(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096563
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】測定ユニット
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
G01R1/067 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020209745
(22)【出願日】2020-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井沼 毅
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀志
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA09
2G011AA22
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB04
2G011AB06
2G011AD01
2G011AE01
(57)【要約】
【課題】ノイズを抑制することができる測定ユニットを提供すること。
【解決手段】本発明に係る測定ユニットは、アース用の電位を導通する線路の一部を形成し、一端側の表面が平面をなすグランド部と、測定用の信号を導通する線路の一部を形成し、端部が、グランド部の平面と同一平面上に表出するシグナル部と、グランド部とシグナル部との間に設けられる絶縁性の誘電部と、長手軸に沿って伸縮自在な導電性の第1のコンタクトプローブであって、シグナル部に接触する第1のコンタクトプローブと、長手軸に沿って伸縮自在な導電性の第2のコンタクトプローブであって、グランド部に接触する第2のコンタクトプローブと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アース用の電位を導通する線路の一部を形成し、一端側の表面が平面をなすグランド部と、
測定用の信号を導通する線路の一部を形成し、端部が、前記グランド部の前記平面と同一平面上に表出するシグナル部と、
前記グランド部と前記シグナル部との間に設けられる絶縁性の誘電部と、
長手軸に沿って伸縮自在な導電性の第1のコンタクトプローブであって、前記シグナル部に接触する第1のコンタクトプローブと、
長手軸に沿って伸縮自在な導電性の第2のコンタクトプローブであって、前記グランド部に接触する第2のコンタクトプローブと、
を備えることを特徴とする測定ユニット。
【請求項2】
グランド板と、
前記グランド板に接続する同軸ケーブルと、
を備え、
前記同軸ケーブルは、
前記シグナル部の前記線路の一部を形成するシグナル導体と、
前記シグナル導体の外周に設けられる誘電体と、
前記誘電体の外周に設けられるグランド導体と、
を有し、
前記シグナル導体が前記シグナル部を構成し、
前記誘電体が前記誘電部を構成し、
前記グランド導体および前記グランド板が前記グランド部を構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定ユニット。
【請求項3】
前記グランド板には、前記グランド導体が挿通される貫通孔が形成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の測定ユニット。
【請求項4】
前記グランド板には、前記誘電体が挿通される貫通孔が形成され、
前記グランド導体は、前記グランド板の表面と電気的に接続する、
ことを特徴とする請求項2に記載の測定ユニット。
【請求項5】
グランド板と、
前記グランド板に接続する同軸ケーブルと、
を備え、
前記グランド板は、
前記シグナル部の前記線路の一部を形成するシグナル中継部と、
前記シグナル中継部の外周を覆うグランド板側誘電体と、
を有し、
前記同軸ケーブルは、
前記シグナル部の前記線路の一部を形成し、前記シグナル中継部と電気的に接続するシグナル導体と、
前記シグナル導体の外周に設けられるケーブル側誘電体と、
前記ケーブル側誘電体の外周に設けられ、前記グランド板の前記シグナル中継部および前記グランド板側誘電体とは異なる位置において電気的に接続するグランド導体と、
を有し、
前記シグナル中継部および前記シグナル導体が前記シグナル部を構成し、
前記グランド板側誘電体および前記ケーブル側誘電体が前記誘電部を構成し、
