(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009661
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】弁逆流の経カテーテル治療のためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220106BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021176431
(22)【出願日】2021-10-28
(62)【分割の表示】P 2018543021の分割
【原出願日】2016-11-02
(31)【優先権主張番号】62/252,336
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/153,480
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513190025
【氏名又は名称】ポラレス・メディカル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ケー・カイルカハン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC06
4C097DD10
4C097DD15
4C097EE08
4C097EE09
4C097SB01
(57)【要約】
【課題】改善された医療用デバイス、システム、および方法を提供する。
【解決手段】本発明は、僧帽弁逆流の経カテーテル治療で使用されるデバイス、具体的には弁全体に埋め込まれる接合補助要素、埋込み用の接合補助要素およびアンカーを含むシステム、接合補助要素および送達カテーテルを含むシステム、ならびに心臓弁全体に接合要素を経カテーテル的に埋め込む方法に関する。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された、弁輪を有する心臓弁の接合不全を治療するための接合補助要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第120条に基づいて、2016年5月12日出願の米国特許出願第15/153,480号の継続出願として優先権を主張する。また、該出願は、米国特許法第119条(e)項に基づいて、2015年11月6日出願の米国仮特許出願第62/252,336号の本出願としての利益を主張し、上記出願それぞれの開示全体を参照により本明細書に援用し、本明細書の一部とする。
【0002】
本開示は、概して、一般的には心臓弁疾患を治療する、ならびに/または身体の1つ以上の弁の特性を変更する、改善された医療用デバイス、システム、および方法を提供する。実施形態は、僧帽弁逆流の治療用のインプラントを含む。
【0003】
ヒトの心臓は、静脈を介して器官および組織から血液を受け入れ、その血液を肺に通し、肺で血液の酸素量を高め、酸素量が増えた血液を心臓から動脈へと推し進めることによって、身体の器官系が適正に機能するために酸素を抽出できるようにしている。酸素量が減った血液は心臓に戻され、そこで再び肺に送られる。
【0004】
心臓は、右心房(RA)、右心室(RV)、左心房(LA)、および左心室(LV)という4つの心腔を含む。心臓の左右側のポンピング作用は、一般に、心周期全体の間に同時に起こる。
【0005】
心臓は、心周期の間に適正な方向で血流を選択的に伝達するように全体として構成された、4つの弁を有する。心房を心室から分離する弁は房室(AV)弁と呼ばれる。左心房と左心室との間のAV弁は僧帽弁である。右心房と右心室との間のAV弁は三尖弁である。肺動脈弁は、血流を肺動脈へ、またそこから肺へと方向付け、血液は肺静脈を介して左心房に戻ってくる。大動脈弁は、血液を大動脈に流し、またそこから末梢へと方向付ける。通常、心室間および心房間は直接接続していない。
【0006】
機械的心拍は、心組織全体に広がる電気インパルスによって始動される。心臓弁の開閉は、主に心腔間の圧力差の結果として生じることがあり、それらの圧力は受動的な充満または心腔の収縮によってもたらされる。例えば、僧帽弁の開閉は、左心房と左心室との間の圧力差の結果として生じることがある。
【0007】
心室の充満(拡張期)の始めは、大動脈弁および肺動脈弁は閉じており、動脈から心室への逆流を防いでいる。そのすぐ後に、AV弁が開いて、心房から対応する心室への妨げられない流れが可能になる。そのすぐ後に、心室収縮期(即ち、心室が空になる)が始まり、三尖弁および僧帽弁が通常は閉じてシールを形成し、それによって心室から対応する心房への逆流を防ぐ。
【0008】
残念ながら、AV弁は損傷することがあり、または別の形で適切に機能しなくなることがあり、それによって閉止が不適切になる。AV弁は複雑な構造であり、一般に、弁輪、弁尖、索、および支持構造を含む。各心房は、心房前庭を介してその弁と結合している。僧帽弁は2つの弁尖を有し、三尖弁の相似構造は3つの弁尖を有し、弁尖の対応する表面の互いに対する並置または係合が、弁を閉止または封止して血液が誤った方向に流れるのを防ぐ助けとなる。心室収縮期中に弁尖が封止できないことは、接合不全として知られており、血液が弁を通して逆方向に流れてしまう(逆流)。心臓弁の逆流は、患者に対して深刻な結果となる可能性があり、心不全、血流の減少、低血圧、および/または身体の組織への酸素流量の減少をもたらす場合が多い。僧帽弁逆流はまた、左心房から肺静脈への血液の逆流を引き起こして、うっ血をもたらす場合がある。重度の弁逆流を治療せずにいた場合、恒久的な障害または死亡に至る恐れがある。
【背景技術】
【0009】
僧帽弁逆流の治療には様々な療法が適用されており、その他に提案されている療法もあるが、それらは実際の患者の治療には使用されていない。既知の療法のうちいくつかは少なくとも一部の患者に有効であることが見出されているが、更なる選択肢が望ましいであろう。例えば、薬剤(利尿剤および血管拡張薬など)を、軽度の僧帽弁逆流がある患者に使用して、左心房へと逆流する血液の量を低減する助けとすることができる。しかしながら、薬物は患者コンプライアンスを十分に得られない場合がある。有意な数の患者が、慢性および/または進行性の僧帽弁逆流が悪化していくことの潜在的な重大さにかかわらず、時折(または更には定期的に)薬を服用し忘れることがある。僧帽弁逆流の薬物療法はまた、不便なことがあり、(特に、症状が悪化するにしたがって)効果がない場合が多く、顕著な副作用(低血圧など)が関連する場合がある。
【0010】
様々な外科的選択肢も、僧帽弁逆流の治療のために提案および/または採用されてきた。例えば、直視下心臓手術は、機能不全の僧帽弁を置換または修復することができる。輪状形成による弁輪修復では、任意に、縫合糸を機械的外科弁形成縫合リング(mechanical surgical annuloplasty sewing ring)に通して接合をもたらすことによって、僧帽弁後尖の弁輪部のサイズをその円周に沿って縮小することができる。直視下手術はまた、弁尖を作り直そうとすること、および/または支持構造を修正しようとすることがある。いずれにせよ、直視下僧帽弁手術は、一般に、人工心肺を使って胸部を切開した状態で患者を全身麻酔下に置いて実施される、侵襲性が非常に高い治療である。合併症は良く起こり得ることであり、直視下手術の罹患率(および潜在的に死亡率)に照らして、タイミングが問題となるが、病状が重い患者ほど手術が必要であり得るが、手術に耐えられない可能性が高い。直視下僧帽弁手術が成功に終わるためには、手術の技能および経験に大きく依存する可能性がある。
【0011】
直視下心臓手術の罹患率および死亡率を考慮して、発明者らは低侵襲性の外科治療を探求してきた。ロボットおよび内視鏡を使用して行う処置は、高侵襲性のままである場合が多く、また時間が掛かり、高価であり、少なくとも一部の事例では施術者の技能に大きく依存する可能性がある。広く普及した技術を使用して非常に多数の医師による実現を成功させることができる療法が提供されるように、これらの虚弱な場合がある患者に対する外傷を更に少なくすることが望ましいであろう。その目的に向かって、低侵襲性と言われる多数の技術および方策が提案されてきた。これらとしては、冠状静脈洞内で僧帽弁輪を作り直そうとするデバイス、天然の弁輪の上方または下方のどちらかを締めることによって弁輪を作り直すことを意図したデバイス、弁尖を融合する(アルフィエリ縫合を模倣する)デバイス、左心室を作り直すデバイスなどが挙げられる。
【0012】
恐らく最も広く知られている、様々な僧帽弁置換インプラントが開発されてきたが、これらのインプラントは、一般に、天然の弁尖を置換し(または変位させ)、外科的に埋め込まれた構造が心臓の心腔間の血流経路を制御することに依存する。これらの様々な方策およびツールは様々な許容レベルを満たしてきたが、そのいずれも、ほとんどまたは全ての僧房弁逆流患者に対する理想的な療法として広く認知されていない。
【0013】
既知の低侵襲性僧房弁逆流療法およびインプラントの課題および不利な点により、更なる代替の治療が提案されてきた。代替の提案のうちいくつかは、埋め込まれた構造が心拍周期全体にわたって弁輪内に留まることを求めてきた。これらの提案のうち一群は、弁開口部を通って心房と心室との間に延在する係留具または剛性ロッド上に埋め込まれたままの円筒状のバルーンなどを含む。別の群は、インプラントを固定するように弁を横切って延在するバトレスまたは他の構造的横材と組み合わされる場合が多い、弓状のリング構造などに依存する。残念ながら、天然の弁尖とバルーンまたは他の同軸体の全周との間を封止することは困難であると分かっているが、横材を相互接続するバトレスまたはアンカーを屈曲させることが可能な場合に、心拍毎に天然の弁輪の周りが著しく収縮することによって、長期の埋込み中に重大な疲労破損の問題がもたらされることがある。更に、弁の組織が著しく動くことによって、インプラントが剛性であるか可撓性であるかにかかわらず、インプラントを正確に位置決めするのが困難になることがある。
【0014】
上記に鑑みて、改善された医療用デバイス、システム、および方法を提供することが望ましいであろう。僧帽弁逆流および他の心臓弁疾患を治療する、ならびに/または身体の他の弁の1つ以上の特性を変更する、新しい技術を提供することが特に望ましいであろう。弁尖の接合を(弁輪または心室を作り直すことによって間接的にではなく)直接向上させることができ、融合などによって弁尖の解剖学的構造を破壊せず、簡単に信頼性高く、また過度なコストもしくは手術時間なしで配備させることができる、デバイスが依然として必要とされている。配備のために心臓を停止するかまたは人工心肺に頼ることなく、また改善された弁および/または心臓機能を提供するのに施術者の例外的な技能に依存することなく、低侵襲性の方策を使用してこれらの新しい技術を実現することができれば、特に有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願第13/099,532号
【特許文献2】米国特許出願第13/531,407号
【特許文献3】米国特許出願第14/313,975号
【特許文献4】米国特許出願第14/742,199号
【特許文献5】米国特許出願第14/749,344号
【特許文献6】米国特許出願第10/419,706号
【特許文献7】米国特許第8,888,843号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示は、概して、改善された医療用デバイス、システム、および方法を提供する。僧房弁逆流および他の弁疾患を治療するための新しい接合補助要素、システム、および方法が開示される。接合補助要素は、弁が開弁構成と閉弁構成との間で前後に移動する際、血流経路内に留まってもよい。接合補助要素は、弁開口部の幅の一部、大部分、または全てを通って横方向に延在して、天然の弁尖の少なくとも1つと接合補助要素との間の接合を可能にする、比較的薄く(血流経路に沿って)細長い、ならびに/または形状適合性の構造であってもよい。本明細書に記載するデバイスは、2つの弁尖または3つの弁尖を有する弁を含む、人体の任意の弁と共に使用することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素を回収できることである。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、組織を係合または係脱することができる、単一のアンカーを有する。いくつかの実施形態では、アンカーは、接合補助要素の弁輪ハブ内において捕捉性(captive)である。いくつかの実施形態では、捕捉性アンカーは、接合補助要素の除去と同時に除去される。いくつかの実施形態では、接合補助要素は補助アンカーを含むことができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は受動アンカーを含むことができる。いくつかの実施形態では、アンカーを組織と係合することによって、1つ以上の受動アンカーが組織と係合するように位置付けられる。いくつかの実施形態では、利点は、処置中に接合補助要素を回収することである。いくつかの実施形態では、接合補助要素は外科処置中に再配置することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、後に続く外科処置中に患者から除去することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、後に続く外科処置中に別のデバイスによって置換することができる。いくつかの実施形態では、単一の弁輪アンカーによって接合補助要素を回収する能力が促進される。いくつかの実施形態では、弁輪アンカーの位置によって接合補助要素を回収する能力が促進される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するように、巾着縫合糸を用いて接合補助要素を折り畳む能力によって、接合補助要素を回収する能力が促進される。
【0018】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素と送達カテーテルとの間の接続である。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、送達カテーテルを係合する特徴を備えた弁輪ハブを含む。いくつかの実施形態では、接合補助要素および送達カテーテルは、処置中に接合補助要素を送達カテーテルから解放できるようにして、除去可能に結合される。いくつかの実施形態では、接合補助要素が送達カテーテルから解放された後、1つ以上の補助構造が、接合補助要素と送達カテーテルを結合する。いくつかの実施形態では、1つ以上の補助構造は、本明細書に記載するような巾着縫合糸を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の補助構造は、接合補助要素の折畳みおよび/または拡張を容易にする。いくつかの実施形態では、接合補助要素および送達カテーテルは、結合されると互いに対して回転方向で固定される。いくつかの実施形態では、送達カテーテルの相対運動によって接合補助要素が動く。
【0019】
いくつかの実施形態では、利点は、ハブが先行する配向で接合補助要素を送達できることである。いくつかの使用方法では、弁輪ハブを、解剖学的構造に対する適所に移動させることができる。いくつかの使用方法では、接合補助要素の心室側端部は、弁輪ハブが位置付けられるまで、送達カテーテル内で保定することができる。いくつかの使用方法では、弁輪ハブおよび/または弁輪アンカーが組織と係合されると、接合補助要素を拡張することができる。いくつかの使用方法では、弁輪ハブおよび/または弁輪アンカーが組織と係合されると、接合補助要素の心室側端部を位置付けることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、利点は、支柱が先行する配向で接合補助要素を送達できることである。この使用方法では、接合補助要素の支柱のうち1つ以上を、弁輪ハブを位置付ける前に、解剖学的構造に対して適所に移動させることができる。いくつかの使用方法では、弁輪アンカーを係合する前に、接合補助要素を拡張または部分的に拡張させることができる。いくつかの使用方法では、支柱の1つ以上が位置付けられるまで、弁輪ハブを送達カテーテル内で保定することができる。いくつかの使用方法では、支柱が位置付けられると、弁輪アンカーを組織と係合させることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、利点は、弁輪アンカーを接合補助要素とは独立して回転させられることである。本明細書に記載するように、接合補助要素は送達カテーテルの一部分に結合される。本明細書に記載するように、弁輪アンカーは、送達カテーテルと共に配備されたドライバなど、送達カテーテルの別の部分に独立して結合される。弁輪アンカーは、弁輪ハブとは独立して回転させることができる。弁輪アンカーを回転させて組織を係合する際、弁輪ハブは静止したままであることができる。送達カテーテルが弁輪ハブの位置を保定している状態で、弁輪アンカーを組織内に追い込むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素を折り畳むことができることである。いくつかの実施形態では、接合補助要素は完全に折り畳まれる。完全に折り畳まれた構成は、挿入構成または低プロファイル構成であることができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は部分的に折り畳まれる。部分的に折り畳まれた構成は部分的に配備された構成であることができる。部分的に折り畳まれた構成は、接合補助要素を心臓内で選択的に配備させるのを可能にすることができる。部分的に折り畳まれた構成は、接合補助要素を心臓内で適所に移動させるのを可能にすることができる。接合補助要素の構成は、イメージングで適正な配備を担保することなどによって監視することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の巾着縫合糸、またはその一部が張力を与えられて、接合補助要素を折り畳むかまたは部分的に折り畳む。いくつかの実施形態では、部分的に折り畳まれた構成は、接合補助要素の回転を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、完全に折り畳まれた構成は、接合補助要素の回転を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、送達カテーテルまたはその一部分と共に回転させることができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、弁輪ハブなどの中心位置を中心にして回転させることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素を拡張できることである。いくつかの実施形態では、1つ以上の巾着縫合糸、またはその一部が解放されて、接合補助要素を拡張する。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸を解放することによって、1つ以上の支柱が中立構成をとることが可能になる。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸を解放することによって、1つ以上の支柱が予め形作られた曲線をとることが可能になる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱はNiTiを備える。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸は、繰返し張力を掛けられ、ならびに/または解放される。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸は、接合補助要素内において捕捉性である。