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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096583
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】電子ビーム検出装置及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/244 20060101AFI20220622BHJP
   C01B 32/158 20170101ALI20220622BHJP
   C01B 32/168 20170101ALI20220622BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20220622BHJP
【FI】
H01J37/244
C01B32/158
C01B32/168
B82Y30/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068720
(22)【出願日】2021-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】202011497804.9
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】66,Chung Shan Road,Tu-Cheng New Taipei,236(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 科
(72)【発明者】
【氏名】陳 果
(72)【発明者】
【氏名】柳 鵬
(72)【発明者】
【氏名】姜 開利
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【テーマコード(参考)】
4G146
5C101
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA11
4G146AB06
4G146AB07
4G146AB08
4G146AC19B
4G146AD11
4G146AD22
4G146AD28
4G146CB01
5C101GG15
5C101GG33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検出精度を向上した電子ビーム検出装置を提供する。
【解決手段】電子ビーム検出装置10は多孔質炭素材料層103と、ファラデーカップ104と、電気計器105と、を含む。ファラデーカップは開口部1041を有し、多孔質炭素材料層はファラデーカップの表面に設置され、且つファラデーカップの開口によって懸架され、懸架される多孔質炭素材料層の長さは測定される電子ビームの最大直径の以上であり、多孔質炭素材料層は多孔質炭素材料ワイヤー構造体または多孔質炭素材料ストリップ構造体であり、ワイヤー構造体の直径は電子ビーム断面の最小直径よりも小さく、ストリップ構造体の幅は電子ビーム断面の最小直径より小さく、炭素材料層は複数の炭素材料粒子を含み、複数の炭素材料粒子の間に微小な間隙があり、複数の炭素材料粒子間の間隙はナノメートルまたはマイクロメートルスケールであり、電気計器は多孔質炭素材料層と電気的に接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質炭素材料層と、ファラデーカップと、電気計器と、を含む電子ビーム検査装置であって、
前記ファラデーカップは開口部を有し、
前記多孔質炭素材料層は前記ファラデーカップの表面に設置され、且つ前記ファラデーカップの前記開口部に懸架され、懸架される前記多孔質炭素材料層の長さは測定される電子ビームの最大直径以上であり、
前記多孔質炭素材料層は多孔質炭素材料ワイヤー構造体または多孔質炭素材料ストリップ構造体であり、前記多孔質炭素材料ワイヤー構造体の直径は測定される電子ビーム断面の最小直径よりも小さく、前記多孔質炭素材料ストリップ構造体の幅は測定される電子ビーム断面の最小直径より小さく、
前記多孔質炭素材料層は複数の炭素材料粒子を含み、複数の前記炭素材料粒子の間に微小な間隙があり、複数の前記炭素材料粒子間の間隙はナノメートルスケールまたはマイクロメートルスケールであり、
前記電気計器は前記多孔質炭素材料層と電気的に接続されることを特徴とする電子ビーム検出装置。
【請求項2】
前記炭素材料粒子はカーボンファイバー、カーボンマイクロワイヤー、カーボンナノチューブ、カーボンナノボール、カーボンミクロボールのいずれか一種または多種であることを特徴とする、請求項1に記載の電子ビーム検査装置。
【請求項3】
前記多孔質炭素材料ワイヤー構造体は少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤーを含み、前記少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤーは非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤまたはねじれ状カーボンナノチューブワイヤであることを特徴とする、請求項1に記載の電子ビーム検出装置。
【請求項4】
前記多孔質炭素材料ストリップ構造体はカーボンナノチューブストリップ構造体であり、前記カーボンナノチューブストリップ構造体は少なくとも一つのストリップ状カーボンナノチューブフィルム、カーボンナノチューブペーパー、カーボンナノチューブネット構造体またはカーボンナノチューブアレイであることを特徴とする、請求項1に記載の電子ビーム検出装置。
【請求項5】
請求項1~4の任意の電子ビーム検出装置を提供する第一ステップと、
測定される電子ビームを多孔質炭素材料層に対して移動させ、前記測定される電子ビームの断面全体が前記多孔質炭素材料層の懸架される部分を通過することにより、前記測定される電子ビームは前記多孔質炭素材料層の懸架される部分を走査し、移動過程で、前記測定される電子ビームまたは前記多孔質炭素材料層の移動距離および電気計器の電気信号値を記録して第一曲線を獲得し、前記第一曲線を分析して前記測定される電子ビームの第一直径を獲得する第二ステップと、
