0060】
動作体51は、上面視において、第1車輪36と重なり合う位置に設けられている。動作体51は、前後方向において、第2車輪37よりも前方に設けられている。
【0061】
動作体51は、環状のベルト体52である。ベルト体52は、長尺の帯体が環状に巻かれて構成されている。アクチュエータ61は、モータ62である。モータ62は、ベルト体52を周回駆動させる。
【0062】
チップバケット10は、第1ローラ68と、第2ローラ69とをさらに有する。第1ローラ68および第2ローラ69は、各ローラの回転軸方向が左右方向と平行となるように配置されている。第1ローラ68および第2ローラ69は、前後方向において、互いに離れて設けられている。ベルト体52は、第1ローラ68および第2ローラ69に掛け回されている。第1ローラ68および第2ローラ69は、環状のベルト体52の内側に配置されている。ベルト体52は、左右方向における底部24の一方端および他方端の間に渡って設けられることが好ましい。
【0063】
チップバケット10は、バッテリ47と、底カバー41とをさらに有する。バッテリ47は、モータ62に対して電力を供給する。バッテリ47は、外部からの給電が可能なように構成されている。バッテリ47は、底部24に設けられている。バッテリ47は、ベルト体52の後方に設けられている。底カバー41は、バッテリ47を覆うように設けられている。バッテリ47は、底部24および底カバー41の間に区画形成された空間46に配置されている。
【0064】
第1ローラ68には、モータ62の出力軸が接続されている。第1ローラ68は、モータ62からの回転が伝達されることによって回転する駆動ローラである。ベルト体52は、第1ローラ68の回転に伴って、第1ローラ68および第2ローラ69の間で周回動作する。第2ローラ69は、ベルト体52の周回動作を受けて回転する従動ローラである。
【0065】
チップバケット10は、板部材42(42F,42R)をさらに有する。板部材42は、環状のベルト体52の外側に配置されている。板部材42は、ベルト体52に対して付勢されている。板部材42は、一方端42pと、他方端42qとを有する。板部材42は、一方端42pおよび他方端42qの間において、前後方向に沿って板状に延在している。
【0066】
板部材42Fおよび板部材42Rは、前後方向において互いに離れて設けられている。板部材42Fは、板部材42Rよりも前方に設けられている。
【0067】
板部材42Fの一方端42pは、第1側部25により回動可能に支持されている。板部材42Fの他方端42qは、ベルト体52と当接している。板部材42Fは、第1側部25およびベルト体52の間の隙間を覆っている。板部材42Fの一方端42pには、板部材42Fの他方端42qをベルト体52に対して付勢する方向の弾性力を発生させる弾性部材(不図示)が設けられている。
【0068】
板部材42Rの一方端42pは、底カバー41により回動可能に支持されている。板部材42Rの他方端42qは、ベルト体52と当接している。板部材42Rの他方端42qは、板部材42Fの他方端42qから後方に離れた位置で、ベルト体52と当接している。ベルト体52は、板部材42Fの他方端42qおよび板部材42Rの他方端42qの間において、内部空間29に露出している。板部材42Rは、ベルト体52および底カバー41の間の隙間を覆っている。板部材42Rの一方端42pには、板部材42Rの他方端42qをベルト体52に対して付勢する方向の弾性力を発生させる弾性部材(不図示)が設けられている。
【0069】
図2中において、第1ローラ68は、時計回りに回転する。ベルト体52は、内部空間29に露出する位置で、水平方向において第1側部25から第2側部26に近づく方向に移動する。
【0070】
図3および図4は、比較例におけるチップバケットに切屑が堆積する態様を示す側面図である。図3および図4を参照して、本比較例におけるチップバケット310では、バケット本体21に、動作体51およびアクチュエータ61等が設けられていない。
【0071】
図1に示されるように、チップバケット10は、その使用形態において、チップコンベア120の切屑排出部137の下方に配置される。この場合に、チップバケット10の第1側部25が、クーラントタンク161またはチップコンベア120の立ち上がり部136と干渉するため、チップバケット10をチップコンベア120に対して奥深くまで進入させることができない。
【0072】
