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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096341
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】温度検出回路
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/24 20060101AFI20220622BHJP
   H02H 5/04 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
G01K7/24 A
H02H5/04 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209399
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】坂柳 佑治
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056RA01
2F056RA08
(57)【要約】
【課題】従来の温度検出回路は、高精度な温度測定が可能な温度範囲が狭い問題があった。
【解決手段】本発明の温度検出回路は、第1の電源VREFに一端が接続され、温度に応じて抵抗値が変化する温度検出素子Rthと、温度検出素子Rthの他端に一端が接続され、スイッチ制御信号に基づき開閉状態が制御されるスイッチSW1と、スイッチSW1の他端と第2の電源GNDとの間に接続されるコンデンサC1と、スイッチSW1の開閉状態を制御するスイッチ制御回路11と、を有し、スイッチ制御回路11は、コンデンサC1の両端に生成される温度検出電圧Voにより判断される温度検出素子Rthの抵抗値を判断し、温度検出開始時刻にスイッチSW1を閉状態とし、抵抗値が高くなるほどスイッチSW1を閉状態とする時間を長くするようにスイッチSW1を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源に一端が接続され、温度に応じて抵抗値が変化する温度検出素子と、
前記温度検出素子の他端に一端が接続され、スイッチ制御信号に基づき開閉状態が制御されるスイッチと、
前記スイッチの他端と第2の電源との間に接続されるコンデンサと、
前記スイッチの開閉状態を制御するスイッチ制御回路と、を有し、
前記スイッチ制御回路は、
前記コンデンサの両端に生成される温度検出電圧により判断される前記温度検出素子の前記抵抗値を判断し、
温度検出開始時刻に前記スイッチを閉状態とし、前記抵抗値が高くなるほど前記スイッチを閉状態とする時間を長くするように前記スイッチを制御する温度検出回路。
【請求項2】
前記スイッチ制御回路は、予め設定された閾値を有し、前記抵抗値と前記閾値との大小関係が変わったことに応じて前記スイッチを閉状態とする時間を切り替える請求項1に記載の温度検出回路。
【請求項3】
前記スイッチ制御回路は、前記スイッチを閉状態とする時間の切り替えを判断する場合、前記抵抗値に関して所定のヒステリシス幅を持って前記スイッチを閉状態とする時間の切り替えを判断する請求項2に記載の温度検出回路。
【請求項4】
前記スイッチ制御回路は、前記閾値として、第1の抵抗値に対応する第1の閾値と、前記第1の抵抗値よりも低い第2の抵抗値に対応する第2の閾値と、を有し、前記抵抗値が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間にある場合、温度検出対象物の発熱量の増減を示す推定発熱量が発熱閾値を超えたか否かに基づき前記スイッチの前記閉状態の時間を切り替える請求項2に記載の温度検出回路。
【請求項5】
前記スイッチ制御回路は、前記温度検出対象物の発熱特性及び放熱特性に基づき前記推定発熱量を算出する請求項4に記載の温度検出回路。
【請求項6】
前記温度検出素子は、複数の温度検出素子を含み、
前記スイッチは、前記複数の温度検出素子のいずれか1つを選択して前記コンデンサに接続する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の温度検出回路。
【請求項7】
前記温度検出電圧から前記抵抗値を判断し、判断した前記抵抗値に対応する温度値を出力する電圧温度変換回路をさらに有し、
前記スイッチ制御回路は、前記温度値に基づき前記抵抗値を判断する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の温度検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、温度により抵抗値が変化する温度検出素子を用いた温度検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池では、出力限界の推定処理や充電率の推定処理において、二次電池の温度を用いる。そこで、二次電池を用いるシステムでは、電池温度を測定する温度検出回路が用いられる。