(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096375
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】無アルカリガラス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 3/02 20060101AFI20220622BHJP
C03B 5/027 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
C03B3/02
C03B5/027
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209435
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】愛 陸朗
(72)【発明者】
【氏名】櫻林 達
(72)【発明者】
【氏名】増田 洋大
(72)【発明者】
【氏名】福西 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】紀井 康志
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AB00
4G014AD01
(57)【要約】
【課題】ブツの個数が少ない無アルカリガラス基板を製造し得る無アルカリガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】SiO
2-Al
2O
3-RO(ROはMgO、CaO、BaO、SrO及びZnOの1種以上)系の無アルカリガラス基板を連続的に製造する方法であって、
錫化合物を含有し、且つヒ素化合物及びアンチモン化合物を実質的に含まないように原料バッチを調製する工程と、調製した原料バッチを、電極による通電加熱が可能な溶融窯で電気溶融する工程と、溶融されたガラスをダウンドロー法により板状に成形する工程とを含み、得られるガラスのβ-OH値が0.05/mm以上、金属ブツの個数が20個/ton以下であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO2-Al2O3-RO(ROはMgO、CaO、BaO、SrO及びZnOの1種以上)系の無アルカリガラス基板を連続的に製造する方法であって、
錫化合物を含有し、且つヒ素化合物及びアンチモン化合物を実質的に含まないように原料バッチを調製する工程と、
調製した原料バッチを、電極による通電加熱が可能な溶融窯で電気溶融する工程と、
溶融されたガラスをダウンドロー法により板状に成形する工程とを含み、
得られるガラスのβ-OH値が0.05/mm以上、金属ブツの個数が20個/ton以下であることを特徴とする無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項2】
得られるガラスのβ-OH値と金属ブツの個数を、ガラス原料及び/又は溶融条件にて調節することを特徴とする請求項1に記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項3】
バーナー燃焼による輻射加熱を併用しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項4】
ガラス組成として、さらにB2O3を含有する無アルカリガラス基板を製造する方法であって、ホウ素源となるガラス原料の少なくとも一部に、オルトホウ酸を使用することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項5】
原料バッチ中に、水酸化物原料を含有することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項6】
原料バッチ中にガラスカレットを添加して無アルカリガラス基板を製造する方法であって、ガラスカレットの少なくとも一部に、β-OH値が0.05/mm以上のガラスからなるガラスカレットを使用することを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項7】
ガラスカレットを磁気選別機に通すことにより金属を除去する工程を2回以上行うことを特徴とする請求項6に記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項8】
得られるガラスの歪点が690℃以上であることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項9】
得られるガラスの熱収縮率が25ppm以下となることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【請求項10】
