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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096294
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】連成計
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/10 20060101AFI20220622BHJP
   G01L 7/04 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
G01L19/10
G01L7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209323
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】396003216
【氏名又は名称】株式会社イチネンTASCO
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】孟山 英起
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055BB03
2F055BB10
2F055CC03
2F055DD20
2F055EE01
2F055FF05
2F055GG03
(57)【要約】
【課題】負圧を読み取り易くする連成計、及び、それを備えたゲージマニホールドを提供する。
【解決手段】連成計21は、大気圧(0MPa)より高い正圧を示すための正圧表示領域と、大気圧(0MPa)より低い負圧を示すための負圧表示領域と、を含む表示板21Bと、測定された圧力に応じて表示板上の所定の位置を指す指針21Aと、表示板21B及び指針21Aを覆う保護カバー21Cと、保護カバー21Cの一部に設けられ、負圧表示領域を拡大表示する拡大レンズ21Dと、を備える。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧より高い正圧を示すための正圧表示領域と、前記大気圧より低い負圧を示すための負圧表示領域とを含む表示板と、
測定された圧力に応じて表示板上の所定の位置を指す指針と、
前記表示板および前記指針を覆うカバーと、
前記カバーの一部に設けられ、前記負圧表示領域を拡大表示する拡大部と、
を備える、連成計。
【請求項2】
前記拡大部は、前記負圧表示領域の全域を拡大表示し、前記正圧表示領域については大気圧の周囲のみの領域を拡大するか、又は、前記正圧表示領域を拡大表示しない、
請求項1に記載の連成計。
【請求項3】
前記拡大部は拡大レンズである、
請求項1又は請求項2に記載の連成計。
【請求項4】
前記指針は、測定された圧力に応じて所定の回転軸回りを回転することで前記正圧表示領域及び前記負圧表示領域を移動し、
前記回転軸回りにおいて、前記負圧表示領域の角度範囲が、前記正圧表示領域の角度範囲よりも小さい、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の連成計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連成計に関する。
【背景技術】
【0002】
空調工具の一つにゲージマニホールドと呼ばれる工具がある。ゲージマニホールドは連成計を備えている。連成計は、負圧から正圧まで幅広く測定することができる。そして、このような連成計において、負圧及び正圧を読み取り易くしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、流体内の圧力を測定する圧力指示器が開示されている。この圧力指示器は加圧流体の作用を受けて変形可能な膜を備え、圧力が印加されることで変形する膜を視認して圧力が測定されるようになっている。特許文献1に記載の圧力指示器は、変形する膜の周囲に拡大鏡を設置して、変形する膜を視認しやすくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014-524014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の圧力指示器は、測定する圧力を膜の変形で示している。しかしながら、連成計は測定する圧力を数値で示すことが一般的である。そして、そのような連成計には、アナログ構造のものと、デジタル構造のものとがある。デジタル構造の場合、測定した圧力をデジタル表示するため、視認し易く、読み間違えなどがないというメリットがある。一方で、電源がないと測定できず、変動する圧力を直感的に読み取りにくいというデメリットがある。このため、アナログ構造の連成計を用いることが望まれるケースもある。