前記測定される電子ビームまたは前記多孔質炭素材料層を特定の角回転させて、前記測定される電子ビームを前記多孔質炭素材料層に対して移動させ、前記測定される電子ビームの断面全体が前記多孔質炭素材料層の懸架される部分を通過することにより、前記測定される電子ビームは前記多孔質炭素材料層の懸架される部分を走査し、移動過程で、前記測定される電子ビームまたは前記多孔質炭素材料層の移動距離および前記電気計器の電気信号値を記録して第二曲線を獲得し、前記第二曲線を分析して前記測定される電子ビームの第二直径を獲得する第三ステップと、
を含むことを特徴とする電子ビーム検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム検出装置及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子は電場の力によって加速され、エネルギーが増加し、真空で結合されて電子ビームを生成する。電子ビーム技術は、超合金の成形、製造、精製、溶接、表面改質、超合金のコーティング製備の分野で広く使用され、航空宇宙、防衛、軍事産業、核産業などのさまざまな分野に関与し続ける。電子ビームの形状及びサイズは、アプリケーションで達成される効果に直接影響する。したがって、電子ビーム検出装置及び検出方法は非常に重要である。
【0003】
従来の金属片を用いた電子ビーム検出装置および検出方法では、測定された電気曲線を微分して電子ビームスポットのサイズを獲得して、操作が簡単である。しかし、この検出方法では、電子ビームが金属片の辺縁でさまざまに散乱するため、測定が不正確になる。したがって、正確な測定結果を獲得できる電子ビーム検出装置および検出方法を提供することは非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第101239712号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101284662号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第101314464号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第103172044号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これによって、測定結果が正確である電子ビーム検出装置および検出方法をを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
多孔質炭素材料層と、ファラデーカップと、電気計器と、を含む電子ビーム検査装置であって、前記ファラデーカップは開口部を有し、前記多孔質炭素材料層は前記ファラデーカップの表面に設置され、且つ前記ファラデーカップの前記開口部に懸架され、懸架される前記多孔質炭素材料層の長さは測定される電子ビームの最大直径以上であり、前記多孔質炭素材料層は多孔質炭素材料ワイヤー構造体または多孔質炭素材料ストリップ構造体であり、前記多孔質炭素材料ワイヤー構造体の直径は測定される電子ビーム断面の最小直径よりも小さく、前記多孔質炭素材料ストリップ構造体の幅は測定される電子ビーム断面の最小直径より小さく、前記多孔質炭素材料層は複数の炭素材料粒子を含み、複数の前記炭素材料粒子の間に微小な間隙があり、複数の前記炭素材料粒子間の間隙はナノメートルスケールまたはマイクロメートルスケールであり、前記電気計器は前記多孔質炭素材料層と電気的に接続される。
【0007】
前記炭素材料粒子はカーボンファイバー、カーボンマイクロワイヤー、カーボンナノチューブ、カーボンナノボール、カーボンミクロボールのいずれか一種または多種である。
【0008】
前記多孔質炭素材料ワイヤー構造体は少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤーを含み、前記少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤーは非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤまたはねじれ状カーボンナノチューブワイヤである。
【0009】
前記多孔質炭素材料ストリップ構造体はカーボンナノチューブストリップ構造体であり、前記カーボンナノチューブストリップ構造体は少なくとも一つのストリップ状カーボンナノチューブフィルム、カーボンナノチューブペーパー、カーボンナノチューブネット構造体またはカーボンナノチューブアレイである。
【0010】
電子ビーム検出方法は、上記の任意の電子ビーム検出装置を提供する第一ステップと、測定される電子ビームを多孔質炭素材料層に対して移動させ、前記測定される電子ビームの断面全体が前記多孔質炭素材料層の懸架される部分を通過することにより、前記測定される電子ビームは前記多孔質炭素材料層の懸架される部分を走査し、前記測定される電子ビームの移動過程で、前記測定される電子ビームまたは前記多孔質炭素材料層の移動距離および電気計器の電気信号値を記録して第一曲線を獲得し、前記第一曲線を分析して前記測定される電子ビームの第一直径を獲得する第二ステップと、前記測定される電子ビームまたは前記多孔質炭素材料層を特定の角回転させて、前記測定される電子ビームを前記多孔質炭素材料層に対して移動させ、前記測定される電子ビームの断面全体が前記多孔質炭素材料層の懸架される部分を通過することにより、前記測定される電子ビームは前記多孔質炭素材料層の懸架される部分を走査し、前記測定される電子ビームの移動過程で、前記測定される電子ビームまたは前記多孔質炭素材料層の移動距離および前記電気計器の電気信号値を記録して第二曲線を獲得し、前記第二曲線を分析して前記測定される電子ビームの第二直径を獲得する第三ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
従来技術と比べて、本発明が提供する電子ビーム検出装置には、ファラデーカップに懸架された多孔質炭素材料層を採用して、多孔質炭素材料層は、複数の炭素材料粒子を含む。複数の炭素材料粒子間にナノメートルまたはマイクロメートルの間隙がある。測定される電子ビームにおける電子が多孔質炭素材料層における複数の炭素材料粒子間の間隙で、複数回屈折および反射され、多孔質炭素材料層から放出されることができない。多孔質炭素材料層の電子吸収率は99.99%以上に達し、ほぼ100%に達することができる。換言すれば、多孔質炭素材料層は、電子の絶対的な黒体と見なすことができる。電子ビームが多孔質炭素材料層の懸架される部分に照射される際、多孔質炭素材料層の懸架される部分に照射される電子ビームのすべての電子が多孔質炭素材料層に吸収される。これにより、多孔質炭素材料層の縁部では様々な散乱が発生せず、検出精度を向上させる。したがって、本発明により提供される電子ビーム検出装置および検出方法の測定結果は、より正確である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第一実施例の電子ビーム検出装置の構造を示す図である。
