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特開2022-96627フォトレジスト下層組成物及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096627
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】フォトレジスト下層組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20220622BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20220622BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/26 511
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021201920
(22)【出願日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】17/124,743
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・カイツ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・フィンチ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.・ラボーム
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】スザンヌ・エム.・コーレイ
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196CA05
2H196KA19
2H197AA12
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
2H225AE04N
2H225AF18N
2H225AF64N
2H225AM12N
2H225AM13N
2H225AM22N
2H225AM23N
2H225AM25N
2H225AM26N
2H225AM93N
2H225AM94N
2H225AN42N
2H225AN80N
2H225BA21N
2H225BA32N
2H225CA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フォトレジスト下層組成物及びパターン形成方法を提供する。
【解決手段】基板にパターンを形成する方法であって、この方法は、基板の表面に渡りフォトレジスト下層を形成する工程であって、フォトレジスト下層は、110℃未満のガラス転移温度を有するポリマーと、溶媒とを含む組成物から形成される工程と、フォトレジスト下層を金属前駆体処理に供する工程であって、金属前駆体は、フォトレジスト下層の自由体積に浸透する工程と、金属前駆体で処理されたフォトレジスト下層を酸化剤に曝露して、金属化されたフォトレジスト下層を得る工程と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に渡りフォトレジスト下層を形成する工程であって、前記フォトレジスト下層は、110℃未満のガラス転移温度を有するポリマーと、溶媒とを含む組成物から形成される工程と、
前記フォトレジスト下層を金属前駆体処理に供する工程であって、前記金属前駆体は、前記フォトレジスト下層の自由体積に浸透する工程と、
前記金属前駆体で処理されたフォトレジスト下層を酸化剤に曝露して、金属化されたフォトレジスト下層を得る工程と、
を含む、前記基板にパターンを形成する方法。
【請求項2】
前記フォトレジスト下層を前記金属前駆体処理に供する前記工程の前に、
前記フォトレジスト下層に渡り反射防止コーティング層を形成し、前記反射防止コーティング層に渡りフォトレジスト層を形成する工程と、
前記フォトレジスト層を活性化放射線に曝露し、前記曝露されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストパターンを形成する工程と、
エッチングによって前記フォトレジストパターンを前記反射防止コーティング層及び前記フォトレジスト下層に転写する工程と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属前駆体は、アルミニウム、スズ、タングステン、チタン、モリブデン、ハフニウム、又はこれらの組み合わせから選択される金属を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーは、0℃超及び100℃未満のガラス転移温度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーは、ケト-カルボニル、エステル、ヒドロキシ、アセタール、ケタール、カルボン酸、アミド、カルバメート、尿素、炭酸塩、アルデヒド、イミド、スルホン酸、スルホン酸エステル、又はこれらの組み合わせから選択される官能基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルエーテル、ビニル芳香族、又はこれらの組み合わせから選択されるモノマー単位の重合単位を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーは、式(1)
【化1】
(式中、式(1)において、
Dは、存在しない、-O-、-(CHR-、-(CHRCHRO)-、任意選択で置換されたC6~14アリーレン、任意選択で置換されたC3~18ヘテロアリーレン、任意選択で置換されたC5~12シクロアルキレン、又はこれらの組み合わせであり、各R及び各Rは、独立して、水素、或いは置換又は非置換C1~6アルキルであり、nは、1~12の整数であり、mは、1~8の整数であり、
Eは、存在しない、-O-、-NR-であり、又はEは、Dと結合して環を形成することができ、
及びRは、独立して、水素、或いは置換又は非置換C1~6アルキルであり、
は、水素、置換又は非置換C1~16アルキル、置換又は非置換C1~16ヘテロアルキル、置換又は非置換C5~20シクロアルキル、置換又は非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換C2~16アルケニル、置換又は非置換C2~16アルキニル、置換又は非置換C6~18アリール、置換又は非置換C7~30アリールアルキル、置換又は非置換C7~30アルキルアリール、置換又は非置換C3~18ヘテロアリール、置換又は非置換C4~30ヘテロアリールアルキルであり、或いはRは、Dと結合して環を形成することができる)のモノマー単位を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
Dは、存在しない、-O-、-(CHR-、任意選択で置換されたC6~14アリーレン、又はこれらの組み合わせであり、Eは、存在しない、又は-O-であり、Rは、水素、置換又は非置換C1~10アルキル、合計1~4のエーテル、エステル、アミド、又は-C(O)-基を有する置換又は非置換C1~10ヘテロアルキル、非置換C6~14アリール、-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで置換されたC6~14アリール、非置換C3~12ヘテロアリール、或いは-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで置換されたC3~12ヘテロアリールであり、Rは、H、或いは置換又は非置換C1~6アルキルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーは、式(2)
【化2】
(式中、式(2)において、
Gは、存在しない、-(CHR-、-(CHRCHRO)-、-O-、-C(O)O-、-C(O)OR-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、任意選択で置換されたC6~14アリーレン、任意選択で置換されたC3~13ヘテロアリーレン、又は任意選択で置換されたC~C12シクロアルキレンであり、R、R、各R及び各Rは、独立して、水素、任意選択で置換されたC1~6アルキル、任意選択で置換されたC6~14アリール、又は任意選択で置換されたC3~13ヘテロアリールであり、nは、1~12の整数であり、mは、1~8の整数であり、
は、水素、任意選択で置換されたC1~10アルキル、合計1~4のエーテル、エステル、アミド、又は-C(O)-基を有する任意選択で置換されたC1~10ヘテロアルキル、任意選択で置換されたC2~10アルケニル、任意選択で置換されたC2~10アルキニル、任意選択で置換されたC6~14アリール、或いは任意選択で置換されたC3~12ヘテロアリールであり、
は、任意選択で置換されたC1~4アルキレン又はC2~4アルケニレンである)のモノマー単位を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト下層を前記金属前駆体処理に供する前記工程の前に、前記フォトレジスト下層を硬化させて前記ポリマーを架橋することを更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子デバイスを製造する分野に関し、より具体的には、半導体製造において使用するための材料の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
高いアスペクト比が望まれる場合、多層レジストプロセス(3層及び4層プロセスなど)が考案されている。このような多層プロセスは、レジスト上部層、1つ以上の中間層、及び底部層(又は下層)を使用する。このような多層レジストプロセスにおいて、上部フォトレジスト層は、典型的な方法で画像形成され現像されてレジストパターンを提供する。パターンは、次いで典型的にはエッチングによって、1つ以上の中間層に転写される。各中間層は、パターン転写のための異なるプラズマエッチングなど異なるエッチングプロセスを使用できるように、十分なエッチング選択性で選択される。最終的に、反応性イオンエッチング(RIE)などのエッチングによってパターンが下層に転写される。このような中間層は、様々な材料から構成され得る。下層材料は、所望の反射防止特性、平坦化特性、並びにエッチング選択性を提供するように選択される。
