(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096636
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】燃焼室、燃焼室を製造する方法および駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
F02K 9/64 20060101AFI20220622BHJP
B23P 15/00 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
F02K9/64
B23P15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021204013
(22)【出願日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】10 2020 133 967.4
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516077644
【氏名又は名称】アリアーネグループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヴィンター
(72)【発明者】
【氏名】マーティン マリシュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】駆動ユニットでの使用に適した燃焼室ならびにこのような燃焼室を製造する方法を提供する。
【解決手段】特に駆動ユニットでの使用に適した燃焼室は、燃焼空間と、燃焼空間を画定する燃焼空間壁と、燃焼空間壁の、燃焼空間とは反対の側の表面から延びておりかつ互いに隣り合う冷却通路を互いに隔離する複数の冷却通路ウェブとを有している。冷却通路ウェブは、冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面から延びる、各1つの突出部を備えている。さらに燃焼室は、複数のカバー部材を有しており、各カバー部材は、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブにより画定された1つの冷却通路の長手方向軸線に沿って、互いに隣り合う冷却通路ウェブの突出部の間に延びておりかつ冷却通路をカバーして密閉するために、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブの突出部に隙間なく形状結合式に結合されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に駆動ユニットで使用される燃焼室(10)であって、
-燃焼空間(12)と、
-該燃焼空間(12)を画定する燃焼空間壁(14)と、
-該燃焼空間壁(14)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の表面(18)から延びかつ互いに隣り合う冷却通路(20)を互いに隔離する複数の冷却通路ウェブ(16)であって、これらの冷却通路ウェブ(16)はそれぞれ、該冷却通路ウェブ(16)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の端面(24)から延びる突出部(22)を備えている、複数の冷却通路ウェブ(16)と、
-複数のカバー部材(26)であって、各カバー部材(26)は、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブ(16)により画定される1つの冷却通路(20)の長手方向軸線(L)に沿って、互いに隣り合う前記冷却通路ウェブ(16)の前記突出部(22)の間に延びており、かつ前記冷却通路(20)をカバーするために、互いに隣り合う2つの前記冷却通路ウェブ(16)の前記突出部(22)に形状結合式に結合されている、複数のカバー部材(26)と
を有している、燃焼室(10)。
【請求項2】
-前記カバー部材(26)はそれぞれ、互いに隣り合う2つの前記冷却通路ウェブ(16)の対応する端面部分(32)に支持される縁部(30)を有しており、かつ/または
-前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)は、前記燃焼空間壁(14)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の表面(18)に対して平行でありかつ互いに隣り合う2つの前記冷却通路ウェブ(16)により画定された1つの冷却通路(20)の前記長手方向軸線(L)に対して垂直な方向において、それぞれ前記冷却通路ウェブ(16)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の端面(24)の中心から延びている、請求項1記載の燃焼室。
【請求項3】
-前記冷却通路ウェブ(16)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の前記端面(24)に対して垂直な方向における、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)の寸法は、前記冷却通路ウェブ(16)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の前記端面(24)に対して垂直な方向における前記カバー部材(26)の寸法に、実質的に相当しており、かつ/または
