(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096637
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】替芯ケース
(51)【国際特許分類】
B43K 19/14 20060101AFI20220622BHJP
【FI】
B43K19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204022
(22)【出願日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2020209327
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021082566
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】川端 慎大
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭一郎
(57)【要約】
【課題】芯の取り出し口を下向きにすることなく、必要とする替芯を容易に取り出すことができ、多量の替芯がケースから同時に飛び出す問題を解消した替芯ケースを提供する。
【解決手段】背面板2aと左右の脚板2bとにより囲まれた内側空間を替芯収容室2cにすると共に、背面板に施した屈曲可能な薄肉部2dを介して、先端部側に蓋体部2eを、後部側にケース部fを形成したケース本体2と、前面板1aと左右の外側脚板1bとにより、長手方向に直交する断面がコ字状に成形され、ケース本体側の替芯収容室を前面板で覆うと共に、外側脚板の内側に、ケース本体の脚板を位置させて、ケース本体を長手方向にスライド可能に支持したカバー部材1とを備える。前記蓋体部2eには長手方向に沿ってレール状のガイド体2jが形成され、カバー部材にはガイド体に接する摺動体1gが設けられる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面板と左右の脚板とにより囲まれた内側空間を替芯収容室にすると共に、前記背面板の長手方向の先端部近傍に施した屈曲可能な薄肉部を介して、先端部側に蓋体部を、後部側にケース部を形成したケース本体と、
前面板と左右の外側脚板とにより、長手方向に直交する断面がコ字状に成形され、前記ケース本体側の替芯収容室を前記前面板で覆うと共に、前記外側脚板の内側に、前記ケース本体の脚板を位置させて、ケース本体を長手方向にスライド可能に支持したカバー部材とを備え、
前記蓋体部における少なくとも一方の脚板と、この脚板を覆うカバー部材側の外側脚板とのいずれか一方には、前記長手方向に沿ってガイド体が形成されると共に、いずれか他方には前記ガイド体に接する摺動体が形成され、
前記カバー部材の先端部から前記ケース本体の蓋体部を繰り出すスライド動作に伴い、前記ガイド体に対する前記摺動体の摺接により、前記薄肉部を介して前記蓋体部を背面側に反らせる回動動作を与えることを特徴とする替芯ケース。
【請求項2】
前記ケース本体の左右の脚板に取り付けられて、前記替芯収容室を前面側で覆う内蓋がさらに備えられ、前記ケース本体の背面板における前記替芯収容室側の内面および前記内蓋の替芯収容室側の内面には、収容された替芯との面接触を避ける突起がそれぞれ施されていることを特徴とする請求項1に記載の替芯ケース。
【請求項3】
前記ガイド体は、前記蓋体部の脚板の外側において、長手方向に沿って延びるレール状に突出した状態で形成されると共に、
前記摺動体は、前記スライド動作により前記蓋体部が繰り出されるカバー部材の先端部において、前記ガイド体に接するように突出して形成され、
前記ガイド体には、前記先端部から前記薄肉部側に向かって、前記背面板に対して離れる傾斜領域を形成することで、前記スライド動作に伴い、前記薄肉部を介して前記蓋体部を背面側に反らせる回動動作を与えることを特徴とする請求項1又は2に記載の替芯ケース。
【請求項4】
前記蓋体部の先端部には、左右の前記脚板を連結して前記先端部を塞ぐ閉塞板が形成され、前記蓋体部を前記カバー部材に収容し、前記カバー部材の前記前面板を正面視した状態で、前記カバー部材の先端部に前記閉塞板が視認可能に配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の替芯ケース。
【請求項5】
前記ケース本体とカバー部材は共に樹脂素材により形成され、前記ケース本体の背面板の裏面には、長手方向に直交する方向に配列された多数の線状の突起群が形成され、前記カバー部材の前面板の表面には、窪みが形成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の替芯ケース。
【請求項6】
前記内蓋の外面にスライド用リブが内蓋の長手方向に沿って形成されていると共に、前記カバー部材の内底面が梨地面であることを特徴とする請求項2に記載の替芯ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シャープペンシル等に用いられる筆記芯を収容する替芯ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