【0003】
フォトレジスト下層組成物、特に、スピンオンカーボン(SOC)組成物は、集積回路製造用の先端技術ノード(advanced technology node)のリソグラフィー用エッチングマスクとして半導体業界で使用されている。これらの組成物は、3層及び4層のフォトレジスト統合スキームで多くの場合に使用され、この場合、又、有機又はシリコン含有反射防止コーティング及びパターン化可能なフォトレジスト層が、完全なフィルムスタック(full film stack)で使用される。
【0004】
理想的なフォトレジスト下層材料は、特定の固有の特徴を有する必要がある:スピンコーティングプロセスによって基板に対してキャストできる必要があり、低いガス放出及び昇華で加熱すると熱硬化する必要があり、良好なスピンボウル(spin bowl)の適合性のために一般的な溶媒に溶解する必要があり、フォトレジスト画像(photoresist imaging)のために低い反射率を付与するための反射防止コーティング層と組み合わせて機能する適切な光学特性を備えている必要があり、後の処理工程中に損傷しないように高い熱安定性を有する必要がある。これらの要件に加えて、パターンを正確な方法で基板に転写するために、理想的なフォトレジスト下層材料は、基板に渡るスピンコーティングと熱硬化の時に、トポグラフィー及びフォトレジスト下層の上と下に位置する材料層に対する十分なドライエッチング選択性を平面フィルムに提供する必要がある。
【0005】
半導体製造の先導するノードは、特に3D NANDメモリーアーキテクチャの場合、非常に高いアスペクト比の形体のパターン化を必要とするため、半導体製造業者は、エッチングマスクとして機能するスピンオンハードマスク層の技術的限界に多くの場合向かわされている。3D NAND用途用の高アスペクト比のコンタクト(contact)を生成するために、製造業者は、既知の材料と比較して更に改善されたエッチング耐性を備えたスピンオン材料を必要としている。この必要性を満たすために、気相浸透のプロセスが開発され、これにより、金属前駆体が、有機フィルムに注入され、次いで金属酸化物に酸化されて、有機-無機ハイブリッドフィルムが生成される。しかしながら、厚いSOCフィルムの場合、例えば、金属前駆体が拡散中にフィルム成分と相互作用し、フィルムの底部への拡散が妨げられる場合、金属浸透プロセスは、幾分制限される可能性がある。従って、フィルムの深さに対する金属の拡散は、本質的にフィルムのある地点で遮断されるようになる、又は浸透した金属前駆体の比較的急な濃度勾配を有する金属が浸透したフィルムをもたらす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Losego,M.D.et al.,Material Horizons 2017,4,747-71
【非特許文献2】McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,North American Edition for the Year 2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エッチング選択性が大幅に改善された、特にO及びCFプラズマに対するエッチング耐性が改善された、新しいフォトレジスト下層の必要性、並びに、例えば、高アスペクト比の形体を備えた3D NANDメモリーアーキテクチャ又は集積回路でこのような材料を使用する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
基板にパターンを形成する方法であって、この方法は、
基板の表面に渡りフォトレジスト下層を形成する工程であって、フォトレジスト下層は、110℃未満のガラス転移温度を有するポリマーと、溶媒とを含む組成物から形成される工程と、
フォトレジスト下層を金属前駆体処理に供する工程であって、金属前駆体は、フォトレジスト下層の自由体積に浸透する工程と、
金属前駆体で処理されたフォトレジスト下層を酸化剤に曝露して、金属化されたフォトレジスト下層を得る工程と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以降で、その例が本記載で示される例示的な実施形態を詳細に参照する。これに関連して、本例示的な実施形態は、異なる形態を有し得、本明細書に明記される記載に限定されると解釈されるべきではない。従って、例示的な実施形態は、本記載の態様を説明するために、図に言及することによって以下に記載されるにすぎない。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上のあらゆる組み合わせを包含する。「少なくとも1つの」などの表現は、要素のリストに先立つ場合、要素のリスト全体を修飾し、リストの個々の要素を修飾しない。本明細書で使用される場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、量の制限を意味せず、本明細書で特に示さないか又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「又は」は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書で開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、独立して、互いに合体できる。接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を含み、それによってその用語の少なくとも1つを含むことを意図する。「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記載される事象又は状況が起き得る又は起き得ないこと並びに事象が起こる場合及び事象が起こらない場合をその記載が含むことを意味する。
【0011】
第1、第2、第3等の用語は、様々な要素、成分、領域、層及び/又は区域を記述するために本明細書において使用され得るが、これらの要素、成分、領域、層及び/又は区域は、これらの用語によって限定されるべきでないことも理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素、成分、領域、層又は区域を別の要素、成分、領域、層又は区域から区別するために用いられるにすぎない。従って、以下で論じられる第1の要素、成分、領域、層又は区域は、本発明の教示から逸脱することなく第2の要素、成分、領域、層又は区域と称することができよう。
【0012】
要素が別の要素の「上に」あると言われる場合、それは、他の要素と直接に接触し得るか、又は介在要素がこれらの間に存在し得る。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」あると言われる場合、介在要素は、存在しない。態様の記載される成分、要素、制限及び/又は特徴は、様々な態様において任意の適切な方法で組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【0013】
別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されるものなどの用語は、関連する技術分野及び本開示に関連してそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義しない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味で解釈されないことが更に理解されるであろう。
【0014】
用語「ポリマー」は、ホモポリマー並びに2つ以上のモノマーから調製されたコポリマーを指すことが理解されよう。ポリマーは、当技術分野で知られている手順で調製される。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「炭化水素基」は、少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つの水素原子を有し、指定された箇所で任意選択で1つ以上の置換基で置換された有機化合物を指し、「アルキル基」は、指定された数の炭素原子を有し、1の原子価を有する直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素を指し、「アルキレン基」は、2の原子価を有するアルキル基を指し、「ヒドロキシアルキル基」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(-OH)で置換されたアルキル基を指し、「アルコキシ基」は、「アルキル-O-」を指し、「カルボン酸基」は、式「-C(=O)-OH」を有する基を指し、「シクロアルキル基」は、全ての環構成原子が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価の基を指す。シクロアルキル基の例には、シクロペンチル基、1-メチルシクロペンチル、2-エチルシクロペンチル、シクロヘキシル基、1-エチルシクロヘキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、又は2-メチル-2-アダマンチル基が含まれ得る。
【0016】
用語「シクロアルキレン基」は、2の原子価を有するシクロアルキル基を指し、「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分枝鎖の一価の炭化水素基を指し、「アルケノキシ基」は、「アルケニル-O-」を指し、「アルケニレン基」は、少なくとも2の原子価を有するアルケニル基を指し、「シクロアルケニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するシクロアルキル基を指し、「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する一価の炭化水素基を指す。