-前記カバー部材(26)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の外面はそれぞれ、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の前記端面(34)に対して実質的に同一平面になるように整列させられており、かつ/または
-前記カバー部材(26)と、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)とにより画定される外側の燃焼室壁は、前記燃焼空間壁(14)に対して実質的に平行かつ/または同軸になるように位置調整されている、請求項1または2記載の燃焼室。
【請求項4】
前記カバー部材(26)は、それぞれ腐食処理、レーザ加工または打抜き加工により製作されておりかつ/または前記カバー部材(26)は、それぞれ金属薄板、特に銅薄板から製造されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃焼室。
【請求項5】
-前記冷却通路(20)は、第1の端面側の端部において、それぞれ第1の閉鎖部材(36)により画定されており、前記カバー部材(26)は、それぞれ前記第1の閉鎖部材(36)に形状結合式に結合されており、かつ/または
-前記冷却通路(20)は、第2の端面側の端部において、それぞれ第2の閉鎖部材(40)により画定されており、前記カバー部材(26)と前記第2の閉鎖部材(40)との間には、各1つの圧力補償開口(42)が設けられている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の燃焼室。
【請求項6】
前記カバー部材(26)と、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)とにより画定される前記外側の燃焼室壁は、前記カバー部材(26)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の外面と、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の端面(34)とに被着された表面層(35)を備えている、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃焼室。
【請求項7】
特に駆動ユニットでの使用に適した燃焼室(10)を製造する方法であって、
-燃焼空間(12)を画定する燃焼空間壁(14)を用意するステップと、
-該燃焼空間壁(14)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の表面(18)から延びておりかつ互いに隣り合う冷却通路(20)を互いに隔てる複数の冷却通路ウェブ(16)であって、これらの冷却通路ウェブ(16)はそれぞれ、前記冷却通路ウェブ(16)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の端面(24)から延びる突出部(22)を備えている、複数の冷却通路ウェブ(16)を用意するステップと、
-複数のカバー部材(26)を、各カバー部材(26)が互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブ(16)により画定された1つの冷却通路(20)の長手方向軸線(L)に沿って、互いに隣り合う前記冷却通路ウェブ(16)の前記突出部(22)の間で延在するように配置するステップと、
-各カバー部材(26)を、互いに隣り合う2つの前記冷却通路ウェブ(16)の前記突出部(22)に形状結合式に結合し、これにより、互いに隣り合う前記冷却通路ウェブ(16)の間に延びる前記冷却通路(20)をカバーするステップと
を有する、方法。
【請求項8】
前記カバー部材(26)を、それぞれロール加工、かしめ締結および/または縁曲げ加工により、互いに隣り合う前記冷却通路ウェブ(16)の前記突出部(22)に形状結合式に結合する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
-前記カバー部材(26)をそれぞれ、これらのカバー部材(26)の縁部(30)が互いに隣り合う2つの前記冷却通路ウェブ(16)の対応する端面部分(32)に支持されるように配置し、かつ/または
-前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)は、前記燃焼空間壁(14)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の表面(18)に対して平行でありかつ互いに隣り合う2つの前記冷却通路ウェブ(16)により画定された1つの冷却通路(20)の長手方向軸線(L)に対して垂直な方向において、それぞれ前記冷却通路ウェブ(16)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の端面(24)の中心から延びている、