図2】本発明の第一実施例の非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤーの走査型電子顕微鏡写真である。
図3】本発明の第一実施例のねじれ状カーボンナノチューブワイヤーの走査型電子顕微鏡写真である。
図4】本発明の第一実施例の電子ビーム検出装置が電子ビームを検出する際の走査型電子顕微鏡写真である。
図5】本発明の第一実施例の電子ビーム検出装置が電子ビームを検出する際、カーボンナノチューブワイヤ構造体に対して測定される電子ビームの移動過程の概略上面図である。
図6】本発明の第一実施例の電子ビーム検出装置が電子ビームを検出する際、電気計器によって測定される電子ビームの移動距離の変化に伴う電流強度の変化曲線を示す図である。
図7】本発明の第二実施例の電子ビーム検出装置の構造を示す図である。
図8】本発明の第二実施例の電子ビーム検出方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0014】
図1を参照すると、本発明の第一実施例は、電子ビーム検出装置10を提供する。電子ビーム検査装置10は、基板102と、多孔質炭素材料層103と、ファラデーカップ104と、電気計器105と、を含む。電気計器105は第一ターミナル及び第二ターミナルを含む。第一ターミナルは多孔質炭素材料層103と電気的に接続され、第二ターミナルは接地される。
【0015】
基板102は対向する第一表面及び第二表面を有し、貫通孔1021を有する。貫通孔1021は、基板102を厚さ方向に貫通する。多孔質炭素材料層103は基板102の第一表面に設置される。貫通孔1021と対向する多孔質炭素材料層103は懸架される。貫通孔1021と対向する多孔質炭素材料層103の部分の長さは、電子ビームの最大直径以上である。ファラデーカップ104は開口部1041を有する。ファラデーカップ104は、基板102の第二表面に設置される。開口部1041及び貫通孔1021が連通する。ファラデーカップ104は、貫通孔1021を通過し、懸架される多孔質炭素材料層103によって吸収されない電子を収集するために使用される。これにより、懸架される多孔質炭素材料層103によって吸収されなかった電子が反射されて二次電子を生成し、再び懸架される多孔質炭素材料層103によって吸収されて、電子ビーム検出の精度に影響を与えることを防ぐ。
【0016】
好ましくは、基板102は平坦な構造体である。基板102の材料は絶縁材料である。基板102の材料は、たとえば、ガラス、プラスチック、シリコンウェーハ、二酸化シリコンウェーハ、石英ウェーハ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコン、酸化物層を有するシリコン、或いは石英などである。基板102の形状およびサイズは、必要性に応じて設計できる。本実施例において、基板102は、直方体のシリコン基板である。
【0017】
基板102は省略できる要素であり、必須ではない。一つの例において、電子ビーム検出装置10は、基板102を含まない。多孔質炭素材料層103は、ファラデーカップ104の表面に直接設置され、且つ多孔質炭素材料層103はファラデーカップ104の開口部1041に懸架される。
【0018】
多孔質炭素材料層103は、多孔質炭素材料ワイヤー構造体または多孔質炭素材料ストリップ構造体である。多孔質炭素材料層103が多孔質炭素材料ワイヤー構造体である場合、多孔質炭素材料ワイヤー構造体の直径は、測定される電子ビーム断面の最小直径よりも小さい。好ましくは、多孔質炭素材料ワイヤー構造体の直径は、20ミクロン以下である。多孔質炭素材料層103が多孔質炭素材料ストリップ構造体である場合、多孔質炭素材料ストリップ構造体の幅は、測定される電子ビーム断面の最小直径よりも小さい。多孔質炭素材料ワイヤー構造体の直径または多孔質炭素材料のストリップ構造体の幅は、測定される電子ビームの断面の直径よりもはるかに小さい。多孔質炭素材料ワイヤー構造体の直径または多孔質炭素材料ストリップ構造体の幅が小さいほど、検出の精度が高くなる。好ましくは、多孔質炭素材料ストリップ構造体の幅は、20ミクロン以下である。
【0019】
多孔質炭素材料層103は複数の炭素材料粒子からなる。多孔質炭素材料層103における複数の炭素材料粒子間に小さな間隙がある。複数の炭素材料粒子間の間隙は、ナノメートルスケールまたはマイクロメートルスケールである。マイクロメートルスケールとは、間隙のサイズが1000ミクロン以下であることを意味する。一つの例において、間隙のサイズが100ミクロン以下である。ナノメートルレベルとは、間隙のサイズが1000ナノメートル以下である。一つの例において、間隙のサイズは5μm~50μmである。一つの例において、間隙のサイズは、5μm~30μmである。多孔質炭素材料層103は、自立構造体である。いわゆる「自立構造」とは、多孔質炭素材料層103が、基板の表面に配置されることなく、それ自身の特定の形状を維持できることを意味する。
【0020】
多孔質炭素材料層103における複数の炭素材料粒子間に小さな間隙がある。電子ビームが多孔質炭素材料層103に入った後、多孔質炭素材料層103における複数の炭素材料粒子間にある小さな間隙で、複数回屈折および反射され、多孔質炭素材料層103から放出することができない。多孔質炭素材料層103の電子吸収率は99.99%以上に達し、ほぼ100%に達することができる。換言すれば、多孔質炭素材料層103は、電子の絶対的な黒体と見なすことができる。電子ビームが多孔質炭素材料層103の懸架される部分を通過し、電子ビームが多孔質炭素材料層103の懸架される部分と交差すると、電子ビームのすべての電子が多孔質炭素材料層103に吸収される。これにより、多孔質炭素材料層103の縁部では様々な散乱が発生せず、検出精度を向上させる。
【0021】