【0017】
用語「芳香族基」は、文献、特にIUPAC 19で定義されている芳香族性の従来の考え方を示し、環内に炭素原子を含み、任意選択で、環内の炭素原子の代わりに、N、O、及びSから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含み得る単環式又は多環式芳香環系を指し、「アリール基」は、芳香環に炭素原子のみを含む一価の、単環式又は多環式芳香族基を指し、少なくとも1つのシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル環に縮合した芳香環を有する基を含み得る。単環式又は多環式芳香環基は、単結合によって連結された2つ以上の単環式又は多環式芳香環を含み得る。
【0018】
用語「アリーレン基」は、少なくとも2の原子価を有するアリール基を指し、「アルキルアリール基」は、アルキル基で置換されたアリール基を指し、「アリールアルキル基」は、アリール基で置換されたアルキル基を指し、「アリールオキシ基」は、「アリール-O-」を指し、「アリールチオ基」は、「アリール-S-」を指す。
【0019】
接頭辞「ヘテロ」は、化合物又は基が、炭素原子の代わりに、ヘテロ原子である少なくとも1つの環構成原子(例えば、1、2、3又は4つ以上のヘテロ原子)を含むことを意味し、この場合、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、Si又はPから選択され、「ヘテロ原子含有基」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む置換基を指し、「ヘテロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1~4のヘテロ原子を有するアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキル基」は、炭素原子の代わりに1つ以上のN、O、又はS原子を有するシクロアルキル基を指し、「ヘテロシクロアルキレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロシクロアルキル基を指し、「ヘテロアリール基」は、炭素原子の代わりに、環構成原子として1つ以上のN、O、又はS原子を有する1~3の別個の又は縮合した環を有するアリール基を指し、「ヘテロアリーレン基」は、少なくとも2の価数を有するヘテロアリール基を指す。
【0020】
用語「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)、又はヨウ素(ヨード)である一価の置換基を意味する。接頭辞「ハロ」は、水素原子の代わりにフルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード置換基のうちの1つ以上を含む基を意味する。ハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモ及びフルオロ)が存在していても或いはフルオロ基のみが存在していてもよい。
【0021】
記号「*」は、繰り返し単位の結合部位(即ち連結点)を表す。
【0022】
「置換された」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で、基上の少なくとも1つの水素原子が別の基で置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(即ち=O)である場合、炭素原子上の2つの水素が置き換えられている。置換基又は変数の組み合わせが許容される。「置換」位置に存在し得る例示的な基には、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシル(-OH)、オキソ(=O)、アミノ(-NH)、モノ-又はジ-(C1~6)アルキルアミノ、アルカノイル(アシルなどのC2~6アルカノイル基など)、ホルミル(-C(=O)H)、カルボン酸又はそのアルカリ金属又はアンモニウム塩、C2~6アルキルエステル(-C(=O)O-アルキル又は-OC(=O)-アルキル)、C7~13アリールエステル(-C(=O)O-アリール又は-OC(=O)-アリール)、アミド(-C(=O)NR(式中、Rは、水素又はC1~6アルキルである))、カルボキサミド(-CHC(=O)NR(式中、Rは、水素又はC1~6アルキルである))、ハロゲン、チオール(-SH)、C1~6アルキルチオ(-S-アルキル)、チオシアノ(-SCN)、スルホン酸塩(-SO )、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど、各環は、置換又は非置換芳香族のいずれかである)を有するC6~12アリール、1~3の別個の又は縮合した環及び6~18の環炭素原子を有するC7~19アリールアルキル、1~3の別個の又は縮合した環及び6~18の環炭素原子を有するアリールアルコキシ、C7~12アルキルアリール、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)-アリール)、又はトシル(CHSO-)が含まれるが、これらに限定されない。基が置換されている場合、炭素原子の示されている数は、任意の置換基の炭素原子を除いた、基における炭素原子の総数である。例えば、基-CHCHCNは、シアノ基で置換されたCアルキル基である。
【0023】
スピンオンカーボン(SOC)組成物又はポリマーは、以下の特性又は性質の1つ以上を満たす必要があり、これらは、スピンコーティングプロセスによって基板に対してキャストすることができること、低いガス放出及び昇華で加熱すると熱硬化すること、良好なスピンボウルの適合性において一般的な溶媒に可溶であること、適切な光学特性を備えてフォトレジスト画像に必要な低い反射率を付与する反射防止コーティング層と連動すること、又は後の処理工程中で損傷しないように高い熱安定性を有することである。更に、得られる硬化されたフォトレジスト下層は、パターンを基板に正確に転写するために、フォトレジスト下層の上と下に位置する材料層に対して十分なドライエッチング選択性を有する必要がある。
【0024】
ガラス転移温度(Tg)が110℃未満のポリマーと溶媒を含むSOC組成物、及び基板における金属化されたフォトレジスト下層の形成について説明する。又、金属前駆体がフォトレジスト下層に注入される金属浸透プロセスについて説明する。次いで、注入された金属前駆体を酸化して、フォトレジスト下層内に金属化された部位、例えば、金属オキソ部位を形成して、金属化されたフォトレジスト下層を生成する。従って、上記のSOC特性/性質の1つ以上に加えて、フォトレジスト下層は、より高度なエッチング耐性又は選択性、いくつかの場合では、金属化されたフォトレジスト下層の表面からの金属前駆体の比較的浅い濃度勾配を達成するために、下層への十分な金属前駆体の拡散を示す必要がある。
【0025】
高度なフォトレジスト下層材料の開発中に、ガラス転移温度(Tg)が110℃未満の1つ以上のポリマーを含むフォトレジスト下層を効果的に金属化して、金属化されたフォトレジスト下層を得ることができることを確認した。更に、金属化された下層は、酸素プラズマRIE、フッ素化プラズマRIE、及びイオンビームエッチングによるスパッタリングに対して優れたエッチング耐性を有し得る。フッ素化プラズマRIEに対する金属化されたフォトレジスト下層のエッチング耐性の向上は、特に興味深い。対照的に、類似のポリマー主鎖又は類似の側鎖を有するポリマーを含むフォトレジスト下層は、例えば、同じ重合モノマー単位の異なるモル比を有するが、Tgが110℃を超え、同一の金属前駆体/酸化条件下で金属化されているポリマーの場合、下層への十分な金属前駆体の浸透の深さがなく、従って、金属浸透の要件、及び結果として、記述された金属化プロセスでの適用されたSOC組成物のエッチング耐性又は選択性の要件を満たさないであろう。
【0026】
基板にパターンを形成する方法について説明する。この方法は、
基板の表面に渡りフォトレジスト下層を形成する工程であって、フォトレジスト下層は、110℃未満のガラス転移温度を有するポリマーと、溶媒とを含む組成物から形成される工程と、
フォトレジスト下層を金属前駆体処理に供する工程であって、金属前駆体はフォトレジスト下層の自由体積に浸透する工程と、
金属前駆体で処理されたフォトレジスト下層を酸化剤に曝露して、金属化されたフォトレジスト下層を得る工程と、を含む。
【0027】
上記の方法の実施形態では、フォトレジスト下層を金属前駆体処理に供する工程の前に、この方法は、
フォトレジスト下層に渡り反射防止コーティング層を形成し、反射防止コーティング層に渡りフォトレジスト層を形成する工程と、
フォトレジスト層を活性化放射線に曝露し、曝露されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストパターンを形成する工程と、
エッチングによってフォトレジストパターンを反射防止コーティング層及びフォトレジスト下層に転写する工程と、を更に含む。
【0028】
一実施形態では、ポリマーは、100℃未満、90℃未満、80℃未満、70℃未満、又は60℃未満のガラス転移温度を有する。例えば、ポリマーは、0℃超及び100℃未満、10℃超及び90℃未満、20℃超及び90℃未満、又は20℃超及び80℃未満のガラス転移温度を有する。ポリマーのガラス転移温度は、ポリマー技術分野で知られている方法を使用する示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。更に、ポリマーのTgは、SOC組成物の調製の前に決定されるべきである。従って、SOC組成物が以下の2つ以上のポリマーの混合物である場合、DSC測定は、混合物のDSC測定からではなく、ポリマーの混合物中の各ポリマーについて行われるべきである。
【0029】