図3に示されるように、チップバケット310が上述のとおり配置されると、チップコンベア120から排出される切屑は、バケット本体21の前方寄りの位置に投入される。これにより、切屑は、バケット本体21の一部にのみ堆積するため、作業者は、定期的に切屑を均す必要がある。図4に示されるように、切屑がバケット本体21の前方寄りの位置に投入されると、バケット本体21に堆積する切屑が、チップコンベア120から排出される切屑と繋がる可能性がある。この場合、切屑がチップコンベア120のカバー体131内に巻き込まれて、チップコンベア120が破損してしまう。
【0073】
図5および図6は、図2中のチップバケットに切屑が堆積する態様を示す側面図である。図5および図6を参照して、本実施の形態におけるチップバケット10においては、チップコンベア120から排出される切屑が、板部材42F、ベルト体52、板部材42Rおよび底カバー41よりも上方の位置に堆積する。切屑は、バケット本体21の前方寄りの位置に投入されると、ベルト体52上に堆積する。
【0074】
モータ62によってベルト体52を周回動作させる。ベルト体52の周回動作に伴って、ベルト体52から切屑に対して、水平方向において第1側部25から第2側部26に近づく方向の外力を作用させる。これにより、バケット本体21の前方寄りの位置に堆積する切屑をバケット本体21の後方に向けて移動させ、バケット本体21における切屑の偏りを均すことができる。
【0075】
これにより、作業者が介入しなくても、バケット本体21の全体に切屑を堆積させることが可能となるため、工作機械100において長時間に渡るワークの自動加工を実現することができる。また、バケット本体21に堆積する切屑が、チップコンベア120から排出される切屑と繋がる前に切屑の偏りを均すことによって、チップコンベア120の破損を防ぐことができる。
【0076】
また、板部材42(42F,42R)がベルト体52に対して付勢されるため、切屑が周回動作するベルト体52に巻き込まれることを防止できる。これにより、ベルト体52の動作に対する信頼性を向上させることができる。
【0077】
続いて、動作体51(ベルト体52)を動作させるタイミングを制御するための機構について説明する。図7は、図2中の動作体を動作させるタイミングを制御するための機構を示すブロック図である。
【0078】
図2および図7を参照して、チップバケット10は、検出部71と、制御部81とをさらに有する。
【0079】
検出部71は、バケット本体21における切屑の堆積状態を示す指標を検出する。制御部81は、検出部71において検出された切屑の堆積状態に基づいて、アクチュエータ61を制御する。制御部81は、検出部71により検出される指標が予め定められた閾値以上となった場合に動作体51が動作するように、アクチュエータ61を制御する。
【0080】
検出部71は、バケット本体21に設けられている。検出部71は、内部空間29に設けられている。検出部71は、前後方向において、第2側部26よりも第1側部25寄りの位置に設けられている。検出部71は、第1側部25に設けられている。
【0081】
検出部71は、負荷センサ72である。負荷センサ72は、底部24に設けられている。負荷センサ72は、環状のベルト体52の内側に設けられている。負荷センサ72は、ベルト体52が内部空間29に露出する位置において、ベルト体52と隙間を設けて対向している。
【0082】
負荷センサ72は、バケット本体21における切屑の堆積状態を示す指標として、ベルト体52の変形量を検出する。バケット本体21の前方寄りの位置に投入された切屑がベルト体52上に堆積していくと、ベルト体52は、環状のベルト体52の内側に向けて撓むように変形する。ベルト体52の撓み変形量が、負荷センサ72およびベルト体52の隙間の大きさ以上となると、ベルト体52が負荷センサ72と接触する。負荷センサ72は、その撓み変形したベルト体52からの負荷を受けた場合に検出信号を発生する。負荷センサ72は、その検出信号を制御部81に出力する。
【0083】
制御部81は、堆積状態判定部83と、アクチュエータ制御部84とを有する。堆積状態判定部83は、負荷センサ72からの検出信号が入力されると、バケット本体21における切屑の堆積状態に偏りが生じたと判断する。この場合に、アクチュエータ制御部84は、モータ62からベルト体52に対する回転の出力が開始されるように、モータ62を制御する。
【0084】
このような構成によれば、バケット本体21において切屑の偏りが生じたと想定されるタイミングを的確に判断して、ベルト体52を周回動作させることができる。
【0085】
なお、負荷センサ72およびベルト体52の隙間を小さくすることによって、ベルト体52を周回動作させるタイミングを早め、負荷センサ72およびベルト体52の隙間を大きくすることによって、ベルト体52を周回動作させるタイミングを遅らせることができる。