請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
-前記冷却通路ウェブ(16)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の前記端面(24)に対して垂直な方向における、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)の寸法を、前記冷却通路ウェブ(16)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の前記端面(24)に対して垂直な方向における前記カバー部材(26)の寸法に、実質的に一致させ、かつ/または
-前記カバー部材(26)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の外面をそれぞれ、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の前記端面(34)に対して実質的に同一平面になるように整列させ、かつ/または
-前記カバー部材(26)と、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)とにより画定される外側の燃焼室壁を、前記燃焼空間壁(14)に対して実質的に平行かつ/または同軸になるように位置調整する、
請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記カバー部材(26)を、それぞれ腐食処理、レーザ加工または打抜き加工により製作しかつ/または前記カバー部材(26)を、それぞれ金属薄板、特に銅薄板から製造する、請求項7から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
-前記冷却通路(20)を、第1の端面側の端部において、それぞれ第1の閉鎖部材(36)により画定し、前記カバー部材(26)を、それぞれ前記第1の閉鎖部材(36)に形状結合式に結合させ、かつ/または
-前記冷却通路(20)を、第2の端面側の端部において、それぞれ第2の閉鎖部材(40)により画定し、前記カバー部材(26)と前記第2の閉鎖部材(40)との間に、各1つの圧力補償開口(42)を設ける、
請求項7から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記カバー部材(26)と、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)とにより画定される前記外側の燃焼室壁に、前記カバー部材(26)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の外面と、前記冷却通路ウェブ(16)に設けられた前記突出部(22)の、前記燃焼空間(12)とは反対の側の端面(34)とに被着される表面層(35)を設ける、請求項7から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1から6までのいずれか1項記載の燃焼室(10)を備えた駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に駆動ユニットでの使用に適した燃焼室ならびにこのような燃焼室を製造する方法に関する。さらに本発明は、このような燃焼室を備えた駆動ユニットに関する。
【0002】
ロケットや人工衛星での使用に適した最新の駆動ユニットでは、一般に水素が酸素と共に燃焼させられ、これにより推進力を発生させる。燃料として水素を使用することにより、高いエネルギ収量ひいては駆動ユニットの高い比推力を得ることができる。しかし水素の燃焼時には、特に駆動ユニットの燃焼室内で、燃焼室コンポーネントの高い熱負荷につながる高い燃焼温度に達することになる。したがって、駆動ユニットにおいて使用するために設けられる燃焼室は、一般に二重壁に形成されており、燃焼室の燃焼空間を包囲する内壁と、内壁に対して同軸に配置された外壁とを有しており、外壁は、燃焼室の運転中に燃焼室に作用する機械的な荷重を支持する。内壁と外壁との間には複数の冷却通路が形成されており、これらの冷却通路は、内壁と外壁との間に延びる冷却通路ウェブにより側方を画定される。このような燃焼室の構成は、例えば独国特許出願公開第102016212314号明細書に記載されている。
【0003】
駆動ユニットの運転中は、冷却媒体が冷却通路を通流する。駆動ユニットを再生冷却する場合には、冷却媒体として燃料成分、特に水素が用いられる。この場合、燃焼中に燃焼室の燃焼空間内に生じる反応熱は、熱伝導性の材料、例えば銅合金から成る燃焼室の内壁を介して、冷却通路を通流する冷却媒体に伝達され、導出され得る。
【0004】
目下駆動ユニットにおいて使用される燃焼室の場合、内壁と冷却通路ウェブとは、一般に一体に形成されている。例えば、内壁はその外面の領域に、冷却通路ウェブを形成するリブ構造体を備えていてよく、リブ構造体は、機械加工、例えばフライス加工により内壁の外面に設けられてよい。次いで、各リブもしくは冷却通路ウェブの間に存在する中間室にろうが充填され、これにより、電気めっきされるべき外壁のための平らな被着面を形成することができる。例えば、外壁は、薄い銅合金層と、その上に位置するニッケル合金層とから成っていてよく、銅合金層とニッケル合金層とは順次、冷却通路が固まって形成された平らな被着面に電気めっきされる。最後に、冷却通路ウェブの間に入れられたろうを溶融させることにより、冷却通路が露出させられる。次いで、溶融したろう、一般にグラファイト/オイルエマルジョンを廃棄処理せねばならない。