ポリマーは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルエーテル、ビニル芳香族、又はこれらの組み合わせから選択されるモノマー単位の重合単位を含み得る。前述のように、ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、又はホモポリマーとコポリマーを含むポリマーの混合物であり得る。例えば、SOC組成物は、2つ以上のホモポリマーの混合物、2つ以上のコポリマーの混合物、又は1つ以上のホモポリマーと1つ以上のコポリマーの混合物を含み得る。SOC組成物のポリマーが2つ以上のポリマーの混合物である場合、少なくとも1つのポリマーのTgは、110℃未満である必要がある。
【0030】
一実施形態では、ポリマーが2つ以上のポリマーの混合物である場合、Tgが110℃未満のポリマーは、SOC組成物中のポリマーの総重量の少なくとも40重量%を占める。例えば、Tgが110℃未満のポリマーは、SOC組成物中のポリマーの総重量の少なくとも50重量%、少なくとも65重量%、又は少なくとも75重量%を占めることができる。
【0031】
ポリマーは、ケト-カルボニル、エステル、ヒドロキシ、アセタール、ケタール、カルボン酸、アミド、カルバメート、尿素、炭酸塩、アルデヒド、イミド、スルホン酸、スルホン酸エステル、又はこれらの組み合わせから選択される側鎖において官能基を含み得る。
【0032】
ポリマー側鎖における官能基は、前駆体がフォトレジスト下層を通って拡散するときに、金属前駆体との結合又は非結合相互作用から生じる、ポリマー、即ちフォトレジスト下層の金属化の度合いにおいて役割を果たす可能性が高い。言い換えれば、ポリマー側鎖における官能基は、フォトレジスト下層における金属前駆体の固定又は配置を容易にすることができ、従って、官能基は、金属前駆体の酸化に続くフォトレジスト下層に渡る金属化(金属部位)の濃度(又は濃度勾配)において何らかの役割を果たしている可能性がある。
【0033】
金属前駆体で処理されたフォトレジスト下層を酸化剤に曝露すると、フォトレジスト下層に金属酸化物部位が結果として存在する。例えば、金属前駆体で処理されたフォトレジストの曝露は、金属化されたフォトレジスト下層に金属-オキソ又は金属アミド部位の形成をもたらすことができる。一実施形態では、金属-オキソ/アミド部位は、ポリマー官能基の酸素又は窒素原子への直接結合又は配位結合を含み得る。フォトレジスト下層の金属化の正確な化学的又は構造的結合は、ポリマーの金属化及びガラス転移温度の記載されたプロセス全体にとって重要ではない。いくつかの場合では、金属化から生じる金属部位の度合い又は構造的特徴づけは、例えば、当技術分野で知られている方法を使用して、例えば、IR分光法を使用することによって、分光学的に追跡され得る。
【0034】
一実施形態では、ポリマーは、式(1)
【化1】
(式中、式(1)において、
Dは、存在しない、-O-、-(CHR-、-(CHRCHRO)-、任意選択で置換されたC6~14アリーレン、任意選択で置換されたC3~18ヘテロアリーレン、任意選択で置換されたC5~12シクロアルキレン、又はこれらの組み合わせであり、各R及び各Rは、独立して、水素、或いは置換又は非置換C1~6アルキルであり、nは、1~12の整数であり、mは、1~8の整数であり、
Eは、存在しない、-O-、-NR-であり、又はEは、Dと結合して環を形成することができ、
及びRは、独立して、水素、或いは置換又は非置換C1~6アルキルであり、
は、水素、置換又は非置換C1~16アルキル、置換又は非置換C1~16ヘテロアルキル、置換又は非置換C5~20シクロアルキル、置換又は非置換C3~20ヘテロシクロアルキル、置換又は非置換C2~16アルケニル、置換又は非置換C2~16アルキニル、置換又は非置換C6~18アリール、置換又は非置換C7~30アリールアルキル、置換又は非置換C7~30アルキルアリール、置換又は非置換C3~18ヘテロアリール、置換又は非置換C4~30ヘテロアリールアルキルであり、或いはRは、Dと結合して環を形成することができる)のモノマー単位を含む重合単位を含む。
【0035】
一実施形態では、Dは、存在しない、-O-、-(CHR-、任意選択で置換されたC6~14アリーレン又はこれらの組み合わせであり、この場合、nは、1~8の整数であり、Eは、存在しない、又は-O-であり、Rは、水素、置換又は非置換C1~10アルキル、合計1~4のエーテル、エステル、アミド、又は-C(O)-基を有する置換又は非置換C1~10ヘテロアルキル、非置換C6~14アリール、-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで置換されたC6~14アリール、非置換C3~12ヘテロアリール、或いは-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで置換されたC3~12ヘテロアリールであり、Rは、H、或いは置換又は非置換C1~6アルキルである。
【0036】
一実施形態では、Rは、非置換C6~14アリール、-R、-OR、-OC(O)R-、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで置換されたC6~14アリール、非置換C3~12ヘテロアリール、-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで置換されたC3~12ヘテロアリールであり、この場合、Rは、上記で定義される。
【0037】
1~10アルキル基の例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、2-メチルプロピル基、1-メチルプロピル基、t-ブチル基などが含まれる。C1~9アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、1-メチルプロポキシ基、2-メチルプロポキシ基、t-ブトキシ基などが含まれる。-C(O)ORの例には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、2-メチルプロポキシカルボニル基、1-メチルプロポキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基などが含まれる。
【0038】
一実施形態では、ポリマーは、式1の2つ以上の異なるモノマー単位、例えば、式1の3つ以上の異なるモノマー単位の重合単位を含むコポリマーである。例えば、Dは、存在しない、且つ、Eは、-O-又はNR-である場合、Rは、置換又は非置換C1~16アルキル、置換又は非置換C5~20シクロアルキル、置換又は非置換C6~18アリール、置換又は非置換C7~30アルキルアリール、或いは置換又は非置換C3~18ヘテロアリールから選択される。このような一例では、置換又は非置換C1~16アルキルは、任意選択で、OH、OR21、又はメチルエステルで置換された、直鎖C1~6アルキルなどの置換又は非置換C1~8アルキルから選択され、この場合、R21は、C1~4アルキルである。別のこのような例では、置換又は非置換C6~18アリールは、置換又は非置換フェニル、ナフチル、又はアントラセニルから選択される。フェニル又はナフチルをC1~4アルキル、C1~4アルコキシ、又はメチルエステルで置換することが重要である。
【0039】
一実施形態では、ポリマーは、Rが、任意選択で-OH、OR21、又はメチルエステルで置換されたC2~8アルキルである少なくとも1つのモノマー単位を含む、式1の2つ以上の異なるモノマー単位の重合単位を含むコポリマーであり、この場合、R21は、C1~4アルキルである。ポリマーの側鎖における-OHの存在は、SOCフォトレジスト下層の架橋を形成するために使用できる。又、ポリマーにこのような重合単位を付加すると、ポリマーのTgが低下する傾向があることも確認された。C3~8アルキルは、直鎖又は分岐であり得る。例えば、C3~8アルキルは、任意選択で置換される直鎖C3~8アルキルであり得る。対象となる置換基には、-OH、OR21、-C(O)Me、-C(O)OH、又は-O-フェニルが含まれる。
【0040】
Dは、存在しない、且つ、Eは、-O-又は-NR-であり、且つ、Rは、置換又は非置換C3~10アルキルである特定の実施形態では、Rの脂肪族特性は、比較的低いTgのポリマーを提供し、従って、式(1)のこのようなモノマー単位は、10モル%~60モル%まで存在し得る。
【0041】
式(1)のいくつかの例示的なモノマー単位を以下に示す。
【化2】
【化3】
【0042】
一実施形態では、ポリマーは、式(2)
【化4】
(式中、式(2)において、
Gは、存在しない、-(CHR-、-(CHRCHRO)-、-O-、-C(O)O-、-C(O)OR-、-C(O)-、-C(O)N(R)-、任意選択で置換されたC6~14アリーレン、任意選択で置換されたC3~13ヘテロアリーレン、又は任意選択で置換されたC~C12シクロアルキレンであり、R、R、各R及び各Rは、独立して、水素、任意選択で置換されたC1~6アルキル、任意選択で置換されたC6~14アリール、又は任意選択で置換されたC3~13ヘテロアリールであり、nは、1~12の整数であり、mは、1~8の整数であり、
は、水素、任意選択で置換されたC1~10アルキル、合計1~4のエーテル、エステル、アミド、又は-C(O)-基を有する任意選択で置換されたC1~10ヘテロアルキル、任意選択で置換されたC2~10アルケニル、任意選択で置換されたC2~10アルキニル、任意選択で置換されたC6~14アリール、或いは任意選択で置換されたC3~12ヘテロアリールであり、
は、任意選択で置換されたC1~4アルキレン又はC2~4アルケニレンである)のモノマー単位を含む重合単位を含む。
【0043】
一実施形態では、Gは、存在しない、-(CHR-、-O-、-C(O)O-、又は-C(O)OR-であり、Rは、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルであり、そのそれぞれは、-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで任意選択で置換され、Rは、水素、CN、任意選択で置換されたC1~6アルキル、C2~4アルケニル、C2~4アルキニル、任意選択で置換されたC6~14アリール、又は任意選択で置換されたC3~13ヘテロアリールであり、R、R、R、及びRは、上記で定義される。
