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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096377
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】遠隔操作式排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20220622BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20220622BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209438
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻 健一
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DA03
2D061DB03
2D061DE11
(57)【要約】
【課題】
遠隔操作式排水栓装置において、排水口に対して進退する蓋体及び支持軸に対して、蓋体また支持軸の進退の方向に対して側面となる方向から応力や衝撃が加えられても、これが破損しないような構成とする。
【解決手段】
遠隔操作式排水栓装置を、槽体に備えられた開口である排水口と、該排水口を覆うことで排水口を閉口する蓋体と、蓋体に接続されて支持すると共に、蓋体を排水口に対して進退させることで蓋体に排水口を開閉させる支持軸と、蓋体と支持軸との接続部分に、支持軸の進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する緩衝機構とを備えて構成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体に備えられた開口である排水口と、
該排水口を覆うことで排水口を閉口する蓋体と、
蓋体に接続されて支持すると共に、蓋体を排水口に対して進退させることで蓋体に排水口を開閉させる支持軸と、
からなる遠隔操作式排水栓装置において、
蓋体と支持軸との接続部分に、支持軸の進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する緩衝機構を備えたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。
【請求項2】
上記緩衝機構が、蓋体と支持軸との接続部分に備えられた弾性体であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項3】
上記緩衝機構が、蓋体と支持軸との接続部分を回動自在に接続する回動部であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項4】
上記緩衝機構が、蓋体と支持軸との接続部分に備えられたばね体であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項5】
槽体に備えられた開口である排水口と、
該排水口を覆うことで排水口を閉口する蓋体と、
蓋体に接続されて支持すると共に、蓋体を排水口に対して進退させることで蓋体に排水口を開閉させる支持軸と、
からなる遠隔操作式排水栓装置において、
蓋体が変形することで、支持軸の進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する緩衝機構を備えたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。
【請求項6】
上記緩衝機構が、弾性素材によって構成された蓋体であることを特徴とする、請求項5に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項7】
上記緩衝機構が、蓋体に備えられた屈曲部であることを特徴とする、請求項5に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項8】
上記遠隔操作式排水栓装置において、
排水口を、槽体の側面に設けたことを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を、排水口から離間した位置に設けた操作部への操作により開閉する遠隔操作式排水栓装置に関し、更に詳しくは、排水口を開閉する蓋体に加えられた衝撃を緩衝する、遠隔操作式排水栓装置の緩衝機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴槽や洗面ボウルなどの槽体の内部に生じた排水を処理するため、槽体の底面等に排水口を設け、この排水口から配管部材を介し、下水側に排水を排出する方法が広く知られている。また、排水口を覆うように蓋体を配置することで槽体内に水を溜めると共に、蓋体を排水口に対して進退させて排水口から離間させることで排水口を開口する方法があるが、この蓋体の進退による排水口の開閉を、蓋体や排水口から離間した位置、例えば槽体の縁部や槽体側面の上方に設けた操作部への操作によって行う遠隔操作式排水栓装置が知られている。