【0086】
図8は、図2中の動作体を動作させるタイミングを制御するための機構の変形例を示すブロック図である。図9および図10は、図2中の検出部の変形例を示す側面図である。
【0087】
図8および図9を参照して、検出部71は、第1検出部71Aと、第2検出部71Bとを有する。
【0088】
第1検出部71Aおよび第2検出部71Bは、互いに離れて配置されている。第1検出部71Aおよび第2検出部71Bは、前後方向において、互いに離れて配置されている。第1検出部71Aは、前後方向において、第2側部26よりも第1側部25寄りの位置に設けられている。第2検出部71Bは、前後方向において、第2側部26よりも第1側部25寄りの位置に設けられている。
【0089】
本変形例では、第1検出部71Aおよび第2検出部71Bが、それぞれ、第1超音波センサ73および第2超音波センサ74である。第1超音波センサ73および第2超音波センサ74は、底部24から上方に離れた位置に設けられている。第1超音波センサ73および第2超音波センサ74は、上下方向において、底部24よりも切屑投入口23寄りの位置に設けられている。
【0090】
第1超音波センサ73および第2超音波センサ74は、バケット本体21における切屑の堆積状態を示す指標として、切屑の堆積高さを検出する。
【0091】
第1超音波センサ73および第2超音波センサ74は、超音波を下方に向けて発信し、切屑からの反射波を受信する。第1超音波センサ73は、超音波の発信から受信までの時間に基づいて、バケット本体21の前方寄りの位置に堆積する切屑の堆積高さHを検出し、その検出信号を発生する。第2超音波センサ74は、超音波の発信から受信までの時間に基づいて、バケット本体21の後方寄りの位置に堆積する切屑の堆積高さhを検出し、その検出信号を発生する。第1超音波センサ73および第2超音波センサ74は、発生した検出信号を制御部81に出力する。
【0092】
制御部81は、基準データ記憶部82と、堆積状態判定部83と、アクチュエータ制御部84とを有する。基準データ記憶部82には、第1超音波センサ73により検出される切屑の堆積高さHと、第2超音波センサ74により検出される切屑の高さhとの差の閾値Zが記憶されている。
【0093】
堆積状態判定部83は、第1超音波センサ73により検出される切屑の堆積高さHと、第2超音波センサ74により検出される切屑の高さhとの差を算出し、算出された差を基準データ記憶部82に記憶された閾値Zに照らし合わせる。堆積状態判定部83は、切屑の堆積高さHと切屑の高さhとの差が閾値Z以上となった場合に(H-h≧Z)、バケット本体21における切屑の堆積状態に偏りが生じたと判断する。この場合に、アクチュエータ制御部84は、モータ62からベルト体52に対する回転の出力が開始されるように、モータ62を制御する。
【0094】
図8および図10を参照して、本変形例では、第1検出部71Aおよび第2検出部71Bが、それぞれ、第1重量センサ76および第2重量センサ77である。第1重量センサ76は、第1車輪36に設けられている。第2重量センサ77は、第2車輪37に設けられている。
【0095】
第1重量センサ76および第2重量センサ77は、バケット本体21における切屑の堆積状態を示す指標として、切屑の重量を検出する。
【0096】
第1重量センサ76は、バケット本体21の前方寄りの位置に堆積する切屑の重量を検出し、その検出信号を発生する。第2重量センサ77は、バケット本体21の後方寄りの位置に堆積する切屑の重量を検出し、その検出信号を発生する。第1超音波センサ73および第2超音波センサ74は、発生した検出信号を制御部81に出力する。
【0097】
基準データ記憶部82には、第1重量センサ76により検出される切屑の重量と、第2重量センサ77により検出される切屑の重量との差の閾値が記憶されている。
【0098】
堆積状態判定部83は、第1重量センサ76により検出される切屑の重量と、第2重量センサ77により検出される切屑の重量との差を算出し、算出された差を基準データ記憶部82に記憶された閾値に照らし合わせる。堆積状態判定部83は、第1重量センサ76により検出される切屑の重量と、第2重量センサ77により検出される切屑の重量との差が閾値以上となった場合に、バケット本体21における切屑の堆積状態に偏りが生じたと判断する。この場合に、アクチュエータ制御部84は、モータ62からベルト体52に対する回転の出力が開始されるように、モータ62を制御する。
【0099】
