IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-洗濯システム 図1
  • 特開-洗濯システム 図2
  • 特開-洗濯システム 図3
  • 特開-洗濯システム 図4
  • 特開-洗濯システム 図5
  • 特開-洗濯システム 図6
  • 特開-洗濯システム 図7
  • 特開-洗濯システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096328
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】洗濯システム
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/32 20200101AFI20220622BHJP
【FI】
D06F33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209377
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 啓太
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA15
3B167AE03
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA82
3B167BA91
3B167HA11
3B167HA31
3B167KA02
3B167KA03
3B167KA63
3B167KB02
3B167KB05
3B167LA10
3B167LA23
3B167LA38
3B167LC25
3B167LD01
3B167MA02
3B167MA12
3B167MA17
(57)【要約】
【課題】洗濯に対するユーザの評価を次回以降の洗濯に反映することができる洗濯システムを提供することである。
【解決手段】実施形態の洗濯システムは、評価情報取得部と、学習部とを持つ。評価情報取得部は、洗濯機本体の動作に対するユーザの評価を問い合わせる質問を出力させ、ユーザの回答を受け付けることで、洗濯機本体の動作に対するユーザの評価を示す評価情報を取得する。学習部は、評価情報に基づいて、洗濯機本体の動作に関する学習を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機本体の動作に対するユーザの評価を問い合わせる質問を出力させ、前記ユーザの回答を受け付けることで、前記洗濯機本体の動作に対する前記ユーザの評価を示す評価情報を取得する評価情報取得部と、
前記評価情報に基づいて、前記洗濯機本体の動作に関する学習を行う学習部と、
を備える洗濯システム。
【請求項2】
前記洗濯機本体の動作状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部と、
前記状態情報に基づいて、前記洗濯機本体の動作状態が所定条件を満たすか否かを判定する状態判定部と、
をさらに備え、
前記評価情報取得部は、前記洗濯機本体の動作状態が前記所定条件を満たすと判定された場合、前記質問を出力させる、
請求項1に記載の洗濯システム。
【請求項3】
前記状態情報は、前記洗濯機本体に搭載されたセンサの検出結果から得られる値を含み、
前記状態判定部は、前記センサの検出結果から得られる値が閾値を超えた場合に、前記洗濯機本体の動作状態が前記所定条件を満たすと判定する、
請求項2に記載の洗濯システム。
【請求項4】
前記状態情報は、前記洗濯機本体の動作時間を示す情報を含み、
前記状態判定部は、前記洗濯機本体の動作時間が予め算出された予定時間よりも長くなる場合に、前記洗濯機本体の動作状態が前記所定条件を満たすと判定する、
請求項2または請求項3に記載の洗濯システム。
【請求項5】
前記洗濯機本体の動作状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部をさらに備え、
前記評価情報取得部は、前記洗濯機本体が脱水を行った洗濯物の脱水具合についての前記ユーザの評価を示す前記評価情報を取得し、
前記学習部は、前記状態情報と前記評価情報との対応関係に基づいて、前記洗濯機本体の脱水動作に関する学習を行う、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項6】
前記洗濯機本体の動作状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部をさらに備え、
前記評価情報取得部は、洗濯物の具合について、洗い、すすぎ、脱水、または乾燥に関する評価を区別しない前記ユーザの総合評価を問い合わせる質問を出力させ、前記ユーザの総合評価を示す前記評価情報を取得し、
前記学習部は、前記状態情報と前記評価情報との対応関係に基づき、前記洗濯機本体の洗い動作、すすぎ動作、脱水動作、または乾燥動作である個別動作の学習を行う、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項7】
前記洗濯機本体の動作状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部をさらに備え、
前記評価情報取得部は、前記洗濯機本体の脱水動作時の振動の大きさに対する前記ユーザの評価を示す前記評価情報を取得し、
前記学習部は、前記状態情報と前記評価情報との対応関係に基づき、前記洗濯機本体の脱水動作に関する学習を行う、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項8】
前記洗濯機本体の動作状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部をさらに備え、
前記評価情報取得部は、前記洗濯機本体の脱水動作時における、前記洗濯機本体が設置されている床の振動の大きさに対する前記ユーザの評価を示す前記評価情報を取得し、
前記学習部は、前記状態情報と前記評価情報との対応関係に基づき、前記洗濯機本体の脱水動作に関する学習を行う、
請求項1から請求項7の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項9】
洗濯物の重量および前記洗濯物に対する布質判定動作の結果に基づき、前記洗濯物に含まれる衣類の種類を推定する衣類種類推定部をさらに備え、
前記評価情報取得部は、前記ユーザの評価と、評価の対象となった洗濯物に含まれる衣類の種類を示す衣類種類情報とを含む前記ユーザの回答を受け付け可能であり、
前記学習部は、前記衣類種類情報と前記評価情報とに基づいて、前記衣類の種類に応じた前記洗濯機本体の動作に関する学習を行い、
前記洗濯機本体は、前記衣類種類推定部により推定された前記衣類の種類と、前記学習部により学習された内容とに基づき、前記洗濯機本体を制御する、
請求項1から請求項8の何れか一項に記載の洗濯システム。
【請求項10】
前記評価情報取得部は、前記洗濯機本体の動作中に衣類片寄りに起因するエラーが生じた場合に、前記衣類種類情報を含む前記ユーザの回答を受け付ける、
請求項9に記載の洗濯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な洗濯機では運転コースが予め定められており、ユーザが選択した運転コースで運転を行う。
【0003】
運転コースが予め定められている洗濯機で、ユーザが洗濯に不満であっても、不満を改善できるような運転コースが設定されていない可能性があった。運転コースを増やすことで、ユーザが満足するような運転コースがある可能性が高くなるが、運転コースの内容を把握して適切な運転コースを選択することが、ユーザにとって負担となる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-158606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、洗濯に対するユーザの評価を次回以降の洗濯に反映することができる洗濯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯システムは、評価情報取得部と、学習部とを持つ。評価情報取得部は、洗濯機本体の動作に対するユーザの評価を問い合わせる質問を出力させ、ユーザの回答を受け付けることで、洗濯機本体の動作に対するユーザの評価を示す評価情報を取得する。学習部は、評価情報に基づいて、洗濯機本体の動作に関する学習を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る洗濯システムの構成例を示す図。
図2】実施形態に係る質問画面の第1例を示す図。
図3】実施形態に係る質問画面の第2例を示す図。
図4】実施形態に係る質問画面の第3例を示す図。
図5】実施形態に係る質問画面の第4例を示す図。
図6】実施形態に係る質問画面の第5例を示す図。
図7】実施形態に係る学習装置が洗濯機本体の動作の学習を行う処理の手順の例を示すフローチャート。
図8】実施形態に係る洗濯機本体が運転を行う処理手順の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の洗濯システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。本明細書で「XXまたはYY」とは、「XX」のみの場合、または「YY」のみの場合に限定されず、「XX」および「YY」の両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0009】
