(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096229
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】乾燥システム
(51)【国際特許分類】
D06F 58/38 20200101AFI20220622BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20220622BHJP
D06F 103/08 20200101ALN20220622BHJP
【FI】
D06F58/38
G16Y40/30
D06F103:08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209214
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】杉本 淳一
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AB23
3B167AB30
3B167AB32
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3B167LC02
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3B167LE07
3B167LF02
3B167LG08
3B167MA01
3B167MA13
(57)【要約】
【課題】より適したタイミングで乾燥運転を終了させることができる乾燥システムを提供することである。
【解決手段】実施形態の乾燥システムは、情報取得部と、判定部とを備える。前記情報取得部は、乾燥運転時の乾燥室又は回転槽内の布の動きまたは布の状態を示す情報を取得する。前記判定部は、前記情報取得部により取得された前記情報に基づき、前記布の乾燥進行具合を判定する。前記乾燥システムは、前記判定部による前記乾燥進行具合の判定結果に基づき、乾燥運転を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥運転時の乾燥室又は回転槽内の布の動きまたは布の状態を示す情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された前記情報に基づき、前記布の乾燥進行具合を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部による前記乾燥進行具合の判定結果に基づき、乾燥運転を行う、
乾燥システム。
【請求項2】
前記布の動きまたは前記布の状態を示す情報は、乾燥機に設けられたカメラモジュールにより撮影された画像から得られる情報、または前記画像そのものである、
請求項1に記載の乾燥システム。
【請求項3】
前記布の動きまたは前記布の状態を示す情報は、第1時刻に撮影された第1画像と、前記第1時刻よりも後の第2時刻に撮影された第2画像とに基づき得られる情報、または前記第1画像と前記第2画像そのものである、
請求項2に記載の乾燥システム。
【請求項4】
前記布の動きまたは前記布の状態を示す情報は、前記乾燥運転の途中に所定の時間間隔で撮影された第1画像と第2画像とに基づき得られる情報、または前記第1画像と前記第2画像そのものである、
請求項2に記載の乾燥システム。
【請求項5】
前記布の動きまたは前記布の状態を示す情報は、前記乾燥運転の開始前または前記乾燥運転の開始から一定時間の経過する前に撮影された第1画像と、前記乾燥運転の開始から前記一定時間の経過後に撮影された第2画像とに基づき得られる情報、または前記第1画像と前記第2画像そのものである、
請求項2に記載の乾燥システム。
【請求項6】
前記布の動きまたは前記布の状態を示す情報は、前記乾燥運転の開始前または前記乾燥運転の開始から一定時間の経過する前に撮影された複数の第1画像と、前記乾燥運転の開始から前記一定時間の経過後に撮影された複数の第2画像とに基づき得られる情報、または前記複数の第1画像と前記複数の第2画像そのものである、
請求項2に記載の乾燥システム。
【請求項7】
前記布の動きを示す情報は、前記乾燥室又は前記回転槽内での布の位置の入れ替わりに応じた前記画像に含まれる色要素または輝度の変化を示す情報である、
請求項2から請求項6のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項8】
前記布の状態を示す情報は、前記乾燥室又は前記回転槽内での布が占める割合の変化に応じた前記画像に含まれる色要素または輝度の変化を示す情報である、
請求項2から請求項7のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項9】
前記カメラモジュールは、広角レンズを有する、
請求項2から請求項8のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項10】
前記カメラモジュールは、複数のカメラモジュールを含み、
前記布の動きまたは前記布の状態を示す情報は、前記複数のカメラモジュールにより撮影された画像から得られる情報、または前記複数のカメラモジュールにより撮影された画像そのものである、
請求項2から請求項9のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項11】
前記乾燥室又は前記回転槽を収容した筐体と、
前記乾燥室の出入口を開閉可能に閉じる扉と、をさらに備え、
前記扉は、前記乾燥室又は前記回転槽に面する内面を有し、
前記カメラモジュールは、前記扉の内面に設けられた、
請求項2から請求項10のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項12】
前記カメラモジュールによる撮影時に照明を点灯させる照明部をさらに備えた、
請求項2から請求項11のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項13】
前記判定部は、前記布の動きまたは前記布の状態を示す情報に加え、前記乾燥機に設けられた振動センサ、温度センサ、重量センサ、または電流検出部のうち1つ以上から得られる情報に基づき、前記乾燥進行具合の判定を行う、
請求項1から請求項12のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項14】
前記判定部は、前記布の動きまたは前記布の状態を示す情報が入力された場合に前記乾燥進行具合を出力するように機械学習された学習モデルを用いて、前記情報取得部により取得された前記情報に基づく判定を行う、
請求項1から請求項13のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【請求項15】
前記判定部による前記乾燥進行具合の判定結果に基づき、前記乾燥運転を行う制御部
を備える請求項1から請求項14のうちいずれか1項に記載の乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
湿っていた布を乾燥させる乾燥システムには、制御により、乾燥処理機能付きの乾燥機の乾燥運転を自動的に終了させるものがある。このような乾燥機において、湿っていた布の乾燥が不完全な状態であるのに、その乾燥運転が終了することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、より適したタイミングで乾燥運転を終了させることができる乾燥システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の乾燥システムは、情報取得部と、判定部とを持つ。前記情報取得部は、乾燥運転時の乾燥室又は回転槽内の布の動きまたは布の状態を示す情報を取得する。前記判定部は、前記情報取得部により取得された前記情報に基づき、前記布の乾燥進行具合を判定する。前記乾燥システムは、前記判定部による前記乾燥進行具合の判定結果に基づき、乾燥運転を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態の洗濯機の構成の一例を示す第1の図。
【
図2】一実施形態の洗濯機の構成の一例を示す第2の図。
【
図3】一実施形態の洗濯機の扉を開いた状態を示す図。
【
図4】一実施形態のドラムモータ5の駆動制御について説明するための図。
【
図5】一実施形態の乾燥運転の制御の処理フローを示す図。
【
図6】一実施形態の乾燥運転の制御の処理フローを示す図。
【
図7】一実施形態の処理の中で取得される画像を説明するための図。
【
図8】乾燥運転中の洗濯物が攪拌される状態を模擬して得られた画像の一例を示す図。
【
図9】
図8に示した画像の特徴量を説明するための図。
【
図10】被写体の色と、RGB成分の強度値の度数分布の関係について説明するための図。
【
図11】一実施形態の画像の特徴を示すヒストグラムの例を説明するための第1の図。
【
図12】一実施形態の画像の特徴を示すヒストグラムの例を説明するための第2の図。
【