なお、超音波センサまたは重量センサを単体で用いて、バケット本体21の前方寄りの位置に堆積する切屑の高さまたは重量を検出し、これらの検出値が予め定められた閾値以上となった場合に、ベルト体52の周回動作を始動させる構成であってもよい。
【0100】
また、バケット本体21における切屑の堆積状態の認定に、第1側部25および第2側部26のいずれか一方に、少なくとも1つの光源を設け、第1側部25および第2側部26のいずれか他方に、光源からの拡散光を受光し、その受光光量に応じた信号を出力する少なくとも1つの照度センサを設ける構成を利用してもよい。
【0101】
以上に説明した、この発明の実施の形態1におけるチップバケット10の構造についてまとめると、本実施の形態におけるチップバケット10は、切屑が投入されるバケット本体21と、アクチュエータ61と、バケット本体21に設けられ、アクチュエータ61によって動作され、動作時にバケット本体21に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体51とを備える。
【0102】
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるチップバケット10によれば、アクチュエータ61により動作体51を動作させ、動作体51からバケット本体21に堆積する切屑に外力を作用させることによって、切屑の偏りを均すことができる。これにより、バケット本体21の全体に切屑を堆積させることができる。
【0103】
(実施の形態2)
図11は、この発明の実施の形態2におけるチップバケットを示す側面図である。図12は、図11中の動作体およびアクチュエータを示す斜視図である。本実施の形態におけるチップバケットは、実施の形態1におけるチップバケット10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0104】
図11および図12を参照して、本実施の形態では、動作体51が、往復板53であり、アクチュエータ61が、電動ピストン63である。
【0105】
往復板53は、前後方向において、第2側部26よりも第1側部25に寄った位置に配置されている。
【0106】
往復板53は、複数の歯部53sと、基部53tとを有する。基部53tは、左右方向に延びるバー形状を有する。基部53tは、底部24および底カバー41の間に区画形成された空間46に配置されている。複数の歯部53sは、基部53tから上方に向けて突出している。複数の歯部53sは、左右方向において、互いに間隔を開けて並んでいる。底カバー41には、複数の歯部53sがそれぞれ挿通され、前後方向に沿って帯状に延びる複数のスリット(不図示)が設けられている。複数の歯部53sは、空間46から底カバー41上の内部空間29に向けて延出している。
【0107】
複数の歯部53sは、基部53tに対して、左右方向に延びる回動中心軸220を中心に回動可能なように接続されている。複数の歯部53sは、第1側部25から第2側部26に近づく方向(図12中の矢印230に示す方向)の外力を受けた場合に、各歯部53sが前後方向に延びる姿勢に傾倒し、第2側部26から第1側部25に近づく方向(図12中の矢印240に示す方向)の外力を受けた場合に、各歯部53sが上下方向に延びる姿勢に立ち上がるように回動動作する。
【0108】
電動ピストン63は、底部24および底カバー41の間に区画形成された空間46に配置されている。電動ピストン63は、ピストンロッド64を有する。ピストンロッド64は、前後方向に延びている。ピストンロッド64の先端には、往復板53が接続されている。
【0109】
電動ピストン63によって、往復板53を前後方向に往復動作させる。往復板53が、第1側部25から第2側部26に近づく方向にスライド動作する間、複数の歯部53sから切屑に対して、水平方向において第1側部25から第2側部26に近づく方向の外力が作用する。これにより、バケット本体21の前方寄りの位置に堆積する切屑をバケット本体21の後方に向けて移動させ、バケット本体21における切屑の偏りを均すことができる。
【0110】
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるチップバケットによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0111】
(実施の形態3)
図13は、この発明の実施の形態3におけるチップバケットを示す側面図である。図14は、図13中のチップバケットを示す上面図である。本実施の形態におけるチップバケットは、実施の形態1におけるチップバケット10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0112】
