(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096507
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】保持具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/127 20060101AFI20220622BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20220622BHJP
H02G 3/32 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
F16L3/127
F16B2/22 C
H02G3/32
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209645
(22)【出願日】2020-12-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】508355792
【氏名又は名称】株式会社TOP-UP
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】神戸 英敏
(72)【発明者】
【氏名】臼井 啓了
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA05
3H023AB04
3H023AC02
3H023AD02
3H023AD19
3H023AD21
3H023AD54
3H023AE01
3J022DA15
3J022EA38
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FA05
3J022FB12
3J022HB02
3J022HB06
5G363AA12
5G363BA07
5G363DA13
5G363DA15
(57)【要約】
【課題】保持対象物を安定して保持可能な保持具を提供する。
【解決手段】相手部材12に取り付けられる本体部13と、本体部13に作動可能に接続されて管体11の外面11Aに接触される第1腕部17と、本体部13に作動可能に接続されて管体11に接触され、かつ、管体11が進入される第1空間B2を第1腕部17と協働して形成する第2腕部18と、本体部13に設けられ、かつ、管体11が第1空間B2へ進入された状態で第1腕部17及び第2腕部18が作動されると、第1空間B2へ進入された管体11の一部が進入される第2空間B1と、第1腕部17に設けられた係合爪26と、第2腕部18に設けられ、かつ、管体11が第2空間B1へ進入されると係合爪26が係合される係合爪28と、を有するインサートクリップ10。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材に取り付けられる本体部と、
前記本体部に作動可能に接続されて保持対象物に接触される第1腕部と、
前記本体部に作動可能に接続されて前記保持対象物に接触され、かつ、前記対象物が進入される第1空間を前記第1腕部と協働して形成する第2腕部と、
前記本体部に設けられ、かつ、前記保持対象物が前記第1空間へ進入された状態で前記第1腕部及び前記第2腕部が作動されると、前記第1空間へ進入された前記保持対象物の一部が進入される第2空間と、
前記第1腕部に設けられた第1係合部と、
前記第2腕部に設けられ、かつ、前記保持対象物が前記第2空間へ進入されると前記第1係合部に係合される第2係合部と、
を有する、保持具。
【請求項2】
請求項1記載の保持具において、
前記本体部は、
前記相手部材に接触される基部と、
前記基部から突出された第1突出部及び第2突出部と、
を有し、
前記第1空間は、前記基部、前記第1突出部及び前記第2突出部によって形成され、
前記第1腕部は、前記第1突出部へ第1ヒンジを介して作動可能に接続され、
前記第2腕部は、前記第2突出部へ第2ヒンジを介して作動可能に接続されている、保持具。
【請求項3】
請求項2記載の保持具において、
前記保持対象物の中心線に対して垂直な平面視で、
前記第1腕部及び前記第2腕部は、前記保持対象物の外面に接触するように湾曲されている、保持具。
【請求項4】
請求項3記載の保持具において、
前記保持対象物が前記第1空間へ進入されて前記第1腕部及び前記第2腕部に外力が加わり、かつ、前記第1腕部及び前記第2腕部がそれぞれヒンジを支点として作動すると、前記第1空間へ進入された前記保持対象物の一部が前記第2空間へ進入される、保持具。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか1項記載の保持具において、
前記保持対象物の中心線に対して垂直な平面視で、前記基部から前記第1ヒンジが前記第1腕部に接続された個所までの距離は、前記基部から前記第2ヒンジが前記第2腕部に接続された個所までの距離よりも大きい、保持具。
【請求項6】
請求項5記載の保持具において、