シャープペンシル等に用いられる筆記芯を収容する替芯ケースは、有底状のケース本体と、このケース本体の開口部に着脱可能に装着される蓋体との二部品により構成される例が多い。
例えば特許文献1に開示された替芯ケースは、樹脂素材によるケース本体と、樹脂素材による蓋体との二部品により構成されており、前記蓋体は替芯ケースの長手方向に直交する方向にスライドさせることで、ケース本体の開口部(替芯の取出し口)が開放される。
この場合、ケース開口部に対する蓋体のスライド位置が、例えば2段階に設定できるように構成されており、これにより、ユーザは替芯を取り出すのに適した広さの開口を設定することができる。
【0003】
また、特許文献2に開示された替芯ケースは、同じく樹脂素材によるケース本体と、樹脂素材による蓋体との二部品により構成されており、有底状のケース本体の開口部に、蓋体が着脱可能に取り付けられる。
ケース本体に形成された前記開口部(替芯の取出し口)は、前面側において斜めにカットされており、これにより、ユーザは替芯を指先で摘むことができるように構成され、使い易い替芯ケースを実現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-30136号公報
【特許文献2】特開2010-173248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記した各特許文献に開示された替芯ケースにおいては、いずれも替芯取出し口を開けた状態で、取出し口が若干下に向くようにケース本体を傾ける操作が必要となる。そして、替芯が自身の重力によって、ケース本体内から取出し口に出ることを利用して、必要とする替芯を取り出すものとなる。
これによると、ケース本体の傾きを調整しつつ、ケース本体を揺り動かすなどの微妙な操作が要求される。このために、必要以上の替芯、あるいはケース本体内の全ての替芯が取出し口から飛び出して、床面に散乱することもあり、床面に散乱した替芯を拾い戻す作業が強いられる場合も発生する。
【0006】
この発明は、従来の替芯ケースの前記した問題点に着目してなされたものであり、替芯の取り出し口を下向きにすることなく、必要とする替芯を容易に取り出すことが可能であり、多量の替芯がケース本体から同時に飛び出すなどの従来のものの問題点を解消した替芯ケースを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る替芯ケースは、背面板と左右の脚板とにより囲まれた内側空間を替芯収容室にすると共に、前記背面板の長手方向の先端部近傍に施した屈曲可能な薄肉部を介して、先端部側に蓋体部を、後部側にケース部を形成したケース本体と、前面板と左右の外側脚板とにより、長手方向に直交する断面がコ字状に成形され、前記ケース本体側の替芯収容室を前記前面板で覆うと共に、前記外側脚板の内側に、前記ケース本体の脚板を位置させて、ケース本体を長手方向にスライド可能に支持したカバー部材とを備え、前記蓋体部における少なくとも一方の脚板と、この脚板を覆うカバー部材側の外側脚板とのいずれか一方には、前記長手方向に沿ってガイド体が形成されると共に、いずれか他方には前記ガイド体に接する摺動体が形成され、前記カバー部材の先端部から前記ケース本体の蓋体部を繰り出すスライド動作に伴い、前記ガイド体に対する前記摺動体の摺接により、前記薄肉部を介して前記蓋体部を背面側に反らせる回動動作を与えることを特徴とする。
【0008】
この場合、好ましい実施の形態においては、前記ケース本体の左右の脚板に取り付けられて、前記替芯収容室を前面側で覆う内蓋がさらに備えられ、前記ケース本体の背面板における前記替芯収容室側の内面および前記内蓋の替芯収容室側の内面には、収容された替芯との面接触を避ける突起がそれぞれ施されていることが望ましい。
【0009】
さらに、前記内蓋には、前記ケース本体の薄肉部から前記蓋体部にわたって、一対の保護板が前記左右の脚板の内側にそれぞれ位置するように形成されていることが望ましい。
【0010】
一方、前記ガイド体の好ましい形態は、前記蓋体部の脚板の外側において、長手方向に沿って延びるレール状に突出した状態で形成される。また前記係止部の好ましい形態は、前記スライド動作により前記蓋体部が繰り出されるカバー部材の先端部において、前記ガイド体に接するように突出して形成される。そして、前記ガイド体には、前記先端部から前記薄肉部側に向かって、前記背面板に対して離れる傾斜領域を形成することで、前記スライド動作に伴い、前記薄肉部を介して前記蓋体部を背面側に反らせる回動動作が与えられる。
【0011】
この場合、さらに好ましくは前記ガイド体における摺動体への接触部には、前記先端部側において前記背面板に平行した平行領域が形成されると共に、当該平行領域に続いて前記した傾斜領域が形成される。これにより、前記したスライド動作の前半部においては、前記蓋体部に回動動作を与えることなく、前記カバー部材の先端部から前記蓋体部を繰り出す動作を与えると共に、前記スライド動作の後半部において、前記蓋体部を背面側に反らせる回動動作を与えることができる。