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸は張力を掛けられて、接合補助要素が患者から除去される。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸は解放されて、接合補助要素が患者の心臓内で配備される。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸は、選択的に配備され、接合補助要素の一部分を拡張し、接合補助要素の別の部分は折り畳まれたまま、または部分的に折り畳まれたままにすることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素を調節できることである。いくつかの実施形態では、接合補助要素は中央位置によって保持することができる。いくつかの実施形態では、中央位置はアンカーである。いくつかの実施形態では、中央位置はハブである。いくつかの実施形態では、ハブおよび/またはアンカーは、接合補助要素の直径のほぼ中点付近に位置する。いくつかの実施形態では、ハブおよび/またはアンカーは、接合補助要素の環状部分のほぼ中点および/または中央位置付近に位置する。いくつかの実施形態では、接合補助要素は中立位置で保持することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、弁輪ハブに接続された送達カテーテルを回転させることによって、回転させることができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、弁輪ハブに接続された送達カテーテルの対応する長手方向移動によって、長手方向で移動させることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素が位置付けられた後に、送達カテーテルによって接合補助要素を保定できることである。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、僧帽弁内で完全に配備させても、送達カテーテルに係留されたままであることができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、接合補助要素が僧帽弁内で完全に配備された後に調節することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、接合補助要素が完全に配備された後にハブを中心にして回転させることができる。いくつかの実施形態では、アンカーは、接合補助要素が完全に配備された後、組織から係脱および/または組織と再係合することができる。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸は、接合補助要素が完全に配備された後、接合補助要素またはその一部分を折り畳み、ならびに/または拡張することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、接合補助要素が完全に配備された後に再捕捉することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、接合補助要素が完全に配備された後に除去することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素が心室の取付けを要しないことである。いくつかの実施形態では、接合補助要素は弁輪の取付けのみを要する。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、弁輪ハブを通る弁輪アンカーの取付けのみを要する。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、弁輪ハブおよび弁輪の返しを通る弁輪アンカーの取付けのみを要する。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、弁輪ハブ、弁輪の返し、および/または交連の返しを通る弁輪アンカーの取付けのみを要する。
【0027】
いくつかの実施形態では、利点は径方向に延在するフレームである。いくつかの実施形態では、フレームは、弁輪ハブと1つ以上の支柱とを備える。いくつかの実施形態では、支柱は弁輪ハブから径方向に延在する。いくつかの実施形態では、フレームは、単一の平坦なシート材料から構築される。いくつかの実施形態では、フレームは、水噴射、レーザーエッチング、または類似の技術を使用して精密に切断される。いくつかの実施形態では、フレームは、フレームの縁部で弁輪ハブを形成することによって構築される。いくつかの実施形態では、平坦なシート材料はループ状に形成され、それが弁輪ハブになる。いくつかの実施形態では、支柱は所望の構成へと曲げられる。いくつかの実施形態では、支柱は、弁輪ハブの円周の周りで均等に離隔される。いくつかの実施形態では、支柱は、弁輪ハブの円周の周りで不均等に離隔される。いくつかの実施形態では、弁輪ハブの円周の一部分に沿って延在する支柱は、弁輪ハブの円周の別の部分に沿って延在する支柱とは異なる。いくつかの実施形態では、支柱の1つ以上の指定部分は、心臓の弁輪領域付近に位置するように設計される。いくつかの実施形態では、支柱の1つ以上の指定部分は、心臓の交連領域付近に位置するように設計される。いくつかの実施形態では、支柱の1つ以上の指定部分は、心臓の心室領域付近に位置するように設計される。いくつかの実施形態では、径方向外向きのフレームの支柱は交差しない。いくつかの実施形態では、径方向外向きのフレームの支柱はメッシュを形成しない。いくつかの実施形態では、径方向外向きのフレームの支柱は、ハブから接合補助要素の縁部まで線状で延在する。いくつかの実施形態では、径方向外向きのフレームの支柱は尖った縁部を有する。いくつかの実施形態では、尖った縁部は接合補助要素の縁部から直線状で延在する。いくつかの実施形態では、尖った縁部は支柱内で一体的に形成される。いくつかの実施形態では、径方向外向きのフレームの支柱は、1つ、2つ、またはそれ以上の曲率半径を有する。いくつかの実施形態では、径方向外向きのフレームの支柱は、支柱の長さに沿って、凹状、凸状、または凹状と凸状の両方であることができる。いくつかの実施形態では、径方向外向きのフレームの支柱は1つ以上の反曲点を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、利点はフレームの曲率である。いくつかの実施形態では、弁輪ハブは径方向に延在する。いくつかの実施形態では、弁輪ハブは弁輪から離れる方向で接合補助要素から延在する。いくつかの実施形態では、弁輪ハブは、支柱の平坦面の上方で接合補助要素の表面から延在する。いくつかの実施形態では、接合補助要素の縁部は曲線状である。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱は、弁輪ハブから上縁部に向かって横方向に湾曲してもよい。いくつかの実施形態では、接合補助要素の上縁部は弁輪から上方に湾曲することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素の上縁部は後尖から上方に湾曲することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素の上縁部は弁輪に向かって下方に湾曲することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素の上縁部は後尖に向かって下方に湾曲することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱は、弁輪ハブから下縁部に向かって横方向に湾曲してもよい。いくつかの実施形態では、接合補助要素の下縁部は後尖から離れる方向に湾曲することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素の下縁部は後尖に向かって湾曲することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、心臓弁の接合不全を治療する接合補助要素が提供される。心臓弁は弁輪を有する。接合補助要素は、環状区画と接合区画とを含む本体を含むことができる。いくつかの実施形態では、環状区画は、弁輪の上方で心臓内に埋め込まれるように構成される。いくつかの実施形態では、接合区域は、心臓内に、弁輪の面を横断して埋め込まれるように構成される。接合補助要素は、第1の接合表面と反対側の第2の表面とを含むことができる。いくつかの実施形態では、各表面は、第1の横縁部、第2の横縁部、下縁部、および上縁部によって境界が定められる。いくつかの実施形態では、上縁部はリップを形成し、下縁部に向かって下向きに、または環状区画から上向きにカップ状にされる。接合補助要素は、ハブと、ハブに結合され、環状区画に保持されたアンカーとを含むことができる。いくつかの実施形態では、アンカーは第1の標的位置で選択的に配備可能である。接合補助要素は、ハブから径方向外向きに延在する複数の支柱を含むことができる。いくつかの実施形態では、複数の支柱は少なくとも、環状区画内にある第1の支柱と、環状区画から接合区画まで延在する第2の支柱とを備え、第2の支柱は第1の支柱よりも長い全長を有し、例えば、第1の支柱の全長のおおよそまたは少なくともおおよそ110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、225%、250%、またはそれ以上などの全長を有する。いくつかの実施形態では、第2の支柱の全長は、第1の支柱の全長の約125%~約300%、または約125%~200%である。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数の支柱のうち少なくとも1つの支柱は、組織を係合するように構成された尖った先端を有する。いくつかの実施形態では、複数の支柱はニチノールを備える。いくつかの実施形態では、アンカーはらせん形状である。接合補助要素は、1つ以上の追加のアンカーを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のアンカーは能動アンカーである。いくつかの実施形態では、ハブは、アンカーのらせんを通って延在するように構成されたクロスピンを備える。いくつかの実施形態では、ハブは送達カテーテルと噛合するように構成され、送達カテーテルは、第1の標的位置付近にハブを位置付けるように構成される。いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、ハブとは独立してアンカーを回転させるように構成される。接合補助要素はX線不透過性マーカーを含むことができる。接合補助要素は、上縁部付近に複数のX線不透過性マーカーを含むことができる。いくつかの実施形態では、リップを形成する上縁部は下縁部に向かって下向きでカップ状にされる。いくつかの実施形態では、リップを形成する上縁部は環状区画から上向きでカップ状にされる。いくつかの実施形態では、ハブは環状区画から上向きに延在する。いくつかの実施形態では、下縁部はハブに向かって後方に湾曲する。
【0031】
いくつかの実施形態では、患者の心臓弁の接合不全を治療する方法が提供される。心臓弁は弁輪を有する。弁輪は、弁平面を更に規定し、弁平面は、心房を近位側で、心室を遠位側で分離する。方法は、送達カテーテルを接合補助要素のハブに結合するステップを含むことができる。方法は、ハブを弁輪付近に位置付けるステップを含むことができる。方法は、アンカーを回転させてハブに通し、弁輪の遠位側で心臓組織に入れるステップを含むことができる。方法は、複数の支柱をハブから径方向外向きに拡張させることによって、接合補助要素を拡張させるステップを含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、接合補助体は、接合表面が第1の弁尖と接合し、接合補助体の弁尖表面が第2の弁尖の上に重なるようにして懸架され、それによって接合不全が軽減される。方法は、複数の支柱のうち1つの支柱の尖った端部を、弁輪の遠位側の心臓組織と係合するステップを含むことができる。方法は、1つ以上のマーカーを用いて接合補助要素の位置を監視するステップを含むことができる。方法は、接合補助要素の上縁部付近の複数のマーカーを用いて、接合補助要素の位置を監視するステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、ハブを弁輪付近に位置付ける間、アンカーの先端はハブ内に入り込んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】背景技術の項および以下に記載するような、本明細書に記載されるインプラントおよびシステムと相互作用してもよい心臓および僧帽弁の組織の一部を示す概略図である。
【
図1B】背景技術の項および以下に記載するような、本明細書に記載されるインプラントおよびシステムと相互作用してもよい心臓および僧帽弁の組織の一部を示す概略図である。
【
図1C】背景技術の項および以下に記載するような、本明細書に記載されるインプラントおよびシステムと相互作用してもよい心臓および僧帽弁の組織の一部を示す概略図である。
【
図1D】背景技術の項および以下に記載するような、本明細書に記載されるインプラントおよびシステムと相互作用してもよい心臓および僧帽弁の組織の一部を示す概略図である。
【
図1E】背景技術の項および以下に記載するような、本明細書に記載されるインプラントおよびシステムと相互作用してもよい心臓および僧帽弁の組織の一部を示す概略図である。
【
図1F】背景技術の項および以下に記載するような、本明細書に記載されるインプラントおよびシステムと相互作用してもよい心臓および僧帽弁の組織の一部を示す概略図である。
【
図2A】拡張期中の僧帽弁機能を概略的に示す心臓の簡略断面図である。
【
図2B】収縮期中の僧帽弁機能を概略的に示す心臓の簡略断面図である。
【
図3A】僧帽弁尖の接合不全の設定における収縮期中の僧帽弁逆流を概略的に示す、心臓の簡略断面図である。
【
図3B】僧帽弁尖の接合不全の設定における収縮期中の僧帽弁逆流を概略的に示す、心臓の簡略断面図である。
【
図4A】機能性僧帽弁逆流の設定における僧帽弁接合不全を示す、心臓の様式化した断面図である。
【
図4B】変性性僧帽弁逆流の設定における僧帽弁接合不全を示す、心臓の様式化した断面図である。
【
図5A】接合補助要素の一実施形態を示す斜視図である。
【
図5C】接合補助要素の支柱の一実施形態を示す図である。
【
図5D】接合補助要素の支柱の一実施形態を示す図である。
【
図5E】弁輪アンカー部位を含まない
図5Aの接合補助要素を示す図である。
【
図5F】弁輪アンカー部位を含まない
図5Aの接合補助要素を示す図である。
【
図5G】弁輪アンカー部位を含まない
図5Aの接合補助要素を示す図である。
【
図5H】弁尖アンカー部位を含む
図5Aの接合補助要素を示す図である。
【
図5I】弁尖アンカー部位を含む
図5Aの接合補助要素を示す図である。
【
図5J】弁尖アンカー部位を含む
図5Aの接合補助要素を示す図である。
【
図6】接合補助要素の実施形態を示す斜視図である。
【
図7A】接合不全の天然の弁尖に向かって配設された第1の表面を示す、接合補助要素の一実施形態を示す斜視図である。
【
図7B】接合表面を含むことができる第2の表面を示す、
図7Aの接合補助要素を示す別の斜視図である。
【
図7D】僧帽弁のモデル内に埋め込まれた
図7Aの接合補助要素を示す図である。
【
図7E】僧帽弁のモデル内に埋め込まれた
図7Aの接合補助要素を示す上面図である。
【
図8A】経カテーテル技術向けの送達システムの制御ハンドルの一実施形態を示す概略図である。
【
図8B】
図8Aの送達システムに結合された接合補助要素を概略的に示す上面図および側面図である。
【
図8C】接合補助要素の弁輪ハブと送達カテーテルの先端との接続を示す概略図である。
【
図9A】
図8Aの送達システムのアンカー操作を示す概略図である。
【
図9B】弁輪アンカーとドライバとの接続の実施形態を示す概略図である。
【
図9C】弁輪アンカーとドライバとの接続の実施形態を示す概略図である。
【
図9D】弁輪アンカーとドライバとの接続の実施形態を示す概略図である。
【
図9E】弁輪アンカーとドライバとの接続の実施形態を示す概略図である。
【
図10】経中隔横断を示している経カテーテル技術の方法ステップを示す概略図である。
【
図11】最初の接合補助要素の前進を示している経カテーテル技術の方法ステップを示す概略図である。
【
図12】部分的な接合補助要素の開放を示している経カテーテル技術の方法ステップを示す概略図である。
【
図13】接合補助要素の折畳みを示している経カテーテル技術の方法ステップを示す概略図である。
【
図14】接合補助要素の断面図を示している経カテーテル技術の方法ステップを示す概略図である。
【
図15】補助アンカーの配置を示している経カテーテル技術の方法ステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、いくつかの実施形態では、概して、僧帽弁逆流および三尖弁逆流を含む他の弁疾患の治療用である場合が多い、改善された医療用デバイス、システム、および方法を提供する。以下の説明は、2つの弁尖を有する僧帽弁などの弁の前尖についての言及を含むが、「前尖」は、複数の弁尖を有する弁の1つ以上の弁尖を指す場合があることが理解される。例えば、三尖弁は3つの弁尖を有するので、「前尖」は、内側弁尖、外側弁尖、および後尖のうち1つまたは2つを指す場合がある。本明細書に記載する接合補助要素は、概して、開弁構成(前尖が弁体から分離されている)と閉弁構成(前尖が弁体の対向面を係合している)との間で弁尖が前後に移動する際の、血流経路にほぼ沿った接合補助体(本明細書では、弁体と呼ばれる場合がある)を含む。弁体は、天然の弁尖の間に配設されて、天然の弁尖の少なくとも1つが接して接合する表面を提供する一方で、正常に機能していれば収縮期中は閉塞するであろう弁の領域にある第2の天然の弁尖を有効に置換することによって、天然の弁尖の接合不全によって生じる間隙を閉止する。間隙は、横方向(拡張した左心室および/または僧帽弁輪によって引き起こされることがある場合など)ならびに/あるいは軸線方向(弁を閉じるべきときに1つの弁尖が流体圧力によって弁輪を越えて逸脱するかまたは押される場合など)であってもよい。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、1つ、2つ、またはそれ以上の弁尖を完全に補助してもよく、あるいはいくつかの実施形態では、例えば、弁尖を部分的に補助して、前尖のA1、A2、および/もしくはA3弁帆の1つ以上のみ、および/または後尖のP1、P2、および/もしくはP3弁帆の1つ以上のみを覆う。
【0035】
他の用途の中でも特に、本明細書に記載する接合補助要素および方法は、天然の僧帽弁尖の少なくとも1つを中に封止することができる、人工または新規の接合区域を作成することによって、機能性および/または変性性僧帽弁逆流(MR)を治療するように構成されてもよい。本明細書の構造および方法は、大部分がこの用途に合わせて調整されるが、代替実施形態は、三尖弁、末梢血管系の弁、下大静脈などを含む、心臓および/または身体の他の弁で使用するように構成されてもよい。
【0036】
図1A~
図1Dを参照すると、左心房10、右心房20、左心室30、および右心室40という、心臓の4つの心腔が示されている。僧帽弁60は左心房10と左心室30との間に配設されている。また、右心房20と右心室40を分離する三尖弁50、大動脈弁80、および肺動脈弁70も示されている。僧帽弁60は、前尖12および後尖14という2つの弁尖で構成される。健康な心臓では、2つの弁尖は、収縮期中は接合区域16で並置される。
【0037】