酸化物TFTが形成されるガラス基板の製造に用いられることを特徴とする請求項1~9の何れかに記載の無アルカリガラス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無アルカリガラス基板の製造方法に関し、詳細には、Indium Gallium Zinc Oxide(IGZO)等の酸化物膜を有する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を備えるディスプレイなどに好適な無アルカリガラス基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイには、一般的に、支持基板として、ガラス基板が用いられている。このガラス基板の表面上には、TFTなどの電気回路パターンが形成される。このため、この種のガラス基板には、TFTなどに悪影響を及ぼさないように、アルカリ金属成分を実質的に含まない無アルカリガラス基板が採用されている。
【0003】
無アルカリガラス基板の成形方法としては、オーバーフローダウンドロー法に代表されるダウンドロー法などが知られている。
【0004】
ダウンドロー法は、溶融ガラスを下方に引き伸ばして板状に形成する方法である。ダウンドロー法の一種であるオーバーフローダウンドロー法は、横断面略楔形の成形体(forming body)の両側から溢れさせた溶融ガラスを下方に引き伸ばすことによりガラスリボンを成形する方法である。成形体の両側から溢れた溶融ガラスは、成形体の両側面に沿って流下し、成形体の下方において合流する。従って、オーバーフローダウンドロー法では、ガラスリボンの表面が、空気以外と接触せず、表面張力によって形成されるため、成形後に表面を研磨しなくても、表面に異物が付着せず、表面が平坦なガラス基板を得ることができる。また、オーバーフローダウンドロー法によれば、薄いガラス基板を成形しやすいというメリットもある。
【0005】
また、無アルカリガラス基板の溶融方法としては、特許文献1に記載されている電気溶融等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のガラスは、ブツが発生し易いという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブツの個数が少ない無アルカリガラス基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無アルカリガラスの製造方法は、SiO2-Al2O3-RO(ROはMgO、CaO、BaO、SrO及びZnOの1種以上)系の無アルカリガラス基板を連続的に製造する方法であって、錫化合物を含有し、且つヒ素化合物及びアンチモン化合物を実質的に含まないように原料バッチを調製する工程と、調製した原料バッチを、電極による通電加熱が可能な溶融窯で電気溶融する工程と、溶融されたガラスをダウンドロー法により板状に成形する工程とを含み、得られるガラスのβ-OH値が0.05/mm以上、金属ブツの個数が20個/ton以下であることを特徴とする。ここで、「金属ブツ」は、実体顕微鏡により観察を行い、観察視野内に1μm以上の金属ブツが観察された場合、金属ブツとしてカウントし、測定に使用したガラスのサイズから1ton当たりの金属ブツの個数を算出したものである。
【0010】
本発明者等は種々の検討を行った結果、ガラスを電気溶融すると、式1に示す通り(x、yは係数であり、MはFe、Cr及び/又はNiを示す。)、原料バッチ中に含まれるFe、Cr、Ni等によりガラス中のSnO2が還元され、Snを含む金属ブツがガラス中に析出することを見出した。さらに、ガラスのβ-OH値を高くすることにより、式2に示す通り(zは係数であり、MはFe、Cr及び/又はNiを示す。)、Fe、Cr、Ni等がガラス中のOH基と結合するため、SnO2を還元し難くなり、ガラス中に金属ブツが析出しにくくなることをも見出した。
【0011】
(式1) SnO2+(2x/y)M⇒ Sn+(2/y)MxOy
(式2) (z)Si-OH+(z)M⇒ (z)Si-OM+(z/2)H2
【0012】
「無アルカリガラス」とは、アルカリ金属酸化物成分を意図的に添加していないガラスであり、具体的にはガラス組成中のアルカリ金属酸化物(Li2O、Na2O、及びK2O)の含有量が2000ppm(質量)以下であるガラスを意味する。「連続的に製造する」とは、タンク窯等の連続溶融窯でガラスを一定期間連続的に製造することを意味する。「SiO2-Al2O3-RO系」とは、「SiO2、Al2O3及びROを必須成分とするガラス組成系を意味する。「電気溶融」とは、ガラス中に電気を通電し、それによって発生するジュール熱でガラスを溶融する溶融方法である。なおここではヒーターやバーナーによる輻射加熱を補助的に利用する溶融方法を排除するものではない。「ヒ素及びアンチモンを実質的に含まない」とは、これらの成分を含むガラス原料やガラスカレットを、ガラスバッチに意図的に添加しないことを意味する。より具体的には、得られるガラス中に、モル基準で、ヒ素がAs2O3として50ppm以下、アンチモンがSb2O3として50ppm以下であることを意味する。「ダウンドロー法」とは、溶融ガラスを下方に連続的に引き延ばしながら成形する成形法の総称である。
【0013】
また本発明では通電加熱を利用してガラスを溶融することを特徴とする。通電加熱を利用すると、溶融ガラスを得るための質量当たりのエネルギー量が低下するため、環境負荷を低減することができる。
【0014】
