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特開2022-96638多電極カテーテルを使用して、アブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に信号を強調表示するためのGUI
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  • 特開-多電極カテーテルを使用して、アブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に信号を強調表示するためのGUI 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022096638
(43)【公開日】2022-06-29
(54)【発明の名称】多電極カテーテルを使用して、アブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に信号を強調表示するためのGUI
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/339 20210101AFI20220622BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20220622BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220622BHJP
   A61N 1/08 20060101ALN20220622BHJP
【FI】
A61B5/339
A61B5/287 100
A61B5/33 100
A61N1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021204030
(22)【出願日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】17/124,679
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】アビバ・ゴールドバーグ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127HH11
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を可視化するためのシステムを提供すること。
【解決手段】システムは、ディスプレイ及びプロセッサを備える。プロセッサは、(a)患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、(b)それらの電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、(c)(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された電極からの信号を可視化すること、及び(ii)第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された電極からの信号を可視化することを行うグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、ディスプレイ上でユーザーに複数の信号を提示することと、を行うように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を可視化するためのシステムであって、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、
前記電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、
(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された前記電極からの前記信号を可視化すること、及び(ii)前記第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化することを行うグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、前記ディスプレイ上でユーザーに前記複数の信号を提示することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、第1の線種で信号をプロットすることによって前記第1のグラフィカル機能を使用し、前記第1の線種とは異なる第2の線種で前記信号をプロットすることによって前記第2のグラフィカル機能を使用して、前記信号を可視化するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記信号を部分的に空白化することによって、活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、電極と組織との物理的接触のレベルを判定することに基づいて、前記電極からの前記信号の前記可視化を自動的に更新するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記電極のうちのどれが活性となると判定されたかを、前記GUIを使用して前記ユーザーに指示するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記電極のうちのどれが活性となると判定されたかを、前記カテーテルの図解上で指示するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記信号は、電位図である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を可視化するための方法であって、
患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、
前記電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、
(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された前記電極からの前記信号を可視化すること、及び(ii)前記第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化することによって、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、ディスプレイ上でユーザーに前記複数の信号を提示することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記第1のグラフィカル機能を使用して信号を可視化することは、第1の線種で前記信号をプロットすることと、前記第1の線種とは異なる第2の線種で前記信号をプロットすることによって、前記第2のグラフィカル機能を使用することと、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化することは、前記信号を部分的に空白化することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