【0006】
しかしながら、アナログ構造であって、負圧から正圧まで幅広く測定できる連成計である場合、測定する圧力の目盛りは細かくなる。特に、負圧は正圧に比べて圧力範囲が小さく設定されているため、負圧の目盛りは、正圧の目盛りよりも視認しづらく、連成計を用いた作業に支障を来すおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、負圧を読み取り易くする連成計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の連成計は、
大気圧より高い正圧を示すための正圧表示領域と、前記大気圧より低い負圧を示すための負圧表示領域とを含む表示板と、
測定された圧力に応じて表示板上の所定の位置を指す指針と、
前記表示板および前記指針を覆うカバーと、
前記カバーの一部に設けられ、前記負圧表示領域を拡大表示する拡大部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、負圧が読み取り易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、ゲージマニホールドの正面図である。
図2図2は、図1のゲージマニホールドを下方から視た図である。
図3図3は、連成計の表示部分の一例を示す図である。
図4図4は、連成計の拡大レンズの他の例を示す図である。
図5図5は、拡大レンズの別の例を示す図である。
図6図6は、拡大レンズの別の例を示す図である。
図7図7は、表示板と、保護カバーとの間に、拡大レンズを配置した連成計を側面から視た断面図である。
図8図8は、拡大レンズをクリップで取り付けた連成計の正面図である。
図9図9は、拡大レンズをバンドで取り付けた連成計の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、ゲージマニホールド1の正面図である。図2は、図1のゲージマニホールド1を下方から視た図である。図3は、連成計21の表示部分の一例を示す図である。
【0012】
本実施形態では、ゲージマニホールド1は、エアコンなどの空調機器の設置時において、空調機器の内部を真空にし(真空引き)、冷媒を充填する際に用いられるものとして説明する。空調機器を設置する際、空調機器内に空気が残存した状態とすると、空気中の水分が冷やされて凍りつき、本来の空調性能を得られなかったり、空調機器が故障したりすることがある。そこで、空調機器を設置する際、真空引きが行われる。このとき、真空となっているかを確認するために、連成計が用いられる。また、空調機器の冷媒管に冷媒ガスを充填する際の冷媒圧力を確認するためにも、連成計が用いられる。
【0013】
ゲージマニホールド1は流路部10を備えている。流路部10は、空調機器の設置時に、一時的に空調機器に接続される。流路部10は略直方体形状であって、その下面には、空調機器及びボンベと繋ぐホース(不図示)が接続される接続ポート11、12、13、14が設けられている。接続ポート11は流路部10内部の流路(不図示)を通じて連成計21に繋がり、接続ポート14は連成計22に繋がっている。接続ポート11と連成計21とを繋ぐ流路と、接続ポート14と連成計22とを繋ぐ流路とは、一の流路で繋がっている。接続ポート12、13は、その一の流路に繋がっている。つまり、接続ポート11、12、13、14は、流路部10内部の流路を通じて互いに連通している。
【0014】
接続ポート11に接続されるホースは例えば空調機器の低圧側へ繋がる。接続ポート12に接続されるホースは例えば真空ポンプへ繋がる。接続ポート13に接続されるホースは、例えば冷媒ボンベへ繋がる。冷媒ボンベは、空調機器へ冷媒を注入するためのボンベである。接続ポート14に接続されるホースは例えば空調機器の高圧側へ繋がる。
【0015】