前記グランド導体および前記グランド板が前記グランド部を構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定ユニット。
【請求項6】
前記グランド板には、複数の前記同軸ケーブルが接続される、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一つに記載の測定ユニット。
【請求項7】
前記シグナル部の前記線路を形成するシグナル導体と、前記シグナル導体の外周に設けられ、前記誘電部を構成する誘電体と、前記誘電体の外周に設けられ、前記グランド部を構成するグランド導体とを備える同軸ケーブル、
を備え、
前記グランド導体は、
前記シグナル導体および前記誘電体に沿って延びる筒状部と、
前記筒状部の一端部に設けられ、平板状をなす平板部と、
を有し、
前記シグナル導体および前記誘電体の端面は、前記平板部の表面と同一平面上に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定ユニット。
【請求項8】
前記シグナル導体、前記誘電体および前記筒状部を複数組有する、
ことを特徴とする請求項7に記載の測定ユニット。
【請求項9】
前記グランド部、前記シグナル部および前記誘電部を有する第1の接続部と、
前記グランド部、前記シグナル部および前記誘電部を有する第2の接続部であって、前記第1の接続部に対向して設けられる第2の接続部と、
を備え、
前記第1および第2のコンタクトプローブは、一端が前記第1の接続部と接触し、他端が前記第2の接続部と接触する、
ことを特徴とする請求項1に記載の測定ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路や液晶パネルなどの検査対象の導通状態検査または動作特性検査では、検査装置に接続するケーブル、ケーブルの検査装置側と反対側の端部に接続される接続部材が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。ケーブルは、中心にシグナル導体、シグナル導体を覆う誘電体、および、誘電体を覆うグランド導体を有する。接続部材は、シグナル導体と接続する中心接触子と、グランド導体と接触する側方接触子とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ケーブルの端部を斜めにカットして接続部材と接続している。この接続部分では、伝送線路が、同軸線路から、いわゆるコプレナ線路に代わり、線路変更によってノイズがのりやすくなっていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ノイズを抑制することができる測定ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る測定ユニットは、アース用の電位を導通する線路の一部を形成し、一端側の表面が平面をなすグランド部と、測定用の信号を導通する線路の一部を形成し、端部が、前記グランド部の前記平面と同一平面上に表出するシグナル部と、前記グランド部と前記シグナル部との間に設けられる絶縁性の誘電部と、長手軸に沿って伸縮自在な導電性の第1のコンタクトプローブであって、前記シグナル部に接触する第1のコンタクトプローブと、長手軸に沿って伸縮自在な導電性の第2のコンタクトプローブであって、前記グランド部に接触する第2のコンタクトプローブと、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る測定ユニットは、上記発明において、グランド板と、前記グランド板に接続する同軸ケーブルと、を備え、前記同軸ケーブルは、前記シグナル部の前記線路の一部を形成するシグナル導体と、前記シグナル導体の外周に設けられる誘電体と、前記誘電体の外周に設けられるグランド導体と、を有し、前記シグナル導体が前記シグナル部を構成し、前記誘電体が前記誘電部を構成し、前記グランド導体および前記グランド板が前記グランド部を構成する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る測定ユニットは、上記発明において、前記グランド板には、前記グランド導体が挿通される貫通孔が形成される、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る測定ユニットは、上記発明において、前記グランド板には、前記誘電体が挿通される貫通孔が形成され、前記グランド導体は、前記グランド板の表面と電気的に接続する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