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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096296
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】ロボティックスカメラワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20220622BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20220622BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220622BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20220622BHJP
【FI】
H04N5/232 990
H04N5/232 030
H04N5/222 100
H04N5/232 960
H04N5/232 480
G03B15/00 P
G03B17/56 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209328
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田原 知明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康文
(72)【発明者】
【氏名】稲越 隆久
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA06
2H105AA12
2H105AA51
5C122DA02
5C122EA41
5C122EA42
5C122EA63
5C122EA66
5C122FE05
5C122FH12
5C122GD01
5C122GD04
5C122GD06
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB06
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】限界曲面の付近において、オペレータの意図に近い軌道で、より長くカメラを移動し続けること。
【解決手段】カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、ロボットアームによってカメラを移動させることが可能な空間領域に関する情報を取得し、空間領域の外郭である限界曲面を越えてカメラを移動させる操作を受け付けた場合に、限界曲面の付近でカメラを限界曲面に沿わせるように移動させる処理を実行する、制御方法が提供される。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラと、
前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を制御するための制御部と、
前記ロボットアームによって前記カメラを移動させることが可能な空間領域に関する情報を保持する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記空間領域の外郭である限界曲面を越えて前記カメラを移動させる操作を受け付けた場合、前記限界曲面の付近で前記カメラを前記限界曲面に沿わせるように移動させる
ロボティックスカメラワークシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記カメラが前記限界曲面に近づくにつれて、前記カメラの移動速度のうち前記限界曲面に垂直な成分を徐々に低減させる
請求項1に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記限界曲面の内側に設定された第1の制限領域に前記カメラが侵入しないように制御し、前記第1の制限領域の内側に設定された第1の緩衝領域において、前記カメラの移動速度のうち前記限界曲面に垂直な成分を徐々に低減させる
請求項2に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記カメラを前記限界曲面に沿わせるように移動させているとき、前記カメラの移動速度のうち前記限界曲面に垂直な成分が0になった場合に前記カメラの移動を停止させる
請求項2又は3に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作に従って前記限界曲面を越えて前記カメラを移動させたと仮定した場合の前記カメラの位置で捉えられる被写体を、前記限界曲面に沿わせるように移動させた前記カメラで捉えるように前記カメラの向きを制御する
請求項1~4のいずれか1項に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記操作に従って前記限界曲面を越えて前記カメラを移動させたと仮定した場合の前記カメラの位置で捉えられる被写体の大きさと、前記限界曲面に沿わせるように移動させた前記カメラで捉えられる前記被写体の大きさとの差が小さくなるように前記カメラのズーム量を制御する
請求項1~5のいずれか1項に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項7】
前記ロボットカメラは、前記ロボットアームを支持するベースをさらに有し、
前記制御部は、前記ベースの中心付近にある前記カメラが到達できない第2の制限領域の境界に前記カメラが近づくにつれて、前記カメラの移動速度のうち前記第2の制限領域の境界に垂直な成分を徐々に低減させる
請求項1~6のいずれか1項に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2の制限領域に前記カメラが侵入しないように制御し、前記第2の制限領域の外側に設定された第2の緩衝領域において、前記カメラの移動速度のうち前記第2の制限領域の境界に垂直な成分を徐々に低減させる
請求項7に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記カメラのズーム量を制御してレンズの焦点距離を長くした場合、前記レンズの焦点距離に応じて、前記カメラの向きを変える速さを低減させる
請求項6に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項10】
前記カメラは、揺れ補正の機能を有し、
前記制御部は、前記カメラの移動が止まる直前に前記揺れ補正をオフにする
請求項1~9のいずれか1項に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項11】
前記カメラは、揺れ補正の機能を有し、
前記制御部は、前記カメラの移動が止まったときに前記揺れ補正によって生じる揺れ戻しの大きさを推定し、前記カメラの移動が止まる直前に、前記揺れ補正の強さを制御するための補正係数を前記揺れ戻しの大きさに基づいて調整する
請求項1~9のいずれか1項に記載のロボティックスカメラワークシステム。
【請求項12】
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するための制御装置であって、
前記ロボットアームによって前記カメラを移動させることが可能な空間領域に関する情報を保持する記憶部と、
前記空間領域の外郭である限界曲面を越えて前記カメラを移動させる操作を受け付けた場合、前記限界曲面の付近で前記カメラを前記限界曲面に沿わせるように移動させる制御部と
を備える、制御装置。
【請求項13】
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、
前記ロボットアームによって前記カメラを移動させることが可能な空間領域に関する情報を取得し、
前記空間領域の外郭である限界曲面を越えて前記カメラを移動させる操作を受け付けた場合に、前記限界曲面の付近で前記カメラを前記限界曲面に沿わせるように移動させる
処理を実行する、制御方法。
【請求項14】
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータに、
前記ロボットアームによって前記カメラを移動させることが可能な空間領域に関する情報を取得し、
前記空間領域の外郭である限界曲面を越えて前記カメラを移動させる操作を受け付けた場合に、前記限界曲面の付近で前記カメラを前記限界曲面に沿わせるように移動させる

処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボティックスカメラワークシステム、制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放送分野では、近年、ロボットカメラの技術に注目が集まっている。ロボットカメラは、撮影用のカメラと、カメラを移動させるためのロボットアームとで構成される。オペレータは、コントローラを操作してロボットアームの動きを遠隔制御し、カメラを移動させたり、カメラの向きを変えたりする。また、オペレータは、コントローラを操作してズームやフォーカスなどのカメラ設定を調整することができる。コントローラによる遠隔操作のため、高度な操作スキルを要するペデスタルやクレーンなどの機材を用いた従来の撮影スタイルに比べると操作が容易である。
【0003】
ロボットカメラに関し、下記の特許文献1では、カメラのパン、チルト、ロール、ズーム、及びカメラの3次元位置を同時に遠隔操作することが可能なモーションコントロールカメラが提案されている。このモーションコントロールカメラは、物理的にカメラを移動することが可能な限界位置に近づくにつれてカメラの移動速度を徐々に減少させ、その限界位置で静止するようにカメラの移動速度を制御する。この提案技術を適用することで限界位置でのカメラの急停止が回避されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-162737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットカメラはロボットアームを介してカメラを移動させるため、ロボットアームが届かない位置にカメラを移動させることはできない。カメラの移動限界は、最大に伸ばしたロボットアームの長さを半径とし、且つロボットアームの付け根部分(以下、基点)を中心とした球面(以下、限界曲面)になる。上記の提案技術を適用した場合、オペレータが限界曲面を越えてカメラを移動させようとしても、カメラの移動は、限界曲面に達した時点で完全に停止する。