広く知られた遠隔操作式排水栓装置としては、特許文献1に記載のような、槽体の底面に備えられた排水口と、排水口上を上下動することによって排水口を開閉する蓋体と、槽体の近傍に備えられた操作部と、操作部に加えられた操作を排水口に備えられた蓋体に伝達するレリースワイヤと、から構成されるものがある。
この特許文献1の遠隔操作式排水栓装置では、レリースワイヤの先端に、蓋体を支持して蓋体を進退させる支持軸を備え、この支持軸の内部に、蓋体に荷重が加わったときに、遠隔操作式排水栓装置の部材が破損することを防止するための、緩衝機構としてのコイル状に巻いたばね体からなるばね部材を組み込んでなる。
特許文献1に記載の発明においては、槽体の底面に設けられた排水口に対して、支持軸は上下方向に進退し、支持軸に支持される蓋体も上下方向に進退して排水口を開閉する。
排水口の開口時、即ち蓋体が排水口に対して上昇している状態で、蓋体を踏む等して蓋体の進退方向に荷重が加えられると、支持軸の内部に備えられたばね部材が収縮するように変形して蓋体に加えられた荷重や衝撃を緩衝することで、遠隔操作式排水栓装置の部材の破損を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-48682号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の遠隔操作式排水栓装置の緩衝機構は、支持軸の内部に伸縮するばね体からなるばね部材を組み込むことで、支持軸の進退方向に加えられた荷重や衝撃を緩衝することができる。しかしながら、例えば浴槽の底面に排水口を設けた場合等において、浴槽内を清掃する際に、上昇している蓋体及び支持軸に対し、支持軸の進退方向の側面に当たる方向から清掃作業者の手が当たるなどして応力や衝撃が加えられた場合、ばね部材の伸縮する方向が合致しないため、緩衝機構による応力や衝撃の緩衝を行うことができず、遠隔操作式排水栓装置の部材が破損する場合があった。
特に近年、意匠性や配管レイアウトの関係から、排水口を槽体の底面ではなく槽体の側面の下端部分に設ける場合があり、この場合には、遠隔操作式排水栓装置の蓋体と支持軸は略水平方向に進退することで排水口を開閉する。このため、蓋体や支持軸に対して上下方向から応力や衝撃は加えられることは、特許文献1の発明における栓蓋又は支持軸に側面方向から応力や衝撃が加えられることと同じ作用をもたらすものであり、特許文献1に記載の緩衝機構では遠隔操作式排水栓装置の部材の場合には、排水口に対して水平方向に進退する側面の進退方向に対して側面となる方向加えられた進退方向に対し応力や衝撃を緩衝することができず、遠隔操作式排水栓装置の部材の破損を生じる場合があった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、遠隔操作式排水栓装置において、排水口に対して進退する蓋体及び支持軸に対して、蓋体また支持軸の進退の方向に対して側面となる方向から応力や衝撃が加えられても、これを緩衝して遠隔操作式排水栓装置の部材の破損を防ぐ、遠隔操作式排水栓装置の緩衝機構に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、槽体に備えられた開口である排水口と、該排水口を覆うことで排水口を閉口する蓋体と、蓋体に接続されて支持すると共に、蓋体を排水口に対して進退させることで蓋体に排水口を開閉させる支持軸と、からなる遠隔操作式排水栓装置において、
蓋体と支持軸との接続部分に、支持軸の進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する緩衝機構を備えたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、上記緩衝機構が、蓋体と支持軸との接続部分に備えられた弾性体であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、上記緩衝機構が、蓋体と支持軸との接続部分を回動自在に接続する回動部であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、上記緩衝機構が、蓋体と支持軸との接続部分に備えられたばね体であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0009】
請求項5に記載の本発明は、槽体に備えられた開口である排水口と、該排水口を覆うことで排水口を閉口する蓋体と、蓋体に接続されて支持すると共に、蓋体を排水口に対して進退させることで蓋体に排水口を開閉させる支持軸と、からなる遠隔操作式排水栓装置において、
蓋体が変形することで、支持軸の進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する緩衝機構を備えたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
【0010】
請求項6に記載の本発明は、上記緩衝機構が、弾性素材によって構成された蓋体であることを特徴とする、請求項5に記載の遠隔操作式排水栓装置
である。
【0011】
請求項7に記載の本発明は、上記緩衝機構が、蓋体に備えられた屈曲部であることを特徴とする、請求項5に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0012】
請求項8に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置において、