る測定ユニットは、上記発明において、グランド板と、前記グランド板に接続する同軸ケーブルと、を備え、前記グランド板は、前記シグナル部の前記線路の一部を形成するシグナル中継部と、前記シグナル中継部の外周を覆うグランド板側誘電体と、を有し、前記同軸ケーブルは、前記シグナル部の前記線路の一部を形成し、前記シグナル中継部と電気的に接続するシグナル導体と、前記シグナル導体の外周に設けられるケーブル側誘電体と、前記ケーブル側誘電体の外周に設けられ、前記グランド板の前記シグナル中継部および前記グランド板側誘電体とは異なる位置において電気的に接続するグランド導体と、を有し、前記シグナル中継部および前記シグナル導体が前記シグナル部を構成し、前記グランド板側誘電体および前記ケーブル側誘電体が前記誘電部を構成し、前記グランド導体および前記グランド板が前記グランド部を構成する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る測定ユニットは、上記発明において、前記グランド板には、複数の前記同軸ケーブルが接続される、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る測定ユニットは、上記発明において、前記シグナル部の前記線路を形成するシグナル導体と、前記シグナル導体の外周に設けられ、前記誘電部を構成する誘電体と、前記誘電体の外周に設けられ、前記グランド部を構成するグランド導体とを備える同軸ケーブル、を備え、前記グランド導体は、前記シグナル導体および前記誘電体に沿って延びる筒状部と、前記筒状部の一端部に設けられ、平板状をなす平板部と、を有し、前記シグナル導体および前記誘電体の端面は、前記平板部の表面と同一平面上に位置する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る測定ユニットは、上記発明において、前記シグナル導体、前記誘電体および前記筒状部を複数組有する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る測定ユニットは、上記発明において、前記グランド部、前記シグナル部および前記誘電部を有する第1の接続部と、前記グランド部、前記シグナル部および前記誘電部を有する第2の接続部であって、前記第1の接続部に対向して設けられる第2の接続部と、を備え、前記第1および第2のコンタクトプローブは、一端が前記第1の接続部と接触し、他端が前記第2の接続部と接触する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノイズを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る測定システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す測定システムの一部の構成を説明するための図である。
【
図3】
図3は、プローブホルダに収容されるプローブの詳細な構成を示す図である。
【
図4】
図4は、プローブとグランド板との接続態様を説明するための図である。
【
図6】
図6は、グランド板および同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
【
図7】
図7は、変形例1に係るグランド板および同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
【
図8】
図8は、変形例2に係るグランド板および同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
【
図9】
図9は、変形例3に係る同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
【
図10】
図10は、変形例4に係る同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
【
図11】
図11は、変形例4に係る同軸ケーブルとプローブとの接触態様の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0018】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る測定システムの構成を示す図である。
図2は、
図1に示す測定システムの一部の構成を説明するための図である。
