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特開2022-96263多液混合装置用ロータリーミキサーにおけるミキシングローター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096263
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】多液混合装置用ロータリーミキサーにおけるミキシングローター
(51)【国際特許分類】
   B01F 27/80 20220101AFI20220622BHJP
   B01F 27/92 20220101ALI20220622BHJP
   B01F 23/40 20220101ALI20220622BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220622BHJP
【FI】
B01F7/16 F
B01F7/24
B01F3/08 Z
B01F5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209278
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】391050145
【氏名又は名称】日本ソセー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】森川 議博
【テーマコード(参考)】
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB38
4G035AC26
4G035AE13
4G078AA01
4G078BA05
4G078CA12
4G078DA17
4G078DB10
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】ブレード間の隙間が軸線方向に一直線に揃った隙間列を薬液がそのまま通過してしまう。
【解決手段】軸部1の外周面に複数枚のブレード2、2a…を、隣接する一対のブレード間の隙間4、4a…を軸線方向に揃えずに規則的に配列し、各ブレード2、2a…は、配列方向に沿って形成された横ブレード部5と、該横ブレード部5より軸部1の基端側へ突出し且つ先端を隙間4、4a…中央に揃えた縦ブレード部6とにより形成されたミキシングローターであれば、注入された複数の薬液が隙間4、4a…を通過後に縦ブレード部6で分流され、隣接する隙間4a、4b…からの薬液と合流して再度先端側の隙間4、4a…を通過後、次の縦ブレード部6で分流されることを繰り返すことで蛇行流化することにより、薬液が混合し易く而も混合液体の先端迄の到達時間が遅くなって混合効率が向上する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部の外周面に複数枚のブレードを円周方向且つ前記軸部の軸線方向に規則的に、且つ前記軸線方向に対向する一方の一対のブレード間の隙間と他方の一対のブレード間の隙間を前記軸線方向に揃えずに配列し、各ブレードは、配列方向に沿って形成された横ブレード部と、該横ブレード部における基端側の面より基端側へ突出し且つ先端を基端側の対向する一対のブレード間の隙間中央に揃えた縦ブレード部とにより逆T形に形成されていることを特徴とするローターミキサー用ミキシングローター。
【請求項2】
複数枚のブレードを、螺旋方向に1列配列することで、円周方向且つ前記軸部の軸線方向に規則的に配列し、該プレートは螺旋方向2周期で3枚以上の奇数枚とすることで、前記軸線方向に対向する一方の一対のブレード間の隙間と他方の一対のブレード間の隙間を前記軸線方向に揃えずに配列したことを特徴とする請求項1記載のローターミキサー用ミキシングローター。
【請求項3】
複数枚のブレードを、螺旋方向に2列配列することで、円周方向且つ前記軸部の軸線方向に規則的に配列し、且つ2列のブレード列を形成し、前記プレートは螺旋方向1周期で3枚以上の複数枚とし、一方のブレード列における一対のブレード間の隙間と他方のブレード列における一対のブレード間の隙間を前記軸線方向に揃えずに配列したことを特徴とする請求項1記載のローターミキサー用ミキシングローター。
【請求項4】
複数枚のブレードを、円周方向に規則的に配列した複数のブレード列を軸線方向に所定間隔毎に配列することで、円周方向且つ前記軸部の軸線方向に規則的に配列し、隣接する一方のブレード列の一対のブレード間の隙間と他方のブレード列の一対のブレード間の隙間を軸線方向に揃えずに配列したことを特徴とする請求項1記載のローターミキサー用ミキシングローター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転数を問わず混合効率が高い多液混合装置用ロータリーミキサーにおけるミキシングローターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端にノズルが形成されたケーシング内に回転可能に内蔵させたミキシングローターを回転させて複数種類の薬液を混合するローターミキサーとしては、螺旋方向に複数枚のブレードを規則的に配列した形態のものが一般的である。
