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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096144
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0175 20060101AFI20220622BHJP
   H03K 5/12 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
H03K5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209081
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 陽平
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA11
5J056BB02
5J056CC01
5J056DD13
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、差動増幅回路の動作を高速化できる半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、第1の差動増幅回路を有する半導体装置が提供される。第1の差動増幅回路は、第1の入力トランジスタと第2の入力トランジスタと第1の電流源と第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有する。第1の入力トランジスタは、第1の信号をゲートで受ける。第2の入力トランジスタは、第2の信号をゲートで受ける。第1の電流源は、第1の入力トランジスタのソース及び第2の入力トランジスタのソースに接続されている。第1のトランジスタは、第1の入力トランジスタのソース及び第2の入力トランジスタのソースに対して、第1の電流源と並列に接続されている。第1のトランジスタは、第1の信号をゲートで受ける。第2のトランジスタは、第1のトランジスタに直列に接続されている。第2のトランジスタは、制御信号をゲートで受ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の差動増幅回路を備え、
前記第1の差動増幅回路は、
第1の信号をゲートで受ける第1の入力トランジスタと、
第2の信号をゲートで受ける第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタのソース及び前記第2の入力トランジスタのソースに接続された第1の電流源と、
前記第1の入力トランジスタのソース及び前記第2の入力トランジスタのソースに対して、前記第1の電流源と並列に接続され、前記第1の信号をゲートで受ける第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタに直列に接続され、制御信号をゲートで受ける第2のトランジスタと、
を有する
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の差動増幅回路は、
前記第1の入力トランジスタに直列に接続された第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタとカレントミラー回路を構成する第4のトランジスタと、
前記第3のトランジスタに直列に接続され、前記制御信号をゲートで受ける第5のトランジスタと、
をさらに有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の差動増幅回路は、
前記第1の入力トランジスタに直列に接続された第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタとカレントミラー回路を構成する第4のトランジスタと、
をさらに有し、
前記半導体装置は、
前記第4のトランジスタのドレインと出力ノードとの間の出力ラインに配された第1のインバータと、
前記出力ライン上のノードから前記第4のトランジスタのドレインへ延びたフィードバックラインに配され、前記第1のインバータより駆動力が小さい第2のインバータと、
をさらに備えた
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の差動増幅回路は、
前記第1の入力トランジスタに直列に接続された第6のトランジスタと、
前記第6のトランジスタとカレントミラー回路を構成する第4のトランジスタと、
前記第6のトランジスタに直列に接続され、前記第1の信号をゲートで受ける第7のトランジスタと、
をさらに有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の差動増幅回路は、
前記第1の入力トランジスタのドレイン側に前記第6のトランジスタと並列に接続された第8のトランジスタと、
前記第8のトランジスタを介してダイオード接続された第9のトランジスタと、
前記第2の入力トランジスタのドレイン側に接続され、前記第8のトランジスタのゲート及びドレイン側が接続された第10のトランジスタと、
前記第10のトランジスタを介してダイオード接続された第11のトランジスタと、
をさらに有する
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第4のトランジスタのドレインと前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続され、前記制御信号を生成する第3のインバータをさらに備えた
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第4のトランジスタのドレインと前記第2のトランジスタのゲートとの間に接続され、前記制御信号を生成する第3のインバータをさらに備え、
前記第1の差動増幅回路は、
一端が前記第3のインバータの出力ノードに接続され、他端が前記第4のトランジスタのゲートに接続された容量素子をさらに有する
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の差動増幅回路と極性が反転された第2の差動増幅回路をさらに備え、
前記第2の差動増幅回路は、
前記第1の信号をゲートで受ける第3の入力トランジスタと、
前記第2の信号をゲートで受ける第4の入力トランジスタと、
前記第3の入力トランジスタのソース及び前記第4の入力トランジスタのソースに接続された第2の電流源と、
前記第3の入力トランジスタのソース及び前記第4の入力トランジスタのソースに対して、前記第2の電流源と並列に接続され、前記第1の信号をゲートで受ける第12のトランジスタと、
前記第12のトランジスタに直列に接続され、前記制御信号をゲートで受ける第13のトランジスタと、
を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1の差動増幅回路を備え、
前記第1の差動増幅回路は、
第1の信号をゲートで受ける第1の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタに直列に接続された第3のトランジスタと、
前記第3のトランジスタとカレントミラーを構成する第4のトランジスタと、
前記第3のトランジスタに直列に接続され、制御信号をゲートで受ける第5のトランジスタと、
を有する
半導体装置。
【請求項10】
前記第4のトランジスタのドレインと出力ノードとの間の出力ラインに配された第1のインバータと、
前記出力ライン上のノードから前記第4のトランジスタのドレインへ延びたフィードバックラインに配され、前記第1のインバータより駆動力が小さい第2のインバータと、
をさらに備えた
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の差動増幅回路は、
第2の信号をゲートで受ける第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタのソース及び前記第2の入力トランジスタのソースに接続された第1の電流源と、
前記第1の入力トランジスタのソース及び前記第2の入力トランジスタのソースに対して、前記第1の電流源と並列に接続され、前記第1の信号をゲートで受ける第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタに直列に接続され、前記制御信号をゲートで受ける第2のトランジスタと、
をさらに有する
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の差動増幅回路は、
前記第1の入力トランジスタに直列に接続され、前記第4のトランジスタとカレントミラー回路を構成する第6のトランジスタと、
前記第6のトランジスタに直列に接続され、前記第1の信号をゲートで受ける第7のトランジスタと、
をさらに有する
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の差動増幅回路は、
前記第1の入力トランジスタのドレイン側に前記第6のトランジスタと並列に接続された第8のトランジスタと、
前記第8のトランジスタを介してダイオード接続された第9のトランジスタと、
第2の信号をゲートで受ける第2の入力トランジスタと、
前記第2の入力トランジスタのドレイン側に接続され、前記第8のトランジスタのゲート及びドレイン側が接続された第10のトランジスタと、
前記第10のトランジスタを介してダイオード接続された第11のトランジスタと、
をさらに有する
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第4のトランジスタのドレインと前記第5のトランジスタのゲートとの間に接続され、前記制御信号を生成する第3のインバータと、
をさらに備え、
前記第1の差動増幅回路は、
一端が前記第3のインバータの出力ノードに接続され、他端が前記第4のトランジスタのゲートに接続された容量素子をさらに有する
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1の差動増幅回路と極性が反転された第2の差動増幅回路をさらに備え、
前記第2の差動増幅回路は、
前記第1の信号をゲートで受ける第3の入力トランジスタと、
前記第3の入力トランジスタに直列に接続された第14のトランジスタと、
前記第14のトランジスタとカレントミラーを構成する第15のトランジスタと、
前記第14のトランジスタに直列に接続され、前記制御信号をゲートで受ける第16のトランジスタと、
を有する
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項16】
第1の信号をゲートで受ける第1の入力トランジスタと、前記第1の入力トランジスタに直列に接続された第6のトランジスタと、前記第6のトランジスタとカレントミラーを構成する第4のトランジスタとを有する第1の差動増幅回路と、
前記第4のトランジスタのドレインと出力ノードとの間の出力ラインに配された第1のインバータと、
前記出力ライン上のノードから前記第4のトランジスタのドレインへ延びたフィードバックラインに配され、前記第1のインバータより駆動力が小さい第2のインバータと、
を備えた半導体装置。
【請求項17】
前記第1の差動増幅回路は、
前記第6のトランジスタに直列に接続され、前記第1の信号をゲートで受ける第7のトランジスタをさらに有する
請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第1の差動増幅回路は、
前記第1の入力トランジスタのドレイン側に前記第6のトランジスタと並列に接続された第8のトランジスタと、
前記第8のトランジスタを介してダイオード接続された第9のトランジスタと、
第2の信号をゲートで受ける第2の入力トランジスタと、
前記第2の入力トランジスタのドレイン側に接続され、前記第8のトランジスタのゲート及びドレイン側が接続された第10のトランジスタと、
前記第10のトランジスタを介してダイオード接続された第11のトランジスタと、
をさらに有する
請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第4のトランジスタのドレインに接続され、制御信号を生成する第3のインバータをさらに備え、
前記第1の差動増幅回路は、
一端が前記第3のインバータの出力ノードに接続され、他端が前記第4のトランジスタのゲートに接続された容量素子をさらに有する
請求項16に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第1の差動増幅回路と極性が反転された第2の差動増幅回路をさらに備え、
前記第2の差動増幅回路は、
前記第1の信号をゲートで受ける第3の入力トランジスタと、
前記第3の入力トランジスタに直列に接続された第17のトランジスタと、
前記第17のトランジスタとカレントミラーを構成する第15のトランジスタと、
を有し、
前記出力ラインは、前記第4のトランジスタのドレイン及び前記第15のトランジスタのドレインと出力ノードとの間で延び、
前記フィードバックラインは、前記出力ライン上のノードから前記第4のトランジスタのドレイン及び前記第15のトランジスタのドレインへ延びた
請求項16に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
差動対を構成する一対のトランジスタで入力信号及び参照信号をそれぞれ受ける差動増幅回路を含む半導体装置では、電源電圧を用いて入力信号及び参照信号の差分を増幅して出力信号を生成する。このとき、差動増幅回路の動作を高速化することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5993174号公報
【特許文献2】米国特許第7271659号明細書
【特許文献3】米国特許第8536944号明細書
【特許文献4】特許第5971366号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Kyu-Dong Hwang,Boram Kim,Sang-Yeon Byeon,Kyu-Young Kim,“A 16Gb/s/pin 8Gb GDDR6 DRAM with bandwidth extension techniques for high-speed applications”,2018 IEEE International Solid - State Circuits Conference - (ISSCC),February 2018
【非特許文献2】Seung-Jun Bae,Young-Soo Sohn,Tae-Young Oh,Sang-Hyup Kwak,Woo Seong Kim,Dae-Hyun Kim,Y.I Kim,Yoo-Seok Yang,Su-Yeon Doo,Jin-Il Lee,Sam-Young Bang,Sun-Young Park,Ki-Woong Yeom,Jae-Young Lee,Hwanwook Park,Woo-Seop Kim,Hyang-Ja Yang,Kwang-Il Park,Joo Sun Choi,Young-Hyun Jun,“A 40nm 7Gb/s/pin Single-ended Transceiver with Jitter and ISI Reduction Techniques for High-Speed DRAM Interface”,2010 Symposium on VLSI Circuits,July 2010
【非特許文献3】Seung-Jun Bae,Young-Soo Sohn,Tae-Young Oh,Si-Hong Kim,Yun-Seok Yang,Dae-Hyun Kim, Sang-Hyup Kwak,Ho-Seok Seol,Chang-Ho Shin,Min-Sang Park,Gong-Heom Han,Byeong-Cheol Kim,Yong-Ki Cho,Hye-Ran Kim,Su-Yeon Doo,Y.I Kim, Dong-Seok Kang,Young-Ryeol Choi,Sam-Young Bang,Sun-Young Park,Yong-Jae Shin,Gil-Shin Moon,Cheol-Goo Park,Woo-Seop Kim,Hyang-Ja Yang,Jeong-Don Lim,Kwang-Il Park,J.H. Choi, Young-Hyun Jun,” A 40 nm 2 Gb 7 Gb/s/p GDDR5 SDRAM with a programmable DQ ordering crosstalk equalizer and adjustable clock-tracking BW”, 2011 IEEE International Solid-State Circuits Conference,February 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの実施形態は、差動増幅回路の動作を高速化できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、第1の差動増幅回路を有する半導体装置が提供される。第1の差動増幅回路は、第1の入力トランジスタと第2の入力トランジスタと第1の電流源と第1のトランジスタと第2のトランジスタとを有する。第1の入力トランジスタは、第1の信号をゲートで受ける。第2の入力トランジスタは、第2の信号をゲートで受ける。第1の電流源は、第1の入力トランジスタのソース及び第2の入力トランジスタのソースに接続されている。第1のトランジスタは、第1の入力トランジスタのソース及び第2の入力トランジスタのソースに対して、第1の電流源と並列に接続されている。第1のトランジスタは、第1の信号をゲートで受ける。第2のトランジスタは、第1のトランジスタに直列に接続されている。第2のトランジスタは、制御信号をゲートで受ける。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図2図2は、第1の実施形態にかかる半導体装置の動作を示す波形図である。
図3図3は、第2の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図4図4は、第2の実施形態にかかる半導体装置の動作を示す波形図である。