図2は、測定ユニット1において、後述するプローブホルダ3を除いた構成を示している。測定システムは、測定ユニット1と、測定対象に対して信号を入出力する測定装置100と、測定ユニット1と測定装置100とを接続する接続ケーブル110、120とを備える。
【0019】
測定ユニット1は、コンタクトプローブ2(以下、単に「プローブ2」という)と、プローブ2を収容するプローブホルダ3と、第1グランド板4と、第2グランド板5と、第1同軸線部6と、第2同軸線部7とを備える。
【0020】
図3は、プローブホルダに収容されるプローブの詳細な構成を示す図である。プローブ2は、導電性を有し、長手方向の両端で第1グランド板4および第2グランド板5と接続する。プローブ2は、導電性材料を用いて形成され、第1グランド板4に接触する第1プランジャ21と、第2グランド板5に接触する第2プランジャ22と、第1プランジャ21と第2プランジャ22との間に設けられて当該プローブ2を伸縮自在に連結するコイルばね23とを備える。プローブ2を構成する第1プランジャ21および第2プランジャ22、ならびにコイルばね23は同一の軸線を有している。
【0021】
プローブホルダ3は、樹脂、マシナブルセラミック、シリコンなどの絶縁性材料を用いて形成され、
図3の上面側に位置する第1部材31と下面側に位置する第2部材32とが積層されてなる。第1部材31および第2部材32には、複数のプローブ2を収容するためのホルダ孔33および34がそれぞれ同数ずつ形成され、プローブ2を収容するホルダ孔33および34は、互いの軸線が一致するように形成されている。ホルダ孔33および34の形成位置は、プローブ2の配置パターンに応じて定められる。
【0022】
プローブホルダ3が第1グランド板4および第2グランド板5の間に配置された際には、グランド板からの接触荷重により、コイルばね23は長手方向に沿って圧縮された状態となる。
【0023】
続いて、プローブ2と、第1グランド板4および第2グランド板5との接続態様について説明する。
図4は、プローブとグランド板との接続態様を説明するための図である。
図5は、
図4の一部を拡大した図である。
図6は、グランド板および同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
図6の(a)は、第2グランド板5と同軸ケーブル71とが接続した構成の断面図を示す。
図6の(b)は、第2グランド板5を、同軸ケーブル71が接続する側と反対側からみた平面図を示す。なお、
図6では、第2グランド板5と同軸ケーブル71との接続について図示しているが、第1グランド板4と同軸ケーブル61との接続も同様の構成である。
【0024】
第1グランド板4は、導電性の材料を用いて形成され、板状をなす。第1グランド板4には、板厚方向に貫通する貫通孔4aが形成される(
図2参照)。貫通孔4aは、後述する同軸ケーブル61の外周の径と略同等の径で延びる孔である。なお、略同等には、同一と、製造上の誤差による若干異なる程度の差とを含む。
【0025】
第2グランド板5は、導電性の材料を用いて形成され、板状をなす。第2グランド板5には、板厚方向に貫通する貫通孔5aが形成される。貫通孔5aは、後述する同軸ケーブル71の外周の径と略同等の径で延びる孔である。
【0026】
第1グランド板4および第2グランド板5は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレス等からなる。第1グランド板4および第2グランド板5は、後述するグランド導体64、74と同じ材料で形成されてもよい。
【0027】
第1同軸線部6は、同軸ケーブル61を備える。同軸ケーブル61は、ケーブル保持部材60によって保持される。また、同軸ケーブル61の接続ケーブル110に接続する側と反対側の端部は、第1グランド板4の貫通孔4aに挿入される。同軸ケーブル61は、貫通孔4aに圧入されてもよいし、はんだ付け等によって固着されてもよいし、これらを組み合わせて固定してもよい。
【0028】
同軸ケーブル61は、測定装置100からの信号の伝送するシグナル導体62と、シグナル導体62の外周に設けられる絶縁性の誘電体63と、誘電体63の外周に設けられるグランド導体64とを有する(
図2参照)。シグナル導体62、誘電体63およびグランド導体64は、同軸構造をなしている。誘電体63およびグランド導体64は、それぞれ筒状をなす。グランド導体64は、銅、ニッケルまたはステンレス等からなる。このため、同軸ケーブル61は、いわゆるセミリジットケーブルと同じ構成となる。本実施の形態では、シグナル導体がシグナル部を構成し、誘電体が誘電部を構成する。