本発明においては、得られるガラスのβ-OH値と金属ブツの個数を、ガラス原料及び/又は溶融条件にて調節することが好ましい。
【0015】
本発明においては、バーナー燃焼による輻射加熱を併用しない場合に、その効果がより顕著になる。「バーナー燃焼による輻射加熱を併用しない」とは、通常生産時にバーナー燃焼による輻射加熱を一切行わないことを意味し、生産立ち上げ時(昇温時)のバーナー使用を排除するものではない。また生産立ち上げ時や通常生産時に、ヒーターによる輻射加熱を併用することを排除するものではない。なお生産立ち上げ時とは、原料バッチが溶解してガラス融液になり、通電加熱可能になるまでの期間を指す。
【0016】
本発明においては、ガラス組成として、さらにB2O3を含有する無アルカリガラス基板を製造するに際し、ホウ素源となるガラス原料の少なくとも一部に、オルトホウ酸を使用することが好ましい。
【0017】
上記構成を採用すれば、得られるガラスの水分量を調整し易くなる。またホウ素成分(B2O3)は、ガラスの溶融性を向上させる成分であることから、上記構成を採用すれば、生産性に優れたガラスを得やすくなる。
【0018】
本発明においては、原料バッチ中に、水酸化物原料を含有することが好ましい。
【0019】
本発明においては、原料バッチ中にガラスカレットを添加して無アルカリガラス基板を製造するに際し、ガラスカレットの少なくとも一部に、β-OH値が0.05/mm以上のガラスからなるガラスカレットを使用することが好ましい。ここで「ガラスカレット」とは、ガラスの製造中に生じた不良ガラス、又は市場から回収されたリサイクルガラス等を意味する。「β-OH値」は、FT-IRを用いてガラスの透過率を測定し、下記の式を用いて求めた値を指す。
【0020】
β-OH値 = (1/X)log(T1/T2)
X:ガラス肉厚(mm)
T1:参照波長3846cm-1における透過率(%)
T2:水酸基吸収波長3600cm-1付近における最小透過率(%)
【0021】
本発明においては、ガラスカレットを磁気選別機に通すことにより金属を除去する工程を2回以上行うことが好ましい。
【0022】
再利用されるガラスカレットには、調合設備等で使用されるFe、Cr、Ni等を含む金属が混入している。ガラスカレットを2回以上磁気選別機に通すことにより、Fe、Cr、Ni等を含む金属を十分に取り除くことができ、原料バッチ中にFe、Cr、Ni等を含む金属が混入し難くなる。結果として、ガラス中にSnを含む金属ブツが析出し難くなる。
【0023】
本発明においては、得られるガラスの歪点が690℃以上となることが好ましい。ここで「歪点」は、ASTM C336-71の方法に基づいて測定した値である。
【0024】
本発明においては、得られるガラスの熱収縮率が25ppm以下となることが好ましい。ここで「熱収縮率」とは、ガラスを常温から500℃まで5℃/分の速度で昇温し、500℃で1時間保持した後に、5℃/分の速度で降温させる条件で測定した時の値である。
【0025】
なお、熱収縮率は以下の方法で測定する。まず
図1(a)に示すように、ガラス板1の試料として160mm×30mmの短冊状試料Gを準備する。この短冊状試料Gの長辺方向の両端部のそれぞれに、#1000の耐水研磨紙を用いて、端縁から20~40mm離れた位置でマーキングMを形成する。その後、
図1(b)に示すように、マーキングMを形成した短冊状試料GをマーキングMと直交方向に沿って2つに折り割って、試料片Ga,Gbを作製する。そして、一方の試料片Gbのみを、常温(25℃)から500℃まで5℃/分で昇温させ、500℃で1時間保持した後に、5℃/分で常温まで降温させる熱処理を行う。上記熱処理後、
図1(c)に示すように、熱処理を行っていない試料片Gaと、熱処理を行った試料片Gbを並列に配列した状態で、2つの試料片Ga,GbのマーキングMの位置ずれ量(△L
1,△L
2)をレーザー顕微鏡によって読み取り、下記の式により熱収縮率を算出する。なお、式中のl
0は、初期のマーキングM間の距離である。
【0026】
熱収縮率=[{ΔL1(μm)+ΔL2(μm)}×103]/l0(mm) (ppm)
【0027】
上記構成を採用すれば、酸化物TFTを形成するのに好適なガラス基板を得ることができる。
【0028】
本発明においては、酸化物TFTが形成されるガラス基板の製造に用いられることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】ガラス基板の熱収縮率の測定手順を説明するための平面図である。
【
図2】β-OH値と金属ブツの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の無アルカリガラスの製造方法を詳述する。
【0031】
本発明の方法は、原料バッチを調製する工程と、調製したバッチを電気溶融する工程と、溶融されたガラスを板状に成形する工程とを含む。
【0032】
(1)原料バッチを調製する工程
まず、SiO2-Al2O3-RO(ROはMgO、CaO、BaO、SrO及びZnOの1種以上)系の組成となるようにガラス原料を調製する。なお好適なガラス組成については後述する。
【0033】