この温度検出回路の例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の電池制御装置は、複数の電池モジュールを直列接続して構成される組電池の温度を検出する複数の温度センサと、一端側が温度センサに接続され温度センサにドライブ電圧を印加するドライブ回路部と、ドライブ回路部の他端側に接続されノイズを除去するフィルタ回路部と、ドライブ回路部及びフィルタ回路部を介して温度センサに接続され温度センサから入力された温度信号に基づき組電池を制御するマイクロコンピュータと、を備えた電池制御装置において、さらに、入力側が複数の温度センサ側に切替可能に接続され出力側がドライブ回路部及びフィルタ回路部のうち少なくとも何れか一方を介してマイクロコンピュータに接続されたマルチプレクサを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-224071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電池制御装置では、温度に対する温度信号の変化の傾きが大きくなる範囲、言い換えると、温度を高精度に測定できる範囲が測定しようとする温度範囲に対して狭い問題がある。つまり、特許文献1に記載の電池制御装置では、広い温度範囲で高精度な温度測定を行うことが出来ない問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、温度検出回路において、高精度な温度測定が可能な温度範囲を拡大することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の温度検出回路の一態様は、第1の電源に一端が接続され、温度に応じて抵抗値が変化する温度検出素子と、前記温度検出素子の他端に一端が接続され、スイッチ制御信号に基づき開閉状態が制御されるスイッチと、前記スイッチの他端と第2の電源との間に接続されるコンデンサと、前記スイッチの開閉状態を制御するスイッチ制御回路と、を有し、前記スイッチ制御回路は、前記コンデンサの両端に生成される温度検出電圧により判断される前記温度検出素子の前記抵抗値を判断し、温度検出開始時刻に前記スイッチを閉状態とし、前記抵抗値が高くなるほど前記スイッチを閉状態とする時間を長くするように前記スイッチを制御する。
【0008】
温度に従って変化する温度検出素子の抵抗値により、温度検出素子とコンデンサにより構成される時定数回路の時定数が変化する。そして、本発明の温度検出回路は、スイッチを開状態とする時間を調整することで、時定数回路における電圧変化が大きな区間を選択し、選択した区間で生成される電圧を温度検出電圧とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の温度検出回路によれば、広い温度範囲で高精度な温度測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかる温度検出回路の回路図である。
図2】実施の形態1にかかる温度検出回路の動作を説明するグラフである。
図3】比較例にかかる温度検出回路の回路図である。
図4】比較例にかかる温度検出回路の動作を説明するグラフである。
図5】実施の形態1にかかる温度検出回路の動作を説明するフローチャートである。
図6】実施の形態2にかかる温度検出回路の動作を説明するフローチャートである。
図7】実施の形態3にかかる温度検出回路の動作を説明するフローチャートである。
図8】実施の形態4にかかる温度検出回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0013】
実施の形態にかかる温度検出回路は、サーミスタ等の温度により抵抗値が変化する温度検出素子を用い、当該温度検出素子の抵抗値の変化を電圧値の変化として取得し、取得した電圧値に対応する温度値をデジタル値で出力する。そして、実施の形態にかかる温度検出回路は、温度検出素子に検出される温度に合わせて、温度検出素子とともに時定数回路を構成するコンデンサへの充電時間を変化させる。具体的には、実施の形態にかかる温度検出回路では、スイッチを閉状態にする時間を変更することでコンデンサへの充電時間を変更する。
【0014】
以下の説明では、温度検出素子として、温度の上昇に反比例して抵抗値が低下する特性を有するサーミスタを用いる。また、以下の説明では、検出する温度とスイッチの切り替わりの関係をわかりやすくするため、スイッチの切り替え指標として温度を用いる。しかし、実施の形態にかかる温度検出回路のスイッチの切り替えタイミングは、温度検出素子の抵抗値に起因してスイッチの閉時間を調整するものである。したがって、以下の説明で用いるサーミスタとは逆に、温度が上昇するに従って抵抗値が大きくなる温度検出素子を利用した場合、スイッチを閉状態とする時間は温度の上昇に従って長くなることに注意が必要である。
【0015】
実施の形態1
図1に実施の形態1にかかる温度検出回路1の回路図を示す。図1に示す実施の形態1にかかる温度検出回路1は、例えば、複数の電池セルを組み合わせた組電池を温度検出対象物とする。そして、図1では、組電池を含む電池システムに組み込まれる温度検出回路1の回路図を示した。温度検出回路1は、温度検出電圧Voから計測箇所の温度Tbを算出し、電池の出力限界の算出処理や電池の充電率の算出処理等の電池の制御に用いる。