【0044】
一実施形態では、Rは、非置換C6~14アリール、-R、-OR、-OC(O)R-、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで置換されたC6~14アリール、非置換C3~12ヘテロアリール、-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで置換されたC3~12ヘテロアリールであり、Rは、上記で定義される。
【0045】
一実施形態では、ポリマーは、式(1)及び式(2)のモノマー単位を含み得、例えば、ポリマーは、1モル%~99モル%の式(1)及び99モル%~1モル%の式(2)、20モル%~80モル%の式(1)及び80モル%~20モル%の式(2)、又は30モル%~70モル%の式(1)及び70モル%~30モル%の式(2)を含み得る。ポリマーは、式(1)及び(2)のモノマー単位以外のモノマー単位を含み得ることを理解されたい。
【0046】
式(2)のGは、存在しない、(CHR-、-O-、-C(O)O-、又は-C(O)OR-であり、且つ、Rは、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルである特定の実施形態では、そのそれぞれは、-OR、-C(O)OR、-C(O)N(R)R、又は-C(O)Rで任意選択で置換され、R、R、及びRは、上記で定義される。Rの芳香族特性は、より高い炭素含有量のポリマーを提供し、従って、式(2)のモノマー単位は、40モル%~80モル%まで存在することができる。
【0047】
SOC組成物は、以下のポリマーのうちの1つ以上を含み得る。以下のポリマーP3では、qは、約10~15である。
【化5】
【0048】
フォトレジスト下層における金属前駆体の収着、拡散、及び捕捉速度に役割を果たすことができる金属前駆体又はポリマーマトリックスの4つの物理化学的特徴を特定する:(1)金属前駆体のサイズと形状、(2)ポリマーの自由体積、(3)自由体積のねじれ、及び(4)前駆体とポリマー官能基間の反応性又は配位。(非特許文献1)を参照されたい。
【0049】
適用されたポリマー材料の金属化のプロセスは、知られており、このプロセスは、当技術分野では、例えば、「多重パルス浸透」(MPI)、「順次浸透合成」及び「順次蒸気浸透」と呼ばれることがあるが、これらのプロセスのそれぞれは、金属前駆体の投与順序によって区別されるにすぎない。各プロセスは、適用されたポリマーに金属前駆体分子を拡散させて、次いでポリマーフィルムに前駆体を閉じ込めることを伴う。
【0050】
一実施形態では、金属前駆体がキャリアガス中に又は蒸気として存在する場合、ガス供給パルス時間、保持時間、及びサイクルの繰り返しが、変動し得、これらのプロセスのそれぞれは、最終的に類似又は実質的に同じ金属化ポリマーフィルムを生成する。従って、当技術分野で前に記載された金属浸透プロセスのそれぞれを含むよう用語「気相浸透(VPI)」を使用する。本明細書で記載されるVPI処理の3つの工程には、典型的には、次の3つの動作モードが含まれる:(1)適用されたSOCポリマーへのガス状金属(通常は有機金属)前駆体の収着(又は溶解)、(2)その金属前駆体のポリマーマトリックスへの輸送(拡散)、及び(3)例えば、ポリマーの官能基との化学的又は物理的相互作用を介した、バルクポリマー内の金属前駆体の(例えば、反応又は配位を介した)捕捉。気相浸透は、フォトレジスト下層の表面、表面下、又はバルクを、金属化されていない下層とは著しく異なる特性を持つ新しい有機-無機ハイブリッド材料に変換する。
【0051】
同様に、一実施形態では、金属前駆体が溶液中に存在する場合、送達パルス時間、保持時間、及びサイクルの繰り返しが変動する可能性があり、用語「液相浸透(LPI)」を使用する。LPI処理の3つの工程には、典型的には、次の3つの動作モードが含まれる:(1)適用されたSOCポリマーへの金属(通常は有機金属)前駆体を含む溶液の収着、(2)その溶液金属前駆体のポリマーマトリックスへの輸送(拡散)、(3)例えば、ポリマーの官能基との化学的又は物理的相互作用を介した、バルクポリマー内の金属前駆体の(例えば、反応又は配位を介した)捕捉。液相浸透は、適用されたSOCフィルムの表面、表面下、又はバルクを、著しく異なる特性を持つ新しい有機-無機ハイブリッド材料に変換する。
【0052】
金属化されたフォトレジスト下層は、プラズマエッチングを介して高アスペクト比のナノ構造を生成するためのエッチングマスクとして使用される。例えば、フォトレジスト下層に金属前駆体、例えば、Al(Me)(TMA)を浸透させ、これを、後に水(水蒸気)の存在下で酸化して金属酸化物フレームワーク(framework)にする。一実施形態では、フォトレジスト下層を蒸着チャンバー内で金属前駆体に交互に曝露し、次いで水に曝露することを用いることができる。金属前駆体に対する適切な曝露時間が用いられ、前駆体がフォトレジスト下層に拡散又は浸透することを可能にする。又、金属前駆体と水との酸化反応を確実にするために、水に対する適切な曝露時間が使用される。
【0053】
金属化プロセスでは、様々な異なる気体又は液体の金属前駆体を使用できる。例示的な金属前駆体には、以下が含まれ得る:ホウ素、アルミニウム、又はガリウムなどの第13族(IIIA)金属のトリアルキレート、トリハライド、又は混合アルキルハライド、例えば、トリメチルアルミニウム、チタン、ジルコニウム、又はハフニウムなどの第4族(IVB)金属のテトラアルキレート、テトラハライド又は混合アルキルハライド、例えば、テトラアルキルチタン又はテトラハライドチタン、例えば、Ti(イソプロポキシド)又はTiCl、バナジウム、ニオブ、又はタンタルなどの第5族(VB)金属のトリアルキレート、トリハライド、又は混合アルキルハライド、クロム、モリブデン、又はタングステンなどの第6族(VIB)金属のトリハライド又はヘキサハライド又は混合アルキルハライド、金属アルキル、金属ハライド、又はコバルト、ニッケル、銅、スズ、ゲルマニウム、又は亜鉛の混合金属アルキル/ハライドも使用することができる。
【0054】
パターン化されたフォトレジスト下層への金属化の深さは、金属前駆体の浸透工程中の反応チャンバー(即ち、フォトレジスト下層)の温度、金属前駆体、フォトレジスト層を蒸気又は液体に供するモード、及びフォトレジスト下層のポリマーによって部分的に制御することができる。場合によっては、パターン化されたフォトレジスト下層の側壁端部領域に浸透することが有利であり得、従って、パターン化された下層のバルクへの浸透の量を制限する。又ある場合には、フォトレジスト下層のバルクに浸透することが有利な場合がある。当然ながら、曝露時間の度合い又は量は、パターン化された基板の所望のアスペクト比に依存することになる。例えば、所与の曝露時間及びフォトレジスト下層について、比較的低い浸透温度は、主に側壁での浸透をもたらし得、これにより、フォトレジスト下層のバルクを金属前駆体に曝露されないままにすることができる(又は金属化されていない)。従って、所与の曝露時間及びフォトレジスト下層について、比較的高い浸透温度は、パターン化されたフォトレジスト下層のバルクに渡るより大きな侵入深さ及び金属化のより大きな均一性をもたらす可能性が高い。
【0055】
エッチング耐性の向上に加えて、記載される金属化プロセスは、フォトレジスト下層から基板までの印刷されたパターンの品質を向上させ維持する。更に、多くの場合、金属化後のフォトレジスト下層の著しい膨潤はほとんど確認されない。
【0056】
浸透された金属前駆体を金属酸化物、金属フッ化物、又は他の金属含有種に変換するために、金属化プロセスで様々な異なる酸化剤を使用することができる。例示的な酸化剤には、水、酸素、オゾン、六フッ化硫黄、フッ化水素、過酸化水素などが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0057】
本発明のポリマーは、当技術分野で知られている手順によって調製することができる。適切な手順の1つは、V-601などのフリーラジカル開始剤の存在下で適切な溶媒中で加熱しながら、式(1)の1つ以上のモノマーを反応させること、式(2)の1つ以上のモノマーを反応させること、又は式(1)及び(2)の1つ以上のモノマーを反応させることである。このようなポリマーは、そのまま使用することもでき、又は更に精製することができる。好ましくは、ポリマーは、使用前に更に精製される。適切なポリマー精製手順は、当業者に周知である。一般に、本発明のポリマーは、ポリスチレン標準を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、900~100,000g/モル、又は2,000~70,000g/モル、好ましくは3,000~65,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有する。本ポリマーは、1~10、好ましくは1~5などの任意の適切な多分散性を有し得る。
【0058】
フォトレジスト下層を形成するのに有用な適切な組成物は、上記のポリマーの1つ以上と、有機溶媒と、任意選択で、架橋剤、硬化剤、及び界面活性剤から選択される1つ以上の添加剤とを含む。当業者には、他の添加剤を本組成物に適切に使用できることが理解されよう。本発明の組成物は、ポリマー、溶媒、及び任意の任意選択の添加剤を任意の順序で組み合わせることによって調製することができる。多くの場合、基板に塗布されるSOC組成物中のポリマーの量は、3重量%超、8重量%超、12重量%超、15重量%超、18重量%超、又は20重量%超、及び60重量%未満、55重量%未満、50重量%未満、又は40重量%未満である。例えば、基板に塗布されるSOC組成物中のポリマーの量は、3重量%~50重量%、8重量%~40重量%、又は15重量%~40重量%の範囲である。SOC組成物中のポリマーの濃度は、広範囲に渡って変動し得、スピンオン技術によって蒸着された任意のフィルムの厚さは、溶媒におけるポリマーの濃度に依存することが当業者によって理解されるであろう。