図1は、実施形態の洗濯システム1の構成例を示す図である。洗濯システム1は、例えば、洗濯機本体10と、操作パネル20と、学習装置30とを含む。洗濯機本体10は、洗濯槽110と、駆動部120と、加速度センサ131と、重量センサ132と、布質判定部133と、洗濯制御部140とを含む。操作パネル20は、表示部(報知部)210と、入力部220とを含む。学習装置30は、状態情報取得部311と、状態判定部312と、評価情報取得部313と、学習部314と、衣類種類推定部315と、記憶部320とを含む。
【0010】
洗濯機本体10と、操作パネル20と、学習装置30とが一体的に洗濯機として構成されていてもよい。あるいは、洗濯機本体10と、操作パネル20と、学習装置30とが、2つ以上の装置として構成されていてもよい。例えば、操作パネル20が、洗濯機本体10とは別のリモートコントローラとして構成されていてもよい。あるいは、操作パネル20が、スマートフォン等の携帯端末装置を用いて構成されていてもよい。あるいは、操作パネル20が、パソコン(Personal Computer;PC)またはタブレット端末装置(Tablet)等のコンピュータを用いて構成されていてもよい。あるいは、表示部(報知部)210と、入力部220は、操作パネル20に代えて、スマートスピーカなど音声対話装置により構成されていてもよい。また、学習装置30が、洗濯機本体10の動作に関する学習機能を提供するサーバ装置(例えば外部ネットワーク上のクラウドサーバ)として構成されていてもよい。
【0011】
洗濯システム1は、ユーザが選択する運転コースに応じて洗濯機本体10による洗い動作、すすぎ動作、脱水動作および乾燥動作、またはこれらの一部を実行し、洗濯を実行する洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を次回以降の洗濯に反映させる。具体的には、洗濯システム1は、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を取得し、評価結果を次回以降の洗濯に反映させるように、運転コースの設定内容(例えば、各種動作パラメータ、閾値、または動作時間)を更新する。閾値の例は、脱水動作でエラー判定(例えば、後述する片寄りエラーの判定)を行う閾値であるが、これに限定されない。
【0012】
洗濯機本体10は、ユーザが選択する運転コースに応じて洗い動作、すすぎ動作、脱水動作および乾燥動作、またはこれらの一部を実行する。洗濯機本体10が洗い動作、すすぎ動作、脱水動作および乾燥動作、またはこれらの一部を実行することを、洗濯機本体10の運転とも称する。
洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価には、洗濯物の汚れの落ち具合に対する評価、洗濯物の洗剤の残り具合に対する評価、洗濯物の脱水具合に対する評価、洗濯物のしわの程度に対する評価、洗濯物の乾燥具合に対する評価など、洗濯物の仕上がり具合に対するユーザの評価が含まれていてもよい。また、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価には、洗濯機本体10の振動(騒音)の大きさに対する評価、洗濯処理剤(洗剤や柔軟剤)の自動投入機による投入量に対する評価、給水量(水道代)に対する評価など、洗濯機本体10の動作自体に対する評価が含まれていてもよい。また、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価は、1回の洗濯(1回の運転)に対する評価でもよく、一定期間(例えば1ヶ月)における評価でもよい。
【0013】
洗濯槽110は、洗濯物を収容する。洗濯機本体10がドラム式洗濯機として構成される場合、洗濯槽110はドラムであってもよい。洗濯機本体10が縦型式洗濯機として構成される場合、洗濯槽110は回転槽であってもよい。
駆動部120は、例えば洗濯槽110に接続されたモータを含み、洗濯槽110を回転させる。上記モータは、洗濯槽110の底部の撹拌機(パルセータ)を回転可能であってもよい。
【0014】
洗い動作では、例えば、衣類などの洗濯物を収容している洗濯槽110に水および洗剤を加え、駆動部120が洗濯槽110を回転させることで洗濯物の汚れを落とす。すすぎ動作では、洗剤を含む水を排出した後、洗濯槽110に水を加え、駆動部120が洗濯槽110を回転させることで洗剤を落とす。脱水動作では、駆動部120が洗濯槽110を回転させることで、洗濯槽110内の洗濯物を遠心力によって脱水する。乾燥動作では、駆動部120が洗濯槽110を回転させながら、例えば洗濯機本体10が備えるヒートポンプまたはヒータ等で加熱した空気を洗濯槽110内に送風することで、洗濯槽110内の洗濯物を乾燥させる。
【0015】
加速度センサ131は、洗濯槽110の加速度を測定する。加速度センサ131は、洗濯槽110内の洗濯物の片寄り等による洗濯槽110の振動を検出するために用いられる。
重量センサ132は、洗濯物を収容している状態の洗濯槽110の重量を測定する。重量センサ132が測定する重量は、洗濯槽110内の洗濯物の量の指標値として用いられる。重量センサ132による測定値として、洗濯槽110内に洗濯物が投入された後、かつ、洗濯槽110内に注水される前の測定値を用いるようにしてもよい。例えば、洗濯開始ボタンが押下されるなど、洗濯機本体10による洗濯の開始を指示するユーザ操作が行われたタイミングで、状態情報取得部311が重量センサ132の測定値を取得して記憶部320に記憶させておくようにしてもよい。
【0016】
布質判定部133は、例えば、駆動部120に流れる電流(いわゆるモータ負荷電流)を検出する電流検出部の検出結果に基づき、洗濯槽110内の洗濯物の布質を判定する。電流検出部は、布質を判定するためのモータ負荷電流として、洗い動作の給水開始前に洗濯槽110の底部の撹拌機が回転されるときのモータ負荷電流を測定してもよいし、洗い動作中に洗濯槽110が回転されるときのモータ負荷電流を測定してもよい。この測定値に基づいて、洗濯物における綿と化学繊維との割合を推定することができる。この場合の洗濯機本体10の動作は、布質判定動作の例に該当する。ただし、布室判定動作は、上記例に限定されず、異なる動作でもよい。
加速度センサ131、重量センサ132、布質判定部133(または電流検出部)、あるいはこれらの組み合わせは、洗濯機本体10に搭載されたセンサの例に該当する。
【0017】
洗濯制御部140は、ユーザが選択する運転コースに応じて洗濯機本体10の各部を制御し、洗い動作、すすぎ動作、脱水動作および乾燥動作、またはこれらの一部を実行させる。例えば、洗濯制御部140は、学習装置30の記憶部320が記憶する制御情報に基づいて、洗濯機本体10の各部を制御する。ここでいう制御情報は、洗濯機本体10の運転方法(運転コースの設定内容)を示す情報である。例えば、制御情報は、運転コースごとに、例えば脱水における洗濯槽110の回転速度(回転数)や回転時間、各種閾値など、洗濯制御部140が洗濯機本体10の各部を制御する方法を示す。なお、制御情報は、例えば、洗い動作における給水量、自動投入機による洗濯処理剤の投入量、1回の洗濯のなかですすぎ動作や脱水動作が複数回行われる場合はそれらの回数、乾燥動作におけるヒートポンプの加熱量、乾燥風を送るファンの回転数、乾燥時間の長さなどを含んでよい。
【0018】
記憶部320が記憶する制御情報には、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価(例えば、洗濯物の仕上がり具合に対するユーザの評価、および/または、洗濯機本体10の動作自体に対するユーザの評価)が反映される。洗濯制御部140は、制御情報に基づいて洗濯機本体10の各部を制御することで、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を次回以降の運転に反映させる。
洗濯制御部140は、布質判定動作の結果(布質判定部133による判定結果)に基づいて、洗濯機本体10の動作内容を変更する。例えば、洗濯制御部140は、布質判定動作の結果として、洗濯物に綿が多い場合、化学繊維が多い場合と比べて乾燥時間を長くする、および/または、乾燥動作時に送風する空気の温度を高くする。
【0019】
操作パネル20は、洗濯システム1におけるユーザインタフェースとして機能する。上述したように、操作パネル20が洗濯機本体10と一体的に構成されていてもよいし、洗濯機本体10とは別の装置として構成されていてもよい。
表示部210は、例えば液晶パネル等の表示画面を有し、各種画像を表示する。入力部220は、例えば表示部210の表示画面に設けられてタッチパネルを構成するタッチセンサなどの入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。
例えば、洗濯機本体10が運転を行う際に、表示部210が運転コースの選択画面を表示し、入力部220が、ユーザによる運転コースの選択操作を受け付ける。また、表示部210が、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を問い合わせる質問画面を表示し、入力部220が、ユーザの評価の入力操作(質問に対するユーザの回答)を受け付ける。