電極と組織との物理的接触のレベルを判定することに基づいて、前記電極からの前記信号の前記可視化を自動的に更新することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記GUIを使用して、前記ユーザーに、前記電極のうちのどれが活性となると判定されたかを指示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記電極のうちのどれが活性となると判定されたかを指示することは、前記カテーテルの図解上で実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記信号は、電位図である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータソフトウェア製品であって、プログラム命令が中に格納される有形の非一時的コンピュータ可読媒体を備え、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、
前記電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、
(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された前記電極からの前記信号を可視化すること、及び(ii)前記第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化することを行うグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、ディスプレイ上でユーザーに前記複数の信号を提示することと、を行わせる、コンピュータソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、医療用プローブからのデータをリアルタイムで提示することに関するものであり、具体的には、グラフィカルユーザーインターフェース(graphical user-interface、GUI)を使用して、多電極電気生理学的(Electrophysiological、EP)感知及びアブレーションカテーテルからの信号をリアルタイムで提示することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
侵襲性プローブの特定の電極に関連するデータを提示することは、既に特許文献において提案されている。例えば、米国特許出願公開第2015/0320478号には、冷却式の電極を使用した体内の組織の高周波アブレーションが記載されている。このアブレーションシステムは、コンピュータグラフィック制御システムを含み、このコンピュータグラフィック制御システムは、アブレーションプロセスに関連する測定されたパラメータをリアルタイムグラフィックディスプレイ上に表示し、アブレーションプロセス中のアブレーション信号出力のパラメータの変動を視覚的に監視するように適合されている。一例では、複数のリターン電極の1つ又は2つ以上の測定されたパラメータが同時に表示されて、それらの変動と値との関係が視覚的に解釈される。表示される1つ又は2つ以上のパラメータは、アブレーションプロセスに関する測定された電圧、電流、電力、インピーダンス、電極温度、及び組織温度のリストから取得され得る。グラフィックディスプレイは、安全及び制御のために、アブレーションプロセスのダイナミクス及び安定性に関する即時的かつ直感的な感覚を臨床医に与える。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2017/0065339号には、不可逆的エレクトロポレーションを駆動するためにDC電圧を選択的かつ迅速に印加するためのカテーテルシステム及び方法が記載されている。いくつかの実施形態では、ある機器が、一連の電極を含んだ医療装置を含む。この機器の選択モジュールは、少なくとも1つの電極をアノードとして、また少なくとも1つの電極をカソードとして特定するように構成されている。ある実施形態では、装置がパルスを印加しているとき、トリガボタンが、特定の色でパルス送達に合わせて点滅する。送達された各パルスの波形は、タッチスクリーンインターフェース上に表示される。シーケンスに関与した電極同士の間における事前のインピーダンス及び事後のインピーダンスのグラフィック表現もまた、インターフェース上に示され得る。
【0004】
米国特許出願公開第2016/0278660号には、治療部位を特定するための方法及び装置が記載されている。これらの方法は、複数の電極を、患者の内壁の上又はその近傍にある複数の位置と係合させることを含み得る。これらの方法はまた、複数の電極のうちの第1の対によってペーシング刺激を生成し、結果として生じる電気的活動を測定することを含み得る。これらの方法はまた、結果として生じる電気的活動に基づいて、治療のための少なくとも1つの部位を特定することを含み得る。いくつかの例では、更なる使用のための電極の判定は、インターフェース上に表示された電気活動の表現を操作者が審査することによって行われ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下で説明される本発明の実施形態は、ディスプレイとプロセッサと含むシステムを提供する。プロセッサは、(a)患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、(b)それらの電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、(c)(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された電極からの信号を可視化すること、及び(ii)第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された電極からの信号を可視化することを行うグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、ディスプレイ上でユーザーに複数の信号を提示することと、を行うように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、第1の線種で信号をプロットすることによって第1のグラフィカル機能を使用し、第1の線種とは異なる第2の線種で信号をプロットすることによって第2のグラフィカル機能を使用して、信号を可視化するように構成されている。他の実施形態では、プロセッサは、信号を部分的に空白化することによって、活性とならないと判定された電極からの信号を可視化するように構成されている。
【0007】
ある実施形態では、プロセッサは、電極と組織との物理的接触のレベルを判定することに基づいて、電極からの信号の可視化を自動的に更新するように更に構成されている。
【0008】