図5図5は、第3の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図6図6は、第3の実施形態におけるインバータの構成を示す回路図である。
図7図7は、第3の実施形態にかかる半導体装置の動作を示す波形図である。
図8図8は、第4の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図9図9は、第5の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図10図10は、第6の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図11図11は、第7の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図12図12は、第8の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図13図13は、第9の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図14図14は、第10の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図15図15は、第11の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図16図16は、第12の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図17図17は、第13の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図18図18は、第14の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図19図19は、第15の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図20図20は、第16の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図21図21は、第17の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図22図22は、第18の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図23図23は、第19の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す回路図である。
図24図24は、第1の実施形態~第19の実施形態にかかる半導体装置を適用可能なメモリシステムの構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる半導体装置は、差動増幅回路を含む。差動増幅回路は、差動対を構成する一対のトランジスタで入力信号及び参照信号をそれぞれ受ける。差動増幅回路は、電源電圧を用いて入力信号及び参照信号の差分を増幅して出力信号を生成する。差動増幅回路を含む半導体装置が、半導体メモリの高速インターフェースにおけるレシーバとして用いられることがある。このとき、差動増幅回路の動作を高速化することが望まれる。
【0010】
しかし、現状の回路構成のままでは、高速化するために、電流を全体的に大幅に増やして各トランジスタの駆動力を向上させることになる。このため、配線の寄生抵抗成分での発熱が増加することなどにより、消費電力が増加する可能性がある。
【0011】
そこで、本実施形態では、半導体装置の差動増幅回路において、信号波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形するプリエンファシス回路を追加することで、消費電力の抑制と高速化との両立化を図る。
【0012】
具体的には、半導体装置1は、図1に示すように構成され得る。図1は、半導体装置1の構成を示す回路図である。
【0013】
半導体装置1は、含まれる素子の極性が互いに反転した2つの差動増幅回路を用いることで、シングル入力・シングル出力の回路を実現している。半導体装置1は、入力信号VINをシングル入力として受け、入力信号VINを差動信号に変換して増幅処理を行い、処理後の差動信号から出力信号OUTを生成してシングル出力として出力する。
【0014】
半導体装置1は、差動増幅回路10、差動増幅回路20、出力回路30及び制御回路40を有する。差動増幅回路10及び差動増幅回路20は、出力回路30の入力側で互いに並列に配されている。差動増幅回路10は入力信号VINをN型のトランジスタで受ける差動増幅回路(N型トランジスタ受けの差動増幅回路)である。差動増幅回路20は入力信号VINをP型のトランジスタで受ける差動増幅回路(P型トランジスタ受けの差動増幅回路)である。制御回路40は、差動増幅回路10及び差動増幅回路20と出力回路30との間に配されている。差動増幅回路10は、プリエンファシス回路PE1を有し、差動増幅回路20は、プリエンファシス回路PE2を有する。
【0015】
差動増幅回路10は、差動対を構成する一対の入力トランジスタTrin1,Trin2で入力信号VIN及び参照信号VREFをそれぞれ受け、電源電圧VCCQを用いて入力信号VIN及び参照信号VREFの差分を増幅し差動増幅回路20と協働して信号HVOを生成する。入力トランジスタTrin1,Trin2は、それぞれ、N型のトランジスタである。参照信号VREFは、電源電圧VCCQのレベルに応じて予め設定され得る。参照信号VREFは、例えば、電源電圧VCCQの略半分のレベルを有し得る。このとき、プリエンファシス回路PE1は、差動増幅回路10の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0016】
差動増幅回路20は、差動対を構成する一対の入力トランジスタTrin3,Trin4で入力信号IN及び参照信号VREFをそれぞれ受け、電源電圧VCCQを用いて入力信号VIN及び参照信号VREFの差分を増幅し差動増幅回路10と協働して信号HVOを生成する。入力トランジスタTrin3,Trin4は、それぞれ、P型のトランジスタである。このとき、プリエンファシス回路PE2は、差動増幅回路20の内部信号の波形をオーバーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0017】
出力回路30は、信号HVOを差動増幅回路10及び差動増幅回路20から受ける。このとき、プリエンファシス回路PE1及びプリエンファシス回路PE2により信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0018】
出力回路30は、信号HVOに応じた出力信号OUTを生成して出力する。このとき、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得るので、出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされ得る。出力回路30は、信号HVOを偶数回(図1では、2回)論理反転させることで、出力信号OUTを生成して出力してもよい。出力信号OUTは、信号HVOと同じ論理レベルを有し得る。
【0019】
制御回路40は、信号HVOを差動増幅回路10及び差動増幅回路20から受ける。制御回路40は、電源電圧VCCQを用いて、信号HVOに応じた信号HVONを生成して差動増幅回路10のプリエンファシス回路PE1と差動増幅回路20のプリエンファシス回路PE2とへそれぞれフィードバックする。制御回路40は、信号HVOを奇数回(図1では、1回)論理反転させることで、信号HVONを生成して出力してもよい。信号HVONは、プリエンファシス回路PE1,PE2を制御するための制御信号である。
【0020】
差動増幅回路10は、差動回路DIFF1、プリエンファシス回路PE1、負荷回路LD1、補助回路AS11、補助回路AS12、転送回路TR1を有する。差動回路DIFF1は、負荷回路LD1とグランド電位との間に配されている。プリエンファシス回路PE1は、差動回路DIFF1とグランド電位との間に配されている。負荷回路LD1は、差動回路DIFF1と電源電位VCCQとの間に配されている。負荷回路LD1は、2つのトランジスタのゲート及びドレインがクロスカップル接続された回路(クロスカップル回路)で構成されている。
【0021】
転送回路TR1は、第4のトランジスタとしてのトランジスタTr4を有する。トランジスタTr4は、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr4は、ゲートがバイアスラインNNを介して補助回路AS11に接続されている。トランジスタTr4は、ドレインが出力回路30に接続され、ソースが電源電位VCCQに接続されている。
【0022】
差動回路DIFF1は、第1の入力トランジスタとしての入力トランジスタTrin1、第2の入力トランジスタとしての入力トランジスタTrin2、及び電流源CS1を有する。入力トランジスタTrin1及び入力トランジスタTrin2は、差動対を構成する。入力トランジスタTrin1及び入力トランジスタTrin2は、それぞれ、NMOSトランジスタで構成され得る。入力トランジスタTrin1は、入力信号VINをゲートで受け、ドレインがノードN1に電気的に接続され、ソースが電流源CS1の一端に電気的に接続されている。入力トランジスタTrin2は、参照信号VREFをゲートで受け、ドレインがノードN2に電気的に接続され、ソースが電流源CS1の一端に電気的に接続されている。電流源CS1の他端は、グランド電位に電気的に接続されている。
【0023】
プリエンファシス回路PE1は、第1のトランジスタとしてのトランジスタTr1及び第2のトランジスタとしてのトランジスタTr2を有する。トランジスタTr1は、入力トランジスタTrin1のソース及び入力トランジスタTrin2のソースに対して、電流源CS1と並列に接続されている。トランジスタTr2は、トランジスタTr1に直列に接続される。トランジスタTr1及びトランジスタTr2は、それぞれ、NMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr1は、入力信号VINをゲートで受け、ドレインが入力トランジスタTrin1のソース及び入力トランジスタTrin2のソースに電気的に接続され、ソースがトランジスタTr2に電気的に接続されている。トランジスタTr2は、信号HVONをゲートで受け、ソースがグランド電位に電気的に接続され、ドレインがトランジスタTr1に電気的に接続される。
【0024】
負荷回路LD1は、第8のトランジスタとしてのトランジスタTr8及び第10のトランジスタとしてのトランジスタTr10を有する。トランジスタTr8及びトランジスタTr10は、ゲート及びドレインがクロスカップル接続されている。トランジスタTr8及びトランジスタTr10は、それぞれ、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr8は、ゲートがトランジスタTr10のゲート及びドレインに接続され、ドレインがノードN1に電気的に接続され、ソースが電源電位VCCQに電気的に接続される。トランジスタTr10は、ゲートがドレイン及びトランジスタTr8のゲートに接続され、ドレインがノードN2に電気的に接続され、ソースが電源電位VCCQに電気的に接続される。
【0025】
補助回路AS11は、第6のトランジスタとしてのトランジスタTr6を有する。トランジスタTr6は、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr6は、入力トランジスタTrin1及び電源電位VCCQの間に配されている。トランジスタTr6は、入力トランジスタTrin1と直列に接続されている。トランジスタTr6は、トランジスタTr4とカレントミラー回路を形成している。トランジスタTr6は、ゲートがバイアスラインNNとトランジスタTr6のドレインとに接続されている。トランジスタTr6のドレインは、ノードN1に接続されている。これにより、トランジスタTr6のドレイン電流(すなわち、ノードN1に流れる電流)に対して、トランジスタTr6のディメンジョンとトランジスタTr4のディメンジョンとの比によって決まるミラー比に応じたドレイン電流がトランジスタTr4のドレイン側に現れる。
【0026】
補助回路AS12は、トランジスタTr18を有する。トランジスタTr18は、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr18は、入力トランジスタTrin2及び電源電位VCCQの間に配されている。トランジスタTr18は、入力トランジスタTrin2と直列に接続されている。トランジスタTr18は、ゲートがドレインに接続されている。トランジスタTr18のドレインは、ノードN2に接続されている。
【0027】
差動増幅回路20は、差動回路DIFF2、プリエンファシス回路PE2、負荷回路LD2、補助回路AS21、補助回路AS22、転送回路TR2を有する。差動回路DIFF2は、負荷回路LD2と電源電位VCCQとの間に配されている。プリエンファシス回路PE2は、差動回路DIFF2と電源電位VCCQとの間に配されている。負荷回路LD2は、差動回路DIFF2とグランド電位との間に配されている。負荷回路LD2は、2つのトランジスタのゲート及びドレインがクロスカップル接続された回路(クロスカップル回路)で構成されている。
【0028】
転送回路TR2は、第15のトランジスタとしてのトランジスタTr15を有する。トランジスタTr15は、NMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr15は、ゲートがバイアスラインNPを介して補助回路AS21に接続されている。トランジスタTr15は、ドレインが出力回路30に接続され、ソースがグランド電位に接続されている。
【0029】
差動回路DIFF2は、第3の入力トランジスタとしての入力トランジスタTrin3、第4の入力トランジスタとしての入力トランジスタTrin4、及び電流源CS2を有する。入力トランジスタTrin3及び入力トランジスタTrin4は、差動対を構成する。入力トランジスタTrin3及び入力トランジスタTrin4は、それぞれ、PMOSトランジスタで構成され得る。入力トランジスタTrin3は、入力信号VINをゲートで受け、ドレインがノードN3に電気的に接続され、ソースが電流源CS2の一端に電気的に接続されている。入力トランジスタTrin4は、参照信号VREFをゲートで受け、ドレインがノードN4に電気的に接続され、ソースが電流源CS2の一端に電気的に接続されている。電流源CS2の他端は、電源電位VCCQに電気的に接続されている。
【0030】
プリエンファシス回路PE2は、第12のトランジスタとしてのトランジスタTr12及び第13のトランジスタとしてのトランジスタTr13を有する。トランジスタTr12は、入力トランジスタTrin3のソース及び入力トランジスタTrin4のソースに対して、電流源CS2と並列に接続されている。トランジスタTr13は、トランジスタTr12に直列に接続される。トランジスタTr12及びトランジスタTr13は、それぞれ、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr12は、入力信号VINをゲートで受け、ドレインが入力トランジスタTrin3のソース及び入力トランジスタTrin4のソースに電気的に接続され、ソースがトランジスタTr13に電気的に接続されている。トランジスタTr13は、信号HVONをゲートで受け、ソースが電源電位VCCQに電気的に接続され、ドレインがトランジスタTr12に電気的に接続される。
【0031】
負荷回路LD2は、トランジスタTr20及びトランジスタTr21を有する。トランジスタTr20及びトランジスタTr21は、ゲート及びドレインがクロスカップル接続されている。トランジスタTr20及びトランジスタTr21は、それぞれ、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr20は、ゲートがトランジスタTr21のゲート及びドレインに接続され、ドレインがノードN3に電気的に接続され、ソースがグランド電位に電気的に接続される。トランジスタTr21は、ゲートがドレイン及びトランジスタTr20のゲートに接続され、ドレインがノードN4に電気的に接続され、ソースがグランド電位に電気的に接続される。
【0032】
補助回路AS21は、第17のトランジスタとしてのトランジスタTr17を有する。トランジスタTr17は、NMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr17は、入力トランジスタTrin3及びグランド電位の間に配されている。トランジスタTr17は、入力トランジスタTrin3と直列に接続されている。トランジスタTr17は、トランジスタTr15とカレントミラー回路を形成している。トランジスタTr17は、ゲートがバイアスラインNPとトランジスタTr17のドレインとに接続されている。トランジスタTr17のドレインは、ノードN3に接続されている。これにより、トランジスタTr17のドレイン電流(すなわち、ノードN3に流れる電流)に対して、トランジスタTr17のディメンジョンとトランジスタTr15のディメンジョンとの比によって決まるミラー比に応じたドレイン電流がトランジスタTr15のドレイン側に現れる。
【0033】
補助回路AS22は、トランジスタTr23を有する。トランジスタTr23は、NMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr23は、入力トランジスタTrin4及びグランド電位の間に配されている。トランジスタTr18は、入力トランジスタTrin4と直列に接続されている。トランジスタTr23は、ゲートがドレインに接続されている。トランジスタTr23のドレインは、ノードN4に接続されている。
【0034】
出力回路30は、複数のインバータINV1-1,INV1-2を有する。複数のインバータINV1-1,INV1-2は、出力ラインLout上に配されている。出力ラインLoutは、トランジスタTr4,Tr15のドレインから出力ノードNoutへ延びている。インバータINV1-1は、入力ノードがトランジスタTr4,Tr15のドレインに接続され、出力ノードがインバータINV1-2に接続されている。インバータINV1-1は、入力ノードで信号HVOを受ける。インバータINV1-2は、入力ノードがインバータINV1-1に接続され、出力ノードが半導体装置1の出力ノードNoutに接続されている。インバータINV1-1,INV1-2は、信号HVOを偶数回(例えば、2回)論理反転させて出力信号OUTを生成して出力する。