【0016】
図1に示すように、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、温度検出素子(例えば、サーミスタRth)、スイッチSW1、SW2、コンデンサC1、放電抵抗R1、電圧検出回路10、スイッチ制御回路11を有する。
【0017】
サーミスタRthは、接触している温度検出対象物の温度に応じて抵抗値が変化する温度検出素子である。サーミスタRthは、一端が第1の電源(例えば、基準電圧VREFを供給する電源)に接続される。スイッチSW1は、サーミスタRthの他端に一端が接続され、スイッチ制御信号に基づき開閉状態が制御される。コンデンサC1は、スイッチSW1の他端と第2の電源(例えば、接地電圧GNDを供給する電源)との間に接続される。そして、温度検出回路1では、コンデンサC1の両端に生成される電圧を温度検出電圧Voから温度Tbを算出して出力する。より具体的には、温度検出回路1では、電圧温度変換回路10がコンデンサC1の両端に生成される温度検出電圧Voをデジタル値に変換して変換した値を温度Tbとして出力する。
【0018】
なお、電圧温度変換回路10は、例えば、スイッチSWの閉時間の設定値毎に温度検出電圧Voと温度Tbとの関係を示したテーブルを有し、当該テーブルを参照して、温度検出電圧Voから温度Tbを算出する演算器が考えられる。また、温度検出電圧Voと温度検出素子の抵抗値との間には相関があるため、電圧温度変換回路10は、温度検出電圧Voから抵抗値を判断し、判断した抵抗値に対応する温度Tbを出力するものとも考えられる。
【0019】
また、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、コンデンサC1と並列にスイッチSW2と放電抵抗R1の直列回路を設ける。スイッチSW2は、後述するスイッチ制御回路11が出力するスイッチ制御信号に基づき開閉状態が制御される。
【0020】
スイッチ制御回路11は、スイッチSW1、SW2の開閉状態を制御する。このスイッチSW1、SW2の制御において、スイッチ制御回路11は、コンデンサC1の両端に生成される温度検出電圧Voにより判断されるサーミスタRthの抵抗値を判断し、温度検出開始時刻に前記スイッチを閉状態とし、抵抗値が高くなるほどスイッチを閉状態とする時間を長くするようにスイッチSW1を制御する。なお、スイッチ制御回路11は、温度Tbに基づきサーミスタRthの抵抗値を判断する。
【0021】
ここで、スイッチ制御回路11は、予め設定された閾値(本実施の形態では、抵抗値に対応する温度に対する閾値)を有し、サーミスタRhtの抵抗値(本実施の形態では、抵抗値に対応する温度Tb)と閾値との大小関係が変わったことに応じてスイッチSW1を閉状態とする時間を切り替える。より具体的には、スイッチ制御回路11は、温度Tbを取得する温度検出期間においてはスイッチSW1を閉状態(導通した状態)、スイッチSW2を開状態(遮断した状態)とする。一方、スイッチ制御回路11は、温度検出期間以外の期間においてはスイッチSW1を開状態、スイッチSW2を閉状態とする。これにより、温度検出回路1は、温度検出期間は、サーミスタRthとコンデンサC1による構成される時定数回路により生成される温度検出電圧Voを取得する。また、温度検出回路1は、温度検出期間以外の期間においてはコンデンサC1に蓄積された電荷を放電抵抗R1を介して放電する。このような動作を繰り返すことにより、温度検出回路1は、温度検出期間毎にサーミスタRthにより検出される温度に応じた電圧値を有する温度検出電圧Voを取得することができる。
【0022】
また、スイッチ制御回路11は、温度検出電圧Voにより判断される温度検出対象物の温度Tbに応じて温度検出期間においてスイッチSW1を閉状態とする時間の長さを可変させる。より具体的には、スイッチ制御回路11は、温度検出開始時刻にスイッチSW1を閉状態とし、温度Tbが低いほどスイッチSW1を閉状態とする時間を長くするようにスイッチSW1を制御する。そこで、このスイッチ制御回路11の動作について詳細に説明する。
【0023】
図2に実施の形態1にかかる温度検出回路1の動作を説明するグラフを示す。図2では、温度に対するサーミスタRthの抵抗値の変化と、温度に対する温度検出電圧Voの変化を示した。また、温度に対する温度検出電圧Voの変化に関しては、スイッチSW1を閉状態とする時間tonの長さを5ms、1ms、0.3msに変化させた3つのグラフを示した。
【0024】
図2に示すように、サーミスタRthの抵抗値は温度に対して反比例するように、温度の上昇に伴って低下する。このとき、コンデンサC1が固定値である場合、コンデンサC1とサーミスタRthとから構成される時定数回路は、温度の上昇に伴って時定数が小さくなる。そこで、実施の形態1にかかる温度検出回路1では、高温側で時間tonを小さく、低温側で時間tonを大きくすることで、高温側でも低温側でも温度に対する温度検出電圧Voの変化が線形に近い変化するようにする。図2に示す例では、時間tonを5msとすることで概ね0℃以下の領域で温度に対する温度検出電圧Voの変化が線形となる。また、時間tonを1msとすることで概ね-10℃~40℃の範囲の領域で温度に対する温度検出電圧Voの変化が線形となる。また、時間toを0.3msとすることで概ね20℃以上の領域で温度に対する温度検出電圧Voの変化が線形となる。