前記第1腕部は、前記第1ヒンジに接続された個所が外側面となるように湾曲され、
前記第1係合部は、前記外側面に設けられ、
前記第2腕部は、前記第2ヒンジに接続された個所とは反対側の箇所が内側面となるように湾曲され、
前記第2係合部は、前記内側面に設けられている、保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持対象物を保持する保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
保持対象物、例えば、管体を保持する保持具の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された保持具は、第1保持凹部を有する第1保持部材と、管体の外周を環状に取り囲む保持部を第1保持凹部と共に構成する第2保持凹部を有する第2保持部材と、を備えている。第1保持部材と第2保持部材とは、互いの第1端がヒンジを介して連結されて保持部を開閉可能である。また、第1保持部材と第2保持部材とは、互いの第2端が係合可能に構成されて保持部が閉じた状態を維持可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載されている保持具によれば、保持対象物の大きさ、例えば、太さまたは外径が異なると、第1保持部材の第2端と第2保持部材の第2端との係合範囲が変化し、保持対象物を保持する機能が不安定になる、という課題を認識した。
【0005】
本発明の目的は、保持対象物を安定して保持可能な保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の保持具は、相手部材に取り付けられる本体部と、前記本体部に作動可能に接続されて保持対象物の外面に接触される第1腕部と、前記本体部に作動可能に接続されて前記保持対象物に接触され、かつ、前記第1腕部と協働して前記対象物が進入される第1空間を形成する第2腕部と、前記本体部に設けられ、かつ、前記保持対象物が前記第1空間へ進入された状態で前記第1腕部及び前記第2腕部が作動されると、前記第1空間へ進入された前記保持対象物の一部が進入される第2空間と、前記第1腕部に設けられた第1係合部と、前記第2腕部に設けられ、かつ、前記保持対象物が前記第2空間へ進入されると前記第1係合部に係合される第2係合部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態の保持具は、保持対象物の大きさに関わりなく、第1係合部と第2係合部との係合範囲を確保できる。したがって、保持具が保持対象物を保持する機能が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明における保持具の一実施形態であるインサートクリップの斜視図である。
【
図2】インサートクリップで保持対象物を保持する前の状態の平面図である。
【
図3】インサートクリップの第1空間へ保持対象物を進入させる過程の第1段階を示す平面図である。
【
図4】インサートクリップの第2空間へ保持対象物を進入させる過程の第2段階を示す平面図である。
【
図5】インサートクリップにより保持対象物が保持されている状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の保持具の一例を図面に基づいて説明する。本実施形態では、水道設備用の管体を保持対象物として保持し、保持対象物を相手部材に位置決めするための保持具を例として説明する。
【0010】
保持具の一例であるインサートクリップ(ガチャ2 バンド)10は、管体11を、相手部材12に対して所定の位置に保持する場合、管体11を相手部材12に対して固定する場合等に用いられる。管体11は、例えば、合成樹脂製であり、かつ、可撓性を有する。管体11は、例えば、ケーブルを覆うコルゲートパイプ、または、ウレタンフォームが巻かれたパイプである。中心線A1に対して垂直な平面視覚で、管体11の外面形状は、ほぼ円形である。中心線A1は、管体11の中心を通る仮想線である。
【0011】
相手部材12は、例えば、建築物における壁の内部、天井裏、床下等に設けられる金具である。本実施形態では、相手部材12として、便宜上、軸形状の金具の長手方向の一部が示されている。なお、相手部材12は、水平方向、垂直方向、または水平方向と垂直方向との間に沿った方向のうち、何れの方向に沿って配置されていてもよい。
【0012】
インサートクリップ10は、合成樹脂、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂で一体成形されている。熱可塑性樹脂または熱硬化樹脂は、PA6(ナイロン:ポリアミド合成樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等のうちの何れでもよい。インサートクリップ10は、本体部13、取り付け部14、第1腕部17,18を有する。本体部13は、基部19、突出部15,16を有する。基部19は、例えばプレート形状である。取り付け部14は、基部19から、基部19の厚さ方向に突出されている。