炭素材料粒子は、線状粒子と球状粒子の一方または両方を含む。線状粒子の断面の最大直径は1000ミクロン以下である。線状粒子は、カーボンファイバー、カーボンマイクロワイヤー、カーボンナノチューブなどであってもよい。球状粒子の最大直径は1000ミクロン以下である。球状粒子は、カーボンナノボールまたはカーボンミクロボールである。好ましくは、炭素材料粒子はカーボンナノチューブであり、多孔質炭素材料層103は、多孔質炭素材料ワイヤー構造体または多孔質炭素材料ストリップ構造体である。カーボンナノチューブワイヤー構造体またはカーボンナノチューブストリップ構造体は、純粋なカーボンナノチューブ構造体である。これは、カーボンナノチューブワイヤー構造体またはカーボンナノチューブストリップ構造体が、他の不純物を含まない複数のカーボンナノチューブのみから構成され、カーボンナノチューブも純粋なカーボンナノチューブであることを意味する。本実施例において、多孔質炭素材料層103はカーボンナノチューブワイヤー構造体である。
【0022】
カーボンナノチューブワイヤー構造体は、少なくとも一つのカーボンナノチューブワイヤーを含む。カーボンナノチューブワイヤー構造体が複数のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、複数のカーボンナノチューブワイヤは、巻かれ、積み重ねられ、または一つの平面に並列して設置されることができる。カーボンナノチューブワイヤーは、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤまたはねじれ状カーボンナノチューブワイヤである。
【0023】
図2を参照すると、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長さ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤で処理することによって、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを獲得する。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、カーボンナノチューブアレイから直接引き出して得られる自立構造を有するカーボンナノチューブフィルムである。具体的に、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。さらに、各々のカーボンナノチューブセグメントには、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列して、分子間力で緊密に結合される。カーボンナノチューブセグメントの長さ、厚さ、均一性及び形状は制限されない。
【0024】
具体的には、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの表面全体に有機溶媒を浸透させ、揮発性有機溶媒が揮発する際に発生する表面張力の作用で、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおける互いに平行な複数のカーボンナノチューブが分子間力で緊密に結合され、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは収縮して非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤになる。有機溶媒は揮発性有機溶媒であり、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ジクロロエタン、或いはクロロホルムである。有機溶剤で処理をしていないカーボンナノチューブフィルムと比較して、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、比表面積が小さく、粘度が低くなる。
【0025】
図3を参照すると、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの長手方向に沿って、対向する両端に相反する力を印加することにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。または、非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長手方向に沿って、対向する両端に相反する力を印加することにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは複数のカーボンナノチューブを含む。複数のカーボンナノチューブは、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に螺旋状に配列され、且つねじれ状カーボンナノチューブワイヤの長手方向に分子間力で端と端とが接続される。ねじれ状カーボンナノチューブワイヤは、SツイストまたはZツイストによって非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを処理して形成できる。また、対向する両端に相反する力を印加することにより非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを回転させると、その中心軸と垂直をなす半径方向の隣接するカーボンナノチューブの距離が小さくなり、接触面積を増加させる。これにより、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤにおいて、その中心軸と垂直する半径方向の隣接するカーボンナノチューブの分子間力が大幅に増加し、緊密に結合される。
【0026】
電気計器105は、多孔質炭素材料層103で生成された電荷を検出し、数値変換を実行して電気信号を形成するために使用される。電気計器105は、電流計または電圧計であってもよい。本実施例において、電気計器105は電流計であり、多孔質炭素材料層103における電荷が形成された電流値を検出することに用いる。
【0027】