【0035】
制御回路40は、インバータINV3を有する。インバータINV3は、入力ノードがトランジスタTr4,Tr15のドレインに接続され、出力ノードがトランジスタTr2,Tr13のゲートに接続されている。インバータINV3は、入力ノードで信号HVOを受ける。インバータINV3は、信号HVOのレベルを論理反転させて信号HVONを生成してトランジスタTr2,Tr13のゲートへそれぞれ供給する。
【0036】
半導体装置1では、図2に示すように、プリエンファシス回路PE1,PE2により、内部信号N_VINB,P_VINBの波形がアンダーシュート波形、オーバーシュート波形へ成形される。内部信号N_VINB,P_VINBは、差動増幅回路10,20におけるバイアスラインNN,NPの信号である。図2は、半導体装置1の動作を示す波形図である。
【0037】
タイミングt1の直前において、信号HVONがHレベルであり、入力信号VINがLレベルである。
【0038】
これに応じて、差動増幅回路10において、トランジスタTr1がオフし、プリエンファシス回路PE1が非活性状態であり、入力トランジスタTrin1,Trin2の共通ソースノードCOMNには電流量I1の電流が流される。I1は、電流源CS1による電流量である。
【0039】
また、差動増幅回路20において、トランジスタTr13がオフし、プリエンファシス回路PE2が非活性状態であり、入力トランジスタTrin3,Trin4の共通ソースノードCOMPには電流量I2の電流が流される。I2は、電流源CS2による電流量である。
【0040】
タイミングt1において、信号HVONがHレベルに維持されたまま、入力信号VINがLレベルからHレベルになる。
【0041】
これに応じて、差動増幅回路10において、トランジスタTr1,Tr2がオンし、プリエンファシス回路PE1が活性状態になり、共通ソースノードCOMNには電流量I1+ΔIpe1(>I1)の電流が流される。ΔIpe1は、プリエンファシス回路PE1による電流量である。これにより、プリエンファシス回路PE1は、内部信号N_VINBがHレベルからLレベルへ遷移する時に、内部信号N_VINBのLレベル振幅を強調する。
【0042】
すなわち、内部信号N_VINBがHレベルVHnから振幅の強調されたLレベルVLLnに遷移する。HレベルVHnとLレベルVLnとの中間値を基準値VRnとするとき、振幅が強調されたLレベルVLLnの基準値VRnからの差分は、HレベルVHnの基準値VRnからの差分より大きい。図2では、差動増幅回路10の内部信号N_VINBのLレベル振幅が強調される期間が「強」と示され、内部信号N_VINBのLレベル振幅が強調されない期間が「弱」と示されている。
【0043】
また、差動増幅回路20において、トランジスタTr11,Tr12がオフし、プリエンファシス回路PE2が非活性状態のままであり、共通ソースノードCOMPには電流量I2の電流が流される。これにより、内部信号P_VINBがHレベルVHpからLレベルVLpに遷移するが、そのLレベル振幅は強調されない。
【0044】
タイミングt2において、入力信号VINがHレベルに維持されたまま、信号HVONがHレベルからLレベルになる。
【0045】
これに応じて、差動増幅回路10において、トランジスタTr2がオフし、プリエンファシス回路PE1が非活性状態に戻り、共通ソースノードCOMNには電流量I1の電流が流される。これにより、プリエンファシス回路PE1は、内部信号N_VINBのLレベル振幅の強調を解除する。
【0046】
すなわち、内部信号N_VINBは、振幅が強調されたLレベルVLLnから強調が解除されたLレベルVLnになる。強調が解除されたLレベルVLnの基準値VCnからの差分は、HレベルVHnの基準値VCnからの差分とほぼ均等である。このため、プリエンファシス回路PE1により内部信号N_VINBの波形がアンダーシュート波形に成形される。これにより、転送回路TR1のトランジスタTr4の駆動力がレベル遷移時に一時的に引き上げられ、差動増幅回路10から出力回路30へ出力される信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされる。
【0047】
また、差動増幅回路20において、トランジスタTr11,Tr12がオフしており、プリエンファシス回路PE2が非活性状態のままであり、共通ソースノードCOMPには電流量I2の電流が流される。このため、内部信号P_VINBの波形の成形は行われず、差動増幅回路20から出力回路30へ出力される信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされない。
【0048】
タイミングt1~t2の期間について見ると、差動増幅回路10から出力回路30へ出力される信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされる。これにより、信号HVOに応じて出力回路30で生成される出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされる。
【0049】
タイミングt3の直前において、信号HVONがLレベルであり、入力信号VINがHレベルである。
【0050】
これに応じて、差動増幅回路10において、トランジスタTr2がオフし、プリエンファシス回路PE1が非活性状態であり、入力トランジスタTrin1,Trin2の共通ソースノードCOMNには電流量I1の電流が流される。
【0051】
また、差動増幅回路20において、トランジスタTr12がオフし、プリエンファシス回路PE2が非活性状態であり、入力トランジスタTrin3,Trin4の共通ソースノードCOMPには電流量I2の電流が流される。
【0052】
タイミングt3において、信号HVONがLレベルに維持されたまま、入力信号VINがHレベルからLレベルになる。
【0053】
これに応じて、差動増幅回路20において、トランジスタTr12,Tr13がオンし、プリエンファシス回路PE2が活性状態になり、共通ソースノードCOMPには電流量I2+ΔIpe2(>I2)の電流が流される。ΔIpe2は、プリエンファシス回路PE2による電流量である。これにより、プリエンファシス回路PE2は、内部信号P_VINBがLレベルからHレベルへ遷移する時に、内部信号P_VINBのHレベル振幅を強調する。
【0054】
すなわち、内部信号P_VINBがLレベルVLpから振幅の強調されたHレベルVHHpに遷移する。HレベルVHpとLレベルVLpとの中間値を基準値VCpとするとき、振幅が強調されたHレベルVHHpの基準値VCpからの差分は、LレベルVLpの基準値VCpからの差分より大きい。図2では、差動増幅回路20の内部信号P_VINBのHレベル振幅が強調される期間が「強」と示され、内部信号P_VINBのHレベル振幅が強調されない期間が「弱」と示されている。
【0055】
また、差動増幅回路10において、トランジスタTr1,Tr2がオフし、プリエンファシス回路PE1が非活性状態のままであり、共通ソースノードCOMNには電流量I1の電流が流される。これにより、内部信号N_VINBがLレベルVLnからHレベルVHnに遷移するが、そのHレベル振幅は強調されない。
【0056】
タイミングt4において、入力信号VINがLレベルに維持されたまま、信号HVONがLレベルからHレベルになる。
【0057】
これに応じて、差動増幅回路20において、トランジスタTr13がオフし、プリエンファシス回路PE2が非活性状態に戻り、共通ソースノードCOMPには電流量I2の電流が流される。これにより、プリエンファシス回路PE2は、内部信号P_VINBのHレベル振幅のHレベル側への強調を解除する。
【0058】
すなわち、内部信号P_VINBは、振幅が強調されたHレベルVHHpから強調が解除されたHレベルVHpになる。強調が解除されたHレベルVHpの基準値VCpからの差分は、LレベルVLpの基準値VCpからの差分とほぼ均等である。このため、内部信号P_VINBの波形がオーバーシュート波形に成形される。これにより、転送回路TR2のトランジスタTr15の駆動力がレベル遷移時に一時的に引き上げられ、差動増幅回路20から出力回路30へ出力される信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされる。
【0059】
また、差動増幅回路10において、トランジスタTr1がオフしており、プリエンファシス回路PE1が非活性状態のままであり、共通ソースノードCOMNには電流量I1の電流が流される。このため、内部信号N_VINBの波形の成形は行われない。
【0060】
タイミングt3~t4の期間について見ると、差動増幅回路20から出力回路30へ出力される信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされる。これにより、信号HVOに応じて出力回路30で生成される出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされる。
【0061】
タイミングt5,t6において、タイミングt1,t2と同様の動作が行われる。
【0062】
図1に示すように、信号HVOを逆極性にして信号HVONとしてプリエンファシス回路PE1,PE2にフィードバックする。これにより、プリエンファシス回路PE1,PE2は、図2に示すように、入力信号VINがLレベル→Hレベルに遷移するときには、差動増幅回路10の内部信号の振幅に相当する駆動電流を一時的に増やして転送回路TR1の駆動力を引き上げる。入力信号VINがHレベル→Lレベルに遷移するときには、差動増幅回路20の内部信号の振幅に相当する駆動電流を一時的に増やして転送回路TR2の駆動力を引き上げる。このため、レベル遷移時の差動増幅回路10,20の駆動力を電流効率よく強化することができる。
【0063】
以上のように、第1の実施形態では、半導体装置1において、プリエンファシス回路PE1,PE2を差動増幅回路10,20にそれぞれ追加する。プリエンファシス回路PE1,PE2は、レベル遷移時の振幅を強調することで差動増幅回路10,20の内部信号の波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する。これにより、時間平均の振幅を抑制しながら信号レベルの遷移を高速化でき、電流効率よく半導体装置1の動作周波数を引き上げることができる。この結果、消費電力の抑制と高速化とを両立化できる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0065】
第1の実施形態では、レベル遷移時の振幅を強調することで差動増幅回路10,20の内部信号の波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形しているが、第2の実施形態では、レベル遷移後の振幅を減衰させることで差動増幅回路110,120の内部信号の波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する。
【0066】
具体的には、半導体装置101は、図3に示すように構成され得る。図3は、半導体装置101の構成を示す図である。半導体装置101は、差動増幅回路10及び差動増幅回路20(図1参照)に代えて、差動増幅回路110及び差動増幅回路120を有する。差動増幅回路110は、プリエンファシス回路PE1(図1参照)に代えてディエンファシス回路DE101を有し、差動増幅回路120は、プリエンファシス回路PE2(図1参照)に代えてディエンファシス回路DE102を有する。
【0067】
差動増幅回路110は、電源電圧VCCQを用いて入力信号VIN及び参照信号VREFの差分を増幅し差動増幅回路120と協働して信号HVOを生成する。このとき、ディエンファシス回路DE101は、差動増幅回路110の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形する。このため、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0068】
差動増幅回路120は、電源電圧VCCQを用いて入力信号VIN及び参照信号VREFの差分を増幅し差動増幅回路110と協働して信号HVOを生成する。このとき、ディエンファシス回路DE102は、差動増幅回路120の内部信号の波形をオーバーシュート波形に成形する。このため、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0069】
出力回路30は、信号HVOを差動増幅回路110及び差動増幅回路120から受け、信号HVOに応じた出力信号OUTを生成して出力する。このとき、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。また、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得るので、出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされ得る。
【0070】
ディエンファシス回路DE101は、トランジスタTr3及びトランジスタTr5を有する。トランジスタTr3は、入力トランジスタTrin1のドレインに対して、トランジスタTr6,Tr8と並列に接続されている。トランジスタTr5は、トランジスタTr3と電源電位VCCQとの間に接続されている。トランジスタTr5は、トランジスタTr3に直列に接続される。トランジスタTr3及びトランジスタTr5は、それぞれ、PMOSトランジスタで構成され得る。
【0071】
トランジスタTr5は、信号HVONをゲートで受け、ドレインがトランジスタTr3のソースに電気的に接続され、ソースが電源電位VCCQに電気的に接続されている。
【0072】
トランジスタTr3は、トランジスタTr4とカレントミラー回路を形成している。トランジスタTr3は、ゲートがバイアスラインNNとトランジスタTr3のドレインとに接続されている。トランジスタTr3のドレインは、ノードN1に接続されている。
【0073】
ディエンファシス回路DE101は、信号HVONがLレベルである期間に、トランジスタTr3のドレイン電流に対して、トランジスタTr3のディメンジョンとトランジスタTr4のディメンジョンとの比によって決まるミラー比に応じたドレイン電流がトランジスタTr4のドレイン側に追加的に現れるようにする。例えば、ディエンファシス回路DE101は、信号のLレベル振幅を減衰させるようなドレイン電流がトランジスタTr4のドレイン側に追加的に現れるようにする。
【0074】
ディエンファシス回路DE102は、第14のトランジスタとしてのトランジスタTr14及び第16のトランジスタとしてのトランジスタTr16を有する。トランジスタTr14は、入力トランジスタTrin3のドレインに対して、トランジスタTr17,Tr20と並列に接続されている。トランジスタTr16は、トランジスタTr14とグランド電位との間に接続されている。トランジスタTr16は、トランジスタTr14に直列に接続される。トランジスタTr14及びトランジスタTr16は、それぞれ、NMOSトランジスタで構成され得る。
【0075】
トランジスタTr16は、信号HVONをゲートで受け、ドレインがトランジスタTr14のソースに電気的に接続され、ソースがグランド電位に電気的に接続されている。
【0076】
トランジスタTr14は、トランジスタTr15とカレントミラー回路を形成している。トランジスタTr14は、ゲートがバイアスラインNPとトランジスタTr14のドレインとに接続されている。トランジスタTr14のドレインは、ノードN1に接続されている。
【0077】
ディエンファシス回路DE102は、信号HVONがHレベルである期間に、トランジスタTr14のドレイン電流に対して、トランジスタTr14のディメンジョンとトランジスタTr15のディメンジョンとの比によって決まるミラー比に応じたドレイン電流がトランジスタTr15のドレイン側に追加的に現れるようにする。例えば、ディエンファシス回路DE102は、信号のHレベル振幅を減衰させるようなドレイン電流がトランジスタTr15のドレイン側に追加的に現れるようにする。
【0078】
半導体装置101では、図4に示すように、ディエンファシス回路DE101,DE102により、内部信号N_VINB,P_VINBの波形がアンダーシュート波形、オーバーシュート波形へ成形される。内部信号N_VINB,P_VINBは、差動増幅回路110,120におけるバイアスラインNN,NPの信号である。図4は、半導体装置101の動作を示す波形図である。
【0079】
タイミングt11において、信号HVONがHレベルに維持されたまま、入力信号VINがLレベルからHレベルになる。
【0080】
これに応じて、差動増幅回路110において、トランジスタTr5がオフし、ディエンファシス回路DE101が非活性状態である。入力信号VINのLレベルからHレベルへの遷移に応じて、内部信号N_VINBがHレベルVHnからLレベルVLnへ遷移する。
【0081】
また、差動増幅回路120において、トランジスタTr16がオンし、ディエンファシス回路DE102が活性状態である。入力信号VINのLレベルからHレベルへの遷移に応じて、内部信号P_VINBがHレベルVHpLからLレベルVLpへ遷移する。
【0082】
入力信号VINがLレベルからHレベルへ遷移した後のタイミングt12において、入力信号VINがHレベルに維持されたまま、信号HVONがHレベルからLレベルになる。
【0083】
これに応じて、差動増幅回路110において、トランジスタTr5がオンし、ディエンファシス回路DE101が活性状態になり、バイアスラインNNの電位がHレベル側へ引き上げられて、内部信号N_VINBのLレベル振幅が減衰される。
【0084】
すなわち、内部信号N_VINBがLレベルVLnから振幅の減衰されたLレベルVLnHになる。振幅の減衰されたLレベルVLnHは、LレベルVLnに比べて、Lレベル振幅がHレベル側へ引き上げられている。HレベルVHnとLレベルVLnとの中間値を基準値VRnとするとき、振幅が減衰されたLレベルVLnHの基準値VRnからの差分は、HレベルVHnの基準値VRnからの差分より小さい。このため、ディエンファシス回路DE101により内部信号N_VINBの波形がアンダーシュート波形に成形される。これにより、相対的に見ると、レベル遷移後に比べて、転送回路TR1のトランジスタTr4の駆動力がレベル遷移時に一時的に引き上げられ、差動増幅回路110から出力回路30へ出力される差分信号VO10のレベル遷移時の傾きが急峻にされる。