図1及び
図2の例では、フック形状の取り付け部14が複数設けられており、複数の取り付け部14は、相手部材12の長手方向の異なる位置に対し、間隔をおいてそれぞれ係合される。
【0013】
複数の取り付け部14が相手部材12に係合された状態で、基部19の表面(平坦面)の一部が相手部材12に接触する。突出部15,16は、基部19から、基部19の厚さ方向にそれぞれ突出されている。突出部15,16は、間隔をおいて設けられている。突出部15,16が、基部19からそれぞれ突出された向きは、複数の取り付け部14が基部19から突出された向きとは逆である。突出部15は、第1構成部20と、第1構成部20に接続された第2構成部21と、を有する。突出部16は、第1構成部22と、第1構成部22に接続された第2構成部23と、を有する。
【0014】
図2は、インサートクリップ10に対して管体11を取り付ける方向に沿い、かつ、筒形状の管体11の中心線P1に対して、ほぼ垂直な平面図である。インサートクリップ10を
図2のように平面視すると、インサートクリップ10が管体11を保持していない状態で、第1構成部20と第2構成部22とは、ほぼ平行である。
【0015】
図2において、第2構成部21は、第2構成部23に近づくように、第1構成部20に対して傾斜されている。
図2において、第2構成部23は、第2構成部21に近づくように、第1構成部22に対して傾斜されている。第1構成部20に対する第2構成部21の傾斜角度θ1は、第1構成部22に対する第2構成部23の斜角度θ2よりも小さい。傾斜角度θ1,θ2は、180度未満であり、かつ、90度を超えている。
【0016】
第1腕部17は、ヒンジ24を介して第2構成部21に接続されている。第1腕部17は、外力を受けていない状態で、
図2のように、ほぼ円弧状に湾曲されている。第1腕部17は、湾曲方向で外側に位置する外側面17Cと、湾曲方向で内側に位置する内側面17Dと、を有する。ヒンジ24は、外側面17Cに接続されている。突出部16に最も近い端部17Aであり、内側面17Dに相当する箇所に、接触部25が突出して設けられている。第1腕部17のうち、端部17Aとは反対側の端部17Bに対応する外側面17Cに、係合爪26が設けられている。係合爪26は、第1腕部17の端部17Bからヒンジ24に近づく方向に複数設けられている。複数の係合爪26は、ヒンジ24に近づく向きでそれぞれ傾斜されている。
【0017】
第2腕部18は、ヒンジ27を介して第2構成部23に接続されている。第2腕部18は、外力を受けていない状態で、
図2のように、ほぼ円弧状に湾曲されている。第2腕部18は、湾曲方向で外側に位置する外側面18Cと、湾曲方向で内側に位置する内側面18Dと、を有する。ヒンジ27は、外側面18Cに接続されている。第2腕部18のうち突出部15に最も近い箇所が端部18Aである。第2腕部18のうち、端部18Aとは反対側に端部18Bが設けられている。第2腕部18の内側面18Dのうち、端部18Aと端部18Bとの間に、係合爪28が設けられている。係合爪28は、端部18Aと端部18Bとの間の範囲内に複数設けられている。複数の係合爪28は、端部18Aに近づく向きでそれぞれ傾斜されている。
【0018】
図2のようなインサートクリップ10の平面視で、基部19と第1構成部20とが接続された個所から、ヒンジ24と第1第1腕部17とが接続された個所24Aまでの間に距離L1がある。基部19と第2構成部22とが接続された個所から、ヒンジ27と第2第2腕部18とが接続された個所27Aまでに距離L2がある。距離L1,L2は、基部19に対して直角な方向の距離であり、距離L1は距離L2より大きい。
【0019】
次に、インサートクリップ10が管体11を保持する過程を説明する。
図2のように、取り付け部14が相手部材12に係合されて、インサートクリップ10が相手部材12に取り付けられている。インサートクリップ10は、管体11から離間されており、端部18Aは、端部17Aと基部19との間に位置する。また、端部17Bと端部18Bとが間隔L3で離間されており、係合爪26と係合爪28とが全て解放されている。インサートクリップ10を
図2のように平面視すると、基部19、突出部15,16、第1腕部17の外側面17Cの一部、第2腕部18の外側面18Cの一部により囲まれた第2空間B1が形成されている。さらに、第1腕部17の内側面17Dと、第2腕部18の内側面18Dとの間に、第1空間B2が形成されている。インサートクリップ10に外力が加えられていない状態で、
図2のように、突出部15と突出部16との間隔が最も広い。
【0020】
作業者は、中心線P1に対して垂直な平面内で、管体11を太さ方向、例えば、矢印A1方向に移動させ、管体11を端部17Bと端部18Bとの間を通過させ、管体11の一部を第1空間B2へ進入させる。ここで、端部17Bと端部18Bとの間隔L3が、管体11の直径φ1より小さい場合、作業者は、間隔L3が直径φ1よりも大きくなるように、第1腕部17,18、ヒンジ24,27、突出部15,16のうち、少なくとも1つの要素を弾性変形させる。