【0020】
学習装置30は、入力部220が受け付けるユーザの評価を、洗濯機本体10の次回以降の運転に反映させるように、制御情報を更新する。
状態情報取得部311は、洗濯機本体10から状態情報を取得する。ここでいう状態情報は、洗濯機本体10の動作状態を示す情報である。例えば、状態情報は、洗濯機本体10が運転を行う際の運転コースと、加速度センサ131、重量センサ132および布質判定部133それぞれの測定値または判定結果とを示す。
【0021】
状態判定部312は、洗濯機本体10の状態が所定条件を満たすか否かを判定する。所定条件が満たされる例は、例えば、正常とは異なる状態が検出される状態である。例えば、状態判定部312は、加速度センサ131による加速度の測定値に基づいて、洗濯槽110内の洗濯物の片寄りの有無(洗濯槽110の回転のアンバランスの有無)を判定する。状態判定部312による判定結果は、例えば、表示部210が上記の質問画面を表示する契機として用いられる。
【0022】
評価情報取得部313は、評価情報を取得する。評価情報は、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を示す情報である。例えば、評価情報は、ユーザが入力部220を用いて入力する、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価(例えば、洗濯物の仕上がり具合に対するユーザの評価、および/または、洗濯機本体10の動作自体に対するユーザの評価)を示す。
【0023】
評価情報取得部313は、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を問い合わせる質問を出力させ、ユーザの回答を受け付けることで、評価情報を取得する。評価情報取得部313が、質問画面を表示部210に表示させることで、質問を出力させるようにしてもよい。そして、評価情報取得部313が、表示部210が表示する質問に対するユーザの回答を、入力部220を介して受け付けることで、評価情報を取得するようにしてもよい。
【0024】
学習部314は、評価情報取得部313が取得する評価情報に基づいて、洗濯機本体10の動作に関する学習を行う。具体的には、学習部314は、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を、洗濯機本体10の次回以降の運転に反映させるように、制御情報を更新する。例えば、学習部314は、ユーザの評価に基づいて、ユーザの評価を高める方向に制御情報に含まれる各種動作パラメータ、閾値、または動作時間を、予め設定された所定の変更量だけ変更する。そして、変更された制御情報を用いた洗濯機本体10の次回以降の運転において、再度、ユーザの評価を取得し、ユーザの評価を高める方向に制御情報を変更する。このような処理を繰り返すことで、学習部314は、ユーザの好みに応じた制御情報の最適化を行う。
【0025】
衣類種類推定部315は、洗濯槽110内の洗濯物における衣類の種類およびその割合を推定する。例えば、衣類種類推定部315は、重量センサ132が測定する洗濯物の重量と、布質判定部133が判定する洗濯物の布質(例えば綿と化学繊維の割合)とに基づいて(すなわち、重量と布質の組み合わせに基づいて)、衣類の種類およびその割合を推定する。衣類の種類の推定は、詳細な種類を推定することは必須ではなく、特定の衣類(例えば、重い衣類(セーターやバスローブなど))が含まれるか否かなど、簡略的な推定でもよい。また、衣類種類推定部315は、衣類に加えて、重い洗濯対象物(バスタオルやバスマットなど)が洗濯物に含まれるか否かを判定してもよい。このため、本明細書でいう「衣類」は「洗濯物」または「洗濯対象物」と読み替えられてもよい。
【0026】
記憶部320は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部320は、運転コース情報、状態情報、評価情報、および、制御情報を記憶する。
運転コース情報は、洗濯機本体10の運転について予め設定されている運転コースのうち、ユーザが指定した運転コースを示す情報である。状態情報は、上記のように、洗濯機本体10の状態を示す情報である。評価情報は、上記のように、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を示す情報である。制御情報は、上記のように、洗濯機本体10の運転方法を示す情報である。
【0027】
学習装置30は、例えばマイコン(Microcomputer)などのコンピュータを用いて構成されていてもよい。状態情報取得部311、状態判定部312、評価情報取得部313、学習部314、および、衣類種類推定部315の機能は、CPUのような1つ以上のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することによって実行されてもよい。あるいは、これら機能部の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの回路部(ハードウェア)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。記憶部320は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数の組み合わせなどにより実現される。
【0028】
図2は、質問画面の第1例を示す図である。図2は、洗濯機本体10による脱水の結果に対するユーザの評価を問い合わせる場合の質問画面の例を示している。
表示部210は、図2に例示される質問画面で、「1.もっと脱水を強くしたい」、「2.適切」、および、「3.もっと脱水を弱くしたい」の選択肢を示している。質問に対する回答は、例えばユーザが、質問画面で選択肢の何れかをタッチ操作で選択し、「回答完了」へのタッチ操作で回答を確定させることで行われる。ユーザが選択肢の何れかを選択すると、学習部314が、ユーザの回答に応じて、制御情報における脱水の強さの設定を更新する。なお脱水の結果に関する質問は、「1.まだ湿っている」、「2.適切」、「3.衣類にしわが出来ている」など、ユーザがより直感的に回答可能な内容でもよい。
【0029】
脱水を強くする場合、学習部314が、脱水時間が長くなるように、制御情報を更新するようにしてもよいし、脱水の際の洗濯槽110の回転速度が速くなるように、制御情報を更新するようにしてもよい。あるいは、学習部314が、脱水時間が長くなり、かつ、脱水の際の洗濯槽110の回転速度が速くなるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
【0030】
脱水を弱くする場合、学習部314が、脱水時間が短くなるように、制御情報を更新するようにしてもよいし、脱水の際の洗濯槽110の回転速度が遅くなるように、制御情報を更新するようにしてもよい。あるいは、学習部314が、脱水時間が短くなり、かつ、脱水の際の洗濯槽110の回転速度が遅くなるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
このように、学習部314がユーザの回答に応じて制御情報を更新することで、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を次回以降の洗濯機本体10の運転に反映させることができる。
【0031】
上述したように、表示部210が質問画面を表示する契機(すなわち、評価情報取得部313がユーザに対して質問を行う契機)として、状態判定部312による判定結果を用いるようにしてもよい。例えば、状態判定部312が、加速度センサ131が測定する加速度の大きさが所定の閾値を超えたか否かなど、加速度センサ131の測定値に基づいて洗濯槽110の振動が所定の条件以上に大きいか否か(例えば、洗濯槽110の回転に閾値を超えるアンバランスがあるか否か)を判定するようにしてもよい。そして、状態判定部312が、洗濯槽110の振動が所定の条件以上に大きいと判定した場合(例えば、洗濯槽110の回転に閾値を超えるアンバランスがある場合)の洗濯機本体10の運転終了時に、評価情報取得部313が、表示部210に質問画面を表示させてユーザの回答を取得するようにしてもよい。さらに、評価情報取得部313がユーザの回答を取得するごとに、学習部314がユーザの回答に基づいて制御情報を更新するようにしてもよい。
【0032】
このように、状態判定部312の判定結果に応じて評価情報取得部313がユーザに対する質問を出力させるか否かを決定することで、ユーザへの質問の頻度、および制御情報の更新の頻度を限定することができ、この点で、学習装置30の負荷を軽減できる。
また、状態判定部312が、洗濯槽110の振動が所定の条件以上に大きいと判定した場合に、評価情報取得部313がユーザに対する質問を出力させることで、例えば、振動の軽減を優先させるか、あるいは、脱水具合を優先させるかといったユーザの指示を制御情報に反映させることができる。
【0033】