【0085】
また、差動増幅回路120において、トランジスタTr16がオフし、ディエンファシス回路DE102が非活性状態になり、バイアスラインNPの電位が引き下げられない。これにより、内部信号P_VINBは、LレベルVLpのままになっている。このため、内部信号P_VINBの波形の成形は行われない。
【0086】
タイミングt11~t12の期間について見ると、差動増幅回路110から出力回路30へ出力される信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされる。これにより、信号HVOに応じて出力回路30で生成される出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされる。
【0087】
タイミングt13において、信号HVONがLレベルに維持されたまま、入力信号VINがHレベルからLレベルになる。
【0088】
これに応じて、差動増幅回路120において、トランジスタTr16がオフし、ディエンファシス回路DE102が非活性状態である。入力信号VINのHレベルからLレベルへの遷移に応じて、内部信号P_VINBがLレベルVLpからHレベルVHpへ遷移する。
【0089】
また、差動増幅回路110において、トランジスタTr5がオンし、ディエンファシス回路DE101が活性状態である。入力信号VINのHレベルからLレベルへの遷移に応じて、内部信号N_VINBがLレベルVLnLからHレベルVHnへ遷移する。
【0090】
入力信号VINがHレベルからLレベルへ遷移した後のタイミングt14において、入力信号VINがLレベルに維持されたまま、信号HVONがLレベルからHレベルになる。
【0091】
これに応じて、差動増幅回路120において、トランジスタTr16がオンし、ディエンファシス回路DE102が活性状態になり、バイアスラインNPの電位がLレベル側へ引き下げられて、内部信号P_VINBのHレベル振幅が減衰される。
【0092】
すなわち、内部信号P_VINBがHレベルVHpから振幅の減衰されたHレベルVHpLになる。HレベルVHpLは、HレベルVHpに比べて、Hレベル振幅がLレベル側へ引き下げられている。LレベルVLpとHレベルVHpとの中間値を基準値VRpとするとき、振幅が減衰されたHレベルVHpLの基準値VRpからの差分は、LレベルVLpの基準値VRpからの差分より小さい。このため、ディエンファシス回路DE102により内部信号P_VINBの波形がオーバーシュート波形に成形される。これにより、相対的に見ると、レベル遷移後に比べて、転送回路TR2のトランジスタTr15の駆動力がレベル遷移時に一時的に引き上げられ、差動増幅回路120から出力回路30へ出力される信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされる。
【0093】
また、差動増幅回路110において、トランジスタTr5がオフし、ディエンファシス回路DE101が非活性状態になり、バイアスラインNNの電位が引き下げられない。これにより、内部信号N_VINBは、HレベルVHnのままになっている。このため、内部信号N_VINBの波形の成形は行われない。
【0094】
タイミングt13~t14の期間について見ると、差動増幅回路120から出力回路30へ出力される信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされる。これにより、信号HVOに応じて出力回路30で生成される出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされる。
【0095】
タイミングt15,t16において、タイミングt11,t12と同様の動作が行われる。
【0096】
タイミングt17,t18において、タイミングt13,t14と同様の動作が行われる。
【0097】
図3に示すように、信号HVOを逆極性にして信号HVONとしてディエンファシス回路DE101,DE102にフィードバックする。これにより、ディエンファシス回路DE101,DE102は、図4に示すように、入力信号VINがLレベル→Hレベルに遷移した後において、差動増幅回路110の内部信号の振幅に相当する駆動電流を一時的に減らして転送回路TR1の駆動力を引き下げる。入力信号VINがHレベル→Lレベルに遷移した後において、差動増幅回路120の内部信号の振幅に相当する駆動電流を一時的に減らして転送回路TR2の駆動力を引き下げる。これにより、レベル遷移時の差動増幅回路110,120の駆動力を相対的に強化することができる。
【0098】
以上のように、第2の実施形態では、半導体装置101において、ディエンファシス回路DE101,DE102を差動増幅回路110,120にそれぞれ追加する。ディエンファシス回路DE101,DE102は、レベル遷移後の振幅を減衰させることで差動増幅回路110,120の内部信号の波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する。これにより、時間平均の振幅を抑制しながら信号レベルの遷移を高速化でき、電流効率よく半導体装置101の動作周波数を引き上げることができる。この結果、消費電力の抑制と高速化とを両立化できる。
【0099】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0100】
第2の実施形態では、差動増幅回路110,120の内部信号の波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形しているが、第3の実施形態では、差動増幅回路210,220の差分信号VO10,VO20から合成される信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する。
【0101】
具体的には、半導体装置201は、図5に示すように構成され得る。図5は、半導体装置201の構成を示す図である。半導体装置201は、差動増幅回路110及び差動増幅回路120(図3参照)に代えて、差動増幅回路210及び差動増幅回路220を有し、ディエンファシス回路DE203をさらに有する。差動増幅回路210及び差動増幅回路220は、それぞれ、差動増幅回路110及び差動増幅回路120からディエンファシス回路DE101及びディエンファシス回路DE102が省略されて構成される。
【0102】
出力回路30は、信号HVOを差動増幅回路210及び差動増幅回路220から受け、信号HVOに応じた出力信号OUTを生成して出力する。このとき、ディエンファシス回路DE203は、出力信号OUTに応じて信号FBを生成し、出力回路30の入力ノードにフィードバックし、信号HVOのレベル遷移後の振幅を減衰させる。これにより、ディエンファシス回路DE203は、信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。また、信号HVOのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得るので、出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされ得る。
【0103】
ディエンファシス回路DE203は、出力回路30と差動増幅回路210及び差動増幅回路220との間に配されている。ディエンファシス回路DE203は、1以上のインバータINV2を有する。インバータINV2は、フィードバックラインLFB上に配されている。フィードバックラインLFBは、出力ラインLout上のノードN5からトランジスタTr4,Tr15のドレインへ延びている。ディエンファシス回路DE203は、フィードバックループが経由するインバータINV1,INV2の合計数が奇数個になるような個数でインバータINV2を含む。フィードバックループは、出力ラインLoutにおける一端からノードN5までの部分とフィードバックラインLFBとを含むループである。インバータINV2は、入力ノードがノードN5に接続され、出力ノードがトランジスタTr4,Tr15のドレインに接続される。
【0104】
インバータINV2の駆動力は、転送回路TR1,TR2のトランジスタTr4,Tr15の駆動力より小さい。これにより、ディエンファシス回路DE203が信号HVOに対してその論理反転された信号FBをフィードバックさせて信号HVOの振幅を減衰させる際に、信号HVOの振幅を過度に減衰させることを抑制でき、フィードバックによる発振を防止できる。
【0105】
例えば、インバータINV1が図6(a)に示すように構成される場合、インバータINV2は、図6(b)又は図6(c)に示すように構成されてもよい。図6(a)は、インバータINV1の構成を示す回路図であり、図6(b)及び図6(c)は、それぞれ、インバータINV2の構成を示す回路図である。
【0106】
図6(a)に示すインバータINV1は、N型のトランジスタNM及びP型のトランジスタPMを有する。トランジスタNMは、トランジスタPM及びグランド電位の間に接続され、トランジスタPMは、電源電位VCCQ及びトランジスタNMの間に接続される。トランジスタNMは、例えば、NMOSトランジスタであり、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがインバータINV1の出力ノードに接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。トランジスタPMは、例えば、PMOSトランジスタであり、ソースが電源電位VCCQに接続され、ドレインがインバータINV1の出力ノードに接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。
【0107】
図6(b)に示すインバータINV2は、複数のN型のトランジスタNM1~NM3及び複数のP型のトランジスタPM1~PM3を有する。複数のトランジスタNM1~NM3は、トランジスタPM1~PM3及びグランド電位の間に直列に接続され、複数のトランジスタPM1~PM3は、電源電位VCCQ及びトランジスタNM1~NM3の間に直列に接続される。各トランジスタNM1~NM3は、例えば、NMOSトランジスタであり、各トランジスタNM1~NM3のディメンジョン(=L/W、L:ゲート長、W:ゲート幅)は、トランジスタNMのディメンジョンと均等であってもよい。トランジスタNM1は、ソースがトランジスタNM2に接続され、ドレインがインバータINV1の出力ノードに接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。トランジスタNM2は、ソースがトランジスタNM3に接続され、ドレインがトランジスタNM1に接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。トランジスタNM3は、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがトランジスタNM2に接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。各トランジスタPM1~PM3は、例えば、PMOSトランジスタであり、各トランジスタPM1~PM3のディメンジョンは、トランジスタPMのディメンジョンと均等であってもよい。トランジスタPM1は、ソースがトランジスタPM2に接続され、ドレインがインバータINV1の出力ノードに接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。トランジスタPM2は、ソースがトランジスタPM3に接続され、ドレインがトランジスタPM1に接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。トランジスタPM3は、ソースが電源電位VCCQに接続され、ドレインがトランジスタPM2に接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。
【0108】
図6(b)に示すインバータINV2は、出力ノード及びグランド電位の間に接続されるN型トランジスタの数が図6(a)に示すインバータINV1より多く、出力ノード及び電源電位VCCQの間に接続されるP型トランジスタの数が図6(a)に示すインバータINV1より多い。これにより、図6(b)の各N型トランジスタ、各P型トランジスタの駆動負荷が図6(a)のN型トランジスタ、P型トランジスタの駆動負荷より大きくなっており、インバータINV2の駆動力は、インバータINV1の駆動力より小さい。
【0109】
図6(c)に示すインバータINV2は、N型のトランジスタNM11、P型のトランジスタPM11、電流源CS11及び電流源CS12を有する。トランジスタNM11は、トランジスタPM11及び電流源CS11の間に接続され、トランジスタPM11は、電流源CS12及びトランジスタNM11の間に接続される。電流源CS11は、トランジスタNM11及びグランド電位の間に接続され、電流源CS12は、電源電位VCCQ及びトランジスタPM11の間に接続される。トランジスタNM11は、例えば、NMOSトランジスタであり、トランジスタNM11のディメンジョンは、トランジスタNMのディメンジョンと均等であってもよい。トランジスタNM11は、ソースが電流源CS11に接続され、ドレインがインバータINV1の出力ノードに接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。電流源CS11は、一端がトランジスタNM11に接続され、他端がグランド電位に接続される。トランジスタPM11は、例えば、PMOSトランジスタであり、ソースが電流源CS12に接続され、ドレインがインバータINV1の出力ノードに接続され、ゲートがインバータINV1の入力ノードに接続される。電流源CS12は、一端がトランジスタPM11に接続され、他端が電源電位VCCQに接続される。
【0110】
図6(c)に示すインバータINV2は、出力ノード及びグランド電位の間にN型トランジスタに加えて電流源CS11が接続され、出力ノード及び電源電位VCCQの間にP型トランジスタに加えて電流源CS12が接続される。これにより、図6(c)のN型トランジスタ、P型トランジスタの駆動負荷が図6(a)のN型トランジスタ、P型トランジスタの駆動負荷より大きくなっており、インバータINV2の駆動力は、インバータINV1の駆動力より小さい。
【0111】
半導体装置201では、図7に示すように、ディエンファシス回路DE203により、信号HVOの波形がアンダーシュート波形、オーバーシュート波形へ成形される。図7は、半導体装置201の動作を示す波形図である。
【0112】
タイミングt21の直前において、入力信号VINがLレベルであり、出力信号OUTがLレベルである。
【0113】
これに応じて、ディエンファシス回路DE203は、符号が正であり振幅絶対値がΔVである信号FBを生成して出力回路30の入力ノードにフィードバックする。このとき、フィードバック前の信号HVOは、図7に点線で示すLレベルVL1である。出力回路30は、図7に実線で示すように、フィードバック前の信号HVOにフィードバックされた信号FBを加算し、信号HVOのLレベル振幅をVL1+ΔV=VL1Hに減衰する。振幅が減衰されたLレベルVL1Hは、LレベルVL1に比べて、Lレベル振幅がHレベル側へ引き上げられている。HレベルVH1とLレベルVL1との中間値を基準値VR1とするとき、振幅が減衰されたLレベルVL1Hの基準値VR1からの差分は、HレベルVH1の基準値VR1からの差分より小さい。出力回路30は、LレベルVL1Hの信号HVOに応じて出力信号OUTを生成する。
【0114】
タイミングt21において、出力信号OUTがLレベルに維持されたまま、入力信号VINがLレベルからHレベルになる。
【0115】
これに応じて、差動増幅回路210において、内部信号N_VINBがHレベルVHnからLレベルVLnへ遷移し、差動増幅回路220において、内部信号P_VINBがHレベルVHpからLレベルVLpへ遷移する。これらの遷移に応じて、信号HVOがLレベルVL1HからHレベルVH1へ遷移する。
【0116】
タイミングt22において、入力信号VINがHレベルに維持されたまま、出力信号OUTがLレベルからHレベルへ遷移する。
【0117】
これに応じて、ディエンファシス回路DE203は、符号が負であり振幅絶対値がΔVである信号FBを生成して出力回路30の入力ノードにフィードバックする。このとき、フィードバック前の信号HVOは、図7に点線で示すHレベルVH1である。出力回路30は、図7に実線で示すように、フィードバック前の信号HVOにフィードバックされた信号FBを加算し、信号HVOのHレベル振幅をVH1-ΔV=VH1Lに減衰する。振幅が減衰されたHレベルVH1Lは、HレベルVH1に比べて、Hレベル振幅がLレベル側へ引き下げられている。HレベルVH1とLレベルVL1との中間値を基準値VR1とするとき、振幅が減衰されたHレベルVH1Lの基準値VR1からの差分は、HレベルVH1の基準値VR1からの差分より小さい。このため、ディエンファシス回路DE203により信号HVOの波形がオーバーシュート波形に成形される。これにより、相対的に見ると、レベル遷移後に比べて、信号HVOの傾きがレベル遷移時に急峻にされ、信号HVOに応じて出力回路30で生成される出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされる。
【0118】
タイミングt23において、出力信号OUTがHレベルに維持されたまま、入力信号VINがHレベルからLレベルになる。
【0119】
これに応じて、差動増幅回路210において、内部信号N_VINBがLレベルVLnからHレベルVHnへ遷移し、差動増幅回路220において、内部信号P_VINBがLレベルVLpからHレベルVHpへ遷移する。これらの遷移に応じて、信号HVOがHレベルVH1LからLレベルVL1へ遷移する。
【0120】
タイミングt24において、入力信号VINがLレベルに維持されたまま、出力信号OUTがHレベルからLレベルへ遷移する。
【0121】