【0021】
そして、管体11の一部が第1空間B2へ進入した後、
図3のように、端部17Aが管体11の外面11Aに接触する。端部17B,18Bは、共に管体11の外面11Aへ接触する。作業者が、管体11を更に矢印A1方向へ押すと、第1腕部17がヒンジ24を支点として反時計回りに作動し、端部17Aが端部18Bへ押し付けられる。すると、第1腕部17の作動力が第2腕部18へ伝達され、第2腕部18がヒンジ27を支点として時計回りに作動する。端部17A,17Bは、管体11の外面11Aに沿って摺動する。
【0022】
さらに、端部18Aが端部17Aを乗り越え、かつ、端部18Aは端部17Aから離間される。端部18Aは、
図4のように、管体11の外面11Aへ接触され、端部18A及び端部18Bは、管体11の外面11Aに沿って摺動する。また、端部17Aの接触部25が、管体11の外面11Aへ接触する。ここで、端部18Bの一部は、管体11の直径方向(太さ方向)で、端部17Bより外側に位置する。このようにして、管体11の直径方向の全部が、第1空間B2へ進入される。
【0023】
作業者が管体11を更に矢印A1方向に押すと、第1腕部17はヒンジ24を支点として更に反時計回りに作動し、かつ、端部17Aが第1構成部20へ近づく。また、第2腕部18はヒンジ27を支点として更に時計回りに作動し、かつ、端部18Aが第1構成部22へ近づく。このため、端部17Aと端部18Aとが更に離間され、第2腕部18の一部は、管体11の太さ方向で第1腕部17の外側を移動し、係合爪26と係合爪28とが自動的に係合される。
【0024】
そして、管体11の外面11Aが
図5のように基部19に接触されると、作業者は管体11をインサートクリップ10へ押し付ける作業を終え、インサートクリップ10が、管体11を保持した状態になる。すなわち、インサートクリップ10は、管体11を相手部材12に対して所定の位置に位置決めすること、または、管体11を相手部材12に対して固定することが可能である。
【0025】
インサートクリップ10が管体11の保持した状態において、管体11に対して、管体11を本体部13から離間させる向きの力が加わったとしても、第1腕部17の一部が第2腕部18の一部に押し付けられ、かつ、係合爪26及び係合爪28が傾斜しているため、係合爪26が係合爪28から解放されることはない。したがって、インサートクリップ10は、管体11を保持した状態を維持する。
【0026】
本実施形態におけるインサートクリップ10は、作業者が管体11を第1腕部17と第2腕部18との間へ進入させ、かつ、管体11を本体部13へ向けて押し付ける(外力を付与する)という、1工程の作業(ワンプッシュ)を行うことで、第1腕部17がヒンジ24を支点として自動的に作動し、かつ、第2腕部18がヒンジ27を支点として自動的に作動し、インサートクリップ10で管体11を第1空間B2で保持可能である。つまり、管体11を本体部13へ向けて押し付ける動作に連動して、第1腕部17及び第2腕部18が作動する。したがって、作業者の作業工数及び作業時間を低減可能であり、かつ、締め付け工具、打ち付け工具等を用いずに済む。
【0027】
また、管体11の直径φ1に関わりなく、係合爪26と係合爪28との係合量、つまり、第1腕部17及び第2腕部18の円弧長さ方向の係合範囲を確保できる。したがって、インサートクリップ10が、管体11を保持する機能が安定する。なお、作業者が端部18Bを掴み、第2腕部18を管体11の太さ方向で外側ヘ弾性変形させると、係合爪28が係合爪26から解放され、管体11を第2空間B1及び第1空間B2から取り出すことが可能である。
【0028】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。インサートクリップ10は、保持具の一例である。管体11は、保持対象物の一例である。係合爪26は、第1係合部の一例であり、係合爪28は、第2係合部の一例である。突出部17は、第1突出部の一例であり、突出部16は、第2突出部の一例である。ヒンジ24は、第1ヒンジの一例であり、ヒンジ27は、第2ヒンジの一例である。距離L1は、第1距離の一例であり、距離L2は、第2距離の一例である。
【0029】
本実施形態に係る保持具は、実施形態で図面を用いて説明したインサートクリップ10に限定されない。例えば、保持対象物の外面形状は、円形、楕円形、多角形の何れでもよい。保持対象物は、管体、単数または複数のケーブル等のうちの何れでもよい。保持対象物は、合成樹脂製、金属製の何れでもよい。相手部材12は、建築物の一要素である固定構造物、例えば、柱、梁、床、天井、壁等でもよい。取り付け部14は、相手部材12に設けられた下穴(取付穴)に差し込まれて固定されるアンカーであってもよい。
【0030】