図14】一実施形態の乾燥運転の制御の処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の乾燥システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。また、「検出」とは、対象の物理量を直接感知する場合に限定されず、対象の物理量に関連する他の物理量を直接または間接的に取得し、取得した他の物理量から対象の物理量を推定したり特定したりする場合も含み得る。また、「取得」とは、対象物(情報を含む)そのものを直接受け取る場合に限定されず、直接受け取った物(情報を含む)を、内部で演算や加工などを行うことによって対象物を生成することも含み得る。
【0008】
以下では、いくつかの実施形態について説明する。実施形態の乾燥システムは、乾燥運転中の洗濯物(布)の乾燥状態を比較的精度よく推定することのできる洗濯機(洗濯乾燥機又は乾燥機)である。洗濯機(洗濯乾燥機又は乾燥機)は、ドラム式の洗濯機(乾燥機)、縦型の洗濯機(乾燥機)などである。なお、洗濯機は、二槽式の洗濯機でもよい。乾燥システムが乾燥運転によって乾燥させる対象物には、衣類などの布のほかに、バスタオル、バスマット、タオルケットなどの比較的大きな布が含まれる。これらを纏めて洗濯物または布と呼ぶ。乾燥室、より詳しくはドラム(回転槽)内の「布の動き」には、ドラムの回転によって撹拌されて、天地方向または前後方向に移動して、各布の並びの順が入れ替わることが含まれる。また「布の状態」には、乾燥の進行により変化する布の膨らみ具合などが含まれる。
【0009】
(第1の実施形態)
一実施形態の洗濯機100の構成について、
図1~
図4を参照して説明する。
図1は、一実施形態の洗濯機100の構成の一例を示す第1の図である。
図2は、一実施形態の洗濯機100の構成の一例を示す第2の図である。
図3は、一実施形態の洗濯機100の扉3を開いた状態を示す図である。洗濯機100は、乾燥機能を有する。洗濯機100は、ドラム式の洗濯機である。洗濯機100は、例えば、外箱(筐体)1、扉3、水受槽4(乾燥室の一例)、ドラムモータ5、ドラム7(回転槽の一例)、給水弁10、給水弁モータ11(
図2に図示)、注水ケース12、注水口13、排水管14、排水弁15、メインダクト17、前ダクト18、ファンケーシング19、ファンモータ22、ファン24、後ダクト25、コンプレッサ(圧縮機)27、コンプレッサモータ28、コンデンサ(凝縮器)29A、エバポレータ(蒸発器)29B、冷媒管30
、膨張弁(不図示)、排水弁モータ47(
図2に図示)、水位センサ48(
図2に図示)、操作パネル49(
図2に図示)、回転位置センサ82(
図2に図示)、カメラモジュール3C、照明3L(照明部)、温度センサ18TS、25TS、29ATS、29BTS、および振動センサ4GSを備える。洗濯機100は、乾燥システムの一例である。
【0010】
外箱1は、洗濯機100の外観を形成する。外箱1は、前板と後板と左側板と右側板と底板と天板とを有する中空状を成す。外箱1の前板には、貫通孔状の出入口2が形成される。外箱1の前板には、ヒンジを介して回動自在に係止される扉3が装着される。扉3は、閉鎖状態および開放状態のいずれかへユーザが前方から操作可能である。扉3の閉鎖状態では、出入口2が閉鎖される。また、扉3の開放状態では、出入口2が開放される。扉3は、水受槽4の出入口2を開閉可能に閉じることができる。扉3は、水受槽4(乾燥室)又は後述するドラム7(回転槽)に面する内面3ISを有している。扉3の内面3ISには、ドラム7の内部空間を撮影するためのカメラモジュール3Cと照明3Lが設けられている。カメラモジュール3Cと照明3Lへの配線は、ヒンジ近傍を通るように配置される。なお、扉3の正面側の面の一部に化粧された領域が含まれていて、この化粧によりカメラモジュール3Cが扉3の外部から隠れるように配置されていてよい。
【0011】
外箱1の内部には、水受槽4が固定される。水受槽4は、後面が閉鎖される円筒状を成す。水受槽4は、水受槽4の軸心線CLが前方から後方に向けて下降する傾斜状態に配置される。水受槽4の前面は、開口する。扉3は、閉鎖状態で水受槽4の前面を気密状態に閉鎖する。
【0012】
水受槽4の後板には、水受槽4の外部に位置してドラムモータ5が固定される。ドラムモータ5は、洗濯における洗い処理や脱水処理に使用されるモータである。ドラムモータ5は、例えば、速度制御可能なDC(Direct Current)ブラシレスモータである。ドラムモータ5の回転軸6は、水受槽4の内部に突出する。回転軸6は、水受槽4の軸心線CLに重ねて配置される。回転軸6には、水受槽4の内部に位置してドラム7が固定される。ドラム7は、後面が閉鎖される円筒状を成す。ドラム7は、ドラムモータ5の運転状態で回転軸6と一体的に回転する。ドラム7の前面は、水受槽4の前面を介して後方から出入口2に対向する。扉3の開放状態では、ドラム7の内部は、前方から出入口2と水受槽4の前面とドラム7の前面を通して、洗濯物が出し入れされる。
【0013】
ドラム7には、複数の貫通孔8が形成される。ドラム7の内部空間は、複数の貫通孔8のそれぞれを通して、水受槽4の内部空間に接続される。ドラム7の内側面には、複数のバッフル9が設けられている、または固定されている。これら複数のバッフル9のそれぞれは、ドラム7が回転することに応じて、軸心線CLを中心に円周方向へ移動する。ドラム7内の洗濯物は、複数のバッフル9のそれぞれに引っ掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することにより、撹拌される。
【0014】
外箱1の内部には、給水弁10が固定される。給水弁10は、入口および出口を有する。給水弁10の入口は、水道の蛇口に接続される。給水弁10は、給水弁モータ11を駆動源とする。給水弁10の出口は、給水弁モータ11の回転量に応じて、開放状態および閉鎖状態との間で切り換えられる。給水弁10の出口は、注水ケース12に接続される。給水弁10の開放状態では、水道水が給水弁10を通して注水ケース12内に注入される。一方、給水弁10の閉鎖状態では、水道水が注水ケース12内に注入されない。注水ケース12は、外箱1の内部に水受槽4よりも高所に位置して固定される。注水ケース12は、筒状の注水口13を有する。注水口13は、水受槽4の内部に挿入される。給水弁10から注水ケース12内に注入される水道水は、注水口13から水受槽4の内部に注入される。
【0015】
水受槽4には、その最底部の位置において排水管14の上端部が接続される。排水管14には、排水弁15が設けられる。排水弁15は、排水弁モータ47を駆動源とする。排水弁15は、排水弁モータ47の回転量に応じて、開放状態および閉鎖状態との間で切り換えられる。排水弁15の閉鎖状態では、注水口13から水受槽4内に注入される水道水が水受槽4内に貯留される。一方、排水弁15の開放状態では、水受槽4内の水道水が排水管14を通して水受槽4の外部に排出される。
【0016】
外箱1の底板には、水受槽4の下方に位置しているメインダクト17が固定される。メインダクト17は、前後方向へ指向する筒状を成す。メインダクト17の前端部には、前ダクト18の下端部が接続される。前ダクト18は、上下方向へ指向する筒状を成す。前ダクト18の上端部は、水受槽4の前端部から水受槽4の内部空間に接続される。メインダクト17の後端部には、ファンケーシング19が固定される。ファンケーシング19は、貫通孔状の吸気口20および筒状の排気口21を有する。ファンケーシング19の内部空間は、吸気口20を介してメインダクト17の内部空間に接続される。
【0017】
ファンケーシング19には、ファンケーシング19の外部に位置してファンモータ22が固定される。ファンモータ22は、ファンケーシング19の内部に突出する回転軸23を有する。回転軸23には、ファンケーシング19の内部に位置するファン24が固定される。ファンモータ22は、ファン24を回転させる。ファン24は、例えば、遠心式のファンである。すなわち、ファン24は、回転することにより、軸方向から空気を吸い込んで径方向へ吐出する。ファンケーシング19に設けられた吸気口20は、ファン24の軸方向からファン24に対向する。また、ファンケーシング19に設けられた排気口21は、ファン24の径方向からファン24に対向する。
【0018】
ファンケーシング19の排気口21には、後ダクト25の下端部が接続される。後ダクト25は、上下方向へ指向する筒状を成す。後ダクト25の上端部は、水受槽4の後端部から水受槽4の内部空間に接続される。後ダクト25、ファンケーシング19、メインダクト17、前ダクト18、および水受槽4は、水受槽4の内部空間を始点および終点のそれぞれとする環状の循環ダクト26を構成する。扉3の閉鎖状態においてファンモータ22が運転される場合には、ファン24が一定方向へ回転することにより、水受槽4内の空気は、前ダクト18内からメインダクト17内を通してファンケーシング19内に吸引され、ファンケーシング19内から後ダクト25内を通して水受槽4内に戻される。なお、前ダクト18には、前ダクト18内の温度を検出する温度センサ18TSが設けられている。後ダクト25には、後ダクト25内の温度を検出する温度センサ25TSが設けられている。各ダクト内の温度が所定の温度を超えたことが温度センサ18TSまたは25TSによって検出された場合、後述するコンプレッサ(圧縮機)27への電力供給が遮断されるように構成されている。温度センサ18TSと25TSの検出結果は、上記のように保護の目的で利用するほかに、乾燥処理の制御に利用してもよい。
【0019】