【0003】
例えば、1周期で偶数枚のブレードを有した、ブレード相互間の隙間が軸線方向に一直線に揃って配置された隙間列がブレードの1周期での枚数と同数形成されたミキシングローターを内蔵したミキサーが見受けられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-68206号公報の図1
【特許文献2】特開2008-221536号公報の図1~3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術にあっては、例えば、図10で示す様な、1周期で4枚の割合で規則的に配列されたブレードa、a1…相互間の隙間b、b1…が軸線方向に一直線に揃った複数本の隙間列c、c1…が配置されたミキシングローターの場合、条件次第(例えば低回転下)では、ミキサー内に所定圧力で注入された薬液が隙間列c、c1…をそのまま通過して先端まで到達してしまう可能性が有り得るため、ミキサーを長くして混合時間を確保したり、隙間列c、c1…をそのまま通過させない様にミキシングローターを高速で回転させなければ、設定された混合性能を発揮できない可能性を否定出来ないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、ブレード間の隙間が軸線方向に一直線に揃って形成された隙間列により不具合が生じ兼ねない課題に鑑み、軸部の外周面に複数枚のブレードを円周方向且つ前記軸部の軸線方向に規則的に、且つ前記軸線方向に対向する一方の一対のブレード間に形成された隙間と他方の一対のブレード間に形成された隙間を前記軸線方向に揃えずに配列し、各ブレードは、配列方向に沿って形成された横ブレード部と、該横ブレード部における基端側の面より基端側へ突出し且つ先端を基端側の対向する一対のブレード間の隙間中央に揃えた縦ブレード部とにより逆T形に形成されているミキシングローターであれば、ローターミキサー内に所定圧力で注入された複数の薬液が隣接するブレード列における基端側のブレード列のブレード間の隙間を通過後、先端側のブレード列のブレードにおける縦ブレード部で分流され、隣接する隙間からの薬液と合流して再度基端側の対向する一対のブレード間の隙間を通過後、先端側の対向するブレードにおける縦ブレード部で分流されることを繰り返すことで蛇行流化することによって、薬液が混合し易く而も混合液体の先端迄の到達時間が遅くなって混合効率を向上させる様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、請求項1乃至請求項4に記載された構成としているので、混合時にローターミキサー内に所定圧力で注入された複数の薬液が分流・混合を繰り返しながら蛇行流化することから、低回転であっても吐出前までには均一に混合可能なため、省エネ化を図ることが出来、而も短尺化しても混合性能を維持可能なため、小型化が可能で製造コストの低減化を図ることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る多液混合装置用ロータリーミキサーにおけるミキシングローターの実施例1の斜視図である。
図2図1のミキシングローターの概略展開図である。
図3図1のミキシングローターの使用状態を示す断面図である。
図4】本発明に係る多液混合装置用ロータリーミキサーにおけるミキシングローターの実施例2の正面図である。
図5図4のミキシングローターの概略展開図である。
図6】本発明に係る多液混合装置用ロータリーミキサーにおけるミキシングローターの実施例3の斜視図である。
図7図6のミキシングローターの概略展開図である。
図8】本発明に係る多液混合装置用ロータリーミキサーにおけるミキシングローターの実施例4の斜視図である。
図9図8のミキシングローターの概略展開図である。
図10】従来のミキシングローターの概略展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る多液混合装置用ロータリーミキサーにおけるミキシングローターにあっては、基本的に、円柱状の軸部1の外周面に複数枚のブレード2、2a…を円周方向且つ軸部1の軸線方向(以降、軸線方向と称する)に規則的に、且つ軸線方向に対向する一方の一対のブレード2、2a…間の隙間4、4a…と他方の一対のブレード2、2a…間の隙間4、4a…を前記軸線方向に揃えずに配列している。
【0010】
各ブレード2、2a…は、ブレード2、2a…の配列方向に沿って形成された横ブレード部5と、該横ブレード部5における基端側の面より基端側へ突出し且つ先端を隣接する基端側のブレード2、2a…間の隙間4、4a…中央に揃えた縦ブレード部6とにより逆略T形に形成されている。
【実施例0011】
図1は、本発明に係るローターミキサー用ミキシングローターの実施例1の斜視図、図2は、図1のミキシングローターの概略展開図であり、このローターミキサー用ミキシングローターの実施例1は、軸部1の外周面に複数枚のブレード2、2a…を螺旋方向に規則的に配列した1列のブレード列3を有し、該ブレード列3は螺旋2周期分で奇数枚、具体的には9枚のブレード2、2a…の割合で構成されていることで、基端側のブレード2、2a…間の隙間4、4a…が先端側のブレード2、2a…の中央の軸線方向の延長線上に位置している。