別の実施形態では、プロセッサは、電極のうちのどれが活性となると判定されたかを、GUIを使用してユーザーに指示するように更に構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、電極のうちのどれが活性となると判定されたかを、カテーテルの図解上で指示するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、信号は、電位図である。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することを含む方法が追加的に提供される。電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかに関する判定が行われる。複数の信号は、(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された電極からの信号を可視化すること、及び(ii)第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された電極からの信号を可視化することによって、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、ディスプレイ上でユーザーに提示される。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、コンピュータソフトウェア製品であって、プログラム命令が中に格納される有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を含み、その命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、(a)患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、(b)それらの電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、(c)(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された電極からの信号を可視化すること、及び(ii)第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された電極からの信号を可視化することを行うグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、ディスプレイ上でユーザーに複数の信号を提示することと、を行わせる、コンピュータソフトウェア製品が更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
図1】本発明の例示的な実施形態による、アブレーション用に選択されない電極の信号を空白化するように構成されたGUIを備える、多電極カテーテルベースの位置追跡及びアブレーションシステムの概略描写図である。
図2A】本発明のいくつかの実施形態による、2つの選択された電極構成における図1のGUIの概略描写図である。
図2B】本発明のいくつかの実施形態による、2つの選択された電極構成における図1のGUIの概略描写図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による、図2のGUIを使用するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概論
多電極カテーテルは、腔壁の電気解剖学的マッピング及びアブレーションなどの様々な臨床用途において使用され得る。不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)などのアブレーションは、典型的には持続時間の非常に短いものであり、多くの場合、多電極カテーテルの全ての電極が活性化されるわけではない。多電極カテーテルは、数十個以上の電極を含むことがあり、また、各電極は、監視すべきそれぞれの信号に関連付けられるので、どの信号(例えば、電極によって捕捉された電位図のセットのサブセット)がアブレーション用に観察されるべきかをオペレータが認知することは困難である。
【0015】
例えば、電極がアブレーション用に動作されるべきか否かを指示する、心臓組織との十分な又は不十分な物理的接触に関する各電極の視覚指示を医師が受け取ってもよい。別の例として、肺静脈隔離の場合、アブレーション用に動作されると、近くの敏感な組織への付帯的損害を引き起こし、これらの電極からの信号を監視することが、不必要なオーバーヘッドになり得るという、電極のいくつかに関する指示を医師が受け取ってもよい。潜在的な危険を伴う上記の複雑なシナリオを考慮すると、医師は、アブレーション用に選択された電極を特定し、それらの電極が感知する信号(例えば、接触した組織からの電気生理学的(EP)信号)を強調表示する視覚入力から恩恵を受け得る。
【0016】
以下に記載される本発明の実施形態は、電極の判定されたステータスに従って、多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を選択的に可視化するグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を操作者(例えば、医師)に提供する。
【0017】
ある実施形態では、このGUIは、第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された電極からの信号(例えば、アブレーション用の使用に適したもの)を可視化する。このGUIは、第1のグラフィック機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならない(例えば、血液に浸漬され、したがってアブレーション用の使用に適さない)と判定された電極からの信号を可視化する。例えば、このGUIは、アブレーション用に選択されることによって、活性となると判定された電極/チャネルの信号を強調表示し、アブレーション用に選択されていないことによって、不活性となると判定された電極の信号を部分的に空白化する。強調表示と空白化は両方とも、アブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に利用可能である。
【0018】
いくつかの実施形態では、開示されるGUIは、多電極の模式図及びそれらの番号順のリスト、例えば、#1、#2、...#N-1、#Nを含む、(例えば、バルーンの)拡張可能なフレームを表す。このGUIは信号選択モードを更に提供し、その信号選択モードでは、任意の所与の信号をクリックするか、又は(マウス若しくはタッチディスプレイ若しくは他の好適な入力装置を使用して)信号のグループをマーキングすると、アブレーション用に選択されていない電極の信号が空白化される。
【0019】
典型的には、プロセッサは、プロセッサが、上で概略を述べたプロセッサ関連工程及び機能のそれぞれを実施することを可能にする、特定のアルゴリズムを含むソフトウェアにプログラム化されている。
【0020】
開示されたGUIを提供することにより、選択されたアブレーション構成の医師の意識が向上し、それによって、より安全な多重電極アブレーション処置が提供される。
【0021】
システムの説明
図1は、本発明の例示的な実施形態による、アブレーション用に選択されていない電極53の信号を空白化するように構成されたGUI46を備える、多電極カテーテルベースの位置追跡及びアブレーションシステム20の概略描写図である。
【0022】