外箱1の内部には、コンプレッサ(圧縮機)27が固定される。コンプレッサ27は、循環ダクト26の外部に配置される。コンプレッサ27は、冷媒を吐出する吐出口および冷媒を吸い込む吸込口を有する。コンプレッサ27は、コンプレッサモータ28を駆動源とする。コンプレッサモータ28は、例えば、速度制御可能なDCブラシレスモータである。
【0020】
メインダクト17の内部に、コンデンサ(凝縮器)29Aと、エバポレータ(蒸発器)29Bとが固定される。例えば、コンプレッサ(圧縮機)27、コンデンサ29A、エバポレータ29B、膨張弁(不図示)と、これらに冷媒を循環させる冷媒管30は、ヒートポンプとして作用する乾燥ユニット31を形成する。乾燥ユニット31は、コンプレッサ27の作動によってコンデンサ29Aから熱を発生させる。例えば、コンデンサ29Aは、メインダクト17の内部を流通する空気を冷媒との熱交換によって加熱する。エバポレータ29Bは、メインダクト17の内部を流通する空気の熱によって冷媒を気化させる。乾燥ユニット31は、洗濯物を乾燥させる乾燥機能の一例である。乾燥ユニット31は、後述するメインダクト17、ファンケーシング19、ファンモータ22、ファン24などを含めて形成されていてもよい。コンデンサ29Aには、コンデンサ29Aの温度を検出する温度センサ29ATSが設けられていてもよく、エバポレータ29Bには、エバポレータ29Bの温度を検出する温度センサ29BTSが設けられていてもよい。
【0021】
水位センサ48は、水受槽4に設けられる。水位センサ48は、水受槽4内の水位を検出する。操作パネル49は、表示部49a(不図示)および操作入力部49b(不図示)を備える。例えば、表示部49aおよび操作入力部49bは、ユーザが押下可能なボタンとディスプレイ装置とを備えたパネル、またはユーザが操作可能なタッチパネルなどである。ユーザは、操作パネル49を操作することによって、洗濯および乾燥の運転コースの選択や運転開始などの操作を行うことができる。洗濯の運転コースの例としては、標準コース、スピーディコース、おしゃれ着コース(丁寧洗いコース)、部屋干しコース、がんこ汚れコースなどが挙げられる。洗濯の運転コースごとに、洗い時に水受槽4に注水される水の量、すすぎ時の水受槽4における水流、洗濯行程の内容が異なる。また、操作パネル49には、洗濯行程や運転終了までの残り時間、設定水位などが表示される。
【0022】
実施形態のカメラモジュール3Cは、例えば、可視光領域の感度特性を有しカラー画像を生成可能な撮像素子と、広角型の光学系(広角レンズ)を備えるカメラである。カメラモジュール3Cの撮像素子は、赤外光領域を遮断する光学フィルタを有する。光学系の光軸AXがドラム7内に向けられている。より具体的には、ドラム7内の洗濯物を撮影可能な方向に光軸AXが向けられている。カメラモジュール3Cは、照明3Lを有して構成され、照明3Lと一体化されていてもよい。
【0023】
照明3Lは、その点灯により、ドラム7内の被写体照度を高める。それゆえ、カメラモジュール3Cによる撮影時には照明3Lを点灯させるとよい。照明を点灯させる期間は、乾燥行程の期間を含めてもよく、乾燥行程の期間に亘ってもよく、カメラモジュール3Cによる撮影時に同期して点灯するように調整されていてもよい。照明3Lが配置される位置は、カメラモジュール3C内に制限されず、ドラム7内の被写体照度を高めることができる位置であればカメラモジュール3Cから隔離した位置でよい。
【0024】
制御回路50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなハードウェアプロセッサを含み、プログラム(ソフトウェア)を実行することにより上記制御を実現するものであってもよい。ただし、上記制御の一部またはすべては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)を含み実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0025】
例えば、制御回路50は、乾燥状態検出部510と、記憶部520と、処理部530と、インタフェース部540と、通信部550とを備える。乾燥状態検出部510と、記憶部520と、処理部530と、インタフェース部540と、通信部550とは、制御回路50内のバスなどで接続されている。乾燥状態検出部510と、記憶部520と、処理部530と、インタフェース部540と、通信部550との一部または全部は、1または複数の半導体装置に纏めて搭載されていてもよい。
【0026】
インタフェース部540は、ドラムモータ5と、排水弁モータ47と、給水弁モータ11と、乾燥ユニット31と、に接続されている。インタフェース部540は、ドラムモータ5と、排水弁モータ47と、給水弁モータ11と、乾燥ユニット31とを夫々駆動するためのドライブ回路を含めて構成されていてもよく、一部または全部のドライブ回路がインタフェース部540の外部に設けてもよい。ドラムモータ5と、排水弁モータ47と、給水弁モータ11と、乾燥ユニット31は、インタフェース部540を介して制御される。
【0027】
インタフェース部540は、さらに各種センサ、および操作パネル49に接続されている。各種センサには、温度センサ29ATS、29BTS、18TS、25TS、水位センサ(不図示)、回転位置センサ82、振動センサ4GS、扉スイッチ(不図示)などが含まれる。温度センサ29ATS、29BTSは、コンデンサ29Aとエバポレータ29Bの温度を夫々検出する。温度センサ18TS、25TSは、水受槽4から排出される空気の温度と、水受槽4に供給される空気の温度とを夫々検出する。水位センサは、水受槽4内の水位を検出する。回転位置センサ82は、ドラムモータ5の回転位置を検出する。電流センサは、ドラムモータ5の巻線に流れる電流を検出する。扉スイッチは、扉3の開閉を検出する。後述の処理部530は、インタフェース部540を介して、各種センサの情報を取得し、操作パネル49と情報を交換する。
【0028】
乾燥状態検出部510は、例えば情報取得部511と、演算処理部512と、判定部513とを備える。なお、以下の説明において、乾燥状態検出部510の機能を、上記の各部に割り当てて説明するが、これに制限されず任意に分割した機能部に割りあててよい。例えば、演算処理部512が実施する演算処理の一部又は全部を情報取得部511が実施するようにしてもよい。
【0029】
例えば、情報取得部511の入力は、カメラモジュール3Cの出力に接続されている。情報取得部511は、カメラモジュール3Cが出力する画像を取得して、取得した画像のデータを、後述する記憶部520に画像データとして追加する。演算処理部512は、予め定められた演算手順に従い、情報取得部511により取得された画像データ(情報)に対する演算処理を実施する。判定部513は、予め定められた判定規則に従い、演算処理部512の演算結果に基づき、洗濯物(布)の乾燥進行具合を判定する。判定部513は、上記の判定の結果を、後述する乾燥運転の制御用のデータとして利用可能にする。
【0030】
なお、乾燥状態検出部510は、後述の処理部530によって、乾燥運転の実行中に活性化され、それ以外の期間には休止状態に設定されていてもよい。
【0031】
記憶部520は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrical Erasable ROM)などの半導体メモリを有する。EEPROMは、電気的に消去可能な不揮発性半導体メモリの一例であり、不揮発性の記憶領域として利用される。記憶部520は、カメラモジュール3Cが出力する複数の画像の画像データ、複数の画像の特徴の差を示すデータ、各種センサの検出結果、判定処理に用いられる判定基準を規定するデータ、使用者管理情報、各種プログラム、および各種プログラムの実行に用いる各種情報を格納する。使用者管理情報は、使用者または洗濯機100を識別するための識別情報を含む。例えば、使用者管理情報は、洗濯機100がサーバー200との通信を試みる際に利用される。
【0032】
処理部530は、操作パネル49が受け付けた使用者の操作に基づく制御情報に応じて、ドラムモータ5と、排水弁モータ47と、給水弁モータ11と、乾燥ユニット31とを夫々制御する。例えば、処理部530は、上記を夫々制御することにより、洗濯運転、脱水運転、すすぎ運転、および乾燥運転の夫々の制御を実施する。処理部530は、上記の各部の制御を、各種センサなどによって検出された状態に基づいて実施するとよい。なお、処理部530は、乾燥ユニット31による乾燥運転の終了の制御については、判定部513による判定の結果を、乾燥運転の制御用のデータとして利用する。
【0033】
通信部550は、例えば、ネットワークNWに接続可能に形成されている。例えば、通信部550は、ネットワークNWを経て、後述するサーバー200に接続される。この通信部550を用いる実施例については、後述する。
【0034】
また、ドラムモータ5のロータには、回転位置センサ82が設けられる。回転位置センサ82が出力するロータの位置を示す位置信号は、制御回路50に出力される。例えば、洗濯機100は、ドラムモータ5の起動時に、ロータの位置の推定が可能な回転速度(例えば、約30rpm)までは、回転位置センサ82を使用してベクトル制御を行う。また、ロータの位置の推定が可能な回転速度に達した以降は、回転位置センサ82を使用しないセンサレスベクトル制御に切り換える。