珪素源として珪砂、石粉(SiO2)等を用いることができる。
【0034】
アルミニウム源としてアルミナ(Al2O3)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等を用いることができる。
【0035】
ホウ素源としては、オルトホウ酸(H3BO3)や無水ホウ酸(B2O3)を使用することができる。オルトホウ酸は結晶水を含むため、使用割合が大きい場合にはガラスの水分量を比較的高く調整できる。このため、オルトホウ酸と無水ホウ酸を双方使用し、目的とするβ-OH含有量に合わせてその使用割合を調整することが好ましい。
【0036】
アルカリ土類金属源には、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸バリウム(BaCO3)、硝酸バリウム(Ba(NO3)2)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、硝酸ストロンチウム(Sr(NO3)2)等を用いることができる。
【0037】
亜鉛源として酸化亜鉛(ZnO)等を用いることができる。
【0038】
ジルコニア源としてジルコン(ZrSiO4)等を用いることができる。なお溶融窯を構成する耐火物にとして、ジルコニア電鋳耐火物、デンスジルコン等のZr含有耐火物を使用する場合、耐火物からのジルコニア成分の溶出がある。これらの溶出成分もジルコニア源として利用してもよい。
【0039】
チタン源として酸化チタン(TiO2)等を用いることができる。
【0040】
リン源としてメタリン酸アルミ(Al(PO3)3)、ピロリン酸マグネシウム(Mg2P2O7)等を用いることができる。
【0041】
錫化合物として酸化錫(SnO2)等を使用することができる。なお酸化錫を用いる場合、平均粒径D50が0.3~50μm、2~50μm、特に5~50μmの範囲にある酸化錫を用いることが好ましい。酸化錫粉末の平均粒径D50が小さいと粒子間の凝集が起こり、調合プラントでの詰まりが生じ易くなる。一方、酸化錫粉末の平均粒径D50が大きいと、酸化錫粉末のガラス融液への溶解反応が遅れ、融液の清澄が進まない。結果としてガラス溶融の適切な時期に酸素ガスを十分に放出できなくなり、ガラス製品中に泡が残存し易く、泡品位に優れた製品を得ることが難しくなる。またガラス製品中に、SnO2結晶の未溶解ブツが出現する事態を引き起こし易くなる。
【0042】
本発明においては、原料バッチ中に、炭酸塩原料を含んでいてもよい。炭酸塩原料は、清澄剤であるSnO2を効率的に機能させることができる。炭酸塩原料としては、例えば炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)等を使用することができる。
【0043】
本発明においては、原料バッチ中に、硝酸塩原料を含んでいてもよい。硝酸塩原料は、清澄剤であるSnO2を効率的に機能させることができる。硝酸塩原料としては、例えば硝酸バリウム(Ba(NO3)2)、硝酸ストロンチウム(Sr(NO3)2)等を使用することができる。
【0044】
本発明においては、原料バッチ中に水酸化物原料を含んでいてもよい。水酸化物原料は、ガラス中の水分量を高めることができる。水酸化物原料としては、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等を使用することができる。
【0045】
本発明においては、バッチ中にヒ素化合物及びアンチモン化合物を実質的に含まないようにすることが好ましい。これらの成分を含有していると、電極を浸食するため、長期に亘って安定して電気溶融することが困難になる。またこれらの成分は、環境上好ましくない。
【0046】
本発明においては、上記したガラス原料に加えて、ガラスカレットを使用することが好ましい。ガラスカレットを使用する場合、原料バッチの総量に対するガラスカレットの使用割合は1質量%以上、5質量%以上、特に10質量%以上であることが好ましい。ガラスカレットの使用割合の上限に制約はないが、50質量%以下、40質量%以下、特に30質量%以下であることが好ましい。また使用するガラスカレットの少なくとも一部を、β-OH値が0.05/mm以上、0.07/mm以上、特に0.1/mm以上のガラスからなるガラスカレットとすることが好ましい。ガラスカレットのβ-OH値が高過ぎると、ガラスの歪点が低下し過ぎる虞があるため、ガラスカレットのβ-OH値の上限値は、0.4/mm以下であることが好ましい。
【0047】
また、ガラスカレットを磁気選別機に通すことにより金属を除去する工程を2回以上、好ましくは3回以上、特に好ましくは5回以上行うことが好ましい。このようにすれば、ガラス中のSnO2を還元するFe、Cr、Ni等を含む金属が原料バッチ中に混入し難くなる。結果として、Snを含む金属ブツが析出し難くなる。なお、上記工程の回数を増やせば、Fe、Cr、Ni等を含む金属の混入量は減少するが、コストの観点から上記工程の回数は10回以下であることが好ましい。
【0048】
(2)調製した原料バッチを電気溶融する工程
次に、調製した原料バッチを、溶融窯に投入し、電気溶融する。
【0049】