電子ビーム検出装置10を使用する場合、基板102と、多孔質炭素材料層103と、ファラデーカップ104とを真空チャンバーに設置する。真空チャンバーは入り口を有する。測定される電子ビームが真空チャンバーの入口を経由して真空チャンバーに入る。測定される電子ビームを多孔質炭素材料層103に対して移動させて、多孔質炭素材料層103の懸架される部分を走査する。測定される電子ビームを動かすことによって、または多孔質炭素材料層103を動かすことによって、測定される電子ビームは多孔質炭素材料層103のの懸架される部分を走査できる。本実施例において、測定される電子ビームを移動させることにより、多孔質炭素材料層103の懸架される部分を走査する。好ましくは、測定される電子ビームの移動方向は、多孔質炭素材料層103の長さ方向に垂直である。多孔質炭素材料層103に対する測定される電子ビームの相対運動中に、多孔質炭素材料層103に当たる電子ビームのサイズが変化するため、多孔質炭素材料層103によって生成される電荷の量が変化する。また、測定される電子ビームの移動距離の変化に伴う電気計104の電気信号の変化曲線によって、測定する電子ビームの直径を獲得できる。測定する電子ビームは不規則な形状を有することができる。測定される電子ビームを多孔質炭素材料層103の長さ方向に垂直である方向に移動する際、異なる直径を有する複数の方向に沿ってそれぞれ移動させることにより、測定される電子ビームの複数の直径を得ることができる。複数の直径の平均値を得ることによって、測定される電子ビームのサイズを得ることができる。本実施例において、水平方向および垂直方向の二つの直径がそれぞれ試験される。好ましくは、測定される電子ビームが多孔質炭素材料層103に対して移動するとき、測定される電子ビームのすべては多孔質炭素材料層103の懸架される部分に当たり、基板102と直接接触する多孔質炭素材料層103の部分に当たらない。
【0028】
測定される電子ビームが一つの直径方向に沿って、且つ多孔質炭素材料層103の長さ方向に垂直である方向に沿って移動した後、測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103を回転させることにより、測定される電子ビームを他の直径方向に沿って、多孔質炭素材料層103の長さ方向に垂直である方向に沿って移動する。すなわち、測定される電子ビームを回転させるか、多孔質炭素材料層103を回転させることにより、測定される電子ビームを複数の直径方向に沿って、多孔質炭素材料層103の長さ方向に垂直である方向によって移動させる。本実施例において、多孔質炭素材料層103は基板102に設置され、基板102を回転させることによって、多孔質炭素材料層103の長さ方向を変化させる。図4は電子ビーム検出装置10を使用して電子ビームを試験する走査型電子顕微鏡写真である。図4aは、測定される電子ビームの第一直径がカーボンナノチューブワイヤ構造体の長さ方向と平行し、測定される電子ビームをカーボンナノチューブワイヤ構造体の長さ方向に垂直である方向に沿って移動させる際の電子顕微鏡写真である。そして、カーボンナノチューブワイヤ構造体を90度回転させる。図4bは、測定される電子ビームの第二直径がカーボンナノチューブワイヤ構造体の長さ方向と平行し、測定される電子ビームをカーボンナノチューブワイヤ構造体の長さ方向に垂直である方向に沿って移動させる際の電子顕微鏡写真である。
【0029】
図5を参照すると、カーボンナノチューブワイヤ構造体に対する測定される電子ビームの移動中に測定される電子ビームは、最初はカーボンナノチューブワイヤ構造体の懸架される部分に当たらない。この際、カーボンナノチューブワイヤ構造体には電荷が発生せず、電気計器105で測定される電気信号は基本的にゼロである。測定される電子ビームは動き続け、少量の電子ビームがカーボンナノチューブワイヤ構造体の懸架される部分に当たる。この際、カーボンナノチューブワイヤ構造体には少量の電荷が発生する。測定される電子ビームの移動が進むにつれて、カーボンナノチューブワイヤ構造体の懸架される部分に当たる電子ビームが増加し、カーボンナノチューブワイヤ構造体に発生する電荷は増加する。移動方向に垂直な方向についての測定される電子ビームの最大直径が、カーボンナノチューブワイヤ構造体の懸架される部分の長さと一致する場合、カーボンナノチューブワイヤ構造体に発生する電荷は最多である。この際、電気計器105で測定された電気信号値も最大である。測定される電子ビームが動き続けると、カーボンナノチューブ状ワイヤ構造体で発生する電荷が徐々に減少し、電気計器105で測定される電気信号値も徐々に減少する。これにより、電流値がゼロから増加し始めるポイントから電流値が再びゼロに低下するポイントまでの距離は、測定される電子ビームの直径の長さである。
【0030】
図6は、第一実施例の電子ビーム検出装置10を使用して電子ビームを測定する場合、電流計によって測定される電流強度は、測定される電子ビームの移動距離によって変化する曲線を示す図である。この図6から、二つの方向における電子ビームの直径は基本的に同じであり、どちらも約420ミクロンであることがわかる。また、図6から、電子ビーム検出装置10を用いて測定される電子ビームの移動距離に伴う電流強度の変化曲線は、測定される電子ビームの移動距離に伴う電流強度の標準曲線と基本的に一致することが分かる。これは、測定される電子ビーム検出装置10の検出精度が比較的高いことを示している。
【0031】
本発明が提供する電子ビーム検出装置10においては、多孔質炭素材料層103は複数炭素材料粒子を含む。複数の炭素材料粒子間にナノメートルまたはマイクロメートルの間隙がある。測定される電子ビームが多孔質炭素材料層103に入った後、多孔質炭素材料層103における複数の炭素材料粒子間の間隙で、複数回屈折および反射され、多孔質炭素材料層103から放出することができない。多孔質炭素材料層103の電子吸収率は99.99%以上に達し、ほぼ100%に達することができる。換言すれば、多孔質炭素材料層103は、電子の絶対的な黒体と見なすことができる。電子ビームが多孔質炭素材料層103の懸架される部分に照射される際、多孔質炭素材料層103の懸架される部分に照射される電子ビームのすべての電子が多孔質炭素材料層103に吸収される。これにより、多孔質炭素材料層103の縁部では様々な散乱が発生せず、検出精度を向上させる。この方法によって獲得する測定される電子ビームの複数の直径はより正確であり、その結果、電子ビーム検出装置10の精度がより高くなる。ファラデーカップ104は、貫通孔1021を通過し、多孔質炭素材料層103の懸架される部分を通過しない電子ビームの電子を集めるために使用される。これにより、多孔質炭素材料層103の懸架される部分によって収集されない電子が反射されて発生する二次電子は多孔質炭素材料層103の懸架される部分によって再び収集され、電子ビーム検出の精度に影響を与えるのを防ぐ。また、本発明の電子ビーム検出装置10は多孔質炭素材料層103を用い、測定される電子ビームと多孔質炭素材料層との相対運動により、電子ビームのサイズを獲得することができ、電子ビーム検出装置10の操作は非常に簡単である。
【0032】