【0059】
十分な量のポリマー反応生成物が溶媒又は溶媒混合物に可溶であるという条件で、任意の溶媒又は溶媒混合物をSOC組成物に使用することができる。このような溶媒には、芳香族炭化水素、アルコール、ラクトン、エステル、エーテル、ケトン、アミド、炭酸塩、グリコール、及びグリコールエーテルが含まれるが、これらに限定されない。有機溶媒の混合物を使用することができる。例示的な有機溶媒には、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、2-メチル-1-ブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、メチルイソブチルカルビノール、γ-ブチロラクトン、エチルラクテート、メチル2-ヒドロキシイソブチラート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、メチル3-メトキシプロピオネート(MMP)、n-ブチルアセテート、N-メチルピロリドン、エトキシベンゼン、ベンジルプロピオナート、ベンジルベンゾエート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレンカルボネート、クメン、リモネン、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
任意選択で、SOC組成物は、フォトレジスト下層の硬化を助けるために1つ以上の硬化剤を更に含み得る。硬化剤は、基板の表面上でポリマーの硬化を引き起こす任意の成分である。好ましい硬化剤は、酸及び熱酸発生剤である。適切な酸は、p-トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、及びプロパンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのパーフルオロアルキルスルホン酸、及びパーフルオロアリールスルホン酸を含むが、これらに限定されない。熱酸発生剤は、熱への曝露時に酸を遊離する任意の化合物である。熱酸発生剤は、当技術分野において周知であり、例えば、King Industries,Norwalk,Connecticutなどから、一般に市販されている。例示的な熱酸発生剤には、アミンブロック化強酸、例えば、アミンブロック化ドデシルベンゼンスルホン酸などのアミンブロック化スルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。特定の光酸発生剤が加熱時に酸を遊離することができ、熱酸発生剤として機能し得ることも又当業者によって十分理解されるであろう。本組成物に有用なこのような硬化剤の量は、当業者に周知であり、典型的には、全固形分に対して0~10重量%、好ましくは0~3重量%である。
【0061】
SOC組成物は、以下の添加剤化合物C1及びT1のうちの1つ以上を含み得る。SOC組成物は、Polyfox 656(F1)又はシクロヘキサノン(S1)の1つ以上を含み得る。例を参照されたい。
【化6】
【0062】
上記の化合物C1は、SOC組成物中に存在し得る架橋剤の例である。架橋剤は、酸性条件下などの適切な条件下でポリマーと反応することができる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの部位を有するであろう。他の例示的な架橋剤には、ノボラック樹脂、エポキシ含有化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、イソシアネート含有化合物、ベンゾシクロブテンなど、及び好ましくは2つ以上、好ましくは3つ以上を有する前述のいずれか、より好ましくは、メチロール、C1~10アルコキシメチル、及びC2~10アシルオキシメチルから選択される置換基が含まれるが、これらに限定されない。本組成物において有用なこのような架橋剤の量は、当業者に周知であり、典型的には、全固形分に対して0~20重量%、好ましくは5~15重量%である。
【0063】
SOC組成物は、任意選択で、1つ以上の表面レベリング剤(又は界面活性剤)を含み得る。任意の適切な界面活性剤を使用することができるが、このような界面活性剤は、典型的には非イオン性である。例示的な非イオン界面活性剤は、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、又はエチレンオキシ結合とプロピレンオキシ結合との組み合わせなどの、アルキレンオキシ結合を含むものである。界面活性剤の更なる例には、シリコーン界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が含まれる。適切な非イオン性界面活性剤には、これらに限定されないが、TRITON(登録商標)X-114、X-100、X-45、X-15などのオクチル及びノニルフェノールエトキシレート、並びにTERGITOL(商標)TMN-6(The Dow Chemical Company,Midland,Michigan USA)及びPF-656(Omnova Solutions,Beachwood,Ohio,USA)などの分岐2級アルコールエトキシレートが含まれる。 更なる例示的な界面活性剤には、アルコール(1級及び2級)エトキシレート、アミンエトキシレート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール-コ-プロピレングリコール)、又はManufacturers Confectioners Publishing Co.of Glen Rock,N.J.により出版された(非特許文献2)に開示された他の界面活性剤が含まれる。本組成物に有用なこのような界面活性剤の量は、当業者に周知であり、典型的には全固形分に対して0~5重量%の範囲である。
【0064】
別の実施形態では、基板にパターンを形成する方法を説明する。この方法は、以下の順序で、
基板の表面に渡りフォトレジスト下層を形成する工程であって、フォトレジスト下層は、110℃未満のガラス転移温度を有するポリマーと、溶媒とを含む組成物から形成される工程と、
フォトレジスト下層を金属前駆体処理に供する工程であって、金属前駆体は、フォトレジスト下層の自由体積に浸透する工程と、
金属前駆体で処理されたフォトレジスト下層を酸化剤に曝露して、金属化されたフォトレジスト下層を得る工程と、
金属化されたフォトレジスト下層に渡り反射防止コーティング層を形成し、反射防止コーティング層に渡りフォトレジスト層を形成する工程と、
フォトレジスト層を活性化放射線に曝露し、曝露されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストパターンを形成する工程と、
エッチングによってフォトレジストパターンを反射防止コーティング層及びフォトレジスト下層に転写する工程と、を含む。
【0065】
上記の実施形態では、フォトレジスト下層は、金属前駆体に供され、次いで酸化剤に曝露されて、金属化されたフォトレジスト下層を得る。次いで、反射防止コーティング層が、金属化されたフォトレジスト下層に渡り形成され、続いて、反射防止コーティング層に渡りフォトレジスト層が形成される。次いで、フォトレジスト層は、当技術分野で知られている方法を使用してパターン化され、そのパターンは、1つ以上のエッチングプロセスで反射防止コーティング層及びフォトレジスト下層に転写される。従って、SOC組成物は、フォトレジスト下層のフィルムの表面に反射防止コーティング層、例えば、シリコン系酸化フィルムを形成すること、及び反射防止コーティング層をウェット又はドライエッチングに供することを含む多層レジストプロセスで使用される。
【0066】
一実施形態によるSOC組成物は、フォトレジスト下層の表面にシリコン系酸化フィルムを形成すること、及びシリコン系酸化フィルムをウェットエッチングにかけることを含む多層レジストプロセスで使用される。更に、SOC組成物に使用されるポリマーは、上記のように110℃未満のTgを有するため、得られるフォトレジスト下層は、基板への優れた接着性を示すことができる。加熱のためフォトレジスト下層における任意の残留応力は、記載されたガラス転移温度のポリマーで減少する可能性がある。
【0067】
SOC組成物は、スピンコーティングによって電子デバイス基板に配置される。典型的なスピンコーティング法では、本組成物は、500~4000rpmの速度で15~90秒間回転している基板に塗布されて、SOC組成物の所望の層、従って基板上に本明細書に記載のポリマーが得られる。ポリマー層(ポリマーフォトレジスト下層)の高さは、スピン速度及びSOC組成物のポリマー固体含有量を変えることによって調整され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0068】
多種多様の基板がパターン形成方法において使用され得、電子デバイス基板が典型的である。適切な基板としては、例えば、マルチチップモジュールなどのパッケージング基板、フラットパネルディスプレー基板、集積回路基板、有機発光ダイオード(OLED)などの発光ダイオード(LED)用の基板、半導体ウェハー、多結晶シリコン基板等が挙げられる。適切な基板は、集積回路、光センサー、フラットパネルディスプレー、光集積回路、及びLEDの製造において使用されるものなどのウェハーの形態にあり得る。本明細書で使用される場合、用語「半導体ウェハー」は、シングルチップウェハー、マルチプルチップウェハー、様々なレベルのためのパッケージ、又ははんだ接続を必要とする他のアセンブリなどの、「電子デバイス基板」、「半導体基板」、「半導体デバイス」、及び様々なレベルの相互接続のための様々なパッケージを包含することを意図する。このような基板は、任意の適切なサイズであり得る。典型的なウェハー基板直径は、200mm~300mmであるが、より小さい及びより大きい直径を有するウェハーが、本発明に従って好適に用いられ得る。本明細書で使用される場合、用語「半導体基板」には、半導体デバイスの有効部分又は動作可能部分を任意選択で含み得る1つ以上の半導体層又は構造物を有する任意の基板が含まれる。半導体デバイスは、少なくとも1つのマイクロ電子デバイスがその上にバッチ製造されたか又は製造されつつある半導体基板を意味する。