【0029】
同軸ケーブル61は、第1グランド板4側の端部が、当該第1グランド板4の表面において、貫通孔4aから露出する。この際、同軸ケーブル61の端面と、第1グランド板4の同軸ケーブル61の端面が表出する側の表面とは、同一平面上に位置する。また、第1グランド板4は、グランド導体64と電気的に接続することによって、グランド部を形成する。グランド部は、アース用の電位を導通する線路の一部を形成するものである。
【0030】
第2同軸線部7は、同軸ケーブル71を備える。同軸ケーブル71は、ケーブル保持部材70によって保持される。また、同軸ケーブル71の接続ケーブル120に接続する側と反対側の端部は、第2グランド板5の貫通孔5aに挿入される。同軸ケーブル71は、貫通孔5aに圧入されてもよいし、はんだ付け等によって固着されてもよいし、これらを組み合わせて固定してもよい。
【0031】
同軸ケーブル71は、測定装置100からの信号の伝送するシグナル導体72と、シグナル導体72の外周に設けられる誘電体73と、誘電体73の外周に設けられるグランド導体74とを有する。シグナル導体72、誘電体73およびグランド導体74は、同軸構造をなしている。誘電体73およびグランド導体74は、それぞれ筒状をなす。グランド導体74は、銅、ニッケルまたはステンレス等からなる。このため、同軸ケーブル71は、いわゆるセミリジットケーブルと同じ構成となる。
【0032】
同軸ケーブル71は、第2グランド板5側の端部が、当該第2グランド板5の表面において、貫通孔5aから露出する。この際、同軸ケーブル71の端面と、第2グランド板5の同軸ケーブル71の端面が表出する側の表面とは、同一平面上に位置する。また、第2グランド板5は、グランド導体74と電気的に接続することによって上述したようなグランド部を形成する。
【0033】
本実施の形態において、同軸ケーブル61、71は、それぞれ三つのプローブ2と接触する。ここで、第1グランド板4および同軸ケーブル61によって第1の接続部が構成され、第2グランド板5および同軸ケーブル71によって第2の接続部が構成される。なお、測定システムは、第1および第2の接続部の少なくとも一方を備えていればよく、他方は公知の接続態様を採用してもよい。
【0034】
各プローブ2は、一端(ここでは第1プランジャ21)が、第1グランド板4において表出する同軸ケーブル61の端部において、シグナル導体62およびグランド導体64のいずれか一つと接触する。
図4、5では、一つのプローブ2がシグナル導体62と接触し、他の二つのプローブ2がグランド導体64と接触する。他方、同軸ケーブル71も同様に、シグナル導体62と接触するプローブ2がシグナル導体72と接触し、グランド導体64と接触する、他の二つのプローブ2がグランド導体74と接触する。この際、同軸ケーブル61、71の長手方向と、プローブ2の長手方向とは、中心軸が一致するか、または平行に延びる。
図では、シグナル導体62、72と接触するプローブ2(第1のコンタクトプローブ)をプローブ2S、グランド導体64、74と接触するプローブ2(第2のコンタクトプローブ)をプローブ2Gとする。なお、プローブ2Gは、グランド導体64、74に限らず、第1グランド板4の表面、第2グランド板5の表面に接触してもよい。
【0035】
ここで、プローブ2間の最小ピッチは、グランド導体の内周の半径となる。例えば、同軸ケーブルの端面におけるグランド導体の中央部にプローブ2を接触させる場合、プローブ2間のピッチは、(グランド導体の外周の径+内周の径)÷2÷2によって求まる。
【0036】
以上説明した本発明の実施の形態では、同軸ケーブルのシグナル導体、および、グランド導体とグランド板とによって形成されるグランド部の端面が同一平面上に位置し、このシグナル導体およびグランド部に対し、複数のプローブを接触させてシグナル線路およびグランド線路を導通させるようにした。本実施の形態によれば、同軸線路を維持することができるため、従来のような線路の形態変化がなく、その結果、ノイズを抑制することができる。
【0037】
また、上述した実施の形態では、同軸ケーブルに接続する複数のプローブ2が個別に設けられるため、プローブ2のピッチやグランド部に接続するプローブ2Gの本数や配置を自由に設定することができる。このため、測定ユニット1は、接続形態に限定されずに、多種の測定に用いることができる。
【0038】
なお、上述した実施の形態では、一本の同軸ケーブルを用いた構成について説明したが、グランド板に複数の貫通孔を設けて、当該グランド板が、複数の同軸ケーブルを保持する構成とすることが可能である。