排水口を、槽体の側面に設けたことを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項5に記載の本発明では、遠隔操作式排水栓装置において、支持軸の側面方向から蓋体や支持軸に加えられた応力や衝撃を、緩衝機構によって干渉することができ、遠隔操作式排水栓装置の部材の破損を防止することができる。
請求項2乃至請求項4、請求項6、請求項7に記載の本発明では、緩衝機構の構成を明確にすることができる。
また、本発明では、蓋体や支持軸の進退方向に対して側面の方向からの応力や衝撃を鑑賞することができる。このため、請求項8に記載の本発明のように、排水口が槽体の側面にあり、上位下方向が支持軸の進退方向の側面となる遠隔操作式排水栓装置に利用する場合において好適である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
図2図1の遠隔操作式排水栓装置の開口状態を示す断面図である。
図3】第一実施例の部材構成を示す断面図である。
図4】第一実施例における排水口の、支持軸の軸方向視を示す参考図である。
図5図4の排水口に蓋体を配置した状態を示す参考図である。
図6】第一実施例の排水口近傍における緩衝状態を示す断面図である。
図7】第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水口近傍を示す断面図である。
図8図7の遠隔操作式排水栓装置の開口状態を示す断面図である。
図9】第二実施例の蓋体とレリースワイヤ端部を示す断面図である。
図10】第二実施例の排水口近傍における緩衝状態を示す断面図である。
図11】第三実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水口近傍を示す断面図である。
図12図11の遠隔操作式排水栓装置の開口状態を示す断面図である。
図13】第三実施例の蓋体を示す断面図である。
図14】第三実施例の排水口近傍における緩衝状態を示す断面図である。
図15】第四実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水口近傍を示す断面図である。
図16図15の遠隔操作式排水栓装置の開口状態を示す断面図である。
図17】第四実施例の蓋体を示す断面図である。
図18】第四実施例の排水口近傍における緩衝状態を示す断面図である。
図19】第五実施例の遠隔操作式排水栓装置の排水口近傍を示す断面図である。
図20図19の遠隔操作式排水栓装置の開口状態を示す断面図である。
図21】第五実施例の蓋体を示す断面図である。
図22】第五実施例の排水口近傍における緩衝状態を示す断面図である。
【0015】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。尚、以下の各実施例への説明においては、レリースワイヤ7のインナーワイヤ7bが蓋体2側に移動することを「前進」、操作部3側に移動することを「後退」として記載する。
また、インナーワイヤ7bの端部にある支持軸7cが、排水口1を開閉するために行う往復運動は「進退」と記載する。
また、本第一実施例の説明における「上」「下」は、図1の図示に基づいて記載する。
図1乃至図6に示した、本発明の第一実施例の排水栓装置は、槽体の一種である浴槽Bの排水配管に採用される遠隔操作式の排水栓装置であって、以下に記載する、排水口本体4、支持部材5、継手部材6、操作部3、蓋体2、操作伝達部材としてのレリースワイヤ7、ロック機構8、チューブ管9、等の部材より構成される。
浴槽Bは上方が開口した箱体であって、一つの側壁面の下端部分に、排水口本体4を取り付けるための、略長方形形状となる取付口B1を、また上縁周縁に操作部3を取り付けるための操作部取付口B2を備えてなる。
また、取付口B1の周囲に、後述する蓋体2の止水部2aが当接する当接部1aを備えてなる。本実施例では、排水口1の開口に対して、上流に向かって排水口1よりも拡径するような傾斜面を設けて当接面としている。
排水口本体4は、略長方形形状を成す筒体であって、上流側端部の外周側には、側面方向に突出するフランジ部4aを設けてなり、このフランジ部4aの上面に浴槽Bの取付口B1周縁側面を当接させた状態で、ビスなどを利用して、浴槽Bの取付口B1に排水口本体4を取り付けることができる。
尚、本発明における「排水口1」は「槽体に備えられた(排水の為の)開口」であり、排水口本体4の内部だけが「排水口1」ではない。本実施例の場合、浴槽Bの当接部1aよりも下流側の、中心軸が直線状となる部分が「排水口1」である。
レリースワイヤ7は、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブ7aと、該アウターチューブ7a内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤ7bと、インナーワイヤ7bの一方の端部に備えられた棒状の硬質の部材である支持軸7cと、レリースワイヤ7内に備えられ、インナーワイヤ7bをアウターチューブ7aに対して支持軸7cとは反対側に付勢する戻りスプリング7dと、から構成されてなる。
尚、支持軸7cの内部には、支持軸7cとインナーワイヤ7b端部の間で作用するように、排水口1を開口する際の水圧には抗するが、排水口1から蓋体2が離間した、排水口1が開口した状態において、部材の破損が生じるような応力や衝撃が支持軸7cの進退方向より加えられた場合には収縮して、排水口1に蓋体2が当接した状態とすることで、軸方向の応力や衝撃を緩衝する軸方向緩衝スプリング7eを備えてなる。