心臓骨格の線維性弁輪120の部分は、前尖12および後尖14と呼ばれる僧帽弁の2つの弁尖に付着する。弁尖は、腱索32に付着することによって軸線方向で支持される。索は、次いで、左心室の乳頭筋34、36の一方または両方に付着する。健康な心臓では、索支持構造が僧帽弁尖を係留して、弁尖が拡張期中は簡単に開くが、心室収縮期中に生じる高圧には抵抗することを可能にしている。支持構造の係留作用に加えて、弁尖の形状および組織が一貫していることが、有効な封止または接合を促進する助けとなる。前尖および後尖の前縁部は、漏斗状の接合区域16に沿って合わさり、三次元の接合区域(CZ)の横断面160が
図1Eに概略的に示されている。
【0038】
僧帽弁前尖および後尖は異なるように形作られている。前尖は、中心線維体(心臓骨格)の上に重なる弁輪によりしっかりと付着されており、より動きやすい後僧帽弁輪に付着された後尖よりもある程度硬い。閉止範囲の約80パーセントが前尖である。交連110、114に隣接して、弁輪120上またはその前方には、僧帽弁輪が大動脈の無冠尖の基部と融合するところに形成される、左(外側)線維三角124および右(中隔)線維三角126がある(
図1F)。線維三角124、126は、中心線維体128の中隔および外側の範囲を形成する。線維三角124、126は、いくつかの実施形態では、1つ以上の弁輪または心房アンカーと安定して係合するしっかりした区域を提供するという利点を有してもよい。弁尖12、14の間の接合区域CLは単純な線ではなく、それよりもむしろ、湾曲した漏斗状の境界面である。第1の交連110(外側または左側)および第2の交連114(中隔または右側)は、弁輪120で前尖12が後尖14と合わさるところである。
図1C、
図1D、および
図1Fの心房から見た軸線方向図で最もはっきり分かるように、接合区域の軸線方向断面は、弁輪中心CAから、ならびに拡張期中の弁を通る開口部COから分離した、曲線CLを全体的に示している。それに加えて、弁尖縁は波形であり、前尖に比べて後尖の方がより大きい波形である。接合不全は、これらのA-P(前後)セグメント対A1/P1、A2/P2、およびA3/P3の1つ以上の間で生じる可能性があるので、接合不全の特性は接合区域の曲線CLに沿って変動することがある。
【0039】
次に
図2Aを参照すると、心臓の適切に機能している僧帽弁60は、拡張期中は開いて、血液が流路FPに沿って左心房から左心室30に向かって流れ、それによって左心室に充満することを可能にしている。
図2Bに示されるように、機能している僧帽弁60は、収縮期中は、心室圧力の増加によって最初は受動的に、次に能動的に閉じて、左心室30を左心房10から有効に封止し、それによって左心室を取り囲む心臓組織の収縮を可能にして、血管系全体を通して血液を前進させる。
【0040】
図3A~
図3Bおよび
図4A~
図4Bを参照すると、僧帽弁の弁尖縁が十分に並置できず、それによって収縮期中に血液が心室から心房へと逆流している、いくつかの状態または病的状態がある。特定の患者の具体的な病因にかかわらず、心室収縮期中に弁尖が封止できないことは、接合不全として知られており、僧帽弁逆流を引き起こす。
【0041】
一般に、接合不全は、一方もしくは両方の弁尖の支持構造による過度の係留によって、または支持構造の過度の伸長もしくは断裂によって生じる場合がある。他の一般的でない原因としては、心臓弁の感染、先天性異常、および外傷が挙げられる。弁の機能不全は、僧帽弁逸脱として知られる腱索の伸長によって、また場合によっては、
図3Aに示されるような、動揺弁尖220として知られる索215または乳頭筋の断裂によって生じる場合がある。あるいは、弁尖組織自体が余剰の場合、弁が逸脱することがあるので、接合が心房内に入り込む度合いが高いほど、心室収縮期230中の心房内における弁の開放が大きくなる。弁尖のどちらか一方が逸脱または動揺する場合がある。この状態は、場合によっては、変性性僧帽弁逆流として知られている。
【0042】
図3Bに示されるような過度の係留の場合、正常な構造の弁の弁尖は、弁輪の拡大または形状変化、いわゆる弁輪拡張240により、適切に機能しないことがある。かかる機能性僧帽弁逆流は、一般に、心筋の障害およびそれに付随する心室拡張によってもたらされる。また、機能性僧房弁逆流によって生じる過度の量の荷重自体が、心不全、心室拡張および弁輪拡張を悪化させ、結果として僧帽弁逆流を悪化させる場合がある。
【0043】
図4A~
図4Bは、機能性僧帽弁逆流(
図4A)および変性性僧帽弁逆流(
図4B)における収縮期中の血液の逆流BFを示している。
図4Aにおける弁輪のサイズ増大は、心室320および乳頭筋330の肥大による係留の増大と併せて、前尖312および後尖314の並置を妨げ、それによって接合を妨げている。
図4Bでは、索215の断裂によって、左心房内へと上向きに後尖344が逸脱して、前尖342に対する並置を妨げている。いずれの状況でも、結果は心房内への血液の逆流であり、それによって左心室圧迫の有効性が減少する。
【0044】
本明細書の開示と併せて利用することができる、接合補助要素、ツール、アンカー、特徴、システム、および方法の更なる説明を、以下の出願に見出すことができ、それらの出願の全体を参照により本明細書に援用する。2011年5月3日出願の米国特許出願第13/099,532号、2012年6月22日出願の米国特許出願第13/531,407号、2014年6月24日出願の米国特許出願第14/313,975号、2015年6月17日出願の米国特許出願第14/742,199号、2015年6月24日出願の米国特許出願第14/749,344号、および2003年4月18日出願の米国特許出願第10/419,706号。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する接合補助要素は、後尖、索、および乳頭筋の上に重なるように配備されてもよい。いくつかの実施形態では、接合補助要素は、弁輪の後面には上から、左心室の後面には下から、弁輪アンカーおよび/または心室アンカーを介して付着する。他の実施形態では、1つを超える弁輪アンカーおよび/または1つを超える心室アンカーが、接合補助要素を取り付けるのに使用されてもよい。いくつかの要素では、1つ以上の弁輪アンカーが、いくつかの実施形態では環状であることができる、1つ以上の心房または交連アンカーと置換されるかまたはそれによって補足されてもよい。接合補助要素は、後弁輪の上面、心房後壁、または弁輪自体に付着してもよい。接合区域は、接合補助要素と天然の前尖との間に確立されている。弁尖接合不全は、機能異常の背景にある機序にかかわらず、機能性および変性性両方の僧帽弁逆流において起こるので、類似の接合補助要素を両方で使用することができる。いくつかの実施形態では、天然の前尖が適切に確立された接合点で接合要素と並置して、心室収縮中の血流を阻害するようにして、異なるサイズの接合補助要素を配置することができる。
【0046】
様々なサイズの接合補助要素が提供されてもよく、異なる寸法は様々な解剖学的構造に適合するように構成される。例えば、弁輪によって規定される面に対して基本的に垂直な面内で、上方の弁輪取付け部位から接合補助要素の最下方縁部までを測定する高さと、接合点と上方取付け部位との間の深さと、接合点の高さにおける後壁と接合点との間の突出とがあってもよい。また、一般的には機能性MRの場合の方が大きい、接合補助要素の内側外側直径もある。拡張期の間、接合補助要素は実質的に同じ位置に留まってもよく、一方で天然の前尖の移動によって弁が開いて、左心房から左心室への血流が最小限の制限で可能になる。いくつかの実施形態では、心室収縮期中、接合補助要素の表面は上向きに膨らむかまたは伸長してもよく、アンカーは動かないままである。これは、収縮期中の接合区域において、要素の前面または接合表面と天然の弁尖との間の封止を向上させるので、有利なことがある。拡張期の間、表面は、前尖に向かってより前側にある、最初の位置に戻ってもよい。これによって、拡張期中の心房と心室との間の血流経路が改善されて、接合補助要素を越える心房からの流出を改善してもよい。
【0047】
いくつかの使用方法では、天然の後尖は適所に残され、接合補助要素は後弁輪または隣接した心房壁に上方から取り付けられる。多くの可能な代替実施形態は、異なる取付けメカニズムを有してもよい。他の使用方法では、後尖は存在せず、外科的にまたは疾患の結果として除去されている。いくつかの使用方法では、天然の弁尖は接合補助要素の後面に付着する。いくつかの使用方法では、接合補助要素は、弁輪または心房壁ではなく、後尖の前面に付着してもよい。これらは、いくつかの変形例であるが、更に他のものが想起される。いくつかの使用方法では、固定構造(図示せず)が、接合補助要素から心房壁を通って冠状静脈洞内へと通ることができ、固定構造は冠状静脈洞内の噛合構造に付着する。いくつかの使用方法では、固定構造は、機械的構造または単純な縫合糸であることができ、心房壁を貫通し、心臓の心外膜表面で結び目またはクリップなどの機械的要素によって固定することができる。同様に、下方からの取付けは、心室筋に対してであってもよく、心尖を通って心外膜または心膜に入り、外側から固定されてもよく、または代替の取付け手段を使用して他の取付け部位で固定されてもよい。
【0048】
本明細書に記載する接合補助要素は、多数の所望の特性を示してもよい。いくつかの実施形態は、(弁輪組織の熱収縮、人工弁輪リングの埋込み、および/または弁面の上方もしくは下方、または冠状静脈洞もしくは関連する血管内における締付けメカニズムの配置などによる)僧帽弁輪の作り直しに依存する必要はない。有利には、弁尖構造を破壊する必要がなく、僧帽弁尖を共に係止または融合することに依存する必要もない。多くの実施形態は、心室の作り直しに対する依存を回避することができ、埋込み後は、可動域が限定されて非常に長い疲労寿命をもたらしてもよい、受動的な埋込みデバイスを表す。したがって、接合補助要素を後尖全体に固定し、その他は天然の心臓(例えば、心室、僧帽弁輪など)の解剖学的構造を無傷のまま残すことができる。
【0049】
僧帽弁接合不全の軽減は、どの弁尖セグメントが接合不全を起こしているかにかかわらず有効であってもよい。本明細書に記載する治療は、処置中に再位置付け可能であって、更には完全に配備した後および/または組織の応答が始まるかもしくは完了した後であっても除去可能であり、弁構造を損傷しない場合が多い、接合補助要素を利用することになる。それでもなお、本明細書に記載する接合補助要素は、不要になるものと上述した属性のうち1つ以上に依存する、1つ以上の療法と組み合わされてもよい。接合補助要素は、良性組織の治癒および迅速な内皮化を呈することができ、それによって転位、血栓塞栓症、感染、および/またはびらんを阻害する。場合によっては、接合補助要素は内皮化を呈さず、その表面が不活性なままであり、それによっても転位、血栓塞栓症、感染、および/またはびらんを阻害することができる。
【0050】
図5A~
図5Bは、接合補助要素500の一実施形態の2つの図を示している。接合補助要素500は、接合不全を起こしている天然の弁尖、僧帽弁の場合は後尖に向かって配設される第1の表面505と、前尖に向かって配設されてもよい第2の表面515とを含むことができる。第2の表面515は接合表面560を含むことができる。接合補助要素500の上縁部540は、本明細書に記載するように、弁輪または隣接する心房壁の全体形状に合致するように湾曲されてもよい。上縁部540は、
図5Aに示されるように、後尖に向かって下向きに湾曲させるか、または
図6に示され本明細書に記載されるように、左心房壁の全体形状に合致するように心房壁に向かって上向きに湾曲させることができる。
【0051】
接合補助要素500は、心房および心室内の取付け部位の間で弁を横断できるような幾何学形状を有することができる。いくつかの実施形態では、取付け部位は心房内のみにある。いくつかの実施形態では、取付け部位は弁の弁輪および交連付近のみにある。接合補助要素500は、下縁部580付近では取り付けないことができる。接合補助要素500は心室取付けを要しない。いくつかの実施形態では、接合補助要素500の幾何学形状は、弁内における接合補助要素500の位置を維持する助けとなる。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は後尖を覆うように湾曲される。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は上縁部540に向かって後向きに湾曲される。接合補助要素500は、前尖がそこに接して接合する接合表面560を提供してもよい。
図5Aおよび
図5Bはその幾何学形状を示している。
【0052】
いくつかの使用方法では、後尖は無傷のままにすることができる。接合補助要素500は、後尖を効率的に封止するように心房または弁輪に付着してもよい。いくつかの使用方法では、後尖は除去することができる。接合補助要素500は、弁尖が除去されるかまたは既に除去されている場合、後尖に取って代わることができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は弁輪の取付けのみを要する。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は単一点での取付けのみを要する。単一点は、接合補助要素500の中央位置、例えば中央に位置するハブであってもよい。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は、縁部に沿って心房または弁輪に付着してもよい。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は、接合補助要素500の縁部から離れた位置で、例えば中央に位置するハブで、心房または弁輪に付着してもよい。
【0053】
接合補助要素500は、弁輪アンカー800を係合する弁輪ハブ520を含むことができる。弁輪アンカー800は、本明細書に記載する、ドライバによって近位端で係合されてもよい。弁輪アンカー800は、組織を係合する尖った先端を含むことができる。いくつかの使用方法では、接合補助要素500を送達する間、弁輪アンカー800の先端は弁輪ハブ520内にある。いくつかの使用方法では、送達中、弁輪アンカー800の先端は環状区画510の上方にある。弁輪アンカー800の先端は、弁輪アンカー800を回転させて組織を係合するまで、弁輪ハブ520内に入り込んだままであることができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は、体外で組み立てて、弁輪ハブ520を介して弁輪アンカー800を接合補助要素500に、またドライバを弁輪アンカー800に係合することができる。ドライバは、次に、接合補助要素500が折畳み位置にある状態で、送達カテーテル内へと撤回することができる。ドライバは、施術者によって、弁輪アンカー800を適切な位置に配置するように別個に操作されてもよい。あるいは、弁輪アンカー800は、送達カテーテルを通して配備する前または後に、接合補助要素500および/またはドライバに逐次的に係合されてもよい。接合補助要素500は、配置後は後尖を完全に覆って、収縮期中は接合補助要素500が前尖と接合し、天然の前尖を用いて環状リングでの弁封止を維持することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800は能動アンカーである。ユーザは、選択的に弁輪アンカー800を係合し、または組織から係脱することができる。返しまたは他の受動アンカーとは異なり、弁輪アンカー800は、組織を係合するためには回転などによって活性化させなければならない。弁輪アンカー800によって、弁輪アンカー800を係合する前に接合補助要素500を配置することが可能になる。接合補助要素500は、弁輪アンカー800に何ら接着することなく、組織と接触することができる。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800および対応するハブ520は、接合補助要素500上の中央に配置される。弁輪アンカー800および対応するハブ520は、接合補助要素500のいずれの縁部からも離隔される。弁輪アンカー800および対応するハブ520の位置は、接合補助要素500が弁輪ハブ520によって保持されたときの接合補助要素500の揺れを防ぐ、中立の中央であることができる。対応するハブ520は、接合補助要素500を保持し移動させる有利な位置を提供する。
【0055】
弁輪ハブ520は、内蔵のまたは結合された弁輪アンカー800を有してもよい。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800は、弁輪ハブ520内で、本明細書に記載するクロスピンによって保定することができる。クロスピンは、弁輪アンカー800のらせん構造を貫通して、鈍力によって弁輪アンカー800が弁輪ハブ520から外れるのを防いでもよい。弁輪アンカー800は、弁輪ハブ520に対して回転可能ならせんを含んでもよい。いくつかの実施形態では、他のアンカーが使用されてもよい。弁輪アンカー800は、接合補助要素500から心室中隔を通って右心室まで延在する、係留具または他の取付け手段の形態であってもよい。弁輪アンカー800は、心尖を通って心外膜または心膜内へと延在する、係留具または他の取付け手段の形態であってもよい。弁輪アンカー800は、心臓の外側から、組み合わされた心内膜側/心外膜側処置で固定されてもよい。らせん状のアンカーが使用される場合、プラチナ/Ir、ニチノール合金、および/またはステンレス鋼など、生体不活性材料を含んでもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、接合補助要素500は、弁輪ハブ520内部に単一の中央弁輪アンカー800を含むことができる。接合補助要素500は、送達カテーテルを弁輪ハブ520に取り付けることによって、本明細書に記載するように経皮的に送達することができる。接合補助要素500は、弁輪アンカー800を除去および再取付けすることによって、調節可能な位置付け向けに構成することができる。接合補助要素500は、弁輪アンカー800を除去し、接合補助要素500を撤回することによって、再捕捉可能であることができる。接合補助要素500はまた、交連アンカー、心室アンカー、弁輪アンカー、返し、係留具、または他の任意の既知の固着デバイスを含む、補助アンカーを含むことができる。
【0057】
図5A~
図5Bに見ることができるように、接合補助要素500は複数の支柱530を含むことができる。いくつかの実施形態では、支柱530の1つ以上は、ハブ520で終端する一端と、接合補助要素500の上縁部540、横縁部570および575、ならびに下縁部580のうちの1つに向かって径方向外向きに延在する他端とを有する。支柱530は、ハブ520から様々な方向で外向きに延在してもよく、規則的または不規則な間隔で、隣接する支柱530から離隔することができる。いくつかの実施形態では、隣接する支柱530は、隣接する支柱530に対して約5度~約45度、約10度~約30度、または約5、10、15、20、25、もしくは30度の角度で、ハブから外向きに延在する。支柱530は、配置の際に接合補助要素500の形状を維持するのを補助するため、接合補助要素500の長手方向軸線に対してほぼ平行に配列されてもよい。支柱530は、接合補助要素500がカテーテルを通して配備するために低減された構成をとることを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント500の接合区域の一部分を形成する支柱530は、インプラントの環状区域の一部分のみを形成する支柱530よりも長い最大長さを有する。いくつかの実施形態では、インプラントの接合区域の一部分を形成する支柱530は、例えば、インプラントの環状区域の一部分を形成する支柱530よりも、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、75%、100%、125%、または150%長いものであることができる。