【0005】
独国特許出願公開第102010007272号明細書に記載の、ロケット燃焼室用の再生冷却式のノズル拡張部は、第1の壁と、第2の壁と、第1の壁と第2の壁との間に配置された冷却通路とを有している。冷却通路は、冷却通路ウェブにより側方を画定されており、冷却通路ウェブは、第1の壁と一体に形成されている。冷却通路ウェブの、第1の壁とは反対の側の端部はあり形に形成されており、第2の壁と冷却通路ウェブとの結合時に、第2の壁に形成された凹部に受容される。第2の壁の変形により、冷却通路ウェブのあり形の端部と凹部との間に形状結合が生ぜしめられ、これにより、第1の壁と第2の壁とが結合されることになる。
【0006】
独国特許出願公開第102016212314号明細書から、燃焼室と、燃焼室を包囲する第1の壁と、第1の壁の表面から延びておりかつ互いに隣り合う冷却通路を互いに隔てている複数の冷却通路ウェブとを備えた燃焼室が公知である。冷却通路ウェブは、第1の壁の表面とは反対の側の端部に、冷却通路ウェブに隣接する冷却通路を少なくとも部分的に覆う、折り曲げられた部分を有している。
【0007】
本発明の根底を成す課題は、特に駆動ユニットでの使用に適した、簡単に製造されるべき燃焼室を提供することにある。さらに本発明の根底を成す課題は、特に駆動ユニットでの使用に適した燃焼室を製造する、簡略化された方法を提供することにある。最後に本発明の根底を成す課題は、このような燃焼室を備えた駆動ユニットを提供することにある。
【0008】
この課題は、請求項1記載の特徴を備えた燃焼室、請求項7記載の特徴を備えた、燃焼室を製造する方法および請求項14記載の特徴を備えた駆動ユニットにより解決される。
【0009】
特に駆動ユニット、例えばロケット駆動ユニットまたは人工衛星駆動ユニットでの使用に適した燃焼室は、燃焼空間を有しており、燃焼空間内では燃焼室の運転中に燃料が燃焼し、これにより推進力を発生させる。例えば燃焼室の運転中、燃焼空間には酸素と水素とが供給され得る。さらに燃焼室は、燃焼空間を画定する燃焼空間壁と、燃焼空間壁の、燃焼空間とは反対の側の表面から延びておりかつ互いに隣り合う冷却通路を互いに隔てる複数の冷却通路ウェブとを有している。燃焼空間壁は、燃焼空間を直接に画定する壁であってよく、この壁は、好適には例えば銅または銅合金等の高い熱伝導率を有する材料から成っている。さらに燃焼空間壁は、表面層、耐高温コーティングを備えていてよく、耐高温コーティングは、特に燃焼室の燃焼空間内を支配する高温から燃焼空間壁を保護する。
【0010】
冷却通路ウェブは、別個の構成部材として形成されていてよく、例えば溶接またはろう接等の適当な接合技術により燃焼空間壁に結合されていてよい。ただし好適には、冷却通路ウェブは燃焼空間壁と一体に形成されている。燃焼空間壁と一体に形成された冷却通路ウェブは、例えば燃焼空間壁および冷却通路の形成を想定した半製品の例えばフライス加工等の機械加工により製造され得る。これに対して択一的に、付加製造法による、燃焼空間壁と一体に形成された冷却通路ウェブの製造も考えられる。冷却通路は、好適には実質的に燃焼室の長手方向軸線に沿ってひいては実質的に燃焼室の周方向に対して垂直に延びている。
【0011】
冷却通路ウェブはそれぞれ、冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面から延びる突出部を備えている。冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面は、燃焼空間壁の、燃焼空間とは反対の側の表面に対して、好適には実質的に平行に延びている。冷却通路ウェブに比べ、突出部は好適には減径された横断面を有している、すなわち、燃焼空間壁の、燃焼空間とは反対の側の表面に対して平行でありかつ互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブにより画定された1つの冷却通路の長手方向軸線に対して垂直な方向において、冷却通路ウェブは、好適にはそれぞれ冷却通路ウェブに設けられた突出部よりも大きい寸法を有している。これに対して冷却通路ウェブと、冷却通路ウェブに形成された突出部とは、冷却通路の長手方向軸線に沿って好適には実質的に同じ寸法を有している、すなわち、冷却通路ウェブは、好適にはその全長に沿って、冷却通路の長手方向軸線に沿って対応する突出部を備えている。
【0012】
最後に、燃焼室は複数のカバー部材を有している。各カバー部材は、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブにより画定された1つの冷却通路の長手方向軸線に沿って、互いに隣り合う冷却通路ウェブの突出部の間に延在している。さらに各カバー部材は、冷却通路をカバーして密閉するために、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブの突出部に形状結合式に、つまり接触面に隙間が生じないように結合されている。換言すると、この燃焼室では、冷却通路はそれぞれ、互いに別個に形成されたカバー部材により閉じられており、これらのカバー部材は、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブの突出部の間に配置され、次いで突出部に隙間なくぴったりと形状結合式に結合される。