【0006】
ロボットカメラでは、物理的に限界曲面の先へカメラを移動することはできないが、オペレータとしては、何とかして、もう少し先までカメラを移動したいと思うことがある。例えば、より上方から被写体を捉えたい場合、オペレータは、被写体を捉える向きが多少変わってもいいから、より高い位置にカメラを移動させたいと思うことがある。上記の提案技術を適用した場合、カメラが限界曲面の最高点になくても、限界曲面に達するとカメラの移動が止まってしまう。そのため、上記の提案技術では、上記のようなオペレータの要望に応えることができない。
【0007】
そこで、上記のような事情に鑑み、本開示の1つの観点によれば、本開示の目的は、限界曲面近傍において、もう少し先までカメラを移動し続けることが可能なロボティックスカメラワークシステム、制御装置、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様によれば、カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラと、カメラ及びロボットアームの動作を制御するための制御部と、ロボットアームによってカメラを移動させることが可能な空間領域に関する情報を保持する記憶部と、を備え、制御部は、空間領域の外郭である限界曲面を越えてカメラを移動させる操作を受け付けた場合、限界曲面の付近でカメラを限界曲面に沿わせるように移動させるロボティックスカメラワークシステムが提供される。
【0009】
本開示の第2の態様によれば、カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するための制御装置であって、ロボットアームによってカメラを移動させることが可能な空間領域に関する情報を保持する記憶部と、空間領域の外郭である限界曲面を越えてカメラを移動させる操作を受け付けた場合、限界曲面の付近でカメラを限界曲面に沿わせるように移動させる制御部とを備える、制御装置が提供される。
【0010】
本開示の第3の態様によれば、カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、ロボットアームによってカメラを移動させることが可能な空間領域に関する情報を取得し、空間領域の外郭である限界曲面を越えてカメラを移動させる操作を受け付けた場合に、限界曲面の付近でカメラを限界曲面に沿わせるように移動させる処理を実行する、制御方法が提供される。また、本開示の他の態様によれば、当該制御方法をコンピュータに実行させるプログラム及び当該プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読記録媒体(Non-transitory computer-readable storage medium)が提供されうる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、限界曲面近傍において、もう少し先までカメラを移動し続けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1実施形態に係るロボティックスカメラワークシステムについて説明するための模式図である。
図2】ロボットカメラの構造について説明するための模式図である。
図3A】ロボットカメラによるカメラの移動限界について説明するための第1の模式図である。
図3B】ロボットカメラによるカメラの移動限界について説明するための第2の模式図である。
図4A】限界曲面付近におけるカメラの移動制御について説明するための第1の模式図である。
図4B】限界曲面付近におけるカメラの移動制御について説明するための第2の模式図である。
図5A】限界曲面付近におけるカメラの移動制御について説明するための第3の模式図である。
図5B】限界曲面付近におけるカメラの向き制御について説明するための模式図である。
図5C】限界曲面付近におけるカメラのズーム制御について説明するための第1の模式図である。
図5D】限界曲面付近におけるカメラのズーム制御について説明するための第2の模式図である。
図6A】基点付近におけるカメラの移動制御について説明するための第1の模式図である。
図6B】基点付近におけるカメラの移動制御について説明するための第2の模式図である。
図7A】ズーム量に応じた角速度の制御について説明するための第1の模式図である。
図7B】ズーム量に応じた角速度の制御について説明するための第2の模式図である。
図8】本開示の第1実施形態に係るロボットカメラの制御方法について説明するためのフロー図である。
図9A】パン軸の変換について説明するための第1の模式図である。
図9B】パン軸の変換について説明するための第2の模式図である。
図10】揺れ戻しの回避方法について説明するためのフロー図である。
図11A】本開示の一実施形態に係る制御部の機能及び記憶装置に格納される情報について説明するためのブロック図である。
図11B】補助機能設定テーブルについて説明するための図表である。
図12A】本開示の第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#1)について説明するための第1の図である。
図12B】本開示の第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#1)について説明するための第2の図である。
図12C】本開示の第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#1)について説明するための第3の図である。
図13A】本開示の第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#2)について説明するための第1の図である。
図13B】本開示の第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#2)について説明するための第2の図である。
図13C】本開示の第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#2)について説明するための第3の図である。
図14A】本開示の第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#3)について説明するための第1の図である。
図14B】本開示の第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#3)について説明するための第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1.第1実施形態>
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態(以下、第1実施形態)について説明する。なお、本明細書及び図面において実質的に同一の機能を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0014】
[1-1.ロボティックスカメラワークシステム]
図1を参照しながら、第1実施形態に係るロボティックスカメラワークシステム(以下、RCWS)について説明する。図1は、第1実施形態に係るロボティックスカメラワークシステムについて説明するための模式図である。
【0015】
図1に示すように、RCWSは、制御装置10、ロボットカメラ20、及びコントロールシステム30を含む。なお、図1に示したRCWSの構成は一例であり、例えば、制御装置10の一部又は全部の機能がロボットカメラ20又はコントロールシステム30に組み込まれてもよいし、制御装置10の一部又は全部の機能がロボットカメラ20及びコントロールシステム30に搭載されている制御ユニットに実装されてもよい。こうした変形例も第1実施形態の技術的範囲に属する。
【0016】
(制御装置)
制御装置10は、コントロールシステム30を介して行われたオペレータの操作に応じてロボットカメラ20の動作を制御するコンピュータである。制御装置10は、制御部11と、記憶装置12と、及び通信インターフェース13とを有する。
【0017】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphic Processing Unit)などのプロセッサである。記憶装置12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどのストレージデバイスである。通信インターフェース(IF)13は、有線又は無線の通信回線に接続するためのインターフェースである。
【0018】
記憶装置12には、プログラム12aが格納される。プログラム12aは、制御装置10に接続された可搬性の記録媒体14から取得されて記憶装置12に格納されてもよいし、通信インターフェース13を介して外部のサーバ又はストレージデバイスから取得されて記憶装置12に格納されてもよい。記録媒体14は、磁気記録媒体、光ディスク、半導体メモリなどである。制御部11は、記憶装置12から読み出されたプログラム12aに従って制御装置10の動作を制御する。
【0019】
(ロボットカメラ)
ロボットカメラ20は、カメラ21と、ロボットアーム22と、ベース23とを有する。カメラ21は、有線及び/又は無線の通信回線を通じて制御装置10と通信可能である。ロボットアーム22は、一端がベース23の基点(BP)に固定され、他端がカメラ21に接続される。ロボットアーム22の軸数は5以上が好ましい。図1に例示したロボットアーム22は、6軸のロボットアームであり、主に、アーム部A1、A2と、関節部J1~J6とで構成される。なお、ロボットアーム22の構造については後でさらに説明する。
【0020】
(コントロールシステム)
コントロールシステム30は、コントローラ31と、ディスプレイ32a、32b、32cとを含む。コントローラ31は、ロボットカメラ20を操作するための操作インターフェースである。ディスプレイ32a、32b、32cは、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro-Luminescence Display)などである。図1には3台のディスプレイ32a、32b、32cが示されているが、コントロールシステム30に含まれるディスプレイの台数は3以外であってもよい。
【0021】