【0058】
図5Aは、弁輪アンカー部位535を有する接合補助要素500の図を示している。弁輪アンカー部位535は支柱530の一部分であることができる。弁輪アンカー部位535は、
図5Aの接合補助要素500から下向きに延在して示されている。他の実施形態では、弁輪アンカー部位535は、接合補助要素500から他の方向で延在して、組織を係合してもよい。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー部位535は、尖った先端を有する1つ以上の返しを備える。弁輪アンカー部位535は受動アンカーであってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、接合補助要素500は1つ以上の後退可能な返しを含むことができる。例えば、返しは、接合補助要素500の送達中に後退させることができる。例えば、返しは、接合補助要素500が解剖学的構造に対して位置付けられた後に前進させることができる。いくつかの実施形態では、返しは能動的に後退および/または前進させられる。例えば、本明細書に記載する送達カテーテルは、返しを後退および/または前進させるように設計された、返しに結合されたメカニズムを含むことができる。他の実施形態では、返しは受動的に前進および/または後退させられる。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は返しが後退状態にある形で送達される。いくつかの実施形態では、返しは、本明細書に記載するような弁体カバーによって覆うことができる。いくつかの実施形態では、組織と弁体カバーとの間の境界面は、弁体カバーを押し戻し、返しを露出させる。いくつかの実施形態では、組織は、弁体カバーの一部分を溶解および/または吸収し、返しを露出させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する巾着縫合糸の動きによって返しが前進する。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸の動きによって弁体カバーが動いて返しを露出させる。他の構成が想起される。
【0060】
弁輪アンカー部位535は、いくつかの実施形態では、天然の弁の内側交連と外側交連との間の距離、即ち交連間距離(intracommissural distance、ICD)に対応してもよい、
図5Bに示される直径D1を規定してもよい。D1は、20~60mmの範囲であってもよく、いくつかの実施形態では、好ましい長さは、最も広い範囲のヒト僧帽弁のICDに最も近い、35~45mmである。いくつかの実施形態では、D1は、右線維三角から左線維三角までの距離であってもよい。
【0061】
接合補助要素500は、ほぼ環状の区画510を含むことができる。環状区画510は、接合補助要素500が配備されるとき、天然の弁尖の上方に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、環状区画510は、弁輪に向かって湾曲されるか、または弁輪から離れる方向で湾曲されてもよい。環状区画510は凹状であることができる。他の実施形態では、環状区画510は弁輪に対して実質的に平坦であってもよい。支柱530の1つ以上は、ハブ520から上縁部540に向かって横方向に湾曲して、配備の際に、接合補助要素500の環状区画510の形状を維持するのを支援してもよい。接合補助要素500は、ハブ520から弁輪アンカー部位535に向かって下向きに湾曲することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は後尖に接しない。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー部位535は、僧帽弁の後弁輪と接合補助要素500の唯一の接点である。上縁部540は環状の曲率半径を含むことができる。環状曲線半径は弁輪に向かって湾曲することができる。環状曲線半径は接合表面560に向かって湾曲することができる。いくつかの実施形態では、環状曲線半径は、0mm~5mm、5mm~10mm、10mm~15mm、15mm~20mm、20mm~25mm、25mm~30mmなどであることができる。
【0062】
支柱530は、X線不透過性材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、支柱530は、形状記憶金属、例えばニチノール、または形状記憶ポリマーなど、弾性的に変形可能な材料で構成される。いくつかの実施形態では、材料はエルジロイである。他の実施形態では、支柱530は、ステンレス鋼、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(PE)、ダクロン、SISなどの無細胞コラーゲンマトリックス(acellular collagen matrix)、または他のプラスチックなどを含むように、他の材料で構成されてもよい。他の実施形態では、支柱530は、高密度PEシースと、それに囲まれたePTFE、ダクロン、および/またはポリプロピレンのコアなどの組み合わせであってもよい。支柱530は、円形断面もしくは楕円形断面を有してもよく、またはリボン形であってもよい。いくつかの実施形態では、支柱530はコイルばねまたはジグザグ形状である。支柱430は一貫した剛性を有してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は、1つ以上の支柱530の長さに沿って異なる剛性を有することができる。支柱530は、接合補助要素500の心室側端部よりも弁輪側端部の方が剛性が高くてもよい。支柱530は、接合補助要素500の心室側端部よりも弁輪側端部の方が剛性が低くてもよい。支柱530は、中点で、例えば反曲点または曲線において剛性が高くてもよい。支柱530は、1つ以上の他の支持構造と共に、フレームを形成することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素500の上縁部540に平行に延び、上縁部540の形状を維持するのを支援する、1つ以上の支持構造が提供されてもよい。支柱530および/またはフレームの他の支持構造は、いくつかの実施形態では、ニチノールチューブからレーザー切断することができる。
【0063】
接合補助要素本体カバー550は、ePTFEなどの材料で構成されてもよい。接合補助要素本体カバー550の他の材料としては、ポリエステル、ポリウレタン発泡体、ポリカーボネート発泡体、ブタ心膜などの生体組織、処理済みのウシ心膜、胸膜、腹膜、シリコーン、ダクロン、無細胞コラーゲンマトリックスなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、接合補助要素本体カバー550は、ePTFEに取り囲まれた発泡体材料を含むことができる。スポンジまたは発泡体材料の使用によって、いくつかの実施形態では、接合補助要素500を折り畳んでカテーテルに通すのに十分に小さい直径にする能力が向上する。いくつかの実施形態では、接合補助要素本体カバー550は孔を有さない。他の実施形態では、接合補助要素本体カバー550は、内皮化および細胞取付けを向上させる細孔を有してもよい。接合補助要素本体カバー550はまた、より良好な可視化のため、X線不透過性材料またはエコー増強材料を組み込んでもよい。支柱530またはハブ520の支持境界面を含む、接合補助要素500の任意の支持構造は、金またはプラチナまたはバリウム含浸材などのX線不透過性材料で覆われてもよい。接合表面560はエコー増強材料で覆われてもよい。接合補助要素本体カバー550は、ヘパリン結合もしくはキノリンおよびキノキサリン化合物などの血栓症を阻害する材料で、または内皮化を加速する材料で、または感染を阻害する抗生物質で覆われてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する巾着縫合糸1010は、より良好な可視化のため、X線不透過性材料またはエコー増強材料を組み込むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、支柱530は、接合補助要素本体カバー550の層の間に挟み込まれてもよい。接合補助要素本体カバー550は、第1の表面505および第2の表面515上において同じ材料で構成されてもよい。接合補助要素本体カバー550は、第1の表面505またはその一部分および第2の表面515またはその一部分上において異なる材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、支柱530は、接合補助要素本体カバー550の単一層の第1の表面505もしくは第2の表面515に取り付けられるか、またはそれに埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態では、支柱530は、接合補助要素本体カバー550を通して「縫い込まれて」もよい。弁輪アンカー部位535は、接合補助要素本体カバー550から露出した支柱530の端部であることができる。
【0065】
接合補助要素500は巾着縫合糸1010を含むことができる。巾着縫合糸1010は接合補助要素500の一部分に沿って延在することができる。巾着縫合糸1010は上縁部540またはその一部分に沿って延在することができる。巾着縫合糸1010は横縁部570またはその一部分に沿って延在することができる。巾着縫合糸1010は横縁部575またはその一部分に沿って延在することができる。巾着縫合糸1010は下縁部580またはその一部分に沿って延在することができる。巾着縫合糸1010は接合補助要素500の周囲またはその一部分に沿って延在することができる。巾着縫合糸1010は1つ以上の支柱530に沿って延在することができる。巾着縫合糸1010は、直線経路、非直線経路、曲線、半円、または任意の開形状もしくは閉形状で延在することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、巾着縫合糸1010は弁体カバー550の層の間に挟み込まれてもよい。例えば、巾着縫合糸1010は、接合補助要素本体カバー550の層間の管腔内に配設することができる。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸1010は、弁体カバー550の単一層の第1の表面505もしくは第2の表面515に取り付けられるか、またはそれに埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸1010は、接合補助要素本体カバー550を通して「縫い込まれて」もよい。巾着縫合糸1010は、第1の表面505から第2の表面515へと通り、第1の表面505に戻ることができる。巾着縫合糸1010は、接合補助要素本体カバー550から露出した1つ以上の端部を含むことができる。巾着縫合糸1010がループである実施形態では、巾着縫合糸は、弁体カバーからのループの1つ以上の露出区画を含むことができる。
【0067】
接合補助要素500は、巾着縫合糸1010を引き締めることによって折り畳まれてもよい。接合補助要素500は、巾着縫合糸1010を緩めることによって拡張されてもよい。1つ以上の露出端部またはループは、送達カテーテルまたは他のツールで巾着縫合糸1010を引き締めるかもしくは緩めることによって、操作することができる。接合補助要素500を折り畳むかまたは拡張できることは、接合補助要素500の再捕捉および/または接合補助要素500の再位置付けに有益なことがある。
【0068】
接合補助要素500は、1つ以上の巾着縫合糸1010を引き締めることおよび/または1つ以上の巾着縫合糸1010を緩めることによって回転させてもよい。例えば、横縁部570で1つ以上の巾着縫合糸1010を引き締めること、および/または横縁部575で1つ以上の巾着縫合糸1010を緩めることで、接合補助要素500を回転させてもよい。1つ以上の巾着縫合糸1010は、多方向の回転を可能にするように接合補助要素500に結合されてもよい。
【0069】
接合補助要素500は、巾着縫合糸1010を緩めることによって拡張されてもよい。1つ以上の露出端部またはループは、送達カテーテルまたは他のツールで巾着縫合糸1010を引き締めるかもしくは緩めることによって、操作することができる。接合補助要素500を折り畳むかまたは拡張できることは、接合補助要素500の再捕捉および/または接合補助要素500の再位置付けに有益なことがある。
【0070】
接合補助要素500の接合表面560は、巾着縫合糸1010の動きによって調節されてもよい。1つ以上の露出端部またはループは、送達カテーテルまたは他のツールで巾着縫合糸1010を引き締めるかもしくは緩めて、接合表面560の曲率を現場で変更することによって操作することができる。接合補助要素500の曲率を調節できることは、前尖の幾何学形状を含む心臓の幾何学形状に合わせて適合するのに有益なことがある。
【0071】
接合補助要素500の環状寸法は、巾着縫合糸1010の動きによって調節されてもよい。1つ以上の露出端部またはループは、送達カテーテルもしくは他のツールで巾着縫合糸1010を引き締めるかまたは緩めて、接合補助要素500の1つ以上の寸法を現場で変更することによって操作することができる。接合補助要素500の寸法を調節できることは、心臓の幾何学形状に合わせて適合するのに有益なことがある。
【0072】
接合補助要素500は1つ以上の巾着縫合糸1010を含むことができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は、1本の巾着縫合糸、2本の巾着縫合糸、3本の巾着縫合糸、4本の巾着縫合糸、5本の巾着縫合糸、6本の巾着縫合糸、7本の巾着縫合糸、8本の巾着縫合糸、9本の巾着縫合糸、10本の巾着縫合糸などを含む。例えば、巾着縫合糸1010は、接合補助要素500の各縁部に沿って延在することができる。複数の巾着縫合糸が設けられる場合、巾着縫合糸1010は共に作用して、接合補助要素500の構成を変更することができる。複数の巾着縫合糸が設けられる場合、巾着縫合糸1010は独立して作用して、接合補助要素500の構成を変更することができる。
【0073】
図5Aは、弁輪によって規定される面に対して垂直に測定した下縁部580と弁輪ハブ520との間の距離に対応する、接合要素高さを更に示している。いくつかの実施形態の接合要素高さは、10~80mmであってもよく、いくつかの実施形態では40~55mmの範囲である。接合要素高さは、10~20mm、20~30mm、30~40mm、40~50mm、50~60mm、60~70mm、70~80mmなどであることができる。
【0074】
図5Aは、接合補助要素500が、上縁部540と、横縁部570および575と、下縁部580とを有するような、接合補助要素500のほぼ三角形の形状を示している。いくつかの実施形態では、上縁部540は下縁部580よりも長い長さを有するので、横縁部570および575の間の横断方向距離は、接合補助要素500の上部から下部までで全体的に減少する。例えば、上縁部540の長さは、15~50mmまたは25~35mmの範囲であってもよく、下縁部580の長さは、1~15mmまたは2~6mmの範囲であってもよい。
【0075】
弁輪ハブ520は、ハブ、アイレット、または当該分野で知られている他の任意の係留部位であってもよい。いくつかの実施形態では、弁輪ハブ520は距離D1の中点に位置する。いくつかの実施形態では、弁輪ハブ520は、接合補助要素500が弁輪ハブ520によって保持されたときの接合補助要素500の揺れを防ぐ、中立の中央に位置する。他の実施形態では、弁輪ハブ520は交連の1つに位置する。1つの弁輪アンカー800のみが示されているが、他の実施形態では、2つ以上の弁輪ハブ520が設けられてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、支柱530はNiTi管材を含むことができる。いくつかの実施形態では、支柱530は管材からレーザー切断することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530および/または1つ以上の支持構造を含むフレームを、単一の材料片からレーザー切断することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530、弁輪ハブ520、および/または1つ以上の支持構造を含むフレームを、一体的に形成することができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素本体カバー550はePTFE積層材を含む。積層材は、支柱530および/または1つ以上の支持構造の1つ以上(例えば、1つの面、2つの面、第1の面505、第2の面515)を取り囲むことができる。支柱530および/または1つ以上の支持構造は、2つ以上の積層材層によって封入することができる。接合補助要素500の環状区画510の周囲は下向きのカップ状であることができる。接合補助要素500の環状区画510の周囲は上向きのカップ状であることができる。接合補助要素500の環状区画510の周囲は、弁輪アンカー部位535などの補助アンカーを含むことができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800および弁輪ハブ520は、単一の中央アンカーシステムを形成する。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は、ハブ520を貫通する1つのみの弁輪アンカー800によって組織に固着される。他の実施形態では、追加の固定が含まれる。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は、本明細書に記載されるように、ハブ520および弁輪アンカー部位535を貫通する、1つのアンカー800によって組織に固着される。システムは、接合補助要素500の回転調節を可能にする特徴を含むことができる。例えば、ハブ520および/または弁輪アンカー800は、送達カテーテルに結合されて、軸線方向移動および/またはトルクの伝達を可能にすることができる。接合補助要素500は、ハンドルなどの送達カテーテルの特徴の回転によって、接合補助要素500の回転を引き起こすように、送達カテーテルによって移動不能に把持することができる。接合補助要素500は、駆動軸などの送達カテーテルの特徴の軸線方向移動によって、接合補助要素500の軸線方向移動を引き起こすように、送達カテーテルによって移動不能に把持することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、ハブ520は、接合補助要素500上の中立位置に位置する。中立位置は環状区画510の中央位置であることができる。中立位置は横縁部505、515の間であることができる。中立位置は、上縁部540と接合表面560との間であることができる。中立位置は、接合補助要素500がハブ520および/または弁輪アンカー800などの単一の位置で把持されたとき、接合補助要素500の安定性を向上することができる。中立位置は、僧帽弁の構造と位置合わせすることができる。中立位置は、接合区域に沿って位置合わせすることができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、接合補助要素500は、本明細書に記載されるように経皮的に送達される。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は送達カテーテルを介して調節可能である。例えば、接合補助要素500は、送達カテーテルによって拡張し、ならびに/または折り畳むことができる。例えば、接合補助要素500は、弁輪ハブ520の固定位置を中心にして回転させることができる。例えば、接合補助要素500は再捕捉可能であることができる。例えば、接合補助要素500は、送達カテーテルによって係合および再係合することができる。例えば、弁輪アンカー800を組織から係脱することができ、送達カテーテルが接合補助要素500を再捕捉することができる。