溶融窯は、複数の電極を有するものであり、電極間に電気を印加することにより、ガラス融液中に電気が通電され、そのジュール熱によってガラスを連続的に溶融する。なお補助的にヒーターやバーナーによる輻射加熱を併用してもよい。
【0050】
配置場所や電極形状の自由度が高く、電気を通し難い無アルカリガラスであっても、最適な電極配置、電極形状を採用することができ、通電加熱が容易になるため、電極としてモリブデン電極を採用することが好ましい。電極形状としてはロッド状であることが好ましい。ロッド状であれば、溶融窯の側壁面や底壁面の任意の位置に、所望の電極間距離を保って、所望の数の電極を配置することが可能である。電極の配置は、溶融窯の壁面(側壁面、底壁面等)、特に底壁面に、電極間距離を短くして複数対配置することが好ましい。なおガラス中にヒ素成分やアンチモン成分が含まれている場合、モリブデン電極を侵食するため使用できず、代わりにこれらの成分で浸食を受けない錫電極を使用する必要がある。ところが錫電極は、配置場所や電極形状の自由度が非常に低いため、無アルカリガラスを電気溶融することが難しくなる。
【0051】
溶融窯に投入された原料バッチは、通電加熱により溶融し、ガラス融液(溶融ガラス)となる。その際、原料バッチ中に含まれる錫化合物は、ガラス融液中に溶解し、清澄剤として作用する。詳述すると、錫成分は、昇温過程で酸素泡を放出する。放出された酸素泡は、ガラス融液中に含まれる泡を拡大、浮上させてガラスから除去する。また錫成分は、降温過程では酸素泡を吸収することで、ガラス中に残存する泡を消滅させる。
【0052】
なお溶融窯で溶融されたガラスは、成形装置へ供給されるが、溶融窯と成形装置の間に清澄槽、撹拌槽、状態調節槽等を配置し、これらを通過させた後に、成形装置に供給するようにしてもよい。また溶融窯と成形装置(或いはその間に設ける各槽)の間を繋ぐ連絡流路は、ガラスの汚染を防止するために、少なくともガラスとの接触面が白金又は白金合金製であることが好ましい。
【0053】
(3)溶融されたガラスを板状に成形する工程
次に、溶融窯で溶融されたガラスを成形装置に供給し、ダウンドロー法により板状に成形する。
【0054】
ダウンドロー法としては、オーバーフローダウンドロー法を採用することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法とは、断面が楔状の樋状耐火物の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状耐火物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラスを板状に成形する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス基板の表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、未研磨で表面品位が良好なガラス基板を安価に製造することができ、またガラスの大型化や薄型化も容易である。なお、オーバーフローダウンドロー法で用いる樋状耐火物の構造や材質は、所望の寸法や表面精度を実現できるものであれば、特に限定されない。また、下方への延伸成形を行う際に、力を印加する方法も特に限定されない。例えば、十分に大きい幅を有する耐熱性ロールをガラスに接触させた状態で回転させて延伸する方法を採用してもよいし、複数の対になった耐熱性ロールをガラスの端面近傍のみに接触させて延伸する方法を採用してもよい。なおオーバーフローダウンドロー法以外にも、例えば、スロットダウン法等を採用することが可能である。
【0055】
なおこのようにして板状に成形されたガラスは、所定のサイズに切断され、必要に応じて各種の化学的、或いは機械的な加工等が施され、ガラス基板となる。
【0056】
(4)無アルカリガラスの組成
本発明の製造方法を好適に適用できる無アルカリガラスの組成として、質量%で、SiO2 50~70%、Al2O3 15~25%、B2O3 2~7.5%、MgO 0~10%、CaO 0~10%、SrO 0~10%、BaO 0~15%、ZnO 0~5%、ZrO2 0~1%、TiO2 0~5%、P2O5 0~10%、SnO2 0.1~0.5%を含有し、As2O3及びSb2O3を実質的に含有しないガラスが例示できる。上記のように各成分の含有量を限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有量の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、質量%を表す。
【0057】
SiO2は、ガラスの骨格を形成する成分である。SiO2の含有量の下限は50%、51%、51.5%、52%、55%、56%、57%、特に58%であることが好ましい。またSiO2の含有量の上限は70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、特に62%であることが好ましい。SiO2の含有量が少な過ぎると、密度が高くなり過ぎると共に、耐酸性が低下し易くなる。一方、SiO2の含有量が多過ぎると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下し易くなる。またクリストバライト等の失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。