【0039】
(変形例1)
図7は、変形例1に係るグランド板および同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
図7の(a)は、第2グランド板と同軸ケーブルとが接続した構成の断面図を示す。
図7の(b)は、第2グランド板を、同軸ケーブルが接続する側と反対側からみた平面図を示す。本変形例1にかかる測定ユニットは、上述した第2グランド板5に代えて第2グランド板5A、同軸ケーブル71に代えて同軸ケーブル71Aが設けられる。以下、上述した実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0040】
同軸ケーブル71Aは、シグナル導体72および誘電体73と、誘電体73の外周に設けられるグランド導体74Aとを有する。シグナル導体72、誘電体73およびグランド導体74Aは、同軸構造をなしている。グランド導体74Aは、銅、ニッケルまたはステンレス等からなる。このため、同軸ケーブル71Aは、いわゆるセミリジットケーブルと同じ構成となる。
【0041】
グランド導体74Aは、第2グランド板5Aと接続する側の端部において、シグナル導体72および誘電体73と比して、第2グランド板5Aの厚さ分短くなっている。このため、グランド導体74Aは、第2グランド板5Aと接続する側の端部において、誘電体73の外周を露出させる。
【0042】
第2グランド板5Aは、導電性の材料を用いて形成され、板状をなす。第2グランド板5Aには、板厚方向に貫通する貫通孔5bが形成される。貫通孔5bは、誘電体73の外周の径と略同等の径で延びる孔である。
【0043】
同軸ケーブル71Aは、誘電体73が貫通孔5bに挿入されることによって第2グランド板5Aに接続する。同軸ケーブル71Aは、誘電体73を貫通孔5bに圧入してもよいし、はんだ付け等によって誘電体73を第2グランド板5Aに固着してもよいし、これらを組み合わせて固定してもよい。この際、グランド導体74Aは、第2グランド板5Aの表面に当接する。これにより、第2グランド板5Aとグランド導体74Aとが電気的に接続する。なお、グランド導体74Aと第2グランド板5Aとをはんだ付け等によって固着して両者を電気的に接続してもよい。
【0044】
同軸ケーブル71Aは、シグナル導体72および誘電体73の端部が、当該第2グランド板5Aの表面において、貫通孔5bから露出する。この際、シグナル導体72および誘電体73の端面と、第2グランド板5Aの同軸ケーブル71Aの端面が表出する側の表面とは、同一平面上に位置する。
【0045】
プローブ2Sは、貫通孔5bから表出するシグナル導体72に接触する。一方、プローブ2Gは、第2グランド板5Aの表面に接触する。
【0046】
以上説明した本変形例1においても、同軸ケーブルのシグナル導体、および、グランド導体とグランド板とによって形成されるグランド部の端面が同一平面上に位置し、このシグナル導体およびグランド部に対し、複数のプローブを接触させてシグナル線路およびグランド線路を導通させるようにした。本変形例1によれば、同軸線路を維持することができるため、従来のような線路の形態変化がなく、その結果、ノイズを抑制することができる。また、変形例1は、実施の形態と同様に、プローブ2の配置の自由度が高く、種々の測定に対応させることができる。
【0047】
(変形例2)
図8は、変形例2に係るグランド板および同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
図8の(a)は、第2グランド板と同軸ケーブルとが接続した構成の断面図を示す。
図8の(b)は、第2グランド板を、同軸ケーブルが接続する側と反対側からみた平面図を示す。本変形例1にかかる測定ユニットは、上述した第2グランド板5に代えて第2グランド板5B、同軸ケーブル71に代えて同軸ケーブル71Bが設けられる。以下、上述した実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0048】
同軸ケーブル71Bは、測定装置100からの信号の伝送する第1シグナル導体72A(シグナル導体)と、第1シグナル導体72Aの外周に設けられる第1誘電体73A(ケーブル側誘電体)と、第1誘電体73Aの外周に設けられるグランド導体74Aとを有する。第1シグナル導体72A、第1誘電体73Aおよびグランド導体74Aは、同軸構造をなし、第2グランド板5Bに接続する側の各端面が、同一平面上に位置する。