あるいは、評価情報取得部313が、洗濯機本体10の動作時間に基づく契機で、ユーザに対する質問を行うようにしてもよい。例えば、状態情報が洗濯機本体10の動作時間を示す情報を含むようにしてもよい。そして状態判定部312が、洗濯機本体10の動作時間が予め算出された予定時間よりも長くなる場合に、洗濯機本体10の動作状態が所定条件を満たすと判定するようにしてもよい。この場合も、状態判定部312が、洗濯機本体10の動作状態が所定条件を満たすと判定した場合の洗濯機本体10の運転終了時に、評価情報取得部313が、表示部210に質問画面を表示させてユーザの回答を取得するようにしてもよい。さらに、評価情報取得部313がユーザの回答を取得するごとに、学習部314がユーザの回答に基づいて制御情報を更新するようにしてもよい。
【0034】
このように、状態判定部312の判定結果に応じて評価情報取得部313がユーザに対する質問を出力させるか否かを決定することで、ユーザへの質問の頻度、および制御情報の更新の頻度を限定することができ、この点で、学習装置30の負荷を軽減できる。
ここで、例えば脱水の場合、洗濯機本体10の動作時間が予定時間よりも長くなる場合の例として、洗濯槽110内で洗濯物の片寄りが生じた場合など、洗濯機本体10が脱水をやり直す場合が挙げられる。脱水時に洗濯槽110内で洗濯物の片寄りが解消しない場合(片寄りエラーが生じた場合)、例えば、洗濯制御部140が脱水を中止して洗濯槽110内に再び給水し、洗濯槽110を回転させる等によって水および洗濯物を攪拌して洗濯物をほぐすことで、洗濯物の片寄りを解消するようにしてもよい。その後、洗濯制御部140が、駆動部120を制御して洗濯槽110を回転させることにより、再び脱水を行わせるようにしてもよい。
【0035】
状態判定部312により脱水時間が予定時間よりも長くなると判定された場合に、評価情報取得部313がユーザに対する質問を出力させることで、例えば、洗濯機本体10の動作時間(例えば洗濯が早く終わること)を優先させるか、あるいは、脱水具合を優先させるかといったユーザの好みを制御情報に反映させることができる。例えば、学習部314は、洗濯機本体10の動作時間を優先する場合、脱水を中止して給水をやり直すための片寄りエラーの判定の閾値を高くするように制御情報を更新する。
【0036】
また、例えば乾燥の場合、洗濯機本体10の動作時間が予定時間よりも長くなる場合の例として、洗濯物において水分を含みやすい素材(例えば綿)が多く、洗濯物の乾燥が進まず乾燥時間が予定時間よりも長くなる場合が挙げられる。
状態判定部312により乾燥時間が予定時間よりも長くなると判定された場合に、評価情報取得部313がユーザに対する質問を出力させることで、例えば、洗濯機本体10の動作時間(例えば乾燥が早く終わること)を優先させるか、あるいは、乾燥具合を優先させるかといったユーザの好みを制御情報に反映させることができる。例えば、学習部314は、洗濯機本体10の動作時間を優先する場合、布質判定動作の結果(例えば、衣類種類推定部315による処理の結果)として、「綿が多く含まれている」と判定しやすいように制御情報に含まれる判定用の閾値を変更する。
【0037】
あるいは、評価情報取得部313が、洗濯機本体10による洗濯の終了時に毎回、ユーザに対する質問を行うようにしてもよい。
また、評価情報取得部313がユーザに対して行う質問ごとに、質問を行う契機および頻度が異なっていてもよい。
【0038】
学習部314が、状態情報と評価情報との対応関係に基づいて学習を行うようにしてもよい。例えば、学習部314が、評価情報に基づいて決定する脱水時の洗濯槽110の回転速度および脱水時間と紐付けて、その評価情報が得られた運転における重量センサ132による重量の測定値を制御情報に登録しておくようにしてもよい。上記のように、重量センサ132による重量の測定値は、洗濯槽110内の洗濯物の重量の指標値として用いられる。
【0039】
そして、次回以降の運転の際に、洗濯制御部140が、重量センサ132による重量の測定値と、制御情報に登録されている重量との差に基づいて、脱水時の洗濯槽110の回転速度または脱水時間の何れか、またはこれら両方を補正して用いるようにしてもよい。
あるいは、学習部314が、重量センサ132による重量の測定値ごとに、脱水時の洗濯槽110の回転速度および脱水時間を学習するようにしてもよい。
【0040】
また、洗濯物の脱水具合に対するユーザの評価が低く、かつ、加速度センサ131の測定値による洗濯槽110の振動の大きさが所定の閾値以下である場合、学習部314が、脱水時の洗濯槽110の回転速度を速くするように学習を行うようにしてもよい。一方、洗濯物の脱水具合に対するユーザの評価が低く、かつ、洗濯槽110の振動の大きさが所定の閾値よりも大きい場合、学習部314が、脱水時間が長くなるように学習を行うようにしてもよい。
【0041】
学習部314が、洗濯物の重量ごとに脱水時の洗濯槽110の回転速度を学習するようにしてもよい。例えば、洗濯物が軽い場合、洗濯槽110の回転数が上がり易い。そこで、学習部314が、洗濯物が軽い場合は洗濯槽110の回転速度が速くなるように制御情報を更新することで、脱水時間を短くするようにしてもよい。
【0042】
評価情報取得部313からの質問を操作パネル20に保存しておくことで、ユーザが、洗濯機本体10の運転終了時に限らず任意のタイミングで回答できるようにしてもよい。例えば、上述したように、操作パネル20が、スマートフォン、パソコンまたはタブレット端末装置を用いて構成されていてもよい。そして、学習部314が、質問を電子メールにて操作パネル20に送信し、操作パネル20が、このメールを保存しておくようにしてもよい。そして、操作パネル20がユーザ操作に従って質問に対する回答メールを生成して学習部314へ送信するようにしてもよい。
【0043】
図3は、質問画面の第2例を示す図である。図3は、洗い、すすぎ、脱水、または乾燥に関する評価を区別しないユーザの評価を問い合わせる場合の質問画面の例を示している。洗い、すすぎ、脱水、または乾燥に関する評価を区別しない評価を、総合評価とも称する。
表示部210は、図3に例示される質問画面で、「A.汚れの落ち具合」、「B.柔軟剤の付き具合」、「C.脱水・乾燥の程度」、および、「D.所要時間」の質問項目を示している。各質問項目に対するユーザの回答は、例えば、ユーザが、質問画面で項目ごとに、1点から5点の何れかをタッチ操作で選択し、「回答完了」へのタッチ操作で回答を確定させることで行われる。
【0044】
図3の「A.汚れの落ち具合」、「B.柔軟剤の付き具合」、「C.脱水・乾燥の程度」、「D.所要時間」の何れも、洗い、すすぎ、脱水、または乾燥の何れかに関する評価かは特定されていない。なお、「A.汚れの落ち具合」、「B.柔軟剤の付き具合」および「C.脱水・乾燥の程度」は、それぞれ、洗濯物の仕上がり具合に関する評価項目といえる。一方、「D.所要時間」は、洗濯機本体10の動作自体に関する評価項目と言える。このように、評価情報取得部313が行うユーザの総合評価についての質問には、洗濯物の仕上がり具合に対する総合評価についての質問、および、洗濯機本体10の動作自体に対する総合評価についての質問のうちの何れか、またはこれら両方が含まれていてもよい。またこれらに代えて、総合評価についての質問は、「1.今回の運転に満足である」、「2.今回の運転に不満がある」といった2択のような質問でもよい。
【0045】
学習部314が、状態情報と、ユーザの総合評価を示す評価情報との対応関係に基づいて、洗濯機本体10の洗い動作、すすぎ動作、脱水動作、または乾燥動作である個別動作の学習を行うようにしてもよい。
例えば、記憶部320が、総合評価の項目と洗濯機本体10の各動作との対応関係を予め記憶しておき、学習部314が、この対応関係に基づいて個別動作の学習を行うようにしてもよい。
【0046】
さらに例えば、記憶部320が、「A.汚れの落ち具合」について、洗い動作に関する項目であるとの情報を記憶しておくようにしてもよい。そして、学習部314が、「A.汚れの落ち具合」に対するユーザの評価(回答の点数)に基づいて、洗い動作の学習を行うようにしてもよい。洗い動作の学習では、学習部314は、制御情報のうち洗い動作の情報を更新する。
【0047】
例えば、「A.汚れの落ち具合」に対するユーザの評価が低い場合、学習部314が、洗い動作における水流の強さが強くなる、または、水量が多くなる、あるいはこれら両方が行われるように、制御情報を更新するようにしてもよい。水流の強さを強くする方法として、ドラム式洗濯機の場合は、洗濯槽110(ドラム)の回転速度または加速度、あるいはこれら両方の大きさを大きくするようにしてもよい。あるいは、縦型式洗濯機の場合は、洗濯槽110(回転槽)の回転速度または加速度、あるいはこれら両方の大きさを大きくすることに加えて、あるいは代えて、撹拌機(パルセータ)の動作を大きくするようにしてもよい。
【0048】
また、記憶部320が、「B.柔軟剤の付き具合」について、すすぎ動作に関する項目であるとの情報を記憶しておくようにしてもよい。そして、学習部314が、「B.柔軟剤の付き具合」に対するユーザの評価に基づいて、すすぎ動作の学習を行うようにしてもよい。すすぎ動作の学習では、学習部314は、制御情報のうちすすぎ動作の情報を更新する。
【0049】