これに応じて、ディエンファシス回路DE203は、符号が正であり振幅絶対値がΔVである信号FBを生成して出力回路30の入力ノードにフィードバックする。このとき、フィードバック前の信号HVOは、図7に点線で示すLレベルVL1である。出力回路30は、図7に実線で示すように、フィードバック前の信号HVOにフィードバックされた信号FBを加算し、信号HVOのLレベル振幅をVL1+ΔV=VL1Hに減衰する。振幅が減衰されたLレベルVL1Hは、LレベルVL1に比べて、Lレベル振幅がHレベル側へ引き上げられている。LレベルVL1とHレベルVH1との中間値を基準値VR1とするとき、振幅が減衰されたLレベルVL1Hの基準値VR1からの差分は、LレベルVL1の基準値VR1からの差分より小さい。このため、ディエンファシス回路DE203により信号HVOの波形がアンダーシュート波形に成形される。これにより、相対的に見ると、レベル遷移後に比べて、信号HVOの傾きがレベル遷移時に急峻にされ、信号HVOに応じて出力回路30で生成される出力信号OUTのレベル遷移時の傾きも急峻にされる。
【0122】
タイミングt25,t26において、タイミングt21,t22と同様の動作が行われる。
【0123】
タイミングt27,t28において、タイミングt23,t24と同様の動作が行われる。
【0124】
図5に示すように、ディエンファシス回路DE203は、出力信号OUTを逆極性にして信号FBとして出力回路30の入力ノードにフィードバックする。これにより、ディエンファシス回路DE203は、図7に示すように、入力信号VINがLレベル→Hレベルに遷移した後において、転送回路TR1,TR2のトランジスタTr4,Tr15で生成される信号HVOのHレベル振幅を一時的に減衰させることができる。また、その後に入力信号VINがHレベル→Lレベルに遷移する際に、信号HVOをHレベル→Lレベルに遷移させるための駆動力を一時的に引き上げることができる。入力信号VINがHレベル→Lレベルに遷移した後において、転送回路TR1,TR2のトランジスタTr4,Tr15で生成される信号HVOのLレベル振幅を一時的に減衰させることができる。また、その後に入力信号VINがLレベル→Hレベルに遷移する際に、信号HVOをLレベル→Hレベルに遷移させるための駆動力を一時的に引き上げることができる。これにより、信号HVOのレベル遷移を高速に行うことができる。
【0125】
以上のように、第3の実施形態では、半導体装置201において、ディエンファシス回路DE203を追加する。ディエンファシス回路DE203は、レベル遷移後の振幅を減衰させることで、出力回路30で出力信号OUTを生成する元になる信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する。これにより、時間平均の振幅を抑制しながら信号レベルの遷移を高速化でき、電流効率よく半導体装置201の動作周波数を引き上げることができる。この結果、消費電力の抑制と高速化とを両立化できる。
【0126】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0127】
第4の実施形態では、第1の実施形態のプリエンファシス回路PE1,PE2と第2の実施形態のディエンファシス回路DE101,DE102と第3の実施形態のディエンファシス回路DE203とを組み合わせる。
【0128】
具体的には、半導体装置301は、図8に示すように構成され得る。図8は、半導体装置301の構成を示す図である。半導体装置301は、差動増幅回路10、差動増幅回路20及び出力回路30(図1参照)に代えて、差動増幅回路310、差動増幅回路320及び出力回路330を有し、ディエンファシス回路DE203をさらに有する。差動増幅回路310は、プリエンファシス回路PE1に加えてディエンファシス回路DE101を有し、差動増幅回路320は、プリエンファシス回路PE2に加えてディエンファシス回路DE102を有する。プリエンファシス回路PE1,PE2の機能は第1の実施形態と同様であり、ディエンファシス回路DE101,DE102の機能は第2の実施形態と同様である。
【0129】
ディエンファシス回路DE203は、入力ノードがノードN5(図5参照)に代えてノードN8に接続される。ノードN8は、出力回路330におけるインバータINV1-1及びインバータINV1-2の間のノードである。ディエンファシス回路DE203は、その含むインバータINV2-1,INV2-2の個数が第3の実施形態と異なるが、フィードバックループが経由するインバータINV1,INV2の合計数が奇数個になるような個数である点は第3の実施形態と同様である。このため、ディエンファシス回路DE203の機能は第3の実施形態と同様である。
【0130】
インバータINV2-2は、入力ノードがインバータINV2-1に接続され、出力ノードがトランジスタTr4,T15のドレインに接続されている。インバータINV2-1は、入力ノードがインバータINV1-1及びインバータINV1-2の間のノードN8に接続され、出力ノードがインバータINV2-2に接続されている。
【0131】
差動増幅回路310は、負荷回路LD1、補助回路AS11(図1参照)に代えて負荷回路LD301、補助回路AS311を有し、電圧調整回路VA301、補正回路CR301、容量素子C11、容量素子C12をさらに有する。
【0132】
負荷回路LD301は、負荷回路LD1(図1参照)に対して、第9のトランジスタとしてのトランジスタTr9及び第11のトランジスタとしてのトランジスタTr11をさらに有する。トランジスタTr9は、トランジスタTr8に直列に接続され、トランジスタTr8を介してダイオード接続されている。トランジスタTr11は、トランジスタTr10に直列に接続され、トランジスタTr10を介してダイオード接続されている。トランジスタTr9及びトランジスタTr11は、それぞれ、PMOSトランジスタで構成され得る。
【0133】
トランジスタTr9は、ゲートがトランジスタTr10のゲート及びトランジスタTr8のドレインに接続され、ソースが電源電位VCCQに接続され、ドレインがトランジスタTr8のソースに接続されている。トランジスタTr9は、ゲートがトランジスタTr8を介してトランジスタTr9のドレインに接続されているとともにノードN1を介してバイアスラインNNに接続されており、トランジスタTr4とカレントミラー回路を形成している。
【0134】
トランジスタTr11は、ゲートがトランジスタTr8のゲート及びトランジスタTr10のドレインに接続され、ソースが電源電位VCCQに接続され、ドレインがトランジスタTr10のソースに接続されている。トランジスタTr11は、ゲートがトランジスタTr10を介してトランジスタTr11のドレインに接続されているとともにノードN2を介してバイアスラインNNBに接続されており、トランジスタTr25とカレントミラー回路を形成している。
【0135】
補助回路AS311は、補助回路AS11(図1参照)に対して、第7のトランジスタとしてのトランジスタTr7をさらに有する。トランジスタTr6及びトランジスタTr7は、ノードN1及び電源電位VCCQの間に直列に且つトランジスタTr8,Tr9に並列に接続されている。トランジスタTr7は、入力信号VINをゲートで受け、ドレインがトランジスタTr6のソースに接続され、ソースが電源電位VCCQに接続されている。
【0136】
すなわち、トランジスタTr9は、自身がダイオード接続されていることに加えて、トランジスタTr6と並列にダイオード接続されている。これにより、トランジスタTr9のドレイン電流(負荷回路LD301側からノードN1に流れ込む電流)に対するトランジスタTr4のドレイン電流のミラー比を、トランジスタTr7がゲートで受ける入力信号VINのレベルに応じて変化させることができる。これにより、差動増幅回路310の増幅度を高めることができる。
【0137】
電位調整回路VA301は、ノードN6に接続され、ノードN6の電位を調整可能に構成されている。電位調整回路VA301は、制御ノードがバイアスラインNNに接続され、入力ノードが電源電位VCCQに接続され、出力ノードがノードN6に接続されている。これにより、電位調整回路VA301は、バイアスラインNNの信号レベルに応じて、ノードN6の電位を調整できる。ノードN6は、補助回路AS311における中間ノードであり、トランジスタTr7のドレイン及びトランジスタTr6のソースに接続されている。
【0138】
電位調整回路VA301は、トランジスタTr24を有する。トランジスタTr24は、トランジスタTr6のソースに対してトランジスタTr7と並列に接続されている。トランジスタTr24は、トランジスタTr6を介してダイオード接続されている。トランジスタTr24は、ゲートがバイアスラインNNに接続され、ソースが電源電位VCCQに接続され、ドレインがノードN6に接続されている。
【0139】
すなわち、トランジスタTr24は、バイアスラインNN及びトランジスタTr6を介してダイオード接続されている。これにより、バイアスラインNNの信号振幅の抑制は、補助回路AS311の中間ノードN6の電位調整を介して間接的に行われる。このため、ダイオード接続のトランジスタ(ダイオード負荷)をバイアスラインNNに直接接続する場合に比べて、バイアスラインNNの信号振幅を緩やかに抑制できる。
【0140】
補正回路CR301は、差動増幅回路310における非反転側のバイアスラインNNと反転側のバイアスラインNNBとに接続されているとともに、差動増幅回路310と転送回路TR1を共有し、差動アンプで構成されている。補正回路CR301は、トランジスタTr4、トランジスタTr25、トランジスタTr26、トランジスタTr27を有する。トランジスタTr25は、ゲートがバイアスラインNNBに接続され、ソースが電源電位VCCQに接続され、ドレインがトランジスタTr26に接続されている。トランジスタTr26は、ゲートがドレインに接続されているとともにトランジスタTr27のゲートに接続されており、トランジスタTr27とカレントミラー回路を形成している。トランジスタTr26は、ソースが電源電位に接続されている。トランジスタTr27は、ソースが電源電位に接続され、ドレインがトランジスタTr4に接続されている。
【0141】
補正回路CR301では、非反転側のバイアスラインNNから反転側の入力ノードへ転送される信号に含まれるノイズ成分と反転側のバイアスラインNNBから非反転側の入力ノードへ転送される信号に含まれるノイズ成分とが同極性で近い振幅となり得る。これにより、補正回路CR301は、バイアスラインNNの信号とバイアスラインNNBの信号との差分を取り、ノイズ成分が低減された差分信号VO1を出力回路330及び制御回路40へ供給する。
【0142】
容量素子C11は、一端がインバータINV3の出力ノードに接続され、他端がバイアスラインNNを介して転送回路TR1のトランジスタTr4のゲートに接続されている。転送回路TR1→インバータINV3→容量素子C11→バイアスラインNN→転送回路TR1を含むループは、差動増幅回路310に対するフィードバック制御を行うための第1のフィードバックループを構成する。第1のフィードバックループは、容量素子C11でDC的に遮断された、すなわちDCカットされたループである。このため、第1のフィードバック制御は、転送回路TR1から転送される差分信号VO10のレベルが遷移する場合に選択的に行われ得る。これにより、バイアスラインNNの電位振幅に対する影響を抑制しながら、バイアスラインNNの電位レベルをHレベル→Lレベル又はLレベル→Hレベルへ高速に遷移させることができる。
【0143】
容量素子C12は、一端がインバータINV3の出力ノードに接続され、他端が補正回路CR301のトランジスタTr27のゲートに接続されている。転送回路TR1→インバータINV3→容量素子C12→トランジスタTr27→転送回路TR1を含むループは、補正回路CR301に対するフィードバック制御を行うための第2のフィードバックループを構成する。第2のフィードバックループは、容量素子C12でDC的に遮断された、すなわちDCカットされたループである。このため、第2のフィードバック制御は、転送回路TR1から転送される差分信号VO10のレベルが遷移する場合に選択的に行われ得る。これにより、補正回路CR301のノイズ成分を低減するための電位レベルをHレベル→Lレベル又はLレベル→Hレベルへ高速に遷移させることができる。
【0144】
差動増幅回路320は、負荷回路LD2、補助回路AS21(図1参照)に代えて負荷回路LD302、補助回路AS321を有し、電圧調整回路VA302、補正回路CR302、容量素子C21、容量素子C22をさらに有する。
【0145】
負荷回路LD302は、負荷回路LD2(図1参照)に対して、トランジスタTr28及びトランジスタTr29をさらに有する。トランジスタTr28は、トランジスタTr20に直列に接続され、トランジスタTr20を介してダイオード接続されている。トランジスタTr29は、トランジスタTr21に直列に接続され、トランジスタTr21を介してダイオード接続されている。トランジスタTr28及びトランジスタTr29は、それぞれ、NMOSトランジスタで構成され得る。
【0146】
トランジスタTr28は、ゲートがトランジスタTr21のゲート及びトランジスタTr20のドレインに接続され、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがトランジスタTr20のソースに接続されている。トランジスタTr28は、ゲートがトランジスタTr20を介してトランジスタTr28のドレインに接続されているとともにノードN3を介してバイアスラインNPに接続されており、トランジスタTr15とカレントミラー回路を形成している。
【0147】
トランジスタTr29は、ゲートがトランジスタTr20のゲート及びトランジスタTr21のドレインに接続され、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがトランジスタTr21のソースに接続されている。トランジスタTr29は、ゲートがトランジスタTr21を介してトランジスタTr29のドレインに接続されているとともにノードN4を介してバイアスラインNPBに接続されており、トランジスタTr31とカレントミラー回路を形成している。
【0148】
補助回路AS321は、補助回路AS21(図1参照)に対して、トランジスタTr22をさらに有する。トランジスタTr17及びトランジスタTr22は、ノードN3及びグランド電位の間に直列に且つトランジスタTr20,Tr28に並列に接続されている。トランジスタTr22は、入力信号VINをゲートで受け、ドレインがトランジスタTr17のソースに接続され、ソースがグランド電位に接続されている。
【0149】
すなわち、トランジスタTr28は、自身がダイオード接続されていることに加えて、トランジスタTr17と並列にダイオード接続されている。これにより、トランジスタTr28のドレイン電流(ノードN3から負荷回路LD302側に流れ出す電流)に対するトランジスタTr15のドレイン電流のミラー比を、トランジスタTr22がゲートで受ける入力信号VINのレベルに応じて変化させることができる。これにより、差動増幅回路320の増幅度を高めることができる。
【0150】
電圧調整回路VA302は、ノードN7に接続され、ノードN7の電位を調整可能に構成されている。電位調整回路VA302は、制御ノードがバイアスラインNPに接続され、入力ノードがグランド電位に接続され、出力ノードがノードN7に接続されている。これにより、電位調整回路VA302は、バイアスラインNPの信号レベルに応じて、ノードN7の電位を調整できる。ノードN7は、補助回路AS321における中間ノードであり、トランジスタTr22のドレイン及びトランジスタTr17のソースに接続されている。
【0151】
電位調整回路VA302は、トランジスタTr30を有する。トランジスタTr30は、トランジスタTr17のソースに対してトランジスタTr22と並列に接続されている。トランジスタTr30は、トランジスタTr17を介してダイオード接続されている。トランジスタTr30は、ゲートがバイアスラインNPに接続され、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがノードN7に接続されている。
【0152】
すなわち、トランジスタTr30は、バイアスラインNP及びトランジスタTr17を介してダイオード接続されている。これにより、バイアスラインNPの信号振幅の抑制は、補助回路AS321の中間ノードN7の電位調整を介して間接的に行われる。このため、ダイオード接続のトランジスタ(ダイオード負荷)をバイアスラインNPに直接接続する場合に比べて、バイアスラインNPの信号振幅を緩やかに抑制できる。
【0153】
補正回路CR302は、差動増幅回路320における非反転側のバイアスラインNPと反転側のバイアスラインNPBとに接続されているとともに、差動増幅回路320と転送回路TR2を共有し、差動アンプで構成されている。補正回路CR302は、トランジスタTr15、トランジスタTr31、トランジスタTr32、トランジスタTr33を有する。トランジスタTr31は、ゲートがバイアスラインNPBに接続され、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがトランジスタTr32に接続されている。トランジスタTr32は、ゲートがドレインに接続されているとともにトランジスタTr33のゲートに接続されており、トランジスタTr33とカレントミラー回路を形成している。トランジスタTr32は、ソースが電源電位に接続されている。トランジスタTr33は、ソースが電源電位に接続され、ドレインがトランジスタTr15に接続されている。
【0154】
補正回路CR302では、非反転側のバイアスラインNPから反転側の入力ノードへ転送される信号に含まれるノイズ成分と反転側のバイアスラインNPBから非反転側の入力ノードへ転送される信号に含まれるノイズ成分とが同極性で近い振幅となり得る。これにより、補正回路CR302は、バイアスラインNPの信号とバイアスラインNPBの信号との差分を取り、ノイズ成分が低減された差分信号VO2を出力回路330及び制御回路40へ供給する。
【0155】