【0080】
図5C~
図5Dは、接合補助要素500のフレーム565の実施形態を示している。これらの図は、曲げおよび/または形状設定前のフレーム565の扁平なパターンを示した。いくつかの実施形態では、フレーム565は管状の原料から切断される。他の実施形態では、フレーム565は、平坦な材料シートなどの平坦な原料から切断される。フレーム565は、その部分を含めてレーザー切断することができる。フレーム565は1つ以上の支柱530を含むことができる。
図5Dに示される実施形態では、フレーム565は20の支柱530を含むが、他の構成が想起される(例えば、1つの支柱、2つの支柱、3つの支柱、4つの支柱、5つの支柱、5~10の支柱、10~15の支柱、15~20の支柱、20~25の支柱、25~30の支柱など)。
【0081】
いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530はバッキング585に結合される。いくつかの実施形態では、バッキング585は支柱530の方向を横断する。図示される実施形態では、バッキング585は垂直またはほぼ垂直であり、支柱530は水平またはほぼ水平である。いくつかの実施形態では、バッキング585は弁輪ハブ520である。例えば、バッキング585の2つの端部は、当該分野で知られている方法を使用して接合されて、弁輪ハブ520を形成することができる。2つの端部は、例えば、フレーム565が平坦な原料から切断される場合に接合される。他の実施形態では、フレーム565は管状の原料から形成される。バッキング585は、切断していない管状の原料の一部分であることができる。バッキング585の2つの端部は、フレーム565が管状の原料から形成される場合、接合する必要がないことがある。切断されていない管状の原料は、弁輪ハブ520を形成することができる。
図5Dに示されるようなフレーム565のパターンは、管状の原料から切断することができ、それによってバッキングの2つの端部を接合する必要性が排除される。フレーム565を形成する他の製造モードが想起される。他の実施形態では、バッキング585は弁輪ハブ520の少なくとも一部分を形成する。いくつかの実施形態では、バッキング585は弁輪ハブ520の少なくとも一部分を取り囲む。いくつかの製造方法では、バッキング585は円の形状に形成することができる。いくつかの製造方法では、支柱530は、バッキング585が円状に形作られると、バッキング585から径方向外向きに延在する。バッキング585は、本明細書に記載されるように、クロスピンを受け入れるように設計された1つ以上の開口部を含むことができる。いくつかの製造方法では、バッキング585は除去される。
【0082】
図5Aおよび
図5Cを参照すると、複数の支柱530が、弁輪ハブ520から下縁部580まで延在することができる。いくつかの実施形態では、これらの支柱530は、フレーム565の他の支柱530よりも長い。いくつかの実施形態では、支柱530は、心室壁を含む弁下部構造と相互作用する、アンカーまたは返しを含むことがある。いくつかの実施形態では、これらの支柱は、後尖または別の解剖学的構造を係合する。いくつかの実施形態では、心室固定は受動的である。
【0083】
図5A~
図5Dを参照すると、複数の支柱530が、弁輪ハブ520から上縁部540まで延在することができる。いくつかの実施形態では、これらの支柱530は、フレーム565の他の支柱530よりも短い。いくつかの実施形態では、これらの支柱530は、本明細書に記載する心房アンカーおよび/または弁輪アンカー部位535を形成する。いくつかの実施形態では、これらの支柱は、弁輪または別の解剖学的構造を係合する。いくつかの実施形態では、弁輪固定は受動的である。
【0084】
図5Aおよび
図5Dを参照すると、複数の支柱530が、弁輪ハブ520から横縁部570および575まで延在することができる。いくつかの実施形態では、これらの支柱530は、心室支柱と心房支柱の中間の長さを有する。いくつかの実施形態では、これらの支柱は、交連または別の解剖学的構造を係合する。いくつかの実施形態では、交連固定は受動的である。
【0085】
支柱530は、接合補助要素500の所望の形状に基づいて、様々な長さを有することができる。
図5C~
図5Dに示されるように、2つ以上の支柱530は異なる長さを有する。
図5C~
図5Dに示されるように、2つ以上の支柱530は同じ長さを有する。
図5Cは、フレーム565の概略モデルを示している。上側3つの支柱のうち1つ以上は、接合表面560を形成し、下縁部まで延在することができる。下側3つの支柱のうち1つ以上は、環状部分を形成し、上縁部まで延在することができる。支柱530はチューブからレーザー切断することができる。長さは、弁輪ハブ520から接合補助要素500の縁部までで測定することができる。支柱長さの範囲は1mm~50mmであることができる。環状部分510の場合、支柱長さの範囲は5mm~35mmであることができる。環状部分510の場合、支柱長さは約15mmであることができる。接合表面560の場合、支柱長さの範囲は20mm~35mmであることができる。接合表面560の場合、支柱長さは約30mmであることができる。支柱長さの範囲の他の構成、例えば、5mm~45mm、10mm~40mm、15mm~35mm、約5mm、約10mm、約15mm、約20mm、約25mm、約30mm、約35mm、約40mm、約45mm、約50mm、約55mm、約60mm、1mm~10mm、5mm~15mm、10mm~20mm、15mm~25mm、20mm~30mm、25mm~35mm、30mm~40mmなどが想起される。
【0086】
幅は、支柱長さに対して垂直に測定することができる。支柱幅の範囲は0.1mm~2mmであることができる。1つ以上の支柱は、約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2mm、5mm未満、1mm未満、1.5mm未満、2mm未満などの外径または幅を有することができる。1つ以上の支柱530は、支柱長さに沿って変動する幅を有することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は、接合補助要素500の縁部付近で先細になる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は弁輪ハブ520付近で先細になる。1つ以上の支柱530は、1つ以上の支柱530と弁輪ハブ520との間の接続部で、低減された直径またはテーパーを含むことができる。弁輪ハブ520付近のテーパーは、接合補助要素500の折畳みを助けることができる。弁輪ハブ520付近のテーパーは、接合補助要素500を送達カテーテルに挿入するのを容易にすることができる。テーパーは、折畳み中の支柱530における応力および/または歪みを低減することができる。いくつかの実施形態では、テーパーはより長い疲労寿命を助けることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は幅が変動するテーパーを含む。支柱530の幅は、支柱530の長さに沿って変動することができる。1つ以上の支柱530は、支柱530の長さに沿ってアイレットを含むことができる。いくつかの実施形態では、アイレットは支柱530の応力を低減することができる。いくつかの実施形態では、アイレットは、支柱530と弁体カバー550との間の接着を容易にすることができる。
【0087】
厚さは、支柱長さおよび支柱幅に対して垂直に測定することができる。厚さは、本明細書に記載するような、フレームの材料の厚さによって決定することができる。支柱厚さの範囲は0.2mm~0.5mmであることができる。1つ以上の支柱は、約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2mm、5mm未満、1mm未満、1.5mm未満、2mm未満などの厚さを有することができる。
【0088】
1つ以上の支柱530は返しを含むことができる。いくつかの実施形態では、返しは、接合補助要素500の心室側端部付近に配置するように構成することができる。いくつかの実施形態では、返しは支柱530の面から外に曲げることができる。いくつかの実施形態では、返しはバヨネット構成を有することができる。いくつかの実施形態では、返しは尖った先端を有することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は二又状であることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は1つ以上のジグザグ区画を含むことができる。いくつかの実施形態では、ジグザグ区画は、支柱530の応力を低減および/または可撓性を増加する。いくつかの実施形態では、ジグザグ区画は、支柱530と接合補助要素本体カバー550との間の接着を容易にする。
【0089】
いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は補足の返しを含むことができる。いくつかの実施形態では、補足の返しは支柱530の面から外に曲げることができる。いくつかの実施形態では、支柱長さの1つ以上の部分が支柱の面から外に曲げられる。例えば、支柱の一部分を、製造中に捩るかまたは曲げることができる。いくつかの実施形態では、面から外に曲げられる部分は組織を係合するように形作られる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は、電解研磨または他の製造後プロセスを補償する増加した幅を含むことができる。いくつかの実施形態では、バッキング585は、本明細書に記載する送達カテーテルを係合する1つ以上の特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、バッキング585は、本明細書に記載するような送達カテーテルの係止タブまたは他の特徴と境界で接するように設計された、1つ以上の切欠きを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は他の支柱530よりも広い幅を含むことができる。いくつかの実施形態では、フレーム565は、他の支柱530よりも広い幅を有する2つ以上の支柱530を含む。2つ以上の支柱530は、接合補助要素500の可視化を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、より広い幅を有する2つ以上の支柱530は、接合補助要素500が配備されたときに交連付近に位置するように設計される。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は、1つ以上の他の支柱と比べて狭い幅を有することができる。いくつかの実施形態では、各支柱530は弁輪ハブ520付近で同じ幅を有する。バッキング585は、本明細書に記載するように、送達カテーテルと境界で接するように修正することができる。バッキング585は、接合補助要素500のハブ内におけるアンカー800の独立した回転を可能にするように設計することができる。
【0090】
図5E、
図5F、および
図5Gは、返しがない接合補助要素500の一実施形態を示している。
図5Eは、接合補助要素500の概略斜視図を示している。
図5Fは、接合不全の天然の弁尖に向かって配設された第1の表面505の概略斜視図を示している。
図5Gは、アンカー800を含む概略断面図を示している。
【0091】
図5H、
図5I、および
図5Jは、弁尖アンカー部位545を有する接合補助要素500の一実施形態を示している。
図5Aに示されるように、返しなどの弁輪アンカー部位535は、接合補助要素500の縁部に沿って延在することができる。
図5H、
図5I、および
図5Jは、接合不全の天然の弁尖に向かって配設された第1の表面505から延在する、弁尖アンカー部位545を有する接合補助要素500の一実施形態を示している。
【0092】
図5Hは、弁尖アンカー部位545を示す拡大断面を含む、接合補助要素500の概略斜視図を示している。
図5Iは、接合不全の天然の弁尖に向かって配設された第1の表面505の概略斜視図を示している。
図5Jは、アンカー800を含む概略断面図を示している。
【0093】
いくつかの実施形態では、弁尖アンカー部位545は、尖った先端を有する1つ以上の返しを備える。弁尖アンカー部位545は受動アンカーであってもよい。いくつかの実施形態では、接合補助要素500は1つ以上の後退可能な返しを含むことができる。例えば、弁尖アンカー部位545は、接合補助要素500の送達中に後退させることができる。例えば、弁尖アンカー部位545は、接合補助要素500が解剖学的構造に対して位置付けられた後に前進させることができる。いくつかの実施形態では、弁尖アンカー部位545は能動的に後退および/または前進させられる。例えば、本明細書に記載する送達カテーテルは、返しを後退および/または前進させるように設計された、弁尖アンカー部位545に結合されたメカニズムを含むことができる。他の実施形態では、弁尖アンカー部位545は受動的に前進および/または後退させられる。いくつかの実施形態では、弁尖アンカー部位545は、本明細書に記載するような弁体カバーによって覆うことができる。いくつかの実施形態では、組織と弁体カバーとの間の境界面は、弁体カバーを押し戻し、弁尖アンカー部位545を露出させる。いくつかの実施形態では、組織は、弁体カバーの一部分を溶解および/または吸収し、弁尖アンカー部位545を露出させる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載する巾着縫合糸の動きによって弁尖アンカー部位545が前進する。いくつかの実施形態では、巾着縫合糸の動きによって弁体カバーが動いて弁尖アンカー部位545を露出させる。他の構成が想起される。
【0094】
1つ以上の支柱530は、支柱530の長さに沿って1つ以上の返しを有してもよい。図示される実施形態では、5つの支柱530がそれぞれ、支柱の長さに沿って4つの弁尖アンカー部位545を有する。支柱530の数が異なる(例えば、1つの支柱、2つの支柱、3つの支柱、4つの支柱、5つの支柱、6つの支柱、7つの支柱、8つの支柱、9つの支柱、10の支柱など)、また1つの支柱530当たりの弁尖アンカー部位545の数が異なる(例えば、1つの返し、2つの返し、3つの返し、4つの返し、5つの返し、6つの返し、7つの返し、8つの返し、9つの返し、10の返しなど)、他の構成が想起される。1つ以上の支柱530が、同じ数の弁尖アンカー部位545を有することができる。2つ以上の支柱530が、異なる数の弁尖アンカー部位545を有することができる。弁尖アンカー部位545は、後尖を係合するように配設することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、支柱530は、弁体カバー550の層の間に挟み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、支柱530は、弁体カバー550の単一層の第1の表面505もしくは第2の表面515に取り付けられるか、またはそれに埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態では、支柱530は、弁体カバー550を通して「縫い込まれて」もよい。第1の表面505は、弁尖アンカー部位545のための1つ以上の開口部を含むことができる。他の実施形態では、弁尖アンカー部位545は弁体カバー550を通過することができる。弁尖アンカー部位545は、第1の表面505に力を働かせることができる、予め設定された曲線を有することができる。弁尖アンカー部位545は、弁体カバー550を切り開くように尖らせることができる。
【0096】
フレーム565は多くの利点を有することができる。フレーム565は、扁平なパターンから形成することができる。フレーム565は、弁輪ハブ520を形成する縁部を含むことができる。縁部は長手方向のストリップまたはバッキング585を含むことができる。1つ以上の支柱530がバッキング585から延在することができる。
図5Cおよび
図5Dの図示される実施形態では、1つ以上の支柱530は長手方向のストリップに対して垂直である。支柱530はほぼ平行である。いくつかの実施形態では、支柱530は、弁輪ハブ520を形成するバッキング585に対してほぼ垂直である。いくつかの実施形態では、支柱530はバッキング585と共にある角度を形成する。例えば、支柱530の長手方向軸線は、バッキング585と共に鋭角を形成することができる。角度は、支柱530を折り畳んで送達カテーテルに入れるのを助けることができる。
【0097】
フレーム565は、単一の平坦なシート材料から構築することができる。フレーム565は、水噴射、レーザーエッチング、または類似の技術を使用して精密に切断することができる。返しを含む支柱530の細部を機械加工して、支柱530にすることができる。フレーム565は、所望の幾何学形状を達成するように曲げ、および/または形状設定することができる。いくつかの実施形態では、バッキング585は折り畳まれてループを形成する。フレーム565を巻いて管状の形状にすることができる。バッキング585は、溶接または別の方法で固定することができる。バッキング585は、ループを形成するように端部を合わせて固定されると、弁輪ハブ520と見なすことができる。
【0098】
支柱530は曲げられて所望の構成となる。支柱530は1つ以上の曲線を形成することができる。支柱530は1つ以上の反曲点を有することができる。支柱530は、凹状部分および/または凸状部分を有することができる。1つ以上の支柱530は、反曲点で始まる径方向外向きのフレアを含むことができる。いくつかの実施形態では、上縁部540は、下縁部580から離れる方向で上向きに湾曲される。いくつかの実施形態では、上縁部540は下縁部580に向かって下向きに湾曲される。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱530は実質的に平坦であることができる。交連付近の支柱530は実質的に平坦であることができる。いくつかの実施形態では、下縁部580は上縁部540に向かって後向きに湾曲される。いくつかの実施形態では、下縁部580は上縁部540から離れる方向で前向きに湾曲される。
【0099】
支柱530は、弁輪ハブ520の円周の周りで均等に離隔することができる。支柱530は、弁輪ハブ520の円周の周りで不均等に離隔することができる。弁輪ハブ520の円周の一部分に沿って延在する支柱530は、弁輪ハブ520の円周の別の部分に沿って延在する支柱とは異なる。支柱530の1つ以上の指定部分は、心臓の弁輪領域付近に位置するように設計することができる。支柱530の1つ以上の指定部分は、心臓の交連領域付近に位置するように設計することができる。支柱530の1つ以上の指定部分は、心臓の心室領域付近に位置するように設計することができる。径方向に延在する支柱530の幾何学形状は、患者の幾何学形状に合致するように形作ることができる。いくつかの実施形態では、幾何学形状は患者固有である。施術者は、心臓の幾何学形状に基づいて、1つ以上の支柱530を形作ることができる。施術者は、患者の幾何学形状に基づいて、1つ以上の支柱530の形状を修正することができる。
【0100】
図5Kは、接合補助要素500の寸法を示している。接合補助要素500は寸法Aを含むことができる。寸法Aは、線形の突出した寸法または後部突起であることができる。いくつかの実施形態では、寸法Aの範囲は1mm~40mmであることができる。いくつかの実施形態では、寸法Aの範囲は4mm~24mmであることができる。寸法Aの範囲の他の構成、例えば、5mm~35mm、10mm~30mm、15mm~25mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、1mm~10mm、5mm~15mm、10mm~20mm、15mm~25mm、20mm~30mm、25mm~35mm、30mm~40mmなどが想起される。後部突起がない場合、例えば接合補助要素500が直線の場合、寸法Aは0mmであることができる。