ディスプレイ32a、32b、32cには、カメラ21で撮影されている映像、カメラ21の設定情報(ズーム、フォーカス、露出についてのパラメータなど)、カメラ21の位置及び向きに関する情報などが表示されうる。例えば、被写体M1、M2を含む撮影対象40の映像がディスプレイ32bに表示されうる。また、他のロボットカメラがある場合、他のロボットカメラで撮影している映像がディスプレイ32a、32b、32cのいずれかに表示されてもよい。オペレータは、ディスプレイ32a、32b、32cの表示内容を参照しながらコントローラ31を操作してロボットカメラ20の動作を制御する。
【0022】
(ロボットカメラの構造及び動き)
ここで、図2を参照しながら、ロボットカメラの構造について説明する。図2は、ロボットカメラの構造について説明するための模式図である。なお、図2に示したロボットカメラ20の構造は一例であり、第1実施形態に係る技術の適用範囲はこれに限定されず、5以上の軸を有する任意のロボットアームを備えたロボットカメラに対して第1実施形態に係る技術を適用可能である。
【0023】
図2に示すように、ロボットアーム22は、関節部J1の動きにより、ベース23の基点BPから鉛直上方に伸びた軸Z1を回転軸として、矢印m1の向きにロボットアーム22を動かす。また、ロボットアーム22は、関節部J2の動きにより、関節部J2の中心を通る軸X1を回転軸とした回転動作によって、矢印m2の向きにアーム部A1を動かす(軸Z1とX1は直交)。また、ロボットアーム22は、関節部J3の動きにより、関節部J3の中心を通る軸X2を回転軸とした回転動作によって、矢印m3の向きにアーム部A2を動かす(軸X1とX2は平行)。
【0024】
また、ロボットアーム22は、関節部J4の動きにより、関節部J4の中心を通る軸X3を回転軸とした回転動作によって、関節部J5の中心を通る軸Y1を矢印m4の向きに動かす(軸X3とZ1は直交、軸X3とY1は直交)。また、ロボットアーム22は、関節部J5の動きにより、関節部J5の中心を通る軸Y1を回転軸とした回転動作によって、(A)に示すように、関節部J6の中心を通る軸Z2を矢印m5の向きに動かす(軸Y1とZ2は直交)。また、ロボットアーム22は、関節部J6の動きにより、軸Z2を回転軸とした回転動作によって、カメラ21の光軸(軸Y2)を矢印m6の向きに動かす(軸Z2とY2は直交)。
【0025】
また、ロボットカメラ20は、矢印m1、m2、m3に対応するロボットアーム22の動きによってカメラ21の3次元位置を移動させる。また、ロボットカメラ20は、矢印m4、m5、m6に対応するロボットアーム22の動きによってカメラ21の向きを変える。カメラ21を水平に制御する場合、ロボットカメラ20は、軸X3とZ2が直交するように関節部J5の動きを制御する。カメラ21を水平に固定する場合、ロボットカメラ20は、その状態で矢印m5に対応する関節部J5の動きを固定する。
【0026】
なお、矢印m6の回転動作に対応する回転軸Z2は、従来の撮影機材(ペデスタル、クレーン、三脚など)におけるパン軸とは異なる点に注意が必要である。このパン軸の違いについては後でさらに説明する。
【0027】
(カメラの移動限界)
次に、図3A及び図3Bを参照しながら、ロボットカメラによるカメラの移動限界について説明する。図3Aは、ロボットカメラによるカメラの移動限界について説明するための第1の模式図である。図3Bは、ロボットカメラによるカメラの移動限界について説明するための第2の模式図である。
【0028】
上記のように、ロボットカメラ20は、ロボットアーム22の動きによってカメラ21を自在に移動させることができる。しかし、ロボットアーム22の先端が届く範囲は限られており、カメラ21を移動可能な領域は、基点BPを中心とし、且つ最大に伸ばした状態でのロボットアーム22の長さを半径とする球面(限界曲面LS)で囲まれた空間の内部である。限界曲面LSは、ロボットアーム22の構造によって決まる。図3Aには、説明を簡単にするために、限界曲面LSを形成する球面のうち、基点BPを通る水平面上の半球面が示されている。水平面下の半球面内における制御は、水平面上の半球面内における制御と実質的に同じであり、水平面を基準に上下を逆さにしたものとなる。そのため、以下では、水平面上の半球面内における制御について詳細に説明し、水平面下の半球面内における制御については説明を省略する。
【0029】
図3Aには、被写体OBJをほぼ正面に捉える位置(点a)から、被写体OBJを見下ろす位置にカメラ21を移動させる操作が示されている。この操作例の場合、カメラ21は、限界曲面LSの内部ではオペレータの操作に従って真上に移動するが、限界曲面LS上の点bに到達すると、限界曲面LSを越えて真上に移動することはできない。
【0030】
図3Aには、また、被写体OBJを正面に捉える位置(点c)から、被写体OBJに寄って行くようにカメラ21を水平移動させる操作(例えば、ドリー撮影時の操作に相当)が示されている。この操作例の場合も、カメラ21は、限界曲面LSの内部ではオペレータの操作に従って水平に移動するが、限界曲面LS上の点dに到達すると、限界曲面LSを越えて被写体OBJに近づくことはできない。
【0031】
ロボットアーム22の構造上、基点BPの近傍には、ロボットアーム22の先端が侵入できない領域(制限領域ALc)がある。例えば、図3Bに示すように、カメラ21は、点eから基点BPの背後に移動しようとしても制限領域ALcに侵入できない。水平面で切断した制限領域ALcの断面形状は円となる。但し、制限領域ALcの形状は、この例に限定されず、ロボットアーム22の構造によって決まりうる。
【0032】
上記のように、ロボットカメラ20には、限界曲面LSを越えてカメラ21を移動できないという第1の制限がある。また、ロボットカメラ20には、基点BP付近の制限領域ALcに侵入できないという第2の制限がある。これらの制限はロボットアーム22の構造に起因するため完全に取り去ることはできないが、第1実施形態では、カメラ21及びロボットアーム22の制御を工夫して、オペレータの意図に沿った、よりクオリティの高い映像が撮れるようにする仕組みを提案する。
【0033】
(限界曲面付近におけるロボットカメラの制御)
図4A及び図4Bを参照しながら、限界曲面付近におけるカメラの移動制御について説明する。図4Aは、限界曲面付近におけるカメラの移動制御について説明するための第1の模式図である。図4Bは、限界曲面付近におけるカメラの移動制御について説明するための第2の模式図である。
【0034】
図4Aには、限界曲面LSの内部にある点aから、カメラ21を真上に移動させる操作例が示されている。オペレータの操作は、カメラ21の移動速度を示す移動ベクトルVで表される。図4Aに示すように、限界曲面LSの内側(基点BPに近い側)には、第1の厚みを有する制限領域ALoが設定され、制限領域ALoの内側には、第2の厚みを有する緩衝領域ABoが設定されている。第1の厚みは、第2の厚み以下であってよい。
【0035】
制限領域ALoは、カメラ21の侵入が禁止される領域である。緩衝領域ABoでは、後述するように、制御部11によって移動ベクトルの向きや大きさが調整される。境界Biの内側(但し、制限領域ALcの外側)では、オペレータの操作に対応する移動ベクトルVに従ってカメラ21の移動が制御される。制限領域ALoと緩衝領域ABoとの境界Boは、基点BPを中心とし、且つ限界曲面LSより半径が小さい球面である。緩衝領域ABoの内側にある境界Biは、基点BPを中心とし、且つ境界Boよりも半径が小さい球面である。
【0036】
一般に、ロボットアームには保護停止機能が搭載されており、ロボットアームが伸びきった状態になると保護停止機能が働き、強制的にロボットアームの動きがロックされる。保護停止の際、ロボットアームの動きが急停止する。ロボットカメラ20で保護停止機能が働くとカメラ21の映像にショックが発生する。また、保護停止の状態から撮影を再開するためには、ロボットアーム22のロックを解除する必要がある。
【0037】
緩衝領域ABoでは、制御部11が移動ベクトルを調整してカメラ21の移動制御に介入する。具体的には、制御部11は、境界Boに徐々に近づくカメラ21の軌道TRを境界Boに沿うように変化させる。図4Aの例では、オペレータの操作に対応する移動ベクトルVに従ってカメラ21を移動させた場合にはカメラ21が点cの位置に移動するが、移動ベクトルVの調整によってカメラ21は、境界Boに沿うように点bの位置まで移動する。点bは、点cよりも高い位置にある。この制御により、カメラ21が限界曲面LSに達することはなく、保護停止による映像ショックは発生しない。さらに、移動ベクトルVの調整によって、より高い位置までカメラ21が移動できる。
【0038】
より詳細には、移動ベクトルVの調整は図4Bに示すような方法で行われる。まず、制御部11は、カメラ21が境界Biに達したことを検知する。次いで、制御部11は、オペレータの操作に対応する移動ベクトルVを、限界曲面LSの法線方向に対応する成分(以下、法線成分)と、限界曲面LSの接線方向に対応する成分(以下、接線成分)とに分ける。そして、制御部11は、移動ベクトルVの接線成分はそのままに、移動ベクトルVの法線成分を減少量g0だけ減少させて移動ベクトルV0を生成する。
【0039】
移動ベクトルV0を生成した制御部11は、移動ベクトルV0に従ってカメラ21を移動させる。カメラ21が限界曲面LSに平行な曲面S1に達すると、制御部11は、移動ベクトルV0を法線成分と接線成分とに分ける。そして、移動ベクトルV0の接線成分はそのままに、制御部11は、移動ベクトルV0の法線成分を減少量g1だけ減少させて移動ベクトルV1を生成する。
【0040】
移動ベクトルV1を生成した制御部11は、移動ベクトルV1に従ってカメラ21を移動させる。カメラ21が限界曲面LSに平行な曲面S2に達すると、制御部11は、移動ベクトルV1を法線成分と接線成分とに分ける。そして、移動ベクトルV1の接線成分はそのままに、制御部11は、移動ベクトルV1の法線成分を減少量g2だけ減少させて移動ベクトルV2を生成する。
【0041】
移動ベクトルV2を生成した制御部11は、移動ベクトルV2に従ってカメラ21を移動させる。カメラ21が限界曲面LSに平行な曲面S3に達すると、制御部11は、移動ベクトルV2を法線成分と接線成分とに分ける。そして、移動ベクトルV2の接線成分はそのままに、制御部11は、移動ベクトルV2の法線成分を減少量g3だけ減少させて移動ベクトルV3を生成する。移動ベクトルV3を生成した制御部11は、移動ベクトルV3に従ってカメラ21を移動させる。
【0042】