【0035】
上記のように制御回路50は、洗濯機100全体の制御を行う。例えば、制御回路50は、ドラムモータ5の巻線に流れる電流に過電流が検出される場合、乾燥運転中に所定の温度以上の温度が検出された場合などに、ドラムモータ5に対する電力供給を遮断する保護機能も有する。
【0036】
図4は、一実施形態のドラムモータ5の駆動制御について説明するための図である。
制御回路50のインタフェース部540は、ドラムモータ5の駆動回路として、インバータ回路32、シャント抵抗35u、35v、35w、レベルシフト回路36、駆動回路44、およびドラムモータ制御部541を備える。
【0037】
ドラムモータ制御部541は、回転位置センサ82の検出結果または後述する巻線に流れる電流の検出値に基づいて、ドラムモータ5における回転磁界の位相θおよび回転角速度ωを推定する。この推定は、一般的な手法を適用してよい。
【0038】
ドラムモータ制御部541は、例えば、ドラムモータ5に対する速度指令を受けて、回転角速度ωを制御帰還値として用いた速度制御により電流指令Idref、および電流指令Iqrefを生成する。例えば、上記のドラムモータ5に対する速度指令は、処理部530による各運転制御によって規定される。速度制御は、ベクトル制御の手法を用いてよい。
【0039】
ドラムモータ制御部541は、レベルシフト回路36を介して、ドラムモータ5の巻線5uに流れる電流Iau、ドラムモータ5の巻線5vに流れる電流Iav、およびドラムモータ5の巻線5wに流れる電流Iawを検出する。具体的には、ドラムモータ制御部541は、過電流比較回路38を介して過電流を検出していない期間に、レベルシフト回路36を介して電流を検出する。過電流を検出していない期間にドラムモータ制御部541がレベルシフト回路36を介して検出した電流が電流Iau、Iav、Iawである。ドラムモータ制御部541は、検出した電流Iau~Iawの電流値と位相θとに基づいて、三相電流を直交座標変換およびdq(direct-quadrature)座標変換して、励磁電流成分の電流Idおよびトルク電流成分の電流Iqを得る。上記の通り、シャント抵抗35u、35v、35wと、レベルシフト回路36と、ドラムモータ制御部541は、電線センサの一例である。
【0040】
そして、ドラムモータ制御部541は、推定した位相θ、励磁電流成分の電流Id、およびトルク電流成分の電流Iq、電流指令Idref、および電流指令Iqrefに基づいた電流制御により、電圧指令Vd、Vqを生成する。
【0041】
例えば、上記の電流制御において、ドラムモータ制御部541は、電流指令Idrefから電流Idを減算する。ドラムモータ制御部541は、その減算結果が0になるようにPI制御を行う。これにより、電圧指令Vdが生成される。また、ドラムモータ制御部541は、電流指令Iqrefから電流Iqを減算する。ドラムモータ制御部541は、その減算結果が0になるようにPI制御を行う。これにより、電圧指令Vqが生成される。そして、ドラムモータ制御部541は、電圧指令Vd、Vqと位相θとに基づいて逆dq座標変換および三相座標変換を行って3相分の信号を生成する。逆dq座標変換は、上述したdq座標返還とは逆の変換である。最終的には、インバータ回路32を駆動する駆動信号がPWM信号として生成される。
【0042】
駆動回路44は、ドラムモータ制御部541が出力するPWM信号からインバータ回路32の各IGBTに対するゲートパルスを生成し、そのレベル変換を行ってインバータ回路32に供給する。インバータ回路32は、ドラムモータ5を駆動する電流をドラムモータ5の巻線5u~5wに流す。なお、上記のレベル変換は、駆動回路44と分けて構成してもよい。
【0043】
次に、洗濯機100における洗濯に関わる処理について説明する。
図5は、洗濯機100の処理フローを示す図である。ここでは、ユーザが、操作パネル49を介して、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各行程を含む洗濯行程が行われる運転コースを選択した場合に、洗濯機100が行う処理について説明する。
【0044】
ユーザが、洗濯物を洗濯機100に投入し、洗濯を開始する操作を行う。洗濯機100が決定された運転コースを開始すると、制御回路50(処理部530。以下同様。)は、洗濯物の布の重量(布量という。)を特定する(ステップS1)。この布量の特定は、注水前に行われる。例えば、制御回路50は、注水前布量検知動作として、PWM信号を生成することによって、特許第3962668号公報などに記載されているように、インバータ回路32を介してドラムモータ5を回転させ、洗濯物をドラム7内で回転させた場合に、ドラムモータ5のトルクに寄与するq軸の電流Iqの大きさから、布量を特定する。
【0045】
また、例えば、洗濯機100が、各注水量と各注水量に対応する洗濯物の布量とを関連づけて記憶し、制御回路50は、注水前布量検知動作として、ユーザが運転コースの決定時に設定した注水量に相当する注水量を、洗濯機100が記憶する各注水量の中から特定し、特定した注水量に関連づけて記憶されている洗濯物をこの場合の布量と特定するものであってもよい。そして、洗剤が投入される。この洗剤の投入は、ユーザによって行われるものであってもよい。また、洗濯機100が洗剤の自動投入装置を備える場合には、洗濯機100が洗剤を投入するものであってもよい。
【0046】
制御回路50は、排水弁モータ47を制御して、排水弁15を閉鎖状態にし、給水弁モータ11を制御することにより、ドラム7に注水する給水行程を実行する(ステップS2)。給水行程が終わると、制御回路50は、PWM信号を生成することによって、インバータ回路32を介してドラムモータ5を回転させることにより、洗い行程を実行する(ステップS3)。具体的には、制御回路50による制御の下、ドラムモータ5が正転と反転とを繰り返すことにより、ドラム7内の洗濯物と洗剤が水に溶けた洗剤水とが攪拌され、洗濯物についた汚れが落とされる。このとき、制御回路50は、ドラムモータ5に流れる電流Iqの変動を特定することにより、布質を判定する(ステップS4)。
【0047】
洗い行程が終わると、制御回路50は、排水弁モータ47を制御し、排水弁15を開放状態にすることにより、ドラム7から水を排水する排水行程を実行する(ステップS5)。排水行程が終わると、制御回路50は、PWM信号を生成することによって、インバータ回路32を介してドラムモータ5を回転させることにより、脱水を行う第1回目の脱水行程を実行する(ステップS6)。脱水行程が終わると、制御回路50は、排水弁モータ47を制御して、排水弁15を閉鎖状態にし、給水弁モータ11を制御することにより、ドラム7に注水する給水行程を実行する(ステップS7)。
【0048】
給水行程が終わると、制御回路50は、PWM信号を生成することによって、インバータ回路32を介してドラムモータ5を回転させることにより、洗剤のすすぎを行うすすぎ行程を実行する(ステップS8)。すすぎ行程が終わると、制御回路50は、排水弁モータ47を制御し、排水弁15を開放状態にすることにより、ドラム7から水を排水する排水行程を実行する(ステップS9)。
【0049】
排水行程が終わると、制御回路50は、PWM信号を生成することによって、インバータ回路32を介してドラムモータ5を回転させることにより、脱水を行う第2回目の脱水行程(第1脱水動作の一例)を実行する(ステップS10)。
【0050】
制御回路50は、第2回目の脱水行程よりも前に取得される洗濯物に関する情報に基づき、その所定条件が満たされるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、制御回路50は、ステップS1の処理である注水前布量検知動作に基づいて得られる洗濯物の布量がしきい値以上である場合に所定条件を満たしたと判定する。また、制御回路50は、その注水前布量検知動作に基づいて得られる洗濯物の布量がしきい値未満である場合に所定条件を満たさないと判定する。
【0051】
制御回路50は、所定条件を満たした(すなわち、ステップS1の処理により特定した布量がしきい値以上である)と判定した場合(ステップS11においてYES)、布量を特定する(ステップS12)。なお、ここでの布量の特定もステップS1の処理と同様に、電流Iqに基づいて特定するものであってよい。なお、布量の特定は、電流Iqを用いた、すなわちドラム7の回転時の慣性モーメントを用いた方法(特許第3962668号公報などを参照。)を用いてもよく、これに代えて、ステップS12の洗濯物の布質を特定する処理により、洗濯物の含水量を大きくして洗濯物の密度を大きくすることにより、ドラム7の径方向外側に重量が偏りやすくし、慣性モーメントを大きくして、布量の特定の精度を上げてもよい。
【0052】
また、制御回路50は、所定条件を満たしていない(すなわち、ステップS1の処理により特定した布量がしきい値未満である)と判定した場合(ステップS11においてNO)、ステップS12の処理を行わずに、脱水行程を実行する(ステップS13)。第3回目の脱水行程におけるドラムモータ5の回転速度は、第2回目の脱水行程におけるドラムモータ5の回転速度よりも速くするとよい。
【0053】