【0012】
また、好ましい形態においては、前記蓋体部の先端部には、左右の前記脚板を連結して前記先端部を塞ぐ閉塞板が形成され、前記蓋体部を前記カバー部材に収容し、前記カバー部材の前記前面板を正面視した状態で、前記カバー部材の先端部に前記閉塞板が視認可能に配置される。
【0013】
さらに、前記ケース本体とカバー部材は共に樹脂素材により形成され、前記ケース本体の背面板の裏面には、長手方向に直交する方向に配列された多数の線状の突起群が形成され、前記カバー部材の前面板の表面には、例えば円形状の窪みが形成されることが望ましい。
【0014】
さらに、内蓋の外面にスライド用リブが内蓋の長手方向に沿って形成されていると共に、カバー部材の内底面が梨地面であることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
前記したこの発明に係る替芯ケースによると、屈曲可能な薄肉部を介して蓋体部とケース部とを形成したケース本体が、カバー部材内にスライド可能に装着されて替芯ケースが形成される。そして、蓋体部とカバー部材側のいずれか一方および他方には、前記スライド動作により互いに摺接可能なガイド体と摺動体が施されることで、スライド動作に伴い前記蓋体部を背面側に反らせる回動動作が与えられる。
したがって、薄肉部による蓋体部の回動動作により、替芯の先端部がケース部から突出した状態で露出されるので、必要とする替芯を容易に取り出すことができる。
これによると、替芯の取り出し口を下向きにすることなく、替芯を取り出すことができるので、多量の替芯がケース本体側から同時に飛び出すなどの従来のものの問題点を解消した替芯ケースを提供することができる。
【0016】
また、ケース本体側に替芯収容室を前面側で覆う内蓋をさらに取り付け、ケース本体側と内蓋の内面に、替芯との面接触を避ける突起をそれぞれ形成したことで、替芯が静電気により替芯収容室内に張り付く問題を効果的に解消することができる。
これによると、ケース本体と内蓋とが二部品で形成されるので、一部品により対向する内面に突起をそれぞれ形成させる場合に比較して、離型において対向する突起を無理抜きにより損傷を与える問題を避けることができる。
【0017】
さらに、内蓋には、前記ケース本体の薄肉部から前記蓋体部にわたって位置する一対の保護板を、ケース本体の左右の脚板の内側にそれぞれ形成した構成を採用したので、スライド動作により繰り出された蓋体部を、カバー部材内に戻す際に、背面側に反った蓋体部側の脚板とケース部側の脚板との間に、替芯が挟み込まれる問題を効果的に解消させることができる。
【0018】
なお、この発明に係るその他の効果については、発明を実施するための形態の欄において、実施例の説明と共にその都度説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明に係る第1実施形態の替芯ケースの正面図である。
【
図3】
図2のa-a線より矢印方向に見た断面図である。
【
図4】
図2のb-b線より矢印方向に見た断面図である。
【
図5】蓋体部を途中まで繰り出した状態をケース本体側から見た背面図である。
【
図6】
図5のc-c線より矢印方向に見た断面図である。
【
図7】
図6に示す状態からさらに蓋体部を全開させた状態を示す断面図である。
【
図8】蓋体部を全開させた状態をカバー部材側から見た斜視図である。
【
図9】同じく替芯が収容された状態をカバー部材側から見た斜視図である。
【
図10】ケース本体の単品構成を示した正面図である。
【
図15】カバー部材の単品構成を示した斜視図である。
【
図18】この発明に係る第2実施形態の替芯ケースを構成するケース本体の単品構成を示した斜視図である。
【
図21】第2実施形態の内蓋の単品構成を示した斜視図である。
【
図24】第2実施形態のカバー部材の単品構成を示した斜視図である。
【
図27】
図22における鎖線jで囲まれた部分の拡大斜視図である。
【
図28】第2実施形態の替芯ケースにおける背面隅角部の拡大図である。
【
図29】第3実施形態のカバー部材の単品構成を示した斜視図である。
【
図30】第3実施形態の内蓋の単品構成を示した外面側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る替芯ケースについて、図に基づいて説明する。
なお、
図1~
図17は第1実施形態の替芯ケースを示しており、
図18~
図28は第2実施形態の替芯ケースを示している。さらに
図29および
図30は、第3実施形態の替芯ケースの一部を示している。
先ずは
図1~
図17に基づいて第1実施形態の替芯ケースについて説明する。
図1および
図2は、替芯ケースの全体構成をカバー部材1の表面側から見た状態およびケース本体2の裏面側から見た状態で示している。