また、流路部10には、低圧側バルブ15、真空用バルブ16、冷媒用バルブ17、及び高圧側バルブ18が設けられている。低圧側バルブ15は接続ポート11と他の接続ポートとを接続・遮断する。真空用バルブ16は接続ポート12と他の接続ポートとを接続・遮断する。冷媒用バルブ17は接続ポート13と他の接続ポートとを接続・遮断する。高圧側バルブ18は接続ポート14と他の接続ポートとを接続・遮断する。
【0016】
低圧側バルブ15、真空用バルブ16、冷媒用バルブ17、及び高圧側バルブ18を開閉することで、接続ポート11、12、13、14それぞれに接続されるホースの流路が連通され、又は、遮断される。例えば、空調機器の内部を真空にする場合には、低圧側バルブ15、真空用バルブ16、及び高圧側バルブ18を開ける。これにより、接続ポート11、12、14それぞれに接続されるホースの流路が連通するようになる。なお、接続ポートの数はこれに限定されず、例えば3つであってもよく、適宜変更可能である。また、各接続ポートの接続先は、上記に限定されず、適宜変更可能である。
【0017】
ゲージマニホールド1は、連成計21と、連成計22とを備えている。連成計21は、接続ポート11に流れる流体の圧力を測定する。連成計22は、接続ポート14に流れる流体の圧力を測定する。連成計21、22は、測定する圧力値をアナログ表示する。測定値をアナログ表示することで、デジタル表示では実現することのできない、圧力の時系列変化を直感的に作業者に認識させることができる。連成計21、22は、同じ構成であるため、以下では、連成計21について説明する。
【0018】
連成計21は、指針21Aと、表示板21Bと、指針21A及び表示板21Bを覆う保護カバー21Cと、保護カバー21Cの一部に設けられた拡大レンズ21Dと、ゼロ点調整ネジ21Eと、を有している。
【0019】
連成計21は、例えばブルドン管式圧力計等であり、指針21Aは、測定された圧力に応じて所定の回転軸回りを回転する。ゼロ点調整ネジ21Eは、指針21Aを大気圧(0MPa)に調整するためのネジである。図示しないが、保護カバー21Cには、ゼロ点調整ネジ21Eに対向する位置に穴が形成されていて、その穴を介して、ゼロ点調整ネジ21Eに対して工具が差し込み可能となっている。
【0020】
表示板21Bは、圧力を表す数値の目盛りが配されている。なお、本実施形態では、表示板21Bには、温度を表す数値の目盛りも配されている。表示板21Bの目盛りが表示される領域には、大気圧より高い正圧を示すための正圧表示領域と、大気圧より低い負圧を示すための負圧表示領域とがある。正圧表示領域には、下限を0MPa、上限を例えば3.8MPaとする範囲で、0.1MPa単位の目盛りが配置されている。負圧表示領域には、下限を-0.1MPa、上限を0MPaとする範囲で、例えば0.02MPa単位の目盛りが配置されている。なお、正圧表示領域における目盛りの上限、負圧表示領域における目盛りの下限は特に限定されない。
【0021】
正圧表示領域の目盛りと、負圧表示領域の目盛りとは、指針21Aの回転軸を中心とする周方向に沿って、一続きに配置されている。つまり、圧力を表す数値の目盛りは、下限を-0.1MPa、上限を3.8MPaとする範囲で配置されている。そして、上述の指針21Aは、回転軸回りを回転することで-0.1MPaから3.8MPaまでの範囲(正圧表示領域及び負圧表示領域)を移動する。
【0022】
ここで、負圧表示領域の目盛りの範囲は、正圧表示領域の目盛りの範囲よりも十分小さい。つまり、指針21Aの回転軸を中心とした周方向において、負圧表示領域の角度範囲は、正圧表示部の角度範囲よりも十分に小さい。仮に、表示板21Bのサイズが十分に大きければ、負圧表示領域の目盛り間隔を広くすることができるが、携帯性の観点からは表示板のサイズは小さい方が好ましい。具体的には、直径10cm以下、より好ましくは直径8cm以下である。しかし、そのような小さいサイズの場合には、負圧表示領域の目盛りの表示幅が相対的に小さくなり、視認が困難になる。本実施形態では、負圧表示領域の角度範囲と、正圧表示部の角度範囲との比率は約1/38である。このため、連成計21で負圧を測定する場合、正圧を測定する場合と比べて負圧の測定値を視認しづらく、作業効率が低下するおそれがある。例えば、本発明の作用効果は、正圧表示部の角度範囲との比率が1/10以上である場合に得られやすく、この比率が1/20以上の場合に顕著となり、1/30以上の場合により顕著となる。
【0023】