支持部材5は、レリースワイヤ7の支持軸7c側端部を排水口1内に配置するための部材であって、レリースワイヤ7のアウターチューブ7a端部を固定した状態で、排水口本体4内に接続固定されてなる。尚、施工が完了した状態において、排水口1を通過した排水は、支持部材5に設けられた通水部分を通過して、支障なく下流側に排出される。
継手部材6は、略筒体形状であって、上流側の端部は排水口本体4の下流側端部に合致する長方形形状を、下流側端部は円形の排水配管が接続可能な円筒形状を備えた排出口6aを備えてなり、更に側面にはレリースワイヤ7を挿通するための筒状の挿通部6bを備えてなる。
操作部3は浴槽Bの操作部取付口B2に取り付けられる部材であって、筒状の操作部本体3aと、操作部本体3a内に配置されて使用者が押し操作を行うボタン部材3bを備えてなる。
また、施工完了時、操作部3内部には、後述するロック機構8が配置される。
ロック機構8は、円筒形状のロック機構本体8aと、該ロック機構本体8a内を貫通するようにして進退自在に挿通配置されるロック軸8bと、から構成され、施工完了時ロック軸8bの端部はボタン部材3bに、下端はレリースワイヤ7に、それぞれ接続される。
施工が完了した状態において、ボタン部材3bに押し操作を行うと、ロック機構8は、押し操作毎に、インナーワイヤ7bがアウターチューブ7aから蓋体2側に前進した状態で固定/固定を解除して戻りスプリング7dによりインナーワイヤ7bが操作部3側に後退した状態に移動、を交互に繰り返すように構成されてなる。
蓋体2は、排水口1の開口を覆う、板状にして略長方形形状を成す部材であって、その下流側の面の中央部分に、レリースワイヤ7の支持軸7c先端との嵌合部2cを備え、また蓋体2の下流側の面であって外周周縁に沿うようにして、浴槽Bの当接部1aと当接することで排水口1を水密に閉口する、ゴムなどの弾性素材からなる止水部2aを備えてなる。
上記嵌合部2cは、蓋体2の施工完了時支持軸7c側となる面の中央部分に固定される、弾性素材からなる部材であって、支持軸7cの先端と嵌合すると共に、特に強い応力が作用してない状態では、支持軸7cの中心軸に対して蓋体2の面を垂直となる角度にて固定すると共に、支持軸7cの側面方向から応力を加えられた場合には、弾性変形して蓋体2を支持軸7cに対し応力が加えられた方向に屈曲させることで、蓋体2や支持軸7cなど遠隔操作式排水栓装置の部材が破損することを防止する。
また、蓋体2の下流側の面であって、排水口1に当接する位置に、ゴムなどの弾性素材からなる、棒状のガイド部2bを備えてなる。尚、ガイド部2bは、長方形形状の角部4か所に設けられてなる。
ここで、浴槽Bの取付口B1と排水口本体4、蓋体2について詳細に説明する。
取付口B1の開口及び排水口本体4が取り付けられる方向は、図1図2等に示したように下流側ほど低くなる若干の下り傾斜を備えてなる。
当接部1aは、図1図2にあるように、取付口B1の開口の内側面となる部分に、排水口1の開口に対して若干の傾斜を有するように形成され、且つ当接部1aの下端側も僅かながら下流側に向かって下方に向かう傾斜を備えてなる。
このように形成することで、浴槽Bの底面から排水口本体4内部までの流路は上流から下流側に向かう方向に対して、水平乃至下り傾斜となり、浴槽B内に湯水など排水が残ることは無い。
また、蓋体2の止水部2aは蓋体2の板状形状に対して側面方向を向いて設けられており、蓋体2が下流側に移動した際には、排水口1に対して側面方向にある当接部1aに当接することで排水口1を閉口する。
尚、ガイド部2bと排水口1とは、図4及び図5に示したように、蓋体2の進退方向視、蓋体2の止水部2aが浴槽Bの当接部1aに合致する位置に配置されている時、排水口1の内側面に、ガイド部2bが当接するように構成されている。
即ち、この実施例では、排水口1内側面にガイド部2bが当接することで、蓋体2が進退の方向に対して傾いたり、支持軸7cを中心として回転したりすることを防止している。一方で、ガイド部2bはゴムなどの弾性素材で構成されており、後述するように、蓋体2や支持軸7cに応力や衝撃が加えられて緩衝機構が機能する際にはガイド部2bも変形することで、ガイド部2bやそれに接する部材に破損を生じることを防止している。
各図面について説明すると、図4は排水口1近傍の蓋体2が無い状態を示すものであり、図5図4の排水口に蓋体2を配置した状態を示す図面である。図5においては、排水口1内側面及びガイド部2bの内、蓋体2によって隠れる部分を破線で示し、ガイド部2bと排水口1内側面の位置関係が分かるようにしている。
図面から明らかなように、この実施例では、ガイド部2bは排水口1内側面に当接している。そして、ガイド部2bと排水口1内側面の当接により、蓋体2が進退方向に対して傾いたり、支持軸7cを中心に回転したりすることを防止している。
チューブ管9は、操作部3から挿通部6bまでを接続する、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた軟質塩ビ材であって、操作部3に挿通されたレリースワイヤ7を、挿通部6bから継手部材6内部に案内するように構成されてなる。