上記のように、制御部11は、逐次、移動ベクトルの法線成分を調整して移動ベクトルを更新し、更新された移動ベクトルに従ってカメラ21を移動させる。なお、制御部11は、移動ベクトルの法線成分が0になったタイミングでカメラ21の移動を停止する。
【0043】
上記の説明では、説明を容易にするために曲面S1、S2、S3で移動ベクトルを更新する方法を示したが、移動ベクトルを更新するタイミングは、上記の例に限定されない。例えば、移動ベクトルの更新タイミングは、境界Biからの距離や、境界Biを通過してからの時間などに基づく適切なタイミングに設定されてよい。例えば、曲面S1、S2、S3…が一定間隔で設定され、カメラ21の軌道が各曲面と交わるタイミングで移動ベクトルが更新されてもよいし、カメラ21が境界Biを通過してから一定時間毎に移動ベクトルが更新されてもよい。
【0044】
次に、法線成分の調整方法について説明する。上記のように、カメラ21が限界曲面LSに近づく方向に移動する場合、制御部11は、移動ベクトルの各更新タイミングで、移動ベクトルの法線成分を減少させる。法線成分の減少量(g0、g1、g2、g3、…)は、例えば、図5Aに例示したグラフG1、G2のように、限界曲面LSとカメラ21との間の距離に基づいて決定することができる。図5Aは、限界曲面付近におけるカメラの移動制御について説明するための第3の模式図である。
【0045】
図5Aを参照すると、緩衝領域ABoにおける法線成分の変化を表すグラフG1、G2が示されている。図5Aに示したグラフの横軸は限界曲面LSからの距離を示し、縦軸は移動ベクトルの法線成分を示す。制限領域ALoにはカメラ21が侵入できないため、限界曲面LSから境界Boの間については移動ベクトルの法線成分は0になる。境界Biの内側(基点BPに近い側)ではオペレータの操作に対応する移動ベクトルVに従ってカメラ21が移動するため、移動ベクトルの法線成分は、境界Biで移動ベクトルVの法線成分に一致する。また、移動ベクトルの法線成分は、境界Boに近づくにつれて減少し、境界Boで0になる。
【0046】
グラフG1では、境界Boからの距離と法線成分の減少量とが比例する。一方、グラフG2では、境界Boからの距離と法線成分の減少量との関係が非線形になる。グラフG2の場合、境界Bi、Boの中間地点に至るまでは、境界Biからの距離が大きくなるにつれて法線成分が緩やかに減少し、その中間地点を過ぎると法線成分が急速に減少する。制御部11は、グラフG1、G2のような設定情報に基づいて移動ベクトルの法線成分を調整してもよい。なお、グラフG1、G2は単なる例示に過ぎず、上記の例とは異なる調整方法が適用されてもよい。
【0047】
ところで、緩衝領域ABoで移動ベクトルの法線成分を減少させると、移動ベクトルVに従ってカメラ21を限界曲面LSまで移動させた場合とは異なる軌跡TRでカメラ21が移動する。そのため、意図せず被写体OBJがカメラ21の撮影範囲から外れてしまうことがある。そこで、制御部11は、図5Bに示すように、境界Biでカメラ21が捉えていた被写体OBJを撮影範囲から外さないようにカメラ21の向きを制御する。図5Bは、限界曲面付近におけるカメラの向き制御について説明するための模式図である。
【0048】
図5Bの例では、カメラ21の軌跡TRと境界Biとが交わる点bにおいて、カメラ21の光軸AXが被写体OBJを捉えている。この場合、制御部11は、点bにおける光軸AXの方向及び被写体OBJまでの距離を特定し、光軸AXが被写体OBJを捉え続けるようにカメラ21の向きを制御する。また、制御部11は、被写体OBJに焦点が合うようにカメラ21のフォーカスを制御する。変形例として、物体認識及びトラッキングなどの技術を利用してカメラ21が被写体OBJを捉え続けるように制御してもよい。
【0049】
上記の制御により、カメラ21は、オペレータが意図する撮影対象を捉え続けることができる。しかし、図4Aに示した点b、cの差から理解されるように、移動ベクトルの調整によって被写体OBJからカメラ21までの距離が変化する。被写体OBJからカメラ21までの距離がより大きくなれば、被写体OBJがより小さく映り、被写体OBJからの距離がより小さくなれば、被写体OBJがより大きく映る。そのため、移動ベクトルの調整によって、意図せず被写体OBJの大きさが変わってしまう。
【0050】
そこで、制御部11は、図5C及び図5Dに示すように、カメラ21のズームを制御して、移動ベクトルの調整に起因する被写体OBJのサイズ変化を抑制する。図5Cは、限界曲面付近におけるカメラのズーム制御について説明するための第1の模式図である。図5Dは、限界曲面付近におけるカメラのズーム制御について説明するための第2の模式図である。
【0051】
図5Cを参照すると、カメラ21が点bから点aへと遠ざかる様子が示されている。ここでは、カメラ21のフォーカスが被写体OBJに合っている状況を想定する。つまり、被写体OBJは、カメラ21の画角内で被写界深度に収まる空間領域(撮影範囲)内に位置するものとする。以下では説明を簡単にするため、被写体OBJが実線ISで示した合焦面(像面)に位置するものとする。
【0052】
レンズの焦点距離を変えずに点bから点aへと移動すると画角が変わらないため、点aにおける撮影範囲は、点bにおける撮影範囲よりも大きくなる。そのため、被写体OBJが小さく映る。そこで、制御部11は、図5Cに示すように、カメラ21のズームを制御して撮影範囲のサイズが変化しないように画角を調整する。カメラ21が被写体OBJに近づく場合も同様に、制御部11は、カメラ21のズームを制御して撮影範囲のサイズが変化しないように画角を調整する。上記の制御により、移動ベクトルを調整しても被写体OBJの大きさが維持される。
【0053】
ここで、どの位置にカメラ21がある場合の撮影範囲に合わせるのが好ましいかについて検討したい。第1の方法は、オペレータの操作に対応する移動ベクトルVに従ってカメラ21を移動したと仮定した場合の同じ時点での撮影範囲を推定し、その撮影範囲のサイズと同じになるようにカメラ21のズームを制御する方法である。第2の方法は、カメラ21が境界Biを通過した時点での撮影範囲を特定し、その撮影範囲のサイズと同じになるようにカメラ21のズームを制御する方法である。第1の方法によれば、よりオペレータの意図に沿うことができ、第2の方法によれば、ある程度オペレータの意図に沿いつつ制御装置10の処理負荷を低減することができる。
【0054】
(応用例:ドリーからズームへのシームレスシフト)
ここで、上述したズーム制御の応用例について説明する。図5Dには、カメラ21が点aから点bへと近づく様子が示されている。但し、点aは、緩衝領域ABoの境界Bo上にあり、カメラ21は、限界曲面LSに近い点bには移動できない。例えば、カメラドリーを利用して被写体OBJに寄る場合と同様に、カメラ21を水平移動して被写体OBJに近づけようとする場合に、オペレータが意図するよりもカメラ21が寄れないことがある。このような場合、制御部11は、図5Dに示すように、カメラ21のズームを制御して、点bにおける撮影範囲と同じサイズになるように画角を調整する。この制御により、点bまで寄った場合と同等の映像を撮影することができる。
【0055】
(変形例#1:接線成分の制御)
さて、上記の説明の中で、境界Boに近づくにつれて移動ベクトルの法線成分を減少させる方法を提案した。この提案方法では、移動ベクトルの法線成分は減少する一方、移動ベクトルの接線成分は維持される。ここでは、変形例#1として、移動ベクトルの法線成分だけでなく、接線成分も併せて減少させる方法を提案する。例えば、カメラ21と境界Boとの間の距離が小さくなるにつれ、その距離に応じて接線成分を減少させ、カメラ21が境界Boに達したタイミングで接線成分が0になるようにする。変形例#1の方法によれば、境界Boでのカメラ21の停止動作が滑らかになる。
【0056】
(変形例#2:シンプルな移動制御)
次に、変形例#2として、カメラ21が境界Boに達するまで移動ベクトルを調整せず、境界Boに達した後、境界Boに沿ってカメラ21を移動させる方法を提案する。この方法では、境界Boに沿ってカメラ21を移動させる場合に、移動ベクトルVの接線成分に従ってカメラ21を移動させる。そして、移動ベクトルVの法線成分が0になったタイミングでカメラ21の移動を停止させる。変形例#2の方法によれば、移動ベクトルの調整を行わない分だけ制御装置10の処理負荷が低減される。なお、変形例#2の方法を適用する場合も、制御部11は、図5Bの方法でカメラ21の向きを制御し、図5Cの方法でカメラ21のズームを制御する。
【0057】
(基点付近におけるロボットカメラの制御)
次に、図6A及び図6Bを参照しながら、基点付近におけるカメラの移動制御について説明する。図6Aは、基点付近におけるカメラの移動制御について説明するための第1の模式図である。図6Bは、基点付近におけるカメラの移動制御について説明するための第2の模式図である。
【0058】
図3Bを参照しながら説明したように、ロボットアーム22の構造上、基点BPの近くにもカメラ21が侵入できない制限領域ALcがある。第1実施形態では、図6Aに示すように、制限領域ALcの外側に緩衝領域ABcを設ける。カメラ21は、制限領域ALcと緩衝領域ABcとの境界BCiより内側には侵入できない。境界BCoを挟んで緩衝領域ABcの外側にある領域では、オペレータの操作に対応する移動ベクトルVに従ってカメラ21は移動する。緩衝領域ABcでは、境界BCiに近づくにつれてカメラ21の移動速度が徐々に低減される。
【0059】
例えば、緩衝領域ABcにおけるカメラ21の移動速度(絶対値)は、図6BのグラフGC1、GC2のように、境界BCiからの距離に基づいて制御される。図6Bには、緩衝領域ABcにおける移動速度の変化を表すグラフGC1、GC2が示されている。図6Bに示したグラフの横軸は境界BCiからの距離を示し、縦軸は移動速度の絶対値を示す。制限領域ALcにはカメラ21が侵入できないため、境界BCiに達すると移動速度は0になる。境界BCoの外側(基点BPから遠い側)では、オペレータの操作に対応する移動ベクトルVに従ってカメラ21が移動する。そのため、移動速度の絶対値は、境界BCoで移動ベクトルVの大きさに一致し、境界BCiに近づくにつれて減少し、境界BCiで0になる。
【0060】