【0069】
基板は、典型的には、シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、アルミニウム、サファイア、タングステン、チタン、チタン-タングステン、ニッケル、銅、及び金の1つ以上から構成される。基板の例には、絶縁フィルム(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又はポリシロキサン)又は低誘電率絶縁フィルム(例えば、ブラックダイヤモンド(AMAT製)、SiLK(Dow Chemical製)、又はLKD5109(JSR Corporation製))でコーティングされたウェハーが含まれる。溝、ビアなどを有するパターン化された基板も使用することができる。
【0070】
基板は、1つ以上の層及びパターン化形体を含み得る。層は、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物又はケイ化物、ドープされたアモルファスシリコン又はドープされたポリシリコンの層などの1つ以上の導電層、酸化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、又は金属酸化物の層などの1つ以上の誘電体層、単結晶シリコンなどの半導体層、及びこれらの組み合わせを含み得る。層は、様々な技術、例えば、プラズマ強化CVD(PECVD)、低圧CVD(LPCVD)又はエピタキシャル成長などの化学蒸着(CVD)、スパッタリング又は蒸発などの物理蒸着(PVD)、或いは電気めっきなどによって形成することができる。
【0071】
塗布されたフォトレジスト下層組成物は、任意選択で、比較的低温でソフトベークされて、組成物からいかなる溶媒及び他の比較的揮発性の成分をも除去する。他の適切な温度を使用することができるが、例示的なベーク温度は、60℃~170℃であり得る。残留溶剤を除去するためのこのようなベークは10秒~10分間であり得るが、より長い時間又はより短い時間が適切に使用され得る。基板がウェハーである場合、このようなベーク工程は、ウェハーをホットプレート上で加熱することによって行われ得る。
【0072】
SOC組成物から形成されたフォトレジスト下層は、典型的には、10nm~50μm、典型的には25nm~30μm、より典型的には50~5000nmの乾燥した層の厚さを有する。フォトレジスト下層組成物は、基板上の複数のギャップを実質的に埋める、好ましくは埋める、より好ましくは完全に埋めるように塗布することができる。
【0073】
塗布されたフォトレジスト下層組成物は、次いで硬化してフォトレジスト下層を形成する。フォトレジスト下層組成物は、フォトレジスト下層が、フォトレジスト下層上に直接配置されたフォトレジスト又は他の有機層又は無機層などの、その後に設けられる層と混ざり合わないか、又は最小限しか混ざり合わないように十分に硬化される必要がある。フォトレジスト下層組成物は、空気などの酸素含有雰囲気中で、又は窒素などの不活性雰囲気中で、且つ硬化したコーティング層を得るのに十分な加熱などの条件下で、硬化することができる。この硬化工程は、好ましくは、ホットプレート型装置上で行われるが、オーブン硬化が、同等の結果を得るために用いられ得る。硬化温度は、層全体の硬化をもたらすのに十分である必要があり、例えば、遊離酸などの硬化剤が架橋をもたらすのを可能にするのに十分である、又は熱酸発生剤が酸を遊離し、遊離した酸が、硬化剤は熱酸発生剤(TAG)である架橋をもたらすのを可能にするのに十分である必要がる。典型的には、硬化は、150℃以上、好ましくは150~450℃の温度で行われる。硬化温度は、180℃以上、更により好ましくは200℃以上、更に一層好ましくは200~400℃であることがより好ましい。硬化時間は、典型的には10秒~10分、好ましくは30秒~5分、より好ましくは45秒~5分、更により好ましくは45~90秒である。任意選択で、傾斜又は多段階硬化プロセスが用いられ得る。
【0074】
傾斜ベークは、典型的には、比較的低い(例えば、周囲)温度で始まり、温度は、より高い標的温度まで一定の又は変動する傾斜速度で上げられる。多段階硬化プロセスは、2つ以上の温度平坦域、典型的には、より低いベーク温度での第1段階及びより高い温度での1つ以上の追加の段階での硬化を含む。例えば、比較的低温で始まり、次いで200℃~325℃の範囲まで徐々に増加する傾斜ベークは、許容できる結果をもたらし得る。第1段階が200℃未満のより低いベーク温度であり、第2段階が好ましくは200~400℃のより高いベーク温度である、2段階硬化プロセスを有することが、いくつかの場合には好ましくあり得る。2段階硬化プロセスは、既存の基板表面トポグラフィーの一様な充填及び平坦化、例えば、溝及びビアの充填を容易にする。このような傾斜又は多段階硬化プロセスのための条件は、当業者に公知であり、先行のソフトベークプロセスの省略を可能にし得る。
【0075】
フォトレジスト下層組成物の硬化後、金属ハードマスク層などのハードマスク層、有機又は無機の底部反射防止コーティング(BARC)層等などの1つ以上の介在層を、硬化したフォトレジスト下層に渡り配置することができる。次いで、フォトレジスト層を、介在層の1つ以上におけるフォトレジスト下層の上に形成することができる。この場合、上述したような1つ以上の介在する加工層は、フォトレジスト下層に渡り順次形成することができ、続いてフォトレジスト層を形成することができる。適切な層、厚さ、及びコーティング方法の決定は、当業者に周知である。
【0076】
多種多様のフォトレジストを本発明の方法において適切に使用することができ、典型的にはこれはポジ型材料である。適切なフォトレジストとしては、例えば、DuPont Electronics&Imaging(Marlborough,Massachusetts)から入手可能なフォトレジストのEPIC(商標)シリーズ内の材料が挙げられる。適切なフォトレジストは、ポジ型現像レジストであってもネガ型現像レジストであってもよい。
【0077】
例示的なBARC層は、下層にスピンコーティングされ、続いて硬化され得るシリコンBARC、又は化学蒸着(CVD)によって下層に蒸着され得るSiON又はSiOなどの無機シリコン層を含む。任意の適切なハードマスクを使用することができ、任意の適切な技術によって下層に蒸着させ、必要に応じて硬化させることができる。任意選択で、有機BARC層が、シリコン含有層又はハードマスク層に直接配置され、適切に硬化させられ得る。次に、193nmリソグラフィーに使用されるものなどの、フォトレジストが、(3層プロセスでは)シリコン含有層に直接配置される、又は(4層プロセスでは)有機BARC層に直接配置される。フォトレジスト層は、次いで、パターン化された化学線を用いて画像形成され(曝露され)、曝露されたフォトレジスト層は、次いで、適切な現像液を使用して現像されてパターン化されたフォトレジスト層をもたらす。
【0078】
パターンは、次に、例えばプラズマエッチングによってなどの、当技術分野において公知の適切なエッチング技術によって、フォトレジスト層からその直下の層に転写され、3層プロセスにおいてはパターン化されたシリコン含有層をもたらし、4層プロセスにおいてはパターン化された有機BARC層をもたらす。4層プロセスが用いられる場合、パターンは、次にプラズマエッチングなどの適切なパターン転写プロセスを用いて有機BARC層からシリコン含有層又はハードマスク層に転写される。
【0079】
一実施形態では、反射防止層、例えば、シリコン系酸化フィルム、及びフォトレジスト下層フィルムは、レジストパターンをマスクとして使用して、連続的にドライエッチングに供される。シリコン系酸化フィルム及びレジスト下層フィルムは、既知のドライエッチングシステムを使用してドライエッチングに供することができる。ドライエッチングに使用される供給源ガスには、酸素含有ガス(例えば、O、CO、又はCO)、不活性ガス(例えば、He、N、又はAr)、塩素系ガス(例えば、Cl又はBCl)、フッ素系ガス(例えば、CHF又はCF)、H、NHなどが含まれ得、エッチング対象物の元素組成に応じて使用されることができる。更に、これらのエッチングガスのうちの任意の2つ以上を組み合わせて使用することができる。
【0080】
別の実施形態では、シリコン系酸化フィルムは、例えば、フッ化水素水溶液、フッ化水素酸系緩衝液などを使用して、ウェットエッチングに供することができる。フッ化水素酸系緩衝液の例には、フッ化水素水溶液とフッ化アンモニウム(弱アルカリ)の混合溶液が含まれる。
【0081】
シリコン含有層又はハードマスク層がパターン化された後、次いで、硬化されたフォトレジスト下層は、O又はCFプラズマなどの適切なエッチング技術を使用してパターン化される。任意の残っているパターン化されたフォトレジスト層と有機BARC層は、硬化された下層のエッチング中に除去される。
【0082】
一実施形態では、パターン化されたフォトレジスト下層は、次いで、本明細書に記載されるように、キャリアガスを含む又は含まないガス(金属前駆体蒸気)として、又は金属前駆体を含む溶液として、金属前駆体に供される。このようにして、金属前駆体は、フォトレジスト下層の自由体積に浸透する。又、供する工程は、パターン化されたフォトレジスト下層に何らかの方法で付着されていない金属前駆体をフォトレジスト下層から除去することができるパージ工程を含み得る。記載されたVPIプロセスの場合、パージサイクルは、フォトレジスト下層を部分真空下で又は不活性ガス流で、或いはその両方で供する工程を含み得る。記載されたLPIプロセスの場合、パージサイクルは、任意の加熱を伴う部分真空下でフォトレジスト下層を供して、金属溶液が含浸されたフォトレジスト下層に存在する溶媒の全てではないにしてもほとんどを除去する工程を含み得る。フォトレジスト下層をガス又は液体金属前駆体処理に供する工程と、それに続く任意のパージ工程を1回以上繰り返すことができる。
【0083】