【0049】
第2グランド板5Bは、導電性の材料を用いて形成され、板状をなす。第2グランド板5Bは、第2シグナル導体51(シグナル中継部)と、第2シグナル導体51の外周を覆う第2誘電体52(グランド板側誘電体)とを有する。本変形例2では、第1シグナル導体72Aおよび第2シグナル導体51によってシグナル部を構成し、第1誘電体73Aおよび第2誘電体52によって誘電部を構成する。
第2グランド板5Bには、板厚方向に貫通する貫通孔5bが形成される。貫通孔5bは、第2誘電体52の外周の径と略同等の径で延びる孔である。第2シグナル導体51および第2誘電体52は、第2誘電体52が貫通孔5bに固定される。この際、第2シグナル導体51および第2誘電体52の端面は、第2グランド板5Bの本体部の表面と同一平面上に位置する。
なお、第2シグナル導体51と第1シグナル導体72Aとは、同一の径であることが好ましい。また、第2誘電体52と第1誘電体73Aとは、同一の径であることが好ましい。さらに、第1誘電体73Aおよび第2誘電体52は、同じ材料を用いて構成してもよいし、互いに異なる材料を用いて構成してもよい。
【0050】
同軸ケーブル71Bは、第1シグナル導体72Aを第2シグナル導体51に当接させた状態で固定することによって第2グランド板5Bに接続する。この際、グランド導体74Aは、第2グランド板5Bの表面に当接する。これにより、第2グランド板5Bとグランド導体74Aとが電気的に接続する。なお、第1シグナル導体72Aと第2シグナル導体51とをはんだ付け等によって固着して両者を電気的に接続してもよい。また、第2グランド板5Bとグランド導体74Aとをはんだ付け等によって固着して両者を電気的に接続してもよい。
【0051】
また、プローブ2Sは、第2シグナル導体51の第1シグナル導体72Aが当接する側と反対側に当接して電気的に接続する。プローブ2Gは、第2グランド板5Bの表面のうち、グランド導体74Aが当接する側と反対側の表面に当接して電気的に接続する。
【0052】
以上説明した本変形例2においても、同軸ケーブルのシグナル導体、および、グランド導体とグランド板とによって形成されるグランド部の端面が同一平面上に位置し、このシグナル導体およびグランド部に対し、複数のプローブを接触させてシグナル線路およびグランド線路を導通させるようにした。本変形例2によれば、同軸線路を維持することができるため、従来のような線路の形態変化がなく、その結果、ノイズを抑制することができる。また、変形例2は、実施の形態と同様に、プローブ2の配置の自由度が高く、種々の測定に対応させることができる。
【0053】
(変形例3)
図9は、変形例3に係る同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
図9の(a)は、同軸ケーブルの断面図を示す。
図9の(b)は、同軸ケーブルの平面図を示す。本変形例3にかかる測定ユニットは、上述した第2グランド板5有さず、同軸ケーブル71に代えて同軸ケーブル71Cが設けられる。以下、上述した実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0054】
同軸ケーブル71Cは、上述したシグナル導体72および誘電体73と、誘電体73の外周を覆うグランド導体74Bとを有する。シグナル導体72、誘電体73およびグランド導体74Bは、同軸構造をなしている。
【0055】
グランド導体74Bは、同軸ケーブル71C(誘電体73)の長手方向に沿って延びる筒状部741と、筒状部741の一端部に設けられ、平板状をなす平板部742とを有する。この際、シグナル導体72および誘電体73の端面のうち、平板部742の表面に露出する側の端面と、平板部742の表面とは、同一平面上に位置する。本変形例3では、グランド導体74Bがグランド部を構成する。
【0056】
プローブ2Sは、平板部742から表出するシグナル導体72に接触する。一方、プローブ2Gは、平板部742の表面に接触する。
【0057】
以上説明した本変形例3においても、同軸ケーブルのシグナル導体の端面、および、グランド導体(平板部)の表面が同一平面上に位置し、このシグナル導体およびグランド導体に対し、複数のプローブを接触させてシグナル線路およびグランド線路を導通させるようにした。本変形例3によれば、同軸線路を維持することができるため、従来のような線路の形態変化がなく、その結果、ノイズを抑制することができる。また、変形例3は、実施の形態と同様に、プローブ2の配置の自由度が高く、種々の測定に対応させることができる。