【0016】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置を用いた排水配管は、以下のようにして浴槽Bに施工される。尚、以下の施工においては、浴槽Bは既に浴室上に設置され、設置後も浴槽Bの下側に対して接続等の作業は支障なく行うことができるものとする。実際の作業では、必要に応じて接続の手順を変更したり、一部の接続作業後に浴槽Bを浴室に設置する等、適宜変更を行うものとする。また、各接続箇所は、特に記載しなくても、必要に応じ、接着剤やパッキンなどを利用し、水密的に接続されるものである。
まず、浴槽Bの操作部取付口B2に操作部本体3aを取り付ける。
次に、排水口本体4を浴槽Bの取付口B1に取り付ける。この際には、排水口本体4のフランジ部4aの上流側の面に、浴槽Bの取付口B1周縁の外側側面を当接させた状態で、ビスを利用してネジ締めすることで、浴槽Bの取付口B1に排水口本体4を取り付ける。
次に、チューブ管9の一端を操作部本体3aに、他端を継手部材6の挿通部6bに、それぞれ接続する。
次に、継手部材6の排出口6aを下水側に繋がる床下配管(図示せず)に接続した上で、排水口本体4の下流側端部を、継手部材6の上流側端部に水密に接続する。
次に、レリースワイヤ7の操作部3側端部にロック機構8を接続した上で、操作部本体3aの上方から、レリースワイヤ7の支持軸7c側端部を挿通する。レリースワイヤ7端部が継手部材6内に達した状態で、ロック機構8を操作部本体3a内に弾性嵌合させて固定する。
次に、レリースワイヤ7の支持軸7c側端部を排水口1から引き上げた上で、支持部材5にレリースワイヤ7端部を接続し、更に排水口1内に支持部材5を配置固定する。
次にロック軸8bの端部にボタン部材3bを嵌合させ、ボタン部材3bに操作を行ってインナーワイヤ7bを蓋体2側に前進させた状態とする。この時、支持軸7cは排水口1から突出した状態となる。
次に、蓋体2のガイド部2bを、排水口1内に当接させつつ、排水口1内に配置された支持軸7cの先端に蓋体2の嵌合部2cを嵌合させて取り付けることで、第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。前述の通り支持軸7cは排水口1から突出しているため、蓋体2を排水口1側に後退させることで、支障なく蓋体2を支持軸7cに嵌合させることができる。
【0017】
以下に、上記実施例の遠隔操作式排水栓装置の使用方法を説明する。
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置を使用する場合、図1のように、まず蓋体2が後退して排水口1を閉口した状態とする。
この状態からボタン部材3bに押し込み操作を行うと、ロック機構8のロック軸8bが降下し、レリースワイヤ7のインナーワイヤ7bを蓋体2側に前進させた状態で固定される。このため、インナーワイヤ7bの排水口1側端部にある支持軸7cが前進して蓋体2の止水部2aを取付口B1周縁の当接部1aから離間させて、図2のように排水口1を開口する。
この状態から再びボタン部材3bに押し込み操作を行うと、ロック機構8の固定が解除され、戻りスプリング7dの作用によって、インナーワイヤ7bが操作部3側に後退する。
このため、インナーワイヤ7bの排水口1側端部にある支持軸7cが蓋体2と共に後退し、蓋体2の止水部2aが排水口1周縁にある浴槽Bの当接部1aに当接して図1に示した排水口1を閉口した状態に戻る。
以降、排水口1から離間した位置にあるボタン部材3bに押し操作を行うことで、遠隔操作により排水口1を開閉することができる。
【0018】
上記実施例において、この蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7cの進退方向から応力又は衝撃が加えられた場合、支持軸7cの内部に備えられた、軸方向緩衝スプリング7eが収縮することで、排水口1に蓋体2が当接した状態となり、軸方向の応力や衝撃が緩衝され部材の破損を防止することができる。
【0019】
また、上記実施例において、この蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の側面方向、例えば図2の矢印のように、上方から下方に向けて応力又は衝撃が加えられた場合、弾性素材で構成された、蓋体2の嵌合部2cが弾性変形し、図6に示したように、蓋体2の、支持軸7cに対する角度を変形させて応力又は衝撃を逃がすことで、蓋体2や支持軸7cへの衝撃が緩衝され部材の破損を防止することができる。
尚、ガイド部2bは、ゴムなどの弾性素材で構成されており、蓋体2の、支持軸7cに対する角度の変形に追従して変形することで、ガイド部2bやそれに接する部材に破損が生じることを防止することができる。
即ち、本実施例の遠隔操作式排水栓装置は、蓋体2と支持軸7cとの接続部分に、支持軸の進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する、弾性体からなる緩衝機構を備えた遠隔操作式排水栓装置である。
【0020】
次に、本発明の第二実施例について、図7乃至図10を参照しつつ説明する。
尚、本発明の第二実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、レリースワイヤ7の支持軸7cと、蓋体2の嵌合部2c以外の部材は、段落0015に記載した第一実施例の各部材と同一の構成のため、レリースワイヤ7と蓋体2以外の各部材の説明は省略する。