次に、制御回路50は、布量の特定結果に基づいて、乾燥運転の内容を決定する(ステップS14)。乾燥運転の内容の例としては、ヒートポンプ300の運転時間などが挙げられる。すなわち、制御回路50は、特定した布量が増加するにつれて乾燥運転の時間を長くする。なお、運転時間の決定は、第2回目の脱水行程におけるドラム7の回転速度、回転継続時間、洗濯物のアンバランスの度合いなどによって補正するものであってもよい。
【0054】
制御回路50は、決定した乾燥運転の内容で乾燥行程を実行する(ステップS15)。制御回路50は、乾燥行程を終えて処理を終了する。
【0055】
図6と
図7を参照して、実施形態の乾燥運転の制御について説明する。
図6は、一実施形態の乾燥運転の制御の処理フローを示す図である。
図7は、一実施形態の処理の中で取得される画像を説明するための図である。
【0056】
乾燥運転を始める際に、乾燥状態検出部510の情報取得部511は、ドラム7の中に配置されている洗濯物の初期状態にかかる情報を取得して(ステップSA11)、取得した情報を記憶部520に追加する。例えば、洗濯物の初期状態の情報には、カメラモジュール3Cによって撮影された画像情報(画像データ)が含まれる。
【0057】
例えば、
図7中の(a)に示すような画像が初期状態を示す画像として撮影されて、その画像の画像データがこれに含まれる。
図7中の(a)に示す画像には、ドラム7の内面と、濡れた状態の洗濯物とが写っている。
図7中の(a)に対比して示す
図7中の(b)の画像は、洗濯物の乾燥が進行した状態を示す。
図7中の(a)に示す段階は、洗濯物の膨らみが少なく、
図7中の(b)に示す段階になると多くなることが画像から読みとれる。以下の処理などにより、このような変化を検出する。ドラム7の内面と洗濯物との各領域を識別するためには、領域分割の手法を用いてもよく、背景差分などの手法を用いてもよい。
【0058】
図6に戻り、次に、処理部530は、操作パネル49が受け付けた使用者の操作に基づく制御情報に応じて、給水弁モータ11を制御して給水弁10を閉じた状態にする。処理部530は、ドラムモータ5と、乾燥ユニット31とを制御して、乾燥運転を開始する(ステップSA12)。
【0059】
演算処理部512は、乾燥運転中の洗濯物の状態を検出するための画像データ(状態情報)を取得して(ステップSA13)、取得した画像データに基づいた所定の演算処理を実施する(ステップSA14)。洗濯物の状態には、例えば、乾燥運転中のドラム7内の布の動きまたは布の状態が含まれる。なお、画像データ以外の各種センサの情報を用いる場合には、画像データの取得に併せて、各種センサの検出値を取得するとよい。
【0060】
判定部513は、上記の演算処理の結果を判定し、その判定結果に基づいて、乾燥運転の継続が必要か否かを判定する(ステップSA18)。乾燥運転の継続が必要と判定された場合には、処理部530は、乾燥運転を継続させてステップS13からの処理を繰り返す。乾燥運転の継続が不要と判定された場合には、処理部530は、乾燥運転を終了させる(ステップSA19)。
【0061】
続いて、乾燥運転時のドラム7内の布の動きまたは布の状態の検出方法について説明する。以下に示す検出方法は、基本的にカメラモジュール3Cが撮影した画像の画像データを利用する。条件によって、カメラモジュール3Cが出力する画像データを利用せずに、各種センサの検出結果のデータを利用してもよく、これに代えて、カメラモジュール3Cが出力する画像データと、各種センサの検出結果のデータとを利用してもよい。上記の各種センサには、温度センサ18TS、25TS、29ATS、29BTS、振動センサ4GSなどが含まれていてもよい。上記のように直接的に物理量を検出するセンサではないが、上記の各種センサに、間接的に布量を検出する重量センサ(制御回路50の布量検出処理)またはおよび巻線に流れる電流を検出する電流センサ(シャント抵抗35u、35v、35wと、レベルシフト回路36と、ドラムモータ制御部541の組み合わせ)をこれに含めてもよい。
【0062】
このように、判定部513は、布の動きまたは布の状態を示す情報に加え、洗濯機100に設けられた振動センサ4GS、各温度センサ、重量センサ、または電流センサ(電流検出部)のうち1つ以上から得られる情報に基づき、乾燥進行具合の判定を行うとよい。
【0063】
例えば、温度のデータを用いる場合には、例えば、ドラム7内を通して循環させる空気の温度変化の勾配、またはその空気の温度が所定の温度を超えたことなどを乾燥進行具合の検出に利用するとよい。乾燥具合が進行すると、ある時点から温度変化の勾配が急になる。判定部513は、この勾配の変化、またはその温度変化に伴って温度が所定の温度を超えたことを検出して、十分に乾燥できたと判定するとよい。
【0064】
振動のデータを用いる場合には、乾燥開始時との比較、または各検出時点の変化量を利用するとよい。例えば、布の乾燥が進行する程、布に染み込んだ水分量が減り、これに伴い布の重量が減少する。布の重量が比較的重い状態でドラム7を回転させると、この布の重量がドラム7の軸CLに対して偏り、また、撹拌されてドラム7内を移動することにより、洗濯機100の振動が比較的大きくなる。この振動は、布の乾燥が進行すると比較的小さくなる。そこで、振動センサ4GSによって検出された振動のデータに基づいて、乾燥開始時から比較、または変化量を検出することにより、乾燥具合を検出することが可能である。
【0065】
画像データを用いる場合には、下記する幾つかの手法の中から1つ以上の手法を利用して、布の動きまたは布の状態を検出するとよい。
【0066】
第1の手法として、ドラム7内の布を、所定の長さの時間差を設けて撮像された2つ以上の画像データを利用して布の動きまたは布の状態を取得する手法がある。
第2の手法として、乾燥運転の期間内に、所定の長さの時間差を設けて撮像された2つ以上の画像データを利用して布の動きまたは布の状態を取得する手法がある。
第3の手法として、ドラム7内の布の乾燥運転の前または乾燥運転の開始から一定時間が経過する前に撮像された1つ以上の画像と、乾燥運転の途中に撮像された1つ以上の画像との両方を利用して布の動きまたは布の状態を取得する手法がある。
第4の手法として、ドラム7内の布の乾燥運転の前または乾燥運転の開始から一定時間が経過する前に撮像された複数の第1画像と、乾燥運転の開始から一定時間が経過した後に撮像された複数の第2画像との両方を利用して布の動きまたは布の状態を取得する手法がある。
【0067】
以下、上記の画像データを用いる各手法について順に説明する。
【0068】
最初に
図8と
図9を参照して、上記の各手法に用いられる画像の一例について説明する。
図8は、乾燥運転中の洗濯物が攪拌される状態を模擬して得られた画像の一例を示す図である。画像の特定の領域内の面積が比較的多い布の色は、
図8の上段側から、以下のような特徴を有する。
図8中の(a)の画像は、茶、白、青が比較的多い。
図8中の(b)の画像は、白が比較的多いが、一部に茶、灰などの部分が含まれる。
図8中の(c)の画像は、茶が比較的多い。
図8中の(d)の画像は、白が比較的多い。
図8中の(e)の画像は、白と灰が比較的多い。
図8中の(f)の画像は、茶、青が比較的多く、一部に白などの部分が含まれる。なお、上記の画像における特定の領域を、洗濯物の像で満たされるように設定しているが、これに制限されない。この画像には、
図7に示すようにドラム7の部分が含まれていてもよい。
【0069】
図9は、
図8に示した画像の特徴量を説明するための図である。この
図9に示すグラフは、各画像の特定領域内の画素ごとのRGB成分のうちR成分のヒストグラムの一例である。
【0070】
RGB表色系の場合、画像を構成する各画素の色は、RGBの3原色の成分の強度値によって規定される。例えば、各画素の色成分の強度値を、RGBの成分ごとに8ビットの分解能で量子化する。この場合、各画素の色成分の強度値は、例えばR0-R255、G0-G255、B0-B255の256階調の値をとる。これに限られず、各色成分の強度値を規格化して最大値を1にしてもよい。
【0071】
RGBの成分ごとに、その強度値を複数の範囲に区分する。例えば、RGBの各成分について、夫々Rz1-Rz7、Gz1-Gz7、Bz1-Bz7の7つの範囲に分ける。Rz1の範囲を0-35に、Rz2の範囲を36-70に、Rz3の範囲を71-105に、Rz4の範囲を106-140に、Rz5の範囲を141-175に、Rz6の範囲を176-210に、Rz7の範囲を211-255に夫々割り付ける。上記の区分分けは一例を示すものであり適宜変更してよい。
【0072】
カメラモジュール3Cによって所定の周期で繰り返し撮像して、洗濯機100は、各画像を取得する。各画像をPICxで示す。xは、時刻暦に対応する各画像を識別するための識別子であり、例えば、任意の整数である。各画像を区別しない場合には、単に画像PICと呼ぶ。特定の画像PICを画像PICxと呼ぶことがある。
【0073】
例えば、画像PICxを構成する複数の画素のうち、予め定められた特定の領域内の画素の色成分の度数を集計してヒストグラムを生成する。ここで、上記の画像PICxを構成する複数の画素のうち特定の領域の画素の色成分の強度値の度数を示す関数を下記の式(1)を用いて定義する。以下に示す例は、R成分に関するものである。
【0074】
YRz1(PICx)=fRz1(PICx)
YRz2(PICx)=fRz2(PICx)
YRz3(PICx)=fRz3(PICx)