【0013】
燃焼室の製造に際して、冷却通路にまずろうを充填し、次いで冷却通路を閉鎖し、最後にろうを溶融させる、ということを省くことができる。さらに、カバー部材と突出部との隙間のない形状結合式の結合は、狭小な許容差を要求しない堅牢なプロセスである。よって燃焼室を、特に簡単かつ廉価に製造することができる。
【0014】
燃焼室のカバー部材は、好適にはそれぞれ互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブの対応する端面部分に支持される縁部を有している。カバー部材の縁部は、好適には実質的に互いに平行に、カバー部材により閉じられた冷却通路の長手方向軸線に沿って延びている。これに相応して、カバー部材の縁部を支持する冷却通路ウェブの端面部分は、好適には実質的に互いに平行に、カバー部材により閉じられた冷却通路の長手方向軸線に沿って延びている。
【0015】
燃焼空間壁の、燃焼空間とは反対の側の表面に対して平行でありかつ互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブにより画定された1つの冷却通路の長手方向軸線に対して垂直な方向において、冷却通路ウェブに設けられた突出部は、それぞれ冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面の中心から延びてよい。冷却通路ウェブの端面の中心に突出部を配置したことにより、突出部の両側に残された端面部分の大きさは、カバー部材の対応する縁部のための確実な支持面として使用するためには十分である。この場合、冷却通路ウェブの各突出部は、2つのカバー部材に隙間なく形状結合式に結合されていてよい。
【0016】
組立が完了した燃焼室において、冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面に対して垂直な方向における、冷却通路ウェブに設けられた突出部の寸法は、冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面に対して垂直な方向におけるカバー部材の寸法に、好適には実質的に相応している。換言すると、組立が完了した燃焼室において、突出部と、突出部に隙間なく形状結合式に結合されたカバー部材とは、一貫して実質的に同じ厚さを有する、外側の燃焼室壁を形成している。これに対して、カバー部材との形状結合式の結合前は、冷却通路ウェブの端面に対して垂直な突出部の寸法は、カバー部材の対応する寸法よりもやや大きくなっている。これにより突出部は、例えばロール工具によりカバー部材と共に良好に圧縮され得、これにより、カバー部材に隙間なく形状結合式に結合され得る。
【0017】
組立が完了した燃焼室において、カバー部材の、燃焼空間とは反対の側の外面は、好適にはそれぞれ、冷却通路ウェブに設けられた突出部の、燃焼空間とは反対の側の端面に対して実質的に共面になるように整列させられている。カバー部材の外面と、突出部の端面との共面整列は、突出部およびカバー部材の上述した寸法設定により既に達成され得る。しかしまた場合により、カバー部材を突出部に形状結合式に結合した後に、依然として存在する余分な材料を例えば旋削等の切削法により除去してもよい。
【0018】
これに対して追加的または択一的に、カバー部材と、冷却通路ウェブに設けられた突出部とにより画定される外側の燃焼室壁は、燃焼空間壁に対して実質的に平行かつ/または同軸になるように位置調整されていてよい。カバー部材は、それぞれ例えば腐食処理、レーザ加工または打抜き加工により製造されていてよい。特に、カバー部材は金属薄板から製造されていてよい。カバー部材の製造に特に適しているのは、例えば銅等の高い熱伝導率を有する材料である。よってカバー部材は、例えば銅薄板から製造されていてよい。
【0019】
第1の端面側の端部において、冷却通路は、好適には第1の閉鎖部材により画定されている。例えば冷却通路は、冷却通路の深さが、その第1の端面側の端部に向かって減少するように形成されていてよい。このことは例えば、燃焼空間壁の厚さが冷却通路の第1の端面側の端部に向かって増大しかつ燃焼空間壁の厚くなった領域が第1の閉鎖部材を形成することにより実現され得る。カバー部材は、好適にはそれぞれ第1の閉鎖部材に隙間なく形状結合式に結合されている。
【0020】
このことは例えば、第1の閉鎖部材にまず、例えば第1の閉鎖部材の、燃焼空間とは反対の側の表面に対して実質的に垂直に延びる突起が設けられる、ということにより生ぜしめられてよい。この突起は、冷却通路ウェブに形成された突出部と同様、例えばカバー部材と共に圧縮され、これにより、カバー部材に隙間なく形状結合式に結合され得る。基本的に、全ての冷却通路ひいては全てのカバー部材に対して別個の突起が、対応する第1の閉鎖部材に設けられていてよい。しかしまた、複数/全ての第1の閉鎖部材ひいては複数/全てのカバー部材にわたり延びる突起を複数または1つだけ設ける、ということも考えられる。