図13および図14を参照して、本実施の形態では、動作体51が、第1均し板54および第2均し板55であり、アクチュエータ61が、第1モータ65および第2モータ66である。
【0113】
第1均し板54および第2均し板55は、上下方向に延在する板材からなる。第1均し板54および第2均し板55は、底部24か上方に離れた位置に設けられている。第1均し板54および第2均し板55は、上下方向において、底部24よりも切屑投入口23寄りの位置に設けられている。第1均し板54は、左右方向において、第4側部28と対向する位置に設けられている。第2均し板55は、左右方向において、第3側部27と対向する位置に設けられている。
【0114】
第1均し板54は、第4側部28に対して、上下方向に延びる回動中心軸320を中心にして回動可能に接続されている。第2均し板55は、第3側部27に対して、上下方向に延びる回動中心軸330を中心にして回動可能に接続されている。
【0115】
第1均し板54には、第1モータ65の出力軸が接続されている。第1均し板54は、第1モータ65からの回転が伝達されることによって、回動中心軸320を中心に揺動する。第1均し板54は、回動中心軸320から前方に延出する状態(図14中の第1均し板54Aに示す状態、回動中心軸320から第3側部27に向けて延出する状態(図14中の第1均し板54Bに示す状態)、および、回動中心軸320から後方に延出する状態(図14中の第1均し板54Cに示す状態)の間で動作する。
【0116】
第2均し板55には、第2モータ66の出力軸が接続されている。第2均し板55は、第2モータ66からの回転が伝達されることによって、回動中心軸330を中心に揺動する。第2均し板55は、回動中心軸330から前方に延出する状態(図14中の第2均し板55Aに示す状態、回動中心軸330から第4側部28に向けて延出する状態(図14中の第2均し板55Bに示す状態)、および、回動中心軸330から後方に延出する状態(図14中の第2均し板55Cに示す状態)の間で動作する。
【0117】
第1モータ65によって、第1均し板54を、回動中心軸320から前方に向けて延出する状態から回動中心軸320から後方に向けて延出する状態にまで揺動動作させる。第2モータ66によって、第2均し板55を、回動中心軸330から前方に向けて延出する状態から回動中心軸330から後方に向けて延出する状態にまで揺動動作させる。これら第1均し板54および第2均し板55の揺動動作に伴って、第1均し板54および第2均し板55から切屑に対して、水平方向において第1側部25から第2側部26に近づく方向の外力を作用させる。これにより、バケット本体21の前方寄りの位置に堆積する切屑の山をバケット本体21の後方に向けて崩し、バケット本体21における切屑の偏りを均すことができる。
【0118】
このように構成された、この発明の実施の形態3におけるチップバケットによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0119】
(実施の形態4)
図15は、この発明の実施の形態4におけるチップバケットを示す側面図である。本実施の形態におけるチップバケットは、実施の形態1におけるチップバケット10と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0120】
図15を参照して、本実施の形態では、動作体51が、振動部としての底板56であり、アクチュエータ61が、振動モータ67である。
【0121】
底板56は、前後方向において、第2側部26よりも第1側部25に寄った位置に配置されている。底板56は、水平方向に平行な板材からなる。底板56は、底カバー41と面一に設けられている。底板56には、振動モータ67が接続されている。振動モータ67は、底板56に対して振動を付与する。振動モータ67は、底板56に対して、前後方向の振動を付与してもよいし、上下方向の振動を付与してもよい。
【0122】
振動モータ67によって、底板56を微小振動させる。底板56の振動に伴って、底板56から切屑に対して、前後方向または上下方向の外力を作用させる。これにより、バケット本体21の前方寄りの位置に堆積する切屑の山をバケット本体21の後方に向けて崩し、バケット本体21における切屑の偏りを均すことができる。
【0123】