容量素子C21は、一端がインバータINV3の出力ノードに接続され、他端がバイアスラインNPを介して転送回路TR2のトランジスタTr15のゲートに接続されている。転送回路TR2→インバータINV3→容量素子C21→バイアスラインNP→転送回路TR2を含むループは、差動増幅回路320に対するフィードバック制御を行うための第3のフィードバックループを構成する。第3のフィードバックループは、容量素子C21でDC的に遮断された、すなわちDCカットされたループである。このため、第3のフィードバック制御は、転送回路TR2から転送される差分信号VO20のレベルが遷移する場合に選択的に行われ得る。これにより、バイアスラインNPの電位振幅に対する影響を抑制しながら、バイアスラインNPの電位レベルをHレベル→Lレベル又はLレベル→Hレベルへ高速に遷移させることができる。
【0156】
容量素子C22は、一端がインバータINV3の出力ノードに接続され、他端が補正回路CR302のトランジスタTr33のゲートに接続されている。転送回路TR2→インバータINV3→容量素子C22→トランジスタTr33→転送回路TR2を含むループは、補正回路CR302に対するフィードバック制御を行うための第4のフィードバックループを構成する。第4のフィードバックループは、容量素子C22でDC的に遮断された、すなわちDCカットされたループである。このため、第4のフィードバック制御は、転送回路TR2から転送される差分信号VO20のレベルが遷移する場合に選択的に行われ得る。これにより、補正回路CR302のノイズ成分を低減するための電位レベルをHレベル→Lレベル又はLレベル→Hレベルへ高速に遷移させることができる。
【0157】
出力回路330は、信号HVOを差動増幅回路310及び差動増幅回路320から受ける。出力回路330は、電源電圧VCCQ及び電源電圧VDDCを用いて、信号HVOに応じて出力信号OUTを生成し出力する。電源電圧VDDCのレベルは、電源電圧VCCQのレベルと異なり、例えば、電源電圧VCCQのレベルより低く設定され得る。
【0158】
出力回路330は、処理回路331、レベルシフタ332、及び処理回路333を有する。処理回路331は、信号HVOを差動増幅回路310及び差動増幅回路320から受けてレベルシフタ332へ供給する。レベルシフタ332は、信号HVOのレベルをシフトして処理回路333へ供給する。処理回路333は、レベルのシフトされた信号HVOに応じた出力信号OUTを生成し出力する。
【0159】
処理回路331は、複数のインバータINV1-1,INV1-2を有する。複数のインバータINV1-1,INV1-2は、第1の実施形態の複数のインバータINV1-1,INV1-2と同様である。レベルシフタ332は、インバータINV1-3及びインバータINV4-1~INV4-3を有する。インバータINV1-3及びインバータINV4-1の直列接続と、インバータINV4-2及びインバータINV4-3の直列接続とは、処理回路331及び処理回路333の間に互いに並列に接続されている。処理回路333は、複数のインバータINV4-4,INV4-5を有する。INV1-1~INV1-3は、電源電圧VCCQを用いて動作し、INV4-1~INV4-5は、電源電圧VDDCを用いて動作する。
【0160】
以上のように、第4の実施形態では、半導体装置301において、プリエンファシス回路PE1,PE2及びディエンファシス回路DE101,DE102は、差動増幅回路310,320の内部信号の波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する。ディエンファシス回路DE203は、差動増幅回路310,320の差分信号VO10,VO20から合成される信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する。これにより、時間平均の振幅を抑制しながら信号レベルの遷移を高速化でき、電流効率よく半導体装置301の動作周波数を引き上げることができる。この結果、消費電力の抑制と高速化とを両立化できる。
【0161】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第4の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0162】
第4の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせをシングル入力・シングル出力の回路で実現しているが、第5の実施形態では、それらの組み合わせをシングル入力・差動出力の回路で実現する。
【0163】
具体的には、半導体装置401は、入力信号VINをシングル入力として受け、出力信号OUT,OUTBを差動出力として出力する。出力信号OUT,OUTBは、互いに差動対を構成する。
【0164】
半導体装置401は、図9に示すように構成され得る。図9は、半導体装置401の構成を示す図である。半導体装置401は、差動増幅回路310、差動増幅回路320(図8参照)に代えて、差動増幅回路410、差動増幅回路420を有し、出力回路430、ディエンファシス回路DE403、制御回路440をさらに有する。
【0165】
差動増幅回路410は、補助回路AS12(図8参照)に代えて補助回路AS412を有し、プリエンファシス回路PE401、ディエンファシス回路DE401、転送回路TR401、電位調整回路VA401、補正回路CR401をさらに有する。差動増幅回路420は、補助回路AS22(図8参照)に代えて補助回路AS422を有し、プリエンファシス回路PE402、ディエンファシス回路DE402、転送回路TR402、電位調整回路VA402、補正回路CR402をさらに有する。
【0166】
転送回路TR401は、バイアスラインNNBを介して内部信号を受け、内部信号に応じて差分信号VOB10を生成して出力する。
【0167】
転送回路TR402は、バイアスラインNPBを介して内部信号を受け、内部信号に応じて差分信号VOB20を生成して出力する。
【0168】
制御回路440は、信号HVOBを差動増幅回路410及び差動増幅回路420から受ける。制御回路440は、電源電圧VCCQを用いて、信号HVOBに応じた信号HVOBNを生成して差動増幅回路410のプリエンファシス回路PE401、ディエンファシス回路DE401と差動増幅回路20のプリエンファシス回路PE402、ディエンファシス回路DE402とへそれぞれフィードバックする。
【0169】
プリエンファシス回路PE401は、入力信号VINに代えて参照信号VREFを受けること以外は、プリエンファシス回路PE1と同様に構成される。プリエンファシス回路PE401は、レベル遷移時の振幅を強調することで、差動増幅回路410の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0170】
ディエンファシス回路DE401は、信号HVONに代えて信号HVOBNを受けること以外は、ディエンファシス回路DE1と同様に構成される。ディエンファシス回路DE401は、レベル遷移後の振幅を減衰させることで、差動増幅回路410の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0171】
プリエンファシス回路PE402は、入力信号VINに代えて参照信号VREFを受けること以外は、プリエンファシス回路PE2と同様に構成される。プリエンファシス回路PE402は、レベル遷移時の振幅を強調することで、差動増幅回路420の内部信号の波形をオーバーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0172】
ディエンファシス回路DE402は、信号HVONに代えて信号HVOBNを受けること以外は、ディエンファシス回路DE2と同様に構成される。ディエンファシス回路DE402は、レベル遷移後の振幅を減衰させることで、差動増幅回路420の内部信号の波形をオーバーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0173】
補助回路AS412は、入力信号VINに代えて参照信号VREFを受け、バイアスラインNNに代えてバイアスラインNNBに接続されること以外は、補助回路AS311と同様に構成される。補助回路AS412は、負荷回路LD301からバイアスラインNNBを介して転送回路TR401へ伝達される電流のミラー比を参照信号VREFのレベルに応じて変化させることができる。
【0174】
補助回路AS422は、入力信号VINに代えて参照信号VREFを受け、バイアスラインNPに代えてバイアスラインNPBに接続されること以外は、補助回路AS321と同様に構成される。補助回路AS422は、負荷回路LD302からバイアスラインNPBを介して転送回路TR402へ伝達される電流のミラー比を参照信号VREFのレベルに応じて変化させることができる。
【0175】
電位調整回路VA401は、ノードN9に接続され、ノードN9の電位を調整可能に構成されている。これにより、電位調整回路VA401は、バイアスラインNNBの信号振幅を緩やかに抑制できる。
【0176】
電位調整回路VA402は、ノードN10に接続され、ノードN10の電位を調整可能に構成されている。これにより、電位調整回路VA402は、バイアスラインNNBの信号振幅を緩やかに抑制できる。
【0177】
補正回路CR401は、差動増幅回路410における非反転側のバイアスラインNNと反転側のバイアスラインNNBとに接続されているとともに、差動増幅回路410と転送回路TR401を共有し、差動アンプで構成されている。補正回路CR401は、バイアスラインNNの信号とバイアスラインNNBの信号との差分を取り、ノイズ成分が低減された差分信号VOB10を出力回路430及び制御回路440へ供給する。
【0178】
補正回路CR402は、差動増幅回路420における非反転側のバイアスラインNPと反転側のバイアスラインNPBとに接続されているとともに、差動増幅回路420と転送回路TR402を共有し、差動アンプで構成されている。補正回路CR402は、バイアスラインNPの信号とバイアスラインNPBの信号との差分を取り、ノイズ成分が低減された差分信号VOB20を出力回路430及び制御回路440へ供給する。
【0179】
出力回路430は、入力ノードが転送回路TR1,TR2(図8参照)に代えて転送回路TR401,TR402に接続されていること以外は、出力回路330と同様に構成される。出力回路430は、信号HVOBを差動増幅回路410及び差動増幅回路420から受け、信号HVOBに応じた出力信号OUTBを生成して出力する。出力信号OUTBは、出力信号OUTとともに差動対を構成する。
【0180】
以上のように、第5の実施形態では、半導体装置401において、プリエンファシス回路PE1,PE401,PE2,PE402及びディエンファシス回路DE101,DE401,DE102,DE402,DE203,DE403の組み合わせをシングル入力・差動出力の回路で実現できる。
【0181】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第5の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0182】
第4の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせをシングル入力・シングル出力の回路で実現しているが、第6の実施形態では、それらの組み合わせを差動入力・シングル出力の回路で実現する。
【0183】
具体的には、半導体装置501は、入力信号VIN,VINBを差動入力として受け、出力信号OUTをシングル出力として出力する。入力信号VIN,VINBは、互いに差動対を構成する。
【0184】
半導体装置501は、図10に示すように構成され得る。図10は、半導体装置501の構成を示す図である。半導体装置501は、差動増幅回路310、差動増幅回路320(図8参照)に代えて、差動増幅回路510、差動増幅回路520を有し、制御回路540をさらに有する。
【0185】
差動増幅回路510は、補助回路AS12(図8参照)に代えて補助回路AS512を有し、プリエンファシス回路PE501、ディエンファシス回路DE401、電位調整回路VA401、放電回路DIS501をさらに有する。差動増幅回路520は、補助回路AS22(図8参照)に代えて補助回路AS522を有し、プリエンファシス回路PE502、ディエンファシス回路DE402、電位調整回路VA402、放電回路DIS502をさらに有する。
【0186】
制御回路540は、制御回路40と差動増幅回路510及び差動増幅回路520との間に配されている。制御回路540は、信号HVONを制御回路40から受け、信号HVONを論理反転させた信号HVONBを生成して差動増幅回路510のプリエンファシス回路PE501、ディエンファシス回路DE401と差動増幅回路520のプリエンファシス回路PE502、ディエンファシス回路DE402とへそれぞれフィードバックする。
【0187】
プリエンファシス回路PE501は、入力信号VINに代えて入力信号VINBを受けること以外は、プリエンファシス回路PE1と同様に構成される。プリエンファシス回路PE501は、レベル遷移時の振幅を強調することで、差動増幅回路510の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0188】
ディエンファシス回路DE401は、信号HVONに代えて信号HVONBを受けること以外は、ディエンファシス回路DE1と同様に構成される。ディエンファシス回路DE401は、レベル遷移後の振幅を減衰させることで、差動増幅回路510の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0189】
補助回路AS512は、入力信号VINに代えて入力信号VINBを受け、バイアスラインNNに代えてバイアスラインNNBに接続されること以外は、補助回路AS311と同様に構成される。補助回路AS512は、負荷回路LD301からバイアスラインNNBを介して補正回路CR301へ伝達される電流のミラー比を入力信号VINBのレベルに応じて変化させることができる。
【0190】
電位調整回路VA401は、ノードN9に接続され、ノードN9の電位を調整可能に構成されている。これにより、電位調整回路VA401は、バイアスラインNNBの信号振幅を緩やかに抑制できる。
【0191】
放電回路DIS501は、トランジスタTr101、トランジスタTr102、及び電流源CS1を有する。トランジスタTr101及びトランジスタTr102は、差動対を構成する。トランジスタTr101及びトランジスタTr102は、それぞれ、NMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr101,Tr102は、それぞれ、ドレインがゲート及びノードN1,N2に電気的に接続され、ソースが電流源CS1の一端に電気的に接続されている。放電回路DIS501は、ノードN1,N2の電位(例えば、閾値電圧より高い電位)に応じてノードN1,N2の電荷を放電する。
【0192】
プリエンファシス回路PE502は、入力信号VINに代えて入力信号VINBを受けること以外は、プリエンファシス回路PE2と同様に構成される。プリエンファシス回路PE502は、レベル遷移時の振幅を強調することで、差動増幅回路520の内部信号の波形をオーバーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0193】
ディエンファシス回路DE402は、信号HVONに代えて信号HVONBを受けること以外は、ディエンファシス回路DE2と同様に構成される。ディエンファシス回路DE402は、レベル遷移後の振幅を減衰させることで、差動増幅回路520の内部信号の波形をオーバーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0194】
補助回路AS522は、入力信号VINに代えて入力信号VINBを受け、バイアスラインNPに代えてバイアスラインNPBに接続されること以外は、補助回路AS321と同様に構成される。補助回路AS522は、負荷回路LD302からバイアスラインNPBを介して補正回路CR302へ伝達される電流のミラー比を入力信号VINBのレベルに応じて変化させることができる。
【0195】
電位調整回路VA402は、ノードN10に接続され、ノードN10の電位を調整可能に構成されている。これにより、電位調整回路VA402は、バイアスラインNNBの信号振幅を緩やかに抑制できる。
【0196】
放電回路DIS502は、トランジスタTr103、トランジスタTr104、及び電流源CS2を有する。トランジスタTr103及びトランジスタTr104は、差動対を構成する。トランジスタTr103及びトランジスタTr104は、それぞれ、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr103,Tr104は、それぞれ、ドレインがゲート及びノードN3,N4に電気的に接続され、ソースが電流源CS2の一端に電気的に接続されている。放電回路DIS502は、ノードN3,N4の電位(例えば、閾値電圧より高い電位)に応じてノードN3,N4の電荷を放電する。
【0197】
以上のように、第6の実施形態では、半導体装置501において、プリエンファシス回路PE1,PE501,PE2,PE502及びディエンファシス回路DE101,DE401,DE102,DE402,DE203の組み合わせを差動入力・シングル出力の回路で実現できる。
【0198】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第6の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0199】
第4の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせをシングル入力・シングル出力の回路で実現しているが、第7の実施形態では、それらの組み合わせを差動入力・差動出力の回路で実現する。
【0200】
具体的には、半導体装置601は、入力信号VIN,VINBを差動入力として受け、出力信号OUT,OUTBを差動出力として出力する。入力信号VIN,VINBは、互いに差動対を構成する。出力信号OUT,OUTBは、互いに差動対を構成する。
【0201】
半導体装置601は、図11に示すように構成され得る。図11は、半導体装置601の構成を示す図である。半導体装置601は、差動増幅回路410、差動増幅回路420(図9参照)に代えて、差動増幅回路610、差動増幅回路620を有する。
【0202】
差動増幅回路610は、プリエンファシス回路PE401、補助回路AS412(図9参照)に代えて、プリエンファシス回路PE501、補助回路AS512を有する。