例えば、「B.柔軟剤の付き具合」に対するユーザの評価が低い場合、学習部314が、すすぎ動作における洗濯槽110の回転速度が速くなる、すすぎ回数が多くなる、または、すすぎ時に注水が行われる、あるいはこれらの組み合わせが行われるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
あるいは、評価情報取得部313が、柔軟剤の付き具合に加えて、あるいは代えて、洗剤の落ち具合に対するユーザの評価を取得するようにしてもよい。そして、学習部314が、柔軟剤の付き具合に加えて、あるいは代えて、洗剤の落ち具合に対するユーザの評価に基づいて、すすぎ動作の学習を行うようにしてもよい。
【0050】
また、記憶部320が、「C.脱水・乾燥の程度」について、脱水動作および乾燥動作に関する項目であるとの情報を記憶しておくようにしてもよい。そして、学習部314が、「C.脱水・乾燥の程度」に対するユーザの評価に基づいて、脱水動作または乾燥動作、あるいはこれらの両方の学習を行うようにしてもよい。脱水動作の学習では、学習部314は、制御情報のうち脱水動作の情報を更新する。乾燥動作の学習では、学習部314は、制御情報のうち乾燥動作の情報を更新する。
【0051】
例えば、「C.脱水・乾燥の程度」に対するユーザの評価が低い場合、学習部314が、脱水動作における洗濯槽110の回転速度が速くなる、または、回転時間が長くなる、あるいはこれらの両方が行われるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
また、「C.脱水・乾燥の程度」に対するユーザの評価が低い場合、学習部314が、洗濯槽110内への送風温度が高くなる、送風量が多くなる、または、送風時間(乾燥時間)が長くなる、あるいはこれらの組み合わせが行われるように、制御情報を更新するようにしてもよい。送風温度を高くする方法として、送風される空気を加熱するヒートポンプまたはヒータ等の加熱量を大きくするようにしてもよい。送風量を多くする方法として、送風を行うファンの回転速度を速くするようにしてもよい。
【0052】
また、記憶部320が、「D.所要時間」について、洗い動作、すすぎ動作、脱水動作および乾燥動作に関する項目であるとの情報を記憶しておくようにしてもよい。そして、学習部314が、「D.所要時間」に対するユーザの評価に基づいて、洗い動作、すすぎ動作、脱水動作または乾燥動作、あるいはこれらの組み合わせの学習を行うようにしてもよい。
例えば、「D.所要時間」に対するユーザの評価が低い場合、学習部314が、洗い時間が短くなる、すすぎ時間が短くなる、すすぎ回数が少なくなる、脱水時間が短くなる、または、乾燥時間が短くなる、あるいはこれらの組み合わせが行われるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
【0053】
さらに、学習部314が、洗濯物の仕上がり具合の品質を維持するために、時間を短くする動作に関して上述したような制御情報の更新を行うようにしてもよい。例えば、学習部314が、洗い時間を短くする場合、洗い動作における水流の強さが強くなる、または、水量が多くなる、あるいはこれら両方が行われるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
【0054】
評価情報取得部313が総合評価を取得する場合も、学習部314が、状態情報と評価情報との対応関係に基づいて学習を行うようにしてもよい。この場合も、学習部314が、脱水動作の場合の例について上述したように、個々の動作の学習について、状態情報と評価情報との対応関係に基づいて学習を行うようにしてもよい。
【0055】
あるいは、学習部314が、個々の動作の学習に加えて、あるいは代えて、複数の動作にかかる総合的な学習について、状態情報と評価情報との対応関係に基づいて学習を行うようにしてもよい。
例えば、「C.脱水・乾燥の程度」に対するユーザの評価が低く、かつ、加速度センサ131の測定値による洗濯槽110の振動の大きさが所定の閾値以下である場合、学習部314が、脱水時の洗濯槽110の回転速度を速くするように学習を行うようにしてもよい。一方、「C.脱水・乾燥の程度」に対するユーザの評価が低く、かつ、洗濯槽110の振動の大きさが所定の閾値よりも大きい場合、学習部314が、洗濯槽110内への送風温度を高くする、送風量を多くする、または、送風時間(乾燥時間)を長くする、あるいはこれらの組み合わせが実行されるように学習を行うようにしてもよい。
【0056】
図4は、質問画面の第3例を示す図である。図4は、脱水時の洗濯槽の振動に対するユーザの評価を問い合わせる場合の質問画面の例を示している。
表示部210は、図4に例示される質問画面で、脱水時の洗濯槽の振動について、「1.このままでよい」および「2.もっと振動を小さくしたい」の選択肢を示している。ユーザによる回答は、例えば、質問画面でユーザが、選択肢の何れかをタッチ操作で選択し、「回答完了」へのタッチ操作で回答を確定させることで行われる。
【0057】
評価情報取得部313は、図4に例示される質問画面へのユーザの回答により、洗濯機本体10(特に洗濯槽110)の脱水動作時の振動の大きさに対するユーザの評価を示す評価情報を取得する。学習部314は、状態情報と評価情報との対応関係に基づき、洗濯機本体10の脱水動作に関する学習を行う。
【0058】
例えば、加速度センサ131の測定値に基づいて、洗濯槽110内における洗濯物の片寄りによる振動が一時的に検出された場合を考える。ここでいう洗濯槽110内における洗濯物の片寄りによる振動とは、洗濯槽110内で洗濯物の片寄りが生じることで重心のずれが生じ、洗濯槽110が洗濯機本体10内の他の部分に当たって振動が生じることである。
【0059】
洗濯槽110内における洗濯物の片寄りによる振動は、例えば、加速度センサ131が測定する加速度の大きさが、所定時間内に所定回数以上の頻度で、所定の閾値よりも大きくなること、といった判定基準で検出される。
洗濯槽110内における洗濯物の片寄りによる振動は、例えば洗濯槽110の回転に応じて洗濯物が移動することで解消される場合がある。この場合、洗濯槽110内における洗濯物の片寄りによる振動が一時的に検出される。
【0060】
図4の質問画面でのユーザの回答が「1.このままでよい」であった場合、学習部314は、制御情報の内容を変更しない。特に、学習部314は、制御情報における脱水時の洗濯槽110の回転速度をそのままの値とする。このことは、洗濯槽110内における洗濯物の片寄りによる振動の抑制よりも、脱水の程度を維持することを優先することと言える。
【0061】
一方、図4の質問画面でのユーザの回答が「2.もっと振動を小さくしたい」であった場合、学習部314は、脱水時の洗濯槽110の回転速度が遅くなるように、制御情報を更新する。次回以降の運転で、脱水時の洗濯槽110の回転速度が遅くなることで、洗濯槽110内における洗濯物の片寄りによる振動の発生の可能性が小さくなる、あるいは、洗濯槽110内における洗濯物の片寄りによる振動の大きさが小さくなると期待される。さらに、学習部314が、脱水時間が長くなるように制御情報を更新するようにしてもよい。これにより、脱水の程度が維持されると期待される。
【0062】
評価情報取得部313が、図4に例示される脱水時の振動の大きさに対するユーザの評価の質問に加えて、あるいは代えて、脱水時の音の大きさに対するユーザの評価を質問するようにしてもよい。
【0063】
図5は、質問画面の第4例を示す図である。図5は、脱水時の床の振動に対するユーザの評価を問い合わせる場合の質問画面の例を示している。
表示部210は、図5に例示される質問画面で、脱水時の床の振動について、「1.このままでよい」および「2.もっと振動を小さくしたい」の選択肢を示している。ユーザによる回答は、例えば、質問画面でユーザが、選択肢の何れかをタッチ操作で選択し、「回答完了」へのタッチ操作で回答を確定させることで行われる。
【0064】
評価情報取得部313は、図5に例示される質問画面へのユーザの回答により、洗濯機本体10の脱水動作時における、洗濯機本体10が設置されている床の振動の大きさに対するユーザの評価を示す評価情報を取得する。学習部314は、状態情報と評価情報との対応関係に基づき、洗濯機本体の脱水動作に関する学習を行う。
【0065】
洗濯槽110の振動の大きさが、主に洗濯機本体10が設置される空間内での音に影響するのに対し、床の振動は、他の部屋または他の階など、洗濯機本体10が設置される空間以外の空間でも感じられる可能性が高い。この点で、床の振動は、洗濯槽110の振動よりも影響が大きい可能性がある。
【0066】
また、床の振動は、洗濯槽110の振動による音よりも、感じ方に対する個人差が大きいと考えられる。また、床には加速度センサ等が設置されていないと考えられ、この点で、床の振動に対するユーザの評価は、センサ測定値による代替が効かないと言える。
評価情報取得部313が、図5の例のように床の振動に対するユーザの評価を取得することで、学習部314が、床の振動に対する対策の要否を判定し、必要に応じて対策を学習することができる。
【0067】
ユーザが、床の振動を小さくしたいとの回答をした場合、学習部314が、脱水時の洗濯槽110の回転速度が遅くなるように、制御情報を更新する。脱水時に洗濯槽110の回転速度が変化する設定となっている場合、学習部314が、回転速度の最高速度が遅くなるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