このように構成された、この発明の実施の形態4におけるチップバケットによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0124】
(実施の形態5)
図16は、この発明の実施の形態5における切屑回収ユニットを示す側面図である。本実施の形態における切屑回収ユニットは、実施の形態1におけるチップバケット10と比較して、部分的に同様の構造を備える。以下、重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0125】
図16を参照して、本実施の形態における切屑回収ユニット90は、チップバケット91と、振動付与装置としてのバイブレータ96とを有する。
【0126】
チップバケット91は、切屑が投入されるバケット本体21を有する。バイブレータ96は、チップバケット91と組み合わされる。バイブレータ96は、バケット本体21を振動させる。
【0127】
チップバケット91では、バケット本体21に、図2中の動作体51およびアクチュエータ61等が設けられていない。バイブレータ96は、振動板97を有する。振動板97は、水平方向に平行な板材からなる。振動板97は、振動可能である。振動板97は、上下方向に振動してもよいし、チップバケット91の前後方向に振動してもよい。
【0128】
チップバケット91は、振動板97に載置されている。振動板97には、突起部98が設けられている。突起部98は、振動板97から上方に向けて突出している。突起部98は、第1車輪36および第2車輪37の車止めとして設けられている。突起部98は、バイブレータ96に対してチップバケット91を保持する保持部として設けられている。
【0129】
バイブレータ96において振動板97を振動させることにより、バケット本体21を振動させる。これにより、バケット本体21の前方寄りの位置に堆積する切屑の山をバケット本体21の後方に向けて崩し、バケット本体21における切屑の偏りを均すことができる。
【0130】
なお、本発明における振動付与装置は、上記のバイブレータ96に限られず、たとえば、振動付与装置としてAGV(Automatic Guided Vehicle)を利用することができる。
【0131】
このように構成された、この発明の実施の形態5における切屑回収ユニット90によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0133】
この発明は、工作機械に用いられるチップバケットに適用される。
【符号の説明】
【0134】
10,91,310 チップバケット、21 バケット本体、23 切屑投入口、24 底部、25 第1側部、26 第2側部、27 第3側部、28 第4側部、29 内部空間、31 取っ手部、36 第1車輪、37 第2車輪、41 底カバー、42,42F,42R 板部材、42p 一方端、42q 他方端、46 空間、47 バッテリ、51 動作体、52 ベルト体、53 往復板、54,54A,54B,54C 第1均し板、55,55A,55B,55C 第2均し板、53s 歯部、53t 基部、56 底板、61 アクチュエータ、62 モータ、63 電動ピストン、64 ピストンロッド、65 第1モータ、66 第2モータ、67 振動モータ、68 第1ローラ、69 第2ローラ、71 検出部、71A 第1検出部、71B 第2検出部、72 負荷センサ、73 第1超音波センサ、74 第2超音波センサ、76 第1重量センサ、77 第2重量センサ、81 制御部、82 基準データ記憶部、83 堆積状態判定部、84 アクチュエータ制御部、90 切屑回収ユニット、96 バイブレータ、97 振動板、98 突起部、100 工作機械、110 工作機械本体、112 切屑搬送装置、120 チップコンベア、131 カバー体、132 水平部、133 切屑受け入れ部、136 立ち上がり部、137 切屑排出部、138 切屑排出口、139 掻き板、141 ドラム状濾過体、161 クーラントタンク、162 ポンプ、220,320,330 回動中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2021-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップコンベアから前記チップコンベアの切屑排出口を通じて排出された切屑を回収するためのチップバケットであって、
前記チップコンベアの切屑排出口の下方に配置され、上方を向いて開口する切屑投入口が設けられ、前記切屑投入口を通じて切屑が投入されるバケット本体と、
アクチュエータと、