レリースワイヤ7は、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブ7aと、該アウターチューブ7a内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤ7bと、インナーワイヤ7bの一方の端部に備えられた棒状の硬質の部材であって、その先端が、図9に示したように、球形状を成す支持軸7cと、レリースワイヤ7内に備えられ、インナーワイヤ7bをアウターチューブ7aに対して支持軸7cとは反対側に付勢する戻りスプリング7dと、から構成されてなる。
尚、支持軸7cの内部には、支持軸7cとインナーワイヤ7b端部の間で作用するように、排水口1を開口する際の水圧には抗するが、排水口1から蓋体2が離間した、排水口1が開口した状態において、部材の破損が生じるような応力や衝撃が支持軸7cの進退方向より加えられた場合には収縮して、排水口1に蓋体2が当接した状態とすることで、軸方向の応力や衝撃を緩衝する軸方向緩衝スプリング7eを備えてなる。
蓋体2は、図9に示すように、排水口1の開口を覆う、板状にして略長方形形状を成す部材であって、その下流側の面の中央部分に、レリースワイヤ7の支持軸7c先端の球形状部分に対して回動可能に嵌合する嵌合部2cを備え、また蓋体2の下流側の面であって外周周縁に沿うようにして、浴槽Bの当接部1aと当接することで排水口1を水密に閉口する、ゴムなどの弾性素材からなる止水部2aを備えてなる。
また、蓋体2の下流側の面であって、排水口1に当接する位置に、ゴムなどの弾性素材からなる、棒状のガイド部2bを備えてなる。尚、ガイド部2bは、長方形形状の角部4か所に設けられてなる。
上記のように、先端が球形状の支持軸7cに対して、蓋体2の嵌合部2cは回動可能に嵌合するが、ガイド部2bが排水口の内部に当接して、強い応力が作用しない限り蓋体2が支持軸7cに対して傾くことを防止するため、蓋体2と支持軸7cとの嵌合が傾斜可能に構成されていても、閉口時には排水口1を蓋体2が傾くことなく覆うことによって排水口1は適切に閉口される。
【0021】
上記のように構成された本発明の第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0016に記載された第一実施例と同様の手順により施工され、段落0017に記載された第一実施例と同様の手順により遠隔操作にて排水口1を開閉することができる。
また、本第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の進退方向から応力又は衝撃が加えられた場合、段落0018に記載したようにして、軸方向緩衝スプリング7eが作用し、遠隔操作式排水栓装置部材の破損を防止することができる。
【0022】
上記第二実施例において、この蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の側面方向、例えば図8の矢印のように、上方から下方に向けて応力又は衝撃が加えられた場合、球形状を成す支持軸7c先端と、この支持軸7c先端と回動可能に嵌合する蓋体2の嵌合部2cによって、図10に示したように、蓋体2の、支持軸7cに対する角度を変形させて応力又は衝撃を逃がすことで、蓋体2や支持軸7cへの衝撃が緩衝され部材の破損を防止することができる。
尚、ガイド部2bは、ゴムなどの弾性素材で構成されており、蓋体2の、支持軸7cに対する角度の変形に追従して変形することで、ガイド部2bやそれに接する部材に破損が生じることを防止することができる。
そして、蓋体2への荷重が解消し、作用する応力が止まると、ガイド部2bの弾性によって支持軸7cに対する蓋体2の角度が、図8のような適正な角度に復帰し、以後の操作において、支障なく遠隔操作式排水栓装置の開閉操作を行うことができる。
即ち、本実施例の遠隔操作式排水栓装置は、蓋体2と支持軸7cとの接続部分を回動自在に接続する回動部として、支持軸の進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する回動部からなる緩衝機構を備えた遠隔操作式排水栓装置である。
【0023】
次に、本発明の第三実施例について、図11乃至図14を参照しつつ説明する。
尚、本発明の第三実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、蓋体2以外の部材は、段落0015に記載した第一実施例の各部材と同一の構成のため、蓋体2以外の各部材の説明は省略する。
蓋体2は、図13に示すように排水口1の開口を覆う、板状にして略長方形形状を成す部材であって、その下流側の面の中央部分に、レリースワイヤ7の支持軸7c先端に嵌合する嵌合部2cと、蓋体2の板状部分と嵌合部2cとを連絡する、金属の板材をらせん状に巻き付けた渦巻ばねからなるばね部材10を備え、また蓋体2の下流側の面であって外周周縁に沿うようにして、浴槽Bの当接部1aと当接することで排水口1を水密に閉口する、ゴムなどの弾性素材からなる止水部2aを備えてなる。
また、蓋体2の下流側の面であって、排水口1に当接する位置に、ゴムなどの弾性素材からなる、棒状のガイド部2bを備えてなる。尚、ガイド部2bは、長方形形状の角部4か所に設けられてなる。
【0024】