【0058】
(変形例4)
図10は、変形例4に係る同軸ケーブルの構成を説明するための図である。
図10の(a)は、同軸ケーブルの断面図を示す。
図10の(b)は、同軸ケーブルの平面図を示す。本変形例4にかかる測定ユニットは、上述した第2グランド板5を有さず、同軸ケーブル71に代えて同軸ケーブル71Dが設けられる。以下、上述した実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0059】
同軸ケーブル71Dは、上述したシグナル導体72および誘電体73と、誘電体73の外周を覆うグランド導体74Cとを有する。
【0060】
グランド導体74Cは、誘電体73を覆う第1筒状部743と、第1筒状部743が覆う誘電体73とは異なる誘電体73を覆う第2筒状部744と、第1筒状部743および第2筒状部744の一端部に設けられ、平板状をなす平板部745とを有する。この際、シグナル導体72および誘電体73の端面のうち、平板部745の表面に露出する側の端面と、平板部745の表面とは、同一平面上に位置する。
【0061】
本変形例4では、二つのプローブ2Sと、三つのプローブ2Gとが設けられる。
図11は、変形例4に係る同軸ケーブルとプローブとの接触態様の一例を示す斜視図である。一方のプローブ2Sは、平板部745から表出する一方のシグナル導体72に接触する。他方のプローブ2Sは、平板部745から表出する他方のシグナル導体72に接触する。また、プローブ2Gのうちの一つは、プローブ2S間(内側)に位置し、平板部745の表面に接触する。残りの二つのプローブ2Gは、二つのプローブ2Sに対して外側にそれぞれ位置し、平板部745の表面に接触する。
なお、プローブ2Gは、
図11に示す配置や、配設数に限らず、種々の変更が可能である。例えば、二つのプローブ2S間に設けられるプローブ2Gを有しない構成としてもよい。
【0062】
以上説明した本変形例4においても、同軸ケーブルのシグナル導体の端面、および、グランド導体(平板部)の表面が同一平面上に位置し、このシグナル導体およびグランド導体に対し、複数のプローブを接触させてシグナル線路およびグランド線路を導通させるようにした。本変形例4によれば、同軸線路を維持することができるため、従来のような線路の形態変化がなく、その結果、ノイズを抑制することができる。また、変形例3は、実施の形態と同様に、プローブ2の配置の自由度が高く、種々の測定に対応させることができる。
【0063】
なお、上述した変形例1~4では、第2グランド板、および該第2グランド板に接続する同軸ケーブルの構成や、第2グランド板を有しない構成について説明したが、第1グランド板、該第1グランド板に接続する同軸ケーブルの構成に対しても適用可能であり、プローブ2が同軸ケーブルと接続する態様は、上述した構成のうちのいずれかを採用できる。この際、同一の構成を組み合わせてもよいし、互いに異なる構成を組み合わせてもよい。
【0064】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、グランド板は、プローブ2Gとグランド板との導通をはかることができれば、一部が絶縁性を有する構成であってもよい。
【0065】
また、ここで説明したコンタクトプローブの構成はあくまでも一例に過ぎず、従来知られているさまざまな種類のプローブを適用することが可能である。例えば、上述したようなプランジャとコイルばねとで構成されるものに限らず、パイプ部材を備えるプローブ、ポゴピン、中実の導電性部材、導電性のパイプ、ワイヤーや、電気接点同士を接続する接続端子(コネクタ)でもよいし、これらのプローブを適宜組み合わせてもよい。
【0066】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0067】
以上説明したように、本発明に係る測定ユニットは、ノイズを抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0068】
1 測定ユニット
2 コンタクトプローブ(プローブ)
3 プローブホルダ
4 第1グランド板
5 第2グランド板
6 第1同軸線部
7 第2同軸線部
21 第1プランジャ
22 第2プランジャ
23 コイルばね
31 第1部材
32 第2部材
51 第2シグナル導体
52 第2誘電体
61、71、71A~71D 同軸ケーブル
62、72 シグナル導体
63、73 誘電体
64、74、74A~74C グランド導体
72A 第1シグナル導体
73A 第1誘電体