【0101】
接合補助要素500は寸法Bを含むことができる。いくつかの実施形態では、寸法Bは曲率半径であることができる。曲率半径は、本明細書に記載するように、凹状または凸状であることができる。いくつかの実施形態では、寸法Bの範囲は1/16インチ~1/2インチであることができる。いくつかの実施形態では、寸法Bの範囲は1.5mm~13mmであることができる。いくつかの実施形態では、寸法Bの範囲は1/4インチ~3/8インチであることができる。いくつかの実施形態では、寸法Bの範囲は6mm~9.5mmであることができる。いくつかの実施形態では、寸法Bの範囲は1mm~15mmであることができる。寸法Bの範囲の他の構成、例えば、2mm~14mm、3mm~13mm、4mm~12mm、5mm~11mm、6mm~10mm、7mm~9mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、1mm~10mm、5mm~15mm、10mm~20mmなどが想起される。曲率がない場合、例えば接合補助要素500が直線の場合、寸法Bは0mmであることができる。
【0102】
接合補助要素500は寸法Cを含むことができる。いくつかの実施形態では、寸法Cは上縁部540付近の曲率半径であることができる。いくつかの実施形態では、寸法Cの範囲は1mm~10mmであることができる。いくつかの実施形態では、寸法Cの範囲は1mm~5mmであることができる。寸法Cの範囲の他の構成、例えば、2mm~9mm、3mm~8mm、4mm~7mm、5mm~6mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、1mm~15mm、5mm~10mm、3mm~9mmなどが想起される。曲率がない場合、例えば接合補助要素500が直線の場合、寸法Cは0mmであることができる。
【0103】
接合補助要素500は寸法Dを含むことができる。寸法Dは接合要素高さであることができる。寸法Dは、弁輪によって規定される面に垂直に測定した、下縁部580と心房アンカー部位または弁輪ハブ520との距離に相当することができる。いくつかの実施形態では、寸法Dの範囲は10mm~80mmであることができる。いくつかの実施形態では、寸法Dの範囲は40mm~55mmであることができる。寸法Dの範囲の他の構成、例えば、5mm~105mm、10mm~100mm、15mm~95mm、20mm~90mm、25mm~85mm、30mm~80mm、35mm~75mm、40mm~70mm、45mm~65mm、50mm~60mm、約10mm、約20mm、約30mm、約40mm、約50mm、約60mm、約70mm、約80mm、約90mm、約100mm、10mm~50mm、20mm~60mm、30mm~70mm、40mm~80mm、50mm~90mm、60mm~100mm、70mm~110mmなどが想起される。
【0104】
接合補助要素500は寸法Eを含むことができる。寸法Eは、線形の突出した寸法または前部突起であることができる。いくつかの実施形態では、寸法Eの範囲は2mm~20mmであることができる。いくつかの実施形態では、寸法Eの範囲は5mm~10mmであることができる。寸法Eの範囲の他の構成、例えば、0mm~25mm、5mm~20mm、10mm~15mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、約20mm、1mm~10mm、5mm~15mm、10mm~20mm、15mm~25mm、20mm~30mm、25mm~35mm、30mm~40mmなどが想起される。前部突起がない場合、寸法Eは0mmであることができる。
【0105】
接合補助要素500の支柱530は、接合表面560の後方湾曲を形成することができる。後方屈曲は、支柱の遠位側30~100%の曲げ長さを有することができる。いくつかの実施形態では、後方屈曲は、支柱の少なくとも遠位側40%の曲げ長さを有することができる。後方屈曲の角度は、接合補助要素500の長手方向軸線に対して0度~90度の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、後方屈曲の角度は45度~90度の範囲であることができる。
【0106】
図6は、接合補助要素600の一実施形態を示している。接合補助要素600は、接合補助要素500と類似していることができ、本明細書に記載する接合補助要素500の任意の特徴を含むことができると共に、後述する特定の追加の特徴を有する。
【0107】
接合補助要素600は、弁輪アンカー(図示せず)を係合する弁輪ハブ620を含むことができる。弁輪ハブ620は、本明細書に記載する弁輪アンカー800など、内蔵のまたは結合された弁輪アンカーを有してもよい。弁輪アンカーは、弁輪ハブ620に対して回転可能ならせんを含んでもよい。いくつかの実施形態では、接合補助要素600は、弁輪ハブ620内部に単一の弁輪アンカーを含むことができる。接合補助要素600は、送達カテーテルを弁輪ハブ620に取り付けることによって、本明細書に記載するように経皮的に送達することができる。
【0108】
図6に見ることができるように、接合補助要素600は支柱630を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ、2つ、またはそれ以上の支柱630は、弁輪ハブ620で終端する一端と、接合補助要素600の上縁部640、横縁部670および675、ならびに下縁部680に向かって径方向外向きに延在する他端とを有する。支柱630はハブ620から外向きに延在してもよい。支柱630は、配置の際に接合補助要素600の形状を維持するのを補助するため、接合補助要素600の長手方向軸線に対してほぼ平行に配列されてもよい。支柱630は、接合補助要素600がカテーテルを通して配備するために低減された構成をとることを可能にしてもよい。
【0109】
接合補助要素600は環状区画610を含むことができる。接合補助要素600が配備され、図示されるようなリップを形成したとき、環状区画610は、天然の弁尖の弁輪上方に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、環状区画610は、上向きに、例えば弁輪から離れるように、接合表面660とは実質的に反対側の、それに対して実質的に平行な方向で湾曲してもよく、埋め込まれると接合補助要素600の最上位部分を形成してもよい。環状区画610は凸状であることができる。他の実施形態では、環状区画610は弁輪に対して実質的に平坦であってもよい。支柱630の1つ以上は、弁輪ハブ620から上縁部640に向かって横方向に湾曲して、配備の際に、接合補助要素600の環状区画610の形状を維持するのを支援してもよい。接合補助要素600は弁輪ハブ620から上向きに湾曲することができる。いくつかの実施形態では、上縁部640は後尖に接しない。上縁部640は環状の曲率半径を含むことができる。環状曲線半径は弁輪から離れる方向に湾曲することができる。環状曲線半径は接合表面660に向かって湾曲することができる。いくつかの実施形態では、環状曲線半径は、0mm~5mm、5mm~10mm、10mm~15mm、15mm~20mm、20mm~25mm、25mm~30mmなど、または前述の値のうち任意の2つを組み込んだ範囲であることができる。接合補助要素本体カバー650は、本明細書に記載する接合補助要素本体カバー550と類似していてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、環状区画610の周囲は上向きに、また接合表面660の長手方向軸線とは実質的に反対の方向でカップ状にされる。いくつかの実施形態では、接合補助要素600は、弁輪アンカー部位535と類似の弁輪アンカー部位を含む。他の実施形態では、接合補助要素600は、
図6に示されるような弁輪アンカー部位を含まない。
【0111】
図7A~
図7Eは、接合補助要素700の一実施形態を示している。接合補助要素700は、接合補助要素500または600と類似していることができ、本明細書に記載する任意の特徴を含むことができると共に、後述する特定の要素を有する。
【0112】
接合補助要素700は、第1の表面705と第2の表面715とを含むことができる。
図7Aは、第1の表面705、即ち、接合不全の天然の弁尖、僧帽弁の場合は後尖に向かって配設された、下側表面の斜視図を示している。
図7Bは、第2の表面715、即ち前尖に向かって配設されてもよい上側表面の斜視図を示している。第2の表面715は接合表面760を含むことができる。接合補助要素700の上縁部740は、弁輪または近接する心房壁の全体形状に合致するように湾曲されてもよい。上縁部740は、
図7Bに示されるように、後尖に向かって下向きに湾曲させることができる。
図7Cは、接合補助要素700の上面図を示している。
【0113】
図7A~
図7Cは、弁輪ハブ720を有する接合補助要素700の図を示している。接合補助要素700は、弁輪アンカー800を係合するように設計された弁輪ハブ720を含むことができる。弁輪アンカー800は、本明細書に記載する、ドライバによって近位端で係合されてもよい。弁輪ハブ720は、内蔵のまたは結合された弁輪アンカー800を有してもよい。弁輪アンカー800は、弁輪ハブ720に対して回転可能ならせんを含んでもよい。接合補助要素700は、送達カテーテルを弁輪ハブ720に取り付けることによって、本明細書に記載するように経皮的に送達することができる。
【0114】
図7A~
図7Cに見ることができるように、接合補助要素700は支柱730を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支柱730は、弁輪ハブ720で終端する一端と、
図7Bに示される接合補助要素700の上縁部740、横縁部770および775、ならびに下縁部780に向かって径方向外向きに延在する他端とを有する。弁輪アンカー部位735は、
図7Bの接合補助要素700の本体から下向きに延在して示されている。弁輪アンカー800は能動アンカーであることができる。弁輪アンカー部位735は、返しなどの受動アンカーであることができる。弁輪アンカー部位735は1つ以上の支柱730の遠位端にあることができる。
【0115】
環状区画710は、接合補助要素700が配備されるとき、天然の弁尖の上方に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、環状区画710は弁輪または心房壁に向かって湾曲されてもよい。支柱730の1つ以上は、ハブ720から上縁部740に向かって横方向に湾曲して、配備の際に、接合補助要素700の環状区画710の形状を維持するのを支援してもよい。接合補助要素700は、弁輪ハブ720から弁輪アンカー部位735に向かって下向きに湾曲することができる。環状区画710は凹状であることができる。いくつかの実施形態では、接合補助要素700の上縁部740に平行に延び、上縁部740の形状を維持するのを支援する、1つ以上の支持構造が提供されてもよい。支柱730および/またはフレームの他の支持構造は、いくつかの実施形態では、ニチノールチューブからレーザー切断することができる。弁体カバー750は、本明細書に記載するような材料で構成されてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、接合補助要素700は、弁輪アンカー800などの能動アンカーを含む。いくつかの実施形態では、接合補助要素700は、弁輪アンカー部位735などの受動アンカーを含む。弁輪アンカー部位735は、1つ以上の支柱730の先端に返しを含むことができる。
【0117】
本明細書に記載する任意の接合補助要素500、600と同様に接合補助要素700は、1つ以上のマーカー900を含むことができる。マーカー900は、接合補助要素500、600、700の任意の部分上に、あるいは支柱530、630、730、弁輪ハブ520、620、720、巾着縫合糸1010、および/または弁輪アンカー部位535、735など、接合補助要素の任意の要素の任意の部分上に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、マーカー900は弁輪アンカー800上に位置付けられる。他の実施形態では、マーカー900は、接合補助要素500、600、700、または弁輪アンカー800と一体的に形成される。複数のマーカー900を、接合補助要素上に特定のパターンで配列して、施術者が患者の心臓内で接合補助要素500、600、700および/または弁輪アンカー800を正確に配向し位置付けるための、X線透視性の視覚補助を提供することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、マーカー900はX線不透過性であってもよく、またはX線撮影用マーカーで覆われてもよい。接合補助要素500、600、700および/または弁輪アンカー800を送達するプロセスの間、X線透視装置が使用された場合、マーカー900が可視化されてもよい。マーカー900は、患者の心臓内で、接合補助要素500、600、700および/または弁輪アンカー800を位置付ける助けとなり得る。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800が組織内へと追い込まれるように、トルクを弁輪アンカー800に加えることができる。弁輪アンカー800が適切に固定されているか否かのフィードバックを提供するため、X線透視マーカー900が弁輪アンカー800上に存在してもよい。マーカーは近位端に位置してもよい。これらのマーカー900は、弁輪アンカー800が弁輪ハブ520、620、720に向かってどの程度遠くまで移動しているかを医療チームに通知してもよく、また弁輪アンカー800が安全に適所にあるときに関して報知的であってもよい。いくつかの実施形態では、適切なトルクが加えられることを担保するため、弁輪アンカー800が弁輪ハブ520、620、720上で最低位置にあると、ハンドルにおけるトルク量が急増してもよい。本明細書に記載するシステムは、1つ以上のマーカー900(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、1つ超過、2つ超過、3つ超過、4つ超過など)を含むことができる。本明細書に記載するシステムは、2つ以上の異なるマーカー900を含むことができる。異なるマーカーは、システムの異なる構成要素、接合補助要素500、600、700の異なる部分、または最近位点、最遠位点、中央線などの位置決め点を示すことができる。
【0119】
図7D~
図7Eは、心臓僧帽弁モデル内に配備された接合補助要素700の一実施形態を示している。
図1Fを再び参照すると、弁尖間の接合区域CLは単純な線ではなく、それよりもむしろ、
図7Cに示されるような湾曲した漏斗状の表面境界面である。第1の交連110(前外側または左側)および第2の交連114(後内側または右側)は、接合区域で前尖12が後尖と合わさるところであり、それが接合線(CL)を形成する。
図7Dの心房から見た軸線方向図で最もはっきり分かるように、接合区域の軸線方向断面は、弁輪中心から、ならびに拡張期中の弁を通る開口部から分離した、曲線CLを全体的に示している。それに加えて、弁尖縁は波形であり、前尖に比べて後尖の方がより大きい波形である。接合不全は、これらのA-P(前後)セグメント対A1/P1、A2/P2、およびA3/P3の1つ以上の間で生じる可能性があるので、
図1Fに示されるように、接合不全の特性は接合区域の曲線CLに沿って変動することがある。
【0120】
いくつかの実施形態では、接合補助要素700は後尖の上に配置されて新しい表面を作り、その上に天然の弁尖が、ここでは前尖が接合することができる。僧帽弁は前尖12と共に示されている。接合区域は、前尖12と接合補助要素700の接合表面760との間に生じる。
【0121】
図8Aを次に参照すると、送達カテーテル1000の態様が示されている。送達カテーテル1000は制御ハンドルを含むことができる。送達カテーテル1000は、先端偏向制御部1001を含むことができる。先端偏向制御部1001は、送達カテーテル1000の遠位部分を屈曲可能にすることができる。これは、接合補助要素500、600、700を僧帽弁内に配置するのに有利なことがある。送達カテーテル1000は、経中隔シース(図示せず)に挿入することができる。経中隔シースは、送達カテーテルを左心房に導入するのを可能にする。送達カテーテル1000は、空気をシステムから除去し、生理食塩水または造影剤などの流体を埋込み部位に注入できるようにする、洗浄、灌注、および/または吸引ポートなどの1つ以上のポート1002を更に含んでもよい。カテーテル1000はカテーテル軸1006を含むことができる。カテーテル1000はインプラントインサータ1007を含むことができる。
【0122】
送達カテーテル1000は、インプラント制御ノブ1003を含んでもよい。インプラント制御ノブ1003は、接合補助要素500、600、700の移動を制御することができる。インプラント制御ノブ1003は、接合補助要素500、600、700を折り畳めるようにしてもよい。インプラント制御ノブ1003は、接合補助要素500、600、700を拡張できるようにしてもよい。矢印1003aは、接合補助要素500、600、700が送達カテーテル1000によって折り畳まれる、ならびに/または送達カテーテル1000によって拡張される、インプラント制御ノブ1003の移動方向を示す。インプラント制御ノブ1003は、接合補助要素500、600、700を回転できるようにしてもよい。矢印1003bは、接合補助要素500、600、700が回転される、インプラント制御ノブ1003の移動方向を示す。
【0123】
インプラント制御ノブ1003は、接合補助要素500、600、700に内部で接続されて、軸線方向移動および/またはトルクの伝達を可能にすることができる。例えば、送達カテーテル1000のインプラント制御ノブ1003は、弁輪ハブ520、620、720に結合することができる。例えば、インプラント制御ノブ1003は、接合補助要素500、600、700の配備を制御してもよい、1つ以上の巾着縫合糸1010に接続することができる。巾着縫合糸1010は、本明細書に記載するような、接合補助要素500、600、700の折畳みおよび/または拡張を容易にしてもよい。巾着縫合糸1010は、本明細書に記載するような、接合補助要素500、600、700の回転を容易にしてもよい。いくつかの実施形態では、送達カテーテル1000は、軸線方向移動およびトルクを送達カテーテル1000から接合補助要素500、600、700に伝達できるように、接合補助要素500、600、700を解放可能に係合する。
【0124】
いくつかの実施形態では、送達カテーテル1000の先端1300は、弁輪ハブ520、620、720に解放可能に結合される。例えば、送達カテーテル1000の先端1300は、送達カテーテル1000の移動によって接合補助要素500、600、700が移動するように、弁輪ハブ520、620、720上に係止することができる。いくつかの実施形態では、システムは、送達カテーテル1000と弁輪ハブ520、620、720との間に解放メカニズムを含む。
【0125】
弁輪ハブ520、620、720は、送達カテーテル1000の先端1300と係止することができる特徴を有してもよい。
図5A~
図7Eを再び参照すると、弁輪ハブ520、620、720は、送達カテーテル1000の一部分を係合する1つ以上の特徴を含むことができる。特徴は、
図5Aに示されるようなインプラントのハブ520にある1つ以上の切欠きを含むことができる。特徴は、
図9Aに示されるような内部リップを含むことができる。特徴は、