グラフGC1は、境界BCoからの距離に比例して移動速度が減少することを示している。一方、グラフGC2は、境界BCi、BCoの中間地点に至るまでは、境界BCoからの距離が大きくなるにつれて移動速度が緩やかに減少し、その中間地点を過ぎると移動速度が急速に減少することを示している。制御部11は、グラフGC1、GC2のような設定情報に従ってカメラ21の移動速度を減少させる。なお、図6Bに示したグラフGC1、GC2は単なる例示に過ぎず、異なる法則に従ってカメラ21の移動速度を制御してもよい。緩衝領域ALcでカメラ21の移動速度を徐々に減少させることで、境界BCiでカメラ21が滑らかに停止する。
【0061】
変形例として、移動速度の絶対値ではなく、境界BCiの法線方向に対応する移動速度の成分を制御してもよい。この場合、カメラ21は、境界BCiに沿って制限領域ALcを避けるように移動する。そのため、境界BCiでのカメラ21の急停止を避けることができる。
【0062】
(ズーム量に応じた角速度の制御)
次に、図7A及び図7Bを参照しながら、ズーム量に応じて、カメラ21の向きを変える速さ(以下、角速度)を調整する方法について説明する。図7Aは、ズーム量に応じた角速度の制御について説明するための第1の模式図である。図7Bは、ズーム量に応じた角速度の制御について説明するための第2の模式図である。
【0063】
図5C及び図5Dを参照しながら説明したように、制御部11は、カメラ21のズームを活用する。ズームを活用することによって、意図せず被写体OBJの大きさが変わってしまうことを避けたり、境界Boを越えて被写体OBJに寄ったように見せることができる。一方、画角が狭くなれば、図7Aに示すように、カメラ21の向きを僅かに動かしただけでも撮影範囲が大きく移動する。そこで、上述したズーム制御によって画角を調整した場合、制御部11は、図7Bに示すように角速度を小さくし、点aでの撮影範囲と点bでの撮影範囲とが重なるように制御する。
【0064】
画角は、レンズの焦点距離及びイメージセンサのサイズに基づいて決まる。撮影範囲の大きさは、レンズ焦点距離に比例する。例えば、焦点距離が50mmのレンズで撮影した被写体の大きさを1とすると、焦点距離が100mmのレンズで撮影した被写体の大きさは2となる。レンズがワイド端にある場合の角速度(最大速度)をu0、ある時点でのワイド端に対するレンズの倍率をqとすると、制御部11は、その時点での角速度uを下記の式(1)に従って調整する。例えば、ワイド端での焦点距離が7.6mm、ある時点での焦点距離が38mmの場合、「5=38/7.6」であるため、その時点での角速度は最大速度u0の1/5に調整される。
【0065】
u=u0/q …(1)
【0066】
上述した角速度の調整によって、ズーム制御によって画角を調整した場合でも、オペレータは、調整前に近い操作感で操作することができるようになる。
【0067】
[1-2.ロボットカメラの制御方法]
次に、図8を参照しながら、上述したロボットカメラの制御に係る処理の流れについて説明する。図8は、第1実施形態に係るロボットカメラの制御方法について説明するためのフロー図である。
【0068】
なお、以下では、説明を簡単にするために、図4に示した例のようにオペレータによる移動操作が継続される状況を想定して説明を行う。但し、オペレータが移動操作を止めて移動ベクトルVが0になった場合、カメラ21の移動は止まる。
【0069】
(S101)制御部11は、オペレータの操作に対応する移動ベクトルVに従ってカメラ21を移動させる。また、制御部11は、カメラ21の位置を監視し、基点BP付近に設定されている緩衝領域ABcにカメラ21が入った場合には、例えば、図6Bに示した方法でカメラ21の移動速度を制御する。なお、カメラ21の位置は、ロボットアーム22のTCP(Tool Center Point)に基づいて特定されうる。また、カメラ21の位置として、近似的にTCPを利用してもよい。
【0070】
(S102)制御部11は、カメラ21が緩衝領域ABoに入ったか否かを判定する。カメラ21が緩衝領域ABoに入った場合、処理はS103へと進む。一方、カメラ21が緩衝領域ABoに入っていない場合、処理はS101へと進む。
【0071】
(S103)制御部11は、例えば、図4B及び図5Aに示した方法で、緩衝領域ABoと制限領域ALoとの境界Boからの距離に基づいて、移動ベクトルの法線成分を調整する。そして、制御部11は、調整後の移動ベクトルに従ってカメラ21を移動させる。
【0072】
(S104)制御部11は、例えば、図5Bに示した方法で、被写体OBJが撮影範囲から外れないようにカメラ21の向きを調整する。また、制御部11は、例えば、図5Cに示した方法で、撮影範囲のサイズが維持されるようにズーム量(倍率)を調整する。ズーム量を調整した場合、制御部11は、カメラ21の向きを変えるとき、図7Bに示した方法で、カメラ21の向きを変える速さ(角速度)を調整する。
【0073】
(S105)制御部11は、移動ベクトルの法線成分が0になったか否かを判定する。移動ベクトルの法線成分が0になった場合、処理はS106へと進む。一方、移動ベクトルの法線成分が0になっていない場合、処理はS103へと進む。
【0074】
(S106)制御部11は、カメラ21の移動を停止する。
【0075】
(S107)制御部11は、オペレータの操作を監視し、制限領域ALoから離れる向きにカメラ21を移動させる操作があるか否かを判定する。制限領域ALoから離れる向きにカメラ21を移動させる操作がある場合、処理はS108へと進む。一方、制限領域ALoに向かう方向に移動させる操作が継続している場合、処理はS106へと進み、カメラ21の移動停止状態が継続する。
【0076】
(S108)制限領域ALoから離れる向きにカメラ21を移動させる操作の場合、制御部11は、カメラ21が緩衝領域ABo内にある場合でも、オペレータの操作に従ってカメラ21を移動させる。また、制御部11は、カメラ21が緩衝領域ABoを出たか否かを判定する。カメラ21が緩衝領域ABoを出た場合、処理はS101へと進む。緩衝領域ABo内で、オペレータの操作が、カメラ21を制限領域ALoに向かう方向に移動させる操作に変わった場合、処理はS103へと進む。
【0077】
[1-3.パン軸の変換]
次に、図9A及び図9Bを参照しながら、ロボットカメラ20におけるパン軸と、従来の撮影機材におけるパン軸との違いについて述べ、両者の違いを吸収するためにパン軸を変換する方法について説明する。図9Aは、パン軸の変換について説明するための第1の模式図である。図9Bは、パン軸の変換について説明するための第2の模式図である。
【0078】
図9Aに示すように、三脚を利用する場合、三脚の雲台にカメラが接続され、雲台を基点にカメラの向きを変えることができる。この場合、パン軸は、基点を通り水平面に垂直な軸となる。そのため、カメラがチルトしていても、パンによるカメラの回転は水平面内での回転になる。ここでは三脚を例に挙げたが、ペデスタルやクレーンなどの機材を利用する場合も同様である。一方、ロボットカメラ20におけるZ2軸での回転は、カメラ21をチルトした場合に、チルト角だけ傾いた面内での回転になる。つまり、三脚などを利用した場合のパン軸と、ロボットカメラ20におけるZ2軸とは特性が異なる。
【0079】
従来の撮影機材を長年利用しているオペレータは、慣れるまで、上記のような軸の違いに戸惑うかもしれない。そこで、第1実施形態では、制御部11が、上記のような軸の違いを吸収し、従来の撮影機材と同じように操作できるようにする。なお、この機能は、オペレータがオン/オフできるようにしてもよい。
【0080】
撮影時、オペレータは、画面の映像を見ながらコントローラ31を操作してロボットカメラ20を制御する。このとき、オペレータは、画面に表示されるカメラ映像を基準とした座標系(以下、カメラ座標系)でロボットカメラ20の動作を指示する。一方、ロボットカメラ20は、設置位置を基準とした座標系(以下、ベース座標系)で動作する。そのため、オペレータの動作指示は、制御部11によるカメラ座標系からベース座標系への変換を経てロボットカメラ20に伝達される。
【0081】
座標変換は、下記の式(2)で示される行列Rn(θ)(ロドリゲスの回転公式の表現行列)に基づいて実行される。行列Rn(θ)は、図9Bに示すように、3次元空間で原点Oを通る任意の回転軸の周りに、位置ベクトルrを角度θだけ回転させる回転行列である。nは、n=(n1,n2,n3)で定義され、回転軸方向の単位ベクトルを表す。位置ベクトルr’は、行列Rn(θ)を用いて、下記の式(3)のように表現される。
【0082】
【数1】
…(2)
r’=Rn(θ)r …(3)
【0083】
ベース座標系において、カメラ21の位置は位置ベクトル(x,y,z)で表現され、カメラ21の向きは回転ベクトル(rx,ry,rz)で表現される。以下、(x,y,z,rx,ry,rz)を座標パラメータと称する。なお、オペレータの操作に対応する操作ベクトルは、カメラ座標系における位置ベクトルと回転ベクトルとを組み合わせた座標パラメータで表現されうる。座標変換の際、カメラ座標系の操作ベクトルは、回転ベクトル(rx,ry,rz)でベース座標系から回転させたものとみなす。これにより、行列Rn(θ)を用いてカメラ座標系の操作ベクトルをベース座標系の操作ベクトルに変換することができる。
【0084】
まず、制御部11は、現在の座標パラメータを取得し、その成分である回転ベクトル(rx,ry,rz)が上記の式(2)の回転行列nであるとみなす。また、制御部11は、オペレータの操作に対応する座標パラメータを、位置ベクトルの成分と回転ベクトルの成分とに分ける。そして、制御部11は、その回転ベクトルの成分からパン成分(rz)を除外してチルト・ロール成分を抽出する。ここで、オペレータの操作に対応する位置ベクトルの成分をベクトルw1=(w11,w12,w13)、回転ベクトルの成分から抽出されたチルト・ロール成分をベクトルw2=(w21,w22,0)と表記する。
【0085】
制御部11は、行列Rn(θ)を用いて、下記の式(4)に従ってベクトルw1をベクトルw3=(w31,w32,w33)に変換する。なお、θ=(rx2+ry2+rz21/2である。同様に、制御部11は、行列Rn(θ)を用いて、下記の式(5)に従ってベクトルw2をベクトルw4=(w41,w42,w43)に変換する。また、制御部11は、ベクトルw2を抽出する際に除外したパン成分(rz)をベクトルw4の第3成分(w43)に加算してベクトルw4’を生成する。そして、制御部11は、ベクトルw3を位置ベクトルの成分とし、ベクトルw4’を回転ベクトルの成分とする座標パラメータを用いてロボットカメラ20を制御する。
【0086】
3=Rn(θ)w1 …(4)
4=Rn(θ)w2 …(5)
【0087】