この実施の形態においては、前記カバー部材1およびケース本体2は、樹脂素材により成形されており、また後述するケース本体2に取り付けられて、前記カバー部材1により覆われる内蓋3も、同様に樹脂素材により成形されている。そして、カバー部材1に対してケース本体2および内蓋3が、長手方向に沿ってスライド可能にカバー部材1に取り付けられ替芯ケースが構成されている。
なお、以下においては、ケース本体2の後述する蓋体部2eがカバー部材1から繰り出される長手方向の一方を、説明の便宜上先端部と称し、他方を後部と称することにする。
【0021】
図10~
図17に、前記したケース本体2、内蓋3およびカバー部材1の各単品構成が示されており、先ずはこれらの単品構成を示す各図に基づいて、各部材の詳細な構成について説明する。
図10および
図11は、ケース本体2を示しており、このケース本体2は、背面板2aと左右の脚板2bとにより、長手方向に直交する断面がコ字状に成形され、コ字状に囲まれた内側空間に替芯収容室2cを形成している。
【0022】
また、背面板2aの長手方向の先端部近傍に施した屈曲可能な薄肉部2dを介して、先端部側に蓋体部2eを、後部側にケース部2fが形成されている。
そして、蓋体部2eには左右の脚板2bを連結して、蓋体部2eの先端部を塞ぐ閉塞板2gが形成されると共に、ケース部2fの後部には左右の脚板2bを連結して、ケース部2fの後部を塞ぐ後部閉塞板2hが形成されている。
【0023】
前記蓋体部2eの左右の脚板2bの外側には、それぞれ一対のガイド体2jが、長手方向に沿ってレール状に突出して形成されている。このガイド体2jは、
図11に示すように蓋体部2eの先端部側において、背面板2aに平行した平行領域2j1が形成されると共に、この平行領域2j1に続いて、前記薄肉部2d側に向かって、背面板2aに対して離れる傾斜領域2j2が形成されている。
なお、このガイド体2jの前記した平行領域2j1と傾斜領域2j2は、後で説明するカバー部材1の先端部から、ケース本体2の蓋体部2eを繰り出すスライド動作に伴い、カバー部材1側に備えられた摺動体1gに摺接することで、前記した薄肉部2dを介して、前記蓋体部2eに対して背面側に反らせる回動動作を与えるように作用する。
【0024】
前記したケース部2fにおける左右の脚板2bには、後述する内蓋3を取り付けるための嵌合凹部2kが、長手方向のほぼ中央部および蓋体部2e寄りに形成されている。
また、ケース部2fにおける左右の脚板2bの両外側には、ケース本体2の長手方向に沿って一対のスライド突起2mが形成されている。このスライド突起2mは、カバー部材1に設けられる後述するケース支持部1dに係止して、ケース本体2が長手方向にスライド可能に支持されるように作用する。
【0025】
また、ケース部2fにおける左右の脚板2bの後部寄りには、リブ状のクリック突起2nが形成されており、これは、カバー部材1がケース本体2に対してスライド動作する際に、ケース本体2側に形成されたクリック体1fを乗り越えることで、クリック作用を発生させるものとなる。したがって、このクリック作用は、ケース本体2をカバー部材1内に戻す際にも同様に発生する。
さらに、ケース部2fの背面板2aにおける替芯収容室2c側の内面には、収容された替芯との面接触を避ける複数本の突起2pが、ケース本体2の長手方向に直交するように形成されている。これは樹脂素材により形成されたケース本体2の替芯収容室2cの内面において、替芯Lが静電気で吸着されて張り付くのを避ける作用を果たす。
【0026】
さらにケース本体2における背面板2aの裏側には、
図2に示すように後半部の長手方向に沿って、凹み部2qが形成されると共に、この凹み部2q内にはケース本体2の長手方向に直交する方向に配列された多数の線状の突起群2rが形成されている。そして、凹み部2qの先端部側には、好ましくは三角形状の矢印マーク2sが成形されている。
前記矢印マーク2sは、カバー部材1に対するケース本体2側のスライド方向を示しており、突起群2rはスライド操作における指先の滑り止めとして機能するものとなる。
【0027】
なお、ケース本体2の前記した左右の脚板2bには、それぞれケース本体2の内側に向かって、内向きリブ2tが形成されている。この内向きリブ2tは、後で説明する内蓋3をケース本体2に取り付けた際に、内蓋3の側辺に接して、ケース本体2と内蓋3との間の隙間を埋めることで、ケース本体2に対する内蓋3の嵌合力が作用する。これにより、分解時に爪が片側ずつ抜けなくなり固定力の向上を図ることができる。
【0028】
図12~
図14は、前記したケース本体2の左右の脚板2bに取り付けられて、前記替芯収容室2cを前面側で覆う内蓋3の単品構成を示している。
この内蓋3は、偏平状に形成されて長手方向の中央部と先端部付近に、それぞれ矩形状に形成された嵌合凸部3aが形成されている。この嵌合凸部3aは、ケース本体2に形成された内蓋嵌合凹部2k内に嵌め込まれて、内蓋3とケース本体2とが位置決めされ、ケース本体2の替芯収容室2cを前面側で覆うようにして取り付けられる。
【0029】
このとき内蓋3の先端部に形成された一対の保護板3bが、ケース本体2の左右の脚板2bの内側において、ケース本体2の薄肉部2dから蓋体部2eにわたって位置するように配置される。