【0058】
Al2O3は、ガラスの骨格を形成する成分であり、また歪点やヤング率を高める成分であり、更に分相を抑制する成分である。Al2O3の含有量の下限は15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、特に18%であることが好ましい。またAl2O3の含有量の上限は25%、24%、23%、22%、21.5%、特に21%であることが好ましい。Al2O3の含有量が少な過ぎると、歪点、ヤング率が低下し易くなり、またガラスが分相し易くなる。一方、Al2O3の含有量が多過ぎると、ムライトやアノーサイト等の失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。
【0059】
B2O3は、溶融性を高めると共に、耐失透性を高める成分である。B2O3の含有量の下限は2%、2.2%、特に2.5%であることが好ましい。またB2O3の含有量の上限は7.5%、特に7%であることが好ましい。B2O3の含有量が少な過ぎると、溶融性や耐失透性が低下し易くなり、またバッファードフッ酸などフッ酸系の薬液に対する耐性が低下し易くなる。またバッチからの水分の持ち込み量が少なくなり過ぎる虞がある。一方、B2O3の含有量が多過ぎると、歪点やヤング率が低下し易くなる。
【0060】
MgOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、ヤング率を顕著に高める成分である。MgOの含有量の下限は0%、0.1%、0.5%、1%、1.5%、特に2%であることが好ましい。またMgOの含有量の上限は10%、9%、8%、7.5%、7%、6%、特に5%であることが好ましい。MgOの含有量が少な過ぎると、溶融性やヤング率が低下し易くなる。一方、MgOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなると共に、歪点が低下し易くなる。
【0061】
CaOは、歪点を低下させずに、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高める成分である。また、アルカリ土類金属酸化物の中では、導入原料が比較的安価であるため、原料コストを低廉化する成分である。CaOの含有量の下限は0%、0.1%、1%、2%、3%、特に3.5%であることが好ましい。またCaOの含有量の上限は10%、9%、8%、特に7%であることが好ましい。CaOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、CaOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなると共に、熱膨張係数が高くなり易い。
【0062】
SrOは、分相を抑制し、また耐失透性を高める成分である。更に、歪点を低下させることなく、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分である。また液相温度の上昇を抑制する成分である。SrOの含有量の下限は0%、0.1%、特に0.3%であることが好ましい。またSrOの含有量の上限は10%、9%、8%、7%、6%、特に5%であることが好ましい。SrOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、SrOの含有量が多過ぎると、密度が高くなり過ぎると共に、SrOを含む失透結晶が析出し易くなって、耐失透性が低下し易くなる。
【0063】
BaOは、耐失透性を顕著に高める成分である。BaOの含有量の下限は0%、0.1%、0.5%、特に1%であることが好ましい。またBaOの含有量の上限は15%、14%、13%、12%、11%、特に10.5%であることが好ましい。BaOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、BaOの含有量が多過ぎると、密度が高くなり過ぎると共に、溶融性が低下し易くなる。またBaOを含む失透結晶が析出し易くなって、液相温度が上昇し易くなる。
【0064】
ZnOは、溶融性を高める成分である。ZnOの含有量は0~5%、0~4%、0~3%、特に0~2%であることが好ましい。ZnOの含有量が多過ぎると、ガラスが失透し易くなり、また歪点が低下し易くなる。
【0065】
ZrO2は、化学的耐久性を高める成分である。ZrO2の含有量の下限は0%、特に0.01%であることが好ましい。またZrO2の含有量の上限は1%、0.5%、0.2%、0.1%、特に0.05%であることが好ましい。ZrO2の含有量が多過ぎると、ZrSiO4の失透ブツが発生しやすくなる。
【0066】