【0025】
図2の例における温度検出電圧Voの変化は、(1)式に基づき算出することができる。
【数1】
(1)式において、RthはサーミスタRthの抵抗値であり、C1はコンデンサC1の容量値であり、Vrefは基準電圧VREFの電圧値、tはスイッチSW1を閉状態とする時間の長さである。この(1)式からもわかるように、実施の形態1にかかる温度検出回路1では、温度検出電圧Voは、サーミスタRthの抵抗値の変化に加えて、スイッチSW1を閉状態とする時間の長さにより変化する。より具体的には、スイッチSW1を閉状態とする時間の長さを段階的に設定することで、温度検出電圧Voは図2に示すような、t毎に異なる曲線グラフで表わされる。
【0026】
ここで、比較例としてスイッチのオン時間を用いない固定的な回路を用いた温度検出回路100を説明する。図3に比較例にかかる温度検出回路の回路図を示す。図3に示すように、温度検出回路100は、抵抗R10、サーミスタRth、コンデンサC10、電圧検出回路110を有する。抵抗R10とサーミスタRthは、基準電圧VREFが与えられる基準電圧電源と接地配線との間に直列に接続される。コンデンサC10は、サーミスタRthに並列に接続される。そして、抵抗R10とサーミスタRthとの間の接点に生成される出力電圧を電圧検出回路110がデジタル値に変化して温度検出電圧Voが生成される。
【0027】
この比較例にかかる温度検出回路100の動作を説明するグラフを図4に示す。図4に示すグラフは、比較例にかかる温度検出回路100において実施の形態1と同様の出力特性を得るため温度検出回路100の抵抗値等を調整したものである。図4に示すように、比較例にかかる温度検出回路100では、実施の形態1にかかる温度検出回路1と同等の出力特性を得ようとすると抵抗R10の抵抗値を切り替える必要がある。
【0028】
図4の例における温度検出電圧Voの変化は、(2)式に基づき算出することができる。
【数2】
(2)式において、RthはサーミスタRthの抵抗値であり、R10は抵抗R10の抵抗値であり、Vrefは基準電圧VREFの電圧値である。この(2)式からもわかるように、比較例にかかる温度検出回路100では、温度検出電圧Voの変化グラフを複数持つためには抵抗R10の抵抗値の切り替えが必要である。つまり、比較例にかかる温度検出回路100において広い温度範囲で高精度な温度測定結果を得ようとした場合、回路構成の物理的な変更が必要になる問題が生じる。
【0029】
一方、実施の形態1にかかる温度検出回路1では、スイッチSW1の閉時間tonの長さを変えるのみのため、ソフトウェア的な変更によりハードを維持したままで広い温度範囲で高精度な温度測定結果を得ることができる。実施の形態1にかかる温度検出回路1では、スイッチ制御回路11においてスイッチSW1の閉時間tonを温度Tbに応じて切り替える。そこで、実施の形態1にかかる温度検出回路1のスイッチ制御回路11の動作について詳細に説明する。
【0030】
図5に実施の形態1にかかる温度検出回路1の動作を説明するフローチャートを示す。図5に示す例では、低温領域(X℃未満の領域)となるレンジA、中温領域(X℃以上Y℃未満の領域)となるレンジB、高温領域(Y℃以上の領域)となるレンジCの3つの測定レンジのそれぞれに対して異なるスイッチSW1の閉時間tonを設定したときのものである。なお、測定レンジの個数については任意に設定できる。また、図5では、測定結果はサーミスタRthの抵抗値ではなく、サーミスタRthの抵抗値に対応する温度Tbを用いて説明する。
【0031】
図5に示す例では、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、測定を開始すると、まず、レンジBで測定を行い、温度Tbを取得する(ステップS1)。このレンジBの測定では、例えば、図2に示す例においてスイッチSW1の閉時間tonを1msとした測定を行う。続いて、スイッチ制御回路11を用いて温度TbがX℃未満であるか否かを判断する(ステップS2)。そして、ステップS2において温度TbがX℃未満であれば測定レンジをレンジBからレンジAに切り替えレンジAで温度Tbを測定する(ステップS3)。このレンジAの測定では、例えば、図2に示す例においてスイッチSW1の閉時間tonを5msとした測定を行う。
【0032】
その後、スイッチ制御回路11は、ステップS3の測定結果について温度TbがX℃以上か否かを判断する(ステップS4)。このステップS4において、温度TbがX℃以上であればスイッチ制御回路11は測定レンジをレンジBに変更し(ステップS5)、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS7)。一方、ステップS4において、温度TbがX℃未満であった場合、測定レンジをレンジAで維持したまま温度Tbを測定する(ステップS3)。
【0033】