【0021】
第2の端面側の端部において、冷却通路は、好適には第2の閉鎖部材により画定されている。例えば冷却通路は、冷却通路の深さが、その第2の端面側の端部に向かって減少するように形成されていてよい。このことは例えば、燃焼空間壁の厚さが冷却通路の第2の端面側の端部に向かって増大しかつ燃焼空間壁の厚くなった領域が第2の閉鎖部材を形成することにより実現され得る。冷却通路の第2の端面側の端部の領域に、第2の閉鎖部材とカバー部材との形状結合式の結合部は好適には設けられていない。むしろ、冷却通路の第2の端面側の端部において、カバー部材と第2の閉鎖部材との間には、各1つの圧力補償開口が設けられている。
【0022】
カバー部材と、冷却通路ウェブに設けられた突出部とにより画定される外側の燃焼室壁は、カバー部材の、燃焼空間とは反対の側の外面と、冷却通路ウェブに設けられた突出部の、燃焼空間とは反対の側の端面とに被着された表面層を備えていてよい。表面層は、好適には表面層が燃焼室の機械的な耐荷重を改良するように選択されている。例えば、外側の燃焼室壁は、ニッケル層を備えていてよい。
【0023】
表面層が、冷間ガス射出と、引き続く熱処理とにより形成される場合には、冷却通路の第2の端面側の端部に設けられた圧力補償開口が、熱処理中に冷却媒体通路内の圧力が極度に大幅に上昇することを防ぐ。これに対し、表面層が電気めっき法により形成される場合には、通常、表面層の熱処理は不要である。この場合、完成した燃焼室において冷却通路は封止されているということを保証するために、冷却通路の第2の端面側の端部において圧力補償開口は省かれることが望ましい。
【0024】
この場合、カバー部材は、例えばそれぞれ第2の閉鎖部材に形状結合式に結合されていてよい。このためには第2の閉鎖部材に、まず第2の閉鎖部材の、燃焼室とは反対の側の表面に対して実質的に垂直に延びる突起が設けられていてよく、次いでこの突起は、カバー部材と共に圧縮され、これにより、カバー部材に形状結合式に結合されることになる。基本的に、全ての冷却通路ひいては全てのカバー部材に対して別個の突起が、対応する第2の閉鎖部材に設けられていてよい。しかしまた、複数/全ての第2の閉鎖部材ひいては複数/全てのカバー部材にわたり延びる突起を複数または1つだけ設ける、ということも考えられる。
【0025】
特に駆動ユニットでの使用に適した燃焼室を製造する方法では、まず、燃焼空間を画定する燃焼空間壁を用意する。さらに、燃焼空間壁の、燃焼空間とは反対の側の表面から延びておりかつ互いに隣り合う冷却通路を互いに隔てる複数の冷却通路ウェブを用意する。冷却通路ウェブはそれぞれ、冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面から延びる突出部を備えている。互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブにより画定された1つの冷却通路の長手方向軸線に沿って、互いに隣り合う冷却通路ウェブの突出部の間に各カバー部材が延在するように、複数のカバー部材を配置する。最後に、各カバー部材を、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブの突出部に隙間なく形状結合式に結合し、これにより、互いに隣り合う冷却通路ウェブの間に延びる冷却通路をカバーして密閉する。
【0026】
冷却通路ウェブに設けられた突出部とカバー部材との間の形状結合式の結合は、例えばロール加工により生ぜしめることができる。ただし冷却通路ウェブに設けられる突出部は、かしめ締結および/または縁曲げ加工により、カバー部材に形状結合式に結合されてもよい。
【0027】
カバー部材は好適にはそれぞれ、カバー部材の縁部が、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブの対応する端面部分に支持されるように配置される。冷却通路ウェブに設けられた突出部は、燃焼空間壁の、燃焼空間とは反対の側の表面に対して平行でありかつ互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブにより画定された1つの冷却通路の長手方向軸線に対して垂直な方向において、それぞれ冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面の中心から延びてよい。この場合、各突出部は、好適には2つのカバー部材に隙間なく形状結合式に結合され得る。
【0028】
冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面に対して垂直な方向における、冷却通路ウェブに設けられた突出部の寸法は、好適には冷却通路ウェブの、燃焼空間とは反対の側の端面に対して垂直な方向におけるカバー部材の寸法に、実質的に相応している。カバー部材の、燃焼空間とは反対の側の外面は、好適にはそれぞれ、冷却通路ウェブに設けられた突出部の、燃焼空間とは反対の側の端面に対して実質的に共面になるように整列させられている。必要とされる場合には、このために切削法、例えば平面旋削を用いることができる。カバー部材と、冷却通路ウェブに設けられた突出部とにより画定される外側の燃焼室壁は、燃焼空間壁に対して実質的に平行かつ/または同軸になるように位置調整される。