これにより、発明の効果の欄に記載したとおり、スライド動作により繰り出された蓋体部2eを、カバー部材1内に戻す際に、背面側に反った蓋体部2e側の脚板2bと、ケース部2f側の脚板2bとの間に、替芯Lが挟み込まれる問題を、効果的に解消させることができる。
【0030】
また、内蓋3の後部において、内蓋3の内面に突出して形成された一対のスペーサ3cは、内蓋3の後部においてカバー部材1の背面板2aとの間に、一定の間隔を保持するように作用する。
さらに、内蓋3の内面には、複数本の突起3dが内蓋3の長手方向に直交する方向に形成されている。これは、ケース部2fの替芯収容室2cを前面から覆う樹脂製の内蓋3において、替芯Lとの面接触を避けるものであり、替芯Lが静電気で吸着されて内蓋3に張り付くのを避けるものとなる。
【0031】
また、内蓋3に形成された一対のスペーサ3cの直近には、内蓋3の内面に突出するリブ状のストッパー3eが形成されている。
このストッパー3eは、前記したケース本体2に対して、内蓋3を取り付けた状態において、ケース本体2と内蓋3の後端部との間に生ずる隙間の直前に位置して、替芯収容室2cに収容された替芯Lが、替芯ケースから漏れ出るのを防ぐように作用する。
【0032】
図15~
図17は、カバー部材1の単品構成を示しており、このカバー部材1は前面板1aと左右の外側脚板1bとにより、長手方向に直交する断面がコ字状に成形されており、このカバー部材1の後部には、左右の外側脚板1bを連結する後部脚板1cが形成されている。そして、前面板1aによってカバー部材1の替芯収容室2cを覆うと共に、左右の外側脚板1bの内側に、ケース本体2の左右の脚板2bを位置させて、ケース本体2を長手方向にスライド可能に支持する。
そして、スライド動作により、カバー部材1の先端部側からケース本体2の前記蓋体部2eが繰り出されるように構成されている。
【0033】
左右の外側脚板1bの縁部に沿って、長手方向の2か所に、それぞれ内側に向かい合うようにしてケース支持部1dが形成されており、これはケース本体2の脚板2bに形成された左右のスライド突起2mを摺動可能に支持することで、ケース本体2をスライド可能に支持すると共に、カバー部材1からのケース本体2の外れ防止としての機能も果たす。
そして、左右の外側脚板1bの後部寄りの内側には、一対のスライド突起1eが向かい合うように形成されている。これはケース本体2に形成したリブ状のクリック突起2nが前方に乗り越えることで、ケース本体2を開き状態にする際にクリック作用を発生させるものとなる。
さらに、外側脚板1bの後部側の内側には、一対のクリック体1fが向かい合うようにして形成されており、このクリック体1fは、ケース本体2をスライド動作させる際に、ケース本体2に形成したリブ状のクリック突起2nが後方に乗り越えることで、クリック作用を発生させるものとなる。
【0034】
カバー部材1の先端部における外側脚板1b内には、摺動体1gが向かい合うようにして突設されている。この一対の摺動体1gは、ケース本体2がスライドして、カバー部材1の先端部から蓋体部2eが突出する際に、蓋体部2eに形成されたガイド体2jの平行領域2j1および傾斜領域2j2に接して、蓋体部2eを背面側に反らせる機能を果たす。その動作の詳細については、
図4~
図7等に基づいて後で説明する。
【0035】
また、カバー部材1の先端部における前記した摺動体1gの僅かに後部寄りには、ストッパー1hが向かい合うようにして設けられている。この一対のストッパー1hは、ケース本体2のスライドにより、蓋体部2eが全開した状態において、ケース部2fの脚板2bに形成されたスライド突起2mの先端部が当接する(
図7参照)ことで、ケース本体2のスライド動作を停止させるものとなる。
また、この一対のストッパー1hは、ケース本体2をカバー部材1内に引き戻すスライド動作において、ガイド体2jの戻しガイド部2j3に接して、背面側に反った状態の蓋体部2eを、ケース本体2の長手方向に沿う状態に戻す役割も果たす。その動作については、
図4~
図7等に基づいて後で説明する。
【0036】
なお、カバー部材1における左右の外側脚板1bに囲まれた内底面1mには、
図15および
図16に示すように、内底面1mに対して僅かに突出成形された矩形状の平坦状突部1nが、前記内底面1mの長手方向の中央部を除いた左右の外側脚板1b側に沿って、間欠的に成形されている。
そして、長手方向に並ぶ平坦状突部1nには、カバー部材1の先端部側に向かって線状のスライド用リブ1pが、それぞれ平坦状突部1nに連続して成形されており、後部側のスライド用リブ1pは、前後の平坦突部1nを連結した状態で成形されている。
前記した平坦突部1nとスライド用リブ1pとは、内底面1mに対して高い寸法に成形され、さらにスライド用リブ1pが平坦突部1nより高く形成されている。
【0037】
これにより、カバー部材1に対して長手方向に沿ってスライド可能に装着されたケース本体2は、スライド動作時において、ケース本体2に取り付けられた内蓋3の背面が、前記したスライド用リブ1pのみに当接、かつ、これに長手方向に沿って摺動することになる。したがって、内蓋3はカバー部材1に対して、接触面積を減らすことで円滑なスライド動作がなされるものとなる。