TiO2は、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分である。またソラリゼーションを抑制する成分である。TiO2の含有量は0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、特に0~0.1%であることが好ましい。TiO2の含有量が多過ぎると、ガラスが着色して、透過率が低下し易くなる。
【0067】
P2O5は、歪点を高める成分であると共に、アノーサイト等のアルカリ土類アルミノシリケート系の失透結晶の析出を抑制し得る成分である。P2O5の含有量は0~10%、0~9%、0~8%、0~7%、0~6%、0~5%、0~4%、特に0~3%であることが好ましい。P2O5の含有量が多過ぎると、ガラスが分相し易くなる。
【0068】
SnO2は、高温域で良好な清澄作用を有する成分であると共に、歪点を高める成分であり、また高温粘性を低下させる成分である。またモリブデン電極を浸食しないというメリットがある。SnO2の含有量の下限は0.1%、特に0.15%であることが好ましい。またSnO2の含有量の上限は0.5%、0.45%、0.4%、0.35%、特に0.3%であることが好ましい。SnO2の含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。一方、SnO2の含有量が多過ぎると、SnO2の失透結晶が析出し易くなり、またZrO2の失透結晶の析出を促進し易くなる。
【0069】
As2O3やSb2O3は、環境上の観点や電極の浸食防止の観点から、実質的に含有しないことが好ましい。ここで「実質的に含有しない」とは、これらの成分を含むガラス原料やガラスカレットを、ガラスバッチに意図的に添加しないことを意味する。より具体的には、得られるガラス中に、ヒ素がAs2O3として50ppm以下、アンチモンがSb2O3として50ppm以下であることを意味する。これらの成分は、清澄剤として有用であるが、モリブデン電極を浸食し、工業的規模での電気溶融を困難にするため使用すべきでない。また環境的観点からも使用しないことが好ましい。
【0070】
上記成分以外にもその他の成分を合量で5%以下含有させることができる。
【0071】
またガラス中には、Cl、Fを含有させても構わないが、Clの含有量は0.1%未満、特に0.05%未満であることが好ましく、Fの含有量は0.1%未満、特に0.05%未満であることが好ましい。また、Cl+F(Cl及びFの合量)は0.1%未満であることが好ましい。
【0072】
(5)無アルカリガラス基板の特性等
次に本発明の方法によって得られる無アルカリガラス基板について説明する。
【0073】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラス基板は、β-OH値が0.05/mm以上、0.07/mm以上、0.1/mm以上、0.12/mm以上、0.15/mm以上、0.18/mm以上、特に0.2/mm以上であるガラスからなる。このようにすれば、金属ブツの個数を十分に減らすことが可能となる。なお、β-OH値が大きすぎるとガラスの歪点が十分に高くならず、熱収縮率を低減することが難しくなるため、β-OH値の上限値は、0.4/mm以下、特に0.35/mm以下であることが好ましい。
【0074】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラス基板は、金属ブツの個数が20個/ton以下、10個/ton以下、5個/ton以下、特に3個/ton以下であるガラスからなる。なお、金属ブツの下限は特に限定されないが、現実的には0.1個/ton以上である。
【0075】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラス板は、ガラスを常温から500℃まで5℃/分の速度で昇温し、500℃で1時間保持した後に、5℃/分の速度で降温させたときの熱収縮率が25ppm以下、20ppm以下、19ppm以下、18ppm以下、17ppm以下、16ppm以下、15ppm以下、14ppm以下、特に13ppm以下となることが好ましい。熱収縮率が大きいと、酸化物TFTを形成するための基板として使用することが難しくなる。なお、熱収縮率の下限値は制限されないが、2ppm以上、特に3ppm以上であることが好ましい。
【0076】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラス板は、歪点が690℃以上、700℃以上、705℃以上、特に710℃以上であるガラスからなるが好ましい。このようにすれば、酸化物TFTの製造工程において、ガラス板の熱収縮を抑制し易くなる。歪点が高すぎると、成形時や溶解時の温度が高くなり過ぎて、ガラス板の製造コストが高沸し易くなるため、歪点の上限は750℃以下、740℃以下、特に730℃以下であることが好ましい。
【0077】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラス板は、102.5dPa・sにおける温度が1630℃以下、1620℃以下、1610℃以下、1600℃以下、1590℃以下、特に1580℃以下であるガラスからなることが好ましい。102.5dPa・sにおける温度が高すぎると、ガラスが溶解し難くなって、ガラス板の製造コストが高騰すると共に、泡等の欠陥が生じ易くなる。102.5dPa・sにおける温度が低すぎると、液相温度における粘度を高く設計し難くなるため、102.5dPa・sにおける温度の下限は1500℃以上、1510℃以上、特に1520℃以上であることが好ましい。なお、「102.5dPa・sに相当する温度」は、白金球引き上げ法で測定した値である。