【0068】
ここで、ユーザが外出している場合は、床の振動を把握していないと考えられる。そこで、操作パネル20が携帯可能に構成され、かつ、評価情報取得部313が操作パネル20の位置情報を取得可能な場合、評価情報取得部313が、操作パネル20が洗濯機本体10が設置されている屋内に位置するか否かを判定するようにしてもよい。そして、操作パネル20が屋外に位置する(屋内に位置していない)と判定した場合、評価情報取得部313が、床の振動に関する質問を行わないようにしてもよい。
洗濯槽110の振動の大きさについても同様である。
【0069】
図6は、質問画面の第5例を示す図である。図6は、洗濯物に含まれる衣類の種類を問い合わせる場合の質問画面の例を示している。
表示部210は、図6に例示される質問画面で、洗濯物に含まれる衣類の種類について、「1.上着類」、「2.Tシャツ類」、「3.下着類」、「4.靴下」、「5.タオル、バスタオル」の選択肢を示している。ユーザによる回答は、例えば、質問画面でユーザが、洗濯物に含まれる衣類を全てタッチ操作で選択し、「回答完了」へのタッチ操作で回答を確定させることで行われる。
【0070】
ここで、洗濯物の重量および衣類の種類に応じて洗濯方法を変えることが考えられる。例えば、洗濯物の種類および量によって洗濯物の片寄りの生じやすさが異なり、脱水時の振動に対する対策の要否または程度が異なることが考えられる。あるいは、脱水時の振動に対する対策に限らず、例えば洗い時の洗剤の量など、洗濯機本体10のいろいろな動作について、洗濯物の重量および衣類の種類に応じて設定を変えることが考えられる。そこで、学習部314が、洗濯物の重量および衣類の種類が洗濯機本体10の動作に反映されるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
【0071】
例えば、評価情報取得部313が、図6に例示される衣類の種類を問い合わせるための質問画面を表示部210に表示させて、衣類の種類の回答を取得し、衣類種類情報として学習部314に出力する。ここでいう衣類種類情報は、洗濯物に含まれる衣類の種類を示す情報である。評価情報取得部313が、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価も取得し、評価情報と衣類種類情報とを紐付けて学習部314に出力するようにしてもよい。
【0072】
学習部314は、評価情報取得部313からの衣類種類情報に基づいて、衣料の種類に応じた洗濯機本体10の動作に関する学習を行う。例えば、学習部314が、衣類種類情報の値、および、重量センサ132の測定値(洗濯物の重量)に応じて洗い時またはすすぎ時の水流の強さの制御量を算出する式を、制御情報に含めておくようにしてもよい。
ここでの水流の強さは、洗濯物の片寄りによる脱水時の振動に対する対策の例に該当する。水流を強くして洗濯物をよく攪拌することで、綿など片寄りが生じやすい種類の衣類が多くても洗濯物の片寄りが解消されることが期待される。水流の強さの制御量として、例えば、駆動部120が洗濯槽110の回転および停止を繰り返すときの、駆動部120を構成するモータの電流の大きさを用いることができる。
【0073】
評価情報と衣類種類情報とが紐付けられている場合、学習部314は、衣類種類情報と評価情報とに基づいて、衣類の種類に応じた洗濯機本体10の動作に関する学習を行う。例えば、学習部314は、洗濯物の重量および衣類の種類を水流の強さに反映させることに加え、評価情報が示す洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価についても、制御情報に反映させる。洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価の制御情報への反映は、例えば、図2から図5を参照して説明した方法で行うことができる。
【0074】
洗濯のたびにユーザが衣類の種類を回答することは、ユーザにとって負担である。そこで、衣類種類推定部315が、重量センサ132により測定された洗濯物の重量と布質判定部133により判定された洗濯物の布質(衣類の布質)とに基づいて、洗濯物に含まれる衣類の種類を推定し衣類種類情報を生成する。
例えば、衣類の種類についてのユーザの回答が得られたときに、布質判定部133が、ユーザの回答と、重量センサ132の測定値と、布質判定部133の判定結果とを紐付けて、記憶部320に記憶させておくようにしてもよい。そして、衣類種類推定部315が、記憶部320が記憶しているユーザの回答のうち、重量センサ132の測定値および布質判定部133の判定結果が今回の洗濯での測定値に最も近い回答を取得して、衣類種類情報として用いるようにしてもよい。
【0075】
洗濯機本体10の洗濯制御部140は、衣類種類推定部315により推定された衣類の種類と、学習部314により学習された内容とに基づき、洗濯機本体10を制御する。例えば、洗濯制御部140は、重量センサ132の測定値と、衣類種類推定部315の推定結果としての衣類種類情報とを、学習部314が設定する上記の式に入力して水流の強さの制御量を算出し、算出した制御量に基づいて駆動部120を制御する。上記のように、学習部314が、水流の強さの制御量として、駆動部120を構成するモータの電流の大きさを算出するようにしてもよい。
【0076】
評価情報取得部313が、洗濯機本体10の動作中に衣類の片寄りに起因するエラー(片寄りエラー)が生じた場合に、衣類種類情報を含むユーザの回答を受け付けるようにしてもよい。衣類片寄りに起因するエラーの例として、脱水時に、加速度センサ131による洗濯機本体10振動の大きさが所定の閾値よりも大きくなるといった、脱水時の振動のエラーが挙げられる。このような脱水時の振動のエラーで洗濯機本体10が停止したときに、評価情報取得部313が、操作パネル20を介してユーザに衣類の種類を問い合わせ、回答として衣類種類情報を取得するようにしてもよい。
【0077】
この場合、ユーザの回答による衣類種類情報は、衣類の片寄りに対する対策が必要となる事例における衣類の種類を示す情報であると言える。そこで、学習部314が、ユーザの回答による衣類種類情報が得られたときと同様の洗濯物の重量および衣類の種類が検出された場合に、衣類の片寄りに対する対策が行われるように、制御情報を更新するようにしてもよい。
【0078】
例えば、ユーザの回答による衣類種類情報が得られたときに、学習部314が、その衣類種類情報と、重量センサ132による重量の測定値と、衣類の片寄りに対する対策とを紐付けた情報を、制御情報に含めておくようにしてもよい。そして、洗濯制御部140が、洗濯機本体10による洗濯開始時に、重量センサ132による重量の測定値と、衣類種類推定部315による衣類種類情報とを取得して、衣類の片寄りに対する対策の要否を判定するようにしてもよい。
【0079】
例えば、洗濯制御部140は、得られた衣類種類情報および重量測定値と同じ内容の衣類の種類および重量の情報が、制御情報に含まれているか否かを判定する。重量センサ132が測定する重量の粒度が細かい場合は、洗濯制御部140が、重量測定値を中心に所定の範囲内の重量の情報が含まれているか否かを判定するようしてもよい。該当する衣類の種類および重量の情報が含まれていると判定した場合、洗濯制御部140は、その情報に紐付けられている、衣類の片寄りに対する対策を制御情報から読み出して実行する。
【0080】
これにより、衣類の片寄りに起因するエラーが発生した後の運転で、エラーが発生したときと同様な衣類の組み合わせとなった場合に、再度エラーが発生する可能性を低減させることができる。
また、ユーザは、衣類の片寄りに起因するエラーが発生した場合のみ衣類の種類を回答すればよい点で、ユーザの負担が比較的軽い。
【0081】
評価情報取得部313が、エラーが発生している場合および発生していない場合のそれぞれでユーザに対する質問を行う場合、学習部314が、エラーが発生している場合におけるユーザの回答を優先的に制御情報に反映させるようにしてもよい。
【0082】
学習部314が、時間帯ごと、曜日ごと、または季節ごと等の時間的要因ごとに、洗濯機本体10の動作を学習するようにしてもよい。あるいは、学習部314が、時間的要因に加えて、あるいは代えて、最高気温ごとなど洗濯機本体10の設置環境の要因ごとに、洗濯機本体10の動作を学習するようしてもよい。
【0083】
時間帯に関して、洗濯機本体10の動作に関するユーザの評価が、時間帯によって異なる可能性がある。例えば、昼間よりも夜のほうが、ユーザにとって振動および音が気になり易いことが考えられる。
学習部314が時間帯ごとに洗濯機本体10の動作を学習することで、洗濯制御部140は、制御情報に基づいて洗濯機本体10の制御方法を決定する際に、時間帯を考慮する点で制御方法を高精度に決定し得る。洗濯システム1によれば、この点で、洗濯機本体10の動作にユーザの評価を高精度に反映させることができる。
【0084】
曜日に関して、例えば平日は仕事着の洗濯が多いが、休日は普段着の洗濯が多いなど、曜日によって洗濯物に含まれる衣類の種類が異なる可能性がある。また、平日よりも休日のほうが洗濯物が多いなど、曜日によって洗濯物の量が異なる可能性がある。