そこで、本実施形態では、連成計21は拡大レンズ21Dを備えている。拡大レンズ21Dは、負圧表示領域を拡大表示する拡大部である。拡大レンズ21Dは、指針21A及び表示板21Bを覆う保護カバー21Cにおいて、負圧表示領域と対向する位置に、保護カバー21Cと一体的に設けられている。拡大レンズ21Dは、例えば凸レンズであり、表示板21Bから遠ざかる方向に向けて凸となっている。なお、拡大レンズ21Dは、複数のレンズを表示板21Bの表面と直交する方向に並べた組み合わせレンズであってもよい。また、拡大レンズ21Dは、図3に示すように正圧表示領域には重なっていなくてもよいし、図4に示すように、その一部が、正圧表示領域における大気圧(0MPa)の周囲の一部と重なっていてもよい。図4は、連成計21の拡大レンズ21Dの他の例を示す図である。
【0024】
また、図3及び図4では、拡大レンズ21Dは丸型で示しているが、形状は特に限定されない。図5及び図6は、拡大レンズ21Dの別の例を示す図である。例えば、図5に示すように、目盛りに沿った円弧状であってもよいし、図6に示すように、四角形状であってもよい。また、本実施形態では、拡大レンズ21Dは、負圧表示領域の数値の一部を拡大表示しているが、図4に示すように、負圧表示領域の数値の全部を拡大表示してもよい。
【0025】
また、拡大レンズ21Dは、正圧表示領域を拡大表示する場合、負圧表示領域が拡大表示されている角度範囲より小さい角度範囲を拡大表示してもよいし、負圧表示領域が拡大表示されている角度範囲と同じ角度範囲だけ拡大表示してもよいし、負圧表示領域が拡大表示されている角度範囲より大きい角度範囲を拡大表示してもよい。但し、拡大レンズ21Dによって、負圧表示領域が拡大表示されている角度範囲より大きい角度範囲が拡大表示される場合でも、拡大レンズ21Dは、正圧表示領域のうちの一部のみを拡大表示する。負圧表示領域と、正圧表示領域のうちの一部とを拡大表示することにより、保護カバー21Cが固定されており、上記したゼロ点調整ネジ21Eのための穴が保護カバー21Cに設けられた構成において、ゼロ点調整ネジ21Eによるゼロ点調整がしやすくなるという効果がある。
【0026】
拡大レンズ21Dを負圧表示領域に重ねて設けることで、負圧表示領域の目盛りは拡大表示される。これにより、作業者は、負圧の測定値を視認し易くなり、作業効率が低下することを回避することができる。
【0027】
なお、拡大レンズ21Dは、保護カバー21Cの表面に沿って保護カバー21Cと一体的に設けられた構成としているが、保護カバー21Cより内側に位置するように設けられてもよい。例えば、図7に示すように、拡大レンズ21Dは、表示板21Bと、保護カバー21Cとの間に位置するように設けられてもよい。図7は、表示板21Bと、保護カバー21Cとの間に、拡大レンズ21Dを配置した連成計を側面から視た断面図である。
【0028】
また、拡大レンズ21Dは、保護カバー21Cより外側に位置するように設けられてもよい。例えば、拡大レンズ21Dは、図8に示すように、クリップ21Fにより保持され、そのクリップ21Fで連成計21を厚み方向に挟むことで、保護カバー21Cに固定されるようになっていてもよい。図8は、拡大レンズ21Dをクリップ21Fで取り付けた連成計の正面図である。さらに、拡大レンズ21Dは、図9に示すように、バンド21Gにより保持され、そのバンド21Gを連成計21に固定することで、保護カバー21Cに固定されるようになっていてもよい。図9は、拡大レンズ21Dをバンド21Gで取り付けた連成計の正面図である。また、保護カバー21Cに、さらに透明なカバーを取り付けるようにして、そのカバーに拡大レンズ21Dを設けるようにしてもよい。これらの場合、拡大レンズ21Dは、保護カバー21Cに対して着脱自在としてもよい。着脱自在とする場合、作業時のみ拡大レンズ21Dを装着することで、作業していないときに太陽光が拡大レンズ21Dで集光されること回避できる。また、拡大レンズ21Dは、透明な粘着剤等によって保護カバー21Cに貼り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ゲージマニホールド
10 流路部
11、12、13、14 接続ポート
15 低圧側バルブ
16 真空用バルブ
17 冷媒用バルブ
18 高圧側バルブ
21、22 連成計
21A 指針
21B 表示板
21C 保護カバー
21D 拡大レンズ
21E ゼロ点調整ネジ
21F クリップ
21G バンド

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9