前記バケット本体に設けられ、前記アクチュエータによって動作され、動作時に前記バケット本体に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体とを備え
前記動作体は、環状のベルト体であり、
前記アクチュエータは、前記ベルト体を周回駆動させるモータである、チップバケット。
【請求項2】
前記バケット本体は、水平方向に平行な所定方向において、互いに対向する第1側部および第2側部を有し、
前記動作体は、前記所定方向において、前記第2側部よりも前記第1側部に寄った位置に配置される、請求項1に記載のチップバケット。
【請求項3】
前記バケット本体は、前記バケット本体の外側に配置され、前記第2側部に取り付けられる取っ手部をさらに有する、請求項2に記載のチップバケット。
【請求項4】
前記バケット本体は、底部を有し、
前記動作体は、前記底部に配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載のチップバケット。
【請求項5】
環状の前記ベルト体の外側に配置され、前記ベルト体に対して付勢される板部材をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のチップバケット。
【請求項6】
前記バケット本体における切屑の堆積状態を示す指標を検出する検出部と、
前記検出部において検出された切屑の堆積状態に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御部とをさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載のチップバケット。
【請求項7】
前記制御部は、前記検出部により検出される指標が予め定められた閾値以上となった場合に前記動作体が動作するように、前記アクチュエータを制御する、請求項に記載のチップバケット。
【請求項8】
切屑が投入されるバケット本体と、
アクチュエータと、
前記バケット本体に設けられ、前記アクチュエータによって動作され、動作時に前記バケット本体に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体と、
前記バケット本体における切屑の堆積状態を示す指標を検出する検出部と、
前記検出部において検出された切屑の堆積状態に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御部とを備え、
前記検出部は、互いに離れて配置される第1検出部および第2検出部を含み、
前記制御部は、前記第1検出部により検出される指標と、前記第2検出部により検出される指標との差が予め定められた閾値以上となった場合に前記動作体が動作するように、前記アクチュエータを制御する、チップバケット。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この発明の1つの局面に従ったチップバケットは、チップコンベアからチップコンベアの切屑排出口を通じて排出された切屑を回収するためのチップバケットである。チップバケットは、チップコンベアの切屑排出口の下方に配置され、上方を向いて開口する切屑投入口が設けられ、切屑投入口を通じて切屑が投入されるバケット本体と、アクチュエータと、バケット本体に設けられ、アクチュエータによって動作され、動作時にバケット本体に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体とを備える。動作体は、環状のベルト体である。アクチュエータは、ベルト体を周回駆動させるモータである。
この発明の別の局面に従ったチップバケットは、切屑が投入されるバケット本体と、アクチュエータと、バケット本体に設けられ、アクチュエータによって動作され、動作時にバケット本体に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体と、バケット本体における切屑の堆積状態を示す指標を検出する検出部と、検出部において検出された切屑の堆積状態に基づいて、アクチュエータを制御する制御部とを備える。検出部は、互いに離れて配置される第1検出部および第2検出部を含む。制御部は、第1検出部により検出される指標と、第2検出部により検出される指標との差が予め定められた閾値以上となった場合に動作体が動作するように、アクチュエータを制御する。
この発明のさらに別の局面に従ったチップバケットは、切屑が投入されるバケット本体と、アクチュエータと、バケット本体に設けられ、アクチュエータによって動作され、動作時にバケット本体に堆積された切屑に外力を作用させるように配置される動作体とを備える。