図から分かるように、システム20は、カテーテルのシャフト22の遠位端部に装着される多電極ラッソカテーテル40を備え、ラッソカテーテル40は、複数の電極53を備えている(挿入図25及び48に示される)。本明細書に記載される実施形態では、電極53は、以下の手順、すなわち、(i)心臓26の左心房45などの心室の電気解剖学的マッピング、及び(ii)患者28の肺静脈61の小孔60の組織のIREアブレーション、のうちの少なくとも1つを実施するために医師30によって使用される。
【0023】
医師30は、シース23を通じて患者28の心臓26の中へとシャフト22を挿入し、カテーテルの近位端部付近にあるマニピュレータ32、及び/又はシース23からの偏向を使用してシャフト22を操作することによって、心臓26内の標的位置へとシャフト22の遠位端部を前進させる。
【0024】
処置中に、追跡システムを使用して電極53の相対位置を追跡することで、診断信号の各々とその診断信号を取得した位置とを関連付けることができる。好適な追跡システムは、例えば、米国特許第8,456,182号(その開示が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている、Biosense-Webster(Irvine,California)製のAdvanced Catheter Location(ACL)システムである。ACLシステムでは、プロセッサは、電極のそれぞれと患者28の皮膚に連結されている複数の表面電極との間で測定されたインピーダンスに基づいて、電極53の相対位置を推定する。
【0025】
シャフト22の遠位端部が標的位置(例えば、左心房45)に到達すると、医師30はシース23を後退させ、カテーテル40は、その予め形成された弓状の形状へと自己拡張する。医師30は、シャフト22を更に操作して、電極53を小孔60の組織と接触させて配置する。
【0026】
マッピング処理の間、電極53は、組織から、かつ/又は組織に、信号を捕捉及び/又は注入する。コンソール24中のプロセッサ38は、電気的インターフェース35を介してこれらの信号を受信し、これらの信号に含められた情報を用いて電気解剖学的マップ31及びECGトレース50を構築する。処置中及び/又は処置後、プロセッサ38は、ディスプレイ26上に電気解剖学的マップ31及びECGトレース50を表示する。典型的には、プロセッサ38は、メモリ41内に電気解剖学的マップ31及びECGトレース50を記憶する。
【0027】
挿入図48から更に分かるように、ラッソカテーテル40の電極53のうちのいくつかは小孔60の組織と接触しているが、他の電極は接触していない(すなわち、血液プール内にある)。GUI46において、接触している電極53は強調表示で示され、医師30は、図2に示されるように、接触していない電極53のECG信号を空白化することができる。
【0028】
プロセッサ38はGUI46を提示し、医師30は、カテーテル40及び電極53の図解を見るために、例えばタッチディスプレイ26からこのGUI46を操作することができ、また、GUI46のツールを使用して、1つ又は2つ以上の電極53をアブレーション電極として有効化又は無効化することができる。
【0029】
図1に示されている例示は、単に概念を分かりやすくする目的で選択されている。バルーンカテーテル、マルチアームカテーテル、及びバスケットカテーテルなどの他の多電極カテーテルが使用されてもよい。
【0030】
プロセッサ38は、典型的には、本明細書に記載されている機能を実行するようにプログラムされたソフトウェアと共に汎用コンピュータを構成する。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができる、あるいは代替的に又は追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上に提供及び/又は記憶することができる。具体的には、プロセッサ38は、以下で更に説明するように、プロセッサ38が本開示の工程を行うことを可能にする、本明細書に開示され、図3に含まれる専用のアルゴリズムを実行する。
【0031】
多電極カテーテルを使用して、アブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に信号を強調表示するためのGUI
図2A及び図2Bは、本発明のいくつかの実施形態による、2つの選択された電極53の構成における図1のGUI46の概略描写図である。図のそれぞれにおいて、GUI46は、番号順に#1、#2、...#9、#10で列挙された電極を含む電極53と共に、ラッソカテーテル40を表す。図2Aでは、アブレーション用に選択された電極は電極#7、#8、#9、#10の群255であるが、図2Bでは、活性電極(例えば、アブレーション用に選択された)は、電極#1、#2、#3の群257、及び電極#7、#8、#9、#10の群255である。
【0032】
図から分かるように、選択された電極に従って、電位図信号55及び57は強調表示され、電位図信号56は部分的に空白化されている。
【0033】
図2A及び2Bは、例示的な可視化を与える。この例では、アブレーション用に選択された電極は、塗りつぶし領域の電極として示され、アブレーション用に選択されていない電極は、空領域の電極として示されている。しかしながら、代替的に、アブレーションに関して活性であると判定された電極と、そのように無効であると判定された電極とを区別するために、任意の他の好適な異なるグラフィック機能を有する任意の他のGUIが使用されてよい。
【0034】
例示的な実施形態では、活性電極の信号は、第1の線種(例えば、完全な太い線)を用いてプロットされ得るのに対し、無効な電極の信号は、第1の線種とは異なる第2の線種(例えば、細い破線)でプロットされ得る。別の例として、活性電極からの信号は、不活性電極の信号に使用される色とは異なる色で提示されてもよい。
【0035】
更に、図2A及び図2Bに示される実施形態では、カテーテルは電極と共に示されており、他の実施形態では、信号のみが、活性電極と不活性電極を指示するための示差的な可視化を伴って示される。
【0036】
更に、示差的な可視化を達成するために、任意の他のグラフィック手段(例えば、異なる形状のレリーフアイコン)が使用されてもよい。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態による、図2のGUI46を使用するための方法を概略的に示すフローチャートである。提示された実施形態によるアルゴリズムは、医師30が、バルーンカテーテルナビゲーション工程80において、例えば、電極53をACL感知電極として使用して、小孔60などの患者の管腔内の標的位置へと多電極カテーテル40をナビゲートするときに開始するプロセスを実行する。
【0038】
次に、カテーテル位置付け工程82において、医師30は、カテーテル40を小孔60に位置付ける。次に、信号捕捉工程84において、医師30は、電極53を使用して、EP信号及び各電極の心臓壁組織との物理的接触のレベルを指示するそれぞれの信号(例えば、インピーダンス)などの複数の信号を捕捉する。組織と接触している電極からのEP信号は臨床的関連性を有するが、血液プール内で捕捉されたEP信号は通常、無関係である。
【0039】