上記のように構成された本発明の第三実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0016に記載された第一実施例と同様の手順により施工され、段落0017に記載された第一実施例と同様の手順により遠隔操作にて排水口1を開閉することができる。
また、本第三実施例の遠隔操作式排水栓装置の蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の進退方向から応力又は衝撃が加えられた場合、段落0018に記載したようにして、軸方向緩衝スプリング7eが作用し、遠隔操作式排水栓装置部材の破損を防止することができる。
【0025】
上記第三実施例において、この蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の側面方向、例えば図12の矢印のように、上方から下方に向けて応力又は衝撃が加えられた場合、図14に示すように、蓋体2の板状部分と嵌合部2cとを連絡するばね部材10が、蓋体2の板状部分を応力を逃がす方向に移動させ、又は蓋体2の、支持軸7cに対する角度を変形させて応力又は衝撃を逃がすことで、蓋体2や支持軸7cへの衝撃が緩衝され部材の破損を防止することができる。
尚、ガイド部2bは、ゴムなどの弾性素材で構成されており、蓋体2の、支持軸7cに対する角度の変形に追従して変形することで、ガイド部2bやそれに接する部材に破損が生じることを防止することができる。
そして、蓋体2への荷重が解消し、作用する応力が止まると、ばね部材10の弾性や、ガイド部2bの弾性によって支持軸7cに対する蓋体2の角度が、図12のような適正な角度に復帰し、以後の操作において、支障なく遠隔操作式排水栓装置の開閉操作を行うことができる。
即ち、本実施例の遠隔操作式排水栓装置は、蓋体2と支持軸7cとの接続部分に、渦巻ばねからなるばね体を備え、支持軸の進退方向に対して側面となる方向からの応力をばね体により緩衝する緩衝機構を備えた遠隔操作式排水栓装置である。
【0026】
次に、本発明の第四実施例について、図15乃至図18を参照しつつ説明する。
尚、本発明の第四実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、蓋体2以外の部材は、段落0015に記載した第一実施例の各部材と同一の構成のため、蓋体2以外の各部材の説明は省略する。
蓋体2は、図17に示すように、排水口1の開口を覆う、板状にして略長方形形状を成すゴムなどの適宜な硬度と弾性を備えた部材であって、その下流側の面の中央部分に、レリースワイヤ7の支持軸7c先端に嵌合する嵌合部2Cを備え、また蓋体2の下流側の面であって外周周縁に沿うようにして、浴槽Bの当接部1aと当接することで排水口1を水密に閉口する、弾性を有する止水部2aを備えてなる。
尚、上記した、「適宜な硬度と弾性を備えた」とは、蓋体2を成す弾性素材の硬度が、排水口1を開口する際の水圧には抗するが、排水口1から蓋体2が離間した、排水口1が開口した状態において、部材の破損が生じるような応力や衝撃が支持軸7cの進退方向より加えられた場合には弾性変形を行い、加えられた応力や衝撃を緩衝するような硬度である、という意味である。
また、蓋体2の下流側の面であって、排水口1に当接する位置に、蓋体2の板状部分と一体の、即ち同じ弾性を備えた、棒状のガイド部2bを備えてなる。尚、ガイド部2bは、長方形形状の角部4か所に設けられてなる。
【0027】
上記のように構成された本発明の第四実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0016に記載された第一実施例と同様の手順により施工され、段落0017に記載された第一実施例と同様の手順により遠隔操作にて排水口1を開閉することができる。
また、本第四実施例の遠隔操作式排水栓装置の蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の進退方向から応力又は衝撃が加えられた場合、段落0018に記載したようにして、軸方向緩衝スプリング7eが作用し、遠隔操作式排水栓装置部材の破損を防止することができる。
【0028】
上記第四実施例において、この蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の側面方向、例えば図16の矢印のように、上方から下方に向けて応力又は衝撃が加えられた場合、図18に示したように、蓋体2の板状部分が弾性変形することで、蓋体2や支持軸7cへの衝撃が緩衝され部材の破損を防止することができる。
尚、ガイド部2bも蓋体2の板状部分と一体であり、弾性素材で構成されていることから、蓋体2の、支持軸7cに対する角度の変形に追従して変形することで、ガイド部2bやそれに接する部材に破損が生じることを防止することができる。
そして、蓋体2への荷重が解消し、作用する応力が止まると、蓋体2の弾性によって蓋体2が図16に示したような、以後の操作において、支障なく遠隔操作式排水栓装置の開閉操作を行うことができる。
即ち、本実施例の遠隔操作式排水栓装置は、蓋体2を弾性素材によって構成し、蓋体2が変形することで支持軸7cの進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する緩衝機構を備えた遠隔操作式排水栓装置である。
【0029】
次に、本発明の第五実施例について、図19乃至図22を参照しつつ説明する。