ステップS2において、温度TbがX℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は、温度TbがX℃以上、かつ、Y℃未満であるか否かを判断する(ステップS6)。このステップS6において温度TbがX℃以上、かつ、Y℃未満であった場合、スイッチ制御回路11は、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS7)。その後、スイッチ制御回路11は、ステップS7の測定結果について温度TbがX℃未満か否かを判断する(ステップS8)。このステップS8において温度TbがX℃未満であった場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジAに変更し(ステップS9)、レンジAで温度Tbを測定する(ステップS3)。一方、ステップS8において温度TbがX℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は、さらに温度TbがY℃以上であるか否かを判断する(ステップS10)。このステップS10において温度TbがY℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジCに変更し(ステップS11)、レンジCで温度Tbを測定する(ステップS12)。このレンジCの測定では、例えば、図2に示す例においてスイッチSW1の閉時間tonを0.3msとした測定を行う。一方、ステップS10において温度TbがY℃未満であった場合、スイッチ制御回路11は、測定レンジBで維持したままレンジBで温度Tbを測定する(ステップS7)。
【0034】
ステップS6において、温度TbがY℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は、レンジCで温度Tbを測定する(ステップS12)。その後、スイッチ制御回路11は、ステップS12の測定結果について温度TbがY℃未満か否かを判断する(ステップS13)。このステップS13において温度TbがY℃未満であった場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジBに変更し(ステップS14)、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS7)。一方、ステップS13において温度TbがYb℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジCで維持したまま温度Tbを測定する(ステップS12)。
【0035】
このように、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、測定した温度Tbに基づき測定レンジを現在の温度測定対象物の温度に合わせながら測定を継続する。
【0036】
上記説明より、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、測定レンジ毎にスイッチSW1の閉時間tonとして異なる時間の長さを設定する。また、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、低温側に対応する測定レンジほど閉時間tonを長く、高温側に対応する測定レンジほど閉時間tonを短くする。図2に示すように、温度に対する温度検出電圧Voの変化が急峻ほど小さな温度変化に対して大きな温度検出電圧Voの変化が生じる。また、実施の形態1にかかる温度検出回路1では、温度に対する温度検出電圧Voの変化が急峻な領域は、温度に対する温度検出電圧Voの変化が線形になる領域である。
【0037】
そして、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、測定した温度検出対象物の温度Tbに応じて測定レンジが適切になるように切り替えながら測定を継続することで、温度検出対象物の温度Tbによらず高精度な温度測定を行うことができる。つまり、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、広い温度範囲で高精度な温度測定を行うことができる。
【0038】
また、実施の形態1にかかる温度検出回路1は、測定レンジの切り替えをスイッチSW1の閉時間tonを切り替えることでおこなう。このような切り替えは、ハードウェアの変更を必要とせず、ソフトウェア処理で切り替えることができる。また、例えば、サーミスタRthの仕様が変更された場合であっても、スイッチSW1の閉時間tonをソフトウェアで変更するのみで対応できるため、ハードウェアの設計変更を最小限にすることができる。
【0039】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる温度検出回路1のスイッチ制御回路11の動作の別の形態について説明する。実施の形態2では、測定レンジの切り替え温度に関してヒステリシスを設ける。そこで、図6に実施の形態2にかかる温度検出回路の動作を説明するフローチャートを示す。
【0040】