また、基部19は、ビスまたはガスネイラー等によって相手部材12に固定されてもよい。この場合、取り付け部14は基部19に設けられていない。また、基部19は、作業者の手動工具で相手部材12に打ち込まれるビス、または、ガスネイラーで相手部材12に打ち込まれる釘、鋲、タッカ等が挿入される孔を備えていてもよいし、孔を備えていなくてもよい。さらに、第1腕部17及び第2腕部18の円弧長は、保持対象物の外径、太さに応じて異なるものを複数種類用意可能である。さらに、第1腕部17の長手方向に間隔をおいて係合部26を複数個所に設けることも可能である。このようにすれば、外径、太さが小さい保持対象物であると、第2腕部18の係合爪28が、複数個所で係合爪26に係合される。これに対して、外径、太さが大きい保持対象物であると、第2腕部18の係合爪28が、1個所で係合爪26に係合される。
【0031】
本実施形態の保持具は、クリップ、クランプ、ホルダ等を含む。本発明の保持具は、水道設備の他、消火設備、ガス設備、電気設備等で用いられる。水道設備では、水、湯等を輸送する配管が、保持具で保持する対象物の一例である。消火設備では、水、消火液等を輸送する配管が、保持具で保持する対象物の一例である。ガス設備では、ガスを輸送する配管が、保持具で保持する対象物の一例である。電気設備では、電力ケーブル、信号ケーブル等を覆う配管が、保持具で保持する対象物の一例である。
【符号の説明】
【0032】
10…インサートクリップ、11…管体、11A…外面、12…相手部材、13…本体部、15,16…突出部、17…第1腕部、17C…外側面、18…第2腕部、18D…内側面、19…基部、24,27…ヒンジ、24A,27A…箇所、26,28…係合爪、B1…第2空間、B2…第1空間、L1,L2…距離
【手続補正書】
【提出日】2022-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材に取り付けられる本体部と、
前記本体部に作動可能に接続されて保持対象物に接触されるように円弧状に湾曲された第1腕部と、
前記本体部に作動可能に接続されて前記保持対象物に接触されるように円弧状に湾曲され、かつ、前記保持対象物が進入される第1空間を前記第1腕部の第1内側面と協働して形成する第2内側面を有する第2腕部と、
前記本体部、前記第1腕部の第1外側面の一部及び前記第2腕部の第2外側面の一部により囲まれ、かつ、前記保持対象物が前記第1空間へ進入された状態で前記第1腕部及び前記第2腕部が作動されると、前記第1空間へ進入された前記保持対象物の一部が、前記第1腕部の端部と前記第2腕部の端部との間を通って進入される第2空間と、
前記第1腕部に設けられた第1係合部と、
前記第2腕部に設けられ、かつ、前記保持対象物が前記第2空間へ進入されると前記第1係合部に係合される第2係合部と、
を有する、保持具。
【請求項2】
請求項1記載の保持具において、
前記本体部は、
前記相手部材に接触される基部と、
前記基部から突出された第1突出部及び第2突出部と、
を有し、
前記第2空間は、前記基部、前記第1突出部及び前記第2突出部によって形成され、
前記第1腕部は、前記第1突出部へ第1ヒンジを介して作動可能に接続され、
前記第2腕部は、前記第2突出部へ第2ヒンジを介して作動可能に接続されている、保持具。
【請求項3】
請求項2記載の保持具において、
前記保持対象物の中心線に対して垂直な平面視で、
前記第1腕部及び前記第2腕部は、前記保持対象物の外面に接触するように湾曲されている、保持具。
【請求項4】
請求項3記載の保持具において、
前記保持対象物が前記第1空間へ進入されて前記第1腕部及び前記第2腕部に外力が加わり、かつ、前記第1腕部及び前記第2腕部がそれぞれヒンジを支点として作動すると、前記第1空間へ進入された前記保持対象物の一部が前記第2空間へ進入される、保持具。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか1項記載の保持具において、
前記保持対象物の中心線に対して垂直な平面視で、前記基部から前記第1ヒンジが前記第1腕部に接続された個所までの距離は、前記基部から前記第2ヒンジが前記第2腕部に接続された個所までの距離よりも大きい、保持具。
【請求項6】
請求項5記載の保持具において、
前記第1外側面は、前記第1ヒンジに接続され、
前記第1係合部は、前記第1外側面に設けられ、
前記第2外側面は、前記第2ヒンジに接続され、
前記第2係合部は、前記第2内側面に設けられている、保持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
保持具の一例であるインサートクリップ(ガチャ2 バンド)10は、管体11を、相手部材12に対して所定の位置に保持する場合、管体11を相手部材12に対して固定する場合等に用いられる。管体11は、例えば、合成樹脂製であり、かつ、可撓性を有する。管体11は、例えば、ケーブルを覆うコルゲートパイプ、または、ウレタンフォームが巻かれたパイプである。中心線P1に対して垂直な平面視覚で、管体11の外面形状は、ほぼ円形である。中心線P1は、管体11の中心を通る仮想線である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