尚、本発明の第五実施例の遠隔操作式排水栓装置においては、蓋体2以外の部材は、段落0015に記載した第一実施例の各部材と同一の構成のため、蓋体2以外の各部材の説明は省略する。
蓋体2は、図21に示したような、排水口1の開口を覆う、板状にして略長方形形状を成す硬質の素材を上下に3枚隣接させた部材であって、板状部分の継ぎ目は、ゴムなどの適宜な硬度と弾性を備えた部材によって漏水など生じないように、且つ屈曲可能な屈曲部として接続されている。また、中央の板状部分の下流側の面の中央部分に、レリースワイヤ7の支持軸7c先端に嵌合する嵌合部2cを備え、また蓋体2の下流側の面であって外周周縁に沿うようにして、浴槽Bの当接部1aと当接することで排水口1を水密に閉口する、弾性を有する止水部2aを備えてなる。
尚、上記した、「適宜な硬度と弾性を備えた」とは、蓋体2を成す弾性素材の硬度が、排水口1を開口する際の水圧には抗するが、排水口1から蓋体2が離間した、排水口1が開口した状態において、部材の破損が生じるような応力や衝撃が支持軸7cの進退方向より加えられた場合には弾性変形を行い、加えられた応力や衝撃を緩衝するような硬度である、という意味である。
また、蓋体2の下流側の面であって、排水口1に当接する位置に、蓋体2の板状部分と一体の、即ち同じ弾性を備えた、棒状のガイド部2bを備えてなる。尚、ガイド部2bは、長方形形状の角部4か所に設けられてなる。
【0030】
上記のように構成された本発明の第五実施例の遠隔操作式排水栓装置は、段落0016に記載された第一実施例と同様の手順により施工され、段落0017に記載された第一実施例と同様の手順により遠隔操作にて排水口1を開閉することができる。
また、本第五実施例の遠隔操作式排水栓装置の蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の進退方向から応力又は衝撃が加えられた場合、段落0018に記載したようにして、軸方向緩衝スプリング7eが作用し、遠隔操作式排水栓装置部材の破損を防止することができる。
【0031】
上記第五実施例において、この蓋体2に対し、蓋体2や支持軸7c の上下方向、例えば図20の矢印のように、上方から下方に向けて応力又は衝撃が加えられた場合、図22に示したように、蓋体2の板状部分の屈曲部分が弾性変形することで、蓋体2や支持軸7cへの衝撃が緩衝され部材の破損を防止することができる。
尚、ガイド部2bも弾性素材で構成されていることから、蓋体2の、支持軸7cに対する角度の変形に追従して変形することで、ガイド部2bやそれに接する部材に破損が生じることを防止することができる。
そして、蓋体2への荷重が解消し、作用する応力が止まると、蓋体2の弾性によって蓋体2が図20に示した当初の形状に復帰し、以後の操作において、支障なく遠隔操作式排水栓装置の開閉操作を行うことができる。
即ち、本実施例の遠隔操作式排水栓装置は、蓋体2に屈曲部を構成し、蓋体2が変形することで支持軸7cの進退方向に対して側面となる方向からの応力を緩衝する緩衝機構を備えた遠隔操作式排水栓装置である。
【0032】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、遠隔操作式排水栓装置が採用される槽体は浴槽Bであるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、洗面ボウル、流し台等、どのような槽体に採用しても構わない。
また、上記実施例では、排水口1は槽体の側面に形成されてなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、槽体の底面に排水口1を設け、水平方向からの応力や衝撃を緩衝する緩衝機構としても構わない。
また、上記実施例においては、蓋体2の止水部2aまた槽体の側面に設けた当接部1aを略長方形形状としているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、止水部2a及び当接部1aを蓋体2の進退方向視正円形状としても良い。
また、上記第三実施例では、ばね体を渦巻ばねとして構成しているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、ばね体としてコイルばねや板ばね等を用いてばね体としても構わない。
【符号の説明】
【0033】
1 排水口 1a 当接部
2 蓋体 2a 止水部
2b ガイド部 2c 嵌合部
2d 屈曲部 3 操作部
3a 操作部本体 3b ボタン部材
4 排水口本体 4a フランジ部
5 支持部材 6 継手部材
6a 排出口 6b 挿通部
7 レリースワイヤ 7a アウターチューブ
7b インナーワイヤ 7c 支持軸
7d 戻りスプリング 7e 軸方向緩衝スプリング
8 ロック機構 8a ロック機構本体
8b ロック軸 9 チューブ管
10 ばね部材 B 浴槽
B1 取付口 B2 操作部取付口
図1
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図3
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図5
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図10
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