【0029】
カバー部材は、それぞれ例えば腐食処理、レーザ加工または打抜き加工により製造され得る。これに対して追加的または択一的に、カバー部材は、薄板、特に金属薄板、特に好適には銅薄板から製造され得る。
【0030】
冷却通路は、第1の端面側の端部において、好適にはそれぞれ第1の閉鎖部材により画定され得る。カバー部材は、それぞれ第1の閉鎖部材に形状結合式に結合され得る。例えば第1の閉鎖部材に設けられた、第1の閉鎖部材の、燃焼室とは反対の側の表面に対して例えば実質的に垂直に延びる突起が、カバー部材と共に圧縮され、これにより、カバー部材に隙間なく形状結合式に結合され得る。
【0031】
第2の端面側の端部において、冷却通路は、好適にはそれぞれ第2の閉鎖部材により画定される。冷却通路の第2の端面側の端部の領域には、第2の閉鎖部材とカバー部材との形状結合式の結合部は好適には設けられず、むしろカバー部材と第2の閉鎖部材との間に配置された圧力補償開口が設けられる。
【0032】
カバー部材と、冷却通路ウェブに設けられた突出部とにより画定される外側の燃焼室壁は、カバー部材の、燃焼空間とは反対の側の外面と、冷却通路ウェブに設けられた突出部の、燃焼空間とは反対の側の端面とに被着される表面層を備えていてよい。
【0033】
特にロケット駆動ユニットまたは人工衛星駆動ユニットの形態で構成されていてよい駆動ユニットは、上述した燃焼室を備えている。
【0034】
次に、本発明の好適な実施形態を、添付の概略図に基づきより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ロケット駆動ユニットでの使用に適した燃焼室を示す立体概観図である。
【
図3】
図3a~
図3cは、
図1に示した燃焼室を製造する方法を具体的に示す図である。
【
図4】
図1に示した燃焼室の冷却通路の第1の端面側の端部の拡大図である。
【
図5】
図1に示した燃焼室の冷却通路の第2の端面側の端部の拡大図である。
【0036】
図1および
図2に示す、ロケット駆動ユニットでの使用に適した燃焼室10は、燃焼空間12を有しており、燃焼空間12内では燃焼室の運転中に燃料が燃焼し、これにより推進力を発生させる。燃焼空間12は、燃焼空間壁14により包囲されている。燃焼空間壁14の、燃焼空間12とは反対の側の表面18からは、複数の冷却通路ウェブ16(
図3a~
図3cも参照)が延びており、隣り合う冷却通路20同士を互いに隔てるために用いられる。冷却通路20は、実質的に燃焼室10の長手方向軸線LBに沿ってひいては実質的に燃焼室10の周方向に対して垂直に延びている。冷却通路ウェブ16は、燃焼空間壁14と一体に形成されており、燃焼空間壁14と同様、熱伝達性の良好な銅合金から成っている。
【0037】
冷却通路ウェブ16は、冷却通路ウェブ16の、燃焼空間12とは反対の側の端面24から延びる、各1つの突出部22を備えている。冷却通路ウェブ16の、燃焼空間12とは反対の側の端面24は、燃焼空間壁14の、燃焼空間12とは反対の側の表面18に対して実質的に平行に延びている。燃焼空間壁14の、燃焼空間12とは反対の側の表面18に対して平行でありかつ互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブ16により画定された1つの冷却通路20の長手方向軸線Lに対して垂直な方向に、突出部22は、各冷却通路ウェブ16と比べて縮小された横断面を有しており、かつそれぞれ冷却通路ウェブ16の端面24の中心から延びている。これに対して冷却通路ウェブ16と、冷却通路ウェブ16に形成された突出部22とは、冷却通路20の長手方向軸線Lに沿う方向では実質的に同じ寸法を有している、すなわち、冷却通路ウェブ16は実質的にその全長に、冷却通路20の長手方向軸線Lに沿って対応する突出部22を備えている。
【0038】
さらに、燃焼室10は複数のカバー部材26を有している。カバー部材26はそれぞれ、例えば1つの金属薄板、特に銅薄板から腐食処理、レーザ加工または打抜き加工を施すことにより製造されている。
図3aおよび
図3bから最も良く看取されるように、カバー部材26は燃焼室10の製造に際して、各カバー部材26が、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブ16により画定された1つの冷却通路20の長手方向軸線Lに沿って、互いに隣り合う冷却通路ウェブ16の突出部22の間に延在するように配置される。最終的には
図3cに示すように、各カバー部材26は、互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブ16の突出部22に形状結合式に、つまり接触面に隙間が生じないように結合され、これにより、互いに隣り合う冷却通路ウェブ16の間に延びる冷却通路20をカバーして密閉することになる。
【0039】
カバー部材26と突出部22との間の形状結合式の結合は、ロール加工、かしめ締結および/または縁曲げ結合により生ぜしめられる。
図3bでは、カバー部材26と突出部22との間に形状結合式の結合を生ぜしめるために、ロール工具28が使用される。