上記の制御によって、従来の機材でパン操作を行った場合と同じ動きを実現することができ、オペレータは、従来の機材を利用した場合と同じ撮影スタイルでロボットカメラ20による撮影を行うことが可能になる。これにより、従来の撮影スタイルに慣れているオペレータでも直感的に操作を行うことができるようになる。
【0088】
[1-4.揺れ戻し回避]
次に、図10を参照しながら、揺れ補正をオンにした状態でカメラ21の移動を停止させた場合に生じる揺れ戻しの回避方法について説明する。図10は、揺れ戻しの回避方法について説明するためのフロー図である。
【0089】
ロボットカメラ20のロボットアーム22には、工業用ロボットアームを適用することができる。一般に、工業用ロボットアームは、移動元で対象物を把持してから、移動先へ対象物を移動させる間の移動過程における動作が滑らかでない。そのため、工業用ロボットアームをロボットカメラ20に適用すると、移動中のカメラ映像が揺れてしまい、映像クオリティが低下する。そこで、カメラ映像の揺れを抑制するために揺れ補正機能を搭載した防振レンズを利用することが好ましい。
【0090】
防振レンズを利用することでカメラ映像の揺れが抑制され、映像クオリティが向上する。しかしながら、揺れ補正機能をオンにした状態で、カメラ21の移動が停止すると、停止した瞬間に揺れ補正の反動による揺れ戻しが発生する。この揺れ戻しを抑制するため、制御部11は、以下の処理(図10を参照)を実行する。
【0091】
(S201、S202)制御部11は、カメラ21の移動速度を監視する。また、制御部11は、カメラ21の移動を停止するか否かを判定する。カメラ21の移動が停止しそうな場合(例えば、移動速度の絶対値が所定の閾値より小さくなった場合)、処理はS203へと進む。カメラ21の移動が停止しそうにない場合(例えば、移動速度の絶対値が所定の閾値より大きい場合)、処理はS201へと進む。
【0092】
(S203、S204)制御部11は、防振レンズによる揺れ補正の強さを決める揺れ補正係数を低減する。このとき、制御部11は、揺れ補正係数を0にまで低減して揺れ補正をオフにしてもよい。また、制御部11は、停止直前の移動速度を制御する。
【0093】
例えば、制御部11は、揺れ補正をオフにしてもカメラ映像の揺れが許容範囲内に収まる移動速度まで速度を低減させ、その速度になったタイミングで揺れ補正をオフにする。変形例として、制御部11は、現在の移動ベクトルと揺れ補正係数の調整値とに基づいて停止直前の揺れ戻し量を推定し、揺れ戻し量が最小になる揺れ補正係数の調整値を特定し、そして、特定した調整値に基づいて停止直前に揺れ補正係数を調整してもよい。
【0094】
上記のように停止直前に揺れ補正係数を調整することで揺れ戻しに起因する映像クオリティの低下が抑制される。
【0095】
[1-5.実施例:制御装置の追加機能]
次に、図11Aを参照しながら、制御部11の機能について、さらに説明する。図11Aは、第1実施形態に係る制御部の機能及び記憶装置に格納される情報について説明するためのブロック図である。
【0096】
図11Aに示すように、制御部11は、可動域拡張機能111、パン軸変換機能112、及び揺れ戻し回避機能113を有する。
【0097】
可動域拡張機能111は、図4A図7Bを参照しながら説明した限界曲面LS及び基点BP付近での制御を実行する機能である。なお、記憶装置12には、限界曲面LS、制限領域ALo、ALc、緩衝領域ABo、ABcの情報を含む領域情報121が格納されている。可動域拡張機能111は、記憶装置12の領域情報121を参照してカメラ21の位置及び向きを制御する。
【0098】
パン軸変換機能112は、図9A及び図9Bを参照しながら説明した座標変換のための機能である。揺れ戻し回避機能113は、図10を参照しながら説明した揺れ戻し回避のための機能である。
【0099】
上記の機能に加え、制御部11は、図11Aに示すように、対象追従/追尾機能114、シーントレース機能115、水平補正機能116、及びアシスト機能117を有してもよい。
【0100】
対象追従/追尾機能114は、レンズデータによって求めた合焦点からの距離、又はLIDARなどのTOF(Time of Flight)センサを利用して測定した距離に基づいて、撮影対象の中心を光軸で捉え続け、カメラ21をどこに動かしても撮影対象が画面の中心に位置するように制御する機能である。また、対象追従/追尾機能114は、ロボットアーム22の物理的な位置を座標として正確に把握し、その座標を利用して撮影対象に対して正確にフォーカスを合わせる機能を含んでもよい。
【0101】
シーントレース機能115は、過去に撮影した際の制御パラメータを記憶装置12に格納しておき、その制御パラメータに基づいて同じ動きを再現する機能である。ロボットカメラ20には、制御部11から定期的に移動ポイント及び軌跡の情報(制御パラメータ)が送られ、その情報に基づいてロボットカメラ20は動作する。この制御パラメータを保存しておくことで、同じ撮影プロセスを完全に再現することができる。シーントレース機能115を利用することで、容易に同じシーンを繰り返し撮影することが可能になる。
【0102】
水平補正機能116は、ロボットアーム22を制御して、カメラ21の水平を容易に回復できるようにする機能である。例えば、ロール操作などによってカメラ21の水平がずれた場合に、水平補正機能116がカメラ21の姿勢を補正して水平を回復するように自動的にロボットアーム22の動作を制御する。水平補正機能116を利用することで、オペレータの負担を軽くすることができる。
【0103】
アシスト機能117は、オペレータの操作を制御装置10の側で補助する機能である。オペレータは、3次元空間内でのカメラ21の位置、カメラ21の向き(パン/チルト/ロール)、及びカメラ21のズーム及びフォーカスなど様々なパラメータを操作する必要がある。そのため、アシスト機能117は、オペレータが予め設定した動作についての制御を自律的に実施し、オペレータの操作負担を低減する。
【0104】
例えば、パン・チルトの自動制御が設定されていて、被写体OBJに対して左下から右上にカメラ21を移動させて撮影する場合、アシスト機能117は、対象追従/追尾機能114と連携し、被写体OBJが画面中央に位置するようにカメラ21の向きを自動調整する。さらにフォーカスの自動制御が設定されている場合、アシスト機能117は、対象追従/追尾機能114と連携し、被写体OBJにフォーカスが追従するようにカメラ21を制御する。これらの自動制御によってオペレータの操作負担は大幅に低減される。
【0105】
アシスト機能117による自動制御の対象は、例えば、記憶装置12に格納された補助機能設定テーブル122に設定される。補助機能設定テーブル122は、例えば、図11Bに示すような構成を有する。図11Bは、補助機能設定テーブルについて説明するための図表である。
【0106】
図11Bに例示した補助機能設定テーブル122は、カメラ21の移動制御に関する設定内容と、パン/チルトの制御に関する設定内容と、フォーカスの制御に関する設定内容と、ズームの制御に関する設定内容とを含む。例えば、IDが001の設定では、カメラ21の移動及びズームに関する自動制御は設定されていない。一方、この設定では、パン/チルトの制御については撮影対象を自動追従する「対象追従」が設定され、フォーカスの制御については自動的にフォーカスを合わせる「対象追尾」が設定されている。
【0107】
また、IDが101の設定では、カメラ21の移動に関する自動制御が「被写体方向」に設定されている。この設定は、カメラ21を撮影対象の方向に向かって自動的に移動させる移動制御の設定を示す。また、IDが102の設定では、カメラ21の移動に関する自動制御が「PRESET#1」に設定されている。この設定は、オペレータが事前設定した任意の軌跡に沿ってカメラ21を移動させる設定を示す。また、ズームの制御については、撮影範囲のサイズを常に一定に維持する「撮影範囲維持」の設定になっている。
【0108】
上記のように、補助機能設定テーブル122には様々な制御方法及びその組み合わせを設定することができ、その設定に基づいてアシスト機能117がオペレータの操作を補助する。このような設定の柔軟さを許容することで、様々な撮影シーンに対応することができ、さらに、オペレータは、アシストを受けながら、好みに合ったスタイルで撮影作業を進めることができるようになる。
【0109】
<2.第2実施形態>
次に、添付図面を参照しながら、本開示の他の実施形態(以下、第2実施形態)について説明する。なお、本明細書及び図面において実質的に同一の機能を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0110】
第2実施形態は、限界曲面LS近傍において、上述した第1実施形態とは異なる制御方法でロボットカメラ20の動作を制御する仕組みに関する。但し、図1及び図2に示したロボットカメラ20の構造は第2実施形態でも同様に適用でき、また、図3A図3B図4A図6Aを参照しながら説明した限界曲面LS、境界Bo、Bi、BCi、BCo制限領域AL0、ALc、緩衝領域ABo、ABcの定義は共通である。従って、ロボットカメラ20の構造及び各曲面や各領域の定義については第1実施形態の説明を参照することで重複説明を省略する。
【0111】
[2-1.境界近傍制御#1:スライス方向を事前設定する方式]
まず、図12A図12Cを参照しながら、第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御について説明する。以下では、図12A図12Cに示した制御方法を境界近傍制御#1と称する。図12A図12Cは、第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#1)について説明するための模式図である。
【0112】
(移動経路の特定)
図12Aは、境界Bo上にある点Pにロボットアーム22のTCP(又はTCPに基づくカメラ21の基準点;以下同様)が到達し、その点での移動ベクトルがVである状況を模式的に示している。この状況において、制御部11は、移動ベクトルVに基づいて、境界Bo到達後におけるTCPの移動経路を特定する。境界近傍制御#1では、点Pを通る平面(以下、スライス面)で境界Boを切断したときにできる切り口の曲線(以下、曲線MC)をTCPの移動経路に設定する。
【0113】
境界近傍制御#1において、スライス面の向きは事前に設定される。図12Aの例では、スライス面がZX面と平行になるように(スライス面の法線方向と、ZX面の法線方向とが一致するように)スライス面の向きが設定されている。この場合、制御部11は、ZX面に平行で点Pを通るスライス面で境界Boを切断して、TCPの移動経路となる曲線MCを特定する。