学習部314が曜日ごとに洗濯機本体10の動作を学習することで、洗濯制御部140は、制御情報に基づいて洗濯機本体10の制御方法を決定する際に、曜日を考慮する点で制御方法を高精度に決定し得る。洗濯システム1によれば、この点で、洗濯機本体10の動作を高精度に制御できる。
【0085】
季節に関して、例えば夏はTシャツの洗濯が比較的多いのに対して冬はセーターの洗濯が比較的多いなど、季節によって洗濯物に含まれる衣類の種類が異なる可能性がある。また、冬は夏よりも厚着になる分だけ洗濯物の量が多いなど、季節によって洗濯物の量が異なる可能性がある。また、洗濯槽110を支持しているサスペンションが季節によって熱膨張し特性が変化するなど、気温によって洗濯槽110の振動の仕方が異なることが考えられる。
学習部314が季節ごとに洗濯機本体10の動作を学習することで、洗濯制御部140は、制御情報に基づいて洗濯機本体10の制御方法を決定する際に、季節を考慮する点で制御方法を高精度に決定し得る。洗濯システム1によれば、この点で、洗濯機本体10の動作を高精度に制御できる。
【0086】
最高気温に関しても、最高気温が高い日はTシャツの洗濯が比較的多いのに対して最高気温が低い日はセーターの洗濯が比較的多いなど、最高気温によって洗濯物に含まれる衣類の種類が異なる可能性がある。また、最高気温が低い日は最高気温が高い日よりも厚着になる分だけ洗濯物の量が多いなど、最高気温によって洗濯物の量が異なる可能性がある。また、洗濯槽110を支持しているサスペンションが気温によって熱膨張し特性が変化するなど、最高気温によって洗濯槽110の振動の仕方が異なることが考えられる。
学習部314が季節ごとに洗濯機本体10の動作を学習することで、洗濯制御部140は、制御情報に基づいて洗濯機本体10の制御方法を決定する際に、季節を考慮する点で制御方法を高精度に決定し得る。洗濯システム1によれば、この点で、洗濯機本体10の動作を高精度に制御できる。
【0087】
洗濯機本体10が洗剤の自動投入を行う場合、評価情報取得部313が洗剤の使用量に対するユーザの評価を問い合わせ、学習部314が、評価に応じて洗剤の使用量を学習するようにしてもよい。
例えば、洗濯機本体10が一定量の洗剤を使い切ったときに、評価情報取得部313が、洗剤を使いきるまでの洗濯回数をユーザに提示して、洗剤の投入量を減らすか否かをユーザに問い合わせるようにしてもよい。洗剤の投入量を減らしたい旨の回答があった場合、学習部314が、1回の洗いにおける洗剤の投入量が減少するように制御情報を更新するようにしてもよい。洗剤の投入量減少で洗濯物に汚れが残ることが懸念される場合、学習部314が、例えば洗い時間を長く設定するなど、汚れ落ちを向上させるように制御情報を更新するようにしてもよい。
【0088】
学習部314が、ユーザの評価に応じて乾燥フィルタまたは脱水のフィルタなどフィルタの手入れをユーザに促すタイミングを学習するようにしてもよい。
乾燥フィルタに埃が溜まると乾燥時間が長くなるというように、フィルタに埃等が溜まると洗濯機本体10の動作時間が長くなり易いと考えられる。そこで、評価情報取得部313が洗濯機本体10の動作時間に対するユーザの評価を問い合わせるようにしてもよい。ユーザが、洗濯機本体10の動作時間が短いことを要望する場合、フィルタの手入れをユーザに促す通知が比較的早い段階で行われるように、学習部314が制御情報を更新するようにしてもよい。一方、ユーザが洗濯機本体10の動作時間を気にしない場合、フィルタの手入れをユーザに促す通知が比較的遅い段階で行われるように、学習部314が制御情報を更新するようにしてもよい。この場合、ユーザがフィルタの手入れを行う頻度が少なくなる点で、ユーザの負担が軽減される。
【0089】
学習部314が、洗濯物の汚れ落ちの程度に対するユーザの評価に応じて、水の使用量(洗い時またはすすぎ時の水位)を学習するようにしてもよい。これにより節水が可能になる。
学習部314が、洗濯物の汚れ落ちの程度に対するユーザの評価、または、洗濯物の絡み具合に対するユーザの評価に応じて、パルセータ等による洗濯物の攪拌の度合いを学習するようにしてもよい。洗濯物の攪拌の程度が強くなると、汚れが落ちやすくなる一方、洗濯物が絡まり易くなることが考えられる。学習部314が、ユーザの評価に応じて濯物の攪拌の度合いを学習することで、洗濯物の汚れの落ち具合と洗濯物の絡み具合のトレードオフの調整に、ユーザの評価を反映させることができる。
【0090】
図7は、学習装置30が洗濯機本体10の動作の学習を行う処理の手順の例を示すフローチャートである。図7は、学習装置30が洗濯機本体10と一体的に構成されている場合の例を示している。学習装置30は、例えは、洗濯機本体10の電源スイッチがオンとなって洗濯機本体10と学習装置30とに通電されると、図7の処理を開始する。
【0091】
図7の処理で、状態判定部312は、質問条件が成立しているか否かを判定する(ステップS101)。ここでいう質問条件は、ユーザに対して質問を行うか否かの判定基準となる条件である。質問条件は、特定の条件に限定されない。例えば、洗濯機本体10の運転(洗濯機本体10による洗濯)が終了するごとに学習装置30がユーザに対して質問を行う場合、質問条件として、洗濯機本体10の運転が終了し、かつ、未だ質問を行っていない、という条件を用いることができる。あるいは、洗濯機本体10の運転がエラーで停止したときに学習装置30がユーザに対して質問を行う場合、質問条件として、洗濯機本体10の運転がエラーで停止しており、かつ、未だ質問を行っていない、という条件を用いることができる。質問ごとに異なる質問条件が設定されていてもよい。
【0092】
質問条件が成立していないと状態判定部312が判定した場合(ステップS101:NO)、処理がステップS101へ戻る。
一方、質問条件が成立していると状態判定部312が判定した場合(ステップS101:YES)、評価情報取得部313が、操作パネル20の表示部210に質問画面を表示させる(ステップS102)。そして、評価情報取得部313は、ユーザが入力部220を用いたユーザ操作で入力する回答を取得する(ステップS103)。
そして、洗濯制御部140は、ユーザの回答に応じて制御情報を更新する(ステップS104)。
ステップS104の後、処理がステップS101へ戻る。
【0093】
学習装置30がサーバ装置として構成されている場合など洗濯機本体10と学習装置30とが別々の装置として構成されている場合、例えば洗濯制御部140など洗濯機本体10側で、ステップS101の判定を行うようにしてもよい。そして、質問条件が成立している判定した場合に、洗濯機本体10が、学習装置30に対してステップS102以下の処理を行うように依頼を送信するようにしてもよい。
【0094】
図8は、洗濯機本体10が運転を行う処理手順の例を示す図である。洗濯機本体10は、例えば、洗濯開始ボタンが押下された場合など洗濯の開始時に図8の処理を開始する。
図8の処理で、洗濯制御部140は、運転コース情報および状態情報を取得する(ステップS201)。例えば、洗濯制御部140は、運転コースを選択するユーザ操作が行われると、ユーザ操作で選択された運転コースを示す情報を、運転コース情報として取得する。また、洗濯機本体10は、例えば、重量センサ132および布質判定部133など洗濯機本体10に搭載されたセンサのセンシングデータを状態情報として取得する。
【0095】
次に、洗濯制御部140は、記憶部320が記憶する制御情報から、運転コースおよび状態情報に該当する制御方法を読み出す(ステップS202)。
そして、洗濯制御部140は、読み出した制御方法に基づいて、洗濯機本体10の各部を制御して洗濯機本体10の運転を実行させる(ステップS203)。
ステップS203の後、洗濯機本体10は、図8の処理を終了する。
【0096】
以上のように、評価情報取得部313は、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を問い合わせる質問を表示部210に出力(表示)させ、入力部220を介してユーザの回答を受け付けることで、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を示す評価情報を取得する。学習部314は、評価情報に基づいて、洗濯機本体10の動作に関する学習を行う。
これにより、洗濯システム1では、洗濯に対するユーザの評価を次回以降の洗濯に反映することができる。
【0097】
ここで、洗濯機本体10の動作時の振動および音が気になるか否かなど、洗濯機本体10の動作に関しての感じ方には個人差があると考えられる。洗濯システム1によれば、ユーザの評価に基づいて洗濯機本体10の動作に関する学習を行うことで、洗濯機本体10の動作に関しての感じ方の個人差を反映して、洗濯機本体10の運転を、ユーザの要求に応じた運転にカスタマイズすることができる。その際、ユーザは、洗濯機本体10の動作に対するユーザ自らの評価を回答すればよく、例えば脱水時の洗濯槽110の回転速度を毎分何回転に設定するかなど、洗濯機本体10の動作を設定する必要は無い。したがって、ユーザは、例えば洗濯機本体10の動作が洗濯物の仕上がりおよび周囲環境に及ぼす影響といった知識を必要とせずに、質問に回答することができる。洗濯システム1によればこの点で、ユーザの負担が比較的軽い。
【0098】