【0040】
カバー部材26は、それぞれ冷却通路の長手方向軸線Lに沿って実質的に互いに平行に延びかつ互いに隣り合う2つの冷却通路ウェブ16の対応する端面部分32に支持される縁部30を有している。突出部22はそれぞれ、冷却通路ウェブ16の端面24の中心から延びているため、突出部22の両側に残された端面部分32の大きさは、2つのカバー部材26の対応する縁部30のための確実な支持面として使用するためには十分である。これに相応して、冷却通路ウェブ16の突出部22はそれぞれ、2つのカバー部材26に隙間なく形状結合式に結合され得る。
【0041】
図3bにおいて最も良く認められるように、冷却通路ウェブ16の端面24に対して垂直な突出部22の寸法は、カバー部材26との形状結合式の結合前は、カバー部材26の対応する寸法、すなわち厚さDよりもやや大きくなっている。これにより、突出部22はロール工具28によりカバー部材26と共に良好に圧縮され、これにより、カバー部材26に隙間なく形状結合式に結合され得る。ただし、組立が完了した燃焼室10において、冷却通路ウェブ16の端面24に対して垂直な方向における突出部22の寸法は、実質的にカバー部材の厚さDに相当する。よって、組立が完了した燃焼室10において、突出部22と、突出部22に隙間なく形状結合式に結合されたカバー部材26とは、一貫して実質的に同じ厚さを有する、外側の燃焼室壁を形成している。
【0042】
さらに、組立が完了した燃焼室10において、カバー部材26の、燃焼空間12とは反対の側の外面33はそれぞれ、冷却通路ウェブ16に設けられた突出部22の、燃焼空間12とは反対の側の端面34に対して実質的に同一平面を成すように整列させられている。カバー部材26の外面33と、突出部22の端面34との同一平面の整列は、突出部22およびカバー部材26の相応する寸法設定により既に実現させることができる。しかしまた場合により、カバー部材26を突出部22に形状結合式に結合した後に、依然として存在する余分な材料を例えば旋削等の切削法により除去してもよい。
【0043】
最終的に、カバー部材26と、冷却通路ウェブ16に設けられた突出部22とにより画定される外側の燃焼室壁は、燃焼空間壁14に対して実質的に平行かつ同軸になるように位置調整されている。外側の燃焼室壁は、カバー部材26の、燃焼空間12とは反対の側の外面に被着された表面層35を備えている。さらに、冷却通路ウェブ16に設けられた突出部22の、燃焼空間12とは反対の側の端面34も、表面層35を備えている。
【0044】
図4に示す拡大図において最も良く認められるように、冷却通路20は第1の端面側の端部において、それぞれ第1の閉鎖部材36により画定される。特に冷却通路20は、燃焼空間壁14の厚さが冷却通路20の第1の端面側の端部に向かって増大しかつ燃焼空間壁14の厚くなった領域が第1の閉鎖部材36を形成することにより、冷却通路20の深さがその第1の端面側の端部に向かって減少するように形成されている。カバー部材26は、それぞれ第1の閉鎖部材36に隙間なく形状結合式に結合されている。
【0045】
カバー部材26と第1の閉鎖部材36との形状結合式の結合は、第1の閉鎖部材36に、まず第1の閉鎖部材36の、燃焼空間12とは反対の側の表面に対して実質的に垂直に延びる突起38が設けられていることにより生ぜしめられる。この突起38は、冷却通路ウェブ16に形成された突出部22と同様、カバー部材26と共に圧縮され、これにより、カバー部材26に形状結合式に結合される。
【0046】
第2の端面側の端部において冷却通路20は、
図5に示すように、第2の閉鎖部材40により画定されている。特に冷却通路20は、燃焼空間壁14の厚さが冷却通路20の第2の端面側の端部に向かって増大しかつ燃焼空間壁14の厚くなった領域が第2の閉鎖部材40を形成することにより、冷却通路20の深さがその第2の端面側の端部に向かって減少するように形成されている。冷却通路20の第2の端面側の端部の領域には、第2の閉鎖部材40とカバー部材26との形状結合式の結合部は設けられていない。むしろ、冷却通路20の第2の端面側の端部において、カバー部材26と第2の閉鎖部材40との間には、各1つの圧力補償開口42が設けられている。
【0047】
外側の燃焼室壁の、燃焼空間12とは反対の側の外面に、低温ガス射出と、引き続く熱処理とにより表面層35を形成する際に、冷却通路20の第2の端面側の端部に設けられた圧力補償開口42が、熱処理中に冷却媒体通路20内の圧力が極度に大幅に上昇することを防ぐ。これに対し、表面層35を電気めっき法により形成する場合には、通常、表面層35の熱処理は不要である。この場合、完成した燃焼空間12において冷却通路20が封止されていることを保証するために、圧力補償開口42は省かれることが望ましい。
【0048】
この場合、カバー部材26は、例えばそれぞれ第2の閉鎖部材40にも隙間なく形状結合式に結合されている。このためには、第2の閉鎖部材40にもやはり、まず第2の閉鎖部材40の、燃焼空間12とは反対の側の表面に対して実質的に垂直に延びる突起が設けられていてよい。この場合、この突起は、第1の閉鎖部材36に形成された突起38と同様、カバー部材26と共に圧縮され、これにより、カバー部材26に隙間なく形状結合式に結合され得る。
【外国語明細書】