【0114】
なお、スライス面の向きは任意に設定可能である。例えば、スライス面の法線方向がYZ面の法線方向と一致する向き、又はその他の向きに設定されてもよい。また、変形例として、YZ面及びZX面で境界Boを区切って4つの領域に分け、領域毎にスライス面の向きを事前に設定する方法なども適用できる。この変形例の場合、制御部11は、点Pがどの領域にあるかを特定し、特定された領域に対応するスライス面で境界Boを切断して、TCPの移動経路となる曲線MCを特定する。以下では、説明を簡単にするため、図12Aの例に沿って説明を進める。
【0115】
(移動方向の決定)
移動経路となる曲線MCが特定されると、制御部11は、移動ベクトルVに基づいて、曲線MC上におけるTCPの移動方向を決定する。このとき、制御部11は、移動ベクトルVのうちスライス面に平行な成分に基づいてTCPの移動方向を決定する。例えば、図12Aの例ではスライス面がZX面に平行なため、制御部11は、移動ベクトルVのX成分及びZ成分(つまり、図12Bに示す移動ベクトルV1)に基づいてTCPの移動方向を決定する。なお、図12BのZ’軸は、点Pを通りZ軸に平行な軸を表し、X’軸は、点Pを通りX軸に平行な軸を表している。
【0116】
例えば、制御部11は、図12Cに示すように、X成分V1Xの大きさ(絶対値)とZ成分V1Zの大きさ(絶対値)とを比較し、より大きい成分に対応する方向にTCPを移動させる。なお、図12CのZ”軸は、曲線MC(円弧)の中心を通りZ軸に平行な軸を表し、X”軸は、曲線MC(円弧)の中心を通りX軸に平行な軸を表している。図12Cの例では、Z成分V1Zの方がX成分V1Xよりも大きいため、制御部11は、Z”軸に近づく方向にTCPを移動させる。
【0117】
(速度の制御)
TCPの移動経路及び移動方向が決まると、制御部11は、曲線MCに沿ってTCPを移動させる。このとき、制御部11は、TCPの移動速度Cvが一定値になるように制御する。曲線MC(円弧)の中心とTCPの位置とを結ぶ直線とZ”軸とが成す角度をθとしたときに、下記の式(6)で与えられる角速度ωが一定であれば、カメラ21の移動速度Cvは一定になるため、制御部11は、角速度ωが一定になるように制御する。
【0118】
ω=dθ/dt …(6)
【0119】
但し、角速度ωを一定値に固定すると、曲線MC(円弧)の半径Rが大きいほど、TCPの移動速度Cvは大きくなる。TCPの移動距離をLcとすると、移動速度Cvは下記の式(7)で与えられるから、境界Bo上のどの位置でも同じ所定速度Cv0でTCPが移動するように制御するには、下記の式(8)で与えられる角速度ωにてTCPの移動を制御する必要がある。そこで、制御部11は、下記の式(8)に従ってTCPの移動を制御する。これにより、TCPが到達した境界Bo上の位置にかかわらず、曲線MC上での移動速度が所定速度Cv0となる。
【0120】
Cv=dLc/dt=d(Rθ)/dt=R・ω …(7)
ω=Cv0/R …(8)
【0121】
上記の所定速度Cv0は任意に設定されうるが、TCPが境界Boに到達した時点での移動ベクトルV1の大きさに基づく値に設定されてもよい。例えば、制御部11は、移動ベクトルV1が大きいほど移動速度Cv0を大きくし、移動ベクトルV1の大きさが小さいほど移動速度Cv0を小さくしてもよい。また、移動速度Cv0に調整可能な範囲を設けておき、その調整可能な範囲の中で、制御部11が、移動ベクトルV1の大きさに応じて移動速度Cv0を調整してもよい。この仕組みによれば、より速く又は遅くカメラ21を動かしたいというオペレータの意思を曲線MC上でのTCPの動きに反映できる。
【0122】
(境界外でのカメラ制御)
ところで、上記の説明では、説明を簡単にするため、境界Boに到達した時点でTCPが点Pにあることを前提としていた。しかし、実際には、境界Boで停止するように制御部11がロボットアーム22に制御信号を送っても、ロボットアーム22が急に停止できず、TCPが境界Boの外側に出てしまうことがある。この場合、制御部11は、一旦TCPを境界Bo上の点Pに戻してから、上述した曲線MC上でのTCPの移動制御を実施する。なお、変形例として、制御部11は、TCPのZ座標値が曲線MC(円弧)の半径Rを超えている場合に、TCPを境界Bo上に戻す制御だけ実施して、上述した曲線MC上での移動制御を実施しないように制御してもよい。
【0123】
[2-2.境界近傍制御#2:スライス方向を選択する方式]
次に、図13A図13Cを参照しながら、第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御に関する他の制御方法について説明する。以下では、図13A図13Cに示した制御方法を境界近傍制御#2と称する。図13A図13Cは、第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#2)について説明するための模式図である。
【0124】
上述した境界近傍制御#1ではスライス面の向きが事前に設定されていた。一方、ここで説明する境界近傍制御#2では、移動ベクトルVに基づいてスライス面の向きを選択する方法を提案する。
【0125】
例えば、ZX面に平行な第1のスライス面、又はYZ面に平行な第2のスライス面を、制御部11が移動ベクトルVに基づいて選択する。第1のスライス面で境界Boを切断した場合、図13Aに示すような曲線MCが得られる。第2のスライス面で境界Boを切断した場合、図13Bに示すような曲線MCが得られる。どの曲線MCを選択するかは、図13Cに示すように、移動ベクトルVをY’Z’面へ射影したベクトルVYZと、Z’X’面へ射影したベクトルVZXとの比較に基づいて決定される。なお、XY面に平行な第3のスライス面を候補に加える場合、X’Y’面への射影ベクトルVXYも考慮される。
【0126】
ベクトルVZXが大きい場合、前後方向及び上下方向への動きが主であるから、第1のスライス面に対応する曲線MCに沿ってTCPを動かす方が、オペレータの操作意図に近い動きとなりうる。ベクトルVYZが大きい場合、左右方向及び上下方向への動きが主であるから、第2のスライス面に対応する曲線MCに沿ってTCPを動かす方が、オペレータの操作意図に近い動きとなりうる。そのため、制御部11は、TCPが境界Boに到達すると、移動ベクトルVからベクトルVYZ、VZXを求めて比較し、ベクトルVZXが大きい場合には第1のスライス面を選択し、ベクトルVYZが大きい場合には第2のスライス面を選択する。
【0127】
また、制御部11は、上述した境界近傍制御#1と同様に、決定したスライス面に基づいて曲線MCを特定し、特定した曲線MCに沿ってTCPを移動させる。このとき、制御部11は、上述した境界近傍制御#1と同様にTCPの移動方向を決定し、移動速度が一定になるようにTCPの移動を制御する。なお、TCPが境界Boの外側へ出た場合の制御についても上記の境界近傍制御#1と同様である。
【0128】
[2-3.境界近傍制御#3:スライス方向を移動ベクトルに合わせる方式]
次に、図14A及び図14Bを参照しながら、第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御に関する他の制御方法について説明する。以下では、図14A及び図14Bに示した制御方法を境界近傍制御#3と称する。図14A及び図14Bは、第2実施形態に係るロボットカメラの移動制御(境界近傍制御#3)について説明するための模式図である。
【0129】
上述した境界近傍制御#1ではスライス面の向きが事前に設定されていた。また、上述した境界近傍制御#2では、移動ベクトルVに基づいてスライス面の向きが候補の中から選択された。ここで説明する境界近傍制御#3では、図14A及び図14Bに示すように、点Pを通り、移動ベクトルVを含む面をスライス面として用いる。
【0130】
まず、制御部11は、移動ベクトルVを含む面を特定し、特定した面をスライス面に設定する。そして、制御部11は、上述した境界近傍制御#1と同様に、決定したスライス面に基づいて曲線MCを特定し、特定した曲線MCに沿ってTCPを移動させる。このとき、制御部11は、上述した境界近傍制御#1と同様にTCPの移動方向を決定し、移動速度が一定になるようにTCPの移動を制御する。なお、TCPが境界Boの外側へ出た場合の制御についても上記の境界近傍制御#1と同様である。
【0131】
但し、境界近傍制御#3では、図14Bに示すように、移動ベクトルVがスライス面上にある。そのため、制御部11は、移動ベクトルVから、曲線MCとXY面とが交わる点PE、PFを結ぶ直線(以下、底辺)に垂直な成分(第1成分;図14Aの例ではZ方向成分)と、底辺に平行な成分(第2成分)とを抽出する。そして、制御部11は、第1成分の大きさと第2成分の大きさとを比較し、より大きい成分に対応する方向(図14Bの例ではZ軸に向かう方向)をTCPの移動方向に決定する。上記の仕組みによれば、曲面MC上でのTCPの動きが、オペレータの操作意図に近い動きになりうる。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0133】
<3.付記>
以下では、上述した実施形態の技術的事項に関する付記を開示する。
【0134】
[付記A1]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラと、
前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を制御するための制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ロボットアームによって前記カメラが到達可能な境界位置を越えて前記カメラを移動させるドリー操作を受け付けた場合、前記境界位置の付近で前記カメラの移動を止め、仮に前記境界位置を越えて前記カメラを移動し続けた場合と同じ撮影範囲になるように前記カメラのズーム量を制御する
ロボティックスカメラワークシステム。
[付記A2]
前記制御部は、前記カメラのズーム量を制御してレンズの焦点距離を長くした場合、前記レンズの焦点距離に応じて、前記カメラの向きを変える速さを低減させる
付記A2に記載のロボティックスカメラワークシステム。
[付記A3]
前記制御部は、前記境界位置と前記カメラとの間の距離が所定値以下になると、前記境界位置に近づくにつれて前記カメラの移動速度を徐々に低減し、且つ、前記カメラの移動速度を低減しなかった場合と同じ撮影範囲になるように前記カメラのズーム量を制御する