【0038】
さらに、カバー部材1における前面板1aの表面には、
図1に示すようにカバー部材1のほぼ中央部に円形状の窪み1kが形成されている。
この窪み1kと、前記したケース本体2側の線状の突起群2rは、カバー部材1に対してケース本体2をスライドして操作することに際して、この窪み1kに例えば親指を当てると共に、ケース本体2側の線状の突起群2rに例えば人指し指を当てて相対的にスライドさせることで、そのスライド動作を円滑になし得ることができる。
【0039】
なお、
図1および
図2に示すように、カバー部材1にケース本体2を収容した状態においては、カバー部材1の前面板1aを正面視した状態(
図1に示す状態)において、カバー部材1の先端部に形成した先端凹部1jに沿って、ケース本体2の先端部に形成された蓋体部2eの閉塞板2gが視認可能となる。
これによると、ケース本体2を成形する樹脂色を、この替芯ケースに収容される替芯Lの芯色とほぼ同色に合わせることで、替芯ケースに収容された芯色を、閉塞板2gの着色によってユーザに識別させることもできる。
【0040】
ケース本体2を成形する樹脂色の濃度を、替芯Lの硬度に応じて段階的に異ならせることにより、閉塞板2gの濃度によってユーザに識別させることもできる。ここで挙げる同色は、マンセル表色系の色相で、10色相以内、明度および彩度で3以内を示す。また、濃度は部品の表面を濃度計(sakura DENSITO METER PDA65小西六写真工業株式会社)で測定したものとする。また、芯の硬度はJIS S 6005:2007に規定されている方法で測定した筆記硬度を示す。
【0041】
図3~
図9は、カバー部材1に対してケース本体2をスライド動作させた場合における主に蓋体部2eの開閉動作について説明するものである。
図3は、内蓋3を取り付けたケース本体2を、カバー部材1に収容した状態の中央断面図(
図2のa-a線より見た断面図)であり、
図4は、このときの蓋体部2eに形成された一方のガイド体2j部分に沿った断面図(
図2のb-b線より見た断面図)である。
カバー部材1に対して、ケース本体2が収容された
図4に示す状態においては、カバー部材1のストッパー1hが、ガイド体2jの戻しガイド部2j3に当接しており、したがって、蓋体部2eはカバー部材1の長手方向に沿って、閉じた状態を維持する。
【0042】
図5はカバー部材1の先端部から、ケース本体2の蓋体部2eを、蓋体部2eの長さ寸法の半分程度突出させた状態を示しており、
図6はこのときの蓋体部2eの様子を示している。すなわち、カバー部材1の先端部から蓋体部2eを突出させる初期の段階(前半部)においては、カバー部材1側の摺動体1gは、蓋体部2eに形成されたガイド体2jの平行領域2j1に接してスライドする。このために、蓋体部2eには回動動作を与えることなく、カバー部材1の先端部から蓋体部2eを繰り出す動作が与えられる。
なお、
図6に示す状態は、摺動体1gはガイド体2jの傾斜領域2j2に僅かに接しており、これに伴い蓋体部2eは、薄肉部2dを介して背面側に僅かに反った状態になされている。
【0043】
前記したように、蓋体部2eを突出させる初期の段階においては、蓋体部2eには回動動作を与えることなく、カバー部材1の先端部から蓋体部2eを繰り出す動作がなされるので、たとえ替芯ケースを不用意に傾けても、ケース内の替芯Lが飛び出て落下するのを阻止することができる。
【0044】
図7は蓋体部2eをカバー部材1からさらに繰り出して、蓋体部2eが全開した状態を示している。
図6に示す状態から
図7の状態に至る蓋体部2eの繰り出し動作の後半部においては、カバー部材1の繰り出しに伴い、摺動体1gはガイド体2jの傾斜領域2j2に沿って摺動するため、蓋体部2eには薄肉部2dを介して、急激に背面側に反る回動動作が与えられる。
そして、蓋体部2eが全開した
図7に示す状態においては、ケース本体2の長手方向に沿って設けられたスライド突起2mの先端部が、ストッパー1hに当接して蓋体部2eの繰り出しは停止される。
【0045】
図8および
図9は、蓋体部2eの全開状態における替芯ケースの外観構成を示しており、
図9はケースに替芯Lが収容された状態で示している。
蓋体部2eの全開状態においては、
図7に示すように摺動体1gには、ガイド体2jの傾斜領域2j2の後部が接しており、この状態においては、薄肉部2dを介して蓋体部2eを、指先等でさらに任意に反らせることができる。
したがって、替芯ケースから必要な数の替芯Lを正確に取り出すことができる。
【0046】
一方、
図7~
図9に示す蓋体部2eの全開状態から、蓋体部2eをカバー部材1内にスライドさせて戻す場合には、例えば
図6に示されているように、ガイド体2jの戻しガイド部2j3が、ケース部材1側のストッパー1hに摺動することになる。これにより、背面側に反った状態の蓋体部2eは、ケース本体2の長手方向に沿う状態に戻されながらカバー部材1内に収容される。
そして、蓋体部2eがカバー部材1内に全て収容された