また、状態情報取得部311は、洗濯機本体10の動作状態を示す状態情報を取得する。状態判定部312は、状態情報に基づいて、洗濯機本体10の動作状態が所定条件を満たすか否かを判定する。評価情報取得部313は、洗濯機本体10の動作状態が所定条件を満たすと判定された場合、表示部210に質問を出力させる。
洗濯システム1によれば、ユーザへの質問のタイミングを、洗濯機本体10の動作状態が所定条件を満たすと判定された場合に限定することができる。洗濯システム1によれば、ユーザが質問に回答する頻度が低減される点で、ユーザの負担が比較的軽い。
【0099】
ここでの所定条件は、特定の条件に限定されない。例えば、所定条件は、洗濯機本体10の動作に関して何らかの不具合が検出された場合、といった条件であってもよい。あるいは、所定条件は、洗濯機本体10が所定回数運転を行うごと、といった洗濯機本体10の運転回数に関する状態であってもよい。
【0100】
また、状態情報は、洗濯機本体10に搭載されたセンサの検出結果から得られる値を含む。状態判定部312は、センサの検出結果から得られる値が閾値を超えた場合に、洗濯機本体10の動作状態が所定条件を満たすと判定する。
これにより、学習装置30は、洗濯機本体10の動作に関してユーザの感じ方によっては改善を求められ得る場合に、ユーザに対する質問を行って改善の要否(ユーザにとっての優先順位)を把握することができる。洗濯機本体10の動作に関してユーザの感じ方によっては改善を求められ得る場合の例として、洗濯槽110の振動の大きさが所定の閾値よりも大きくなった場合が挙げられるが、これに限定されない。
このように、洗濯システム1によれば、洗濯機本体10の動作の変更を要求される可能性のあるときにユーザに質問を行って洗濯機本体10の動作を学習することができる。洗濯システム1によれば、この点で、洗濯機本体10の動作を効率的に学習することができる。
【0101】
また、状態情報は、洗濯機本体10の動作時間を示す情報を含む。状態判定部312は、洗濯機本体10の動作時間が予め算出された予定時間よりも長くなる場合に、洗濯機本体10の動作状態が所定条件を満たすと判定する。
洗濯機本体10の動作時間が予め算出された予定時間よりも長くなる場合、ユーザによっては動作時間が短くなることを望む可能性がある。
したがって、学習装置30は、洗濯機本体10の動作に関してユーザの感じ方によっては改善を求められ得る場合に、ユーザに対する質問を行って改善の要否(ユーザにとっての優先順位)を把握することができる。
このように、洗濯システム1によれば、洗濯機本体10の動作の変更を要求される可能性のあるときにユーザに質問を行って洗濯機本体10の動作を学習することができる。洗濯システム1によれば、この点で、洗濯機本体10の動作を効率的に学習することができる。
【0102】
また、状態情報取得部311は、洗濯機本体10の動作状態を示す状態情報を取得する。洗濯機本体10は、洗濯物が収容される洗濯槽110を備える。評価情報取得部313は、洗濯機本体10が脱水を行った洗濯物の脱水具合についてのユーザの評価を示す評価情報を取得する。学習部314は、状態情報と評価情報との対応関係に基づいて、洗濯機本体10の脱水動作に関する学習を行う。
脱水に関して、洗濯物の脱水具合および皴の具合、脱水時の振動および音、脱水時間など、いろいろな評価軸が考えられる。このことから、ユーザが、洗濯機本体10の動作の中で脱水動作に対して特に改善を要望している可能性がある。洗濯システム1が、脱水に関するユーザの評価を取得して脱水動作に関する学習を行うことで、ユーザの要望に効果的に対応できることが期待される。
【0103】
また、状態情報取得部311は、洗濯機本体10の動作状態を示す状態情報を取得する。評価情報取得部313は、洗濯物の具合について、洗い、すすぎ、脱水、または乾燥に関する評価を区別しないユーザの総合評価を問い合わせる質問を表示部210に出力させ、ユーザの総合評価を示す評価情報を取得する。学習部314は、状態情報と、総合評価を示す評価情報との対応関係に基づき、洗濯機本体10の洗い動作、すすぎ動作、脱水動作、または乾燥動作である個別動作の学習を行う。
洗濯システム1によれば、例えば脱水および乾燥を総合しての洗濯物の乾き具合、あるいは、洗い時間、すすぎ時間、脱水時間および乾燥時間を合計した所要時間など、複数の動作に関する事項について、ユーザの評価を反映させた運転を行うことができる。
また、ユーザにとっては、洗濯機本体10の動作全体に対する評価を回答すればよく、洗濯機本体10の個々の動作に評価を割り振る必要がない。洗濯システム1によればこの点で、ユーザの負担が比較的軽い。
【0104】
また、状態情報取得部311は、洗濯機本体10の動作状態を示す状態情報を取得する。洗濯機本体10は、洗濯槽110を有する。評価情報取得部313は、洗濯機本体10の脱水動作時の振動の大きさに対するユーザの評価を示す評価情報を取得する。学習部314は、状態情報とこの評価情報との対応関係に基づき、洗濯機本体10の脱水動作に関する学習を行う。
洗濯機本体10の脱水動作時の振動、およびその振動によって生じる音は、洗濯機本体10の動作に起因する事象のうち、特にユーザが感じ取り易い事象といえる。このことから、洗濯機本体10の脱水動作時の振動に対して、ユーザが改善を要望する可能性は比較的高いと考えられる。洗濯システム1によれば、ユーザが改善を要望する可能性が比較的高い、洗濯機本体10の脱水動作時の振動に対して対策を行い得る点で、ユーザの要望に効果的に対応できると期待される。
【0105】
また、状態情報取得部311は、洗濯機本体10の動作状態を示す状態情報を取得する。洗濯機本体10は、洗濯槽110を有する。評価情報取得部313は、洗濯機本体10の脱水動作時における、洗濯機本体10が設置されている床の振動の大きさに対するユーザの評価を示す評価情報を取得する。学習部314は、状態情報とこの評価情報との対応関係に基づき、洗濯機本体10の脱水動作に関する学習を行う。
洗濯槽110の振動の大きさが、主に洗濯機本体10が設置される空間内での音に影響するのに対し、床の振動は、他の部屋または他の階など、洗濯機本体10が設置される空間以外の空間でも感じられる可能性が高い。この点で、床の振動は、洗濯槽110の振動よりも影響が大きい可能性がある。また、床の振動は、洗濯槽110の振動による音よりも、感じ方に対する個人差が大きいと考えられる。また、床には加速度センサ等が設置されていないと考えられ、この点で、床の振動に対するユーザの評価は、センサ測定値による代替が効かないと言える。
洗濯システム1によれば、このようにユーザまたは他者の生活に対する影響が比較的大きく、また、センサによる測定のみでは適切に対応できない可能性のある床の振動に対して、ユーザの評価を取得して学習する点で効果的に対応し得る。
【0106】
また、衣類種類推定部315は、洗濯物の重量および洗濯物に対する布質判定動作の結果に基づき、洗濯物に含まれる衣類の種類を推定する。評価情報取得部313は、ユーザの評価と、評価の対象となった洗濯物に含まれる衣類の種類を示す衣類種類情報とを含むユーザの回答を受け付け可能である。学習部314は、衣類種類情報と評価情報とに基づいて、衣類の種類に応じた洗濯機本体10の動作に関する学習を行う。洗濯機本体10は、衣類種類推定部315により推定された衣類の種類と、学習部314により学習された内容とに基づき、洗濯機本体10を制御する。
洗濯システム1によれば、洗濯物に含まれる衣類の種類に応じて洗濯機本体10を制御する点で、洗濯機本体10の制御方法を高精度に選択できる。洗濯システム1によればこの点で、洗濯機本体10の動作をユーザの要望に沿って適切に制御できると期待される。
また、衣類種類推定部315が衣類の種類を推定することで、ユーザが衣類の種類を回答する頻度を低減させることができる。洗濯システム1によればこの点で、ユーザの負担が比較的軽い。
【0107】
また、評価情報取得部313は、洗濯機本体10の動作中に衣類片寄りに起因するエラーが生じた場合に、衣類種類情報を含むユーザの回答を受け付ける。
洗濯システム1によれば、衣類の片寄りに起因するエラーが発生した後の運転で、エラーが発生したときの同様な衣類の組み合わせとなった場合に、再度エラーが発生する可能性を低減させることができる。
また、ユーザは、衣類の片寄りに起因するエラーが発生した場合のみ衣類の種類を回答すればよい。洗濯システム1によれば、この点で、ユーザの負担が比較的軽い。
【0108】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、洗濯機本体10の動作に対するユーザの評価を問い合わせてユーザの評価を示す評価情報を取得する評価情報取得部313と、評価情報に基づいて洗濯機本体10の動作に関する学習を行う学習部314とを持つことにより、洗濯に対するユーザの評価を次回以降の洗濯に反映することができる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0110】
1…洗濯システム、10…洗濯機本体、20…操作パネル、30…学習装置、110…洗濯槽、120…駆動部、131…加速度センサ、132…重量センサ、133…布質判定部、140…洗濯制御部、210…表示部、220…入力部、311…状態情報取得部、312…状態判定部、313…評価情報取得部、314…学習部、315…衣類種類推定部、320…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8