付記A1又はA2に記載のロボティックスカメラワークシステム。
[付記A4]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するための制御装置であって、
前記ロボットアームによって前記カメラが到達可能な境界位置を越えて前記カメラを移動させるドリー操作を受け付けた場合、前記境界位置の付近で前記カメラの移動を止め、仮に前記境界位置を越えて前記カメラを移動し続けた場合と同じ撮影範囲になるように前記カメラのズーム量を制御する制御部を備える、
制御装置。
[付記A5]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、
前記ロボットアームによって前記カメラが到達可能な境界位置を越えて前記カメラを移動させるドリー操作を受け付けた場合、前記境界位置の付近で前記カメラの移動を止め、仮に前記境界位置を越えて前記カメラを移動し続けた場合と同じ撮影範囲になるように前記カメラのズーム量を制御する
処理を実行する、制御方法。
【0135】
[付記B1]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラと、
前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を制御するための制御部と、を備え、
前記制御部は、前記カメラのズーム量を制御してレンズの焦点距離を長くした場合、前記レンズの焦点距離に応じて、前記カメラの向きを変える速さを低減させる
ロボティックスカメラワークシステム。
[付記B2]
前記制御部は、前記カメラのズーム量を制御してレンズの焦点距離を短くした場合、前記レンズの焦点距離に応じて、前記カメラの向きを変える速さを増加させる
付記B1に記載のロボティックスカメラワークシステム。
[付記B3]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するための制御装置であって、
前記カメラのズーム量を制御してレンズの焦点距離を長くした場合、前記レンズの焦点距離に応じて、前記カメラの向きを変える速さを低減させる制御部を備える、
制御装置。
[付記B4]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、
前記カメラのズーム量を制御してレンズの焦点距離を長くした場合、前記レンズの焦点距離に応じて、前記カメラの向きを変える速さを低減させる
処理を実行する、制御方法。
【0136】
[付記C1]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラと、
前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を制御するための制御部と、を備え、
前記制御部は、前記カメラをパンする操作を受け付けた場合、前記カメラと前記ロボットアームとの接続部を通る鉛直線を回転軸として前記カメラをパンさせる
ロボティックスカメラワークシステム。
[付記C2]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するための制御装置であって、
前記カメラをパンする操作を受け付けた場合、前記カメラと前記ロボットアームとの接続部を通る鉛直線を回転軸として前記カメラをパンさせる制御部を備える、
制御装置。
[付記C3]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、
前記カメラをパンする操作を受け付けた場合、前記カメラと前記ロボットアームとの接続部を通る鉛直線を回転軸として前記カメラをパンさせる
処理を実行する、制御方法。
【0137】
[付記D1]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラと、
前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を制御するための制御部と、を備え、
前記制御部は、所定の操作を受け付けたとき、像面と光軸との交点を基準点に設定し、前記カメラが移動しても、像面と光軸との交点が前記基準点に一致し続けるように前記カメラの向き及びフォーカスを制御する
ロボティックスカメラワークシステム。
[付記D2]
前記制御部は、前記ロボットアームの先端にある接続部の座標変化に基づいて前記カメラと前記基準点との間の距離を推定し、推定された前記距離に基づいて前記カメラのフォーカスを制御する
付記D1に記載のロボティックスカメラワークシステム。
[付記D3]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するための制御装置であって、
所定の操作を受け付けたとき、像面と光軸との交点を基準点に設定し、前記カメラが移動しても、像面と光軸との交点が前記基準点に一致し続けるように前記カメラの向き及びフォーカスを制御する制御部を備える、
制御装置。
[付記D4]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、
所定の操作を受け付けたとき、像面と光軸との交点を基準点に設定し、前記カメラが移動しても、像面と光軸との交点が前記基準点に一致し続けるように前記カメラの向き及びフォーカスを制御する
処理を実行する、制御方法。
【0138】
[付記E1]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラと、
前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を制御するための制御部と、
操作情報を格納するための記憶部と、を備え、
前記制御部は、第1の操作を受け付けてから第2の操作を受け付けるまでの期間に行われた前記カメラ及び前記ロボットアームの制御に関する操作についての操作情報を前記記憶部に格納し、第3の操作を受け付けると、前記操作情報に基づいて前記期間における前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を再現する
ロボティックスカメラワークシステム。
[付記E2]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するための制御装置であって、
操作情報を格納するための記憶部と、
第1の操作を受け付けてから第2の操作を受け付けるまでの期間に行われた前記カメラ及び前記ロボットアームの制御に関する操作についての操作情報を前記記憶部に格納し、第3の操作を受け付けると、前記操作情報に基づいて前記期間における前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を再現する制御部と
を備える、制御装置。
[付記E3]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、
第1の操作を受け付けてから第2の操作を受け付けるまでの期間に行われた前記カメラ及び前記ロボットアームの制御に関する操作についての操作情報を記憶部に格納し、第3の操作を受け付けると、前記操作情報に基づいて前記期間における前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を再現する
処理を実行する、制御方法。
【0139】
[付記F1]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラと、
前記カメラ及び前記ロボットアームの動作を制御するための制御部と、を備え、
前記制御部は、所定の操作を受け付けたとき、前記ロボットアームによる前記カメラの移動、前記カメラのパン・チルト、前記カメラのズーム、前記カメラのフォーカス、及び前記カメラの水平制御のうち少なくとも1つを自動的に制御する
ロボティックスカメラワークシステム。
[付記F2]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するための制御装置であって、
所定の操作を受け付けたとき、前記ロボットアームによる前記カメラの移動、前記カメラのパン・チルト、前記カメラのズーム、前記カメラのフォーカス、及び前記カメラの水平制御のうち少なくとも1つを自動的に制御する制御部を備える、
制御装置。
[付記F3]
カメラが接続されたロボットアームを有するロボットカメラの動作を制御するためのコンピュータが、
所定の操作を受け付けたとき、前記ロボットアームによる前記カメラの移動、前記カメラのパン・チルト、前記カメラのズーム、前記カメラのフォーカス、及び前記カメラの水平制御のうち少なくとも1つを自動的に制御する
処理を実行する、制御方法。
【0140】
[付記G1]
付記A5、B4、C3、D4、E3、F3のいずれか1つに記載の制御方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
[付記G2]
付記A5、B4、C3、D4、E3、F3のいずれか1つに記載の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムが格納された、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(Non-transitory computer-readable storage medium)。
【符号の説明】
【0141】
10 制御装置
11 制御部
111 可動域拡張機能
112 パン軸変換機能
113 揺れ戻し回避機能
114 対象追従/追尾機能
115 シーントレース機能
116 水平補正機能
117 アシスト機能
12 記憶装置
12a プログラム
121 領域情報
122 補助機能設定テーブル
13 通信インターフェース
14 記録媒体
20 ロボットカメラ
21 カメラ
22 ロボットアーム
23 ベース
30 コントロールシステム
31 コントローラ
32a、32b、32c ディスプレイ
40 撮影対象
A1、A2 アーム部
AX 光軸
ABo、ABc 緩衝領域
ALo、ALc 制限領域
BP 基点
Bi、Bo、BCi、BCo 境界
IS 撮影範囲
J1、J2、J3、J4、J5、J6 関節部
LS 限界曲面
M1、M2、OBJ 被写体
TR 移動軌跡
V、V0、V1、V2、V3 移動ベクトル
g0、g1、g2、g3 法線成分
t、ta、tb 回転角
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B