図8Cに示されるように、ハブ520、620、720の外側からアクセス可能な窓を含むことができる。特徴は、弁輪ハブ520、620、720と送達カテーテル1000の一部分を結合することができる、任意の構造またはメカニズムを含むことができる。いくつかの実施形態では、弁輪ハブ520、620、720および送達カテーテル1000は、ねじメカニズムを介して結合される。例えば、弁輪ハブ520、620、720は雌ねじを含むことができ、送達カテーテル1000の遠位端は雄ねじを含むことができる。いくつかの実施形態では、弁輪ハブ520、620、720および送達カテーテル1000は、輪とピンの構成(noose and pin configuration)を介して結合される。例えば、弁輪ハブ520、620、720は、外向きに延在するピンなどのピンを含むことができ、送達カテーテル1000の遠位端は、ピンの周りで引き締められるように設計されたループまたは輪を含むことができる。他の構成が想起される。
【0126】
図8Bは、送達カテーテル1000に結合された接合補助要素500、600、700を示している。接合補助要素500、600、700は、矢印1003aに沿った移動によって、図示されるように折り畳むか、または破線で示されるように拡張することができる。接合補助要素500、600、700は、矢印1003bに沿った移動によって、破線で示されるように回転させることができる。
【0127】
図8Cを参照すると、送達カテーテル1000は先端1300を含むことができる。先端1300の遠位端は遠位側係止タブを含むことができる。いくつかの実施形態では、先端1300は、複数の予め曲げられたまたは形状設定された係止タブを含む。いくつかの実施形態では、先端は、2つの係止タブ、3つの係止タブ、4つの係止タブ、5つの係止タブ、複数の係止タブ、多数の係止タブなどを含む。この「ATロック」(軸ねじりロック(axial-torsional lock))は、先端1300のニチノール係止タブを含むことができる。いくつかの実施形態では、先端1300の係止タブはシース1350によって作動させることができる。いくつかの実施形態では、シース1350は中空であって、本明細書に記載するドライバなどの他の構成要素の移動を可能にする。シース1350の移動によって、係止タブを内向きに押しやって弁輪ハブ520、620、720と係合させることができる。いくつかの実施形態では、先端1300の係止タブは、弁輪ハブ520、620、720の窓またはリップなどの特徴を係合する。いくつかの実施形態では、シース1350の反対方向の移動によって、弁輪ハブ520、620、720を先端から解放することができる。他の実施形態では、先端1300の係止タブは、先端1300内に挿入された中央ピン(図示せず)によって作動させることができる。いくつかの実施形態では、中央ピンは中空であって、本明細書に記載するドライバなどの他の構成要素の移動を可能にする。中央ピンの移動によって、係止タブを外向きに押しやって弁輪ハブ520、620、720と係合させることができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、先端1300の遠位端を作動させて、送達カテーテル1000を弁輪ハブ520、620、720に係止することができる。いくつかの実施形態では、先端1300の遠位端を作動させて、送達カテーテル1000を弁輪ハブ520、620、720から係止解除することができる。本明細書に記載するように、巾着縫合糸などの補助構造は、弁輪ハブ520、620、720が先端1300から解放された後、接合補助要素500、600、700に結合されたままであってもよい。いくつかの実施形態では、送達カテーテル1000が係止解除されたとき、本明細書に記載する巾着縫合糸などの1つ以上の補助構造は、送達カテーテル1000と弁輪ハブ520、620、720との間の相対位置を維持することができる。処置の間、先端1300は繰り返して係止および係止解除されてもよい。
【0129】
図8Aを再び参照すると、送達カテーテル1000はアンカー制御ノブ1004を含むことができる。いくつかの実施形態では、アンカー制御ノブ1004は、弁輪アンカー800および/または接合補助要素500、600、700の解放を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、アンカー制御ノブ1004は、例えば、弁輪アンカー800を回転させ、ならびに/または弁輪アンカー800を軸線方向で移動させるため、弁輪アンカー800の係合を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、アンカー制御ノブ1004は弁輪アンカー800の係脱を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、アンカー制御ノブ1004は、トルクを加えるように構成されたドライバ1200を制御することができる。いくつかの実施形態では、アンカー制御ノブ1004は、接合補助要素500、600、700に張力を加え、ならびに/またはそれを解放するように構成された、ドライバ1200を制御することができる。いくつかの実施形態では、アンカー制御ノブ1004は、張力およびトルクを加えるように構成されたドライバ1200を制御することができる。
【0130】
送達カテーテル1000のアンカー制御ノブ1004は、弁輪アンカー800に結合されて、トルクを弁輪アンカー800に伝達するのを可能にしてもよい。アンカー制御ノブ1004は、弁輪アンカー800のトルクまたは位置の単純な操作を可能にしてもよい。矢印1004aは、弁輪アンカー800が係合または係脱される、アンカー制御ノブ1004の移動方向を示す。例えば、アンカー制御ノブ1004を弁輪アンカー800に向かって移動させることで、ドライバ1200を弁輪アンカー800と係合してもよい。矢印1004bは、トルクを弁輪アンカー800に伝達する、アンカー制御ノブ1004の移動方向を示す。いくつかの実施形態では、矢印1004bは弁輪アンカー800を解放する方向を示す。例えば、トルクを更に加えることで、ドライバ1200が捩られて弁輪アンカー800との係合が外れてもよい。
【0131】
弁輪アンカー800の一実施形態が
図9Aに詳細に示されている。弁輪ハブ520、620、720を係合する構成要素など、送達カテーテル1000の他の構成要素は
図9Aに示されていない。弁輪アンカー800は、本明細書に記載するように、様々な方法でドライバ1200に結合されてもよい。弁輪アンカー800は、様々な方法で接合補助要素500、600、700に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、弁輪ハブ520、620、720はクロスピン820を有してもよい。クロスピン820は、弁輪アンカー800のらせん構造815が図示されるように周りに巻き付いてもよい部位を提供することができる。弁輪アンカー800は肩部805を有することができる。肩部805は、送達カテーテル1000のドライバ1200の外側の周りに適合してもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、ドライバ1200は弁輪アンカー800に解放可能に結合される。ドライバ1200は、本明細書に記載するアンカー制御ノブ1004によって結合および/または制御することができる。1つ以上のドライバ1200はトルクを送達して、弁輪アンカー800を組織内へと追い込むことができる。1つ以上のドライバ1200は張力を送達して、弁輪アンカー800を保持および/または解放することができる。いくつかの実施形態では、単一のドライバ1200がトルクおよび張力を送達する。他の実施形態では、2つ以上のドライバ1200がトルクおよび張力を送達する。例えば、ドライバ1200は、ドライバ1200の移動によって弁輪アンカー800が移動するように、弁輪アンカー800上に係止することができる。いくつかの実施形態では、システムは、ドライバ1200と弁輪アンカー800との間に解放メカニズムを含む。いくつかの実施形態では、ドライバ1200の遠位端を作動させて、ドライバ1200を弁輪アンカー800に係止することができる。いくつかの実施形態では、ドライバ1200の遠位端を作動させて、ドライバ1200を弁輪アンカー800から係止解除することができる。いくつかの実施形態では、ドライバ1200が係止解除されたとき、巾着縫合糸などの1つ以上の補助構造は、送達カテーテル1000と弁輪アンカー800との間の相対位置を維持することができる。処置の間、ドライバ1200は繰り返して係止および係止解除されてもよい。
【0133】
図9Bは、ドライバ1200の一実施形態を示している。ドライバ1200はトルク軸1205を含むことができる。トルク軸1205はループ1210を含むことができる。ループ1210は、張力クロスピン1270の周りでアンカー800を通って延在しループを形成する、ピン1215を係合することができる。トルク軸1205の回転によって、トルククロスピン1275に加えられるトルクを生じさせ、それによって弁輪アンカー800を回転させることができる。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800はトルククロスピンおよび張力クロスピンを含むことができる。別のドライバ(図示せず)が、張力クロスピンにトルクを加えて、弁輪アンカー800に張力を加えることができる。1つ以上のドライバ1200が、弁輪アンカー800を係合してトルクを送達することができる。1つ以上のドライバ1200が、弁輪アンカー800を係合して張力を送達することができる。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800の送達は、接合補助要素500、600、700の回転とは独立している。
【0134】
図9Cは、ドライバ1200の一実施形態を示している。ドライバ1200はトルク軸1220を含むことができる。トルク軸1220は、アンカードッキングキャップ1225を含むことができる。アンカードッキングキャップ1225は、弁輪アンカー800を単一の配向または複数の配向のうち1つで係合することができる。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800は突起1230を含み、アンカードッキングキャップ1225は突起1230を受け入れるように設計される。他の実施形態では、弁輪アンカー800は、アンカードッキングキャップ1225上の噛合する突起(図示せず)を受け入れる陥凹部(図示せず)を含む。トルク軸1220の回転によって、弁輪アンカー800に加えられるトルクを生じさせることができる。別のドライバ1235は、弁輪アンカー800に張力を加えることができる。いくつかの実施形態では、ドライバ1235は解放ねじを含むことができる。他の実施形態では、
図9Bに記載されるループおよびピン式の解放メカニズムが使用されてもよい。解放ねじを回転させて、弁輪アンカー800を解放することができる。1つ以上のドライバ1200が、弁輪アンカー800を係合してトルクを送達することができる。1つ以上のドライバ1200が、弁輪アンカー800を係合して張力を送達することができる。
【0135】
図9Dは、ドライバ1200および弁輪アンカー800の一実施形態を示している。ドライバ1200はトルク軸1220を含むことができる。トルク軸1220は、アンカードッキングキャップ1225を含むことができる。いくつかの実施形態では、弁輪アンカー800は突起1230を含み、アンカードッキングキャップ1225は突起1230を受け入れるように設計される。他の実施形態では、弁輪アンカー800は、アンカードッキングキャップ1225上の噛合する突起(図示せず)を受け入れる陥凹部(図示せず)を含む。2つ以上のワイヤ1240、1245が、弁輪アンカー800に張力を加えることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤ1240はピンとして作用し、ワイヤ1245はボールで終端する。保定状態では、ワイヤ1240、1245は両方とも弁輪アンカー800の開口部内に位置付けられる。開口部は小さいので、ワイヤ1240、1245のピンおよびボール状の端部が横並びで通過することはできない。いくつかの使用方法では、ワイヤ1240が最初に後退させられる。ワイヤ1240の後退によって、ワイヤ1245を後退させるのに十分な余地がもたらされる。ワイヤ1240、1245を作動させて、弁輪アンカー800を解放することができる。1つ以上のドライバ1200が、弁輪アンカー800を係合してトルクを送達することができる。1つ以上のドライバ1200が、弁輪アンカー800を係合して張力を送達することができる。
【0136】
図9Eは、ドライバ1200の一実施形態を示している。ドライバ1200はトルク軸1255を含むことができる。肩部805は、トルク軸1255の1つ以上の遠位側係止タブ1265と係止することができる、窓810などの特徴を有してもよい。遠位側係止タブ1265は、形状設定されたNiTiクリップなどのニチノール材料を含んでもよい。遠位側係止タブ1265は、ドライバ1260によって窓810内へと外向きに押し込まれてもよい。ドライバ1260は解放メカニズムとして作用する。ドライバ1260が弁輪アンカー800に向かって長手方向移動することによって、遠位側係止タブ1265が窓810に向かって外向きに押されてもよい。ドライバ1260が弁輪アンカー800から離れる方向で長手方向移動することによって、遠位側係止タブ1265が中立構成に復帰し、窓810から係脱してもよい。遠位側係止タブ1265が弁輪アンカー800の窓810と係合されることによって、トルク軸1255と弁輪アンカー800との間で軸線方向移動を伝達するのを可能にすることができる。遠位側係止タブ1265が弁輪アンカー800の窓810と係合されることによって、トルク軸1255と弁輪アンカー800との間でトルクを伝達するのを可能にすることができる。弁輪アンカー800が弁輪ハブ520、620、720に内蔵されるかまたはそれらによって捕捉される実施形態では、遠位側係止タブ1265が窓810と係合されることによって、送達カテーテルと接合補助要素500、600、700との間で軸線方向移動を伝達するのを可能にすることができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、利点は、弁輪アンカー800が接合補助要素500、600、700とは独立して回転させられることであり得る。本明細書に記載するように、接合補助要素500、600、700は送達カテーテル1000に結合される。本明細書に記載するように、弁輪アンカー800は独立してドライバ1200に結合される。弁輪アンカー800は、弁輪ハブ520、620、720とは独立して回転させることができる。弁輪アンカー800を回転させて組織を係合する際、弁輪ハブ520、620、720は静止したままであることができる。
【0138】
いくつかの方法では、弁輪アンカー800は、接合補助要素500、600、700を送達カテーテル1000上に装着するプロセス中に、接合補助要素500、600、700上に予め搭載し、ドライバ1200に結合することができる。これは、接合補助要素500、600、700がインプラントシースおよび/または送達カテーテル1000の別の部分に引き込まれ、大腿静脈に挿入する準備がなされる前に行うことができる。本明細書に記載するように、弁輪アンカー800が組織内へと追い込まれるようにトルクを加えることができる。いくつかの実施形態では、適切なトルクが加えられることを担保するため、弁輪アンカー800が弁輪ハブ520、620、720上で最低位置にあると、ハンドルにおけるトルク量が急増してもよい。このトルク量の増加はハンドルで感じられて、適切なトルクが加えられているというフィードバックが提供されてもよい。他の実施形態では、X線不透過性マーキングが、アンカーと組織の係合レベルを視覚的に判断するのを助けてもよい。いくつかの実施形態では、マーキングは、弁輪アンカー800および/または接合補助要素500、600、700上に配置することができる。
【0139】
図10~
図15は、接合補助要素500、600、700の使用方法の間に実施されてもよい、様々な方法ステップを示している。方法は、接合補助要素500、600、700を折り畳むステップを含んでもよい。方法は、接合補助要素500、600、700を送達カテーテル1000に結合するステップを含んでもよい。方法は、係止タブ1265を弁輪アンカー800および/または接合補助要素500、600、700と結合するステップを含んでもよい。方法ステップは、接合補助要素500、600、700を製造するための、本明細書に記載する任意のステップを含むことができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素500、600、700をハブが先行する配向で送達できることである。この使用方法では、接合補助要素500、600、700の別の部分に先立って、弁輪ハブ520、620、720を解剖学的構造に対する定位置に移動させることができる。いくつかの使用方法では、弁輪ハブ520、620、720が位置付けられるまで、接合補助要素500、600、700の心室側端部を送達カテーテル1000内で保定することができる。いくつかの使用方法では、弁輪ハブ520、620、720および/または弁輪アンカー800が組織と係合されると、接合補助要素500、600、700を拡張させることができる。いくつかの使用方法では、弁輪ハブ520、620、720および/または弁輪アンカー800が組織と係合されると、接合補助要素500、600、700の心室側端部を位置付けることができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、利点は、接合補助要素500、600、700を支柱が先行する配向で送達できることである。この使用方法では、接合補助要素500、600、700の別の部分に先立って、接合補助要素500、600、700の支柱530、630、730の1つ以上を解剖学的構造に対する定位置に移動させることができる。いくつかの使用方法では、弁輪ハブ520、620、720を位置付ける前に、接合補助要素500、600、700を拡張または部分的に拡張させることができる。いくつかの使用方法では、支柱530、630、730の1つ以上が位置付けられるまで、弁輪ハブ520、620、720を送達カテーテル内で保定することができる。いくつかの使用方法では、支柱530、630、730が位置付けられると、弁輪アンカー800が組織と係合される。
【0142】
図10は、経中隔横断の一実施形態を示している。方法ステップは大腿静脈アクセスを含んでもよい。アクセスは、右心房1300などの心臓の心腔に達するために、大腿静脈などの血管を通して得られてもよい。左心室1380と、その乳頭筋も1360で示されている。方法は、標準的な経中隔キット1330を用いて、経中隔的に穿刺し、左心房1320へと横断するステップを含んでもよい。方法は、本明細書に記載するようなカスタムの経中隔シースおよび送達カテーテル1000と交換するステップを含んでもよい。経中隔穿刺キットは、経中隔シースおよび拡張器と交換されてもよく、拡張器は、本明細書に記載するような、また全体を参照により援用するKhairkhahan et al.の米国特許第8,888,843号に記載されているような、インプラント送達カテーテルと交換されてもよい。方法は、拡張器を除去するステップを含んでもよい。方法は、送達カテーテル1000を前進させるステップを含んでもよい。しかしながら、経心尖、経心房、大腿動脈、腕動脈などの他の方策も、本発明の範囲内である。
【0143】