実施の形態2では、スイッチ制御回路11は、スイッチSW1を閉状態とする時間の切り替えを判断する場合、抵抗値(本実施の形態では、抵抗値に対応する温度)に関して所定のヒステリシス幅を持ってスイッチSW1を閉状態とする時間の切り替えを判断する。具体的には、スイッチ制御回路11は、温度閾値電圧値として、第1の温度に対応する第1の温度閾値電圧値(例えば図6のXa、Ybに対応する電圧)と、第1の温度よりも高い第2の温度に対応する第2の温度閾値電圧値(例えば図6のXb、Ycに対応する電圧)と、を有し、温度検出電圧Voが第1の温度閾値電圧値を下回ったことに応じてスイッチSW1の閉状態の時間を長くし、温度検出電圧Voが第2の温度閾値電圧値を上回ったことに応じてスイッチSW1の閉状態の時間を短くする。
【0041】
より具体的には、図6に示す例では、低温領域となるレンジAに測定した温度Tbがある場合は、Xb℃を超えない限りレンジAでの測定動作が維持される。中温領域となるレンジBに測定した温度Tbがある場合に温度Tbが低下していったときには、Xb℃よりも低いXa℃を下回るまでレンジBでの測定動作が維持される。また、中温領域となるレンジBに測定した温度Tbがある場合に温度Tbが上昇していったときには、Yb℃を超えるまでレンジBでの測定動作が維持される。高温領域となるレンジCに測定した温度Tbがある場合に温度Tbが低下していったときには、Yc℃よりも低いYb℃を下回るまでレンジCでの測定動作が維持される。この動作は、図6に示すフローチャートに従ってスイッチ制御回路11が動作することで実現される。
【0042】
図6に示す例では、スイッチ制御回路11は、測定を開始すると、まず、レンジBで測定を行い、温度Tbを取得する(ステップS21)。続いて、スイッチ制御回路11を用いて温度TbがXa℃未満であるか否かを判断する(ステップS22)。そして、ステップS22において温度TbがXa℃未満であれば測定レンジをレンジBからレンジAに切り替えレンジAで温度Tbを測定する(ステップS23)。
【0043】
その後、スイッチ制御回路11は、ステップS23の測定結果について温度TbがXb℃以上か否かを判断する(ステップS24)。このステップS24において、温度TbがXb℃以上であればスイッチ制御回路11は測定レンジをレンジBに変更し(ステップS25)、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS27)。一方、ステップS24において、温度TbがXb℃未満であった場合、測定レンジをレンジAで維持したまま温度Tbを測定する(ステップS23)。
【0044】
ステップS22において、温度TbがXa℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は、温度TbがXa℃以上、かつ、Yc℃未満であるか否かを判断する(ステップS26)。このステップS26において温度TbがXa℃以上、かつ、Yc℃未満であった場合、スイッチ制御回路11は、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS27)。その後、スイッチ制御回路11は、ステップS27の測定結果について温度TbがXa℃以下か否かを判断する(ステップS28)。このステップS28において温度TbがXa℃以下であった場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジAに変更し(ステップS29)、レンジAで温度Tbを測定する(ステップS23)。一方、ステップS28において温度TbがXa℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は、さらに温度TbがYc℃以上であるか否かを判断する(ステップS30)。このステップS30において温度TbがYb℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジCに変更し(ステップS31)、レンジCで温度Tbを測定する(ステップS32)。一方、ステップS30において温度TbがYc℃未満であった場合、スイッチ制御回路11は、測定レンジBで維持したままレンジBで温度Tbを測定する(ステップS27)。
【0045】
ステップS26において、温度TbがYb℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は、レンジCで温度Tbを測定する(ステップS32)。その後、スイッチ制御回路11は、ステップS32の測定結果について温度TbがYb℃以上か否かを判断する(ステップS33)。このステップS33において温度TbがYb℃未満であった場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジBに変更し(ステップS34)、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS27)。一方、ステップS33において温度TbがYb℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジCで維持したまま温度Tbを測定する(ステップS32)。
【0046】
上記説明より、実施の形態2にかかる動作を行うスイッチ制御回路11は、測定レンジの切り替え閾値となる温度についてヒステリシスを有することで、測定レンジの切り替えが発生する境界温度付近で測定レンジが頻繁に切り替わることを防止することができる。つまり、実施の形態2にかかる動作を行うスイッチ制御回路11を採用することで、測定結果の安定性を高めることができる。