インサートクリップ10は、合成樹脂、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂で一体成形されている。熱可塑性樹脂または熱硬化樹脂は、PA6(ナイロン:ポリアミド合成樹脂)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等のうちの何れでもよい。インサートクリップ10は、本体部13、取り付け部14、第1腕部17
、第2腕部18を有する。本体部13は、基部19、突出部15,16を有する。基部19は、例えばプレート形状である。取り付け部14は、基部19から、基部19の厚さ方向に突出されている。
図1及び図の例では、フック形状の取り付け部14が複数設けられており、複数の取り付け部14は、相手部材12の長手方向の異なる位置に対し、間隔をおいてそれぞれ係合される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
図2は、インサートクリップ10に対して管体11を取り付ける方向に沿い、かつ、筒形状の管体11の中心線P1に対して、ほぼ垂直な平面図である。インサートクリップ10を
図2のように平面視すると、インサートクリップ10が管体11を保持していない状態で、第1構成部20と
第1構成部22とは、ほぼ平行である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
図2のようなインサートクリップ10の平面視で、基部19と第1構成部20とが接続された個所から、ヒンジ24と第
1腕部17とが接続された個所24Aまでの間に距離L1がある。基部19と
第1構成部22とが接続された個所から、ヒンジ27と第
2腕部18とが接続された個所27Aまでに距離L2がある。距離L1,L2は、基部19に対して直角な方向の距離であり、距離L1は距離L2より大きい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
作業者は、中心線P1に対して垂直な平面内で、管体11を太さ方向、例えば、矢印A1方向に移動させ、管体11を端部17Bと端部18Bとの間を通過させ、管体11の一部を第1空間B2へ進入させる。ここで、端部17Bと端部18Bとの間隔L3が、管体11の直径φ1より小さい場合、作業者は、間隔L3が直径φ1よりも大きくなるように、第1腕部17、第2腕部18、ヒンジ24,27、突出部15,16のうち、少なくとも1つの要素を弾性変形させる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
作業者が管体11を更に矢印A1方向に押すと、第1腕部17はヒンジ24を支点として更に反時計回りに作動し、かつ、端部17Aが第1構成部20へ近づく。また、第2腕部18はヒンジ27を支点として更に時計回りに作動し、かつ、端部18Aが第1構成部22へ近づく。このため、端部17Aと端部18Aとが更に離間され、管体11の一部が端部17Aと端部18Aとの間を通って第2空間B1へ進入する。第2腕部18の一部は、管体11の太さ方向で第1腕部17の外側を移動し、係合爪26と係合爪28とが自動的に係合される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。インサートクリップ10は、保持具の一例である。管体11は、保持対象物の一例である。係合爪26は、第1係合部の一例であり、係合爪28は、第2係合部の一例である。突出部15は、第1突出部の一例であり、突出部16は、第2突出部の一例である。ヒンジ24は、第1ヒンジの一例であり、ヒンジ27は、第2ヒンジの一例である。距離L1は、第1距離の一例であり、距離L2は、第2距離の一例である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
また、基部19は、ビスまたはガスネイラー等によって相手部材12に固定されてもよい。この場合、取り付け部14は基部19に設けられていない。また、基部19は、作業者の手動工具で相手部材12に打ち込まれるビス、または、ガスネイラーで相手部材12に打ち込まれる釘、鋲、タッカ等が挿入される孔を備えていてもよいし、孔を備えていなくてもよい。さらに、第1腕部17及び第2腕部18の円弧長は、保持対象物の外径、太さに応じて異なるものを複数種類用意可能である。さらに、第1腕部17の長手方向に間隔をおいて係合爪26を複数個所に設けることも可能である。このようにすれば、外径、太さが小さい保持対象物であると、第2腕部18の係合爪28が、複数個所で係合爪26に係合される。これに対して、外径、太さが大きい保持対象物であると、第2腕部18の係合爪28が、1個所で係合爪26に係合される。