図7を参照すると、本発明の第二実施例は電子ビーム検出装置20を提供する。電子ビーム検出装置20の構造は、基本的に第一実施例の電子ビーム検出装置10と同じであるが、異なる点は以下である。電子ビーム検出装置20には、多孔質炭素材料層203がカーボンナノチューブストリップ構造体である。
【0033】
ストリップ状カーボンナノチューブフィルムの幅が測定される電子ビームの断面積の最小直径よりも小さい限り、カーボンナノチューブストリップ構造体は一つのストリップ状カーボンナノチューブフィルムまたは相互に積層される複数のストリップ状カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。ストリップ状カーボンナノチューブフィルムはドローン構造カーボンナノチューブフィルム、綿毛構造カーボンナノチューブフィルム、またはプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムであってもよい。カーボンナノチューブペーパーの幅が測定される電子ビームの断面積の最小直径よりも小さい限り、カーボンナノチューブストリップ構造体は一つのカーボンナノチューブペーパーまたは相互に積層される複数のカーボンナノチューブペーパーを含むことができる。カーボンナノチューブストリップ構造体203の幅は測定される電子ビームの直径よりもはるかに小さい。カーボンナノチューブストリップ構造体203の幅が測定される電子ビームの直径より小さいほど、検出精度は高くなる。好ましくは、カーボンナノチューブストリップ構造体の幅は20ミクロン以下である。カーボンナノチューブストリップ構造体の懸架される部分の長さは測定される電子ビームの断面積の最大直径以上である。カーボンナノチューブネット構造体の幅が測定される電子ビームの断面積の最小直径よりも小さい限り、カーボンナノチューブストリップ構造体はカーボンナノチューブネット構造体であってもよい。カーボンナノチューブアレイの幅が測定される電子ビームの断面積の最小直径よりも小さい限り、カーボンナノチューブストリップ構造体はカーボンナノチューブアレイであってもよい。本実施例において、カーボンナノチューブストリップ構造体は、積層して設置された複数のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。
【0034】
ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブを含む。好ましくは、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブからなる。複数のカーボンナノチューブはドローン構造カーボンナノチューブフィルムの表面に基本的に平行に配列される。具体的には、複数のカーボンナノチューブは、分子間力で端から端まで接続され、同じ方向に沿って配列されている。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは、カーボンナノチューブアレイから直接引っ張ることによって得ることができる。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは自立構造体である。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおける多数のカーボンナノチューブは、分子間力でお互いに結合しているので、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは特定の形状を有し、自立構造体を形成する。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの厚さは0.5ナノメートルから100ミクロンまでである。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの幅はカーボンナノチューブアレイのサイズに関連し、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの長さは制限されない。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献1に掲載されている。スペースを節約するために、ここでのみ引用されているが、特許文献1のすべての技術的開示も、本発明の技術的開示の一部と見なされるべきである。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおける多数のカーボンナノチューブは、分子間力によって端から端まで接続されている。一つの例において、カーボンナノチューブフィルム構造体は、複数のドローン構造カーボンナノチューブフィルムが積層されて形成される。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°~90°(0°を含まず)の角度で交差している。複数のドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが交差してネットワークフィルム構造体を形成している。
【0035】
綿毛構造カーボンナノチューブフィルムは、絡み合って均一に分布している複数のカーボンナノチューブを含む。好ましくは、綿毛構造カーボンナノチューブフィルムは、絡み合って均一に分布している複数のカーボンナノチューブからなる。カーボンナノチューブは、分子間力によって互いに接近して、相互に絡み合い、カーボンナノチューブネット状構造体が形成され、自立構造体を有する綿毛構造カーボンナノチューブフィルムが形成される。綿毛構造カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。綿毛構造カーボンナノチューブフィルムは、カーボンナノチューブアレイを処理することによって得ることができる。綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献2に掲載されている。スペースを節約するために、ここでのみ引用されているが、特許文献2のすべての技術的開示も、本発明の技術的開示の一部と見なされるべきである。
【0036】
プレシッド構造カーボンナノチューブフィルムは複数のカーボンナノチューブを含む。好ましくは、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルムは複数のカーボンナノチューブからなる。複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。隣接するカーボンナノチューブ同士が分子間力で相互に結合され接続される。カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用して、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、押し器具の形状及びカーボンナノチューブアレイを押す方向により決められる。