図4に示す状態においては、ガイド体2jの戻しガイド部2j3が、ケース部材1側のストッパー1hに当接しており、したがって、蓋体部2eは閉じた状態を維持することになる。
【0047】
なお、蓋体部2eの全開状態からカバー部材1内に戻す場合には、前記薄肉部2dを介した蓋体部2eとケース部2fに設けられた各脚板2bの間に、ケース内に収用された一部の替芯Lを挟み込んで、替芯Lを折損させるなどの問題が発生し得る。
しかし、
図8に示されているように、内蓋3の先端部に形成された一対の保護板3bが、蓋体部2eとケース部2fの各脚板2bの内側に位置するので、前記した替芯Lを折損させる問題を回避することができる。
【0048】
次に
図18~
図28に基づいて、この発明に係る第2実施形態の替芯ケースについて説明する。なお、この第2実施形態の替芯ケースの基本構成は、すでに説明した第1実施形態の替芯ケースと同様であり、カバー部材1、ケース本体2および内蓋3を備えて構成される。
したがって、相当する主要な各部には同一符号を付けて、その説明は適宜省略し、以下においては主に、第2実施形態の替芯ケースにおける特有の構成について説明する。
【0049】
図18~
図20は、ケース本体2の単品構成を示しており、この第2実施形態のケース本体2においては、ケース本体2のケース部2f側における左右の脚板2bの上側縁、いわゆる嵌合凹部2kと同平面に沿って、それぞれ3個の傾斜突起2uが一体に成形されている。これらの傾斜突起2uは、いずれもケース部2fの外側から内側に向かって突起面が低くなるように傾斜している。
また、前記ケース部2fの前端部側と後端部側の傾斜突起2uに接近して、左右の脚板2bの内面に、山状突起2vがそれぞれ対向するようにして形成されている。
さらに、ケース本体2の蓋体部2e側にも、左右の脚板2bの内側にリブ状突起2wがそれぞれ対向するようにして形成されている。
【0050】
前記した傾斜突起2u、山状突起2v、およびリブ状突起2wは、いずれもケース本体2の替芯収容室2cに所定数の替芯Lを収容した状態で、替芯ケースを例えば自動機により組み立てるに際して、特に替芯Lの芯折れが防止できるように作用するものである。
すなわち、この替芯ケースを前記した自動機を利用して組み立てるには、水平面上に配置されたケース本体2の替芯収容室2cに、その長手方向に合わせて所定数の替芯Lを投入し、この状態のケース本体2の上から内蓋3を押し付けて、ケース本体2に内蓋3を嵌合させる工程が伴われる。そして、内蓋3を覆うようにしてカバー部材1が、その上部に装着されることで、カバー部材1の外側脚板1bの内側にケース本体2の脚板2bが収容されて、カバー部材1に対してケース本体2がスライド可能に支持され、替芯ケースとしての商品が組み上げられる。
【0051】
したがって、前記した傾斜突起2uの突起面はケース部2fの外側から内側に向かって低くなるように傾斜されているので、嵌合凹部2kと同平面に、細長に形成された替芯Lが載置されるのが阻止され、これにより投入される替芯Lの全てが、ケース本体2の替芯収容室2cに収容されるように作用する。
【0052】
また、前記した山状突起2vおよびリブ状突起2wは、替芯収容室2cに投入された各替芯Lが、左右の脚板2bに接しないように替芯収容室2cの中央部側に替芯Lを誘導させるガイド体として機能させるものである。
これは、ケース本体2に内蓋3を嵌合させる工程において、内蓋3に形成された左右一対の保護板3bが、替芯収容室2c内に投入された替芯Lの先端部を挟み込むのを防止させるものである。これにより替芯Lの折損を防止して、替芯ケースとしての商品の不良の発生を阻止することができる。
【0053】
図21~
図23は、内蓋3の単品構成を示しており、この第2実施形態の内蓋3においては、内蓋3の内面に突出するリブ状のストッパー3eは、
図12~
図14に示した第1実施形態の内蓋3のストッパー3eに対して、その高さ寸法がより大きく形成されている。すなわち、第1実施形態の内蓋3のストッパー3eの高さ寸法が0.3mmであるのに対して、この第2実施形態の内蓋3のストッパー3eの高さ寸法は0.5mmに増加させている。これにより、替芯ケースの後端部におけるケース本体2と内蓋3との間の隙間から、替芯Lが漏れ出るのを阻止する芯漏れの防止効果を向上させることができる。
【0054】
また、第2実施形態の内蓋3においては、
図22の鎖線jで囲まれた部分拡大図である
図27に示されているとおり、矩形状に形成された嵌合凸部3aの内側の面に、一対の斜面3gが施されている。
さらに、第2実施形態の内蓋3の先端部側に形成された左右一対の保護板3bの各厚さは、第1実施形態の保護板3bの各厚さに比較して僅かに減少させて、保護板3bの左右一対の先端部間の幅を減少させている。
【0055】
前記した嵌合凸部3aに一対の斜面3gが施されることにより、ケース本体2に対する内蓋3の組立時の長手方向への位置ずれをより効果的に阻止することができる。また、保護板3bの先端部の幅を減少させることで、組立て位置精度の許容範囲を増加させることができるものとなる。
【0056】
図24~
図26は、カバー部材1の単品構成を示しており、この第2実施形態のカバー部材1においては、外側脚板1bの内側に形成される対向するスライド突起1eおよびクリック体1fは、