【0078】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラス板は、液相温度が1250℃未満、1240℃未満、1230℃未満、1220℃未満、1210℃未満、特に1200℃未満であるガラスからなることが好ましい。このようにすれば、ガラス製造時に失透結晶が発生し難く、生産性が低下する事態を防止し易くなる。更に、オーバーフローダウンドロー法で成形し易くなるため、ガラス板の表面品位を高め易くなると共に、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。そして、近年のガラス板の大型化、及びディスプレイの高精細化の観点から、表面欠陥となり得る失透物を極力抑制するためにも、耐失透性を高める意義は非常に大きい。なお、液相温度は、耐失透性の指標であり、液相温度が低い程、耐失透性に優れる。「液相温度」は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、1100℃から1350℃に設定された温度勾配炉中に24時間保持した後、白金ボートを取り出し、ガラス中に失透(結晶異物)が認められた温度を指す。
【0079】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラス板は、液相粘度が104.0dPa・s以上、104.2dPa・s以上、104.4dPa・s以上、104.5dPa・s以上、104.6dPa・s以上、104.7dPa・s以上、104.8dPa・s以上、104.9dPa・s以上、特に105.0dPa・s以上であるガラスからなることが好ましい。このようにすれば、成形時に失透が生じ難くなるため、オーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形し易くなり、結果として、ガラス板の表面品位を高めることが可能になり、またガラス板の製造コストを低廉化することができる。なお、液相粘度は、成形性の指標であり、液相粘度が高い程、成形性が向上する。なお「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を指し、例えば白金球引き上げ法で測定可能である。
【0080】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラス板は、基板面積が4m2以上であることが好ましい。基板面積が小さ過ぎると、IGZO等の酸化物膜を有するTFTを備える大型のLCD、OLEDディスプレイを効率よく製造し難くなる。
【実施例0081】
次に、本発明方法を用いて製造したガラスについて説明する。表1は本発明の実施例(No.1~6)を示している。
【0082】
【0083】
まず表1の組成となるように珪砂、酸化アルミニウム、オルトホウ酸、無水ホウ酸、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、炭酸バリウム、酸化第二錫を混合し、調合した。なお、目標組成と同じ組成のガラスカレット(β-OH値 0.2/mm、原料バッチの総量に対して35質量%使用)を併用した。なお、ガラスカレットについては、磁気選別機に通すことにより金属を除去する工程を2回行った。
【0084】
次に、ガラス原料を、バーナー燃焼を併用しない電気溶融窯に供給して溶融し、続いて清澄槽、調整槽内で、溶融ガラスを清澄均質化するとともに、成形に適した粘度に調整した。
【0085】
続いて溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー成形装置に供給し、板状に成形した後、切断することにより、0.5mm厚のガラス試料を得た。なお溶融窯を出た溶融ガラスは、白金又は白金合金のみと接触しながら成形装置へと供給された。
【0086】
得られたガラス試料について、50倍の実体顕微鏡で観察して、観察視野内に1μm以上の金属ブツが観察された場合、金属ブツとしてカウントし、測定に使用したガラスのサイズから1ton当たりの金属ブツの個数を算出した。結果を表1に示す。
【0087】
表1から明らかなように、試料No.1~6は、β-OH値が0.12/mm以上と大きいため、金属ブツの個数が13.8個/ton以下と小さかった。また、β-OH値を横軸に金属ブツを縦軸にプロットしたものを
図2に示す。
図2から明らかように、β-OH値が大きい程、金属ブツの個数は少なかった。
【0088】
なおガラスのβ-OH値は、FT-IRを用いてガラスの透過率を測定し、下記の式を用いて求めた。
【0089】
β-OH値 = (1/X)log10(T1/T2)
X :ガラス肉厚(mm)
T1:参照波長3846cm-1における透過率(%)
T2:水酸基吸収波長3600cm-1付近における最小透過率(%)