【0012】
各ブレード2、2a…は、螺旋方向に沿って形成された捩じれた扇形状の横ブレード部5と、該横ブレード部5における基端側の面の中央より基端側へ軸線方向に沿って突出して、隣接する基端側のブレード間の隙間4、4a…の中央に相当する位置に配された縦ブレード部6とにより逆T形に形成されており、縦ブレード部6は横ブレード部5と同幅で軸部1の外周面に対し直角とし、縦ブレード部6の長さを、軸線方向で対向するブレード2、2a…間の距離より短く設定している。
【実施例0013】
図4は、本発明に係るローターミキサー用ミキシングローターの実施例2の正面図、図5は、図4のミキシングローターの概略展開図であり、このローターミキサー用ミキシングローターの実施例2は、軸部1の外周面に複数枚のブレード2、2a…を螺旋方向に規則的に配列した2列のブレード列3、3aを有し、該各ブレード列3、3aは螺旋1周期分で複数枚、具体的には5枚のブレード2、2a…の割合で構成され、且つ基端側のブレード列3におけるブレード2、2a…間の隙間4、4a…が、先端側のブレード列3aにおけるブレード2、2a…の中央の軸線方向の延長線上に位置している。
【0014】
つまり、ブレード列3、3aは、ブレード2、2a…が螺旋1周期分で奇数枚の場合、同じ配列とし。偶数枚の場合、ブレード列3に対しブレード列3aをブレード2、2a…の1枚の半分だけずらした状態の配列としていることから、螺旋1周期分で3枚以上の奇数枚とするのが好ましい。
【0015】
各ブレード2、2a…は、実施例1と同様の構成であるが、各ブレード2、2a…における横ブレード部5は実施例1より急角度と成っている。
【実施例0016】
図6は、本発明に係るローターミキサー用ミキシングローターの実施例3の斜視図、図7は、図6のミキシングローターの概略展開図であり、このローターミキサー用ミキシングローターの実施例3は、軸部1の外周面に複数枚、具体的には4枚のブレード2、2a…を円周方向に規則的に配列した17列のブレード列3、3a…を有し、隣接する一方のブレード列3、3a…に対し他方のブレード列3a、3b…を45度(360度÷4(枚数)÷2)ずらすことで、隣接する一方のブレード列3、3a…の一対のブレード2、2a…間の隙間4、4a…と他方のブレード列3a、3b…の一対のブレードブレード2、2a…間の隙間4、4a…を軸線方向に揃えずに配列している。
【0017】
各ブレード2、2a…は、円周方向に沿った扇形状の横ブレード部5と、該横ブレード部5における基端側の面より基端側へ突出し且つ先端を隣接する基端側のブレード列3、3a…のブレード2、2a…間の隙間4、4a…の中央に揃えた縦ブレード部6とにより逆T形に形成されており、縦ブレード部6は横ブレード部5と同幅で軸部1の外周面に対し直角とし、縦ブレード部6の長さを、軸線方向で対向するブレード2、2a…間の距離より短く設定している。
【実施例0018】
図8は、本発明に係るローターミキサー用ミキシングローターの実施例4の正面図、図9は、図8のミキシングローターの概略展開図であり、このローターミキサー用ミキシングローターの実施例4は、上記実施例3と略同一構成であるが、縦ブレード部6が長く、隣接する基端側のブレード列3、3a…のブレード2、2a…間の隙間4、4a…を仕切っている。
【0019】
そして、図3に示す様に、本発明に係るミキシングローターを、先端にノズル部10a が形成されたケーシング10に内蔵したロータリーミキサー11を、二液混合型注入機本体12のヘッド部13に装着すると共に、上記ミキシングローターを駆動モーター14に連結し、ヘッド部13の両側部に対向状態で配設した、2種類の薬液を供給する手段15、15a からロータリーミキサー11内に2種類の薬液を供給し、回転状態の上記ミキシングローターにより2種類の薬液を混合する。
【0020】
その際に、図2に示す様に、薬液が基端側の隣接する一対のブレード2、2a…間の隙間4、4a…を通過後、先端側のブレード2、2a…における縦ブレード部6で分流され、隣接する隙間4a、4b…からの薬液と合流した後に先端側の一対のブレード2、2a…間の隙間4、4a…を通過後、先端側のブレード2、2a…における縦ブレード部6で再度分流されることを繰り返すことで蛇行流化させて、2種類の薬液を完全且つ均一に混合する。
【0021】
例えば、従来技術と同構成で、螺旋1周期分で4枚の割合で配列されたブレードを有した、ブレード相互間の隙間が軸線方向に一直線に揃って配置された4本の隙間列が形成されたミキシングローターを内蔵したミキサーと、実施例1と同構成で、螺旋2周期分で5枚の割合で配列されたブレードを有したミキシングローターを内蔵したミキサーとを、同じ二液混合型注入機に装着し、同回転数でミキシングローターを回転させた状態で薬液が完全に混合されないままどこまで到達するのかを比較した結果、前者を「1」とした場合に後者は「0.28」との結果が得られたことからも明らかである。
【符号の説明】
【0022】
1 軸部
2、2a… ブレード
3、3a… ブレード列
4、4a… 隙間
5 横ブレード部
6 縦ブレード部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10