【0037】
プレシッド構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向せずに配置される場合には、該カーボンナノチューブフィルムは、等方的に配列されている複数のカーボンナノチューブを含み、隣接するカーボンナノチューブ同士が分子間力で相互に引き合わさって接続される。また、該カーボンナノチューブフィルムは、平面等方性を有し、該カーボンナノチューブフィルムは、平面を有する押し器具を利用して、カーボンナノチューブアレイが成長している基板に垂直な方向に沿って、カーボンナノチューブアレイを押すことにより形成される。プレシッド構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列される場合には、該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列した複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿ってカーボンナノチューブアレイを同時に押すと、基本的に同じ方向に配列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、カーボンナノチューブアレイを同時に押すと、異なる方向に沿って、選択的な方向に配列したカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。プレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、特許文献3に掲載されている。スペースを節約するために、ここでのみ引用されているが、特許文献3のすべての技術的開示も、本発明の技術的開示の一部と見なされるべきである。
【0038】
カーボンナノチューブペーパーは、基本的に同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。複数のカーボンナノチューブは、延伸方向に分子間力で端と端が接続されている。複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブペーパーの表面に基本的に平行である。カーボンナノチューブペーパーの製造方法は、特許文献4に掲載されている。スペースを節約するために、ここでのみ引用されているが、特許文献4のすべての技術的開示も、本発明の技術的開示の一部と見なされるべきである。
【0039】
好ましくは、カーボンナノチューブアレイは超配列カーボンナノチューブアレイである。超配列カーボンナノチューブアレイにおけるカーボンナノチューブの延伸方向は基本的に同じである。もちろん、超配列カーボンナノチューブアレイにはランダムに配置されたカーボンナノチューブがいくつかあり、これらのカーボンナノチューブは、超配列カーボンナノチューブアレイにおけるほとんどのカーボンナノチューブの全体的な配向に大きな影響を与えない。超配列カーボンナノチューブアレイには、基本的にアモルファスカーボンや残留触媒金属粒子などの不純物が含まれない。超配列カーボンナノチューブアレイにおけるカーボンナノチューブは、分子間力によって互いに密接に接触してアレイを形成する。超配列カーボンナノチューブアレイのサイズ、厚さ、および表面積は制限されておらず、実際のニーズに応じて選択できる。超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、特許文献1に掲載されている。スペースを節約するために、ここでのみ引用されているが、特許文献1のすべての技術的開示も、本発明の技術的開示の一部と見なされるべきである。カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイに限定されず、他のカーボンナノチューブアレイであってもよい。
【0040】
電子ビームのエネルギーが高くなるにつれて、カーボンナノチューブストリップ構造体におけるその通過深さはより深くなり、逆に電子ビームのエネルギーが低くなるにつれて、通過深さはより浅くなる。好ましくは、電子ビームのエネルギーが20keV以下である場合、カーボンナノチューブストリップ構造体の厚さは200μm~600μmである。この厚さ範囲では、電子ビームは、カーボンナノチューブストリップ構造体を容易に通過せず、カーボンナノチューブストリップ構造体から外部に反射されにくい。また、この厚さ範囲において、カーボンナノチューブストリップ構造体は高い電子吸収率を有する。一つの例において、カーボンナノチューブストリップ構造体の厚さは300μm~500μmである。もう一つの例において、カーボンナノチューブストリップ構造体の厚さは250μm~400μmである。
【0041】
カーボンナノチューブストリップ構造体はカーボンナノチューブストリップ構造体に限定されず、炭素繊維、炭素ナノボール、または炭素ナノワイヤによって形成された自立構造を有する多孔ナノ材料ストリップ構造体であってもよい。
【0042】
図8を参照すると、本発明の第二実施例は電子ビーム検出装置10を使用して電子ビームを検出する方法を提供する。検出方法は具体的には以下のステップを含む。
S1、電子ビーム検出装置10または20を提供する。
S2、測定される電子ビームを多孔質炭素材料層103(203)に対して移動させ、測定される電子ビームの断面全体が、多孔質炭素材料層103(203)の懸架される部分を通過することにより、測定される電子ビームは多孔質炭素材料層103(203)の懸架される部分を走査し、移動過程で、測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)の移動距離および電気計器105の電気信号値を記録して第一曲線を獲得し、第一曲線を分析して測定される電子ビームの第一直径を獲得する。