パターン化されたフォトレジスト下層への金属前駆体の含浸に続いて、金属前駆体で処理されたフォトレジスト下層は、記載されるように酸化剤に曝露されて、パターン化された金属化されたフォトレジスト下層を得る。フォトレジスト下層を酸化剤に曝露する工程は、1回以上繰り返すことができる。
【0084】
フォトレジスト下層を金属ガス(蒸気)又は金属溶液のいずれかとして金属前駆体処理に供し、続いて任意のパージを行い、次いで浸透された金属前駆体を有するフォトレジスト下層を酸化剤で曝露し、続いて任意のパージを行う工程は、金属化されたフォトレジスト下層を得るために、供する/曝露するサイクルとして1回以上繰り返すことができることを理解されたい。
【0085】
次いで、パターンは、又、いかなる残りのシリコン含有層又はハードマスク層をも除去する、適切なエッチング技術などによって基板に転写され、続いて、いかなる残りのパターン化された硬化された下層もが除去されて、パターン化された基板が提供される。
【0086】
任意選択で、1つ以上のバリア層が、フォトレジスト層に配置され得る。適切なバリア層には、トップコート層、トップ反射防止コーティング層(又はTARC層)などが含まれる。好ましくは、液浸リソグラフィーを使用してフォトレジストをパターン化する場合にはトップコート層が使用される。このようなトップコートは、当技術分野で周知であり、DuPont Electronics&Imagingから入手可能なOC(商標)2000など一般に市販されている。有機反射防止層がフォトレジスト層の下に使用される場合には、TARC層は不要であることが当業者には理解されるであろう。
【0087】
SOC組成物から形成されたフォトレジスト下層は、優れた平坦化、良好な耐溶剤性、及び調整可能なエッチング選択性を示す。本発明の好ましいフォトレジスト下層組成物は、結果として、様々な半導体製造プロセスにおいて有用であり得る。
【0088】
本発明の概念は、以下の実施例によって更に例示される。本明細書で使用される全ての化合物及び試薬は、手順が以下に与えられている場合を除いて、市販されている。
【実施例0089】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)。ポリマーについての数及び重量平均分子量、M及びM、並びに多分散性(PDI)値(M/M)は、Agilent 1100シリーズ屈折率及びMiniDAWN光散乱検出器(Wyatt Technology Co.)を備えたAgilent1100シリーズLCシステムでGPCによって測定される。試料を約10mg/mLの濃度でHPLCグレードのTHFに溶解し、0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、次いで4本のShodexカラム(KF805、KF804、KF803、及びKF802)に注入した。1mL/分の流量と35℃の温度が維持される。カラムは、狭い分子量のPS標準(EasiCal PS-2,Polymer Laboratories,Inc.)で校正される。
【0090】
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、ポリマーのガラス転移温度を決定する。ポリマー試料(1~3mg)を150℃で10分間加熱及び維持して、第1のサイクルで残留溶媒を除去し、次いで0℃に冷却し、10℃/分の加熱速度で300℃に上げ戻す。第2の加熱曲線と可逆加熱曲線を使用して、ガラス転移温度を特定する。
【0091】
実施例P1、スチレン/4-アセトキシスチレン/ヒドロキシエチルアクリレート
丸底フラスコに、5.0gのスチレン、7.80gの4-アセトキシスチレン、2.82gのヒドロキシエチルアクリレート、1.41gの2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(V-601)及び35.0gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を加える。反応混合物を15分間撹拌しながらNで泡立たせ、90℃に温め、20時間撹拌したままにする。反応混合物を室温に冷却し、800mLの4/1のメタノール/水に注いで固体ポリマー生成物を得る。生成物を濾別し、過剰の4/1のメタノール/水で洗浄し、次いで4時間風乾し、50℃で更に20時間真空乾燥して、ポリマーP1を得る(13.0g収量、Mw=8540、PDI=2.0)。
【0092】
実施例P2、P3、及びP4
実施例P2、実施例P3、及び実施例P4のポリマーは、対応するそれぞれのモノマーが適切なモル量で使用されて所望のポリマーを提供することを除いて、実施例P1と同様の手順で作成される。ポリマーP3では、qは、約10~15である。実施例P2、実施例P3、及び実施例P4のポリマーを、表1に列挙し要約する。
【0093】
比較例CP1及びCP3
比較例CP1及びCP3は、対応するそれぞれのモノマーが適切なモル量で使用されて所望のポリマーを提供することを除いて、実施例P1と同様の手順で作成される。CP1及びCP3のポリマーを、表1に列挙し要約する。
【0094】
比較例CP2、9-アントラセニルメチルメタクリレート/ヒドロキシアダマンチルメタクリレート
丸底フラスコに、12.0gの9-アントラセニルメチルメタクリレート、2.59gのヒドロキシアダマンチルメタクリレート、1.36gの2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-65)、及び35.0gのテトラヒドロフラン(THF)を加える。反応混合物を15分間撹拌しながらN下で泡立たせ、次いで69℃に温め、20時間撹拌したままにする。反応混合物を室温に冷却し、800mLのメタノールに注いで固体ポリマー生成物を得る。ポリマーを濾過により分離し、過剰のメタノールで洗浄し、次いで4時間風乾し、50℃で更に20時間真空乾燥して、ポリマーCP2を得る(14.6g収量、Mw=5790、PDI=2.2)。
【化7】
【0095】
【表1】
【0096】
配合例
フォトレジスト下層組成物を、表2(重量%での成分)に記載のその他の添加剤及び80重量%のシクロヘキサノンの存在下で、17.6重量%~20重量%の重量パーセントを有する表1に列挙されるポリマーを溶解してSOC組成物を形成することによって調製する。SOC組成物を、スピンコーティングの前に0.2μmの超高分子量ポリエチレン(UPE)シリンジフィルターで濾過する。
【化8】
F1=PolyFox 656
【0097】
【表2】
【0098】
表1に示されるように、ポリマーP1、P2、P3、及びP4は、それぞれ110℃未満のTを有し、比較例のポリマーCP1、CP2、及びCP3は、それぞれ110℃超のTを有する。ポリマーなどの一連の構造物においてTgがどのように低下し得るかについての考察では、ポリマーP1とCP3を比較することができる。P1及びCP3は両方とも、それぞれ異なる量ではあるが、モノマー、スチレン及び4-アセトキシスチレンから調製される(P1では、スチレン:4-アセトキシスチレンのモル比は1:1であり、CP3では、モル比は3:1である)。更に、P1の第3のモノマーは、ヒドロキシエチルアクリレート(0.2)であり、CP3の第3のモノマーは、1-ヒドロキシ-6-ビニルナフタレン(0.2)である。P1とCP3のTの差は44℃である。より構造的に硬質のヒドロキシナフチル対脂肪族ヒドロキシエチル鎖が、P1のTの低下に役割を果たす可能性があると考えられる。実際、これは、P1とP2の間で観察されたTの違いによって裏付けられており、後者のTは、より低い20℃となっている。P1とP4で観察された違いは、Tを下げるヒドロキシエチルなどの側鎖の存在を更に裏付けている。
【0099】
配合物1~4及びC1~C3を、基板にコーティングし、205℃/60秒でベークする。金属化(MTLZ)の前と後のフィルムの厚さ(以下を参照)を、偏光解析法によって測定し、表3に要約する。
【0100】
金属前駆体浸透のプロセス
フォトレジスト下層フィルムは、それぞれ金属化プロセスに供され、これによって、これらは、以下のプロセスに従って金属前駆体及び酸化剤に曝露される。硬化されたフォトレジスト下層でコーティングされたウェハーは、加熱され150℃に維持される反応器チャンバーに置かれる。Nは、圧力が60ミリトルで安定するまで、2sccmで流され、次いで、チャンバーが、密閉され、0.5秒間保持される。トリメチルアルミニウムガスをチャンバーに0.15秒間パルス(pulse)し、その後60秒間待機する。次いで、Nを20sccmで90秒間チャンバーに流し込み、次いで圧力が60ミリトルで安定するまで2sccmに下げる。水を0.15秒間チャンバーにパルスし、その後60秒間待機する。Nを20sccmで90秒間チャンバーに流し込む。チャンバーを室温まで冷却し、ウェハーを取り出す。
【0101】
XSEM-EDX分析
金属が浸透されたフォトレジスト下層の断面は、EDXを備えたKLA-Tencor Amray 4200SEMで視覚化される。試料は、イリジウムでスパッタコーティングされる。EDXは、5.0kVの加速電圧を使用して取得される。
【0102】
【表3】
【0103】
表3に見られるように、本発明のフォトレジスト下層フィルムは、検出可能な金属含有量を有するが、金属部位は、110℃を超えるTgを有するポリマーを有するSOC組成物で調製された比較のフォトレジスト下層フィルム(C1、C2、及びC3)では検出されない。従って、SOC組成物に存在するポリマーのTgを低下させることが、有機-無機(金属化)ハイブリッドフォトレジスト下層を実現するための重要な要件であることを実証している。更に、SOC組成物中に存在するポリマーのTgの低下が、フォトレジスト下層のフィルム深さに対してより均一に金属化された含有量をもたらし、従って、フォトレジスト下層において比較的均一なエッチング耐性をもたらすことを実証している。
【0104】
本開示は、実用的で例示的な実施形態であると現在考えられるものと併せて記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されず、むしろ添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を包含することを意図することが理解されるべきである。