【0047】
実施の形態3
実施の形態3では、実施の形態2にかかるスイッチ制御回路11の動作の別の形態について説明する。実施の形態3では、測定レンジの切り替え温度のヒステリシス部分に測定温度がある場合に温度検出対象物の発熱状態を推測して当該推測値に基づき測定レンジを決定する。そこで、図7に実施の形態3にかかる温度検出回路の動作を説明するフローチャートを示す。
【0048】
実施の形態3では、スイッチ制御回路11は、閾値として、第1の抵抗値に対応する第1の閾値と、第1の抵抗値よりも低い第2の抵抗値に対応する第2の閾値と、を有し、抵抗値が第1の閾値と第2の閾値との間にある場合、温度検出対象物の発熱量の増減を示す推定発熱量が発熱閾値を超えたか否かに基づきスイッチSW1の閉状態の時間を切り替える。具体的には、スイッチ制御回路11は、温度閾値電圧値として、第1の温度に対応する第1の温度閾値電圧値(例えば図7のXa、Ybに対応する電圧)と、第1の温度よりも高い第2の温度に対応する第2の温度閾値電圧値(例えば図7のXb、Ycに対応する電圧)と、を有し、温度検出電圧Voが第1の温度閾値電圧値と第2の温度閾値電圧値との間にある場合、温度検出対象物の発熱量の増減を示す推定発熱量が発熱閾値Aを上回ったことに応じてスイッチSW1の閉状態の時間を短くし、推定発熱量が発熱閾値Aを下回ったことに応じてスイッチSW1の閉状態の時間を長くする。
【0049】
より具体的には、図7に示す例では、測定レンジの切り替えが発生する判定温度のヒステリシス範囲に測定した温度Tbがある場合に、温度検出対象物の発熱量の推定値をしめす推定発熱量を算出する。そして、推定発熱量が予め設定した発熱閾値Aを超えるか否かに基づき測定レンジの切り替えの要否を判定する。ここで、推定発熱量は、温度検出対象物の発熱特性及び放熱特性に基づきスイッチ制御回路11が算出するものであり、温度検出対象物を例えば二次電池とした場合(3)式で表される。
推定発熱量=I2R-q ・・・ (3)
ここで、Iは二次電池に流れる電流量、Rは二次電池の内部抵抗、qは(4)式で表わされる電池の放熱量である。
q=h(Tb-Te) ・・・ (4)
ここで、hは温度検出対象物に固有な冷却係数、Teは二次電池のパック内温度、Tbは測定される温度(例えば、二次電池の温度)である。この推定発熱量を用いた動作は、図7に示すフローチャートに従ってスイッチ制御回路11が動作することで実現される。
【0050】
図7に示す例では、スイッチ制御回路11は、測定を開始すると、まず、レンジBで測定を行い、温度Tbを取得する(ステップS21)。続いて、スイッチ制御回路11を用いて温度TbがXa℃未満であるか否かを判断する(ステップS22)。そして、ステップS22において温度TbがXa℃未満であれば測定レンジをレンジBからレンジAに切り替えレンジAで温度Tbを測定する(ステップS23)。
【0051】
その後、スイッチ制御回路11は、ステップS23の測定結果について温度TbがXa以上、かつXb℃以下か否かを判断する(ステップS41)。このステップS41において、温度TbがXa以上、かつ、Xb℃以下であればスイッチ制御回路11はその時点での推定発熱量を算出し、推定発熱量が発熱閾値Aを上回っているか否かを判断する(ステップS42)。ステップS42において、推定発熱量が発熱閾値Aを上回っている場合、スイッチ制御回路11は、測定レンジをレンジBに変更し(ステップS25)、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS27)。一方、ステップS42において、推定発熱量が発熱閾値Aを下回っていた場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジAで維持したまま温度Tbを測定する(ステップS23)。
【0052】
ステップS22において、温度TbがXa℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は、温度TbがXa℃以上、かつ、Yc℃未満であるか否かを判断する(ステップS26)。このステップS26において温度TbがXa℃以上、かつ、Yc℃未満であった場合、スイッチ制御回路11は、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS27)。その後、スイッチ制御回路11は、ステップS27の測定結果について温度TbがXa℃以上、かつ、Xb℃以下か否かを判断する(ステップS43)。このステップS43において温度TbがXa℃以上、かつ、Xb℃以下であった場合、スイッチ制御回路11はその時点での推定発熱量を算出し、推定発熱量が発熱閾値Aを上回っているか否かを判断する(ステップS44)。ステップS44において、推定発熱量が発熱閾値Aを下回っている場合、スイッチ制御回路11は、測定レンジをレンジAに変更し(ステップS29)、レンジAで温度Tbを測定する(ステップS23)。一方、ステップS44において、推定発熱量が発熱閾値Aを上回っていた場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジBで維持したまま温度Tbを測定する(ステップS27)。