| |
YRz7(PICx)=fRz7(PICx) (1)
【0075】
上記の式において、右辺の関数fRz1(PICx)は、画像PICxを構成する複数の画素のうち特定の領域の画素のR成分の強度値が、範囲Rz1に含まれる画素の度数を抽出するものである。左辺のYRz1(PICx)は、その結果の度数を示す。関数fRz2(PICx)から関数fRz7(PICx)についても、上記の関数fRz1(PICx)と同様であり、R成分の強度値を規定する範囲が異なるものである。演算結果のR成分の強度分布YR(PICx)を下記の式(2)に示す。
【0076】
YR(PICx)=[YRz1(PICx)、YRz2(PICx)、YRz3(PICx)、...、YRz7(PICx)] (2)
【0077】
上記は、R成分の強度分布YR(PICx)に関する説明であるが、G成分の強度分布YG(PICx)とB成分の強度分布YB(PICx)とについても、R成分と同様に下記の式(3)と式(4)を用いて規定するとよい。
【0078】
YG(PICx)=[YGz1(PICx)、YGz2(PICx)、YGz3(PICx)、...、YGz7(PICx)] (3)
YB(PICx)=[YBz1(PICx)、YBz2(PICx)、YBz3(PICx)、...、YBz7(PICx)] (4)
【0079】
これらの各成分の強度分布を式(5)に示すように纏めて、これをY(PICx)と定義する。Y(PICx)は、各画像の特徴量の一例である。
【0080】
Y(PICx) = [YR(PICx)、YG(PICx)、YB(PICx)] (5)
【0081】
図10を参照して、被写体の色と、RGB成分の強度値の度数分布の関係についての説明を補足する。
図10は、被写体の色と、RGB成分の強度値の度数分布の関係について説明するための図である。以下に示すように各被写体の色が変わった場合に、RGB成分の強度値の度数分布が如何に変化するかを典型的な例を挙げて説明する。
【0082】
図10中の(a)に比較的明るい白に覆われた場合を示す。
図10中の(b)に黒に覆われた場合を示す。
図10中の(c)にグレースケール(明るさが徐々に変化する無彩色)に覆われた場合を示す。
図10中の(d)から(f)に無彩色の領域中に、一部に青の領域が含まれた場合、赤が含まれた場合、緑が含まれた場合を夫々示す。
図10中の(g)と(h)に、無彩色の領域中に、一部に比較的明るい茶の領域が含まれた場合と、一部に比較的くらい茶の領域が含まれた場合を夫々示す。このように、画像内の色の傾向が変わると、RGB各成分の分布が変化する。
【0083】
例えば、乾いているときに淡い茶色の布が濡れるとその明るさが暗くなる。言い換えれば、乾燥度合いにより布の明るさが変化する。カメラモジュール3Cによって撮影した画像においても、この明るさの違いを再現させることができる。このような特徴を利用すれば、洗濯物の画像が示す色成分の変化に基づいて洗濯物の乾燥状態を識別することができる。
【0084】
洗濯物が濡れていると、重量が比較的重く、他のものに絡みやすいため、ドラム7を回転させても、得られる画像の変化が比較的少ない。そのため、2つの画像の各画素の特徴量のヒストグラムを得て、これの差分値の大きさに着目する。例えば、
図11に、画像の変化が多い場合のヒストグラムを示し、
図12に、画像の変化が少ない場合のヒストグラムを示す。
図11と
図12は、一実施形態の画像の特徴を示すヒストグラムの例を説明するための図である。
【0085】
図11中の(a)から(d)のヒストグラムは、前述の
図8中の(a)から(d)に示した画像に対応するものであり、その一部の領域内の各画素が示すRGBの強度値の分布を夫々示すものである。これに基づいて、
図11中の(a)のヒストグラムと(b)のヒストグラムとの差を、
図11中の(d)に示し、
図11中の(b)のヒストグラムと(c)のヒストグラムとの差を、
図11中の(e)に示し、
図11中の(c)のヒストグラムと(d)のヒストグラムとの差を、
図11中の(f)に示す。
【0086】
ここでサンプルとして示す
図12を作成するにあたり、前述の
図8中の(a)の画像から大きな変化がない場合をモデル化した2つの画像(不図示)を、
図8中の(b)と(c)に代えて用意する。これらの画像に基づいて
図11と同様の手法で、
図12中の(a)から(d)のヒストグラムを作成した。この
図12の場合も
図11の場合と同様に、
図12中の(e)から(g)を生成する。この
図12中の(e)と(f)に示された度数は、
図11中の(e)から(g)、および
図12中の(g)に比べて明らかに少なくなっていることがわかる。
【0087】
そこで、2つの画像のヒストグラムの差分値に着目して、布の動きと布の状態を検出する。例えば、画像の変化が少ない場合には、その差分値の最大値と最小値の差が比較的小さく、画像の変化が多い場合には、その差分値の最大値と最小値の差が比較的大きくなる。判定部513は、上記のヒストグラムの差分値の最大値と最小値の差を用いて、布の動きと布の状態を検出してもよい。
【0088】
上記に代えて、3つの色成分の夫々におけるヒストグラムの差分値の絶対値の平均値、または差分値の絶対値の和を用いても同様の結果が得られる。判定部513は、上記のヒストグラムの差分値の大きさ、平均値、和などの統計処理の結果のいずれかを、後述する判定処理の対象に利用するとよい。
【0089】
上記の
図8と
図11とを参照して上記の第1の手法について説明する。
図8中の(a)から(f)に示した各画像が、例えば所定の周期で撮影された画像であるとする。この画像から得られた特徴量が
図11に示したものになる。
図11を参照して説明した手法が、第1の手法の一例である。
【0090】
上記の第1の手法によれば、演算処理部512は、布の動きまたは布の状態を示す情報を、第1時刻に撮影された第1画像と、第1時刻よりも後の第2時刻に撮影された第2画像とに基づき得られる情報に基づいて得るとよい。演算処理部512は、この演算を周期的に繰り返す。なお、上記のように第1時刻と第2時刻の時間差を予め定められた所定の長さに決定するとよい。この事例では、この長さを1分にする事例を示すが、これに制限されず、検出が容易になるように適宜決定してよい。以下同様である。
【0091】
より具体的に示す。情報取得部511は、カメラモジュール3Cが撮影した画像のデータ(画像データ)を、1分ごとに1度取得する。演算処理部512は、1分前の画像(例えばPICx)と最新の画像(例えばPIC(x+1))とを比較して、2つの画像の変化量(RGBまたは輝度の変化量(例えばΔYx)を抽出して、抽出された変化量に基づいて乾燥進行具合を出力情報として得る。
【0092】
2つの画像の比較では、上記のように各画像の色成分のヒストグラムを画像の特徴量として利用するとよい。上記の処理を式(6)に示す。
【0093】
ΔY1 = [Y(PIC1) - Y(PIC2)]
ΔY2 = [Y(PIC2) - Y(PIC3)]
| |
ΔYx = [Y(PICx) - Y(PIC(x+1)] (6)
【0094】
なお、各色の色成分のヒストグラムに代えて、輝度のヒストグラムを画像の特徴量として利用してもよく、各色の色成分のうち特定の色(色成分)のヒストグラムを同様に利用してもよい。
【0095】
これにより、2つの画像の変化量として、色成分(例えば、RGBの値)または輝度の変化量を抽出し、この変化量に基づいた判定処理によって、乾燥進行具合を出力情報として得ることができる。この事例の詳細を後述する。以下、同様である。
【0096】
なお、上記の情報を取得する期間には、ドラム7内の布の乾燥運転の期間内が含まれていてもよく、洗濯開始前、脱水後などのように水受槽4(又はドラム7)に石鹸水またはすすぎ水などが注入されていない期間が含まれてもよい。情報取得部511は、上記のように、上記の情報を取得する期間を乾燥運転の期間に制限しないことで、ドラム7内の布に関する情報を、より多く得ることができる。
【0097】
また、上記の第1の手法と同様の方法で、第2の手法を実現するとよい。
例えば、第2の手法によれば、演算処理部512は、布の動きまたは布の状態を示す情報を、乾燥運転の途中に所定の時間間隔で撮影された第1画像と第2画像とに基づき得られる情報に基づいて得るとよい。演算処理部512は、この演算を周期的に繰り返す。所定の時間間隔を、例えば、1分にするとよい。
【0098】
より具体的に示す。情報取得部511は、カメラモジュール3Cが撮影した画像を逐次取得する。演算処理部512は、例えば1分前の画像と最新の画像とを比較して、2つの画像の変化量(RGBまたは輝度の変化量)を抽出して、抽出された変化量に基づいて、乾燥進行具合を出力情報として得る。上記の第2の手法の場合、画像を動画または準動画として逐次取得してもよい。この場合、取得する時間軸方向の情報の密度が高くなるので、布の動きの情報を取得しやすくなる。
【0099】
上記の第3の手法によれば、演算処理部512は、布の動きまたは布の状態を示す情報を、乾燥運転の開始前または乾燥運転の開始から一定時間が経過する前に撮影された第1画像と、乾燥運転の開始から一定時間が経過した後に撮影された第2画像とに基づき得られる情報に基づいて得るとよい。
【0100】