【0203】
プリエンファシス回路PE501は、入力信号VINに代えて入力信号VINBを受けること以外は、プリエンファシス回路PE1と同様に構成される。プリエンファシス回路PE501は、レベル遷移時の振幅を強調することで、差動増幅回路510の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0204】
補助回路AS512は、入力信号VINに代えて入力信号VINBを受け、バイアスラインNNに代えてバイアスラインNNBに接続されること以外は、補助回路AS311と同様に構成される。補助回路AS512は、負荷回路LD301からバイアスラインNNBを介して補正回路CR301へ伝達される電流のミラー比を入力信号VINBのレベルに応じて変化させることができる。
【0205】
差動増幅回路620は、プリエンファシス回路PE402、補助回路AS422(図9参照)に代えて、プリエンファシス回路PE502、補助回路AS522を有する。
【0206】
プリエンファシス回路PE502は、入力信号VINに代えて入力信号VINBを受けること以外は、プリエンファシス回路PE2と同様に構成される。プリエンファシス回路PE502は、レベル遷移時の振幅を強調することで、差動増幅回路520の内部信号の波形をオーバーシュート波形に成形する。これにより、信号HVOBのレベル遷移時の傾きが急峻にされ得る。
【0207】
補助回路AS522は、入力信号VINに代えて入力信号VINBを受け、バイアスラインNPに代えてバイアスラインNPBに接続されること以外は、補助回路AS321と同様に構成される。補助回路AS522は、負荷回路LD302からバイアスラインNPBを介して補正回路CR302へ伝達される電流のミラー比を入力信号VINBのレベルに応じて変化させることができる。
【0208】
以上のように、第7の実施形態では、半導体装置601において、プリエンファシス回路PE1,PE501,PE2,PE502及びディエンファシス回路DE101,DE401,DE102,DE402,DE203,DE403の組み合わせを差動入力・差動出力の回路で実現できる。
【0209】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第7の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0210】
第4の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせを極性が反転した2つの差動増幅回路によるシングル入力・シングル出力の回路で実現しているが、第8の実施形態では、それらの組み合わせを片側(N型トランジスタ受け)の差動増幅回路によるシングル入力・シングル出力の回路で実現する。
【0211】
具体的には、半導体装置701は、図12に示すように構成され得る。図12は、半導体装置701の構成を示す図である。半導体装置701は、半導体装置301(図8参照)から差動増幅回路320が省略されて構成される。差動増幅回路310は、入力信号VINをN型の入力トランジスタTrin1で受けており、N型トランジスタ受けの差動増幅回路である。
【0212】
プリエンファシス回路PE1、ディエンファシス回路DE101が差動増幅回路310の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形し、ディエンファシス回路DE203が信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する点は、第4の実施形態と同様である。
【0213】
以上のように、第8の実施形態では、半導体装置701において、プリエンファシス回路PE1及びディエンファシス回路DE101,DE203の組み合わせをN型トランジスタ受けの差動増幅回路によるシングル入力・シングル出力の回路で実現できる。
【0214】
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第8の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0215】
第4の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせを極性が反転した2つの差動増幅回路によるシングル入力・シングル出力の回路で実現しているが、第9の実施形態では、それらの組み合わせを片側(P型トランジスタ受け)の差動増幅回路によるシングル入力・シングル出力の回路で実現する。
【0216】
具体的には、半導体装置801は、図13に示すように構成され得る。図13は、半導体装置801の構成を示す図である。半導体装置801は、半導体装置301(図8参照)から差動増幅回路310が省略されて構成される。差動増幅回路320は、入力信号VINをP型の入力トランジスタTrin3で受けており、P型トランジスタ受けの差動増幅回路である。
【0217】
プリエンファシス回路PE2、ディエンファシス回路DE102が差動増幅回路320の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形し、ディエンファシス回路DE203が信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する点は、第4の実施形態と同様である。
【0218】
以上のように、第9の実施形態では、半導体装置801において、プリエンファシス回路PE2及びディエンファシス回路DE102,DE203の組み合わせをP型トランジスタ受けの差動増幅回路によるシングル入力・シングル出力の回路で実現できる。
【0219】
(第10の実施形態)
次に、第10の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第9の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0220】
第5の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせを極性が反転した2つの差動増幅回路によるシングル入力・差動出力の回路で実現しているが、第10の実施形態では、それらの組み合わせを片側(N型トランジスタ受け)の差動増幅回路によるシングル入力・差動出力の回路で実現する。
【0221】
具体的には、半導体装置901は、図14に示すように構成され得る。図14は、半導体装置901の構成を示す図である。半導体装置901は、半導体装置401(図9参照)から差動増幅回路420が省略されて構成される。差動増幅回路410は、入力信号VINをN型の入力トランジスタTrin1で受けており、N型トランジスタ受けの差動増幅回路である。
【0222】
プリエンファシス回路PE1,PE401、ディエンファシス回路DE101,DE401が差動増幅回路310の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形し、ディエンファシス回路DE203,DE403が信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する点は、第5の実施形態と同様である。
【0223】
以上のように、第10の実施形態では、半導体装置901において、プリエンファシス回路PE1,PE401及びディエンファシス回路DE101,DE401,DE203,DE403の組み合わせをN型トランジスタ受けの差動増幅回路によるシングル入力・差動出力の回路で実現できる。
【0224】
(第11の実施形態)
次に、第11の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第10の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0225】
第5の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせを極性が反転した2つの差動増幅回路によるシングル入力・差動出力の回路で実現しているが、第11の実施形態では、それらの組み合わせを片側(P型トランジスタ受け)の差動増幅回路によるシングル入力・差動出力の回路で実現する。
【0226】
具体的には、半導体装置1001は、図15に示すように構成され得る。図15は、半導体装置1001の構成を示す図である。半導体装置1001は、半導体装置401(図9参照)から差動増幅回路410が省略されて構成される。差動増幅回路420は、入力信号VINをP型の入力トランジスタTrin3で受けており、P型トランジスタ受けの差動増幅回路である。
【0227】
プリエンファシス回路PE2,PE402、ディエンファシス回路DE102,DE402が差動増幅回路420の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形し、ディエンファシス回路DE203,DE403が信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する点は、第5の実施形態と同様である。
【0228】
以上のように、第11の実施形態では、半導体装置1001において、プリエンファシス回路PE2,PE402及びディエンファシス回路DE102,DE402,DE203,DE403の組み合わせを、P型トランジスタ受けの差動増幅回路によるシングル入力・差動出力の回路で実現できる。
【0229】
(第12の実施形態)
次に、第12の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第11の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0230】
第6の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせを極性が反転した2つの差動増幅回路による差動入力・シングル出力の回路で実現しているが、第12の実施形態では、それらの組み合わせを片側(N型トランジスタ受け)の差動増幅回路による差動入力・シングル出力の回路で実現する。
【0231】
具体的には、半導体装置1101は、図16に示すように構成され得る。図16は、半導体装置1101の構成を示す図である。半導体装置1101は、半導体装置501(図10参照)から差動増幅回路520が省略されて構成される。差動増幅回路510は、入力信号VINをN型の入力トランジスタTrin1で受けており、N型トランジスタ受けの差動増幅回路である。
【0232】
プリエンファシス回路PE1,PE501、ディエンファシス回路DE101,DE401が差動増幅回路510の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形し、ディエンファシス回路DE203が信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する点は、第6の実施形態と同様である。
【0233】
以上のように、第12の実施形態では、半導体装置1101において、プリエンファシス回路PE1,PE501及びディエンファシス回路DE101,DE401,DE203の組み合わせをN型トランジスタ受けの差動増幅回路による差動入力・シングル出力の回路で実現できる。
【0234】
(第13の実施形態)
次に、第13の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第12の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0235】
第6の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせを極性が反転した2つの差動増幅回路による差動入力・シングル出力の回路で実現しているが、第13の実施形態では、それらの組み合わせを片側(P型トランジスタ受け)の差動増幅回路による差動入力・シングル出力の回路で実現する。
【0236】
具体的には、半導体装置1201は、図17に示すように構成され得る。図17は、半導体装置1201の構成を示す図である。半導体装置1201は、半導体装置501(図10参照)から差動増幅回路510が省略されて構成される。差動増幅回路520は、入力信号VINをP型の入力トランジスタTrin3で受けており、P型トランジスタ受けの差動増幅回路である。
【0237】
プリエンファシス回路PE2,PE502、ディエンファシス回路DE102,DE402が差動増幅回路520の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形し、ディエンファシス回路DE203が信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する点は、第6の実施形態と同様である。
【0238】
以上のように、第13の実施形態では、半導体装置1201において、プリエンファシス回路PE2,PE502及びディエンファシス回路DE102,DE402,DE203の組み合わせをP型トランジスタ受けの差動増幅回路による差動入力・シングル出力の回路で実現できる。
【0239】
(第14の実施形態)
次に、第14の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第13の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0240】
第7の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせを極性が反転した2つの差動増幅回路による差動入力・差動出力の回路で実現しているが、第14の実施形態では、それらの組み合わせを片側(N型トランジスタ受け)の差動増幅回路による差動入力・差動出力の回路で実現する。
【0241】
具体的には、半導体装置1301は、図18に示すように構成され得る。図18は、半導体装置1301の構成を示す図である。半導体装置1301は、半導体装置601(図11参照)から差動増幅回路620が省略されて構成される。差動増幅回路610は、入力信号VINをN型の入力トランジスタTrin1で受けており、N型トランジスタ受けの差動増幅回路である。
【0242】
プリエンファシス回路PE1,PE501、ディエンファシス回路DE101,DE401が差動増幅回路610の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形し、ディエンファシス回路DE203,DE403が信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する点は、第7の実施形態と同様である。
【0243】
以上のように、第14の実施形態では、半導体装置1301において、プリエンファシス回路PE1,PE501及びディエンファシス回路DE101,DE401,DE203,DE403の組み合わせをN型トランジスタ受けの差動増幅回路による差動入力・差動出力の回路で実現できる。
【0244】
(第15の実施形態)
次に、第15の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第14の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0245】
第7の実施形態では、プリエンファシス回路及びディエンファシス回路の組み合わせを極性が反転した2つの差動増幅回路による差動入力・差動出力の回路で実現しているが、第15の実施形態では、それらの組み合わせを片側(P型トランジスタ受け)の差動増幅回路による差動入力・差動出力の回路で実現する。
【0246】
具体的には、半導体装置1401は、図19に示すように構成され得る。図19は、半導体装置1401の構成を示す図である。半導体装置1401は、半導体装置601(図11参照)から差動増幅回路610が省略されて構成される。差動増幅回路620は、入力信号VINをP型の入力トランジスタTrin3で受けており、P型トランジスタ受けの差動増幅回路である。
【0247】
プリエンファシス回路PE2,PE502、ディエンファシス回路DE102,DE402が差動増幅回路620の内部信号の波形をアンダーシュート波形に成形し、ディエンファシス回路DE203,DE403が信号HVOの波形をアンダーシュート波形及びオーバーシュート波形に成形する点は、第7の実施形態と同様である。
【0248】
以上のように、第15の実施形態では、半導体装置1401において、プリエンファシス回路PE2,PE502及びディエンファシス回路DE102,DE402,DE203,DE403の組み合わせをP型トランジスタ受けの差動増幅回路による差動入力・差動出力の回路で実現できる。
【0249】
(第16の実施形態)
次に、第16の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第15の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0250】
第3の実施形態では、ディエンファシス回路DE203の動作点について特に限定されていない。これにより、ディエンファシス回路DE203による信号HVOのレベル遷移後の振幅の減衰量ΔV,ΔV図7参照)のレベルが電源電圧や温度等の環境条件に依存してばらつく可能性がある。
【0251】
そこで、第16の実施形態では、ディエンファシス回路DE1503の動作点を差動増幅回路210,220と同期させることで、環境条件による変動の影響を抑制しながらディエンファシス回路DE1503を動作させ、減衰量ΔV,ΔVのレベルの安定化を図る。
【0252】
具体的には、半導体装置1501は、図20に示すように構成され得る。図20は、半導体装置1501の構成を示す図である。半導体装置1501は、ディエンファシス回路DE203(図5参照)に代えてディエンファシス回路DE1503を有する。ディエンファシス回路DE1503は、インバータINV2(図5参照)に代えてインバータINV2aを有する。インバータINV2aは、入力ノードがノードN5に接続され、出力ノードがトランジスタTr4,Tr15のドレインに接続され、第1の制御ノードが差動増幅回路210のノードN2に接続され、第2の制御ノードが差動増幅回路220のノードN4に接続されている。
【0253】