【0053】
また、ステップS43において、温度TbがXa℃以上、かつ、Xb℃以下との条件を満たさなかった場合、温度TbがYb℃以上、かつ、Yc℃以下であるか否かを判断する(ステップS45)。このステップS45において温度TbがYb℃以上、かつ、Yc℃以下であった場合、スイッチ制御回路11はその時点での推定発熱量を算出し、推定発熱量が発熱閾値Aを上回っているか否かを判断する(ステップS46)。ステップS46において、推定発熱量が発熱閾値Aを上回っている場合、スイッチ制御回路11は、測定レンジをレンジCに変更し(ステップS31)、レンジCで温度Tbを測定する(ステップS32)。一方、ステップS46において、推定発熱量が発熱閾値Aを下回っていた場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジBで維持したまま温度Tbを測定する(ステップS27)。
【0054】
ステップS26において、温度TbがYc℃以上であった場合、スイッチ制御回路11は、レンジCで温度Tbを測定する(ステップS32)。その後、スイッチ制御回路11は、ステップS27の測定結果について温度TbがYb℃以上、かつ、Yc℃以下か否かを判断する(ステップS47)。このステップS47において温度TbがYb℃以上、かつ、Yc℃以下であった場合、スイッチ制御回路11はその時点での推定発熱量を算出し、推定発熱量が発熱閾値Aを上回っているか否かを判断する(ステップS48)。ステップS48において、推定発熱量が発熱閾値Aを上回っている場合、スイッチ制御回路11は、測定レンジをレンジBに変更し(ステップS34)、レンジBで温度Tbを測定する(ステップS27)。一方、ステップS48において、推定発熱量が発熱閾値Aを下回っていた場合、スイッチ制御回路11は測定レンジをレンジCで維持したまま温度Tbを測定する(ステップS32)。
【0055】
上記説明より、実施の形態3にかかる動作を行うスイッチ制御回路11は、測定レンジの切り替え閾値となる温度についてのヒステリシス範囲において、温度検出対象物の温度変化の傾向から類推される最適な測定レンジの方向に測定レンジを切り替える。これにより、実施の形態3にかかるスイッチ制御回路11を採用した温度検出回路1は、温度測定精度をさらに高めながら、測定結果の安定性を高めることができる。
【0056】
実施の形態4
実施の形態4では、実施の形態1にかかる温度検出回路1の別の形態となる温度検出回路2について説明する。そこで、図8に実施の形態4にかかる温度検出回路の回路図を示す。
【0057】
図8に示すように、実施の形態4にかかる温度検出回路2は、サーミスタRthとして複数のサーミスタ(図8では、サーミスタRtha~Rhtcの3つのサーミスタ)を有する。また、実施の形態4にかかる温度検出回路2は、スイッチSW1に代えてマルチプレクサ20を有する、このマルチプレクサ20は、スイッチSW1a~SW1cを有する。マルチプレクサ20は、スイッチ制御回路11からの指示に応じてスイッチSW1a~SW1cのいずれか1つを選択して、選択したスイッチを閉状態とする。
【0058】
スイッチSW1aはコンデンサC1とサーミスタRthaとの間に設けられる。スイッチSW1bはコンデンサC1とサーミスタRthbとの間に設けられる。スイッチSW1cはコンデンサC1とサーミスタRthcとの間に設けられる。つまり、温度検出回路2では、スイッチSW1a~SW1cによりサーミスタRtha~Rhtcのいずれか1つを選択して、選択したサーミスタが設置された部分の温度を温度検出電圧Voとして出力する。
【0059】
例えば、組電池では、電池スタックの両端及び中央部にサーミスタを設置して電池スタック全体の状態を把握することがある。このような場合、電池スタックの両端は温度が上昇しにくく、中央部は温度が上昇しやすい特徴がある。このような場合、例えば、図3に示した回路を採用した場合、測定箇所の特徴に合わせて抵抗R10の抵抗値を調整する必要があるため、サーミスタ毎に抵抗R10、コンデンサC1等を設ける必要がある。
【0060】
しかしながら、実施の形態4にかかる温度検出回路2では、測定箇所の温度に合わせてスイッチSW1a~SW1cの閉時間tonを変更するだけで、広い温度範囲で高精度な温度測定が可能になる。つまり、実施の形態4にかかる温度検出回路2を用いることで、温度差の大きな複数の温度測定箇所に対してサーミスタ以外の回路を共通化して回路規模を小さく出来る効果を奏する。
【0061】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 温度検出回路
2 温度検出回路
10 電圧温度変換回路
11 スイッチ制御回路
20 マルチプレクサ
Rth サーミスタ
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ
C1 コンデンサ
R1 放電抵抗
VREF 基準電圧
Vo 温度検出電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8