より具体的に示す。情報取得部511は、カメラモジュール3Cが撮影した画像を逐次取得する。演算処理部512は、例えば、乾燥運転の開始前または開始直後(初期状態)の第1画像(例えばPIC1)と、最新の画像(例えばPIC(x+1):第2画像)とに基づいて、乾燥進行具合を出力情報として得る。上記について式(7)に整理する。
【0101】
ΔY1 = [Y(PIC1) - Y(PIC2)]
ΔY2 = [Y(PIC1) - Y(PIC3)]
| |
ΔYx = [Y(PIC1) - Y(PIC(x+1)] (7)
【0102】
上記の第3の手法の場合、初期状態の画像と、直近に取得した画像とを対比することで、どれだけ布が前後に入れ替わったか、または布が膨らんだかを示す情報を得ることができる。布が濡れている初期の段階に対し、その初期の段階から乾燥行程の時間が経過したときの布の状態を比較できるので、布の膨らみの情報を取得しやすくなる。
【0103】
上記の第4の手法によれば、演算処理部512は、ドラム7内の布の乾燥運転の前または乾燥運転の開始から一定時間が経過する前に撮像された複数の第1画像と、乾燥運転の開始から一定時間が経過した後に撮像された複数の第2画像との両方を用いることにより、乾燥運転の開始前または開始直後(初期状態)の1分間における変化量と、最新の1分間における変化量とに基づいて、それぞれの変化量の差がどのくらいになったかの情報を得ることができる。上記について式(8)に整理する。
【0104】
ΔY1 = [Y(PIC1) - Y(PIC2)]
ΔY2 = [Y(PIC2) - Y(PIC3)]
| |
ΔYx = [Y(PICx) - Y(PIC(x+1)]
ΔY(x+1) = [Y(PIC(x+1) - Y(PIC(x+2)] (8)
【0105】
第4の手法では、判定のタイミングで、例えば、上記の式(8)に示す4つの特徴量(ΔY1、ΔY2の組と、ΔYx、ΔY(x+1)の組)のすべてを利用することになる。
【0106】
上記のように、必要な情報の検出しやすさを選択の条件に用いて、乾燥運転の中で利用する画像の組と、検出方法を適宜選択してもよい。
【0107】
次に、上記の手法の検出結果に基づいて、乾燥状態の進行を検出する指標の例について説明する。
【0108】
上記の通り、洗濯物が濡れていると、重量が比較的重く、他の布に絡みやすい。そのため、ドラム7を回転させても、得られる画像の変化が比較的少なくなる。上記の通り判定部513は、上記の各手法の検出結果から得られるヒストグラムの差分値の大きさ、平均値、和などの統計処理の結果を、判定処理の対象に利用するとよい。
【0109】
以上、一実施形態の洗濯機100(乾燥システム)について説明した。
上記の実施形態によれば、洗濯機100は、情報取得部511と、判定部513とを含む。情報取得部511は、乾燥運転時のドラム7内の布の動きまたは布の状態を示す情報を取得する。判定部513は、情報取得部511により取得された情報に基づき、布の乾燥進行具合を判定する。洗濯機100は、判定部513による乾燥進行具合の判定結果に基づき、乾燥運転を行うことで、より適したタイミングで乾燥運転を終了させることができる。例えば、情報取得部511により取得された情報の判定は、予め定められた閾値を用いて、この閾値と比較することなどにより実施してよい。
【0110】
例えば、布の動きを示す情報は、ドラム7内の布の位置の入れ替わりに応じた画像に含まれる色要素または輝度の変化を示す情報であってよい。また、布の状態を示す情報は、ドラム7内の布が画像内で占める割合が変化することに応じて、その画像に含まれる色要素または輝度の変化を示す情報であってよい。
【0111】
(第2の実施形態)
図13と
図14とを参照して、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、洗濯機100が単独で乾燥制御を実施する事例について説明した。本実施形態では、その乾燥制御に係る処理の一部を外部の装置が実施する事例について説明する。
【0112】
図13は、第2の実施形態の乾燥システム1000の構成図である。
乾燥システム1000は、洗濯機100Aと通信可能に構成されるサーバー200を備える。乾燥システム1000は、洗濯機100Aを備えて構成されていてもよい。洗濯機100Aと、サーバー200は、ネットワークNWを介して通信可能に形成されている。
【0113】
洗濯機100Aは、乾燥状態検出部510に代えて乾燥状態検出部510Aを備える。乾燥状態検出部510Aは、判定部513に代わる判定部513Aを備える。乾燥状態検出部510Aは、演算処理部512を備えていなくてもよい。
【0114】
サーバー200は、例えば通信部250、記憶部270、および制御部290を備える。
【0115】
通信部250は、制御部290からの制御により、ネットワークNWを介して洗濯機100と通信する。通信部250は、洗濯機100からの要求を検出すると、制御部290にその検出を通知する。
【0116】
記憶部270は、RAM、ROMなどの半導体メモリと、HDD(hard disk drive)等のストレージ装置とを有する。記憶部270は、使用者管理情報、洗濯機100Aから取得した画像データまたは画像に基づいて生成された情報、各種プログラム、および各種プログラムの実行に用いる各種情報を格納する。
【0117】
制御部290は、CPUなどのプロセッサを含む。制御部290の各機能部は、プロセッサがプログラムを実行することにより実現される。なお、制御部290の機能部のうち一部または全部は、LSI、ASIC、FPGA等のハードウェア機能部であってもよい。
【0118】
例えば、制御部290は、使用者管理情報を他の装置から取得して、記憶部270に追加する。制御部290は、使用者管理情報に予め登録されている洗濯機100Aとの通信を許可して、洗濯機100Aから取得した各種情報に基づいた処理を実行する。
【0119】
例えば、制御部290は、前述の乾燥状態検出部510の一部の処理を、乾燥状態検出部510に代えて実施する。制御部290は、例えば情報取得部291と、演算処理部292と、判定部293とを備える。例えば、演算処理部292と、判定部293は、前述の演算処理部512と、判定部513とに相当する処理を実施する。
【0120】
図14は、一実施形態の乾燥運転の制御の処理フローを示す図である。
乾燥運転を始める際に、乾燥状態検出部510Aの情報取得部511は、ドラム7の中に配置されている洗濯物の初期状態に係る情報を取得して(ステップSB11)、取得した情報を記憶部520に追加する。処理部530は、使用者の操作に基づく制御情報に応じて、給水弁10と閉じた状態にする。処理部530は、ドラムモータ5と、乾燥ユニット31とを制御して、乾燥運転を開始する(ステップSB12)。
【0121】
情報取得部511は、乾燥運転中の洗濯物の状態を検出するための画像データ(状態情報)を取得して(ステップSA13)、通信部550を介して、この画像データをサーバー200に通知する(ステップSB15)。なお、情報取得部511は、最初にステップSA13の処理を実行する場合、ステップSB11において記憶部520に格納していた情報を併せてサーバー200に通知する。
【0122】
サーバー200の情報取得部291は、洗濯機100Aから送信された画像データなどを取得する(ステップSB21)。演算処理部292は、取得した画像データに基づいた所定の演算処理を実施する(ステップSB22)。この演算処理は、第1の実施形態に示したものを適用してよい。判定部293は、演算処理の結果に基づいて、乾燥運転の継続が必要か否かを判定して(ステップSB23)、判定の結果を洗濯機100Aに通知する(ステップSB24)。
【0123】
通信部550は、判定の結果を取得する(ステップSB16)。判定部513Aは、ステップSB16において判定の結果を受信できたか否かを判定し、受信できなかった場合には、乾燥処理を継続させてステップSB13の処理に進める。判定部513Aは、受信できた場合には、受信した判定処理の結果に基づいて乾燥運転の継続が必要か否かを識別する(ステップSB18)。乾燥運転の継続が必要と識別された場合には、処理部530は、乾燥運転を継続させてステップS13からの処理を繰り返す。乾燥運転の継続が不要と判定された場合には、処理部530は、乾燥運転を終了させる(ステップSB19)。
【0124】
上記の実施形態によれば、乾燥システム1000のサーバー200は、取得した画像データに基づいた所定の演算処理と、演算処理の結果に基づいた乾燥運転の継続が必要か否かの判定処理を実施する。洗濯機100Aは、サーバー200による判定の結果に基づいて乾燥制御を終了させることにより、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0125】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。
第1と第2の実施形態では、主にカメラモジュール3Cの画像に基づいた乾燥制御を実施する事例について説明した。本実施形態では、カメラモジュール3Cの画像以外の情報を加えて乾燥制御を実施する事例について説明する。
【0126】
例えば、サーバー200は、布の動きを示す情報と布の状態を示す情報のいずれかまたは両方に基づいた推論規則または推論モデル(学習モデル)を用いて、布の乾燥状態を推定する。例えば、サーバー200は、機械学習などの手法を用いて、推論規則または推論モデル(学習モデル)の特性を規定するパラメータを予め決定しておき、これを利用するとよい。推論規則または推論モデル(学習モデル)のパラメータなどのデータは、サーバー200の記憶部270などに格納される。