次に、プロセッサ38は、アブレーション工程86のための準備において、どの電極53がアブレーションに関して活性となるかを、複数の信号から判定する。
【0040】
続いて、プロセッサ38は、信号空白化工程88において、アブレーション用に無効であると判定された電極からのEP信号を部分的に空白化するために、GUI46を更新する。
【0041】
留意すべきことに、一例として、工程86では、プロセッサは、接触力感知及び/又はインピーダンス感知を使用して、電極53のうちの1つ又は2つ以上が組織と十分に安定的に接触していないことを指示することもある(それらが血液中に少なくとも部分的に浸漬されていることを意味する)。電極の情報は、どの電極を選択すべきかにおいて医師30を支援するが、しかしながら、医師は必ずしも、アブレーションに関して活性となると判定された全ての電極を選択するわけではない。
【0042】
図3に示されている例示的なフローチャートは、単に概念を分かりやすくする目的で選択されたものである。代替的な実施形態では、組織と接触していない電極/信号を明滅させるなど、追加の工程が行われてもよい。
【0043】
本明細書に記載された実施形態は、主に肺静脈隔離に対処するものであるが、本明細書に記載される方法及びシステムはまた、例えば、腎除神経などの電極の選択を必要とするその他の用途において、また、電極インピーダンス又は電極温度が強調表示される必要がある他の器官のアブレーションにおいても使用され得る。
【0044】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記の明細書に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を可視化するためのシステムであって、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、
前記電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、
(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された前記電極からの前記信号を可視化すること、及び(ii)前記第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化することを行うグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、前記ディスプレイ上でユーザーに前記複数の信号を提示することと、を行うように構成されている、プロセッサと、を備える、システム。
(2) 前記プロセッサは、第1の線種で信号をプロットすることによって前記第1のグラフィカル機能を使用し、前記第1の線種とは異なる第2の線種で前記信号をプロットすることによって前記第2のグラフィカル機能を使用して、前記信号を可視化するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサは、前記信号を部分的に空白化することによって、活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサは、電極と組織との物理的接触のレベルを判定することに基づいて、前記電極からの前記信号の前記可視化を自動的に更新するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサは、前記電極のうちのどれが活性となると判定されたかを、前記GUIを使用して前記ユーザーに指示するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0046】
(6) 前記プロセッサは、前記電極のうちのどれが活性となると判定されたかを、前記カテーテルの図解上で指示するように構成されている、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記信号は、電位図である、実施態様1に記載のシステム。
(8) 多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を可視化するための方法であって、
患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、
前記電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、
(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された前記電極からの前記信号を可視化すること、及び(ii)前記第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化することによって、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、ディスプレイ上でユーザーに前記複数の信号を提示することと、を含む、方法。
(9) 前記第1のグラフィカル機能を使用して信号を可視化することは、第1の線種で前記信号をプロットすることと、前記第1の線種とは異なる第2の線種で前記信号をプロットすることによって、前記第2のグラフィカル機能を使用することと、を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化することは、前記信号を部分的に空白化することを含む、実施態様8に記載の方法。
【0047】
(11) 電極と組織との物理的接触のレベルを判定することに基づいて、前記電極からの前記信号の前記可視化を自動的に更新することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記GUIを使用して、前記ユーザーに、前記電極のうちのどれが活性となると判定されたかを指示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記電極のうちのどれが活性となると判定されたかを指示することは、前記カテーテルの図解上で実施される、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記信号は、電位図である、実施態様1に記載の方法。
(15) コンピュータソフトウェア製品であって、プログラム命令が中に格納される有形の非一時的コンピュータ可読媒体を備え、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
患者の心臓内の多電極カテーテルの複数の電極によって感知された複数の信号を受信することと、
前記電極のうちのどれがアブレーション処置において活性となるかを判定することと、
(i)第1のグラフィカル機能によって、活性となると判定された前記電極からの前記信号を可視化すること、及び(ii)前記第1のグラフィカル機能とは異なる第2のグラフィカル機能によって、活性とならないと判定された前記電極からの前記信号を可視化することを行うグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を使用して、ディスプレイ上でユーザーに前記複数の信号を提示することと、を行わせる、コンピュータソフトウェア製品。
図1
図2A
図2B
図3
【外国語明細書】