S3、測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)を特定の角回転させて、測定される電子ビームを多孔質炭素材料層103(203)に対して移動させ、測定される電子ビームの断面全体が、多孔質炭素材料層103(203)の懸架される部分を通過することにより、測定される電子ビームは多孔質炭素材料層103(203)の懸架される部分を走査し、移動過程で、測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)の移動距離および電気計器105の電気信号値を記録して第二曲線を獲得し、第二曲線を分析して測定される電子ビームの第二直径を獲得する。
【0043】
ステップ(S1)において、電子ビーム検出装置10は、第一実施例の電子ビーム検出装置10であり、第一実施例の電子ビーム検出装置10のすべての技術的特徴を含む。電子ビーム検出装置20は、第二実施例の電子ビーム検出装置20であり、第二実施例の電子ビーム検出装置20のすべての技術的特徴を含む。ここでは繰り返さない。
【0044】
ステップ(S2)において、好ましくは、多孔質炭素材料層103(203)に対して、測定される電子ビームは多孔質炭素材料層103(203)の長さ方向に垂直な方向に沿って移動する。好ましくは、測定される電子ビームが多孔質炭素材料層103(203)に対して移動するとき、測定される電子ビームは多孔質炭素材料層103(203)の懸架される部分のみに当たり、電子ビームは基板102と直接接触している多孔質炭素材料103(203)の部分に当たらない。
【0045】
測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)の移動距離および電気計器105の電気信号値によって、測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)の移動距離に伴う電気信号値の変化曲線が得られる。変化曲線における電気信号値がまずゼロから増加し、そして、電気信号値が減少し、再びゼロになる。初めのゼロ値に対応する第一ポイントから再びゼロ値に対応する第二ポイントまでの距離は、測定される電子ビームの第一直径の長さである。
【0046】
ステップ(S3)において、測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)の回転角は、0度より大きく、180度未満である。本実施例において、多孔質炭素材料層103(203)を回転させ、回転角度は90度である。多孔質炭素材料層103(203)は基板102に設置されるので、多孔質炭素材料層103(203)の方向は、基板102を回転させることによって変更することができる。
【0047】
測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)を特定の角度で回転させた後、多孔質炭素材料層103(203)に対して測定される電子ビームは、多孔質炭素材料層103(203)の長さ方向に垂直な方向に沿って移動することが好ましい。好ましくは、測定される電子ビームが多孔質炭素材料層103(203)に対して移動するとき、測定される電子ビームは、多孔質炭素材料層103(203)の懸架される部分のみに当たり、基板102と直接接触している多孔質炭素材料103(203)の部分に当たらない。
【0048】
測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)を特定の角度で回転させた後、測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)の移動距離および電気計器105の電気信号値によって、測定される電子ビームまたは多孔質炭素材料層103(203)の移動距離に伴う電気信号値の変化曲線が得られる。変化曲線における電気信号値がまずゼロから増加し、そして、電気信号値が減少し、再びゼロになる。初めのゼロ値に対応する第一ポイントから再びゼロ値にに対応する第二ポイントまでの距離は、測定される電子ビームの第二直径の長さである。
【0049】
電子ビームの検出方法では、多孔質炭素材料層103、基板102、およびファラデーカップ104を真空チャンバーに設置し、測定される電子ビームが真空チャンバーに照射されて検出される。
【0050】
一つの例において、電子ビーム検出方法の精度を高めるために、ステップ(S3)の後、ステップ(S3)がさらに繰り返されることできる。これにより、測定される電子ビームの複数の直径が得られることができる。
【0051】
本発明により提供される電子ビーム検出装置は、多孔質炭素材料層を採用し、測定される電子ビームと多孔質炭素材料層との相対運動により電子ビームのサイズを獲得することができ、電子ビーム検出方法は簡単である。本発明により提供される電子ビーム検出方法は、測定される電子ビームと多孔質炭素材料層との間で複数の相対運動を行うことにより、測定される電子ビームの複数の直径を取得し、次いで、電子ビームのサイズを獲得することができる。これにより、電子ビームの検出精度を高める。本発明が提供する電子ビーム検出装置においては、多孔質炭素材料層は複数炭素材料粒子を含む。複数の炭素材料粒子間にナノメートルまたはマイクロメートルの間隙がある。測定される電子ビームにおける電子が多孔質炭素材料層に入った後、多孔質炭素材料層における複数の炭素材料粒子間の間隙で、複数回屈折および反射され、多孔質炭素材料層から放出することができない。多孔質炭素材料層の電子吸収率は99.99%以上に達し、ほぼ100%に達することができる。換言すれば、多孔質炭素材料層は、電子の絶対的な黒体と見なすことができる。電子ビームが多孔質炭素材料層の懸架される部分に照射される際、多孔質炭素材料層の懸架される部分に照射される電子ビームのすべての電子が多孔質炭素材料層に吸収される。これにより、多孔質炭素材料層の縁部では様々な散乱が発生せず、検出精度を向上させる。この方法によって獲得する測定される電子ビームの複数の直径はより正確であり、その結果、電子ビーム検出装置の精度がより高くなる。測定される電子ビームを検出する過程に、ファラデーカップは、貫通孔を通過し、多孔質炭素材料層の懸架される部分を通過しない電子ビームの電子を集めるために使用される。これにより、多孔質炭素材料層の懸架される部分によって収集されない電子が反射されて発生する二次電子は多孔質炭素材料層の懸架される部分によって再び収集され、電子ビーム検出の精度に影響を与えるのを防ぐ。
【符号の説明】
【0052】
10、20 電子ビーム検出装置
102 基板
1021 貫通孔
103、203 多孔質炭素材料層
104 ファラデーカップ
1041 開口部
105 電気計器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8