【0127】
制御部290の演算処理部292は、画像から抽出した特徴量(Yx)または変化量(ΔYx)を、布の動きを示す情報と布の状態を示す情報として用いる。演算処理部292は、このほかに、洗い行程の注水前に検出された布の重量(布重量W)、洗い行程中にドラムモータ5の電流の変化(ΔIx)に基づいて抽出された布質判定の結果(布質Q)、乾燥行程中の振動の検出値の変化量(ΔGx)および乾燥運転時の各温度センサの検出値(温度Tx)の一部または全部を入力情報として利用してもよい。上記の入力情報を、上記の記号を用いて式(9)と式(10)とに夫々整理する。
【0128】
[Yx, W, Q, ΔGx , Tx] (9)
[ΔYx, W, Q, ΔGx , Tx] (10)
【0129】
例えば、乾燥システム1000は、1つ以上の洗濯機100Aからの画像データなどの情報を受け、これに対する判定の結果を各洗濯機100Aに対して夫々通知する。各洗濯機100Aの洗濯物(布)は、ユーザによって決定されることが一般的であり、そのため、1回の洗濯に様々な種類の洗濯物が含まれる。このように様々な種類の洗濯物が含まれている洗濯であっても、布が湿っている段階と乾燥した段階とでは、乾燥運転中の布の動きまたは布の状態に違いがあり、その傾向は洗濯物の種類に依存しない傾向がある。
【0130】
そこで、本実施形態では、上記の入力情報を教師データとして利用することで、推論規則または推論モデル(学習モデル)のパラメータを最適化させることにより、制御部290の処理に機械学習を適用可能にした。なお、本実施形態における制御部290の演算処理部292による処理の一部又は全部を、判定部293が実施してもよい。
【0131】
以下に示す各実施例では、ディープラーニング型の人工知能を利用する事例について説明する。
【0132】
実施例1:
実施例1の場合のディープラーニング型の人工知能には、フィードフォワード型多層ニューラルネットワーク(DNN)が含まれる。上記の入力情報と、実際の洗濯物の乾燥状態の情報とを対応付けて組み合わせることで、ディープラーニング型の人工知能の学習用データとして利用することができる。
【0133】
例えば、入力情報に上記の変化量(ΔYx)を用いる場合には、制御部290は、DNNを有するとよい。制御部290は、判定時には、学習済みのDNNに所定の回の入力情報を供給すると、DNNが乾燥状態を示す推定値を出力する。制御部290は、この推定値が所望の値か否かを判定して、乾燥工程の終了のタイミングを決定する。
【0134】
実施例2:
これに代えて、入力情報に上記の特徴量(Yx)を用いる場合には、画像の特徴量に係る変化量の成分をその演算の中で利用できるように、前回検出された画像の情報と今回検出された画像の情報を少なくとも利用できるようにする必要がある。この場合も、前回検出された画像の情報と今回検出された画像の情報とを纏めて1回の入力情報に含めることで、例えば、上記の入力情報を1回の入力データとして利用可能なDNNを適用するとよい。この実施例2の場合も、制御部290は、DNNを有するとよい。この実施例2のDNNの入力ノードの数は、実施例1に比べて多くなる。
【0135】
実施例3:
なお、これに対して、検出回ごとに画像の特徴量(Yx)を入力情報に含める場合には、リカレントニューラルネットワーク(RNN)を適用するとよい。RNNは、隠れ層の状態値を、前段の隠れ層のノードの入力変数として扱うノードを有する。これにより、隠れ層の状態値に応じて、その隠れ層が演算することが可能になる。これを用いれば、時系列データとして扱われる画像の特徴量(Yx)を入力情報にしても、RNNの内部で上記の変化量(ΔYx)を算出することが可能になる。上記の変化量(ΔYx)を算出するか否かは学習結果によるので特定することはできないが、条件により選択可能になる。この実施例3の場合には、制御部290は、RNNを有するとよい。
【0136】
幾つかの実施例を示したが、例えば、制御部290の判定部293は、上記の入力情報として、洗濯物(布)の動きまたは洗濯物(布)の状態を示す情報が入力された場合に、洗濯物(布)の乾燥進行具合を出力するように機械学習された学習モデルを用いた判定を、情報取得部291により取得された情報に基づいて行うように形成されていてもよい。
【0137】
上記の実施形態に、サーバー200の構成例について説明した。本技術の適用例は、上記の実施形態に制限されず、各洗濯機100が、上記のように機械学習型、人工知能型の演算処理と判定処理を実行するように構成してもよい。その際に、実際に演算を実行するプロセッサの配置、複数のプロセッサが連携して演算処理を実行する場合の機能分割の方法は、上記の事例に制限されず、適宜変更が可能である。
【0138】
以上、一実施形態の乾燥システム1000について説明した。
実施形態の乾燥システム1000(例えば、サーバー200)は、情報取得部291と、判定部293とを含む。情報取得部291は、乾燥運転時のドラム7内の布の動きまたは布の状態を示す情報を取得する。判定部293は、情報取得部291により取得された情報に基づき、布の乾燥進行具合を判定する。乾燥システム1000は、判定部293による乾燥進行具合の判定結果に基づき、乾燥運転を行うことで、より適したタイミングで乾燥運転を終了させることができる。
【0139】
(実施形態に共通する第1変形例)
図15を参照して、実施形態に共通する変形例について説明する。
図15は、変形例の洗濯機の構成図である。
図15中の(a)に示す構成では、1つのカメラモジュール3Cを扉3の内面3ISに設けている。これに対し、
図15中の(b)に示す構成では、複数(例えば、2つ)のカメラモジュール3Cを扉3の内面3ISに設けている。
【0140】
図15中の(b)に示すように、複数のカメラモジュール3Cを設けることにより、夫々のカメラモジュール3Cの死角を補完するとよい。この場合、各カメラモジュール3Cの光学系の視野角を狭めても、夫々の画像を組み合わせることでドラム7内の死角を減らすことができる。演算処理部512は、各カメラモジュール3Cの画像に対する特徴抽出の演算処理を個別にしてもよく、最初に各画像を合成したのちの合成画像に対して特徴抽出の演算処理を実施するようにしてもよい。
【0141】
また、複数のカメラモジュール3Cを、主に布の動きを検出する用途に利用するものと、主に布の状態(膨らみ具合)の検出に利用するものとに分けてもよい。例えば、上方のカメラモジュール3Cを前者の検出に利用して、下方のカメラモジュール3Cを後者の検出に利用するとよい。
【0142】
(実施形態に共通する第2変形例)
上記の実施形態に示した事例では、布の動きまたは布の状態を検出するために、各画像の特徴量を用いて、布の動きまたは布の状態を検出している。このとき、各画像内の個々の洗濯物自体を識別していない。
これに代えて、本変形例では、制御部290は、例えば、各画像内の個々の洗濯物自体を識別して、画像内の個々の洗濯物の識別結果から、その布の動きまたは布の状態を検出してもよい。例えば、制御部290は、第1画像と第2画像の各画像データを夫々用いて、各画像に同じ布が被写体として映っていることを検出して、これを対比するなどの方法で、第1画像と第2画像の各画像データを直接的に比較してもよい。
【0143】
なお、上記の各手法において、2つの画像の特徴量を比較することに代えて、2つの画像を直接比較して、布の動きおよび布の状態の変化の大きさを検出してもよい。この場合には、布の動きまたは布の状態の検出に、第1画像と第2画像そのものを用いるとよい。
【0144】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、洗濯機100または乾燥システム1000は、情報取得部と、判定部とを持つ。情報取得部は、乾燥運転時の乾燥室又は回転槽内の布の動きまたは布の状態を示す情報を取得する。判定部は、情報取得部により取得された前記情報に基づき、布の乾燥進行具合を判定する。洗濯機100または乾燥システム1000は、判定部による乾燥進行具合の判定結果に基づき、乾燥運転を行うことにより、より適したタイミングで乾燥運転を終了させることができる。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0146】
1…外箱(筐体)、2…貫通孔状の出入口、3…扉、4…水受槽(乾燥室)、5…ドラムモータ、6…回転軸、7…ドラム(回転槽)、8…貫通孔、9…複数のバッフル、10…給水弁、11…給水弁モータ、12…注水ケース、13…注水口、14…排水管、15…排水弁、17…メインダクト、18…前ダクト、19…ファンケーシング、20…吸気口、21…排気口、22…ファンモータ、23…回転軸、24…ファン、25…後ダクト、26…循環ダクト、27…コンプレッサ、28…コンプレッサモータ、29A…コンデンサ(凝縮器)、29B…エバポレータ(蒸発器)、30…冷媒管、31…乾燥ユニット、32…インバータ回路、35u、35v、35w…シャント抵抗、36…レベルシフト回路、44…駆動回路、47…排水弁モータ、48…水位センサ、49…操作パネル、82…回転位置センサ、100…洗濯機(乾燥システム又は乾燥機)、1000…乾燥システム