図11は、接合補助要素500、600、700の最初の前進を示している。方法は、回収シース内部で接合補助要素500、600、700を前進させるステップを含んでもよい。回収シースは、中央ハブ1420から放射状に広がる複数のペタルを有する先端を含むことができる。回収シースは経中隔シース1400内に位置付けられてもよい。僧帽弁は左心房1440の基部に示されている。方法は、接合表面560、660、760を弁輪に向かって前進させる前に、環状区画510、610、710を弁輪に向かって前進させるステップを含んでもよい。方法は、環状部分510を配備した後、心室側端部または下縁部580を配備するステップを含んでもよい。
【0144】
図12は、接合補助要素500、600、700の部分配備を示している。接合補助要素500、600、700は、超音波またはX線透視などのイメージング誘導下で標的位置の近傍に前進させられてもよい。接合補助要素500、600、700と結合された弁輪アンカー800は、組織に係合される。アンカートルク軸1540は、内部で、またインプラントトルク軸(図示せず)の回転とは独立して回転させられてもよい。巾着縫合糸1010を接合補助要素500、600、700の周囲の周りで制御して解放することによって、接合補助要素500、600、700を拡張させてもよい。接合補助要素500、600、700が完全に拡張する前に、接合補助要素500、600、700の回転調節を実施して、接合補助要素500、600、700の内部(心室側)区画を弁開口部1580と位置合わせしてもよい。
【0145】
方法は、接合補助要素500、600、700を標的位置に向かって前進させるステップを含んでもよい。方法は、弁輪ハブ520、620、720を標的位置に向かって前進させるステップを含んでもよい。方法は、弁輪ハブ520、620、720に結合された弁輪アンカー800を標的位置に向かって前進させるステップを含んでもよい。方法は、弁輪アンカー800、ハブ520、620、720、および/または接合補助要素500、600、700のエコーまたはX線透視誘導を含んでもよい。方法は、弁輪アンカー800を組織に係合することを含んでもよい。方法は、アンカー制御ノブ1004を回転して弁輪アンカー800を回転させることを含んでもよい。方法は、弁輪アンカー800をハブ520、620、720とは独立して回転させることを含んでもよい。方法は、弁輪アンカー800の回転中、ハブ520、620、720を静止させて保つことを含んでもよい。方法は、巾着縫合糸1010を制御して解放することを含んでもよい。解放によって、接合補助要素500、600、700を拡張させてもよい。巾着縫合糸1010は、接合補助要素500、600、700内に、ならびに/または接合補助要素500、600、700の周囲に沿って配設されてもよい。巾着縫合糸1010は、接合補助要素500、600、700の折畳みおよび/または拡張を容易にすることができる。方法は、接合補助要素500、600、700を回転調節して、接合補助要素500、600、700の下縁部580、680、780または心室側区画を弁開口部と位置合わせすることを含んでもよい。方法は、接合補助要素500、600、700を回転調節して、下縁部580、680、780または心室側区画を後尖の周りで位置合わせすることを含んでもよい。
【0146】
図13は、接合補助要素500、600、700の再捕捉を示している。接合補助要素500、600、700は、巾着縫合糸1010を接合補助要素500、600、700の周囲1620の一部分の周りで引き締めて、接合補助要素500、600、700を折り畳むことによって、再捕捉されてもよい。周囲は、本明細書に記載する任意の縁部、縁部の任意の組み合わせ、または縁部の全てを含むことができる。再捕捉シースおよび経中隔シース1600は、折り畳まれた接合補助要素500、600、700を越えて前進させてもよい。中央ハブから放射状に広がる再捕捉シースのペタルは、接合補助要素500、600、700の上に広がって、接合補助要素500、600、700を経中隔シース内へと後退させることを可能にしてもよい。弁輪アンカー800は、ねじを緩められるかまたは別の方法で解放されてもよく、システムは除去されてもよい。逸脱するかまたは再捕捉シースのペタルに部分的に封入された接合補助要素500、600、700は、別の送達モードであることができる。封入部先行型の(encapsulated-first)送達モードは、ハブ先行型または支柱先行型の送達モードとは対照的であり得る。
【0147】
いくつかの方法では、再捕捉は任意選択の方法ステップである。方法は、巾着縫合糸1010を引き締めるステップを含んでもよい。この引き締めは、接合補助要素500、600、700を折り畳んでもよい。方法は、折り畳まれた接合補助要素500、600、700を越えて再捕捉シースおよび/または経中隔シースを前進させるステップを含んでもよい。再捕捉シースは、外向きに折り返して接合補助要素500、600、700の上に広げることができる。方法は、接合補助要素500、600、700を経中隔シース内へと後退させるステップを含んでもよい。方法は、弁輪アンカー800を回転させて組織を係脱するステップを含んでもよい。方法は、接合補助要素500、600、700および弁輪アンカー800を除去するステップを含んでもよい。
【0148】
図14は、配備された接合補助要素500、600、700の断面図を示している。方法は、接合補助要素500、600、700を解放するステップを含んでもよい。方法は、送達カテーテル1000を後退させるステップを含んでもよい。
【0149】
図15は、補助アンカーの配備を示している。いくつかの方法では、補助アンカーの配備は任意選択の方法ステップである。方法は、弁輪取付け部位535、735を弁輪に係合するステップを含んでもよい。方法は、心室アンカーを係合するステップを含んでもよい。方法は、交連アンカー1800を係合するステップを含んでもよい。方法は、接合補助要素500、600、700および/または弁輪アンカー800上の戦略的位置にマーカーを配備するステップを含んでもよい。方法は、X線不透過性マーカーを検出するなど、マーカーを検出するステップを含んでもよい。方法は、X線透視下でアンカー800を配置するのを容易にするステップを含んでもよい。方法は、接合補助要素500、600、700の形状を示すため、接合補助要素500、600、700の周囲に沿ってX線不透過性マーカーを配置するステップを含んでもよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、メーカーは、本明細書に開示するステップの1つ以上、または以前に説明されているもしくは図面において固有の任意のステップを含む、システムを使用するための取扱い説明書を提供する。
【0151】
上記に開示した実施形態における特定の特徴および態様の様々な組み合わせまたは部分的組み合わせが行われてもよく、それらは依然として本発明の1つ以上に含まれることが想到される。更に、一実施形態と関連する、任意の特定の特徴、態様、方法、性質、特性、品質、属性、要素などに関する本明細書の開示を、本明細書で記載する他の全ての実施形態で使用することができる。したがって、開示した発明の様々なモードを形成するために、開示した実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせるか、または互いに置換することができることが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示する本発明の範囲は、上記の特定の開示した実施形態によって限定されないものとする。更に、本発明は様々な修正および代替形態の影響を受けやすいが、それらの特定の例については図面に示しており、本明細書で詳細に記載している。しかしながら、本発明は、開示した特定の形態または方法に限定されるものではなく、それとは逆に、本発明は、開示した様々な実施形態および添付の請求項の趣旨および範囲内にある、全ての修正例、等価物、および代替例を網羅するものであることが理解されるべきである。本明細書に開示するいずれの方法も、必ずしも列挙した順序で実施されなくてもよい。本明細書に開示した方法は、実践者が行う特定の行為を含むが、明示または暗示による、それらの行為に関する任意の第三者の指示も含むことができる。例えば、「僧帽弁に近接して接合補助体を挿入する」などの動作は、「僧帽弁に近接して接合補助体を挿入することを指示する」ことを含む。本明細書に開示した範囲はまた、あらゆる重なり合う部分範囲およびそれらの組み合わせを包含する。「~以下」、「少なくとも」、「~超過」、「~未満」、「~の間」などの文言は、列挙した数を含む。「約」、「おおよそ」、および「実質的に」などの用語に続く数字は、本明細書で使用するとき、列挙した数字を含み、また、依然として所望の機能を実施するかまたは所望の結果を達成する、提示された量に近い量を表す。例えば、「約」、「おおよそ」、および「実質的に」という用語は、提示された量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を指すことがある。
【0152】
[第1項]
環状区画および接合区画を備え、前記環状区画が弁輪の上方で心臓内に埋め込まれるように構成され、前記接合区画が弁輪の面を横断して心臓内に埋め込まれるように構成された、本体と、
第1の接合表面および対向する第2の表面であって、第1の横縁部、第2の横縁部、下縁部、および上縁部によってそれぞれ境界を定められ、前記上縁部が、リップを形成すると共に、前記下縁部に向かって下向きに、または前記環状区画から上向きにカップ状にされた、第1の接合表面および第2の表面と、
ハブおよびアンカーであって、アンカーがハブに結合されると共に前記環状区画によって保持され、アンカーが第1の標的位置で選択的に配備可能である、ハブおよびアンカーと、
前記ハブから径方向外向きに延在する複数の支柱であって、前記環状区画内に存在する第1の支柱と、前記環状区画から前記接合区画まで延在する第2の支柱とを少なくとも備え、前記第2の支柱が前記第1の支柱よりも長い全長を有する、複数の支柱とを備える、弁輪を有する心臓弁の接合不全を治療するための接合補助要素。
[第2項]
前記複数の支柱のうち少なくとも1つの支柱が、組織を係合するように構成された尖った先端を有する、第1項に記載の接合補助要素。
[第3項]
前記複数の支柱がニチノールを備える、第1項に記載の接合補助要素。
[第4項]
前記アンカーがらせん形状である、第1項に記載の接合補助要素。
[第5項]
1つ以上の追加のアンカーを更に備える、第1項に記載の接合補助要素。
[第6項]
前記1つ以上の追加のアンカーが能動アンカーである、第5項に記載の接合補助要素。
[第7項]
前記ハブが、前記アンカーのらせんを通って延在するように構成されたクロスピンを備える、第1項に記載の接合補助要素。
[第8項]
前記ハブが送達カテーテルと噛合するように構成され、前記送達カテーテルが前記第1の標的位置付近に前記ハブを位置付けるように構成された、第1項に記載の接合補助要素。
[第9項]
前記送達カテーテルが、前記ハブとは独立して前記アンカーを回転させるように構成された、第8項に記載の接合補助要素。
[第10項]
X線不透過性マーカーを更に備える、第1項に記載の接合補助要素。
[第11項]
前記上縁部付近に複数のX線不透過性マーカーを更に備える、第1項に記載の接合補助要素。
[第12項]
リップを形成する前記上縁部が前記下縁部に向かって下向きでカップ状にされる、第1項に記載の接合補助要素。
[第13項]
リップを形成する前記上縁部が前記環状区画から上向きでカップ状にされる、第1項に記載の接合補助要素。
[第14項]
前記ハブが前記環状区画から上向きに延在する、第1項に記載の接合補助要素。
[第15項]
前記下縁部が前記ハブに向かって後方に湾曲する、第1項に記載の接合補助要素。
[第16項]
心臓弁が弁輪を有し、前記弁輪が弁平面を更に規定し、前記弁平面が心房を近位側で、心室を遠位側で分離する、患者の心臓弁の接合不全を治療する方法であって、
送達カテーテルを接合補助要素のハブに結合するステップと、
前記ハブを前記弁輪付近に位置付けるステップと、
前記ハブを通してアンカーを回転させ、前記弁輪の遠位側まで心臓組織内に入れるステップと、
複数の支柱が前記ハブから径方向外向きに拡張するのを可能にすることによって、前記接合補助要素を拡張させるステップとを含む、方法。
[第17項]
接合表面が第1の弁尖と接合し、前記接合補助要素の弁尖表面が第2の弁尖の上に重なるようにして、前記接合補助要素が懸架され、それによって接合不全が軽減される、第16項に記載の方法。
[第18項]
前記複数の支柱のうち1つの支柱の尖った端部を、前記弁輪の遠位側の心臓組織と係合するステップを更に含む、第16項に記載の方法。
[第19項]
1つ以上のマーカーを用いて前記接合補助要素の位置を監視するステップを更に含む、第16項に記載の方法。
[第20項]
前記接合補助要素の上縁部付近の複数のマーカーを用いて、前記接合補助要素の位置を監視するステップを更に含む、第16項に記載の方法。
[第21項]
前記ハブを前記弁輪付近に位置付ける間、前記アンカーの先端が前記ハブ内に入り込んでいる、第16項に記載の方法。
【符号の説明】
【0153】
10 左心房
12 前尖
14 後尖
16 接合区域
20 右心房
30 左心室
32 腱索
34 乳頭筋
36 乳頭筋
40 右心室
50 三尖弁
60 僧帽弁
70 肺動脈弁
80 大動脈弁
110 交連
114 交連
120 弁輪
124 線維三角
126 線維三角
128 中心線維体
160 横断面
215 索
220 動揺弁尖
230 心室収縮期
240 弁輪拡張
312 前尖
314 後尖
320 心室
330 乳頭筋
342 前尖
344 後尖
430 支柱
500 接合補助要素
505 第1の表面
510 環状区画
515 第2の表面
520 弁輪ハブ
530 支柱
535 弁輪アンカー部位
540 上縁部
545 弁尖アンカー部位
550 接合補助要素本体カバー
560 接合表面
565 フレーム
570 横縁部
575 横縁部
580 下縁部
585 バッキング
600 接合補助要素
610 環状区画
620 弁輪ハブ
630 支柱
640 上縁部
650 接合補助要素本体カバー
660 接合表面
670 横縁部
675 横縁部
680 下縁部
700 接合補助要素
705 第1の表面
710 環状区画
715 第2の表面
720 弁輪ハブ
730 支柱
735 弁輪アンカー部位
740 上縁部
750 弁体カバー
760 接合表面
770 横縁部
775 横縁部
780 下縁部
800 弁輪アンカー
805 肩部
810 窓
815 らせん構造
820 クロスピン
900 マーカー
1000 送達カテーテル
1001 先端偏向制御部
1002 ポート
1003 インプラント制御ノブ
1003a 矢印
1003b 矢印
1004 アンカー制御ノブ
1006 カテーテル軸
1007 インプラントインサータ
1010 巾着縫合糸
1200 ドライバ
1205 トルク軸
1210 ループ
1215 ピン
1220 トルク軸
1225 アンカードッキングキャップ
1230 突起
1235 ドライバ
1240 ワイヤ
1245 ワイヤ
1255 トルク軸
1260 ドライバ
1265 係止タブ
1270 張力クロスピン
1275 トルククロスピン
1300 先端、右心房
1320 左心房
1330 経中隔キット
1350 シース
1360 乳頭筋
1380 左心室
1400 経中隔シース
1420 中央ハブ
1440 左心室
1540 アンカートルク軸
1580 弁開口部
1600 シース
1620 周囲
1800 交連アンカー
A 寸法
A1 前尖の弁帆
A2 前尖の弁帆
A3 前尖の弁帆
B 寸法
BF 逆流
C 寸法
CA 弁輪中心
CL 接合区域
CO 開口部
D 寸法
D1 直径
E 寸法
FP 流路
L 長さ
P1 後尖の弁帆
P2 後尖の弁帆
P3 後尖の弁帆
W 幅
【手続補正書】
【提出日】2021-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁輪を有する心臓弁の接合不全を治療するためのシステムであって、
環状区画および接合区画を備え、前記環状区画が弁輪の上方で心臓内に埋め込まれるように構成され、前記接合区画が弁輪の面を横断して心臓内に埋め込まれるように構成された、本体と、
第1の接合表面および対向する第2の表面と、
第1の横縁部、第2の横縁部、下縁部、および上縁部と、
ハブと、
を備えた、接合補助要素と、
前記ハブと結合するように構成されている送達カテーテルと、
を含んでなることを特徴とする、システム。
【請求項2】
アンカーをさらに含み、前記アンカーが前記ハブに対して回転するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
接合表面が第1の弁尖と接合し、前記接合補助要素の表面が第2の弁尖の上に重なるようにして、前記接合補助要素が懸架され、それによって接合不全が軽減されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ハブが、前記送達カテーテルと係合するための特徴を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記接合補助要素および前記送達カテーテルは除去可能に結合され、その結果、前記接合補助要素が、処置中に前記送達カテーテルから解放されるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
縫合糸を含む1つ以上の補助構造をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記送達カテーテルと共に配置されたドライバをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
アンカーが、前記送達カテーテルと共に配置されたドライバに独立して結合されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記送達カテーテルが前記ハブの位置を保持している間に、アンカーが組織内に打ち込まれるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ハブは、アンカーが回転されて組織と係合するときに静止したままであるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記送達カテーテルが、先端偏向制御部を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記送達カテーテルが、アンカー制御ノブを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記送達カテーテルの移動が前記接合補助要素の移動を引き起こすように、前記送達カテーテルは、前記ハブにロックするように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記送達カテーテルと前記ハブとの間に解放メカニズムをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
1つまたは複数の追加のアンカーをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
X線不透過性マーカーをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記ハブは、前記第1の横縁部、第2の横縁部、下縁部、および上縁部のそれぞれから半径方向内側に間隔を置いて配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記ハブと複数の支柱とが一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記ハブから半径方向外向きに延在する複数の支柱をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の支柱のうちの2つの支柱が異なる長さを有していることを特徴とする、請求項19に記載のシステム。
【外国語明細書】