図15~
図17に示した第1実施形態のカバー部材1に比較して、それぞれ長手方向に沿って緩やかな斜面を構成するように形状が変更されている。
図28は、
図25に示す鎖線nで囲まれたカバー部材1の隅角部に、
図19に示す鎖線mで囲まれたケース本体2の隅角部背面が装着された状態の部分拡大図である。
この
図28に示されているように、カバー部材1側に形成されたクリック体1fは、長手方向に沿って緩やかな斜面を構成するように形成されると共に、ケース本体2側のスライド突起2nには、その頂部に平坦面2yを形成した台形状に成形されている。
【0057】
この構成によると、カバー部材1側のクリック体1fと、ケース本体2側のスライド突起2nが、共に緩やかな斜面を有する構成にされているので、カバー部材1に対してケース本体2をスライドさせて、ケース本体2の蓋体部2eが突出して開き始める状態において、操作上において受ける抵抗感の低減を図ることができる。
また、ケース本体2側のスライド突起2nには、その頂部に平坦面2yを形成した台形状に成形されているので、替芯ケースが落下した場合において、落下衝撃の乗り越えの軽減を図ることができる。
【0058】
次に
図29~
図30に基づいて、この発明に係る第3実施形態の替芯ケースについて説明する。なお、この第3実施形態の替芯ケースの基本構成は、すでに説明した第2実施形態の替芯ケースと同様であり、カバー部材1、ケース本体2および内蓋3を備えて構成される。
第3実施形態の替芯ケースにおいて用いられる
図29に示すカバー部材1は、第2実施形態のカバー部材として示した
図24の各部に相当する部分を同一符号で示している。また、第3実施形態の替芯ケースにおいて用いられる
図30に示す内蓋3は、内蓋3の外面側を斜視図で示しており、これは第2実施形態のカバー部材として示した
図21~
図23の各部に相当する部分を同一符号で示している。
第3実施形態の替芯ケースは、第2実施形態のカバー部材1からスライド用リブ1pが除去されて、代わりにスライド対象の内蓋3のカバー部材1側、すなわち内蓋3の外面の長手方向に沿って2本のスライド用リブ3fが互いに平行状態に形成されている点で、第2実施形態と相違している。
【0059】
また、カバー部材1の内底面1mは梨地面として形成されており、内蓋3の外面に形成された前記スライド用リブ3fは、カバー部材1の内底面1mに施された梨地面を、リブ3fの長手方向に沿って摺動されるものとなる。
この場合、カバー部材1の内底面1mに形成される梨地面は、その算術平均粗さ(Ra)は、5μm~50μmの範囲とすることが好ましい。その値が5μmより小さい場合、表面が鏡面に近くなり、接触抵抗が大きくなり、内蓋3との摺動が円滑にスライドすることができなくなるおそれがある。一方、その値が50μmより大きい場合、離型が困難になり又十分な金型表面(梨地面)転写性が得られなくなる。なお、良好な離型性や金型表面転写性が得られる点で、算術平均粗さ(Ra)は、10μm~25μmの範囲にあることが、より一層好ましい。
【0060】
前記梨地面は、金型表面をエッチング加工やサンドブラスト加工、鏡面仕上げではない研磨処理などの処理を行うことにより得られる。また、放電加工後の金型部品表面を研磨等せずに残すことにより梨地面とすることもできる。
梨地面の算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601:1982で定義されている算術平均粗さ(Ra)を指すものである。またその際の表面粗さの測定は、(ミツトヨ社製の機種名SJ-301)が使用されている。
また、カバーと本体との抜け力を15N以上とすることにより、本体からカバーを容易に外すことができなくなり部品の脱落が防止できる。
【0061】
以上説明した第1~第3実施形態の替芯ケースにおいては、ケース本体2に内蓋3を取り付けた状態で、ケース本体2をカバー部材1にスライド可能に装着しているが、前記内蓋3は必ずしも必要ではなく、これは省略することもできる。
また内蓋3を用いる場合においては、図示せぬ薄肉状の連結帯を介してケース本体2の後部側に内蓋3連結して一体成形することができる。そして、薄肉状の連結帯を折り返して、ケース本体2に内蓋3を組み付けることで、部品数の削減が可能であり、これにより製造上の管理を容易にすると共に、より低コスト化も可能な替芯ケースを提供することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 カバー部材
1a 前面板
1b 外側脚板
1d ケース支持部
1g 摺動体
1h ストッパー
1k 窪み
1m 内底面(梨地面)
2 ケース本体
2a 背面板
2b 脚板
2c 替芯収容室
2d 薄肉部
2e 蓋体部
2f ケース部
2g 閉塞板
2j ガイド体
2j1 平行領域
2j2 傾斜領域
2j3 戻しガイド部
2m スライド突起
2p 突起(芯張り付き防止突起)
2r 突起群
3 内蓋
3b 保護板
3d 突起(芯張り付き防止突起)
3f スライド用リブ
L 替芯