インバータINV2aは、複数のN型のトランジスタNM21,NM22及び複数のP型のトランジスタPM21,PM22を有する。トランジスタNM21は、トランジスタPM21及びトランジスタNM22の間に接続され、トランジスタPM21は、トランジスタPM22及びトランジスタNM21の間に接続される。トランジスタNM22は、トランジスタNM21及びグランド電位の間に接続され、トランジスタPM22は、電源電位VCCQ及びトランジスタPM21の間に接続される。トランジスタNM21及びトランジスタPM21は、インバータ接続されている。
【0254】
トランジスタNM22は、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがトランジスタNM21に接続され、ゲートが差動増幅回路220のノードN4に接続される。トランジスタNM22は、差動増幅回路220の内部信号P_VREFBがアクティブレベル(例えば、Hレベル)である期間に、オンしてトランジスタNM21及びトランジスタPM21を活性化し、内部信号P_VREFBがノンアクティブレベル(例えば、Lレベル)である期間に、オフしてトランジスタNM21及びトランジスタPM21を非活性化する。
【0255】
トランジスタPM22は、ソースが電源電位VCCQに接続され、ドレインがトランジスタPM21に接続され、ゲートが差動増幅回路210のノードN2に接続される。トランジスタPM22は、差動増幅回路210の内部信号N_VREFBがアクティブレベル(例えば、Lレベル)である期間に、オンしてトランジスタNM21及びトランジスタPM21を活性化し、内部信号N_VREFBがノンアクティブレベル(例えば、Hレベル)である期間に、オフしてトランジスタNM21及びトランジスタPM21を非活性化する。
【0256】
このようなトランジスタNM22,PM22の動作により、ディエンファシス回路DE1503のインバータINV2aの動作点を差動増幅回路210,220と同期させることができる。
【0257】
例えば、内部信号P_VINBに応じてトランジスタTr15が強くオンするとき、内部信号N_VREFBに応じてトランジスタPM22が強くオンして信号HVOのHレベル振幅を減衰量ΔVで減衰させる。また、内部信号N_VINBに応じてトランジスタTr4が強くオンするとき、内部信号P_VREFBに応じてトランジスタNM22が強くオンして信号HVOのHレベル振幅を減衰量ΔVで減衰させる。
【0258】
各トランジスタNM22,PM22のオンの強さは、差動増幅回路210,220の駆動力で決まるため、環境条件に関わらず、信号HVOのレベル遷移後の振幅の減衰量ΔV,ΔVのレベルを安定化させやすい。
【0259】
以上のように、第16の実施形態では、半導体装置1501において、ディエンファシス回路DE1503の動作点を差動増幅回路210,220と同期させる。これにより、環境条件による変動の影響を抑制しながらディエンファシス回路DE1503を動作させることができ、減衰量ΔV,ΔVのレベルを安定化できる。
【0260】
(第17の実施形態)
次に、第17の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第16の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0261】
第16の実施形態では、ディエンファシス回路DE1503のトランジスタNM22,PM22を強くオンさせているが、第17の実施形態では、さらに、トランジスタNM22,PM22をオンさせる強さを調整することで、減衰量ΔV,ΔVのレベルの高精度化を図る。
【0262】
具体的には、半導体装置1601は、図21に示すように構成され得る。図21は、半導体装置1601の構成を示す図である。半導体装置1601は、差動増幅回路210、差動増幅回路220、ディエンファシス回路DE1503(図20参照)に代えて、差動増幅回路1610、差動増幅回路1620、ディエンファシス回路DE1603を有する。
【0263】
差動増幅回路1610は、転送回路TR1に代えて転送回路TR1601を有する。転送回路TR1601は、トランジスタTr34をさらに有する。トランジスタTr34は、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr34は、ゲートがバイアスラインNNを介して補助回路AS11に接続されている。トランジスタTr34は、ドレインがディエンファシス回路DE1603に接続され、ソースが電源電位VCCQに接続されている。
【0264】
差動増幅回路1620は、転送回路TR2に代えて転送回路TR1602を有する。転送回路TR1602は、トランジスタTr35をさらに有する。トランジスタTr35は、PMOSトランジスタで構成され得る。トランジスタTr35は、ゲートがバイアスラインNPを介して補助回路AS21に接続されている。トランジスタTr35は、ドレインがディエンファシス回路DE1603に接続され、ソースがグランド電位に接続されている。
【0265】
ディエンファシス回路DE1603は、インバータINV2a(図20参照)に代えてインバータINV2bを有する。インバータINV2bは、入力ノードがノードN5に接続され、出力ノードがトランジスタTr4,Tr15のドレインに接続され、第1の制御ノードがトランジスタTr35のドレインに接続され、第2の制御ノードがトランジスタTr34のドレインに接続されている。
【0266】
インバータINV2bは、複数のN型のトランジスタNM21~NM23及び複数のP型のトランジスタPM21~PM23を有する。
【0267】
トランジスタNM23は、ソースがグランド電位に接続され、ドレインがトランジスタTr34のドレインに接続され、ゲートがドレインとトランジスタNM22のゲートとに接続される。トランジスタNM22及びトランジスタNM23はカレントミラー回路を構成する。
【0268】
このカレントミラー回路は、トランジスタTr34のドレイン電流がそのミラー比に応じてコピーされた電流をトランジスタNM21のドレイン側へ供給する。すなわち、差動増幅回路1610の駆動力とカレントミラー回路のミラー比とに応じてトランジスタNM22のゲートへ供給する電流量を調整でき、トランジスタNM22のオンする強さを調整できる。カレントミラー回路のミラー比は、トランジスタNM23のディメンジョンとトランジスタNM22のディメンジョンとの比率を変えることで調整可能である。
【0269】
トランジスタPM23は、ソースが電源電位VCCQに接続され、ドレインがトランジスタTr35のドレインに接続され、ゲートがドレインとトランジスタPM22のゲートとに接続される。トランジスタPM22及びトランジスタPM23はカレントミラー回路を構成する。
【0270】
このカレントミラー回路は、トランジスタTr35のドレイン電流がそのミラー比に応じてコピーされた電流をトランジスタPM21のドレイン側へ供給する。すなわち、差動増幅回路1620の駆動力とカレントミラー回路のミラー比とに応じてトランジスタPM22へ供給する電流量を調整でき、トランジスタPM22のオンする強さを調整できる。カレントミラー回路のミラー比は、トランジスタPM23のディメンジョンとトランジスタPM22のディメンジョンとの比率を変えることで調整可能である。
【0271】
トランジスタNM22,PM22の動作により、ディエンファシス回路DE1603のインバータINV2bの動作点を差動増幅回路1610,1620と同期させることができる点は、第16の実施形態と同様である。
【0272】
以上のように、第17の実施形態では、半導体装置1601において、トランジスタNM22,PM22のオンする強さが差動増幅回路1610,1620の駆動力とトランジスタNM22,PM22を含むカレントミラー回路のミラー比とに応じて調整される。これにより、ディエンファシス回路DE1603による減衰量ΔV,ΔVのレベルを高精度化できる。
【0273】
(第18の実施形態)
次に、第18の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第17の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0274】
第17の実施形態では、ディエンファシス回路DE1603の動作点を差動増幅回路1610,1620と同期させるが、第18の実施形態では、ディエンファシス回路DE1703の動作点を差動増幅回路1610,1620に対して若干遅延させる。
【0275】
具体的には、半導体装置1701は、図22に示すように構成され得る。図22は、半導体装置1701の構成を示す図である。半導体装置1701は、ディエンファシス回路DE1603(図21参照)に代えて、ディエンファシス回路DE1703を有する。
【0276】
ディエンファシス回路DE1703は、インバータINV2b(図21参照)に代えてインバータINV2cを有する。インバータINV2cは、抵抗素子R1及び抵抗素子R2をさらに有する。
【0277】
抵抗素子R1は、一端がトランジスタNM23のゲートに接続され、他端がトランジスタNM22のゲートに接続される。トランジスタPM22,PM23及び抵抗素子R1はカレントミラー回路を構成する。このカレントミラー回路は、トランジスタTr34のドレイン電流がそのミラー比に応じてコピーされた電流を、抵抗素子R1により遅延されたタイミングでトランジスタNM21のドレイン側へ供給する。
【0278】
これにより、信号HVOがLレベルからHレベルへ遷移した後にディエンファシス回路DE1703によるHレベル振幅の減衰が行われるまでのタイミングを若干遅延させることができる。このため、ディエンファシス回路DE1703で信号HVOの波形をオーバーシュート波形に成形する際のオーバーシュートする期間を長めに確保でき、減衰前のHレベル振幅を容易に安定化できる。これは、例えば信号HVOのHレベル振幅が小さい場合等の振幅確保に有効である。
【0279】
抵抗素子R2は、一端がトランジスタPM23のゲートに接続され、他端がトランジスタPM22のゲートに接続される。トランジスタNM22,NM23及び抵抗素子R2はカレントミラー回路を構成する。このカレントミラー回路は、トランジスタTr35のドレイン電流がそのミラー比に応じてコピーされた電流を、抵抗素子R2により遅延されたタイミングでトランジスタPM21のドレイン側へ供給する。
【0280】
これにより、信号HVOがHレベルからLレベルへ遷移した後にディエンファシス回路DE1703によるLレベル振幅の減衰が行われるまでのタイミングを若干遅延させることができる。このため、ディエンファシス回路DE1703で信号HVOの波形をアンダーシュート波形に成形する際のアンダーシュートする期間を長めに確保でき、減衰前のLレベル振幅を容易に安定化できる。これは、例えば信号HVOのLレベル振幅が小さい場合等の振幅確保に有効である。
【0281】
以上のように、第18の実施形態では、半導体装置1701において、ディエンファシス回路DE1703の動作点を差動増幅回路1610,1620に対して若干遅延させる。これにより、ディエンファシス回路DE1703が信号HVOの波形をオーバーシュート波形及びアンダーシュート波形に成形する際における信号HVOの振幅を容易に安定化できる。
【0282】
(第19の実施形態)
次に、第19の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態~第18の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0283】
第18の実施形態では、動作点を遅延させるためのディエンファシス回路DE1703の構成がインバータを用いて実現されるが、第19の実施形態では、インバータを用いずに実現される。
【0284】
具体的には、半導体装置1801は、図23に示すように構成され得る。図23は、半導体装置1801の構成を示す図である。半導体装置1801は、ディエンファシス回路DE1703(図22参照)に代えて、ディエンファシス回路DE1803,DE1804を有する。ディエンファシス回路DE1803,DE1804は、ディエンファシス回路DE1703からインバータ構成としてのトランジスタNM21,PM21を省略し、2つのカレントミラー回路を互いに分離することで構成される。これにより、ディエンファシス回路DE1803,DE1804の動作点の遅延量をインバータ構成の遅延時間によらずに決めることができる。
【0285】
ディエンファシス回路DE1803は、トランジスタNM22,NM23及び抵抗素子R1を有する。トランジスタNM22,NM23及び抵抗素子R1は、カレントミラー回路を構成する。このカレントミラー回路は、トランジスタTr34のドレイン電流がそのミラー比に応じてコピーされた電流を、抵抗素子R1により遅延されたタイミングで出力回路30の入力ノードへ供給する。これにより、信号HVOがLレベルからHレベルへ遷移した後にディエンファシス回路DE1803によるHレベル振幅の減衰が行われるまでのタイミングを若干遅延させることができる。このとき、差動増幅回路1610,1620に対するディエンファシス回路DE1803の動作点の遅延量は、抵抗素子R1の抵抗値で調整される。
【0286】
ディエンファシス回路DE1804は、トランジスタPM22,PM23及び抵抗素子R2を有する。トランジスタPM22,PM23及び抵抗素子R2は、カレントミラー回路を構成する。このカレントミラー回路は、トランジスタTr35のドレイン電流がそのミラー比に応じてコピーされた電流を、抵抗素子R2により遅延されたタイミングで出力回路30の入力ノードへ供給する。これにより、信号HVOがHレベルからLレベルへ遷移した後にディエンファシス回路DE1804によるLレベル振幅の減衰が行われるまでのタイミングを若干遅延させることができる。このとき、差動増幅回路1610,1620に対するディエンファシス回路DE1804の動作点の遅延量は、抵抗素子R2の抵抗値で調整される。
【0287】
以上のように、第19の実施形態では、半導体装置1801において、差動増幅回路1610,1620に対するディエンファシス回路DE1803,DE1804の動作点の遅延量が抵抗素子R1,R2の抵抗値で調整される。これにより、ディエンファシス回路DE1803,DE1804の動作点の遅延量を高精度化できる。
【0288】
次に、第1の実施形態~第19の実施形態にかかる半導体装置が適用されるメモリシステム1000について図24を用いて説明する。図24は、第1の実施形態~第19の実施形態にかかる半導体装置が適用されるメモリシステム1000の構成を示す図である。
【0289】
メモリシステム1000は、ホスト2000に接続可能であり、ホスト2000の外部記憶媒体として機能し得る。ホスト2000は、例えば、パーソナルコンピュータであり、メモリシステム1000は、例えば、SSDである。メモリシステム1000は、コントローラ1100、半導体メモリ1200、及び電源回路1300を有する。コントローラ1100は、ハードウェアとしての回路であり、ホストインターフェース回路(ホストI/F)1110、信号処理回路1120、メモリインターフェース回路(メモリI/F)1130を有する。電源回路1300は、複数の種類の電源電圧(例えば、電源電圧VCCQ,VDDCなど)を生成してメモリシステム1000における各部へ供給する。
【0290】
例えば、半導体メモリ1200は、半導体装置1bをレシーバとして有する。メモリI/F1130は、所定の信号を信号処理回路1120から受けて半導体装置1bへ転送する。半導体装置1bは、電源回路1300から受けた電源回路1300(例えば、電源電圧VCCQ,VDDCなど)を用いて動作し、メモリI/F1130から転送された信号を受信する。半導体装置1bは、受信された信号を半導体メモリ1200へ供給する。
【0291】
このような信号は、例えば、ライトデータ、リファレンス電位、チップ選択信号(CE)、コマンドラッチイネーブル信号(CLE)、アドレスラッチイネーブル信号(ALE)、ライトイネーブル信号(WE)、ライトプロテクト信号(WP)などのシングルエンド信号であってもよい。この場合、半導体装置1bは、第1の実施形態~第5の実施形態、第8の実施形態~第11の実施形態、及び第16の実施形態~第19の実施形態にかかる半導体装置のいずれも適用可能である。
【0292】
あるいは、このような信号は、例えば、ライト時のデータストローブ信号(DQS/BDQS)、リードイネーブル信号(RE/BRE)などの差動信号であってもよい。この場合、半導体装置1bは、第6の実施形態、第7の実施形態、第12の実施形態~第15の実施形態にかかる半導体装置のいずれも適用可能である。
【0293】
メモリI/F1130は、半導体装置1aをレシーバとして有する。半導体メモリ1200は、所定の信号を半導体装置1aへ転送する。半導体装置1aは、電源回路1300から受けた電源回路1300(例えば、電源電圧VCCQ,VDDCなど)を用いて動作し、半導体メモリ1200から転送された信号を受信する。半導体装置1aは、受信された信号を信号処理回路112へ供給する。
【0294】
このような信号は、例えば、リードデータ、レディ/ビジー信号(R/B)などのシングルエンド信号であってもよい。この場合、半導体装置1aは、第1の実施形態~第5の実施形態、第8の実施形態~第11の実施形態、及び第16の実施形態~第19の実施形態にかかる半導体装置のいずれも適用可能である。
【0295】
あるいは、このような信号は、例えば、リード時のデータストローブ信号(DQS/BDQS)などの差動信号であってもよい。この場合、半導体装置1aは、第6の実施形態、第7の実施形態、第12の実施形態~第15の実施形態にかかる半導体装置のいずれも適用可能である。
【0296】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0297】
1,101,201,301,401,501,601,701,801,901,1001,1101,1201,1301,1401,1501,1601,1701,1801 半導体装置、10,20,110,120,210,220,310,320,410,420,510,520,610,620,1610,1620 差動増幅回路、DE101,DE102,DE203,DE401,DE402,DE403,DE1503,DE1603,DE1703,DE1803,DE1804 ディエンファシス回路、PE1,PE2,PE401,PE402,PE501,PE502, プリエンファシス回路。
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